(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】材料の物理化学特性決定のための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 15/10 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
G01N15/10 Z
(21)【出願番号】P 2018555575
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(86)【国際出願番号】 FI2017050328
(87)【国際公開番号】W WO2017187023
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-13
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】522069426
【氏名又は名称】ザ ソリュビィリティ カンパニー オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】スバンバック サミ
(72)【発明者】
【氏名】ユリルーシ ヨウコ
(72)【発明者】
【氏名】エーラス ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】アンティカイネン オスモ
(72)【発明者】
【氏名】ライッコネン ヘイッキ
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-529478(JP,A)
【文献】特表2005-521425(JP,A)
【文献】特開昭57-039349(JP,A)
【文献】特表2002-515324(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030583(WO,A1)
【文献】Sami Svanback et al.,Optical microscopy as a comparative analytical technique for single-particle dissolution studies,International Journal of Pharmaceutics,2014年04月19日,Vol. 469,pp. 10-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14、21/00-21/61、21/84-21/958、33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ある表面上に少なくとも1つの粒子を供給することと、
ii)少なくとも1種の流体を供給することと、
iii)前記流体を前記粒子と接触させることと、
iv)前記粒子を検出することと、
v)前記検出する間に取得したデータから、前記粒子における変化を分析することと、
vi)前記変化を、前記粒子の材料の少なくとも1つの物理化学特性に対して相関させることと、
を含み、
ここで前記粒子は前記表面上に固定され、ただし前記表面は、透過性層または半透過性層であり、該層の上で、前記粒子は、前記透過性層または前記半透過性層を通って流れる流体によって固定され、
前記透過性層または前記半透過性層は取り外し可能である、
特性決定方法。
【請求項2】
i)ある表面上に少なくとも1つの粒子を供給することと、
ii)少なくとも1種の流体を供給することと、
iii)前記流体を前記粒子と接触させることと、
iv)前記粒子を検出することと、
v)前記検出する間に取得したデータから、前記粒子における変化を分析することと、
vi)前記変化を、前記流体の少なくとも1つの物理化学特性に対して相関させることと、
を含み、
ここで前記粒子は前記表面上に固定され、ただし前記表面は、透過性層または半透過性層であり、該層の上で、前記粒子は、前記透過性層または前記半透過性層を通って流れる流体によって固定され、
前記透過性層または前記半透過性層は取り外し可能である、
特性決定方法。
【請求項3】
前記粒子は、透過性層または半透過性層の上にある流体の圧力差を使用することによって、前記透過性層または半透過性層の上に固定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップivは、前記粒子の少なくとも一部を検出することを含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記粒子は、元々の質量が100μg以下である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記粒子は、流体を担体として使用し、前記表面上に投入される、請求項1から
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記粒子は照射される、請求項1から
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記粒子は、反応チャンバ内のウィンドウを介して検出される、請求項1から
7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記検出することは、2つのデータ点間の変化がないことを検出することを含む、請求項1から
8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記流体は超臨界流体である、請求項1から
9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記物理化学特性は溶解度である、請求項1から
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれかの方法を遂行するように構成される分析デバイスであって、
反応チャンバと、
前記反応チャンバの中に流体を流すための少なくとも1つの第1の入口と、
前記反応チャンバの外側に流体を流すための少なくとも1つの出口と、
流体中で粒子を固定するように構成された、前記反応チャンバの内側に配置された固定ゾーンと、
を備え、前記固定ゾーンは透過性層または半透過性層を有し、前記透過性層または前記半透過性層は取り外し可能である、分析デバイス。
【請求項13】
前記反応チャンバを規定する上部プレート、底部プレートまたは壁に配置されているウィンドウを含む、請求項
12に記載の分析デバイス。
【請求項14】
請求項
12に記載の分析デバイスであって、
前記分析デバイスの外部から前記固定ゾーンを検出することを可能にする手段を備え、
前記手段は、前記分析デバイスの壁、上部プレートまたは底部プレートに組み込まれている、分析デバイス。
【請求項15】
前記固定ゾーンは、流体の流れを介し、少なくとも1つの粒子を受け入れるように構成された透過性層または半透過性層を含む、請求項
12から
14のいずれかに記載の分析デバイス。
【請求項16】
請求項
12から
15のいずれかに記載の分析デバイスを備えるシステムであって、
前記分析デバイスに前記流体を制御状態で流すための流体取り扱い手段と、
検出手段と、
データを分析し、出力を与えるための計算手段と、
をさらに含む、システム。
【請求項17】
請求項
13に記載の分析デバイスと、前記ウィンドウを介して前記固定ゾーンを撮像する撮像手段とを備えるシステム。
【請求項18】
前記反応チャンバの前記固定ゾーンを照射するための照射手段を備える、請求項
17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、物質の物理化学特性決定に関する。
【背景】
【0002】
