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▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】遮断要素を備えるカートリッジ組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20220629BHJP
【FI】
A24F40/42
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019552847
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2018057806
(87)【国際公開番号】W WO2018178092
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】17163666.5
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】パトレ ヴェロニク
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/197627(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0327327(US,A1)
【文献】特表2010-532672(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2989912(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ組立品であって、前記カートリッジ組立品が、
上流端および下流端を有するマウスピースハウジングであって、前記マウスピースハウジングの前記上流端と前記マウスピースハウジングの前記下流端との間に延びるマウスピースくぼみを画定する、マウスピースハウジングと、
前記マウスピースくぼみ内に固定され、上流端および下流端を含む遮断要素と、
前記マウスピースハウジングの前記上流端に位置するカートリッジであって、前記カートリッジが、
上流端および下流端、
前記カートリッジの前記上流端に第一の空気吸込み口、および前記カートリッジの前記下流端に第一の空気出口を有する、第一の区画、および、
前記カートリッジの前記上流端に第二の空気吸込み口、および前記カートリッジの前記下流端に第二の空気出口を有する、第二の区画と、を含む、カートリッジと、を備え、
前記カートリッジの前記下流端が、前記遮断要素の前記上流端に当接し、
前記カートリッジが、第一の位置から第二の位置へと前記遮断要素に対して回転可能であり、
前記遮断要素が、前記カートリッジが前記第一の位置にあるときに、前記遮断要素の前記上流端が前記第一の空気出口および前記第二の空気出口を塞ぎ、前記カートリッジが前記第二の位置にあるときに前記第一の空気出口および前記第二の空気出口が両方とも前記マウスピースくぼみと流体連通するような形状である、カートリッジ組立品。
【請求項2】
前記遮断要素および前記カートリッジのうちの一方が開口部を含み、前記遮断要素および前記カートリッジのうちの他方がシャフトを含み、前記シャフトの少なくとも一部分が前記開口部内に位置付けられる、請求項1に記載のカートリッジ組立品。
【請求項3】
前記開口部が、前記遮断要素の前記上流端と前記遮断要素の前記下流端との間の前記遮断要素を貫通し、前記シャフトが前記カートリッジの前記下流端から延びる、請求項2に記載のカートリッジ組立品。
【請求項4】
前記シャフトが、前記開口部内に位置付けられるジャーナル部分および前記ジャーナル部分の端部に保持部分を含み、前記保持部分が前記開口部の外側に位置付けられ、前記開口部の直径よりも大きな直径を有する、請求項2または3に記載のカートリッジ組立品。
【請求項5】
前記カートリッジが、前記カートリッジの前記下流端から延びる案内ピンを含み、前記案内ピンが、前記カートリッジが前記第一の位置にあるときに前記遮断要素の第一の部分に当接し、前記案内ピンが、前記カートリッジが前記第二の位置にあるときに前記遮断要素の第二の部分に当接する、請求項1~4のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項6】
前記カートリッジが、
前記マウスピースハウジングの前記上流端に位置し、前記第一の位置から前記第二の位置へと前記遮断要素に対して回転可能である、カートリッジハウジングと、
前記カートリッジハウジング内に固定されたカートリッジ本体であって、前記第一の区画および前記第二の区画を画定する、カートリッジ本体と、を備える、請求項1~5のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項7】
前記遮断要素が、前記マウスピースハウジングの前記下流端から間隙を介しており、前記遮断要素の前記下流端と前記マウスピースハウジングの前記下流端との間のマウスピースくぼみの一部分が、混合チャンバーを形成する、請求項1~6のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項8】
前記マウスピースハウジングが、前記遮断要素と前記マウスピースハウジングの前記下流端との間に位置する換気空気吸込み口を含み、前記換気空気吸込み口が、前記マウスピースハウジングを貫通し、前記マウスピースハウジングの外部と前記混合チャンバーとの間に流体連通を提供する、請求項7に記載のカートリッジ組立品。
【請求項9】
前記遮断要素が、前記カートリッジが前記第二の位置にあるときに前記第一の空気出口の上にあるように構成された第一の気流開口部と、前記カートリッジが前記第二の位置にあるときに前記第二の空気出口の上にあるように構成された第二の気流開口部とを含む、請求項1~8のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項10】
前記遮断要素が円形形状を有し、前記第一の気流開口部および前記第二の気流開口部がそれぞれ弓形状を有する、請求項9に記載のカートリッジ組立品。
【請求項11】
前記第一の気流開口部および前記第二の気流開口部が直径方向に対向する、請求項10に記載のカートリッジ組立品。
【請求項12】
前記第一の気流開口部および前記第二の気流開口部が、それぞれ四半円弧の弧の長さに沿って延びる、請求項10または11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記遮断要素が、前記第一の気流開口部の第一の端と前記第二の気流開口部の第二の端との間に位置する第一の遮断部分を含み、前記遮断要素が、前記第一の気流開口部の第二の端と前記第二の気流開口部の第一の端との間に位置する第二の遮断部分を含み、前記第一の遮断部分が、前記カートリッジが前記第一の位置にあるときに前記第一の空気出口を塞ぐように構成され、前記第二の遮断部分が、前記カートリッジが前記第一の位置にあるときに前記第二の空気出口を塞ぐように構成される、請求項9~12のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記マウスピースハウジングが、前記マウスピースくぼみの前記下流端を横切って延びる下流壁部分を含み、前記マウスピースハウジングが、前記下流壁部分を貫通するマウスピースハウジング空気出口を含む、請求項1~13のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項15】
前記カートリッジの前記上流端を横切って延びるシールをさらに備える、請求項1~14のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項16】
