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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】自動食器洗浄機用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/54 20060101AFI20220629BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 7/14 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20220629BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
C11D7/54
C11D3/395
C11D3/08
C11D3/33
C11D1/66
C11D17/06
C11D3/20
C11D7/14
C11D7/26
C11D7/32
C11D7/22
C11D3/37
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021161306
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2022-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(73)【特許権者】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】野積 拓也
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-98331(JP,A)
【文献】特開2020-180227(JP,A)
【文献】特開2003-73693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 7/00-7/60
C11D 3/00-3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤、
(B)成分としてアルカリ金属珪酸塩、
(C)成分としてアミノカルボン酸型キレート剤、
を含有し、
(B)成分の含有量がSiO換算で2質量%以上、13.8質量%以下であり、
組成物全量における、SiOとMO(MOはアルカリ金属酸化物)とのモル比であるSiO/MOの値が0.55以上、0.90以下であり、
組成物全量における、(A)成分とSiOとの質量比である(A)成分/SiOの値が0.005以上、1.5以下であることを特徴とする自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分の被覆剤が安息香酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(D)成分として高分子ポリマーを含有する請求項1又は2に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項4】
(D)成分が、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、又はそれらの塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1から3のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、(E)成分としてノニオン界面活性剤を含有する請求項1から4のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物であって、該自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を、下端部分に排出口を有する溶出ホッパー内に収容し、給水ノズルから水を供給して前記溶出ホッパー内の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を水に溶解させ、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物濃度を0.06%に希釈されるように調整して洗浄液を調製し、供給開始から1時間連続稼働後の前記洗浄液の25℃における有効塩素濃度が10ppm未満である自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項7】
溶融固形型の洗浄剤であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物に関し、より詳しくは、良好な洗浄性を示し、かつ陶磁器、グラス等だけではなく、アルミニウム等の金属製の調理器具の洗浄にも適した自動食器洗浄機用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食器類の洗浄に自動食器洗浄機が広く利用されるようになっており、ホテル、レストラン、給食会社、病院、会社の食堂等においても、使用後の食器を効率よく洗浄するために、また近年の衛生意識の向上を満足するために、業務用の自動食器洗浄機が広く用いられている。自動食器洗浄機用の洗浄剤としては液体、粉末又は固形等の種々の態様の洗浄剤組成物が使用されている。自動食器洗浄機用の洗浄剤の主な成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ剤や、トリポリリン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩等のキレート剤が使用されている。業務用の自動食器洗浄機用の洗浄剤はアルカリ剤を配合することにより高い洗浄力を発揮する一方で、被洗浄物(陶磁器、グラス、金属製品(アルミニウム、鉄、銅、ステンレス等)、プラスチック製品等)に対しては腐食の問題がある。特に、アルミニウム等の軽金属製の調理器具は腐食し易いため、洗浄の際には、高い洗浄力を有しながらも低腐食性であることが求められ、アルミニウム等の腐食防止のためにアルカリ剤として珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸塩が配合されることが一般的である。
【0003】
ただし、アルカリ剤として珪酸塩のみでは洗浄力が不十分であるため、その他のアルカリ剤が配合される場合がある。例えば、従来の珪酸塩を含む洗浄剤として、アミノカルボン酸系キレート剤、アルカリ金属珪酸塩、高分子ポリマー、アルカリ金属水酸化物を含有する溶融固形型洗浄剤組成物(引用文献1)が挙げられる。しかしながら、他のアルカリ剤を配合すると金属を腐食する懸念がある。
【0004】
これに対し、アルカリ剤として珪酸塩に加え、塩素系漂白剤が配合される場合がある。しかしながら、塩素系漂白剤は、他のアルカリ剤やキレート剤を含む洗浄剤に直接配合すると、製造時や貯蔵時に分解してしまい、使用時に十分な洗浄性能が発揮されないという問題がある。これを解決するため、被覆剤で被覆した塩素系漂白剤を用いて、洗浄剤中で塩素を安定化させることが行われている。
