(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】有利にチャネル形成された吸収性コア構造体及び膨張低減機構を備える吸収性パンツ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/533 20060101AFI20220629BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220629BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20220629BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20220629BHJP
A61F 13/539 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61F13/533 100
A61F13/49 312Z
A61F13/49 413
A61F13/496 100
A61F13/51
A61F13/539
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019096052
(22)【出願日】2019-05-22
(62)【分割の表示】P 2017536570の分割
【原出願日】2016-01-05
【審査請求日】2019-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2015-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】西川 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】ゲアリー、ディーン、ラボン
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】稲葉 大紀
【審判官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-515981(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172565(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84,A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央横方向軸と、前記中央横方向軸に対して垂直の方向に延びる中央長手方向軸と、前側区域と、後側区域と、前記前側及び後側区域の間の股部区域と、
液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に少なくとも部分的に位置する吸収性構造体と、
を備えており、
前記吸収性構造体は、対向する横断方向縁部と長手方向縁部とを備える吸収性層を有しており、
前記吸収性層は、吸収性ポリマー粒子とセルロース繊維を備える吸収性材料を備えており、
前記吸収性材料は、一時的部分と恒久的部分とを備える少なくとも2つの長手方向に延在するチャネルを画定しており、前記一時的部分は湿潤時に寸法が縮小するとともに、
前記一時的部分は、前記少なくとも2つのチャネルの端部に配置され、
前記少なくとも2つのチャネルのうちの1つは、前記中央長手方向軸の第1サイドに配置されており、前記少なくとも2つのチャネルのうちのもう1つは、前記中央長手方向軸の第2サイドに配置されており、
前記吸収性層は、第1基材と、第2基材と、前記第1基材と前記第2基材との間に配置された吸収性ポリマー粒子とセルロース繊維を備える前記吸収性材料とを、備えており、
前記少なくとも2つのチャネルが、前記吸収性層に画定されており、前記第1基材は前記第2基材に固着されており、
前記吸収性層が湿潤すると、前記一時的部分が解放されて、前記第1基材が前記一時的部分の近傍の前記第2基材に固着されなくなり、
前記
少なくとも2つのチャネルは、
前記股部区域の長手方向寸法全体に延在する、
吸収性物品。
【請求項2】
前記少なくとも
2つのチャネルは、湾曲状である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記少なくとも
2つのチャネルは、直線状である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記少なくとも
2つのチャネルは、前記吸収性層の前記長手方向縁部又は前記横断方向縁部にまで延びていない、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記恒久的部分は、前記中央横方向軸に重なる、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記一時的部分は、乾燥状態における前記チャネルの長さの10%から25%である、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記一時的部分は、前記後側区域に配置される、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品は、再締結可能である、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性物品は、恒久的サイドシームを備えるパンツである、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
市場の占有率を維持する又は成長させるために、使い捨ておむつ及び吸収性パンツなどの使い捨て吸収性物品の製造業者は、収容性、吸収性、快適さ、フィット感、及び外観などの態様に影響を及ぼす、材料、構成要素、及び形態に改善を発見し、開発し続けなければならない。吸収性パンツは、例えば、低年齢小児用のプルオンおむつ及びトイレトレーニングパンツとして用いる場合はより小さなサイズで、また、例えば、尿失禁を患う成人又は高年齢小児などの個人用下着として用いる場合はより大きなサイズで製造される。一部の用途では、消費者及び/又は着用者は、着用時に物品が普通の下着と似た外観及び感触を有することを好む場合がある。
【0002】
現在販売されている吸収性パンツのデザインの特定のタイプは、「バルーン」パンツと呼ばれることがある。バルーンパンツのデザインは、通常、吸収性コアを含む中央吸収性シャーシ、及び弾性ベルトを含む。弾性ベルトは、通常、比較的幅が広く(長手方向に)及び横方向に弾性的に伸縮性がある。それは完全に着用者の腰部を取り囲み、それによって、着用者の皮膚の比較的広い領域を覆い、更にパンツの目視できる外側表面の比較的大きな部分を占める。ベルトは多くの場合、エラストマー材料の横方向に配向された複数のストランド若しくはストリップ、又はエラストマーフィルム、エラストマースクリム、若しくはエラストマー不織布の切片などの、1つ又は2つ以上の弾性部材を挟む2つの層の不織布ウェブにより形成される。こうした設計では、製造時に、弾性部材が歪み状態で不織布ウェブの層の間に挟まれているのが一般的である。
【0003】
中央シャーシ部分の一部である吸収性コア構造体は、滲出物の収容及び吸収、のみならず、着用時の物品の快適性、フィット感、及び外観においても重要な役割を果たす。近年、吸収性コアの設計は、比較的高い吸収性ポリマー粒子の重量比、及び低い吸収性繊維(例えば、セルロース繊維)の比を有して、従来の吸収性コア設計よりも薄い構造をもたらし、かつ乾燥時に嵩高がより低く、より密接にフィットする(例えば、より下着様に)製品の製造を可能にする構造へと進歩している。しかしながら、後者の構造は、液体捕捉速度が遅くなる場合があり、また、これらの吸収性ポリマー粒子の比率がより大きいために、湿潤時に垂れ下がり、嵩高となり、かつゼラチン状になる場合がある。これらの問題に対処するために、長手方向に配向されたチャネルを含む吸収性構造体が開発されてきた。適切に配置かつ構造を付与された長手方向チャネルは、吸収性コアの長さに沿った吸収性ポリマー粒子の堆積物に沿う液体の分配に役立ち、それにより捕捉速度の改善に役立ち得る。これらは更に、物品の股部区域全体に、チャネル間の湿潤吸収性ポリマー粒子堆積物内の圧力から生じる長手方向の構造的剛性を提供することによって、物品が湿潤時に垂れ下がって嵩高な外観となる可能性を低減させるのにも役立ち得る。
【0004】
しかしながら、この構造的剛性は、外観、フィット感、及び/又は快適性に対し望ましくない効果を有する場合があることが判明している。具体的には、長手方向の構造的剛性によって、吸収性コアの前側及び/又は後側区域が、着用者の身体の前側及び/又は後側から外向きに膨張する傾向が生じ、その結果、見苦しい外観が作り出され、かつ快適性に悪影響を与え得る嵩高な突出部がもたらされるおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
かくして、パンツの乾燥時、及びパンツの湿潤後の両方において、様々な進歩の利点を具現化さながらもこれらの機構の悪影響を緩和させる、吸収性パンツの設計における改善の余地が引き続き存在する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面では、同じ機構は実施例の様々な図及び描写の全体を通して一貫した番号が付けられている。
