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特許7096895発熱体用の、プロングを有する掃除ツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】発熱体用の、プロングを有する掃除ツール
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/85 20200101AFI20220629BHJP
【FI】
A24F40/85
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020544658
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019056023
(87)【国際公開番号】W WO2019175104
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】18161501.4
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第2512349(GB,A)
【文献】国際公開第2000/027232(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置を掃除するために構成された掃除ツールであって、前記エアロゾル発生装置が加熱チャンバーおよび前記加熱チャンバーの中に配設された発熱体を備え、前記掃除ツールが複数のプロングを備え、前記プロングが、少なくとも前記発熱体を掃除するために前記エアロゾル発生装置の前記加熱チャンバーの中に挿入されるように構成されていて、前記掃除ツールが、第一の位置と第二の位置の間で前記プロングを移動するように構成されている作動要素をさらに備え、前記プロングが前記第一の位置において前記加熱チャンバーの内側側壁に向かって拡張されていて、前記第二の位置において前記発熱体に向かって収縮されている、掃除ツール。
【請求項2】
前記複数のプロングがワイヤーで作られている、請求項1に記載の掃除ツール。
【請求項3】
前記掃除ツールが前記加熱チャンバーの中に挿入されている時に、前記プロングが、前記第一の位置において前記加熱チャンバーの内側側壁および前記加熱チャンバーの基部と接触するように構成されている、請求項1または2に記載の掃除ツール。
【請求項4】
前記掃除ツールが前記加熱チャンバーの中に挿入されている時に、前記プロングが、前記第二の位置において発熱体を囲みかつそれと接触するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の掃除ツール。
【請求項5】
前記第二の位置において前記プロングがねじれていて、前記プロングの端が前記発熱体と接触する、請求項4に記載の掃除ツール。
【請求項6】
前記プロングが粗面を有して構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の掃除ツール。
【請求項7】
前記作動要素が、前記第一の位置または第二の位置において前記複数のプロングを付勢するバネを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の掃除ツール。
【請求項8】
前記作動要素が作動する時に、前記プロングが前記第一の位置から前記第二の位置に移動するように前記作動要素が構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の掃除ツール。
【請求項9】
前記作動要素がテーパー付部分を備え、前記テーパー付部分が、前記作動要素の作動中に前記複数のプロングの近位端と接触し、前記複数のプロングの近位端を押し離すように構成されている、請求項8に記載の掃除ツール。
【請求項10】
前記作動要素が作動する時に、前記プロングが前記第二の位置から前記第一の位置に移動するように前記作動要素が構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の掃除ツール。
【請求項11】
前記作動要素がテーパー付部分を備え、前記複数のプロングの近位端が接続部分と接続されていて、前記テーパー付部分が、前記作動要素の作動中に前記接触部分と接触し、前記接続部分を弾性的に変形し、それによって前記第二の位置から前記第一の位置に前記プロングを移動するように構成されている、請求項10に記載の掃除ツール。
【請求項12】
