(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】敵次行動の予測性を高めるプログラム、サーバ、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/58 20140101AFI20220629BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20220629BHJP
A63F 13/822 20140101ALI20220629BHJP
A63F 13/35 20140101ALI20220629BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20220629BHJP
【FI】
A63F13/58
A63F13/55
A63F13/822
A63F13/35
A63F13/45
(21)【出願番号】P 2021033457
(22)【出願日】2021-03-03
(62)【分割の表示】P 2020038453の分割
【原出願日】2020-03-06
【審査請求日】2021-05-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511249637
【氏名又は名称】株式会社Cygames
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】植田 慶太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 達哉
(72)【発明者】
【氏名】赤塩 真
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-113156(JP,A)
【文献】特開2003-019351(JP,A)
【文献】特開2016-067487(JP,A)
【文献】特開2014-144361(JP,A)
【文献】[グラブル]攻略に必要なバトルの基本!ボス戦で気をつけたいこと[初心者],あびこさん@がんばらない[online],2018年10月27日,インターネット<URL:https://abikosan.com/gbf_beginner_battle>,[2021年11月 9日検索]
【文献】今日からはじめるグラブル第2回「バトル」,YouTube[online][video],2017年08月01日,インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=B-vh07QAxbA>,[2021年11月 9日検索]
【文献】マルチバトル,グラブル初心者向けwiki[online],2018年04月05日,インターネット<URL:https://w.atwiki.jp/gbf_beginner/pages/18.html>,[2021年11月 9日検索]
【文献】[黒騎士と白の魔王]バトルについて[初心者攻略],ななせのアプリゲーム攻略情報[online],2017年05月29日,インターネット<URL:http://nanasegame.blog.fc2.com/blog-entry-23.html>,[2021年 7月 8日検索]
【文献】ファイナルファンタジーXII インターナショナル ゾディアックジョブシステム,ファミ通PLAYSTATION+ Vol.237 ,株式会社エンターブレイン,2007年10月01日,第12巻 第11号 通巻237号,p.40~47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
敵キャラクタと対戦するゲームのためのプログラムであって、コンピュータに、
敵キャラクタパラメータ及び敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を記憶装置に記憶する段階と、
前記記憶された敵次行動情報に基づいてプレイヤ端末へ前記敵次行動の予告情報を送信する段階と、
第1のプレイヤ行動種類及び第2のプレイヤ行動種類を含むプレイヤ行動種類の少なくとも1つであるプレイヤ行動を指示するプレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階と、
前記受け付けたコマンド入力に基づいてプレイヤキャラクタの行動を実行する段階と、
実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵キャラクタパラメータを更新する段階と、
前記コマンド入力を受け付ける段階の後、敵キャラクタの敵次行動情報を更新する段階と、
を実行させ、
前記敵次行動情報を更新する段階は、
前記コマンド入力が第1のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行する段階と、
前記敵キャラクタの行動を実行する段階が実行された後、前記プレイヤによる次のコマンド入力を受け付ける段階が実行される前に、前記更新された敵キャラクタパラメータに基づいて敵次行動を決定する段階と、
前記決定された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新する段階と、
を含み、
前記コマンド入力が第2のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて、前記敵次行動を中断させるための
当該敵次行動に対応する中断条件が満たされたか否かを判定する段階と、
中断条件が満たされたと判定された場合、前記敵次行動を他の敵次行動に変更する段階と、
前記変更された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新する段階と、
敵キャラクタの行動を実行することなく、プレイヤの次のコマンド入力を受け付けるために、前記プレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階に戻る段階と、
を含む、
ことを特徴とする、プログラム。
【請求項2】
前記敵次行動の予告情報は、当該敵次行動を中断させるための中断条件を示す情報を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コマンド入力の前に、第3のプレイヤ行動種類を指示するプレイヤ入力を受け付ける段階を含み、
前記第3のプレイヤ行動種類を指示するプレイヤ入力を受け付けた場合、前記プレイヤキャラクタの行動を実行する段階は、前記コマンド入力に基づく行動に代えて、前記第3のプレイヤ行動種類の行動を実行する段階を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記敵キャラクタと対戦するゲームは、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタと対戦するゲームであり、前記敵キャラクタパラメータは、複数のプレイヤ識別情報に共通のパラメータとして記憶装置に記憶され、前記敵次行動情報は各プレイヤ識別情報に個別に対応付けて記憶装置に記憶され、
前記敵次行動を決定する段階は、プレイヤから受け付けたコマンド入力に基づいてプレイヤキャラクタの行動を実行する段階及び前記敵キャラクタの行動を実行する段階が実行された後、前記プレイヤによる次のコマンド入力を受け付ける段階が実行される前に、前記更新された敵キャラクタパラメータに基づいて敵次行動を決定する段階を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
敵キャラクタと対戦するゲームのためのサーバであって、
敵キャラクタパラメータ及び敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を記憶装置に記憶し、
前記記憶された敵次行動情報に基づいてプレイヤ端末へ前記敵次行動の予告情報を送信し、
第1のプレイヤ行動種類及び第2のプレイヤ行動種類を含むプレイヤ行動種類の少なくとも1つであるプレイヤ行動を指示するプレイヤによるコマンド入力を受け付け、
前記受け付けたコマンド入力に基づいてプレイヤキャラクタの行動を実行し、
実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵キャラクタパラメータを更新し、
前記コマンド入力を受け付ける段階の後、敵キャラクタの敵次行動情報を更新し、
を実行させ、
前記敵次行動情報を更新することは、
前記コマンド入力が第1のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行することと、
