(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】熱ポンプユニット及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 13/00 20060101AFI20220629BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F25B13/00 S
F25B13/00 P
F25B1/00 385Z
(21)【出願番号】P 2020517850
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 IB2018057535
(87)【国際公開番号】W WO2019064248
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】201710938025.X
(32)【優先日】2017-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811113760.8
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516389499
【氏名又は名称】ヨーク (ウーシー) エアー・コンディショニング・アンド・リフリジェレーション・カンパニー,リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】518010511
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ルブ,ルー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ホーンシェン
(72)【発明者】
【氏名】フー,チエン
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0115043(US,A1)
【文献】特開平06-281282(JP,A)
【文献】特開昭57-043176(JP,A)
【文献】実開昭52-163253(JP,U)
【文献】特開2010-190545(JP,A)
【文献】特開2014-119161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0288724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 13/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引端(106)及び排出端(105)を有する圧縮機(101);
入口端(108)及び出口端(109)を有する絞り装置(107);
第1ポート(116.1)及び第2ポート(116.2)を有する第1熱交換器(104)、第1ポート(121.1)及び第2ポート(121.2)を有する第2熱交換器(102)、並びに第1ポート(123.1)及び第2ポート(123.2)を有する第3熱交換器(103);
中圧タンク第1入口(112)が設けられた中圧タンク(110);を備える熱ポンプユニットであって、
前記第1熱交換器(104)の前記第1ポート(116.1)及び前記第2熱交換器(102)の前記第1ポート(121.1)は、前記圧縮機(101)の前記吸引端(106)に制御可能に流体連通し、前記圧縮機(101)の前記排出端(105)に制御可能に流体連通し、前記第3熱交換器(103)の前記第1ポート(123.1)は、前記圧縮機(101)の前記吸引端(106)に流体連通し、
前記第1熱交換器(104)の前記第2ポート(116.2)及び前記第2熱交換器(102)の前記第2ポート(121.2)は、前記絞り装置(107)の前記入口端(108)に制御可能に流体連通し、前記絞り装置(107)の前記出口端(109)に制御可能に流体連通し、前記中圧タンク第1入口(112)に制御可能に流体連通し、前記第3熱交換器(103)の前記第2ポート(123.2)は、前記絞り装置(107)の前記出口端(109)に制御可能に流体連通している、熱ポンプユニット。
【請求項2】
第1インタフェース(120.1)、第2インタフェース(120.2)、第3インタフェース(120.3)、及び第4インタフェース(120.4)を有する四方弁(120)を更に備え、
前記第1熱交換器(104)の前記第1ポート(116.1)は前記四方弁(120)の前記第2インタフェース(120.2)に接続され、前記第2熱交換器(102)の前記第1ポート(121.1)は前記四方弁(120)の前記第4インタフェース(120.4)に接続され、前記圧縮機(101)の前記吸引端(106)は前記四方弁(120)の前記第1インタフェース(120.1)に接続され、前記圧縮機(101)の前記排出端(105)は前記四方弁(120)の前記第3インタフェース(120.3)に接続されている、請求項1に記載の熱ポンプユニット。
【請求項3】
第1弁(115.1)及び第2弁(115.2)を含む絞り装置入口側制御弁グループであって、前記第1熱交換器(104)の前記第2ポート(116.2)及び前記第2熱交換器(102)の前記第2ポート(121.2)はそれぞれ、前記絞り装置入口側制御弁グループの前記第1弁(115.1)及び前記第2弁(115.2)を介して、前記絞り装置(107)の前記入口端(108)に制御可能に流体連通している、絞り装置入口側制御弁グループ;及び、
第1弁(118.1)、第2弁(118.2)、及び第3弁(118.3)を含む絞り装置出口側制御弁グループであって、前記第1熱交換器(104)の前記第2ポート(116.2)及び前記第2熱交換器(102)の前記第2ポート(121.2)はそれぞれ、前記絞り装置出口側制御弁グループの前記第1弁(118.1)及び前記第2弁(118.2)を介して、前記絞り装置(107)の前記出口端(109)に制御可能に流体連通し、前記第3熱交換器(103)の前記第2ポート(123.2)は、前記絞り装置出口側制御弁グループの前記第3弁(118.3)を介して、前記絞り装置(107)の前記出口端(109)に制御可能に流体連通している、絞り装置出口側制御弁グループ;を更に備える、請求項2に記載の熱ポンプユニット。
【請求項4】
前記中圧タンク(110)には中圧タンク第1出口(128)が設けられ、前記中圧タンク第1出口(128)は、前記絞り装置(107)の前記出口端(109)に制御可能に流体連通しており、
前記熱ポンプユニットは、
第1弁(113.1)及び第2弁(113.2)を備える中圧タンク第1入口制御弁グループであって、前記第1熱交換器(104)の前記第2ポート(116.2)及び前記第2熱交換器(102)の前記第2ポート(121.2)はそれぞれ、前記中圧タンク第1入口制御弁グループの前記第1弁(113.1)及び前記第2弁(113.2)を介して、前記中圧タンク第1入口(112)に制御可能に流体連通している、中圧タンク第1入口制御弁グループ;及び、
中圧タンク第1出口制御弁(114)であって、前記中圧タンク第1出口(128)は、前記中圧タンク第1出口制御弁(114)を介して、前記絞り装置(107)の前記出口端(109)に制御可能に流体連通している、中圧タンク第1出口制御弁、を更に備える、請求項3に記載の熱ポンプユニット。
【請求項5】
中圧タンク昇圧制御弁(135)、及び中圧タンク減圧制御弁(136)を更に備える、請求項4に記載の熱ポンプユニットであって、
前記中圧タンク(110)には、中圧タンク第2入口(181)及び中圧タンク第2出口(182)が設けられており、
前記中圧タンク第2入口(181)は、前記中圧タンク昇圧制御弁(135)を介して、前記圧縮機(101)の前記排出端(105)と前記四方弁(120)との間の流体経路に接続され、前記中圧タンク第2出口(182)は、前記中圧タンク減圧制御弁(136)を介して、前記圧縮機(101)の前記吸引端(106)に接続されている、熱ポンプユニット。
【請求項6】
前記中圧タンク第1入口制御弁グループは、第1一方向弁(125.1)及び第2一方向弁(125.2)を更に備え、前記第1一方向弁(125.1)は、前記中圧タンク第1入口制御弁グループの前記第1弁(113.1)と、前記中圧タンク第1入口(112)との間に接続され、前記第2一方向弁(125.2)は、前記中圧タンク第1入口制御弁グループの前記第2弁(113.2)と、前記中圧タンク第1入口(112)との間に接続される、請求項4に記載の熱ポンプユニット。
【請求項7】
前記絞り装置入口側制御弁グループの前記第1弁(115.1)及び前記第2弁(115.2)は、一方向弁である、請求項5に記載の熱ポンプユニット。
【請求項8】
制御装置(230)を更に備え、前記四方弁(120)、前記絞り装置出口側制御弁グループ、前記中圧タンク第1入口制御弁グループ、前記中圧タンク第1出口制御弁(114)、前記中圧タンク昇圧制御弁(135)、及び前記中圧タンク減圧制御弁(136)は、前記制御装置(230)に接続され、前記制御装置(230)によって制御される、請求項7に記載の熱ポンプユニット。
【請求項9】
前記第1熱交換器(104)及び前記第3熱交換器(103)はそれぞれ、第1給水機と戻り管(111.1)、及び第2給水機と戻り管(111.2)に接続されている、請求項1に記載の熱ポンプユニット。
【請求項10】
前記圧縮機(101)、前記絞り装置(107)、並びに前記第1熱交換器(104)、前記第2熱交換器(102)及び前記第3熱交換器(103)を通る冷媒の流路を制御することにより、前記熱ポンプユニットを複数のモードで稼働すること、及び前記複数のモード間を切り替えることが可能なように、前記熱ポンプユニットは構成されており、
モード切替時に圧力解放が必要な前記第1熱交換器(104)及び前記第2熱交換器(102)のいずれかからの高圧冷媒を、前記中圧タンク(110)によって受け入れられ得る、請求項1に記載の熱ポンプユニット。