ハイコンテント解析(High-Content Analysis:HCA)は、自動化された画像分析に基づくものであり、生物科学において広く使用されており、価値の高い技術となっている。
【0003】
特に、材料の2つの物理化学特性、すなわち溶解度と親油性によって、様々な化学的環境における材料の運命が左右される。ある化合物の溶解度は、その化合物が、その分子の活性形態でどの程度まで存在しうるかを決定付け、したがって、例えば、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)と、その化合物が示しうる治療効果または毒性効果の程度を決定付ける。溶解度は、例えば、合成および結晶化にも大きく関連する核形成プロセスにも重要な役割を果たす。
【0004】
分配/分布係数(logP/logD)は、その化合物の親油性の性質を記述するものであり、例えば、環境とヒトの身体への分配を決定付ける。pHに依存しない分配係数(P)またはpHに依存する分布係数(D)は、生体膜を通る透過および吸収現象を概算するために最もよく用いられる物理化学パラメータである。logPおよびlogDは、自然環境および細胞レベルの両方で、化合物の環境運命および毒性の良好な予測因子であることも示されている。
【0005】
上述の物理化学パラメータを決定するための現行の標準的な技術は、通常、数時間を費やし、または数日間を費やすこともある。定量化方法は、一般的に、物質特異的または溶媒特異的な化学分析に基づき、さらなる開発時間およびリソースを必要とする。標準的な方法の別の顕著な欠点は、長い実験時間以外に、多量の被分析物と試薬の使用であり、費用と環境への影響が増大する。これらの物理化学因子を概算するために計算モデルも使用されるが、これらのモデルは、正確な予測のために実験的な入力パラメータを必要とする。さらに、実験的な入力パラメータは、モデル環境を反映するある範囲の関連する実験条件下で取得する必要があり、その応用は非現実的なものとなるだろう。
【0006】
現行の粒子特性決定デバイスは、平均粒径または粒度分布を決定する。個々の粒子が特性決定される用途では、接着、クランプ止めによって、または他の機械的な手段によって粒子が固定される。個々の粒子は、連続的な撮像のために、流体力学的に配置されてもよく、または音響手段または光学手段によって配置されてもよい。機械的な固定は、面倒であり、粒子の特性を変えてしまう可能性がある。一方、位置調整は、特に、小さな粒子の場合は困難であり、一時的であることが多い。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述の問題のうち少なくともいくつかを軽減することである。
【0008】
別の目的は、物質または粒子の物理化学特性を決定するための単純かつ低コストの方法および装置を提供することである。
【摘要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、特性決定方法が提供される。該特性決定方法は、
i)ある表面上に少なくとも1つの粒子を供給することと、
ii)少なくとも1種の流体を供給することと、
iii)前記流体を前記粒子と接触させることと、
iv)前記粒子を検出することと、
v)前記検出する間に取得したデータから、前記粒子における変化を分析することと、
vi)前記変化を、前記粒子の材料の物理化学特性に対して相関させることとを含む。
【0010】
別の態様によれば、特性決定方法が提供される。該特性決定方法は、
i)ある表面上に少なくとも1つの粒子を供給することと、
ii)少なくとも1種の流体を供給することと、
iii)前記流体を前記粒子と接触させることと、
iv)前記粒子を検出することと、
v)前記検出する間に取得したデータから、前記粒子における変化を分析することと、
vi)前記変化を、前記流体の少なくとも1つの物理化学特性に対して相関させることとを含む。
【0011】
特定の実施形態では、検出することは、2つのデータ点間の変化がないことを検出することを含む。
【0012】
例えば、反応チャンバの内側の流体の流れの中に粒子を供給することによって、流体が粒子と接触すると、流体の流れは、粒子を溶解してもよいが、個々の粒子の周囲の濃度プロファイルが変化するか、または変化しないままである。これにより、溶解速度が得られ、その結果、粒径が小さくなる場合があり、例えば、反応チャンバ内の透明なウィンドウを介して、検出する(例えば撮像する)ことができる。取得したデータから時間の関数として個々の粒子データを抽出するために、分析が自動化されてもよい。
【0013】
この方法は、検出される(例えば撮像される)粒子または流体の種々の物理化学特性を測定することが可能だという点で、有利である。粒子に応じて、所望なように物理化学特性が選択されるべきである。この方法は、例えば、温度、放射線、圧力、イオン強度、pHまたは生体活性薬剤などの異なる化学環境および/または物理環境にさらされたときの粒子における変化を測定するのに有用である。
【0014】
この方法は、当該技術分野の現行の小型化された方法で必要なものよりも3桁を超えて少ない質量を有する粒子を分析するのにも有用な場合がある。本発明の方法の性能は、mg範囲およびg範囲で操作する標準的な方法を用いて達成できる性能よりもかなり良い。例えば、この方法を使用し、ナノグラムスケールで化合物の溶解度-親油性-電荷状態のプロファイルを取得することができる。以下に提供する実施例によって実証されるように、2つの続いて起こる検出点間の平均質量変化は、1分より短いリアルタイム検出を用いて、ピコグラムスケールで、またはフェムトグラムスケールでさえ検出することができる。したがって、この方法の検出限界は、現行の最新式の分析方法(例えば、質量分析法)の検出限界と同様のレベルであろう。特定の化学環境または物理環境での溶解度は、ある実施形態では、唯一の必要なパラメータとして、撮像した粒子の粒子面積および/または半径および/または他の変動する特性の減少していく勾配から、十分な精度で決定することができる。これにより、例えば、未知の化学組成および物理組成を有する未知の物質の迅速かつ完全な物理化学特性決定が可能になる。この単純かつ費用対効果の高い設定と、例えば、従来の光学顕微鏡を用いた広い適用可能性は、この技術に対してかなりの利点を与える。
【0015】
広範囲の化学環境にわたって物理化学特性をスクリーニングする能力は、多くの分野で大きな価値がある。任意の特定の利点に限定されないが、本発明の方法を用いると、迅速で、効率的で、ロバスト性があり、費用対効果が高い様式で、溶解速度、固有溶解速度(IDR)、本来の溶解度、固有溶解度、平衡溶解度、見かけ溶解度、pKa、logPおよびlogDといった、物質の少なくとも9種類の基本的な物理化学特性を得ることができる。これらのパラメータは、自動化されたデータ分析を用いて、個々のナノグラム結晶からでさえ、決定することができる。ナノグラム量の物質の自動化された検出に基づく分析は、液体のサンプリングまたはサンプル処理または取り扱いのステップを行うことなく、消費量と潜在的な毒性廃棄物がかなり低減する。これに加え、操作者が潜在的に危険な物質と接触することもかなり減る。これにより、例えば、薬物開発において、価値が高いか、または利用可能量が希少な化合物を信頼性高く分析することもできる。
【0016】
実施形態によっては、第1の態様に係る特性決定方法は、この変化を、前記流体の少なくとも1つの物理化学特性と相関させることを含むさらなるステップ(vii)を含む。本実施形態は、粒子と流体の材料を同時に特性決定するために使用することができるという点で有利である。
【0017】
この特性決定方法を使用し、前記流体の少なくとも1つの物理化学特性を特性決定することができる。一実施形態では、前記粒子における変化を、前記粒子または前記流体の材料の少なくとも1つの物理化学特性(例えば、前記流体が、前記粒子の材料を溶解する能力)のいずれかと相関させることができる。
