(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】測定パラメータを推定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A61B5/00 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021016607
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515076873
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】マリヤン ヘルツェグ
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-078512(JP,A)
【文献】特表2011-527621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の測定の測定フェーズおよび送信フェーズの間に測定されたパラメータに基づいて入力を受信するための手段と、
時間の経過とともに受信される該入力に基づいた電圧を閾値と比較する手段と、
前記電圧が放電される送信フェーズをトリガーするために、前記閾値を満たすことに少なくとも部分的に応じて制御信号を提供する手段であって、前記測定されたパラメータに基づいた前記入力の推定値は、前記送信フェーズによって規定される、手段と、
を備える装置
であって、
一次回路に誘導結合され、前記測定フェーズの間に前記誘導結合された一次回路からエネルギーを受け取るための手段をさらに含み、
誘導結合されるための前記手段が共振回路を含み、
前記共振回路が、前記一次回路に誘導結合されるように構成されたインダクタと、前記インダクタと並列に配置された第1のキャパシタとを含む、
装置。
【請求項2】
前記入力を受け取るための前記手段が電気エネルギー蓄積器を備え、
前記装置が、前記第1のキャパシタおよび前記電気エネルギー蓄積器にそれぞれ関連する第1および第2のスイッチをさらに備え、
前記第1および第2のスイッチが、前記送信フェーズの間に前記第1のキャパシタを前記電気エネルギー蓄積器と切り替え可能に置き換えるように、前記制御信号に応答し、それにより、前記電気エネルギー蓄積器が、前記送信フェーズの間に前記インダクタと並列に配置される、
請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記共振回路は、共振周波数にしたがって前記誘導結合された一次回路からエネルギーを受け取るように構成され、
前記制御信号は、前記測定フェーズに戻る前に、前記共振周波数によって規定されるように単一周期の間供給される、
請求項
1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定されたパラメータに基づく前記入力の前記推定値が、前記電気エネルギー蓄積器の閾値およびキャパシタンスにも基づく、請求項
2に記載の装置。
【請求項5】
前記パラメータを測定し、前記測定されたパラメータに基づく前記入力を提供するための手段をさらに備える、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記送信フェーズの間の時間に基づいて前記入力の前記推定値を決定するための手段をさらに備える、請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
一連の測定フェーズおよび送信フェーズを提供するステップであって、
前記測定フェーズの間、さらに、測定されたパラメータに基づいて入力を受信するステップと、時間にわたり受信された前記入力に基づいている電圧を閾値と比較するステップと、を含む、
ステップと、
閾値を満たすことに応じて電圧の放電を容易にするために制御信号が提供される前記送信フェーズをトリガーするステップと、
前記測定されたパラメータに基づいている前記入力の推定値を決定するために前記送信フェーズを評価するステップと、
を含む方法
であって、
一次回路に誘導結合するステップと、前記測定フェーズと前記送信フェーズとの両方において前記誘導結合された一次回路からエネルギーを受け取るステップと、をさらに含む、方法。
【請求項8】
エネルギーを受け取るステップは、前記測定フェーズの間、共振回路を用いてエネルギーを受け取るステップを含み、
前記共振回路は、前記一次回路に誘導結合されるように構成されたインダクタと、前記インダクタと並列に配置された第1のキャパシタとを備える、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記測定フェーズの間に第2のキャパシタで受信された入力に基づく前記電圧を格納するステップと、
前記送信フェーズの間に前記第2のキャパシタが前記インダクタと並列に配置されるようにするように、前記送信フェーズの間に前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタに切り替え可能に置き換えるステップと、
をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記測定されたパラメータに基づく入力の前記推定値は、前記第2のキャパシタの前記閾値およびキャパシタンスにも基づく、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記誘導結合された一次回路からエネルギーを受け取るステップは、共振周波数にしたがってエネルギーを受け取ることを含み、
前記制御信号は、前記測定フェーズに戻る前に、前記共振周波数によって規定される単一の期間にわたって供給される、
請求項
7ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記入力を受け取るステップは、前記測定されたパラメータを表す電流を受け取ることを含み、
前記方法はさらに、
前記測定されたパラメータを表す前記電流を供給するセンサで前記パラメータを測定するステップと、
前記送信フェーズの間に前記測定されたパラメータを表す前記電流の受け取りを防ぐように、前記制御信号に応答して前記センサを切り替え可能に切断するステップと
を含む、
請求項
7ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記入力の推定値を決定するために前記送信フェーズを評価するステップは、前記送信フェーズの間の時間に基づいて前記入力の前記推定値を決定することを含む、請求項
7ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は概して、パラメータの測定に関し、より詳細には、センサ、例えば、バイオセンサによって測定されたパラメータなど、測定されたパラメータを推定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人、動物などの検査対象の様々なパラメータを測定するために、様々な装置が利用される。例えば、様々なデバイスが検査対象のそれぞれのパラメータを測定するように構成された1つ以上のセンサを含むデバイスとともに、検査対象に埋め込まれるか、または検査対象によって装着されることができる。例として、バイオセンサを利用して、種々のバイオシグナルを測定することができる。一例では、電流測定電気化学バイオセンサ(amperometric electrochemical biosensor)が、グルコースレベル、乳酸レベル、酸素レベル、pHレベルなどの生体信号を測定するための相補型金属酸化膜半導体(CMOS)適合デバイスとして利用される。電流測定電気化学バイオセンサは、生体信号を、生体信号の大きさなどの生体信号を表す値を有する電流に変換する。この点に関して、電流測定電気化学バイオセンサは、センサ信号を対応する電流に変換するように電極セル内の電位差を制御するためのポテンシオスタットなどの読み出し電子機器を含む。電流に基づいて、測定されている検査対象の特定のパラメータに関する情報を提供する生体信号の測定値が得られる。