前記カートリッジが、前記第一の区画内に位置するニコチン供与源および前記第二の区画内に位置する酸供与源をさらに含む、請求項1~15のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項17】
前記カートリッジが、エアロゾル発生装置の発熱体を受けるための第三の区画を備え、前記第三の区画が前記カートリッジの前記上流端に区画開口部を含み、前記第三の区画が前記第一の区画と前記第二の区画との間に位置する、請求項1~16のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項18】
前記カートリッジが、前記第一の区画と前記第二の区画との間に位置するサセプタを含む、請求項1~16のいずれかに記載のカートリッジ組立品。
【請求項19】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~16のいずれかに記載のカートリッジ組立品と、
前記カートリッジ組立品の上流端、ならびに前記カートリッジ組立品の前記カートリッジの前記第一の区画および前記第二の区画を加熱するためのヒーターを受けるように構成される装置くぼみを含む、エアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項20】
前記ヒーターが、前記装置くぼみ内に位置する発熱体を含み、前記カートリッジが、前記発熱体を受けるための第三の区画を含み、前記第三の区画が前記カートリッジの前記上流端に区画開口部を含み、前記第三の区画が前記第一の区画と前記第二の区画との間に位置する、請求項19に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項21】
前記ヒーターが、前記装置くぼみの少なくとも一部を囲む、誘導ヒーターを含み、前記カートリッジが、前記第一の区画と前記第二の区画との間に位置するサセプタを含む、請求項19に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ組立品、および、そのカートリッジ組立品を含むエアロゾル発生システムに関する。本発明には、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを生成するための、ニコチン供与源および酸供与源を備えるカートリッジ組立品としての特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
ニコチンをユーザーに送達し、ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物供与源を備える装置が公知である。例えば、国際特許公開公報第2008/121610A1号は、ニコチンおよび揮発性酸(ピルビン酸など)が気相で相互に反応して、ユーザーによって吸入されるニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する装置を開示している。
【0003】
国際特許公開公報第2008/121610A1号では、ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物供与源は、エアロゾル発生システムの最初の使用の前に取り外し可能または壊れやすいバリアによって封止される、区画内に収容されうる。
【0004】
しかし、複数の取り外し可能または壊れやすいバリアの包含は不都合に、そのようなエアロゾル発生システムの製造のコストおよび複雑さを増大しうる。結果として、取り外し可能または壊れやすいバリアを必要とすることなく貯蔵中に一つ以上の揮発性化合物が保持されうる、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ組立品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によれば、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ組立品であって、マウスピースハウジング、遮断要素、およびカートリッジを備える、カートリッジ組立品が提供されている。マウスピースハウジングは、上流端および下流端を有し、マウスピースハウジングは、マウスピースハウジングの上流端とマウスピースハウジングの下流端との間に延びるマウスピースくぼみを画定する。遮断要素は、マウスピースくぼみ内に固定され、上流端および下流端を備える。カートリッジは、マウスピースハウジングの上流端に位置し、カートリッジは、上流端および下流端を備える。カートリッジはまた、カートリッジの上流端に第一の空気吸込み口、およびカートリッジの下流端に第一の空気出口を有する第一の区画を備える。カートリッジはまた、カートリッジの上流端に第二の空気吸込み口、およびカートリッジの下流端に第二の空気出口を有する第二の区画を備える。カートリッジの下流端は、遮断要素の上流端に当接する。カートリッジは、第一の位置から第二の位置へと遮断要素に対して回転可能である。遮断要素は、カートリッジが第一の位置にあるときに、遮断要素の上流端が第一の空気出口および第二の空気出口を塞ぎ、カートリッジが第二の位置にあるときに第一の空気出口および第二の空気出口が両方ともマウスピースくぼみと流体連通するような形状である。
【0006】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「空気吸込み口」という用語は、空気がそれを通してカートリッジ組立品の構成要素または構成要素の部分の中へと引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0007】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「空気出口」という用語は、空気がそれを通してカートリッジ組立品の構成要素または構成要素の部分から外へ引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0008】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「塞がれる」という用語は、空気吸込み口または空気出口を通る気流が実質的に防がれるように、空気吸込み口または空気出口が塞がれることを意味する。
【0009】
本発明によるカートリッジ組立品は、カートリッジが第一の位置にあるときにカートリッジの第一の空気出口および第二の空気出口を塞ぐように構成された遮断要素を備える。有利なことに、これは、カートリッジの下流端に取り外し可能または壊れやすいシールを提供する必要性を除去しうる。
【0010】
本発明によるカートリッジ組立品は、遮断要素が第一の空気出口および第二の空気出口を塞ぐ第一の位置から第一の空気出口および第二の空気出口がマウスピースくぼみと流体連通する第二の位置へと遮断要素に対して回転するように構成されたカートリッジを備える。有利なことに、これは、ユーザーがシールを除去する、またはカートリッジの下流端のシールを壊す必要なしに、第一の空気出口および第二の空気出口をあらわにすることによって、カートリッジ組立品の使用を簡略化しうる。
【0011】
カートリッジ組立品は、カートリッジが第一の位置と第二の位置との間を遮断要素に対して回転可能となるように構成されうる。すなわち、カートリッジは、第一の位置から第二の位置へと回転するように構成されてもよく、第二の位置から第一の位置へと回転するように構成されてもよい。これにより、ユーザーは、第二の位置から第一の位置へとカートリッジを回転させて、第一の空気出口および第二の空気出口を再び塞ぎうる。有利なことに、これは、カートリッジの別個の使用間の、第一の区画および第二の区画のうちの少なくとも一つ内に貯蔵されうる一つ以上の揮発性化合物の損失を低減しうる。