【0018】
実施形態では、前記流体は、懸濁媒剤を含む。さらなる実施形態では、前記懸濁媒剤を使用し、in vivoで製剤をスクリーニングする。
【0019】
任意の特定の固定化技術に限定されないが、本発明の方法を用いると、検出領域の表面上に1種類または数種類の粒子を固定し、特定の粒子を検出することができる。透過性/半透過性層に対して固定することで、手動で、または機械的手段によって自動的に、またはこの層を横切って、および/または通って流体を流しつつ、粒子をあらかじめ配置または供給することができる。
【0020】
第2の態様によれば、分析デバイスが提供される。該分析デバイスは、
反応チャンバと、
前記反応チャンバの中に流体を流すための少なくとも1つの第1の入口と、
前記反応チャンバの外側に流体を流すための少なくとも1つの出口と、
流体中で粒子を固定するように構成された、前記反応チャンバの内側に配置された固定化ゾーンと、
前記固定化ゾーンを検出させる手段とを備える。
【0021】
第3の態様によれば、第2の態様の分析デバイスを備えるシステムが提供される。該システムは、前記分析デバイスに前記流体を制御状態で流すための流体取り扱い手段と、検出手段と、データを分析し、出力を与えるための計算手段とをさらに備える。
【0022】
第3の態様の一実施形態では、前記検出手段は撮像手段である。
【0023】
第3の態様の一実施形態では、前記システムは、前記反応チャンバの前記固定化ゾーンを照射するための照射手段を備える。
【0024】
本発明の様々な結びつかない態様および実施形態が既に示されているか、またはこれから示されるだろう。開示される実施形態は、本発明の実施に利用しうる選択した態様、実施形態またはステップを単に説明するために用いられる。いくつかの実施形態は、本発明の具体例示的な態様のみを参照しつつ提示されるだろう。対応する実施形態を、同様に他の例示的な態様に適用してもよいことが理解されるべきである。実施形態は任意に適宜組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
単なる例示として、添付の図面を参照しつつ、本発明を以下に記載する。
【
図1】
図1は、一例示的な実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【
図2】
図2は、分析デバイスの一実施形態の断面図を示す。
【
図3】
図3は、分析制御システムのブロック図の一実施形態を示す。
【詳細説明】
【0026】
[定義]
logP/logDは、分配/分布係数を指す。logP/logDは、その化合物の親油性の性質を記述するものであり、例えば、環境とヒトの身体への分配を決定付ける。
pHに依存しない分配係数(P)またはpHに依存する分布係数(D)は、生体膜を通る透過および吸収現象を記述する。
【0027】
図1は、本発明の方法の模式的なフローチャートとして示される。まず、表面上に少なくとも1つの粒子が供給される(1)。流体が供給され(2)、粒子と接触する(3)。粒子が流体と接触すると、粒子が撮像される(4)。検出する間に取得した画像を分析する(5)。画像分析の後、分析した画像から得られた情報を用いて、粒子の少なくとも1つの物理化学特性が決定される(6)。
【0028】
粒子は、流体と接触し、例えば、流体としての溶媒が粒子表面を溶かして粒子を溶解したとき、その大きさ、形状、質量減少または増加、圧力差、特異的および非特異的な吸着、接着、反応を検出するために、残った粒子を順次撮像する(4)。検出する時点または撮像間の時間間隔も記録してもよい。
【0029】
時間の関数としての形状の変化および大きさ/質量の減少または増加は、好ましくは、コンピュータ制御された画像分析手段を用いて決定される(5)。最後に、時間の関数としての大きさ、形状および/または質量減少または増加に関する情報を用いて、目的の物理化学特性を決定する。
【0030】
特定の実施形態では、変化を検出することは、2つの検出点間の変化がないことを検出することを含んでいてもよい。
【0031】
実施形態によっては、第2の態様に係る分析デバイスまたは第3の態様に係るシステムを用いて、上述の方法を実施する。
【0032】
実施形態によっては、粒子は、流体によって作られる流れの中で固定される。
【0033】
実施形態によっては、粒子は、透過性層または半透過性層を通って流れる流体によって、透過性層または半透過性層の上に固定される。
【0034】
実施形態によっては、粒子は、上述の表面に固定され、この表面は、透過性層または半透過性層であり、この層の上で、前記粒子は、前記透過性層または半透過性層を通って流れる流体によって固定される。
【0035】
実施形態によっては、粒子は、透過性層または半透過性層の上にある流体の圧力差を使用することによって、透過性層または半透過性層の上に固定される。透過性層または半透過性層は、反応チャンバの内側に配置されていてもよく、その中で、流体が、流体の実質的に全てが透過性層または半透過性層を通るように流れる。
【0036】
実施形態によっては、反応チャンバの内側表面にある固定化ゾーンに固定された粒子が供給される。一実施形態では、固定化は、例えば、溶融によって、接着によって、または吸引によって、その表面に粒子を付着させることによって実施される。別の実施形態では、固定化は、膜またはさらなるコンパートメントの内側に粒子を供給することによって、反応チャンバの内側に配置される。
【0037】
実施形態によっては、内側表面、すなわち、粒子が供給される表面は、透過性/半透過性層である。
【0038】
実施形態によっては、半透過性層が使用される。
【0039】
実施形態によっては、ステップivは、粒子の少なくとも一部を検出することを含む。
【0040】
実施形態によっては、流体を担体として使用し、粒子が投入される。一実施形態では、担体として使用される流体は、不活性流体である。
【0041】
実施形態によっては、2つ以上の反応チャンバが使用される。これら複数の反応チャンバは、分割されていてもよく、または1つのホルダ(例えばウェルプレート)内で一体化されていてもよく、この場合、各ウェルが反応チャンバである。入口流および/または出口流は、別個のポンプまたはデバイスによって制御されてもよく、または1つのデバイスによって制御され、多くの流体の流れに分けられてもよい。複数の検出器を用い、または1つの移動する検出器を用い、または全てのチャンバを同時に検出するための1つの大きな検出器を用い、チャンバ内で粒子が検出されてもよい。これにより、分析のスループットを上げることができる。
【0042】
実施形態によっては、透過性/半透過性層は、フィルターまたはフィルター膜、膜または多孔質層である。透過性/半透過性層は、流体がその中を流れるように配置されてもよく、それによって、透過性/半透過性層の表面に、流れている流体の中で、粒子を固定する。一実施形態では、粒子は、2つの多孔質層の間(例えば、膜シートの間)に配置される。
【0043】
実施形態によっては、粒子は、反応チャンバ内のウィンドウを介して検出される。一実施形態では、粒子は、上述の表面上に固定され、ウィンドウを介して検出される。
【0044】
実施形態によっては、検出は、反応チャンバの壁に配置されたプローブまたは検出器を用いることによる。一実施形態では、検出器は、CCDまたはCMOSセンサであってもよい。一実施形態では、プローブは、1つの光ファイバーであってもよく、または2つ以上の光ファイバーであってもよい。
【0045】
実施形態によっては、粒子は、流体を担体として使用し、反応チャンバの内側に投入される。一実施形態では、粒子は、同じ入口および同じ流体を用いて投入され、これを使用して粒子の特性を分析する。別の実施形態では、粒子は、異なる入口と、任意で投入流体を用いて投入され、この投入流体は、粒子の特性を分析するときの流体と同じであってもよく、または異なっていてもよい。投入流体は、不活性流体であってもよい。
