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特許7096875片ニンニクを原物とする新規な黒ニンニクエキス及びその製造方法
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  • 特許-片ニンニクを原物とする新規な黒ニンニクエキス及びその製造方法 図1
  • 特許-片ニンニクを原物とする新規な黒ニンニクエキス及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】片ニンニクを原物とする新規な黒ニンニクエキス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20220629BHJP
【FI】
A23L19/00 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020187085
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2021108652
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0177879
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520440113
【氏名又は名称】ハアノン フーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Haanong Foods. Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】12, Eoryong-gil, Pocheon-si, Gyeonggi-do 11150 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュンビン
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-153170(JP,A)
【文献】特開2011-087540(JP,A)
【文献】特開2000-312565(JP,A)
【文献】特開2015-223176(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108125238(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0293803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00-19/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸ごとのニンニクを片ニンニクに分離して分離して洗浄する段階(a)と、前記の段階で得られた洗浄された片ニンニクを原物で湿度90%~100%飽和状態と液化酵素作用温度以下の75~80℃の中高温条件で15日間発酵熟成させる段階(b)と、前記の段階で得られた発酵熟成物を1次搾汁してエキスを得る段階(c)と、前記の段階で搾汁し、残りの原料を加水して80~90℃/90~100%飽和状態で3日間さらに発酵熟成させ、2次搾汁して得られた2次搾汁エキスを1次搾汁エキスと混合する段階(d)と、前記の段階で得られた混合搾汁エキスを100℃で加熱濃縮して酵素を不活性化させる段階を含む順次実行することを特徴とする黒ニンニクエキスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片ニンニク(以下、丸ごとのニンニクを分離したことを"片ニンニク"という。)を原物とする新規な黒ニンニクエキス及びその製造方法に関するものとして、より詳細には、片ニンニクで分離したニンニクを原物で使用して発酵・熟成することにおいて、液化酵素作用温度である75~80℃、95~100%の高熱、高湿条件を採用して発酵・熟成することを特徴とし、甘みと風味が改善されて高粘度赤褐色のニンニクエキスを提供することにある。
【背景技術】
【0002】
