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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】図書取扱装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20220629BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B65G1/04 503
B65G1/137 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020184958
(22)【出願日】2020-11-05
(62)【分割の表示】P 2019159610の分割
【原出願日】2015-10-30
(65)【公開番号】P2021020817
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2014221692
(32)【優先日】2014-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】北田 暢彦
(72)【発明者】
【氏名】谷 仁志
(72)【発明者】
【氏名】山根 知子
(72)【発明者】
【氏名】渡部 弘毅
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-280463(JP,A)
【文献】特開2011-111248(JP,A)
【文献】登録実用新案第3167933(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1015164(KR,B1)
【文献】実公昭62-016402(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ貸出単位で図書を収納可能な複数の図書収納用フォルダと、
前記複数の図書収納用フォルダのそれぞれに図書を収納した状態で前記複数の図書収納用フォルダを格納可能な格納部と、
前記複数の図書収納用フォルダを前記格納部から選択的に取出して、図書外部取出位置に向けて搬送するピッカーと、
前記図書外部取出位置で前記ピッカーから前記図書収納用フォルダが移載され、移載された前記図書収納用フォルダを、前記図書収納用フォルダ内の図書のみを外部から人手で取出可能な状態で支持する取出口機構部と、
前記図書収納用フォルダを格納可能でかつ移動可能な可動フォルダ格納部と、
を備え、
前記ピッカーは、前記図書外部取出位置にて前記図書が取出されて空となった前記図書収納用フォルダを前記可動フォルダ格納部に向けて搬送する、図書取扱装置。
【請求項2】
それぞれ貸出単位で図書を収納可能な複数の図書収納用フォルダと、
前記複数の図書収納用フォルダのそれぞれに図書を収納した状態で前記複数の図書収納用フォルダを格納可能な格納部と、
前記複数の図書収納用フォルダを前記格納部から選択的に取出して、図書外部取出位置に向けて搬送するピッカーと、
前記図書外部取出位置で前記ピッカーから前記図書収納用フォルダが移載され、移載された前記図書収納用フォルダを、前記図書収納用フォルダ内の図書のみを外部から人手で取出可能な状態で支持する取出口機構部と、
前記図書収納用フォルダを格納可能でかつ移動可能な可動フォルダ格納部と、
備え、
前記ピッカーは、格納部に収納された空の前記図書収納用フォルダを前記可動フォルダ格納部に向けて搬送する、図書取扱装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の図書取扱装置であって、
前記ピッカーは、前記図書を収納した状態で前記可動フォルダ格納部に格納された前記図書収納用フォルダを、前記格納部に向けて搬送する、図書取扱装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の図書取扱装置であって、
前記可動フォルダ格納部は、前記図書収納用フォルダを複数格納可能に構成されている、図書取扱装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の図書取扱装置であって、
前記ピッカーは、前記可動フォルダ格納部に格納された前記図書収納用フォルダを取込む際に、前記図書収納用フォルダに格納された図書に付された識別用のタグからその図書の識別情報を読取る読取装置を備える、図書取扱装置。
【請求項6】
それぞれ貸出単位で図書を収納可能な複数の図書収納用フォルダと、
前記複数の図書収納用フォルダのそれぞれに図書を収納した状態で前記複数の図書収納用フォルダを格納可能な格納部と、
前記複数の図書収納用フォルダを前記格納部から選択的に取出して、図書外部取出位置に向けて搬送するピッカーと、
前記図書外部取出位置で前記ピッカーから前記図書収納用フォルダが移載され、移載された前記図書収納用フォルダを、前記図書収納用フォルダ内の図書のみを外部から人手で取出可能な状態で支持する取出口機構部と、
前記図書外部取出位置とは別の位置に設けられ、図書の返却を受付ける図書返却装置と、を備える、図書取扱装置。
【請求項7】
請求項6に記載の図書取扱装置であって、
前記図書返却装置が、前記格納部及び前記ピッカーと分離した態様で設けられている、図書取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、図書を自動で貸し出す図書自動取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図書を自動で貸し出すシステムに関する技術が、例えば、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の図書館の蔵書自動出納システムは、書架の周辺を自走する蔵書出納ロボットであって、台車とハンド機構と制御装置と車載コンピュータとを備えた蔵書出納ロボットが、書架から本の出し入れを行うとされている。
【0004】
特許文献2に記載の物品分類収納システムは、移動台車と把持機構と操作機構とラックとを備えた移動型ロボットが、物品を分類して収納するとされている。
【0005】
また、上記のほか図書自動貸出システムに関連する技術が特許文献3及び4にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-233405号公報
【文献】特開2006-341957号公報
【文献】台湾特許第422345号明細書
【文献】韓国特許第101015164号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に開示されているように、ロボットが直接図書に触れて扱うと、図書が早く傷んでしまう恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、図書用の取扱装置において、図書が傷むのをなるべく抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る図書取扱装置は、それぞれ貸出単位で図書を収納可能な複数の図書収納用フォルダと、前記複数の図書収納用フォルダのそれぞれに図書を収納した状態で前記複数の図書収納用フォルダを格納可能な格納部と、前記複数の図書収納用フォルダを前記格納部から選択的に取出して、図書外部取出位置に向けて搬送するピッカーと、前記図書外部取出位置で前記ピッカーから前記図書収納用フォルダが移載され、移載された前記図書収納用フォルダを、前記図書収納用フォルダ内の図書のみを外部から人手で取出可能な状態で支持する取出口機構部と、前記図書収納用フォルダを格納可能でかつ移動可能な可動フォルダ格納部と、を備え、前記ピッカーは、前記図書外部取出位置にて前記図書が取出されて空となった前記図書収納用フォルダを前記可動フォルダ格納部に向けて搬送する、図書取扱装置である。
【0010】
また、上記課題を解決するため、第2の態様に係る図書取扱装置は、それぞれ貸出単位で図書を収納可能な複数の図書収納用フォルダと、前記複数の図書収納用フォルダのそれぞれに図書を収納した状態で前記複数の図書収納用フォルダを格納可能な格納部と、前記複数の図書収納用フォルダを前記格納部から選択的に取出して、図書外部取出位置に向けて搬送するピッカーと、前記図書外部取出位置で前記ピッカーから前記図書収納用フォルダが移載され、移載された前記図書収納用フォルダを、前記図書収納用フォルダ内の図書のみを外部から人手で取出可能な状態で支持する取出口機構部と、前記図書収納用フォルダを格納可能でかつ移動可能な可動フォルダ格納部と、備え、前記ピッカーは、格納部に収納された空の前記図書収納用フォルダを前記可動フォルダ格納部に向けて搬送する、図書取扱装置である。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る図書取扱装置であって、前記ピッカーは、前記図書を収納した状態で前記可動フォルダ格納部に格納された前記図書収納用フォルダを、前記格納部に向けて搬送するものである。
第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様に係る図書取扱装置であって、前記可動フォルダ格納部は、前記図書収納用フォルダを複数格納可能に構成されているものである。
第5の態様は、第3又は第4の態様に係る図書取扱装置であって、前記ピッカーは、前記可動フォルダ格納部に格納された前記図書収納用フォルダを取込む際に、前記図書収納用フォルダに格納された図書に付された識別用のタグからその図書の識別情報を読取る読取装置を備えるものである。
【0012】
上記課題を解決するため、第6の態様に係る図書取扱装置は、それぞれ貸出単位で図書を収納可能な複数の図書収納用フォルダと、前記複数の図書収納用フォルダのそれぞれに図書を収納した状態で前記複数の図書収納用フォルダを格納可能な格納部と、前記複数の図書収納用フォルダを前記格納部から選択的に取出して、図書外部取出位置に向けて搬送するピッカーと、前記図書外部取出位置で前記ピッカーから前記図書収納用フォルダが移載され、移載された前記図書収納用フォルダを、前記図書収納用フォルダ内の図書のみを外部から人手で取出可能な状態で支持する取出口機構部と、前記図書外部取出位置とは別の位置に設けられ、図書の返却を受付ける図書返却装置と、を備える、図書取扱装置である。

【0013】
第7の態様は、第6の態様に係る図書取扱装置であって、前記図書返却装置が、前記格納部及び前記ピッカーと分離した態様で設けられているものである。
【発明の効果】
【0014】
各態様に係る図書取扱装置によると、図書が傷むのをなるべく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る図書取扱装置を示す概略斜視図である。
図2】同上の図書取扱装置を示す概略側面図である。
図3】同上の図書取扱装置を示す概略平面図である。
図4】同上の図書取扱装置の内部構造を示す概略正面図である。
図5】図書を示す概略斜視図である。
図6】図書収納用フォルダを示す概略側面図である。
図7】同上のフォルダを示す概略正面図である。
図8】同上のフォルダを示す概略平面図である。
図9図8のIX-IX線概略断面図である。
図10】ピッカー及び格納部を示す概略側面図である。
図11】格納部の一部を示す概略正面図である。
図12】ピッカーの一部を示す正面図である。
図13】取出口機構部の概略正面図である。
図14】取出口機構部の概略側面図である。
図15】取出口機構部の概略平面図である。
図16】図書返却装置を示す部分概略側面図である。
図17】図書返却装置の蓋部及びロック部を示す説明図である。
図18】図書取扱装置の動作制御を司る制御部を示すブロック図である。
図19】図書管理データの一例を示す図である。
図20】入庫処理を示すフローチャートである。
図21】貸出処理を示すフローチャートである。
図22】図書選択貸出処理を示すフローチャートである。
図23】図書取出処理を示すフローチャートである。
図24】図書の返却時の処理を示すフローチャートである。
図25】変形例に係る図書取扱装置を示す概略平面図である。
図26】変形例に係る図書収納用フォルダを示す概略側面図である。
図27】同上のフォルダを示す概略正面図である。
図28】同上のフォルダを示す概略平面図である。
図29図26のXXIX-XXIX線概略断面図である。
図30】フォルダ本体部を示す分解斜視図である。
図31】在荷センサを説明する説明図である。
図32】在荷センサを用いた入庫作業を説明する説明図である。
図33】在荷センサを用いた入庫処理を示すフローチャートである。
図34】変形例に係る図書収納用フォルダの別サイズを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る図書収納用フォルダ210について説明する。図書収納用フォルダ210は、図書用の自動取扱装置で用いられる。ここでは、図書収納用フォルダ210は、図書取扱装置10の自動図書貸出装置20で用いられるものとして説明する。以下では、図書収納用フォルダ210について、図書取扱装置10についての説明に交えて説明する。
【0017】
{1.図書取扱装置の全体構成について}
<全体構成について>
図1は図書取扱装置10を示す概略斜視図であり、図2は同図書取扱装置10を示す概略側面図であり、図3は図書取扱装置10を示す概略平面図であり、図4は図書取扱装置10の内部構造を示す概略正面図である。
【0018】
この図書取扱装置10は、図書館等に設置される装置であり、自動図書貸出装置20と、図書返却装置100とを備える。自動図書貸出装置20は、格納された複数の図書の中から利用者により選択された図書を自動的に貸出す装置である。図書返却装置100は、貸出されていた図書の返却を受付ける装置である。
【0019】
ここでは、自動図書貸出装置20と図書返却装置100とは、並んで設置されており、それぞれの装置20、100が一部で各構成を共有している。もっとも、図書取扱装置において、自動図書貸出装置と図書返却装置とが、物理的に分離した態様で設けられることもある。また、図書取扱装置において、図書返却装置が省略され、自動図書貸出装置単独で用いられる場合もあり得る。
【0020】
<自動図書貸出装置の全体構成について>
自動図書貸出装置20は、利用者による図書の貸出指示に応じて当該装置に格納されている図書を利用者に自動で貸出すことができる装置である。利用者による図書の貸出指示は、本自動図書貸出装置20に設置された貸出受付部70等によってなされる。
【0021】
自動図書貸出装置20は、ここでは、格納部30と、ピッカー40と、取出口機構部50と、可動フォルダ格納部としての入庫台車60と、貸出受付部70と、制御部80(図18参照)とを備える。
【0022】
自動図書貸出装置20の四方及び上方は、パネル22によって囲われている。ここでは、自動図書貸出装置20のうち格納部30と、ピッカー40と、取出口機構部50の一部とが、四方及び上方をパネル22で囲われた閉鎖空間内に配置されている。また、取出口機構部50の他の一部と貸出受付部70とが、パネル22の外に配設されている。以降、自動図書貸出装置の内部とは、パネル22の内部を指すものとする。自動図書貸出装置20の内部はパネル22により関係者以外の立ち入りが制限されている。また、入庫台車60は、自動図書貸出装置20の内外に出入り可能に配置されている。
【0023】
本自動図書貸出装置20においては、図書200は、図書収納用フォルダ210に収納された状態で格納及び搬送される。
【0024】
