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特許7096816物理蒸着によって製造されるバイオセンサー電極
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】物理蒸着によって製造されるバイオセンサー電極
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/327 20060101AFI20220629BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G01N27/327 353B
G01N27/416 338
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019514310
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017049281
(87)【国際公開番号】W WO2018052711
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/395,416
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ホックステットラー,スペンサー・エリック
(72)【発明者】
【氏名】アシュフォード,デニス・リー,ザ・セカンド
(72)【発明者】
【氏名】サムバンダム,センティル・ネイサン
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-524903(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013478(WO,A1)
【文献】特開2001-341227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料を分析するのに用いるためのバイオセンサー部品であって、前記バイオセンサー部品は、
基材;
前記基材上に堆積されている導電層;
前記導電層上に堆積されている抵抗材料層;及び
前記生物学的試料と電気化学的に反応させるための生物学的反応物質;
を含み;
前記導電層は、ニッケル及びクロムを含み;
前記導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は50~100重量%の範囲であり;そして
記抵抗材料層の厚さは20nm未満である、上記バイオセンサー部品。
【請求項2】
前記バイオセンサー部品が電極を含み、前記電極は作用電極又は参照電極或いは対電極である、請求項1に記載のバイオセンサー部品。
【請求項3】
前記バイオセンサーが血糖センサーである、請求項1又は2に記載のバイオセンサー部品。
【請求項4】
前記バイオセンサー部品が試験片を含む、請求項1~3のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項5】
前記基材が25~500μmの間の厚さを有し、前記導電層が15~200nmの間の厚さを有する、請求項1~4のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項6】
前記導電層が前記基材上にスパッタリングされており、前記抵抗材料層が前記導電層上にスパッタリングされている、請求項1~5のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項7】
前記導電層中のクロムの重量%が約25~約95重量%の範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルであり;前記抵抗材料層が5nmから20nm未満の厚さを有する、請求項1~6のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項8】
前記導電層中のクロムの重量%が、約30~約95重量%、又は約40~約95重量%、或いは約50~約95重量%の範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルであり;前記抵抗材料層が5nmから20nm未満の厚さを有する、請求項1~7のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項9】
前記導電層中のクロムの重量%が50重量%より多く約95重量%までの範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルであり;前記抵抗材料層が5nmから20nm未満の厚さを有する、請求項1~8のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項10】
前記抵抗材料層がアモルファス炭素である、請求項1~9のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項11】
前記抵抗材料層が5nmから20nm未満の厚さを有する、請求項1~10のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項12】
前記導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%が90~100重量%の範囲である、請求項1~11のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項13】
前記抵抗材料層が5乃至20nm未満の間の厚さを有する、請求項1~12のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項14】
前記抵抗材料層が5~15nmの間の厚さを有する、請求項1~13のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項15】
前記基材が可撓性の非導電性フィルムを含む、請求項1~14のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項16】
前記バイオセンサー部品が20%以下の可視光透過率を有する、請求項1~15のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
【請求項17】
バイオセンサーのための電極を形成する方法であって、
(a)基材を用意すること;
(b)導電材料ターゲットを用意すること;
(c)前記基材の少なくとも一部に前記導電材料ターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって前記基材上に導電層を形成すること;
(d)抵抗材料ターゲットを用意すること;及び
(e)前記導電層の少なくとも一部に、前記抵抗材料ターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって前記導電層上に抵抗材料層を形成すること;
を含み;
前記導電層は、ニッケル及びクロムを含み;
前記導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は50~100重量%の範囲であり;そして
記抵抗材料層の厚さは20nm未満である、上記方法。
【請求項18】
前記基材がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、前記基材が25~500μmの範囲の厚さを有し、前記導電層が15~200nmの範囲の厚さを有し、前記抵抗材料層が5nmから20nm未満の厚さを有し、前記電極が20%以下の可視光透過率を有し、前記バイオセンサーが血糖センサーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記導電層中のクロムの重量%が約25~約95重量%の範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記抵抗材料層がアモルファス炭素である、請求項17~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記基材がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、前記抵抗材料層が、アモルファス炭素を含み、5nmから20nm未満の厚さを有する、請求項17~20のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概して電極、例えばバイオセンサーにおいて見られるもののような電極のための物理蒸着部品に関する。より詳しくは、本発明は、非貴金属合金で形成されている電極、例えばバイオセンサー部品において見られる電極に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]生物学的試料の分析において用いるためのバイオセンサーは、ますます普及するようになっている。例えば、世界の人口における糖尿病の症例の増加に伴って、血糖を測定するためのバイオセンサーに対する必要性が劇的に増加している。かかるバイオセンサーは、一般に血糖計として知られており、血糖計に付随する試験片上にユーザーが一滴の血液を配置することによって操作される。試験片は、一滴の血液中のグルコースの量に対して反応性であるように構成されていて、血糖計によってユーザーの血液の血糖値を検出して表示することができるようになっている。
【0003】
[0003]血糖計タイプのバイオセンサーのための試験片は、一般に基材上に形成されている2以上の電極(例えば作用電極と対電極)で形成されている。更に、生物学的試料と反応する生物学的反応物質、例えば酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼなど)、及びメディエーター(例えば、フェリシアニド、ルテニウム錯体、オスミウム錯体、キノン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類など)が、一方又は両方の電極、例えば作用電極上に形成される。血糖計タイプのバイオセンサーの操作においては、一滴の血液を試験片に施す。その後、作用電極上で、血液中のグルコースの量に比例する電気化学反応を起こす。より詳しくは、グルコースはまず生物学的反応物質、例えば酵素(グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼなど)、及び時には酵素補因子(PQQ、FADなど)と反応してグルコン酸に酸化される。生物学的反応物質、例えば酵素、補因子、又は酵素-補因子複合体は、グルコースから酵素、補因子、又は酵素-補因子複合体に移動する2つの電子によって一時的に還元される。次に、還元された生物学的反応物質、例えば酵素、補因子、又は酵素-補因子複合体はメディエーターと反応して、1電子プロセスで還元されるメディエーターの場合には1つの電子が2つのメディエーター種(分子又は錯体)のそれぞれに移動する。メディエーター種が還元される際には、酵素、補因子、又は酵素-補因子複合体は、それにしたがってその元の酸化状態に戻る。次に、還元されたメディエーターが電極表面に拡散して、そこで所定の十分に酸化性の電位をバイオセンサーに印加して、還元されたメディエーターが酸化されてそれらの元の酸化状態に戻るようにする。バイオセンサーによってメディエーター種の酸化によって生成する電流を測定し、血液中のグルコースの量に比例して関連づける。
【0004】
[0004]作用電極の品質は、血液の血糖値の正確な測定において重要な役割を果たす。具体的には、電極の電気活性表面積の再現性、特定のグルコース測定配置における電極の電子移動速度のロット間再現性、及びアッセイの操作中に電極から電気化学信号が生成するようになるための保管中の電極材料の長期間安定性は、全て血糖試験片の向上した正確性をもたらすファクターである。特に、電極の電気活性から生成する電気信号を最小にして、生物学的試料の測定及び分析におけるバイアス又はノイズを阻止することは重要である。通常は、これは、金、パラジウム、白金、イリジウムなどのような本質的に熱力学的に不活性の電極材料を用いることによって達成される。したがって、殆どの現在の血糖計は、作用電極として作動させるため、及び製造を容易にするために、しばしば対電極のため、或いは対電極及び参照電極の複合電極のために、一般に商業的に実用可能な最も純粋な形態のパラジウム、金、又は他の貴金属で被覆された基材から形成される電極を用いている。かかる貴金属は妨害物質との反応性が最小であり、その結果、安定で正確な測定のための向上した耐化学薬品性を与える。しかしながら、電極においてかかる貴金属を用いるコストは非常に高い場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]バイオセンサーの製造コストを減少させるために非貴金属で形成された電極を用いる幾つかの試みが存在している。しかしながら、かかる非貴金属電極は一般に、貴金属で形成されている電極の電気化学応答から大きく偏位する電気化学応答(例えば用量応答(dose-response))を有する。非貴金属材料は、通常はバイオセンサーの通常の電圧において操作する際に生成する高いバックグラウンド電流のために、電気化学的試験片のために用いるのに十分にアノード安定性ではない。更に、非貴金属材料は、通常は所望の分析対象物とのスムースな不均一電子移動を与えない。したがって、非貴金属で形成された電極は、一般に多くのタイプのバイオセンサーのための試験片において貴金属に対する直接的な代替物として用いるのには不適当である。低い電気応答を有することに加えて、バイオセンサー電極はメディエーターとの十分な電子移動速度を有することもまた望ましい。一部の提案されている非貴金属は比較的低い電気化学応答(又は妥当なアノード安定性)を有するが、これらはまたメディエーターとの許容しうる電子移動速度を有しない。