ニンニク(Allium Sativum L.)は、ユリ科(Lilliaceae)ネギ属(Allium)に属する鱗の茎野菜であり、食品の味と健康を増進させる代表的な食品の一つである。ニンニクの出荷は6月から8月頃に、一部は生彩として利用され、残りは翌年の春まで保管することになる熟成中の乾燥、腐敗や発芽などにより、栄養学的にはかなりの損失を被るれ作況条件に応じて価格変動が激しい代表的な農産物の一つである。強い臭気を持っているニンニクは、私たちの食生活に欠かせない調味料として各種料理の香辛料や漬物類に利用されている。また、最近では、ニンニクがコレステロールの低下や老化防止作用、抗がん作用、様々な抗菌作用はもちろん、健康志向的食品であることが明らかになっている。Sheo(1999)は、ニンニク、タマネギ、ショウガ、唐辛子汁の抗菌作用の実験でニンニクが他の試料に比べて最大抗菌力を見せNagai et al。(2000)は、一日約10片のニンニクを摂取する場合、インフルエンザウイルス感染防御にかなりの効果があるというなどの心臓疾患、頭痛、腫瘍、寄生虫などに対するニンニクの薬理的機能が明らかになり、健康補助食品や医薬品の素材としても活用されている趨勢と報告した。
【0003】
ニンニクの加工の中で最も大きな問題として指摘されているのは、酵素による酸化、変色、風味の変化などである。ニンニクの変色は、褐変と緑変で代弁することができる。緑変は、主に低温熟成したニンニクを加工する際に発生するが、その原因は、休眠期を過ぎたニンニクが物理的な作用を受けた場合、代謝作用が抑制され、温度上昇、光、金属など、突然の外部の影響でalliinaseが作用してpigment precusorがニンニクに含まれる炭水化物と反応して緑変が起こることが報告されている。ニンニク加工品での褐変はキャラメル反応、マイヤール反応などの非酵素的褐変とpolyphenoloxidase(PPO)による酵素的褐変などに分類されるが、ニンニクの加工時に高い温度では、アミノ酸のpeptide、amino groupと糖との反応による非酵素的褐変反応が主に起こる。
【0004】
ニンニクの臭いを除去するための最も伝統的な方法は、ニンニクを蒸したり焼いたりすることで、ニンニクを焼く場合、その風味が甘くなって刺激臭がまろやかになり、凍結乾燥した場合生ニンニクに比べて風味が比較的温厚になり、他の加工方法と比較して機能性成分の保有率がはるかに高いと知られている。最近では、これらのニンニクの褐変反応を利用して、機能性を備えた新しいタイプの加工品開発を試みており、ニンニクは、高温恒温器で一定期間熟成させる場合、ニンニクの独自の成分と酵素などにより、ニンニクの内部まで全て黒色に変化され、これを市販の黒ニンニクと呼ぶ。特徴的には、黒褐色を黒褐色をしてニンニクの辛さが減少する一方、粘度が高くなって甘さと酸味が調和を成して生ニンニクに比べて風味が柔らかく、様々な加工食品を製造することができる素材として浮上している。しかし、黒ニンニクは、その製造方法が統一化されていないが、製造するメーカーに応じて風味をはじめとする全体的な品質が異なる。したがって、このような問題を解決するために設備的な側面を改善する努力がなされている。
【0005】
一方、黒ニンニクの代表的な機能性では抗酸化、体脂肪減少、免疫増進、コレステロール減少、肝機能の改善などが報告されており、黒ニンニクエキスは、抗癌性などの効果を持つS-ally-cysteineの含有量が増加し、機能性が増すことが示されている。
【0006】
従来の黒ニンニクエキスの製造方法は、いったいニンニクそのまま約1ヶ月間発酵、熟成して抽出するか、または火に蒸したり焼い次加水直後にエキスを製造してきた。
【0007】
一方、これまでの工場規模の黒ニンニクエキスの製造方法で韓国特許第10-1401956号開示されているが、これ丸まるごとのニンニクを直接搾汁し、精製水を添加して、90~100℃で3時間熱処理して、ニンニクの辛さ成分を除去するためにAllinaseを不活性化した後冷却し、前記熱処理したニンニク汁に軟化酵素pectinase、糖化酵素carbohydraseと蛋白質分解酵素flavozymeを順次添加して酵素分解した後、90~100℃で褐変を促進することを特徴とする黒ニンニクエキス及びその製造方法に関するもので、3段階、様々な酵素の複合処理により、最終製品が黒色(Black)または黒褐色(Dark brown)の色度によって嗜好性が低いという欠点がある。
【0008】