【0012】
遮断要素およびカートリッジのうちの一方は開口部を含んでもよく、ここで、遮断要素およびカートリッジのうちの他方はシャフトを含み、シャフトの少なくとも一部分は開口部内に位置する。有利なことに、シャフトと開口部の組み合わせは、遮断要素に対するカートリッジの回転を容易にする。有利なことに、シャフトと開口部の組み合わせは、製造および組み立てが簡単でありうる。
【0013】
開口部は滑り軸受を形成することが好ましい。
【0014】
開口部は、遮断要素の上流端と遮断要素の下流端との間で遮断要素を貫通してもよく、ここで、シャフトはカートリッジの下流端から延びる。有利なことに、この配置は、シャフトの長さが開口部の長さより長い実施形態を容易にしうる。特に、マウスピースくぼみは、遮断要素の下流端を越えて延びるシャフトの任意の部分を収容しうる。
【0015】
シャフトは、開口部内に位置するジャーナル部分およびジャーナル部分の端部に保持部分を備えることが好ましく、ここで、保持部分は開口部の外側に位置し、開口部の直径よりも大きな直径を有する。有利なことに、保持部分は、開口部内にシャフトのジャーナル部分を保持し、カートリッジが遮断要素およびマウスピースハウジングから分離することを防止する。
【0016】
遮断要素は、開口部の第一の側を画定する第一の部品、および開口部の第二の側を画定する第二の部品を備えてもよく、第一および第二の部品は別個に形成され、一緒に結合されて遮断要素を形成する。有利なことに、二つの別個の部品から遮断要素を形成することは、カートリッジ組立品の組立を容易にしうる。例えば、シャフトのジャーナル部分は、第一の部品および第二の部品が一緒に結合されて遮断要素を形成する前は、開口部の第一の側および開口部の第二の側のうちの少なくとも一つ内に位置しうる。
【0017】
第一の部品および第二の部品は、締まりばめ、接着剤、および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによって一緒に結合されうる。
【0018】
保持部分は、テーパー付部分を含みうる。有利なことに、テーパー付部分部分を有する保持部分を提供することにより、特に遮断要素が単一要素として形成される実施形態における、カートリッジ組立品の組立中の開口部を通した保持部分の挿入が容易となりうる。こうした実施形態では、遮断要素を形成する材料の弾性変形が、カートリッジ組立品の組立中に開口部を通して押し出されるときに保持部分を収容することができるように、テーパー付部分の最大直径が十分に小さいことが好ましい。
【0019】
テーパーテーパー付部分の断面サイズは、テーパー付部分の下流端からのテーパー付部分の長さに沿った上流方向に増大することが好ましい。有利なことに、これは、カートリッジ組立品の組立中の開口部内への保持部分の挿入を容易にしうる。テーパー付部分の上流端は、開口部の直径よりも大きな直径を有することが好ましい。テーパー付部分の下流端は、開口部の直径よりも小さな直径を有することが好ましい。テーパー付部分は、テーパー付部分の長さに沿って直線的に変化する断面サイズを含みうる。例えば、テーパー付部分は円錐形状を有してもよい。テーパー付部分は、テーパー付部分の長さに沿って非直線的に変化する断面サイズを含みうる。例えば、テーパー付部分は丸みのある形状を有してもよい。
【0020】
シャフトは、テーパー付部分の上流端とジャーナル部分の下流端との間に直径の段差変化を含むことが好ましく、ここで、ジャーナル部分の下流端は、テーパー付部分の上流端の直径よりも小さな直径を有する。有利なことに、直径の段差変化は、カートリッジ組立品が組み立てられた後にテーパー付部分が開口部を通して後退するのを防止しうる。
【0021】
カートリッジは、カートリッジの下流端から延びる案内ピンを備えてもよく、案内ピンは、カートリッジが第一の位置にあるときに遮断要素の第一の部分に当接し、また、案内ピンは、カートリッジが第二の位置にあるときに遮断要素の第二の部分に当接する。有利なことに、案内ピンは、ユーザーによる第二の位置へのカートリッジの正確な回転を容易にしうる。カートリッジが第二の位置から第一の位置へと回転することができる実施形態では、案内ピンは、ユーザーによる第一の位置へのカートリッジの正確な回転を容易にしうる。案内ピンは、カートリッジが第一の位置から第二の位置へと回転するときに、案内ピンが弓形経路に従うように、遮断要素に対してカートリッジの回転軸から間隙を介していることが好ましい。
【0022】
遮断要素は、遮断要素の上流端と遮断要素の下流端との間に遮断要素を貫通する案内開口部を備えることが好ましく、ここで、案内ピンは案内開口部内に受けられる。案内ピンは、カートリッジが第一の位置にあるときに、案内開口部の第一の側に当接することが好ましい。案内ピンは、カートリッジが第二の位置にあるときに、案内開口部の第二の側に当接することが好ましい。
【0023】
遮断要素は、案内開口部の第一の側に形成された第一の窪みを含んでもよく、案内ピンは、カートリッジが第一の位置にあるときに締まりばめによって第一の窪み内に受けられる。有利なことに、締まりばめは、カートリッジが第二の位置から第一の位置へと移動するときに、案内ピンを第一の窪み内にスナップさせうる。これにより、カートリッジが第一の位置へと正常に回転されたとの触覚的確認をユーザーに提供しうる。遮断要素は、案内開口部内に延びて、第一の窪みと案内ピンとの間に締まりばめを提供する、戻り止めを備えうる。
【0024】
遮断要素は、案内開口部の第二の側に形成された第二の窪みを備えてもよく、ここで、案内ピンは、カートリッジが第二の位置にあるときに締まりばめによって第二の窪み内に受けられる。有利なことに、締まりばめにより、カートリッジが第一の位置から第二の位置へと移動するときに、案内ピンが第二の窪み内にスナップしうる。これにより、カートリッジが第二の位置へと正常に回転されたとの触覚的確認をユーザーに提供しうる。遮断要素は、案内開口部内に延びて、第二の窪みと案内ピンとの間に締まりばめを提供する、第二の戻り止めを備えうる。
【0025】
遮断要素は、第一の窪みのみを備えてもよく、第二の窪みのみを備えてもよく、または第一の窪みと第二の窪みの両方を備えてもよい。カートリッジが第一の位置から第二の位置へとのみ回転しうるようにカートリッジ組立品が構成される実施形態では、案内ピンと第二の窪みとの間の締り嵌めは実質的に不可逆的であることが好ましい。すなわち、第二の窪みから案内ピンを取り外すために必要な力は、案内ピンを第二の窪み内に挿入するのに必要な力の少なくとも二倍でありうる。締まりばめは、案内ピンを壊すことなく、案内ピンが第二の窪みから回転できないようなものとしうる。
【0026】
カートリッジは、マウスピースハウジングの上流端に位置し、第一の位置から第二の位置へと遮断要素に対して回転可能であるカートリッジハウジングと、カートリッジハウジング内に固定され、第一の区画および第二の区画を画定する、カートリッジ本体と、を備えうる。有利なことに、カートリッジハウジングおよびカートリッジ本体からカートリッジを形成することは、カートリッジの製造を簡略化しうる。
【0027】
カートリッジハウジングは、下流端壁を備えることが好ましい。
【0028】
第一の空気出口および第二の空気出口は、下流端壁を貫通することが好ましい。
【0029】
カートリッジがシャフトを備える実施形態では、シャフトは下流端壁から下流に延びることが好ましい。シャフトは下流端壁と一体的に形成されることが好ましい。