【0046】
実施形態によっては、粒子は、手動で、自動で投入され、あらかじめ投入されているか、または例えばマイクロマニピュレータを用いて機械的に投入される。
【0047】
実施形態によっては、粒子は、検出する間、固定されるように、多孔質層に流体を流すことによって透過性/半透過性層の表面上に固定される。
【0048】
実施形態によっては、粒子は、吸引によって固定される。吸引は、流体の流れを用いて、圧力差を与えることによって実施されてもよい。
【0049】
実施形態によっては、流体の流れは、層流である。
【0050】
実施形態によっては、流体の流れは、乱流である。
【0051】
実施形態によっては、粒子は、透過性/半透過性の表面上に固定され、粒子の密度は、流体の密度より低く、すなわち、粒子は、流体中で浮く。好ましくは、このような場合には、流れまたはデバイスを逆行させ、すなわち、流れは、底部から上部に向かい、粒子を多孔質層の下側に投入する。このことは、特に流体の流速が遅いときに有利である。
【0052】
別の実施形態では、流体の流れは、水平方向である。このような実施形態では、透過性/半透過性層は、任意で垂直方向である。当業者は、水平方向に流れるデバイスを得るために、これに従って入口および出口の位置を変えることを含め、分析デバイスを変更することができる。
【0053】
実施形態によっては、流体は、反応チャンバの内側で均一な状態である。
【0054】
実施形態によっては、反応チャンバの内側で、流体の特性の勾配が与えられる。例えば、pH、圧力および/または温度の勾配が、反応チャンバの内側で作られてもよい。このことは、複数の流れの入口を用いることによって、またはデバイスに熱電機能または流体を冷却/加熱する機能を組み込むことによって実現されてもよい。さらなる実施形態では、電場または磁場を反応チャンバの上または内側にかける。
【0055】
実施形態によっては、粒子は、化学的、生化学的または生物学的な粒子であり、例えば、組織、細胞、ウイルス、粉末粒子、結晶、ペレット、ゲル、顆粒、粒、繊維、小胞、リポソーム、ポリマーソーム、ポリマー構造、またはこれらの混合物である。
【0056】
実施形態によっては、少なくとも2つの粒子が供給され、これらの粒子は、同じ材料または化学化合物から構成されるか、または、少なくとも2種類の異なる材料または化学化合物から構成される。したがって、異なる化学組成を有する複数の粒子が、表面上に供給され、特性決定することができる。
【0057】
別の実施形態では、粒子、または複数の粒子の少なくとも一部は、2つ以上の材料または化学化合物を含む。別の実施形態では、粒子は、2つ以上の化学化合物、材料または物質を含む混合物である。
【0058】
実施形態によっては、流体は、透明である。一実施形態では、透明度は、検出を実施するために使用される電磁スペクトルの一部における透明度を含む。一実施形態では、透明度は、光学的な透明度を含む。
【0059】
実施形態によっては、流体は、液体、超臨界流体、イオン性流体、気体、生物学的流体、細菌叢を含有する流体、酵素などのタンパク質を含有する流体、流動相、分散物、またはこれらの混合物である。
【0060】
実施形態によっては、流体は、超臨界流体であり、上述の方法は、任意で、圧力を制御することをさらに含む。別の実施形態では、物理化学特性は、溶解度である。
【0061】
実施形態によっては、流体は、上述の方法の間に、またはデバイスにおいて再利用される。
【0062】
実施形態によっては、流体は、上述の方法の間に、またはデバイスにおいて再利用されない。
【0063】
実施形態によっては、検出は、光学的な検出を用いて実施される。別の実施形態では、検出は、超音波検出、UV、ラマンおよびIR分光法を含む分光法、干渉法、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、核磁気共鳴(NMR)または任意の他の適切な検出手段、系中での検出またはこれらの組み合わせによって行われる。一実施形態では、系中での検出は、閉じられたチャンバ内で、プローブ(例えば、光ファイバープローブ、ラマンプローブ、UVプローブ、IRプローブまたは超音波プローブ)を用いて検出することを含む。一実施形態では、系中での検出は、構造(例えば、チャンバの1つまたは複数の壁)に一体化された検出器を用いて検出することを含む。
【0064】
超音波検出が用いられる場合、一実施形態では、反応チャンバ内の流体と直接接触する超音波プローブが利用される。プローブは、反応チャンバに一体化していてもよい。
【0065】
実施形態によっては、検出は、一連の画像を取得することを含む。これらの画像は、所定の間隔で、例えば、規則的な間隔で取得されてもよい。一実施形態では、画像は、光学顕微鏡を用いて取得された顕微鏡写真である。
【0066】
実施形態によっては、検出が、超音波検出を用いて実施される場合、流体は、光学的に透明ではない。
【0067】
実施形態によっては、検出は、二次元検出である。一実施形態では、検出は、三次元および/または二次元の検出である。一実施形態では、三次元検出は、共焦点顕微鏡によって、または1つ以上の検出器またはデバイスの他の部分を移動することによって、1つまたは複数の検出器を用いて行われる。一実施形態では、三次元検出は、複数の一体化された、系中の検出器または外部の検出器を用いて行われる。一実施形態では、三次元検出は、1つの一体化された、系中の検出器または外部の検出器を用いて行われる。さらなる実施形態では、放射線は、1つまたは複数の鏡、プリズムおよび/またはレンズを介し、検出器に伝わる。
【0068】
実施形態によっては、粒子は、照射される。適切な照射方法としては、コリメート化された放射線、偏光放射線、多色放射線、単色放射線、コヒーレント放射線または非コヒーレント放射線、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。一実施形態では、照射は、選択した一方向から行われる。一実施形態では、照射は、一度に複数の方向から行われる。一実施形態では、照射は、所定のシーケンスまたは無作為なシーケンスで複数の方向から行われる。
【0069】
実施形態によっては、画像を分析することは、粒子またはその少なくとも一部の半径、突出領域、表面積、体積、強度、色、円周、真球度のうち少なくとも1つを測定することを伴う。
【0070】
実施形態によっては、測定される少なくとも一部は、粒子の角部、縁部、側面、面、突起部および/または突出する部分である。
【0071】
実施形態によっては、物理化学特性は、溶解、形態学的変化、収縮、拡大、成長、燃焼、酸化、還元、蒸発、昇華、凝縮、腐食、吸着、吸収、脱離、再吸収、結合、濡れ、または上述の特性の任意の逆のプロセスのうち少なくとも1つを含む。一実施形態では、物理化学特性は、検出される材料の安定性、または変化しないことである。一実施形態では、検出される特性は、指向性、等方性または異方性である。一実施形態では、検出される特性は、全方向における特性である。
【0072】
好ましい実施形態では、物理化学特性は、溶解度である。別の好ましい実施形態では、特性決定方法は、上述の変化を、粒子の材料の少なくとも1つの物理化学特性と相関させることを含み、物理化学特性は、溶解度である。
【0073】
実施形態によっては、検出を止めた時点および/または分析の準備ができた時点を決定するために、確認ステップが使用される。好ましい実施形態では、確認ステップは、適切な方法(例えば、統計学的方法)を用いた確認である。
【0074】
実施形態によっては、粒子は、元々の質量が元々の質量が100mg以下であり、好ましくは100μg以下であり、より好ましくは500ng以下であり、より好ましくは100ng以下である。
【0075】
