(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】吸収複合材、吸収複合材を用いた吸収物品、並びに吸収複合材及び/又は吸収物品の製造方法、製造システム、及び製造装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/534 20060101AFI20220629BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220629BHJP
A61F 13/539 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61F13/534 110
A61F13/53 300
A61F13/539
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019163995
(22)【出願日】2019-09-09
(62)【分割の表示】P 2016524309の分割
【原出願日】2014-07-01
【審査請求日】2019-10-09
(32)【優先日】2013-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510277017
【氏名又は名称】ディーエスジー テクノロジー ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ライト アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァロナ ユージニオ
(72)【発明者】
【氏名】スミット アンネ
(72)【発明者】
【氏名】スミット デニス
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-132056(JP,A)
【文献】特開2007-167193(JP,A)
【文献】特開2006-305327(JP,A)
【文献】米国特許第5763331(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て吸収物品中に組み込み可能な
吸収複合材であって、
当該
吸収複合材の身体側外面を形成する外面を有する第1不織布シート層と、
当該
吸収複合材の反対側外面を形成する外面を有する第2不織布シート層と、
当該
吸収複合材の前記外面相互間に設けられ且つ第1平均サイズ寸法を有する吸収性粒子の第1の層と、
当該
吸収複合材の前記外面相互間に設けられた吸収性粒子の第2の層と、
を備え、
前記第1不織布シート層は、0.01g/cc~0.03g/ccの密度を有し、
前記第2不織布シート層は、前記第1不織布シート層の密度より高い密度を有し、
前記吸収性粒子の第2の層は、第2平均サイズ寸法を有し、
前記第2平均サイズ寸法は、前記第1平均サイズ寸法よりも小さく、
前記吸収性粒子の第1の層は、前記第1不織布シート層内に位置し、
前記吸収性粒子の第2の層は、前記第2不織布シート層内に位置している、
吸収複合材。
【請求項2】
前記吸収性粒子の第1の層の前記第1平均サイズ寸法は、300ミクロンを超えており、
前記吸収性粒子の第2の層の前記第2平均サイズ寸法は、0ミクロンより大きく300ミクロン以下である、請求項1記載の
吸収複合材。
【請求項3】
前記第2不織布シート層は、0.09~0.12g/ccの密度を有する、請求項1記載の
吸収複合材。
【請求項4】
前記第1不織布シート層と前記第2不織布シート層との間に位置する中間不織布シート層と、
当該中間不織布シート層内であって前記吸収性粒子の第1の層と前記吸収性粒子の第2の層との間に位置する吸収性粒子の中間層と、
を更に備え、
前記第1の層、前記第2の層及び前記中間層内の前記吸収性粒子は、SAP粒子である、請求項1記載の
吸収複合材。
【請求項5】
前記吸収性粒子の第2の層、前記吸収性粒子の中間層、及び、前記吸収性粒子の第1の層の各々内の前記SAP粒子の平均サイズ寸法は、ミクロン単位で表して、それぞれ、0より大きく300以下、300~600、及び、600~850である、請求項4記載の
吸収複合材。
【請求項6】
前記中間不織布シート層は、0.03~0.08g/ccの密度を有しており、
前記第2不織布シート層は、0.09~0.12g/ccの密度を有する、請求項5記載の
吸収複合材。
【請求項7】
使い捨て吸収物品であって、
第1の端マージン部と当該第1の端マージン部から長手方向に間隔を置いて位置する第2の端マージン部とにより構成されたシャーシ本体と
トップシートと、
バックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に設けられた
吸収複合材と、
を備え、
前記
第1及び第2の端マージン部は、当該吸収物品の着用中、ユーザの腰周りに位置決めされる前側及び後側ウエスト領域を部分的に規定しており、
前記
吸収複合材は、
外面を備えた第1の不織布シート層と、
外面を備えた第2の不織布シート層と、
前記外面相互間に設けられ且つ第1平均サイズ寸法を有する吸収性粒子の第1の層と、
前記外面相互間に設けられ且つ第2平均サイズ寸法を有する吸収性粒子の第2の層と
を含み、
前記第1
の不織布シート層は、0.01g/cc~0.03g/ccの密度を有し、
前記第2
の不織布シート層は、前記第1
の不織布シート層の密度より高い密度を有し、
前記第2平均サイズ寸法は、前記第1平均サイズ寸法よりも小さく、
前記吸収性粒子の第2の層は、前記吸収性粒子の第1の層の吸収特性とは異なる吸収特性を有し、
前記吸収性粒子の第1の層は、前記第1
の不織布シート層内に位置し、
前記吸収性粒子の第2の層は、前記第2
の不織布シート層内に位置している、使い捨て吸収物品。
【請求項8】
前記第2
の不織布シート層は、前記第1
の不織布シート層の下に位置決めされ且つ0.09~0.12g/ccの密度を有し、
前記吸収複合材は、前記第1及び前記第2
の不織布シート層の間に位置すると共に前記第1及び前記第2
の不織布シート層の密度の中間の密度を有する中間の不織布シート層を更に有する、請求項7記載の使い捨て吸収物品。
【請求項9】
多層の吸収複合材であって、
外側面を有する第1の不織布シートを有するベース層と、
第2の不織布シートを有する中間層と、
外側面を有する第3の不織布シートを有するトップ層と、
を備え、
前記中間層は、前記トップ層と前記ベース層との間に位置決めされ、
前記第3の不織布シートは、0.01g/cc~0.03g/ccの密度を有し、
前記第2の不織布シートは、前記第3の不織布シートの密度より高い密度を有し、
前記第1の不織布シートは、前記第2の不織布シートの密度より高い密度を有し、
SAP粒子の第1集団が、前記第1の不織布シートの前記外側面と前記第3の不織布シートの前記外側面との間に位置決めされており、当該SAP粒子の第1集団は、第1平均サイズ寸法を有しており、当該SAP粒子の第1集団は、前記第1
の不織布シート内に位置し、
SAP粒子の第2集団が、前記第1の不織布シートの前記外側面と前記第3の不織布シートの前記外側面との間に位置決めされており、当該SAP粒子の第2集団は、前記第1平均サイズ寸法よりも大きい第2平均サイズ寸法を有しており、当該SAP粒子の第2集団は、前記第2
の不織布シート内に位置し、
SAP粒子の第3集団が、前記第1の不織布シートの前記外側面と前記第3の不織布シートの前記外側面との間に位置決めされており、当該SAP粒子の第3集団は、前記第2平均サイズ寸法よりも大きい第3平均サイズ寸法を有しており、当該SAP粒子の第3集団は、前記第3
の不織布シート内に位置している、多層の吸収複合材。
【請求項10】
前記SAP粒子は、前記
第1、第2及び第3の不織布
シートの少なくとも1つの中に浸透しており、そこに結合されている、請求項9記載の多層の吸収複合材。
【請求項11】
前記SAP粒子は、前記
第1、第2及び第3の不織布シートの少なくとも1つに、ホットメルト接着剤によって結合されている、請求項9記載の多層の吸収複合材。
【請求項12】
前記トップ層上に位置決めされたトップシートを更に備え、
前記トップ層は、前記トップシートと前記中間層との間に位置決めされている、請求項9記載の多層の吸収複合材。
【請求項13】
前記トップ層上に塗布されたカバー層を更に備えた、請求項9記載の多層の吸収複合材。
【請求項14】
前記カバー層は、合成不織布またはセルロースを主成分とした不織布を有する、請求項13記載の多層の吸収複合材。
【請求項15】
当該多層の吸収複合材回りに巻き付けられた合成不織布またはセルロースを主成分とした不織布を更に備えた、請求項9記載の多層の吸収複合材。
【請求項16】
前記
第1、第2及び第3の不織布
シートの少なくとも1つは、厚さが100μm~10,000μmであり、坪量が15g/m
2~200g/m
2であり、密度が0.01g/cc~0.3g/ccであり、有効細孔直径が300μm~2,000μmである不織布である、請求項9記載の多層の吸収複合材。
【請求項17】
前記
第1、第2及び第3の不織布
シートの少なくとも1つは、スルーエアボンデッド不織布である、請求項9記載の多層の吸収複合材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の説明〕
本願は、2013年7月3日に出願された米国特許仮出願第61/842,961号(係属中)及び2013年7月9日に出願された米国特許仮出願第61/843,986号(係属中)の優先権主張出願である。これら米国特許仮出願の各々を全ての目的に関して当該参照によりここに引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0002】
本開示内容、即ち本発明は、一般に、吸収コア複合材、及び、当該コア複合材を組み込んだ使い捨て吸収衣料品に関する。本発明は又、吸収複合材又は使い捨て吸収物品の製造システム、製造装置、及び製造方法に関する。かかる使い捨て吸収物品としては、おむつ、訓練用パンツ、大人用失禁用製品、身体滲出物吸収製品、女性用衛生用品、及び他の吸収製品(ひとまとめに「使い捨て吸収物品」という)が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
従来の使い捨て吸収物品は、典型的には、3つの基本的構造要素、即ち、内面を形成するトップシート、外面を形成するバックシート、及びトップシートとバックシートとの間に介在して設けられた吸収コア、を採用している。トップシートは、液体が吸収物品の外部から当該トップシートを通って吸収コア内へと通ることを許容するよう設計されている。トップシートは、或る範囲の液体及び蒸気透過性の親水性又は疎水性材料で作られ得る。
【0004】
バックシートは、流体が吸収コアから当該バックシートを通って吸収物品の外部へと通るのを阻止するよう設計されている。バックシートは、物品の幅全体にわたって延びる不透性フィルム又は布状材料と不透性フィルムとの組合せで作られ得る。バックシートは又、吸収コア内に貯蔵されている流体を放出させないで蒸気が当該バックシートを通過することを許容する蒸気透過性(「通気性」)を有するのが良い。バックシートは又、液体不浸透性であるが蒸気透過性である不織布、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(“SMS”)、スパンボンド・メルトブローン・メルトブローン・スパンボンド(“SMMS”)、ミクロ繊維、ナノ繊維、又は分割繊維、スパンメルト又はスパンレース、被カーディング物等で作られ得る。
【0005】
吸収コアは、トップシートを通過した流体を収容して分布させるよう設計されている。典型的な吸収コアは、吸収マトリックスによって安定化された高吸収性又は超吸収性ポリマー(SAP)で作られている。SAPは通常、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリレート、種々のグラフト化スターチ、及び架橋ポリアクリル酸ナトリウムのような材料で作られている。SAPは、粒子、繊維、フォーム、ウェブ、球、規則的又は不規則な形状の凝集体、及びフィルムの形態であり得る。吸収マトリックスは、典型的には、繊維離解木材パルプ又は同様な材料である。吸収マトリックスは、トップシート、バックシート、及びSAPに対して非常に嵩張っている。おむつの厚さの大部分は、この吸収コアに起因している。
【0006】
吸収物品の消費者は、より薄い吸収物品をますます要求している。これらの要求を満たすため、製造業者は、吸収コアに用いられる吸収マトリックスの量を減らすことによって吸収物品の厚さを減少させている。結果的に得られる吸収コアは薄いが、これら吸収コアは、性能において難点がある。吸収マトリックスの量を減少させると、吸収マトリックスは、SAPを安定化させる上で、即ち、SAPが吸収コア内で移動するのを阻止する上で効果が低い。SAPがコア内で移動すると、吸収コアはその有効性を失い、もはや一様な吸収性を示さない。例えば、収容されていないSAPは、湿潤領域内で塊になる傾向があり、次の排出に対応する上で非効率的である。
【0007】
製造業者は、小さな個々のSAPポケットを作ることにより、又は、SAPを接着することによって、この問題を解決しようと試みた。しかしながら、これら解決策は、全体として不成功であった。SAPポケットは、移動をポケット内での移動に制限するに過ぎない。しかしながら、粒子の運動が依然として存在するので、吸収コアは、一様な吸収性を示さない。SAPを接着することは、SAPを安定化させるが、その結果、不快でごわごわした吸収コアが生じると共に、SAPの膨潤能力が低下する。
【0008】
接着剤、カバー層、又は他の態様によってSAPを固定することも又、製品の使用中にSAPの性能に悪影響を及ぼす場合がある。幾つかの場合、SAP及び製品性能は、コアの安定性及び製造の容易さと引き替えに、損なわれる。吸収コアは物品の使用中にユーザの皮膚に押し付けられるので、着用者は、コアの肌触りに対して極めて敏感である。かくして、吸収コア設計における物理的特徴の導入は、当該物理的特徴が僅かであってもユーザの快適さに大きな影響を及ぼす場合がある。
【0009】
減少した複合材厚さを特徴としているが流体取り扱い特性及びしっかりとした装着感及び快適さを維持し又は向上させる改良型吸収製品が、要望され続けている。米国特許第8,148,598号(以下、「第‘598号特許」という)明細書及び国際出願PCT/US2014/030051号(以下、「第‘051号出願」という)明細書は、技術の現状に対する従来技術としての改良策を記載しており、本発明の基礎としての役目をなしている。なお、これら2つの特許文献の各々は、共通譲渡され、これら特許文献の少なくとも1人の発明者は、本願の発明者と共通している。これら特許文献は両方とも、あらゆる目的について当該参照により引用され、これらの記載内容は本明細書の一部とされる。本発明は、一観点では、改良型吸収製品、その製造システム、製造装置、及び製造方法を提供する技術的努力を続けると共に促進するものとみなされると言える。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、一般に、吸収コア複合材、及び、吸収複合材を組み込んだ使い捨て吸収衣料品に関する。本発明は又、吸収複合材又は使い捨て吸収物品を製造するシステム、装置、及び方法に関する。一観点では、改良型吸収コア複合材は、有利な膨潤性能又はボイド容積を備えている。別の観点では、吸収コア複合材(及びかかる吸収コア複合材を製造する方法及びシステム)は、ボイド容積増大機構、形態、又は構造を備えている。かかる機能は、好ましくは、使用中、使用前、又は製造中に、トリガされ又は活性化される。さらに別の観点では、吸収コア複合材は、向上した液体受け入れ、保持、及び分配機能並びに製造性を備えている。