【0006】
[0006]したがって、例えばバイオセンサーにおいて貴金属の使用に対するコスト効率の良い代替物を与えながら、安定で正確な測定を与えることができる電極に対する必要性が存在する。特に、バイオセンサー部品において用いて生物学的試料を安定且つ正確に測定することができる非貴金属合金から形成された電極に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]ここで、非貴金属は、大気条件に曝露すると経時変化現象を起こして、バイオセンサー用途のためのそれらの性能の変動がもたらされる可能性があることが見出された。また、基材フィルム上に非貴金属を堆積させて導電層を形成することによって形成される電極は、バイオセンサー用途のための導電層上に抵抗材料の薄層を堆積させることによって大きく改良することができることも見出された。また、基材フィルム上に非貴金属を堆積させることによって形成される電極は、バイオセンサー用途のために適当な性能を達成するために十分な程度の機械的堅牢性が必要であることも見出された。而して、バイオセンサー部品において用いて生物学的試料を安定且つ正確に測定することができ、処理を可能にし、且つ電気的性能を達成又は維持するために良好な機械的堅牢性を有する非貴金属合金から形成される電極に対する必要性が存在する。
【0008】
[0008]本発明の1以上の態様は、基材、基材上に堆積されている少なくとも1つの非貴金属合金導電層、及び非貴金属層上に堆積されている少なくとも1つの抵抗材料層を含んでいてよい電極に関することができる。導電層はニッケル及びクロムを含んでいてよく、ここで導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は、導電層の全重量を基準として少なくとも約50重量%である。
【0009】
[0009]幾つかの態様においては、導電層はニッケル及びクロムを含んでいてよく、ここで導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は、導電層の全重量を基準として、少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、或いは少なくとも95重量%であってよい。一態様においては、抵抗材料層の厚さは20nm未満である。幾つかの態様においては、導電層は、導電層の全重量を基準として、80重量%未満の量のニッケル及び20重量%より多い量のクロムを含んでいてよい。本明細書の大部分はバイオセンサー部品として用いられる電極に関するが、電極を他の最終用途において同様に用いることができると意図される。その結果、バイオセンサーにおいて用いられる電極に関係する本明細書における任意の開示は、ここではこの技術を当業者によって適切に適用することができる全ての電極に対する適用性を包含すると意図される。
【0010】
[0010]第1の形態においては、導電層はニッケル及びクロムを含んでいてよく、ここで導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は、導電層の全重量(100重量%に等しい)を基準として、少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、或いは少なくとも95重量%であってよく、抵抗材料層の厚さは20nm未満であり、導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は90~100重量%の範囲であり、抵抗層の厚さは5~15nmの範囲である。
【0011】
[0011]第1の形態の幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素を含む。幾つかの態様においては、抵抗材料層はスパッタリングによって堆積されたアモルファス炭素である。幾つかの態様においては、抵抗材料層は、固体炭素源を用いてスパッタリングすることによって堆積されたアモルファス炭素である。
【0012】
[0012]第1の形態の幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素を含み、導電層中のクロムの重量%は約25~約95重量%の範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。
【0013】
[0013]第1の形態の幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素を含み、導電層中のクロムの重量%は50重量%より多く約95重量%までの範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。
【0014】
[0014]第1の形態の幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素を含み、抵抗材料層は5~15nmの間の厚さを有する。
[0015]第2の形態においては、導電層はニッケル及びクロムを含んでいてよく、導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は、導電層の全重量(100重量%に等しい)を基準として、少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、或いは少なくとも95重量%であってよく、導電層は、導電層の全重量(100重量%に等しい)を基準として20重量%より多いクロムを含む。第2の形態の幾つかの態様においては、基材は25~500μmの間の厚さを有し、導電層は15~200nmの間の厚さを有し、抵抗材料層は5~200nm又は5~100nmの間の厚さを有する。
【0015】
[0016]第2の形態の幾つかの態様においては、導電層の全重量(100重量%に等しい)を基準として、導電層は、80重量%未満、又は75重量%未満の範囲のニッケル、及び20重量%より多く、又は25重量%より多い範囲のクロムを含んでいてよく、導電層中のニッケル及びクロムの合計の総重量%は、90~100重量%、又は95~100重量%の範囲である。
【0016】
[0017]第2の形態の幾つかの態様においては、導電層中のクロムの重量%は約25~約95重量%の範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。第2の形態の他の態様においては、導電層中のクロムの重量%は約30~約95重量%の範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。第2の形態の更なる態様においては、導電層中のクロムの重量%は約40~約95重量%の範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。第2の形態の更に他の態様においては、導電層中のクロムの重量%は約50~約95重量%の範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。第2の形態の更なる態様においては、導電層中のクロムの重量%は50重量%より多く約95重量%までの範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。
【0017】
[0018]第2の形態の幾つかの態様においては、抵抗層はアモルファス炭素である。第2の形態の一態様においては、抵抗層はアモルファス炭素であり、導電層中のクロムの重量%は約25~約95重量%の範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。第2の形態の他の態様においては、抵抗層はアモルファス炭素であり、導電層中のクロムの重量%は50重量%より多く約95重量%までの範囲であり、導電層の残りは実質的にニッケルである。第2の形態の幾つかの態様においては、抵抗層はアモルファス炭素であり、抵抗材料層は5~30nmの間、又は5~20nmの間の厚さを有する。
【0018】
[0019]本発明の幾つかの態様においては、導電層は物理蒸着によって基材上に被覆することができ、基材は、当該技術において記載されており、及び/又は本明細書中に記載されている少なくとも1種類の任意のポリマー、例えばポリカーボネート、シリコーンポリマー、アクリル樹脂、PET、変性PET、例えばPETG、又はPCTG、PCT、変性PCT、TMCD及びCHDMを含むポリエステル、PCCD、又はPEN(しかしながらこれらに限定されない)で構成することができる。
【0019】
[0020]本発明の幾つかの態様においては、抵抗材料層は、導電層の表面上に堆積されている抵抗材料の薄膜を含んでいてよい。「抵抗材料」という用語は、導電層よりも電気的に抵抗性であり、一定の電位を印加することによって電流を流すことができ、導電層及び導電層上の抵抗材料層を有する薄膜電極に成形した際に、導電層のみを有する同様の電極と比べて、電極のアノード安定性を増加させ、及び/又はタイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験によって求められる電子移動速度を増加させる材料を意味する。
【0020】
[0021]幾つかの態様においては、抵抗材料層は、炭素、ケイ素、ホウ素、酸素、及びこれらの組合せから選択される1以上の元素を含んでいてよい。幾つかの態様においては、抵抗材料層は炭素を含む。幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素を含む。幾つかの態様においては、抵抗材料層はスパッタリングによって堆積されたアモルファス炭素である。幾つかの態様においては、抵抗材料層は、炭素源を用いてスパッタリングすることによって堆積されたアモルファス炭素である。幾つかの態様においては、抵抗材料層は、導電層を堆積させるのに用いるスパッタリング工程とは別のスパッタリング工程で炭素源を用いてスパッタリングすることによって堆積されたアモルファス炭素である(即ち、導電層と炭素層の共スパッタリングは行わない)。
【0021】
[0022]幾つかの態様においては、抵抗層は、主としてsp混成炭素、sp混成炭素、又はこれらの組合せから構成されるアモルファス炭素を含む。幾つかの態様においては、主としてsp混成炭素、sp混成炭素、又はこれらの組合せから構成されるアモルファス炭素層は、Onoprienko, A.A., Shaginyan, L.R., Role of microstructure in forming thin carbon film properties. Diamond Relat. Mater. 1994, 3, 1132-1136; Onoprienko, Carbon, The Future Material for Advanced Technology Applications; Messina, G., Santangelo, S.編, Springer Berlin Heidelberg, 2006;又はCho., N.H.; Krishnan, K.M.; Veirs, D.K.; Rubin, M.D.; Hopper, C.B.; Bhushan, B.; Bogy, D.B., Chemical structure and physical properties of diamond-like amorphous carbon films prepared by magnetron sputtering, J. Mater. Res. 1990, 5, 2543-2554によって示唆されている技術/方法を用いて形成することができる。
【0022】
[0023]本発明の幾つかの態様においては、抵抗材料層は5~200nmの範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの範囲の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの範囲の厚さを有していてよい。幾つかの態様においては、抵抗材料層は5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの範囲の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの範囲の厚さを有していてよい。幾つかの態様においては、バイオセンサー部品はまた、ASTM-D1003によって測定して20%以下、又は15%以下、又は10%以下、又は5%以下、又は0.01~20%、又は0.01~15%、又は0.01~10%、或いは0.01~5%の可視光透過率を有していてもよい。
【0023】
[0024]本発明の幾つかの態様においては、抵抗材料層は5~200nm又は5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの範囲の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの範囲の厚さを有していてよく、バイオセンサー部品は20%以下の可視光透過率を有する。