具体的には、被覆剤で被覆した塩素系漂白剤を用いた洗浄剤としては、安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤、アルカリ剤、特定のアミノカルボン酸型キレート剤、特定のポリマー又はホスホン酸から選ばれる少なくとも一種、を含有する自動食器洗浄機用洗浄剤組成物(引用文献2)、アルカリ剤、キレート剤、表面が被覆された被覆塩素剤を含み、水で溶解して得られた水溶液の有効塩素濃度が5ppm以上であるカートリッジ洗浄剤(引用文献3)、アルカリ剤、キレート剤、塩素剤を含む固形洗浄剤組成物であり、0.10重量%に希釈した洗浄液における有効塩素濃度が5ppm以上、100ppm以下となるピークが存在するカートリッジ洗浄剤(引用文献4)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-186549号公報
【文献】特許第6665335号公報
【文献】特開2020-12053号公報
【文献】特開2020-105390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述に述べる通り、引用文献1に記載の溶融固形型洗浄剤組成物は、洗浄力には優れるものの、アルミニウムに対する腐食防止性が十分ではなかった。
一方、特許文献2に記載の洗浄剤組成物は、塩素剤を被覆することにより高アルカリの洗浄剤中でも塩素が分解されず、優れた洗浄性や漂白性を発揮するが、アルミニウム等に対する腐食防止性が十分ではなかった。また引用文献3及び4に記載のカートリッジ洗浄剤も、アルミニウム等に対する腐食防止性が十分ではなく、洗浄液中の有効塩素濃度が高い場合には、塩素臭により不快感を生じる場合がある。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みなされたものである。即ち、本発明は、洗浄性に優れ、且つ、アルミニウムに対する腐食防止性に優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討した結果、(A)成分として安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤、(B)成分としてアルカリ金属珪酸塩、(C)成分としてアミノカルボン酸型キレート剤、を含有し、(B)成分の含有量、組成物全量における、SiOとMO(MOはアルカリ金属酸化物)とのモル比、及び、組成物全量における、(A)成分とSiOとの割合(質量比)を好適な範囲に調整することによって、高い洗浄性を示しつつアルミニウムに対する優れた腐食防止性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、(A)成分として安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤、(B)成分としてアルカリ金属珪酸塩、(C)成分としてアミノカルボン酸型キレート剤、を含有し、(B)成分の含有量がSiO換算で2質量%以上、13.8質量%以下であり、組成物全量における、SiOとMO(MOはアルカリ金属酸化物)とのモル比であるSiO/MOの値が0.55以上、0.90以下であり、組成物全量における、(A)成分とSiOとの質量比である(A)成分/SiOの値が0.005以上、1.5以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
かかる構成を備える本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物は、被覆剤で被覆された塩素系漂白剤とアルカリ金属珪酸塩を含むため、製造時や貯蔵時における塩素系漂白剤の分解が防止され、良好な洗浄性を示すと共に、アルミニウム等の金属に対する腐食防止性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物(以下、単に洗浄剤組成物と略する場合がある)は、(A)成分として安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤、(B)成分としてアルカリ金属珪酸塩、(C)成分としてアミノカルボン酸型キレート剤、を含有し、(B)成分の含有量がSiO換算で2質量%以上、13.8質量%以下であり、組成物全量における、SiOとMO(MOはアルカリ金属酸化物)とのモル比であるSiO/MOの値が0.55以上、0.90以下であり、組成物全量における、(A)成分とSiOとの質量比である(A)成分/SiOの値が0.005以上、1.5以下となるよう調整される。
【0012】
かかる構成を備える本発明の洗浄剤組成物は、優れた洗浄性を示しつつ、アルミニウム等の金属に対する腐食防止性にも優れるため、家庭用の自動食器洗浄機はもちろん、業務用の自動食器洗浄機においても被洗浄物の種類を問わず好適に使用されうる。
以下に本発明の洗浄剤組成物の詳細について説明する。
【0013】
(A)成分:
本発明の洗浄剤組成物における(A)成分は、安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤である。かかる(A)成分は、被覆剤で被覆されているため、後述する(B)成分であるアルカリ金属珪酸塩及び(C)成分であるアミノカルボン酸型キレート剤と共に配合されても、製造時や貯蔵時における塩素系漂白剤の分解が防止される。そのため本発明の洗浄剤組成物は、使用時において良好な洗浄性及び漂白性が発揮されると共に、バイオフィルム防止性といった性能も十分に発揮されうる。
また、本発明の洗浄剤組成物を後述する溶融固形型洗浄剤組成物として実施する場合、当該溶融固形型洗浄剤組成物の製造時において、スラリー水溶液中に上記(A)成分を配合しても、有効塩素量の低下がみられない。そのため、溶融固形型洗浄剤組成物の態様である本発明の洗浄剤組成物は、有効塩素安定性に優れる。また本発明の溶融固形型洗浄剤組成物は、速溶性に優れるため、洗浄時に良好な洗浄性および漂白性を示し、加えてバイオフィルム防止性も十分に発揮しうる。
【0014】
洗浄剤組成物100質量%における(A)成分の割合は、特に限定されないが、良好な洗浄性、漂白性、およびバイオフィルム防止性を示すという観点からは、0.05質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましい。良好なアルミニウム等の腐食防止性を示し、かつ使用時又は使用後の臭気性にも優れるという観点からは、洗浄剤組成物100質量%における(A)成分の割合は、10質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。尚、本発明に関していう臭気性とは、塩素臭を意味する。
【0015】
(A)成分における被覆剤は、安息香酸塩を含んでいればよいが、被覆剤100質量%において、安息香酸塩を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことが更に好ましい。安息香酸塩としては、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム等が挙げられる。洗浄時における被覆剤の溶解性に優れるという観点からは、被覆剤は安息香酸ナトリウムが含まれることが好ましく、被覆剤100質量に含まれる安息香酸ナトリウムの割合が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより更に好ましく、被覆剤が実質的に安息香酸ナトリウム100質量%から構成されることが特に好ましい。