【0011】
一観点では、使い捨て吸収物品中に組み込み可能な吸収コア複合材が開示される。吸収コア複合材は、第1の材料層(好ましくは、不織布)及び当該第1の材料層との間に少なくとも1つのポケットを形成するよう当該第1の材料層に少なくとも部分的に固定された(例えば、ボンド部位、ボンド箇所、接着剤等によって)第2の材料層(好ましくは、不織布)を有する。好ましくは、吸収体の全体として一様な層又は床が当該用途に好ましいかより好適である場合を除き、多数のポケットが形成される。ポケットは、固定初期容積(例えば、その物理的形態によって定められる)を有すると言われる。さらに、吸収性粒子の凝集体が当該固定初期容積の一部分を占めるようポケット内に設けられる。吸収性粒子は、好ましくは、SAP粒子であり、乾燥状態と関連した乾燥体積及び液体飽和状態と関連した膨潤体積を特徴としている。ポケットに関し又はポケットのために、凝集体は、集成乾燥体積及び集成膨潤体積を特徴としており、ポケットは、凝集体を収容保持する初期形態を有する。
【0012】
別の観点では、使い捨て吸収物品中に組み込み可能な吸収コア複合材が開示される。当該吸収コア複合材は、第1の材料層、各々が固定初期容積を有する複数のポケットを形成するよう第1の材料層に少なくとも部分的に固定された第2の材料層、及び、各々がポケットの各々にそれぞれ収納された凝集体の状態で設けられた吸収性粒子を有する。吸収性粒子は、乾燥状態と関連した乾燥体積及び液体飽和状態と関連した膨潤体積を呈することを特徴としており、各ポケットについて、凝集体は、集成乾燥体積及び集成膨潤体積を呈することを特徴とし、集成膨潤体積は、初期ポケット容量よりも大きい。各ポケットは、初期容量を定める初期形態から拡張形態に向かって拡張可能であり、拡張形態では、増大したポケット容積が集成膨潤体積を受け入れる。各ポケットに関し、第1材料層は、感圧形態を有し、凝集体が集成膨潤体積に変換することによって生じる圧力が、初期容積を部分的に定める初期形態から増大したポケット容積が集成膨潤体積を受け入れる拡張形態へと向かう第1の材料層の拡張を開始させるようになっている。
【0013】
別の観点では、第1の端マージン部及び前記第1の端マージン部から長手方向に間隔を置いて位置する第2の端マージン部により構成されたシャーシ本体を有する使い捨て吸収物品(例えば、おむつ、訓練用パンツ、大人用失禁用物品等)が開示される。端マージン部は、吸収物品の着用中、ユーザの腰周りに位置決めされる前側及び後側ウエスト領域を部分的に構成する。使い捨て吸収物品は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に設けられた吸収コア複合材と、を有する。吸収コア複合材は、第1の不織布層と、当該第1の不織布層に少なくとも部分的に固定されていて第1の不織布層との間に固定初期容積を有する複数のポケットを形成する第2の不織布層と、ポケット内に収容されていて固定初期容積の一部分を占めるSAP粒子の凝集体と、を含む。SAP粒子は、乾燥状態と関連した乾燥体積及び液体飽和状態と関連した膨潤体積を呈することを特徴とし、各ポケットについて、凝集体は、集成乾燥体積及び集成膨潤体積を呈することを特徴とし、ポケットは、凝集体を保持する初期形態を有する。さらに、第1の不織布層の外面は、ポケットの初期形態では表面不連続部を呈する。しかしながら、当該外面は、不連続部を実質的に除去してポケットを増大したポケット容積を定める拡張形態にするよう伸張可能である。当該不連続部は、外面の伸張時に除去可能な波形部、折り目、プリーツ、及び他の(一時的)変形部、であるのが良い。
【0014】
使い捨て吸収物品中に組み込み可能な別の吸収コア複合材では、吸収コア複合材は、当該吸収コア複合材の身体側外面を形成する外面を備えた第1の材料層と、当該吸収コア複合材の反対側の外面を形成する外面を備えた第2の材料層と、当該吸収コア複合材の外面相互間に設けられ且つ平均サイズ寸法(即ち、粒子の平均幅ないし平均直径)を有する吸収性粒子の第1の層と、当該吸収コア複合材の外面相互間に設けられ且つ第1の層の平均サイズ寸法よりも小さい平均サイズ寸法を有する吸収性粒子の第2の層と、を有する。吸収性粒子の第1の層は、実質的に第1の材料層中に位置し、吸収性粒子の第2の層は、実質的に第2の材料層中に位置する。別の実施形態では、中間層が第1の材料層と第2の材料層との間に設けられ、この中間層は、吸収性粒子の別の層を含む。2つ又は3つの層の(各々の)密度は、吸収性粒子の所望の勾配(及び吸収特性)を達成するよう選択されるのが良い。
【0015】
別の観点では、使い捨て吸収物品中に組み込み可能な吸収複合材を形成する方法が提供される。この方法は、第1の材料層を用意するステップと、第1の材料層の下に第2の材料層を位置決めするステップと、第1の平均サイズ寸法を有する第1の集団をなす吸収性粒子と第1の平均サイズ寸法よりも小さな第2の平均サイズ寸法を有する第2の集団をなす吸収性粒子とで構成された吸収性粒子供給源を用意するステップと、吸収性粒子の第1の集団及び吸収性粒子の第2の集団を第1の材料層上に堆積させて第1の集団に属する吸収性粒子が第1の材料層中に維持されると共に第2の集団に属する吸収性粒子が第1の材料層を濾過して第2の材料層内に定着するようにするステップと、を含む。第1の材料層は、密度が0.01~0.03g/ccの低密度不織布であり、第2の材料層は、これよりも高い密度の不織布であり得る。
【0016】
別の観点では、使い捨て吸収物品中に組み込み可能な別の吸収コア複合材が開示される。吸収コア複合材は、身体側の第1の材料層(不織布)と、第2の材料層(不織布)とを有し、第1の材料層と第2の材料層とはそれらの間に空間を規定している。規定された空間は、超吸収性粒子の層を収容し、当該吸収性粒子の層は、一集団のSAP粒子、及び、当該SAP粒子よりも小さく全体的に2つ又は3つ以上のSAP粒子相互間に位置決めされて当該2つ又は3つ以上のSAP粒子を互いから離隔させる一集団の非SAP離隔用粒子を含む。さらに、当該離隔用粒子は、不活性粒子、水溶性粒子、揮発性粒子、イオン交換粒子、及びこれらの組合せ、から成る離隔用粒子の群から選択され得る。
【0017】
別の観点では、別の使い捨て吸収物品が開示され、この使い捨て吸収物品は、第1の端マージン部及び当該第1の端マージン部から長手方向に間隔を置いて位置する第2の端マージン部により構成されたシャーシ本体を有し、端マージン部は、吸収物品の着用中、ユーザの腰周りに位置決めされる前側及び後側ウエスト領域を部分的に構成する。当該使い捨て吸収物品は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に設けられた吸収複合材と、を更に有する。吸収複合材は、外面を備えた第1の材料層、外面を備えた第2の材料層、外面相互間に設けられた吸収性粒子の第1の層、及び、外面相互間に設けられた吸収性粒子の第2の層を含み、吸収性粒子の第2の層は、第1の層とは異なる吸収特性を有する。
【0018】
使い捨て吸収衣料品中に組み込み可能な吸収複合材を製造する方法も又、提供される。この方法は、第1の不織布層の第1のシートを運搬するステップと、吸収性粒子を第1のシート上に堆積させるステップと、第2の不織布層の第2のシートを堆積された吸収性粒子及び第1のシート上に被着させ、それにより吸収性粒子をサンドイッチした2つの材料層を含む複合材を形成するステップと、を含む。この方法は、第1材料層と第2材料層を結合して吸収性粒子をそれらの間に少なくとも部分的に固定するステップを更に含む。一実施形態では、第1のシートの運搬に先立って、第1のシートの表面を変形させて側方に伸長可能な表面不連続部を形成する。
【0019】
本発明は又、上述した又は以下の詳細な説明中に記載した、若しくは図面に示された物品及び複合材を製造するシステム及び方法を提供する。また、注目されるべきこととして、種々の実施形態が本明細書において開示される。幾つかの実施形態は、具体的には他の実施形態に組み込まれるものとして説明されていない要素(設計上の特徴部、ステップ又はコンポーネント)を備える。多くの更なる変形例又は実施形態が想定されるが、要素のかかる組合せ又は組み込みは、本発明と関連する当業者には明らかであろう。
【0020】
最後に、吸収複合材は、使用中(例えば、吸収物品による液体取り込みが行われる場合)、初期ポケット形態を変更して凝集体の膨潤体積に対応する手段を備える。例えば、変更手段は、ポケットが初期容積を規定する初期形態から増大したポケット容積が集成膨潤体積を受け入れる拡張形態に向かって拡張可能であることによって提供され得る。さらに、初期ポケット形態を変更するかかる手段は、第1及び第2の材料層のうちの少なくとも一方がこのポケット内のSAP凝集体の膨潤に対応して伸長可能であることを意味している。本発明の伸長可能な材料層は、波形であっても良く、或いは、長手方向に延びる複数の折り目を有していても良い。変更手段は又、破断可能な基材、例えばティッシュ、乾燥クレープティッシュ又はスリット付き基材(弱められた基材)、によって提供されても良い。変更手段は、変形例において、もしそうでなければ材料層を固定してポケットを定めると共にSAP凝集体を収容する(即ち、SAP膨潤中)破断可能な結合部、例えば破断可能な結合点又は水溶性接着剤、によって提供されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本発明に従って吸収複合材を組み込んだ使い捨て吸収衣料品の斜視図である。
【0022】
【
図1B】扁平で伸張された状態にある、
図1Aの使い捨て吸収物品の平面図である。
【0023】
【0024】
【
図1D】吸収複合材を製造するシステムの概略図である。
【0025】
【
図2A】吸収性粒子の凝集体の複数のポケットを有する吸収コア複合材の単純化された略図である。
【
図2B】吸収性粒子の凝集体の複数のポケットを有する吸収コア複合材の単純化された略図である。
【0026】
【
図2C】例えば
図2A及び
図2Bに示された吸収コア複合材にポケットを形成するのに適した結合パターンである。
【
図2D】例えば
図2A及び
図2Bに示された吸収コア複合材にポケットを形成するのに適した結合パターンである。
【
図2E】例えば
図2A及び
図2Bに示された吸収コア複合材にポケットを形成するのに適した結合パターンである。
【0027】
【
図3A】本発明に従ってポケットSAP凝集体を部分的に規定する伸長可能な基材を有する吸収複合材の一区分の側面断面図である。ポケットは、当初アクティブになる前の状態且つ固定された初期形態で示され、次に、アクティブになった状態且つ拡張形態で示されている。
【0028】
【0029】
【
図3C】アクティブになる前の状態で示された、本発明による伸長可能な基材を有する別の吸収コア複合材の一区分の側面断面図である。
【0030】
【
図3D】アクティブになった後の状態又は拡張状態で示された、
図3Cの別の吸収コア複合材の一区分の側面断面図である。
【0031】
【
図3E】
図3Cの吸収複合材を組み込んだおむつの一区分の側面断面図である。
【0032】
【
図4】吸収複合材中に組込可能な不織布シートにしわを作る又は波形をつける方法の幾つかの部分、及び、当該方法に用いるのに適した機器、の単純化された略図である。
【0033】
【
図5】本発明に従った伸長可能な基材を有する吸収コア複合材の単純化された略図である。
【0034】
【
図6A】本発明による多層吸収コア複合材の単純化された略図である。
【
図6B】本発明による多層吸収コア複合材の単純化された略図である。
【
図6C】本発明による多層吸収コア複合材の単純化された略図である。
【0035】
【
図7A】本発明による折り畳み吸収コア複合材の単純化された略図である。
【
図7B】本発明による折り畳み吸収コア複合材の単純化された略図である。
【0036】
【
図8A】本発明に従った吸収性の断面プロフィールを示す吸収コア複合材の単純化された平面図である。
【
図8B】本発明に従った吸収性の断面プロフィールを示す吸収コア複合材の単純化された平面図である。
【
図8C】本発明に従った吸収性の断面プロフィールを示す吸収コア複合材の単純化された平面図である。
【0037】
【
図9A】吸収コア上における液体の移動とかかる液体移動に沿う領域中でのSAPの吸収特性の変化との間の関係を示す単純化された図である。
【
図9B】吸収コア上における液体の移動とかかる液体移動に沿う領域中でのSAPの吸収特性の変化との間の関係を示す単純化された図である。
【
図9C】吸収コア上における液体の移動とかかる液体移動に沿う領域中でのSAPの吸収特性の変化との間の関係を示す単純化された図である。
【0038】
【
図9D】SAP吸収能力と標的液体イオン強度との間の関係を示すグラフ図である。
【0039】
【
図10A】好適なSAP粒径分布状態を示す棒グラフ図である。
【
図10B】好適なSAP粒径分布状態を示す棒グラフ図である。
【0040】
【
図10C】好適なホットメルト粒径分布状態を示す棒グラフ図である。
【0041】
【
図11】不織布層上における層状粒径濾過状態を示す吸収複合材の単純化された図である。
【0042】
【
図12】不活性粒子スペーサが設けられたSAP凝集体の単純化された図(a)及び不活性粒子スペーサが設けられていないSAP凝集体の単純化された図(b)である。
【0043】
【
図13】結合中及び製品使用中におけるSAP凝集体成分の単純化された絵図表を示す図である。
【0044】
【
図14】一実施形態に従ってSAPのレーンを有する吸収複合材シートを製造するシステム及び方法の単純化された図である。
【0045】
【
図15】一実施形態に従って複合材中にホットメルト繊維を利用して吸収複合材シートを製造するシステム及び方法の単純化された図である。
【0046】
【
図16】種々の実施形態に従って吸収複合材を製造するシステム及び方法を示す略図である。
【0047】
【
図17】種々の実施形態に従って吸収複合材を製造するシステム及び方法を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
最初に
図1Aを参照すると、使い捨て吸収物品がおむつ10の形態で示されている。おむつ10は、中央機能コンポーネントとして本発明の吸収コア複合材を組み込むのが容易な吸収物品の一形式である。おむつ10の基本コンポーネントは、トップシート50、バックシート60、及び、バックシート60とトップシート50との間に設けられた吸収コア46(
図1Aには示されていないが、
