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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】マルチボディデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20220629BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G06F1/16 312E
F16C11/04 F
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020197216
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2021089729
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】108144132
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508226687
【氏名又は名称】和碩聯合科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PEGATRON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】5F.,No.76,Ligong St., Beitou Dist., Taipei City 112, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姜成熹
(72)【発明者】
【氏名】辜弘仲
(72)【発明者】
【氏名】郭衍志
(72)【発明者】
【氏名】陳志銘
(72)【発明者】
【氏名】江志良
(72)【発明者】
【氏名】邱正弘
(72)【発明者】
【氏名】柯政宇
(72)【発明者】
【氏名】林張正
(72)【発明者】
【氏名】呂▲文▼鴻
(72)【発明者】
【氏名】楊傑文
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-310238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262876(US,A1)
【文献】登録実用新案第3160706(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00
G06F 1/16- 1/18
F16C 11/00-11/12
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機体と、
前記第1の機体のピボット側に回動可能連結する第2の機体と、
前記第1の機体の前記ピボット側に回動可能に連結し、前記第2の機体の傍らに位置する回転部材と、
前記第2の機体に設けられた第1の磁性部材と、
前記第1の磁性部材に対応する前記回転部材の一部に設けられた第2の磁性部材と、
前記第2の機体により駆動され、前記回転部材の回転経路内に延伸する、又は、前記回転経路から後退するように構成された、前記第1の機体の前記ピボット側に設けられたストッパと、
を備え、
前記第1の磁性部材と前記第2の磁性部材の2つの対応する端部が磁気的に反発し、
前記第2の機体と前記第1の機体とが折り畳まれ閉じられるとき、前記第2の機体が前記ストッパを前記回転部材の前記回転経路内に延伸するよう駆動しそれにより、前記第2の機体と前記第1の機体とが折り畳まれ閉じられたときに、前記回転部材が圧迫により回転することを防ぎ、
前記第2の機体が前記第1の機体に対し開かれるとき、前記第2の機体が前記ストッパを前記回転部材の前記回転経路から後退するよう駆動して前記第1の磁性部材を前記第2の磁性部材に接近するよう駆動し、前記第2の機体の回転の間に前記回転部材が前記第2の機体と干渉することを防ぐため、磁気反発力により前記第2の磁性部材が前記第1の磁性部材から離れて前記回転部材を回転するよう駆動する、マルチボディデバイス。
【請求項2】
一端が前記第1の機体に固定され、他端が前記回転部材に固定されたねじりバネ
を更に含み、
前記第2の機体が前記第1の機体に接近したとき、前記ねじりバネが前記回転部材を戻すよう駆動し、前記ストッパが前記回転部材の前記回転経路内に延伸する、
請求項1に記載のマルチボディデバイス。
【請求項3】
前記第2の機体に設けられ、前記第1の機体に回動可能に連結し、第1の傾斜面を含む回転シャフト
を更に含む、
請求項1に記載のマルチボディデバイス。
【請求項4】
前記第1の機体に設けられたシャフトであって、前記回転シャフトが前記シャフト上に被装されたシャフトと、