【0024】
[0025]本発明の幾つかの態様においては、抵抗材料層は5~200nm又は5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの範囲の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの範囲の厚さを有していてよく、バイオセンサー部品は15%以下の可視光透過率を有する。
【0025】
[0026]本発明の幾つかの態様においては、抵抗材料層は5~200nm又は5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの範囲の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの範囲の厚さを有していてよく、バイオセンサー部品は10%以下の可視光透過率を有する。
【0026】
[0027]本発明の幾つかの態様においては、抵抗材料層は5~200nm又は5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの範囲の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの範囲の厚さを有していてよく、バイオセンサー部品は5%以下の可視光透過率を有する。
【0027】
[0028]幾つかの態様においては、抵抗材料層は、5~100nm、又は5~50nm、又は5~30nm、又は5~25nm、又は5~20nm、又は5nm乃至20nm未満、或いは5~15nmの範囲の厚さを有する。幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素であり、5~100nm、又は5~50nm、又は5~30nm、又は5~25nm、又は5~20nm、又は5nm乃至20nm未満、或いは5~15nmの範囲の厚さを有する。幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素であり、5~20nm、又は5nm乃至20nm未満、或いは5~15nmの範囲の厚さを有する。
【0028】
[0029]一形態においては、本発明の幾つかの態様は、基材、基材上に堆積されている導電層、及び導電層上に堆積されている抵抗材料層を含み、抵抗材料層は炭素を含んでいてよく、導電層は、導電層の全重量(100重量%に等しい)を基準として、50~100重量%の範囲の合計重量のニッケル及びクロム、20重量%より多い量のクロム、80重量%未満の量のニッケルを含んでいてよく、基材は、当該技術において記載されており、及び/又は本明細書中に記載されている少なくとも1種類の任意のポリマー、例えばポリカーボネート、シリコーンポリマー、アクリル樹脂、PET、変性PET、例えばPETG、又はPCTG、PCT、PCTA、TMCD及びCHDMを含むポリエステル、PCCD、又はPEN(しかしながらこれらに限定されない)で構成することができ、物理蒸着など(しかしながらこれに限定されない)の当該技術において公知の任意の手段によるバイオセンサー部品に関する。抵抗層は5~100nm又は5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの間の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの間の厚さを有していてよく、そしてバイオセンサー部品は、20%以下、又は15%以下、又は10%以下、或いは5%以下の可視光透過率を有する。
【0029】
[0030]一形態においては、本発明の幾つかの態様は、基材、基材上に堆積されている導電層、及び導電層上に堆積されている抵抗材料層を含み、抵抗材料層は炭素を含んでいてよく、導電層は、導電層の全重量(100重量%に等しい)を基準として少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、或いは少なくとも95重量%の範囲の合計重量のニッケル及びクロムを含んでいてよく、抵抗材料層の厚さは20nm未満であり、基材は、当該技術において記載されており、及び/又は本明細書中に記載されている少なくとも1種類の任意のポリマー、例えばポリカーボネート、シリコーンポリマー、アクリル樹脂、PET、変性PET、例えばPETG、又はPCTG、PCT、PCTA、TMCD及びCHDMを含むポリエステル、PCCD、又はPEN(しかしながらこれらに限定されない)で構成することができ、物理蒸着など(しかしながらこれに限定されない)の当該技術において公知の任意の手段によるバイオセンサー部品に関する。抵抗層は5nm乃至20nm未満又は5~15nmの範囲の厚さを有していてよく、導電層は15~200nmの間の厚さを有していてよく、基材は25~500μmの間の厚さを有していてよく、そしてバイオセンサー部品は、20%以下、又は15%以下、又は10%以下、或いは5%以下の可視光透過率を有する。
【0030】
[0031]本発明の1以上の態様は、基材、基材上に堆積されている導電層、及び導電層上に堆積されている抵抗材料層を含むバイオセンサー用の電極に関することができる。幾つかの態様においては、導電層はニッケル及びクロムを含んでいてよく、導電層は、(実施例セクションにおいて議論するように)タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験において求めて、450ミリボルト(mV)未満、又は400mV未満、又は375mV未満、又は350mV未満、又は325mV未満、又は300mV未満、或いは275mV未満のFe(II)[CN]メディエーターに関する酸化波電圧(下記においてEpeak,anodicと規定する)を有することができる。
【0031】
[0032]基材は、ナイロン、ポリエステル、コポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド;ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、アクリルコポリマー、ポリ(エーテル-イミド);ポリフェニレンオキシド、又はポリ(フェニレンオキシド)/ポリスチレンブレンド、ポリスチレン樹脂;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリ(エステル-カーボネート);ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリスルホンエーテル;及びポリ(エーテル-ケトン);或いは任意の他の上記のポリマーの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類のポリマーなど(しかしながらこれらに限定されない)の当該技術において公知の任意のポリマー組成物を含んでいてよい。
【0032】
[0033]一態様においては、基材は、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種類のグリコールの残基を含む少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0033】
[0034]一態様においては、基材は、テレフタル酸及び/又はジメチルテレフタレートの残基、並びにエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種類のグリコールの残基を含む少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0034】
[0035]一態様においては、基材は、テレフタル酸及びイソフタル酸及び/又はジメチルテレフタレートのようなそれらのエステルの残基を含む酸成分、並びにエチレングリコール残基、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種類のグリコールの残基を含むグリコール成分を含む少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0035】
[0036]一態様においては、基材は、テレフタル酸残基、又はそのエステル、或いはその混合物、並びに1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含む少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0036】
[0037]一態様においては、基材は、テレフタル酸残基、又はそのエステル、或いはその混合物、並びに1,4-シクロヘキサンジメタノール残基及び/又は2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基から形成される少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0037】
[0038]一態様においては、基材は、テレフタル酸残基、又はそのエステル、或いはその混合物、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基、及び1,4-シクロヘキサンジメタノール残基から形成される少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0038】
[0039]一態様においては、基材は、テレフタル酸残基、又はそのエステル、或いはその混合物、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基、及びエチレングリコール残基から形成される少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0039】
[0040]一態様においては、基材は、テレフタル酸残基、又はそのエステル、或いはその混合物、エチレングリコール残基、及び1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含む少なくとも1種類のポリエステルを含んでいてよい。
【0040】
[0041]本発明における導電層は、本出願において開示されている任意の合金組成物を含む単一層から構成することができる。幾つかの態様においては、合金組成物は、複数の元素の固溶体(単一相)、複数の金属相の混合物(2以上の溶体)、又は相の間に明確な境界を有しない金属間化合物であってよい合金を含む。
【0041】
[0042]本発明の1以上の態様は、バイオセンサーのための電極を形成する方法に関する。この方法は、(a)基材を用意すること;(b)導電層ターゲットを用意すること;(c)基材の少なくとも一部に導電層ターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって基材の反対側に面する導電層の表面を有する導電層を基材上に形成すること;(d)物理蒸着のためのソース材料として用いると以下において「抵抗材料ターゲット」と呼ぶ抵抗材料を生成するターゲットを用意すること;及び(e)導電層の少なくとも一部に抵抗材料ターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって前記導電層の表面上に抵抗材料層を形成すること;を含む。導電材料はニッケル及びクロムを含んでいてよく、導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は、少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、或いは少なくとも95重量%であってよい。幾つかの態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素を含んでいてよく、5~100nm、又は5~50nm、又は5~25nm、或いは5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよい。一態様においては、抵抗材料層はアモルファス炭素を含んでいてよく、5nm乃至20nm未満の範囲の厚さを有していてよい。一態様においては、導電層はニッケル及びクロムを含んでいてよく、クロムは20重量%より多く、又は少なくとも25重量%の量で存在し、抵抗材料層はアモルファス炭素を含んでいてよく、5~100nmの範囲の厚さを有していてよい。更に、導電層と抵抗材料層の組み合わせは、2000オーム/スクエア未満のシート抵抗を有していてよい。
【0042】
[0043]本発明の1以上の態様は、バイオセンサーのための電極を形成する方法に関する。導電層と抵抗材料層の組み合わせは、ASTM-F1711-96によって測定して、5000オーム/スクエア以下、2000オーム/スクエア以下、100オーム/スクエア以下、80オーム/スクエア以下、60オーム/スクエア以下、50オーム/スクエア以下、40オーム/スクエア以下、20オーム/スクエア以下、10オーム/スクエア以下、又は5オーム/スクエア以下のシート抵抗を有していてよい。幾つかの態様においては、この層は、ASTM-F1711-96によって測定して、1~5000オーム/スクエア、1~4000オーム/スクエア、1~3000オーム/スクエア、1~2000オーム/スクエア、1~1000オーム/スクエア、1~500オーム/スクエア、5~100オーム/スクエア、5~20オーム/スクエア、5~15オーム/スクエア、5~10オーム/スクエア、10~80オーム/スクエア、20~60オーム/スクエア、又は40~50オーム/スクエアの間のシート抵抗を有していてよい。この層は、2000オーム/スクエア未満のシート抵抗を有していてよい。
