(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】シール材及び構造物
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20220629BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20220629BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F16J15/10 V
C09K3/10 Z
C09K3/10 R
F16J15/06 Z
(21)【出願番号】P 2020174250
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592144180
【氏名又は名称】大鳳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】許斐 和彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】世良 範幸
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-172709(JP,A)
【文献】実開昭62-088002(JP,U)
【文献】特開2003-222242(JP,A)
【文献】特開平10-184921(JP,A)
【文献】特公昭58-016054(JP,B2)
【文献】特公昭56-029911(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
C09K 3/10
F16J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を吸収することによって膨潤するシール材本体と、
前記シール材本体の長手方向に対して直交する所定方向側で前記シール材本体に設けられ、前記シール材本体の前記所定方向側に配置される第1被着体に貼り付けられる貼付部材と、
前記シール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも前記所定方向側の面を除いた面を被覆して外部から前記シール材本体への水の通過を制限
し、前記シール材本体から除去可能に構成された被覆部材と、
を備えるシール材。
【請求項2】
前記被覆部材は、水を透過しない材質の薄肉の部材によって形成される請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
前記被覆部材は、前記被覆部材に対する荷重の付与によって前記シール材本体の長手方向に沿った前記被覆部材の破断を誘発する破断誘発部を備える請求項1又は請求項2に記載のシール材。
【請求項4】
前記破断誘発部は、前記被覆部材における前記破断誘発部以外の部分よりも機械的強度が低い請求項3に記載のシール材。
【請求項5】
前記被覆部材は、前記シール材本体の長手方向に対して交差する方向よりも前記シール材本体の長手方向の高い易引裂性を有する請求項1から請求項4の何れか1項に記載のシール材。
【請求項6】
前記被覆部材は、延伸加工によって形成されることにより前記シール材本体の長手方向の易引裂性が付与される請求項5に記載のシール材。
【請求項7】
前記被覆部材の少なくとも一部は、前記シール材本体に一体的に繋がっている請求項1から請求項6の何れか1項に記載のシール材。
【請求項8】
前記被覆部材は、直鎖状低密度ポリエチレンによって形成され、前記被覆部材が加熱されることによって前記シール材本体に融着される請求項7に記載のシール材。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載のシール材と、
前記シール材の前記貼付部材が貼り付けられて前記シール材が取り付けられた前記第1被着体と、
を備える構造物。
【請求項10】
水を吸収することによって膨潤するシール材本体と、
前記シール材本体の長手方向に対して直交する所定方向側で前記シール材本体に設けられ、前記シール材本体の前記所定方向側に配置される第1被着体に貼り付けられる貼付部材と、
前記シール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも前記所定方向側の面を除いた面を被覆して外部から前記シール材本体への水の通過を制限する被覆部材と、を備え、
前記被覆部材は、前記シール材本体の長手方向に対して交差する方向よりも前記シール材本体の長手方向の高い易引裂性を有し、延伸加工によって形成されることにより当該易引裂性が付与されるシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向配置された被着体の間において水をシールするシール材及びこのようなシール材が被着体に設けられた構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地中に埋設される下水道等の水路、通信線、電線等の管路、地下道、トンネルには、コンクリートによって両端が開口された筒状のボックスカルバート等と称される構造物が用いられる。このような構造物を用いて上記の水路等が施工される際には、構造物の貫通方向に構造物が並べられる。互いの貫通方向に隣り合う構造物の間には、例えば、下記特許文献1から特許文献3に開示されたような水を吸収すると膨潤するシール材が設けられ、構造物の間からの水漏れ等の水の通過が抑制される。
【0003】
このようなシール材の本体部分には、例えば、吸水することによって膨潤する材質が用いられる。シール材の本体部分が、吸水して膨潤すると、構造物の微小な凹部に本体部分が入り込み、これによって、構造物間の止水性を高くしている。
【0004】
ところで、上記のような構造物は、予め、構造物の貫通方向側の端面にシール材を取り付けておくことで、施工の際の作業性が向上する。しかしながら、構造物の貫通方向側の端面にシール材を取り付けておくと、雨天時にシール材の本体部分が雨水を吸水して膨潤してしまう。
【0005】
一方、構造物の屋内での保管は、屋内と施工場所との間で構造物を運搬しなければならない。特に、ボックスカルバートの様な大型のコンクリート構造物を屋内保管するには、大きな床面積及び高さのある天井の建屋が必要になり、コンクリート構造物の移動も大型重機を要するため、高コスト化に繋がる。また、シート等による被水対策では、シートを構造物に被せたり、外したりする作業を要する。また、シール材の本体部分の表面に被膜を施した構成では、本体部分の吸水に時間を要することになるため、施工後に構造物間の止水性の確保までに時間がかかる。
【0006】
すなわち、何れの方法であっても、施工までの作業性が低下する。これに対して特許文献1から特許文献3に開示されたシール材は、シール材の本体部分の表面に被覆を施した構成であるため、保管及び移動の施工前は雨水が給水されることを抑制できる。しかしながら、施工後においては、シール部にある被膜の存在で、構造物間の止水性を確保するまでに時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭60-217286号公報
【文献】特開昭61-34087号公報
【文献】特開2001-311069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、シール材本体部分の性能を低下させることなく、且つ施工の作業性の低下を極力抑制できるシール材及び構造物を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のシール材は、水を吸収することによって膨潤するシール材本体と、前記シール材本体の長手方向に対して直交する所定方向側で前記シール材本体に設けられ、前記シール材本体の前記所定方向側に配置される第1被着体に貼り付けられる貼付部材と、前記シール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも前記所定方向側の面を除いた面を被覆して外部から前記シール材本体への水の通過を制限し、前記シール材本体から除去可能に構成された被覆部材と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載のシール材では、シール材本体においてシール材本体の長手方向に対して直交する所定方向の側の面に貼付部材が設けられる。この貼付部材は、第1被着体へ貼り付けられ、これによって、本シール材が第1被着体に設けられる。