前記敵キャラクタの行動を実行する段階が実行された後、前記プレイヤによる次のコマンド入力を受け付ける段階が実行される前に、前記更新された敵キャラクタパラメータに基づいて敵次行動を決定することと、
前記決定された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新することと、
を含み、
前記コマンド入力が第2のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて、前記敵次行動を中断させるための
当該敵次行動に対応する中断条件が満たされたか否かを判定することと、
中断条件が満たされたと判定された場合、前記敵次行動を他の敵次行動に変更することと、
前記変更された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新することと、
敵キャラクタの行動を実行することなく、プレイヤの次のコマンド入力を受け付けるために、前記プレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階に戻ることと、
を含む、
ことを特徴とする、サーバ。
【請求項6】
敵キャラクタと対戦するゲームのための方法であって、コンピュータに、
敵キャラクタパラメータ及び敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を記憶装置に記憶する段階と、
前記記憶された敵次行動情報に基づいてプレイヤ端末へ前記敵次行動の予告情報を送信する段階と、
第1のプレイヤ行動種類及び第2のプレイヤ行動種類を含むプレイヤ行動種類の少なくとも1つであるプレイヤ行動を指示するプレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階と、
前記受け付けたコマンド入力に基づいてプレイヤキャラクタの行動を実行する段階と、
実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵キャラクタパラメータを更新する段階と、
前記コマンド入力を受け付ける段階の後、敵キャラクタの敵次行動情報を更新する段階と、
を実行させ、
前記敵次行動情報を更新する段階は、
前記コマンド入力が第1のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行する段階と、
前記敵キャラクタの行動を実行する段階が実行された後、前記プレイヤによる次のコマンド入力を受け付ける段階が実行される前に、前記更新された敵キャラクタパラメータに基づいて敵次行動を決定する段階と、
前記決定された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新する段階と、
を含み、
前記コマンド入力が第2のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて、前記敵次行動を中断させるための
当該敵次行動に対応する中断条件が満たされたか否かを判定する段階と、
中断条件が満たされたと判定された場合、前記敵次行動を他の敵次行動に変更する段階と、
前記変更された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新する段階と、
敵キャラクタの行動を実行することなく、プレイヤの次のコマンド入力を受け付けるために、前記プレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階に戻る段階と、
を含む、
ことを特徴とする、方法。
【請求項7】
敵キャラクタと対戦するゲームのためのシステムであって、
前記システムは、サーバ及び前記サーバに接続されるプレイヤ端末を含み、
前記サーバは、
敵キャラクタパラメータ及び敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を記憶装置に記憶し、
前記記憶された敵次行動情報に基づいてプレイヤ端末へ前記敵次行動の予告情報を送信し、
第1のプレイヤ行動種類及び第2のプレイヤ行動種類を含むプレイヤ行動種類の少なくとも1つであるプレイヤ行動を指示するプレイヤによるコマンド入力を受け付け、
前記受け付けたコマンド入力に基づいてプレイヤキャラクタの行動を実行し、
実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵キャラクタパラメータを更新し、
前記コマンド入力を受け付ける段階の後、敵キャラクタの敵次行動情報を更新し、
を実行させ、
前記敵次行動情報を更新することは、
前記コマンド入力が第1のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行することと、
前記敵キャラクタの行動を実行する段階が実行された後、前記プレイヤによる次のコマンド入力を受け付ける段階が実行される前に、前記更新された敵キャラクタパラメータに基づいて敵次行動を決定することと、
前記決定された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新することと、
を含み、
前記コマンド入力が第2のプレイヤ行動種類のプレイヤ行動を指示する場合、
前記実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて、前記敵次行動を中断させるための
当該敵次行動に対応する中断条件が満たされたか否かを判定することと、
中断条件が満たされたと判定された場合、前記敵次行動を他の敵次行動に変更することと、
前記変更された敵次行動に基づいて前記記憶装置における敵次行動情報を更新することと、
敵キャラクタの行動を実行することなく、プレイヤの次のコマンド入力を受け付けるために、前記プレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階に戻る段階と、
を含み、
前記プレイヤ端末は、プレイヤによるコマンド入力を受け付けて、前記サーバに送信する、
ことを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム等に関するものであり、敵キャラクタの次行動の予測性を向上させるプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のオンラインゲーム等の普及に伴い、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタとの対戦を行うゲームがリリースされている。このようなゲームにおいて、ユーザの操作入力が行われなかった時間に応じて、当該ユーザのキャラクタに対する敵キャラクタの攻撃の頻度や攻撃力を増加させるシステムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プレイヤの操作入力が行われるまで敵キャラクタの攻撃力や行動が決定されていない場合には、プレイヤの操作入力に先立ってプレイヤキャラクタの行動を戦略的に考えて敵キャラクタへの攻撃を行ったにもかかわらず、敵キャラクタの予期せぬ攻撃を受けてしまうことがある。このような場合には、プレイヤキャラクタの行動の戦略を練ることの魅力を減じさせ、ひいてはゲームそのものへの興味を失わせる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、敵キャラクタの次の行動の予測性を向上させることが可能なプログラム等を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施態様におけるプログラムは、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタと対戦するゲームのためのプログラムであって、コンピュータに、複数のプレイヤ識別情報に共通の敵キャラクタパラメータである敵共通パラメータを記憶装置に記憶する段階と、敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を各プレイヤ識別情報に個別に対応付けて記憶装置に記憶する段階と、プレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階と、受け付けたコマンド入力に基づいて前記プレイヤのプレイヤ識別情報に対応付けられたプレイヤキャラクタの行動を実行する段階と、実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータを更新する段階と、前記プレイヤ識別情報に対応付けて記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行する段階と、前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータに基づいて敵次行動を決定する段階と、前記決定された敵次行動に基づいて前記プレイヤ識別情報に対応付けられた前記記憶装置における敵次行動情報を更新する段階と、を実行させる。