【
図2A】着用者に面する表面を閲覧者に面した、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の、バルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図2B】着用者に面する表面を閲覧者に面した、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の、バルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図2C】着用者に面する表面を閲覧者に面した、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の、バルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図3】ベルト部分の構成要素の概略分解透視図である。
【
図5】
図4に示したベルト部分の領域の概略横断面図である。
【
図7】吸収された液体で充填された一構成で示される、パンツの概略側面図である。
【
図8】非限定的な一実施例による、2つの長手方向主チャネルを備える吸収性層を含む吸収性構造体の概略斜視図である。
【
図9】非限定的な一実施例による、4つの長手方向主チャネルを備える吸収性層の概略斜視図である。
【
図10A】非限定的な一実施例による、4つの長手方向主チャネルを備える吸収性層を含む吸収性構造体の概略上面/平面図である。
【
図11A】様々な非限定的実施例による、チャネル構成の概略平面図である。
【
図11B】様々な非限定的実施例による、チャネル構成の概略平面図である。
【
図11C】様々な非限定的実施例による、チャネル構成の概略平面図である。
【
図11D】様々な非限定的実施例による、チャネル構成の概略平面図である。
【
図11E】様々な非限定的実施例による、チャネル構成の概略平面図である。
【
図12】非限定的な一実施例による、股部区域に2つの長手方向主チャネル、及び前側区域に2つの二次チャネルを含む吸収性層の概略斜視図である。
【
図13】非限定的な一実施例による、股部区域に2つの長手方向主チャネル、前側区域に2つの二次チャネル、及び後側区域に2つの二次チャネルを含む吸収性層の概略斜視図である。
【
図14】非限定的な一実施例による、股部区域に2つの長手方向主チャネル、及び前側及び後側に2つの二次チャネルを含む吸収性層を備える吸収性構造体の概略上面/平面図である。
【
図15A】非限定的な一実施例による、長手方向チャネルを備える吸収性構造体の概略横断面図である。
【
図15B】非限定的な一実施例による、吸収性構造体の概略横断面図である。
【
図16A】着用者に面する表面を閲覧者に面し、長手方向主チャネルの一構成を備えて示す、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前のバルーンパンツ前駆構造体の非限定的実施例の概略平面図である。
【
図16B】着用者に面する表面を閲覧者に面し、長手方向主チャネルの一構成を備えて示される、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の別のバルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図16C】着用者に面する表面を閲覧者に面し、長手方向主チャネルの別の構成を備えて示される、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の別のバルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図17】着用者に面する表面を閲覧者に面し、長手方向主チャネル及び二次チャネルの別の構成を備えて示される、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の別のバルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図18】着用者に面する表面を閲覧者に面し、長手方向主チャネル及び二次チャネルの別の構成を備えて示される、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の別のバルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図19】着用者に面する表面を閲覧者に面し、長手方向主チャネル及び二次チャネルの別の構成を備えて示される、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前の別のバルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【
図20】衣類に面する表面を閲覧者に面し、長手方向主チャネル並びに前側及び後側ベルト部分の非弾性帯の構成を備えて示される、サイドシームの位置で前側及び後側ベルト部分を接合する前のバルーンパンツ前駆構造体の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用する時、「吸収性コア」は、吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置される、吸収性物品の構成要素を指す。吸収性物品の吸収性コアは、1つ又は2つ以上の吸収性構造体と、任意で、例えばカバー層などの更なる層と、を含み得る。
【0008】
本明細書で使用する時、「吸収性ポリマー粒子」とは、遠心分離保持能試験(EDANA441.2-01)を用いて測定した場合に、それらの重量の少なくとも10倍の、脱イオン水中0.9%食塩溶液を吸収することができる、実質的に非水溶性のポリマー粒子を指す。
【0009】
本明細書で使用する時、「吸収性構造体」とは、尿などの液体を吸収及び収容するために有用な三次元構造体を指す。本明細書で更に説明されるように、吸収性構造体は、吸収性物品の吸収性コアであってもよく、あるいは吸収性物品の吸収性コアの一部分、即ち吸収性コアの吸収性構成要素であってもよい。
【0010】
本明細書で使用する時、用語「坪量」は、例えば、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表される、平坦な表面に敷かれた時に材料が占有する、単位表面積あたりの材料の質量、例えば、支持基材の単位表面積あたりの吸収性ポリマー粒子の質量を指す。
【0011】
図2A~2Cを参照すると、パンツの「股部区域」とは、横方向軸(本明細書では「軸X」と称する)がそれを貫いて通過し、また、横方向軸の前方及び後方でパンツの全長の1/6を長手方向に延在する部分である。したがって、前側区域はパンツの全長の前側の1/3を含み、股部区域はパンツの長さの中央の1/3を含み、後側区域はパンツの全長の後側の1/3を含む。
【0012】
本明細書で使用する時、「おむつ」とは、身体から排出される様々な排泄物を吸収及び収容するために着用者の皮膚に対して着装されることを意図する装置を指す。おむつは、一般に、着用者の腰及び脚を取り囲むように、乳幼児及び尿失禁者により胴体下部の周囲に着装される。おむつの例としては、乳児又は成人用おむつ、並びにトレーニングパンツ及び成人用失禁パンツなどの使い捨て吸収性パンツが挙げられる。
【0013】
本明細書では、「使い捨て」とは、一般に洗濯又はその他の方法で洗浄、復旧、又は再利用されるように構成されていない物品を説明するのに用いられる(即ち、これらは1回使用してから廃棄するのに十分なだけの耐久性を持つようにのみ構成されており、また、再利用、堆肥化、又はその他の方法で処分してもよい)。
【0014】
本発明の説明全体を通して、付勢力が材料に加えられると、その材料又は複合材に実質的に損害を与える破裂又は破損を起こすことなく、その材料又は複合材がその元の弛緩時長さの少なくとも150%の伸長長さまで伸張することができ(即ち少なくとも50%伸張可能)、かつ、その力が材料又は複合材から取り除かれると、その材料又は複合材がかかる伸長の少なくとも40%を回復する場合、材料又は材料の複合体は、「弾性」又は「エラストマー性」であるとみなされる。様々な例において、弾性的伸展性材料から力が取り除かれると、材料又は複合体は、その伸長の少なくとも60%、又は少なくとも80%を回復し得る。
【0015】
弾性ストランドに付与されるその長手方向軸方向の歪の量を定量化して表すために本明細書で用いられる「伸長」は、[(ストランドの歪みを加えられた長さ-歪みを加える前のストランドの長さ)/(歪みを加える前のストランドの長さ)]×100%を意味する。用語「予歪み」は、ベルト構造体又はパンツの製造中に弾性ストランドに付与された伸長を指して用いられ、同様に表す伸長を指す。
【0016】
「フィルム」は、1種以上のポリマーで構成される巨視的に連続性の皮膚様又は膜様層の材料を意味する。「フィルム」は、「不織布ウェブ」又は「不織布」とは区別され、後者は、固結されているが大部分は個々に独立した繊維のウェブ状構造からなる形状を有する。