【0011】
シール材本体におけるシール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも、上記の所定方向側の面を除いた部分は、被覆部材によって被覆される。この被覆部材がシール材本体から除去された状態で、第2被着体が本シール材を挟んで第1被着体とは反対側に配置され、第2被着体における本シール材側の面がシール材本体へ当接される。この状態で水がシール材本体に吸収されると、シール材本体が膨潤され、第2被着体における本シール材側の面の微小な凹部がシール材本体によって埋められる。これによって、第1被着体と第2被着体との間のシール性を得ることができ、さらに、膨潤することで第1被着体と第2被着体はシール材本体から受ける面圧が高くなり、被着体間のシール性は大幅に向上した状態となる。
【0012】
上記のように、シール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも所定方向側の面を除いた面は、被覆部材によって被覆され、これによって、被覆部材の外側からシール材本体側への水の通過は、被覆部材によって制限される。これによって、シール材本体が不用意に水を吸収して膨潤することを抑制できる。これによって、本シール材が設けられた構造物は、屋内での保管やシート等を構造物に被せたりすることなく露天(屋外)で保管でき、このような構造物を用いた施工の作業性の低下を抑制できる。
【0013】
請求項2に記載のシール材は、請求項1に記載のシール材において、前記被覆部材は、水を透過しない材質の薄肉の部材によって形成される。
【0014】
請求項2に記載のシール材によれば、被覆部材は、水を透過しない材質の薄肉の部材によって形成されるため、水が付着しても透過せずシール材本体に水が吸収されることを制限できる。
【0015】
請求項3に記載のシール材は、請求項1又は請求項2に記載のシール材において、前記被覆部材は、前記被覆部材に対する荷重の付与によって前記シール材本体の長手方向に沿った前記被覆部材の破断を誘発する破断誘発部を備えている。
【0016】
請求項3に記載のシール材によれば、被覆部材は、破断誘発部を備えており、荷重(例えば、引張荷重やせん断荷重)が被覆部材に付与されると、破断誘発部において被覆部材に破断が誘発され、被覆部材は、シール材本体の長手方向に沿って破断される。これによって、被覆部材を容易に除去してシール材本体においてシール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも上記の所定方向側の面を除いた面を充分に露出させることができる。
【0017】
請求項4に記載のシール材は、請求項3に記載のシール材において、前記破断誘発部は、前記被覆部材における前記破断誘発部以外の部分よりも機械的強度が低い。
【0018】
請求項4に記載のシール材によれば、破断誘発部は、被覆部材における破断誘発部以外の部分よりも機械的強度が低い。このため、荷重(例えば、引張荷重やせん断荷重)が被覆部材に付与されると、破断誘発部に応力が集中され、破断誘発部において被覆部材に破断を誘発させることができる。
【0019】
請求項5に記載のシール材は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のシール材において、前記被覆部材は、前記シール材本体の長手方向に対して交差する方向よりも前記シール材本体の長手方向の高い易引裂性を有している。
【0020】
請求項5に記載のシール材によれば、被覆部材は、シール材本体の長手方向に対して交差する方向よりもシール材本体の長手方向の高い易引裂性を有している。このため、荷重(例えば、引張荷重やせん断荷重)が被覆部材に付与されると、被覆部材においてシール材本体の長手方向に連続して破断を生じさせることができる。これによって、被覆部材を容易に除去してシール材本体においてシール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも上記の所定方向側の面を除いた面を充分に露出させることができる。
【0021】
請求項6に記載のシール材は、請求項5に記載のシール材において、前記被覆部材は、延伸加工によって形成されることにより前記シール材本体の長手方向の易引裂性が付与されている。
【0022】
請求項6に記載のシール材によれば、被覆部材は、延伸加工によって形成され、これによって、シール材本体の長手方向の易引裂性が被覆部材に付与される。これによって、被覆部材においてシール材本体の長手方向に連続して破断を生じさせることができる。
【0023】
請求項7に記載のシール材は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載のシール材において、前記被覆部材の少なくとも一部は、前記シール材本体に一体的に繋がっている。
【0024】
請求項7に記載のシール材によれば、被覆部材の少なくとも一部は、シール材本体に一体的に繋がっているため、例えば、本シール材を第1被着体へ取り付ける場合等において被覆部材がシール材本体に対して変位することを抑制できる。
【0025】
請求項8に記載のシール材は、請求項7に記載のシール材において、前記被覆部材は、直鎖状低密度ポリエチレンによって形成され、前記被覆部材が加熱されることによって前記シール材本体に融着される。
【0026】
請求項8に記載のシール材によれば、被覆部材は、直鎖状低密度ポリエチレンによって形成される。このような、直鎖状低密度ポリエチレンによって形成された被覆部材は、加熱されることによってシール材本体に融着され、シール材本体に一体的に繋がる。また、被覆部材が直鎖状低密度ポリエチレンによって形成されることにより、被覆部材におけるシール材本体との融着部分をシール材本体から容易に剥離できる。
【0027】
請求項9に記載の構造物は、請求項1から請求項8の何れか1項に記載のシール材と、前記シール材の前記貼付部材が貼り付けられて前記シール材が取り付けられた前記第1被着体と、を備えている。
【0028】
請求項9に記載の構造物によれば、シール材のシール材本体の所定方向側の面には貼付部材が設けられ、シール材は、貼付部材によって第1被着体に貼り付けられる。したがって、シール材本体の所定方向側の面は、第1被着体によって覆われる。また、シール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも所定方向側の面を除いた面は、被覆部材によって被覆され、これによって、シール材本体がシール材本体の長手方向に対して直交する方向の側から不用意に水を吸収して膨潤することを抑制できる。
【0029】
このため、本構造体を露天(屋外)で保管しても、シール材本体が雨水等を吸収して膨潤することを抑制できる。これによって、本構造物を用いた施工の作業性の低下を抑制できる。
請求項10に記載のシール材は、水を吸収することによって膨潤するシール材本体と、前記シール材本体の長手方向に対して直交する所定方向側で前記シール材本体に設けられ、前記シール材本体の前記所定方向側に配置される第1被着体に貼り付けられる貼付部材と、前記シール材本体の長手方向に対して直交する方向側の面のうち、少なくとも前記所定方向側の面を除いた面を被覆して外部から前記シール材本体への水の通過を制限する被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、前記シール材本体の長手方向に対して交差する方向よりも前記シール材本体の長手方向の高い易引裂性を有し、延伸加工によって形成されることにより当該易引裂性が付与される。
【発明の効果】
【0030】
以上、説明したように、本発明では、施工の作業性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1の実施の形態に係るシール材の斜視図である。
【
図2】
図1の2-2線に沿った第1の実施の形態に係る構造物の断面図である。
【