すなわち、図書200は、図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30に格納されている(図2において一部の図書収納用フォルダ210に図書200を収納した状態を図示)。そして、利用者が貸出受付部70を通じて所望の図書200の貸出しを指示すると、ピッカー40は、所望の図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、取出口機構部50内の図書外部取出位置P(図3参照)に向けて搬送する。取出口機構部50では、図書収納用フォルダ210から外部に図書200を取出可能な状態で、図書収納用フォルダ210が支持される。そして、利用者は、取出口機構部50において、図書収納用フォルダ210を自動図書貸出装置20内に残したまま、当該図書収納用フォルダ210から図書200を取出す。これにより、利用者に対して、所望の図書を自動で貸出せるようになっている。
【0025】
また、入庫台車60は、例えば、図書200を収納したフォルダ210を、本自動図書貸出装置20内に格納する際に用いられる。
【0026】
すなわち、入庫台車60は、複数の図書収納用フォルダ210を格納した状態で走行可能に構成されている。そして、図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、入庫台車60に格納した状態で、当該入庫台車60を、自動図書貸出装置20内に入れる。この状態で、ピッカー40が、入庫台車60に格納された図書収納用フォルダ210を、格納部30の空き格納位置に向けて搬送することによって、図書を収納した図書収納用フォルダ210が格納部30に格納される。
【0027】
制御部80は、上記各動作を含む本自動図書貸出装置20の各動作を制御可能に構成されている。制御部80は、パネル22内に設けられていてもよいし、パネル22外に設けられていてもよい。
【0028】
<図書返却装置の全体構成について>
図書返却装置100は、仕切24と、遮蔽機構部110と、制御部80とを備える。
【0029】
ここでは、図書返却装置100は、自動図書貸出装置20の一端部の位置に設けられている。
【0030】
すなわち、上記パネル22によって仕切られる内部空間の一端部に、返却された図書を収納するための空間23が形成されている。パネル22のうち当該空間23と外部とを仕切る部分の一部が仕切24である。ここでは、仕切24は、パネル22のうち上記貸出受付部70が設けられる側のパネル部分であって、前記空間23に面する部分が仕切24とされている。この仕切24には、図書200が通過可能な返却口24hが形成されている。なお、図1等では、空間23の一側部が外方に開口しているが、当該開口は、扉(好ましくは施解錠可能な扉)により閉じられている。
【0031】
遮蔽機構部110は、上記返却口24hを開閉可能に覆う蓋部112を備える。蓋部112は、通常時には、返却口24hを塞いでおり、図書200の返却時には、開可能な状態となる。これにより、利用者は、返却口24hを通じて図書200を空間23内に格納することができる。
【0032】
上記空間23内には、返却用収納台車120が配設されている。返却用収納台車120は、上方が開口する容器状の収納部120aを備えている。パネル22のうち空間23の一側部に面する部分には、返却用収納台車120を出し入れ可能な開口22aが設けられており、返却用収納台車120は、当該開口22aを通じて、上記空間23と外部との間で出し入れ可能に構成されている。
【0033】
そして、返却用収納台車120が空間23内に配設された状態で、返却口24hを通じて返却された図書200が返却用収納台車120の収納部120a内に落下して収納される。また、図書200を収納した返却用収納台車120は、上記開口22aを通って外部に取出され、作業員等によって、返却された図書200として取扱われる。返却された図書200は、例えば、上記自動図書貸出装置20内に格納され、次の貸出しに供される。
【0034】
制御部80は、本図書返却装置100の各動作をも制御する。自動図書貸出装置の動作制御を行う制御部と、図書返却装置の動作制御を行う制御部とが、別々の制御部によって実現されていてもよい。
【0035】
<図書取扱装置における図書の流れについて>
上記図書取扱装置10における図書200の流れについて説明しておく。
【0036】
まず、複数の図書200が、それぞれ別々の図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30内に格納されている。
【0037】
図書200の貸出し時においては、貸出しを望む利用者が、上記貸出受付部70を通じて、貸出しを望む図書200の特定情報及び貸出指示を入力する。すると、制御部80の制御下、ピッカー40が当該図書200を収納する図書収納用フォルダ210を図書外部取出位置Pに向けて搬送する。図書外部取出位置Pは、利用者がアクセス可能な位置である。これにより、利用者は、図書外部取出位置Pの図書収納用フォルダ210から図書200を取出し、当該図書200を借出すことができる。
【0038】
図書200の返却時においては、利用者が図書200を図書返却装置100の返却口24hに返却する。返却された図書200は、返却用収納台車120に収納される。返却用収納台車120には、返却された複数の図書200を収納可能である。これにより、図書200が返却される。
【0039】
返却された図書200の格納部30への格納は次のようになされる。
【0040】
すなわち、図書館の館員等の作業者は、上記返却用収納台車120を図書返却装置100から外部に移動させ、返却用収納台車120に収納された図書200を取出す。この際、作業者は、当該図書200の汚損状況の確認等を行い、汚損等がひどい場合には、当該図書200の修理又は補修等を行う。この後、作業者は、図書200を図書収納用フォルダ210に収納し、図書収納用フォルダ210を入庫台車60に格納する。そして、入庫台車60を自動図書貸出装置20内に入れる。すると、ピッカー40が、図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、格納部30のうち空きとなった箇所に搬送して、格納する。これにより、図書200が図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30に格納され、次の貸出しに供される。
【0041】
{2.各部構成について}
自動図書貸出装置及び図書返却装置の各部構成について説明する。
【0042】
<図書>
図5に示すように、図書200には、自己の識別符号を記録したタグ202が設けられている。タグ202は、図書のうち、表紙、裏表紙及び背表紙の少なくとも1つに取付けられるとよい。
【0043】
タグ202としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリと、外部と電磁波(電波)等を通じて外部の無線読取装置等との間で無線通信可能な通信部とを備えたRFID(Radio Frequency Identifier)等を用いることができる。上記不揮発性メモリには、当該図書を識別するための識別符号が記憶されている。そして、タグ202が、無線読取装置等からの識別符号問合信号に応じて、自己の識別符号を含む応答信号を送信することで、無線読取装置等かタグ202の識別符号を読取ることができる。この識別符号が制御部80に与えられることにより、制御部80は、図書200を識別することができる。
【0044】
もっとも、図書200に付されるタグは、上記例に限られない。例えば、タグとして、磁気によって自己の識別符号を記録したもの(磁気バーコード等)、一次元又は二次元の図形の形状でデータを記録したもの(バーコード又はQRコード(登録商標)等)が採用されてもよい。この際に、読取装置は、タグに準拠したものが用いられればよいが、タグと読取装置とは、非接触で識別符号を読取可能であるものが好ましい。
【0045】
ここでは、タグとして、RFIDタグが採用されているため、読取装置としては、タグと非接触で無線通信を行うものが用いられる。
【0046】
<図書収納用フォルダ210>
図6は図書収納用フォルダ210(以下、単にフォルダと称する)を示す概略側面図であり、図7はフォルダ210を示す概略正面図であり、図8はフォルダ210を示す概略平面図であり、図9図8のIX-IX線概略断面図である。なお、各図の側面において開口した領域には、網点が付されている。
【0047】
図書収納用フォルダ210(以下、単にフォルダ210と称する)は、図書200を内部に収納した状態で、格納部30に格納可能に、また、ピッカー40により搬送可能に形成されている。具体的には、ここでは、フォルダ210は、フォルダ本体部222と、段部223Sと、付勢部225と、被保持部228とを備える。
【0048】
フォルダ本体部222は、底部223と底部223に立設する複数(ここでは、一対)の側面部224とを含み、その内部に図書200を収容可能となるように、また、内部に収容された図書200を取り出し可能となるように開口が少なくとも1つ形成されている。ここでは、フォルダ本体部222は、両端が開口した直方体の筒状に形成されている。
【0049】
底部223は、樹脂等によって形成されており、細長い板状に形成されている。底部223の両端部223b(図8参照)は、外方に向けて徐々に幅狭になる形状に形成されている。これにより、フォルダ210をピッカー40から格納部30に収納する際に、当該フォルダ210を格納する位置の両側にすでにフォルダ210が格納されている場合でも、両側のフォルダ210の間に当該フォルダ210を挿入しやすくなる。同様に、フォルダ210をピッカー40から取出口機構部50に収納する際及び格納部30又は取出口機構部50からピッカー40に取り込む際にも、フォルダ210を挿入しやすくなる。
【0050】
側面部224は、樹脂等により形成されており、側面本体部224aと、側面本体部224aの上端部に設けられた天井部224bとを備える。
【0051】
側面本体部224aは、平板状に形成されている。天井部224bは、側面本体部224aの上端縁部からその一方主面側(フォルダ本体部222の内向き)に延出する部分と、その部分の先端部から上方に延出する部分とを含む形状に形成されている。
【0052】
そして、一対の側面部224の側面本体部224aの下部を、底部223の両側部に嵌め込み構造、接着剤等によって固定すると共に、一対の側面本体部224aの上側の天井部224bを突合わせることによって、両端が開口した直方体筒状(ここでは、上下方向に扁平な直方体筒状)をなすフォルダ本体部222が構成される。なお、側面本体部224aには、その変形を抑制するためのリブ224cが形成されている。
【0053】
フォルダ本体部222に形成された2つの開口224d、224eのうち一方が図書200をフォルダ本体部222の内部に収容するための収容用開口224dとされ、他方がフォルダ本体部222の内部に収容された図書200を取り出すための取出用開口224eとされている。つまり、ここでは、フォルダ本体部222に対して図書200を収容する向きとフォルダ本体部222から図書200を取り出す向きが同じに設定されている。以降、フォルダ本体部222のうち一対の側面本体部224aを結ぶ方向を幅方向、底部223と天井部224bとを結ぶ方向を高さ方向、2つの開口を結ぶ方向を奥行方向とする。また、奥行方向に沿って収容用開口224dから取出用開口224eに向かう向きを奥行方向前方とし、その反対の向きを奥行方向後方とする。
【0054】
段部223Sはフォルダ本体部222の内側に設けられ、図書200をそれぞれの背表紙がフォルダ本体部222に対して一定位置に位置する態様でフォルダ本体部222に収容可能にしている。具体的には、ここでは、底部223の上面のうち奥行方向中間部分が高さ方向に低くなっていることにより、フォルダ本体部222には、2つの段部223Sが設けられている。つまり、底部223の上面には、その両端側の段部223Sを介して凹む載置凹部223aが形成されている。当該2つの段部223Sのうち取出用開口224e側に設けられた段部223Sを前段部223S1と称し、収容用開口224d側に設けられた段部223Sを後段部223S2と称するものとする。
【0055】
ここでは、前段部223S1を用いて図書200の位置決めを行っている。より詳細には、図書200は、フォルダ本体部222に対して背表紙が取出用開口224eから外を向くように収容される。この際、図書200は、2つの段部223Sの間に収容されるとともに、背表紙が前段部223S1に当接するように収容される。これにより、収容する図書200のサイズが異なる場合でも、それぞれの背表紙がフォルダ本体部222に対して一定位置に位置する態様でフォルダ本体部222に収容される。
【0056】
もっとも、前段部223S1を用いて図書200の位置決めを行うことは必須ではなく、後段部223S2で行ってもよい。しかしながら、前段部223S1を用いて図書200の位置決めを行うことで、利用者がフォルダ本体部222から図書200を取り出しやすくなる。
【0057】
また、フォルダ本体部222に2つの段部223Sが形成されることは必須ではなく、フォルダ本体部222に形成される段部223Sは1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。しかしながら、フォルダ本体部222に複数の段部223Sが形成され、当該複数の段部223Sの間の載置凹部223aに図書200を収容することで、図書200が底部223上を滑った場合でも、フォルダ本体部222から脱落することを抑制することができる。
【0058】
また、ここでは、フォルダ本体部222には、フォルダ本体部222に形成された開口224d、224eから中央に向かってその外縁が凹む凹部224fが形成されている。ここでは、凹部224fは、収容用開口224dと取出用開口224eとの両方の外縁に形成されている。以降、収容用開口224dの外縁に形成された凹部を収容用凹部224gと称し、取出し用開口の外縁に形成された凹部を取出用凹部224hと称し、2つの凹部を特に区別する必要がない場合は、単に凹部224fとするものとする。ここでは、凹部224fは、側面本体部224aに形成されている。より詳細には、凹部224fは、一対の側面本体部224a両方に形成されている。つまり、凹部224fは、一対の側面本体部224aに対してフォルダ本体部222の奥行方向両端部にそれぞれ形成され、フォルダ本体部222としては、4つの凹部が形成されている。これら収容用凹部224gと取出用凹部224hとが形成されることによりフォルダ本体部222は、側面視で、いずれかの凹部を上にしたときにH字状に形成されている。
【0059】
また、ここでは、凹部224fは、フォルダ本体部222の高さ方向において中間部分(ここでは、高さ方向中心)が大きく凹むように設定されている。より詳細には、凹部224fの外縁として、一方の開口の外縁のうち側面部224の高さ方向両端側から他方の開口の反対側の端部に向かって斜めに形成された一対の傾斜部と、当該一対の傾斜部を結び、高さ方向に平行な平行部とが設けられている。
【0060】
ここで、取出用凹部224hのうち取出用開口224eから最も深い部分(ここでは、平行部)は、前段部223S1よりも奥行方向中心側に設けられている。これにより、図書200が前段部223S1に当接した状態で表紙と裏表紙とのうち背表紙側の一部が側面部224に覆われることなく取出用凹部224hから外部に露出する。利用者が図書200の表紙及び裏表紙のうち取出用凹部224hから外部に露出する部分を掴んで取り出すことにより、図書200を取出しやすくなる。
【0061】
また、収容用凹部224gのうち収容用開口224dから最も深くに形成された部分(ここでは、平行部)は奥行方向に沿って後段部223S2と同じ位置かそれよりも収容用開口224d側に設けられている。これにより、背表紙を前段部223S1側にした状態で載置凹部223aに収容された図書200の表紙と背表紙とのうち小口側の部分が側面部224に覆われる。