【0017】
本明細書で使用する時、「ホットメルト接着剤」は、Alphonsus V.Pociusによる「Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction」(Hanser publishers Munich,1997)に記載されている説明と一致する接着剤を指す。そこでは、ホットメルトは、溶解物から適用され、凝固で強度を得る接着剤として定義されている。
【0018】
パンツ及びその着用者に対する「横方向」とは、着用者の身長に対してほぼ垂直の方向、即ち着用者が起立している時の水平方向を指す。「横方向」及び「横断方向」(及びこれらの形態)は、更に、長手方向に対して垂直の方向も指す。それが示されている本明細書の特定の図に関して、x軸は横方向及び/又は横断方向に沿って位置している。
【0019】
パンツ及びその着用者に対する「長手方向」とは、着用者の身長に対してほぼ平行の方向、即ち着用者が起立している時の垂直方向を指す。「長手方向」は、パンツ構造体を側部/股関節部のシームで分離し、折りたたまれたものを展開し、伸展させ、平たく広げる時、脚部開口部間の前側腰部縁部の中間点からパンツの後側腰部縁部の中間点まで伸展する線とほぼ平行の方向でもある。それが示されている本明細書の特定の図に関して、y軸は長手方向に沿って位置している。
【0020】
機構を説明するために用いられる「長手方向に配向される」とは、機構の最大寸法が、その横方向のベクトル成分よりも大きい長手方向のベクトル成分を有することを意味する。反対に「横方向に配向される」とは、機構の最大寸法が、その長手方向のベクトル成分よりも大きい横方向のベクトル成分を有することを意味する。
【0021】
パンツに関して、「下方」、「最下」、「上方」、「下部」、「底部」などの相対的な位置を表す用語及びこれらの形態は、起立している着用者によって着用される時に、垂直方向に沿ったパンツ構造体の垂直方向の最下部範囲(股部区域の)及び最上部範囲(腰部縁部の)に対して表現される。パンツの前駆構造体に関して、最下部分は横方向軸(図に示す軸x)に位置し、最上部分は腰部縁部に位置する。
【0022】
「不織布」は、最初に可動面(コンベヤーベルトなど)の上に付着かつ蓄積され、次いで摩擦、凝集、粘着、あるいは局所圧縮及び/又は圧力、熱、超音波若しくは熱エネルギー若しくはこれらの組み合わせの印加によって作られる1つ以上の接着パターン及び接着インプレッションによって共に固結かつ接着される、一方向に又はランダムに配向した繊維の製造シート又はウェブである。この用語は、糸若しくはフィラメントで織られるか、編まれるか、又は縫い合わされた布地を含まない。繊維は、天然及び/若しくは人造のものであってもよく、ステープル及び/若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満~約0.2mmを上回る範囲の直径を有しており、いくつかの異なる形態、即ち、短繊維(ステープル又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、撚り合わせていない連続フィラメントの束(タウ糸)、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)として提供されている。当該技術分野で既知の通り、不織布は、短繊維を用いたメルトブロー、スパンボンド、スパンメルト、溶剤紡糸、電界紡糸、カーディング、フィルムフィブリル化、メルトフィルムフィブリル化、エアレイイング、ドライレイイング、ウェットレイイング、及びこれらのプロセスの組み合わせを含む多くのプロセスによって形成することができるが、これらに限定されない。不織布の坪量は、通常、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表す。
【0023】
本明細書で使用する時、「パンツ」とは、腰部開口部と、脚部開口部と、少なくとも股部区域の吸収性構造体と、を有しており、乳児、小児、又は成人の着用者による着用に適した使い捨て吸収性衣類を指す。パンツは、着用者の足部を腰部開口部内に挿入してから脚部開口部内に挿入して、続いてパンツを着用者の脚部を通して着用者の胴体下部周囲の位置まで引き上げることによって、着用者上の適切な位置に配置することができる。パンツは、任意の好適な技術によって予備形成されてもよく、その例としては、再締結可能及び/又は再締結不可能な結合(例えば、シーム、溶接、接着剤、凝集結合、締結具など)を使用して、物品の一部を一体に接合することが挙げられるが、これらに限定されない。パンツは、物品の外周に沿った任意の位置で予備形成することができる(例えば、側面締着、前側腰部締着)。
【0024】
以下の説明では、着用時に着用者に面する着用型吸収性物品、又はその構成要素の表面を「着用者に面する表面」と称する。反対に、着用者の反対側を向く表面は、「衣類に面する表面」と称する。したがって、着用型吸収性物品、及びそのシート又はウェブ構成要素のすべてが、着用者に面する表面及び衣類に面する表面を有する。
【0025】
ウェブに関して「z方向」とは、機械方向及び横断方向寸法に沿ってウェブにより近似される平面に対して、一般に直交又は垂直であることを意味する。
【0026】
本発明の構造体の例は、バルーン型吸収性パンツのベルトを形成するために用いられるものとして本明細書で説明されているが、本例は、吸収性パンツ、おむつ、及び他の着用型物品(その使い捨て形態を含む)、並びに他の製品の他の構成要素を形成するために用いてもよいことが理解されるであろう。
【0027】
図1は、バルーンタイプの吸収性パンツ10の一例を図示する。
図2A~2Cは、平らに広げられて、弾性によって生じる収縮に対して横方向に延伸し、着用者に面する表面を閲覧者に面した、前側ベルト部分22と後側ベルト部分23とがシーム24の位置で接合される最終アセンブリ前の開放構造にあるパンツの前駆構造体の例を示す。パンツ10を形成するために、前駆構造体を横方向軸x(前駆構造体の長手方向の中間点に位置する)又はその周辺でトップシート33を内側に向けて折りたたんでもよく、前側22及び後側23ベルト部分の長手方向縁部がシーム24の位置で接合され、脚部開口部15、前側腰部縁部34、及び後側腰部縁部35を有するパンツ構造体を形成することができる。
【0028】
パンツ構造体は、ベルト20及び中央シャーシ30を含んでよい。中央シャーシ30は、液体不透過性ウェブ材料の少なくとも一部内に形成される液体不透過性バックシート31、液体透過性トップシート33、吸収性コア構造体(後述)、及び伸縮性バリアーカフ32が挙げられるが、これらに限定されない、使い捨ておむつ及び吸収性パンツの吸収性構造体内で見出される構成要素の任意の組み合わせを含んでもよい。中央シャーシの構成要素及び構成の例及び説明は、米国特許出願公開第2013/0211355号、及び本明細書で引用されるその他の参考文献において、本明細書と矛盾しない範囲で見出すことができ、これらで説明されるシャーシは、中央シャーシ30に含まれ得る構成要素及び機構を含む。
図1に示す例において、ベルトの前側部分20は、下縁部21で、パンツの股部区域12のショートを止める。中央シャーシ30は、前側及び後側ベルト部分22、23の上に、これらの内面(着用者に面する側)に対して覆い被さってよい。中央シャーシ30の外周41は、液体不透過性ウェブ材料の外周によって画定されてよい。
【0029】
図2A及び2Bで示す例では、前側及び後側ベルト部分22、23は、パンツの前側及び後側区域を形成する最外部の構造体であり得る。
図2Cに示す(
図16Bにも示す)例では、パンツは、前側、股部、及び後側区域を完全に包み込んで、最外部のパンツ状に成形/外形決めされた構造体を形成する、外側ラップ19を含み得る。前側及び後側ベルト部分22、23を形成するための追加的な層及び弾性部材を外側ラップ19の内側に配置して、接着剤積層、ボンディング、又は任意の他の好適な機構によってそれに適切に固着させてもよい。外側ラップ19は、不織布ウェブの1つ又は2つ以上の切片から形成されてもよく、
図2Cに示されるように、必要に応じて、適切に調整された脚部開口部縁部の外形を提供する外形に切断してもよい。
【0030】
図3~5を参照して、前側及び後側ベルト部分22、23のうちの片方は又は両方とも、内部層及び外部層をそれぞれ形成する不織布ウェブ層25a、25bから形成されてよい。本発明において有用であり得る好適な不織布ウェブ材料は、これらに限定されないが、スパンボンド、スパンレイド、メルトブロー、スパンメルト、溶剤紡糸、電界紡糸、カーディング、フィルムフィブリル化、メルトフィルムフィブリル化、エアレイイング、ドライレイイング、ウェットレイイングを施した短繊維、及び当該技術分野において既知の、部分的又は全体的なポリマー繊維で形成された他の不織布ウェブ材料も含む。不織布ウェブは、主にポリマー繊維で形成され得る。いくつかの例において、好適な不織布繊維材料には、これらに限定されないが、ポリマー材料、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、又は具体的にはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び/又はこれらのブレンドを挙げることができる。いくつかの例において、繊維は、米国特許第5,266,392号に記載されるようなPP/PEブレンドで形成されていてもよい。不織繊維は、添加剤又は修飾物質として、脂肪族ポリエステル、熱可塑性ポリサッカライド、又は他のバイオポリマーなどの成分で形成されてよい、又はこれらを含んでよい。更なる有用な不織布、繊維組成物、繊維及び不織布の形成物、並びに関連する方法は、米国特許第6,645,569号、同第6,863,933号、及び同第7,112,621号、並びに米国特許出願第10/338,603号、同第10/338,610号、及び同第13/005,237号で説明されている。