図3】第2被着体の取付状態を示す
図2に対応する断面図で、(B)は、(A)における円Aの部分を拡大した図で、(C)は、シート材本体が吸水して膨潤した状態を示す(B)に対応する図である。
【
図4】第2の実施の形態に係る構造物の断面図で、(A)は、
図2に対応する断面図、(B)は、
図3(A)に対応する断面図である。
【
図5】(A)、(B)は被覆部材の固定方法についての変形例を示した
図4に対応する断面図である。
【
図6】第3の実施の形態に係る構造物の
図2に対応する断面図である。
【
図7】第4の実施の形態に係る構造物の
図2に対応する断面図である。
【
図8】第5の実施の形態に係る構造物の
図2に対応する断面図である。
【
図9】第7の実施の形態に係る構造物の
図2に対応する断面図である。
【
図10】第8の実施の形態に係る構造物の
図2に対応する断面図である。
【
図11】第9の実施の形態に係るシール材の斜視図である。
【
図12】
図11の12-12線に沿った第9の実施の形態に係る構造物の断面図である。
【
図13】第10の実施の形態に係るシール材の斜視図である。
【
図14】
図13の14-14線に沿った第10の実施の形態に係る構造物の断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図15】第11の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図16】第12の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図17】第13の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図18】第14の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図19】第15の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図20】第16の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図21】第17の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図22】第18の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図23】第19の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【
図24】第20の実施の形態に係る構造物の
図14に対応する断面図で、図中の円Aは、図中の円Bの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の各実施の形態を
図1から
図24の各図に基づいて説明する。なお、各図において適宜に示される矢印Lは、シール材10の長手方向一方を示し、矢印Wは、シール材10の幅方向一方を示し、矢印Tは、シール材10の厚さ方向一方を示す。また、以下の各実施の形態を説明するにあたり、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位については、同一の符号を付与して、その詳細な説明を省略する。
【0033】
<第1の実施の形態の構成>
図1及び
図2に示されるように、第1の実施の形態に係るシール材10は、シール材本体12を備えている。シール材本体12は、例えば、吸水膨潤性発泡樹脂材の一態様である吸水膨潤性ポリウレタン発泡体によって形成されている。吸水膨潤性ポリウレタン発泡体を含んだシール材本体12を形成する吸水膨潤性発泡樹脂材は、合成樹脂材によって形成される基材に吸水膨潤性を有する合成樹脂材を混合分散したものを発泡成形することによって形成される。
【0034】
上記の基材としては、本実施の形態では、ポリウレタン発泡体が用いられる。基材に適用される合成樹脂材としてポリウレタン発泡体以外の例としては、例えば、アクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリブテンゴム、アクリレート-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、スチレン-イソプレンゴム、アクリロニトリル-クロロプレンゴム、スチレン-クロロプレンゴム、ブタジエン-スチレンプロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体等の合成ゴム;スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-水素添加ポリオレフィン-スチレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル等の非発泡体及び発泡体があり、基本的には、シール材としたときに目地材として十分な強度と復元力を有するものであれば、上記の例に限定されることなく広く適用することができる。
【0035】
また、上記の基材に混合分散される吸水膨潤性の合成樹脂材としては、架橋ポリアクリル酸等のアクリル系吸水性樹脂、デンプン系吸水性樹脂、アクリル-デンプン系吸水性樹脂、ウレタン系吸水性樹脂等が用いられる。
【0036】
このシール材本体12は、例えば長尺状とされている。シール材本体12の長手方向は、シール材10の長手方向とされている。
図2に示されるように、シール材10の長手方向に対して直交する方向に切ったシール材本体12の断面形状は、本実施の形態では、長方形状とされている。
【0037】
シール材本体12には被覆部材14が設けられている。被覆部材14は、水を透過しない材質によって薄肉のシート状(フィルム状、テープ状等を含む)に形成されている。被覆部材14は、第1被覆部16、第2被覆部18、第3被覆部20を含んで構成されている。第1被覆部16は、シール材本体12の厚さ方向一方(
図1及び
図2の矢印T方向)の側の面に対してシール材本体12の厚さ方向に対向されており、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面は、第1被覆部16によって被覆されている。
【0038】
第2被覆部18は、第1被覆部16におけるシール材本体12の幅方向(
図1及び
図2の矢印W方向及びその反対方向)の両端から連続して形成されている。一方の第2被覆部18は、シール材本体12の幅方向一方(
図1及び
図2の矢印W方向)の側の面に対してシール材本体12の幅方向に対向されており、他方の第2被覆部18は、シール材本体12の幅方向他方(
図1及び
図2の矢印Wとは反対方向)の側の面に対してシール材本体12の幅方向に対向されている。シール材本体12の幅方向両側の面は、これらの第2被覆部18によって被覆されている。
【0039】
第3被覆部20は、各第2被覆部18における第1被覆部16とは反対側の端部から連続して形成されている。一方の第3被覆部20は、シール材本体12の厚さ方向他方の側の面におけるシール材本体12の幅方向一方の端部及びその近傍部分に対してシール材本体12の厚さ方向に対向されている。これに対して、他方の第3被覆部20は、シール材本体12の厚さ方向他方の側の面におけるシール材本体12の幅方向他方の端部及びその近傍部分に対してシール材本体12の厚さ方向に対向されている。シール材本体12の厚さ方向他方の側の面においてシール材本体12の幅方向中央側の部分を除いた部分は、これらの第3被覆部20によって被覆されている。
【0040】
シール材本体12の厚さ方向他方の側には貼付手段としての粘着部22が設けられている。粘着部22は、例えば、薄肉のシート状(フィルム状、テープ状等を含む)の基部と、基部の厚さ方向両側の面に塗布された粘着剤と、を含んで構成されている。粘着部22の厚さ方向一方(
図1等の矢印T方向)側の面は、シール材本体12の厚さ方向他方(
図1等の矢印Tとは反対方向)側の面と対向されている。粘着部22の厚さ方向一方の面は、粘着剤の粘着性によって被覆部材14の第3被覆部20へ粘着剤によって貼り付けられている。また、両第3被覆部20の間では、粘着部22の厚さ方向一方の面が粘着剤の粘着性によってシール材本体12の厚さ方向の他方の側の面へ貼り付けられている。