【0030】
カートリッジが案内ピンを含む実施形態では、案内ピンは下流端壁から下流に延びることが好ましい。案内ピンは下流端壁と一体的に形成されることが好ましい。
【0031】
カートリッジハウジングは、カートリッジ本体が受けられるカートリッジハウジングくぼみを画定することが好ましい。カートリッジハウジングは、カートリッジハウジングの上流端にカートリッジハウジング開口部を画定することが好ましい。有利なことに、カートリッジ本体は、カートリッジハウジング開口部を通してカートリッジハウジングくぼみ内に挿入されうる。
【0032】
カートリッジ本体およびカートリッジハウジングは、カートリッジ本体がカートリッジハウジング内に挿入されうる、カートリッジハウジングに対するカートリッジ本体の回転配向の数を制限するように形成されうる。カートリッジ本体およびカートリッジハウジングは、カートリッジ本体が単一の回転配向のみでカートリッジハウジング内に挿入されうるような形状であることが好ましい。第一の空気出口および第二の空気出口がカートリッジハウジングの下流壁を貫通する実施形態では、回転配向は、カートリッジ本体がカートリッジハウジング内に受けられるときに、第一の区画の下流端が第一の空気開口部の上にあり、第二の区画の下流端が第二の空気開口部の上にあるようなものであることが好ましい。
【0033】
カートリッジ本体は、締まりばめ、接着剤、および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによって、カートリッジハウジング内に保持されうる。カートリッジ本体は、締まり嵌めによってカートリッジハウジング内に保持されることが好ましい。有利なことに、締まりばめは、カートリッジの製造および組立を単純化する。
【0034】
カートリッジ本体は、単一の部品として形成されうる。
【0035】
カートリッジ本体は、第一の部品と、第一の部品に結合されてカートリッジ本体を形成する第二の部品とを備える。有利なことに、第一の部品および第二の部品からカートリッジ本体を形成することにより、カートリッジ組立品の組立中における第一の区画および第二の区画のうちの少なくとも一つへの材料の挿入が容易になりうる。
【0036】
カートリッジ本体の第一の部品は、第一の区画の第一の側および第二の区画の第一の側を画定しうる。カートリッジ本体の第二の部分は、第一の区画の第二の側および第二の区画の第二の側を画定しうる。第一の区画内に位置付けられる任意の材料は、第一の部品および第二の部品が一緒に結合されてカートリッジ本体を形成する前は、第一の区画の第一の側または第一の区画の第二の側内に位置しうる。第二の区画内に位置付けられる任意の材料は、第一の部品および第二の部品が一緒に結合されてカートリッジ本体を形成する前は、第二の区画の第一の側または第二の区画の第二の側内に位置しうる。
【0037】
カートリッジ本体の第一の部品および第二の部品は、締まりばめ、接着剤、および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによって一緒に結合されうる。カートリッジ本体の第一の部品および第二の部品は、締まりばめによって一緒に結合されることが好ましい。有利なことに、締まりばめは、カートリッジ本体の製造および組立を単純化する。
【0038】
カートリッジ本体は、上流端壁を含むことが好ましく、ここで、第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口は、上流端壁によって画定される。
【0039】
遮断要素は、マウスピースハウジングの下流端から間隙を介してもよく、ここで、遮断要素の下流端とマウスピースハウジングの下流端との間のマウスピースくぼみの一部分は、混合チャンバーを形成する。第一の区画が第一の揮発性化合物の供給源を含み、第二の区画が第二の揮発性化合物の供給源を含む、本明細書に記載する実施形態では、有利なことに、混合チャンバーは、混合物がユーザーに送達される前の、第一の区画および第二の区画からの気化された第一の揮発性化合物および第二の揮発性化合物の混合を容易にしうる。
【0040】
マウスピースハウジングは、遮断要素とマウスピースハウジングの下流端との間に位置する換気空気吸込み口を含んでもよく、換気空気吸込み口は、マウスピースハウジングを貫通し、マウスピースハウジングの外部と混合チャンバーの下流端との間に流体連通を提供する。
【0041】
マウスピースハウジングは、マウスピースくぼみの下流端を横切って延びる下流壁部分を含んでもよく、マウスピースハウジングは、下流壁部分を貫通するマウスピースハウジング空気出口を含む。使用時、カートリッジ組立品を通る気流は、ユーザーへの送達のためにマウスピースハウジング空気出口を通ってカートリッジ組立品を抜け出る。
【0042】
遮断要素は、締まりばめ、接着剤、および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによって、マウスピースハウジング内に固定されうる。遮断要素は、締まりばめによってマウスピースハウジング内に固定されることが好ましい。有利なことに、締まりばめは、カートリッジ組立品の製造および組立を単純化する。
【0043】
遮断要素は、カートリッジが第二の位置にあるときに第一の空気出口の上にあるように構成された第一の気流開口部と、カートリッジが第二の位置にあるときに第二の空気出口の上にあるように構成された第二の気流開口部とを含みうる。
【0044】
遮断要素は円形形状を有することが好ましい。第一の気流開口部および第二の気流開口部はそれぞれ、弓形状を有してもよい。
【0045】
遮断要素がカートリッジ上の案内ピンと相互作用するように構成された案内開口部を備える実施形態では、第一の気流開口部または第二の気流開口部は、案内開口部を形成しうる。
【0046】
第一の気流開口部および第二の気流開口部は、直径方向に向かい合っていてもよい。有利なことに、直径方向に向かい合った第一の気流開口部および第二の気流開口部を提供することにより、カートリッジの反対側に第一の区画および第二の区画を位置付けることが容易になりうる。有利なことに、これは、カートリッジ内の重量の均衡分布を促進しうるが、これは製造工程中のカートリッジおよびカートリッジ組立品の取り扱いを容易にしうる。
【0047】
第一の気流開口部および第二の気流開口部は、それぞれ四半円弧の弧の長さに沿って延びてもよい。第一の気流開口部および第二の気流開口部が直径方向に向かい合い、それぞれ四半円弧の弧の長さに沿って延びる実施形態では、第一の位置および第二の位置は、カートリッジの角回転によって互いに、遮断要素に対して90度オフセットされうる。
【0048】
遮断要素の下流端が円形形状を有する実施形態では、遮断要素の下流端は、円周方向および半径方向を画定する。第一の気流開口部および第二の気流開口部のそれぞれは、少なくとも約3.5ミリメートルの円周方向の最大長さを有することが好ましく、少なくとも約4ミリメートルの円周方向の最大長さを有することがより好ましい。第一の気流開口部および第二の気流開口部のそれぞれは、約5.5ミリメートル未満の円周方向の最大長さを有することが好ましく、約5ミリメートル未満の円周方向の最大長さを有することがより好ましい。
【0049】
第一の気流開口部および第二の気流開口部のそれぞれは、少なくとも約2ミリメートルの半径方向の最大幅を有することが好ましく、少なくとも約2.5ミリメートルの半径方向の最大幅を有することがより好ましい。第一の気流開口部および第二の気流開口部のそれぞれは、約4ミリメートル未満の半径方向の最大幅を有することが好ましく、約3.5ミリメートル未満の半径方向の最大幅を有することがより好ましい。