【0007】
さらに、各プレイヤのプレイヤ端末が前記コンピュータに接続され、前記コンピュータに、前記敵次行動情報を決定する段階を実行すると、プレイヤ端末へ前記決定された敵次行動の予告情報を送信する段階、をさらに実行させてもよい。
【0008】
敵キャラクタの行動の種類は第1の敵行動種類及び第2の敵行動種類を含み、前記予告情報を送信する段階は、敵次行動の種類が第2の敵行動種類である場合に実行されるようにしてもよい。
【0009】
また、プレイヤキャラクタの行動の種類は第1のプレイヤ行動種類及び第2のプレイヤ行動種類を含み、前記コンピュータに、前記プレイヤキャラクタの行動を実行する段階において実行される行動が第2のプレイヤ行動種類の行動である場合、前記敵キャラクタの行動を実行することなく、前記敵次行動を決定する段階及び前記敵次行動情報を更新する段階を実行させてもよい。
【0010】
さらにまた、前記コンピュータに、プレイヤ識別情報毎に異なる敵キャラクタのパラメータである敵個別パラメータを各プレイヤ識別情報に対応付けて前記記憶装置に記憶する段階をさらに実行させ、前記敵次行動を決定する段階は、プレイヤ識別情報に対して、敵共通パラメータ及び当該プレイヤ識別情報に対応付けて記憶された敵個別パラメータに基づいて敵次行動を決定する段階を含むことができる。
【0011】
前記敵次行動情報は行動名称及び行動対象を含んでもよい。
【0012】
プレイヤ識別情報に対応付けられた敵次行動情報は敵次行動を中断させるための中断条件を含み、前記コンピュータに、前記敵次行動情報に含まれる中断条件が満たされたか否かを判定する段階と、中断条件が満たされたと判定された敵次行動情報を、他の敵次行動を示す敵次行動情報に更新する段階と、をさらに実行させるようにすることができる。
【0013】
前記コンピュータに、プレイヤに敵次行動が変更されたことを通知するための中断情報をプレイヤ端末へ送信する段階を、さらに実行させてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態におけるサーバは、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタと対戦するゲームのためのサーバであって、複数のプレイヤ識別情報に共通の敵キャラクタパラメータである敵共通パラメータを記憶装置に記憶し、敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を各プレイヤ識別情報に個別に対応付けて記憶装置に記憶し、プレイヤによるコマンド入力を受け付け、受け付けたコマンド入力に基づいて前記プレイヤのプレイヤ識別情報に対応付けられたプレイヤキャラクタの行動を実行し、実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータを更新し、前記プレイヤ識別情報に対応付けて記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行し、前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータに基づいて敵次行動を決定し、前記決定された敵次行動に基づいて前記プレイヤのプレイヤ識別情報に対応付けられた前記記憶装置における敵次行動情報を更新する。
【0015】
本発明の一実施形態における方法は、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタと対戦するゲームのための方法であって、コンピュータが、複数のプレイヤ識別情報に共通の敵キャラクタパラメータである敵共通パラメータを記憶装置に記憶する段階と、敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を各プレイヤ識別情報に個別に対応付けて記憶装置に記憶する段階と、プレイヤによるコマンド入力を受け付ける段階と、受け付けたコマンド入力に基づいて前記プレイヤのプレイヤ識別情報に対応付けられたプレイヤキャラクタの行動を実行する段階と、実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータを更新する段階と、前記プレイヤ識別情報に対応付けて記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行する段階と、前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータに基づいて敵次行動を決定する段階と、前記決定された敵次行動に基づいて前記プレイヤ識別情報に対応付けられた前記記憶装置における敵次行動情報を更新する段階と、を実行する。
【0016】
本発明の一実施形態におけるシステムは、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタと対戦するゲームのためのシステムであって、前記システムは、サーバ及び前記サーバに接続される各プレイヤのプレイヤ端末を含み、前記サーバは、複数のプレイヤ識別情報に共通の敵キャラクタパラメータである敵共通パラメータを記憶装置に記憶し、敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を各プレイヤ識別情報に個別に対応付けて記憶装置に記憶し、プレイヤによるコマンド入力を受け付け、受け付けたコマンド入力に基づいて前記プレイヤのプレイヤ識別情報に対応付けられたプレイヤキャラクタの行動を実行し、実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータを更新し、前記プレイヤ識別情報に対応付けて記憶装置に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行し、前記記憶装置に記憶された敵共通パラメータに基づいて敵次行動を決定し、前記決定された敵次行動に基づいて前記プレイヤ識別情報に対応付けられた前記記憶装置における敵次行動情報を更新し、前記プレイヤ端末は、プレイヤによるコマンド入力を受け付けて、前記サーバに送信する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、敵キャラクタの次の行動の予測性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るシステムのハードウェア構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るゲーム用画面の一例である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るゲーム用画面の一例である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るゲーム用画面の一例である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るゲーム用画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるゲームシステム1について説明する。本明細書においては、説明の便宜上、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成についての重複説明を省略する場合がある。
【0020】
ゲームシステム1は、複数のプレイヤ端末がサーバにネットワークを介して接続されるシステムによって実現されるものとする。
図1は本発明の一実施形態によるゲームシステム1の全体構成の一例を示す。
図1に示すように、ゲームシステム1は、複数のプレイヤ端末10と、サーバ20とを備え、プレイヤ端末10及びサーバ20は、インターネットなどのネットワーク2に接続され、互いに通信可能である。なお、本実施形態のゲームシステム1は、サーバ-クライアントシステムを想定して説明する。
【0021】