【0041】
また、例えば、粘着部22の厚さ方向他方の側の面には剥離部材(図示省略)が設けられている。剥離部材は、例えば、薄肉のシート状(フィルム状、テープ状等を含む)とされている。
【0042】
本シール材10が単体(すなわち、本シール材10が後述する第1被着体24に貼り付けられていない状態)で保管される場合には、このような剥離部材が粘着部22の厚さ方向他方の側の面に剥離部材が設けられた状態で保管される。このような剥離部材が設けられた構成では、本シール材10の粘着部22の剥離部材が粘着部22から剥離された状態で粘着部22の厚さ方向他方の側の面が、本シール材10と共に構造物26を構成する第1被着体24へ貼り付けられる。このように施工直前まで粘着部22が剥離部材に保護されているため、粘着剤に異物が付着することを防止することができる。
【0043】
第1被着体24は、例えば、コンクリートや金属等によって形成されており、例えば、本シール材10が鉄道、道路等のトンネルにおけるセグメントの継ぎ目部分に用いられるのであれば、第1被着体24及び後述する第2被着体28が上記のセグメントに相当する。構造物26は、本シール材10が貼り付けられた第1被着体24とされ、構造物26は、この状態で保管される。
【0044】
<第1の実施の形態の作用、効果>
本シール材10は、鉄道トンネル、道路トンネル、雨水貯留管等のセグメントの継ぎ目、ヒューム管、ボックスカルバート等の継ぎ目等、又は、プレキャストセグメント工法におけるグラウトパッキン、コンクリート注入時のノロ防止用のパッキンとし利用される。
【0045】
図3(A)に示されるように、上記の本構造物26における本シール材10の第1被着体24とは反対側には、第2被着体28が配置される。第2被着体28は、例えば、コンクリートや金属等によって形成されている。
【0046】
構造物26における本シール材10の第1被着体24とは反対側に第2被着体28が配置される際には、本シール材10の被覆部材14のうち、両第2被覆部18におけるシール材10の厚さ方向他方の側の端部よりも厚さ方向一方の側の部分及び第1被覆部16がシール材本体12から除去される。これによって、シール材本体12におけるシール材10の厚さ方向一方の側の面と、シール材本体12におけるシール材10の幅方向両側の面の大部分とが露出される。この状態で、第2被着体28におけるシール材10の厚さ方向他方の側(シール材10側)の面及びシール材本体12におけるシール材10の厚さ方向一方の側の面の一方が他方へ圧接される。
【0047】
第1被着体24と第2被着体28とが圧接された状態(
図3(A)及び
図3(B)図示状態)で、水分がシール材本体12に吸収されると、シール材本体12が膨潤される。このように、シール材本体12が膨潤されることによって、
図3(C)に示されるように、第2被着体28における厚さ方向他方の側(シール材10側)の面の凹凸の凹部にシール材本体12が入り込む。これによって、第1被着体24と第2被着体28との間をシール材本体12の幅方向一方から他方、又は、シール材本体12の幅方向他方から一方へ水等の流体が流れることを効果的に抑制できる(止水性を向上できる)。
【0048】
ところで、本シール材10のシール材本体12は、上記のように水を吸収することによって膨潤する。ここで構造物26までの状態では、シール材10のシール材本体12の厚さ方向一方の側の面は、被覆部材14の第1被覆部16によって被覆され、シール材本体12の幅方向両側の面は、被覆部材14の第2被覆部18によって被覆される。このため、この状態では、シール材本体12の厚さ方向一方の側及び幅方向両側から水がシール材本体12に吸収されることを効果的に抑制できる。このため、例えば、構造物26を露天(屋外)で保管でき、しかも、このような露天での保管であっても構造物26にシートを被せる等の被水防止対策が不要である。
【0049】
<第2の実施の形態>
図4(A)に示されるように、第2の実施の形態に係るシール材40は、前記第1の実施の形態に係るシール材10の被覆部材14に代わる被覆部材42を備えている。被覆部材42は、被覆部材14における第3被覆部20に代わる第4被覆部44を備えている。第4被覆部44は、シール材40の幅方向両側にそれぞれ設けられている。
【0050】
シール材40の幅方向一方の側の第4被覆部44は、シール材40の幅方向一方の側の第2被覆部18の第1被覆部16とは反対側端から厚さ方向他方の側へ延出されており、粘着部22の幅方向一方の側で粘着部22と対向されている。これに対して、シール材40の幅方向他方の側の第4被覆部44は、シール材40の幅方向他方の側の第2被覆部18の第1被覆部16とは反対側端から厚さ方向他方の側へ延出されており、粘着部22の幅方向他方の側で粘着部22と対向されている。
【0051】
図4(B)に示されるように、構造物46における本シール材40の第1被着体24とは反対側には、第2被着体28が配置される。第2被着体28は、例えば、コンクリートや金属等によって形成されている。
【0052】
このような構成のシール材40及びこのようなシール材40が第1被着体24に設けられた構造物46は、基本的に前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
すなわち、被覆部材は、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面を覆っていればよい。したがって、例えば、被覆部材における第2被覆部18を介した第1被覆部16とは反対側の部分配置位置は、特に限定されることがなく、また、被覆部材における第2被覆部18を介した第1被覆部16とは反対側の部分は、なくてもよい。
【0054】
図5(A)は第2実施形態の変形例を示したものである。シール材40の幅方向一方の側の第4被覆部44は、シール材40の幅方向一方の側の第2被覆部18における第1被覆部16とは反対側の端部から連続して形成されている。一方の第3被覆部44は、シール材本体12の厚さ方向他方の側の面におけるシール材本体12の幅方向一方の端部及びその近傍部分に対してシール材本体12の厚さ方向に設けられている。これに対して、他方の第3被覆部44は、シール材本体12の厚さ方向他方の側の面におけるシール材本体12の幅方向他方の端部及びその近傍部分に対してシール材本体12の厚さ方向に設けられている。このとき、被覆部44は粘着部22の少なくとも一部に貼り付けられていればよいが、粘着部22への異物の付着を防止するため、被覆部44が粘着部22の全面を覆っていることがより好ましい。
【0055】
図5(B)は第2実施形態の変形例を示したものである。シール材40の幅方向一方の側の第4被覆部44は、シール材40の幅方向一方の側の第2被覆部18における第1被覆部16とは反対側の端部から連続して形成されている。一方の第3被覆部44は、シール材本体12の厚さ方向他方の側の面におけるシール材本体12の幅方向一方の端部及びその近傍部分に対してシール材本体12の厚さ方向に設けられている。これに対して、他方の第3被覆部44は、シール材本体12の厚さ方向他方の側の面におけるシール材本体12の幅方向他方の端部及びその近傍部分に対してシール材本体12の厚さ方向に設けられている。シール材本体12の厚さ方向他方の側の面においてシール材本体12の幅方向中央側の部分を除いた部分は、これらの第2被覆部18によって被覆されている。
【0056】
<第3の実施の形態及び第4の実施の形態>
図6に示されるように、第3の実施の形態に係る構造物50のシール材52は、前記第1の実施の形態に係るシール材10のシール材本体12に代わるシール材本体54を備えている。シール材本体54の長手方向に対して直交する方向にシール材本体54を切ったシール材本体54の断面形状は、厚さ方向一方の側の面の幅方向寸法が厚さ方向他方の側の面の幅方向寸法よりも短い台形状とされている。
【0057】
一方、
図7に示されるように、第4の実施の形態に係る構造物60のシール材62は、前記第1の実施の形態におけるシール材本体12に代わるシール材本体64を備えている。シール材本体64の長手方向に対して直交する方向にシール材本体64を切ったシール材本体64の断面形状は、略楕円形状を短軸方向(