【請求項11】
熱ポンプユニットを制御する方法であって、前記熱ポンプユニットは、圧縮機(101)、絞り装置(107)、第1熱交換器(104)、第2熱交換器(102)、第3熱交換器(103)、及び中圧タンク(110)を備え、前記熱ポンプユニットは、複数のモードで稼働することが可能であり、前記第1熱交換器(104)又は前記第2熱交換器(102)は、前記複数のモードで凝縮器として機能することが可能であり、前記方法は、
前記熱ポンプユニットの稼働モードを切替前稼働モードから切替後稼働モードに切り替えることが望まれる場合に、圧力解放操作を、前記第1熱交換器(104)に実施することが望まれるか、又は前記第2熱交換器(102)に実施することが望まれるかを判定すること;
前記圧力解放操作を前記第1熱交換器(104)に実施することが望まれるという判定に応答して、前記切替前稼働モードを維持し、操作1を実施することであって、前記操作1は、冷媒を前記第1熱交換器(104)から前記中圧タンク(110)へと放出するように、前記第1熱交換器(104)を前記中圧タンク(110)の第1入口(112)に流体連通させることを含む、こと;又は、
前記圧力解放操作を前記第2熱交換器(102)に実施することが望まれるという判定に応答して、前記切替前稼働モードを維持し、操作2を実施することであって、前記操作2は、冷媒を前記第2熱交換器(102)から前記中圧タンク(110)へと放出するように、前記第2熱交換器(102)を前記中圧タンク(110)の前記第1入口(112)に流体連通させることを含む、こと;を含む方法。
【請求項12】
操作3を実行することであって、前記操作3は、前記操作1が実施されてから第1の所定時間が経過した後、前記第1熱交換器(104)を前記中圧タンク(110)の前記第1入口(112)から切断することを含む、こと;又は、
操作4を実行することであって、前記操作4は、前記操作2が実施されてから第2の所定時間が経過した後、前記第2熱交換器(102)を前記中圧タンク(110)の前記第1入口(112)から切断することを含む、こと;を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記操作3又は前記操作4が実施された後に、前記切替後稼働モードを開始させること、及び前記切替前稼働モードを終了させること、を更に含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記切替後稼働モードが開始された後、前記切替後稼働モードの冷媒循環ループに冷媒を補充することが望まれるという判定に応答して、操作5を実施することを更に含み、前記操作5は、前記中圧タンク(110)の第1出口(128)を前記絞り装置(107)の出口端(109)に流体連通させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記操作5の間に、前記中圧タンク(110)内の圧力が第1の所定圧力値未満であるという判定に応答して、前記中圧タンク(110)内の圧力を昇圧させるように、前記中圧タンク(110)の第2入口(181)を前記圧縮機(101)の排出端(105)に流体連通させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記操作1又は前記操作2の間に、前記中圧タンク(110)内の圧力が第2の所定圧力値を超えているという判定に応答して、前記中圧タンク(110)内の圧力を減圧させるように、前記中圧タンク(110)の第2出口(182)を前記圧縮機(101)の吸引端(106)に流体連通させること、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記圧力解放操作を、前記第1熱交換器(104)に実施することが望まれるか、又は前記第2熱交換器(102)に実施することが望まれるかを判定する工程が、
前記切替前稼働モードで凝縮器として機能する前記第1熱交換器(104)又は前記第2熱交換器(102)が、前記切替後稼働モードにおいて凝縮器として機能しない場合に、前記圧力解放操作を、前記第1熱交換器(104)又は前記第2熱交換器(102)に実施することが望まれると判定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のモードは、冷却専用モード、加熱専用モード、冷却プラス加熱モード、及び除霜モードを含み、
前記第1熱交換器(104)及び前記第3熱交換器(103)はそれぞれ、第1給水機と戻り管(111.1)、及び第2給水機と戻り管(111.2)に接続されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記熱ポンプユニットが前記冷却専用モードで稼働する場合、前記圧縮機(101)、前記絞り装置(107)、前記第2熱交換器(102)、及び前記第3熱交換器(103)は、冷媒循環ループにあり、前記第2熱交換器(102)は前記冷却専用モードにおいて凝縮器として機能し;
前記熱ポンプユニットが前記加熱専用モードで稼働する場合、前記圧縮機(101)、前記絞り装置(107)、前記第1熱交換器(104)、及び前記第2熱交換器(102)は、冷媒循環ループにあり、前記第1熱交換器(104)は前記加熱専用モードにおいて凝縮器として機能し;
前記熱ポンプユニットが前記冷却プラス加熱モードで稼働する場合、前記圧縮機(101)、前記絞り装置(107)、前記第1熱交換器(104)、及び前記第3熱交換器(103)は、冷媒循環ループにあり、前記第1熱交換器(104)は前記冷却プラス加熱モードにおいて凝縮器として機能し;
前記熱ポンプユニットが前記除霜モードで稼働する場合、前記圧縮機(101)、前記絞り装置(107)、前記第1熱交換器(104)、及び前記第2熱交換器(102)は、冷媒循環ループにあり、前記第2熱交換器(102)は前記除霜モードにおいて凝縮器として機能する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
圧力解放操作を、前記第1熱交換器(104)に実施することが望まれるか、又は前記第2熱交換器(102)に実施することが望まれるかを判定することが、
前記切替前稼働モードが前記冷却専用モードであり、前記切替後稼働モードが前記加熱専用モード又は前記冷却プラス加熱モードである場合は、前記圧力解放操作を前記第2熱交換器(102)に実施することが望まれると判定すること;
前記切替前稼働モードが前記加熱専用モードであり、前記切替後稼働モードが前記冷却専用モード又は前記除霜モードである場合は、前記圧力解放操作を前記第1熱交換器(104)に実施することが望まれると判定すること;
前記切替前稼働モードが前記冷却プラス加熱モードであり、前記切替後稼働モードが前記冷却専用モードである場合は、前記圧力解放操作を前記第1熱交換器(104)に実施することが望まれると判定すること;又は、
前記切替前稼働モードが前記除霜モードであり、前記切替後稼働モードが前記加熱専用モードである場合は、前記圧力解放操作を前記第2熱交換器(102)に実施することが望まれると判定すること;を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年9月30日に出願された、「Heat Pump Unit and The Control Method Thereof」と題する中国特許出願公開第201710938025X号明細書、及び2018年9月25日に出願された、「Heat Pump Unit and The Method for Control the Heat Pump Unit」と題する中国特許出願公開第2018111137608号明細書の利益及び優先権を主張し、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本出願は、熱ポンプの分野に関し、具体的には、冷熱の両方についての要求がある用途シナリオに適用可能な熱ポンプユニット(又は熱ポンプシステム)、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
熱ポンプユニットは、圧縮機、絞り装置、及び少なくとも2つの熱交換器を備え、圧縮機、絞り装置、及び少なくとも2つの熱交換器は冷媒循環システムを形成し、熱は熱交換器を介して作業端(水など)と交換され、それにより、作業端を冷却しながら、熱回収加熱のために凝縮熱が使用され得る。熱ポンプユニットは複数のモードで稼働し、複数のモード間を切り替えることが可能である。
【0004】
熱ポンプユニットの稼働モードが切り替えられると、循環システム内の冷媒の流れる方向を変更する必要があり得る。この場合、圧縮機が最初に停止される場合があり、一定時間後に循環システムの高圧側の熱交換器(すなわち、凝縮器として機能する熱交換器)の圧力が解放され、次いで熱交換器が低圧側に切り替えられる。本開示の発明者らは、既存の熱ポンプユニットでは、時間内に作業モード間の切替えをできないことを見出した。加えて、モード切替時に、循環システム内の圧力が大きく変動し、パイプラインに大きな影響を与える。従って、騒音及び振動の程度が非常に高いので、熱ポンプユニットに関連する安定性と快適性の程度が低下する。とりわけ、熱交換器にとって除霜及び排水が必要な場合は、停止及び圧力解放時間が除霜及び排水時間を上回り、そのため、熱ポンプユニットの作業効率は大きな影響を受ける。
【0005】
更には、圧縮機及び絞り装置の方向を変更するように、多機能熱ポンプユニット内に複数の四方逆転弁又は三方逆転弁を設ける必要があり得る。従って、パイプラインの接続構造は複雑であり、システムのエネルギー効率は低く、冷媒漏れのリスクは非常に高く、複数の機能を切り替えて調節するために複雑な制御方法が必要になる場合がある。
【0006】