図1B及び
図1Cには示されている)である。おむつ10は又、おむつに沿って長手方向に伸びると共に着用者の臀部に倣うよう弾性化された直立バリヤカフ34を備えている。加うるに、おむつは、弾性ウエストバンド52及び締結要素26を有する。締結要素26は、おむつ10を着用者周りに固定するようおむつ10の対応の反対側の端部まで伸張可能であって、これに係合する。
【0049】
図1Bは、全体として扁平であり且つ開かれた形態にあるおむつ10の複合ウェブ構造体を示している。以下に説明するように、当該ウェブ構造体は、次に、トリムされ、折り畳まれ、封止され、溶接され、及び/または、異なるやり方で操作され、完成した又は最終の形態の使い捨ておむつ10を形成することができる。おむつ10の説明を容易にするため、説明は、長手方向に延びる軸線AA、横方向に延びる中心軸線BB、一対の長手方向に延びる側縁90、及び、側縁90相互間に延びる一対の端縁92、に言及する。図示の想像線AA及びBBは、それぞれ、おむつの長手方向中心線及び横方向中心線とも言う。一般に、おむつ10の種々の要素の位置又は向きを説明する際、横方向及び長手方向又は横方向延長部及び長手方向延長部を、軸線AA及び軸線BBに関連付け又は対応させている(特にその特定の要素の前後関係(文脈)を参照しない限り)。また、注目されるべきこととして、長手方向中心線AAの方向は、一般に、おむつ10の機械方向(製造の際に材料が機械で成形されて走行する方向)(MD)と一致し、横方向中心線BBの方向は、おむつの横機械方向(製造の際に材料が機械で成形されて走行する方向と交差する方向)(CD)と一致する。おむつ要素、例えばトップシート又はバックシート及び繊維状要素を含む他の不織布、の機械方向(MD)は、おむつ要素中の繊維の整列状態及び/又は状態を観察することによって、決定できる。繊維は、通常、機械方向と整列している。これは、例えば、おむつを製造後、長時間経っても、顕微鏡下で観察できる。
【0050】
長手方向軸線AAに沿って、おむつ10は、第1の端領域又は前側ウエスト領域12、第2の端領域又は後側ウエスト領域14、及び、これら領域相互間に配置された股領域16、を有する。前側及び後側ウエスト領域12,14の各々は、一対の耳領域又は耳部18によって特徴付けられており、当該耳部18は、中央本体部分20の各側に配置されて側縁90から横方向に延びている。締結構造体26(例えば、従来型テープファスナ)が、おむつ10の後側ウエスト領域14に沿って耳部18の各々に取り付けられている。おむつ10がウエスト周りに着用されると、前側ウエスト領域12は、着用者の前側腰部に隣接して装着され、後側ウエスト領域14は、後側腰部に隣接して装着され、股領域16は、股部の周りに且つその下に嵌まる。おむつ10を着用者に適正に固定するため、後側ウエスト領域14の耳部18が着用者の腰周りに且つ正面に向かって配置され、そして前側ウエスト領域12の耳部18に整列される。
【0051】
図1Bは、トップシート50及び収集・分布層(ADL)48の下に配置された吸収コア46を示している。
図1Cは、
図1A及び
図1Bのおむつの分解図であり、この図は、全体として長方形の形をしたマルチコンポーネントをラミネートした吸収コア46を単純化された形態で示している。他の好ましい実施形態では、吸収コア46は、横方向に細くなった中央領域を有する砂時計の形をしている。吸収コア46は、一般に、頂部不織布層70、底部不織布層72、及び、これらの層相互間に位置した吸収材料74の層、本体又は集成体、で構成されている。おむつ内への組み込みに先立って、吸収コア本体46は、吸収複合材又は吸収コア複合材と呼ばれる場合が多い。吸収複合材の全体として平べったい延長部が提供されて、製造中ウェブ又は吸収複合材シートと呼ばれたり、製造品又は製造物品と呼ばれる場合がある。本発明は、主として、改良型吸収複合材構成、並びに、当該複合材又は吸収複合材の源としての吸収複合材シートを製作するシステム及び方法に関する。本発明は又、吸収複合材が吸収コアとして組み込まれる使い捨て吸収物品に関する。
【0052】
本発明の或る特定の実施形態により取り組まれる形式の吸収コア複合材は、SAPが収納保持されるポケット又は容器を備えている。他の改良型吸収コア複合材が記載され、かかる他の改良型吸収コア複合材は又、改良された流体取り扱い性能を示すと共に薄いコア構成に合わせて改造可能であるが、必ずしも、ポケットを有するわけではない又は必要とするわけではない。ポケットなしでも、これら複合材は、全体として一様な輪郭形状及び深さを備えた状態で製作できる。
【0053】
図1Dは、第‘598号特許明細書から取られたものであり、ここに大部分について、吸収複合材及び/又は当該吸収複合材を組み込んだ使い捨て吸収物品を製造する適当なプロセス、サブプロセス、システム、及びコンポーネントを示すために、再現されている。本明細書において説明する吸収複合材の或る特定の実施形態は、
図1Dに示されている方法及びシステムへの改造を必要とする場合がある。しかしながら、本明細書において提供される説明及び/又は当業界における通常の知識が、関連製造技術分野の当業者にとって、当該所要の改造をかなり明白にするであろう。
【0054】
図1Dを参照すると、布125が、ロール120から小出しされて、コンベヤベルト100上で生産ラインに沿って運ばれる。布125は、織布、不織布、フィルム、又はこれらの組み合わせであり得る、熱可塑性材料である。幾つかの実施形態では、布125は、真空システム110によってコンベヤベルト100に固定される。真空システム110は、布125をコンベヤベルト100に適合させるのに役立つ。次に、SAP粒子135がSAPディスペンサ130によって布125上に堆積される。SAPディスペンサ130は、SAP粒子を第1の布上のそれらの望ましい位置又はレーンに位置決めするよう構成されていても良く、或いは、SAP粒子を第1の布上に単に堆積させるよう構成されていても良い。後者の場合、SAP粒子は、別の手段によって当該布上に位置決めされる。SAP粒子が布125上に堆積されて位置決めされると、ロール150から生産ライン中に導入された第2の布155が移動されて、SAP布125のウェブと係合される。第2の布155は、スパンボンド熱可塑性樹脂又は同様な織布材料若しくは不織布材料、フィルム、またはこれらの組合せ、を含む種々の材料から選択され得る。
【0055】
図1Dでは、熱結合システムが、カレンダーロール160,170を含んだ状態で示されている。カレンダーロール160,170は、布125,155に係合してこれらを結合するために用いられる。しかしながら、他の結合システムが、用途に応じて、好適であったり好ましい場合がある。例えば、超音波結合システムが、多くの用途において結合点を提供するよう、カレンダーロールに代えて、用いられる場合がある。結合パターンは、SAP粒子135の分布状態と整列されるのが良い。布がいったん結合されて吸収コア複合材のシート又はラミネートを形成すると、当該シートをロール200の状態にするのが良い。他の用途では、複合応用に応じて、ラミネートを次の加工のために前進させるのが良く、かかる加工は、スリッティング、追加の層の被着、別な製品との組合せ、又は、別な製品若しくは使い捨て吸収物品中への組み込み、を含む。
【0056】
一実施形態では、コア複合材は、頂部の好ましくは不織布の層(布)及び底部の好ましくは不織布の層(布)を有する。2つの層は、2012年4月3日に発行された米国特許第8,148,598B2号(上述したように「第‘598号特許」という)明細書及び国際出願PCT/US2014/030051号明細書に記載されているように、ポケットを形成するよう結合し又は違ったやり方で係合させるのが良い。これら特許文献の両方は、共通譲渡されている。第‘598号特許明細書は、SAPを収容して、液体吸収又は保持機能を実行するよう、好ましくは幾つかの実施形態では吸収マトリックスの組み込み及び採用を行わないで、SAP材料又はSAP粒子を容易且つ効果的に配置する、のに特に適したポケットを採用するコア構成を更に記載している。これら更なる実施形態では、吸収複合材は、粒子の吸収体層を粒子の移動が生じないよう安定化することができる吸収マトリックスがない(又は欠いている)ことを特徴とし、変形例として、パルプレス(パルプなし)であることを特徴としている。国際出願PCT/US2014/030051号(「第‘051号出願」)明細書は、有利には吸収材料をカバー層の下に固定する一方で吸収材料の流体取り扱い特性を高める及び/またはユーザの快適さを維持する、更なる吸収複合構成及び製造方法を教示している。したがって、第‘598号特許明細書及び第‘051号出願明細書の開示内容は、本明細書において開示されるコア複合材構成、吸収
物品、及び製造プロセス、並びに製造装置、の出発点及び背景としての役目を果たすことができる。第‘598号特許及び第‘051号出願は、当該参照によりここに引用され、本明細書において説明する製品、システム、装置、及び方法の理解及び具体化を容易にす
る背景技術及び参照文献としての役目を含むあらゆる目的について、これら特許文献の記載内容全体は本明細書の一部とされる。
【0057】
例えば
図2A及び
図2Bに示されている吸収コア複合材は、吸収性粒子、例えばSAP粒子、の凝集体の特に有利な配列を有するのが良い。吸収複合材510上の凝集体の各々は、このパターンでは菱形のエンクロージャ514で表されている。好ましい実施形態では、SAPは、凝集体中の吸収性粒子として採用されている。さらに、
図1の各々におけるSAP凝集体は好ましくは、定位置に維持されると共に、全体としてSAP凝集体の上方に設けられた第1の布と全体としてSAP凝集体の下方に設けられた第2の布との係合によって提供される物理的取込体又は容器によって安定化されている。かくして、別の図では、菱形の単位は、特定の実施形態では前述したように頂部布と底部布の係合を反映した、容器又はポケットの外形を表している。容器又はポケットを、本明細書においては、セルとも言う。
【0058】
SAPの吸収性能は、容器のサイズ及び構造によって影響を受ける場合がある。SAPが飽和状態になると、SAPの透過率が低下する。水は、SAP粒子内に既に含まれている高いレベルの水に起因してSAP粒子を通過することができず、最終的には、SAPは、これを通る流体のそれ以上の通過を完全に止めることができる。これは、ゲルブロッキングと呼ばれている。また、SAPが飽和状態になると、SAPは、膨潤し、その体積が増大する。SAPを固定容積の小型容器内に封じ込めることによって、SAPの膨潤を制限してSAPがその最も高い飽和レベルに達するのを阻止する(そして、その結果、SAPがその最も低いレベルの透過率に達するのを止める)ことができる。SAP粒子を制限する程度は、多くの要因で決まり、かかる要因としては、容器の性状及びサイズ、容器内の(例えば、側壁に沿う)破断部の寸法及び頻度、容器内に設けられているSAPの量、及びSAPにより吸収される流体の量、が挙げられる。さらに、SAPの性能特性は、その飽和度によって影響を受ける。具体的に言えば、複合材の吸収特性、例えば透過率、吸収速度、毛管圧力(複合材中のボイド空間に起因して生じる)は、SAPが乾燥状態から完全飽和状態に変化するときに著しい変化を示すことになる。本発明の方法によれば、SAPの標的又は最適性能は、容器のサイズ及び/又はSAP濃度を変化させてSAPの膨潤を物理的に制限すると共にSAPの最大飽和点を制限することによって、達成できる。これら物理的特徴を組み込むことによって、好ましいレベルの透過率又は好ましい吸収特性を吸収コアの標的領域で達成することができる。かくして、ポケットサイズ及びポケット内のSAPの量という2つの変数を操作することによって、当該容器又はポケットの最小透過率を「固定」することができる。おむつの幾つかの領域に設けられているポケットは、ゲルブロッキングから阻止され、コアの当該領域の透過率を最適化することができる。ポケットサイズの勾配も又、吸収コアの最大流れ及び利用性を得るよう定められるのが良い。この勾配は、標的ゾーンからおむつの端部又は側部まで延びる。
【0059】
容器又はポケットの種々の配置は、SAP及びコア利用性を促進すると共に、流体が容器をバイパスするのを阻止する。理想的には、流体は、SAPの特性か、SAPが収納状態で膨張しているポケットの容積か、のいずれかによって設定される最大飽和レベルにSAPが達する時、容器から容器へと漏れる又は流れるはずである。本出願人が想定するところによれば、上述の複合材又はポケットの配列の幾つかにおいて、流体がポケット相互間で漏れる傾向があり得る。すなわち、流体は、エンボス加工線によって形成されるチャネルに沿って迅速に流れてしまって、コアに入らない。流体は又、不織布材料を通って流れる。表面上と同じほど迅速には流れないが、SAPよりも速く流れ、そしてSAPまで流れ、更にSAPを通って流れる。この傾向を軽減するため、容器の配置又はパターンは、好ましくは、コア中心からコアの横方向マージン部までの流体流れの短く且つ直接的なルート(エンボス加工線に沿って定められ得るような)を最小限に抑える又はなくす配列又はパターンである。具体的には、流体がコアの中心からコアの側縁まで流れるようにするためのエンボス加工線が設けられる。図示のように、菱形として形作られている容器又はポケットは、正方形又は長方形に形作られる容器又はポケットよりも好ましい。と言うのは、菱形容器によって形成される対角線又はチャネルは、より長く且つ遠回りになっているからである。円も、縁まで迅速に流れるチャネルを提供しない態様で詰め込まれるならば、効果的である。より好ましい配置では、流体流れは、1回又は2回以上にわたって方向を変えさせられて、その後おむつの側部を通って流れる。
【0060】
子供用おむつ又は大人用失禁用製品のための吸収コアは、特にユーザの体重により生じる圧力下にあるときであっても、コアの解剖学的(分析的)に整列した領域において流体を迅速に吸収し、製品の側部又は端部のところでの漏れが無い状態で流体を全て吸収して、ユーザの皮膚を濡らすことなく当該流体を保持することが要求されている。これは、SAPを保持している容器のサイズにより規定される様々な性能パラメータを有するコアの領域並びに容器の配置を提供することによって、達成される。かくして、コアは、ポケットのサイズ及び/又は当該ポケット内におけるSAPの密度を変化させることによって、最適性能特性を達成するよう設計され得る。
【0061】
図2では、吸収性粒子凝集体522の大きな菱形の容器又はポケット514が、おもらしの箇所と解剖学的(分析的)に整列する領域に存在している。当該容器は、コア510の側部、前側マージン部、後側マージン部又は縁部に向かって、サイズが徐々に減少している。容器の3つの区別できる領域が存在する。股領域“A”では、大きな菱形ポケットが提供されている。股領域に隣接して且つこれを包囲して、当該股領域(A)のポケットよりも小さなサイズのポケットの中間領域“B”が設けられている。とりわけ、中間領域(B)のより小さなポケットは、SAP凝集体周りの且つエンボス加工線に沿っての潜在的な流体流れに中断部を提供する。上述したように、流体流れの逃がし方向を横方向マージン部中に向けるかかるバリヤの提供により、SAP凝集体の漏れが阻止されると共にその利用性が促進される。最後に、ポケットの第3領域“C”が、SAP凝集体の更に小さなサイズのポケットに占められて、コア510の端縁の各々の近くに存在している。