【0016】
(A)成分に関し、塩素系漂白剤を被覆剤で被覆する方法は特に限定されないが、例えば乾燥した塩素系漂白剤に対して、安息香酸塩を水、エタノール、メタノール、エーテル等の溶媒に溶解或いは懸濁させた液を噴霧し乾燥させ被覆する方法、また乾燥した塩素系漂白剤と安息香酸塩微粉末と混合し塩素系漂白剤の表面に安息香酸塩微粉末を付着させた状態で水等の結合剤を噴霧して乾燥させ被覆する方法等が挙げられる。
【0017】
(A)成分における塩素系漂白剤としては、例えばクロラミンB(N-クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム)、ジクロラミンB(N,N’-ジクロロベンゼンスルホンアミド)、クロラミンT(N-クロロ-P-トルエンスルホンアミドナトリウム)、ジクロラミンT(N,N’-ジクロロ-P-トルエンスルホンアミド)等のクロロアミン化合物、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、又はそれらの塩等の塩素化イソシアヌル酸類、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩、塩化リン酸三ナトリウム、二酸化塩素等が例示される。上述する塩素系漂白剤の塩としては、例えば、カリウム塩又はナトリウム塩を挙げることができる。
上述する塩素系漂白剤の中でも、ジクロロイソシアヌル酸塩、及び/又は次亜塩素酸塩が好ましく、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、及び/又は次亜塩素酸カルシウムがより好ましく、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムが更に好ましい。
上述に列挙する塩素系漂白剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(A)成分における塩素系漂白剤が2種以上の組み合わせで用いられる場合、1種の塩素系漂白剤が被覆剤で被覆された第一の(A)成分と、これとは異なる種類の塩素系漂白剤が被覆剤で被覆された第二の(A)成分とが混合して用いられる態様、及び2種以上の塩素系漂白剤が混合してなる混合粒子を被覆剤が被覆してなる(A)成分が用いられる態様の何れの態様も本発明は包含する。
【0018】
上述する塩素系漂白剤と被覆剤である安息香酸塩との質量比である塩素系漂白剤/安息香酸塩は、0.001以上、100以下が好ましく、0.01以上、50以下であることがより好ましく、0.1以上、10以下であることが更に好ましい。塩素系漂白剤と安息香酸塩との上記質量比が、0.001未満の場合、塩素系漂白剤に対する安定化効果に関しそれ以上の効果は期待できない上、また十分な洗浄性、漂白性、バイオフィルム防止性が示されない場合がある。上記質量比が、100を超えた場合、塩素系漂白剤に対する十分な安定化効果が期待できない場合があり、製造時や貯蔵時において漂白剤が分解する場合がある。
【0019】
(B)成分:
(B)成分であるアルカリ金属珪酸塩としては、例えばオルソ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、JIS K1408に規定されている1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、及び3号珪酸ナトリウム、日本化学工業株式会社製の商品名;A珪酸カリ、B珪酸カリウム、及びC珪酸カリウム等、メタ珪酸ナトリウム5水塩、並びにメタ珪酸ナトリウム9水塩等が例示される。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の洗浄剤組成物において、(B)成分を含有することによって、アルミニウム等の腐食防止性、洗浄性を発揮しうる。
【0020】
洗浄剤組成物100質量%における(B)成分の割合は、SiO換算で2質量%以上、13.8質量%以下である。上述する(B)成分の割合が2質量%未満である場合、洗浄性、アルミニウム等の腐食防止性が十分に示されない場合がある。かかる観点からは、洗浄剤組成物100質量%における(B)成分の割合は、SiO換算で、5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましい。また、上述す(B)成分の割合が13.8質量%を超えて含まれる場合、良好なスケール防止性が示されない場合がある。かかる観点からは、洗浄剤組成物100質量%における(B)成分の割合は、SiO換算で、13.2質量%以下であることが好ましく、12.8質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
(C)成分:
(C)成分であるアミノカルボン酸型キレート剤としては、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸等、又はこれらの塩(アミノカルボン酸塩)が例示される。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の洗浄剤組成物において、(C)成分を含有することによって、良好なスケール防止性が示されうる。これらの中でも、本発明で特定される他の成分とのバランスを図りつつスケール防止性が顕著に向上されうるという観点から、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、メチルグリシン二酢酸又はこれらの塩から選択される1種以上であることが好ましく、中でもニトリロ三酢酸又はその塩が選択されることがより好ましい。
上述するアミノカルボン酸塩としては、例えば、カリウム塩又はナトリウム塩を挙げることができる。
尚、上述するアミノカルボン酸塩は、洗浄剤組成物の調製時において塩であるもの、及び調製過程において、酸と水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物との反応により形成されたものの何れであってもよい。尚、上述するアミノカルボン酸塩の一分子中に含まれるアルカリ金属の数は特に限定されず公知の化合物を包含する。例えば、上述するエチレンジアミン四酢酸ナトリウムは、一ナトリウム塩から四ナトリウム塩までの何れか又は2以上の組み合わせを包含する。
【0022】
洗浄剤組成物100質量%における(C)成分の割合は、特に限定されないが、良好なスケール防止性を発揮可能であるという観点からは、1質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また(C)成分の割合の上限は特に限定されないが、経済性の観点及び製造性の観点を考慮した場合、洗浄剤組成物100質量%における(C)成分の割合は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが更に好ましい。尚、ここでいう経済性の観点とは、(C)成分の割合の増加に伴うスケール防止性効果の向上と成分の増加に伴う経済性とのバランスを指し、また製造性の観点とは、本発明の洗浄剤組成物を後述する溶融固形型の態様にて実施する場合の良好な製造性を担保することを指す。
【0023】
(D)成分:
本発明の洗浄剤組成物は、更に、(D)成分として高分子ポリマーを含有してもよい。(D)成分である高分子ポリマーを含有することによって、より望ましいスケール防止性が示されうる。