また、黒ニンニクエキスの製造方法で韓国特許第10-1418843号が公知されているが、これはニンニクを直接動物飼料を製造する方法であって、黒ニンニクから黒ニンニクエキスと黒ニンニク泊を分離させ、この両方を寒天やデキストリンを含むする黒ニンニクエキスコート層で構成する場合において黒ニンニクを根を切断して、白ニンニクを蒸熟機に投入90℃から200時間、すなわち約7~8日間の属性蒸熟した後、黒ニンニクエキスを搾汁して黒ニンニク泊を分別収集方式の従来エキスの製造方法が開示されている。
【0009】
そして、韓国特許第10-1913096号は、黒ニンニクエキスを含んでいる海神湯の製造方法がそしてまた、韓国特許第10-1785348号には、黒ニンニクエキスの製造方法がそれぞれ開示されているが、前者は脱皮した6片の丸ごとのニンニク全体を炊飯器で高温蒸熟した後、7~13日間、再乾燥したものを100℃/5~10時間加熱抽出して製造された黒ニンニクエキスが、後者は脱皮した丸ごとのニンニクと生マカを自然乾燥した後中湯器に精製水と一緒に投与して、90~100℃/20~30分間高温加熱蒸熟した後減圧熟成して精製水を添加抽出する方法がそれぞれ開示されている。
【0010】
しかし、前記文献のどこにも丸ごとのニンニクを片ニンニクに分離して、ニンニクエキス原材料として使用したり、または酵素を添加しないニンニクに含まれる酵素だけで中高温及び飽和水蒸気の状態の条件の下で発酵熟成(autoysis)させることにおいて、特に前記の液化酵素作用温度及び湿度75~80℃/95~100%の高温高湿条件を選択して、最も好ましくは15日間加水分解させることで黒ニンニクエキスの風味と糖度が改善され、赤色度及び粘度が増加したニンニクエキスの製造方法に対して開示され又は全く暗示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0053212号公報
【文献】韓国公開特許第10-2012-0018505号公報
【文献】韓国公開特許第10-2010-0097348号公報
【文献】韓国公開特許第10-2013-0140293号公報
【文献】韓国特許第10-895615号公報
【文献】韓国特許第10-797915号公報
【文献】韓国特許第10-959513号公報
【文献】韓国公開特許第10-2012-0113323号公報
【文献】韓国特許第10-1401956号公報
【文献】韓国特許第10-1065160号公報
【文献】韓国公開特許第10-2009-0082533号公報
【文献】韓国特許第10-888692号公報
【文献】韓国特許第10-983213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、ニンニクを構成する炭水化物成分に対して液化酵素作用の最適条件75~80℃/95~100%で最低2週間高熱飽和状態の湿度条件を付与するとともに、物理的に片ニンニクを使用することにより、丸ごとのニンニクを使用することよりも熱伝導率と飽和水を均一に浸透させて糖度と風味が改善され、赤色度と粘度が増進された黒ニンニクエキス及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前記目的は、丸ごとのニンニクを精選して片ニンニクに分離して洗浄する段階(a)と、前記で得られた洗浄された片ニンニクを従来の超高温90~100℃と35~60%以下の低湿度条件ではなく、95~100%の飽和状態と液化酵素作用温度75~80℃の中高温条件で2~3週、最も好ましくは15日間発酵熟成させる段階(b)と、前記の段階で得られた発酵熟成水を1次搾汁してエキスを得る段階(c)と、前記の段階で搾汁し、残りの原料を80~90℃/飽和水蒸気の条件で2~3日間追加発酵熟成した後、2次搾汁して前記1次搾汁して得たエキスと混合する段階(d)と、前記の段階で得られた混合搾汁エキスを100℃で30分間加熱し、濃縮して、酵素を不活性化させる段階を含む製造されてこれの嗜好性と機能性を評価することにより達成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、これまで存在しなかった高粘度の赤褐色度を持ち、糖度と風味が改善された新規な黒ニンニクエキスとその製造方法を提供する効果があるだけでなく、前記のような新規な黒ニンニクエキスを使用して、多様な嗜好性及び機能性が同時に増進された新素材の食品組成物を提供する優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施例として、新規な黒ニンニクエキスの製造工程を示したダイアグラムである。