エアロゾル発生装置および前記エアロゾル発生装置を掃除するための請求項1~11のいずれか一項に記載の掃除ツールであって、前記エアロゾル発生装置が加熱チャンバーおよび前記加熱チャンバーの中に配設された発熱体を備え、前記掃除ツールのプロングが、少なくとも前記発熱体を掃除するために前記エアロゾル発生装置の前記加熱チャンバーの中に挿入されるように構成されている、エアロゾル発生装置および掃除ツール。
【請求項13】
掃除ツールでエアロゾル発生装置を掃除するための方法であって、前記エアロゾル発生装置が加熱チャンバーおよび前記加熱チャンバーの中に配設された発熱体を備え、前記掃除ツールが複数のプロングを備え、前記方法が、少なくとも前記発熱体を掃除するために前記エアロゾル発生装置の前記加熱チャンバーの中に前記プロングを挿入する工程を含み、前記掃除ツールが、第一の位置と第二の位置の間で移動するように構成された作動要素をさらに備え、前記プロングが第一の位置において前記加熱チャンバーの内側側壁に向かって拡張されていて、前記第二の位置において前記発熱体に向かって収縮していて、前記方法が、前記加熱チャンバーへの前記掃除ツールの挿入後、前記第一の位置と前記第二の位置の間で前記プロングを移動するさらなる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置を掃除するための掃除ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル形成基体を加熱するが燃焼しないエアロゾル発生装置が知られている。エアロゾル形成基体は典型的に、エアロゾル形成体および均質化したたばこ材料を含む。エアロゾル形成基体は、包装紙で包まれ、ヒートスティックなどの使い捨てロッドの形態で提供されうる。周知のエアロゾル発生装置は、中にエアロゾル形成基体を挿入できる加熱チャンバーを備える。加熱用ブレードなどの発熱体も、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に配設されている。エアロゾル発生装置の動作中、エアロゾル形成基体は発熱体によって貫通され、その後加熱されて吸入可能なエアロゾルを発生する。エアロゾル形成基体の枯渇後、エアロゾル形成基体はエアロゾル発生装置の加熱チャンバーから取り外される。次に、新しいエアロゾル形成基体を加熱チャンバーの中に挿入することができる。しかし、エアロゾル形成基体の残留物が加熱チャンバーの中および発熱体上に残っている場合がある。
【0003】
それ故に、エアロゾル形成基体の動作および取り外しの後に、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーおよび発熱体を掃除するための装置に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生装置を掃除するために構成された、またはエアロゾル発生装置掃除用の掃除ツールが提供されている。エアロゾル発生装置は、加熱チャンバーおよび加熱チャンバーの中に配設された発熱体を備える。掃除ツールは複数のプロングを備える。プロングは、少なくとも発熱体を掃除するために、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入されるように構成されている。
【0005】
複数のプロングを有する掃除ツールを提供することによって、ユーザーは、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中の発熱体を簡単に掃除することができる。エアロゾル発生装置を使用した後、エアロゾル形成基体の残留物は発熱体に接着する場合があり、これはエアロゾル発生装置のその後の使用には望ましくない場合がある。掃除ツールの複数のプロングによって、これらの残留物を発熱体から迅速かつ効率的に取り除くことができる。残留物はまた、加熱チャンバーの壁および基部に付着しうる。これらの残留物の除去はまた、掃除ツールのプロングによって促進されうる。加熱チャンバーの中/外へのプロングの挿入、または抜き取り、または挿入および抜き取り中に、プロングは残留物を掻き落しうる。
【0006】
プロングは細長い形状を有してもよい。プロングは円筒形状を有してもよい。プロングは丸みのある端を有してもよい。加熱チャンバーの中に最初に挿入されるそれぞれのプラグの端部は また、プロングの遠位端と呼ばれ、掃除ツールに面するプロングの端はプロングの近位端と呼ばれる。
【0007】