(D)成分である高分子ポリマーとしては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、オレフィン/マレイン酸共重合体、無水マレイン酸/スチレン共重合体、無水マレイン酸/エチレン共重合体、無水マレイン酸/酢酸ビニル共重合体、若しくは無水マレイン酸/アクリル酸エステル共重合体等、又はこれらの塩が例示される。上述する(D)成分の塩としては、例えば、カリウム塩又はナトリウム塩を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(D)成分が、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、又はそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、中でもスケール防止性の向上に加え、貯蔵安定性の向上にも貢献するという観点から、アクリル酸/マレイン酸共重合体が選択されることがより好ましい。
【0025】
洗浄剤組成物100質量%における(D)成分の割合は、特に限定されないが、良好なスケール防止性が十分に確認されうるという観点からは、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましく、3.0質量%以上であることが特に好ましい。
また(D)成分の割合の上限は特に限定されないが、成分の含有量の増加に伴う効果の向上と経済性とのバランスを図るという観点からは、洗浄剤組成物100質量%における(D)成分の割合は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
【0026】
(D)成分である高分子ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、より良好なスケール防止性、貯蔵安定性が示されうるという観点からは、500以上、120,000以下が好ましく、3000以上、90,000以下であることがより好ましく、12,000以上、80,000以下であることが更に好ましい。
【0027】
(E)成分:
本発明の洗浄剤組成物は、更に、(E)成分として、ノニオン界面活性剤を含有してもよい。(E)成分のノニオン界面活性剤を含有することによって、より良好な洗浄性が示されうる。また、(E)成分が含有されることによって、洗浄剤組成物の使用時に抑泡性が発揮されるため、洗浄時における泡立ちによる洗浄性の低下も良好に防止されうる。
(E)成分であるノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れでもよい)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリマー(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、リバースブロック共重合体の何れでもよい)等のプルロニック型界面活性剤、ポリエチレングリコールプロピレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキシド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸-N-メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル(アセチレングリコールに酸化エチレンオキシドを付加した化合物)、N-長鎖アルキルジメチルアミンオキシド等が例示される。この中でも、洗浄性、抑泡性、成分の均一性に優れることからリバースブロック共重合体から構成されるプルロニック型界面活性剤が好ましい。当該プルロニック型界面活性剤の市販品としては、具体的には、株式会社ADEKA製のアデカプルロニック25R-1やアデカプルロニック25R-2が好ましい例として挙げられる。
上述に列挙される(E)成分は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
洗浄剤組成物100質量%における(E)成分の割合は、特に限定されないが、良好な洗浄性、抑泡性が示されうるという観点からは、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることが更に好ましい。また(D)成分の割合の上限は特に限定されないが、成分の含有量の増加に伴う効果の向上と経済性とのバランスを図るという観点からは、洗浄剤組成物100質量%における(E)成分の割合は、8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物は、更に必要に応じて任意成分として、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の中性無機塩、シリコーン、炭酸塩、上述する(D)成分以外の界面活性剤、防食剤、粘度調整剤、防腐剤、pH調整剤、香料、色素等の成分を含有していてもよい。
【0030】
また本発明の洗浄剤組成物が液体状に調製される場合、或いは後述する溶融固形型に調整される場合等には、洗浄剤組成物は、上述する各成分に加え、適宜、水を含有していてもよい。ここでいう水とは、水道水、軟水化処理水、純水、RO水、イオン交換水、蒸留水等が例示されるが、純水、RO水、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
【0031】
洗浄剤組成物におけるSiOとMO(アルカリ金属酸化物)とのモル比:
本発明の洗浄剤組成物は、組成物全量における、SiOとMO(MOはアルカリ金属酸化物)とのモル比であるSiO/MOの値が、0.55以上、0.90以下となるよう調整される。ここでSiOは、通常、上述する(B)成分由来の二酸化珪素であり、MOは、(B)成分由来のアルカリ金属酸化物及び(B)成分以外の成分に含まれるアルカリ金属酸化物を含む。モル比であるSiO/MOの値が上記数値範囲に調整されることによって、スケール防止性やアルミニウム等の金属に対する良好な腐食防止性が発揮される。より良好な腐食防止性を発揮させるという観点からは、モル比であるSiO/MOの値は、0.60以上であることが好ましく、0.65以上であることがより好ましい。一方、良好な腐食防止性を維持しつつ、スケール防止性についても十分な効果が得られるという観点からは、モル比であるSiO/MOの値は、0.85以下であることが好ましく、0.80以下であることがより好ましい。
【0032】
洗浄剤組成物におけるSiO/MOのモル比の算出方法は特に限定されず、例えば洗浄剤組成物を調製する際の各成分の配合量から算出することができる。また、洗浄剤組成物が後述する溶融固形型の洗浄剤組成物である場合、当該洗浄剤組成物におけるSiO2は、モリブデン黄による吸光光度法(JIS K0101:2017)に準じて測定することができ、またM2Oは中和滴定法(JIS K1408:1966)に準じて測定することができる。
【0033】
ここで、洗浄剤組成物において、モル比であるSiO/MOの値が0.55以上である場合、一般的には二酸化珪素の配合が十分に多くシリカスケールの発生が顕著になる場合がある。これに対し、本発明の洗浄剤組成物は、スケール防止性に寄与しうる成分である(C)成分を含む上、後述するとおり、組成物全量における(A)成分とSiOとの割合が所定範囲に調整されることによって、良好な腐食防止性を維持しつつ、スケール防止性についても優れた効果を発揮する。また、更に(D)成分を含むことによって、二酸化珪酸の配合が十分に多い本発明の洗浄剤組成物において、より良好なスケール防止性が示されうる。