上述の問題を解決するために、本出願の少なくとも1つの目的は、複数の機能を有し、複数の機能間の自由な切替えを便利に、円滑に、効率的に実施する熱ポンプユニットを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実現形態は熱ポンプユニットである。熱ポンプユニットは、吸引端及び排出端を有する圧縮機、入口端及び出口端を有する絞り装置、第1ポート及び第2ポートを有する第1熱交換器、第1ポート及び第2ポートを有する第2熱交換器、第1ポート及び第2ポートを有する第3熱交換器、並びに中圧タンク第1入口が設けられている中圧タンクを含む。第1熱交換器の第1ポート及び第2熱交換器の第1ポートは、圧縮機の吸引端に制御可能に流体連通し、圧縮機の排出端に制御可能に流体連通している。第3熱交換器の第1ポートは、圧縮機の吸引端に流体連通している。第1熱交換器の第2ポート及び第2熱交換器の第2ポートは、絞り装置の入口端に制御可能に流体連通し、絞り装置の出口端に制御可能に流体連通し、中圧タンク第1入口に制御可能に流体連通している。第3熱交換器の第2ポートは、絞り装置の出口端に制御可能に流体連通している。
【0008】
熱ポンプユニットは、第1インタフェース、第2インタフェース、第3インタフェース、及び第4インタフェースを有する四方弁を更に含むことができる。第1熱交換器の第1ポートは四方弁の第2インタフェースに接続され、第2熱交換器の第1ポートは四方弁の第4インタフェースに接続され、圧縮機の吸引端は四方弁の第1インタフェースに接続され、圧縮機の排出端は四方弁の第3インタフェースに接続されている。
【0009】
熱ポンプユニットは、第1弁及び第2弁を含む絞り装置入口側制御弁グループを更に含むことができる。第1熱交換器の第2ポート及び第2熱交換器の第2ポートは、絞り装置入口側制御弁グループの第1弁及び第2弁を介して、絞り装置の入口端に制御可能に流体連通することができる。熱ポンプユニットは、第1弁、第2弁及び第3弁を含む絞り装置出口側制御弁グループを更に備えることができる。第1熱交換器の第2ポート及び第2熱交換器の第2ポートは、絞り装置出口側制御弁グループの第1弁及び第2弁を介して、絞り装置の出口端に制御可能に流体連通することができる。第3熱交換器の第2ポートは、絞り装置出口側制御弁グループの第3弁を介して、絞り装置の出口端に制御可能に流体連通することができる。
【0010】
中圧タンクには、中圧第1出口が設けられ得る。中圧第1出口は、絞り装置の出口端に制御可能に流体連通することができる。熱ポンプユニットは、第1弁及び第2弁を含む中圧タンク第1入口制御弁グループを更に備えることができる。第1熱交換器の第2ポート及び第2熱交換器の第2ポートはそれぞれ、中圧タンク第1入口制御弁グループの第1弁及びポリマー第2弁を介して、中圧タンク第1入口に制御可能に流体連通することができる。熱ポンプユニットは、中圧タンク第1出口制御部を更に備えることができる。中圧第1出口は、中圧タンク第1出口制御弁を介して、絞り装置の出口端に制御可能に流体連通することができる。
【0011】
熱ポンプユニットは、中圧タンク昇圧制御弁、及び中圧タンク減圧制御弁を更に含むことができる。中圧タンクには、中圧タンク第2入口及び中圧タンク第2出口が設けられ得る。中圧タンク第2入口は、中圧タンク昇圧制御弁を介して、圧縮機の排出端と四方弁との間の流体経路に接続され得る。中圧タンク第2出口は、中圧タンク減圧制御弁を介して、圧縮機の吸引端に接続され得る。
【0012】
中圧タンク第1入口制御弁グループは、第1一方向弁及び第2一方向弁を更に含み得る。第1一方向弁は、中圧タンク第1入口制御弁グループの第1弁と中圧タンク第1入口との間に接続され得る。第2一方向弁は、中圧タンク第1入口制御弁グループの第2弁と中圧タンク第1入口との間に接続され得る。
【0013】
絞り装置入口側制御弁グループの第1弁及び第2弁は、一方向弁であり得る。第1熱交換器、及び第3熱交換器はそれぞれ、第1給水機と戻り管、及び第2給水機と戻り管に接続され得る。
【0014】
熱ポンプユニットは、制御装置を更に含み得る。四方弁、絞り装置出口側制御弁グループ、中圧タンク第1入口制御弁グループ、中圧タンク第1出口制御弁、中圧タンク昇圧制御弁、及び中圧タンク減圧制御弁は、制御装置に接続され、制御装置によって制御され得る。
【0015】
圧縮機、絞り装置、並びに第1熱交換器、第2熱交換器及び第3熱交換器を通る冷媒の流路を制御することにより、熱ポンプユニットを複数のモードで稼働すること、及び複数のモード間を切り替えることが可能なように、熱ポンプユニットが構成され得る。モード切替時に圧力解放が必要な第1熱交換器及び第2熱交換器のいずれかからの高圧冷媒を、中圧タンクによって受け入れられ得る。
【0016】
本開示の別の実現形態は、熱ポンプユニットを制御する方法である。熱ポンプユニットは、圧縮機、絞り装置、第1熱交換器、第2熱交換器、第3熱交換器、及び中圧タンクを含む。熱ポンプユニットは複数のモードで稼働することが可能であり、第1熱交換器又は第2熱交換器は複数のモードで凝縮器として機能することが可能である。この方法は、熱ポンプユニットの稼働モードを切替前稼働モードから切替後稼働モードに切り替えることが望まれる場合に、圧力解放操作を、第1熱交換器に実施することが望まれるか、又は第2熱交換器に実施することが望まれるかを判定することを含む。方法は、圧力解放操作を第1熱交換器に実施することが望まれるという判定に応答して、切替前稼働モードを維持し、操作1を実施するであって、操作1は、冷媒を第1熱交換器から中圧タンクへと放出するように、第1熱交換器を中圧タンクの第1入口に流体連通させることを含む、こと;又は、圧力解放操作を第2熱交換器に実施することが望まれるという判定に応答して、切替前稼働モードを維持し、操作2を実施することであって、操作1は、冷媒を第2熱交換器から中圧タンクへと放出するように、第2熱交換器を中圧タンクの第1入口に流体連通させること、を更に含む。
【0017】
方法は、操作3を実行することを更に含むことができ、操作3は、操作1が実施されてから第1の所定時間が経過した後、第1熱交換器を中圧タンクの第1入口から切断することを含む。方法は、操作4を実行することを更に含むことができ、操作4は、操作2が実施されてから第2の所定時間が経過した後、第2熱交換器を中圧タンクの第1入口から切断することを含む。
【0018】
この方法は、操作3又は操作4が実施された後に、切替後稼働モードを開始させること、及び切替前稼働モードを終了させることを更に含み得る。
【0019】
方法は、切替後稼働モードが開始された後、切替後稼働モードの冷媒循環ループに冷媒を補充することが望まれるという判定に応答して、操作5を実施することを更に含むことができ、操作5は、中圧タンクの第1出口を絞り装置の出口端に流体連通させることを含む。
【0020】
この方法は、操作5の実施中に、中圧タンク内の圧力が第1の所定圧力値未満であるという判定に応答して、中圧タンク内の圧力を昇圧させるように、中圧タンクの第2入口を圧縮機の排出端に流体連通させることを更に含み得る。
【0021】
この方法は、操作1又は操作2の間に、中圧タンク内の圧力が第2の所定圧力値を超えるという判定に応答して、中圧タンク内の圧力を減圧させるように、中圧タンクの第2出口を圧縮機の吸引端に流体連通させることを更に含み得る。
【0022】
圧力解放操作を、第1熱交換器に実施することが望まれるか、又は第2熱交換器に実施することが望まれるかを判定する工程が、切替前稼働モードで凝縮器として機能する第1熱交換器又は第2熱交換器が、切替後稼働モードにおいて凝縮器として機能しない場合に、圧力解放操作を、第1熱交換器又は第2熱交換器に実施することが望まれると判定することを含み得る。
【0023】
複数のモードは、冷却専用モード、加熱専用モード、冷却プラス加熱モード、及び除霜モードを含み得る。第1熱交換器、及び第3熱交換器はそれぞれ、第1給水機と戻り管、及び第2給水機と戻り管に接続され得る。
【0024】
熱ポンプユニットが冷却専用モードで稼働する場合、圧縮機、絞り装置、第2熱交換器、及び第3熱交換器は、冷媒循環ループにある可能性があり、第2熱交換器は冷却専用モードにおいて凝縮器として機能する。熱ポンプユニットが加熱専用モードで稼働する場合、圧縮機、絞り装置、第1熱交換器、及び第2熱交換器は、冷媒循環ループにある可能性があり、第1熱交換器は加熱専用モードにおいて凝縮器として機能する。熱ポンプユニットが冷却プラス加熱モードで稼働する場合、圧縮機、絞り装置、第1熱交換器、及び第3熱交換器は、冷媒循環ループにある可能性があり、第1熱交換器は冷却プラス加熱モードにおいて凝縮器として機能する。熱ポンプユニットが除霜モードで稼働する場合、圧縮機、絞り装置、第1熱交換器、及び第2熱交換器は、冷媒循環ループにある可能性があり、第2熱交換器は除霜モードにおいて凝縮器として機能する。
【0025】
圧力解放操作を、第1熱交換器に実施することが望まれるか、又は第2熱交換器に実施することが望まれるかを判定する工程が、切替前稼働モードが冷却専用モードであり、一方、切替後稼働モードが加熱専用モード又は冷却プラス加熱モードである場合は、圧力解放操作を第2熱交換器に実施することが望まれると判定すること;切替前稼働モードが加熱専用モードであり、一方、切替後稼働モードが冷却専用モード又は除霜モードである場合は、圧力解放操作を第1熱交換器に実施することが望まれると判定すること;切替前稼働モードが冷却プラス加熱モードであり、一方、切替後稼働モードが冷却専用モードである場合は、圧力解放操作を第1熱交換器に実施することが望まれると判定すること;又は、切替前稼働モードが除霜モードであり、一方、切替後稼働モードが加熱専用モードである場合は、圧力解放操作を第2熱交換器に実施することが望まれると判定すること;を含み得る。
【0026】
