(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ロッド状の物品用ホッパーおよびロッド状の物品を分配するための方法
(51)【国際特許分類】
A24C 5/33 20060101AFI20220629BHJP
B65G 65/40 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A24C5/33
B65G65/40 A
(21)【出願番号】P 2019525756
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2017084700
(87)【国際公開番号】W WO2018122298
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-11-24
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッツァーニ マルチェッロ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05464027(US,A)
【文献】特開2006-141395(JP,A)
【文献】特表2013-519608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/33
B65G 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長軸方向軸を画定するロッド状の物品用のホッパーであって、前記ホッパーが、
・前記ロッド状の物品を保持するためのチャンバーと、
・前記ロッド状の物品を実質的に平行な長軸方向軸と整列させるための分配器装置であって、隣接したチャネルを画定する複数の壁を含み、前記壁の少なくとも一つが固定部分および前記固定部分に接続された可動部分を含む、分配器装置と、
・前記可動部分を前記固定部分に対して揺動させるように適合された振動装置と、を含む、ホッパー。
【請求項2】
前記複数の壁のうちのいくつかが、固定部分および前記固定部分に接続された可動部分を含む、請求項1に記載のホッパー。
【請求項3】
前記振動装置が、前記可動部分を同期的に揺動させるように適合される、請求項2に記載のホッパー。
【請求項4】
前記固定部分が、前記可動部分にヒンジ留めされる、請求項1~3のいずれか一項以上に記載のホッパー。
【請求項5】
前記チャネルが実質的に相互に平行である、請求項1~4の一項以上に記載のホッパー。
【請求項6】
前記固定部分が実質的に垂直である、請求項1~5の一項以上に記載のホッパー。
【請求項7】
前記可動部分が、その移動において約1°~約30°の角度にわたるように適合される、請求項1~6の一項以上に記載のホッパー。
【請求項8】
前記振動装置が、前記可動部分を約1サイクル/秒~約25サイクル/秒の周波数で揺動させるように適合される、請求項1~7のいずれかに記載のホッパー。
【請求項9】
前記チャネルの横幅が、二つの隣接した壁の間の距離によって画定され、前記チャネルの幅が、前記チャネルを区切る壁の幅として画定され、前記横幅は、前記ロッド状の物品がその長軸方向軸に対して実質的に垂直な方向で前記チャネル内へと移動するように、前記幅よりも小さい、請求項1~8のいずれかに記載のホッパー。
【請求項10】
前記可動部分が、前記固定部分に接続された第一の端と、前記チャンバー内に延在する反対側の自由端とを画定する、請求項1~9のいずれかに記載のホッパー。
【請求項11】
複数のロッド状の物品を複数のチャネルに分配する方法であって、前記方法が、
・複数のロッド状の物品をチャンバー内に配置する工程と、
・前記複数のロッド状の物品を複数のチャネル内に分配する工程であって、前記チャネルが複数の隣接した壁によって画定され、前記壁の少なくとも一つが固定部分および前記固定部分に接続された可動部分を含む、分配する工程と、を含み、前記分配する工程は、
o前記ロッド状の物品を前記チャネル内に押すように、前記可動部分を前記固定部分に対して振動させることを含む、方法。
【請求項12】