【0050】
遮断要素は、少なくとも約6ミリメートルの直径を有してもよく、少なくとも約6.5ミリメートルの直径を有することが好ましい。遮断要素は、約9ミリメートル未満の直径を有してもよく、約8.5ミリメートル未満の直径を有することが好ましい。
【0051】
第一の気流開口部および第二の気流開口部のそれぞれは、少なくとも約3.5平方ミリメートルの最大流れ面積を有することが好ましく、少なくとも約4平方ミリメートルの最大流れ面積を有することがより好ましく、少なくとも約4.5平方ミリメートルの最大流れ面積を有することがより好ましい。第一の気流開口部および第二の気流開口部のそれぞれは、約6平方ミリメートル未満の最大流れ面積を有すことが好ましく、約5.5平方ミリメートル未満の最大流れ面積を有すことがより好ましく、約5平方ミリメートル未満の最大流れ面積を有すことがより好ましい。
【0052】
第一の気流開口部および第二の気流開口部の最大流れ面積それぞれと遮断要素の下流端の表面積との比は、少なくとも約0.06であることが好ましく、約0.08であることがより好ましく、少なくとも約0.1であることがより好ましい。第一の気流開口部および第二の気流開口部のそれぞれの最大流れ面積と遮断要素の下流端の表面積との比は、約0.2未満であることが好ましく、約0.16未満であることがより好ましく、約0.14未満であることがより好ましい。
【0053】
遮断要素は、第一の気流開口部の第一の端と第二の気流開口部の第二の端との間に位置する第一の遮断部分を備えてもよい。遮断要素は、第一の気流開口部の第二の端と第二の気流開口部の第一の端との間に位置する第二の遮断部分を備えてもよい。第一の遮断部分は、カートリッジが第一の位置にあるときに第一の空気出口を塞ぐように構成され、第二の遮断部分は、カートリッジが第一の位置にあるときに第二の空気出口を塞ぐように構成される。
【0054】
カートリッジ組立品は、カートリッジの上流端を横切って延びるシールをさらに備えうる。シールは、シールの周辺の周りでカートリッジに固定されて、第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口をシールすることが好ましい。カートリッジがカートリッジハウジングおよびカートリッジ本体を備える実施形態では、シールはカートリッジハウジングおよびカートリッジ本体のうちの少なくとも一つに固定されうる。シールは、接着剤および超音波溶接などの溶接のうちの少なくとも一つによってカートリッジに固定されうる。シールは、シート材料から形成されることが好ましい。シート材料は、高分子フィルムおよび金属箔のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0055】
シールは、エアロゾル発生装置上の穿孔要素によって穿孔されるように構成される壊れやすいシールとしうる。
【0056】
シールは、カートリッジ組立品を使用する前にユーザーによって取り外されるように構成された取り外し可能なシールとしうる。取り外し可能なシールは、ユーザーによるシールの取り外しを容易にするためのプルタブを備えうる。
【0057】
第一の空気出口は、単一の第一の空気出口開口部を含みうる。第一の空気出口は、複数の第一の空気出口開口部を含んでもよく、第一の空気出口開口部それぞれは、第一の区画の下流端と流体連通する。第一の空気出口開口部それぞれは、最小の断面積を有してもよく、最小の断面積は、第一の空気出口開口部の流れ面積である。第一の空気出口の合計流れ面積は、一つ以上の第一の空気出口開口部の流れ面積の合計である。
【0058】
第二の空気出口は、単一の第二の出口開口部を含みうる。第二の空気出口は、複数の第二の空気出口開口部を備えてもよく、第二の空気出口開口部それぞれは、第二の区画の下流端と流体連通する。第二の空気出口開口部それぞれは、最小の断面積を有してもよく、最小の断面積は、第二の空気出口開口部の流れ面積である。第二の空気出口の合計流れ面積は、一つ以上の第二の空気出口開口部の流れ面積の合計である。
【0059】
第一の空気出口の合計流れ面積は、第二の空気出口の合計流れ面積と、同一であっても、または異なってもよい。第一の空気出口の合計流れ面積は、第二の空気出口の合計流れ面積と異なってもよい。異なる合計流れ面積は、第一の区画および第二の区画のそれぞれを通して異なる流量の空気を提供するように選択されうる。カートリッジが第一の区画内に位置する第一の揮発性化合物の供給源および第二の区画内に第二の揮発性化合物の供給源を備える実施形態では、第一の区画および第二の区画を通して異なる流量を提供することは、同一の温度における第一の揮発性化合物の蒸気圧と第二の揮発性化合物の蒸気圧との間の差の原因となる。第一の揮発性化合物および第二の揮発性化合物が相互に化学反応を受けて、ユーザーへ送達するための反応生成物を形成する実施形態では、第一の区画および第二の区画を通して異なる流量を提供することは、カートリッジの下流における第一の揮発性化合物と第二の揮発性化合物の間の望ましい反応化学量論を提供しうる。
【0060】
第一の空気出口および第二の空気出口に関して本明細書に記述される任意のおよび好ましい特徴は、第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口にも等しく適用されうる。すなわち、第一の空気吸込み口および第二の空気吸込み口のそれぞれは、一つ以上の空気吸込み口開口部を含みうる。第一の空気吸込み口の合計流れ面積は、第二の空気吸込み口の合計流れ面積と同一であってもよい。第一の空気吸込み口の合計流れ面積は、第二の空気吸込み口の合計流れ面積と異なってもよい。
【0061】
カートリッジ組立品は、マウスピースハウジング上に第一のしるしおよびカートリッジ上の第二のしるしを含みうる。しるしは、第二のしるしに対する第一のしるしの位置が、マウスピースハウジングに対するカートリッジの回転配向の視覚的表示をユーザーに提供するように構成されることが好ましい。有利なことに、カートリッジの回転配向の視覚的表示を提供することにより、ユーザーは、第一の空気出口および第二の空気出口が遮断要素によって塞がれているか、または塞がれずにマウスピースくぼみと流体連通しているどうかを判定できるようになる。
【0062】
カートリッジ組立品は、第一の区画内に配置されるニコチン供与源を含みうる。カートリッジ組立品は、第二の区画内に配置される酸供与源を含みうる。
【0063】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。
【0064】
ニコチン供与源は、約1ミリグラム~約50ミリグラムのニコチンが浸み込まされた第一の担体材料を含みうる。ニコチン供与源は、約1ミリグラム~約40ミリグラムのニコチンが浸み込まされた第一の担体材料を含みうる。ニコチン供与源は、約3ミリグラム~約30ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことが好ましい。ニコチン供与源は、約6ミリグラム~約20ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことがより好ましい。ニコチン供与源は、約8ミリグラム~約18ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことが最も好ましい。
【0065】
第一の担体材料がニコチン塩基またはニコチン塩で含浸されている実施形態において、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれニコチン塩基の量またはイオン化されたニコチンの量である。
【0066】