前記第1の機体に移動可能に設けられ、前記第1の傾斜面に当接する第2の傾斜面を含み、前記ストッパを駆動する移動部材と
を更に含み、
前記第2の機体が開かれる間、前記回転シャフトが回転し、前記移動部材を移動するため前記第1の傾斜面が前記第2の傾斜面を駆動し、これにより前記ストッパが前記回転部材の前記回転経路から後退する、
請求項3に記載のマルチボディデバイス。
【請求項5】
前記シャフト上に被装され、前記移動部材又は前記ストッパに当接して、これにより前記第2の機体が前記第1の機体に接近する間、前記移動部材が戻る弾性部材
を更に含む、
請求項4に記載のマルチボディデバイス。
【請求項6】
前記第1の機体に固定され、枢軸孔と溝とを含む固定部材
を更に含み、
前記回転シャフトが前記枢軸孔を通過し、前記ストッパが前記シャフトの上に被装され、前記溝内に延伸する凸部を含む、
請求項4に記載のマルチボディデバイス。
【請求項7】
前記ストッパが屈曲して接続された第1のセグメントと第2のセグメントとを含み、前記第1のセグメントが前記シャフト上に被装され、前記第2のセグメントが、前記回転部材の前記回転経路内に延伸するよう、又は、前記回転部材の前記回転経路を離れるため前記第1の機体内に後退するように構成される、
請求項4に記載のマルチボディデバイス。
【請求項8】
前記第1の機体の前記ピボット側が間隙を含み、前記第2の機体と前記第1の機体とが折り畳まれ閉じられるとき、前記間隙が、前記回転部材と前記第2の機体の一部とで満たされる、
請求項1に記載のマルチボディデバイス。
【請求項9】
前記第1の機体の前記ピボット側が空気吹出口を含み、前記第2の機体と前記第1の機体とが折り畳まれ閉じられるとき前記回転部材が前記空気吹出口を覆い、前記第2の機体が前記第1の機体に対し開かれるとき前記回転部材が前記空気吹出口を露出するよう解除される、
請求項1に記載のマルチボディデバイス。
【請求項10】
前記第2の機体の回転方向が、前記回転部材の回転方向と逆である、
請求項1に記載のマルチボディデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチボディデバイスに関するものであり、特に、回転可能なマルチボディデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、回転可能なマルチボディデバイス、例えばラップトップに関して、第2の機体と第1の機体との間で円滑に回転させるため、空間がラップトップの第2の機体の背面側(回転経路)に確保されて、他の構造との干渉からの擦り傷の可能性を防止する。一般的な方法としては、第2の機体が反転されるための空間を作るため、第1の機体のピボット側に間隙を提供することであるが、第2の機体と第1の機体が折り畳まれ閉じられたときにラップトップの外観が損なわれないことは可能でなく、外観の整合性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、外観が損なわれないマルチボディデバイスを提供し、干渉の問題を起こすことなく第2の機体を裏返すため、第2の機体の背面側に空間が確保される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの実施形態によると、マルチボディデバイスは、第1の機体と、第2の機体と、回転部材と、第1の磁性部材と、第2の磁性部材と、ストッパとを含む。第2の機体は、第1の機体のピボット側に回動可能に連結される。回転部材は、第1の機体のピボット側に回動可能な連結され、第2の機体の傍らに位置する。第1の磁性部材は第2の機体に設けられる。第2の磁性部材は、第1の磁性部材に対応する回転部材の一部に設けられる。第1の磁性部材と第2の磁性部材の2つの対応する端部は、互いに磁気的に反発する。ストッパは第2の機体により駆動され、回転部材の回転経路内へ延伸する、又は回転経路から後退するよう、第1の機体のピボット側に設けられる。第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられたとき、回転部材が回転することを防ぐため、第2の機体はストッパを回転部材の回転経路内に延伸させるよう駆動する。第2の機体が第1の機体に対して開かれたとき、第2の機体はストッパを回転部材の回転経路から後退させるよう駆動して第1の磁性部材を第2の磁性部材に接近するよう駆動し、第2の機体の回転の間に回転部材を第2の機体との干渉から防ぐため、磁気反発力により第2の磁性部材が第1の磁性部材から離れて回転部材を回転させるよう駆動する。
【0005】