・それらのうちの少なくとも一つがチャネルに面する、第一の表面および対向する第二の表面と、前記第一および前記第二の表面を接続し、前記第一および第二の表面に対して実質的に垂直な、接続境界面とを備える可動部分を提供する工程であって、前記接続境界面が、前記チャンバーに面し、前記チャンバーから通じるスロープを形成する傾斜部分を含む、提供する工程と、
・前記スロープをロールダウンするロッド状の物品を除去する工程と、を含む、請求項1
1に記載の方法。
【請求項13】
・約1サイクル/秒~約25サイクル/秒の周波数で、前記固定部分に対して前記可動部分を振動させることを含む、請求項1
1または1
2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド状の物品用のホッパー、およびロッド状の物品を分配するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スティック状の構成要素を含む紙巻たばこおよび喫煙物品の製造において、スティックは製造ゾーンの一部から他の部分まで搬送され、スティックのマスフローを送り出すのを助けるスティックの機械的撹拌によって支援されるホッパーを通過する。構成要素を搬送するために、構成要素をその長軸方向軸に沿って整列させる必要があることが多い。すなわち、製造において構成要素を一方の装置から他方へ適切かつ効率的に搬送するためには、構成要素の向きは、ランダムではなく長軸方向軸に沿って整列されることが好ましい。整列されていない構成要素は、それらを処理する装置を詰まらせないように、除去されることが好ましい。
【0003】
実際、構成要素の搬送中に、すべての構成要素が同一の向きを有することが好ましく、公知の技術の生産ラインにおける既存のホッパーはこうした向きを取り扱うように設計されている。ところが、ホッパーへの構成要素の搬送中、一部の構成要素は、その他の構成要素のマスフローの向きと比較して変化した向きを有し、誤った位置でホッパーに到達する場合がある。所与の向きからのこの逸脱の理由は、例えば、構成要素がその端部の一方で重いために、構成要素が釣り合わない可能性がある。
【0004】
公知の生産ラインでは、構成要素のチャネルへの流れの流動性を増大させる振動ピンによって機械的撹拌が提供されるホッパーがある。しかしながら、ピンの振動は、構成要素をチャネル内に適切にガイドするのに十分ではないことが多い。
【0005】
したがって、ロッド状の物品の不整列の可能性を考慮し、これらの不整列による製造中断を最小化する、ロッド状の物品用のホッパーおよびロッド状の物品を分配する方法を有することが望ましい。
US5464027は細長い要素のためのホッパーを開示し、そのホッパーの出口は実質的に隣合った複数のチャネルによって画定され、各チャネルは二つの実質的に垂直なバッフルによって画定され、実質的に三角形の断面形状を有しかつそれぞれのバッフルの上方に配置され、他の攪拌器要素と同調して、それぞれの実質的な水平軸周りに揺動する、振り子型の攪拌器要素と関連付けられる。
【発明の概要】
【0006】
第一の態様によると、本発明は、長軸方向軸を画定するロッド状の物品用のホッパーに関し、ホッパーは、ロッド状の物品を保持するためのチャンバーと、ロッド状の物品を実質的に平行な長軸方向軸と整列させるための分配器装置であって、隣接したチャネルを画定する複数の壁を含み、壁の少なくとも一つが固定部分および固定部分に接続された可動部分を含む、分配器装置と、可動部分を固定部分に対して揺動させるように適合された振動装置と、を含む。
【0007】
本発明のホッパーでは、壁はロッド状の物品が移動できるチャネルを画定する。チャネルの幅は、ロッド状の物品が所与の方向のみに沿ってチャネル内に入ることができるようなものであることが好ましい。この方向は、ロッド状の物品の長軸方向軸に対して直角をなす方向であることが好ましい。従って、こうした方向に沿って整列されたロッド状の物品のみが、チャネル内を移動できる。固定部分に対する可動部分の振動運動に起因して、振動によりロッド状の物品がその向きを再構成するために、ロッド状の物品は実質的に、ロッド状の物品がチャネル内で移動できる方向と整列するように押される。したがって、誤って配向されたロッド状の物品も、それらがチャネル内に入ることを可能にして、ホッパーの詰まりによる製造の中断を回避または最小化するように、再整列されうる。
【0008】