【0003】
生体信号の測定のために利用される装置はウェアラブルスマート装置または他の医療装置の形態のようにバッテリ給電されることができるが、被験体に埋め込まれる装置のような装置の多くは、バッテリを含まず、代わりに無線給電される。これらの無線給電装置は一般に、検査対象の外部にある一次回路と、検査対象によって装着されるか、埋め込まれる二次回路とを含む。一次回路および二次回路は、一次回路が二次回路に無線で電力を供給することができ、二次回路が測定されたパラメータを示すデータを一次回路に無線で転送して更なる処理および評価を行うことができるように、誘導結合することができる。
【0004】
一次回路は、典型的には電源と直列接続されたインダクタおよびキャパシタで形成された共振回路とを含む。この例では、二次回路がインダクタとキャパシタの並列配置を含む共振回路も含む。また、二次回路の共振回路は、一般に、一次回路への誘導結合によって与えられる交流(AC)波形を、二次回路の負荷によって消費される直流(DC)に変換する整流器と並列に配置される。
【0005】
二次回路から一次回路にデータを転送するために、測定パラメータを表すデータのような、負荷シフトキーイング(LSK)がしばしば利用される。LSKでは、二次回路の共振回路が短絡している間に、二次回路から一次回路にデータを転送する。しかし、二次回路の共振回路が短絡している間は、整流器への入力が短絡しているため、二次回路は一次回路からエネルギーを受け取ることができない。
【0006】
二次回路の共振回路を短絡させる影響が
図1に示されており、この点に関して、
図1は、時間の経過にわたる二次回路の共振回路の両端間の電圧を示している。関心パラメータの測定中の多くの時間にわたって、二次回路の共振回路は、二次回路との誘導結合を介して一次回路から転送されるAC電力を表す一定振幅のAC波形を有する。測定されたパラメータを表すデータのようなデータの送信中に、二次回路の共振回路は、
図1の10で示されるように、二次回路の共振回路の両端の電圧がゼロであるように、短絡され、その後、二次回路の共振回路が短絡されなくなり、パラメータの測定が再開された後であっても、二次回路は、ゼロから、共振回路が短絡されたときの交流波形の最大振幅まで、二次回路の共振回路の両端の交流電圧の振幅が徐々に増加する過渡フェーズ12を経験する。
図1の例における過渡フェーズによって表されるように、二次回路の共振回路もはや短絡していない場合であっても、二次回路の共振回路の両端の電圧は、多数のサイクルの間、最大振幅を有さず、それに対応して、整流器に供給され、二次回路の負荷に利用可能なエネルギーを減少させる。
【0007】
図1はデータが14で示されるように10クロックサイクルごとに二次回路から一次回路に転送される例を示しており、過渡フェーズ12は送信フェーズに続く数サイクルの間の電力転送を制限している。3クロック周期ごと、5クロック周期ごと、8クロック周期ごとなど、データ転送がより頻繁に起こる場合、1次回路から2次回路への電力の転送に対する過渡フェーズの負の影響と、それに対応する2次回路によって整流されるために利用可能な電力の減少は、過渡フェーズが、送信フェーズに続くクロック周期のより大きなパーセンテージのために転送される電力に悪影響を与えることで、さらに顕著である。
【発明の概要】
【0008】
したがって、測定されたパラメータの推定を容易にするための方法および装置が提供される。誘導結合された一次回路と二次回路の両方を含む実施形態では、一実施形態の方法および装置が、二次回路の共振回路を短絡させることなく、測定されたパラメータを表すデータのような、データ転送を提供する。したがって、エネルギーは一次回路によって二次回路に供給され続け、ひいては、パラメータが測定されている測定フェーズの間だけでなく、データが二次回路から一次回路に転送される送信フェーズの間にも二次回路の整流器に供給され続けることができる。したがって、二次回路はより一貫した電力を受け取り、その結果、電力伝達および利用に関してより効率的に動作し、一方で、信頼性のあるデータ転送および測定パラメータの正確な推定を提供する。
【0009】
例示的な実施形態では、一連の測定フェーズおよび送信フェーズを提供することを含む方法が開示される。測定フェーズの間、本方法は測定されたパラメータに基づいて入力を受け取り、時間の経過とともに受け取られる入力に基づいている電圧を閾値と比較するステップをさらに含む。本方法はまた、閾値を満たすことに応じて電圧の放電を容易にするために制御信号が提供される送信フェーズをトリガーするステップを含む。この方法は測定されたパラメータに基づく入力の推定値を決定するために、送信フェーズを評価することをさらに含む。
【0010】
一実施形態の方法はまた、一次回路に誘導結合し、測定フェーズおよび送信フェーズの両方の間に誘導結合一次回路からエネルギーを受け取る例を含む。この実施例では、本願方法が測定フェーズ中に共振回路でエネルギーを受け取る。共振回路は、一次回路に誘導結合されるように構成されたインダクタと、インダクタと並列に配置された第1のキャパシタとを含む。また、この実施形態の方法は、測定フェーズ中に第2のキャパシタで受信した入力に基づく電圧を格納するステップと、送信フェーズ中に第2のキャパシタがインダクタと並列に配置されるように、送信フェーズ中に第1のキャパシタを第2のキャパシタに切り替え可能に置き換えるステップとを含むことができる。測定されたパラメータに基づいている入力の推定値は、第2のキャパシタの閾値およびキャパシタンスに基づくことができる。誘導結合一次回路からエネルギーを受け取ることに関連して、一実施形態の方法は、共振周波数にしたがってエネルギーを受け取る。この実施形態では、制御信号が測定フェーズに戻る前に、共振周波数によって規定されるように、単一周期の間供給される。
【0011】
例示的な実施形態の方法は、測定されたパラメータを表す電流を受け取ることによって入力を受け取る。この実施形態では、この方法は、測定されたパラメータを表す電流を供給するセンサでパラメータを測定するステップと、制御信号に応答してセンサを切断して、送信フェーズ中に測定されたパラメータを表す電流を受信しないようにするステップとを含むことができる。例示的な実施形態の方法は、送信フェーズ間の時間に基づいて入力の推定値を決定することによって、入力の推定値を決定するために送信フェーズを評価する。
【0012】
別の実施形態では、一連の測定フェーズおよび送信フェーズの測定フェーズの間の測定パラメータに基づいて、入力を受信するための、キャパシタなどの電気エネルギー蓄積手段を含む装置が提供される。装置はまた、時間の経過とともに受信される入力に基づく電圧を閾値と比較するための比較回路のような手段を含む。この装置はさらに、電圧が放電される送信フェーズをトリガーするために、閾値を満たすことに少なくとも部分的に応答して制御信号を提供するための、制御信号生成回路などの手段を含む。測定されたパラメータに基づく入力の推定値は、送信フェーズによって規定される。