掃除ツールは、第一の位置と第二の位置の間でプロングを移動するように構成された作動要素をさらに備える。プロングは、第一の位置において加熱チャンバーの内側側壁に向かって拡張されていて、第二の位置において発熱体に向かって収縮されている。第一の位置はプロングの開位置である一方、第二の位置はプロングの閉位置である。プロングの遠位端は第一の位置で拡張されていて、第二の位置で収縮されていることが好ましい。プロングの近位端は第一の位置で収縮されていて、第二の位置で拡張されていてもよい。
【0008】
掃除作用は、作動要素を提供することによって強化されうる。作動要素は、作動要素を介して実施されるプロングの活動的移動を可能にする。例えば、プロングは、第一の位置に対応する開いた構成で加熱チャンバーの中に挿入されうる。プロングの遠位端はこの位置で拡張されていて、一方でプロングの近位端は掃除ツールの長軸方向軸に向かって収縮されていることが好ましい。加熱チャンバーの中へのプロングの挿入後、プロングは作動要素によって第一の位置から第二の位置の中に移動されうる。第二の位置において、プロングの遠位端は発熱体に向かって移動される。第二の位置において、プロングの遠位端は掃除ツールの長軸方向軸に向かって押されうる。プロングの第二の位置において、プロングは掃除ツールの長軸方向軸に沿って整列していてもよい。発熱体は典型的に、加熱チャンバーの中央に配設されている。その結果、プロングは拡張した第一の位置から、プロングが発熱体を囲む第二の位置の中に移動しうる。残留物がプロングによって発熱体から掻き落とされるように、プロングは第二の位置で発熱体に接触するかまたは発熱体を掴むことが好ましい。掻き出し作用は、掃除ツールを加熱チャンバーから引き出すこと、よって、それ故に発熱体の長さに沿ってプロングを摺動させることによって促進される。掃除は、プロングが第二の位置にある時に、ユーザーまたは作動要素が発熱体の上下にプロングを動かすことによって強化されうる。また、プロセスは複数回繰り返されてもよい。
【0009】
複数のプロングはワイヤーで作製されてもよい。ワイヤープロングは、ヒーター要素からの残留物の除去を促進するために十分な剛性および安定性を有する。ワイヤープロングはまた、高い耐久性を有し、掃除ツールの寿命を延ばす。プロングは金属で作られることが好ましい。別の方法として、プロングはプラスチックから作製できる。プロングは、掃除ツールの長軸方向軸の周りに環状構成で配設されることが好ましい。プロングは、掃除ツールの長軸方向軸に対して少し離れた距離で配置されてもよい。プロングは、発熱体の異なる形状に適合するために、ある程度の柔軟性を有してもよい。
【0010】
プロングは、掃除ツールが加熱チャンバーの中に挿入されている時に、第一の位置で加熱チャンバーの内側側壁および加熱チャンバーの基部と接触するように構成されうる。プロングは、加熱チャンバーの中へのプロングの挿入後に、プロングの遠位端が加熱チャンバーの基部に達することができるように十分に長いことが好ましい。プロングが第一の位置で拡張されていて加熱チャンバーの内側側壁と接触する場合、第一の位置における加熱チャンバーの中へのプロングの挿入中、残留物は加熱チャンバーの内側側壁から除去されうる。
【0011】
プロングは、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中で回転するように構成されうる。回転運動は、加熱チャンバーから残留物をほぐして除去するのを助けうる。プロングは、第一の位置で、または第二の位置で、または第一の位置と第二の位置で回転するように構成されうることが好ましい。第一の位置において、プロングの回転は、加熱チャンバーの内側側壁および基部の最適化された掃除をもたらしうる。第二の位置において、プロングの回転は、発熱体の最適化された掃除をもたらしうる。プロングの回転運動は、ユーザーが掃除ツールを回転することによって促進されうる。別の方法として、作動要素は、作動要素の作動中に掃除ツールのプロングを回転するように構成されてもよい。
【0012】
プロングはねじれていてもよく、プロングの遠位端は第二の位置で発熱体に接触してもよい。ねじれたプロングは、プロングの遠位端と発熱体の間の接触圧力を向上させることができるという利点を有する。これに関して、プロングの第二の位置においてプロングの遠位端のみが発熱体と接触するように、プロングは、ねじれていることが好ましい。また、プロングの形状は、プロングの遠位端に隣接したねじれたプロングの部分がプロングの第一の位置において加熱チャンバーの内側側壁に対して同一平面上に置かれるように、設定されうる。これは、加熱チャンバーの中へのプロングの挿入を容易にしうる。同時に、加熱チャンバーの内側側壁からの残留物の掻き落としは、加熱チャンバーの内側側壁に対して同一平面上に置かれているプロングの部分によって強化されうる。