【0034】
洗浄剤組成物における(A)成分とSiOとの割合(質量比):
本発明の洗浄剤組成物は、組成物全量における、(A)成分とSiOとの割合(質量比)である(A)成分/SiOが、0.005以上、1.5以下となるよう調整される。これによって、モル比であるSiO/MOの値を0.55以上に調整した場合であっても良好なスケール防止性が発揮されうる。加えて、上記質量比が所定の範囲である本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性、アルミニウム等の腐食防止性、漂白性、バイオフィルム防止性、臭気性の抑制といった洗浄剤組成物に求められる種々の性質もバランスよく良好に発揮可能である。より十分に洗浄性、漂白性、バイオフィルム防止性、及びスケール防止性を発揮させるという観点からは、上記割合(質量比)である(A)成分/SiOが、0.01以上であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましい。一方、より十分にアルミニウム等の腐食防止性及び臭気性の抑制を発揮するという観点からは、上記割合(質量比)である(A)成分/SiOが、1.0以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。
【0035】
確認試験における有効塩素濃度:
上述する本発明の洗浄剤組成物は、所定の確認試験実施後に、有効塩素濃度が10ppm未満であることが好ましく、6ppm以下であることがより好ましく、4.8ppm以下であることが更に好ましく、2ppm以下であることが特に好ましい。上記有効塩素濃度が低いということは、自動食器洗浄機に洗浄剤を用いて洗浄した際の臭気性に優れる(即ち、塩素臭が気にならない)ことを意味する。
ここで、上記確認試験とは以下のとおりである。
即ち、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を、下端部分に排出口を有する溶出ホッパー内に収容し、給水ノズルから水を供給して上記溶出ホッパー内の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を水に溶解させ、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の濃度を0.06%に希釈されるように調整して洗浄液を調製する。そして上前記排出口から洗浄庫に対し当該洗浄液を供給し、供給開始から1時間連続稼働後の洗浄庫内に存在する洗浄液の25℃における有効塩素濃度を測定することにより上記確認試験が実施される。かかる測定において、有効塩素濃度が10ppm未満であることが好ましい。
【0036】
より厳密に上記確認試験を行う場合には、以下の点を留意するとよい。
1時間の連続稼働において、上述のとおり0.06%に希釈され66℃に加温された洗浄液を洗浄庫内に配置された汚れた食器類に対し40秒間噴射し、ついで、82℃に調整されたすすぎ液を食器設置平面積2500cm2当たり4L供給してすすぎ、これを1サイクルとする。これを1時間経過するまで連続的に複数サイクル実施する。尚、1サイクルが終了すると、洗浄液はすすぎ液によって希釈されているため、次のサイクルの実施前に、再度、洗浄剤組成物の濃度が0.06%になるよう、洗浄剤組成物が追加され濃度が再調整される。この各サイクル間における濃度の調整方法は特に限定されないが、例えば、予め、洗浄剤組成物の濃度を0.06%に希釈して調製された洗浄液の電気伝導度を測定しておき、再調整の際、洗浄庫内の洗浄液が予め確認された電気伝導度となるまで、洗浄剤組成物を追加するとよい。電気伝導度は、機械的に測定可能であるため、連続的に実施されるサイクル間において速やかに洗浄液の濃度を調整可能である。
尚、本確認試験における、洗浄剤組成物を希釈する希釈液及びすすぎ液は、何れも塩化カルシウムを用いてドイツ硬度3°DHに調整された硬水が用いられる。
【0037】
洗浄剤組成物の形態:
本発明の洗浄剤組成物の形態は特に限定されず、液体、粉体及び固体の何れであってもよいが、嵩張らず、かつ成分の均一性も図りやすいという観点からは、固体であることが好ましい。固体の中でも、溶融混合した洗浄剤組成物を固形化して得られる溶融固形型の洗浄剤組成物は、高濃度でコンパクト化可能であり成分の均一性にも優れるという観点からより好ましい。溶融混合した洗浄剤組成物の固形化の方法は特に限定されないが、例えば洗浄剤組成物の各成分及び適宜に用いられる水等の調整液を含んだ混合物を60℃から80℃程度の温度で加熱して溶融混合してスラリー状混合物を調製し、当該スラリー状混合物を適当な容器に充填し、室温前後の温度で冷却して固化させることによって、溶融混合型の洗浄剤組成物をうることができる。
溶融混合型の洗浄剤組成物を調製する際、各成分の混合順や混合方法は特に限定されないが、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に対し、更に任意で用いられる他の成分を追加し、加熱して溶融混合してスラリー状混合物を調製して容器に充填し固化させることができる。また別の方法としては、(B)成分、(C)成分及び更に任意で用いられる他の成分をまず加熱して溶融混合させてスラリー状にして適当な容器に充填した後、当該容器に(A)成分を添加し、必要に応じて添加後に攪拌し、固化させてもよい。また別の方法としては、適当な容器に予め(A)成分を入れておき、別途、(B)成分、(C)成分及び更に任意で用いられる他の成分を加熱して溶融混合させて得られたスラリー状物を当該容器に充填してもよく、充填後に、適宜攪拌してもよい。
【0038】
上述する溶融固形型の洗浄剤組成物は、(A)成分を0.05質量%以上、10質量%以下、(B)成分をSiO換算において2質量%以上、13.8質量%以下、(C)成分を1質量%以上、45質量%以下の範囲で含有することが好ましく、また更に水が適宜含まれていてもよい。溶融固形型の洗浄剤組成物に水が含まれる場合、当該洗浄剤組成物100質量%において、例えば、水が1質量%以上、40質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。溶融固形型の洗浄剤組成物は、上述する(A)成分、(B)成分(C)成分、及び適宜に含有される水、更に任意で用いられる他の成分それぞれの配合量全体で100質量%となるよう調整される。
【0039】
洗浄剤組成物を用いた洗浄方法:
本発明の洗浄剤組成物は、業務用自動食器洗浄機又は家庭用自動食器洗浄機において一般的な洗浄剤として使用可能である。
以下に、本発明の洗浄剤組成物を用いた洗浄方法の一例について説明する。
まず、下端部分に排出口を有する溶出ホッパーに洗浄剤組成物を収容して、給水ノズルから水を供給して洗浄剤組成物を水に溶解させ、洗浄剤組成物の濃度を0.01質量%以上、0.09質量%以下に調整した洗浄液を調整する調整工程を行う。次に、上記洗浄液を、自動食器洗浄機の洗浄液タンク内で加熱保持する加熱保持工程、洗浄液タンク内の洗浄液を洗浄機庫内に噴射して食器類を洗浄する洗浄工程、洗浄後にすすぎ液ですすぐすすぎ工程を連続して行う方法が挙げられる。