実施形態によっては、本方法は、粒子の質量におけるng、好ましくはpg、さらにより好ましくはfg、最も好ましくはagの変化を判定するためのものである。
【0076】
実施形態によっては、本方法は、反応チャンバを出ていく流体の化学組成を分析することを含む。化学分析は、例えば、クロマトグラフィー分析、分光学的分析または質量分析を含んでいてもよい。
【0077】
実施形態によっては、本方法は、多孔質層の上に圧力差を作り出すことを含む。これにより、表面への粒子の付着を向上させ、多孔質層を通る流れを向上させてもよい。さらに、これにより、反応チャンバの上部での流れを層流に維持することを促してもよい。
【0078】
実施形態によっては、流体の温度、任意で反応チャンバ内の流体の温度が制御される。
【0079】
実施形態によっては、流体のpH、任意で反応チャンバ内の流体のpHが制御される。
【0080】
実施形態によっては、流体のイオン強度、任意で反応チャンバ内の流体のイオン強度が制御される。
【0081】
実施形態によっては、流体の組成、任意で反応チャンバ内の流体の組成が制御される。
【0082】
実施形態によっては、流体の組成は、反応チャンバに入る前に達成される。別の実施形態では、流体の組成は、反応チャンバの内側で達成される。
【0083】
実施形態によっては、反応チャンバ内の圧力、任意でデバイス全体内の圧力が制御される。
【0084】
実施形態によっては、流体によって占められる反応チャンバ中の領域に、任意で粒子が供給される領域に、電場が与えられる。
【0085】
実施形態によっては、流体によって占められる反応チャンバ中の領域に、任意で粒子が供給される領域に、磁場が与えられる。
【0086】
実施形態によっては、流体は、pH指示薬、イオン強度指示薬、酸化還元指示薬、蛍光指示薬または錯滴定指示薬などの指示薬を含む。
【0087】
図2は、分析デバイス10の一実施形態の模式図を示す。分析デバイス10は、反応チャンバ20を備え、反応チャンバ20は、壁180、上部プレート100および底部プレート150によって規定されている。分析デバイス10は、反応チャンバ20に流体170を流し入れるための少なくとも1つの第1の入口120と、前述の反応チャンバの外側に流体175を流すための少なくとも1つの出口160とを備える。反応チャンバの内側に、底部プレートの上に配置された透過性/半透過性層140があり、本実施形態では、固定化ゾーンとして機能する。撮像される粒子130は、透過性/半透過性層140の上に配置されている。少なくとも1つのウィンドウ110は、上部プレートに面する多孔質層の表面を検出させるために、壁、上部プレートまたは底部プレートに配置されている。粒子130は、ウィンドウ110を介して撮像することができる。
【0088】
入口120は、反応チャンバへの流体の流れを与える制御手段に任意に接続されている流体容器から流体を受け入れてもよい。制御手段は、ポンプ、ミキサー、加熱要素、冷却要素、脱気手段のうち少なくとも1つを備えていてもよい。
【0089】
反応チャンバ20は、温度制御されてもよい。温度制御は、分析デバイス10の構造内に組み込まれた加熱要素または冷却要素を用いることによって実施することができる。前記の要素は、デバイスの上部プレート100、底部プレート150および/または側壁180に設けられていてもよく、または、これらの要素は、分析デバイス10の外側に設けられていてもよい。温度制御が望ましい場合、分析デバイス10を製造するために、好ましくは、良好な熱伝導性を有する材料が用いられる。
【0090】
また、反応チャンバ20は、圧力制御されていてもよい。反応チャンバ内で周囲圧力より高い圧力または低い圧力が使用される場合、分析デバイスの材料は、選択された圧力での操作を制限しないように選択される。
【0091】
反応分析デバイス10から出ていく流体175は、さらに分析されてもよい。例えば、流体175の化学組成が解析され、流体170の組成と比較されてもよい。このような解析を使用し、粒子130に溶解または付着した物質を解明してもよく、または粒子が流体内で作り出すことが可能な変化を解明してもよい。
【0092】
また、分析デバイス10には、2つ以上のウィンドウ110が設けられてもよい。本実施形態では、ウィンドウ110は、固定化ゾーンを検出させる手段である。2つ以上のウィンドウを使用する場合、粒子130を異なる視点から撮像し、および/または異なる検出方法を使用することができるだろう。ウィンドウは、粒子に対して分光法を実施するために設けられてもよい。
【0093】
また、分析デバイス10は、ウィンドウ110を有さず閉じられていてもよい。この場合、粒子130の検出は、プローブまたは一体化された検出器を用いて行われる。
【0094】
上部プレート100は、粒子130と、任意に、透過性/半透過性層140を投入または取り出すために、分析デバイス10から取り外し可能であってもよい。または、底部プレート150は、取り外し可能であってもよく、多孔質層を取り外すことができるような構成であってもよい。この構成では、粒子130の出し入れは、底部プレートを開け、透過性/半透過性層140を露出させることによって実施されてもよい。また、分析デバイス10も、閉じられていてもよい。この場合、粒子の投入は、入口または出口のチャンネルを介して行われる。
【0095】
実施形態によっては、透過性/半透過性層140は、流体の流れを介し、少なくとも1つの粒子を受け入れるように構成される。
【0096】
実施形態によっては、反応チャンバは、円筒形または略円筒形である。
【0097】
実施形態によっては、反応チャンバは、長方形または略長方形である。
【0098】
実施形態によっては、反応チャンバは、好ましい幾何形態で成形され、チャンバ内の流体の流れおよび/または勾配を作り出す。
【0099】
実施形態によっては、固定化ゾーンを検出させる手段は、ウィンドウを備える。他の実施形態では、前述の手段は、反応チャンバを規定する構造(例えば、反応チャンバの上部プレート、底部プレートまたは壁)に一体化されている。例えば、プローブが組み込まれてもよい。
【0100】
実施形態によっては、検出させる手段は、反応チャンバを規定する上部プレートまたは底部プレートに、または壁に配置されたウィンドウを含む。上部プレート、底部プレートまたは壁は、任意に取り外し可能である。
【0101】
実施形態によっては、上部プレート、底部プレートまたは壁は、ウィンドウである。
【0102】
実施形態によっては、ウィンドウは、取り外し可能な上部プレートまたは底部プレートに配置されている。
【0103】
実施形態によっては、ウィンドウは、開口部を配置することによって設けられ、開放系を実現する。開口部は、反応チャンバを部分的に開放していてもよく、または、反応チャンバの壁まで延び、それによって、反応チャンバの上部全体を開放したままにしていてもよい。例示的な実施形態として、開放系は、
図2に示される分析デバイス10から、上部プレート100を有さないデバイスを設けることによって、またはウィンドウ110の代わりに開口部を設けることによって、作成することができる。一実施形態では、入口170の直径を、開口部を介して検出させるのに十分なほど大きくしてもよい。
【0104】
実施形態によっては、検出させる手段は、デバイスの壁、上部プレートまたは底部プレートに一体化されている。
【0105】
分析デバイスの一実施形態では、固定化ゾーンは、流体の流れを介して少なくとも1つの粒子を受け入れるように構成された透過性/半透過性層を備えている。
【0106】
実施形態によっては、検出は、3D撮像であり、反応チャンバは、2つ以上の視点から検出させるために透明である。検出は、鏡、プリズム、またはこれらの組み合わせを用いることを含んでいてもよい。
【0107】