第一の担体材料は、水性溶媒または非水性溶媒中の液体ニコチンまたはニコチン溶液で含浸されてもよい。
【0067】
第一の担体材料は、天然ニコチンまたは合成ニコチンで含浸されてもよい。
【0068】
酸供与源は有機酸または無機酸を含んでもよい。
【0069】
酸供与源は有機酸を含むことが好ましく、カルボン酸を含むことがより好ましく、アルファ-ケト酸もしくは2-オキソ酸または乳酸を含むことが最も好ましい。
【0070】
有利には、酸供与源は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸、乳酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された酸を含む。有利には、酸供与源は、ピルビン酸または乳酸を含む。さらに有利には、酸供与源は乳酸を含む。
【0071】
有利なことには、酸供与源は、酸を浸み込ませた第二の担体材料を含む。
【0072】
第一の担体材料および第二の担体材料は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0073】
有利には、第一の担体材料および第二の担体材料は、約0.1グラム/立法センチメートル~約0.3グラム/立法センチメートルの密度を有する。
【0074】
有利には、第一の担体材料および第二の担体材料は、約15パーセント~約55パーセントの空隙率を有する。
【0075】
第一の担体材料および第二の担体材料は、ガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0076】
第一の担体材料は、ニコチン用の貯蔵部としての役目をする。
【0077】
有利なことに、第一の担体材料は、ニコチンに対して化学的に不活性である。
【0078】
第一の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを持ちうる。例えば、第一の担体材料はシートまたはプラグの形態でありうる。
【0079】
有利なことには、第一の担体材料の形状およびサイズは、カートリッジの第一の区画の形状およびサイズと同様である。
【0080】
第一の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第一の担体材料が望ましい量のニコチンを含浸できるように選択されうる。
【0081】
有利なことには、カートリッジの第一の区画は、さらに風味剤を含みうる。適切な風味剤としては、メントールが挙げられるが、これに限定されない。
【0082】
有利なことには、第一の担体材料は、約3ミリグラム~約12ミリグラムの風味剤で含浸されうる。
【0083】
第二の担体材料は、酸用の貯蔵部としての役目をする。
【0084】
有利なことに、第二の担体材料は、酸に対して化学的に不活性である。
【0085】
第二の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを持ちうる。例えば、第二の担体材料はシートまたはプラグの形態でありうる。
【0086】
有利なことには、第二の担体材料の形状およびサイズは、カートリッジの第二の区画の形状およびサイズと同様である。
【0087】
第二の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第二の担体材料が望ましい量の酸を含浸できるように選択されうる。
【0088】
有利なことには、酸供与源は、約2ミリグラム~約60ミリグラムの乳酸を浸み込ませた第二の担体材料を含む乳酸供与源である。
【0089】
好ましくは、乳酸供与源は、約5ミリグラム~約50ミリグラムの乳酸が浸み込まされた第二の担体材料を含む。乳酸供与源は、約8ミリグラム~約40ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含むことがより好ましい。乳酸供与源は、約10ミリグラム~約30ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含むことが最も好ましい。
【0090】
カートリッジの第一の区画の形状および寸法は、望ましい量のニコチンがカートリッジ内に収容可能になるように選択されうる。
【0091】
カートリッジの第二の区画の形状および寸法は、望ましい量の酸がカートリッジ内に収容可能になるように選択されうる。
【0092】
適切な反応化学量論を達成するために必要なニコチンと酸の比は、第一の区画の容積を第二の区画の容積に対して変動させることにより制御されてバランスを取りうる。
【0093】
カートリッジ組立品が、第一の区画内に配置されるニコチン供与源および第二の区画内に配置される酸供与源を含む実施形態では、カートリッジの第一の区画におけるニコチン供与源から放出されたニコチン蒸気と、カートリッジの第二の区画における酸供与源から放出された酸蒸気とが、マウスピースくぼみにおける気相で相互に反応してニコチン塩粒子のエアロゾルを形成しうる。
【0094】
カートリッジの第一の区画は一つ以上の耐ニコチン性材料で被覆されてもよく、カートリッジの第二の区画は一つ以上の耐酸性材料で被覆されてもよい。
【0095】
適切な耐ニコチン性材料および耐酸性材料の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
一つ以上の耐ニコチン性材料を使用してカートリッジを形成すること、およびカートリッジの第一の区画の内部を被覆することのうちの一方または両方により、有利なことに、カートリッジ組立品の貯蔵寿命が延長しうる。
【0097】
一つ以上の耐酸性材料を使用してカートリッジを形成すること、およびカートリッジの第二の区画の内部を被覆することのうちの一方または両方により、有利なことに、カートリッジ組立品の貯蔵寿命が延長しうる。
【0098】
カートリッジ組立品は、マウスピースくぼみ内に位置する一つ以上のエアロゾル修飾剤を含みうる。例えば、マウスピースくぼみは、一つ以上の吸収材、一つ以上の風味剤、一つ以上の化学感覚剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0099】
カートリッジは、エアロゾル発生装置の発熱体を受けるための第三の区画を含みうる。第三の区画は、第一の区画と第二の区画との間に配置されることが好ましい。すなわち、第一の区画と第二の区画とが、第三の区画の両側に配置される。第三の区画は、カートリッジの上流端に区画開口部を含むことが好ましい。使用時に、エアロゾル発生装置の発熱体は、第三の区画内に受けられて、第一の区画および第二の区画を加熱する。
【0100】
カートリッジは、第一の区画と第二の区画とを誘導的に加熱するためのサセプタを含みうる。こうした実施形態では、サセプタは第一の区画と第二の区画との間に位置するのが有利である。すなわち、第一の区画と第二の区画とが、サセプタの両側に配置される。
【0101】
使用時に、カートリッジの第一の区画と第二の区画とを、周囲温度を超える温度に加熱することによって、有利なことに、第一および第二の区画内に格納された揮発性化合物の蒸気濃度の制御を可能にする。例えば、カートリッジ組立品が、第一の区画内に配置されるニコチン供与源および第二の区画内に配置される酸供与源を含む実施形態では、第一および第二の区画を加熱することは、第一の区画内のニコチンの蒸気圧および第二の区画内の酸の蒸気圧を比例的に制御し、かつそのバランスを取って、ニコチンと酸との間の効率的な反応化学量論を得ることを可能にする。有利なことに、これはニコチン塩粒子の形成効率、およびユーザーへの送達の一貫性を改善しうる。また有利なことに、未反応のニコチンおよび未反応の酸のユーザーへの送達が低減されうる。
【0102】