図2は本発明の一実施形態によるプレイヤ端末10及びサーバ20のハードウェア構成を示すブロック図である。プレイヤ端末10は、プロセッサ11、表示装置12、入力装置13、記憶装置14及び通信装置15を備える。これらの各構成装置はバス16によって接続される。なお、バス16と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。本実施形態において、プレイヤ端末10はスマートフォンである。ただし、プレイヤ端末10は、上記の構成を備えるものであれば、タブレット型コンピュータ、パソコンやゲーム装置などの電子装置とすることができる。
【0022】
サーバ20もまた同様に、プロセッサ21、表示装置22、入力装置23、記憶装置24及び通信装置25を備える。これらの各構成装置はバス26によって接続される。なお、バス26と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。本実施形態においてサーバ20はコンピュータによって実現される。
【0023】
プロセッサ11、21は、プレイヤ端末10ないしサーバ20全体の動作を制御するものであり、例えばCPUである。なお、プロセッサ11、21としては、MPU等の電子回路が用いられてもよい。プロセッサ11、21は、記憶装置14、24に格納されているプログラムやデータを読み込んで実行することにより、様々な処理を実行する。1つの例では、プロセッサ11、21は、複数のプロセッサから構成される。
【0024】
表示装置(ディスプレイ)12、22は、プロセッサ11、21の制御に従って、アプリケーション画面などをプレイヤ端末10のユーザ(プレイヤ)ないしサーバ20のユーザ(管理者)に表示する。好ましくは液晶ディスプレイであるが、有機ELを用いたディスプレイやプラズマディスプレイ等であってもよい。
【0025】
入力装置13、23は、プレイヤ端末10及びサーバ20に対するユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェースであり、例えば、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、又はマウスである。本実施形態においてプレイヤ端末10はスマートフォンであるため、プレイヤ端末10は入力装置13としてタッチパネルを備え、タッチパネルは表示装置12としても機能し、表示装置12と入力装置13は一体となった構造である。表示装置12と入力装置13は、別の位置に配置される別個の形態であってもよい。サーバ20はコンピュータであるため、入力装置としてキーボード及びマウスを備え、表示装置として液晶ディスプレイを備えるものとする。
【0026】
記憶装置14、24は、揮発性メモリであるRAM及び不揮発性メモリであるeMMC、UFS、SSDのようなフラッシュメモリを用いた記憶装置及び磁気記憶装置等を含む、一般的なスマートフォン及びコンピュータが備える記憶装置である。記憶装置14、24は、外部メモリを含むこともできる。例えば記憶装置14は、ブラウザプログラムやゲームプログラムを記憶し、記憶装置24はサーバ用ゲームプログラムを記憶する。ブラウザプログラムやゲームプログラムは、プレイヤ端末10に対するユーザの操作に応じて起動され、プレイヤ端末10が予め実装するオペレーティングシステム(OS)上で実行される。サーバ用ゲームプログラムはクライアントである各プレイヤ端末において実行されるブラウザプログラムやゲームプログラム上でゲームを適切に進行させるように情報処理を行うための機能及び各種データを含む。
【0027】
1つの例では、記憶装置14、24は、主記憶装置及び補助記憶装置を含む。主記憶装置は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、プロセッサ11、21が情報を処理する際の記憶領域及び作業領域として用いられる。補助記憶装置は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ11、21が使用するデータを格納する。補助記憶装置は、例えばハードディスク装置であるが、情報を格納できるものであればいかなる不揮発性ストレージ又は不揮発性メモリであってもよく、着脱可能なものであっても構わない。補助記憶装置は、例えば、オペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア、アプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に伴って参照され得る各種データなどを格納する。また、記憶装置として、プレイヤ端末10及びサーバ20から物理的に分離されたデータベースを用いることもできる。
【0028】
通信装置15、25は、ネットワーク2(
図2においては省略)を介して他の装置との間でデータの授受を行う。例えば通信装置15、25は、移動体通信や無線LAN等の無線通信を行い、ネットワーク2へ接続する。プレイヤ端末10は通信装置15を用いることで、ネットワークを介してサーバ20と通信を行う。通信装置15、25は、イーサネット(登録商標)ケーブル等を用いた有線通信を行ってもよい。
【0029】
図3は本発明の一実施形態によるプレイヤ端末10及びサーバ20の機能ブロック図の一例を示す。プレイヤ端末10は、入力部31、表示部32、通信部33及びゲーム制御部34及び記憶部35を備え、サーバ20は、入力部41、表示部42、通信部43、ゲーム制御部44及び記憶部45を備える。本実施形態においては、プロセッサ11及び21がプログラムを実行することによりこれらの機能が実現される。例えば実行されるプログラムは、記憶装置14、24に記憶されているブラウザプログラムやゲームプログラムである。このように、各種機能がプログラム読み込みにより実現されるため、1つのパート(機能)の一部又は全部を他のパートが有していてもよい。各機能の一部又は全部を実現するための電子回路等を構成することによりハードウェアによってもこれらの機能は実現してもよい。
【0030】
入力部31、41は、入力装置13、23を用いて構成されるものであり、プレイヤ端末10及びサーバ20に対するユーザからの入力を受け付ける。プレイヤ端末10及びサーバ20は、入力部31、41によりユーザ入力を受け付ける。ユーザ入力は例えばゲームにおけるプレイヤの命令を示すコマンド入力を含んでもよい。本実施形態では、プレイヤ端末10においてはタッチパネルを備えるスマートフォンが一般的に有しているタッチ検出機能を用いることができる。
【0031】
プレイヤ端末10の表示部32は、表示装置12を用いてゲーム用画面を表示し、ゲームの進行やユーザ操作に応じたゲーム用画面を表示する。サーバ20の表示部42は、必要に応じてゲーム管理者のための管理用画面を表示装置22に表示する。
【0032】
ゲーム制御部34、44は、本実施形態のゲームを実行するにあたっての制御処理及び処理に必要な各種データの記憶部35、45への格納を行う。本実施形態においては、プレイヤ端末10のゲーム制御部34はブラウザプログラムを用いて実現され、ユーザへの入出力情報の処理及びサーバ20への送受信信号の処理等を行う。ゲームアプリケーションをプレイヤ端末10にインストールして、実現されてもよい。
【0033】
サーバ20のゲーム制御部44は、サーバ用ゲームプログラムが実行されて実現され、プレイヤ端末10において実行されるゲームのための処理を行う。1つの例では、ゲーム制御部44は、プレイヤ端末10においてブラウザが起動されて、ゲーム制御部34が実現されて、ゲームを進行させるためにサーバ20へアクセスされると、定期的に、又は必要に応じてデータの送受信を行い、ゲームを進行させる。例えばゲーム制御部44は、本実施形態のゲームを実行するにあたっての制御処理及び必要な各種データ等を記憶部45に記憶し、適宜プレイヤ端末10に提供する。各種データには複数のプレイヤ識別情報に共通の敵キャラクタパラメータである敵共通パラメータ、及び、各プレイヤに対応付けて記憶された敵個別パラメータ等が含まれる。敵個別パラメータは、敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を含むことができる。敵次行動情報は、敵が次の次以降に実行を予定する行動の情報を含んでいてもよい。
【0034】
ゲーム制御部44は、通信部43を介して受信したコマンド入力に基づいてプレイヤキャラクタの行動を実行し、実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて記憶部45に記憶された敵共通パラメータを更新し、前記プレイヤに対して、当該プレイヤのプレイヤ識別情報に対応付けて記憶部に記憶された敵次行動情報に基づいて敵キャラクタの行動を実行し、前記敵キャラクタの行動を実行した後、前記プレイヤに対して、記憶部45に記憶された敵共通パラメータに基づいて敵次行動を決定し、当該決定された敵次行動に基づいて前記プレイヤのプレイヤ識別子に対応付けられた記憶部45における敵次行動情報を更新する。