【0043】
[0044]ここで、図面を参照して本発明の幾つかの態様を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】[0045]図1は、本発明の複数の態様の薄膜電極バイオセンサー部品の断面概要図である。
図2】[0046]図2は、本発明の複数の態様の試験片バイオセンサー部品の概要図である。
図3】[0047]図3は、メディエーターを含む溶液中における薄膜電極のリニアスイープボルタモグラムプロットを示すグラフである。
図4】[0048]図4は、Fe(II)[CN]メディエーター含有バッファー溶液中における、炭素によってキャップした種々のNiCr金属合金導電層を比較する薄膜電極のリニアスイープボルタモグラムプロットを示すグラフである。
図5】[0049]図5は、Fe(II)[CN]メディエーター含有バッファー溶液中における、炭素によってキャップした種々のNiCr金属合金導電層に関する平均Epeak,anodicの値を示すグラフである。
図6】[0050]図6は、Fe(II)[CN]メディエーター含有バッファー溶液中における、炭素によってキャップした、それぞれ40及び80重量%のNiを含むNiCr金属合金導電層を比較する薄膜電極のリニアスイープボルタモグラムプロットを示すグラフである。
図7】[0051]図7は、炭素でキャップした種々のNiCr導電層合金に関する、種々の径のマンドレル(被覆側に接触)上での薄膜電極の屈曲のシート抵抗に対する効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[0052]本発明は、概してバイオセンサーにおいて用いられるもののような電極のための部品に関する。本明細書において用いる「バイオセンサー」という用語は、生物学的試料を分析するための装置を示す。幾つかの態様においては、図1に示されるように、バイオセンサー部品は層状の薄膜電極100であってよく、概して、基材102、基材102の少なくとも一部の上に堆積されている導電層104、及び導電層104の少なくとも一部の上に堆積されている抵抗材料層106を含んでいてよい。幾つかの態様においては、バイオセンサーはグルコース測定システムのような医用センサーであってよく、バイオセンサー部品はバイオセンサーと共に用いるための試験片であってよい。本明細書において用いる「医用センサー」という用語は、医用モニター及び/又は診断のために用いられるバイオセンサーを示す。例えば、図2に示されるように、幾つかの態様は、バイオセンサー部品が、反応スペース112によって第2の電極100aから離隔している第1の電極100を含む試験片110を含むことを意図している。第1の電極100は作用電極を構成していてよく、第2の電極100aは、参照電極、又は対電極、或いは参照電極と対電極の組合せを構成していてよい。したがって、1滴の血液のような生物学的試料を反応スペース112内に配置して、分析のために第1及び第2の電極100及び100aと電気接触させることができる。図2は限定を意図してはおらず、試験片に関する1つの可能性のある態様を示していることを理解すべきである。試験片に関する他の態様には、例えばコプラナー電極構造のような複数の電極に関する異なる構造を含ませることができる。本明細書において用いる「血糖センサー」という用語は、血液中のグルコースの濃度を求めるために用いられる医用センサーを示す。更に、生物学的試料と反応する生物学的反応物質、例えばタンパク質、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼなど)、並びにメディエーター(例えば、フェリシアニド、ルテニウム錯体、オスミウム錯体、キノン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類など)を、電極の1つ又は両方、例えば作用電極上に形成することができる。
【0046】
[0053]通常はパラジウム及び/又は金のような貴金属を含み、及び/又はこれを使用する従来の物理蒸着バイオセンサー部品と異なり、ここに記載するバイオセンサー部品は、ニッケル及びクロムを含むもののような非貴金属合金から形成することができる。それにもかかわらず、ここに記載する抵抗材料層がその上に堆積されている非貴金属合金から形成される薄膜電極のようなバイオセンサー部品は、生物学的試料を測定する際に優れた安定性及び正確性を示すことができる。而して、ここに記載する非貴金属合金及び抵抗材料層を含むバイオセンサー部品を用いることによって、バイオセンサー部品の製造及び使用に通常関係する材料及び製造コストを大きく減少させることができる。
【0047】
[0054]本発明の複数の態様は、概して非導電性であり、ここに記載する意図する化学反応に対して化学的に不活性である可撓性又は剛性のいずれかの任意のタイプの材料から形成される基材102を提供する。幾つかの態様においては、バイオセンサー部品の基材102には、ポリマーフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのようなポリマーを含む可撓性の非導電性フィルムを含ませることができる。幾つかの具体的な態様においては、基材102にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを含ませることができる。本発明の複数の態様は、基材102は少なくとも25μm、125μm、又は250μm、及び/又は800μm以下、500μm以下、又は400μm以下の厚さを有していてよいと意図する。幾つかの態様においては、基材102は、25~800μm、25~500μm、又は25~400μmの間、125~800μm、125~500μm、又は125~400μmの間、或いは250~800μm、250~500μm、又は250~400μmの間の厚さを有していてよい。
【0048】
[0055]基材102上に被覆される導電層104には、1種類以上の非貴金属を含ませることができる。かかる導電層104は、スパッタ被覆(例えば、マグネトロンスパッタリング、非平衡マグネトロンスパッタリング、対向ターゲット式スパッタリングなど)、熱蒸着、電子ビーム蒸着、レーザーアブレーション、アーク蒸着、共蒸着、イオンプレーティングなどのような1以上の物理蒸着技術によって基材102上に被覆することができる。導電層104は、基材102上に、少なくとも1nm、10nm、15nm、又は30nm、及び/又は1000nm以下、200nm以下、100nm以下、又は50nm以下の厚さに被覆することができる。幾つかの態様においては、導電層104は、1~1000nm、1~200nm、1~100nm、又は1~50nmの間、10~1000nm、10~200nm、10~100nm、又は10~50nmの間、15~1000nm、15~200nm、15~100nm、又は15~50nmの間、或いは30~1000nm、30~200nm、30~100nm、又は30~50nmの間の厚さを有していてよい。
【0049】
[0056]抵抗材料層106は、スパッタ被覆(例えば、マグネトロンスパッタリング、非平衡マグネトロンスパッタリング、対向ターゲット式スパッタリングなど)、熱蒸着、電子ビーム蒸着、アーク蒸着、共蒸着、イオンプレーティング、プラズマ支援蒸着、原子層堆積などのような1以上の物理蒸着技術によって導電層104上に堆積させることができる。幾つかの態様においては、抵抗材料層106は、基材104上に、少なくとも1nm、5nm、10nm、又は15nm、及び/又は200nm以下、100nm以下、50nm以下、25nm以下、20nm以下、20nmより少ない量、或いは15nmの厚さに被覆することができる。幾つかの態様においては、抵抗層106は、1~200nm、1~100nm、1~50nm、1~20nm、1nm乃至20nm未満、又は1~15nm;或いは5~200nm、5~100nm、5~50nm、5~25nm、5~20nm、5nm乃至20nm未満、又は5~15nm;或いは10~200nm、10~100nm、10~50nm、又は10~25nm、10~20nm、10nm乃至20nm未満、或いは10~15nmの厚さを有していてよい。幾つかの態様においては、抵抗層106は、1nm乃至20nm未満、又は1~19nm、又は1~18nm、又は1~17nm、又は1~16nm、又は5~19nm、又は5~18nm、又は5~17nm、又は5~16nm、又は7~19nm、又は7~18nm、又は7~17nm、又は7~16nm、又は10~19nm、又は10~18nm、又は10~17nm、或いは10~16nmの厚さを有していてよい。
【0050】
[0057]導電層104及び抵抗材料層106は、得られる薄膜電極100が可視光に対して概して不透明であるように基材102上に堆積させることができる。例えば、得られる薄膜電極100は、ASTM-D1003によって測定して、50%以下、40%以下、30%以下、又は20%以下の可視光透過率を有していてよい。幾つかの態様においては、得られる薄膜電極100は、1~50%の間、10~40%の間、15~30%の間、又は約20%の可視光透過率を有していてよい。更に、得られる薄膜電極100は、ASTM-F1711-96によって測定して5000オーム/スクエア以下、2000オーム/スクエア以下、100オーム/スクエア以下、80オーム/スクエア以下、60オーム/スクエア以下、50オーム/スクエア以下、40オーム/スクエア以下、20オーム/スクエア以下、10オーム/スクエア以下、又は5オーム/スクエア以下のシート抵抗を有していてよい。幾つかの態様においては、得られる薄膜電極100は、1~5000オーム/スクエア、2~2000オーム/スクエア、5~100オーム/スクエア、10~80オーム/スクエア、20~60オーム/スクエア、又は40~50オーム/スクエアの間のシート抵抗を有していてよい。
【0051】
[0058]導電層104を形成するここに記載する非貴金属には、ニッケルとクロムの合金を含ませることができる。例えば、少なくとも5重量%のニッケル、及び少なくとも5重量%のCrを含む非貴金属合金を用いて、バイオセンサー部品の導電層104を形成し、導電層104上にアモルファス炭素の抵抗材料層106を堆積させることによって導電層を更に被覆した。100:0~0:100のNi:Cr(重量)比の範囲のニッケル及びクロムを含む種々の合金を用いて、導電層及びアモルファス炭素抵抗材料層の両方を含む電極を製造した。
【0052】
[0059]幾つかの態様においては、電極の導電層(例えばバイオセンサー部品の導電層104)を構成する非貴金属合金中に含まれるニッケル及びクロムの量は、電極、例えばバイオセンサー部品の具体的な要件に応じて変化させることができる。種々の態様においては、非貴金属合金に少なくとも約5~約95重量%のニッケルを含ませることができる。更に、種々の態様においては、非貴金属合金に、少なくとも約5重量%、10重量%、20重量%、20重量%より多く、25重量%より多く、30重量%より多く、40重量%より多く、50重量%より多く、或いは50重量%より多く、60重量%より多く、及び/又は約95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%より多く、50重量%より多く、又は40重量%より多いクロムを含ませることができる。より特には、幾つかの態様においては、非貴金属合金に、約5重量%~95重量%、10~90重量%、10~80重量%、10~70重量%、10~60重量、10~50重量%、10~40重量%、20~90重量%、20~80重量%、20~70重量%、20~60重量%、20~50重量%、20~40重量%、20重量%より多く90重量%まで、20重量%より多く80重量%まで、20重量%より多く70重量%まで、20重量%より多く60重量%まで、20重量%より多く50重量%まで、20重量%より多く40重量%まで、25~90重量%、25~80重量%、25~70重量%、25~60重量%、25~50重量%、25~40重量%、30~90重量%、30~80重量%、30~70重量%、30~60重量%、30~50重量%、30~40重量%、40~90重量%、40~80重量%、40~70重量%、40~60重量%、40~50重量%、50~90重量%、50~80重量%、50~70重量%、50~60重量%、50重量%より多く95重量%まで、50重量%より多く90重量%まで、50重量%より多く80重量%まで、50重量%より多く70重量%まで、50重量%より多く60重量%まで、60~95重量%、60~90重量%、60~80重量%、60~70重量%、70~95重量%、70~90重量%、70~80重量%、80~95重量%、又は80~90重量%の範囲のクロムを含ませることができる。一態様においては、上記に規定した量のクロムに加えて、合金の残りはニッケルである。合金の100重量%の合計量のニッケル及びクロムを含む合金は、少量の他の元素を不純物として更に含んでいてよいことを理解すべきである。
【0053】
