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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】精製方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 9/02 20060101AFI20220629BHJP
   C07D 277/56 20060101ALI20220629BHJP
   C07C 59/86 20060101ALI20220629BHJP
   C07C 229/40 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B01D9/02 601F
B01D9/02 604
B01D9/02 621
C07D277/56
C07C59/86
C07C229/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022517273
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2021025388
(87)【国際公開番号】W WO2022014395
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/027266
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤内 謙光
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】近藤 良夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 和成
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/034305(WO,A1)
【文献】特表2005-524595(JP,A)
【文献】特表2017-512781(JP,A)
【文献】特表2012-529537(JP,A)
【文献】特開2004-267114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 9/02
C07D 277/56
C07C 59/86
C07C 229/40
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの結晶形を持つ化合物を結晶化させる精製方法であって、
前記化合物を溶媒に溶解させた溶液から特定の結晶形が析出する特定の赤外線波長を目標波長に設定し、前記目標波長を含む赤外線を放出可能な赤外線放出装置を用いて、前記溶液に前記目標波長を含む赤外線を照射させながら前記溶媒を蒸発させて前記特定の結晶形を析出させる方法であり、
前記特定の赤外線波長を前記目標波長に設定するにあたり、前記結晶形の赤外線吸収スペクトルと前記溶媒に対する前記化合物の溶解速度とに基づいて設定する、
精製方法。
【請求項2】
前記化合物は、複数の結晶形を持つものである、
請求項1に記載の精製方法。
【請求項3】
前記特定の赤外線波長を前記目標波長に設定するにあたり、前記結晶形の安定度と前記結晶形の赤外線吸収スペクトルと前記溶媒に対する前記化合物の溶解速度とに基づいて設定する、
請求項1又は2に記載の精製方法。
【請求項4】
前記赤外線放出装置は、板状の放射体と、熱源としての面状ヒーターとを有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項5】
前記赤外線放出装置は、前記目標波長にピークを有する赤外線を放出可能である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項6】
前記赤外線放出装置は、外から内に向かって金属パターンと誘電体層と金属基板とがこの順に積層された構造体から前記目標波長にピークを有する赤外線を放出するものであり、前記金属パターンは、前記誘電体層状に同じ形状で同じサイズの金属電極が互いに等間隔に配列されたものであり、前記金属電極の幅に応じて放射する赤外線のピーク波長が変化する、
請求項5に記載の精製方法。
【請求項7】
前記化合物は、フェブキソスタット、ロキソプロフェン又はジクロフェナクである、
請求項1~6のいずれか1項に記載の精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目的とする有機化合物を精製する方法として、蒸留、再結晶、クロマトグラフィ、抽出などが一般的に知られている。また、レーザ光を利用した有機化合物の精製方法が特許文献1に開示されている。特許文献1では、結晶形として安定形及び準安定形を含む物質の溶液から準安定形の物質を選択的に製造するにあたり、溶液中へレーザ光を照射することにより気泡を発生させて準安定形結晶核を発生させ、準安定形結晶を選択的に製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-189462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、レーザ光照射は溶液中に気泡を発生させるために行っており、赤外吸収波長光については着目されていない。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、化合物を溶媒に溶解させた溶液から特定の結晶形を得ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の精製方法は、