中圧タンクを使用して熱交換器から高圧冷媒を受け取ることにより、本開示の熱ポンプユニットは、一切シャットダウンすることなく、複数のモード間を時間内に切り替えることができる。従って、熱交換器が圧力を解放するのを待つ時間が短縮され、切替え効率を改善させることができる。従って、本開示の熱ポンプユニットは、冷却専用、加熱専用、冷却プラス加熱、及び除霜などの複数のモードを実現できるだけでなく、熱ポンプユニットの作業状態を、作業条件の要件に応じて柔軟に調節することができる。従って、熱ポンプユニットの冷却能力及び加熱能力を、作業条件の要件を満たすように調節することができる。加えて、本願の熱ポンプユニットのパイプライン接続は単純な場合があり、気液分離器又は液体貯蔵器を別々に設ける必要がなく、構造は小型であり、冷媒漏れの危険性は低減され、熱ポンプユニットの信頼性は改善される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示の実施形態による熱ポンプユニットのブロック図である。
【
図2A】本開示の実施形態による、
図1の熱ポンプユニット用の制御装置のブロック図である。
【
図2B】本開示の実施形態による、
図1の熱ポンプユニット用の制御装置のブロック図である。
【
図2C】本開示の実施形態による、
図1の熱ポンプユニット用の制御装置のブロック図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、冷却専用モードで稼働している
図1の熱ポンプユニットの冷媒循環ループを示すブロック図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、加熱専用モードで稼働している
図1の熱ポンプユニットの冷媒循環ループを示すブロック図である。
【
図3C】いくつかの実施形態による、冷却プラス加熱モードで稼働している
図1の熱ポンプユニットの冷媒循環ループを示すブロック図である。
【
図3D】いくつかの実施形態による、除霜モードで稼働している
図1の熱ポンプユニットの冷媒循環ループを示すブロック図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、
図1の熱ポンプユニットの稼働モードを切り替える方法を示すプロセスフロー図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による、
図1の熱ポンプユニットの稼働モードを、冷却モードから冷却プラス加熱モードへと切り替える場合の冷媒の流路を示すブロック図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、冷媒補充操作を、冷却プラス加熱モードで実施している
図1の熱ポンプユニットの冷媒循環ループに実施する場合の、冷媒の流路を示すブロック図である。
【
図6】本開示の別の実施形態による熱ポンプユニットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本明細書の一部を構成する図面を参照して、本出願の様々な具体的な実現形態について説明する。方向を示す用語、例えば「前」、「背後」、「上方」、「下方」、「左」、及び「右」は、本明細書における様々な例示的な構造的な部品及び構成要素を説明するために使用され、これら用語は、説明の便宜のためにのみ使用され、図面で例示された方向に基づいて決定されていることを理解されたい。本願で開示される実施形態は、様々な方向で設定することができるので、方向を示すこれら用語は、制限としてではなく、例示としてのみ使用される。
【0029】
図1は、本開示の実施形態による熱ポンプユニットのブロック図である。
図1に示すように、本開示の熱ポンプユニットは、圧縮機101、絞り装置107、第1熱交換器104、第2熱交換器102、第3熱交換器103、中圧タンク110、四方弁120、及び以下で紹介されることになる複数の他の弁を備える。
図1の構成要素(圧縮機101、絞り装置107、第1熱交換器104、第2熱交換器102、第3熱交換器103、中圧タンク110、四方弁120、及び複数の他の弁を含む)間の接続ラインは、接続パイプラインを表す。圧縮機101は吸引端106及び排出端105を有し、吸引端106及び排出端105はそれぞれ、四方弁120に接続されている。圧縮機101は、その吸引端106から排出端105への流体の一方向の流れを可能にする。絞り装置107は入口端108及び出口端109を有し、絞り装置107の入口端108から出口端109への流体の一方向の流れを可能にする。他の実施形態では、四方弁120は、他の弁又は弁グループと置き換え可能である。
図1に示す四方弁120は、第1インタフェース120.1、第2インタフェース120.2、第3インタフェース120.3、及び第4インタフェース120.4を含む4つのインタフェースを有する。第1インタフェース120.1は圧縮機101の吸引端106に接続され、第3インタフェース120.3は圧縮機101の排出端105に接続され、第2インタフェース120.2は第1熱交換器104に接続され、第4インタフェース120.4は第2熱交換器102に接続されている。
【0030】
四方弁120の第3インタフェース120.3が第2インタフェース120.2に接続され、第1インタフェース120.1が第4インタフェース120.4に接続されている場合、圧縮機101の排出端105は第1熱交換器104に流体連通しており、圧縮機101の吸引端106は第2熱交換器102に流体連通している。このようにして、第1熱交換器104は、熱ポンプユニットの高圧側に配置される凝縮器として機能することが可能であり、一方、第2熱交換器102は、熱ポンプユニットの低圧側に配置されることが可能である。
【0031】
四方弁120の第3インタフェース120.3が第4インタフェース120.4に接続され、第1インタフェース120.1が第2インタフェース120.2に接続されている場合、圧縮機101の排出端105は第2熱交換器102に流体連通しており、圧縮機101の吸引端106は、第1熱交換器104に流体連通している。このようにして、第2熱交換器102は、熱ポンプユニットの高圧側に配置される凝縮器として機能することが可能であり、一方、第1熱交換器104は、熱ポンプの低圧側に配置されることが可能である。
【0032】
図1に示すように、熱ポンプユニットは第3熱交換器103を更に備え、第3熱交換器103は、圧縮機101の吸引端106に流体連通している。従って、第3熱交換器103は、熱ポンプユニットの低圧側に配置される場合があり、凝縮器として機能しない場合がある。
【0033】
やはり
図1に示すように、第1熱交換器104、第2熱交換器102、及び第3熱交換器103はそれぞれ、少なくとも2つのポートを有し、第1熱交換器104の第1ポート116.1、及び第2熱交換器102の第1ポート121.1は、四方弁120に接続するように構成され、第3熱交換器103の第1ポート123.1は、圧縮機101の吸引端106に接続するように構成されている。熱ポンプユニットは、絞り装置入口側制御弁グループ115.1、115.2、及び絞り装置出口側制御弁グループ118.1、118.2、118.3を更に備える。
【0034】
第1熱交換器104は、第2ポート116.2を更に有する。第2ポート116.2は、絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1を介して、絞り装置107の入口端108に流体連通し、第2ポート116.2は、絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1を介して、絞り装置107の出口端109に流体連通しており、それにより、第2ポート116.2は、絞り装置107の出口端109から流出する冷媒を受け入れるための第1熱交換器104の入口として機能するだけでなく、絞り装置107の入口端108に冷媒を供給するための第1熱交換器104の出口として機能することもできる。従って、第1熱交換器104は、その第1ポート116.1から第2ポート116.2への、又はその第2ポート116.2から第1ポート116.1への、流体の制御可能な双方向の流れを可能にする。
【0035】
第1熱交換器104と同様に、第2熱交換器102も第2ポート121.2を有する。第2ポート121.2は、絞り装置入口側制御弁グループの第2弁115.2を介して絞り装置107の入口端108に流体連通し、絞り装置出口側制御弁グループの第2弁118.2を介して絞り装置107の出口端109に流体連通している。従って、第2熱交換器102は、その第1ポート121.1から第2ポート121.2への、又はその第2ポート121.2から第1ポート121.1への、流体の制御可能な双方向の流れを可能にする。
【0036】
第3熱交換器103も第2ポート123.2を有するが、第3熱交換器103の第2ポート123.2は、絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3を介して絞り装置107の出口端109にのみ流体連通している。
【0037】
図1に示す実施形態では、絞り装置107は膨張弁であり、高圧冷媒は入口端108から膨張弁107の中に入って低圧冷媒に変化し、低圧冷媒は次いで、出口端109から放出される。従って、第1熱交換器104及び第2熱交換器102内の冷媒を絞り装置107の入口端108に制御可能に流すために、絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1及び第2弁115.2は、ソレノイド弁又は一方向弁であり得る。例えば、
図1に示す実施形態における絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1及び第2弁115.2は一方向弁であるので、より多くの費用を節約することができる。第1熱交換器104内の冷媒は、一方向弁115.1が開放している時、絞り装置107の入口端108に流れることができ、第2熱交換器102内の冷媒は、一方向弁115.2が開放している時、絞り装置107の入口端108に流れることができる。