ここで、洗浄剤組成物の水溶液の電気伝導度は、溶解した洗浄剤の濃度に比例することが知られる。そのため、洗浄剤組成物の濃度を0.01質量%以上、0.09質量%以下の範囲の所定濃度となるように洗浄剤組成物を水に溶解させるには、予め、所定範囲の濃度の洗浄剤組成物の電気伝導度を確認しておき、上記調整工程において、洗浄剤組成物が所定の電気伝導度となるよう、洗浄タンクの水溶液の電気伝導度を測定しながら希釈するとよい。
通常、洗浄タンクの水溶液(洗浄液)の電気伝導度は機械的に測定することができる。洗浄タンク内の水溶液(洗浄液)の電気伝導度が低い場合には、自動的に洗浄剤組成物が供給されるよう設定することができる。その際の供給方法は特に限定されないが、例えば溶融固形型の洗浄剤組成物を用いる場合には、容器に充填され冷却固化させてなる溶融固形型洗浄剤組成物を、その容器ごと溶出ホッパーに対し、当該容器の開口部を地面側に向けた状態で設置し、容器内の溶融固形型洗浄剤組成物を必要量の水で溶解し、溶解液を、供給管を通して食器洗浄機に送る方法が挙げられる。
【0040】
所定濃度に希釈され調製された洗浄液は、上記加熱保持工程において、洗浄液タンク内で通常、40℃以上、70℃以下で保持されるとよい。
また上記洗浄工程において、洗浄液は洗浄機庫内の食器類に対し、30秒以上、120秒以下の範囲で噴射されるとよく、続いて行われるすすぎ工程では、好ましくは40℃以上、95℃以下、より好ましくは60℃以上、90℃以下に保温されたすすぎ液が洗浄庫に注がれるとよい。すすぎ液の使用量は特に限定されないが、すすぎ性及び経済性等を勘案し、洗浄機の食器設置平面積2500cm当たり1L以上、3L以下の範囲で用いられるとよい。すすぎ液としては通常、水道水が用いられるがリンス剤を用いても用いなくてもよい。すすぎ液の水道水は、特に限定されないが、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.7°DH(そのうち、カルシウム硬度2.0°DH、マグネシウム硬度0.7°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)等の一般的な水道水が例示される。
【実施例
【0041】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物において配合に用いた各成分を下記表1~4に示す。尚、下記表1~4に示す配合量に関する数値の単位は「質量%」であり、当該数値は、各成分を有姿のまま示したものである。また、自動食器洗浄機はホシザキ株式会社製自動食器洗浄機:JWE-680AJを使用して以下の試験を行った。
【0042】
尚、本発明の実施例及び比較例に記載の各洗浄剤組成物は溶融固形型の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として調製した。即ち、本発明の実施例及び比較例では、混合層に(B)成分、(C)成分(必要に応じて(E)成分、(F)成分、その他成分)を加え、次いで(D)成分、(A)成分の順番に加えて、上限を70℃とした加熱条件下で溶融混合して得たスラリー状物を1L容積のポリエチレン容器に入れ、25℃で24時間放置し固化させて溶融固形型の洗浄剤組成物を調製し、後述する各試験に供した。
【0043】
(A)成分
A-1:コーティングジクロロイソシアヌル酸ナトリウム1(被覆剤は株式会社ウエノフードテクノ製の安息香酸ナトリウム:製品名 安息香酸ナトリウムウエノ、有効成分含有量99.0%以上)
A-2:コーティングジクロロイソシアヌル酸ナトリウム2(被覆剤は株式会社ウエノフードテクノ製の安息香酸ナトリウム:製品名 安息香酸ナトリウムウエノ、有効成分含有量99.0%以上と、日本化学工業株式会社製の硫酸ナトリウム:製品名 中性無水芒硝、純分99.0%と、を質量比1:1で混合したもの)
A-3:コーティング次亜塩素酸カルシウム(被覆剤は株式会社ウエノフードテクノ製の安息香酸ナトリウム:製品名 安息香酸ナトリウムウエノ、有効成分含有量99.0%以上)
【0044】
(A’)(A)成分の比較成分
A’-1:ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
【0045】
(B)成分
B-1:メタ珪酸ソーダ5水塩(化学名:メタ珪酸ナトリウム5水塩(SiO/NaO=1)、SiOとして28.3%、有効成分含有量99%以上、広栄化学工業株式会社製)
B-2:珪酸ソーダ3号(化学名:珪酸ナトリウム(SiO/NaO=3.2)、SiOとして29%、有効成分含有量38.5%、広栄化学工業株式会社製)
B-3:無水メタ珪酸ソーダ(化学名:珪酸ナトリウム(SiO/NaO=1)、SiOとして45.5%、有効成分含有量99%以上、日本化学工業株式会社製)
B-4:ネオ-オルソ80粒(化学名:オルソ珪酸ナトリウム(SiO/NaO=0.5)、SiOとして28%、有効成分含有量99%以上、広栄化学工業株式会社製)
【0046】
(C)成分
C-1:ニトリロ三酢酸ナトリウム(商品名:Trilon A92R、有効成分含有量92%、BASF社製)
C-2:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(商品名:ディゾルビンNA、有効成分含有量86%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
C-3:メチルグリシン二酢酸ナトリウム(商品名:Trilon M Powder、有効成分含有量87%、BASF社製)
【0047】
(D)成分
D-1:アクリル酸/スルホン酸型モノマー共重合体ナトリウム(商品名:アクアリックGL386、重量平均分子量が5,000、有効成分含有量50%、日本触媒株式会社製)
D-2:アクリル酸/マレイン酸型モノマー共重合体ナトリウム(商品名:ソカランCP5、重量平均分子量が70,000、有効成分含有量40%、BASF製)
D-3:ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:ソカランPA25CL Granules、重量平均分子量が4,000、有効成分含有量92%、BASF製)
D-4:オレフィン/マレイン酸共重合体ナトリウム(商品名:アキュゾール460ND、重量平均分子量が10,000、有効成分含有量92%、BASF製)
【0048】
(E)成分
E-1:リバースプルロニック型ブロックポリマー(ポリオキシエチレン鎖の両端にポリオキシプロピレン鎖が結合したブロックポリマー;オキシエチレン鎖の含有率が20%、商品名:アデカプルロニック25R-2、有効成分含有量99%以上、株式会社ADEKA製)
【0049】
(F)その他成分
F-1:硫酸ナトリウム、有効成分含有量99%以上
F-2:シリコーン(商品名:DOWSIL(登録商標) DK Q1-1183 Antifoam、有効成分含有量99%以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)
F-3:イオン交換水
F-4:パール苛性ソーダ、有効成分含有量95%
【0050】
実施例1~30、比較例1~12
表1~表4に示す配合の洗浄剤組成物を調製し、有効塩素濃度の測定、洗浄性試験、バイオフィルム防止性試験、漂白性試験、シリカスケール防止性試験、金属腐食防止性試験(アルミニウム)、貯蔵安定性試験(潮解)、臭気性試験を以下のとおり行った。結果を表1~表4に示す。