【0062】
図2Bは、SAP凝集体522及びポケット514の第2の例示的な配置状態を示している。この実施例では、小さな菱形のポケット522が、流体おもらしの箇所と解剖学的に整列する領域に設けられている。ポケットは、コアの側部、前側縁部及び後側縁部寄りに設けられた領域で、サイズが徐々に増大している。2つの配置例(
図1A及び
図1B)は、予想流れ勾配と液体おもらしの取り扱いとを構造化する別々の手法を提供する。
図1Aの吸収複合材及びポケット配置は、当初、大容量を有する中央領域を提供することができるが、当該中央領域は、経時的に、そのボイド容積部内に液体を再分布させ、或いは、次の液体おもらし部からより小さな隣接のポケット又はセルに再分布させる。
図1Bのパターンでは、中央領域は、当初、より小さな容積を有し得るが、これは、液体をより大きなセルへと移動させる。また、中央領域は、おむつの側部及び端部からの漏れを阻止する表面トポグラフィを生じさせることができ、即ち、表面流れを遮ってこれを吸収する「ダム」が作られることになる。
【0063】
重量によってコア上に被着されるSAPの量は、理論的には或る一定の保持目標を達成するのに十分な能力であるが、本出願人は、実験的観察及び次の計算により、SAPがポケット内により多くの容積を必要とすることを見出した。以下の表A,表Bのもとで再現された本出願人のティーバッグ容積計算方式が示唆するところによれば、一まとめで考慮してSAPが完全に膨潤して標的750gの液体を保持して収容することを許容するには、ポケット内の容積が不十分である。膨潤したSAP集団により提供される過剰体積に対応するには、コア内のボイド空間が不十分である。それ以上の膨張スペースがない場合、SAPの吸収能力は低減された。
【0064】
ティーバッグ計算方式が示唆するところによれば、23.5mmという側部寸法を有する菱形のポケットは、約2.5cm3の最大内部容積を有する。これは、0.25gのSAPを収容した23.5×23.5mmバッグが約2.5~3.0gの生理的食塩水を吸収したことを更に示唆する試験結果によって裏付けられる。コアは、84個のポケットを有し、その結果全内部容積は、210cm3に過ぎず、これは、750g(約746cm3)の流体を保持するために要求される容積の1/3未満である。
【0065】
【0066】
【0067】
一観点では、本発明は、コア設計の特定の有利な特徴を損なうことなく上述の能力に関する問題を解決する様々な方式を提供する。例えば、コア複合材形態に菱形ポケットを採用して、使用イベント中にボイド容積又は容量を増大させる手段又は能力を有する、種々の実施形態が記載され又は想定されている。ポケット形態は、2つの材料層、及び、これら2つの材料層が互いにどのように固定されるか、及び/又は、吸収性粒子の凝集体がポケット内にどのように収容されるか、によって実質的に規定される。ポケットの容積やポケットがSAPを良好に収容できるかどうかを決定するのは、当該ポケットの構成である。或る特定の実施形態では、ポケット形態は、固定されておらず、動的である(変化し得る)。特にSAP凝集体の集合膨潤体積がポケットの固定初期容積に近づき又はこれを超えるときに、SAPを良好に収容するべくポケットの形態を変更する手段又は機構が提供される。幾つかの実施形態では、ポケット形態は、ポケット容積又は容量を増大させると共に/或いはポケットからの液体又はSAPの逃げ出しを許容するように、変更される(例えば、SAP膨潤(圧力又は液体接触)に応答して)。
【0068】
別の実施形態では、かかるポケットは、所望の流体流れ及びコア吸収特性をもたらすよう、コアの或る特定の領域内に又はその周りに戦略的に(巧妙に)位置決めされ得る。さらに別の実施形態では、吸収複合材は、単一のポケット内又は少数のポケット内に収容され又は封入され得る。
【0069】
<コア材料の多数の層(マルチプルレーヤー)>
【0070】
当該実施形態では、吸収コア複合材は、多層コア構成を有することを特徴としている。コア層の数及びかくしてコアのz寸法を増大させることによって、吸収コア内のポケットの数が増大される。これについては、例えば、
図3C及び
図6A~
図6Cを参照されたい。その結果、製品において利用できる全ボイド空間も増大される(倍加される)(全SAP含有量は同一のままであるが、ポケット1つ当たりのSAP量は減少されると仮定して)。
図6A~
図6Cは、多層吸収コア610a,610b,610cの例を提供している。後半の2つの複合材610b,610cの形態は、例えば標的おもらし領域と一致するよう追加のコア層を中央に位置決めすると共に、これに有利である。
【0071】
別の構成例では、より幅の広いコアシートが提供され、これが折り畳まれて複数のコア層を作る。その結果、製品中において利用できる全ボイド空間も増大される(倍加される)。コア層は、吸収コアの全長又は吸収コアの任意の部分長さであって良く、かかるコア層をコアのオーバーラップした部分長さを含む任意の形態に積み重ねることができる。
【0072】
<ポケットサイズ寸法の増大>
【0073】
別の実施形態では、コアポケット寸法を評価してこれを操作し、それによりボイド空間の増大を達成する。これらコアポケット設計例の真意は、より大きなポケットがより大きなボイド空間を提供するという前提に基づいている。一般的に言って、有効ボイド空間の容積は、ポケットの側部長さが増大すると、指数関数的に増大する。この改造により、全体的コアサイズ又は層の数を増大させないで、コア1個当たりのより高い全容量を達成することができる。かくして、
図2のポケット形態に関し、より大きな菱形のポケットが用いられ、それによって全体としてのセルポケットの数が減少する。
【0074】
<多数のコア層の状態に折り畳まれた幅の広いコアシート>
【0075】
図7A及び
図7Bを参照すると、一実施形態では、幅広のコア複合材710が製作され(
図7A)、次に、複合材の横方向側縁720に平行に延びる1本又は2本以上の折り畳み線FFに沿って折り畳まれて(
図7B)、全コア複合材の幅をより狭い幅に減少させる。他の設計例(全SAP収容量は同一であるが、ポケット1つ当たりのSAP量が減少されると仮定している)の場合のように、全ボイド空間が増大される。2つの折り畳み部分は、一緒になって、連続した頂部層722を複合材に提供することができる。特に、かかる場合、底部層は、複合材を効果的に封入して、コア層とベース層の両方として機能する。変形例として、別の実施形態では、より長いコアがコアの長手方向前縁及び後縁に平行な1本又は2本以上の折り畳み線に沿って折り畳まれて、コアの長さを所望の長さに減少させる。
【0076】
好適な折り畳みコアシートを製作するための方法では、シートが運ばれているときに、SAPのないレーンを不織布ベース層のシート上に設けるのが良い。例えば、SAPは、3本の長手方向に延びるレーンに沿って基材上に選択的に堆積される。シート及び/又はSAPに塗布された接着剤を用いて、SAPは定位置に固定され得る。変形例として、カバー層がSAPに被着されても良い。3本のSAPレーンは、これらSAPレーンと平行に延びる2本のSAPのないレーンによって相互に離隔されている。製造プロセスの下流において、恐らくは、カバー層がSAP上に設けられた後、吸収複合材をSAPのないレーン(ここでは、複合材は、より薄い)を通って延びる自然の折り畳み線に沿って横方向に容易に折り畳むことができる。折り畳み前に、ベース及びカバー不織布層も、SAPのないレーンに沿って結合するのが良い。特に、例えば
図7に示されている複合材形態に関し、ベース層は、結果的としての吸収コア複合材が得られるよう、ベース層とトップカバーとの両方として機能することができる。
【0077】
<拡張可能又は伸長可能な基材>
【0078】
幾つかの実施形態では、トリガされる時、コア複合材又はより好ましくはポケットの層状コンポーネントのうちの1つの寸法を拡張させ又は伸張させる構造的機構体が採用される。基材の伸張により、ポケット容積は主としてZ方向(鉛直方向)に増大される。
図3及び
図5は、好ましくは不織布カバー層として少なくとも1つの伸長可能な基材を有する別の吸収複合材(320,520)を示している。不織布層の表面は、複合材の製造中に形成される、折り目、フラップ、プリーツ、溝、他の一時的表面中断部又は変形部を備え、これらは、平坦な表面を崩している。平坦ではなく滑らかではなく、表面には、しわが作られ又は波形がつけられる。平面視で見て、この表面は、連続しているが、折り目、突出部、溝、又は窪みに起因して、線又は中断部を示している(クレープ加工され、しわが作られ、又は、波形がつけられている)。しかしながら、表面を引き伸ばして当該表面を滑らかにすると共に、これらの一時的な変形部又は不連続部を取り除いても良い。このようにする際、表面積が増大される(即ち、表面寸法が伸長され又は拡張される)。したがって、一観点では、しわ又は波形部は、表面の予備領域又は伸長部を表すものと言える。本明細書における説明の目的上、「クレープ加工され」、「しわを作り」、又は「波形部をつける」という表現は、表面領域寸法を増大させるよう、滑らかにし、伸長させ又は拡張させる能力を有することを含む、上述した表面の外観及び状態を意味するよう相互変換可能に用いられている。
【0079】
しわ又は波形部は、機械方向か横方向かのいずれかに伸び得るが、好ましくは、組み立ての容易さのために機械方向に伸びる。SAPが膨潤すると、SAPは不織布層に圧力を加えてこれを引張状態にする。その結果得られる横方向力により、不織布層が横方向に伸びるので、表面不連続部が広がり又は滑らかになる。このようにして、ポケットの容積は、SAPの膨潤に対応するよう拡張する。
【0080】
図3A及び
図3Bでは、吸収コアポケットPが、しわを作り又は波形をつけた不織布カバー層Aの形態をした伸長可能な基材を有する状態で、示されている。
図3Aは、アクティブになる前の状態(
図3Aの左側)とSAP膨潤によって特徴付けられるアクティブになった後の又は拡張後の状態(
図3Aの右側)の両方でポケットPを示している。複合材は、ベース不織布層又は基材B、しわを作り又は波形をつけたカバー層又は基材A、及び、これらの間に位置したSAP凝集体335を有する。カバー層の表面は、波形部330を有し、これらの下にSAPが位置している。ポケット内の全SAP量は、50gsmから600gsmの範囲にあるのが良い。一連の山部及び谷部によって構成された波形部330は、細かく密集していても良く、或いは、より大きくてより深いトラフ又は谷部を提供しても良い。波形部330は、トラフの底部が例えば
図3Aに示されているようにベース基材Bの近くに位置するよう、明確に規定されるのが良い。この形態では、波形部330は、SAP335をミニポケットの状態に区画化する傾向がある。他の形態では、底部トラフは、ベース基材から離隔されて、SAPは、カバー層の下に大部分が定置される。
【0081】
本明細書において教示するように、ベース不織布層Bと不織布カバー層Aとの結合は、ポケットパターン、例えば菱形ポケットパターン340(途切れ途切れに設けられ又は間隔を置いて配置された結合部位を有する)、を
図3Bに示されている吸収複合材320のシートS上に形成することができる。ポケットの周囲は、
図3Aに示されているように扁平な結合領域342を形成している。ポケットP周りの全体として扁平な周囲は、
図3Aのポケットの拡張状態で示されているように、ポケットPの拡張中にも維持される。かくして、
図3AのポケットPの水平又は横方向長さは、カバー層Aが結合領域342のところで固定されているので、実際には伸張しない。代わりに、カバー層Aの伸張は、一般に、z方向(深さ)におけるポケットPの拡張によって許容される。
【0082】
カバー層の不織布構造中の波形部330を引っ張り、又はこれに張力を加えて、表面寸法を伸長させるのが良い。拡張中又は膨潤中のSAP凝集体によりトリガされる時、ポケットは、休息中又はアクティブになる前の形態からアクティブになった後の又は拡張後の形態に移行する。これは、
図3Aの右側部分に示されている。アクティブになった後の形態では、不織布表面が拡張し又は伸長して、これが定めるポケット容積が少なくとも部分的に増大してSAP粒子の凝集体の集成膨潤体積に対応するようになっている。典型的に又は好ましい伸び率(伸張された長さ/元の長さ)は、約1.2を超える。特に、ベース不織布基材Bは、当該実施形態では、比較的扁平なままである。
【0083】
使い捨て吸収性衣料品310の例示の実施形態では、
図3Eに示されているように、吸収複合材320のポケットPが、バックシート360とトップシート350との間に納められている。バックシート360とトップシート350とは、互いに結合されるのが良く又は他の態様で固定されるのが良いが、これらの配置及び形態は、これらの層がしわが作られている基材の伸び及びポケットPの拡張を制限しない、というものである。具体的には、トップシートは、かかる伸長及び拡張を容易に許容するのに十分な遊び及び/または柔軟性を有している。幾つかの用途では、トップシート及び/又はバックシートは、吸収コア複合材に、完全に、例えばポケットを形成すると共にトップシート及びバックシートを結合するように上述した結合パターンを採用して、結合される。かかる結合パターンは、しわが作られた基材の幾分かの伸長を制限する場合がある。他の用途では、トップシート及び/又はバックシートは、周囲のところでのみ結合される。この結合技術は、しわが作られた基材の横方向伸張に対する制限がより少ないことが判明するであろう。好ましい一実施形態では、トップシートは、周囲のところでのみ1本の長手方向に延びる中心線に沿って結合される。別の実施形態では、ADL層がトップシートとコアとの間に位置決めされる。
【0084】
最初に、
図3C及び
図3Dに示されている別の好ましい吸収構造体では、ポケットPは、頂部基材A、底部基材C、及び、頂部基材と底部基材の中間に位置した材料層Bを有する。基材A,Cは、好ましくは、吸収コア複合材の組み立てに先立ってしわが作られ又は波形がつけられた不織布層である。図示のように、基材A,Cの表面は、しわ又は波形部330を呈し、SAP材料335の集団は、中間層Bの上下のポケット空間の各々内に設けられている。アクティブ状態になる前のモードでは、乾燥したSAP335が、中間層Bに隣接して互いに密接に定着し、基材A,Cに加わる圧力が最小限である。ポケットPは、幾分浅い又は潰れたモードのままであり、最小限の高さ(z方向)及びしわが作られた表面を呈している。
図3Dは、ポケットP及びポケットP内に納められたSAP335をアクティブな状態又はほぼ飽和状態のモードで示している。基材A,Cの下方に位置する空間は、今や、より大きなサイズのSAPを収容している。SAP材料は、ほぼ体積容量限界(能力)まで液体を吸収し、それにより大部分がz方向に膨張し、それにより圧力を基材A,Cに加えて、これらの層をMD又はX方向に沿って長くしている。その結果、より多くのボイド空間が、膨張するSAPの一貫性を許容するよう作られる。
【0085】