【0013】
実施例の装置はまた、一次回路に誘導結合され、測定フェーズ中に誘導結合一次回路からエネルギーを受け取るための共振回路のような手段を含む。共振回路は、一次回路に誘導結合されるように構成されたインダクタと、インダクタと並列に配置された第1のキャパシタとを含む。また、この実施形態の装置は、第1のキャパシタおよび電気エネルギー蓄積にそれぞれ関連する第1および第2のスイッチを含むことができる。第1および第2のスイッチは、送信フェーズ中に第1のキャパシタを電気エネルギー蓄積部と切り替え可能に置き換えるように、制御信号に応答して、電気エネルギー蓄積部が送信フェーズ中にインダクタと並列に配置されるようにする。一実施形態によると、第1のキャパシタのそれぞれの静電容量と電気エネルギー蓄積とは等しい。一実施形態の共振回路は、共振周波数にしたがって、誘導結合一次回路からエネルギーを受け取るように構成される。この例示の実施形態では、制御信号が測定フェーズに戻る前に、共振周波数によって規定されるような単一の期間にわたって提供される。測定されたパラメータに基づく入力の推定値は、また、電気エネルギー蓄積器の閾値およびキャパシタンスに基づくことができる。
【0014】
実施例の装置はまた、パラメータを測定し、測定されたパラメータに基づいている入力を提供するためのセンサのような手段を含む。この実施例の装置はまた、送信フェーズ中に入力を受け取るために、電気エネルギー貯蔵器のような手段からパラメータを測定するためのセンサのような手段を切り替え可能に切断するための制御信号に応答するスイッチのような手段を含むことができる。実施例の装置はまた、送信フェーズ間の時間に基づいて入力の推定値を決定するために、電気エネルギー蓄積器のような手段から比較するための比較回路のような手段を、切替え可能に切断するための、制御信号に応答するスイッチのような手段を含む。
【0015】
さらなる実施例では、一次回路からエネルギーを受け取るために、一次回路と、一次回路に誘導結合された二次回路とを含む装置が提供される。二次回路は、一連の測定フェーズおよび送信フェーズ中に一次回路からエネルギーを受け取るための共振回路のような手段を含む。また、この装置は、測定フェーズ中に測定パラメータに基づく入力を提供するためのセンサのような手段と、測定フェーズ中に入力を受け取るための電気エネルギー蓄積器のような手段とを含む。この装置は、さらに、時間の経過とともに受け取られる入力に基づいた電圧を閾値と比較するための比較回路のような手段と、電圧が放電され、それに応じて一次回路の電圧が上昇する送信フェーズをトリガーするために、閾値を満たすことに応じて少なくとも部分的に制御信号を提供するための制御信号生成回路のような手段とを備える。
【0016】
一実施形態の共振回路は、一次回路に誘導結合されるように構成されたインダクタと、インダクタと並列に配置された第1のキャパシタとを含む。この実施例では、装置はまた、第1のキャパシタおよび電気エネルギー蓄積にそれぞれ関連する第1および第2のスイッチを含むことができる。第1および第2のスイッチは、送信フェーズ中に第1のキャパシタを電気エネルギー蓄積部と切り替え可能に置き換えるように、制御信号に応答して、電気エネルギー蓄積部が送信フェーズ中にインダクタと並列に配置されるようにする。この実施形態では、第1のキャパシタおよび電気エネルギー蓄積器のそれぞれのキャパシタンスが等しくなるようにすることができる。一実施形態の装置はまた、送信フェーズ間の時間に基づいて入力の推定値を決定する処理回路のような手段を含み、一実施形態は、また、電気エネルギー蓄積器の閾値およびキャパシタンスに基づいても構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以上、本発明の特定の実施形態を一般的な用語で説明したが、以下、添付の図面を参照して説明する。ただし、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない
【
図1】
図1は、送信フェーズ中の共振回路の短絡を図示する、二次回路の共振回路にわたる電圧の波形を示す。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、測定段階中の例示的な実施形態による装置の回路図である。
【
図4】
図4は、送信フェーズ中の一実施形態による装置の回路図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態による、
図2の装置などによって実行される動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による、
図2の装置などによって実行される動作を示す、より詳細なフローチャートである。
【
図7】
図7は、一実施形態による、送信フェーズ中の電圧上昇と、一実施形態によるクロック再生回路によって生成される波形とを示す、一次回路にわたる電圧の波形を示す。
【
図8】
図8は、一実施形態による、電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧が閾値を満たすとトリガーされる閾値および比較回路の出力に対して、時間の経過とともに電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧を示す。
【
図9】
図9は、一実施形態の例に従った、電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧による閾値を満たすことに少なくとも部分的に応じて生成される制御信号を表す波形を示す図である。
【
図10】
図10は送信フェーズに続く電圧の上昇を示す一次回路の両端の電圧の波形を示し、そのタイミングは参照のために、例示的な実施形態による制御信号の波形によって表される。
【
図11】
図11は、一実施形態に従った送信フェーズ中の共振回路からの第1のキャパシタの切断を示している、二次回路の第1のキャパシタの両端の電圧の波形を示している。
【
図12】
図12は、例示的な実施形態に従った装置がLSKに依存する従来の無線装置に対して動作する効率のグラフ図である。
【
図13】
図13は別の実施形態に従った装置の回路図であり、例えば、電池および内部時計を含むスマート装置又は医療デバイスによって具現化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、本発明のいくつかの、しかし全てではない実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下により完全に説明する。実際、本発明の様々な実施形態は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指す。本明細書で使用されるように、用語「データ」、「コンテンツ」、「情報」、および同様の用語は、本発明の実施形態にしたがって送信、受信、および/または格納されることが可能なデータを指すために、互換的に使用され得る。したがって、このような用語の使用は、本発明の実施形態の趣旨および範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0019】
さらに、本明細書で使用されるように、用語「回路」は、