本発明の1つの実施形態において、マルチボディデバイスは、ねじりバネを更に含む。ねじりバネの一端は第1の機体に固定され、ねじりバネの他端は回転部材に固定される。第2の機体が第1の機体に接近するとき、ねじりバネは回転部材を戻すよう駆動し、ストッパが回転部材の回転経路内に延伸する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、マルチボディデバイスは、回転シャフトを更に含む。回転シャフトは第2の機体に設けられ、第1の機体に回動可能に連結し、回転シャフトは第1の傾斜面を含む。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、マルチボディデバイスは、シャフトと移動部材とを更に含む。シャフトは第1の機体に設けられ、回転シャフトがシャフト上に被装される。移動部材は第1の機体に移動可能に設けられ、第1の傾斜面に当接する第2の傾斜面を含む。ストッパは移動部材により駆動される。第2の機体が開かれると同時に、回転シャフトが回転し、第1の傾斜面が移動部材を移動するよう第2の傾斜面を駆動し、これによりストッパは回転部材の回転経路から後退する。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、マルチボディデバイスは、シャフト上に被装され、移動部材又はストッパに当接する、弾性部材を更に含み、このため第2の機体が第1の機体に接近する間、移動部材が戻る。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、マルチボディデバイスは固定部材を更に含む。固定部材は第1の機体に固定され、枢軸孔と溝とを含む。回転シャフトは枢軸孔を通過する。シャフトは固定部材に固定される。ストッパはシャフト上に被装され、溝内へ伸びる凸部を含む。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、ストッパは、屈曲して接続された第1のセグメントと第2のセグメントとを含む。第1のセグメントはシャフト上に被装され、第2のセグメントは、回転部材の回転経路内に延伸するよう、又は回転部材の回転経路を離れるため第1の機体内に後退するよう、適合される。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、第1の機体のピボット側は間隙を含む。第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられるとき、間隙は、回転部材と、第2の機体の一部とで満たされる。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、第1の機体のピボット側は空気吹出口を含む。第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられるとき、回転部材が空気吹出口を覆い、第2の機体が第1の機体に対し開かれるとき、回転部材は空気吹出口が露出するため解除される。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、第1の機体の回転方向は、回転部材の回転方向とは逆である。
【発明の効果】
【0014】
上記を鑑み、本発明の1以上の実施形態により提供されるマルチボディデバイスの回転部材は、第1の機体のピボット側に設けられ、第2の機体の傍らに位置し、そのため第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられたときマルチボディデバイスの外観は損なわれない。加えて、第1の磁性部材が第2の機体に設けられる。第2の磁性部材が回転部材に設けられ、第1の磁性部材と第2の磁性部材とは互いに反発する。第2の機体が第1の機体に対し開かれる間、第1の磁性部材が第2の磁性部材に接近し、磁気反発力により第2の磁性部材が第1の磁性部材から離れ、回転部材を回転するよう駆動し、このため第2の機体との干渉を防ぐための空間を作る。更には、ストッパは、第2の機体により駆動され、第1の機体のピボット側に進退可能に設けられて、回転部材の回転経路内に延伸する又は回転経路から後退するよう適合される。第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられるとき、回転部材が回転することを防ぐため、ストッパが回転部材の回転経路内に延伸し、このため回転部材が誤って触れられて回転させられることを効果的に防ぐ。
【0015】
本発明を更に詳細に説明するため、図を伴ういくつかの例示的な実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施形態の詳細を参照していくが、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面及び説明において、同一又は類似の部材を参照するため同一の符号が用いられる