実施形態によっては、上部プレートまたは底部プレートは、粒子を投入するための蓋である。一実施形態では、透過性/半透過性層は、交換可能であり、蓋を介して交換するように構成される。他の実施形態では、粒子は、多孔質層と共に反応チャンバの内側に投入される。
【0108】
実施形態によっては、粒子は、流体の流れと共に反応チャンバの内側に投入される。一実施形態では、粒子は、ピン、針、ピンセットまたはマイクロマニピュレータなどの適切な手段を用いて、反応チャンバの内側に手動で投入される。一実施形態では、粒子は、適切な手段を用いて、反応チャンバの内側に自動で投入される。
【0109】
分析方法またはシステムは、制御システムによって制御されてもよい。例示的な実施形態では、分析デバイスは、コンピュータ制御された分析システムの一構成要素である。システムのメモリに格納されたコンピュータプログラムは、命令を含んでおり、システムの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、分析システムが命令されたとおりに動く。命令は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態であってもよい。
【0110】
図3は、分析制御システム700の粗いブロック図を示す。基本的なシステム設定では、ソフトウェアによって、処理パラメータがプログラミングされ、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)ターミナル706を用いて命令が実行され、バス704を介し、制御ボックス702にダウンロードされる。一実施形態では、制御ボックス702は、汎用のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)ユニットを備えている。制御ボックス702は、メモリに格納されたプログラムコードを含む制御ボックスソフトウェアを実行するための少なくとも1つのマイクロプロセッサ、動的および静的メモリ、I/Oモジュール、A/DおよびD/Aコンバータおよびパワーリレーを備えている。制御ボックス702は、分析システムの流体ラインバルブおよびポンプ(
図4には示していない)のコントローラに電力を送り、供給中の流体コントローラ(
図4には示していない)との双方向通信を有しており、流体の制御および検出の操作を制御し、その他の分析システムの操作を制御する。制御ボックス702は、複数の流体を使用するときに必要なバルブおよびポンプも制御してもよい。制御ボックス702は、分析システムからのプローブの読みを測定し、HMIターミナル706にリレーしてもよい。制御ボックス702は、投入と取り出しなどのサンプルの取り扱い、またはクロマトグラフィーまたは質量分析などの流体の任意の後処理分析を制御してもよい。点線716は、分析システムの部分と、制御ボックス702の間のインターフェースラインを示す。
[検出]
【0111】
検出は、粒子の変形または安定性に関する情報、またはその情報の一部を、情報が変化する場合または変化しない場合に得ることができる任意の適切な技術によって、行うことができる。例としては、撮像、光学顕微鏡(光と粒子との相互作用に対応する画像を作成する)、蛍光顕微鏡(適切に励起させたときに、粒子/物質の蛍光吸収または発光に対応する画像、または該蛍光吸収または発光に比例する信号を作成する)、紫外線検出(粒子/物質によって吸収および/または発光する、紫外線に対応する画像および/またはスペクトル、または該紫外線に比例する信号を作成する)、ラマン分光法(粒子のラマン散乱に基づきスペクトルおよび/または画像を作成する)、赤外分光法(粒子/物質によって吸収および/または発光する、赤外線放射に対応する画像および/またはスペクトルまたは、該赤外線放射に比例する信号を作成する)、干渉法(サンプルと相互作用する放射線によって作られる干渉パターンに基づき画像を作成する)、回折および動的光散乱(光の回折および/または散乱によって決定される粒径のデータを提供する)が挙げられる。
【0112】
検出技術は、このように公知であり、少なくとも1つの個別の粒子またはその少なくとも一部の特性に関する情報を得るために本発明が必要とするような小規模の容積を対象としたものであってもよい。適切な検出デバイスは、市販されている。注意をはらう必要があるのは、容器壁またはその中のウィンドウが、検出システムが用いる放射線を透過させることである。すなわち、容器自体は、検出デバイスによって記録される放射線(例えば、光学顕微鏡の場合には、光学波長)を顕著に弱めたり、または変えたりしてはならない。
【0113】
実施形態によっては、検出器は較正される。較正は、一定温度での既知の流体(例えば、水)混合物の溶解度を用いて検量線を作成することによって実施されてもよい。
【0114】
実施形態によっては、較正は、結晶密度データおよび/または分子量データを用いることを伴う。
【0115】
検出は、直接的な照射、バックライト照射、ストロボスコープ照射、蛍光、リン光またはサンプルの自己照射を利用してもよい。
[データ分析]
【0116】
検出デバイスから得られる画像または任意の他の検出データは、分析ユニット(例えば、コンピュータ)に格納されてもよく、これらは、所望するとおりに、物理化学特性(例えば溶解度)を決定するために適切なソフトウェアおよびアルゴリズムを用いて分析される。画像または任意の他の検出データは、システムに接続した外部データ記憶装置に格納されてもよい。分析は、記録する放射線の起源が異なるため、使用する検出技術に依存する。
【0117】
光学顕微鏡の場合、得られるそれぞれの画像は、例えば溶解プロセスの様々な段階で、潜在的に異なる向きでの粒子の「顕微鏡写真」(すなわち、投影画像)を含む。異なる向きの粒子は、例えば、複数の検出デバイス、鏡、反射部を用いて、複数の光源、複数の撮像デバイス、プリズムを用いて撮像することができる。
【0118】
実施形態によっては、画像の処理は、
・ 連続する画像から、すなわち、その断面表面積に基づき、粒子残渣の突出部の大きさを決定すること、
・ 連続する画像から、すなわち、その断面表面積に基づき、粒子残渣の突出部の形状を決定すること、
・ 断面積からのデータに基づき、粒子残渣の相対質量または絶対質量(または第1の画像、または概算された初期粒径と比較して、粒子から放出された質量)を概算すること、
・ 粒子残渣の大きさおよび検出時間に関する情報に基づき、溶解速度を決定すること、
・ 粒子残渣の大きさ、画像から抽出された検出時間および表面積の情報に基づき、固有の溶解速度を決定すること、
・ 粒子残渣の大きさ、画像から抽出された検出時間に基づき、物質の溶解度を決定すること、
・ 粒子残渣の大きさ、画像から抽出された検出時間に基づき、物質のpKaおよび/または電荷状態を決定すること、
・ 粒子残渣の大きさ、画像から抽出された検出時間に基づき、物質の分配(logP)係数および分布(logD)係数を決定することのうち少なくとも1つを含む。
【0119】
一実施形態によれば、所望の1つ以上の物理化学特性は、検出が進むにつれて、それまでに得られたデータに基づき、リアルタイムで計算される。その結果は、初期には概算値であってもよく、より多くのデータが利用可能になるにつれて、精度が向上する。データ分析は、画像データから算出される地形的情報および形態情報を用いた、反復する3D粒子の再構築であってもよい。
【0120】
別の実施形態によれば、1つ以上の物理化学特性の計算は、溶解プロセスが所定の点に達した後にのみ実施され、その後、プロセスを終了することができる。
【0121】
本明細書に開示される例示的な実施形態の特定の技術的効果を、以下に列挙するが、特許請求の範囲および解釈を限定するものではない。技術的効果は、粒子および物質のハイコンテントスクリーニングができることである。他の技術的効果は、非常に難溶性の物質の溶解度を決定することである。他の技術的効果は、物質の粒子を含む物質の、物理化学特性の非侵襲的測定である。さらに他の技術的効果は、1つの粒子あたり、数種類の流体を使用することができること、または1つ以上の流体あたり、数種類の粒子を使用することができることである。