【0031】
不織布層25a及び25bが形成される個々の繊維は、単一成分であっても多成分(2成分を含む)であってもよい。多成分繊維は、例えば、コア/シース又は並列配列などの、異なるポリマー成分を備える2成分であってもよい。個々の成分としては、ポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのポリオレフィン類若しくはこれらのコポリマー、又はポリエステル、熱可塑性ポリサッカライド、又は他のバイオポリマーが挙げられ得る。
【0032】
一例によれば、不織布は、外部圧力が加えられてから取り除かれた時に良好な回復をもたらす材料を含んでもよい。更に一例によれば、不織布は、例えば、上述のポリマー繊維の種類から選択される、異なる繊維のブレンドを含んでもよい。いくつかの例では、繊維の少なくとも一部分は、螺旋形状を有するスパイラル捲縮を示してもよい。一例によれば、繊維は、各々が異なる材料、通常は第1及び第2のポリマー材料を含む個別の繊維である、2成分繊維を含んでもよい。並列2成分繊維の使用は、繊維にスパイラル捲縮を付与するのに有益であると考えられている。これらから形成された、好適となる可能性のある捲縮又は「クリンプ」された2成分繊維及び不織布の例は、米国特許第5,382,400号、同第5,418,045号、同第5,707,468号、同第6,454,989号、同第6,632,386号、同第5,622,772号、及び同第7,291,239号に記載される。本明細書の目的のために、例えば、上記の特許文献及び/又は特許出願文献に記載されるようなクリンプされた2成分又は多成分繊維から形成された不織布の使用は、ベルト部分の形成に用いられる層25a、25bの一方又は両方として望ましい場合があるが、それは、以下に記述するように、これらの感触が特に柔らかく(内側は着用者にとって快適となり、外側は審美的に快い印象になる)、かつ、概して柔軟性に富んで、そのために下方後側脚部縁部で横方向に容易に引っ張れるからである。
【0033】
図3~5を参照すると、不織ウェブ層25a、25bは、複数の弾性ストランド26などの1つ又は2つ以上の弾性部材を挟むことができる。弾性ストランドは、エラステーンなどのエラストマー材料(例えば、Invista(Wichita,Kansas)製のLYCRA HYFIT繊維)から形成され得る。不織ウェブ層25a、25bは、層間に付着した接着剤によって、熱結合によって、加圧結合によって、又はこれらの組み合わせによって、弾性ストランド26周りで一緒に接合してよい。他の例において、1つ以上の弾性部材は、エラストマー材料により形成されたフィルムのストリップ又は切片でもよい。弾性部材が細長い場合、ストランド26が図に示されるように、より長い寸法が横方向に配向される、あるいは更には横方向と実質的に整列されることが望ましい場合がある。
【0034】
弾性部材は、ゴム、スチレン-エチルブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、ポリオレフィンエラストマー、エラストマーポリウレタン、及び当該技術分野において既知の他のエラストマー材料、並びにこれらの組み合わせなど、様々なその他の材料からでも形成され得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、弾性部材は、任意の数のストランド(又はフィラメント)を有する押出ストランド弾性体であってもよい。弾性部材は、50~2000の範囲のデシテックス、若しくはこの範囲の任意のデシテックス値に関する任意の整数値、又はこれらの整数値のいずれかによって形成される任意の範囲を有し得る。弾性部材は、フィルム形態であってもよい。フィルムの例は、先行特許出願に記載されている(例えば、米国特許出願公開第2010/0040826号を参照されたい)。フィルムは、複数の副層の少なくとも1つに化合される様々な樹脂により作成することができ、副層が異なる利点をフィルムへ提供する。
【0035】
図3~5を更に参照すると、ベルト構造体の製造中、弾性ストランド26などの弾性部材は、ベルト構造体に組み込まれるために、長手方向に所望の量の予歪みを加えられてもよい。続いてベルトを弛緩させた時、弾性ストランド26などの弾性部材は、その緩んだ長さに向かって横方向に収縮する。これは、不織材料の層25a、25bにギャザーを付け、隆起28及びくぼみ29を有するひだ又はしわ27を形成するが、これらは一般に弾性ストランド26の長さに対して横断し、z方向に延在する。
【0036】
別の例では、ベルト積層体の構成要素を接着するために、ベルト積層体中に組み込む前に、弾性ストランド26自体が、個別に接着剤で被覆されていてよい(「被覆ストランド」)。ストランドコーティング法及び技術を含む様々なコーティング法及び技術が、例えば、米国特許第5,340,648号、同第5,501,756号、同第5,507,909号、同第6,077,375号、同第6,200,635号、同第6,235,137号、同第6,361,634号、同第6,561,430号、同第6,520,237号、同第6,582,518号、同第6,610,161号、同第6,613,146号、同第6,652,693号、同第6,719,846号、及び同第6,737,102号に示されている。使用する接着剤は、予歪みが付与された弾性材料を基材に取り付けるために適合させる、弾性及びたわみ性を有するホットメルト型接着剤、例えば、Bostik,Inc.(Wauwatosa,Wisconsin)から入手可能なOMNIMELT BLOCKS 22H2401F又はAVANCEなどのZEROCREEPであってよい。
【0037】
図2Aを参照すると、後側ベルト部分23は、前側ベルト部分22よりも大きな長手方向寸法(即ち、より長い長さ)を有し得る。これは、着用者の解剖学的構造及び自然な身体の動きとより良好に順応することを介して、前側でより優れた快適性を提供しながらも、後側で着用者の殿部領域をより広範に被覆する上で役立ち得る。しかしながら、
図2Aの例では、2つの部分22、23が、これらに対応する腰部縁部34、35を実質的に整列させて、サイドシームの位置で接合される時、後側脚部縁部18は、前側脚部縁部よりも下に位置して、シームの位置において段階的な脚部縁部の外形を形成する。望ましくないとみなされる場合は、例えば米国特許出願第62/042387号で示されかつ説明されるように、弾性部材間の予歪みのレベルを選択、配置、及び/又は変化させ、後側ベルト部分の下方後側角部を、長手方向軸yに向けて横方向に内向きに引っ張ることによってこの効果を緩和させてもよい。こうした実施で起こり得る望ましい結果を、
図6Aに概略的に示す。
【0038】
あるいは、
図2B及び6Bに示されるように、後側ベルト部分の下方後側角部を切り落としてもよい。下方後側角部は、
図2B及び6Bに示されるよう直線に沿って切り落としてもよく、あるいは、所望され得るように、湾曲し、かつ後側ベルト部分23の残部領域に対して凹状又は凸状のいずれかである切り落とし経路(図示せず)に沿って切り落として、特定の湾曲した後側脚部縁部外形を付与してもよい。上記のこうした切り落とし及び弾性ストランドの構成と共に、後側ベルト部分23の縁部18に沿った層25aと25bとの間に結合40を付与することが望ましい場合がある。このような結合部は、不揃いの外観を作り出すことに寄与し得る縁部18に沿った層の分離を一切防止する役割を果たし得、また更に、シーム24下の弾性ストランドの収縮力の下で後側ベルト部分を中央シャーシ30に向かって効率的に横方向の内側に引き寄せるのにも役立ち得る。結合40は、例えば、米国特許第4,854,984号、及び同第4,919,738号に記載されるように、機械的結合/加圧結合により、熱接着若しくは溶接により、又は接着剤を層25aと25bとの間の堆積物によって達成され得る。
図2Bで示されるように、このような結合は、縁部18に沿ってパターンを形成し得る。このような結合は、概して後側ベルト部分23を積層構造体としてまとめる層25aと25bとの間の任意の結合の捕捉であってよい。
【0039】