【0013】
プロングは粗面で構成されてもよい。発熱体および加熱チャンバーからの残留物の掻き落としは、プロングの粗面によって強化されうる。発熱体、または加熱チャンバーの内側側壁、または発熱体と加熱チャンバーに接触するプロングの部分には、粗面が提供されることが好ましい。
【0014】
作動要素は、ばねを備えてもよく、これは複数のプロングを第一の位置または第二の位置に付勢する。ばねは作動要素のシャフトの周りに巻かれて、シャフトをプロングから遠ざかるように付勢してもよい。ユーザーが、ばねの付勢力に対抗して、プロングの近位端の方向にシャフトを押すことができるように、シャフトは、ばね内に摺動可能に配設されうる。シャフトをプロングの近位端の方向に押すことによって、プロングは第一の位置から第二の位置に、または第二の位置から第一の位置に移動しうる。
【0015】
作動要素はハンドルをさらに備えてもよい。ハンドルはユーザーによって握られるように構成されうる。ユーザーの指が、プロングに面するハンドルの側面上でハンドルに置かれうるように、ハンドルはプレート形状の要素を備えてもよい。プレート形状のハンドル要素に対してプロングの近位端の方向にシャフトを移動できるように、ユーザーの親指は作動要素のシャフト上に置かれうることが好ましい。シャフトはハンドルの中央の穴内に摺動可能に配設されうる。作動要素のばねはハンドルに隣接してもよい。
【0016】
作動要素は、作動要素が作動した時に、プロングが第一の位置から第二の位置に移動するように構成されてもよい。作動要素が作動していない時に、プロングは拡張された状態にあってもよい。拡張された状態において、プロングは加熱チャンバーの中に挿入されうることが好ましい。
【0017】
作動要素はテーパー付部分を備えてもよく、テーパー付部分は、作動要素の作動中に複数のプロングの近位端に接触してそれらを押し離すように構成されてもよい。テーパー付部分は、プロングの近位端に面するシャフトの端部に提供されることが好ましい。シャフトは、シャフトがプロングに接触しない第一の位置から、シャフトがプロングの近位端に接触する第二の位置に摺動されるように構成されてもよい。シャフトは、ばねによって第一の位置に向かって付勢されうる。
【0018】
ユーザーは、作動要素のシャフトを作動させ、ばねの付勢力に対抗してプロングの近位端の方向にシャフトを押してもよい。プロングの近位端に接触した後、シャフトはプロングの方向にさらに押されて、プロングの近位端を押し離しうる。シャフトは、掃除ツールの長軸方向軸に沿って配設されてもよく、一方でプロングは掃除ツールの長軸方向軸の周りに円形に配設されてもよい。シャフトのテーパー付部分の先細りした側面が、プロングの近位端と接触してそれらを押し離すことができるように、プロングの近位端は掃除ツールの長軸方向軸の周りに配設されうる。シャフトが第二の位置に達した時に、プロングの近位端は押し離され、その後プロングは第二の位置に配設されることが好ましい。
【0019】
プロングは、プロングの近位端の近くに配設されているがそれらから間隙を介している据え付け位置で長軸方向軸の周りに据え付けられうる。このようにして、プロングの近位端を押し離すことは、プロングの遠位端が掃除ツールの長軸方向軸の方向に移動するように、プロングの旋回運動を引き起こす。
【0020】
作動要素は別の方法として、作動要素が作動した時に、プロングが第二の位置から第一の位置に移動するように構成されてもよい。この構成において、動作要素が作動していない時に、プロングは最初に、閉じた構成で配設される。プロングのこの位置は、プロングの第二の位置に対応する。ユーザーは、本発明のこの態様による加熱チャンバーの中にプロングを挿入する前に、作動要素によって掃除ツールを作動させうる。加熱チャンバーの中へのプロングの挿入後、ユーザーは作動要素を係脱することができ、プロングは第二の位置に戻りうる。次に、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーからのプロングの抜き取り中に、残留物が発熱体から掻き落とされるように、プロングは自動的に発熱体を囲み、それに接触する。別の方法として、プロングは、作動要素を作動させることなく加熱チャンバーの中に挿入されてもよい。次に、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中へのプロングの挿入中、プロングは発熱体に接触し、発熱体に沿って摺動する。それ故に、発熱体の掃除作用は、この代替方法における加熱チャンバーの中へのプロングの挿入中に既に促進されうる。次に、ユーザーは、加熱チャンバーの中へのプロングの挿入後に作動要素を作動させてもよい。プロングは、開いた構成で加熱チャンバーから抜き取られて、加熱チャンバーの基部および内側側壁からエアロゾル形成基体の残留物を掻き落としうる。