(a)ハードウェアのみの回路実装(例えば、アナログ回路および/またはデジタル回路における実装)、
(b)本明細書で説明される1つ以上の機能を装置に実行させるために共に動作する1つ以上のコンピュータ可読メモリ上に格納されたソフトウェアおよび/またはファームウェア命令を備える回路およびコンピュータプログラム製品の組合せ、ならびに、
(c)ソフトウェアまたはファームウェアが物理的に存在しない場合であっても、動作のためにソフトウェアまたはファームウェアを必要とするような、例えば、マイクロプロセッサ(複数可)またはマイクロプロセッサ(複数可)の一部などの回路
を指す。「回路」のこの定義は、特許請求の範囲を含む、本明細書におけるこの用語のすべての使用に適用される。さらなる例として、本明細書で使用されるように、「回路」という用語は、1つ以上のプロセッサおよび/またはその一部、ならびに付随するソフトウェアおよび/またはファームウェアを備える実装形態も含む。別の例として、本明細書で使用される「回路」という用語は、例えば、携帯電話またはサーバ内の同様の集積回路のためのベースバンド集積回路またはアプリケーションプロセッサ集積回路、セルラーネットワークデバイス、他のネットワークデバイス(コアネットワーク装置など)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および/または他の計算装置も含む。
【0020】
測定されたパラメータを推定するための方法および装置が、例示的な実施形態にしたがって提供される。本方法および装置は様々な用途に関連して使用されることができるが、例示的な実施形態の方法および装置は、人、動物などの検査対象の1つ以上のパラメータの測定に関連して使用されることができる。この例示的な実施形態のパラメータは検査対象の健康または身体状態を示す生物学的パラメータとすることができ、グルコースレベル、ラクターゼレベル、酸素レベル、PHレベルなどを含むことができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0021】
以下に記載されるように、例示的な実施形態の装置は、検査対象によって装着されるか、または検査対象に埋め込まれる無線で電力供給されるデバイスによって具現化されることができる。無線で給電されることによって、装置はバッテリを含むことができ、その代わりに、パラメータの測定と、測定されたパラメータを示す信号の提供とを含む、装置の動作に必要なエネルギー、および、測定されたパラメータを示す信号の提供は、検査対象によって装着されるか、または検査対象に埋め込まれる無線で給電される装置に指標的に結合されることができるような、別の装置によって提供されることができる。あるいは装置が無線給電されていないが、代わりに、内部バッテリなどの別のエネルギー源を含むことができる装置によって具現化されることができる。また、このタイプの装置はパラメータを測定し、測定されたパラメータを示す信号を提供するように、検査対象によって装着されることができる。
【0022】
図2に描かれた例示的な実施形態では、無線給電され、バッテリまたは他の電力源を含む必要はないが、それらを含むことができる装置20が描かれている。無線給電を行うために、装置は、一次回路が二次回路の共振回路26にエネルギーを供給して二次回路の動作を可能にするように誘導結合された一次回路および二次回路22、24を含む。
図2に示すように、二次回路は、誘導結合された一次回路によって与えられるAC電圧を、今度は二次回路の負荷29に与えられるDC電圧に変換するための整流器27を含む。負荷は、DC 電源を使用するすべての回路の全体インピーダンスを表す。この実施例では、負荷が、後述するように、センサ28、比較回路34、制御信号生成回路36、およびクロック回復回路38を含むが、負荷は異なる機能を実行し、DC電源使用する任意の他の回路を含むことができる。
【0023】
二次回路24は、所望のパラメータを測定するために、検査対象によって装着され得る装置によって具現化されることができる。この実施例の二次回路は、無線で給電され、それに対応して、測定されたパラメータを表すデータを無線で送信することができるので、二次回路は所望のパラメータを測定するために、挿入または埋め込み可能な装置によって具現化することもできる。一次回路は、検査対象によって装着される装置により具現化することができないが、しかし、一次回路は、検査対象に装着できず埋め込みもできない装置によって具現化されることができ、その代わりに、その間の誘導結合を提供するように二次回路を具現化する装置の近くに配置される装置によって具現化することができる。例えば、一次回路は、二次回路に誘導的に電力を提供するように構成され、二次回路の近傍で利用者の衣服によって運ばれ、および/または装着される、スマートフォンまたは他のスマート装置または任意の他の装置によって提供されることができる。
【0024】
図3により詳細に示されるように、例示的な実施形態の一次回路22は例えば、大きさVpを有する交流電圧を供給する電圧源のような電源30を含む。電源は
図3の抵抗Rpによって表されるような内部インピーダンスを有してもよく、この例示的な実施形態の一次回路は電源と直列に接続されたキャパシタCpおよびインダクタLpも含む。
図2に示されているように、より詳細には
図3において、二次回路24は一次回路に誘導結合された共振回路26を含んでいる。本実施形態の共振回路はインダクタLsと、インダクタLsと例の第1キャパシタC
1とを含み、液晶タンク回路を構成している。一次回路のインダクタおよび二次回路の共振回路は、電力が、少なくとも一時的に、第1のキャパシタC
1によって蓄積するために、一次回路から二次回路に無線で転送されるように、誘導結合される。
【0025】
一次回路22は、キャパシタCpおよびインダクタLpによって規定される共振周波数を有する。例えば、共振周波数fは、f=(1/(2π(L1C1)1/2)として定義されることができる。同様に、二次回路24の共振回路26は、インダクタLsおよび第1のキャパシタC1によって規定される共振周波数を有する。一実施例では、一次回路の共振周波数が二次回路の共振周波数に等しい。
【0026】
二次回路24は、測定フェーズと送信フェーズとで交互に動作する。測定フェーズでは、関心のあるパラメータがセンサ28などによって測定される。送信フェーズでは、測定されたパラメータを表すデータが、二次回路24から一次回路22などに送信され、
図2に示すような処理回路23によるような、測定パラメータの後続の推定を容易にする。
図3は、例示として、測定フェーズ中の二次回路を示し、
図4は送信フェーズ中の同じ二次回路を示す。パラメータを測定するために、二次回路は、関心のあるパラメータを測定し、例えば測定されたパラメータに比例するなどの代表的なものに基づく値を有する電流などの信号を供給するように構成されたバイオセンサなどのセンサを含むか、またはセンサと通信している。二次回路は測定されるパラメータに応じて、様々な異なるタイプのセンサを含むことができるが、1つの例示的な実施形態のセンサは電流測定電気化学バイオセンサである。
【0027】
実施例の二次回路24について、二次回路の動作と併せてさらに詳細に説明する。この点に関し、