[0060]幾つかの態様においては、電極、例えばバイオセンサー部品の導電層を構成する非貴金属合金中に含まれるニッケル及びクロムの量は、バイオセンサー部品の具体的な要件に応じて、次:10~95重量%のクロム及び5~90重量%のニッケル;10~90重量%のクロム及び10~90重量%のニッケル;又は10~80重量%のクロム及び20~90重量%のニッケル;又は10~70重量%のクロム及び30~90重量%のニッケル;又は10~60重量%のクロム及び40~90重量%のニッケル;又は10~50重量%のクロム及び50~90重量%のニッケル;又は10~40重量%のクロム及び60~90重量%のニッケル;又は20~90重量%のクロム及び10~80重量%のニッケル;又は20~80重量%のクロム及び20~80重量%のニッケル;又は20~70重量%のクロム及び30~80重量%のニッケル;又は20~60重量%のクロム及び40~80重量%のニッケル;又は20~50重量%のクロム及び50~80重量%のニッケル;又は20~40重量%のクロム及び60~80重量%のニッケル;又は20重量%より多く90重量%までのクロム及び10重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く80重量%までのクロム及び20重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く70重量%までのクロム及び30重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く60重量%までのクロム及び40重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く50重量%までのクロム及び50重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く40重量%までのクロム及び60重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は25~90重量%のクロム及び10~75重量%のニッケル;又は25~80重量%のクロム及び20~75重量%のニッケル;又は25~70重量%のクロム及び30~75重量%のニッケル;又は25~60重量%のクロム及び40~75重量%のニッケル;又は25~50重量%のクロム及び50~75重量%のニッケル;又は25~40重量%のクロム及び60~75重量%のニッケル;又は30~90重量%のクロム及び10~70重量%のニッケル;又は30~80重量%のクロム及び20~70重量%のニッケル;又は30~70重量%のクロム及び30~70重量%のニッケル;又は30~60重量%のクロム及び40~70重量%のニッケル;又は30~50重量%のクロム及び50~70重量%のニッケル;又は30~40重量%のクロム及び60~70重量%のニッケル;又は40~90重量%のクロム及び10~60重量%のニッケル;又は40~80重量%のクロム及び20~60重量%のニッケル;又は40~70重量%のクロム及び30~60重量%のニッケル;又は40~60重量%のクロム及び40~60重量%のニッケル;又は40~50重量%のクロム及び50~60重量%のニッケル;又は50~95重量%のクロム及び5~50重量%のニッケル;又は50~90重量%のクロム及び10~50重量%のニッケル;又は50~80重量%のクロム及び20~50重量%のニッケル;又は50~70重量%のクロム及び30~50重量%のニッケル;又は50~60重量%のクロム及び40~50重量%のニッケル;又は50重量%より多く95重量%までのクロム及び5重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く90重量%までのクロム及び10重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く80重量%までのクロム及び20重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く70重量%までのクロム及び30重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く60重量%までのクロム及び40重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は60~95重量%のクロム及び5~40重量%のニッケル;又は60~90重量%のクロム及び10~40重量%のニッケル;又は60~80重量%のクロム及び20~40重量%のニッケル;又は60~70重量%のクロム及び30~40重量%のニッケル;又は70~95重量%のクロム及び5~30重量%のニッケル;又は70~90重量%のクロム及び10~30重量%のニッケル;又は70~80重量%のクロム及び20~30重量%のニッケル;又は80~95重量%のクロム及び5~20重量%のニッケル;又は80~90重量%のクロム及び10~20重量%のニッケル;のように変化させることができ、これらの重量%は全て導電層の全重量%(100重量%に等しい)を基準とする。
【0054】
[0061]幾つかの態様においては、導電層は、存在する場合には導電層の全重量を基準として、0~2重量%、又は0~1重量%の量のモリブデンを含む。幾つかの態様においては、導電層は、存在する場合には導電層の全重量を基準として、1重量%未満、又は0.8重量%未満、又は0.6重量%未満、又は0.4重量%未満、又は0.2重量%未満、或いは0.1重量%未満の量のモリブデンを含む。複数の態様においては、導電層はモリブデンを実質的に含まない。複数の態様においては、導電層はモリブデンを含まない。
【0055】
[0062]幾つかの態様においては、導電層は、1.0重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.2重量%未満の次の元素種:鉄、炭素、イオウ、リン、モリブデン、ニオブ、コバルト、アルミニウム、チタン、又はホウ素のそれぞれを含む。一態様においては、導電層は、次の元素種:炭素、イオウ、リン、モリブデン、ニオブ、コバルト、アルミニウム、チタン、又はホウ素をいずれも含まないか、又はこれらを実質的に含まない。一態様においては、導電層はニッケル及びクロムを含み、1.0重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.2重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.05重量%未満の任意の他の元素種を含む。幾つかの態様においては、導電層はニッケル及びクロムを含み、全部の合計で2.0重量%未満、又は1.0重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.2重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.05重量%未満の他の元素種を含む。
【0056】
[0063]幾つかの態様においては、電極、例えばバイオセンサー部品の導電層を構成する非貴金属合金中に含まれるニッケル及びクロムの量は、バイオセンサー部品の具体的な要件に応じて、次:10~95重量%のクロム及び5~90重量%のニッケル;10~90重量%のクロム及び10~90重量%のニッケル;又は10~80重量%のクロム及び20~90重量%のニッケル;又は10~70重量%のクロム及び30~90重量%のニッケル;又は10~60重量%のクロム及び40~90重量%のニッケル;又は10~50重量%のクロム及び50~90重量%のニッケル;又は10~40重量%のクロム及び60~90重量%のニッケル;又は20~90重量%のクロム及び10~80重量%のニッケル;又は20~80重量%のクロム及び20~80重量%のニッケル;又は20~70重量%のクロム及び30~80重量%のニッケル;又は20~60重量%のクロム及び40~80重量%のニッケル;又は20~50重量%のクロム及び50~80重量%のニッケル;又は20~40重量%のクロム及び60~80重量%のニッケル;又は20重量%より多く90重量%までのクロム及び10重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く80重量%までのクロム及び20重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く70重量%までのクロム及び30重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く60重量%までのクロム及び40重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く50重量%までのクロム及び50重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は20重量%より多く40重量%までのクロム及び60重量%乃至80重量%未満のニッケル;又は25~90重量%のクロム及び10~75重量%のニッケル;又は25~80重量%のクロム及び20~75重量%のニッケル;又は25~70重量%のクロム及び30~75重量%のニッケル;又は25~60重量%のクロム及び40~75重量%のニッケル;又は25~50重量%のクロム及び50~75重量%のニッケル;又は25~40重量%のクロム及び60~75重量%のニッケル;又は30~90重量%のクロム及び10~70重量%のニッケル;又は30~80重量%のクロム及び20~70重量%のニッケル;又は30~70重量%のクロム及び30~70重量%のニッケル;又は30~60重量%のクロム及び40~70重量%のニッケル;又は30~50重量%のクロム及び50~70重量%のニッケル;又は30~40重量%のクロム及び60~70重量%のニッケル;又は40~90重量%のクロム及び10~60重量%のニッケル;又は40~80重量%のクロム及び20~60重量%のニッケル;又は40~70重量%のクロム及び30~60重量%のニッケル;又は40~60重量%のクロム及び40~60重量%のニッケル;又は40~50重量%のクロム及び50~60重量%のニッケル;又は50~95重量%のクロム及び5~50重量%のニッケル;又は50~90重量%のクロム及び10~50重量%のニッケル;又は50~80重量%のクロム及び20~50重量%のニッケル;又は50~70重量%のクロム及び30~50重量%のニッケル;又は50~60重量%のクロム及び40~50重量%のニッケル;又は50重量%より多く95重量%までのクロム及び5重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く90重量%までのクロム及び10重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く80重量%までのクロム及び20重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く70重量%までのクロム及び30重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は50重量%より多く60重量%までのクロム及び40重量%乃至50重量%未満のニッケル;又は60~95重量%のクロム及び5~40重量%のニッケル;又は60~90重量%のクロム及び10~40重量%のニッケル;又は60~80重量%のクロム及び20~40重量%のニッケル;又は60~70重量%のクロム及び30~40重量%のニッケル;又は70~95重量%のクロム及び5~30重量%のニッケル;又は70~90重量%のクロム及び10~30重量%のニッケル;又は70~80重量%のクロム及び20~30重量%のニッケル;又は80~95重量%のクロム及び5~20重量%のニッケル;又は80~90重量%のクロム及び10~20重量%のニッケル;のように変化させることができ、これらの重量%は全て導電層の全重量%(100重量%に等しい)を基準とし;導電層はニッケル及びクロムを含み、1.0重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.2重量%未満の任意の他の元素種を含むか、又は任意の他の元素種を実質的に含まないか、或いは他の元素種を含まない。
【0057】
[0064]本発明における導電層は、本出願において開示する任意の合金組成物を含む単一の層で構成することができる。幾つかの態様においては、合金組成物は、複数の元素の固溶体(単一相)、複数の金属相の混合物(2以上の溶体)、又は相の間に明確な境界を有しない金属間化合物であってよい合金を含む。
【0058】
[0065]当業者が容易に認識するように、非貴金属合金の元素は不可避的不純物を含んでいてよい。本明細書において用いる「不可避的不純物」とは、非貴金属合金を製造するために用いる鉱石中に天然に存在しているか、又は製造プロセス中に非意図的に加えられる任意の不純物を指す。非貴金属合金は、約0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.001重量%未満の不可避的不純物を含んでいてよい。
【0059】
[0066]ここに記載する非貴金属合金にはまた、上記に記載した元素に加えて1種類以上の更なる合金化元素を含ませることもできる。しかしながら、種々の態様においては、非貴金属合金はかかる更なる合金化元素を実質的に含まなくてよい。本明細書において用いる「事実上含まない」及び「実質的に含まない」という用語は、非貴金属合金が0.001重量%未満のかかる更なる合金化成分を含むことを意味する。更に、「事実上含まない」及び「実質的に含まない」という用語は互換的に用いることができる。
【0060】
[0067]本発明の幾つかの態様においては、ここに記載するバイオセンサー部品は、次の工程:
(a)基材を用意する工程;
(b)導電層ターゲットを用意する工程;