【0062】
また、ここでは、収容用開口224dの方が取出用開口224eよりも大きく形成されている。上述したように、ここでは、前段部223S1を用いて図書200の位置決めを行っているため、小さいサイズの図書200の場合、収容用開口224dからフォルダ本体部222の内部に手を挿入する量が大きくなる。この場合収容用開口224dが大きいほどフォルダ本体部222の内部へ図書200を収容しやすくなる。これに対して、取り出す際には、取出用開口224eの付近に前段部223S1があることによって図書200が取出用開口224e付近にあるため、取出用開口224eから手を入れる量は少なくて済む。これらにより、ここでは、収容用開口224dの方が取出用開口224eよりも大きく形成されている。
【0063】
また、ここでは、収容用凹部224gのうち底部223側では、底部223と側面部224との連結部分から奥行方向に大きく凹むように形成されている。このため、底部223のうち収容用開口224d側の端部は側面部224よりも奥行方向後方に突出している。これにより、図書200をフォルダ本体部222の内部に収容する際に、例えば、まず図書200を底部223のうち側面部224よりも突出している部分に載せて底部223上を滑らせるように収容することで、図書200が開口の縁部に引っ掛かることを押さえることができることによって、図書200を収容しやすくなる。
【0064】
付勢部225は、フォルダ本体部222の内周面から突出し、フォルダ本体部222の内部に収納された図書200の表紙と裏表紙とのうち少なくとも一方を押さえる。ここでは、付勢部225は、フォルダ本体部222の内面から、図書200を取り出し可能にする開口に向かって延びるように形成されている。より詳細には、ここでは、付勢部225は、一対の側面部224の両内面から奥行方向前方に向かって互いの幅が徐々に狭くなるようにそれぞれ突出しており、図書200の表紙と裏表紙との両方を押さえることが可能である。
【0065】
また、付勢部225の先端は高さ方向に沿うように延出しており、図書200に対してなるべく大きい接触面積で接触するようになっている。これにより、付勢部225と図書200との接触による図書200のダメージが抑制される。さらに、付勢部225の先端の内向き面は、奥行方向に略平行な平面状に形成されている。これにより、図書200の厚みが薄くなるほど、図書200と付勢部225との接触面積が大きくなるため、厚みが薄い図書200でも、より確実に付勢部225と図書200との接触によるダメージが抑制される。なお、ここでは、付勢部225の先端は奥行方向に略平行な平板状に形成されることで、内向き面も奥行方向に略平行となっている。
【0066】
また、ここでは、付勢部225は、側面部224の一部分を内側に折り曲げることで形成されている。より詳細には、付勢部225は、側面部224の奥行方向及び高さ方向の端縁部よりも中央側の一部分において三方を囲うスリットが入れられ、残りの一方を軸として内側に折り曲げられた形状に形成されている。これにより、フォルダ210を製造しやすくなるとともに、フォルダ210の軽量化を図ることができる。
【0067】
このような付勢部225としてここでは、第1付勢部226と第2付勢部227とが設けられている。
【0068】
第1付勢部226は、側面部224の高さ方向中間部分に設けられている(ここでは、側面部224の高さ方向中心を含む部分)。ここでは、第1付勢部226は、収容用凹部224gの平行部と取出用凹部224hの平行部との間に設けられている。
【0069】
第2付勢部227は、第1付勢部226よりも側面部224の高さ方向の底部223寄りに形成されている。また、第2付勢部227は、高さ方向に沿って取出用開口224eのうち凹部が形成されていない部分に設けられている。このため、第2付勢部227は、第1付勢部226よりも奥行方向前方に形成されている。また、第2付勢部227の先端は、前段部223S1よりも若干奥行方向後方に形成されている。
【0070】
ここでは、付勢部225が奥行方向前方に延びているため、収容用開口224dから奥行方向前方に図書200を収容する際に、付勢部225の基端側から先端側にかけて順に図書200が当接していく。このため、図書200の挿入に伴い徐々に付勢部225が変形することによって、図書200を収容しやすい。また、付勢部225の先端が図書200に当接している状態で、図書200を奥行方向前方に移動させても、付勢部225が元に戻る方向に変形し難い。これにより、付勢部225の先端が図書200に当接している状態でも図書200の移動がスムーズに行えることによって、図書200を収容しやすく、また、取り出しやすい。
【0071】
また、背表紙が前段部223S1に当接するように図書200が収容された状態では、第2付勢部227が、図書200の背表紙側であって地側を押さえ、第1付勢部226が第2付勢部227よりも図書200の小口側であって天側を押さえる。これにより、フォルダ本体部222に収容された図書200の位置ずれが生じにくい。
【0072】
被保持部228は、フォルダ本体部222の上方外側に設けられており、格納部30及びピッカー40等に吊し掛け可能に構成されている。
【0073】
具体的には、被保持部228は、樹脂等によって形成された細長い棒状の部材であり、上記一対の天井部224bの上端縁部に取付けられている。被保持部228の幅寸法は、一対の天井部224bの上端縁部の厚み寸法よりも大きい。従って、フォルダ210を正面視すると、被保持部228は、一対の天井部224bの上端部よりも両側外方に張出している。そして、この被保持部228が格納部30に配設された隣り合うハンガー36の対向するレール37に引っ掛かることで被保持部228が格納部30に吊るし掛けられる。
【0074】
また、フォルダ210には、係合孔229が形成されている。ここでは、係合孔229は、被保持部228を幅方向に貫くように形成されている。より詳細には、係合孔229は、被保持部228のうち先端側部分の奥行方向両側端部に貫通孔状にそれぞれ形成されている。この係合孔229に後述するピッカー40の把持部48を挿し込むことで、フォルダ210を格納部30からピッカー40内に取り込むこと、及び、ピッカー40から格納部30に格納することが可能となる。なお、係合孔229が被保持部228に形成されていることは必須ではなく、係合孔229はフォルダ本体部222に形成されていてもよい。また係合孔229の軸方向は幅方向に限られるものではなく、高さ方向など、任意の方向に設定することができる。
【0075】
また、フォルダ210には、後述するピッカー40のセンサから照射された光を反射可能に形成された反射面が設けられている。反射面は光の照射方向に直交するように設定されている。ここでは、反射面は、被保持部228の先端側部分の奥行方向両端部に設けられている。また、ここでは、格納部30に格納されたフォルダ210に対して斜め上方に位置するセンサから光が照射されるため、反射面は、斜めに形成されている。もっとも、フォルダ210に反射面が設けられることは必須ではなく、例えば、図書200に反射させることによってフォルダ210に反射面が設けられていないこともあり得る。また、反射面が設けられている場合でも、被保持部228に設けられていることは必須ではなく、フォルダ本体部222に設けられていることもあり得る。
【0076】
もっとも、フォルダ210に被保持部228が形成されることは必須ではない。例えば、格納棚に棚板が設けられ、フォルダ210が棚板の上部に載置されることも考えられる。ピッカー40がフォルダ本体部222を挟み込むことで、フォルダ210の格納及び取り込み作業を行ってもよい。また、フォルダ210に被保持部228が形成される場合でも、その構成は上記したものに限られない。例えば、被保持部228は、フォルダ本体部222の底部223に設けられ、吊掛式でなく、保持部の上に載るものであってもよい。また、例えば、吊掛式であっても、一対の側面部224に被保持部228が設けられていてもよい。また、係合孔229は被保持部228ではなく、フォルダ本体部222に形成されていることも考えられる。
【0077】
<格納部及びピッカーについて>
図10はピッカー40及び格納部30を示す概略側面図であり、図11は格納部30の一部を示す概略正面図であり、図12はピッカー40の一部を示す正面図である。
【0078】
図2図4図10図12に示すように、格納部30は、自動図書貸出装置20においてパネル22によって外部から遮断された空間内に配設されている。また、ピッカー40は、自動図書貸出装置20においてパネル22によって外部から遮断された空間内に配設されており、格納部30に対してフォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0079】
格納部30は、複数のフォルダ210のそれぞれに図書200を収納した状態で、複数のフォルダ210を格納可能に構成されている。
【0080】
より具体的には、格納部30は、フレーム部32と、複数のハンガー36とを備える。
【0081】
フレーム部32は、互いに間隔を空けて対向する一対の側壁部33aと、一対の側壁部33a間を結ぶように配設された横支持棒33bとを備える。
【0082】
横支持棒33bは、一対の側壁部33a間に掛渡すように、上下方向に間隔をあけて複数箇所に配設されている。また、上下方向における各箇所において、2つの横支持棒33bが間隔を空けて配設されている。
【0083】
ハンガー36は、長尺状のレール37と、当該レール37を横支持棒33bに対して支持するブラケット部38とを備える。
【0084】
2つのブラケット部38は、上下方向において所定高さ位置の2つの横支持棒33bのそれぞれに垂下状に固定されている。レール37は、2つのブラケット部38の下端部に固定されている。これにより、レール37が横支持棒33bに対して直交する姿勢でかつ水平姿勢で支持されている。
【0085】
複数のハンガー36は、横支持棒33bに対して等間隔で並列状に支持されている。隣り合うハンガー36の対向するレール37間には、隙間が形成されている。この隙間の幅寸法は、フォルダ210の天井部224bの上端部の幅寸法と同じかそれよりも大きく、且つ、被保持部228の幅寸法よりも小さく設定されている。また、隙間の高さ寸法は、フォルダ210の天井部224bの上端部の幅寸法と同じかそれよりも大きく設定されている。そして、ハンガー36のレール37の長手方向一方側から他方側に向けて、隣り合う一対のハンガー36の対向するレール37間にフォルダ210の天井部224bの上端部を挿通すると共に、その一対のレール37上にフォルダ210の被保持部228をスライド挿入することで、ハンガー36に対してフォルダ210を一定位置に格納することができる。すなわち、複数のハンガー36は、フォルダ210を吊し掛け可能に構成されている。
【0086】
なお、ここでは、格納部30は、後述するピッカー40のレール41を挟んで互いに対向する位置に2つ設けられている。もっとも、格納部30は、レール41の一側にのみ設けられていてもよい。
【0087】
また、格納部30のうち取出口機構部50が設けられる位置には、ハンガー36が省略され、その位置に取出口機構部50が配設されている。
【0088】
ピッカー40は、複数のフォルダ210を、格納部30から選択的に取出して、図書外部取出位置Pに向けて搬送可能に構成されている。ここでは、ピッカー40は、入庫台車60に格納されたフォルダ210を格納部30まで搬送可能に構成されている。
【0089】
より具体的には、ピッカー40は、レール41と、走行機構部42と、昇降機構部43と、回転支持機構部44と、フォルダ出入ユニット45とを備える。
【0090】
レール41は、間隔を空けて対向配置された格納部30間において、床上に直線状に配設されている。
【0091】
走行機構部42は、車輪、当該車輪を正逆両方向に回転駆動する走行回転駆動部等を備えており、当該走行回転駆動部の駆動によって、上記レール41を往復走行可能に構成されている。走行機構部42がレール41に沿って走行することによって、ハンガー36の並列方向におけるフォルダ出入ユニット45の位置が調整される。
【0092】
昇降機構部43は、フォルダ出入ユニット45を昇降移動させるように構成されている。このような昇降機構部43としては、例えば、回転支持機構部44を、走行機構部42上に立設された支柱によって昇降移動可能に支持し、支柱の上下端部に設けられた一対の歯車に環状ベルト(環状チェーン等)を巻掛け、搬送ユニットを一対の歯車体間で環状ベルトに連結し、一方の歯車体をモータ等の昇降回転駆動部で回転させることで、環状ベルトを回転させて、フォルダ出入ユニット45を昇降移動させる構成を採用することができる。昇降機構部としては、上記の他、リニアモータを用いた構成であってもよいし、つり合いおもりを用いたトラクション式の機構において滑車部分をモータで駆動して搬送ユニットを昇降させる構成であってもよい。
【0093】
回転支持機構部44は、上記昇降機構部43によって昇降駆動可能に支持されている。回転支持機構部44は、昇降機構部43の支柱より外方に突出するように片持ち状に支持された長尺状に形成されている。その先端部にフォルダ出入ユニット45が回転可能に支持されている。回転支持機構部44は、フォルダ出入ユニット45を回転駆動するモータ等の回転駆動部を有しており、フォルダ出入ユニット45を、レール41の一側の格納部30に対向させる姿勢とレール41の他側の格納部30に対向させる姿勢との間で回転駆動可能(つまり、180度正逆両方向に回転駆動可能)に構成されている(図3及び図4参照、なお、図4ではフォルダ出入ユニット45の回転途中の状態を示している)。
【0094】
フォルダ出入ユニット45は、格納部30、入庫台車60及び取出口機構部50に対して、フォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0095】
すなわち、フォルダ出入ユニット45は、ユニットケース46と、フォルダケース47と、フォルダ移載機構部48とを備える。
【0096】
ユニットケース46は、両端が開口した箱状に形成されており、上記回転支持機構部44の先端部において、鉛直方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。
【0097】
このユニットケース46内に、フォルダケース47と、フォルダ移載機構部48とが組込まれている。
【0098】
フォルダケース47は、ここでは、2つ設けられている。フォルダケース47は、両端が開口した扁平な箱状に形成されている。フォルダケース47の両開口の向きは、ユニットケース46の両開口の向きと同じである。
【0099】
フォルダケース47は、上記フォルダ210を収容可能な程度の大きさ及び形状(ここでは、フォルダ210のフォルダ本体部222を一定位置及び姿勢で収容できる程度の大きさ及び形状)に形成されている。フォルダケース47の上端部には、フォルダ210の天井部224bの上端部を挿通可能なスリット47Sが形成されている。そして、天井部224bの上端部をスリット47S内に配設すると共にその上方に被保持部228を配設した状態で、フォルダ210のフォルダ本体部222がフォルダケース47内に格納される。
【0100】
2つのフォルダケース47は、上記ユニットケース46内において並列状態で支持されている。
【0101】
フォルダ移載機構部48は、外部とフォルダケース47との間でフォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0102】
より具体的には、フォルダ移載機構部48は、出入移動機構部48aと把持部48bとを備える。