【0051】
※1:有効塩素濃度の測定
自動食器洗浄機に上述のとおり調製した洗浄剤組成物が所定の濃度となるよう供給しながら以下の条件で連続稼働し、稼働から1時間後に洗浄庫内の洗浄液をサンプリングし、試験に用いた。
<洗浄方法>
洗浄温度:66℃
洗浄時間:40秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
インターバル:5秒
洗浄液:自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の0.06質量%希釈液
洗浄剤組成物希釈用及びすすぎ用の使用水:塩化カルシウムを用いてドイツ硬度3°DHに調製した硬水
<試験方法>
サンプリングされた洗浄液を試験液として用いて、ヨウ素滴定法により求めた。
即ち、適量の試験液を秤量し、10%ヨウ化カリウム水溶液25mL、酢酸:水=1:1の溶液5mLを加え、0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定を行い、茶褐色から無色になった点を終点として、終点までの0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量から下記式(1)により有効塩素濃度を算出した。
[数1]
有効塩素濃度(ppm)=(0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量(mL)×354.5)/試験液量(g)・・・・・(1)
【0052】
※2:洗浄性試験
<洗浄条件>
洗浄温度:66℃
洗浄時間:40秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
洗浄液:自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の0.06質量%希釈液
洗浄剤組成物希釈用及びすすぎ用の使用水:塩化カルシウムを用いてドイツ硬度3°DHに調製した硬水
<被洗浄物>
直径20cmのガラス皿にマヨネーズ(キューピー株式会社製)2gを均一に塗布し、室温で乾燥させた汚染皿を被洗浄物とした。
<試験方法>
自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の濃度を0.06質量%となるように希釈した洗浄液を洗浄機の洗浄庫内に貯留して66℃で保持し、洗浄ラックに汚染皿を設置し、上記洗浄条件で洗浄、すすぎを行った。洗浄、すすぎ後の皿を室温で乾燥後、暗室において蛍光灯を照射、反射させて汚れやスケールの残存状況(ウォータースポット、フィルムの有無)を目視判定により以下の基準で評価した。ここで、ウォータースポットとは、水に含まれるミネラル分が蒸発し、乾燥後のガラス表面に形成されたしみ状の付着物である。フィルムとは、固形物(タンパク質、脂質及びデンプン等)を含有する洗浄水が蒸発し、ガラス表面上に形成された残存物(膜状物)である。
<評価基準>
◎:ウォータースポットやフィルムがみられない。
○:ウォータースポットやフィルムがほぼみられない。
△:ウォータースポットやフィルムがややみられる。
×:ウォータースポットやフィルムがみられる。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0053】
※3:バイオフィルム防止性試験
<試験方法>
各洗浄剤組成物5gを滅菌済みのミューラーヒントン培地〔日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製〕を用いて全量を100gにして、各洗浄剤組成物の5質量%コンク溶液を調製した。本コンク溶液を更に滅菌済みミューラーヒントン培地を用いて洗浄剤組成物の濃度として0.06質量%となるように希釈調整し、それぞれ24穴マイクロプレート〔旭テクノグラス株式会社製〕に2mL量りとった。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、クレブシェラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)を、それぞれLB培地(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)を用いて、37℃で18時間前培養して増殖した菌液を、ピペットマンを用いて当該マイクロプレート内の試験溶液に100μL接種した。これを37℃で48時間培養後に培養液を廃棄し、滅菌精製水2mLで各ウェル内を5回洗浄した。マイクロプレート壁に付着したバイオフィルムを0.1質量%クリスタルバイオレット液で染色し、滅菌水でリンス後、バイオフィルムの形成状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:バイオフィルムがプレート壁面の20%未満を覆う状態。
○:バイオフィルムがプレート壁面の20%以上、40%未満を覆う状態。
△:バイオフィルムがプレート壁面の40%以上、60%未満を覆う状態。
×:バイオフィルムがプレート壁面の60%以上、100%以下を覆う状態。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0054】
※4:漂白性試験
<洗浄条件>
洗浄温度:66℃
洗浄時間:40秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:9秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
インターバル:5秒
洗浄液:自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の0.06質量%希釈液
洗浄剤組成物希釈用及びすすぎ用の使用水:塩化カルシウムを用いてドイツ硬度3°DHに調製した硬水
<被洗浄物の調整>
白色磁器皿(直径12cm)を80℃の紅茶に5分間浸漬した後、100℃で30分間加温し、褐色化させた汚染皿を漂白性試験用被洗浄物とした。
<試験方法>
上記の方法で調整した汚染皿10枚を食器洗浄機の洗浄ラックに設置し、洗浄、すすぎ、インターバルを1サイクルとして上記洗浄条件にて5サイクル洗浄後、室温にて乾燥させた。茶渋の残存状況を目視判定により以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:茶渋が除去されている。
○:茶渋がほとんど除去されている。
△:茶渋は除去されているが、茶渋の残存が認められる。
×:茶渋が除去されていない。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0055】
※5:シリカスケール防止性試験
<試験方法>
塩化カルシウムにより硬度5°DHに調製した人工硬水を用いて、洗浄剤組成物の濃度を0.06質量%に希釈した洗浄液を60℃に保持し、清浄なガラス板を10秒間浸漬し、その後洗浄液から取り出しドライヤーで乾燥させた。この工程を20回繰り返した。次に、このガラス板を60℃に保持した0.5質量%の塩酸水溶液に30分間浸漬し、その後取り出し、イオン交換水ですすいで乾燥させた。このときガラス板に残ったシリカスケールの付着度合いを目視判定により以下の基準で評価した。