サイドシーム24は、恒久的であっても再締結可能であってもよい。恒久的シームは、任意の結合機構によって前側ベルト部分と後側ベルト部分との間に形成でき、前側及び後側ベルト部分は、前側及び後側ベルト部分の一方又は両方に実質的な損傷を与えることなしに、あるいは実質的な再取付又は再締結が実施可能な任意の内蔵機構なしに、強制的に分離することはできない。恒久的シームを形成する結合としては、加圧結合、熱結合/溶接、超音波結合、又は接着剤結合が挙げられ得る。再締結可能シームは、前側及び後側ベルト部分の実質的に非破壊性の強制的分離、及び続く同じ位置での実質的な再取付又は再締結を可能にするように構成された任意の機構によって、前側ベルト部分と後側ベルト部分との間に形成され得る。このような機構の一例は、マジックテープシステム、例えば、VELCRO締結システムである。好適に寸法決め及び形状決めされたフック構成要素は、その長手方向縁部に沿って前側又は後側ベルト部分のうちの一方に結合することができ、好適に寸法決め及び形状決めされたループ構成要素は、その長手方向縁部に沿って前側又は後側ベルト部分のもう一方に結合することができ、これらの位置は、これらが接合及び係合してシーム24を形成し得る位置である。例は、米国特許出願第61/787,416号、同第61/787,332号、同第61/666,065号に示されている。
【0040】
吸収性構造体
吸収性構造体115は、基材層116と、前記基材層116によって支持され、その上で不動化された吸収性ポリマー粒子及び任意選択的なセルロースを含む吸収性層117と、を含む三次元構造体である。吸収性構造体115の例を、
図8、10A、10B、14、15A、及び15Bに示す。
【0041】
吸収性構造体の基材層116は、吸収性ポリマー粒子を支持可能な任意の材料であってよい。これは、発泡体、フィルム、織布及び/又は不織布材料などのウェブ又はシート材料であってもよい。
【0042】
不織布材料及びその製造方法は、当該技術分野で一般に既知である。一般に、不織布材料の製造方法は、繊維を所望の坪量まで形成表面上に堆積及び蓄積する工程と、蓄積した繊維を凝固及び結合してコヒーレントウェブを形成する工程と、の2つの工程を含む。第1の工程は、スパンレイイング、メルトブロー、カーディング、エアレイイング、ウェットレイイング、コフォーム、及びこれらの組み合わせを含み得る。結合工程は、水流交絡、コールドカレンダー、ホットカレンダー、通風熱結合、化学結合、ニードルパンチング、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0043】
不織布材料は積層体であってもよい。積層体は、スパンボンド層(S)、及び/又はメルトブローン層(M)、及び/又はカード層(C)を含み得る。好適な積層体としては、SS、SSS、SMS、又はSMMSが挙げられるが、これらに限定されない。不織布材料は、約5~100gsm、約8~40gsm、又は約8~30gsmの坪量を有し得る。織布又は不織布材料は、天然繊維、若しくは合成繊維、又はこれらの組み合わせを含み得る。基材層116、及び吸収性層117は同一の広がりを有してもよく、あるいは基材層116は、吸収性層117よりもわずかに長く、かつ広くてもよい(
図8、10A、10B、14、及び15に示す通り)。
【0044】
吸収性層117は、吸収性ポリマー粒子150、及び任意によりセルロースを含み得る。吸収性層は、吸収性ポリマー繊維などのその他の形態で吸収性ポリマーを含んでもよい。吸収性ポリマー粒子については下記でより詳細に説明する。吸収性ポリマー粒子は、単独又は他の材料と組み合わせて使用され得る。いくつかの例では、吸収性層は、セルロースと組み合わされた、吸収性ポリマー粒子を含む。本明細書で使用する時、「セルロース」は、繊維形態の粉砕木材パルプを指し、当該技術分野においては「エアフェルト」と称される場合もある。いくつかの例では、吸収性層は、70重量%超、80重量%超、90重量%超、95重量%超、又は更に100重量%の吸収性ポリマー粒子を含む。いくつかのその他の例では、吸収性層は、吸収性ポリマー粒子、及び5重量%未満のセルロース、又は2重量%未満のセルロースを含み、あるいは更にはセルロースを実質的に含まない。吸収性層がセルロースを含まない例では、吸収性層中の唯一の吸収性材料は、吸収性ポリマー(粒子、繊維など)である。得られる吸収性構造体は、セルロース繊維を含む従来の吸収性構造体と比較して、乾燥状態でより薄い厚さを有する。薄い厚さは、着用者に対する吸収性物品のフィット感及び快適性を改善するのを助ける。
【0045】
吸収性層117は、少なくとも2つの主チャネル126を含み得る。
図2A、
図2B、及び8~14を参照すると、本明細書で使用する時「チャネル」とは、吸収性層の吸収性ポリマー粒子の堆積物を通り、吸収性層117のz方向厚さを部分的又は完全に貫いて延在し、かつ、吸収性構造体によって占有される空間において、吸収性ポリマー粒子の単位空間体積密度あたりの質量が比較的少ない領域によって、又は更には吸収性ポリマー粒子が実質的に存在しない領域(即ち、吸収性構造体のこうした体積(長手方向チャネル又は二次チャネル)内に吸収性ポリマー粒子が実質的に存在しない領域)によって、特性化される、トラフ又はその他の識別可能な細長い通路を指す。チャネルは、その端部に2つのより短い境界128(最短寸法の)と、これらの側部に沿ってより短い境界を接続する2つのより長い境界127(最長寸法の)と、を有し得る。より短い境界は真っ直ぐ(例えば、より長い境界に対して垂直)であっても、角度を付けられていても、湾曲していてもよい。チャネルは、少なくとも3mmの、又は吸収性層の横断方向幅Nの少なくとも4%の、平均幅Wを有し得る(チャネルの平均幅は、より長い境界間の平均距離として画定される)。
【0046】
チャネルは恒久的であってよい。恒久的とは、チャネルの完全性が、乾燥状態と湿潤状態の両方で実質的に維持される、即ち、チャネルが濡れの影響に対して実質的に耐久性があり(例えば、非水溶性の材料によって構造が維持される)、かつ、吸収性ポリマー粒子の膨化、それによって生じる構造体内の圧力、及び着用者の身体の動きによって引き起こされる材料内の機械的応力に実質的に耐えることを意味する。恒久的なチャネルは、吸収性層上に熱可塑性接着剤を塗布することなどによって、基材層上で吸収性ポリマー粒子を不動化することにより形成され得る。本開示の吸収性層は、第1の基材層(116)と第2の基材層(116’)とをチャネルに沿って恒久的に一体に結合することによって形成される恒久的なチャネルを更に含み得、それにより、一実施例では、吸収性ポリマー粒子堆積物を隔離及び収容して、それによって、それを貫くチャネルを画定するチャンバを形成する。基材層116、116’をチャネルに沿って一体に結合するために接着剤を用いてもよいが、例えば、超音波結合、加圧結合、又は熱結合などのその他の手段を介して基材層を一体に結合してもよい。支持層は、チャネルに沿って連続的に結合してもよく、又は断続的に結合してもよい。
【0047】
吸収性層は、チャネルによって吸収性層が股部区域123で3つの区画に分割されるように、吸収性層117内に位置決めされた2つのチャネル126を有し得る。
図2A、2B、及び8~10に示されるように、チャネルは吸収性層の股部区域内に存在し得る。いくつかの例では、2つのチャネルは、吸収性層の長さMの少なくとも15%、少なくとも20%、又は少なくとも30%、かつ最大で50%、最大で70%、又は最大で90%に沿って長手方向に延在し得る(即ち、これらは吸収性層の長さMの少なくとも15%であって最大で50%、最大で70%、又は最大で90%である距離L上に延在し得る)。いくつかの例では、チャネルは股部区域123にのみ存在し得る。股部区域にのみ存在する場合、チャネルは股部区域の長手方向寸法全体(例えば、吸収性層の長さMの50%)に延在し得、あるいは、これらは股部区域の一部のみ(即ち、吸収性層の長さの少なくとも15%、少なくとも20%、又は少なくとも30%~40%、~45%、又は~50%未満)に延在し得る。いくつかの例では、チャネル126は、股部区域又はその一部、並びに前側区域の一部及び/又は後側区域の一部(
図8~10に示されるものなど)に存在し得る。いくつかの例では、チャネルは前側及び股部区域に存在してもよい(即ち、チャネルは股部区域(又はその一部)から前側区域内に延在する)。いくつかの例では、チャネルは後側及び股部区域に存在してもよい(即ち、チャネルは股部区域(又はその一部)から後側区域内に延在する)。チャネル126は、吸収性層117の長手方向軸yに対して互いに鏡像であってもよく、即ち、吸収性層117の一方の長手方向区域120におけるチャネルは、もう一方の長手方向区域における長手方向主チャネルの鏡像であってもよい。
【0048】
いくつかの例では、チャネル126が吸収性層117の横断方向縁部119(前側及び後側)の一方又は両方に完全に(即ち、一方の横断方向縁部から他方の横断方向縁部まで)延在しないことが望ましい場合がある。吸収性層は、各横断方向縁部に沿って、かつ前記縁部に隣接して、吸収性層の横断方向寸法を、吸収性層117の一方の長手方向縁部118からもう一方まで延在する、チャネルを有さない吸収性ポリマー粒子の端部堆積物(end deposit)を含み得る。こうした端部堆積物はそれぞれ、吸収性層の長手方向寸法の少なくとも5%(即ち、吸収性層の長さの少なくとも5%の幅)である、幅F’又はG’を有し得る。換言すれば、吸収性層のチャネルの縁部と横断方向縁部との間の最小距離F’又はG’は、吸収性層の長手方向寸法Mの少なくとも5%である。いくつかの例では、幅F’又はG’は、吸収性層の長手方向寸法の少なくとも5%~15%、又は~10%である。