【0103】
把持部48bは、一対の把持爪部48b1と、電磁アクチュエータ等により構成され、当該一対の把持爪部48b1を開閉駆動する開閉駆動部48b2とを備える。そして、開閉駆動部48b2の駆動によって一対の把持爪部48b1を開閉駆動することによって、一対の把持爪部48b1がフォルダ210の被保持部228を掴んだ状態と、掴むのを解除した状態とに切替駆動することができる。
【0104】
出入移動機構部48aは、把持部48bを、フォルダケース47の両側開口を結ぶ方向に移動駆動可能に構成されている。この出入移動機構部48aは、リニアモータ等のリニアアクチュエータ等により構成されている。出入移動機構部48aは、ユニットケース46内の上部等に、フォルダケース47の両側開口を結ぶ方向に沿って取付けられている。
【0105】
そして、出入移動機構部48aの駆動によって、把持部48bを、ユニットケース46の一方側の開口から突出させて格納部30等に格納されたフォルダ210の被保持部228の一端部を把持可能な位置と、フォルダケース47内に格納されたフォルダ210の被保持部228の一端部を把持可能な位置と、そのさらに外方に退避した位置との間で移動駆動することができる。
【0106】
また、ここでは、上記2つのフォルダケース47を、選択的に把持部48bの下方位置に配設可能な幅方向移動機構部48cが、フォルダケース47内に設けられている。
【0107】
幅方向移動機構部48cは、リニアモータ等のリニアアクチュエータ等により構成されており、ユニットケース46の下部に配設されて、上記2つのフォルダケース47をその幅方向に移動可能に支持している。
【0108】
この幅方向移動機構部48cの駆動によって、一対のフォルダケース47をその幅方向に往復駆動することで、その一方のフォルダケース47を把持部48bの下方に配設した状態と、他方のフォルダケース47を把持部48bの下方に配設した状態とで切替えることができる。
【0109】
そして、2つのフォルダケース47の一方を把持部48bの下方に配設した状態で、フォルダ移載機構部48によって、そのフォルダケース47と格納部30又は入庫台車60との間で、フォルダ210を移載することができる。
【0110】
なお、出入移動機構部48aの一端側延長上には、フォルダ210の被保持部228を、フォルダケース47のスリット47Sの上方に向けて案内する長尺状の補助ガイド48dが設けられている。フォルダ210が格納部30等とフォルダケース47との間を移動する際には、フォルダ210の被保持部228が当該補助ガイド48d上をスライド移動するようになっている。
【0111】
なお、このフォルダ出入ユニット45には、図書200のタグ202を読取る読取装置49a及び格納部30又は入庫台車60でのフォルダ210の有無を検出するフォルダ検出部49bが設けられている。
【0112】
読取装置49aは、RFIDタグとしてのタグ202と無線通信可能な装置であり、ここでは、2つの読取装置49aが、上記2つのフォルダケース47のそれぞれに設けられている。そして、一方の読取装置49aが一方のフォルダケース47内に配設された図書200のタグ202を読取り、他方の読取装置49aが他方のフォルダケース47内に配設された図書200のタグ202を読取るようになっている。
【0113】
また、フォルダ検出部49bは、反射式の光センサ等によって構成されている。フォルダ検出部49bは、本フォルダ移載機構部48が格納部30又は入庫台車60に対向して配設された状態で、その検出光がその対向部分で保持されるフォルダ210の被保持部228の一端部に向けて照射される位置及び姿勢で、ユニットケース46に取付けられている。そして、本フォルダ移載機構部48が格納部30又は入庫台車60に対向する、ある位置に配設された状態で、前記検出光の反射光の有無によって、当該位置におけるフォルダ210の有無を検出できるようになっている。そして、当該フォルダ210が存在する位置にいずれか一方のフォルダケース47を対向させた状態で、上記出入移動機構部48aによって格納部30又は入庫台車60から当該フォルダケース47内にフォルダ210を移載することができる。或は逆に、当該フォルダ210が存在しない位置にいずれか一方のフォルダケース47を対向させた状態で、上記出入移動機構部48aによってフォルダケース47から格納部30又は入庫台車60にフォルダ210を移載することができる。
【0114】
<取出口機構部について>
図13は取出口機構部50の概略正面図であり、図14は取出口機構部50の概略側面図であり、図15は取出口機構部50の概略平面図である。図1図3図13図15に示すように、取出口機構部50は、格納部30の四方を囲むパネル22の1つに設けられている。ここでは、1方のパネル22の外側に取出用テーブル26が水平姿勢で設けられている。この取出用テーブル26の一端部よりの位置に取出口機構部50が設けられている。
【0115】
取出口機構部50は、蓋部52と、蓋開閉駆動部54と、フォルダ210を支持するフォルダ支持部56とを備える。
【0116】
蓋部52は、パネル22に形成された取出口22hを開閉可能に配設されている。すなわち、パネル22のうち取出用テーブル26の一端部よりの上方位置に図書200を取出し可能な取出口22hが形成されている。ここでは、取出口22hは、図書200を縦向き姿勢で取出すことができる縦長な方形状に形成されている。蓋部52は、取出口22hを閉塞可能な板状に形成されている。取出口22hの内側の上下位置に水平方向に沿って一対の蓋ガイド部53が設けられている。蓋部52の上下部分が一対の蓋ガイド部53によってスライド移動可能に支持されることによって、蓋部52が取出口22hを閉じる閉位置と、当該閉位置から側方に移動して取出口22hを開放させた開位置との間で移動可能に支持されている。
【0117】
蓋開閉駆動部54は、上記蓋部52を閉位置と開位置との間で移動駆動可能に構成されている。ここでは、蓋開閉駆動部54は、モータ等の駆動部54aと、操作部54bとを備える。操作部54bは、長尺状に形成され、駆動部54aの回転軸部に対して直交する姿勢で、その一端部が回転軸部に連結されている。また、操作部54bの先端部には、ピン54cが突設されている。このピン54cが蓋部52に連結されている。
【0118】
ここでは、蓋部52の一側部に、ピン受部59aが設けられている。ピン受部59aは、上下方向に沿って延びる溝部59bを有している。そして、上記ピン54cが、ピン受部59aの溝部59bの延在方向に沿って移動可能に当該溝部59bに嵌め込まれている。
【0119】
そして、ピン54cを溝部59bに嵌め込んだ状態で、駆動部54aの駆動により操作部54bを回転させると、ピン54cが溝部59b内をその延在方向に沿って移動しつつ、蓋部52の移動方向にも変位する。そして、駆動部54aの回転駆動によりピン54cを閉位置側に移動させると、ピン受部59aと共に蓋部52が閉位置側に移動し、逆に、駆動部54aの回転駆動によりピン54cを開位置側に移動させると、ピン受部59aと共に蓋部52が開位置側に移動する。これにより、駆動部54aの正逆両方向への回転駆動によって、蓋部52を開閉駆動できるようになっている。
【0120】
なお、蓋部及び当該蓋部を開閉する構成は上記例に限られない。例えば、蓋部は、ヒンジ周りに回転することによって開閉する構成であってもよい。また、蓋部の開閉は人手によって行われるものであってもよい。また、蓋部が省略されていてもよい。
【0121】
フォルダ支持部56は、パネル22の上記取出口22hの内側に配設されている。フォルダ支持部56は、両端が開口した扁平な箱状に形成されており、その内部にフォルダ210を収容可能な大きさ及び形状に形成されている。フォルダ支持部56の一方側の開口は、上記取出口22hに対向している。これにより、フォルダ支持部56内に収容されたフォルダ210内の図書200を、取出口22h及びフォルダ支持部56の一方側開口を通じて、外部に取出せるようになっている。
【0122】
また、フォルダ支持部56の他方側開口は、一対の格納部30間の空間に向けて開口している。そして、上記ピッカー40によって搬送されるフォルダ210を、当該開口を通じてフォルダ支持部56内に移載できるようになっている。なお、ここでは、フォルダ支持部56の他方側開口の両側部には、外向きに順次広がるガイド部56gが形成されており、ピッカー40からのフォルダ210をフォルダ支持部56内により確実に移載できるようになっている。
【0123】
フォルダ支持部は、上記格納部30と同様に、フォルダ210を吊下げて支持するものであってもよい。
【0124】
また、ここでは、取出口22hにおける物体の通過を検出可能な取出検出部58が設けられている。ここでは、取出検出部58は、複数対の透過型光センサの組合わせ等によって構成されている。そして、取出検出部58による検出光の遮光の有無によって、取出口22hにおける物体(書籍、利用者の手等)の有無を検出できるようになっている。
【0125】
なお、上記取出用テーブル26の他端部よりの位置には、貸出受付部70が設けられている。貸出受付部70は、本自動図書貸出装置20に対する図書200の貸出し指令を受付ける装置である。
【0126】
ここでは、貸出受付部70は、表示部及び入力受付部としての機能を備えるタッチパネル装置72と、カードリーダ74とを備える。
【0127】
カードリーダ74は、各利用者に付与された図書館利用者カード等を読取る装置である。カードリーダ74が当該図書館利用者カードを読取ることによって、利用者が設備の利用権限があるかどうか等を判断することができる。
【0128】
タッチパネル装置72のタッチパネル装置には、貸出しを受付けるための諸画面が表示される。例えば、利用者の判別後、当該利用者に貸出し予約がなされている場合には、当該貸出し予約された図書200を表示し、貸出し指示を受付ける。なお、予約は、事前にインターネット回線等を介して受付けることができようにするとよい。また、例えば、利用者の判別後、格納された図書200のリストの表示又は図書200の検索画面等を表示し、当該表示に基づいて貸出しを望む図書200の指示を受付ける。
【0129】
<入庫台車について>
図1図3に示すように、入庫台車60は、フォルダ210を格納可能でかつ移動可能な可動フォルダ格納部である。ここでは、入庫台車60は、複数のフォルダ210を格納可能に構成されている。
【0130】
より具体的には、入庫台車60は、台車フレーム部62と、複数のハンガーと、車輪68とを備える。
【0131】
台車フレーム部62は、少なくとも一側が開口する箱状に形成されている。この台車フレーム部62内に、上記格納部30の同様構成のハンガーが設けられている。ここでは、ハンガーは、台車フレーム部62に対して上下2箇所の位置に設けられている。このため、入庫台車60に対して上下2列で、フォルダ210を格納することができる。また、上下の列において、ハンガーは、複数(3つ以上)並列配置されており、従って、上下の列において、それぞれ複数のフォルダ210を格納することができる。入庫台車60におけるフォルダ210の支持構成は、格納部30におけるフォルダ210の支持構成と同じであるため、入庫台車60を、格納部30に隣接して配設することによって、ピッカー40は、当該入庫台車60に対してフォルダ210を出し入れできる。
【0132】
この入庫台車60の下部には、車輪68が取付けられており、入庫台車60は車輪68を転がすことによって床下を移動することができる。
【0133】
ここでは、上記パネル22内であって、一方の格納部30に隣接する位置に、入庫台車60を配設可能なスペースS1が設けられている。パネル22のうちスペースS1に隣接する部分には、開口22G1が設けられると共に、当該開口を開閉可能に閉じる扉22G2が設けられている。扉22G2は、施解錠可能とされていることが好ましい。そして、入庫台車60は、前記開口22G1を通じてパネル22によって囲まれる空間と外側との間で出し入れ可能とされる。
【0134】
<図書返却装置について>
図16は図書返却装置100を示す部分概略側面図である。図1図4図16に示すように、図書返却装置100は、格納部30の四方を囲むパネル22の1つに設けられている。ここでは、1方のパネル22の外側に返却用テーブル27が水平姿勢で設けられている。ここでは、返却用テーブル27は、取出用テーブル26に隣接する位置に設けられている。図書返却装置100は、返却用テーブル27及びこれよりもパネル22側の部分に設けられている。
【0135】
上記したように、図書返却装置100は、仕切24と、遮蔽機構部110と、制御部80とを備える。ここでは、図書返却装置100は、さらに、第1読取部121と、第2読取部122と、投入物検出部123とを備える。
【0136】
仕切24は、パネル22のうち上記取出口機構部50が設けられた部分の隣の部分である。この仕切24に、図書200が通過可能な返却口24hが形成されている。ここでは、返却口24hは、水平方向に沿って長い方形状の開口であり、図書200は横向き姿勢で当該返却口24hを通過することができる。返却口24hの下縁部は、返却用テーブル27の上向き面の延長上に位置している。これにより、返却用テーブル27上を滑らすようにして、図書200を返却口24hに入れることができる。
【0137】
遮蔽機構部110は、蓋部112と、ロック部116(図17も参照)とを備える。
【0138】
蓋部112は、返却口24hを開閉可能に覆うように構成されている。ここでは、蓋部112は、返却口24hよりも大きく広がる方形板状に形成されている。そして、蓋部112の上縁部が軸部113を介してパネル22の内面側のブラケットに回転可能に支持されている。蓋部112は、ねじりコイルバネ等の付勢部又は自重によって、返却口24hを閉じる方向に付勢されている。
【0139】
また、ロック部116は、制御部80からの指示に基づいて、蓋部112が閉じている状態で蓋部112をロック及びロック解除可能に構成されている。ここでは、ロック部116は、電磁アクチュエータ等により構成され、本体部116aに対して進退駆動される抑え部116bを備える。そして、抑え部116bを進出駆動させた状態で、抑え部116bを蓋部112の裏面に当接させることによって、蓋部112が閉じた状態にロックされる。また、抑え部116bを退避駆動させることによって、抑え部116bが蓋部112の裏面を抑え込んだ状態が解除され、もって、ロック解除される。この状態では、利用者が図書200を通じて蓋部112をパネル22の内側に抑えることにより、蓋部112がパネル22の内側に開くことができる。
【0140】
第1読取部121は、仕切24の外部であって返却口24h周辺に位置する図書200に取付けられたタグ202を読取り可能に構成されている。第1読取部121としては、無線通信等を利用した無線リーダー等が用いられる。ここでは、第1読取部121は、返却用テーブル27に設けられている。例えば、第1読取部121は、返却用テーブル27の下面側に配設されている。そして、利用者が返却用テーブル27上に図書200を載置することにより、第1読取部121がタグ202と無線通信を行って、当該タグ202に格納された識別符号を読取る。
【0141】
第2読取部122は、返却口24hを通過する図書200に取付けられたタグ202を読取り可能に構成されている。第2読取部122としては、上記と同様に、無線通信等を利用した無線リーダー等が用いられる。
【0142】
より具体的には、仕切24の内側であって返却口24hの下部に、返却口24hから内側に向けて下向き傾斜する傾斜ガイド130が設けられている。傾斜ガイド130の先端部の下方には、返却用収納台車120が配設されている。返却用収納台車120の上方開口は、傾斜ガイド130の先端部を向いている。そして、返却口24hを通過した図書200は、傾斜ガイド130を滑り落ちて、返却用収納台車120内に収納される。