(c)基材の少なくとも一部にかかるターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって基材上に導電層を形成する工程;
(d)抵抗材料ターゲットを用意する工程;
(e)導電層の少なくとも一部に、抵抗材料ターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって基材上に抵抗材料層を形成する工程;
を行うことによって製造することができる。
【0061】
[0068]工程(a)の基材を用意することには、上記に記載したPETのような任意のタイプの基材材料を用意することを含ませることができる。幾つかの態様においては、基材は、高真空チャンバー内で操作することができる基材材料のシートを含む。基材材料のシートには、正方形のシートのような単断面の材料を含ませることができる。幾つかの他の態様においては、基材材料のシートには、下記により詳細に記載するように、ロールツーロール機構によって高真空チャンバーに通される材料のロールを含ませることができる。他の態様においては、基材は、これも下記において記載するように、堆積中において固定して保持することができ、或いは回転させることができる。
【0062】
[0069]工程(b)のターゲットを用意することには、上記に記載した任意の非貴金属合金を含む物理蒸着ターゲットを用意することを含ませることができる。例えば幾つかの態様においては、上記で議論したニッケルとクロムの合金を含む物理蒸着ターゲットを用いて薄膜導電層を形成した。かかる合金ターゲットは、約0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.001重量%未満の不可避的不純物を含んでいてよい。幾つかの態様においては、物理蒸着ターゲットは、物理蒸着プロセス中において、スパッタカソードのように電極内に収容され、及び/又はそれを構成する。幾つかの態様においては、物理蒸着ターゲットは、少なくとも2cm、4cm、8cm、12cm、16cm、又は20cmの直径を有する円形であってよい。他の態様においては、物理蒸着ターゲットは、少なくとも2cm、4cm、8cm、又は16cmの内径、及び20cm、24cm、28cm、又は32cmの外径を有する管状ターゲットであってよい。更に他の態様においては、物理蒸着ターゲットは、5~25cmの間の幅、25~75cmの間の長さ、及び0.3~5cmの間の厚さの寸法を有する方形体であってよい。しかしながら、本発明の複数の態様は他の形状及び寸法のターゲットを使用することを意図することを理解すべきである。
【0063】
[0070]工程(c)の物理蒸着は、概して基材を非貴金属合金ターゲットからの材料で被覆して導電層を形成することを含む。本明細書において用いる「物理蒸着」という用語は、基材上に気化した材料を凝縮させることによって薄膜を堆積させることを意味する。物理蒸着被覆は、上記に記載した任意のタイプの物理蒸着プロセス、即ち、スパッタ被覆、熱蒸着、電子ビーム蒸着、レーザーアブレーション、アーク蒸着、共蒸着、イオンプレーティングなどによって行うことができる。例えば幾つかの態様においては、物理蒸着工程は、スパッタリング装置によって非貴金属合金ターゲットをスパッタリングすることによって基材を導電層で被覆するスパッタリングプロセスによって行う。かかるスパッタリングタイプの物理蒸着の具体例は下記においてより詳細に記載する。その上に導電層が被覆されている得られる基材は、電極のようなバイオセンサー部品として用いることができる。かかる電極としては、作用電極、参照電極、及び/又は対電極を挙げることができる。基材材料のロールに、ロールツーロール物理蒸着プロセスによって導電層を真空被覆する場合のような幾つかの態様においては、得られる薄膜シートを適当な寸法に切断して、バイオセンサー部品に特異的な寸法の薄膜電極を形成することができる。他の態様においては、バイオセンサー部品は、化学エッチング又はレーザーエッチングのようなエッチングによって薄膜シートから形成することができる。更に他の態様においては、バイオセンサー部品はパターン化マスクを用いて形成することができ、これを基材上に載置し、その上に導電層を物理蒸着してバイオセンサー部品の導電層を形成する。
【0064】
[0071]工程(d)のターゲットを用意することには、上記に記載した任意の抵抗材料を含む物理蒸着ターゲットを用意することを含ませることができる。例えば幾つかの態様においては、炭素を含む物理蒸着ターゲットを用いて、薄膜アモルファス炭素層を製造した。かかる抵抗材料ターゲットは、約0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.001重量%未満の不可避的不純物を含んでいてよい。幾つかの態様においては、ターゲットには、堆積される抵抗層とは異なっていてよいが、物理蒸着のためのソース材料として用いると抵抗材料を生成させる材料を含ませることができる。抵抗材料ターゲットは、堆積される抵抗材料と異なる組成及び/又は構造を有していてよいことを理解すべきである。幾つかの態様においては、物理蒸着ターゲットは、物理蒸着プロセス中においては、スパッタカソードのように電極内に収容されるか、及び/又は電極を構成する。幾つかの態様においては、物理蒸着ターゲットは、少なくとも2cm、4cm、8cm、12cm、16cm、又は20cmの直径を有する円形であってよい。他の態様においては、物理蒸着ターゲットは、少なくとも2cm、4cm、8cm、又は16cmの内径、及び20cm、24cm、28cm、又は32cmの外径を有する管状ターゲットであってよい。更に他の態様においては、物理蒸着ターゲットは、5~25cmの幅、25~75cmの間の長さ、及び0.3~5cmの厚さの寸法を有する方形体であってよい。しかしながら、本発明の複数の態様は他の形状及び寸法のターゲットを使用することを意図することを理解すべきである。
【0065】
[0072]工程(e)の物理蒸着は、概して基材を抵抗材料ターゲットからの材料で被覆して抵抗材料層を形成することを含む。本明細書において用いる「物理蒸着」という用語は、基材上に気化した材料を凝縮させることによって薄膜を堆積させることを意味する。物理蒸着被覆は、上記に記載した任意のタイプの物理蒸着プロセス、即ち、スパッタ被覆、熱蒸着、電子ビーム蒸着、アーク蒸着、共蒸着、イオンプレーティングなどによって行うことができる。例えば幾つかの態様においては、物理蒸着工程は、スパッタリング装置によって抵抗材料ターゲットをスパッタリングすることによって導電層(先に基材上に堆積されている)を抵抗材料層で被覆するスパッタリングプロセスによって行う。かかるスパッタリングタイプの物理蒸着の具体例は下記においてより詳細に記載する。その上に導電層及び抵抗材料層が被覆されている得られる基材は、電極のようなバイオセンサー部品として用いることができる。幾つかの態様においては、「抵抗材料」層は、導電層とは概して別個の層であり、層状構造体を形成し、層の間に明瞭な境界が存在していて、抵抗材料層と導電層のそれぞれは異なる組成を有する別々のはっきり識別できる層である。
【0066】
[0073]基材材料のロールに、ロールツーロール物理蒸着プロセスによって導電層を真空被覆する場合のような幾つかの態様においては、得られる薄膜シートを適当な寸法に切断して、バイオセンサー部品に特異的な寸法の薄膜電極を形成することができる。かかる電極としては、作用電極、参照電極、及び/又は対電極を挙げることができる。電極としてはまた、試料の導電度、試料がバイオセンサー部品に施されたかどうか、又は試料の他の電気特性、或いはバイオセンサーのために有用な試料環境を検出するためのものを挙げることができる。他の態様においては、バイオセンサー部品は、化学エッチング又はレーザーエッチングのようなエッチングによって薄膜シートから形成することができる。更に他の態様においては、バイオセンサー部品はパターン化マスクを用いて形成することができ、これを基材及び導電層の上に載置し、その上に抵抗材料層を物理蒸着してバイオセンサー部品を形成する。
【0067】
[0074]幾つかの特定の態様においては、バイオセンサー部品は、ロールツーロール物理蒸着プロセス(ロールツーロールマグネトロンスパッタリングを含む)によって生成させることができる。例えば、25μm~250μmの範囲の厚さ及び33.02cmの幅を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)製のポリマーフィルムを含む基材シートを、Applied Materials, Inc.によって提供されるSmartwebコーター、又はCHA Industries, Inc.によって提供されるMark 80のような幅77.50cmのウエブロールツーロールマグネトロンスパッタコーターを用いてスパッタリングすることができる。シングル又はデュアルターゲット構造を用いて、特定のニッケルとクロムの合金のような非貴金属合金の導電層を堆積させることができる。(Tricor Industries Inc.から入手できるもののような)非貴金属合金プレートを含むターゲットを用いることができる。スパッタコーターの真空チャンバーは、拡散及び機械式ポンプの組合せを用いて少なくとも10-5Torrの到達圧力(base pressure)までポンプで減圧することができる。他の態様においては、機械式ポンプ、ターボポンプ、クライオポンプ、及び/又は油拡散ポンプの組合せを用いることができる。概して長方形の形状を有する非貴金属合金ターゲットを収容しているマグネトロンスパッタリングカソードに、2KWの電源(例えばAdvanced Energy Inc.から提供されるもの)を用いて電圧を印加することができる。(例えばMKSモデル1179A流量制御装置を用いて)真空チャンバー中へのアルゴンガスの流量を制御して、スパッタリングプロセス中に用いるための3~10mTorrの間のスパッタリング圧力を設定することができる。
【0068】
[0075]スパッタ導電層の厚さ及びシート抵抗は、特定のプロセスパラメーターを制御することによってその場で効率的に制御することができる。プロセスパラメーターの例としては、ロールツーロールウエブ速度(即ち、基材シートがスパッタリング中に真空チャンバーを通って進む速度を制御すること)、スパッタリングターゲットに供給する電力(即ち、ターゲット表面付近で形成されるプラズマへの印加電圧と電流の積)、スパッタリングチャンバー内のガス圧力、及びチャンバー内に存在するターゲットの数が挙げられる。例えば、与えられた合金の導電層のスパッタリングに関しては、ウエブ速度を0.1~3.5メートル/分の間、スパッタリング出力密度を1~8ワット/cmの間に設定することができる。幾つかの態様においては、約25nmの厚さ測定値及び約45オーム/スクエアのシート抵抗を有する合金のスパッタ導電層を形成することができる。
【0069】
[0076]抵抗材料層は、上記に記載の堆積技術の1つによって導電層の上に堆積させることができる。例えば一態様においては、抵抗層は、炭素ターゲットからのDCマグネトロンスパッタリングを用いて堆積させることができる。抵抗材料層の厚さは、特定のプロセスパラメーターを制御することによって制御することができる。プロセスパラメーターの例としては、ロールツーロールウエブ速度(即ち、基材シートがスパッタリング中に真空チャンバーを通って進む速度を制御すること)、スパッタリングターゲットに供給する電力(即ち、ターゲット表面付近で形成されるプラズマへの印加電圧と電流の関数)、スパッタリングチャンバー内のガス圧力、及びチャンバー内に存在するターゲットの数が挙げられる。例えば幾つかの態様においては、与えられた合金上への抵抗層のスパッタリングに関しては、ウエブ速度を0.1~3.5メートル/分の間、スパッタリング出力密度を1~8ワット/cmの間に設定することができる。幾つかの態様においては、約1~200nmの厚さ測定値を有するスパッタ抵抗層を形成することができる。
【0070】
[0077]上記に記載したロールツーロールプロセスに加えて、バイオセンサー部品は、同じ構成の拡大型を用い、大型のロールツーロールプロセスを用いて製造することができる。かかる大型のロールツーロールプロセスにおいては、最大ウエブ速度は、0.1~10メートル/分、3~7メートル/分の間、又は10メートル/分より高くすることができる。大型のロールツーロールプロセスは、0.1~13ワット/cm、2~10ワット/cm、又は5~8ワット/cmのスパッタリング出力密度を与えることができる。更に、ターゲットの数としては、2、4、6、又はそれ以上の間を挙げることができ、基材シートのウエブ幅は75cm又はそれ以上であってよい。
【0071】
[0078]複数の態様は更に、基材シートを真空チャンバー内に固定して保持する物理蒸着プロセスを用いることができることを意図している。かかる態様の幾つかは、下記の実施例のセクションにおいて詳細に記載する。基材シートを固定して保持する幾つかの態様においては、基材シート上に導電層を堆積させるための堆積時間は、5分、10分、15分、30分、又はそれ以上であってよい。
【0072】
[0079]上記に記載したように、ここに記載する非貴金属合金から形成される導電層及び抵抗材料層を含むバイオセンサー部品は、それらをパラジウム及び/又は金のような貴金属を含むバイオセンサー部品に対する代替物として特に良く適したものにする望ましい電気化学的特性を示すことができる。例えば、本発明の複数の態様のバイオセンサー部品は、クロノアンペロメトリー試験にかけた際に望ましい用量応答特性を示す非貴金属合金導電層及び抵抗材料層を有して形成される薄膜電極を構成することができる。