カートリッジ、遮断要素、およびマウスピースハウジングそれぞれは、任意の適切な材料または材料の組み合わせで形成されうる。適切な材料には、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、液晶ポリマー(LCP)、および修飾LCP(黒鉛またはガラス繊維を含むLCPなど)が含まれるがこれらに限定されない。
【0103】
カートリッジ、遮断要素、およびマウスピースハウジングは、同一のまたは異なる材料で形成されうる。マウスピースハウジングは、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)のうちの少なくとも一つから形成されることが好ましい。遮断要素はポリエチレン(PE)から形成されることが好ましい。カートリッジがカートリッジハウジングを含む実施形態では、カートリッジハウジングはポリプロピレン(PP)から形成されることが好ましい。カートリッジがカートリッジ本体を含む実施形態では、カートリッジは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および液晶ポリマー(LCP)のうちの少なくとも一つから形成されることが好ましい。
【0104】
カートリッジ組立品は、紙巻たばこ、葉巻、または細い葉巻などの可燃性喫煙物品の形状や寸法をまねてもよい。有利なことには、そのような実施形態では、カートリッジ組立品は、紙巻たばこの形状および寸法をまねうる。
【0105】
カートリッジ組立品は、約20ミリメートル~約60ミリメートルの長さを有してもよく、約30ミリメートル~約50ミリメートルの長さを有することが好ましく、約35ミリメートル~約45ミリメートルの長さを有することがより好ましい。
【0106】
カートリッジ組立品は、約5ミリメートル~約10ミリメートルの直径を有してもよく、約6ミリメートル~約9ミリメートルの直径を有することが好ましく、約7ミリメートル~約8ミリメートルの直径を有することがより好ましい。
【0107】
本発明の第二の態様によれば、上述の任意の実施形態に従って、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生装置と、カートリッジ組立品と、を含むエアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生装置は、カートリッジ組立品の上流端、およびカートリッジ組立品のカートリッジの第一の区画および第二の区画を加熱するためのヒーターを受けるように構成された装置くぼみを備える。
【0108】
カートリッジが発熱体を受けるための第三の区画を含むそれらの実施形態では、エアロゾル発生装置のヒーターは、有利には、装置くぼみ内に配置され、またカートリッジ組立品の上流端が装置くぼみ内に受けられた時に、カートリッジの第三の区画内に受けられるように構成される、発熱体を含む。発熱体は抵抗発熱体であってもよい。使用時に、発熱体は、第三の区画内に受けられて、第一の区画および第二の区画を加熱する。
【0109】
カートリッジが、第一の区画と第二の区画との間に配置されるサセプタを含むそれらの実施形態では、エアロゾル発生装置のヒーターは、有利には、装置くぼみの少なくとも一部分を囲む誘導ヒーターを含む。使用時に、誘導ヒーターは、サセプタを誘導加熱し、そのサセプタは、第一の区画および第二の区画を加熱する。
【0110】
エアロゾル発生システムは、使用時に、ヒーターがカートリッジの第一の区画と第二の区画とを、摂氏約250度未満の温度に加熱するように構成されうる。好ましくは、エアロゾル発生システムは、ヒーターがカートリッジの第一の区画および第二の区画を、摂氏約80度~摂氏約150度の温度に加熱するように構成される。
【0111】
エアロゾル発生システムは、使用時に、ヒーターがカートリッジの第一の区画と第二の区画とを、実質的に同一の温度に加熱するように構成される。
【0112】
エアロゾル発生装置は、ヒーターへ電力を供給するための電源と、電源からヒーターへの電力供給を制御するよう構成されたコントローラとをさらに含みうる。
【0113】
エアロゾル発生装置は、ヒーター、第一の区画および第二の区画のうちの少なくとも一つの温度を検出するように構成された一つ以上の温度センサーを含みうる。こうした実施形態では、コントローラは、検出した温度に基づいてヒーターへの電力供給を制御するように構成されうる。
【0114】
誤解を避けるために、本発明の一つの態様に関する上述の特徴は、本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、本発明によるカートリッジ組立品に対する上述の特徴はまた、本発明によるエアロゾル発生システムに、適切な場合、関連しうるとともに、逆もまた同じである。
【0115】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1図1は、本発明の一実施形態によるカートリッジ組立品の斜視図を示す。
図2図2は、図1のカートリッジ組立品の分解斜視図を示す。
図3図3は、図2のカートリッジハウジングおよびカートリッジ本体の斜視図を示す。
図4図4は、図2のカートリッジ本体の上流端を示す。
図5図5は、図2のカートリッジ本体の下流端の分解図を示す。
図6図6は、図2のカートリッジハウジングの斜視図を示す。
図7図7は、図2の遮断要素の下流端を示す。
【発明を実施するための形態】
【0117】
図1は、本発明の一実施形態によるカートリッジ組立品10を示す。カートリッジ組立品は、マウスピースハウジング12と、マウスピースハウジング12に対して回転するように構成されたカートリッジ14とを備える。マウスピースハウジング12は、マウスピースハウジング12の下流端18を横切って延びる下流端壁16を備える。マウスピースハウジング12は、マウスピースくぼみ20を画定し、下流端壁16を貫通する、マウスピースくぼみ20と流体連通するマウスピースハウジング空気出口22を含む。マウスピースハウジング12およびカートリッジ14の外側にある複数のしるし24は、マウスピースハウジング12に対するカートリッジ14の回転配向を示す。
【0118】
図2は、図1のカートリッジ組立品10の分解斜視図を示す。図2に示すように、カートリッジ組立品10は、マウスピースハウジング12の下流端28の締まりばめによって固定される遮断要素26をさらに備える。マウスピースくぼみ20は、遮断要素26の下流端30とマウスピースハウジング12の下流端壁16との間に延びる。
【0119】
カートリッジ14は、カートリッジハウジング32と、締まりばめによってカートリッジハウジング32内に固定されるカートリッジ本体34とを含む。取り外し可能なシール36は、カートリッジ14の上流端に固定され、取り外し可能なシール36は、カートリッジ組立品10を使用する前にユーザーによって取り外されるように構成される。
【0120】
図3は、さらに詳細にカートリッジハウジング32およびカートリッジ本体34を示す。カートリッジハウジング32は、下流端38および上流端40を含み、カートリッジハウジング32は、カートリッジ本体34を受けるためのくぼみ42を画定する。カートリッジハウジング32の上流端40は、カートリッジ14の製造中、カートリッジ本体34をくぼみ42内に挿入するために開いている。カートリッジ本体34は、第一の区画44、第二の区画46、および第一の区画44と第二の区画46との間に配置される第三の区画48を備える。第一の区画44および第二の区画46は、カートリッジ本体34の下流端54においてそれらの下流端50、52で開いている。カートリッジハウジング32およびカートリッジ本体34は、カートリッジ本体34を単一の配向のみでカートリッジハウジング32内に挿入できるように、嵌合部分56、58を備える。これにより、図6を参照してさらに説明する通り、第一の区画44の下流端および第二の区画46の下流端とカートリッジハウジング32の下流端38上に提供される第一の空気出口および第二の空気出口との間の正しい整列が確保される。