ロッド状の物品は、エアロゾル形成物品の構成要素であることが好ましい。
【0009】
以下では、「ロッド」とは、実質的にロッド状の要素を示しているが、その断面は円形である必要はなく、あらゆる断面が可能である。
【0010】
さらに、ロッド状の物品は、長軸方向軸を画定するが、このことはその寸法の一つが他の二つの寸法よりも長いことを意味する。長軸方向軸は、長い寸法に沿った軸である。長軸方向軸に対して直角をなす断面は面積が実質的に同一であることが好ましいが、異なる構成も存在しうる。
【0011】
以下では、「構成要素」という用語は、エアロゾル形成物品の中に含まれてもよい任意の要素を意味する。こうした要素は当業界において公知であり、以下でさらに詳細には述べない。例えば、こうした構成要素は、フィルターのプラグ、熱源、メントールカプセル、木炭要素等を含んでもよい。
【0012】
本明細書で使用される場合、エアロゾル形成物品は、エアロゾル形成基体が加熱された時に吸入可能なエアロゾルを生成する任意の物品である。この用語は、電気発熱体などの外部熱源によって加熱されるエアロゾル形成基体を備える物品を含む。エアロゾル形成物品は、エアロゾル形成基体の燃焼を用いずに揮発性化合物を放出する物品である、不燃性エアロゾル形成物品であってもよい。エアロゾル形成物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル形成物品である、加熱式エアロゾル形成物品であってもよい。この用語は、エアロゾル形成基体と、一体型の熱源(例えば、可燃性熱源)と、を備える物品を含む。
【0013】
エアロゾル形成物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを生成する喫煙物品であってもよい。エアロゾル形成物品は、紙巻たばこなどの従来の喫煙物品と似ている場合があり、またたばこを含んでもよい。エアロゾル形成物品は、使い捨てであってもよい。エアロゾル形成物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であってもよく、また補充可能又は交換可能なエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成物品は実質的に円筒形の形状であってもよい。エアロゾル形成物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成物品は、長さに実質的に垂直な長さと円周とを有してもよい。エアロゾル形成物品は、約30ミリメートルから約100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル形成物品は、約5ミリメートルから約12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0015】
ロッド状の物品を製造施設における一つの場所から他方へと搬送するために、ホッパーが使用される。ホッパー内にはチャンバーが存在し、チャンバー内に複数のロッド状の物品が任意の公知の手段に従って挿入される。挿入後のロッド状の物品は、さらなる変位のためのチャンバー内に収容される。チャンバーは、任意の公知の形状および寸法を有することができ、所与の量のロッド状の物品をホストし、生産速度を維持するのに十分な幅であることが好ましい。
【0016】
チャンバーの幅は、その長軸方向軸に沿ったロッド状の物品の長さと実質的に等しいことが好ましい。したがって、チャンバーは、ロッド状の物品の長さ(物品の長さは、物品の長軸方向軸に沿った物品の寸法である)に実質的に等しいか、またはロッド状の物品の長さよりもわずかに長い距離で一方が他方に面する、第一および第二の周辺壁を有することが好ましい。チャンバー内に導入されるロッド状の物品は、一方が他方に平行である長軸方向の軸を有することが好ましい。このようにして、チャンバーは、その幅に沿って単一のロッド状の物品のみを収容し、並列して二つの物品が存在しないようにすることができる。従って、物品は、それらの軸が相互に平行で横並びに、または一方が他方の上に位置付けられる。ところが、一部のロッド状の物品は、異なる方法で整列させることができる、すなわち、周辺壁に対して直角をなして方向付けられず、二つの壁のいずれかに対して90°よりも小さな角度を有する長軸方向軸を有することができる。