【0049】
更に、流体の漏れ及び流出のリスクを低減するために、チャネルが、吸収性層117の長手方向縁部118まで延在しないことが望ましい場合がある。吸収性層は、各長手方向縁部に沿って、吸収性層の長さMを一方の横断方向縁部119からもう一方まで延在する、チャネルを有さない吸収性ポリマー粒子の側部堆積物を含んでもよい。こうした側部堆積物は、それぞれ所定の区域の吸収性層の幅Nの少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも12%~25%の幅I’又はH’(即ち、吸収性層の幅Nの少なくとも5%である、幅I’又はH’)を有し得る。換言すると、チャネルの縁部と、吸収性層の長手方向縁部118と、の間の最小距離I’又はH’は、吸収性層の横断方向寸法の少なくとも5%~25%である。例えば、股部区域の距離I’又はH’は、前記股部区域の吸収性層の横断方向寸法Nの少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも12%に相当し得る。いくつかの例では、距離I’及び/又はH’は、10mm、又は15mm、又は20mmである。
【0050】
チャネルは実質的に真っ直ぐであってもよく、吸収性層の長手方向軸yに実質的に平行に通ってもよい(
図10A、10B、及び11Aに概略的に示すように)。真っ直ぐのチャネルは吸収性構造体内でヒンジ構造としての役割を果たすことができ、これは、吸収性構造体を長手方向に屈曲させて、それにより股部区域を通る横断方向に沿って着用者の解剖学的構造により良好に適合させることに役立ち得、また、パンツ着用時に、吸収性構造体に、完全に吸収される前の液体排泄物を受容及び収容するのにより適した収容形状を形成させることにも役立ち得る。長手方向に延在したチャネルは、吸収性構造体内で吸収性ポリマー粒子の堆積物の長さに沿った流体の輸送及び分配を改善することにも役立ち得、それによって液体吸収速度の増加に役立ち得る。
【0051】
あるいは、
図8、9、12、及び13で示唆するように、チャネルは湾曲状及び/又は弧状であってもよい。長手方向に延在しているが湾曲したチャネルは、吸収性構造体を長手方向に屈曲させ、それによって股部区域で横断方向に沿って着用者の解剖学的構造に適合させるのに役立ち得る、吸収性構造体内のヒンジ構造としての機能も果たし得る。したがって、チャネルは、液体輸送及び分配の改善を可能にすることに加えて、快適性及び優れたフィットを付与することにも貢献し得る。
【0052】
図11C、12、及び13に示すように、チャネル126は、斜めのチャネル、即ち、吸収性構造体の長手方向中心軸yに対して最大30度、最大20度、又は最大10度の角度に配向された実質的に真っ直ぐなチャネルを含み得る。
【0053】
図11Dに示すように、いくつかの他の代案では、チャネルは角度付きチャネルであり得る。角度付きチャネルは、互いに対して角度を付けて接続される2つ以上の部分から作られるチャネルである。角度付きチャネルは、少なくとも150度、少なくとも160度、又は少なくとも170度の角度βで接続された2つの部分から作られ得る。
【0054】
チャネル126は、3mm~15mm、4mm~14mm、又は5mm~12mmの平均幅Wを有し得る(チャネルの平均幅は、そのより長い境界127間の平均距離である)。チャネルの平均幅は、吸収性層の幅の少なくとも4%、又は少なくとも7%、かつ最大15%、又は20%、若しくは25%である。いくつかの例では、チャネルは、3mm~18mm、5mm~15mm、又は6~10mmの平均幅Wを有し得る。
【0055】
チャネル126は、股部区域で、前記股部区域の吸収性層の横断方向寸法(幅)の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、又は少なくとも25%である距離D(
図8に示される)で離間されてもよい。これらの2つのチャネルが、吸収性層の股部区域で横断方向寸法の少なくとも5%の距離で離間されていると、パンツ着用時に吸収性構造体が横断方向に沿って着用者の解剖学的形状により適合し、かつ股部区域内に収容構造を形成しやすくなるものと考えられる。いくつかの例では、チャネルは股部区域において、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、又は少なくとも30mmの距離を離間し得る。いくつかの例では、股部区域においてチャネルを離間させる距離は20~30mmである。
【0056】
吸収性層に形成される長手方向に配向されたチャネルは、吸収性層内の吸収性ポリマー粒子の堆積物の長さに沿って液体(例えば尿)を輸送及び分配する上で役立ち、それにより捕捉及び吸収の速度の増加に役立ち得る。しかしながら、対応して画定された、吸収性ポリマー粒子の堆積物を収容又は画定する長手方向チャンバ又はその他の構造体は、粒子が液体を吸収し、膨化し、互いに圧し合うと、内部圧力を高めさせる場合がある。この圧力は、吸収性構造体に対して長手方向の構造剛化作用を有し得る。吸収性構造体が着用者の脚部間に巻き付くと、内部圧力によって、吸収性層に、着用者の胴体下部の周囲及び下で容易に湾曲するのではなく、長手方向に真っ直ぐになる傾向がもたらされる。この剛化作用は、湿潤時に物品がずり落ちた又は垂れ下がった外観を作ることを防ぐのに役立ち得る。その一方で、
図7に概略的に示すように、この剛化作用は、吸収性構造体の前方及び後方端部を着用者の身体から前方及び後方に遠ざかるように膨張させて、吸収性層の前方及び後方端部の近傍に、顕著で、見苦しく、かつ不快となり得る膨張部219を作り出し得ることが判明した。この作用は、パンツ構造体のいくつかの代替的構造のうちの1つ又は2つ以上によって緩和され得ることが判明した。
【0057】
図12及び13に示すように、吸収性層は、流体の輸送及び/又は吸収性物品のフィット感を更に改善するための追加的な二次チャネル126’を含み得る。チャネルの上記の説明は、上記の二次チャネル126’のいずれにも等しく適用され得る。しかしながら、いくつかの例では、二次チャネルは、上記で説明したチャネルより短くてもよい。
【0058】
長手方向二次チャネルは、吸収性層の長手方向寸法Mの少なくとも10%、少なくとも15%、又は少なくとも20%の距離V’にわたって延在してもよい(
図13に示すように)。これらは、吸収性層の長手方向寸法の90%まで延在してもよい。長手方向二次チャネルは、吸収性層の長手方向寸法の30%又は45%まで延在し得る。
【0059】
吸収性層は、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つなど、1つ又は2つ以上の二次チャネルを含み得る。二次チャネルは、吸収性層の前側区域、後側区域、及び/又は股部区域に存在し得る。吸収性層は、偶数の二次チャネルを含み得る。二次チャネルは、吸収性層において、吸収性層の各長手方向区域が同数の二次チャネルを含むように分布し得る。いくつかの例では、チャネルを含む長手方向区域(即ち、主長手方向チャネル及び二次チャネル)は、吸収性層の中央長手方向軸に対して互いに鏡像である。
【0060】
図14及び17~19に示すように、その他の例では、吸収性層は1つ又は2つ以上の横断方向二次チャネル129を更に含み得る。横断方向チャネル129は、主に横断方向に、又は更には吸収性層117の長手方向軸yに実質的に垂直に配向された、それらのより長い寸法を有し得る。吸収性構造体は着用者の胴体下部の周囲及び下で脚部間を前側から後側に巻き付くため、横断方向チャネルは、吸収性構造体を横方向に屈曲させ、それによって長手方向に沿って着用者の解剖学的形状に適合させ得る横断方向ヒンジ構造としての役割を果たし得る。
図7に示すように、これは、チャネルの長手方向の剛化作用を緩和させるのに役立ち得る。
【0061】
横断方向チャネルは、ベルトの下縁部21の上(
図17)、又はその下(
図18)に配置され得るが、充填された吸収性層の良好な外観及び形状の制御のためには、横断方向チャネルが1つ又は2つのみ存在する時は、一方又は両方がベルトの下縁部の上に配置されることが好ましい場合がある(
図17に示すように)。代替的な例では、横方向軸xと前側ベルト部分及び/又は後側ベルト部分の下縁部21との間に1つ又は2つ以上の横断方向チャネルを配置してもよい。
【0062】
横断方向に配向された二次チャネル129は、吸収性層の幅Nの少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%の距離にわたって延在してもよい。これらは、吸収性層の横断方向寸法の90%まで延在してもよい。横断方向二次チャネル129は、吸収性層の横断方向寸法の30%又は45%まで延在し得る。
図19に示すように、いくつかの例では、横断方向チャネル129は、主チャネル126と接続し得る。
図14、17、及び18に示すように、いくつかの例では、横断方向チャネル129は個別であって、主チャネル126から離間していてもよい。
【0063】