【0121】
図4は、第一の区画44と流体連通する複数の第一の空気開口部を含む第一の空気吸込み口62と、第二の区画46と流体連通する複数の第二の空気吸込み口開口部を含む第二の空気吸込み口64と、を含む、カートリッジ本体34の上流端60を示す。第三の区画48は、カートリッジ本体34の上流端60で開き、第一の区画44および第二の区画46を加熱するためにエアロゾル発生装置のヒーターを受ける。代替的な実施形態では、カートリッジ本体34は、誘導ヒーターを備えるエアロゾル発生装置と併用するための第三の区画48内に位置するサセプタを備えうる。
【0122】
図5は、カートリッジ本体34の下流端54の分解図を示す。カートリッジ本体34は、締まりばめによって一緒に固定されてカートリッジ本体34を形成する、第一の部品66および第二の部品68を含む。第一の部品66は、第三の区画48、第一の区画44の第一の側70、および第二の区画46の第一の側72を画定する。第二の部品68は、第一の区画44の第二の側74、第二の区画46の第二の側76、第一の空気吸込み口62、および第二の空気吸込み口64を画定する。カートリッジ本体34の製造および組立中、第一の部分66および第二の部分68が一緒に固定される前に、ニコチン供与源78が第一の区画44の第二の側74内に挿入され、酸供与源80が第二の区画46の第二の側76に挿入される。
【0123】
図6に示すように、カートリッジハウジング32は、カートリッジハウジング32の下流端38を横切って延びる下流端壁82を含む。カートリッジハウジング32は、下流端壁82から延びるシャフト84をさらに含み、シャフト84はジャーナル部分86および保持部分88を含む。保持部分88は、丸みのある形状を有し、ジャーナル部分86の直径よりも大きな最大直径を有する。カートリッジハウジング32は、下流端壁82から延びる案内ピン90と、第一の空気出口92と、第二の空気出口94とをさらに含む。カートリッジ本体34がカートリッジハウジング32内に受けられるとき、第一の空気出口92が第一の区画44の下流端50と流体連通し、第二の空気出口94が第二の区画46の下流端52と流体連通する。
【0124】
第一の空気出口92は、第二の空気出口94を形成する第二の空気出口開口部の数と比較して、異なる数の第一の空気出口開口部を含む。異なる数の空気出口開口部は、カートリッジ組立品10の使用中に、第一の区画44および第二の区画46を通る異なる流量の空気を提供し、異なるニコチン供給源78の蒸気圧と酸素供給源80の蒸気圧の原因となる。したがって、第一の区画44および第二の区画46を通る異なる流量の空気は、マウスピースくぼみ20内のカートリッジ14の下流のニコチン蒸気と酸蒸気との間に必要な反応化学量論を維持する。
【0125】
図7は、遮断要素26の下流端30を示す。遮断要素26は、カートリッジハウジング32上のシャフト84のジャーナル部分86を受けるための開口部96を含む。開口部96を示すために、図7からシャフト84が省略されている。カートリッジ組立品10の組立中、開口部96は、弾性的に変形して、保持部分88が開口部96を通して押し出されるときに、シャフト84の保持部分88を収容する。保持部分88が開口部96を通して完全に押し出されると、保持部分88とジャーナル部分86との間の直径の変化により、保持部分88が開口部96を通して後退するのが防止される。ジャーナル部分86の直径は、ジャーナル部分86が開口部96内で自由に回転しうるように、開口部96の直径よりもわずかに小さく、これにより、遮断要素26に対するカートリッジ14の回転が可能となる。ジャーナル部分86が開口部96内に位置するとき、カートリッジハウジング32の下流端壁82は、遮断要素26の上流端に当接する。
【0126】
遮断要素26はさらに、第一の気流開口部98および直径方向に向かい合った第二の気流開口100を備え、気流開口部それぞれは四半円形状を有する。第一の遮断部分102は、第一の気流開口部98の第一の端と第二の気流開口部100の第二の端との間に延びる。第二の遮断部分104は、第一の気流開口部98の第二の端と第二の気流開口部100の第一の端との間に延びる。
【0127】
第一の気流開口部98はまた、カートリッジ本体32の案内ピン90が受けられる案内開口部を形成する。遮断要素26は、カートリッジ14が遮断要素26に対して第一の位置にあるときに、案内ピン90を受けるために、第一の気流開口部98の第一の端に第一の窪み106を含む。遮断要素26は、カートリッジ14が遮断要素26に対して第二の位置にあるときに、案内ピン90を受けるために、第一の気流開口部98の第二の端に第二の窪み108を含む。
【0128】
カートリッジ14が第一の位置にあるとき、第一の遮断部分102はカートリッジ本体32上の第一の空気出口92を塞ぎ、第二の遮断部分104はカートリッジ本体32上の第二の空気出口94を塞ぐ。遮断要素26上の第一の戻り止め110は、案内ピン90を第一の窪み106から移動させるのに必要な力を増加させ、これにより、カートリッジ14が第一の位置から偶発的に回転するリスクを低減する。
【0129】
カートリッジ14が第二の位置にあるとき、カートリッジ本体32上の第一の空気出口92は、第一の気流開口部98を介してマウスピースくぼみ20と流体連通し、カートリッジ本体32上の第二の空気出口94は、第二の気流開口部100を介してマウスピースくぼみ20と流体連通する。遮断要素26上の第二の戻り止め112は、案内ピン90を第二のくぼみ108内に移動させるのに必要な力を増加させ、これにより、カートリッジ14が第二の位置に完全に回転したときに触覚的な確認をユーザーに提供する。第二の戻り止め112はまた、カートリッジ組立品10の使用中にカートリッジ14を第二の位置に保持するために、第二の窪み108内に案内ピン90を保持する。
【0130】
カートリッジ組立品10の使用中、ユーザーは取り外し可能なシール36をカートリッジ14の上流端から取り外し、第一の空気出口92および第二の空気出口94がマウスピースくぼみ20と流体連通するように、カートリッジ14を第二の位置に回転させる。カートリッジ組立品10は、エアロゾル発生装置と組み合わされてエアロゾル発生システムを形成し、カートリッジ組立品10はエアロゾル発生装置のヒーターを第三の区画48内に受けて、第一の区画44および第二の区画46を加熱する。ユーザーがマウスピースハウジング12の下流端16で吸い込むと、空気が第一の空気吸込み口62および第二の空気吸込み口64を通してカートリッジ組立品10内に引き出される。空気は、第一の区画44および第二の区画46を通して第一の空気吸込み口62および第二の空気吸込み口64から流れ、ここでニコチン蒸気および酸蒸気が気流に混入される。ニコチン蒸気および酸蒸気は、遮断要素26の第一の気流開口部98および第二の気流開口部100を介して、第一の空気出口92および第二の空気出口94を通ってマウスピースくぼみ20内に流れる。マウスピースくぼみ20内で、ニコチン蒸気と酸蒸気とが気相で相互に反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成し、これがマウスピースハウジング空気出口22を通してユーザーに送達される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7