図5は、実施例に従った一連の測定および伝達の提供と併せて二次回路を含む装置20によって実行される動作を示す。ブロック40に示すように、測定フェーズの間、装置20は、センサ28によって提供される入力のような測定されたパラメータに基づく入力を受信するための、測定キャパシタCmのような電気エネルギー蓄積器33のような手段を含む。この例示的な実施形態の機器はまた、測定キャパシタCmのような電気エネルギー蓄積器によって維持される電圧のような、時間受信される入力に基づく電圧を閾値と比較するための、比較回路34のような手段を含む。ブロック42を参照されたい。閾値が満たされない場合、測定フェーズは受信され続ける入力とともに継続し、それは、次に、電気エネルギー蓄積器によってなど、維持される電圧に追加される。
【0028】
しかしながら、閾値が満たされる例では、装置20が、
図2に示されるような制御信号生成回路36などの手段を含み、この手段はフリップフロップ、例えば、
図3および4に示されるようなDフリップフロップ32などのゲートラッチによって具現化され、測定キャパシタCmなどの電気エネルギー蓄積装置33によって蓄積された電圧の放電を容易にするための制御信号が提供される送信フェーズをトリガーするための、
図2に示されるような手段を含む。
図5のブロック44を参照する。送信フェーズが完了すると、ブロック40に示すように、測定パラメータに基づいて入力を受信すると、測定フェーズが再開される。さらに、この実施例の装置は、
図5のブロック46に示され、以下により詳細に説明されるように、測定されたパラメータに基づいている入力の推定値を決定するために、送信フェーズを評価するための処理回路23等の手段を含む。
【0029】
この点に関して、
図6はまた、一実施形態による、二次回路24を含む装置20によって実行される動作を
図5よりも詳細に示す。ブロック50に示すように、この装置は、一次回路のインダクタLpと二次回路の共振回路26のインダクタLsとの誘導結合などによって、一次回路22と二次回路とを誘導結合する手段を含む。測定フェーズの間、二次回路は、それに誘導的に結合された一次回路からエネルギーを受け取るための共振回路のような手段も含む。ブロック52を参照されたい。図示の実施形態では、共振回路によって受け取られるエネルギーが少なくとも一時的に、共振回路の第1のキャパシタC
1によって蓄積され得る。
【0030】
ブロック54に示すように、装置20は、パラメータを測定し、測定されたパラメータに比例することなどによって測定されたパラメータを表す信号を供給するための、センサ28などの手段を含む。また、二次回路24は、測定フェーズ中に測定されたパラメータに基づいて入力を受け取る手段を含む。ブロック56を参照されたい。この点に関して、入力は、センサによって提供され、測定されたパラメータを表す信号であることができる。例えば、信号は測定されたパラメータを表す、例えば、それに比例する値を有する電流であることができる。入力を受け取るための装置は、測定キャパシタCmのような電気エネルギー蓄積器33によって具現化されることができる。この実施例では、二次回路が時間の経過とともに受け取られる電流のような入力に基づいた電圧を蓄積するための手段も含む。ブロック58を参照されたい。例えば、入力を表す電圧を蓄積するための手段は、測定キャパシタCmのような電気エネルギー蓄積装置によって具現化されることができる。この実施例では、センサによって提供される入力が、例えば、それを表す、例えば、比例する、測定されたパラメータに基づく値を有する電流であり、測定キャパシタCmのような電気エネルギー蓄積器は、電流を受け取り、電流を表す電圧を格納し、次に、測定されたパラメータを格納するように構成されることができる。
【0031】
この例示的な実施形態の二次回路24のような装置20は、時間受信される入力に基づく電圧を、所定の電圧のような閾値Vthと比較するための手段も含む。ブロック60を参照されたい。例示的な実施形態では、電圧を閾値と比較するための手段が、経時的に受信された電流を表し、測定された電流を表す電気エネルギー蓄積器33の電圧を電圧閾値Vthと比較するように構成された、比較器などの、
図2~4に示されるような比較回路34によって具現化されることができる。閾値を満たさない例として、例えば、電気エネルギー蓄積器の電圧が閾値未満である例では、測定フェーズがセンサ28を継続してパラメータを測定し、測定されたパラメータに例えば比例する電流を提供し、電気エネルギー蓄積器によって格納された電圧が閾値を満たすような時間になるまで、追加の電流が受け取られるにつれて時間とともに増加する電圧を格納し続ける。
【0032】
電気エネルギー貯蔵部33によって貯蔵された電圧が電圧閾値と等しいか、または超える例においては、二次回路24のような装置20が、測定フェーズから、測定されたパラメータを表すデータが一次回路22に供給される送信フェーズに切り替え、そして次に、評価のために処理回路23に供給される。
図6のブロック62に示されるように、二次回路のような装置は、閾値の満足に応じて電気エネルギー蓄積によって蓄積された電圧の放電を容易にするために制御信号が供給される送信フェーズをトリガーするための、
図2に示されるような制御信号発生回路36のような手段を含む。制御信号発生回路は様々な方法で構成することができるが、
図3および
図4に示す二次回路は、比較回路34に応答し、比較回路が閾値を満足することを示すインスタンスで制御信号を発生するように構成されたフリップフロップ、例えばDフリップフロップ32のような一種のゲートラッチを含んでいる。
【0033】
図示の実施形態では、制御信号発生回路36が
図2~
図4のクロック回復回路38によって提供されるクロック信号などによってクロック供給される。クロック回復回路は、別の、例えば正弦波信号と同期したクロック信号のようなクロック信号を供給するように構成された任意の回路によって供給されることができる。例えば、クロック回復回路は、ゼロ交差検出器回路によって具現化されることができる。クロック回復回路は様々なタイプのクロック信号を提供することができるが、例示的な実施形態のクロック回復回路は共振回路26の両端のV
LCに応答する。
図7に示すように、共振回路の両端のV
LCは、正弦波信号のような交流信号である。共振回路の両端間の電圧V
LCに応答して、クロック再生回路は、共振回路の両端間の交流電圧と同じ周波数を有する矩形波70の形態のクロック信号を生成する。例示的な実施形態では、クロックリカバリ回路が50%のデューティサイクル、正であるが、共振回路の両端間の交流電圧V
LCの最大振幅未満である最大振幅、および0の最小振幅を有する矩形波を生成する。例えば、矩形波の最大振幅は、DC電源電圧レベル以下であることなどに基づいていてもよく、いくつかの実施形態では1V、3V、5Vなどであることができる。
【0034】
図3および4に描かれた例示的な実施形態では、フリップフロップ32が、電気エネルギー蓄積装置33によって蓄積された電圧が電圧閾値Vthを満たすことを示す信号を比較回路34から受け取った後に、クロック回復回路38によって提供されるクロック信号の第1の立ち上がりエッジに一致する制御信号を生成するように構成される。一例を挙げて
図8を参照すると、電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧72は、測定パラメータに比例することなどによって、測定パラメータを表す追加の電流がセンサ28によって与えられるにつれて、経時的に増加するように示されている。電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧が、例えば、閾値に等しくなるか、または、閾値を超えることによって閾値を満たすと、比較回路は、閾値が満たされたことを示す