【0073】
[0080]種々の態様においては、導電層には、(上記で議論した量の)ニッケル、クロム、及び鉄を含ませることができ、導電層と抵抗材料層の組合せは、(実施例セクションにおいて議論するように)タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験において求めて、400ミリボルト(mV)未満、又は390mV未満、又は380mV未満、又は375mV未満、又は360mV未満、又は350mV未満、又は340mV未満、又は330mV未満、又は325mV未満、又は320mV未満、又は310mV未満、又は300mV未満、又は290mV未満、又は280mV未満、又は275mV未満、又は270mV未満、或いは260mV未満のFe(II)[CN]メディエーターに関する酸化波電圧(以下においてEpeak,anodicと規定する)を有することができる。
【0074】
[0081]本発明はその複数の態様の下記の実施例によって更に示すことができるが、これらの実施例は単に例示の目的のために含めるものであり、他に具体的に示していない限りにおいて発明の範囲を限定することは意図しないことが理解される。
【実施例
【0075】
薄膜電極の製造:
[0082]下記に記載する実施例(及び比較例)のそれぞれに関し、下記に記載する物理蒸着プロセスによって薄膜電極の形態のバイオセンサー部品を形成した。下記のプロセスを用いて、表1に示す非貴組成物(non-noble compositions)のような複数の異なるタイプの元素及び元素合金の導電層を含ませた薄膜電極を形成することができると理解される。殆どの実施例において、これらの薄膜電極はまた、他に示した場合を除いて導電層の上に堆積させた炭素抵抗材料層も含んでいた。このプロセスは下記によって薄膜電極フィルムを形成することを含んでいた。
【0076】
(a)高真空チャンバー内において、直流(DC)マグネトロンスパッタリングを用い、Denton Vacuum Desktop Proスパッタリング装置を用いてスパッタリングを実施して、10.16cm×10.16cmの正方形のPET基材シートの上に金属又は金属合金を堆積させた;
(b)真空チャンバーを約10-5Torrの初期到達圧力まで排気した;
(c)10sccmのアルゴンガスを高真空チャンバー中に導入して、4mTorrの堆積圧力を生成させた;
(d)基材シートを、真空チャンバー内において約2回転/分で回転させた;
(e)直径5.08cmの金属又は金属合金のターゲットを、DCマグネトロンスパッタリング装置下において40ワットの一定の出力に15分間の堆積時間の間保持して、基材シートの少なくとも一部を導電層で被覆した(ターゲットを初期化するために、基材を真空チャンバー中に導入する前に、ターゲットをDCマグネトロンスパッタリング装置下において40ワットの一定の出力に5分間の予備スパッタリング時間の間保持した);
(f)導電層の堆積に続いて、次に炭素層を堆積させた。直径5.08cmのグラファイト材料のターゲットを、DCマグネトロンスパッタリング装置下において40ワットの一定の出力に15分間の堆積時間の間保持して、導電層(工程(e)で堆積させた)の少なくとも一部を炭素層で被覆した(ターゲットを初期化するために、導電層で被覆された基材を真空チャンバー中に導入する前に、ターゲットをDCマグネトロンスパッタリング装置下において40ワットの一定の出力に5分間の予備スパッタリング時間の間保持した);そして
(g)全ての堆積を室温において行った。
【0077】
[0083]上記に規定した物理蒸着によって形成された薄膜電極フィルムから、5.08cm×7.62cmの寸法を有する個々の薄膜電極を切り出した。Gamry Instruments VistaShieldファラデー箱の内部に配置された薄膜電極フィルムを含む電気化学セルを有する3電極構成のGamry Instruments Reference 600ポテンショスタットを用いて、電気化学実験を行った。その中にダイカットされた単一の直径3mmの開口を有する電気メッキテープで薄膜電極を部分的にマスクすることによって、薄膜電極のそれぞれを作用電極として形成した。これにより、薄膜電極のダイカット開口によって形成された非マスク部分は、0.0707cmの幾何学的作用電極表面積を与えた。薄膜電極の非マスク部分の他の異なる領域は、ポテンショスタットの作用電極リードへの電気的接続点として機能させた。薄膜電極のマスク部分は、プラスチックのような非導電性材料の平坦な支持ブロック上に配置した。その後、薄膜電極をガラス電気化学セルの作用電極ポート中に配置した。薄膜電極の露出した直径3mmの部分を、電気化学セルの作用電極ポートの底部開口の中心付近に配置した。電気化学セルの作用電極ポートを、クランプ及びOリングでシールした。電気化学セルにはまた、飽和カロメル参照電極を含む参照電極、及び炭素補助電極も含めた。参照電極及び補助電極は、それぞれ参照電極ポート及び補助電極ポート内に配置した。更に、参照電極及び補助電極は、それぞれポテンショスタットの参照リード及び補助リードに接続した。電気化学セルにはまた、それによって試験溶液を脱気し、及び窒素のような不活性ガスで覆う気体流ポートも含めた。
【0078】
[0084]上記で議論した手順にしたがって、100:0、90:10、85:15、80:20、72:28、60:40、50:50、40:60、及び0:100のNi/Cr比(重量基準)を有するニッケルとクロムの合金から薄膜電極を製造した。これらの導電層を有する薄膜電極にはまた、上記で議論した手順にしたがって製造された炭素抵抗層も含めた。炭素抵抗層の厚さは、電極断面のTEMイメージングによって求めて約15nmであった。
【0079】
タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験の説明:
[0085]薄膜電極の電気化学応答を試験するために、タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験を用いることができる。タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験は次の工程を含む:pH7.1の145mMの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸カリウム緩衝液50mLを電気化学セル中に配置し、電気化学セルをストッパーで密閉した。気体流ポートに接続した気体入口及び出口取付具によって、中多孔質フィルタースティックを用いて窒素の気体流によって緩衝液の不活性ガス散布(即ち脱気)が可能であった。気体流ポートによって更に、気体流をフィルタースティックからヘッドスペースを覆う配置に切り替えることができた。気体出口をオイルバブラーに接続して、外部気体(例えば空気)が電気化学セル中に逆拡散するのを阻止した。気体流をブランケット構成に切り替える前に、同時に窒素を少なくとも5分間散布する一方で、磁気スターラーバーを用いて緩衝液を撹拌した。タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験によって行った電気化学実験中においては、噴霧又は他の形態による緩衝液の撹拌は行わなかった(即ち、電気化学試験中においては溶液は静止させた)。
【0080】
[0086]電気化学セル内の作用電極を構成した薄膜電極に関してリニアスイープボルタンメトリー試験を行った。リニアスイープボルタンメトリーに関する開始電位は、作用電極と参照電極(即ち飽和カロメル参照電極)の間で測定して、開路電位(自然電位(rest potential)としても知られる)に対して0Vであり、ボルタンメトリー実験の前の少なくとも10秒の静止時間の後において、少なくとも50μAの電流が観察されるまで、25mV/秒で電位をアノード掃引した。Fe(II)[CN]メディエーターを含ませた溶液に関しては、メディエーターは1mMの濃度で存在させ、リニアスイープボルタンメトリー条件は他の点に関してはメディエーターを含まない溶液と同一であった。
【0081】
[0087]酸化波のピーク電圧(Epeak,anodic)を求める。かかるEpeak,anodicは、作用電極及び対電極と参照電極の間で測定して、溶液中の電気活性種の酸化の結果として電流の局所最大値が観察される電圧として規定される。タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験を用いて薄膜電極から得られる酸化波のグラフ及びそれに関するEpeak,anodic図3に示す。図3から分かるように、測定されたEpeak,anodicは(又はE-ピーク)の値は参照電極に対して測定して約-76mVであった。
【0082】
薄膜電極に対するタイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験の適用:
[0088]タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験を用いて、複数の異なる薄膜電極を試験した。より詳細に述べると、NiCr100:0(又は純粋なNi)、NiCr90:10、NiCr85:15、NiCr80:20、NiCr72:28、NiCr60:40、NiCr50:50、NiCr40:60、及びNiCr0:100(又は純粋なCr)で形成され、それぞれの(ニッケル/クロム合金)をアモルファス炭素抵抗材料層でキャップした薄膜電極を試験した。
【0083】
[0089]Niが72~90重量%の範囲の合金に関するかかる試験の結果を図4にグラフで示す。バイオセンサーにおいて用いる薄膜電極は、可能な限り低い電圧で生じるFe(II)[CN]に関するピークアノード電流を示すことが一般に望ましい可能性がある。また、バイオセンサーにおいて用いる薄膜電極は、一定の電極電位の影響下で最小及び/又は減少した電流を示すことも一般に望ましい可能性がある。図4は、リン酸緩衝液及びFe(II)[CN]メディエーターを用いて種々の(ニッケル/クロム合金)/C(C on nickel/chromium alloys)の薄膜電極に関して行ったタイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験のプロットであり、Fe(II)[CN]の酸化が起こる電圧によって示される、これらの合金に関するFe(II)[CN]メディエーターとの不均一電子移動速度を示す。一般に、血糖センサーのようなセンサーにおける電極材料は、可能な限り速い不均一電子移動速度を有して、センサーを作動させるのに必要な印加酸化電圧が可能な限り小さいことが望ましい可能性がある。幾つかの態様においては、バイオセンサーは、作用電極電流を電気活性種(例えばメディエーター)の拡散によって制御するのに十分に陽(anodic)の電圧で作動させることができる。印加電圧が過度に酸化性である場合には、尿酸、アセトアミノフェンなどのような血液中に存在する可能性がある干渉種の酸化が酸化される可能性がある。これにより、求められるグルコース濃度における望ましくない正のバイアス、及びより不正確なセンサーがもたらされる可能性がある。図4を検討すると、フェロシアニドとの不均一電子移動速度は、示されている電極のそれぞれに関して概して許容でき、NiCr90:10及びNiCr72:28はNiCr85:15及びNiCr80:20よりも速い不均一電子移動を与えたことが明らかである。
【0084】
[0090]それぞれのNiCr合金に関して3つの反復試験用フィルムについて、タイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験を用いて、製造した全ての薄膜電極を試験し、異なるNiCr合金のそれぞれに関して平均Epeak,anodicの値を求めた。0~100重量%のNiの範囲の合金に関するかかる試験の結果を、図5にグラフで示す。図5は、NiCr合金導電層中のニッケルの重量%の関数としての平均Epeak,anodicの値のプロットである。バイオセンサーにおいて用いる薄膜電極は、可能な限り低い電圧で生じるFe(II)[CN]に関するEpeak,anodic電流を示すことが一般に望ましい可能性がある。図5を検討すると、フェロシアニドとの不均一電子移動速度は、クロムの量が増加するにつれて概して向上することが分かる。
【0085】
[0091]図6は、リン酸緩衝液及びFe(II)[CN]メディエーターを用いて、それぞれ40重量%のニッケル及び80重量%のニッケルを有する(ニッケル/クロム合金)/Cの薄膜電極を比較したタイプ1のリニアスイープボルタンメトリー試験のプロットである。図6を検討すると、フェロシアニドとの不均一電子移動速度は、40重量%のニッケルを含むNiCr合金に関して、80重量%のニッケルと比べてより速かったことが分かる。
【0086】
薄膜電極のマンドレル屈曲試験を用いた機械的柔軟性の分析:
[0092]マンドレル屈曲試験を用いて異なるフィルムの機械的柔軟性を分析した。試験したフィルムは上記の手順にしたがって製造したものであり、40~100重量%の範囲のニッケルのNiCr合金導電層を含んでいて、それぞれ炭素抵抗層を有していた。
【0087】
[0093]次の装置を用いてマンドレル屈曲試験を行った。
(a)マルチメーター:抵抗を0.01オームの正確度まで測定することができるマルチメーター/抵抗計;