[実施例]
【0122】
本方法の非特異性および広い適用可能性は、多様な化学構造および特性を有するモデル化合物の溶解速度および溶解度を決定することによって示される。
【0123】
出願人は、以下の14のモデル化合物を使用した。溶解度について高い関連性のある、アセトアミノフェン(Hawkins Inc.、MN、USA)、生体活性ガラスS53P4(BonAlive Biomaterials Ltd、トゥルク、フィンランド)、セレコキシブ(Kemprotec、カーンフォース、UK)、リン酸二カルシウム二水和物(Chemische Fabrik Budenheim KG、ブーデンハイム、ドイツ)、フロセミド(TCI Europe、ズウェインドレヒト、ベルギー)、ヒドロクロロチアジド(Alfa Aesar、ランカシャー、UK)、イブプロフェン(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、インドメタシン(Hawkins、MN、USA)、インスリンヒト組換え体(SAFC Pharma、MO、USA)、イトラコナゾール(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、ケトプロフェン(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、ナプロキセン(ICN Biomedicals Inc.、OH、USA)、フェニトイン(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、プロベネシド(Sigma-Aldrich Chemie Gmbh、シュタインハイム、ドイツ)。
【0124】
インドメタシンは、弱酸有機薬物分子であり、一般的に、難溶性薬物のモデル化合物として使用される。インドメタシンの水溶解度は、一般的に、「ほとんど溶けない」と示される。このような定性的な記述語は、ほとんど価値はないが、多くは、非常に少量の被分析物の定量化が困難であり得ることを示す。さらに、試験した化合物であるインドメタシンおよびプロベネシドの単純な水性バッファーでの溶解度を正確に予測することができるのは、具体的にトレーニングされた計算モデルのうちわずか5%未満である。
【0125】
インスリンは、1982年に、最初に導入された組換えタンパク質治療薬となった。初期のタンパク質製剤の手法は、制御された持続性放出を実施するために、インスリンの溶解度を下げることに集中していた。タンパク質結晶操作(例えば、共結晶化)は、タンパク質治療薬の安定性および有効性を上げる際に、いまだに広く使用される戦略である。このような製剤の同定および最適化の間の物理化学特性(例えば、溶解速度および溶解度)の迅速なスクリーニングは、信頼性の高い、高スループット法を必要とする。
【0126】
リン酸二カルシウム二水和物(CaHPO-2H2O、DCPD、ブルシャイト)は、整形外科用途および歯科用途で臨床的に使用される生体適合性材料である。例えば、薬物送達、癌治療およびバイオセンサの開発における用途も見出されている。DCPDは、生理学的条件下で溶解し、再吸収される能力によって、他のリン酸カルシウムセメント系と比較して固有の利点を有する。時間経過に伴い、DCPDは、浸水環境に依存して、さらに溶解度が小さいアパタイトミネラルへと変換される。このような生理学的に生じるミネラルの溶解度および溶解速度は、病気との関わりがあり、例えば、歯のエナメル質の酸による攻撃および再石灰化の起こりやすさを決定する。これらのミネラルの過飽和は、種々の生理学的環境での溶解度によって決定され、例えば、腎臓結石の生成を促す推進力でもある。
【0127】
生体活性ガラスS53P4は、FDAに承認された骨再生移植片である。その生体活性は、溶解度に依存し、このガラスから放出されるカルシウムイオンおよびケイ酸イオンは、細胞レベルで骨形成を促進することが知られている。単結晶法を用いて、出願人らは、生理学的に関連する条件で、全てのモデル化合物の水溶解度および溶解速度を決定することができた。
【0128】
さらに、本方法を拡張し、モデル薬物であるインドメタシンについて、完全な物理化学プロファイル(固有溶解度、本来の溶解度、平衡溶解度、溶解速度、pKa、logPおよびlogD)を決定することができた。溶解度-pHプロファイルは、生理学的に関連するpH範囲2~9にわたって、水性バッファー中で行われた。さらに、有効溶解度は、3種類の模倣した体液中(絶食状態を模倣した腸液(pH6.5)、食事摂取状態を模倣した腸液(pH5)および絶食状態を模倣した胃液(pH1.6))および2種類の一般的に使用される有機溶媒(エタノールおよびオクタノール)中で決定された。弱酸の溶解度は、最も高いpH9から出発し、イオン化度の低下に従って、線形に減少し、約pH4.5以降は平坦になることが観察された。溶解度プロファイルの上述の2段階の2つの回帰直線の交差点から、インドメタシンについてpKa4.4が決定された。イオン化していない形態の水溶解度(S0、pH2~3)と、オクタノール中の溶解度を取得したため、インドメタシンのlogP値は、4.1であると決定された。さらに、logP、pKaおよびpHデータを用いて、logD値をpHの関数として決定した。本発明を用いて決定された全てのパラメータを、理論データおよび文献データと相関させた。したがって、1つの変数(すなわち、個々の結晶の粒径の減少)を観察し、特性決定するだけで、ハイコンテント解析(HCA)の様式で、ある材料のための6種類の基本的な材料特徴の完全な物理化学プロファイルを利用することができる。
【0129】
リアルタイム分析の場合、2サンプルt検定分析を、10のうち2つの連続するサンプルの線形回帰直線の勾配に適用した。勾配は、t検定分析のp値が0.05未満に小さくなったとき、一定値に達すると推測される。このような統計学的確認を用いて、個々の実験を、十分な精度で、顕著に速く終わらせることができる。リアルタイムの終了時点で、勾配は、全実験の回帰直線の勾配とは平均で0.21log単位異なっていた。この不正確さは、完全な測定のRSD内であり、標準的な方法の不確実さよりもかなり小さい。本願発明者らは、試験した物質にかかわらず、ほぼ0.4分以内、または20~30データ点の後に一定の勾配に達することを観察した。したがって、物質に依存するのではなく、判定時間は、データ取得速度によって制御されるようであり、よって、CCDセンサのフレーム速度および解像度によって制御されるようである。このことは、検出に基づく材料の分析を、ハイコンテントスクリーニング(HCS)用途に適用可能であるとの強い指標を与える。
【0130】
分析した個々の結晶の平均質量は、5.0ngであった。したがって、画像に基づくHCAを用いる個々の測定に必要な物質は、当該技術分野の現行の小型化された方法で必要なものよりも3桁を超えて少なくてもよい。mgスケールおよびgスケールで操作する標準的な方法と比較したとき、これにより得られる利点はかなり大きい。モデル化合物であるインドメタシンの全溶解度-親油性-電荷状態のプロファイルを、合計で400ng未満の化合物の分析から得ることができた(n=69)。このことは、個々の結晶のHCAを用いると、全溶解度-親油性-電荷状態のプロファイルについて分析した全量が、当該技術分野の既存の技術常識を用いて、1種類の溶媒中での1つの実験について必要とされる量よりも1桁を超えて少ないことを意味する。さらに、2つの続いて起こる検出点間の平均質量変化は、160pgであり、メジアンが5.4pg、最小が4.5fgであった。0.4分のリアルタイム検出点で、最初のデータ点からの平均質量変化は、平均で5.8ngであり、メジアンが210pg、最小が180fgであった。このことは、質量分析法などの現行の最新型の分析方法と同じレベルでの画像分析の画像分析の定量限界を設定する。しかし、HCAによる物理化学特性決定は、任意の物質または溶媒に特異的な分析方法の開発を行わずに行うことができる。必要な場合、特定の化学環境での溶解度は、唯一の必要なパラメータとして、減少していく半径ベクトルの勾配から、十分な精度で決定することができる。このことは、任意の透明な溶媒中、1分以内に、未知の化学組成および物理組成を有する未知の物質について、完全な物理化学プロファイルを決定することができることを意味する。この単純かつ費用対効果の高い設定と、従来の光学顕微鏡を用いた広い適用可能性は、この技術に対してかなりの利点を与える。