図8に示されるような出力Vcompを提供する。いったん、比較回路が閾値に満足することを示す信号を提供したら、制御信号生成回路は、クロック回復回路によって提供される次のクロックパルスの立ち上がりエッジと同時に開始する制御信号Qを提供するように構成される。この点に関し、
図9は、クロック信号生成回路によって供給される制御信号Qを示す。
【0035】
制御信号Qが生成されると、二次回路24は送信フェーズ中に再構成される。この点に関し、制御信号に応じて、二次回路はセンサ28のような手段を切り換え可能に切り離すためのセンサスイッチSsのような手段を含み、この手段は送信フェーズ中に入力を受け取るために、電気エネルギー蓄積器33のような手段からパラメータを測定する。
図6のブロック64を参照。この点に関して、および制御信号に応じて、
図3および
図4の実施形態の二次回路のセンサスイッチSsは、センサを電気エネルギー蓄積器に接続するように制御信号が提供されていない測定フェーズの間、閉位置にある。しかしながら、制御信号に応じて、センサ切換Ssは、センサを電気エネルギー蓄積器から切り離す開放位置に遷移し、その結果、伝送段階の間、センサによって電気エネルギー蓄積器に入力が供給されない。
【0036】
二次回路24はまた、比較回路34のような手段を、電気エネルギー蓄積器33のような手段と比較するために、送信フェーズの間に入力を受信するために、切り換え可能に切り離すための、比較切り替えScのような手段を含む。この点に関して、二次回路の比較切り替え切換Scは、比較回路を電気エネルギー蓄積切り替えに接続するために制御信号が供給されない計測フェーズの間、閉位置にある。しかしながら、制御信号に応じて、比較切り替え切換Scは、比較回路が電気エネルギー蓄積切り替えから切り離され、代わりに伝送段階中にアースに接続される別の位置に遷移する。
【0037】
また、
図3および
図4に示すように、例示的な実施形態の二次回路24は、共振回路26の第1のキャパシタC
1および電気エネルギー蓄積器33にそれぞれ、例えば、直列に接続されることなどによって、関連する第1および第2のスイッチS
1、S
2をさらに含む。この例示的な実施形態の二次回路は、やはり制御信号に応答する第1および第2のスイッチなどの、伝達段階中に第1のキャパシタを電気エネルギー蓄積器と切り替え可能に置き換えて、伝達段階中に電気エネルギー蓄積器が共振回路のインダクタLsと並列に配置されるようにするための手段を含む。ブロック66を参照されたい。この点に関して、制御信号が供給されない計測段階の間、第1のスイッチS
1は第1の位置、例えば、共振回路のインダクタLsと並列に第1のキャパシタC
1を接続する閉位置を有し、第2のスイッチS
2は、電気エネルギー蓄積器をアースに接続する第1の位置を有する。しかしながら、制御信号に応じて、第1および第2のスイッチは、第1のキャパシタC
1もはや共振回路のインダクタLsと並列に電気的に接続されないように、第1のスイッチS
1の第2の位置が開位置である状態で、それぞれの第2の位置に遷移される。逆に、第2の切換S
2の第2の位置は、伝達段階中に電気エネルギー蓄積器が共振回路内の第1のキャパシタC
1を置き換えるように、伝達段階中に電気エネルギー蓄積器をインダクタLsと並列に配置する。
【0038】
送信フェーズの間、共振回路26は短絡されない。その代わりに、共振回路は、並列に接続されたインダクタLsとエネルギー蓄積器33とによって形成されるように再構成される。このようにして、エネルギーは、測定フェーズ中だけでなく、送信フェーズ中にも、一次回路22から二次回路24に誘導的に伝達され続けることができ、それによって、エネルギーが二次回路に伝達される効率が高まり、エネルギーが負荷に供給される一貫性が高まる。二次回路の共振回路が、測定段階の間および伝送段階において同じ共振周波数を有し、共振回路において電気エネルギー蓄積器が第1のキャパシタC1に取って代わるとき、一次回路の共振周波数と同じままにとどまる。例示的な実施形態の電気エネルギー蓄積器のキャパシタンスは、共振回路の第1のキャパシタC1のキャパシタンスに等しい。
【0039】
インダクタLsと並列の電気エネルギー蓄積器33の切り換え可能な接続の結果として、二次回路24は、電気エネルギー蓄積器、第1および第2のスイッチS
1、S
2および/またはインダクタLsのような手段を含み、センサ28によって提供されるような測定されたパラメータを表す入力に応じて電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧を放電し、その結果、二次回路24の共振回路26の両端間の電圧V
LCが一時的に増加し、それに応じて、一次回路22のインダクタLpの両端間の電圧が一次および二次回路の誘導結合の結果として増加する。ブロック68を参照されたい。この点に関して、
図10は、送信フェーズを規定する制御信号Qと、一次回路22のインダクタLpの両端に現れる電圧Vpとを示す。図示されるように、一次回路のインダクタの両端間の電圧Vpは、電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧が放電されると、電源30によって規定される水準まで減衰する前に、送信フェーズの直後およびそれに応じて一時的に増加する。同様に、
図7は、送信フェーズ中の二次回路24の共振回路26にわたる一時的な電圧上昇71を示す。
【0040】
一実施形態によると、制御信号発生回路36は、共振周波数によって規定される単一の期間のみの制御信号を供給するように構成される。この点に関して、送信フェーズ中に比較回路34に関連する比較器スイッチScを、電気エネルギー蓄積器33とは対照的にグランドに切り換え可能に接続するように再配置すると、閾値Vthもはや満たされないので、比較器回路の出力Vcompが状態を変化させる。したがって、クロック回復回路38によって提供されるクロック信号の次の立ち上がりエッジでは、制御信号生成回路もはや制御信号を提供しない。したがって、例示的な実施形態の二次回路24は、制御信号Qもはや提供されない場合に、センサスイッチを閉位置に戻すことなどによって、センサを電気エネルギー蓄積器に切り替え可能に再接続するための、制御信号生成回路、センサスイッチSsなどのような手段を含む。
図6のブロック74を参照する。さらに、この実施形態の二次回路は、制御信号が提供されなくなったことに応じて、電気エネルギー蓄積器を共振回路26の第1のキャパシタC
1に切り替え可能に置き換える手段を含むことができる。ブロック76を参照されたい。この点に関し、電気エネルギー蓄積器を第1のキャパシタC
1と交換可能に交換するための手段は、第1のキャパシタC
1が共振回路26のインダクタLsと並列に接続され、電気エネルギー蓄積器がアースに接続されるように、それぞれの第1の位置に戻される第1および第2のスイッチS
1、S
2を含むことができる。制御信号もはや供給されなくなったことに応じて、比較器切り替えScは、比較回路を蓄電器に接続するように閉位置に戻るようにも構成される。このように、二次回路24は計測段階に戻り、電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧は電圧が閾値Vthを満たし、伝達段階が再びトリガーされるまで、伝達段階中の電圧の放電の結果として、