図1A】本発明の実施形態の1つによる、マルチボディデバイスの第2の機体が第1の機体上に折り畳まれ閉じられたときのマルチボディデバイスの外観の概略図である。
図1B】本発明の実施形態の1つによる、図1Aのマルチボディデバイスの第2の機体が第1の機体に対し開かれるときのマルチボディデバイスの外観の概略図である。
図2A図1Aにおける第2の機体と、回転部材と、ピボット側の概略斜視図である。
図2B図1Bにおける第2の機体と、回転部材と、ピボット側の概略斜視図である。
図3A図2Aの概略部分上面図である。
図3B図2Bの概略部分上面図である。
図4A図2Aの概略部分拡大図である。
図4B図2Bの概略部分拡大図である。
図5A図2Aの概略部分側面概略図である。
図5B図2Bの概略部分側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aは、本発明の実施形態の1つによる、マルチボディデバイスの第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられたときのマルチボディデバイスの外観の概略図である。図1Bは、本発明の実施形態の1つによる、図1Aのマルチボディデバイスの第2の機体が第1の機体に対し開かれるときのマルチボディデバイスの外観の概略図である。図1A図1Bとを参照し、本実施形態のマルチボディデバイス10は、例えばラップトップであるが、マルチボディデバイス10の種類はこれに限定されない。マルチボディデバイス10は、第1の機体12と、第2の機体14と、回転部材18とを含む。第1の機体12は、例えばラップトップのコンピュータ組立体であり、第2の機体14は、例えばラップトップのモニタである。
【0018】
第1の機体12のピボット側16は間隙O1を有し、第2の機体14は第1の機体12のピボット側16に回動可能な連結する。回転部材18は第1の機体12のピボット側16に回動可能な連結し、第2の機体14の傍らに位置する。図1Aに見られるように、第2の機体14と第1の機体12とが折り畳まれ閉じられるとき、間隙O1は、回転部材18と、第2の機体14の一部とで満たされる。換言すれば、第2の機体14の軸領域の外形輪郭と回転部材18の外形輪郭とが、間隙O1の外形輪郭と一致する。このため、マルチボディデバイス10の外観は損なわれない。
【0019】
加えて、図1Bに示されるように、第1の機体12のピボット側16は空気吹出口O2を有する。第2の機体14が第1の機体12上に折り畳まれ閉じられるとき(図1A)、回転部材18は、埃又はゴミが空気吹出口O2を介し第1の機体12のピボット側16に進入するのを防ぐため、空気吹出口O2を覆う。
【0020】
第2の機体14が第1の機体12に対し開かれるとき、回転部材18は、第2の機体14が第2の機体14と干渉することなく反転する(flip over)ための空間を作るため、対応して回転してよい。換言すれば、本実施形態のマルチボディデバイス10は、第2の機体14のための干渉されない回転経路を提供してよく、第2の機体14は擦り傷なく円滑に反転される。加えて、回転部材18は空気吹出口O2を露出するよう解除され、これにより放熱を改善する。詳細な構造を以下に説明する。
【0021】
図2Aは、図1Aにおける第2の機体と、回転部材と、ピボット側の概略斜視図である。図2Bは、図1Bにおける第2の機体と、回転部材と、ピボット側の概略斜視図である。図3Aは、図2Aの概略部分上面図である。図3Bは、図2Bの概略部分上面図である。図4Aは、図2Aの概略部分拡大図である。図4Bは、図2Bの概略部分拡大図である。図5Aは、図2Aの概略部分側面概略図である。図5Bは、図2Bの概略部分側面概略図である。
【0022】
図2A図5Bを参照し、本実施形態において、マルチボディデバイス10は、回転シャフト144と、第1の磁性部材142と、第2の磁性部材182とを含む。本実施形態において、回転シャフト144は第2の機体14に設けられる。第2の機体14は、回転シャフト144を介し第1の機体12に回動可能な連結する。回転シャフト144は第1の傾斜面146を含む。
【0023】
加えて、本実施形態において、第1の磁性部材142は第2の機体14に設けられる。第2の磁性部材182は、第2の機体14に対応する回転部材18の一部に設けられる。第1の磁性部材142と第2の磁性部材182の2つの対応する端部は、互いに磁気的に反発する。換言すれば、第1の磁性部材142の極性と第2の磁性部材182の極性とは同一の極で向かい合う。換言すれば、第1の磁性部材142のN極が第2の磁性部材182のN極と対面してよい、又は、第1の磁性部材142のS極が第2の磁性部材182のS極と対面してよい。