【0035】
記憶部35、45は、記憶装置14、24を用いて構成される。サーバ20の記憶部45においては、複数のプレイヤ識別情報に共通の敵キャラクタパラメータである敵共通パラメータを複数のプレイヤ識別情報に共通して記憶し、敵キャラクタが次に実行を予定する行動である敵次行動を示す敵次行動情報を各プレイヤのプレイヤ識別情報に個別に対応付けて記憶し、各プレイヤのプレイヤ識別情報に対応付けて敵個別パラメータを記憶する。プレイヤ端末10の記憶部35は、当該プレイヤ端末10のためのサーバ20から受信した情報を格納するために用いられる。
【0036】
本実施形態においては、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタと対戦するバトルのためのバトルパラメータ表がサーバ20の記憶部45に記憶される。バトルパラメータ表には、当該バトルの敵キャラクタの識別情報、バトルに参加しているプレイヤのプレイヤ識別情報、すべてのプレイヤ識別情報に対して共通の敵キャラクタパラメータ及び各プレイヤ識別情報に個別に対応付けられたプレイヤ毎に異なる敵個別パラメータを含むことができる。敵個別パラメータは次に実行が予定されている敵キャラクタの行動を示す敵次行動情報を含むことができる。バトルパラメータ表の一例を表1に示す。
【0037】
【0038】
敵IDは敵キャラクタの識別情報であり、敵HPは敵キャラクタの残りヒットポイント(HP)であり、PIDはバトルに参加しているプレイヤの識別情報である。敵HPはバトルに参加している全プレイヤの識別情報に共通の敵キャラクタパラメータであるから、すべてのPIDに対応付けて記憶される。
【0039】
PIDに対して個別に対応付けられる敵個別パラメータとして敵CT、敵次行動及び敵次行動対象情報を含む。さらに、プレイヤ毎に個別のプレイヤパラメータとして、PCID及びPCHPを含む。
【0040】
敵CTはプレイヤ毎のゲーム進行に従って変更される敵チャージターン情報である。敵CTは、0~最大値までの整数値であり、最大値は敵キャラクタ毎に予め設定することができる。敵キャラクタの行動が実行されるとチャージターンが1つ増加し、最大値まで増加すると特殊行動が実行されて0に戻る。その他、プレイヤキャラクタの行動によって変更されたり、敵HPによって変動してもよい。変形例として、敵CTを含まなくとも本発明を実施可能であることは当業者には明らかである。敵次行動IDは、対応付けられたPIDに対して次に実行が予定されている敵キャラクタの行動を示す行動識別情報である。
【0041】
PCIDはプレイヤが操作するプレイヤキャラクタの識別情報であり、PIDに対応付けて記憶される。本実施形態では、1人のプレイヤが複数のプレイヤキャラクタを操作することができるように1つのPIDに複数のPCIDが対応付けられているが、1つのPIDに1つのPCIDのみを対応付けて、1体のプレイヤキャラクタのみを操作するようにしてもよい。その場合にはPCID及び敵次行動対象情報を省略してもよい。PCHP及び敵次行動対象情報はPCIDに対応付けられる。PCHPは対応付けられたプレイヤキャラクタの残りHPであり、敵次行動対象は対応付けられたプレイヤキャラクタが敵次行動の対象とされているかを示す情報である。敵次行動対象情報が「1」のときは敵次行動の対象であることを示し、「0」のときは対象外であることを示すものとする。
【0042】
サーバ20の記憶部45はさらに敵パラメータ表を記憶することができる。敵パラメータ表は敵キャラクタについての基本的なパラメータや行動の種類、内容等を示す情報を含むことができる。敵パラメータ表の一例を表2に示す。
【0043】
【0044】
敵IDは敵キャラクタの識別情報であり、ここでは、基礎パラメータ、行動ID、行動種類、行動名称、発生条件、中断条件及び行動内容が対応付けられて記憶されるものとする。基礎パラメータは敵キャラクタの基本的なパラメータを示すものであり、攻撃力、最大HP、最大敵CTを含むものとする。例えば敵ID=1の敵キャラクタの攻撃力は90であり、最大費HPは897、最大敵CTは3であることを示している。
【0045】
行動IDは各敵キャラクタが実行可能な行動を示す識別情報である。行動種類は行動の種類を示すものであり、第1及び第2の行動種類(敵行動種類)を含むものとする。行動種類=0は通常攻撃、行動種類=1は特殊攻撃を意味するものとする。特殊攻撃として複数の特殊攻撃が定められていてもよい行動名称は行動の名称を示す。
【0046】
発生条件はその行動が発生する条件を意味する。例えば、敵ID=1の行動ID=1は行動種類=0であるから通常攻撃であり、発生条件=「-」は特定の発生条件を満たすことなく実行可能であることを示している。一方、行動ID=2は、行動種類=1であるから、特殊攻撃である。そして、発生条件=「50%≧HP>40%」であるから、敵キャラクタの残りHPが50%≧HP>40%のときに実行可能であることを示している。発生条件が設定されている行動は各プレイヤに対して1回のみの実行とすることができる。例えば、各プレイヤに対して実行されたことを示す情報をバトルパラメータ表に記録することができる。
【0047】
中断条件は、その行動が次行動として予定されている場合に、中断されて、他の行動に変更されるための条件を示す。中断条件=「-」は中断することができない行動であることを示し、「被攻撃>4回」は、次行動を実行する前にプレイヤキャラクタから4回以上の攻撃を受けた場合には次行動としての当該行動の実行がキャンセルされる。中断条件が「中断行動」である場合には、プレイヤキャラクタが中断行動を実行するとその敵次行動がキャンセルされることを意味する。発生条件が「敵CT=最大」であり、中断条件が「敵CT≠最大」の場合は、例えばプレイヤキャラクタのアビリティ実行により、敵CTが変更されて最大でなくなると特殊行動が中断されることを意味する。敵次行動がキャンセルされると例えば、次行動が通常行動に変更される。
【0048】
行動内容は行動の内容を示す。例えば、「4回 R攻撃」は攻撃対象となるプレイヤキャラクタをランダムに4回選択し、選択されたプレイヤに対して攻撃を行うこと意味し、「2回 全体攻撃」はプレイヤの全プレイヤキャラクタに対して2回攻撃を行うことを意味する。
【0049】
サーバ20の記憶部45はさらにプレイヤパラメータ表を記憶することができる。プレイヤパラメータ表においては、プレイヤ識別情報に対してプレイヤキャラクタ識別情報が対応付けられる。プレイヤパラメータ表の一例を表3に示す。
【0050】
【0051】
表3においてはPIDに対してPCIDが対応付けられて記憶されることが示されている。ここでは1つのPIDに対して4つのPCIDが対応付けて記憶されることを示し、1人のプレイヤが4体のプレイヤキャラクタを操作可能である。各プレイヤがプレイヤ端末10において、自分が操作したいプレイヤキャラクタを選択する入力を行うことにより、プレイヤパラメータ表を変更することができるが、予めPIDに対して固定的にPCIDを割り当ててもかまわない。
【0052】
サーバ20の記憶部45はさらにプレイヤキャラクタパラメータ表を記憶することができる。プレイヤパラキャラクタメータ表は各プレイヤキャラクタの基本的なパラメータや行動の種類、内容等を示す情報を含むことができる。プレイヤキャラクタパラメータ表の一例を表4に示す。
【0053】
【0054】
PCIDはプレイヤキャラクタの識別情報であり、基礎パラメータ、行動ID、行動種類及び行動内容が対応付けられて記憶されるものとする。基礎パラメータはプレイヤキャラクタの基本的なパラメータを示すものであり、攻撃力及び最大HPを含むものとする。例えばPCID=1のプレイヤキャラクタの攻撃力は80であり、最大HPは768である。行動IDは各PCIDのプレイヤキャラクタが実行可能な行動を示す識別情報である。行動種類は行動の種類を示すものであり、第1及び第2の行動種類(プレイヤ行動種類)を含むものとする。ここでは第1の行動種類(プレイヤ行動種類)として通常攻撃、第2の行動種類(プレイヤ行動種類)として複数のアビリティが定められているものとする。行動種類=0は通常攻撃、行動種類=1はアビリティを意味するものとする。
【0055】
後述するように、第1の行動種類の行動が実行されると、次に敵キャラクタの行動が実行され、第2の行動種類の行動が実行された場合には、次に敵キャラクタの行動を実行することなく、さらにプレイヤによるプレイヤキャラクタの行動決定及び実行がなされる。ただし、同じ第2の行動種類の行動は、敵行動が所定回数実行された後でなければ再度の実行はできないものとする。