【0131】
様々な範囲の化学環境にわたって物理化学特性をスクリーニングする能力は、多くの分野で大きな価値がある。HCAを用いることによって、迅速で、効率的で、ロバスト性があり、費用対効果が高い様式で実施することができる。本願発明者らは、物質の6種類の基本的な物理化学特性(すなわち、溶解速度、固有溶解度、溶解度、pKa、logPおよびlogD)を、個々のナノグラム結晶から、自動化された画像分析を用いて決定することができる。ナノグラム量の物質の自動化された検出に基づく分析は、液体のサンプリングまたはサンプル処理または取り扱いのステップを行うことなく、消費量と潜在的な毒性廃棄物がかなり低減する。これに加え、操作者が潜在的に危険な物質と接触することもかなり減る。これにより、例えば、薬物開発において、価値が高いか、または利用可能量が希少な化合物を信頼性高く分析することもできる。
[材料]
【0132】
〔溶質を放出する粒子〕
合計14種類の物質、すなわち、アセトアミノフェン(Hawkins Inc.、MN、USA)、生体活性ガラスS53P4(BonAlive Biomaterials Ltd、トゥルク、フィンランド)、セレコキシブ(Kemprotec、カーンフォース、UK)、リン酸二カルシウム二水和物(Chemische Fabrik Budenheim KG、ブーデンハイム、ドイツ)、フロセミド(TCI Europe、ズウェインドレヒト、ベルギー)、ヒドロクロロチアジド(Alfa Aesar、ランカシャー、UK)、イブプロフェン(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、インドメタシン(Hawkins、MN、USA)、インスリンヒト組換え体(SAFC Pharma、MO、USA)、イトラコナゾール(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、ケトプロフェン(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、ナプロキセン(ICN Biomedicals Inc.、OH、USA)、フェニトイン(Orion Pharma、エスポー、フィンランド)、プロベネシド(Sigma-Aldrich Chemie Gmbh、シュタインハイム、ドイツ)をこの研究で分析した。これらの物質を、溶解度および化学特性における最大変動を表すために選択した。
【0133】
〔溶媒としての流体〕
脱イオン超純(Mill iQ)水を使用し、標準曲線を作成するために、既知の水溶解度を有する12種類の化合物を溶解した。リン酸バッファー溶液(pH2.0、3.0、4.5、5.8、6.8、8.0)およびバッファー溶液(pH9.0)を、ヨーロッパ薬局方8.8のチャプター4.1.3.1に従って調製した。リン酸緩衝化生理食塩水(Sigma-Aldrich、pH7.4)および食事摂取状態を模倣した腸液(FeSSIF)、絶食状態を模倣した腸液(FaSSIF)および絶食状態を模倣した胃液(FaSSGF)を、製造業者の指示に従って調製した。エタノール(Altia、ラヤマキ、フィンランド)およびオクタノール(YA Kemia、ヘルシンキ、フィンランド)をモデル有機溶媒として使用した。
【0134】
〔分析デバイスおよび実験設定〕
分析デバイスを、2つの平らな抵抗金属プレートからなるフローデバイスとして構築した。下側のプレートに、1mmの穴を出口チャンネルとしてドリルで開けた。上部の金属プレートは、入口チャンネルを収容しており、検出を容易にするためにガラスウィンドウを用いて準備された。0.2μmの無機膜フィルター(Whatman nuclepore)を底部プレートの上に配置し、分析される粒子を出口チャンネルの上にある膜フィルターの一部の上側に配置した。
【0135】
実験開始前に、この2つの金属プレートをきっちりと密閉した。流体として使用する溶媒を脱気し、全実験中、フローチャンバを流れる1ml/分の一定流速で圧送した(Agilent 1260 Infinity Quaternary Pump)。温度調整したカラムコンパートメント(Agilent 1200 Series)を通って液体を流すことによって、温度を調整した。ウィンドウを介し、Leica 50x(N Plan L50X/0.50-∞/0/C)対物レンズを取り付けたLeica DMLB顕微鏡で、8MP CMOS画像センサ(Gigastone、CA、USA)によって粒子を撮像した。
[物理化学因子の決定]
【0136】
〔溶解度〕
平衡溶解度Sは、再組織化された単一粒子拡散層モデルの溶解速度式に基づき、画像分析データから計算された。
ここで、ρは、粒子の密度であり、hは、拡散層の厚さであり、w
0は、粒子の初期重量であり、w
tは、時間tでの粒子の重量であり、Dは、拡散係数である。化合物の分子量と、結晶の真の密度に基づき、結晶体積の回転楕円体概算を用いて、結晶重量を計算した。Dは、Stokes-Einstein式の単純化された態様から概算された。
ここで、MWは、物質の分子量であり、hは、30μmであると概算された。全ての有機化合物および無機化合物の結晶密度は、文献から取得され、一方、組換えヒトインスリンの結晶密度は、タンパク質モノマーの部分的な比体積の逆数として取得された。
【0137】
較正曲線を作成するために、粒子の突出領域および半径の減少していく勾配に加えて、平衡溶解度値を、文献からの平衡溶解度値と比較した。突出領域は、ピクセルデータから直接的に取得され、半径は、等価な円概算値に基づいて計算された。
【0138】
モデル薬物であるインドメタシンのpKaは、平均固有溶解度値(pH2およびpH3)と、イオン化された形態の有効溶解度の線形フィッティング(
図2、追加の表4および5)の交差点から取得された。pKaおよびpHデータに基づき、理論的なpH依存性溶解度関数は、
に従って計算され、ここで、S
0は、イオン化していない形態の固有溶解度である。さらに、オクタノールおよび水の中での固有溶解度データに基づき、分配係数(logP)は、以下に従って決定され、
分布係数(logD)は、
に従って、logP、pHおよびpKa値から概算された。固有溶解速度は、粒子の表面積の概算および溶解速度に基づいて決定することができる。
【0139】
上述の記載は、本発明の特定の実施および実施形態の非限定的な例によって、本発明を実施するために本願発明者らによって現時点で想定される最良の態様の完全かつ有益な記載を与えている。しかし、本発明が、上に示した実施形態の詳細に限定されず、本発明の特徴から逸脱することなく、等価な手段を用いて、他の実施形態で実施することができることは、当業者には明らかである。
【0140】
さらに、本発明の上に開示した実施形態の特徴のいくつかを使用し、他の特徴の対応する使用を伴わずに、利点を有するだろう。このように、上述の記載は、本発明の原理の単なる説明であり、本発明を限定するものではないと考えるべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。