【0038】
一方向弁は、
図2Aに示すような制御装置230によって制御される必要なしに、一方向弁の両端間の圧力差に起因して自動的に開閉される。しかし、本開示によると、絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1及び第2弁115.2はまた、
図2Aに示すように制御装置230に接続され、制御装置230によって制御されるソレノイド弁であり得る。絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1、第2弁118.2、及び第3弁118.3は、ソレノイド弁とすることができ、それにより、絞り装置107の出口端109から流出する冷媒は、必要な熱交換器に制御可能に流入することができる。例えば、絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1が開放され、絞り装置出口側制御弁グループの第2弁118.2及び第3弁118.3が閉じられた場合、絞り装置107の出口端109から流出する冷媒は、第1熱交換器104に流入することができる。
【0039】
上述の第1熱交換器104、第2熱交換器102、及び第3熱交換器103は、異なるタイプの熱交換器、例えば空気と熱交換する空気熱交換器、又は水と熱交換する水側熱交換器であり得る。例示的な実施形態として、第2熱交換器102は、作業端に接続されていない空気熱交換器であり、第1熱交換器104及び第3熱交換器103は、水側熱交換器であり、それぞれ第1給水機と戻り管111.1及び第2給水機と戻り管111.2に接続され、それにより、熱交換器は、熱交換時にユーザ側で必要な加熱負荷又は冷却負荷を供給できる。別の例として、本出願の熱ポンプユニットは、3個を超える熱交換器を含み得る。
【0040】
やはり
図1に示すように、熱ポンプユニットは中圧タンク110を更に備える。中圧タンク110は、冷媒を貯蔵するための容器である。冷媒は、冷媒液体、又は冷媒ガス、又は冷媒のガスと液体との混合物であり得る。中圧タンク110は、中圧タンク第1入口112及び中圧タンク第1出口128を有し、中圧タンク第1入口112は、中圧タンク第1入口制御弁グループ113.1、113.2を介して、凝縮器として機能することが可能な熱交換器(すなわち、第1熱交換器104及び第2熱交換器102)に流体連通している。
【0041】
図1に示す実施形態では、中圧タンク第1入口112は、中圧タンク第1入口制御弁グループの第1弁113.1及び第2弁113.2を介して、それぞれ、第1熱交換器104の第2ポート116.2及び第2熱交換器102の第2ポート121.2に流体連通している。一例として、中圧タンク第1入口112は、中圧タンク第1入口制御弁グループの第1弁113.1を介して、絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1と絞り装置107の入口端108との間の流体経路に接続され、中圧タンク第1入口制御弁グループの第2弁113.2を介して、絞り装置入口側制御弁グループの第2弁115.2と絞り装置107の入口端108との間の流体経路に接続されている。従って、第1熱交換器104及び第2熱交換器102内の高圧冷媒は、絞り装置入口側制御弁グループ115.1、115.2及び中圧タンク第1入口制御弁グループ113.1、113.2を制御することにより、中圧タンク110の中に流入し得る。別の例として、示された中圧タンク第1入口112が複数存在する場合があり、各入口はそれぞれ、対応する第1入口制御弁を介して、凝縮器として機能することが可能な熱交換器に流体連通している。別の実施形態では、中圧タンク第1入口制御弁グループには1つの弁のみが設けられ、その弁を通じて、中圧タンク第1入口112が絞り装置107の入口端108に接続される。
【0042】
図1に示す中圧タンク110では、中圧タンク第1出口128は、中圧タンク第1出口制御弁114を介して、稼働中の熱ポンプユニットの低圧側に流体連通しており、従って、中圧タンク110内の冷媒は、冷媒循環ループの中に流入して、冷媒循環ループに冷媒を補充し得る。中圧タンク第1出口128は、中圧タンク第1出口制御弁114を介して、第1熱交換器104の第2ポート116.2、第2熱交換器102の第2ポート121.2、及び第3熱交換器103の第2ポート123.2に流体連通している。熱ポンプユニットの稼働安定性を改善するために、中圧タンク第1出口制御弁114は、中圧タンク第1出口128から流出する冷媒を、確実に低圧冷媒に変化させることができる膨張弁とすることができ、その時、低圧冷媒は稼働中の熱ポンプユニットの低圧側に流入する。一例として、中圧タンク第1出口128は、中圧タンク第1出口制御弁114を介して、絞り装置107の出口端109に流体連通している。中圧タンク第1入口112及び中圧タンク第1出口128は、主に冷媒液の送達に使用され、よって、それらは中圧タンク110の底部に設けられる。
【0043】
熱ポンプユニットは、中圧タンク昇圧制御弁135、及び中圧タンク減圧制御弁136を更に備える。中圧タンク110には、中圧タンク第2入口181及び中圧タンク第2出口182が更に設けられている。一例として、中圧タンク第2入口181は、中圧タンク昇圧制御弁135を介して、圧縮機101の排出端105と四方弁120との間の流体経路に接続され、中圧タンク第2出口182は、中圧タンク減圧制御弁136を介して、圧縮機101の吸引端106に接続されている。中圧タンク第1入口112及び中圧タンク第1出口128は、主に冷媒ガスの送達に使用され、よって、それらは中圧タンク110の頂部に設けられる。
【0044】
中圧タンク110は、中圧タンク第1入口112を介して、凝縮器として機能することが可能な熱交換器から放出された高圧冷媒を受け取り、その結果、熱交換器内の冷媒及び圧力は低下するが、中圧タンク110内の冷媒及び圧力は増加する。中圧タンク110はまた、中圧タンク第1出口128を介して、熱ポンプユニットの冷媒循環ループに冷媒を補充し得る。中圧タンク110内の圧力が高すぎる場合は、中圧タンク減圧制御弁136を開放することにより、中圧タンク110内の冷媒ガスを圧縮機101の吸引端106に送達することにより減圧され得る。中圧タンク110内の圧力が低すぎる場合は、中圧タンク昇圧制御弁135を開放することにより、圧縮機101の排出端105から中圧タンク110へと高圧冷媒ガスを送達することにより昇圧され得る。従って、中圧タンク110内の圧力を所望の範囲に維持され得る。
【0045】
中圧タンク110内の流体の流れる方向を更に保証するために、例として、中圧タンク第1入口制御弁グループの第1弁113.1と中圧タンク第1入口112との間に第1一方向弁125.1を設けることができ、中圧タンク第1入口制御弁グループの第2弁113.2と中圧タンク第1入口112との間に第2一方向弁125.2を設けることができる。第1一方向弁125.1は、中圧タンク第1入口制御弁グループの第1弁113.1が開いた場合に自動的に開くことになり、第2一方向弁125.2は、中圧タンク第1入口制御弁グループの第2弁113.2が開いた場合に自動的に開くことになる。一方向弁(図示せず)を、中圧タンク第1出口制御弁114の下流の流体経路に設けることもできる。
【0046】
やはり
図1に示すように、中圧タンク110内の圧力を検出するために、中圧タンク110内に圧力センサ161が設けられている。圧力センサ164、162、及び163が、それぞれ、第1熱交換器104、第2熱交換器102、及び第3熱交換器103内に設けられて、それらの圧力を検出する。
【0047】
熱ポンプユニットは、(
図2に示すように)制御装置230を更に備え、
図1の全ての圧力センサ及び制御弁は制御装置230に接続されている。
図2A、2B及び2Cは、
図1に示すような熱ポンプユニットの制御装置230のブロック図である。
図2Aに示すように、制御装置230は、バス242、プロセッサ244、入力インタフェース248、出力インタフェース252、並びにプログラム256及びデータ257が記憶されるメモリ254を備える。プロセッサ244、入力インタフェース248、出力インタフェース252、及びメモリ254は、バス242に通信可能に接続されているので、プロセッサ244は、入力インタフェース248、出口インタフェース252、及びメモリ254の操作を制御することができる。具体的には、メモリ254は、プログラム256、命令及びデータ257を記憶するように構成され、プロセッサ244は、メモリ254からプログラム256、命令及びデータ257を読み出すことができ、データをメモリ254に書き込むことができる。
【0048】
図2Bに示すように、出力インタフェース252は、接続部238(238.1、238.2、238.3......238.9)を介して、中圧タンク第1入口制御弁グループの第1弁113.1及び第2弁113.2、中圧タンク第1出口制御弁114、中圧タンク昇圧制御弁135、中圧タンク減圧制御弁136、絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1、第2弁118.2及び第3弁118.3、並びに四方弁120を含む、
図1の全ての制御弁に接続されている。
【0049】
図2Cに示すように、入力インタフェース248は、接続部246.2、246.3、246.4、及び246.5を通して、それぞれ圧力センサ161、162、163、及び164に接続され、接続部246.1を通して熱ポンプユニットへの操作要求及び他の操作パラメータを受信する。プロセッサ244は、メモリ254を介してプログラム及び命令の読み出しを実施することにより、本開示の熱ポンプユニットの操作を制御することができる。
【0050】