【0024】
図5Aに示されるように、第2の機体14が第1の機体12上に折り畳まれ閉じられるとき、第1の磁性部材142と第2の磁性部材182との間の距離はまだ遠く、第2の磁性部材182は第1の磁性部材142の磁気反発力により影響されない。この場合、回転部材18は回転せず且つ空気吹出口O2を覆い(図1B)、第1の機体12の間隙O1を第2の機体14と共に満たし、マルチボディデバイス10の外観は損なわれない。
【0025】
図5Bに示されるように、第2の機体14が第1の機体12に対し開かれるとき、第1の磁性部材142が第2の磁性部材182に接近すると、磁気反発力により第2の磁性部材182が第1の磁性部材142から離れ、回転部材18を回転するよう駆動し、これにより第2の機体14が回転するための、そして干渉を避けるための空間を作る。本実施形態において、第2の機体14の回転方向は、回転部材18の回転方向とは逆である。明らかに、他の実施形態において、第2の機体14の回転方向は回転部材18の回転方向と同一であってよい。
【0026】
第2の機体14と第1の機体12とが折り畳まれ閉じられるときにユーザによる誤った接触により回転部材18が下方に回転することを避けるため、本実施形態において、マルチボディデバイス10は、固定部材162と、シャフト167と、移動部材164と、ストッパ160とを更に含むことは言及するに値する。
【0027】
固定部材162は第1の機体12に固定される。例えば、固定部材162はロックにより第1の機体12に固定されてよい。ただし、固定部材162は溶接又は他の方法により第1の機体12に固定されてよい。図4Aに示されるように、固定部材162は枢軸孔1621と溝163とを含む。第2の機体14の回転シャフト144は、枢軸孔1621を通過してよい。加えて、本実施形態において、シャフト167(図4B)は第1の機体12を固定する。
【0028】
本実施形態において、移動部材164は、第1の機体12上に移動可能に設けられる。具体的には、移動部材164は、シャフト167上に移動可能に被装される。移動部材164は、第1の傾斜面146に当接する第2の傾斜面1641を有する。
【0029】
加えて、ストッパ160はシャフト167上に被装され、移動部材164により駆動される。具体的には、ストッパ160は、屈曲して接続された第1のセグメント161と第2のセグメント168とを含む。第1のセグメント161は、シャフト167上に被装され、移動部材164に当接する。ストッパ160の第2のセグメント168は、第1の機体12から突出するよう、又は、第1の機体12内に退縮し回転部材18の回転経路を離れるよう、第1の機体12のピボット側16に伸縮自在に配けられる。
【0030】
本実施形態において、ストッパ160は溝163内へ延伸する凸部165を更に含む。凸部165が溝163内へ延伸することから、固定部材162の溝163の壁は、凸部165の回転を制限するための制限面としての役割を果たしてよい。換言すれば、ストッパ160の凸部165と固定部材162の溝163との組合せは、ストッパ160が、回転シャフト144と共に回転するのではなく、溝163の延伸方向と共に移動することを確実にしてよい。このため、ストッパ160の第2のセグメント168は、第1の機体12から突出する、又は、第1の機体12内へ退縮するよう、溝163と平行の方向と共に移動する。
【0031】
上述した設計に基づき、図4Aに示されるように、第2の機体14と第1の機体12とが折り畳まれ閉じられるとき、移動部材164の第2の傾斜面1641が回転シャフト144の第1の傾斜面146に完全に当接する。この場合、ストッパ160の第2のセグメント168は第1の機体12から突出し、回転部材18の下方(回転経路)内へ延伸し、これにより回転部材18が圧迫により回転することを防ぐ。
【0032】
第2の機体14が開かれる間、図4Bに示されるように、回転シャフト144が回転し、回転シャフト144の第1の傾斜面146が移動部材164の第2の傾斜面1461を押す。移動部材164がストッパ160により駆動されるため、ストッパ160の凸部165は溝163と共に移動するのみである。
【0033】
このため、回転シャフト144は、移動部材164とストッパ160とが溝163と共に移動することを可能とするよう回転し、ストッパ160の第2のセグメント168は第1の機体12内に退縮し回転経路(回転部材18の下方)から後退するよう適合される。この場合、回転部材18の第2の磁性部材182は、空間を作るよう、第2の機体14の第1の磁性部材142の磁気反発力のため回転する。
【0034】