図2図2は、本発明に従って製造された還元糖の含有量、及びその他の機能が増進された高粘度の赤褐色黒ニンニクの写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の最も好ましい実施例を添付図面1により具体的に説明するが、下記の実施例は、本発明の通常の技術者が容易に実施することに最も好ましい技術内容を提供するだけで、本発明の実施例のみに限定されず、液化酵素の種類の変更、酵素処理温度及び湿度の単純な変更等は、本発明の権利範囲に含まれることは言うまでもない。
【実施例1】
【0017】
本発明の高粘度/赤褐色ニンニクエキスの製造
6片の生ニンニク11kgを準備して根の部分を切削して、白い丸ごとのニンニクを分離用円筒形分離器に投入して片ニンニクに分離して洗浄し、10kgの分離された片ニンニクを得た。前記で洗浄された片ニンニク全体をステンレススチール蒸熟機に投入して液化酵素の最適活性温度80℃以下、最も好ましくは75℃から95%以上の飽和水蒸気状態で少なくとも2週間、最も好ましくは15日間加水分解(autolysis)して発酵熟成させた。
【0018】
このとき、生ニンニクの細胞内に存在するS-ally-cysteineなど機能性物質が活性化されglutamyl transpeptidaseなど蛋白分解酵素の働きで、様々なこと硫黄化合物と様々なcarbohydrase酵素によって澱粉が糖化と液化された加水分解(autolysis)が誘起されることが確認された。
【0019】
本発明の実施例では、公知の先行技術とは異なり、80℃以下で生ニンニクが加水分解され、ニンニクの中の細胞内で直接変換された還元糖とアミノ酸が結合してミラード反応の結果茶色に変化するように誘導し、同時に6片のニンニク皮に含まれている赤系の天然赤色素は、その活性化が最大化されるように誘導して、最終的発酵熟成水が赤褐色の色度を示した(図2)。
【0020】
本発明飽和水蒸気状態の80℃以下で発酵熟成する実施例によると、ニンニクの細胞に存在するAllinaseの抑制を最小化し、辛味の成分であるAllcineの生成が適切に誘導されるようにするためにも、その特徴がある。
【0021】
また、本発明によれば、片ニンニクを飽和水蒸気状態の80℃以下で発酵熟成することにより、ニンニク内の細胞に存在するglutamyl transpeptidaseなど、様々な蛋白質分解酵素たちによって自然に15日間発酵熟成を誘導することにより、特に、ニンニクの機能性物質であるS-ally-cysteine(SAC)の化合物の含有量増進を誘導転換することを特徴とする。この成分は、生ニンニクには10ppm以下の微量存在することが知られている。
【0022】
本発明によれば、上記のように90%以上の飽和水蒸気状態で80℃以下の温度条件で6片の生ニンニク由来のα-anylaseなど、様々な液化酵素の活性化を最大限抑制して澱粉質成分を中海度7以上のolygosaccharide類の転換を抑制し、なるべくgluoseとmaltose含有量を発酵熟成初期に全体的に増加させて高粘度と糖度を同時に増進させるが、その特徴がある(図2)。
【0023】
本発明者らの多数の実験結果によると、90%以上100%の飽和水蒸気状態とニンニクの細胞内液化酵素作用温度条件、すなわち80℃以下で、少なくとも2週間、最も好ましくは15日間の属性糖化させることが加水分解産物の粘性と甘み成分の最大化に最も適していた。一方、75~80℃で2週間以内には、十分な糖化が行われず、糖度が低下して赤色度も低く、2週間以上ではむしろ液化酵素の作用でolygosaccharideが多量生成され、最終的なニンニクエキス製品の粘度は低下し,褐色度はかえって増加した。
【0024】