より具体的には、制御装置230は、入力インタフェース248を介して、熱ポンプユニットからの操作要求(例えば、制御パネルから送信される要求)、
図1に示されるような圧力センサから送信される操作パラメータ、及び熱ポンプユニットの他の操作パラメータを受信し、出力インタフェース252を介して、制御信号を
図1の制御弁に送信することができる。
図1の制御弁を制御することにより、熱ポンプユニットは複数のモードで稼働し、複数のモード間を切り替えることが可能である。
【0051】
図3A~
図3Dは、それぞれ、4つのモードで稼働する、
図1の熱ポンプユニットの冷媒循環ループを示し、矢印は冷媒が流れる方向及び流路を示す。
図3Aは冷却専用モード(モード1)の冷媒循環ループを示し、
図3Bは加熱専用モード(モード2)の冷媒循環ループを示し、
図3Cは冷却プラス加熱モード(モード3)の冷媒循環ループを示し、一方、
図3Dは除霜モード(モード4)の冷媒循環ループを示す。
【0052】
表1は、絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1、第2弁118.2、及び第3弁118.3の状態、並びに熱ポンプユニットの複数のモードに対する四方弁120の状態の一覧を示す。表1は、
図2Aに示すように、記憶装置254に記憶され得る。
【0053】
【0054】
表1では、四方弁120が電源投入された場合、四方弁120の第3インタフェース120.3と第2インタフェース120.2とが接続され、一方、第1インタフェース120.1と第4インタフェース120.4とが接続される。四方弁120が電源遮断された場合、四方弁120の第3インタフェース120.3と第4インタフェース120.4とが接続され、第1インタフェース120.1と第2インタフェース120.2とが接続される。
【0055】
本開示の熱ポンプユニットは、3つの熱交換器のうちの2つを圧縮機101及び絞り装置107と接続して、冷媒循環ループを形成し、一方で、熱交換器の3番目を、予備使用のために及び他のモードでの開始のために、冷媒循環ループ内の2つの熱交換器のうちの低圧側にある熱交換器と並列に接続したままにすることにより、以下のモードで稼働させることができる。
【0056】
モード1:冷却専用
図3A及び表1に示すように、熱ポンプユニットを冷却専用モードで稼働させることが望まれる場合、四方弁120の第3インタフェース120.3と第4インタフェース120.4とが接続され、一方、第1インタフェース120.1と第2インタフェース120.2とが接続されるように、四方弁120を電源遮断するように制御装置230を介して制御し、且つ絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3を開放するように制御装置230を介して制御する。絞り装置入口側制御弁グループの第2弁115.2は、一方向弁であるので、自動的に開放され得る。他の弁は閉じられている。このように、圧縮機101の排出端105から放出された高圧冷媒は、最初に第2熱交換器102を通過し、次いで、絞り装置入口側制御弁グループの第2弁115.2を通って絞り装置107の入口端108に流入し、低圧冷媒に変換され、次いで、低圧冷媒は、絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3を介して第3熱交換器103に流入し、最後に、冷媒は、第3熱交換器103から圧縮機101の吸引端106に流れて、冷媒の循環が完了する。
【0057】
冷却専用モードでは、圧縮機101、絞り装置107、第2熱交換器102及び第3熱交換器103は冷媒循環ループにあり、第2熱交換器102は凝縮器として機能し、第3熱交換器103は蒸発器として機能し、第2給水機及び戻り管111.2を介して外部から冷却される。第1熱交換器104は予備使用のためであり、第3熱交換器103と並列に接続され、第1熱交換器104は冷媒循環ループ内にない。
【0058】
モード2:加熱専用
図3B及び表1に示すように、熱ポンプユニットを加熱専用モードで稼働させることが望まれる場合、四方弁120の第3インタフェース120.3と第2インタフェース120.2とが接続され、第1インタフェース120.1と第4インタフェース120.4とが接続されるように、四方弁120に電源投入するように制御装置230を介して制御し、且つ、絞り装置出口側制御弁グループの第2弁118.2を開放するように制御装置230を介して制御する。絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1は、一方向弁であるので、自動的に開放され得る。他の弁は閉じられている。このように、圧縮機101の排出端105から放出された高圧冷媒は、最初に第1熱交換器104を通過し、次いで、絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1を通って絞り装置107の入口端108に流入し、低圧冷媒に変換され、次いで、低圧冷媒は、絞り装置出口側制御弁グループの第2弁118.2を介して第2熱交換器102に流入し、最後に、冷媒は、第2熱交換器102から圧縮機101の吸引端106に流れて、冷媒の循環が完了する。
【0059】
加熱専用モードでは、圧縮機101、絞り装置107、第1熱交換器104、及び第2熱交換器102は冷媒循環ループにあり、第1熱交換器104は凝縮器として機能し、第1給水機及び戻り管111.1を介して外部から加熱され、第2熱交換器102は蒸発器として機能する。第3熱交換器103は予備使用のためであり、第2熱交換器102と並列に接続され、第3熱交換器103は冷媒循環ループ内にない。
【0060】
モード3:冷却プラス加熱
図3C及び表1に示すように、熱ポンプユニットを冷却プラス加熱モードで稼働させることが望まれる場合、四方弁120の第3インタフェース120.3と第2インタフェース120.2とが接続され、第1インタフェース120.1と第4インタフェース120.4とが接続されるように、四方弁120に電源投入するように制御装置230を介して制御し、且つ、絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3を開放するように制御装置230を介して制御する。絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1は、一方向弁であるので、自動的に開放され得る。他の弁は閉じられている。このように、圧縮機101の排出端105から放出された高圧冷媒は、最初に第1熱交換器104を通過し、次いで、絞り装置入口側制御弁グループの第1弁115.1を通って絞り装置107の入口端108に流入し、低圧冷媒に変換され、次いで、低圧冷媒は、絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3を介して第3熱交換器103に流入し、最後に、冷媒は、第3熱交換器103から圧縮機101の吸引端106に流れて、冷媒の循環が完了する。
【0061】
冷却プラス加熱モードでは、圧縮機101、絞り装置107、第1熱交換器104、及び第3熱交換器103は冷媒循環ループにあり、第1熱交換器104は凝縮器として機能し、第1給水機及び戻り管111.1を介して外部から加熱され、第3熱交換器103は蒸発器として機能し、第2給水機及び戻り管111.2を介して外部から冷却される。第2熱交換器102は予備使用のためであり、第3熱交換器103と並列に接続され、第2熱交換器102は冷媒循環ループ内にない。
【0062】
モード4:除霜
熱ポンプユニットが加熱専用モードで稼働し、周囲温度が低い場合、空気熱交換器である第2熱交換器102の表面は霜で覆われることになり、加熱することで表面を除霜することが望まれる。
【0063】
図3D及び表1に示すように、熱ポンプユニットを除霜モードで稼働させることが望まれる場合、四方弁120の第3インタフェース120.3と第4インタフェース120.4とが接続され、一方、第1インタフェース120.1と第2インタフェース120.2とが接続されるように、四方弁120を電源遮断するように制御装置230を介して制御し、且つ絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1を開放するように制御装置230を介して制御する。絞り装置入口側制御弁グループの第2弁115.2は、一方向弁であるので、自動的に開放され得る。他の弁は閉じられている。このように、圧縮機101の排出端105から放出された高圧冷媒は、最初に第2熱交換器102を通過し、次いで、絞り装置入口側制御弁グループの第2弁115.2を通って絞り装置107の入口端108に流入し、低圧冷媒に変換され、次いで、低圧冷媒は、絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1を介して第1熱交換器104に流入し、最後に、冷媒は、第1熱交換器104から圧縮機101の吸引端106に流れて、冷媒の循環が完了する。
【0064】
除霜モードでは、圧縮機101、絞り装置107、第1熱交換器104、及び第2熱交換器102は冷媒循環ループにあり、第2熱交換器102は凝縮器として機能し、第2熱交換器102を除霜するように外部から加熱され、第1熱交換器104は蒸発器として機能する。第3熱交換器103は予備使用のためであり、第1熱交換器104と並列に接続され、第3熱交換器103は冷媒循環ループ内にない。
【0065】