図7の矢印T方向)中間部で切った略半楕円形状(semi-cylindrical)とされている。
【0058】
また、本シール材62は、前記第1の実施の形態における被覆部材14に代わる被覆部材66を備えている。被覆部材66の第1被覆部16は、シール材本体64におけるシール材62の厚さ方向一方の側の面に倣い湾曲されている。また、被覆部材66は、第2被覆部18を備えておらず、第1被覆部16におけるシール材62の厚さ方向両端の各々から第3被覆部20が連続して形成されている。
【0059】
このような構成のシール材52、62及びこのようなシール材52、62が第1被着体24に設けられた構造物50、60は、基本的に前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
以上のように、シール材のシール材本体は、例えば長尺状であればよく、シール材本体をその長手方向に対して直交する方向に切った断面形状に関しては特に限定されるものではない。
【0061】
<第5の実施の形態>
図8に示されるように、第5の実施の形態に係る構造物70のシール材72は、2枚の被覆部材14を備えている。これらの被覆部材14は、各被覆部材14自身の厚さ方向に互いに重なっている。また、被覆部材14の各々は、第1被覆部16、第2被覆部18、第3被覆部20を備えている。第1被着体24に貼り付けられたシール材72に第2被着体28が圧接される際には、両被覆部材14の各々の第1被覆部16と両第2被覆部18の厚さ方向他方の側の部分がシール材本体12から除去される。これによって、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面と、シール材本体12の幅方向両側の面の大部分とが露出され、第2被着体28の厚さ方向他方の側(シール材72側)の面及びシール材本体12の厚さ方向一方の側の面の一方を他方へ圧接させることができる。
【0062】
このようなシール材72では、2枚の被覆部材14によってシール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面が覆われる。例えば、2枚の被覆部材のうち、外側の部材を耐候性のある部材とし、内側の部材を湿気遮断性のある部材とするような、異なる機能を有する部材を組合せて使用することもできる。このため、シール材72が設けられた構造物26の露天での保管状態で、雨天時に雨水等に晒されても、シール材72のシール材本体12に水が吸収されることを効果的に抑制できる。
【0063】
<第6の実施の形態>
第6の実施の形態の構成は、基本的に前記第1の実施の形態と同じである。但し、本実施の形態では、被覆部材14は、長手方向の易引裂性を有している。すなわち、本実施の形態では、一例として、一軸延伸加工によって被覆部材14が形成されており、長手方向一端から被覆部材14を長手方向に対して交差する方向に引っ張ると、被覆部材14がその長手方向に引き裂かれる。これによって、被覆部材14のうち、第1被覆部16と両第2被覆部18の厚さ方向他方の側の部分をシール材本体12から除去できる。
【0064】
なお、本実施の形態は、一軸延伸加工によって被覆部材14に長手方向の易引裂性を付与した構成であるが、被覆部材14に長手方向の易引裂性を付与するための加工方法等は、このような一軸延伸加工に限定されるものではなく、被覆部材14に長手方向の易引裂性を付与できれば、その加工方法、材質等を適宜に選択することができる。
【0065】
また、本実施の形態は、長手方向の易引裂性を有する被覆部材14を前記第1の実施の形態に適用した構成である。しかしながら、このような長手方向の易引裂性を有する被覆部材14を前記第2の実施の形態から第5の実施の形態の何れか1つ適用してもよい。
【0066】
<第7の実施の形態及び第8の実施の形態>
図9に示されるように、第7の実施の形態に係る構造物80のシール材82は、前記第1の実施の形態における被覆部材14に代わる被覆部材84を備えている。被覆部材84は、ポリエチレン、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンによって形成されている。被覆部材84の第1被覆部16及び両第2被覆部18とシール材本体12との間には、融着部86が形成されている。融着部86は、シール材本体12が被覆部材84によって被覆された状態で、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンによって形成された被覆部材84が、直鎖状低密度ポリエチレンの融点以上の温度(好ましくは摂氏160度前後)の温度で加熱された状態で被覆部材84がシール材本体12へ加圧されることによって形成される。
【0067】
一方、
図10に示されるように、第8の実施の形態に係る構造物90、シール材92では、被覆部材84の両第2被覆部18とシール材本体12との間において、シール材92の厚さ方向中間部よりも厚さ方向他方の側(
図10の矢印Tとは反対方向側)に融着部86が形成されている。
【0068】
このような融着部86が形成されることによって、被覆部材84がシール材本体12へ一体的に融着される。このため、シール材82、92の粘着部22を第1被着体24へ貼り付ける際に、被覆部材84がシール材本体12に対してずれること等が抑制される。これによって、例えば、シール材82、92の粘着部22を第1被着体24へ貼り付ける際に、被覆部材84がシール材本体12に対してずれてシール材本体12が不用意に露出されることを防止できる。
【0069】
しかも、直鎖状低密度ポリエチレンによって形成された被覆部材84が、摂氏160度の温度で加熱された状態で被覆部材84がシール材本体12へ加圧されて融着部86が形成された場合には、被覆部材84をシール材本体12から容易に剥離させることができる。さらに、被覆部材84をシール材本体12に融着させる際の加熱温度は、摂氏160度であるため、シール材本体12への熱の影響を抑制できる。
【0070】
なお、第7の実施の形態及び第8の実施の形態では、被覆部材84が直鎖状低密度ポリエチレンを含んだポリエチレンによって形成されていた。しかしながら、被覆部材84は、ポリエチレン以外の材質によって形成されてもよい。すなわち、被覆部材84は、加熱されることによってシール材本体12へ融着される構成であれば、その材質に限定されることなく広く適用できる。
【0071】
また、第7の実施の形態及び第8の実施の形態では、被覆部材84がシール材本体12へ融着される際の加熱温度を摂氏160度とした。しかしながら。この加熱温度は、摂氏160度より低くてもよいし、摂氏160度より高くてもよい。
【0072】
さらに、第7の実施の形態及び第8の実施の形態は、前記第1の実施の形態における被覆部材14を被覆部材84に代えた構成であったが、前記第2の実施の形態から前記第6の実施の形態の何れか1つにおける被覆部材14又は被覆部材42を被覆部材84に代える構成としてもよい。
【0073】
<第9の実施の形態から第11の実施の形態>
図11及び
図12(A)に示されるように、第9の実施の形態に係る構造物100のシール材102は、前記第1の実施の形態に係るシール材10の被覆部材14の両第3被覆部20に破断誘発部としてのミシン目104を設けた構成となっている。
【0074】
図12(A)に示されるように、ミシン目104は、被覆部材14の両第3被覆部20を貫通する貫通孔によって構成されており、
図11に示されるように、ミシン目104を構成する貫通孔は、被覆部材14の両第3被覆部20においてシール材102の長手方向に所定の間隔をおいて多数形成されている。
【0075】
一方、
図13及び
図14(A)に示されるように、第10の実施の形態に係る構造物110のシール材112は、前記第1の実施の形態に係るシール材102の被覆部材14の両第2被覆部18におけるシール材102の厚さ方向中間部よりも他方の側(両第2被覆部18におけるシール材102の厚さ方向中間部よりも他方の側の端部又はその近傍部分)に破断誘発部としてのミシン目104を設けた構成となっている。
【0076】
また、