チャネルは、吸収性層の中央長手方向軸に沿って(前記軸を含んで)一方の横断方向縁部からもう一方の横断方向縁部まで延在し、かつ吸収性層の横断方向寸法の少なくとも5%、又は少なくとも10%、及び最大で60%、最大で70%、又は最大で75%である幅D’を有する吸収性ポリマー粒子の中央堆積物が、チャネルを含まないままであるように、吸収性層中で寸法決め及び位置決めされてもよい。吸収性ポリマー粒子は、こうした中央堆積物内で、実質的に連続的に存在し得る。例えば、中央堆積物は、少なくとも5mm、少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、若しくは20mm、及び最大で70mm、又は最大で40mmの幅D’を有し得る。こうした中央堆積物にチャネルが存在しないことは、パンツの着用時におむつが股部区域で(横断方向に沿って)逆V字型の構成を取ることを少なくとも抑制するために有利である。逆V字型の構成は、脚部開口部に沿って液体が漏出するリスクを増加させ得る。いくつかの例では、こうした中央堆積物における吸収性ポリマー粒子の平均坪量は比較的高く、即ち、少なくとも350gsm、及び最大で1000gsm、又は例えば450gsm~750gsmであり、吸収性層のその他の位置における坪量よりも高い。
【0064】
その他の例では、チャネル126と、吸収性ポリマー粒子の堆積物を収容した対応する長手方向に配向された容積と、を画定する吸収性層構造体は、構造体を乾燥時の第1の構成から、吸収性層の合計吸収能力の、例えば1/4、1/3、1/2、2/3、又はそれ以上(吸収された液体の重量基準で)まで湿潤した時の第2の構成に変化させる機構を付与され得る。例えば、対応して長手方向に配向された吸収性ポリマー粒子の堆積物を収容又は画定する長手方向チャンバ又はその他の構造体を形成し、かつこれらの間にチャネルを画定するために用いられる材料は、湿潤時に構造を変化させるように構成され得る。
図15A及び15Bに関連して示される一例では、吸収性構造体115は、乾燥時の第1の構成(例えば、
図15A)、及び例えば、その吸収能力の半分超まで湿潤した時の第2の構成(例えば、
図15B)を有し得る。これを実現するために用いられ得る1つの機構は、共にチャネル126に沿って、したがってチャネル126を画定する、水溶性又はその他の方法で解放可能な接着剤固着基材層116及び116’であり得る。濡れ、並びに/又は吸収性ポリマー粒子の膨化した堆積物層116及び116’に対する外向きの圧力が加わると、接着剤が解放されて、吸収性ポリマー粒子の膨化性堆積物がチャネル126によって予め画定された容積に膨張させられ、これは続いて寸法が縮小するか、又は更には
図15Bに示すように消失し得る。これは、上記の長手方向の剛化作用を軽減させ得る、吸収性層117及び吸収性構造体115内の圧力を緩和させる作用を有し得る。かくして、チャネルの利点(可撓性、適合性、及び液体分配の強化)は、パンツが実質的に湿潤する前の時点で享受することができ、一方でチャネルの欠点(長手方向の不撓性)は、パンツが実質的に湿潤した後の時点で緩和され得る。
【0065】
この変化するチャネル構造体は、単独で用いられてもよく、又は本明細書で説明する任意の構成が挙げられるが、それらに限定されない任意の所望の構成の恒久的チャネル構造体と組み合わせられてもよい。
【0066】
更なる例では、主チャネル126は長手方向に長さを有し得る。この長さは、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の下位長さ(sublengths)に分割され得る。チャネルを画定する構造体は、下位長さのうちの1つ又は2つ以上に沿ってチャネルを恒久的に画定するが、下位長さのうちのその他に沿ってチャネルを可変的に画定して、その結果、湿潤時にこれらの寸法が縮小するか、又は消失するように構成され得る。ある一例では、パンツの横方向軸xに近接する領域でチャネルは恒久的に画定され、また、例えば、上述したように、横方向軸xからより更に離れた領域では、可変的に/解放可能に画定される。いくつかの例では、チャネル端部、及び/又はその近傍での1つ又は2つ以上の下位長さは、湿潤時に可変的/解放可能である。特定の一例では、1つ又は2つ以上の長手方向主チャネル126は5つの下位長さに分割される。中間の下位長さは恒久的に画定してもよく、一方でチャネルの各端部に向かう2つの下位長さは、上述したように、湿潤時にこれらの寸法が縮小するか、又は消失するように、可変的/解放可能に画定されてもよい。1つ又は2つ以上の長手方向に配向されたチャネルを含む代替的な例では、チャネルの一部分は恒久的であってもよく、チャネルの一部分は一時的又は解放可能であってもよい。チャネルの一時的な部分は、ベルトの横方向軸xと下縁部21との間に配置され得る。いくつかの例では、チャネルの一時的な部分は、チャネルの一方又は両方の端部に配置されてもよく、また、一方又は両方の端部においてチャネルの乾燥長さの10~25%を占めてもよい。更に、チャネルの一時的な部分は、チャネルの長さに沿って断続的に配置してもよく、また、チャネルの恒久的な部分と交互になってもよい。
【0067】
必要に応じて上述のチャネル機構の任意の組み合わせと組み合わせることが可能な別の代替的な例では、パンツの着用時に、吸収性層117は、その端部119のうちの一方又は両方が、ベルト部分22、23の1つ又はすべての層の下に配置されるように、長手方向に延在し得る。非限定的な実施例を
図16A~19に示す。特定の態様では、パンツの着用時に、長手方向に配向される主チャネル126のすべては、その端部の一方(
図16A、16B)又は両方(
図16C)が、ベルト部分22、23の一方又は両方の着用者側に配置されるように延在し得る。非限定的な実施例を
図16A~16D、及び19に示す。その結果、パンツの着用時に、吸収性ポリマー粒子の堆積物を収容又は画定する長手方向チャンバ又はその他の構造体の端部は、したがって、一方又は両方のベルト部分の着用者側に配置されることになる。こうした構成では、液体を吸収した結果、内部圧力のために吸収性ポリマー粒子の堆積物を収容又は画定する長手方向チャンバ又はその他の構造体が長手方向に剛性になると、その端部の一方又は両方が、ベルト部分で横方向の張力を受けることになる。これは、吸収性層の端部を拘束して、着用者の身体のより近くに保持する役に立ち、それにより、
図7に概略的に示されるような膨張部219の形成を防ぐのに役立ち得る。
【0068】
吸収性層、吸収性構造体、及び/又はチャネルの構成は、米国特許出願公開第2014/0163511号、同第2014/0163503号、同第2014/0163501号、同第2014/0163500号、同第2012/0316526号、同第2012/0316528号、同第2014/0163501号、及び同第2014/0371701号で説明されている任意の機構を更に有してもよい。
【0069】
吸収性層
吸収性層は、吸収性ポリマー粒子150を単独で、又はセルロース繊維などの他の材料と組み合わせて含み得る。吸収性ポリマー粒子は、例えば、熱可塑性接着剤140によって、基材層上で不動化され得る。
【0070】
吸収性層に使用するのに好適な吸収性ポリマー粒子は、例えばModern Superabsorbent Polymer Technology(F.L.Buchholz,A.T.Graham,Wiley 1998)に記載されるように、超吸収性材料の文献から既知の、任意の吸収性ポリマー粒子を含み得る。
【0071】
吸収性ポリマー粒子は、逆相懸濁重合によって得ることのできる球形、球状、楕円形、又は不規則形状の、例えばその種類の卵形粒子などであり得る。粒子は、より大きい不規則な粒子の凝塊を形成するために、必要に応じて少なくともある程度まで凝集させてもよい。
【0072】
吸収性ポリマー粒子は、ポリアクリレート類、並びに、例えば部分的に中和された架橋ポリアクリレート、又は酸ポリアクリレートなどの内部架橋、及び/又は表面架橋されたポリアクリレート系材料から選択され得る。本開示で好適な吸収性ポリマー粒子の例が、例えばPCT特許出願第WO07/047598号、同第WO07/046052号、同第WO2009/155265号、及び同第WO2009/155264に記載されている。
【0073】
別の実施例では、吸収性層は実質的にセルロースを含まない場合がある。エアフェルト及びその他のセルロース繊維は、使い捨ておむつの吸収性コアの吸収性充填剤として使用されてきた。こうした繊維は吸収特性を有しており、いくらかの吸収能力を吸収性層に付与するが、更に、構造マトリックスを提供して吸収性ポリマー粒子の分散粒子を保持するためにも含まれ得る。こうした粒子を含むことで吸収能力は強化されるが、その一方で、粒子が液体を吸収して膨化するとその間の通路をブロックし、そのため液体がその堆積物中を移動できるようになって吸収能力を損なうため、こうした粒子を適切に分散した状態に保つことは、使用中の「ゲルブロッキング」を防止するために重要であり得る。エアフェルト又はその他のセルロース繊維を、吸収性ポリマー粒子のマトリックスとして含むことは、ゲルブロッキングを低減又は防止するのに役立つ可能性がある。しかしながら、これは更に、吸収性層を、いかなる液体を吸収する前であっても嵩高にする。吸収性層の全体的な寸法及び/又は厚さを低減させることで着用者の快適性を向上させ、かつ梱包及び発送容積を効率化するためにパンツの嵩高性を低減させるため、性能制約の範囲内で可能な最も容量の低いコア材料を用いた吸収性コアを製造することが望ましい場合がある。この目的のための、好適な吸収性構造体の好適な材料及び構成の例は、米国特許出願第12/141,122号、同第12/141,124号、同第12/141,126号、同第12/141,128号、同第12/141,130号、同第12/141,132号、同第12/141,134号、同第12/141,141号、同第12/141,143号、及び同第12/141,146号、並びにPCT国際公開特許第2008/155699号に記載されているが、これらに限定されない。一般に、これらの出願は、吸収性ポリマー粒子の粒子と組み合わせられる、エアフェルト又はその他の形態のセルロース繊維の必要性、及びその含有を最小化又は排除する吸収性層の構造(「実質的にセルロースを含まない」構造体)について説明している。吸収性ポリマー粒子の堆積物を形成する好適な方法が、例えば欧州特許第1621167A2号、同第1913914 A2号、及び同第2238953A2号で更に開示されている。