中間層Bは、別の設計例では、伸長可能な基材として設けられ得る。好ましい実施形態では、基材Bは、ADL状構造体であり、即ち、嵩張っていて且つ流体を分配することができる。しかしながら、コンポーネントの1つの不織布層が伸長可能でないことが、通常は好ましい。かかる固定長さの不織布層は、吸収コア複合材の加工及び取り扱いに必要である。もしそうでなければ、コア複合材は、これが製品の使用まで保持長さを維持するのではなく、これが作られているときに延伸してしまう。したがって、好ましい2層複合材に関し、1つの層だけに波形がつけられる。好ましい3層複合材では、層のうちの2つは典型的に伸長可能であり、中間の層は伸長可能ではない。
【0086】
別の実施形態では、中間層Bは、破断可能な基材であり、より具体的には、水接触時に破断可能である。中間層Bは、例えば組織層によって提供されるのが良い。ポケットPが液体を取り込んでSAPが膨張すると、湿潤状態の組織層Bはちぎれて、頂部又は底部のポケットコンパートメントまでSAP膨張が可能である。SAPの膨張(又は移動)の方向は、ポケットのコンパートメントに加えられる物理的制約又は圧力、及び/又は、液体の取り込み及び移動の方向、で決定され得る。多くの場合、特におもらしが当初予想されるおむつの中央領域内に又はその周りに位置したポケットに関し、カバー層Aの直ぐ下に位置するSAPは、最初に膨潤し始め、そして圧力を隣接のSAP粒子に下向きに及ぼし、次に中間組織層Bに及ぼすであろう。
【0087】
コアポケットの容量を向上させることに加えて、しわが作られたコア設計例は、僅かな副次的利益をもたらす。波形部の深さに起因して、しわが作られた不織布層は、必然的に、平べったい層よりも多くの不織布材料を提供する。不織布材料は吸収性であり、かくして、追加の不織布材料及び不織表面領域は、複合材の吸収性を増大させる。波形部の深さに起因した不織表面の厚さの増大は又、複合材の吸収速度を向上させる。不織表面は、典型的な収集・分配層とほぼ同様に、液体の一時的貯蔵手段として機能する。
【0088】
平坦なコア表面と比較して、波形構造体の外見は、恐らくは所望のポケットパターンとの組合せ状態で、見栄えが良く且つ技術的に進んでいる(市場にアピールできる)と言える。それは、より快適そうに見える。このことは、確かに、この設計例の副次的利点である。波形コア構造体は、伝統的なコア設計例よりも、ごわごわした度合いが低く且つ一般に軟質であるはずである。したがって、当該吸収コアを採用するおむつ(又は他の物品)は、伝統的なおむつよりも、ユーザにとって快適である。
【0089】
好ましい実施形態では、しわを作られた不織布層は、コアがCD(横)方向に延伸可能であるように、構成されている。これについては
図3Cを参照されたい。このことは、波形部及び当該波形部により規定されるトラフが長手方向又は機械方向に伸びることを意味している。これにより、ポケットは、不織布の延伸限度に達するまで拡張し続けることができ、それによりコア内のボイド容積を最大にする。この点に関し、セルパターンは、MDバイアス式(機械方向バイアス式)である。
図2C及び
図2Dは、菱形のポケットP又は長方形のポケットP′を用いた有効な又は好適なセルパターン240,240′を示している。
図2Eは、中間結合点T1,T2を用いた別の菱形結合パターン240″を示している。CD伸長可能ポケットの追加の利点は、おむつがユーザに装着されると、体周りのおむつの延伸により、ポケットのうちの幾つかがアクティブになる前の状態でありつつも伸長できることである。
【0090】
注目されるべきこととして、前述のような拡張可能な特徴を有する、及び、更なる実施形態のポケット又はセルは、コア複合材の異なる領域内又はこれらの周りに戦略的に(巧妙に)位置決めされるのが良い。幾つかの用途では、取り込んだ流体を直接受け入れて収容するよう、かかるポケットは中央領域に設けられるのが良い。他の用途では、コア複合材は、中央領域のところで取り込み流体を容易且つ迅速に受け入れ、流れを側部領域に差し向けるよう構成されているのが良い。かかる設計例又は形態(全てではない)では、当該側部領域に容積の大きいポケットを配置することが有利であると言える。
【0091】
図4は、基材A又はCのシートにしわを作る又は波形をつける(波形部又はしわを表面上に呈するよう当該表面を形成し又は処理する)種々の方法又は技術を示している。
図4は又、シートにしわを作る際に用いるのに適しているといえる機器を示している。
図4の表記(a)の上方に提供されている図を参照すると、不織シート400が張力を受けた状態で、シート400の頂面に鋭利に係合してこれを一時的に変形させる固い突出したフィンガ482を有する櫛部480を通過するように、動かされる。これにより、加工されたシート402上に波形部430又は細長いしわ(引っ掻き部)が作られる。波形部430の寸法は、フィンガ482の形態並びに不織布材料の坪量及び/又はごわつきによって決まる。より薄い又はより柔軟な不織布は、より細かいしわ又は波形部を形成することになる。より厚い不織布は、より深い波形部を提供することができ、その結果、より大きな伸び率をもたらすことができる。伸び率は、波形部の周期又はピッチにより増大させることができる。好ましくは、永続的な変形部(ガウジング、裂け、破断等)は、材料の構造健全性(一体性)を犠牲にしないように、回避される又は少なくとも最小限に抑えられる。不織シートは、適用前に、且つ、吸収コアを製作するためのシステム又はSAP堆積のすぐ上流側のシステム内への統合に先立って、しわを作られるのが良い。しわが作られた不織布のロールは、当初、貯蔵され、そしてスプールを介して送り出されるのが良い。しかしながら、別の実施形態では、不織基材がSAPユニットの集団に対してバリヤとしての役目を果たしながら定位置でしわを作ることも想定できる。
【0092】
図4に示されると共に(b)として表記されている別のプロセスオプションによれば、基材400は、溝付きロール484(又はメッシュ状のスロット付きロール)に係合される。ロール484の固い表面の輪郭形状が、基材を型押しして、一時的な溝が基材400に作られる。基材400は、
図4に示されているように溝付きロール484の方へ水平に動かされて、ロール484の固い異形表面に係合されるのが良い。全体として下向きに、恐らくは全体として水平方向に垂直に加えられる張力により、シート400は、溝付き表面回りに向きを変え、それによりロール484の外面が基材の表面に入り込む。とりわけ、基材に加えられる張力の大きさ、張力が動いている基材(ローラの下流側に位置する)に加えられる角度、溝付きロールの表面のピッチ及び深さ、並びに、基材の寸法及び物理的特性が、本発明による吸収コア複合材に用いられる所望のしわが作られた又は波形がつけられた基材(永続的な変形又は裂けが最小限に抑えられた状態で又は全くない状態で)を達成するよう、調節され得る。
図4に示されると共に(c)として表記されている更に別のプロセスオプションに従えば、一対の雄型及び雌型溝付きロール486が通過中の基材をエッチングするために単一のロールに取って代わっている。図示のように、基材400が2つのロール486のインターフェース中を通過されて、しわが作られ又は波形がつけられたシート402を作る。
【0093】
好ましい実施形態では、基材の一方の外側表面だけに波形がつけられ、そしてこれが吸収コア内に用いられる。しかしながら、エッチングプロセスが基材の両面を容易にエッチングする又は引っ掻くことができる、ということも想定できる。両面に波形部を有する基材の戦略的な(巧妙な)利用及び配置(例えば、おもらしの標的領域内又はその周りで)は、これらの領域における流体取り扱い性能を変えることができる。両側の波形部は、追加の貯蔵能力を提供する及び/またはADL型流体取り扱い性能を向上させることができる。これにより、所望ならば、高い密度の波形部を提供することができる。トップシート及びADL層が、典型的には基材の上方に追加され、外面上の波形部の配置は、必ずしも快適さを犠牲にすることはない。
【0094】
図5A及び
図5Bの単純化された図は、使用中、SAP膨潤を許容する手段を有する別の吸収コア複合材520を示している。
図3A~
図3Dの吸収コア複合材320の場合と同様、吸収複合材520は、SAP凝集体535を覆う頂部不織布層Aとして伸長可能な基材を利用している。頂部不織布層Aは、SAP膨潤によってアクティブにすることができ、それによりポケット又はセルPの容積を増大させて追加のSAP体積に対応することができる。図示の特定の形態では、吸収複合材520は、頂部の伸長可能な不織布層A、ベース不織布層B、及びこれらの間に位置したSAP凝集体535、を有している。
図5Aを参照すると、頂部層Aをベース層Bに固定する結合部位542は、SAP凝集体535間の境界を定め、個々のポケット又はセルPを部分的に画定する。これらポケット又はセルPは、SAP凝集体535をこれらの下に収容している。したがって、SAP凝集体535及びポケットPは、隣接のSAP凝集体及びポケットから離隔されている。
【0095】
この実施形態では、頂部層Aは、2つのプリーツ530又は組をなす二重折り目を有している。プリーツ530は、不織布の源シートがSAP堆積後にベース不織布‐SAPのウェブに向かって一直線に運ばれているときに、当該不織布の源シート上に形成され得る。一般的に当該技術分野において知られているように、一対の互いに向かい合った折り目を移動中のシート上につけることによって、プリーツを形成することができる。図示の実施形態では、一対のプリーツ530が各ポケットPについて設けられ、かかる一対のプリーツは、SAP535が膨潤してポケットPを満たすときに所望のポケット輪郭形状を達成するように配置される。折り目又はプリーツ530は、アクティブになる前の状態ないしより薄い状態からアクティブになった後の状態ないしフル(一杯)になった段階(及びこれらの間の他の膨潤状態)へのポケットPの移行を容認するよう寸法決めされている。ユーザの快適さを損ねることなく、しかも折り目又は縁部によって皮膚をはさむという危険を冒さないように、滑らかな頂面及び輪郭形状を維持することが望ましい。この点に関し、折り目及びプリーツの数及び寸法は、最適結果を達成するよう、標的膨潤能力及び移行性能と協調されるのが良い。伸長可能な基材をSAP凝集体を覆って被着させた後、結果として得られる複合材を1つ又は2つ以上のエンボス加工ロールに係合させて、所望の結合又はポケットパターンをつけるのが良い。
【0096】
図5Bは、完全SAP膨潤状態及びアクティブになった後の状態の吸収複合材520を示している。各ポケットPに関し、折り目又はプリーツは、もはや明らかではなく(完全に広げられている)、その代わりに、鋭利な縁部又はピークにより特徴付けられる表面不連続部ではなく、幾分丸形の頂面を示している。別の実施形態では、伸長可能な基材(例えば、
図5A又は
図3A~
図3Dに示された基材)を有するポケットを、ポケット拡張又は境界破断のための他の手段と関連して用いることができる。例えば、
図3又は
図5のポケット形態を、
図2Eの破断可能な結合パターンと共に用いることができる。例えば、使用中及びポケット内への液体移動時、SAP膨潤に起因した圧力が頂面を最初に伸長させるように作用するように、折り目パターンと結合点寸法決めとを協調させるのが良い。ポケットの内容物をポケット容積の増大によって受け入れることができない場合、結合点のうちの或る特定のものが、破断するよう設計されるのが良い。他の設計例では、吸収コア設計により、或る量の結合部破断が伸長可能な基材の伸長と同時に又はこれに先立って生じる、ということを必要とする場合がある。
【0097】
<プログラムされた結合部破断>
【0098】
別の実施形態では、コア構造体は、動的な境界又は能力を有するポケット、及びかくしてボイド空間を増大させる機構体、を有している。具体的に説明すると、機構体は、収容されたSAP材料に対する制約を緩和するべくトリガ(起動)してポケット境界又は破断を可能にするように構成されている。具体的に説明すると、ポケット相互間の結合部は、破断し又は開いて、SAPがポケットの最大容量を超えて引き続き膨潤できるようにされている。一実施形態では、結合部線に不連続部が設けられ、それにより残りの結合ストリップ又は結合箇所の強度は、SAP膨潤圧力よりも低い、というように設計される。
【0099】
別の実施形態では、層は、超音波結合部位によって固定されるのが良く、超音波結合部位は、SAP膨潤が打ち勝つことができる或る最小しきい強度に合わせて「調整され」得る。さらに、接着剤の使用が、恐らくは、超音波結合と関連して採用されて「調整され」るのが良く、それにより結合パターンを変化させ操作することによって所望の結合部強度が提供される。例えば、より低い結合部強度は、より小さな結合部位によって達成でき、より高い結合強度は、より大きな又はより長い結合部位によって達成できる。他の実施形態では、超音波結合は、より強固な又は永続的な(又は潜在的な)結合部としての役目を果たすことができ、これに対し、接着層部位は、破断可能な結合部又はバリヤとしての役目を果たす。SAP膨潤及びポケット容量拡張の異なる態様は、かかる操作及び結合プログラミングによって達成できる。
【0100】
一用途では、加熱状態のカレンダーロール(又は超音波結合)が不織布層を結合点のところで加熱し、溶解させ、融和させるために用いられる。一般的に言って、幅1mm未満の結合点は、通常の使用中にポケット内での75%(膨潤能力の)SAP膨潤が起こった際に破断する。直径1mmを超える結合点は、破断することがないか後で破断することが観察された。
図2Eは、本発明に従って、破断可能な結合部を採用した実施形態としてのポケットパターン240″及び吸収複合材の形態を示している。吸収複合材は、菱形のポケットを形成する間欠的(互いに間隔を置いて配置された)結合点T1,T2を有する菱形エンボス加工パターン240″を利用している。このパターンでは、結合方向線の交差部のところに配置された結合点T2が、永続的な結合部であるように寸法決めされ、他方、交差部相互間の結合点T1の全てではないとしても大部分は、破断可能である。交差部のところの結合点T2は、約1.5mmの直径を有し、中間の結合点T1は、約1.0mmの直径を有している(交差部の結合領域のサイズの約半分である結合領域を提供する)。これらの小さな結合点T1の多くは、高いSAP膨潤状態(隣接のポケットの)で破断することが見込まれる。
【0101】
別の実施形態では、感水接着剤を積層の際に用いることができる。当該接着剤は、水と接触して湿潤したときに弱くなり、増大する膨潤圧力によって壊される。水溶性結合部を形成するために用いられる接着剤は、成分として、エチレンビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコールを含む、樹脂を水溶性にするポリマーを用いるのが良い。
【0102】
さらに別の実施形態では、ホットメルト結合を利用して(例えば、熱可塑性粒子)プログラム可能で破断可能な結合部位としての役目を果たすことができる。この機構体では、ホットメルト/SAP組合せは、吸収物品の製造中及びその受動的な使用中、接着剤としての役目を果たす。SAPは、湿潤されると、膨潤して弱くなり、その後破断する。他の提案する結合部位機構体の場合と同様、ホットメルト/SAP結合部位は、所望の破断及びポケット容積拡張効果を達成するよう、他の結合機構体のうちの1つ又は2つ以上と関連して用いられても良い。