【0143】
第2読取部122は、上記傾斜ガイド130に設けられている。そして、図書200が傾斜ガイド130を滑り落ちる際に、第2読取部122が図書200のタグ202と無線通信を行って、当該タグ202に格納された識別符号を読取る。
【0144】
投入物検出部123は、図書200が返却口24hを通過したことを検知可能に構成されている。投入物検出部123は、反射式の光センサ等によって構成されている。ここでは、投入物検出部123は、傾斜ガイド130に設けられ、傾斜ガイド130を滑り落ちる図書200等の物体を検出することができる。より詳細には、投入物検出部123は、その検出光が傾斜ガイド130を滑落している図書200等の物体に向けて照射される位置及び姿勢で、傾斜ガイド130に(ここでは、傾斜ガイド130の重力方向下方の先端に)取付けられている。そして、前記検出光の反射光の有無によって、傾斜ガイド130を滑落する図書200等の物体の有無を検出できるようになっている。そして、投入物検出部123は、返却口24hから挿入された図書200について、第2読取部122がタグ202に格納された識別符号の読み取りに失敗した場合でも、当該図書200と思われる物体が傾斜ガイド130を通過したことを検出することができる。もっとも、投入物検出部123が傾斜ガイドに設けられていることは必須ではなく、投入物検出部123は、返却口24hから挿入された図書200が収納部120aに達するまでの間に設けられていればよい。この際、好ましくは、利用者が返却口24hから図書200を投入する際に、利用者の届かない位置に設けられているとよい。
【0145】
<制御部のハードウエア構成について>
図18は、本図書取扱装置10の動作制御を司る制御部80を示すブロック図である。なお、ここでは、制御部80は、自動図書貸出装置20の動作制御を司る制御部と、図書返却装置100の動作制御を司る制御部との両方の機能を備えた例で説明するが、これらの各制御部が、物理的に別々の制御部によって構成されていてもよい。
【0146】
この制御部80は、CPU81、ROM82、RAM83、外部記憶装置84等がバスラインを介して相互接続されたコンピュータによって構成されている。ROM82は本コンピュータを起動させるための基本プログラム(BIOS)等を格納しており、RAM83はCPU81が所定の手順に従った処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置84は、フラッシュメモリ或はハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。
【0147】
外部記憶装置84には、OS(オペレーションシステム)84a、入出庫制御プログラム84b、返却制御プログラム84c、図書管理データ84d等が格納されている。
【0148】
入出庫制御プログラム84bは、上記したように自動図書貸出装置20におけるフォルダ210の搬送処理を行うための手順を定めたものであり、この入出庫制御プログラム84bに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU81が演算処理を行うことにより、フォルダ210の搬送処理がなされる。
【0149】
返却制御プログラム84cは、図書返却装置100における遮蔽機構部110の動作制御等を行うための手順を定めたものであり、この返却制御プログラム84cに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU81が演算処理を行うことにより、遮蔽機構部110の動作が制御される。
【0150】
図書管理データ84dは、図19に示すように、図書200の特定情報に対して、図書200の在庫の有無、在庫のある図書200の各位置、予約登録、貸出し中の図書200の借主、貸出し中の図書200の返却期限を対応付けたテーブルである。図書200の特定情報は、各図書200に割り与えられた固有の識別符号であり、通常、上記タグ202に付与された識別符号と同じである。この特定情報には、図書の題名、著作者等の図書情報も関連付けられているが、図19では、省略している図書200の各位置は、格納部30における図書200の位置を示す情報である。この位置を参照することによって、特定された図書200が格納部30においてどの位置に格納されているかを判別することができる。予約登録は、各図書200に対する予約者の有無を示す情報である。ある図書200に対する予約者が存在する場合には、その予約者の名称(或は予約者の識別情報)が登録されている。この情報を参照することによって、ある予約者に対する図書200の予約の有無が判別される。借主は、在庫が無い図書、すなわち、貸出し中の図書200の借主を特定する情報(氏名或は借主の識別符号等)である。また、返却期限は、貸出し中の図書200の返却期限である。ある図書200に対する借主及び返却期限に関する情報を参照することによって、ある借主が図書200を返却しようとする場合において、当該図書200が返却期限を過ぎているか否かを判別することができる。この図書管理データ84dは、図書200が入庫台車60から格納部30に格納されたとき、図書200が貸し出されたとき、及び、図書200が返却されたときなどに生成、更新される。
【0151】
また、CPU81は、入出力インターフェースを介して、ピッカー40、貸出受付部70、取出口機構部50、図書返却装置100の遮蔽機構部110、第1読取部121及び第2読取部122等と通信可能に接続されている。
【0152】
なお、本制御部80が、通信インターフェースを介して外部の管理サーバに相互通信可能に接続され、当該外部の管理サーバに上記図書管理データ84dが格納されていてもよい。この場合に、利用者が、自己の端末装置等を通じて、公衆通信網等を介して管理サーバにアクセスし、当該端末から図書200の予約を行えるようにするとよい。
【0153】
なお、この図書返却装置100には、上記返却口24hを含む範囲を撮像可能なカメラが設けられ、図書200を返却しようとする利用者を撮像可能としておくとよい。
【0154】
{3.処理について}
次に、図書取扱装置10の処理について説明する。
【0155】
<入庫処理について>
自動図書貸出装置20に図書200を入庫する処理について図20を参照して説明する。
【0156】
自動図書貸出装置20における入庫処理は、入庫台車60が自動図書貸出装置20内にセットされた状態で開示される。本入庫処理は、作業者が格納開始のボタンを押すこと、又は、ピッカー40が貸出動作を終了した後であって次の貸出動作指令がなされていない期間中等になされる。
【0157】
なお、本入庫処理がなされる前に、本自動図書貸出装置20を運用する作業者、準備作業を行う。準備作業として、空フォルダ210内にタグ202付きの図書200を収納する作業、図書200が収められたフォルダ210を入庫台車60に格納する作業、及び、フォルダ210が格納された入庫台車60を自動図書貸出装置20内にセットする作業が設定されている。
【0158】
自動図書貸出装置20における入庫動作が開始されると、ステップS101において、制御部80は、ピッカー40に対して、入庫台車60にフォルダ210が有るか否かを確認するように指令を与える。ここでは、この確認は、ピッカー40が入庫台車60に対向する位置に移動すると共に、フォルダ出入ユニット45を入庫台車60におけるフォルダ210の格納位置のうちの1つに対向する位置に移動させ、この状態で、フォルダ検出部49bからの検出光の反射の有無を確認することで行われる。また、このフォルダ210の有無の確認は、フォルダ出入ユニット45を入庫台車60前で順次移動させることによって、当該入庫台車60におけるフォルダ210の各格納位置に対して順次なされる。そして、フォルダ210無し(入庫台車60においてフォルダ210無し)と判断された場合には、入庫処理を終了する。一方、フォルダ210有りと判断された場合には、ステップS102に進む。
【0159】
次ステップS102において、制御部80は、ピッカー40に対して、入庫台車60からフォルダ210を取込むように指令を与える。これにより、フォルダ出入ユニット45は、ステップS101においてフォルダ210有りと判断された位置からフォルダ210を取込む。
【0160】
次ステップS103において、制御部80は、ピッカー40に対して、取り込んだフォルダ210内の図書200のタグ202のデータを読取るように指令を与える。これにより、読取装置49aがタグ202との間で通信を行ってその図書200の識別符号を読取り、その識別符号を含む信号を制御部80に与える。
【0161】
次ステップS104において、格納部30における、フォルダ210の格納位置を決定する。格納位置は、上記格納部30における全ての格納位置において、図20に示す図書管理データ84dを参照して、空き位置を特定し、当該空き位置のうちの一つを選ぶこと等によって決定される。
【0162】
次ステップS105において、制御部80は、ピッカー40に対して格納作業開始指令を与える。具体的には、制御部80は、ピッカー40に、ステップS104で決定された格納位置を伝え、この位置にフォルダ210を格納するように指令を出す。これを受けてピッカー40が格納位置までフォルダ210を搬送し、このフォルダ210を当該格納位置に格納する。
【0163】
そして、次ステップS106において、制御部80において、ピッカー40における格納作業終了信号に基づいて、ピッカー40による格納作業終了が確認されると、次ステップS107に進む。
【0164】
次ステップS107では、図書管理データ84dを更新する。すなわち、図書管理データ84dのうち格納完了した図書200を格納有りとして、格納位置を更新する。この後ステップS101に戻る。
【0165】
以降は、入庫台車60からフォルダ210がなくなるまでステップS101~ステップS107を繰り返せば、入庫台車60における全てのフォルダ210を格納部30に格納することができる。
【0166】
なお、ここでは、フォルダ出入ユニット45は、複数(ここでは、2つ)のフォルダを格納して搬送することが可能である。このため、上記ステップS101~S103を複数回繰返して、ピッカー40に2つのフォルダ210を取込み、その後、ステップS104~S107を複数回繰返して、入庫処理を行うようにすればよい。この場合、複数の格納位置が近ければ、ピッカー40の移動距離を小さくすることができ、効率的な入庫が可能となる。
【0167】
なお、ステップS102とステップS103とS104とは、ステップS105が完了する前に行われればよく、順不同で構わない。例えば、入庫台車の所定位置の近傍に図書のタグを読み取る読み取り機が配設され、位置情報とタグとを同時に読み取るものであってもよいし、タグの情報を読み取ってから位置情報を読み取ってもよい。また、上述したようにステップS105の一部(例えば、入庫台車から搬送機構部に図書を格納する指令)は、ステップS102の後であって、ステップS103又はステップS104の前に行われることもあり得る。
【0168】
<貸出処理について>
自動図書貸出装置20から利用者に図書200を貸出す処理について図21を参照して説明する。本処理は、利用者が自動図書貸出装置20に対して図書200を借りにきた場合に行われる処理である。
【0169】
なお、利用者には、予め図書館利用者カードが付与されているものとする。また、利用者は、公衆通信網等を通じて、本自動図書貸出装置20に格納された図書200の事前予約が可能であるとする。
【0170】
まず、ステップS201において、制御部80により、利用者データを取得できたか否かが判定される。ここで、図書200の貸出を希望する利用者が、図書館利用者カードをカードリーダ74に読み取らせると、利用者データが取得される。これにより、次ステップS202に進む。
【0171】
次ステップS202において、制御部80は、ステップS201で受信した利用者データの持ち主が利用権利を有しているかどうかを照合する。利用権利の有無は、予め作成された利用者リストと上記図書利用者カードに記録された利用者IDとを照合すること等によりなされる。利用権利を有していると判断された場合は、ステップS203に進み、利用権利を有していない場合は、ステップS208に進む。利用権利を有していない場合としては、利用者リストにおける利用者IDの利用可能期間が経過している場合等が想定される。
【0172】
ステップS208では制御部80からエラー信号が出力される。これにより、貸出受付部70に、「利用できません」等の表示がなされる。そして、処理を終了する。
【0173】
ステップS203に進んだ場合、貸出可能な図書予約データがあるかを照合する。具体的には、ステップS201で読み取った利用者データと図書管理データ84dとを照合し、利用者が予約してあり且つ在庫がある図書200を探し、あればステップS204に進み、無ければステップS209に進む。
【0174】
ステップS204において、制御部80は、予約された図書200の貸出指示の有無を確認する。例えば、予約され且つ在庫がある図書200を貸出受付部70の表示部に対象となる図書200を表示する。そして、利用者により当該図書200に対する貸出指示があるか否かが判断される。貸出指示が無いと判断された場合には、処理を終了する。一方、貸出指示有りと判断されると、ステップS205に進み、貸出処理を実行する。
【0175】
ステップS205は、制御部80が、利用者が受取りを希望した図書200が収納されフォルダ210を格納部30から図書外部取出位置Pに搬送するように、ピッカー40に指示を与える処理である。これにより、図書200が収納されたフォルダ210が、利用者によりその図書200を取出し可能な位置に搬送される。
【0176】
次ステップS206では、制御部80は、利用者が図書を受け取ったかどうかを判断する。ここでは、取出口22hから図書200を取り出したかどうかを判断する。具体的には、制御部80は、取出口22hに設けられた取出検出部58の検出信号に基づいて、取出口22hを図書200が通過したか否かを判断する。利用者が図書を受け取ったと判断されると、取出口22hの蓋部52を閉じ、次ステップS207に進む。
【0177】
ステップS207において、制御部80は、図書管理データ84dを更新する。更新するデータとしては、例えば、図書管理データ84dのうち貸出が完了した図書200の在庫を無しに更新し、予約登録を無しにし、借主を記録し、当日の日付に貸出可能な期間を付加して返却期限を設定しこれを記録する。
【0178】
これにより、貸出処理が終了する。
【0179】
ステップS203において図書予約データが無かった場合における図書の選択貸出処理(ステップS209)について図22を参照して説明する。
【0180】
この場合、ステップS211にいて、制御部80により、貸出希望指示の有無が判定される。この判定は、利用者による貸出受付部70への指示操作を通じてなされる。貸出希望指示が無いと判定されると、元のフローチャートに戻り処理を終了する。貸出希望有りと判断されると、ステップS212に進む。
【0181】
ステップS212において、制御部80は、貸出受付部70に図書選択画面を表示するよう指令を与える。これにより、貸出受付部70の表示部に、格納部30に格納された図書200の書籍名のリスト等、或は、図書200の検索画面等が表示される。
【0182】
次ステップS213において、利用者により、図書200の選択指示が入力されると、次ステップS214に進む。
【0183】