【0017】
チャンバーは複数のチャネルと連通する。これらのチャネルは、ロッド状の物品、および物品の大部分の向きとは異なる向きを有する物品を整列させるように適合された分配器装置の一部であり、例えば、チャネルは、その長軸方向軸がホッパーの周辺壁に対して直角をなさないロッド状の物品を再整列させうる。分配器装置は、複数の壁によって画定される複数のチャネルを含む。チャネルそれぞれは、二つの面する壁によって画定され、ロッド状の物品が入る入口と、そこからロッド状の物品が抜け出る出口とを画定する。チャネルの壁は、チャネルもまたチャンバーの周辺壁に対して実質的に垂直に、チャンバーの周辺壁に対して垂直に位置付けられることが好ましい。二つの壁の間の距離は、ロッド状の物品がチャネル内に入ることができるようなものであることが好ましい。チャネルの壁の間の距離は、長軸方向軸に対して直角をなす断面においてロッド状の物品の最大寸法に等しい、またはロッド状の物品の最大寸法よりもわずかに大きいことが好ましい。次に、チャネル内に入るロッド状の物品は、その長軸方向軸に対して直角をなす方向に移動する。ロッド状の物品の長軸方向軸は、チャネルを画定する壁の表面と平行であることが好ましい。
【0018】
チャンバーの周辺壁は、チャネルの端部と接触してチャネルを閉じることが好ましい。チャネルの壁に対して直角をなす方向におけるチャネルは、チャンバーの周辺壁によって閉じられる第一および第二の端を画定する。従って、チャネルそれぞれは、チャンバー内で開口する入口およびロッド状の物品の流れの方向でチャネルの反対側の端に位置付けられた出口を除いて、その全ての側面を閉じる壁を有する導管である。
【0019】
壁の幅として画定されるチャネルの幅は、例えば、チャンバーの周辺壁間の距離と等しく、またチャンバーの幅と同一であることが好ましく、ロッド状の物品の長さに等しい、またはロッド状の物品の長さよりもわずかに長いことがより好ましい。
【0020】
チャネルは実質的に垂直であることが好ましく、すなわち、ロッド形状の物品が重力によってチャネル内に入り、同じく重力によってチャネルから抜け出ることができるように、チャネルを画定する壁が垂直に位置付けられることが好ましい。チャンバーは、チャネルを画定する壁がチャンバーの底部から垂直方向に下向きに延在するように、チャネルの上方に位置することが好ましい。
【0021】
チャネルはまた、垂直方向に対してわずかに傾斜していてもよい。
【0022】
整列されたロッド状の物品がホッパーを抜け出ることができるように、チャネルの端にホッパーの出口が存在することが好ましい。
【0023】
従って、ホッパーに挿入されたロッド状の物品は、チャネルに向かってスライドして、その長軸方向軸がチャネルを画定する壁と実質的に平行となるようにチャネルに入ることが好ましく、その両端がチャンバーの周辺壁に面するようにチャネルに入ることがさらに好ましい。ロッド状の物品は次に、その長軸方向軸に対して直角をなして、または垂直方向に対してわずかに傾斜した方向でチャネルを通って落下する。
【0024】
チャネルの少なくとも一つの壁、および好ましくは壁の少なくとも大部分、さらにより好ましくは壁の全てが、固定部分および可動部分を含む。二つの部分は相互に接続されるが、一方が他方の幾何学的延長部であることが好ましい。こうして、壁は、チャネルの出口に壁の一方の端を含む固定部分と、チャネルの入口に壁の反対側の端を含む可動部分とに分割される。可動部分は、ロッド状の物品が挿入された時に、まず壁の可動部分に向かって方向付けられるように、チャンバーに面することが好ましい。
【0025】
可動部分は、可動部分を移動させる振動装置に起因して、移動、好ましくは振動動作、前後動作、を実行する。振動は、固定部分によって画定される平面の周りであることが好ましい。平面は上端を有し、上端は可動部分の回転軸を画定する。したがって、可動部分は、固定部分によって画定される平面に属する回転軸の周りを回転してもよい。移動は、こうした平面の周りに対称であってもよい。「ゼロ」の回転は、可動部分および固定部分の両方が同一の平面上にある時と定義される。可動部分が回転軸の周りで回転を始めると、平面の一方側または他方側で同一の角度で揺動しうるため、揺動または振動は、平面に対して対称である。