【0103】
<基材制御>
【0104】
幾つかの実施形態では、容積拡張は、動的な複合材層又はコンポーネントを用いることによってもたらされる。一技術では、1つの層が、SAP粒子の凝集体がポケット容積を超えて膨潤することによって壊される比較的弱い材料によって提供される。例えば、中間層、例えば
図3Cの基材Bは、開いているか、もしくは、膨潤中のSAP凝集体によって破れて、ボイド能力を拡大するようなティッシュ材料で作られるのが良い。当該材料の適当な候補としては、湿潤時に伸張する乾燥クレープティッシュが挙げられる。低い湿潤強度ティッシュ(例えば、低坪量のティッシュ)も選択でき、かかるティッシュは、湿潤時に弱くなり、そしてSAP膨潤により容易に打ち負かされる(破れる)。第3の材料オプションは、スリット入りの基材である。第4のオプションは、膨潤中のSAPによって及ぼされる力によって開くことができるよう、弱められ又はミシン目が設けられた材料である。これらの実施形態では、膨潤したSAPは、もはや、コアの材料コンポーネントによっては完全には収容できない。この膨潤したSAPの貯蔵及び封じ込めのための措置が、吸収物品の他の要素内に作られることが必要である。いずれの場合においても、液体との接触時又はSAPのひとまとまりで膨潤している凝集体によって提供される圧力の増大により、層は、SAP凝集体をポケットの初期固定容積を超えて連通するように開く。
【0105】
「ティッシュ」は、一般に、合成不織布とは異なり、(紙)セルロースを主成分とした不織布である。好ましくは、ティッシュは、これが破断可能な基材として機能することが意図されている場合、吸収複合材の底部又はベース層として設けられる。そして、ティッシュは、液体を収容するためにその下のバックシートによって容易に支持され得る。好ましい設計例では、ティッシュ層の下に拡張(収容)空間を残すようにバックシート及びティッシュ層を寸法決めする及び/または固定することが有利である。例えば、バックシートは、完全に又はしっかりとコアに結合されなくても良い。変形例として、嵩張った不織布層がより厚い輪郭形状を提供するよう採用されても良い。
【0106】
<別のコア複合材の設計上の検討事項>
【0107】
SAPが繊維状ネットワーク又は他のマトリックスによって少なくとも部分的に収容され又は不動化されるという幾つかの用途では、マトリックス内へのSAP粒子の堆積を容易にする手順が採用されるのが良い。嵩張った不織布がSAP粒子を安定化するための基材として用いられる実施形態では、SAPを基材上に担持したウェブを振動させ又は揺すぶって支持状態のSAP粒子にエネルギーを及ぼすのが良い。追加されたエネルギーは、マトリックスが個々の粒子を捕捉してマトリックス内に埋め込む能力を高める。別の実施形態では、真空を基材の外部に適用することによってエネルギーがSAP粒子に与えられ、真空は、SAP粒子を基材に向かって且つこの中に引き込む。いずれの場合においても、SAP粒子を基材のウェブ上に堆積させた場所のすぐ下流側に、適当な機器が位置決めされるのが良い。
【0108】
別の実施形態では、異なる吸収特性、即ち、荷重を受けた状態での吸収度(AUL)、吸収速度、又は、凝集体流れ特性、即ち液体透過率、のSAPを特定のMDストライプ内に堆積させるのが良い。例えば、おむつ標的ゾーンの長さとほぼ同じ幅のストライプが中央ゾーンとして設けられ、更に2つのストライプが、第1のストライプの両側に隣接して当接する別のSAP形式を有する。SAP配置は、CDおむつ形成プロセスで利用される。すなわち、製品は、当該製品の長手方向がおむつ変換ライン内で横方向又はCD方向に差し向けられた状態で、形成される。
【0109】
図8A~
図8Cは、3つのコア組成設計パターン(810a,810b、810c)を示しており、これら設計パターンでは、異なる等級又は形式のSAP材料が所望の吸収特性を達成するよう戦略的に(巧妙に)位置決めされている。横方向(CD)プロファイリングとして説明できる技術では、コアの或る特定の中央集中標的領域ないしゾーン822が荷重を受けた状態での高い吸収度(AUL)及び高い透過率を有する吸収の遅いSAPを有している。これとは対照的に、外側領域ないしゾーン824は、低いAUL及び低い透過率を有する吸収性の低いSAPを有している。その作用効果は、中央領域824内の初期取り込みが吸収の遅いSAPによって部分的にしか吸収されず、過剰の流体流れが外側領域に分配され、そこで迅速に吸収され貯蔵される、ということにある。高い性能は、主として、第1のSAPの低い吸収速度又は高い透過率に起因して初期液体おもらしが広がっておむつの端部まで流れることが促されることで達成され、それにより、液体は、標的ゾーンを通って端部領域中へと流れることができる。次の取り込みのため、中央領域は、追加流体の何割か又は全てを受け入れるべく、残りの能力を提供する。
【0110】
<SAP透過率>
【0111】
本発明の目的のため、約40ダルシーを超えるSAPゲル床透過率が、高い透過率のSAPであるとみなされる。約5ダルシー未満の透過率が、低い透過率のSAPであるとみなされる。この点に関し、ゲル床透過率は、ブッフホルツ・エフ・エル(Buchholz, F.L.)及びグラハム・エー・ティー(Graham, A.T.),「モダン・スーパーアブソーベント・ポリマー・テクノロジー(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons ),1998年,p.161に記載された方法によって切断された40~50メッシュ粒径上で0.9パーセント生理的食塩水を用いて0.3psi荷重下で測定される。当業者には知られているように、「ダルシー」という用語は、透過率のCGS単位である。1ダルシーは、固体の両側相互間の圧力差が1気圧である場合、1センチポアズの粘度を有する1立方センチメートルの流体が、厚さが1センチメートルであり断面が1平方センチメートルである部位を通って1秒で流通する固体の透過率である。透過率は、面積と同一の単位を有することが分かっており、透過率のSI単位がないので、平方メートルが用いられる。1ダルシーは、0.98692×10-12m2又は約0.98692×10-8cm2に等しい。
【0112】
<吸収速度>
【0113】
一般に、大抵の市販のSAPは、40秒から90秒までの範囲の渦時間を有する。40未満の渦時間は、本発明の目的上、速い又は高い吸収速度SAPと考えられる。100秒を超える渦時間は、本発明の目的上、遅いと考えられる。当業者によって理解されるように、渦時間試験は、所定の質量の吸収ポリマーが磁気的攪拌プレート上で1分当たり600回転で50ミリリットルの0.9重量パーセント塩化ナトリウム溶液を攪拌することによって作られる渦を閉じるのに必要な時間を秒単位で測定する。渦が閉じるのに要する時間は、吸収ポリマーの自由膨潤吸収速度の指標である。
【0114】
<AUL(荷重を受けた状態での吸収度)>
【0115】
本発明の目的上、0.09psiの荷重で約15g/gを超える吸収度が、高いAULであるとみなされる。当業者によって理解されているように、試験は、規定された圧力に対して0.9%生理的食塩水を吸収する超吸収体の能力を測定する。試験手順では、超吸収体を、底部としてのスクリーン布を有するプラスチックシリンダー上に配置する。所望の圧力を与える重量又は荷重を頂部に載せる。次に、シリンダー構造体を液体源上に配置する。超吸収体を1時間浸漬させ、吸収能力をg/gで算定する。これについては、欧州規格EDANA ERT442―圧力を受けた状態での吸収率又は荷重を受けた状態での吸収度の重量測定-を参照されたい。また、米国特許第5,601,542号明細書の第12欄のAUL試験も参照されたい。
【0116】
図14は、吸収複合材のシートを本発明に従って製作することができるシステム1400及び方法を、単純化された態様で示している。一観点では、
図1Dの上述したシステムは、SAP変形例を横機械方向に呈する吸収複合材を製作するために
図14のシステムの要素を組み込むよう改造され得る。上述したように、第1の布ないし基材1425のウェブ又はシートを運搬して平坦な表面を提供することが好ましい。異なる形式のSAP1435を分離して各移動中の基材1425に対して戦略的に(巧妙に)位置決めされた孔を通ってSAP形式を堆積させる手段を備えたSAPディスペンサ1480の下に、基材1425が通される。図示の実施形態では、小出し孔は、SAPを互いに間隔を置いて配置された箇所のところで堆積させるよう位置決めされており、これらの箇所は、移動中の基材1425上にSAPの横方向に間隔を置いて位置したレーン1437を作る。さらに、SAPのないレーン1439がSAPレーン1437相互間に設けられる。
【0117】
SAP堆積に続き、第2の布1455がSAPレーンに被着されて所望のラミネートを作る。必要に応じて、結果的に得られたラミネートが結合領域1442に通されて所望の結合パターン1440がラミネート上に施される。ラミネートから取られる吸収複合材では、SAPのストリップ相互間のSAPのないレーンは、この中に受け入れた液体を迅速に方向付けるチャネルとして働くことができる。
【0118】
SAPのないレーンは又、シートをSAPディスペンサ1480に通す前に、折り目を基材1425に設けることによっても形成できる。
図14を参照すると、折り目は、SAPのないレーンが示されている場所に配置されるのが良い。この実施形態では、SAPディスペンサは、折り目を覆う場所を含めて、基材1425を横切ってSAPを全体として一様に塗布するよう選択される及び/または作動される。ホットメルト接着剤は、SAPを基材に固定するためにSAPに塗布される。しかる後、折り目を開いて(例えば、テンター装置によって)SAPのないレーンを露出させるのが良い。吸収複合材の別の実施形態では、折り目を開くのではなく、完成状態の吸収コア複合材内に維持される。このように、基材1425は、使用中、SAP膨潤によってアクティブにされ得る伸長可能な基材として機能する。
【0119】
加うるに、上述した構造に追加できる別の特徴は、標的領域、特におもらし箇所から離れて位置する端部ゾーン(外側ゾーン924)、内に堆積した第2のSAP混合物に対する僅かな百分率のイオン交換粒子907の追加である。尿がSAP材料(S)の床を通っている時、尿のイオン強度は、SAPがその水含有分を吸収するので、増大する、ということが知見された。これは、
図9Aの図に示されており、
図9Aは、おもらしのための吸収コア910の受け入れ領域922と、中央ゾーン922内での初期受け入れ後におけるコア910内の液体の典型的な移動状態(方向を示す矢印参照)と、を示している。コア910の周囲は、一対の端縁EE及び一対の側縁SEで定められている。コア910の主要なおもらし標的922(ここで、液体は典型的にはコア910によって受け入れられる)は、全体として、当該規定された周囲の中心に且つこの周りに位置している。
図9Aの方向を示す矢印は、受け入れ後における液体の全体的な前進又は広がりを示している。
【0120】
図9Bのグラフ901は、
図9Aのコア910の膨張と一致するよう描かれている。グラフ901は、液体がコア910に沿って移動しているときの液体のイオン強度の変化、及び、SAP吸収能力に対する当該変化の効果を示している。一般的に言って、SAPの吸収能力は、吸収されている液体のイオン強度が増大すると、減少する。これについては
図9Dのグラフ903を参照されたい。吸収されている液体のイオン強度の増大につれてSAP膨潤が減少するので、液体源から最も遠くに位置し且つより高いイオン強度を有する液体に接触するSAP(S)は、より低い膨潤特性を呈することになる。
【0121】
図9Cのグラフ902は、コア910の同一領域のSAP吸収能力に対するイオン交換粒子の導入の効果を示している。これらSAP領域(S)(特に、端部ゾーン924)内を含む液体の経路に沿うイオン交換粒子の導入は、そこで吸収されている液体のイオン強度を低下させ、それによりSAPの吸収能力を維持する。流体経路中のイオン交換粒子907は、コア910の端部に達する尿のイオン強度を低下させることによって、SAPの能力を回復させる。したがって、例えば、陽イオン交換樹脂が、尿中に存在するCa
++及びMg
++のような多価陽イオンを除去する又はこれらの濃度を低下させることができ、それ故、尿のイオン強度を効果的に低下させることができる。典型的な陽イオン交換樹脂は、SAP含有量1~10%で用いられるDow Amberlite 200C Naである。
【0122】
したがって、より高い性能が、当該構成により達成される。と言うのは、SAP(S)によって端部ゾーン(924)のところでより多くの液体を吸収することができるからである。
【0123】
さらに別の実施形態では、比較的SAPがない幅狭のレーンが、スリットラインのところで結合されて封止されるおむつ幅ストリップを製作する際に用いられるストライプを作る目的で形成される。数個のおむつ幅ストリップをこの方法により想定される材料から切断できるので、封止された縁部を有するこれら幅狭のストリップを作ることは、幾つかの利点を有する。これら利点としては、次の取扱工程中の潜在的なSAPの損失を最小限に抑えられることが挙げられる。これは又、おむつ中に組み込まれるときに別個のコアラップの必要性をなくす。
【0124】
SAPのないレーンは又、次の加工において結合部線を受け入れるのに容易に役立ちうる。加うるに、これらレーンは、複合材設計の必要な折り目線を提供することができる。
【0125】
別の実施形態では、ホットメルト接着剤の液相/スプレー塗布を利用して、更に別の形式のバインダ又はマトリックスを提供してSAP粒子を安定化させ部分的に不動化させる。押出しプロセスで、ホットメルト接着剤を小さな穴中に押し込み、これらの穴は、空気減衰方式と組み合わさって、細長いポリマーストランド又は繊維を作る。基材上に堆積されると、細長いポリマーストランドは、SAP粒子を保持することができる繊維状ネットワークを作る。
【0126】
図15の単純化された図は、繊維状ネットワークをつけるために採用できるシステム1500を提供している。上述したように、SAPディスペンサ1580を用いると、SAP1535を移動中の布又は基材1525上に堆積させることができる。図示の実施形態では、基材1525がディスペンサ1580の下を通る際に、基材1525の平坦な表面を横切ってSAP1535が一様に塗布される。しかる後、SAP1535を種々の機構体によって定位置に保持するのが良く、かかる機構としては、上述したように、吸引力を基材1525の下面に加えるものが挙げられる。次に、基材1525とSAP1535の組み合わせをホットメルト繊維押出機1586の下に通し、この押出機は、ホットメルト繊維1539を小出ししてこれらをSAP1535及び基材1525上に適用する。その結果得られた組成物1510が、
図15の差込図に示されている。
【0127】
<不織布設計及び選択>
【0128】