ステップS214は、ステップS205と同じく、制御部80が、利用者が受取りを希望した図書200が収納されフォルダ210を格納部30から図書外部取出位置Pに搬送するように、ピッカー40に指示を与える処理である。これにより、図書200が収納されたフォルダ210が、利用者によりその図書200を取出し可能な位置に搬送される。
【0184】
次ステップS215では、制御部80は、利用者が図書を受け取ったかどうかを判断する。ここでは、取出口22hから図書200を取り出したかどうかを判断する。具体的には、制御部80は、取出口22hに設けられた取出検出部58の検出信号に基づいて、取出口22hを図書200が通過したか否かを判断する。利用者が図書を受け取ったと判断されると、取出口22hの蓋部52を閉じ、次ステップS216に進む。
【0185】
ステップS216において、制御部80は、図書管理データ84dを更新する。更新するデータとしては、例えば、図書管理データ84dのうち貸出が完了した図書200の在庫を無しに更新し、借主を記録し、当日の日付に貸出可能な期間を付加して返却期限を設定しこれを記録する。
【0186】
これにより、貸出処理が終了する。
【0187】
上記ステップS205、S215の図書取出処理について図23に示すフローチャートを参照して説明する。
【0188】
すなわち、貸出対象となる図書200が決った段階で本処理が実行される。
【0189】
まず、ステップS221において、制御部80は、図書管理データ84dを参照して、格納部30における選択された図書200の格納位置を取得する。
【0190】
次ステップS222において、制御部80は、ピッカー40に対して、図書200の格納位置を指定して取出開始指令を与える。これにより、ピッカー40は、指定された格納位置に向けて移動し、その格納位置に格納されたフォルダ210をフォルダ出入ユニット45に取込む。そして、ピッカー40は、フォルダ210を、図書外部取出位置Pに向けて搬送する。これにより、図書200を収納したフォルダ210が取出口機構部50のフォルダ支持部56に支持される。この後、制御部80から駆動部54aに蓋部52を開くように指示を与える。すると、蓋部52が開き、利用者は、取出口22hを通じて、フォルダ210内の図書200を取出せるようになる。
【0191】
この後、元の処理に戻る。
【0192】
なお、ステップS215において受取完了と判定された場合に、制御部80は、ピッカー40に対して、図書外部取出位置Pにあるフォルダ210を、入庫台車60の空き格納位置に移動させるように指令を与えるとよい。これにより、ピッカー40は、図書外部取出位置Pに向けて移動して、図書外部取出位置Pにある空きフォルダ210をフォルダ出入ユニット45内に取込む。この後、ピッカー40は、入庫台車60に向けて移動し、当該入庫台車60において空きとなっている格納位置をステップS101の処理と同様にして探す。そして、フォルダ出入ユニット45内の空きフォルダ210を、入庫台車60の空きとなった格納位置に移載する。これにより、作業員は、入庫台車60を取出すことによって、空きフォルダ210を容易に外部に取出すことができる。
【0193】
図書外部取出位置Pにおいて、空きとなったフォルダ210は、ピッカー40によって、格納部30のうちの空きとなった格納位置に搬送されてもよい。上記入庫台車60が自動図書貸出装置20外に移動している場合等には、空きとなったフォルダ210を一時的に格納部30に移載しておき、その後、入庫台車60が自動図書貸出装置20内に移動し、かつ、空きとなる格納位置が生じた場合に、格納部30に一時的に格納された空きフォルダ210を、ピッカー40によって、入庫台車60に移載するようにするとよい。
【0194】
<返却処理について>
次に、利用者が図書返却装置100へ図書200を返却する返却時の動作に関する処理について、図24を参照して説明する。
【0195】
ステップS301において、制御部80は、第1読取部121を通じて、タグ202に記憶されたタグデータを受信したか否かを判別する。ここで、利用者が図書返却装置100へ図書200を返却する際には、図書200を返却用テーブル27上に置く。すると、第1読取部121が返却用テーブル27上の図書200のタグ202と通信を行い、タグ202のデータを受信することになる。このように、返却用テーブル27上に、タグ202が取付けられた図書200が置かれた場合に、ステップS301において、タグデータの受信有りと判断され、次ステップS302に進む。
【0196】
ステップS302では、図書管理データ84dを参照し、タグデータの識別符号が貸出し中の図書200に対応するものか否かが判定される。ここで、NOと判定された場合には、ステップS308に進み、エラー信号を出力する。エラー信号が出力された場合、制御部80は、音声案内又は表示部等によって、「この図書館の書籍ではありません」等を報知するとよい。そして、処理を終了する。貸出し中の図書200であると判定された場合、ステップS303に進む。
【0197】
なお、ステップS302において、図書200が貸出し中のものであると判定された場合でも、返却期限を過ぎている場合には、判定不合格とすることも考えられる。
【0198】
ステップS303では、制御部80は、遮蔽機構部110のロック部116に、ロック解除信号を出力する。なお、初期状態では、ロック部116は、蓋部112をロックした状態に保っている。これにより、ロック部116がアンロック状態となり、蓋部112は開ける状態となり、利用者は、返却口24hを通じて図書200を返却できるようになる。
【0199】
次ステップS304では、制御部80は、上記ステップS303処理後の一定時間内において、第2読取部122を通じてタグ202に記憶されたタグデータを受信したか否かを判別する。ここで、利用者が、図書200を返却口24hへ投入すると、図書200は傾斜ガイド130上を滑って返却用収納台車120内に入る。図書200が傾斜ガイド130上を滑り落ちる際、第2読取部122が図書200のタグ202と通信を行い、タグデータを受信する。ここで、タグデータの受信無しと判別された場合には、ステップS306に進む。タグデータの受信有りと判別された場合には、ステップS305に進む。
【0200】
ステップS306では、制御部80は、投入物検出部123の検出信号に基づいて滑落物(図書200)の有無を検出する。ここで、滑落物ありと利用者が、図書200等の物体を返却口24hへ投入すると、図書200等の物体は傾斜ガイド130上を滑って返却用収納台車120内に入る。図書200等の物体が傾斜ガイド130上を滑り落ちる際、投入物検出部123が照射している光の反射光の有無を検出することで、滑落物の有無を検出する。そして、YESと判定された場合、S307に進む。また、NOと判定された場合、S310に進む。なお、S310に進む際に、音声案内又は表示部等によって、「書籍を返却してください」等を報知するとよい。
【0201】
ステップS310では、制御部80は、ロック解除信号出力後、予め設定された時間を経過したか否かを判断する。あらかじめ設定された時間は、例えば、30秒である。ここで、予め設定された時間を経過したと判断されると、ステップS309に進む。また、予め設定された時間を経過したと判断されないと、ステップS304に戻る。
【0202】
一方、ステップS305に進んだ場合、図書管理データ84dを参照し、第2読取部122を通じて読取られた識別符号が貸出し中の図書200に対応するものか否かが判定される。ここで、YESと判定された場合には、ステップS307に進む。また、NOと判定された場合には、ステップS306に進む。
【0203】
一方、ステップS305に進んだ場合、図書管理データ84dを参照し、第2読取部122を通じて読取られた識別符号が貸出し中の図書200に対応するものか否かが判定される。ここで、NOと判定された場合には、ステップS308に進み、エラー信号を出力する。YESと判定された場合には、ステップS307に進む。
【0204】
次ステップS307において、制御部80は、図書管理データ84dを更新する。更新するデータとしては、例えば、返却を受け付けた図書200の借主、辺キャ機器源等をクリアする。
【0205】
次ステップS309では、返却口24hのロック部116にロック信号を出力する。これを受けてロック部116が蓋部112をロックすることで、利用者等が返却口24hの蓋部112を開けることができなくなる。
【0206】
そして、返却処理を終了する。
【0207】
{4.効果等について}
実施形態に係る図書収納用フォルダ210によると、その内部に図書200を収容可能なフォルダ本体部222を備えるため、自動図書貸出装置20において、図書200がフォルダ本体部222に収められたフォルダ210を扱うことで図書200が傷むのを抑制することができる。また、フォルダ本体部222の内側に設けられ、フォルダ本体部222に収容される図書200を背表紙がフォルダ本体部222に対して一定位置に位置する態様で収容可能にする段部223Sを備えるため、図書収納用フォルダ210から図書200を取り出しやすくなる。
【0208】
また、フォルダ本体部222には、その内部に図書200を収容可能とする収容用開口224dと、収容用開口224dとは別に設けられ、内部に収容された図書200を取り出し可能とする取出用開口224eとが形成されているため、収容時及び取出し時に図書200を背側に向かって移動させることで、収容及び取出し可能となる。これにより、図書200の小口側がフォルダ本体部222の開口の縁部に引っ掛かるなどして図書200が傷むことを抑制することができる。
【0209】
また、フォルダ本体部222の内周面から突出し、フォルダ本体部222の内部に収容された図書200の表紙と裏表紙とのうち少なくとも一方を押さえる付勢部225をさらに備えるため、図書200がフォルダ本体部222に収められた状態で図書200がフォルダ本体部222内を移動すること、特にひどい場合には、図書200がフォルダ本体部222から落下することを抑制することができる。これにより、擦れ又は落下等で図書200が傷むことを抑制することができる。
【0210】
また、付勢部225は、側面部224の内面から、図書200を取り出し可能にする開口224eに向かって延びるように形成されているため、付勢部225が図書200の移動を妨げることを抑制できる。より詳細には、収容用開口224dを通して図書200を収容する際に、付勢部225の基端側から先端側にかけて順に図書200が当接していく。このため、図書200の挿入に伴い徐々に付勢部225が変形することによって、図書200を収容しやすい。また、付勢部225の先端が図書200に当接している状態で、図書200を奥行方向前方に移動させても、付勢部225が元に戻る方向に変形し難い。これにより、付勢部225の先端が図書200に当接している状態でも図書200の移動がスムーズに行えることによって、図書200を収容しやすく、また、取り出しやすい。
【0211】
また、フォルダ本体部222には、フォルダ本体部222の両側開口から反対側の開口に向かってその外縁が凹む凹部がそれぞれ形成されているため、フォルダ本体部222の一方側開口から図書200を収める際に図書200を収めやすくなるとともに、フォルダ本体部222の他方側開口から図書200を取り出す際に図書200を取り出しやすくなる。これにより、図書200を無理やり出し入れすることを抑制できることによって、図書200及びフォルダ210が傷むことを抑制することができる。
【0212】
また、フォルダ本体部222の外側に設けられ、図書200を格納する格納部に吊るし掛け可能に形成された被保持部228を備えるため、フォルダ210を吊るし掛けて格納することができる。これによりフォルダ210を棚板等の上に載置して格納する場合に比べて、格納作業が容易になる。
【0213】
{変形例}
なお、上記実施形態では、フォルダ210が吊し掛けられて支持される構成で説明したが、上方等が開口し、内部に図書200を収納可能なボックス状のフォルダが、格納部、ピッカー、図書外部取出位置等で載置状に支持され、かつ、それらの間でスライド移動する構成であってもよい。つまり、フォルダは、フォルダを収納した状態で、格納部、ピッカー、図書外部取出位置間を移動可能な構成であればよい。
【0214】
また、図25に示す変形例に係る図書取扱装置310のように、上記格納部30及びピッカー40を備える自動図書貸出装置320(自動図書貸出装置20に対応する)と、図書返却装置100に対応する図書返却装置400とが、分離した態様で設けられていてもよい。この場合、フォルダ210は、自動図書貸出装置320で用いられる。
【0215】
{図書収納用フォルダの変形例}
次に、図書収納用フォルダ210の変形例について説明する。図26は、変形例に係る図書収納用フォルダ210Aを示す概略側面図である。図27は、同上のフォルダ210Aを示す概略正面図である。図28は、同上のフォルダ210Aを示す概略平面図である。図29は、図26のXXIX-XXIX線概略断面図である。図30は、フォルダ本体部222Aを示す分解斜視図である。
【0216】
変形例に係る図書収納用フォルダ210Aは、以下に示す点でフォルダ210と異なっている。
【0217】
フォルダ210と異なるまず1つ目の点は、2つの別の部材が嵌合構造を用いて合体することによってフォルダ本体部222Aが構成されている点である。より詳細には、図30に示すように、フォルダ本体部222Aは、第1部材2221と第2部材2222とが合体することで形成されている。第1部材2221及び第2部材2222は、樹脂を材料としてそれぞれ型等を用いて形成される。
【0218】
第1部材2221は、底部223A及び天井部224bの一部と一方の側面部224Aとを構成している。また、第1部材2221には嵌合凸部2221aが設けられている。嵌合凸部2221aは、第2部材2222側に突出するように設けられている。
【0219】
第2部材2222は、底部223A及び天井部224bの一部と他方の側面部224Aとを構成している。また、第2部材2222には嵌合凸部2221aと嵌合可能な嵌合凹部2222hが設けられている。また、第2部材2222には、被保持部228が設けられている。
【0220】
嵌合凸部2221aと嵌合凹部2222hとは、例えば、以下のようにして嵌合する。即ち、嵌合凸部2221aの先端は、突起爪状に形成されている。また、嵌合凹部2222hは、貫通孔状に形成されている。そして、突起爪が弾性変形しつつ貫通孔に挿入される。挿入後に突起爪が弾性復帰し、貫通孔の周縁に引っ掛かる。これにより、嵌合凸部2221aが嵌合凹部2222hに嵌合した状態となる。
【0221】
なお、ここでは、嵌合凸部2221a及び嵌合凹部2222hは、天井部224b側に4つ設けられると共に底部223A側に3つ設けられているが、嵌合凸部及び嵌合凹部の数は、適宜設定されていればよい。またここでは、天井部224b側の嵌合凸部2221a及び嵌合凹部2222hは、天井部224bの下面(図書200側を向く面)よりも上側に設けられている。同様に底部223A側の嵌合凸部2221a及び嵌合凹部2222hは底部223Aの上面(図書側を向く面)よりも下側に設けられている。これにより、フォルダ210A内に収められた図書200に嵌合凸部2221a及び嵌合凹部2222hが干渉することが抑制されている。
【0222】
次に、フォルダ210と異なる2つ目の点は、ストッパ224sが設けられている点である。ストッパ224sは、一対の側面部224Aの一方の内面から他方に向けて突出する態様で設けられている。そして、図書200が後述するバネ部材Bによって一方の側面部224Aに向けて押しつけられた状態で、図書200が収容用開口224dから脱落することをストッパ224sが抑制している。
【0223】