図15(A)に示されるように、第11の実施の形態に係る構造物120のシール材122は、前記第2の実施の形態における被覆部材42の両第2被覆部18におけるシール材122の厚さ方向中間部よりも他方の側をシール材本体12の幅方向端面へ融着させた構成である。さらに、本実施の形態では、被覆部材42の両第2被覆部18においてシール材本体12へ融着された部分にミシン目104が形成されている。
【0077】
以上のような構成では、例えば、被覆部材14、42の第1被覆部16におけるシール材102~122の長手方向一方の端部がシール材102~122の厚さ方向一方の側へ引っ張られると、ミシン目104におけるシール材102~122の長手方向一端に引っ張り応力が集中し、ミシン目104において被覆部材14、42の第3被覆部20が破断される。この状態で、被覆部材14、42の第1被覆部16が更に引っ張られることで、ミシン目104で第3被覆部20が破断され、被覆部材14、42の第1被覆部16、両第2被覆部18等が除去され、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面が露出される(
図12(B)、
図14(B)、
図15(B)参照)。
【0078】
このように、第9~第11の各実施の形態では、被覆部材14、42の第1被覆部16における長手方向一方の端部を引っ張るだけで被覆部材14、42の第1被覆部16、両第2被覆部18等を除去して、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面を露出させることができる。このため、被覆部材14の除去作業が容易である。しかも、ミシン目104で被覆部材14、42が破断されるため、被覆部材14、42の第2被覆部18等がシール材本体12に大きく付着したまま残ることを抑制できる。
【0079】
なお、上記の第9の実施の形態は、前記第1の実施の形態における被覆部材14の第3被覆部20にミシン目104を設けた構成でもある。しかしながら、例えば、前記第3の実施の形態又は第4の実施の形態における被覆部材14の第3被覆部20にミシン目104を設ける構成にしてもよい。
【0080】
また、上記の第10の実施の形態は、前記第1の実施の形態における被覆部材14の両第2被覆部18にミシン目104を設けた構成であった。しかしながら、例えば、前記第2の実施の形態又は前記第3の実施の形態における被覆部材14の両第2被覆部18にミシン目104を設ける構成にしてもよいし、第4の実施の形態における被覆部材14の第1被覆部16の両第3被覆部20側の端部(第1被覆部16の幅方向両端部)又はその近傍部分の各々にミシン目104を設ける構成にしてもよい。
【0081】
さらに、上記の第11の実施の形態は、前記第2の実施の形態における被覆部材42の両第2被覆部18のシール材40の厚さ方向中間部よりも他方の側の部分をシール材本体12の幅方向端面へ融着させた構成でもある。しかしながら、被覆部材42の第1被覆部16及び第2被覆部18がシール材本体12に融着される構成にミシン目104を形成してもよい。
【0082】
すなわち、ミシン目104は、被覆部材の一部がミシン目104の部分で除去されることによってシール材のシール材本体における第1被着体24と対向する面とは異なる側の面を露出させることができれば、被覆部材における形成箇所に限定されるものではない。
【0083】
<第12の実施の形態>
図16に示されるように、第12の実施の形態に係る構造物130のシール材132は、前記第1の実施の形態に係るシール材10の被覆部材14の一方の第3被覆部20に破断誘発部としてのミシン目104が2本形成されている。これらのミシン目104は、一方の第3被覆部20においてシール材122の幅方向に並んで設けられている。また、本実施の形態では、被覆部材14の他方の第3被覆部20に破断誘発部としてのミシン目104が2本形成されている。これらのミシン目104は、他方の第3被覆部20においてシール材122の幅方向に並んで設けられている。
【0084】
このような構成の本実施の形態は、前記第9の実施の形態と基本的に同様の作用を奏し、前記第9の実施の形態と基本的に同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、本実施の形態は、前記第1の実施の形態に係るシール材10の被覆部材14の各第3被覆部20にそれぞれ2本のミシン目104を設けた構成であった。しかしながら、各第3被覆部20のそれぞれ3本以上のミシン目104を設ける構成であってもよいし、一方の第3被覆部20と他方の第3被覆部20とでミシン目104の数を変えてもよい。
【0086】
また、第12の実施の形態は、2本のミシン目104を被覆部材14の各第3被覆部20に設けた構成であった。しかしながら、各第3被覆部20のミシン目104の数は、3本以上であってもよい。また、一方の第3被覆部20と他方の第3被覆部20とでミシン目104の数を変えてもよく、この場合、一方の第3被覆部20又は他方の第3被覆部20のミシン目104の数を1本にしてもよい。
【0087】
さらに、本実施の形態は、前記第1の実施の形態に係るシール材10の被覆部材14の各第3被覆部20にそれぞれ2本のミシン目104を設けた構成、すなわち、第9の実施の形態における各第3被覆部20のミシン目104を複数にした構成であった。しかしながら、第10の実施の形態又は第11の実施の形態における被覆部材42の第2被覆部18のミシン目104の数を複数する構成にしてもよい。
【0088】
<第13の実施の形態>
図17に示されるように、第13の実施の形態に係る構造物140のシール材142は、前記第7の実施の形態における被覆部材42の両第2被覆部18のシール材142の厚さ方向中間部よりも他方の側にそれぞれミシン目104を設けている。さらに、本実施の形態では、これらのミシン目104を構成する貫通孔は、合成樹脂材によって形成された閉塞部材144によって塞がれている。
【0089】
これらの閉塞部材144は、ミシン目104を構成する貫通孔の内周面に貼り付いていないか、又は、弱い力でミシン目104を構成する貫通孔の内周面に貼り付いている。このため、雨水等の液体がミシン目104の貫通孔を通ってシール材本体12に吸収されることを抑制できる。
【0090】
また、このような本実施の形態は、基本的に前記第10の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第10の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
なお、本実施の形態は、前記第7の実施の形態における被覆部材42の両第2被覆部18のシール材142の厚さ方向中間部よりも他方の側にそれぞれミシン目104を設けた構成であった。しかしながら、これまでに説明した実施の形態のうち、被覆部材14、42にミシン目104を設ける構成であれば、そのミシン目104の貫通孔に閉塞部材144を設けることができる。
【0092】
<第14の実施の形態から第17の実施の形態>
図18に示されるように、第14の実施の形態に係る構造物150のシール材152は、前記第1の実施の形態における被覆部材14の両第2被覆部18におけるシール材152の厚さ方向他方の側の端部に第1ハーフカット154を設けた構成となっている。これに対して、
図19に示されるように、第15の実施の形態に係る構造物160のシール材162は、前記第2の実施の形態における被覆部材42の両第2被覆部18におけるシール材162の厚さ方向他方の側の端部に第1ハーフカット154を設けた構成となっている。ここで、ハーフカットとは厚み方向に貫通せずに凹状に形成されたものを指しており、長手方向に連続して形成されたものや、断続的に形成されたものを含むこととする。
【0093】
また、
図20に示されるように、第16の実施の形態に係る構造物170のシール材172は、前記第8の実施の形態における被覆部材42の両第2被覆部18におけるシール材172の厚さ方向他方の側の端部に第1ハーフカット154を設けた構成となっている。さらに、
図21に示されるように、第17の実施の形態に係る構造物180のシール材182は、前記第4の実施の形態における被覆部材66の第1被覆部16におけるシール材182の幅方向両端部に第1ハーフカット154を設けた構成となっている。
【0094】