【0026】
可動部分はチャネルの入口に位置付けられ、固定部分はチャネルの出口を含むことが好ましい。
【0027】
固定部分と可動部分との間の接続は、壁の端から所与の距離に位置することが好ましく、この距離はゼロとは異なる。可動部分のサイズは、不整列のロッド状の物品上の適切な「スイープ」動作を得るためにはごくわずかではない。
【0028】
こうして、可動部分は、ロッド状の物品、例えば、その上に位置付けられたロッド状の物品をスイープし、それを再配向する。移動によって、ロッド状の物品は、整列されてチャネル内を流れるよう誘導される。正確に整列されていない、すなわち、その長軸方向軸がチャネルの壁と平行ではない位置において可動部分と接触するロッド状の物品は、可動部分の揺動運動によって最終的に再配向できる。
【0029】
従って、ホッパーのチャネルにおけるロッド状の物品の流れの詰まりが最小化される。
【0030】
従って、ロッド状の物品がチャネル内で流れ、ロッド状の物品のさらなる処理が可能となるように、ホッパーを抜け出ることができる。
【0031】
複数の壁のうちのいくつかは、固定部分および固定部分に接続された可動部分を含むことが好ましい。複数の壁の移動は、ロッド状の物体の大部分が、再整列に有用であるスイープ動作を経験することができるように、ホッパーの寸法全体にわたることが好ましい。
【0032】
当該振動装置は、可動部分を同期的に揺動させるように適合されることが好ましい。関節動作、すなわち、チャネルの壁のすべての可動部分の同期動作が、チャネルの詰まりを避けるために好ましい。
【0033】
固定部分は、可動部分にヒンジ留めされることが好ましい。電動式接合部が使用されることがより好ましい。固定部分の端には、可動部分の端と接続する接合部が提供されることが好ましい。
【0034】
チャネルは、実質的に相互に平行であることが好ましい。このようにして、すべてのチャネルはロッド状の物品に同じ向きを付与する。
【0035】
一部のチャネルは、相互に対してわずかに傾斜していることが好ましい。例えば、チャネルの入口は、チャネルを形成する二つの壁がわずかに収束するように、チャネルの出口よりも幅が広い。
【0036】
当該固定部分は実質的に垂直であることが好ましい。壁は、重力によってロッド状の物品がチャネル内に落ちるように、実質的に垂直であることが好ましい。
【0037】
可動部分は、その移動において約1°~約30°の角度にわたるよう適合されることが好ましい。固定部分に対する可動部分の移動の第一の端位置から第二の端位置までの合計スパン角度は、約1°~約30°からなることが好ましく、約5°~約15°であることがより好ましい。対称な移動の場合、角度は、固定部分によって画定される平面に対して測定することができ(固定部分および可動部分が同一の平面上にある時、これは「ゼロ」とみなされる)、このような平面と可動部分(または、可動部分を通過する平面)との間に形成される最大角度は、約0.5°~約15°よりなることが好ましく、約2.5°~約7.5°がより好ましい。この角度は、ロッド状の物品を再配向すると同時に、チャネル内へのロッド状の物品の一定の流れを許容することが好ましいと考えられる。角度が大きいと、移動中に一定時間チャネルの閉鎖を引き起こすことになり、角度が小さいとスイープ効果が生じない。
【0038】
振動装置は、可動部分を約1サイクル/秒~約25サイクル/秒の周波数で揺動させるように適合されることが好ましい。揺動の周波数は、約5サイクル/秒~約10サイクル/秒からなることがより好ましい。
【0039】
チャネルの横幅は、二つの隣接した壁の間の距離によって画定されることが好ましく、チャネルの幅は、例えば、チャンバーの周辺壁間の距離に等しい、チャンバーを区切る壁の幅として画定されるが、ロッド状の物品がその長軸方向軸に対して実質的に垂直な方向でチャネル内へと移動するように、横幅が幅よりも小さい。チャネルの横幅は、ロッド状の物品の長さよりも短いことが好ましい。チャネルは、ロッド状の物品が、ロッド状の物品自体の長軸方向軸に対して実質的に垂直な方向に流れるよう「強いる」ことが好ましい。長軸方向軸はチャネルの壁に平行であることが好ましい。
【0040】