尚、評価するスケールはフーリエ変換赤外分光分析により1,100~900cm-1付近のシリカスケールに特徴的なピークがあること、1,450~1,410cm-1付近の炭酸スケールに特徴的なピークがないことから、シリカスケールであることを確認した。
<評価基準>
◎:シリカスケールの付着が全く認められなかった。
○:シリカスケールの付着がほとんど認められなかった。
△:シリカスケールの付着が若干認められた。
×:著しいスケールの付着が認められた。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0056】
※6:金属腐食防止性試験(アルミニウム)
テストピース[アルミニウム(A1100P)、縦75mm×横25mm×厚さ1mm]は、予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものが準備された。塩化カルシウムを用いてドイツ硬度3°DHに調製した人工硬水で洗浄剤組成物を0.1質量%に希釈し、100mLを120mL容量の蓋付透明ポリプロピレン製容器に入れ、その中にテストピースを浸漬させ、60℃の恒温器内で24時間保存した。保存後のテストピースを取り出し、イオン交換水にてすすぎを行い乾燥させて、テストピース表面の状態を目視により外観観察し、以下の基準で腐食性を評価した。
<評価基準>
◎:腐食がない。
○:ほとんど腐食がない。
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル。
×:ひどく腐食した。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0057】
※7:貯蔵安定性試験(潮解)
<試験方法>
1L容積のポリエチレン容器に入れた各洗浄剤組成物を、容器の蓋を閉めて温度40℃、湿度70%の雰囲気下に置き、その状態で1カ月間保管した。そして、その外観を目視により観察し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:1カ月後、表面の潮解は認められなかった。
△:1カ月後、表面の潮解はほとんど認められなかった。
×:1カ月後、表面の潮解が顕著に認められた。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0058】
※8:臭気性試験
<洗浄条件>
洗浄温度:66℃
洗浄時間:40秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
洗浄液:自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の0.06質量%希釈液
希釈用及びすすぎ用の使用水:塩化カルシウムを用いてドイツ硬度3°DHに調製した硬水
<被洗浄物>
直径20cmのガラス皿にマヨネーズ(キューピー株式会社製)2gを均一に塗布し、室温で乾燥させた汚染皿を被洗浄物とした。
<試験方法>
被洗浄物を洗浄機内にセットし洗浄及びすすぎを行い、洗浄機のドアを開けて、洗浄機内の雰囲気中の臭気を5人のパネラーにて5段階の評価(5:臭わない、4:ほとんど臭わない、3:わずかに臭う、2:臭う、1:臭いが強い)を行い、全パネラーの評価の平均点より、以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:平均点が3.5以上、5以下。
△:平均点が2.5以上、3.5未満。
×:平均点が1以上、2.5未満。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
上述する本発明の実施態様は以下の技術思想を包含する。
(1)(A)成分として安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤、
(B)成分としてアルカリ金属珪酸塩、
(C)成分としてアミノカルボン酸型キレート剤、
を含有し、
(B)成分の含有量がSiO換算で2質量%以上、13.8質量%以下であり、
組成物全量における、SiOとMO(MOはアルカリ金属酸化物)とのモル比であるSiO/MOの値が0.55以上、0.90以下であり、
組成物全量における、(A)成分とSiOとの質量比である(A)成分/SiOの値が0.005以上、1.5以下であることを特徴とする自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(2)(A)成分の被覆剤が安息香酸ナトリウムであることを特徴とする上記(1)記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(3)更に、(D)成分として高分子ポリマーを含有する上記(1)又は(2)に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(4)(D)成分が、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、又はそれらの塩から選ばれる少なくとも一種である上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(5)更に、(E)成分としてノニオン界面活性剤を含有する上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(6)上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物であって、該自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を、下端部分に排出口を有する溶出ホッパー内に収容し、給水ノズルから水を供給して前記溶出ホッパー内の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を水に溶解させ、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物濃度を0.06%に希釈されるように調整して洗浄液を調製し、供給開始から1時間連続稼働後の前記洗浄液の25℃における有効塩素濃度が10ppm未満である自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
(7)溶融固形型の洗浄剤であることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物。
【要約】
【課題】
洗浄性に優れ、且つ、アルミニウムに対する腐食防止性に優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】
自動食器洗浄機用洗浄剤組成物は、(A)成分として安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤、(B)成分としてアルカリ金属珪酸塩、(C)成分としてアミノカルボン酸型キレート剤、を含有し、(B)成分の含有量がSiO換算で2質量%以上、13.8質量%以下であり、組成物全量における、SiOとMO(MOはアルカリ金属酸化物)とのモル比であるSiO/MOの値が0.55以上、0.90以下であり、組成物全量における、(A)成分とSiOとの質量比である(A)成分/SiOの値が0.005以上、1.5以下である。
【選択図】なし