(b)プローブ:フィルムの長尺寸法に対して直交して2つの位置でフィルムと接触させて、フィルムの全幅を長軸に沿って2インチ離隔している接触部と接触させる、薄膜を測定するための抵抗プローブ;
(c)マンドレル:1/8インチ、1/4インチ、1/2インチ、5/8インチの径を有し、平滑で清浄な表面を有し、それぞれの端においてボールベアリング上に取り付けられていて、マンドレルを滑らかに且つ容易に回転させることができるようになっているマンドレル。
【0088】
[0094]マンドレル試験は、まず被覆を目視検査して、被覆表面に、引掻傷、折目、しわ、及び端部の破れがないことを確認することによって行った。試験する薄膜電極を、幅2インチで長さ少なくとも9インチの幅広の試験片に切断した。フィルムを切断する際には亀裂を回避するように注意を払った。
【0089】
[0095]次に切断したフィルムを次のようにして試験した。
(a)2インチの抵抗プローブを用いて、試験試料の長さに沿って当初のシート抵抗(R)(オーム/スクエア)を測定して記録した。測定は3インチの間隔でとった。
【0090】
(b)次に、フィルムを、被覆側がマンドレルと接触するように5/8インチのマンドレルの周りに屈曲させた。
(c)同時にフィルムの端を保持し、フィルムがマンドレルと確実に接触するのに十分な張力をフィルムに加えた。
【0091】
(d)フィルム上にマンドレルにかかる適度の圧力を注意深く加えながらフィルムを前後に引いて、マンドレルを被覆に対して回転させた。引掻傷を回避するために、フィルムが滑動しないでマンドレルに巻回するように注意を払った。試験した被覆の領域に印を付けた。
【0092】
(e)工程dを3サイクル又は6ストローク行った。
(f)試験中にマンドレルが接触していた試験試料の長さに沿って、2インチの抵抗プローブを用いてシート抵抗(R)(オーム/スクエア)を測定して記録し、測定は試験領域にわたって3インチの間隔でとった。
【0093】
[0096]最終シート抵抗(R)を当初のシート抵抗(R)と比較したマンドレル試験の結果を、図7に示す。図7を検討すると、85~100重量%のニッケルを有するNiCr合金の導電層を有するフィルムは、特により小さい径のマンドレルを用いた場合に、40~80重量%のニッケルを有するNiCr合金の導電層を有するフィルムよりも低い機械的安定性を有していたことが分かる。この試験によって示されるより良好な相対的な機械的一体性を有する薄膜電極は、ウエブ及びシートをベースとするプロセスの向上した製造の堅牢性(manufacturing robustness)のためにより望ましいと考えられる。上記に記載したマンドレル試験を用いて2つのフィルムを比較すると、より良好に機能するフィルムは、より堅牢な機械的性能及び向上した再現性、並びに薄膜電極をバイオセンサー用途において処理及び使用するための一貫性を示すと考えられる。
【0094】
[0097]本発明の複数の態様の上記の詳細な記載は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分に詳細に本発明の種々の形態を記載することを意図している。発明の範囲から逸脱することなく、他の態様を用いることができ、変更を行うことができる。したがって、上記の詳細な記載は限定の意味で解釈すべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を保有する均等物の全範囲と共に、続く正規の実用新案出願において示されている特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0095】
[0098]本明細書において、「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という記載は、関連する1つ又は複数の特徴が本技術の少なくとも1つの態様の中に含まれることを意味する。本明細書における「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という別々の記載は、必ずしも同じ態様を指すものではなく、また、そのように言及されているか及び/又はその記載から当業者に明白である場合を除いて互いに排他的でない。例えば、一態様において記載されている特徴、工程等はまた他の態様においても含まれる可能性があるが、必ずしも含まれない。而して、本発明は、ここに記載する複数の態様の種々の組合せ及び/又は統合を包含することができる。
【0096】
[0099]ここに本発明者らは、本発明は、以下の特許請求の範囲において示す発明の文理範囲から実質的に逸脱しないが、その外側である任意の装置に関しているので、本発明の合理的に正しい範囲を決定及び利用するために均等論に依拠する本発明者らの意図を主張する。
【0097】
定義:
[00100]下記は定義されている用語の排他的なリストであるとは意図しないことを理解すべきである。例えば文脈において規定されている用語を用いることを伴う際などにおいて、上記の記載において他の規定が与えられる可能性がある。
【0098】
[00101]本明細書において用いる「a」、「an」、及び「the」の用語は1以上を意味する。
[00102]本明細書において用いる「及び/又は」の用語は、2以上の事項のリストにおいて用いる場合には、リストされている事項の任意の1つを単独で用いることができ、或いはリストされている事項の2以上の任意の組合せを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含むと記載されている場合には、この組成物は、A単独;B単独;C単独;A及びBの組合せ;A及びCの組合せ;B及びCの組合せ;或いはA、B、及びCの組合せ;を含む可能性がある。
【0099】
[00103]本明細書において用いる「含む」、「含み」、及び「含んでいる」という用語は、その用語の前に示されている主語から、その用語の後に示されている1以上の要素へ移行するのに用いられる非限定的な移行語であり、この移行語の後にリストされている1つ又は複数の構成要素は、必ずしも主語を構成する唯一の構成要素ではない。
【0100】
[00104]本明細書において用いる「有する」、「有し」、及び「有している」という用語は、上記に定義した「含む」、「含み」、及び「含んでいる」と同じ非限定的な意味を有する。
【0101】
[00105]本明細書において用いる「包含する」、「包含し」、及び「包含している」という用語は、上記に規定した「含む」、「含み」、及び「含んでいる」と同じ非限定的な意味を有する。
【0102】
数値範囲:
[00106]本明細書においては、本発明に関連する幾つかのパラメーターの量を定めるために数値範囲を用いる。数値範囲が与えられている場合には、かかる範囲は、その範囲のより低い値のみを示すクレームの限定、並びにその範囲のより高い値のみを示すクレームの限定に対する文言上のサポートを与えるものと解釈されることを理解すべきである。例えば、10~100の開示されている数値範囲は、「10よりも大きい」(上限なし)を示すクレーム、並びに「100未満」(下限なし)を示すクレームに対する文言上のサポートを与える。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)生物学的試料を分析するのに用いるためのバイオセンサー部品であって、前記バイオセンサー部品は、
基材;
前記基材上に堆積されている導電層;
前記導電層上に堆積されている抵抗材料層;及び
前記生物学的試料と電気化学的に反応させるための生物学的反応物質;
を含み;
前記導電層は、ニッケル及びクロムを含み;
前記導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は50~100重量%の範囲であり;そして
前記導電層中のクロムの重量%は20重量%より多いか、或いは前記抵抗層の厚さは20nm未満である、上記バイオセンサー部品。
(2)前記バイオセンサー部品が電極を含み、前記電極は作用電極又は参照電極或いは対電極である、(1)に記載のバイオセンサー部品。
(3)前記バイオセンサーが血糖センサーである、(1)又は(2)に記載のバイオセンサー部品。
(4)前記バイオセンサー部品が試験片を含む、(1)~(3)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(5)前記基材が25~500μmの間の厚さを有し、前記導電層が15~200nmの間の厚さを有する、(1)~(4)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(6)前記導電層が前記基材上にスパッタリングされており、前記抵抗材料層が前記導電層上にスパッタリングされている、(1)~(5)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(7)前記導電層中のクロムの重量%が約25~約95重量%の範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルであり;前記抵抗材料層が5~200nmの間の厚さを有する、(1)~(6)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(8)前記導電層中のクロムの重量%が、約30~約95重量%、又は約40~約95重量%、或いは約50~約95重量%の範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルであり;前記抵抗材料層が5~200nmの間の厚さを有する、(1)~(7)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(9)前記導電層中のクロムの重量%が50重量%より多く約95重量%までの範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルであり;前記抵抗材料層が5~200nmの間の厚さを有する、(1)~(8)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(10)前記抵抗層がアモルファス炭素である、(1)~(9)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(11)前記抵抗材料層が5~30nmの間の厚さを有する、(1)~(10)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(12)前記導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%が90~100重量%の範囲であり、前記抵抗層の厚さが20nm未満である、(1)~(11)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(13)前記抵抗材料層が5乃至20nm未満の間の厚さを有する、(1)~(12)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(14)前記抵抗材料層が5~15nmの間の厚さを有する、(1)~(13)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(15)前記基材が可撓性の非導電性フィルムを含む、(1)~(14)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(16)前記バイオセンサー部品が20%以下の可視光透過率を有する、(1)~(15)のいずれかに記載のバイオセンサー部品。
(17)バイオセンサーのための電極を形成する方法であって、
(a)基材を用意すること;
(b)導電材料ターゲットを用意すること;
(c)前記基材の少なくとも一部に前記導電材料ターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって前記基材上に導電層を形成すること;
(d)抵抗材料ターゲットを用意すること;及び
(e)前記導電層の少なくとも一部に、前記抵抗材料ターゲットからの材料を物理蒸着して、それによって前記導電層上に抵抗材料層を形成すること;
を含み;
前記導電層は、ニッケル及びクロムを含み;
前記導電層中のニッケル及びクロムの合計重量%は50~100重量%の範囲であり;そして
前記導電層中のクロムの重量%は20重量%より多いか、又は前記抵抗層の厚さは20nm未満である、上記方法。
(18)前記基材がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、前記基材が25~500μmの範囲の厚さを有し、前記導電層が15~200nmの範囲の厚さを有し、前記抵抗材料層が5~100nmの範囲の厚さを有し、前記電極が20%以下の可視光透過率を有し、前記バイオセンサーが血糖センサーを含む、(17)に記載の方法。
(19)前記導電層中のクロムの重量%が約25~約95重量%の範囲であり;前記導電層の残りが実質的にニッケルである、(17)又は(18)に記載の方法。
(20)前記抵抗層がアモルファス炭素である、(17)~(19)のいずれかに記載の方法。
(21)前記基材がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、前記抵抗材料層が、アモルファス炭素を含み、5~20nmの範囲の厚さを有する、(17)~(20)のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7