シール材152~172においてシール材152~172の幅方向一方の側の第2被覆部18に形成された第1ハーフカット154は、シール材152~172の幅方向一方の側の第2被覆部18においてシール材152~172の幅方向一方の側へ開口された凹部によって構成されている。これに対して、シール材152~172においてシール材152~172の幅方向他方の側の第2被覆部18に形成された第1ハーフカット154は、シール材152~172の幅方向他方の側の第2被覆部18においてシール材152~172の幅方向他方の側へ開口された凹部によって構成されている。また、シール材182において第1被覆部16のシール材182の幅方向両端部に形成された第1ハーフカット154は、第1被覆部16におけるシール材本体12とは反対側の面で開口された凹部によって構成されている。
【0095】
第14~第16の実施の形態では、被覆部材14、42の第1被覆部16におけるシール材152~172の長手方向一方の端部がシール材152~172の厚さ方向一方の側へ引っ張られ、第17の実施の形態では、被覆部材66の第1被覆部16における両第1ハーフカット154の間の部分のシール材182の長手方向一方の端部がシール材182の厚さ方向一方の側へ引っ張られると、第1ハーフカット154におけるシール材152~182の長手方向一端に引っ張り応力が集中し、第1ハーフカット154において被覆部材14、42の第2被覆部18又は被覆部材66の第1被覆部16が破断される。
【0096】
この状態で、被覆部材14~66の第1被覆部16が更に引っ張られることで、第1ハーフカット154で第2被覆部18又は第1被覆部16が破断される。これによって、第14~第16の各実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16、両第2被覆部18等が除去される。これに対して、第17の実施の形態では、被覆部材66の第1被覆部16における両第1ハーフカット154の間の部分が除去される。これによって、第14~第17の各実施の形態では、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面が露出される。
【0097】
このように、第14~第16の各実施の形態では、被覆部材14、42の第1被覆部16における長手方向一方の端部を引っ張るだけで被覆部材14、42の第1被覆部16、両第2被覆部18等を除去して、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面を露出させることができる。このため、被覆部材14、42の除去作業が容易である。しかも、第1ハーフカット154で被覆部材14、42が破断されるため、被覆部材14、42、66の第2被覆部18、第1被覆部16等がシール材本体12に大きく付着したまま残ることを抑制できる。
【0098】
さらに、第14~第17の各実施の形態では、第1ハーフカット154を構成する凹部は、被覆部材14、42の第2被覆部18、被覆部材14、66の第1被覆部16を、その厚さ方向(第2被覆部18では、シール材152~172の幅方向)に貫通していない。このため、雨水等の液体が侵入してシール材本体12に吸収されることを抑制できる。
【0099】
また、第14~第17の各実施の形態では、基本的に前記第1、第2、第4、第8の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1、第2、第4、第8の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
なお、第14~第16の各実施の形態は、第1ハーフカット154を被覆部材14、42の第2被覆部18に設けた構成で、第17の実施の形態は、第1ハーフカット154を被覆部材66の第1被覆部16に設けた構成であった。しかしながら、第1ハーフカット154は、被覆部材が除去されることによってシール材のシール材本体における第1被着体24と対向する面とは異なる側の面を露出させることができれば、被覆部材における形成箇所に限定されるものではない。
【0101】
<第18の実施の形態>
図22に示されるように、第18の実施の形態に係る構造物190のシール材192は、前記第2の実施の形態における被覆部材42の両第2被覆部18に2本の第1ハーフカット154を設けた構成になっている。両第2被覆部18の各々の2本の第1ハーフカット154は、各第2被覆部18のシール材192の厚さ方向他方の側の端部でシール材192の厚さ方向に並んで形成されている。
【0102】
第18の実施の形態では、被覆部材42の第1被覆部16におけるシール材192の長手方向一方の端部がシール材192の厚さ方向一方の側へ引っ張られると、各第2被覆部18の2本の第1ハーフカット154のうち少なくとも一方におけるシール材192の長手方向一端に引っ張り応力が集中し、第1ハーフカット154において被覆部材42の第2被覆部18が破断される。
【0103】
この状態で、被覆部材42の第1被覆部16が更に引っ張られることで、第1ハーフカット154で第2被覆部18が破断される。これによって、第18の実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16、両第2被覆部18等が除去され、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面が露出される。
【0104】
このように、第18の実施の形態では、被覆部材42の第1被覆部16における長手方向一方の端部を引っ張るだけで被覆部材42の第1被覆部16、両第2被覆部18等を除去して、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面を露出させることができる。このため、被覆部材42の除去作業が容易である。しかも、第1ハーフカット154で被覆部材42が破断されるため、被覆部材42の第2被覆部18がシール材本体12に大きく付着したまま残ることを抑制できる。
【0105】
さらに、第18の実施の形態では、第1ハーフカット154を構成する凹部は、被覆部材42の第2被覆部18を、その厚さ方向(シール材192の幅方向)に貫通していない。このため、雨水等の液体が侵入してシール材本体12に吸収されることを抑制できる。
【0106】
また、第18の実施の形態では、基本的に前記第2の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
なお、第18の実施の形態は、2本の第1ハーフカット154を被覆部材42の第2被覆部18に設けた構成であった。しかしながら、2本の第1ハーフカット154は、被覆部材が除去されることによってシール材のシール材本体における第1被着体24と対向する面とは異なる側の面を露出させることができれば、被覆部材における形成箇所に限定されるものではない。
【0108】
また、第18の実施の形態は、2本の第1ハーフカット154を被覆部材42の第2被覆部18に設けた構成であった。しかしながら、第1ハーフカット154の数は、3本以上であってもよい。また、一方の第2被覆部18と他方の第2被覆部18とで第1ハーフカット154の数を変えてもよく、この場合、一方の第2被覆部18又は他方の第2被覆部18の第1ハーフカット154の数を1本にしてもよい。
【0109】
<第19の実施の形態>
図23に示されるように、第19の実施の形態に係る構造物200のシール材202は、前記第3の実施の形態に係るシール材52の被覆部材14の両第2被覆部18に第2ハーフカット204を設けた構成である。シール材202の幅方向一方の側の第2被覆部18の第2ハーフカット204は、シール材202の幅方向一方の側の第2被覆部18におけるシール材202の幅方向他の側の面で開口された凹部によって構成されている。シール材202の幅方向一方の側の第2被覆部18の第2ハーフカット204を構成する凹部は、シール材202の幅方向一方の側の第2被覆部18においてシール材202の長手方向へ断続的に多数形成されている。
【0110】
シール材202の幅方向他方の側の第2被覆部18の第2ハーフカット204は、シール材202の幅方向他方の側の第2被覆部18におけるシール材202の幅方向他の側の面で開口された凹部によって構成されている。シール材202の幅方向他方の側の第2被覆部18の第2ハーフカット204を構成する凹部は、シール材202の幅方向他方の側の第2被覆部18においてシール材202の長手方向へ断続的に多数形成されている。