【0056】
通常攻撃は各プレイヤキャラクタの攻撃を実行する。アビリティは敵キャラクタに対する攻撃、味方キャラクタの強化、敵キャラクタの弱体化、敵特殊行動の中断行動等を実行することができる。例えば、PCID=1の行動ID=1は行動種類=0、行動内容=「1回 攻撃」あるから通常攻撃であり、1回攻撃を行う。行動ID=2は、行動種類=1であるからアビリティであり、行動内容=「1回 全体攻撃」であるから複数の敵キャラクタがいる場合には全敵キャラクタに対して1回の攻撃を行うことを意味する。
【0057】
敵キャラクタの行動の種類及びプレイヤキャラクタの行動の種類は、ここではそれぞれ2つずつとして説明するが、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
【0058】
次に、本発明の一実施形態によるゲームシステム1において実行される情報処理について
図4に示したフローチャートを用いて説明する。本実施形態におけるゲームシステムは、複数のプレイヤが共通の敵キャラクタと対戦するゲームのためのシステムである。各プレイヤのプレイヤ端末10がサーバ20に接続されており、共同して敵キャラクタを倒すことを目的とする。複数のプレイヤは共通の敵に対して攻撃を行い、共通の敵キャラクタのHPがゼロとなるとプレイヤ側の勝利とし、すべてのプレイヤのプレイヤキャラクタのHPがゼロとなれば敵キャラクタ側の勝利とする。
【0059】
共通の敵キャラクタのHPはバトルに参加しているすべてのプレイヤに対して共通である一方で、敵次行動、敵CT等の敵個別パラメータは各プレイヤに個別に決定、記憶される。
図4に示したフローチャートは、サーバ20と1つのプレイヤ端末10との間で実行される情報処理を示しており、同様の処理がバトルに参加するすべてのプレイヤのプレイヤ端末10に対して並行して別々に実行される。並列に実行される処理は例えばそれぞれPIDに対応付けて実行することができる。これにより、全プレイヤに共通の敵HPという敵共通パラメータを用いつつ、プレイヤ毎に異なる敵個別パラメータを用いて、プレイヤ毎にバトルを進行させることを可能とする。
図4のフローチャートとの関係においてプレイヤという場合には、そのフローチャートの情報処理を実行しているプレイヤ端末10のプレイヤを意味し、PIDはそのプレイヤのPIDとし、プレイヤキャラクタはそのPIDに関連付けられたプレイヤキャラクタである。
【0060】
まず、いずれかのプレイヤがプレイヤ端末10を介して操作入力を行い、バトル開始要求をサーバ20へ送信する(S401)。サーバ20はバトル開始要求を受信すると、バトル開始要求に含まれるプレイヤID(PID)に基づいて表1に例示するバトルパラメータ表を生成して、記憶部45に記憶する(S402)。複数のプレイヤが共同してバトル開始要求を行うようにしてもかまわない。
【0061】
バトルパラメータ表は、プレイヤによって選択されたバトル対象となる敵ID及びプレイヤのPIDに基づいて、敵パラメータ表(表2)及びプレイヤパラメータ表(表3)を参照して生成することができる。例えば、敵キャラクタ及びプレイヤキャラクタの初期HPを表2及び3からそれぞれ取得して、敵HP及びPCHPの初期値として設定し、敵次行動は敵キャラクタの初期HPに基づいて決定することができる。ここでは敵キャラクタは1体の場合を例にとって説明するが、敵キャラクタが複数である場合であっても各敵キャラクタに対して同様の処理を実行することにより実施可能である。
【0062】
既に他のプレイヤによって開始されたバトルに参加するプレイヤは、バトル開始要求に代えて、参加するバトルを選択してバトル参加要求(S401)を行うことによりバトルに参加することができる。開始済のバトルにプレイヤが参加した場合には、表1に示すバトルパラメータに新たに参加したプレイヤに関する情報を追加する。敵共通パラメータである敵HPについては他のプレイヤのPIDと共通して対応付けられる。
【0063】
本実施形態においては、バトルパラメータ表はバトルに参加するプレイヤに共通とし、同じパラメータ表に各プレイヤ端末がアクセスするものとするが、プレイヤに個別のパラメータはプレイヤ毎に別々のテーブルを生成して管理してもよい。敵共通パラメータはプレイヤに共通の値が参照されるように設計されれば、個別のテーブルを生成して管理されてもかまわない。
【0064】
サーバ20は、PIDに対応するバトル画面情報を生成して、当該PIDに対応付けられたプレイヤ端末10へ送信する(S404)。ここでは、敵キャラクタと当該PIDに対応付けられるプレイヤキャラクタの画像を含む画面情報を生成するものとする。他のプレイヤの名前やアイコンなどの情報を含んでもかまわない。
【0065】
プレイヤ端末10は、バトル画面情報を受信すると表示部32に、コマンド入力用ボタンを含むバトル画面を表示する(S406)。そして、プレイヤ端末10はプレイヤからのコマンド入力を待ち受け、入力部31がプレイヤからのコマンド入力を受け付けると通信部33を介してサーバ20へコマンド入力を送信する(S408)。
【0066】
バトル画面の一例を
図5に示す。バトル画面は、敵キャラクタ画像501、敵キャラクタの残りHP(%)502及び敵CT情報503、プレイヤキャラクタ画像511~514、第1行動ボタン521、第2行動表示指示ボタン531~534、防御ボタン541~544を含む。
【0067】
第1の行動種類は通常攻撃とし、第1行動ボタンは攻撃ボタン521として表示する。プレイヤ端末10の入力部31は、プレイヤによる当該ボタンへのタッチを検出すると、プレイヤキャラクタが通常攻撃の実行を指示するコマンド入力として受け付け、通信部33を介してサーバ20へ送信される。
【0068】
第2行動表示ボタン531~534は各プレイヤキャラクタに対応付けられており、プレイヤがいずれかのボタンにタッチすると、
図6に示すようにそのボタンに対応付けられたプレイヤキャラクタ601のための第2の行動種類の行動を示す第2行動ボタン602~605が表示される。第2行動ボタンはいずれかの第2の行動種類の行動に対応付けられており、プレイヤがいずれかの第2行動ボタンにタッチすると、その第2行動ボタンに対応付けられた行動を実行するためのコマンド入力がサーバ20へ送信される。
【0069】
また、
図5に示した防御ボタン541~544がプレイヤのタッチによってオンにされた状態で第1行動ボタンをプレイヤがタッチすると、各防御ボタンに対応するプレイヤキャラクタが第1の行動種類及び第2の行動種類のいずれの行動も行わないまま、敵キャラクタの行動処理へ移行される一方で、敵キャラクタからの攻撃のダメージを減少させる防御行動をとることができるものとする。
【0070】
サーバ20は、プレイヤ端末10からコマンド入力の受信を待ち受け、受信したコマンド入力に基づいてプレイヤキャラクタの行動処理を実行し(S410)、実行されたプレイヤキャラクタの行動に基づいて記憶部45に記憶された敵共通パラメータを更新する(S412)。
【0071】
例えば、コマンド入力がプレイヤキャラクタの第1の行動種類の実行を指示する場合、バトルパラメータ表からPIDに対応付けられたPCIDに基づいて、プレイヤキャラクタパラメータ表(表4)からプレイヤキャラクタの攻撃力を取得するとともに、第1の行動種類である行動ID=1の行動内容を取得する。ここでは第1の行動種類は「1回 攻撃」であるものとする。第1の行動種類についてはすべてのプレイヤキャラクタに共通の行動、例えば、1回攻撃とすることにより、プレイヤキャラクタパラメータ表を参照することなく、第1の行動を決定してもよい。
【0072】
プレイヤキャラクタの攻撃力に基づいて敵キャラクタへの1回攻撃を実行し、取得した攻撃力に基づいて敵キャラクタへのダメージを算出して、バトルパラメータ表における敵HPを減少させる。防御ボタンがオンであった場合には、いずれの行動も実行をスキップするものとする。プレイヤキャラクタの行動実行処理として、プレイヤキャラクタの行動、ここでは敵キャラクタへの攻撃を表現するアニメーションを生成する。
【0073】
次に、実行されたプレイヤキャラクタの行動が第2の行動種類であったか否かを判定する(S414)。第2の行動種類ではないと判定された場合には、敵キャラクタの行動処理を実行し(S416)、実行された敵キャラクタ行動に基づいてバトルパラメータの更新を行う(S418)。敵キャラクタの行動は記憶部45に記憶されている敵次行動についての情報に基づいて実行される。
【0074】