【0021】
作動要素の作動時にプロングが第二の位置から第一の位置に移動するのを可能にするために、作動要素はまた、テーパー付部分を利用しうる。しかし、この実施形態において、複数のプロングの近位端は接続部分と接続されていてもよい。プロングの近位端がテーパー付部分によって押し離される実施形態とは異なり、この実施形態のテーパー付部分は接続部分を変形させる。テーパー付部分は、作動要素の作動中に接続部分と接触してそれを弾性的に変形させ、それによって複数のプロングの近位端を一緒に押すように構成されてもよい。このように、接続部分と接続されているプロングの近位端は、テーパー付部分および掃除ツールの長軸方向軸に向かって引き出される。プロングの据え付けは同一であってもよい。それ故に、プロングの旋回動作は、プロングの遠位端が掃除ツールの長軸方向軸に関して拡張されているように、テーパー付端が接続部分を変形させる結果、生じうる。
【0022】
本発明はまた、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置を掃除するための上述の掃除ツールに関する。エアロゾル発生装置は、加熱チャンバーおよび加熱チャンバーの中に配設された発熱体を備える。掃除ツールのプロングは、少なくとも発熱体を掃除するために、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入されるように構成されている。
【0023】
エアロゾル発生装置で利用されるエアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0024】
発熱体は電気抵抗性のある発熱体であってもよい。加熱チャンバーは円筒形状を有してもよい。発熱体は、加熱用ブレードまたは電気抵抗性の金属管の形態を取りうる。別の方法として、発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を貫通する一つ以上の加熱用の針またはロッドとしうる。随意に、発熱体は剛直な担体材料内またはその上に配置されてもよい。発熱体は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成され、その後、ガラスなどの別の断熱材料内に挟まれることができる。発熱体は有利なことに、伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。
【0025】
エアロゾル発生装置の動作中、ヒートスティックなどの物品の形態で提供されたエアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置内に部分的に収容されうる。その場合、ユーザーは直に物品で喫煙しうる。物品は実質的に円筒形状でありうる。物品は実質的に細長くてもよい。物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0026】
エアロゾル発生装置は、発熱体を作動するためのセンサーを備えうる。センサーは、エアロゾル発生装置内の気流センサーとして提供されうることが好ましい。気流センサーは、ユーザーがエアロゾル形成基体を吸う時に、装置を通る気流経路内の気流を検出しうる。センサーはまた、陰圧センサーとして構成されてもよい。ユーザーがエアロゾル形成基体を吸うことは、装置を通る気流経路に陰圧をもたらしうるので、陰圧センサーはユーザーがエアロゾル形成基体を吸うことを検出しうる。発熱体はまた、オンオフボタンによって作動されうる。
【0027】
エアロゾル発生装置は、発熱体に電力を供給するための電源をさらに備えうる。電源は、例えばDC電圧供給源などの適切な任意の電源としうる。一実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。
【0028】
エアロゾル発生装置は電気回路をさらに備えてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部としうる。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、動力供給源から発熱体への電力供給を調節するよう構成されうる。センサーからのセンサーデータは、電気回路が発熱体の作動および発熱体への電力供給を制御できるように、電気回路に送信されてもよい。