より詳細には、ストッパ224sは、第2部材2222に設けられている。ストッパ224sは、側面本体部224Aaの一部に略U字状の溝が形成されることで、3方が側面本体部224Aaから分離された形状、つまり3方が溝に囲まれた形状に形成されている。このときストッパ224sは、取出用開口224e側の縁部224saが側面本体部224Aaと連なるように設けられている。つまり、ストッパ224sは、奥行方向に沿って収容用開口224d側に向けて延出している。そして、ストッパ224sのうち奥行方向に沿った中間部分に幅方向に突出する段差部224s1が設けられている。当該段差部224s1は、ここでは、奥行方向に沿って後段部223S2と同じ位置に形成されている。従って、フォルダ210A内に収容された図書200が収容用開口224d側から脱落しそうになると、天の側が当該段差部224s1に引っ掛かると共に、地の側が後段部223S2に引っ掛かる。
【0224】
なお、ストッパ224sの剛性を高まるため、特に段差部224s1の剛性を高めるため、ストッパ224sにはリブ224scが設けられている。リブ224scは、ストッパ224sのうち縁部224saとは反対側の縁部224sbと段差部224s1とを結ぶように設けられている。リブ224scは、高さ方向に間隔をあけて複数設けられる。また当該リブ224scは、段差部224s1の収容用開口224d側が段差状になることを抑制する機能も果たしている。従って、当該リブ224scが設けられることで、収容用開口224dから挿入された図書200がリブ224scに沿って収容位置まで移動することができ、もって収容時に図書200が段差部224s1に引っ掛かりにくくなる効果が期待できる。
【0225】
また、ここでは、ストッパ224sより外側には、フォルダ本体部222Aの側面を構成する部分は設けられていない。このことと、ストッパ224sが縁部224saで側面本体部224Aaと連結されていることとにより、ストッパ224sは、縁部224sbがフォルダ本体部222Aの外側に向けて移動するように縁部224sa周辺で弾性変形可能とされる。これにより、ストッパ224sは、図書200が収容される際に、側面部224Aの外側に向けて退避可能とされる。従って、フォルダ本体部222Aに図書200を収容する際にストッパ224sが邪魔になることを抑制することができる。
【0226】
次に、フォルダ210と異なる3つ目の点は、付勢部225Aの構成である。具体的には、フォルダ210Aにおいて、付勢部225Aは、第1部材2221及び第2部材2222とは別部材として設けられたバネ部材Bを含む。このバネ部材Bは、トーションバーの原理を応用して形成されている。また、このバネ部材Bを第1部材2221に取り付けるために、第1部材2221にはバネ部材取付部224pが形成されている。
【0227】
より具体的には、バネ部材Bは例えば、1本の金属製の棒を材料として形成されている。当該バネ部材Bは、丸棒状に形成されていてもよいし、角棒状に形成されていてもよい。また、延在方向に沿って丸棒状部分と角棒状部分とが組み合わされた形状に形成されていてもよい。図書200に当接する部分は、丸棒状に形成されていることが好ましい。ここではバネ部材Bは被支持部B1と、当接部B2とを含む。
【0228】
被支持部B1は、フォルダ本体部222Aに設けられたバネ部材取付部224pに支持される部分である。ここでは、被支持部B1は略L字状に形成され、両端側がそれぞれバネ部材取付部224pに支持されている。被支持部B1は、トーションバー状に形成されている。つまり、被支持部B1は、捩じりの作用が生じるようにバネ部材取付部224pに回転困難に取付けられる。被支持部B1の取付け方については詳しくは後述する。そして、ここでは、被支持部B1が2つ設けられ、2つの被支持部B1を当接部B2が結ぶように設けられている。
【0229】
当接部B2は、図書200に当接する部分である。ここでは、当接部B2は、略U字状(長方形の1辺がない形状)に形成されている。そして、当接部B2の一端が2つの被支持部B1の一方に連なり、当接部B2の他端が2つの被支持部B1の他方に連なっている。
【0230】
ここでは、バネ部材Bは、第1部材2221の内面に取付けられる。そして、バネ部材Bは、フォルダ本体部222Aに収容された図書200を第2部材2222に向けて付勢している。
【0231】
ここで、フォルダ本体部222Aにおけるバネ部材取付部224pについて説明する。バネ部材取付部224pは、第1部材2221の内面に形成されている。バネ部材取付部224pは、第1支持部224qと、第2支持部224rとを含む。
【0232】
第1支持部224qは、被支持部B1のうちL字の一端側であってバネ部材Bの端部に相当する部分が挿通される部分である。ここでは、リブ224cに貫通孔224kが形成されて第1支持部224qとされている。より詳細には、貫通孔224kは、高さ方向に沿って延在して設けられているリブ224scに奥行方向に沿って形成されている。従って、バネ部材Bのうち第1支持部224qに挿通される部分は、奥行方向に沿って延在する態様で第1部材2221に取付けられる。
【0233】
第2支持部224rは、被支持部B1のうちL字の他端側、ここでは当接部B2側の端部を支持する部分である。第2支持部224rとして、ここでは、第1部材2221の一部が内面側に突出する突出片224uが形成されている。突出片224uは、平面視L字状に形成され、その先端は、ストッパ224sと同様に収容用開口224d側に突出している。突出片224uは、弾性変形可能とされている。突出片224uは、1つの被支持部B1に対して2つずつ設けられている。2つの突出片224uは、高さ方向に沿って並んでいる。なお、ここでは、突出片224uより外側には、第1部材2221の側面を構成する部分は設けられていない。このためここでは、突出片224uと第1部材2221のうち突出片224uの周辺部分とで、被支持部B1を支持している。従って、バネ部材Bのうち第2支持部224rに支持される部分は、高さ方向に沿って延在する態様で第1部材2221に取付けられる。
【0234】
以上に示したようにL字状に形成された被支持部B1の一端側と他端側とが共にバネ部材取付部224pに取り付けられている。このため、被支持部B1は、L字の一端側を軸としてその軸周りに回転困難であると共にL字の他端側を軸としてその軸周りに回転困難とされる。バネ部材Bとして見ると、2つの被支持部B1は、奥行方向に沿った同じ位置で、高さ方向に間隔をあけて側面本体部224Aaに取付けられている。このため、当接部B2がL字の他端側を軸としてその軸周りに回転すると、2つの被支持部B1のL字の他端側が捩じられる。これにより、当接部B2には元に戻ろうとする復元力が働く。この復元力が図書200を第2部材2222に向けて押しつける付勢力となる。なお、第1支持部224qとして奥行方向に沿った貫通孔が形成されると共に、第2支持部224rとして収容用開口224d側に延びるL字状の突出片224uが形成されているため、バネ部材Bは、第1部材2221に対して収容用開口224d側からスライドさせることで容易に取付けることができる。
【0235】
なお、バネ部材Bのうち少なくとも被支持部B1の太さ寸法は、第1部材2221の内面に設けられるリブ224cの高さ寸法よりも小さく設定されるとよい。これにより、被支持部B1、特にバネ部材Bの端部がリブ224cよりも内面側に突出することを抑制することができる。このため、バネ部材Bの端部が図書200と当接して図書200が傷つくことを抑制することができる。
【0236】
図29に示すように、フォルダ本体部222Aに図書200が収容されていない状態で当接部B2が第2部材2222側に位置するように、バネ部材Bが第1部材2221に取付けられる。そして、フォルダ本体部222Aに図書200が収容されると、当接部B2は、第1部材2221側に位置するように被支持部B1のL字の他端側を軸としてその軸周りに回転するように変形する。この際、被支持部B1がバネ部材取付部224pに支持されており、被支持部B1のうち第2支持部224rに支持されている部分以外の外面側には側面本体部224Aaが位置しているため、バネ部材Bは被支持部B1のうち高さ方向に沿った部分を軸として回転することが困難となる。このため、バネ部材Bは被支持部B1と当接部B2との連結部分周辺が捩じられるように弾性変形する。図書200は、この捩じられるように弾性変形したバネ部材Bの復元力によって第2部材2222側に向けて押しつけられる。
【0237】
また、バネ部材Bは、複数(ここでは、2つ)設けられている。2つのバネ部材Bは、取出用開口224eから離れる方向に沿って間隔をあけて配置されている。より詳細には、2つのバネ部材Bは当接部B2のうち高さ方向に沿った部分が奥行方向に沿って離れた位置に位置するように設けられている。そして、2つのバネ部材Bのうち取出用開口224eから遠い位置に設けられたバネ部材Bは、フォルダ本体部222Aに収容可能な図書200の中で小さいサイズの図書200がフォルダ210A内の取出用開口224e側に収容された際に、当該図書200のうち取出用開口224e側とは反対側を押さえることが可能とされる。より詳細には、小さいサイズの図書200の場合、ストッパ224S側に収容すると、取出用開口224eから図書200が取出しにくくなる。このため、ここでは、小さいサイズの図書200の場合でも、取出用開口224e側に収容している。しかしながらこの場合、図書200とストッパ224Sとが離れているため、取出用開口224eから図書200を取り出そうとした際に、図書200を掴み損ねて収容用開口224d側に図書200が逃げてしまう恐れがある。このような事態を避けるため、ここでは、取出用開口224eから遠い位置に設けられたバネ部材Bがストッパ224Sとは別にストッパ機能を果たす。つまり、図書200が収容用開口224d側に逃げそうになった際に、取出用開口224eから遠い位置に設けられたバネ部材Bが図書200のうち収容用開口224d側を向く部分を押え、それ以上逃げるのを抑制する。以上より、小さいサイズの図書200であっても、取出用開口224eから遠い位置に設けられたバネ部材Bがストッパの役割を果たすことによってフォルダ210A内に収容された当該図書200が取出用開口224eから脱落することをより確実に抑制することができる。
【0238】
この他、フォルダ210と異なる点は、第1部材2221及び第2部材2222の内面に図書200の収容方向を示す目印Mが設けられている点である。ここでは、目印Mは、奥行方向に沿って取出用開口224e側を指すように矢印状に形成されている。例えば、目印Mは、側面本体部224Aaから突出する態様で第1部材2221及び第2部材2222にそれぞれ一体的に形成されることが考えられる。
【0239】
また、底部223のうち後段部223S2に対して収容用開口224d側の部分は、斜面状に形成されている。特にここでは、収容用開口224d側から後段部223S2側に向けて上り斜面状に形成されている。このため、後段部223S2の高さを高く保ちつつ底部223のうち後段部223S2より収容用開口224d側の部分の位置を低くする、つまり、収容用開口224dの間口を広くすることができる。これにより、収容用開口224dからフォルダ210A内に図書200を挿入しやすくなる。
【0240】
また、ここでは、被保持部228にハンガー36からの抜け防止用の貫通孔228hが形成されている。フォルダ210Aがハンガー36に掛けられた際に、当該貫通孔228hにハンガー36の一部が引っ掛かることで、ハンガー36からフォルダ210Aが抜けることを抑制することができる。特にここでは、ハンガー36とフォルダ210Aとが引っ掛かる上記構成を設けることでフォルダ210Aが図書貸出装置20の内部側に抜けることを抑制する。この際、ハンガー36が貫通孔228hに引っ掛かることで生じる力は、ピッカー40がフォルダ210Aを扱う力よりも小さく設定される。なお、ハンガー36に対して図書貸出装置20の外部側への抜けは、例えば、図書貸出装置20の外面を構成するパネル22によっても抑制される。
【0241】
また、側面部224Aにおいて取出用開口224e側に形成される凹部224hのうち高さ方向底部223側の縁部が奥行方向に沿う形状に形成されている。一方、凹部224hのうち高さ方向天井部224b側の縁部は、奥行方向及び高さ方向に交差する方向に延びるように形成されている。これは、凹部224hを大きくすることによる軽量化及び取出し易さの向上と凹部224hを小さくすることによる図書200のがたつき難さの向上との兼ね合いで決定されている。より詳細には、通常、図書200の底部223側は載置される部分に近いため、がたつき難い。このため、凹部224hのうち底部223側は、奥行方向に沿う形状にしても、図書200が大きくがたつく恐れは少ない。そして、凹部224hのうち底部223側を奥行方向に沿う形状にすることで、軽量化及び取出し易さの向上の度合いを高くすることができる。一方、図書200の天井部224b側は載置される部分から遠いため、がたつき易い。従って、図書200の天井部224b側の側方にはなるべく側面部224Aがあることが望ましい。このことと、軽量化及び取出し易さの向上の度合いを高くすることとの両立を狙って、ここでは凹部224hのうち高さ方向天井部側の縁部が奥行方向及び高さ方向に交差する方向に延びるように形成されている。
【0242】
また、フォルダ210Aには、フォルダ210と同様に貫通孔224tが形成されている。当該貫通孔224tは、一対の側面部224Aの対応する位置(側面視で重なる位置)に形成されている。ここでは、貫通孔224tは第1部材2221及び第2部材2222に2つずつ形成されている。貫通孔224tは、高さ方向に対して奥行方向に長い長孔状に形成されている。この貫通孔224tは、例えば、入庫台車60に掛けられたフォルダ210Aに図書200が収容されていることを在荷センサ90等によって確認するために用いられることが考えられる。より詳細には、フォルダ本体部222Aの外側に位置する在荷センサ90から側面部224Aの主面に向けて検出光Wが照射される。この検出光Wは、フォルダ本体部222Aに図書200が収容されている場合に、側面部224Aの一方に形成された貫通孔224tを通過してフォルダ210A内の図書200に当たる。また、検出光Wは、フォルダ本体部222Aに図書200が収容されていない場合に、一対の側面部224Aの貫通孔224tを通過可能となる。
【0243】
このような在荷センサ90及びこれを用いた入庫処理について説明する。図31は、在荷センサ90を説明する説明図である。図32は、在荷センサ90を用いた入庫作業の一工程を説明する説明図である。
【0244】
在荷センサ90は、図書取扱装置10に設けられている。ここでは、在荷センサ90は、発信部91と受信部92とを含む。以下では、在荷センサ90は、制御部80によって制御されているものとして説明する。
【0245】
発信部91は、例えば、赤外線等の検出光Wを発信する部分である。ここでは、発信部91は、図書貸出装置20のうち入庫台車60が収められた際に入庫台車60の一方端の外部に位置する部分に設けられている。
【0246】
受信部92は、発信部91から発信された検出光Wを受信する部分である。ここでは、受信部92は、入庫台車60の他方端に設けられている。
【0247】
より詳細には、発信部91は、入庫台車60に一列に収容されたフォルダ210Aの並列方向に沿って直線状に進む検出光Wを照射する。このとき発信部91は、検出光Wが入庫台車60に収容されたフォルダ210Aの上記貫通孔224tが位置する部分に照射されるように設けられる。
【0248】
1つのフォルダ210Aの貫通孔224tに照射された検出光Wは、当該フォルダ210A内に図書200がない場合に当該フォルダ210Aの貫通孔224tを通過して次のフォルダ210Aの貫通孔に照射される。従って、入庫台車60のとある段において発信部91から検出光Wを発すると、入庫台車60のその段に一列に収容されたすべてのフォルダ210A内に図書200が収められていない場合に、検出光Wは受信部92に達する。