可動部分は、固定部分に接続された第一の端と、チャンバー内に延在する反対側の自由端とを画定することが好ましい。したがって、可動部分はチャンバー内に実質的に延在し、チャネルに入るロッド状の物品と接触することが好ましい。
【0041】
可動部分は、それらのうちの一つがチャネルに面する、第一および第二の対向する表面と、第一および第二の表面を接続し、第一および第二の表面に対して実質的に垂直な、接続境界面とを画定することが好ましく、接続境界面は、当該チャンバーに面し、当該チャンバーから通じるスロープを形成する傾斜部分を含む。従って、可動部分は、二つの隣接したチャネルの一部である二つの「主な」表面を有する。可動部分の一方の「主な」表面は一つのチャネルに属し、他方は隣接したチャネルに属することが好ましい。これらの二つの表面は、「より小さい」ことが好ましく、チャンバーに面する接続境界面と呼ばれる、第三の表面によって接続されることが好ましい。境界面は、実質的に可動部分の厚さを通って、二つの主な表面間に延在する。この接続境界面は、主にチャンバー内に存在するロッド状の物品と接触する。この表面は、チャネル内のロッド形状物品の流れの方向に平行ではなく、また流れの方向に対して直角をなさないことが好ましく、可動部分の二つの「主な」表面に対して直角をなし、スロープを画定することが好ましい。スロープは、可動部分の傾斜部分の実質的に一部分である。チャネルに対して直角をなして形成されることが好ましいが、スロープは、その軸が所望の方向に対して「傾斜し過ぎている」ロッド状の物品を方向付けるように形成される。実際には、ロッド状の物品がチャネルに向かって移動する時、ロッド状の物品の一部の長軸方向軸は、可動部分の揺動によっては再配向することができない、所望の流れの方向に対して角度を形成する場合がある。これらのロッド状の物品は、それらを可動部分の上部に位置付けてチャネル内のロッド状の物品の正確な流れを妨げるため、ホッパーを塞ぎうる。可動部分に形成されたスロープは、不正確に配向されたロッド状の物品が可動部分に形成された傾斜を実質的にロールダウンするようにされているため、それらがチャネルの壁から離れるように再配向することを許容する。スロープを形成するために、可動部分は、可変断面を有することが好ましく、可動部分が、一定の厚さであるが、可変幅を有することがより好ましい。可動部分の、固定部分との接続における、チャネル内のロッド状の物品の流れの方向に対して直角をなす断面が最大面積を有するが、この面積は、チャンバーの近く(可動部分の自由端の近く)に移動すると低減する。
【0042】
ホッパーが除去チャンバーを含むことがより好ましく、当該除去チャンバーは、当該スロープと連通し、当該スロープをロールダウンする位置ずれしたロッド状の物品を回収する。この除去チャンバーは、スロープの端に位置して、除去されたロッド状の物品を回収することが好ましい。
【0043】
可動部分は、そのうちの少なくとも一つがチャネルに面する、第一および第二の平行な表面と、第一および第二の表面を接続し、第一および第二の表面に対して実質的に垂直な、接続境界面とを画定することが好ましく、接続境界面は、当該チャンバーに面して面取りを形成する。可動表面は、ロッド状の物品がスロープを転がって除去チャンバーへと落下するのを助ける「丸みを帯びた形状」を有していることが好ましい。
【0044】
当該可動部分は、チャンバーに面する自由端から固定部分に接続された端へと増大する幅を有することが好ましい。この形状は、位置ずれしたロッド状の物品を除去チャンバーへと運ぶ「スロープ」を形成する。
【0045】
前記複数のチャネルは、移動の第一の方向に沿って整列されたその長軸方向軸を備えるロッド状の物品をチャネルし、複数のうちのいくつかの壁は可動部分を含み、可動部分は、その長軸方向軸が移動の第二の方向に沿って整列された、位置ずれしたロッド状の物品をチャネルする二次チャネルを形成するように、チャンバーに面する自由端から固定部分に接続された端へと増大する幅を有する。全て、その上をロッド状の物品が転がりうる「スロープ」を含む異なる可動部分は、例えば、位置ずれしたロッド状の物品を壁によって形成されたチャネルから離すように導く、複数の境界面からなる、追加のチャネルを形成する。