上述のいずれかのモードでの熱ポンプユニットの稼働中に、凝縮器内の冷媒の過冷却の程度が高すぎる場合、凝縮器として機能する熱交換器の中圧タンク第1入口制御弁グループ内の対応する弁113.1又は113.2が開放され、凝縮器として機能する熱交換器内の余分な冷媒は中圧タンク110の中に放出され、過冷却の程度が高すぎない場合、中圧タンク第1入口制御弁グループ内の対応する弁113.1又は113.2は閉じられ、余分な冷媒の放出は停止する。稼働中の熱ポンプユニットの低圧側の圧力が低すぎる場合は、中圧タンク第1出口制御弁114が開放され、中圧タンク110内の冷媒は、中圧タンク第1出口制御弁114を介して、稼働中のシステムの低圧側に流れて冷媒を補充し、圧力がもはや低すぎることがなくなった場合は、中圧タンク第1出口制御弁114は閉じられ、冷媒の補充が停止する。弁113.1又は113.2、及び弁114の開閉は、制御装置230によって制御される。
【0066】
熱ポンプユニットの稼働モードが前述の複数のモード間で切り替えられる場合、状況によっては、凝縮器として機能することが可能な第1熱交換器104又は第2熱交換器102への圧力解放操作が望まれる場合がある。具体的には、切替前稼働モードで凝縮器として機能する熱交換器が、切替後稼働モードで凝縮器として機能しない場合、圧力解放操作を実施することが望まれる。
【0067】
表2は、
図1の熱ポンプユニットのモード切替え表である。モード切替中に圧力解放操作が望まれるかどうかを表2にまとめている。各モードにおいて作動する弁も表2にまとめている。表2の内容は、
図2Aに示すように記憶装置254に記憶される。プロセッサ244は、熱ポンプユニットの現在の稼働モード(すなわち、切替前稼働モード)を切替後稼働モードに切り替える要求を受信した後に、表2を参照することにより、圧力解放操作を、第1熱交換器104に実施することが望まれるか、又は第2熱交換器102に実施することが望まれるかを判定することができる。
【0068】
【0069】
表2において、四方弁120は作動時に電源投入され、制御弁118.1、118.2、118.3、113.1、及び113.2は作動時に開放される。熱交換器への具体的な圧力解放操作は、操作1、操作2、操作3、及び操作4として記載され得る。操作1~操作4の各々について、以下で更に詳細に説明する。
【0070】
操作1は、第1熱交換器104から中圧タンク110に冷媒を放出させるように、第1熱交換器104を中圧タンク第1入口112に流体連通させることを含み得る。操作1は、表2の弁113.1(すなわち、中圧第1入口制御弁グループの第1弁113.1)を開放することに対応する。
【0071】
操作2は、第2熱交換器102から中圧タンク110に冷媒を放出させるように、第2熱交換器102を中圧タンク第1入口112に流体連通させることを含み得る。操作2は、表2の弁113.2(すなわち、中圧第1入口制御弁グループの第2弁113.2)を開放することに対応する。
【0072】
表2に示すように、熱ポンプユニットの稼働モードを冷却専用モード(切替前稼働モード)から加熱専用モード又は冷却プラス加熱モード(切替後稼働モード)に切り替えることが望まれる場合、冷却専用モードで凝縮器として機能する第2熱交換器102は、加熱専用モード又は冷却プラス加熱モードでは凝縮器として機能しないので、圧力解放操作を第2熱交換器102に実施することが望まれる。第2熱交換器102への望まれる圧力解放操作は操作2である。
【0073】
熱ポンプユニットの稼働モードを加熱専用モード(切替前稼働モード)から冷却専用モード又は除霜モード(切替後稼働モード)に切り替えることが望まれる場合、加熱専用モードで凝縮器として機能する第1熱交換器104は、冷却専用モード又は除霜モードでは凝縮器として機能しないので、圧力解放操作を第1熱交換器104に実施することが望まれる。第1熱交換器104への望まれる圧力解放操作は操作1である。
【0074】
熱ポンプユニットの稼働モードを冷却プラス加熱モード(切替前稼働モード)から冷却専用モード(切替後稼働モード)に切り替えることが望まれる場合、冷却プラス加熱モードで凝縮器として機能する第1熱交換器104は、冷却専用モードでは凝縮器として機能しないので、圧力解放操作を第1熱交換器104に実施することが望まれる。第1熱交換器104への望まれる圧力解放操作は操作1である。
【0075】
熱ポンプユニットの稼働モードを除霜モード(切替前稼働モード)から加熱専用モード(切替後稼働モード)に切り替えることが望まれる場合、除霜モードで凝縮器として機能する第2熱交換器102は、加熱専用モードでは凝縮器として機能しないので、圧力解放操作を第2熱交換器102に実施することが望まれる。第2熱交換器102への望まれる圧力解放操作は操作2である。
【0076】
やはり表2に示すように、熱ポンプユニットの稼働モードを加熱専用モードと冷却プラス加熱モードとの間で切り替えることが望まれる場合、第1熱交換器104は2つのモードの両方において凝縮器として機能するので、圧力解放操作は望まれない。
【0077】
ここで
図4を参照すると、
図1の熱ポンプユニットに対して稼働モードを切り替える方法400を示すプロセスフロー図が示されている。示されるような方法400のステップは、制御装置230の記憶装置254に記憶され、制御装置230によって実施される。
【0078】
プロセス400は、ステップ450で開始することができる。ステップ450は、モード切替え要求、すなわち熱ポンプユニットの稼働モードを切替前稼働モードから切替後稼働モードに切り替えるための要求を受信することを含み得る。制御装置230は、入力インタフェース248を介してモード切替え要求を受信する。モード切替要求は、例えば、入力インタフェース248に接続するユーザインタフェースを介してオペレータによって入力されるか、又は操作パラメータに応じて熱ポンプユニットから自動的に送信される。
【0079】
プロセス400は、ステップ451に続くことができる。ステップは、圧力解放操作を、第1熱交換器104に実施することが望まれるか、又は第2熱交換器102に実施することが望まれるかを判定することを含み得る。制御装置230は、記憶装置254に記憶された表2に従って、熱ポンプユニットの稼働モードが切替前稼働モードから、要求された切替後稼働モードに切り替えられる場合に、圧力解放操作を、第1熱交換器104に実施することが望まれるか、又は第2熱交換器102に実施することが望まれるかを判定する。制御装置230は、圧力解放操作を第1熱交換器104に実施することが望まれると判定された場合は、ステップ4521に移り、圧力解放操作を第2熱交換器102に実施することが望まれると判定された場合は、ステップ4522に移り、圧力解放操作を第1熱交換器104又は第2熱交換器102に実施することが望まれないと判定された場合は、ステップ460に移る。
【0080】
ステップ4521は、前述の操作1を実施し、次いでステップ4531に進むことを含み得る。操作1を実施することにより、中圧第1入口制御弁グループの第1弁113.1が開放され、それにより第1熱交換器104は中圧第1入口112に流体連通し、第1熱交換器104内の冷媒が中圧タンク110の中に放出される。
【0081】
ステップ4522は、前述の操作2を実施し、次いでステップ4532に進むことを含み得る。操作2を実施することにより、中圧第1入口制御弁グループの第2弁113.2が開放され、それにより第2熱交換器102は中圧第1入口112に流体連通し、第2熱交換器102内の冷媒が中圧タンク110の中に放出される。
【0082】
ステップ4531は、操作1が実施されてから第1の所定時間が経過したかどうかを判定することを含み得る。はいの場合、圧力解放操作が終了しているかも知れないと考えられ、制御装置230はステップ4581に進む。いいえの場合、制御装置230は、第1の所定時間が経過したと判定されるまで、ステップ4531を実施し続ける。第1の所定時間は、熱ポンプユニットの冷却能力/加熱能力に従って決定され得る。一例として、第1の所定時間は約30~60秒である。
【0083】
ステップ4532は、操作2が実施されてから第2の所定時間が経過したかどうかを判定することを含み得る。はいの場合、圧力解放操作が終了しているかも知れないと考えられ、制御装置230はステップ4582に進む。いいえの場合、制御装置230は、第2の所定時間が経過したと判定されるまで、ステップ4532を実施し続ける。第2の所定時間もまた、熱ポンプユニットの冷却能力/加熱能力に従って決定され得る。一例として、第2の所定時間は約30~60秒である。第2の所定時間は、第1の所定時間と同じである場合も、又は異なる場合もある。
【0084】
ステップ4581は、操作3を実施すること、すなわち、第1熱交換器104を中圧第1入口112から切断し、次いでステップ460に移ることを含み得る。操作3は、弁113.1(すなわち、中圧第1入口制御弁グループの第1弁113.1)を閉じることに対応する。
【0085】
ステップ4582は、操作4を実施すること、すなわち、第2熱交換器102を中圧第1入口112から切断し、次いでステップ460に移ることを含み得る。操作4は、弁113.2(すなわち、中圧第1入口制御弁グループの第2弁113.2)を閉じることに対応する。
【0086】
プロセス400は、ステップ460で終了し得る。ステップ460は、切替後稼働モードを開始すること、及び切替前稼働モードを終了してモード切替を終了することを含み得る。ステップ460では、切替後稼働モードにおいて作動され得る対応する弁を作動させることにより、切替後稼働モードが開始される。切替後稼働モードの各種に対して作動される弁を表2にまとめている。具体的には、弁120(すなわち、四方弁120)及び弁118.2(すなわち、絞り装置出口側制御弁グループの第2弁118.2)は、切替後稼働モードが加熱専用モードである場合に作動され、弁118.3(すなわち、絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3)は、切替後稼働モードが冷却専用モードの場合に作動され、弁120(すなわち、四方弁120)及び弁118.3(すなわち、絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3)は、切替後稼働モードが冷却プラス加熱モードである場合に作動され、弁118.1(すなわち、絞り装置出口側制御弁グループの第1弁118.1)は、切替後稼働モードが除霜モードの場合に作動される。