【0029】
本発明はまた、エアロゾル発生装置を掃除ツールで掃除する方法に関し、ここでエアロゾル発生装置は、加熱チャンバーと、加熱チャンバーの中に配設された発熱体とを備え、掃除ツールは複数のプロングを備え、方法は、少なくとも発熱体を掃除するために、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中にプロングを挿入する工程を含む。
【0030】
方法は、加熱チャンバーの中への掃除ツールの挿入後に、第一の拡張された位置と第二の収縮された位置との間でプロングを移動させるさらなる工程を含みうる。
【0031】
この点に関して、掃除ツールは作動要素を備える。作動要素は、第一の位置と第二の位置の間でプロングを移動するように構成されている。プロングは、第一の位置において加熱チャンバーの内側側壁に向かって拡張されていて、第二の位置において発熱体に向かって収縮されている。プロングは、加熱チャンバーへの掃除ツールの挿入の第一の位置と第二の位置の間で移動する。
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、第一の位置および第二の位置にあるプロングを有する掃除ツールの第一の実施形態を示す。
図2図2は、図1の掃除ツールの断面図を示す。
図3図3は、掃除ツールがエアロゾル発生装置の中に挿入されている、図1の掃除ツールおよびエアロゾル発生装置を示す。
図4図4は、掃除ツールが作動していない場合、掃除ツールのプロングが第二の位置に位置付けられている、掃除ツールの第二の実施形態を示す。
図5図5は、第二の実施形態による掃除ツールの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、プロング10を有する掃除ツールを示す。プロング10は金属ワイヤーで作られている。プロング10は、プロング10が移動できるように、掃除ツール上に据え付けられている。特に、プロング10の遠位端12は、拡張された位置から収縮された位置に向かって移動することができる。プロング10の遠位端12は、プロング10の遠位端12が最初にエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入されるように位置付けられている。プロング10の遠位端12の反対側に、プロング10の近位端14が提供されている。
【0034】
プロング10の近位端14はハンドル16に接続されている。ハンドル16はプレート形状の要素18を備える。プレート形状の要素18は、好ましくはプレート形状の要素18の下に二本の指を摺動することによって、ユーザーがプレート形状の要素18を掴むことができるように、十分に大きい。ハンドル16は管状要素20をさらに備える。プロング10の近位端14は、管状要素20の内側に少なくとも部分的に配設されている。
【0035】
プロング10の近位端14の反対側に、作動要素22が提供されている。作動要素22は、ばね24およびシャフト26を備える。シャフト26は、ハンドル16の管状要素20の内側に少なくとも部分的に配設されている。シャフト26は、管状要素20の内側で摺動可能なように構成されている。ばね24は、シャフト26の周りに巻かれて配設されている。ばね24は、ハンドル16のプレート形状の要素18と、作動要素22の突出するリム28とに隣接する。このように、シャフト26は、シャフト26がハンドル16およびプロング10から押し離される第一の位置に付勢されている。第一の位置は図1の左部分に描写されている。作動要素22を作動させるために、ユーザーは、ハンドル16を固定しながら、ハンドル16およびプロング10の方向にシャフトを押すことができる。ユーザーは、ハンドル16のプレート形状の要素18の下に二本の指を摺動させて、作動要素22の突出するリム28の上に親指を置くことができることが好ましい。次に、ユーザーは、シャフト26が第二の位置に位置付けられるように、ハンドル16のプレート形状の要素18の下にある二本の指によって固定されているハンドル16の方向に親指を押すことができる。従って、ユーザーがシャフト26をプロング10の方向に押す時に、プロング10は閉じられている。第二の位置は、図1の右部分に描写されている。ハンドル16を解放すると、シャフト26は、ばね24によって第一の位置の中に戻るように駆り立てられる。
【0036】