本実施形態においては、プレイヤによるコマンド入力の前に決定された敵次行動が、敵の次の行動時に実行されるものとする。敵キャラクタの行動の予測性を高めるためである。
【0075】
本実施形態においては、記憶部45に記憶されるバトルパラメータ表は敵次行動ID及び敵次行動対象を含み、これらに基づいて敵キャラクタの行動が実行される。サーバ20は敵パラメータ表を参照して行動の内容を取得することができる。例えば、敵ID=1のPID=755に対する敵キャラクタの行動を実行する際に、これに対応付けられる行動ID=2について敵パラメータ表(表2)を参照して行動内容=「4回攻撃 R攻撃」を取得する。そして、表1における敵次行動対象に基づいて、行動対象であるプレイヤキャラクタ(PCID=39、45、76及び91)に対する攻撃行動を実行する。
【0076】
ここではPCID=39、45、76及び91が攻撃対象であるから、敵キャラクタの攻撃力に基づいて各プレイヤキャラクタへのダメージを算出して、各プレイヤキャラクタのPCHPを減少させる。プレイヤキャラクタが防御行動を行った場合には、当該プレイヤキャラクタへのダメージを所定の割合減少させる。敵キャラクタ行動が実行されると、敵CTを1つ進行させるものとする。
【0077】
敵キャラクタの行動実行処理として、敵キャラクタの行動、ここではプレイヤキャラクタへの攻撃を表現するアニメーションを生成する。また、後述する敵次行動についての予告情報提示が行われていた場合には、予告情報の提示を終了させる。
【0078】
一つの変形例として、敵次行動が所定の発生条件を有する場合、プレイヤキャラクタ行動実行後に、再度、その発生条件を満たしているか否かを判定し、満たしていない場合には、その敵次行動を他の行動に変更してもよい。例えば、決定されている敵次行動が特殊攻撃Aであり、発生条件が「50%≧HP>40%」であるとする。敵次行動決定の時点においては発生条件を満たしていたものの、プレイヤキャラクタ行動実行後においては、プレイヤキャラクタの攻撃や他のプレイヤキャラクタの攻撃により敵HPが減少し、40%以下となっていた場合、敵次行動情報を通常攻撃に変更する。
【0079】
強力な特殊行動が敵次行動として決定された後、プレイヤは戦略的に行動して強力な特殊行動の発生条件を満たさないようにすることで、その特殊行動を回避することが可能となる。プレイヤの行動の前に一度、敵次行動が決定されているから、敵次行動の変更を含めて、プレイヤは合理的な予測を立てることが可能である。予告情報が提示されている場合には、プレイヤは予定されている敵次行動を知ることができるから、その敵次行動に対応するための戦略を立てる。その戦略の一つとして、敵次行動を変更させるというバリエーションを与えることが可能となる。
【0080】
すべての敵キャラクタの行動を再判定の対象とせず、一部の特殊行動に対してのみ適用してもよい。例えば、敵パラメータ表において、発生条件の再判定を行うか否かの情報を付加することで実現可能である。
【0081】
また、プレイヤキャラクタ行動実行処理(S410)において、敵次行動情報に含まれる中断条件が満たされたか否かを判定してもよい。中断条件が満たされたと判定された場合、バトルパラメータ更新処理(S412)において、敵次行動を変更するように敵次行動情報を他の敵次行動情報に更新することができる。
【0082】
例えば、敵次行動が「特殊攻撃G」であり、その中断条件がプレイヤキャラクタによる「中断行動」の実行である場合に、プレイヤキャラクタによって「中断行動」が実行されると、敵次行動である「特殊攻撃G」を中断するために敵次行動IDを通常行動のためのID=1に更新する。さらに、敵次行動である特殊攻撃Gが中断されたことを示すための中断情報をプレイヤ端末10へ送信してもよい。プレイヤ端末10は、表示部32を用いて変更されたことを示す情報を提示することができる。スピーカ等を用いた音声出力部(図示せず)から音声を出力してプレイヤに提示してもよい。また、次行動を示す情報として表示していた行動名称の表示を中断することにより、変更されたことを示してもよい。
【0083】
中断条件を満たすようにプレイヤが行動を行うことで、敵次行動を変更させることを可能とし、ゲームの戦略性を高めることができる。プレイヤのコマンド入力の際に決定済みの敵次行動についての予め決められている中断条件による中断は、プレイヤによって予測することも可能である。
【0084】
S410におけるプレイヤキャラクタの行動が第2の行動種類であった場合には、敵キャラクタの行動を実行しない。ここでは、敵キャラクタ行動実行処理(S416)及びバトルパラメータ更新処理(S418)をスキップする。
【0085】
サーバ20は実行されたプレイヤキャラクタ行動実行処理及び実行された敵キャラクタプレイヤ行動実行処理において生成されたアニメーションに基づく行動画面情報を生成して、プレイヤ端末10へ送信する(S420)。プレイヤ端末10は行動画面情報を受信すると、これに基づいてプレイヤキャラクタ等の行動を表現するアニメーションを表示部32に表示する(S422)。音声出力部を用いて音声を出力してもよい。
【0086】
サーバ20は、バトルが終了したか否かを判定する(S424)。所定のバトル終了条件を満たしたか否か、例えば、敵HPが0となったか、全てのプレイヤキャラクタのHPが0となったか否かを判定する。バトルが終了したと判定された場合には、バトル終了通知をプレイヤ端末10へ送信し(S426)、サーバ20においては当該プレイヤ端末10とのバトル処理を終了する(S450)。プレイヤ端末10は、バトル終了通知を受け取ったか否かを判定し(S430)、受け取っている場合にはバトルが終了したことを表示部32に表示して、バトル処理を終了させる(S450)。
【0087】
バトルが終了していないと判定された場合には、敵共通パラメータに基づいて敵キャラクタの次に実行を予定する行動を決定し(S432)、当該プレイヤのPIDに対応付けられて記憶されている敵次行動情報を更新する(S434)。敵共通パラメータに加えて、プレイヤ毎に異なる敵キャラクタのパラメータである敵個別パラメータに基づいて敵次行動を決定してもよい。ここでは、敵共通パラメータである敵HPに加えて、個別パラメータである敵CTに基づいて敵次行動を決定するものとする。
【0088】
ここでは、発生条件が設定されている行動の中で、発生条件を満たしている行動を敵次行動として決定し、発生条件を満たしている行動がない場合には通常行動が実行される。例えば、敵ID=1であり、敵HPが45%である場合には、行動ID=2の発生条件である「50%≧HP>40%」を満たしているから敵次行動として決定され、バトルパラメータ表におけるPIDのための敵次行動情報を更新する。さらに、敵次行動の行動対象となるPCIDについても決定してもよい。敵次行動の行動対象に決定されたPCIDの敵次行動対象のフラグを立てる(1にする)ことにより、バトルパラメータ表を更新することができる。行動対象は例えば、乱数を用いて決定することができる。
【0089】
次に、決定された敵次行動が第2の行動種類であるか否かを決定し(S436)、第2の行動種類である場合には、敵次行動を示す情報を予告情報としてプレイヤ端末10へ送信する(S440)。プレイヤ端末10は表示部32に敵次行動を示す予告情報を提示する(S438)。音声出力部より音声によりプレイヤに提示するようにしてもよい。決定された敵次行動が第2の行動種類でない場合には、予告情報送信を行わない。そして、プレイヤ端末10は次のプレイヤからのコマンド入力を待ち受け、サーバ20はプレイヤ端末10からのコマンド入力の受信を待ち受ける段階へ戻る。
【0090】
特殊な攻撃である第2の行動種類だけ予告情報が提示されることにより、プレイヤに対してより注意を喚起することが可能となる。
【0091】
変形例として、敵次行動の行動種類によらず、すべての敵次行動について予告情報を送信してもよい。さらに別の変形例として、すべての敵次行動の予告情報をプレイヤ端末10へ送信しなくともよい。プレイヤ行動の決定前に敵次行動が決定されているから、予告情報が提示されない場合であっても、プレイヤは敵次行動を高い確度で予測することが可能である。
【0092】
予告情報を表示するプレイヤ端末10のゲーム画面の一例を
図7に示す。ここでは、敵次行動を予告するための情報として敵次行動を示すアイコン及び名称(701)を表示するとともに、敵キャラクタの周りに追加の演出を表示し、特殊行動が実行される予兆を示す。さらに、プレイヤキャラクタを示す領域に当該プレイヤキャラクタが攻撃対象となっていることを示す矢印及び方形のインジケータ(711~714)を追加で表示している。ここでは4体のプレイヤキャラクタのすべてが、特殊攻撃Aの攻撃対象となっていることを示している。