前記のように片ニンニクの発酵/熟成を終えた試料の品質検査が完了した後は、搾汁機投入して1次搾汁して34Brixの黒ニンニクエキス6kgを得(これ別途保管した)、次いで、1次搾汁後に残った搾汁泊に2Lの洗浄水を加水して蒸煮器に投入して液化酵素の作用温度以上の80~90℃で2~4日間2次発酵/熟成した後、2次搾汁して、16Brixの黒ニンニクエキス3kgを得た。前記で得られた6kgの1次黒ニンニクエキスに(34 Brix)にこれとは別に搾汁泊2kg加水して液化酵素が作用するように蒸熟器に投入して、80~90℃/2~4時間追加発酵熟成して、残りの澱粉がolygosaccharide類に切り替えさせた後、2次搾汁して得られた3kgの黒ニンニクエキス(16Brix)を前記1次搾汁液に混合した後、100℃で加熱濃縮して、酵素を完全に不活性化させることで、本発明赤褐色ニンニクエキス約3.6kg(70 Brix)を得た。
【0025】
前記のように糖化酵素が先に作用するようにして、比較的高粘度の赤色度が高い1次抽出エキスと、その後再び液化酵素が作用するようにして、比較的低粘度の褐色度が高い2次抽出エキスを得て、これに混合したエキスの加熱濃縮エキスは、機能性に優れた赤褐色の色度を持ち、同時に嗜好性が向上した特徴がある。
【0026】
これは、前記本発明の最も好ましい実施例1と異なる条件の下記実施例2~実施例3及び別途酵素処理を伴う比較例1~比較例3による下記実験例により確認された。
【実験例1】
【0027】
片ニンニク最適発酵/熟成条件(温度、湿度)及び時間選定のための実験計画
本発明に係るニンニクの最適発酵/熟成条件(温度、湿度)及び時間選定のため、次の表1のような実験計画を樹立して実験した。実験結果は、[表2]のとおりである。
【0028】
【表1】
【0029】
実験の結果、還元糖の含有量とSACの含有量は、下記の[表2]のとおりである。
【0030】
【表2】
【0031】
前記実験の結果によると、本発明の飽和湿度95%/75℃で15日間発酵熟成した実施例2で還元糖の含有量が4.42%と最も高く、糖度が最大化されておりしたがって粘度(cp)も最高値70,000以上を示し、SACの含有量も最大化されて、様々な食品素材の添加剤として有用に使用されることが示唆された。
【実験例2】
【0032】
本発明黒ニンニクエキスの官能検査の結果
本発明の実施例により製造された黒ニンニクエキス製品は、他社K社とN社の一般的な市販黒ニンニクエキスの製品と比較した。官能検査パネルの全数は10人(男女各5人)に無作為に選定して官能検査を行った。検査は、5点尺度法を使用して、1点:最も悪い、2点:悪い、3点:まあまあだね、4点:いいね、5点:非常に良い、その平均値を表記した(表3)。
【0033】
【表3】
【0034】
前記実験結果から確認できるように、本発明黒ニンニク製品が黒色であり、低粘度のK社製品や黒褐色であり、やはり低粘度のN社製品に比べて色度が赤褐色であり、還元糖の含有量が相対的に高く、高粘度であるため、外観及び色澤はもちろん、風味と物性もそれぞれ最も優れた結果を得た。また、総合嗜好度でも最も優れた優秀性を示した。
【実験例3】
【0035】
丸ごとのニンニクと片ニンニクを用いた実験の結果
本発明者らは6片の生ニンニク(丸ごとのニンニク)原物11kgを準備して、前記片ニンニク原物を出発物質とした実施例2と同じ条件と手続き、プロセスを介して(実施例4)最終的に黒ニンニクエキス約3.1kg(65 Brix)を得た。最終的な発酵/熟成過程を経て転換された還元糖の含有量(%)、S-allyl-cysteineの含有量(μg/g)及びエキスの粘度(cp)は、下記の[表4]と同じだった。
【0036】
【表4】
【0037】
実験の結果、丸ごとのニンニクを原物に直接使用して黒ニンニクエキスを製造する方法に比べて丸ごとのニンニクを精選して片ニンニクに分離させて洗浄する段階を経て黒ニンニクエキスを製造する方法が、発酵/熟成時間も短縮させ、繊維化した皮のcelluloseまたはhemicelluloseの分解時間を節約し、95%以上の飽和湿度の条件と液化酵素作用温度80℃以下で、まずcarbohydraseによる澱粉の糖化を迅速に進行させることで還元糖の含有量の増加及び粘度の増加とともに、蛋白質分解酵素の迅速な自己分解(autolysis)の作用で、S-ally-cysteine(SAC)の含有量を増進させたことが分かった(表3)。これは丸ごとのニンニクは片ニンニクに比べて皮を構成する繊維素の含量が比較的高く、前記のような結果が表示されと思われ、本発明者らは黒ニンニクエキスの製造には、必ず片ニンニクを使用すべきものと判断された。
図1
図2