図2は掃除ツールの断面図を示す。作動要素22の作動作用は図2で見ることができる。図1に関連して説明されている通り、作動要素22は、シャフト26が第一の位置から第二の位置に移動するように作動することができる。図2の左部分は第一の位置を示し、その一方で図2の右部分は第二の位置を示す。
【0037】
図2に描写されている通り、プロング10は据え付け位置30で掃除ツールに据え付けられている。この配設は、プロング10が据え付け位置30の周りを旋回することを可能にする。プロング10はさらに、管状要素20の内側に部分的に配設されている。シャフト26は、摺動可能に、かつ管状要素20の内側に少なくとも部分的に配設されている。図2の左部分に描写されている通り、シャフト26が第一の位置にある時に、シャフトはプロング10の近位端14と接触しない。シャフト26はテーパー付部分32を備える。シャフト26のテーパー付部分32は、突出するリム28の反対側に配設されていて、プロング10の近位端14に面している。作動要素22が作動されている時に、シャフト26はプロング14の近位端14の方向に管状要素20の中に押される。ばね24は、シャフト26のテーパー付部分32がプロング10の近位端14に接触し、近位端14を押し離すように、シャフト26の移動を可能にする。するとシャフト26は第二の位置にある。近位端14が押される結果として、プロング10は据え付け位置30の周りを旋回し、プロング10の遠位端12の収縮移動につながる。言い換えれば、シャフト26が第二の位置にある時に、プロング10の近位端14は掃除ツールの長軸方向軸から離れるように移動し、同時に、シャフト26が第二の位置にある時に、プロングの遠位端12は掃除ツールの長軸方向軸に向かって移動する。
【0038】
図3は、エアロゾル発生装置34を掃除するための掃除ツールの使用を示す。左から右へ、図3A~3Dは、掃除ツールをエアロゾル発生装置34の加熱チャンバー36の中に挿入する方法、およびその後、加熱チャンバー36の中に配設されている発熱体38、および加熱チャンバー36自体を掃除する方法を示す。加熱チャンバー36は円筒形状を有し、エアロゾル発生装置34のハウジング40によって囲まれている。エアロゾル形成基体を備えるロッドは、加熱チャンバー36の中に挿入することができる。エアロゾル発生装置34の動作中、ブレード形状の発熱体38は、エアロゾル発生のためにエアロゾル形成基体を貫通する。ブレード形状の発熱体38は、加熱チャンバー36の長軸方向軸に沿って加熱チャンバー36内で中央に整列する。
【0039】
エアロゾル発生装置34は、発熱体38を作動するためのオンオフボタン42を備える。別の方法として、発熱体38は、気流センサーまたは陰圧センサーなどのセンサーによって作動されてもよい。エアロゾル発生装置34内に、好ましくは電池の形態の電源および制御ユニットが配設されている。制御ユニットは、発熱体38の作動中に電源から発熱体38への電力供給を制御する。
【0040】
発熱体38によって貫通されているエアロゾル形成基体が、発熱体38の複数動作後に枯渇した時に、エアロゾル形成基体を含むロッドは加熱チャンバー36から取り外される。エアロゾル形成基体の残留物は発熱体38に付着しうる。こうした残留物はまた、加熱チャンバー36の内側側壁または加熱チャンバー36の基部に付着しうる。本発明による掃除ツールは、これらの残留物を除去するために利用される。
【0041】
図3Aで分かる通り、掃除ツールのプロング10は、エアロゾル発生装置34の加熱チャンバー36の中への掃除ツールの挿入前に、拡張された位置にある。図2を参照して説明されている通り、プロング10のこの位置付けは、シャフト26の第一の位置に対応する。プロング10のこの位置付けはまた、プロング10の第一の位置として以下で言及される。図3Bにおいて、掃除ツールのプロング10はエアロゾル発生装置34の加熱チャンバー36の中に完全に挿入されている。プロング10の遠位端12は、加熱チャンバー36の基部および加熱チャンバー36の内側側壁に接触する。エアロゾル発生装置34の加熱チャンバー36へのプロング10の挿入中、加熱チャンバー36の内側側壁に付着している残留物は、拡張されたプロング10によって掻き落されうる。
【0042】
図3Cは、第二の位置にあるシャフト26を示し、これは掃除ツールの長軸方向軸に向かって収縮されているプロング10をもたらす。この位置はまた、プロング10の第二の位置と呼ばれる。この位置において、プロング10の遠位端12は発熱体38に接触する。掃除ツールのこの動作は、作動要素22を作動させることによって促進される。この動作中、残留物は、プロング10の遠位端12によって加熱チャンバー36の基部から掻き落されうる。作動要素22は、ユーザーが突出するリム28をハンドル16の方向に押しながら、ハンドル16の下に二本の指を摺動することによって作動される。