コア性能に対する目的を達成するため、種々のコア組成物コンポーネントを変更し又は特別に設計する(個々に又は組み合わせ状態で)のが良い。関心のあるコア性能特性としては、吸収速度及び吸収能力(吸収量)を含む吸収特性、透過性、再湿潤性能、及び構造的健全性が挙げられる。
【0129】
コア複合材は、典型的には、取り入れ物を受け取り、コア内に吸収材料を収容するのに役立つ透過性頂部層を有する。一設計例では、内面よりも目の荒い外面を備えた不織布を選択するのが良い。目の荒い表面は、この上にSAP粒子を容易に受け取るのに役立ち、この点において、SAP粒子を結合して少なくとも部分的に不動化する。これとは対照的に、反対側の表面は、比較的密度が高く、しかも有利にはより不透性である。この表面は、目の荒い表面のところに提供された繊維のネットワークを超えるSAP粒子の侵入を阻止するよう働く。SAP粒子、特に小さいSAP粒子が基材によって受け取られて僅かに包み込まれるが、これらSAP粒子は、基材を通過することが阻止される。上述したように、基材は、目の荒い表面によるSAP粒子の受け取りを容易にするよう付勢され得る。
【0130】
上述した不織布は、「嵩張った」不織布と呼ばれる場合がある。好適な嵩張った不織布材料及び選択のそれ以上の説明については、同時係属中の第‘051号国際公開出願明細書を参照されたい。本明細書で言及している「嵩張った」不織布は、親水性ではあるが吸収性ではない繊維の目の荒い繊維状ネットワークないしウェブを提供する。さらに、本明細書で用いられる嵩張った不織布は、厚さが100μm~10,000μmであり(好ましくは、1,000μm~5,000μm)、坪量が15g/m2~200g/m2(好ましくは、20g/m2~80g/m2)であり、密度が0.01g/cc~0.3g/cc(好ましくは、0.01~0.08g/cc)である繊維状ウェブ材料である。さらに、嵩張った不織布は、300μm~2,000μmの有効細孔直径を有するであろう。
【0131】
別の用途では、基材のうちの1つとして圧密化されているが結合されていないか僅かに結合された不織布を用いることが有利な場合がある。非結合状態の表面は、SAP粒子を良好に埋め込んで支持するのに役立ちうる。しかしながら、外側は、構造的健全性及び不透性を維持するよう結合されるのが良い。別の用途では、非結合状態の表面は、ホットメルト又は赤外線加熱を用いることによって、これへのSAP粒子の付着後に結合されるのが良い。この手順は、これが複合材の不織布層に構造的健全性を与えるので、必要な場合がある又は有利な場合がある。既に結合された不織布層を用いることができるが、定位置結合技術により、SAP粒子を一結合作業で結合して支持することも可能である。ホットメルト又はIRを用いてSAPの付着後に不織布(SAPがつけられている)を結合することによって、SAP包み込み及びそれ故の複合材健全性(一体性)の性質、膨潤特性及び流体流れ又は透過性を変更したり制御したりすることができる。
【0132】
具体的な実施形態では、上述の示唆した用途で用いることが想定された好適な嵩張っている/高いロフトの材料は、「スルーエアボンデッド(through air bonded)」不織布の一形式である。当該不織布は、カーディングされた繊維のウェブ又はマットを用いると共に熱風を用いて繊維が交差し又は接合する箇所で当該繊維を結合することによって、作られる。ウェブ中に「吹き込む」熱風は、繊維を或る程度分離状態に且つ非圧縮状態に保つのに役立つ。したがって、その結果得られた構造体は、かなり目が荒いが、交差する繊維相互間に形成される結合部によって固定される。(これは、伝統的なプロセスとは異なっている。伝統的なプロセスでは、嵩張っておらず且つ定形の不織布が作られ、この場合、繊維の非結合状態のマットが加熱された結合ロールに通され、これらロールは、繊維を圧縮して不織布の薄いウェブを形成し、且つ、エンボス加工された結合パターンを残す)。吸収複合材を製造する例示の方法では、カーディングされた非結合状態の繊維(例えば、PET繊維)のウェブを運び、SAPを当該ウェブ上に堆積させる。次に、熱風又は他の好適な手段を用いてSAPと不織布を定位置で結合する。
【0133】
<ホットメルト塗布設計及び選択>
【0134】
上述したように、一実施形態では、ホットメルト接着剤の液相/スプレー塗布を利用して更に別の形態のバインダ又はマトリックスを提供し、それによりSAP粒子を安定化させると共に部分的に不動化させる。押出しプロセスで、ホットメルト接着剤を小さな穴中に押し込み、これらの穴は、空気減衰方式と組み合わさって、細長いポリマーストランド又は繊維を作る。基材上に堆積されると、細長いポリマーストランドは、SAP粒子を保持することができる繊維状ネットワークを作る。
【0135】
別の方法では、粉末状ホットメルト接着剤粒子を超吸収性粒子と混合するのが良く、非結合状態のホットメルト粒子及び超吸収性粒子の混合物を不織布基材に塗布する。熱を当該複合材に加えることによって、ホットメルト接着剤粉末が溶融してSAPと不織布基材を結合する。熱を加えることは、IR(赤外線)法、加熱状態のカレンダーロール又は他の手段によって達成できる。
【0136】
設計要素としてのホットメルト材料及びプロセスの選択は、特に改良された製品性能を達成することができる。別の用途では、ホットメルト粒子と超吸収性粒子の比は、SAP膨潤の際の乾燥健全性と制約との最適なバランスを達成するよう選択される。SAP粒子とホットメルト粒子の個数の比は、例えば、SAP粒子1個当たりホットメルト粒子が貢献する結合点がどれほど多く可能であるかを決定することになる。この比は、各コンポーネントの重量百分率、粒径分布状態及びポリマー密度によって定められる。例えば、次の通りである。
【表3】
【0137】
この場合、最適接着剤含有量は、SAPの粒子1個当たりのホットメルトの1つの粒子として定められ、一様な混合が想定される。図示の比は、市販のSAP及びホットメルト粒子のためのものである。
図9のチャートは、SAP材料であるSAP(日本触媒製のW‐112)についての粒径分布状態を提供している。ホットメルト粒子は、アビフォー(Abifor)社から市販されている材料であり、
図10に提供されている粒径分布状態を有する。ホットメルトのSAPに対する重量比は、SAP含有量1%から30%までであるのが良く、好ましくは4%から12%までの範囲にある。
【0138】
設計要素としてのホットメルト材料及びプロセスの選択は、特に改良された製品性能を達成することができる。幾つかの用途では、感水ホットメルト粒子をボイド空間(膨潤容積)を増大させる機構として使用できる。具体的に説明すると、湿潤に対して敏感であり(例えば、SAPを主成分とするホットメルト)、かくして吸収コアポケット内への液体取り込みの受け入れに敏感であるホットメルトが選択される。これらホットメルト粒子は、その周りのSAP粒子が液体吸収により膨潤すると、ばらばらになる。これにより、ホットメルトの結合からSAP粒子が解除され、それによりSAPは、非制約状態で膨潤することができる。水溶性ホットメルトの一例は、改良型ポリビニルアルコール樹脂(日本合成社製のGohsenx L シリーズ)である。感水ホットメルトの一例は、Hydrolock (HBフラー(HB Fuller))である。
【0139】
<SAP選択及びSAP凝集体構成>
【0140】
上述したように、SAP凝集体のポケットは、コア複合材を横切って一様に提供され又は分布される必要はない。ポケット寸法形状、ポケット容積、SAP体積、SAPの体積とポケット容積の比、及びSAP濃度、のばらつきを操作して性能に関する目的を達成するのが良い。これら設計上のパラメータに加えて、SAP凝集体を含むポケットの分布又は成分を設計要素として変化させることができる。
【0141】
種々の実施形態では、吸収複合材設計は、SAP粒子の粒径及び分布状態を考慮に入れている。一般的な指針原理として、SAP組立体の透過性は、粒径につれて比例的に増加する(大きなSAP粒径は、最も高い透過性を有する)。例えば、粒径を2倍にすることにより、SAP組立体の透過性が2倍になる。さらに、SAP組立体の透過性は、加重又は膨潤制約につれて減少する(効果は、小さなポケットで見られる)。最後に、透過性は、飽和度の増大につれて減少する(初期の25%飽和度の後)。
【0142】
一実施形態では、SAP凝集体の構成は、不織布層の表面に入り込む小さな粒子と一般的に不織布表面の上方に留まる大きな粒子との或る特定の混合物を含むよう選択されるのが良い。不織布表面は、少なくとも部分的に所望の粒子濾過効果に基づいて調製され又はあらかじめ選択されるのが良い。その結果として、不織布とSAPのインターフェースのところで、SAP粒子が層状になる(例えば、
図11の吸収複合材1110を参照されたい)。SAP粒子のかかる層状化及び分離は、形成される分離層の流体取り込み挙動を変更するよう利用され得る。大きな粒子で形成された層は、小さな粒子で形成された層と比較して、高い透過性を有することになる。かかる構成は、おもらし中における液体の横方向流れを促進することができ、その結果、一層の流体の分布及び広がりが生じる。濾過技術を助けるため、製造プロセス中に不織布を付勢してSAP中の粒子の分離を与え促進するのが良い。
【0143】
好ましい複合材を製造する方法では、多層コア基材を仕様に従って供給業者によってあらかじめ製作するのが良い。好適な「スルーエアボンデッド不織布」は、PP/PE/PET繊維をくしけずって(櫛で処理して)ウェブ中に入れ、次に、熱風を不織布中に吹き込んで当該ウェブを結合することによって、単一のプロセスで製造できる。その結果、熱ボンド又は結合部が交差繊維相互間に生じる。一般的に当該技術分野において知られているように、多層構造体は、不織布の異なる層を各々の頂部上でくしけずることによって形成できる。例えば、3つの櫛が不織布の3つの異なる層を構成するよう提供されるのが良く、各層は、繊維、密度、及び厚さの異なる組合せを有する。好ましくは、あらかじめ作られた多層基材のロールを製造ライン上に運び、そこで、SAP混合物を移動中のコア基材上に堆積させる。
【0144】
変形例では、多層コア基材をオンサイトで且つ更にオンラインで作ることができる。例えば、高いロフトの不織布の3つの別々のロール又はシートを送り出して(例えば、巻き出して)これらを組み合わせて多層ウェブにすることができる。ホットメルト接着剤の層を不織布の各層相互間に被着させる(例えば、スプレー又はスロットホットメルトコータによって塗布する)ことによって、層を結合するのが良い。変形例として、不織布層は、加熱状態の彫刻/パターン付けカレンダーロールをウェブ上に当てることによって、点又は線結合されても良い。超音波結合方法もまた、採用され得る。いずれの場合でも、熱又は超音波結合を、多層コア基材上にSAPを堆積させる前又は堆積させた後に実施することができる。
【0145】
コストを減少させると共にプロセスの複雑さを軽減するため、各層用のSAPの各々を他のSAP成分と同時に多層基材に結合してこの上に送り出す。所望の粒径及び範囲を有するSAP等級が選択される。異なる密度の不織布の配置は、SAP粒子を分離してこれらを適当な層の中に配置するよう働く。しかしながら、或る特定の用途は、意図したコア基材層上への直接的な、異なるSAP集団の別個の且つ独立した堆積を必要とする場合がある。一例では、最も小さなSAP粒子を最も高い密度の層上に直接つけ、中程度の粒径を中間層につけ、そして最も大きな粒子を最も密度の低い(及び頂部/本体側)層につける。より具体的な例では、最初に底部不織布層を運搬し、次に小さいSAP粒子を供給して被着させる。次に、中間層を第1の不織布層に被着させ、次に中程度のサイズのSAP粒子を中間層の露出表面上に直接堆積させる。次に、頂部不織布層をSAP飽和中間層上に被着させ、次に、大きな粒径のSAPを頂部不織布層上に直接堆積させる。
【0146】
或る特定の実施形態では、吸収コア複合材を組み込んだ使い捨て吸収物品は、トップシート及びバックシートを有することになる。コア複合材をトップシートとバックシートとの間にサンドイッチし、トップシートは、体側ライナ又はカバーとなる。別の実施形態では、コア複合材の体側材料層は、トップシートとして機能し、それによりトップシートを不要にする。
【0147】
この説明の目的上、密度が低い不織布、密度が中程度の不織布、密度が高い不織布は、それぞれ、密度が0.01~0.03g/cc、0.03~0.08g/cc、及び0.09~0.12g/ccの不織布である。密度が低い不織布層、密度が中程度の不織布層、及び密度が高い不織布層の好ましい厚さは、それぞれ、1.5mm~5mm、0.6~3mm、及び0.15~0.6mmである。仕様は、以下の表1に示されているように、不織布の坪量及び密度に依存する。吸収複合材の設計上の要件を満たすために、密度が低い不織布、密度が中程度の不織布、及び密度が高い不織布を好適に選択する際、以下の表1を参照するのが良い。さらに、好ましい不織布は、典型的には多数のフォーマによるカーディング技術を用いて各層について異なる繊維デニール及び密度を有する市販の多層ウェブである。かかる好適なウェブの一例は、ベルギー国所在のリベルテックス・ノンウォブンズ(Libeltex Nonwovens)社から入手できるADL(収集-分布層)として代表的に用いられる二重又は三重層構造体である(Dry Web TDL2, Slim Core TL1, TL4, TL5)。
【0148】
【0149】
典型的なコア複合材が、約100gsmから500gsmまでの範囲のSAPを有する。この量のうちの約5%~75%が、吸収複合材の単一の層内に位置するのが良い。最も高い密度層は、全SAP量の約0.5%から5%という少ない量を有するのが良い。注目されるべきこととして、幾分かのSAPは、不織布層上に全く侵入せず、外面上に位置してもよい。例示の2層構成例では、第1の又は高密度層(これは、一般に、この上に位置する不織布層を通過する)について標的とされるSAP粒子の平均サイズ寸法(即ち、幅又は直径)は、0~300ミクロンである。第2の又は低密度層は、代表的には300~850ミクロン範囲のいわゆる中程度のサイズ及び大きなサイズのSAP粒子を含むより大きなサイズの粒子を含む。3層複合材では、中間層に侵入しないことが見込まれる大きなSAP粒子は、頂部ないし低密度不織布層内に保持されることになり、600ミクロンを超える(600~850ミクロン範囲にある)平均サイズ寸法を有し、中程度のサイズのSAP粒子は、中密度不織布層で300ミクロンから600ミクロンまでの範囲にある。したがって、小さなサイズの粒子は、高密度不織布層で0ミクロンから300ミクロンまでの範囲にある。
【0150】
図11は、上述した多層形態を有する吸収複合材1110の側面断面図である。高密度不織布は、ベース層NW1として役立ち、これは、小さなSAP粒子の代表的な集団を収容した状態で示されている。中間層NW2は、中程度の密度の不織布によって提供され、これは、中程度のサイズのSAP粒子S2の代表的な集団を収容する。最後に、中間層NW2の上に位置する低密度の目の荒い不織布は、頂部層NW3を提供し、この頂部層は、使い捨て吸収性粒子中に組み込まれるものとして、体側(複合材の層のうちでユーザの皮膚に最も近いもの)且つ恐らくはトップシートに隣接して位置する。