【0074】
吸収性ポリマー粒子は、基材層上で不動化され得る。不動化は、吸収性ポリマー粒子、及び存在する場合はセルロースを、基材層上に保持及び不動化する熱可塑性接着剤を適用することによって達成され得る。いくつかの熱可塑性接着剤はまた、吸収性ポリマー粒子の層内、及び基材層内に貫入して、更なる不動化及び固定をもたらし得る。熱可塑性接着剤は、基材層上での吸収性ポリマー粒子の不動化を補助し得るのみではなく、更に、チャネルの一体性の維持を補助し得る。熱可塑性接着剤は、大量の吸収性ポリマー粒子が、チャネル内に移動することを防ぐ。
【0075】
本開示で使用するのに適した熱可塑性接着剤材料は、少なくとも熱可塑性ポリマーを、可塑剤、並びに粘着付与樹脂などの他の熱可塑性希釈剤、及び抗酸化剤などの添加剤と併せて含むホットメルト接着剤を含む。好適なホットメルト接着剤の例は、欧州特許第1447067A2号に記載されている。
【0076】
いくつかの例では、吸収性コアは、吸収性構造体のトップシートと着用者に面する側との間に配置された、捕捉システムを含む場合がある。捕捉システムは、吸収性構造体が液体を吸収できるまで液体の一時的な収容容器としての機能を果たし得る。捕捉システムは、単一層を含んでもよく、又は着用者の皮膚に面する上部捕捉層及び着用者の衣類に面する下部捕捉層などの多層を含んでもよい。捕捉システムは、吸収性構造体と直接接触してもよい。これらの例では、捕捉システムは、吸収性構造体のチャネル又はその一部分を満たし得る。いくつかの例では、捕捉システム又はその一層は、波状にうねってチャネル内に入り、前記捕捉システムに波状外形をもたらす、基材層に結合されてもよい。
【0077】
図15に示すように、吸収性構造体の吸収性層は、捕捉/分配層131を含み得る。層131は、例えば層、マット、あるいは例えば粉砕セルロース繊維、又はその他の親水性の天然、半合成、若しくは剛性繊維、あるいはマット、層、又はその他の本体を形成するのに用いられ得るその他の材料から形成されるか、又はそれを含むその他の本体の形態を有し得る。
【0078】
ある実施例では、上部捕捉層及び下部捕捉層の一方又は両方は、不織布を含んでもよく、不織布は親水性であってもよい。更に、特定の実施例によると、上部捕捉層及び下部捕捉層の一方又は両方は、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよく、これらセルロース繊維は不織布材料の一部を形成しても形成しなくてもよい。一実施例によると、上部捕捉層は、架橋されたセルロース繊維を有さない不織布を含んでもよく、下部捕捉層は、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。更に、一実施例によると、下部捕捉層は、天然又は合成ポリマー繊維などの他の繊維と混合された、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。例示的な実施例によると、こうした他の天然又は合成ポリマー繊維は、表面積の大きな繊維、熱可塑性結合繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、PET繊維、レーヨン繊維、リオセル繊維、及びこれらの混合物を含んでもよい。上部及び下部捕捉層に好適な不織布材料としては、スパンボンド、メルトブロー、及び更なるスパンボンド層を含むSMS材料が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施例では、恒久的に親水性の不織布、特に、永続的な親水性コーティングをされた不織布が望ましい。別の好適な例としては、SMMS構造体が挙げられる。ある実施例では、不織布は多孔質である。
【0079】
その他のベルト/シャーシ機構
図20を参照すると、弾性ストランド26などの弾性部材は、これらがベルト部分の下側帯22”、23”に存在するが、シャーシ30上に置かれた下横方向中央帯22’、23’のうち一部又は全部には存在しないように、前側及び/又は後側ベルト部分22、23内に構成され得る。このように、一方又は両方のベルト部分を、不織布層25a、25b(
図3を参照)などの弾性ストランド26を挟む層のうちの1つ又は2つ以上が、予歪みを加えられた弾性部材及び横方向にギャザーされた材料のひだべりの存在によって実現される弾性の伸長なしに、ベルト部分の下中央帯22’、23’に存在するように構成してもよい。シャーシの上に置かれた中央帯22’、23’では、一方又は両方のベルト部分22、23の不織布層は、これらがシャーシ上に横方向に伸張された状態で置かれる(即ち、これらが、さもなければ、予歪みを加えられ、かつ挟まれた横方向弾性ストランドによって付与されたであろう長手方向のひだべり又はしわ(例えば
図4及び5に示されるひだべり又はしわ27)を有さないようにシャーシ材料(バックシートなど)に配置されて固着され得る)。この構成では、シャーシ30の下中央帯22’、23’に置かれ、長手方向のひだべりを有さないために、ベルト部分の他の弾性のひだべりを有する帯と比較して横方向の弾性的な伸長ができないか又はより少ない、完全に伸張されたベルト層材料は、横方向の拡張に対してより大きく抵抗して、シャーシ材料の抵抗を補い、吸収性層117の端部の支持及び拘束を補助するように構成される。その結果、吸収性層117によって液体が吸収された時の外向き膨張部219の突出部(
図7に示すものなど)は、縮小され得る。この機構は、上記の吸収性層117の膨張部の突出部を縮小させる相乗効果の可能性のために、上記のチャネル構造のいずれかと組み合わせてもよい。こうして、
図20に示す一実施例では、主長手方向チャネル126の前端部は、前側ベルト部分22の非弾性下中央帯22’の下に(着用者に面する側に向けて)配置してもよい。いくつかの例では、ベルト部分及びシャーシは、シャーシ上に置かれた非弾性部分を有するベルト構造の更なる例を説明する、PCT/CN2014/094890号に記載される機構を有するように構成され得る。
【0080】
更なる例では、下側帯22”、23”に存在する1つ又は2つ以上の弾性ストランド26は、ベルト構造体において、腰部縁部により近い上帯よりも大きな引っ張り収縮力を下側帯22”、23”の1つ又は2つ以上に付与するために、(例えば、デシテックス及び/又は引っ張り係数によって)選択、並びに/又は(例えば、ベルトの長手方向の数字計数/単位長手方向寸法、及び/若しくは付与された予歪み量によって)構成されてもよい。この後者の例は、腰部バンド領域及び腰部縁部周辺に比較的小さな横方向収縮張力と、着用者の臀部下部の周囲に、より強力な支持、チャネル形成された吸収性層の膨張に対する抵抗性、及びパンツの固定力を備えた比較的大きな横方向収縮力と、を提供することによって、パンツ着用時の快適性を強化するのに役立ち得る。こうして、下側帯22”、23”の一方又は両方における弾性ストランド26の1つ又は2つ以上は、同じ前側又は後側ベルト部分における腰部縁部により近い上帯における弾性ストランド26のうちの1つ又は2つ以上よりも大きなデシテックス、より大きな引っ張り係数、ベルト部分の単位長手方向長さにつきより多いストランド26の数、又はより大きな予歪み量のうちの1つ又は2つ以上を有し得る。この機構は、単独でも、あるいは上記で説明したベルトの非弾性中央帯22’、23’を含めることと組み合わせて組み込んでもよい。
【0081】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0082】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許等の、本願に引用されるすべての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせた時に、そのような発明すべてを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0083】
本発明の特定の実施例を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を行うことができることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。