【0093】
図8はまた別のゲーム画面の例を示す。ここではインジケータ(811~813)で示された3体のプレイヤキャラクタのみが特殊攻撃C(801)の攻撃対象となっていることを示す。ここではさらに、特殊攻撃の詳細表示を指示するプレイヤ入力に応答して、敵次行動名称に加えて、敵次行動の詳細な内容を示す情報(802)を表示している。例えば、敵次行動名称(801)にプレイヤがタッチすることにより、詳細表示がなされるようにすることができる。また、敵次行動が中断条件が設定されている行動である場合には、中断可能であることや中断条件を示す情報を提示してもよい。
【0094】
本実施形態を用いた場合の本システムの作用の一例を説明する。プレイヤA、B、Cが敵キャラクタDと対戦するものとする。敵キャラクタは50%≧HP>40のときに特殊行動Aを実行し、その他の場合には通常行動を実行するものとする。敵HPが60%のとき、すべてのプレイヤA、B、Cに対する敵キャラクタの行動実行が終了し、プレイヤA、B、Cに対して敵次行動としてそれぞれ通常攻撃が設定される。そして、プレイヤB、Cはコマンド入力を行わず、プレイヤAが通常攻撃を実行し、敵HPが45%となったため、プレイヤAに対する敵キャラクタの通常攻撃の後、プレイヤAに対する敵次行動として特殊行動Aが設定され、プレイヤAのプレイヤ端末10において予告表示がなされる。しかし、プレイヤB及びCのための敵次行動は依然として通常攻撃であり、プレイヤB及びCのプレイヤ端末10においては予告表示は行われない。
【0095】
その後、プレイヤBが通常攻撃を行って、敵の通常攻撃が実行され、敵HPが44%となると、プレイヤBに対する敵次行動として特殊行動Aが決定され、プレイヤBのプレイヤ端末10において予告表示がなされる。プレイヤCのための敵次行動は依然として通常攻撃であり、予告表示は行われない。さらにプレイヤAが次の通常攻撃を行い、敵HPが35%となる。特殊行動Aの発生条件を満たさないから、プレイヤAに対する敵次行動は通常攻撃が設定されるが、プレイヤBに対する敵次行動は特殊行動Aのまま維持される。プレイヤAのプレイヤ端末においては予告表示が終了される。その後、プレイヤCが通常攻撃を行って、敵HPが30%となった。特殊行動Aの発生条件を満たさないから、プレイヤCに対する敵次行動は通常攻撃が設定される。
【0096】
このように、各プレイヤに対する敵次行動の決定は、各プレイヤに対する敵行動が実行された後にプレイヤ毎に決定されて、その後に、他のプレイヤによる行動が実行されても、決定済のプレイヤに対する敵次行動は影響を受けない。各プレイヤ端末において予告表示がなされている敵次行動への対策を講じてプレイヤキャラクタの行動を決定することができる。
【0097】
本実施形態を用いることにより、敵キャラクタの行動後、プレイヤがプレイヤキャラクタの次の行動を決定するためのコマンド入力の待ち受け開始までに、敵キャラクタの次行動が決定される。その後の他のプレイヤによる行動によって、当該プレイヤに対して決定された敵行動は変更されない。このため、プレイヤには知り得ない他のプレイヤの行動等によって予期せぬ敵キャラクタの行動が実行されることを防止することができる。したがって、敵キャラクタの次行動の予測性を向上させ、プレイヤによって戦略的に練られたプレイヤキャラクタ行動を十分に生かすことを可能とし、ゲームの興趣性を高めることができる。
【0098】
複数のプレイヤが共通の敵とバトルを行うようなゲームにおいては、プレイヤが他のプレイヤの行動を完全に把握することは困難である。特に、多数のプレイヤが参加しているバトルにおいては、他のプレイヤの攻撃により敵キャラクタの残りHPが短時間の間に大きく減少することがある。そのような短い時間に変化する敵キャラクタのパラメータ情報を完全にリアルタイムに提供することは容易ではない。したがって、離散的に、すなわち、プレイヤによる操作入力があった場合や、一定の時間間隔毎に敵キャラクタのパラメータの更新情報をプレイヤに提供することが知られている。
【0099】
例えば、2秒毎にパラメータを更新表示する場合、2秒前に表示された残り敵HPに基づいてプレイヤキャラクタの行動を決定して、コマンド入力を行ったものの、その時点における実際の敵キャラクタの残りHPは既に大きく変動していることがある。コマンド入力のタイミングで、その変動後のHPに基づいて敵キャラクタの次行動が決定されると、予期せぬ敵キャラクタの強力な攻撃を受けて、プレイヤキャラクタが全滅してしまうことがある。強力な敵の攻撃を回避するためにプレイヤキャラクタのアビリティを検討して、バトルを行うためのプレイヤキャラクタを選択し、攻撃回避のためのアビリティの実行タイミングを計りながらバトルを進行させることはこの種のゲームの大きな魅力の一つである。それにかかわらず、得られた情報から想定しなかったタイミングで強力な攻撃を受けると、戦略を立てる意義が失われ、バトルの魅力を大きく損なわせる結果となる。
【0100】
本実施形態のように、プレイヤがプレイヤキャラクタの次の行動を決定する前に敵キャラクタの次行動が決定していれば、離散的な情報提供のみが行われる場合であっても、その後のプレイヤが知り得ない敵キャラクタパラメータの変化の影響を受けることがなくなるから、プレイヤが立てた戦略を有効に活用することを可能とし、バトルの魅力を高めることができる。
【0101】
また、敵次行動情報に含まれる中断条件を満たすことにより、敵次行動を中断し、他の行動に変更させるようにしてもよい。プレイヤの行動により敵次行動を変更させることを可能とし、ゲームの戦略性を高めることができる。また、プレイヤのコマンド入力の際に決定済みの敵次行動についての予め決められている中断条件による中断は、プレイヤによって予測することも可能である。敵次行動の予告情報として中断条件をプレイヤに提示すればさらに予測性を高めることができる。
【0102】
敵次行動を決定した後、その敵次行動を実行する際に、再度、発生条件を満たすか否かの判定を行ってもよい。強力な特殊行動が敵次行動として決定された後、プレイヤは戦略的に行動して強力な特殊行動の発生条件を満たさないようにすることで、その特殊行動を回避することが可能となる。プレイヤの行動の前に一度、敵次行動が決定されているから、敵次行動の変更を含めて、プレイヤは合理的な予測を立てることが可能である。そして、予定されている強力な敵次行動を変更するための戦略を立てる楽しみを提供することができる。
【0103】
さらに、本実施形態のように、敵次行動の予告情報をプレイヤに提示することにより、プレイヤは正確な情報に基づいて戦略を立てることを可能とする。敵キャラクタが強力になるほど、強力な特殊行動が頻繁に発生し、その行動内容も多岐にわたる場合がある。プレイヤはバトルを開始する前に、その敵キャラクタはどのような発生条件で、どのような特殊行動を実行するのか攻略サイトなどを検索して情報を収集する必要がある。プレイヤはこのような手間を煩わしく感じ、バトルへの参加を躊躇わせる要因となっている。
【0104】
本実施形態のように、バトル中に敵次行動の予告情報が提示されれば、このような事前情報収集の必要がなくなるとともに、バトル中に容易に敵次行動を把握することが可能となる。行動対象となるプレイヤキャラクタ情報も提示することにより、当該プレイヤキャラクタの防御行動など、より適切な行動を選択することができる。
【0105】
以上に説明した処理又は動作において、あるステップにおいて、そのステップではまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。また以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 :ゲームシステム
2 :ネットワーク
10 :プレイヤ端末
11 :プロセッサ
12 :表示装置
13 :入力装置
14 :記憶装置
15 :通信装置
16 :バス
20 :サーバ
21 :プロセッサ
22 :表示装置
23 :入力装置
24 :記憶装置
25 :通信装置
26 :バス
31 :入力部
32 :表示部
33 :通信部
34 :ゲーム制御部
35 :記憶部
41 :入力部
42 :表示部
43 :通信部
44 :ゲーム制御部
45 :記憶部
501 :敵キャラクタ画像
503 :敵CT情報
511、512、513、514 :プレイヤキャラクタ画像
521 :第1行動ボタン
531、532、533、534 :第2行動表示指示ボタン
541、542、543、544 :防御ボタン
601 :プレイヤキャラクタ
602、603、604、605 :第2行動ボタン