二つの整列の方向が画定されるが、整列の第一の方向は、所望の方向である、ロッド状の物品の長軸方向軸の方向であり、整列の第二の方向は、除去されたロッド状の物品をチャンバーから離す方向であり、第二の方向は、除去された物品の長軸方向軸の整列の方向である。整列の第一の方向が、「正確に整列された」ロッド状の物品の流れまたは移動の第一の方向に対して実質的に垂直であり、整列の第二の方向が、正確に整列していないロッド状の物品の流れまたは移動の第二の方向に対して実質的に垂直であることが好ましい。整列の二つの方向は相互に平行ではない。流れまたは移動の第一および第二の方向は、一致しないことが好ましい。流れまたは移動の第二の方向は、チャンバーから垂直方向に下向きに、およびチャンバーから外向きに延在することが好ましい。整列の第一の方向および第二の方向は傾いていることが好ましい。整列の第二の方向は、整列の第一の方向から鋭角で分岐することが好ましい。整列の第二の方向は、整列の第一の方向に対して実質的に垂直であることが好ましい。整列の第一および第二の方向の両方は、実質的に水平であることが好ましい。流れまたは移動の第一および第二の方向の両方は、垂直構成要素を有することが好ましい。また、流れまたは移動の第一および第二の方向も平行ではないことが好ましい。
【0046】
固定部分はプレート様の形状であることが好ましい。プレートは実質的に垂直であることがより好ましい。
【0047】
可動部材はプレート様の形状であることが好ましい。
【0048】
第二の態様によれば、本発明は、複数のロッド状の物品を複数のチャネルに分配する方法に関し、当該方法は、複数のロッド状の物品をチャンバー内に配置し、複数のロッド状の物品を複数のチャネル内に分配するステップを含み、ここでチャネルは複数のチャネルは複数の隣接した壁によって画定され、当該壁の少なくとも一つは固定部分および固定部分に接続された可動部分を含み、分配するステップは、可動部分を固定部分に対して振動させてロッド状の物品をチャネル内に押すことを含む。
【0049】
第二の態様の利点については、第一の態様を参照しながら既に概説したため、ここでは繰り返さない。
【0050】
本方法は、それらのうちの一つがチャネルに面する、第一の表面および対向する第二の表面と、第一および第二の表面を接続し、第一および第二の表面に対して実質的に垂直な、接続境界面とを提供する工程であって、接続境界面は、当該チャンバーに面し、当該チャンバーから通じるスロープを形成する傾斜部分を含む、提供する工程と、スロープをロールダウンするロッド状の物品を除去する工程と、を含むことが好ましい。
【0051】
方法は、約1サイクル/秒~約25サイクルの周波数で、固定部分に対して可動部分を振動することを含むことが好ましい。
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本発明により実現されるホッパーの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のホッパーの詳細な第一の実施形態の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のホッパーの詳細な第二の実施形態の概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の方法による
図3のホッパーの機能の詳細な概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1を参照すると、ロッド状の物品を整列させるためのホッパーは、一般的に10と呼ばれる。ロッド状の物品は、例えば、フィルター構成要素などのエアロゾル形成物品の構成要素であり、全て100で示されている。
【0054】
フィルター構成要素100は、円筒形状を有し、長軸方向軸Xを画定する。フィルター構成要素100は所与の長さを有する。それらの長さはすべてのフィルター構成要素で同じであることが好ましい。
【0055】
ホッパー10は、フィルター構成要素を導入するための入口11を有するチャンバー20を含む。ホッパー10はさらに、その底部に位置する出口12を含む。さらに、ホッパー10は、チャンバー20より下に位置し、チャンバー20を出口12と接続する、分配器装置30を含む。チャンバー20は、プレキシガラスなどの透明な材料で作られることが好ましい、二つの平行な周辺壁13、14によって区切られ、それらの間の距離がチャンバー20の幅を画定する。チャンバー20の幅は、フィルター構成要素100の長さと等しいか、またはフィルター構成要素100の長さよりもわずかに長いことが好ましい。