図8に示すように再び零から増加する。したがって、二次回路は、測定されたパラメータを表すデータを一次回路に繰り返し提供するために、測定フェーズと送信フェーズとの間で交互に切り替わる。
【0041】
共振回路26のインダクタLsと並列の第1のキャパシタC
1の切り換え可能な接続および切断の例として、
図11は、第1のキャパシタの両端間、ひいては共振回路の両端間の電圧V
LCを示す。測定フェーズ中、交流電圧波形80は、対応する交流電圧波形を提供する共振回路と一次回路22との誘導結合の結果として、第1のキャパシタの両端に現れる。しかしながら、送信フェーズの間、
図11に82で示されるように、インダクタLsから第1のキャパシタが切り換え可能に切り離された結果として、第1のキャパシタの両端には電圧は現れない。
【0042】
例示的な実施形態の装置20は、送信フェーズによって規定されるように測定されたパラメータに基づいて入力の推定値を決定するための、処理回路23、コンピュータプログラム製品等の手段も含む。
図6のブロック78を参照すると、例示的な実施形態の処理回路は、それらの間で情報を渡すために、バスなどを介して、メモリデバイスを含むか、または、そうでなければメモリデバイスと通信することができる。メモリデバイスは一時的でなくてもよく、例えば、1つ以上の揮発性および/または不揮発性メモリを含むことができる。換言すれば、メモリデバイスは、マシン(例えば、プロセッサのような計算装置)によって検索可能であることができるデータ(例えば、ビット)を格納するように構成されたゲートを含む電子記憶デバイス(例えば、コンピュータ可読記憶媒体)であることができる。メモリデバイスは、本発明の一実施形態による多様な機能を実行するための情報、データ、含有量、アプリケーション、指示などを保存するように構成されることができる。例えば、メモリ装置は、プロセッサによる処理のために入力データをバッファするように構成することができる。さらに、または代替として、メモリデバイスは、処理回路による実行のための指示を格納するように構成され得る。
【0043】
処理回路23は、多くの異なる方法で具現化することができる。例えば、処理回路は、プロセッサ、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、付随するDSPを伴うまたは伴わない処理要素、または、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、マイクロコントローラユニット(MCU)、ハードウェアアクセラレータ、専用コンピュータチップなどの集積回路を含む様々な他の処理回路などの種々のハードウェア処理手段のうちの1つ以上として具現化されることができる。したがって、いくつかの実施形態では、処理回路が独立して実行するように構成された1つ以上の処理コアを含むことができる。マルチコアプロセッサは、単一の物理パッケージ内でマルチプロセッシングを可能にすることがある。それに加えて、またはその代わりに、処理回路は命令、パイプライン化、および/またはマルチスレッド化の独立した実行を可能にするために、バスを介してタンデムに構成された1つ以上のプロセッサを含むことができる。
【0044】
例示的な実施形態では、処理回路23がメモリデバイスに格納された、またはそうでなければ処理回路にアクセス可能な命令を実行するように構成され得る。代替的に又は追加的に、処理回路は、ハードコードされた機能を実行するように構成されることができる。したがって、ハードウェアまたはソフトウェアの方法によって、あるいはそれらの組合せによって構成されるかどうかにかかわらず、処理回路は、それに応じて構成されながら、本発明の実施形態による動作を実行することが可能なエンティティ(たとえば、回路で物理的に実施される)を表すことができる。したがって、例えば、処理回路が、ASIC、FPGA等として具現化される場合、処理回路は、本明細書に記載される動作を行うために具体的に構成されたハードウェアであることができる。あるいは別の例として、処理回路がソフトウェア命令の実行器として具現化される場合、命令は命令が実行されるときに本明細書で説明されるアルゴリズムおよび/または動作を実行するように処理回路を具体的に構成することができる。しかし、場合によっては、処理回路が、本明細書で説明するアルゴリズムおよび/または動作を実行するための命令によってプロセッサをさらに構成することによって、本発明の実施形態を使用するように構成された特定のデバイス(たとえば、計算装置)のプロセッサとすることができる。処理回路は、とりわけ、クロック、演算論理ユニット、および処理回路の動作をサポートするように構成された論理ゲートを含むことができる。
【0045】
測定されたパラメータに比例するような、測定されたパラメータを表すセンサ28によって提供される電流のような入力の推定値は、少なくとも部分的には連続する送信フェーズ間の時間のような、送信フェーズ間の時間によって規定される。一実施形態例では、送信フェーズ間の時間が、第1の送信フェーズの間の、電気エネルギー蓄積部33の放電に応答するような、一次回路22のインダクタLpにわたる電圧の増大と、
図10の期間84によって示されるような、次の送信フェーズのような、電気エネルギー蓄積部の放電に応答するような、一次回路のインダクタにわたる電圧の増大との間に経過する時間として定義される。一次回路22は
図3および
図4に示されるように、一次回路のインダクタにわたる電圧の増大を検出するように構成されたエンベロープ検出回路25も含むことができる。この実施例では、処理回路が送信フェーズ間の時間を決定するためのエンベロープ検出回路に応答する。一実施形態では、電流などの入力の推定値が、連続する送信フェーズ間の時間Tmだけでなく、閾値Vthおよび電気エネルギー蓄積器の容量Cmにも基づいている。この点に関して、例示的な実施形態のプロセッシング回路は、Im=Vth*Cm/Tmのように、測定されたパラメータを表す、例えば、それに比例する、センサによって提供される電流Imを推定するように構成されることができる。
【0046】
したがって、この例示的な実施形態の方法および装置20は、センサ28によって測定することができる検査対象の様々な生物学的パラメータのいずれかなど、測定されたパラメータの推定を容易にする。誘導結合された一次回路22と二次回路24の両方を含むこの実施形態では、方法および装置が二次回路の共振回路26を短絡させることなく、測定されたパラメータを表すデータなどのデータ転送を提供する。したがって、エネルギーは一次回路によって二次回路に供給され続け、ひいては、パラメータが測定されている測定フェーズの間だけでなく、データが二次回路から一次回路に転送される送信フェーズの間にも、二次回路の整流器27に供給され続けることができる。したがって、二次回路はより一貫した電力を受け取り、その結果、信頼できるデータ転送と測定パラメータの正確な推定を提供しながら、LSKの使用と比較してより短い共振回復時間隔により、電力転送と利用に関してより効率的に動作する。
【0047】
この点に関し、
図12は、LSKにしたがって動作する装置に対して、例示的な実施形態の装置20によって負荷29に供給された二乗平均平方根電力(Prms)を示す。したがって、例示的な実施形態の装置はLSKにしたがって動作する装置よりも多くの電力を負荷に供給し、それによって、負荷への電力の供給に関する効率の増大を証明する。例示的な実施形態の装置は、任意の数Nのクロックサイクルを有する測定フェーズに関してLSKにしたがって動作する装置よりも効率的であるが、データ転送が3クロックサイクル毎または5クロックサイクル毎など、より頻繁に発生する場合、LSKにしたがって動作する装置で克服され得るより頻繁な遷移期間の結果として、さらにより大きな相対効率を示す。