【0151】
幾つかの実施形態では、SAP粒子は、多層複合材中に良好に侵入し、この中に結合されるのが良い(例えば、ホットメルト粒子、スプレーホットメルト等を塗布することによって)。追加のカバー層は不要である。使い捨て吸収性物品を製造する際、トップシートを多層複合材に直接被着させる。他の実施形態では、追加の不織布層又は組織が複合材を覆うカバー層として被着され、それによりSAPを更に固定する。変形例として、追加の不織布又は組織を多層複合材構成体回りにぐるりと(包囲した状態で)巻き付けても良い。別の変形実施形態では、ホットメルト繊維が多層構成体の頂面上に吹き付けられてSAPを定位置に維持する。
【0152】
注目されるべきこととして、上述の粒径決定、及び、対応の設計又は方法におけるかかる粒子の選択は、主として、SAPを小出しするよう作動される機器によって実施される。好適な用途では、ふるいが、適当なスクリーン又はメッシュを備えている。当該スクリーン又はメッシュは、分離されるSAP粒子のサイズに特有である。さらに、SAP粒子の分離及び/又は混合は、部分的に又は全体的に、プロセス内で、SAP堆積に先立って又はこれと関連して、或いは製造プロセスに先立って、実施されるのが良い。
【0153】
上述の説明及び
図11に従って吸収構成体を提供する吸収コア複合材シートは、SAP堆積及び固定に続き、結合されてSAPを更に固定するのが良い。上述したように、シートに施される結合パターンが、SAP凝集体のポケットを作る。例えば、
図2と関連して上述された菱形エンボス加工パターンを用いて、外側の不織布層を結合することができる。変形実施形態では、複合材シートにスリットを入れると共に長手方向に切断し、それにより多数のコア複合材又はシートを作ることができる。かかる用途では、スリッティングのための源コアシートを、一様な厚さで且つポケットがない状態で送り出すのが良い。
【0154】
ホットメルト粒子をSAP保持凝集体のためのバインダとして用いる場合、ホットメルト粒子に対するSAP粒径及び量は、SAP性能を向上させ又は保持する上での設計上の考慮事項であると言える。一般に、ホットメルト粒子の量は、SAPを結合する上で適切でなければならない。しかしながら、過剰のホットメルト粒子又は材料は、SAP粒子の能力及び吸収速度を減少させるよう働き得る。これは、ホットメルト材料が場合によってはSAP粒子を被覆し又は遮断し、更に運動及び膨潤を制限すること、に起因している。好ましい実施形態では、ホットメルト粒子とSAP粒子との比は、1:1である。
【0155】
別の実施形態では、SAP凝集構成体は、球形及び/又はフレーク形態のSAP粒子と超吸収繊維形態(SAFと呼ばれる場合がある)のSAPの組合せを含むのが良い。特定の組合せ及び比が、所望の流体又は吸収特性並びに構造的特性を達成するよう選択され得る。例えば、嵩張った層が球形SAPと超吸収性繊維との組合せを備えた状態で用いられる実施形態では、小さな球形SAPは、嵩張った不織布の目の荒い繊維状表面に重力の作用で沈んでこれに入り込む。これとは対照的に、超吸収性繊維は、表面の頂部上に定置する傾向がある。
【0156】
別の実施形態では、SAP凝集構成体に、小さな不活性粒子が取り込まれ又は浸透し、これら小さな不活性粒子は、これら自体大きなSAP粒子相互間に位置する。この間隔の増大により、SAP凝集体の透過性が高くなる。凝集体内の有効ボイド容積は、この間隔に起因して増大する。その結果、凝集体内に位置するSAP粒子は、ゲルブロッキングを生じる可能性がほとんどない。好ましくは、離隔用粒子は、SAP特性を変更しないよう不活性であり、しかも凝集体、ポケット、又はコア複合材の体積(容積)をそれほど増大させないほど十分小さい。
【0157】
好適な不活性粒子の一例は、イオン交換樹脂粒子(上述している)である。このモードでは、不活性粒子は、標的領域として意図された区分を含む吸収複合材全体にわたって分布しているのが良い。上述したように、イオン交換粒子の追加は、標的ゾーンのところ且つコア全体にわたってSAPの能力を高めるのに役立つ。と言うのは、これは、到来する流体(尿)のイオン強度を減少させることになるからである。これらの用途で用いられる代表的なイオン交換樹脂粒径は、サイズが約300~400ミクロンであろう。離隔用粒子の別の好適な且つ容易に利用できる源は、微孔性シリカゲルビーズである。シリカゲルは、硬質の定型ビーズの形態で合成的に作られる二酸化珪素の非晶質形態である。これは、微孔質構造を有し、典型的には、高容量乾燥剤として用いられる。ゲルビーズは、150ミクロンから2,000ミクロンまたはそれ以上の適当な粒径で入手できる。スペーサとしての機能に加えて、シリカゲルは、他の成分、例えばフレグランス及び防臭剤、のためのキャリヤとしても使用可能である。これら成分は、微孔質ビーズにあらかじめつけられ、SAPを堆積させる時にビーズ内に収容されることになる。
【0158】
図示のように、
図12は、不活性粒子(ii)の助けがある状態又はない状態で吸収コア複合材中に見受けられるSAP粒子Sの分布及び相互間隔の全体図を提供している。
図12の左側部分では、SAP粒子(S)の通常の分布状態が所与の容積又は面積に比較的密集した状態で示されている。次に、不活性粒子(ii)とSAP(S)の接合集団が同一の面積又は容積中に導入される。
図12の右側に示されているように、不活性粒子(ii)は、これら自体、SAP粒子(S)相互間に位置する。その結果、SAP粒子相互間の間隔は、不活性粒子が空間のうちの何割かをランダムに占めている場合であっても増大する。同一面積内には、SAP粒子(S)が少ない。
図12では、不活性粒子の平均寸法(即ち、直径)は、SAP粒子の平均寸法の約40%未満である(説明のため)。しかしながら、注目されるべきこととして、
図12は、その領域だけを示している。SAP粒子相互間の実際の空間は、三次元であり、かくして、SAP粒子と不活性粒子(ii)との間の容積(面積ではない)の増加は、面積計算値よりも1桁高い。
【0159】
別の実施形態では、SAP凝集構成体は、離隔機能を実施するよう水溶性粒子を含むのが良い。しかしながら、この構成例における離隔用粒子は、液体取り込み時に溶解する。これは、更に追加のボイド容積を提供すると共にSAP膨潤を許容するのに役立つ。水溶性粒子の好適な源の一例は、ポリビニルアルコールである。低分子量の低温における水溶性PVOH(即ち、Selvol 203 (Sekisui SC), Poval PVA-203(Kuraray) )を用いるのが良い。
【0160】
ホットメルト接着剤が用いられる更に別の実施形態では、感熱揮発性粒子がスペーサ又は離隔用粒子として用いられる。結合ステップにより熱が加えられてホットメルトを活性化させると、スペーサ粒子は蒸発し、後にはSAP、ホットメルト粒子、及びSAP粒子相互間に追加のボイド空間が残る(
図13を参照されたい)。当然のことながら、好適な揮発性粒子の選択は、可能な限りの安全性及び実用上の懸念を考慮に入れる必要があり、かかる懸念としては、材料を活性化させるのに必要なエネルギーのレベルが挙げられる。当該材料は、堆積のためにSAP混合物に組み込まれる固体形態の材料であり、熱又は真空が加えられると蒸発する。考えられる源は、ドライアイス及びイオジンである。
【0161】
図13は、上述の種々の機構及びSAP凝集体成分相互間の相互作用を示す図形チャート1300である。図形チャート1300の4つの行又はパネルの各々は、吸収複合材の代表的な部分内のSAP粒子及び離隔用粒子を含む非吸収性粒子の詰め込み状態(即ち、間隔及び分布)を示している。一番上の行(a)は、SAP集団に対するホットメルト粒子の追加に関する。結合前において、ホットメルト粒子は、SAP粒子相互間の僅かな空間を占める。結合の際、ホットメルト粒子が溶け、後にはSAP粒子相互間に空間が残る。最も右側のフレームに示されているように、SAPは後で膨潤して、SAP粒子相互間の空間の大部分を占める。次の行(b)は、不活性粒子がホットメルト粒子とSAPの混合物に追加されたときの粒子詰め込み状態を示している。第1のフレームに示されているように、不活性粒子は、ホットメルトが結合後に被膜に変換した後であっても、SAP相互間の空間を離隔させるのを助ける。後で、SAP粒子が膨潤し始めたとき、SAP粒子は、ホットメルト粒子によって残されているボイド中に膨張することができる。
【0162】
次の行(c)は、ホットメルトとSAPの混合物への揮発性粒子の追加を示している。揮発性粒子は、SAP粒子を相互に離隔させて透過性を増大させるのに役立つ。最も右に位置するフレームに示されているように、製品の使用中及びSAPの膨潤中であっても、不活性粒子は、引き続きSAPを互いに離隔させるのを助ける。
図13は、最後の行(d)において、SAP‐ホットメルト混合物中への水溶性粒子の追加を示している。水溶性粒子は、ホットメルト粒子が結合後に消えた場合であっても混合物中に残る。しかしながら、水溶性粒子は、ポケットが水分を吸収し始めると、使用中に溶解する。
図13の右側に示されているように、SAPは、SAP粒子相互間の容積を占め、そして粒子を離隔させるのを助けるが、使用中、この空間を膨張中のSAP粒子に与える。
【0163】
図16及び
図17の略図の各々は、上述の実施形態のうちの1つ又は2つ以上に従って吸収コア複合材を製造する例示のシステム(1600,1700)及び方法を示している。
図17に示された方法では、シート又は布1625をスプール1620から小出しし、そしてコンベヤベルト1605上に載せて生産ラインに沿って運ぶ。シート又は布は、完成状態の吸収コア複合材の基材1620となる。種々の好ましい実施形態では、基材1625は、熱可塑性材料の不織布である。シート1625にしわを作り又は波形を与えるプロセスを施し、このプロセスにより、シートの一方の表面をエッチングし又は引っ掻いて、
図4と関連して上述したようにこの上にしわ又は波形部を作る。この実施例では、一対の溝付きロール1686(一方が雌型でもう一方が雄型である)が所望の波形部寸法及びピッチを作るために用いられる。波形部は機械方向に方向付けられる。次に、表面上に被着されるべきSAPに備えて且つ必要に応じて、接着剤を波形表面に塗布する(これについては、接着剤アプリケータ1688を参照されたい)。この実施形態では、2つのSAPディスペンサ1680a,1680bが連続的に用いられて、SAPをしわが作られた又は波形がつけられた表面上に堆積させる。第1のディスペンサ1680aは、移動中の基材を横切ってほぼ全体的にSAPを堆積させるよう動作する。第2のSAPディスペンサ1680bは、SAPを基材の中央領域上に堆積させ、それによりその領域に先に堆積させたSAPの量を補充するよう動作する。SAPの量が長手方向に変化する幾つかの吸収複合材設計例のために、第2のSAPディスペンサ1680bを間欠的に作動させるのが良い。これについては、例えば、
図6のコア設計例及び付随する説明を参照されたい。堆積させた第2のSAPは又、堆積させた第1のSAPとは異なる形式のものであって良く、且つ/或いは、第1の堆積物とは異なる成分を含んでいても良い(例えば、第1のSAPを備えていない非SAP材料を含んでいても良い)。第2のSAPは、例えば、完成状態のコアの中央領域に用いるのに特に有利な特性を示す。この実施形態では、SAPは、シート1625上に固定され、シート1625は、吸引力をシート1625に与える真空システムによってコンベヤベルト1605に固定される。
【0164】
再び
図16を参照すると、第2のシート又は布1655が第2の供給スプールから同時に小出しされて第2のコンベヤベルトに載せられて生産ラインに沿って運ばれる。種々の実施形態では、第2の布1655は、吸収コア複合材のための頂部基材又はカバー層となる不織布である。この実施形態では、頂部基材も又伸長可能である。したがって、第2のシート1655にも、しわを作り又は波形をつけるプロセスが施される。しかる後、しわが作られ又は波形がつけられた表面に接着剤を塗布するのが良く、その後、シートは、主生産ライン1605に至って、SAPで内張りされた第1のシート1625に係合する。この接合部のところで、3層複合材が形成され、そして生産ライン上で送り進められる。図示の実施形態では、複合材を一対のエンボス加工ローラ1660相互間に通して所望の結合パターンを複合材に施してSAP凝集体のポケットを形成する。したがって、結果として得られる吸収複合材は、頂部及び底部の伸長可能な基材を有する複数の間隔を置いて配置されたポケットを備える。中央領域のポケットは、拡張して、中央領域の側部に配置されたポケットよりも多量のSAPを収容することができる。
【0165】
図17は、
図16に示されているシステム及び方法の別の変形例を示している(図中、同一の参照符号は、同一の要素を示すために用いられている)。
図16を参照して説明した吸収複合材と同様、このシステム1700及び方法によって作られる吸収複合材は、伸長可能な頂部層及び伸長可能な底部層を有するSAP凝集体の複数のポケットを提供する。しかしながら、当該吸収複合材は、伸長可能ではない第3のないし中間の層を用いている。当該中間層は、ティッシュ材料で提供されるのが良く、当該ティッシュ材料は、湿潤時に破れると考えられる。かかる吸収複合材構成例が、
図3Cに示されている。
図18に示されているように、第3の基材1765が、2枚のシート1725,1735の中間に、具体的に言えば、SAPで内張りされた第1のシート上に、被着される。次に、SAPが中間シート1765の非波形表面上に堆積され、その後、第3のシート1755がSAPで内張りされた中間シート1765に被着される。結合のためにエンボス加工ローラ1760に係合した後、結果的に得られる吸収複合材は、SAP凝集体の複数の互いに間隔を置いたポケットを備え、この場合、3層ポケットは、頂部及び底部不織布基材上で拡張可能に作られる。
【0166】
注目されるように、上述の種々の例示の説明では、コア複合材(又は使い捨て吸収物品)を製造する際の対応のステップ又はプロセスについての言及が存在する場合がある。当該説明は、必ずしも、製品を製造する観点からのものではない場合があるが、種々の製造又はコア調整の方法論及びこれと関連した機器は、恐らくは当該技術分野における通常の知識又は本明細書に引用した技術文献と関連して、種々の説明を読むと明らかになると考えられる。
【0167】
上記説明は、好ましい実施形態の例示及び説明の目的のために提供されている。この説明は、関連の概念を、本明細書において具体的に説明した種々のシステム、装置、構造体、及び方法に限定するものではない。例えば、種々のポケット設計例を、種々の形式の使い捨て吸収物品で採用することができる。さらに、ボイド空間又は容積を増大する種々の機構(メカニズム)を、製品の吸収性に対する要求に併せて、様々な組合せ及び様々な程度に利用することができる。本明細書において説明すると共に図示した実施形態は、システム及び方法を実施するための最適且つ好ましいモードを説明すること、及び、当業者が本発明の特定の用途又は使用により必要とされる種々の改造を加えた状態で同一の及び他の実施形態を利用できるようにすること、が更に意図されている。