【0087】
ステップ460では、切替前稼働モードで作動される対応する弁を作動停止させることにより、切替前稼働モードが終了する。切替前稼働モードの各種に対して作動される弁を表2にまとめている。具体的には、弁120及び弁118.2は、切替前稼働モードが加熱専用モードの場合に作動停止され、弁118.3は、切替前稼働モードが冷却専用モードの場合に作動停止され、弁120及び弁118.3は、切替前稼働モードが冷却プラス加熱モードの場合に作動停止され、弁118.1は、切替前稼働モードが除霜モードの場合に作動されることになる。
【0088】
本開示による他の実施形態では、切替後稼働モードの開始と切替前稼働モードの終了が同じステップ460で実施されたとしても、切替前稼働モードは、切替後稼働モードの開始から一定時間の遅延の後に終了し得ることに留意すべきである。
【0089】
本開示によると、制御装置230は、切替後稼働モードが開始された後に、冷媒を切替後稼働モードの冷媒循環ループに補充することが望まれる場合に、操作5、すなわち、中圧タンク第1出口128と絞り装置107の出口端109とを流体連通させることを実施するように更に構成されている。操作5は、中圧タンク第1出口制御弁114を開放することに対応する。操作5の実施中の中圧タンク110内の圧力が第1の所定圧力値を下回ることを、圧力センサ161が検出した場合、制御装置230は、中圧タンク昇圧制御弁135を開放することにより、中圧第2入口181を圧縮機101の排出端105に流体連通させるように更に構成されている。このようにして、中圧タンク110内の冷媒を冷媒循環ループの中に補充され得ることを確実にするために、中圧タンク110内の圧力を増加させることができる。一例として、中圧タンク110内の圧力が中圧第1出口128の圧力を超えて増加した場合、制御装置230は、中圧タンク昇圧制御弁135を閉じるように構成されている。
【0090】
本開示によると、操作1又は操作2の実施中に中圧タンク110内の圧力が第2の所定圧力値を上回ることを、圧力センサ161が検出した場合、制御装置230は、中圧タンク減圧制御弁136を開放することにより、中圧タンク第2出口182を圧縮機101の吸引端106に流体連通させるように更に構成されている。これにより、第1熱交換器104又は第2熱交換器102内の高圧冷媒を中圧タンク110の中に放出され得ることを確実にするために、中圧タンク110内の圧力を低下させることができる。一例として、中圧タンク110内の圧力が中圧第1入口112の圧力を下回って減少した場合、制御装置230は、中圧タンク減圧制御弁136を閉じるように構成されている。
【0091】
前述の第1の所定圧力値及び第2の所定圧力値は、中圧タンク110内の圧力に対する所望の値の範囲に従って決定することができる。
【0092】
更には、本開示によると、モード切替えの有効性を更に確実にするために、制御装置230は、熱交換器内の冷媒の圧力を、対応する圧力センサ164/162を用いて検出することにより、圧力解放操作が行われた熱交換器内の圧力が依然として高いかどうかを判定するように更に構成されている。はいの場合、モード切替えが失敗したと見なされ、その時、制御装置230は熱ポンプユニットを停止させる。
【0093】
図5Aは、
図1の熱ポンプユニットの稼働モードを冷却専用モードから冷却プラス加熱モードに切り替える時の冷媒の流路を示す。以下では、熱ポンプユニットの稼働モードを冷却専用モードから冷却プラス加熱モードに切り替えるいくつかの操作を例にとり、圧力解放が必要な熱交換器の圧力を解放する方法について説明する。
【0094】
熱ポンプユニットの稼働モードが、
図3Aに示すような冷却専用モードから
図3Cに示すような冷却プラス加熱モードに切り替えるような場合、第2熱交換器102は、高圧側の凝縮器として機能する熱交換器から、予備の熱交換器へと切り替えられることになり、従って、第2熱交換器102への圧力解放が望まれる。
【0095】
図5Aに示すように、熱ポンプユニットが依然として冷却専用モードで稼働している場合、中圧タンク第1入口制御弁グループの第2弁113.2が最初に開放されて、第2熱交換器102は中圧タンク第1入口112に流体連通し、それにより、第2熱交換器102内の高圧冷媒が中圧タンク110の中に放出され得る。
【0096】
図5Aに示すような第2熱交換器102への圧力解放操作は、第2の所定時間が経過した後に終了する。圧力解放操作を終了するには、中圧タンク第1入口制御弁グループの第2弁113.2を閉じて、第2熱交換器102の第2ポート121.2を中圧タンク第1入口112から切断することになる。その後、稼働モードは、四方弁120の第3インタフェース120.3と第2インタフェース120.2とを接続し、第4インタフェース120.4と第1インタフェース120.1とを接続するように、四方弁120に電源投入するように制御することにより、冷却専用モードから冷却プラス加熱モードに切り替えられることになる。絞り装置出口側制御弁グループの第3弁118.3は、冷却専用モードと冷却プラス加熱モードの両方において開放しているので、冷却プラス加熱モードへの切り替えは、第3弁118.3への何らかの操作なしに完了され得る。
【0097】
図5Bは、冷却プラス加熱モードで稼働中の
図1の熱ポンプユニットの冷媒循環ループへの冷媒の補充操作を実施する場合の冷媒の流路を示す。
【0098】
熱ポンプユニットの冷媒循環ループは、4つのモードで正常に稼働している場合は、冷媒補充操作が必要になる場合がある。例えば、熱ポンプユニットの稼働モードが、
図5Aに示すような冷却専用モードから
図5Bに示すような冷却プラス加熱モードに切り替えられた後は、
図5Aに示すような圧力解放操作に起因して、冷却プラス加熱モードの冷媒循環ループに冷媒補充が必要になる場合がある。この目的のために、
図5Bに示すように、中圧タンク110内の冷媒が冷媒循環ループに補充され得るように、中圧第1出口制御弁114が開放され、中圧第1出口128が絞り装置107の出口端109に流体連通する。一方で、中圧タンク110内の圧力が十分でない場合は、中圧タンク110内の冷媒が冷媒循環ループに補充され得ることを確実にするために中圧タンク110内の圧力を上昇させるように、中圧タンク昇圧制御弁135を開放させ、中圧第2入口181を圧縮機101の排出端105に流体連通させる。
【0099】
一方、モード切替時に操作が必要な熱交換器に対して圧力解放操作を行うことにより、一方では、モード切替時には、高圧側の熱交換器が低圧側の熱交換器に切り替えられた場合に生じる圧力衝撃が防止でき、他方では、モード切替後には、高圧側の熱交換器内の液体冷媒は、吸引端から圧縮機の中に引き込まれて液体衝撃を引き起こすには十分ではない。更に、本開示のモード切替え方法を実施することにより、一方では、圧力解放中の圧力差が非常に小さいので、圧力解放中の振動強度も非常に小さく、他方では、切り替え時間は非常に短く、対応する衝撃力も小さい。従って、この切り替えプロセスは、従来のシャットダウン切り替えプロセスよりも、よりスムーズでより効率的であると考えられ得る。
【0100】
一例として、稼働モードを切り替えることが望まれる場合は、熱ポンプユニットの冷媒循環に関与する冷媒が低減され、冷媒が中圧タンク110の中に可能な限り放出され得るように、最初に圧縮機101の負荷が低減され得る。加えて、圧縮機の吸引量及び放出量を減らすことにより、モード切替時の衝撃力も非常に小さくなるであろう。
【0101】
加えて、中圧タンク110による冷媒の収容及び補充を介して、モード切替時の圧力ジャンプによって引き起こされる熱ポンプユニットへの衝撃が低減でき、構成要素の寿命を延ばすことができ、熱ポンプユニットの稼働時の信頼性及び安定性を改善させることができる。加えて、通常稼働モードで稼働している熱ポンプユニットの冷媒循環ループ内の冷媒を、中圧タンク110によって適切に制御することを介して、熱ポンプユニットの信頼性及びエネルギー効率比を改善させることができる。
【0102】
図6は、本出願の別の実施形態による熱ポンプユニットのブロック図である。熱ポンプユニットのエネルギー効率比及び稼働安定性を更に改善するために、
図6に示されるような熱ポンプユニットの実施形態が提供される。
図6に示す実施形態は、
図1の全ての構成要素を含み、
図1の熱ポンプユニットに基づいて、油分離器630、乾燥フィルタ632、及びエコノマイザ634が更に設けられている。
【0103】
図6に示すように、油分離器630は、圧縮機101の排出端105と四方弁120との間に配置され、圧縮機101から放出された油を分離するように構成されている。乾燥フィルタ632は、絞り装置107の入口端108の上流側に位置し、乾燥フィルタ632は、高圧冷媒が絞り装置107に流入する前に、高圧冷媒を乾燥及び濾過するように構成されている。エコノマイザ634は、乾燥フィルタ632の下流側に配置されている。乾燥フィルタ632の出口は、エコノマイザ634の過冷却側の液体入口に接続され、エコノマイザ634の過冷却側の液体出口は、絞り装置107の入口端108に接続され、エコノマイザ634のガス出口は、圧縮機101のガス補給口に接続されている。従って、システムの過冷却度、ガス送達能力、熱ポンプユニットの性能を更に改善させることができる。
【0104】
本開示は、図面に示される具体的な実現モードを参照して説明されるが、本開示の熱ポンプユニットは、本出願の趣旨、範囲及び背景から逸脱することなく、多くの変形形態を有し得ることを理解されたい。当業者はまた、本出願で開示された実施形態における構造の詳細に対する様々な変更は全て、本出願の趣旨及び範囲、並びに特許請求の範囲に含まれるはずであることを理解するはずである。