【0249】
これに対して1つのフォルダ210Aの貫通孔224tに照射された検出光Wは、当該フォルダ210A内に図書が収容されている場合に発信部側の貫通孔224tを通過後に当該フォルダ210A内の図書200に当たって遮られる。従って、入庫台車60のとある段において発信部91から検出光Wを発すると、その段に一列に収容されたフォルダ210Aのうち少なくとも1つに図書200が収められている場合に、検出光Wは当該図書200によって遮られ受信部92に達しない。
【0250】
上記発信部91及び受信部92は、入庫台車60に対して段ごとに設けられる。従って、各段の受信部92の受信状況を判断することで、入庫台車60の各段において在荷のフォルダ210Aの有無を確認することができる。つまり、入庫台車60において在荷のフォルダ210Aが存在している段を特定することができる。そして、この結果を受けてピッカー40が在荷のフォルダ210Aが存在している段のみ調べていく。これにより、ピッカー40が入庫台車60を調べる時間の短縮を図ることができ、もって図書200を収容するのにかかる時間の短縮を図ることができる。
【0251】
在荷センサ90を用いた入庫処理は、具体的には、以下のように想定される。図33は、在荷センサを用いた入庫処理を示すフローチャートである。
【0252】
まず、入庫処理の前に作業者による準備作業が行われる。作業者による準備作業は、ステップS101の前に行われる準備作業と同様のため、ここでは、省略する。準備作業が終わって、作業者が入庫開始のボタンを押すことで入庫処理が開始される。
【0253】
入庫処理が開始されると、まずステップS401において在荷センサ90の反応があるかどうかを判断する。具体的には、入庫処理の開始の合図がなされたら在荷センサ90の発信部91が入庫台車60のそれぞれの段において検出光Wを照射して各段の在荷の有無を確認する。
【0254】
この際、上述したように1つの段においてすべてのフォルダ210Aのうち少なくとも1つのフォルダ210A内に図書200があれば、検出光Wは受信部92に達しない。このように、発信部91から発信された検出光Wが受信部92に達していない場合に、その段の在荷センサ90の反応有り、つまりその段の在荷有と判断する。
【0255】
一方、上述したように1つの段のすべてのフォルダ210A内に図書200がなければ、検出光Wは受信部92に達する。このように、発信部91から発信された検出光Wが受信部92に達している場合に、その段の在荷センサ90の反応なし、つまりその段に在荷なしと判断する。
【0256】
そして、各段の受信部の結果を受けて在荷のフォルダが存在する段があると判断されれば、ステップS402に進む。在荷のフォルダが存在する段がないと判断されれば、入庫処理を終了する。
【0257】
なお、2つの貫通孔224tに対してそれぞれ検出光Wを照射するように発信部91及び受信部92が1つの段に対して2つずつ設けられることもあり得る。この場合、1つの段のどちらか一方の受信部92に反応した場合に、その段に在荷のフォルダ210Aが有と判断することが考えられる。これにより、その段における在荷確認の精度を高めることができる。
【0258】
次ステップS402では、前ステップS401で在荷有と判断された段のうちの1つの段において在荷のフォルダ210Aの位置を特定する。
【0259】
具体的には、ここでは、まずピッカー40を移動させる段を選択する。そして、選択した段に対してピッカー40を移動させてフォルダ210A内に図書200があるかどうかを1つずつ順に確認する。これにより、在荷のフォルダ210Aが有りと判断された段において在荷のフォルダ210Aの位置が特定される。
【0260】
ピッカー40を移動させる段を選択するに当たって、前ステップS401で在荷有と判断された段が1つのみの場合と前ステップS401で在荷有と判断された段が複数ある場合とがあり得る。前ステップS401で在荷有と判断された段が1つのみの場合は、当然その段が選択される。これに対して、前ステップS401で在荷有と判断された段が複数ある場合には、ここでは、入庫台車の上から下に向かう順番など予め設定された順番に沿って一番先頭の段を選択するものとして説明する。もっとも、現在のピッカー40の高さ方向に沿った位置にいちばん近い段を選択してもよいし、複数の段からランダムに選択してもよい。
【0261】
上記のようにピッカー40を移動させる段を選択したら、その段に対してピッカー40を移動させる。この際、例えば、入庫台車60におけるフォルダ210Aの並列方向に沿って一方端から他方端に向けた順番など、予め決められた順番に沿ってピッカー40を移動させることが考えられる。
【0262】
この移動の際に、ピッカー40によってフォルダ210A内に図書200があるかどうかが確認される。ここで、ピッカー40によりフォルダ210A内に図書200があるかどうかを確認するための構成としては、例えば、以下のようなものが考えられる。即ち、ピッカー40に在荷検出部が設けられる。そして、ピッカー40がフォルダ210Aの収容部分と対向する位置に位置した状態で、在荷検出部からフォルダ210の収容部分に向けて検出光を発する。この際、フォルダ210A内に図書200が存在する場合に反射される反射光の有無を確認する。
【0263】
このピッカー40の移動及びピッカー40によるフォルダ210Aの在荷確認は、選択した段においてピッカー40が在荷のフォルダ210Aに辿り着くまで行われる。そして、ピッカー40が在荷のフォルダ210Aに辿り着いたらピッカー40の移動及びピッカー40によるフォルダ210Aの在荷確認を停止させる。つまり、以後のフォルダ210Aに対してはピッカー40の移動及びピッカー40による在荷の確認を行わず、次ステップS403に進む。
【0264】
なお、作業者は、入庫台車60内のフォルダ210Aに図書200を収容する際に、各段においてピッカー40が先に確認するフォルダ210Aから順に図書200を収容しておくとよい。具体的には、ピッカー40が段に対して一方端から他方端に向けて順次移動及び在荷確認を行っていく場合、作業者は一方端のフォルダ210Aから順に図書200を収容していくとよい。これにより、各段に対するピッカー40の移動及び在荷のフォルダ210Aの位置を確認する作業にかかる時間の短縮を図ることができる。
【0265】
次ステップS403では、位置を特定したフォルダ210Aを格納部30に格納する。具体的には、前ステップS402で在荷のフォルダ210Aの位置を特定した段階で、ピッカー40は当該在荷のフォルダ210Aに対向する位置で停止している。従って、前ステップS402でフォルダ210Aの位置を特定したら、ピッカー40は、そのままその位置にあるフォルダ210Aを取り込み、格納棚30に格納する。つまりここでは、前ステップS402におけるピッカー40の移動は、フォルダ210Aをピッカー40に取り込むための格納作業の一工程という側面を有している。
【0266】
なお、フォルダ210Aの取り込み及び格納に当たっては、上述したS102からS107と同様に行えばよいため、ここでは、具体的内容は省略する。
【0267】
位置を特定した在荷のフォルダ210Aを格納したらステップS401に戻る。そして、改めて在荷センサ90で在荷のフォルダ210Aが存在する段があるかどうかを確認し、ある場合に格納する作業を順次繰り返す。つまり、すべての段について在荷センサ90の反応がなくなるまで、ステップS401からステップS403を繰り返す。そして、すべての段について在荷センサ90の反応がなくなったら、在荷センサ90を用いた入庫処理が完了する。
【0268】
このように在荷センサ90を用いた入庫処理を行うことにより、入庫台車60において図書200が収められているフォルダ210Aがある段を容易に確認することができる。これにより、図書200が収められているフォルダ210Aがない段に対してピッカー40で在荷を確認する手間を省略することができる。
【0269】
なお、在荷センサ90による1回目の在荷確認で複数段に在荷が確認された場合には、在荷が確認された段について1回ずつ在荷のフォルダ210Aの位置の特定及び当該在荷のフォルダ210Aの格納作業を行ってから在荷センサ90による2回目の在荷確認を行う態様を取ることも考えられる。この場合、在荷センサ90による在荷確認の回数を減らすことができる。
【0270】
また、ステップS403終了後にステップS401に戻る前に、以下の動作を行うことも考えられる。即ち、ステップS403で格納したフォルダ210Aの位置を記憶しておく。そして、当該フォルダ210Aの確認順よりも後に確認が設定されているフォルダ210Aに対して、ピッカー40の移動及び在荷確認を行い、在荷があった場合に格納作業を行う。
【0271】
また、2回目以降の在荷センサ90による在荷の確認は、格納作業のうち入庫台車60からピッカー40にフォルダ210Aを取り込んだ後の格納作業中に行われるとよい。また、ピッカー40が入庫台車60の同じ段に対して複数回在荷を確認しに行く場合、ピッカー40は直前に格納したフォルダ210Aの次の確認順のフォルダ210Aから在荷を確認していくとよい。これらにより、入庫にかかる時間の短縮を図ることができる。
【0272】
フォルダは、収容される図書200のサイズに応じて異なるサイズのフォルダが使い分けられることが考えられる。図34は、変形例に係る図書収納用フォルダ210Aの別サイズを示す概略側面図である。
【0273】
具体的には、図34に示されるフォルダ210Bは、上記フォルダ210Aに収容される図書200よりも大きいサイズの図書200を収容可能に設けられている。このため、フォルダ210Bは、フォルダ210Aよりも大きく形成されている。より詳細には、フォルダ210Bにおいて側面部224Bの収容用凹部224gがフォルダ210Aに比べて小さくなり収容用開口224dの位置がフォルダ210Bの奥行方向端縁部に位置している。また、フォルダ210Bにおいて凹部224hよりも底部223側の部分が高さ方向に沿ってフォルダ210Aよりも延長され、側面部224Bの高さ寸法が大きくなっている。なお、フォルダ210Bもフォルダ210Aと同じピッカー40で扱われるため、被保持部228の形状は同じに形成されている。
【0274】
このようなフォルダ210Bは、入庫台車60及び格納部30においてフォルダ210A専用に設けられた段に配置することは難しい。このため、入庫台車60及び格納部30において一部の段がフォルダ210A専用に設けられ、他の段がフォルダ210A及びフォルダ210B兼用に設けられることが好ましい。これにより、すべての段がフォルダ210A及びフォルダ210B兼用に設けられる場合に比べて入庫台車60又は図書貸出装置20の高さ寸法を小さくすることができる。
【0275】
このような図書収納用フォルダ210Aによると、付勢部225Aは、取出用開口224eから離れる方向に沿って2つ設けられているため、2つの付勢部225Aのうち開口から遠い位置に設けられた付勢部225Aは、フォルダ本体部222Aに収容可能な図書200の中で小さいサイズの図書200がフォルダ210A内の取出用開口224e側に収容された際に、図書200のうち取出用開口224e側とは反対側を押さえることが可能となる。このため、収容される図書200が小さいサイズの図書200であっても、フォルダ210Aの特に収容用開口224dから脱落することをより確実に抑制することができる。
【0276】
また、一対の側面部224Aの一方から他方に向けて突出する態様で設けられたストッパ224sをさらに備え、付勢部225Aは、フォルダ本体部222A内に収容された図書を一対の側面部224Aの一方に向けて押さえるように、一対の内周面の他方に設けられている。このため、図書200が付勢部225Aによって一対の側面部224Aの一方に押さえつけられた状態でフォルダ本体部222A内に収容されることによって、図書がフォルダ本体部222Aから脱落することをより確実に抑制することができる。
【0277】
また、ストッパ224sは、図書200が収容される際に、側面部224Aの外面側に向けて退避可能に形成されているため、フォルダ本体部222Aに図書200を収容する際に図書200が厚い場合でもストッパ224sが邪魔になることを抑制することができる。
【0278】
また、フォルダ本体部222Aは、2つの別部材2221、2222が合体して設けられている。このため、型によってフォルダ本体部222Aを製造する際に、容易に製造することができる。
【0279】
本開示は下記の各態様を含む。
第1の態様に係る図書自動取扱装置は、その内部に収容された図書を取り出し可能とする取出用開口が形成された図書収納用部材を用いて図書を収容および搬送する図書自動取扱装置であって、複数の前記図書収納用部材を収容する収容空間、および前記図書を取り出す図書取出口が形成された筐体と、前記収容空間に収容される前記図書収納用部材を前記図書取出口へ搬送する搬送部と、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、利用者の要求に応じて、要求に係る前記図書が収容された前記図書収納用部材を前記搬送部に搬送させて、前記図書収納用部材の前記取出用開口と前記図書取出口とを連通させることによって、前記利用者に前記図書を提供する。
第2の態様に係る図書自動取扱装置は、第1の態様に係る図書自動取扱装置であって、前記制御部によって、前記図書取出口を閉じる閉状態と、前記図書取出口を開放する開状態と、が切り替わる蓋部をさらに備え、前記制御部は、前記利用者の要求に応じて、前記取出用開口を前記図書取出口に対応する位置に位置させるとともに前記蓋部を開状態に切り替えることによって、前記取出用開口と前記図書取出口とを連通させて、前記利用者に前記図書を提供する。
第3の態様に係る図書自動取扱装置は、第1又は第2の態様に係る図書自動取扱装置であって、前記図書収納用部材は、使用状態で前記図書を下方から支持する底部を有する。
第4の態様に係る図書自動取扱装置は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る図書自動取扱装置であって、前記利用者が要求する図書の情報を受け付ける入力受付部をさらに備える。
第5の態様に係る図書自動取扱装置は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る図書自動取扱装置であって、前記筐体内には、前記利用者から返却される図書を受け入れるための図書返却空間が形成され、前記利用者に図書を自動で貸し出す図書貸出装置、および前記利用者から返却される図書を受ける図書返却装置、の双方として機能する。
各態様に係る図書自動取扱装置によると、図書が傷むのをなるべく抑制することができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。

【符号の説明】
【0280】
10 図書取扱装置
20 自動図書貸出装置
22 パネル
22h 取出口
24 仕切
24h 返却口
30 格納部
36 ハンガー
40 ピッカー
50 取出口機構部
60 入庫台車
70 貸出受付部
80 制御部
100 図書返却装置
120 返却用収納台車
200 図書
202 タグ
210 フォルダ
222 フォルダ本体部
2221 第1部材
2221a 嵌合凸部
2222 第2部材
2222h 嵌合凹部
223 底部
223S 段部
224 側面部
224d 収容用開口
224e 取出用開口
224f 凹部
224s ストッパ
225 付勢部
228 被保持部
B バネ部材
図1
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