【0056】
分配器装置30は、複数の壁50によって形成される複数のチャネル40を含む(
図3参照)。壁の一部は相互に平行であってもよく、その他の部分はチャンバー20から出口12に向かってわずかに収束するものであってもよい。壁50は、垂直軸に対して実質的に垂直であるか、またはわずかに傾いている。従って、壁50は実質的に平行な平面を画定する。二つの壁は、好ましくは平面である二つの対向する面60、61によってチャネル40を形成する(
図4にのみ見える)。チャネルの横幅を画定する二つの壁の間の距離は、長軸方向軸Xに対して直角をなす方向におけるフィルター要素100の断面の最大寸法に等しいことが好ましい。分配器装置は、下向きに延在して分配器装置30全体を覆う、チャンバー20の周辺壁13、14によって壁50に対して直角をなす方向で閉じられる。
【0057】
【0058】
図2の第一の実施形態では、実質的にプレート様の形態を有する壁50は、ホッパー10の底部から延在する固定部分51と、電動式ヒンジ53によって固定部分51にヒンジ留めされた可動部分52と、を含む。可動部分52は、振動装置70によって揺動させられる。動きの速度および可動部分と固定部分との間に形成される角度は調整することができる。
【0059】
壁50それぞれの可動部分52はチャンバー20内に延在し、固定部分52はホッパー10の出口12から上向きに延在する。
【0060】
チャネル40の第二の実施形態を
図3に図示するが、ここではこの実施形態と
図2の実施形態との間の違いのみが説明される。
【0061】
図3に図示したチャネル40の第二の実施形態では、可動部分52は先細り形状を有し、その幅は、最小サイズを有しかつチャンバー20に面している第一の端54から、固定部分にヒンジ留めされかつ最大サイズを有する第二の端部55へと増大する。先細り形状は、スロープ57を有する境界面56を形成する。
図4により良好に示されるように、複数の境界面56またはスロープ57は、除去された構成要素100をチャネル40から転がすための除去チャネル58を画定する。除去チャネル58は除去チャンバー59で終了する。
【0062】
動作において、ロッド状の物品100の整列は以下の通りである。
【0063】
ロッド状の物品100が、チャンバー20の周辺壁13、14が大部分のロッド状の物品100の両端に面するように、実質的に整列された長軸方向軸Xを有してホッパー10のチャンバー20内に導入される。しかし、一部の構成要素100は、この向きを有さないか、またはホッパー内を流れる間に不整列となる可能性がある。
【0064】
様々なロッド状の物品100は、チャンバー20の底部に位置するチャネル40に向かって重力によって方向付けられる。下向きに流れるロッド状の物品は、所与の周波数で揺動する壁50の可動部分52と接触するように入り、またロッド状の物品がわずかに不整列である場合には、その整列が補正されて、ロッド状の物品は、その長軸方向軸X(整列の第一の方向に平行)が流れの第一の方向82に対して実質的に垂直に、チャネル40内を流れの第一の方向82で流れることができる。長軸方向軸の整列の第一の方向は、
図4において矢印80で示されており、壁50の表面60、61に平行である。チャネル40を抜け出たロッド状の物品は次に、出口12を介してホッパー10を出る。
【0065】
整列の第一の方向80から大きく傾斜したロッド状の物品100は、チャネルが詰まる前に主な流れから分離される。これは
図4に図示する通りに行われる。不整列のロッド状の物品と傾斜した境界面56とが接触すると、可動部分のスロープ57は、不整列のロッド状の物品をさらに回転させて、それらの長軸方向軸Xを、
図4における矢印81で示す整列の第二の方向に沿って整列させる。その後、不整列のロッド状の物品は、除去チャンバー59に向かって、それらの整列の第二の方向81に対して直角をなす流れの第二の方向84(
図40において点線矢印で示す)に移動する。除去されたロッド状の物品は、ホッパー内にさらに再導入することができる。