【0048】
装置20の一例を
図2~
図4に関連して上述したが、装置は本開示にしたがって測定されたパラメータの推定値を依然として提供しながら、別様に具現化されることができる。例えば、上述の装置の実施形態は、二次回路がバッテリまたは内部クロックを含む必要がないように誘導結合された一次および二次回路22、24を含む。代わりに、二次回路の動作に関連するエネルギーは、一次回路への誘導結合によって与えられ、二次回路のクロック信号は一次回路から二次回路へ誘導結合された交流波形から導出される。しかしながら、他の実施形態では、装置がバッテリおよび内部クロックを含むデバイスによって具現化されることができる。例として、
図13は、バッテリ92と、内部クロック源などのクロック源94とを含む別の例による装置90を示す。
図13の装置を具現化する装置は様々な装置のいずれであることができるが、一実施形態の装置はスマートフォン、フィットネストラッカ、または様々な他の個人用医療装置のようなスマート装置である。この例示的な実施形態では、装置90がセンサ96を含み、測定段階中に、センサは、測定キャパシタCmなどの電気エネルギー蓄積器に電流などの入力を提供し、その電流などの入力は、測定されたパラメータに比例するなどして、測定されたパラメータを表す。電気エネルギー蓄積器によって蓄積された電圧は、例えば比較器のような比較回路100によって閾値電圧Vthと比較される。電気エネルギー蓄積器によって記憶された電圧が、閾値に等しい、または、閾値を超えるなどで閾値を満たす場合、比較回路は出力Vcompを生成し、制御信号生成回路、例えば、フリップフロップ、例えば、図示の実施形態ではDフリップフロップ102のような、一種のゲートラッチを生成し、比較回路の出力に応答し、比較回路による出力Vcompの生成に続く第1のクロック信号の立ち上がり縁と同時に制御信号を生成する。この例示的な実施形態では、クロック信号がクロック源94によって供給されることができる。
【0049】
制御信号Qに応じて、本実施形態の装置90は、送信フェーズに遷移する。送信フェーズでは、スイッチ104が閉じられ、センサ96、測定キャパシタCmのような電気エネルギー蓄積器、および比較回路100が全てアースに接続される。比較回路への入力がグランドに接続されると、閾値Vthもはや満たされず、その結果、比較回路ももはや出力Vcompを生成しない。したがって、次のクロック・周期の立ち上がりエッジと同時に、制御信号生成回路102は送信フェーズが終了し、測定フェーズがスイッチの開口部と共に再干渉するように、もはや制御信号Qを生成しない。
【0050】
上述したように、本実施形態の装置90も、測定フェーズと送信フェーズとを交互に行う。本実施形態の装置は、測定パラメータを表す、例えば測定パラメータに比例する、などに基づいて、センサによって供給される電流など、センサ96によって提供される入力の推定値を決定するように構成された処理回路106も含むことができ、またはそれに結びつくことができる。処理回路は、連続する送信フェーズの間を経過する時間のような、送信フェーズに基づいて推定値を決定するように構成される。この実施例では、処理回路が、フリップフロップ102によって生成される連続した制御信号間の時間に基づいて、連続した送信フェーズ間の時間を決定するように構成される。上述のように、電流のような入力の推定値は、連続する送信フェーズ間の時間Tm(この例では制御信号生成回路によって生成される連続する制御信号間の時間によって定義される)に基づくだけでなく、閾値Vthおよび測定キャパシタCmのような電気エネルギー蓄積器の容量Cmにも基づいている。この点に関し、実施形態例の処理回路は、再び、Im=Vth*Cm/Tmのように、測定されたパラメータに、例えば、比例するように、センサによって提供される電流を推定するように構成されることができる。
【0051】
上述のように、処理回路23、106は、測定されたパラメータに比例するような、代表的な電流の測度を決定するように構成される。例示的な実施形態では、処理回路が1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に基づいて動作するように構成され得る。あるいは、処理回路の機能性の全てまたは一部が他の実施形態におけるコンピュータプログラム命令によって置き換えられてもよい。いずれの場合も、コンピュータプログラム命令は、メモリデバイスによって格納され、処理回路または他の何らかの計算装置によって実行され得る。理解されるように、任意のそのようなコンピュータプログラム命令はコンピュータまたは他のプログラマブル装置(例えば、ハードウェア)にロードされて、結果として得られるコンピュータまたは他のプログラマブル装置がフローチャートブロックで指定される機能を実装するように、マシンを生成し得る。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラマブル装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読メモリに格納されてもよく、その結果、コンピュータ可読メモリに格納された命令は上述の機能を実行する製品を生成する。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラマブル装置にロードされて、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で一連の動作を実行させて、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行される命令が処理回路に関して上記で指定された機能を実装するための動作を提供するように、コンピュータ実装プロセスを生成することができる。
【0052】
上記説明および関連付けられる図面に提示される教示から恩恵を受ける本発明に関連する分野の当業者ならば、本明細書に示される本発明の多くの変更形態および他の実施形態を思いつく。したがって、本発明は開示される特定の実施形態に限定されるべきではなく、変更形態および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に包含されることを意図されることを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、追加の任意選択の動作を含めることができる。上記の動作に対する修正、添加、または増幅は、任意の順序で、および任意の組合せで実行され得る。
【0053】
さらに、前述の説明および関連する図面は素子および/または機能の特定の例示的な組合せのコンテキストで例示的な実施形態を説明するが、素子および/または機能の異なる組合せが、添付の特許請求の技術的範囲から逸脱することなく代替の実施形態によって提供され得ることを理解されたい。この点に関して、例えば、上記で明示的に説明されたものとは異なる素子および/または機能の併用もまた、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載され得るように企図される。本明細書で特定の用語を用いているが、包括的かつ説明のためにのみ用いており、限定するためではない。