【0111】
第19の実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16におけるシール材202の長手方向一方の端部がシール材202の厚さ方向一方の側へ引っ張られると、第2ハーフカット204におけるシール材202の長手方向一端に引っ張り応力が集中し、第2ハーフカット204において被覆部材14の第2被覆部18が破断される。
【0112】
この状態で、被覆部材14の第1被覆部16が更に引っ張られることで、第2ハーフカット204で第2被覆部18が破断される。これによって、第19の実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16及び両第2被覆部18等が除去され、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面が露出される。
【0113】
このように、第19の実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16における長手方向一方の端部を引っ張るだけで被覆部材14の第1被覆部16、両第2被覆部18等を除去して、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面を露出させることができる。このため、被覆部材14の除去作業が容易である。しかも、第2ハーフカット204で被覆部材14が破断されるため、被覆部材14の第2被覆部18、第1被覆部16等がシール材本体12に大きく付着したまま残ることを抑制できる。
【0114】
さらに、第19の実施の形態では、第2ハーフカット204を構成する凹部は、被覆部材14の第2被覆部18を、その厚さ方向(シール材202の幅方向)に貫通していない。このため、雨水等の液体が侵入してシール材本体12に吸収されることを抑制できる。
【0115】
また、第19の実施の形態では、基本的に前記第3の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
なお、第19の実施の形態は、第2ハーフカット204を被覆部材14の第2被覆部18に設けた構成であった。しかしながら、第2ハーフカット204は、被覆部材が除去されることによってシール材のシール材本体における第1被着体24と対向する面とは異なる側の面を露出させることができれば、被覆部材における形成箇所に限定されるものではない。
【0117】
<第20の実施の形態>
図24に示されるように、第20の実施の形態に係る構造物210のシール材212は、前記第1の実施の形態における被覆部材14の両第2被覆部18のシール材212の厚さ方向他方の側の端部に第1ハーフカット154と第2ハーフカット204とを設けた構成になっている。両第2被覆部18の第2ハーフカット204は、各第2被覆部18の第1ハーフカット154のシール材212の厚さ方向一方の側に形成されている。
【0118】
第20の実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16におけるシール材212の長手方向一方の端部がシール材212の厚さ方向一方の側へ引っ張られると、各第2被覆部18の第1ハーフカット154及び第2ハーフカット204の少なくとも一方におけるシール材212の長手方向一端に引っ張り応力が集中し、第1ハーフカット154及び第2ハーフカット204の少なくとも一方において被覆部材14の第2被覆部18が破断される。
【0119】
この状態で、被覆部材14の第1被覆部16が更に引っ張られることで、第1ハーフカット154又は第2ハーフカット204で第2被覆部18が破断される。これによって、第20の実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16、両第2被覆部18等が除去され、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面が露出される。
【0120】
このように、第20の実施の形態では、被覆部材14の第1被覆部16における長手方向一方の端部を引っ張るだけで被覆部材14の第1被覆部16、両第2被覆部18等を除去して、シール材本体12の厚さ方向一方の側の面及び幅方向両側の面を露出させることができる。このため、被覆部材14の除去作業が容易である。しかも、第1ハーフカット154で被覆部材14が破断されるため、被覆部材14の第2被覆部18がシール材本体12に大きく付着したまま残ることを抑制できる。
【0121】
さらに、第20の実施の形態では、第1ハーフカット154を構成する凹部は、被覆部材14の第2被覆部18を、その厚さ方向(シール材212の幅方向)に貫通していない。このため、雨水等の液体が侵入してシール材本体12に吸収されることを抑制できる。
【0122】
また、第20の実施の形態では、基本的に前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0123】
なお、第20の実施の形態は、第1ハーフカット154及び第2ハーフカット204を被覆部材14の第2被覆部18に設けた構成であった。しかしながら、例えば、被覆部材14の両第3被覆部20の各々に第1ハーフカット154及び第2ハーフカット204を被覆部材14の第2被覆部18に設ける構成であってもよい。すなわち、第1ハーフカット154及び第2ハーフカット204は、被覆部材が除去されることによってシール材のシール材本体における第1被着体24と対向する面とは異なる側の面を露出させることができれば、被覆部材における形成箇所に限定されるものではない。
【0124】
また、第20の実施の形態は、第1ハーフカット154に対してシール材212の厚さ方向一方の側に第2ハーフカット204を設けた構成であった。しかしながら、第2ハーフカット204に対してシール材212の厚さ方向一方の側に第1ハーフカット154を設ける構成であってもよい。また、第1の被覆部16や第2の被覆部18のいずれかの少なくとも一部に突起やつまみを設けることにより、被覆部をつまみやすい構成としてもよい。
【0125】
さらに、これまでに説明した実施の形態では、第1ハーフカット154、第2ハーフカット204を破断誘発部としての脆弱部とした。しかしながら、脆弱部は、このような構成に限定されるものではない。被覆部材の長手方向に連続する溝を形成し、この溝を脆弱部としてもよい。このような溝の底部では、被覆部材の厚さが他の部分よりも薄くなり、機械的強度(せん断強度または引裂き強度など)が低下し、この溝で被覆部材に破断を誘発させることができる。また、被覆部材の長手方向に長い線状の熱処理等を被覆部材に施して機械的強度(せん断強度または引裂き強度など)を低下させ、被覆部材において熱処理を施した部分を脆弱部としてもよい。
【0126】
このように、破断誘発部としての脆弱部は、被覆部材において他の部分よりも機械的強度(せん断強度または引裂き強度など)が低ければ、その具体的な構成、具体的な製造方法に限定されることなく広く適用できる。
【0127】
以上のような構成とすることにより、雨水を含む水やその他液体(海水や水溶液、溶剤、油、樹液など)以外にも、埃や砂などの異物、虫などが付着することも防止することができる。また、被覆部に機能的特性を付与することにより、本体を光による劣化から防止することも可能となり、長期間の屋外保管が可能となる。
【符号の説明】
【0128】
10、40、52、62、72、82、92、102、112、122,132、142、152、162、172、182、192、202、212 シール材
12、54,64 シール材本体
14、42,66、84 被覆部材
16 第1の被覆部
18 第2の被覆部
20 第3の被覆部
22 粘着部(貼付部材)
24 第1被着体
26、50、60,70,80,90、100、110,120,130、140、150、160、170,180,190、200.210 構造物
104 ミシン目(破断誘発部)
154 第1ハーフミシン目(破断誘発部)
204 第2ハーフミシン目(破断誘発部)