【0043】
図3Dは、掃除ツールがどのように加熱チャンバー36から取り外され、それによって発熱体38を掃除するかを示す。掃除ツールが加熱チャンバー36から取り外される間、ユーザーはプロング10が第二の位置に留まるように動作要素22を引き続き作動させる。結果として、プロング10の遠位端12は、加熱チャンバー36から掃除ツールを取り外し中に、発熱体38と接触したままになる。このようにして、残留物は発熱体38から掻き落とされる。
【0044】
図4は本発明の第二の実施形態を示し、これにおいてプロング10の第一の位置と第二の位置は、シャフト26に関して逆になっている。この実施形態において、プロング10は、シャフト26が第一の位置にある時に、収縮された位置にある。この配設は図4の左部分に図示されている。図4の右部分において、シャフト26は第二の位置にあり、これは拡張された位置に置かれているプロング10をもたらす。言い換えれば、プロング10は、作動要素22が作動していない時に、収縮された位置にある。プロング10は、作動要素22が作動している時に、拡張された位置にある。
【0045】
図5は、第二の実施形態による掃除ツールの配設を示す。本質的に、第二の実施形態による掃除ツールの構成要素は、第一の実施形態による掃除ツールの構成要素に対応する。第二の実施形態と第一の実施形態の間の違いは、プロング10の据え付け位置30の隣に見ることができる。第一の実施形態においてプロング10は相互に接続されていない一方で、第二の実施形態によるプロング10は、接続部分44によって相互に接続されている。接続部分44は、プロング10の近位端14を相互に接続する。さらに、接続部分44は弾性であるように、またシャフト26のテーパー付部分32によって接触されるように構成されている。
【0046】
第一の実施形態と比較して、作動要素22が作動する時に、シャフト26のテーパー付部分32は、プロング10の近位端14に直接接触するように構成されていない。第二の実施形態において、シャフト22のテーパー付部分32は、作動要素22が作動する時に、接続部分44と接触する。接続部分44の弾性構成のため、作動要素22が作動する時に、テーパー付部分32は接続部分44を変形させる。結果として、プロング10の近位端14は、シャフト26のテーパー付部分32が接続部分44を変形させる時に、掃除ツールの長軸方向軸に向かって引っ張られる。プロング10の近位端14が掃除ツールの長軸方向軸に向かって引っ張られる時に、プロング10は据え付け位置30の周りを旋回し、その結果、プロング10の遠位端12は掃除ツールの長軸方向軸から押し離される。結果として、プロング10の遠位端12は、作動要素22の作動中に収縮された位置から拡張された位置に向かって移動する。
【0047】
本発明の第二の実施形態において、掃除ツールは、掃除ツールのプロング10をエアロゾル発生装置34の加熱チャンバー36の中に挿入する前に、ユーザーによって作動される。図3を参照して説明されている通り、作動要素22の作動後にプロング10が拡張された位置にある時に、プロング10は加熱チャンバー36の中に挿入されている。掃除ツールの挿入後、作動要素22は解放され、プロング10は閉じて発熱体38と接触する。その後、掃除ツールは加熱チャンバー36から引き出され、それによって発熱体38を掃除することができる。
【0048】
別の方法として、第二の実施形態による掃除ツールは、プロング10が、収縮された位置にある時に、加熱チャンバー36の中に挿入することができる。次に、プロング10は、加熱チャンバー36の中へのプロング10の挿入中、発熱体38の上に押し付けられる。それ故に、プロング10の抜き取り中に残留物を掻き落とす代わりに、プロング10を加熱チャンバー36の中に挿入中に、発熱体38からエアロゾル形成基体の残留物を掻き落とすことができる。掃除ツールがこのように動作する時に、プロング10は発熱体38の上に押し付けられた後に拡張されることができる。次に、エアロゾル発生装置34の加熱チャンバー36から掃除ツールのプロング10を取り外し中に、エアロゾル形成基体の残留物を、加熱チャンバー36の基部および内側側壁から掻き落すことができる。
【0049】
本発明は記載の実施形態によって限定されない。当業者は、記載の特徴を本発明の範囲内で相互に組み合わせることができることを理解する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5