本実施形態において、マルチボディデバイス10は、ねじりバネ170と弾性部材166とを更に含むことは言及するに値する。ねじりバネ170の一端174は第1の機体12のピボット側に固定され、ねじりバネ170の他端172は回転部材18に固定される。第2の機体14が開かれるとき、ねじりバネ170は弾性位置エネルギーを蓄積する。第2の機体14が第1の機体12に接近すると(例えば、夾角の角度が約70度まで接近する)、第1の磁性部材142と第2の磁性部材182との間の距離が長くなり、第2の磁性部材182は第1の磁性部材142の磁気反発力に影響されず、ねじりバネ170が回転部材18を戻すよう駆動するため弾性位置エネルギーを放出する。
【0035】
加えて、弾性部材166はシャフト167上に被装され、移動部材164又はストッパ160に当接する。弾性部材166は、例えば、圧縮バネであるが、弾性部材166の種類はこれに限定されない。第2の機体14が開かれるとき、弾性部材166は弾性位置エネルギーを蓄積するよう圧縮される。第2の機体14が第1の機体12に接近するとき、弾性部材166は、移動部材164とストッパ160を戻すよう、蓄積した弾性位置エネルギーを放出する。このようにして、ストッパ160の第2のセグメント168が第1の機体12のピボット側から突出し、回転部材18が誤って押されることを防ぐため回転部材18の下方(回転経路)の中へ延伸する。
【0036】
本実施形態のマルチボディデバイス10において、第2の機体14が第1の機体12に対し90度(ただしこれに限定されない)まで開かれたとき、第2の機体14の背後の構造(回転部材18)は、第2の機体14が回転するための空間を作るよう、自動的に後退することが提供される。加えて、本実施形態のマルチボディデバイス10は回転部材18が自動的に戻る設計を更に提供し、このため第2の機体14が折り畳まれ閉じられるとき、マルチボディデバイス10の全体的な外観は損なわれない。加えて、第2の機体14がまだ折り畳まれ閉じられているとき、回転部材18を予期せず下方へ回転させて、これにより内部部品を損傷させることとなる、ユーザが誤って回転部材18を押すことを避けるため、進退可能なストッパ160は更に回転部材18の下方に設けられる。
【0037】
まとめると、本発明の1以上の実施形態により提供されるマルチボディデバイスの回転部材は、第1の機体のピボット側に設けられ、第2の機体の傍らに位置し、これにより第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられたときにマルチボディデバイスの外観は損なわれない。加えて、第1の磁性部材が第2の機体に設けられる。第2の磁性部材が回転部材に設けられ、第1の磁性部材と第2の磁性部材は相互に反発する。第2の機体が第1の機体に対し開かれるとき、第1の磁性部材が第2の磁性部材へと接近し、磁気反発力のため第2の磁性部材は第1の磁性部材から離れ、回転部材を回転するよう駆動し、このため第2の機体との干渉を防ぐための空間を作る。更には、ストッパが第2の機体により駆動され、第1の機体のピボット側に進退可能に設けられて、回転部材の回転経路内に延伸するよう、又は回転経路を離れるよう、適合される。第2の機体と第1の機体とが折り畳まれ閉じられるとき、ストッパは、誤った接触により回転部材が回転することを防ぐため、回転部材の回転経路内に延伸する。
【0038】
本発明は上記実施形態により開示されたが、該実施形態は本発明を限定することを意図していない。当業者にとって、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、開示された実施形態に様々な改変と変形を行うことができることは明らかであろう。上記を鑑み、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、本発明の改変及び変形を網羅することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のマルチボディデバイスはノート型コンピュータに応用することができる。
【符号の説明】
【0040】
O1:間隙
O2:空気吹出口
10:マルチボディデバイス
12:第1の機体
14:第2の機体
142:第1の磁性部材
144:回転シャフト
146:第1の傾斜面
16:ピボット側
160:ストッパ
161:第1のセグメント
162:固定部材
1621:枢軸孔
163:溝
164:移動部材
1641:第2の傾斜面
165:凸部18
166:弾性部材
167:シャフト
168:第2のセグメント
170:ねじりバネ
172、174:端
18:回転部材
182:第2の磁性部材
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B