少なくとも1つの結晶形を持つ化合物を結晶化させる精製方法であって、
前記化合物を溶媒に溶解させた溶液から特定の結晶形が析出する特定の赤外線波長を目標波長に設定し、前記目標波長を含む赤外線を放出可能な赤外線放出装置を用いて、前記溶液に前記目標波長を含む赤外線を照射させながら前記溶媒を蒸発させて前記特定の結晶形を析出させる、
ものである。
【0007】
この精製方法によれば、化合物を溶解させる溶媒と溶液に照射する赤外線とを調整することにより、化合物を溶媒に溶解させた溶液から特定の結晶形を析出させることができる。特定の結晶形が析出する理由は明らかではないが、以下のように考えられる。複数の結晶形を持つ化合物についていえば、通常、溶媒の種類によって化合物の溶解速度が異なる。溶解速度は結晶の析出しやすさと関連があると考えられる。また、照射される赤外線の吸収率が高い結晶形ほど、熱振動が活発になり結晶核が生成されにくくなると考えられる。こうしたことから、特定の結晶形が析出するのに適した条件は、化合物を溶解させる溶媒と溶液に照射する赤外線とによって決まると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】精製装置1の斜視図(一部を断面で示した)。
図2】赤外線ヒーター10の部分底面図。
図3】フェブキソスタットの赤外線吸収スペクトルを示すグラフ。
図4】ロキソプロフェンの赤外線吸収スペクトルを示すグラフ。
図5】ジクロフェナクの赤外線吸収スペクトルを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。
【0010】
本実施形態の精製方法は、少なくとも1つの結晶形を持つ化合物を結晶化させる精製方法であって、その化合物を溶媒に溶解させた溶液から特定の結晶形が析出する特定の赤外線波長を目標波長に設定し、目標波長を含む赤外線を放出可能な赤外線放出装置を用いて、溶液に目標波長を含む赤外線を照射させながら溶媒を蒸発させて特定の結晶形を析出させるものである。
【0011】
化合物は、複数の結晶形を持つものであってもよいし、1つの結晶形を持つものであってもよい。
【0012】
例えば、4つの結晶形a1,a2,b1,b2を持つ有機化合物Xの原料を溶媒に溶かした溶液から、溶媒を蒸発させて特定の結晶形を析出させる場合について説明する。ここでは、予備実験の結果に基づいて特定の結晶形を析出させる場合について説明する。1つめの予備実験では、有機化合物Xの原料を溶媒p1に溶かした溶液に、波長λ1[μm]を含む赤外線を照射させながら溶媒p1を蒸発させたところ、結晶形a1が析出したとする。2つめの予備実験では、有機化合物Xの原料を溶媒p1に溶かした溶液に、波長λ2[μm]を含む赤外線を照射させながら溶媒p1を蒸発させたところ、結晶形a2が析出したとする。3つめの予備実験では、有機化合物Xの原料を溶媒p2に溶かした溶液に、波長λ1[μm]を含む赤外線を照射させながら溶媒p2を蒸発させたところ、結晶形b1が析出したとする。4つめの予備実験では、有機化合物Xの原料を溶媒p2に溶かした溶液に、波長λ2[μm]を含む赤外線を照射させながら溶媒p2を蒸発させたところ、結晶形b2が析出したとする。そうした場合、結晶形a1を析出させたければ、1つめの予備実験で使用した溶媒p1と波長λ1[μm]を含む赤外線を採用する。結晶形a2を析出させたければ、2つめの予備実験で使用した溶媒p1と波長λ2[μm]を含む赤外線を採用する。結晶形b1を析出させたければ、3つめの予備実験で使用した溶媒p2と波長λ1[μm]を含む赤外線を採用する。結晶形b2を析出させたければ、4つめの予備実験で使用した溶媒p2と波長λ2[μm]を含む赤外線を採用する。
【0013】
ここで、波長λ1[μm]や波長λ2[μm]を設定するにあたっては、結晶形の赤外線吸収スペクトルと溶媒に対する原料の溶解速度とに基づいて設定するのが好ましく、結晶形の安定度と結晶形の赤外線吸収スペクトルと溶媒に対する原料の溶解速度とに基づいて設定するのがより好ましい。各結晶形の赤外線吸収スペクトルは異なることが多く、ある波長に対する各結晶形の吸収率は異なることが多い。ある波長を含む赤外線が溶液に照射されると、その波長に対する吸収率の高い結晶形は吸収率の低い結晶形に比べて熱振動が活発になり結晶核が生成されにくくなるため析出しにくくなると考えられる。一方、原料の溶解速度が速い溶媒と遅い溶媒とでは、結晶核を生成しやすい結晶形が異なると考えられる。例えば、安定度の高い結晶形は、他の結晶形に比較して溶解しにくい性質を持つことが多いため、溶解速度が速い溶媒を用いた場合に選択的に析出する可能性が高い。安定度の低い結晶形は、溶解速度が遅い溶媒を用いた場合に選択的に析出する可能性が高い。そのため、波長λ1[μm]や波長λ2[μm]は、結晶形の赤外線吸収スペクトルと溶媒に対する原料の溶解速度とに基づいて設定するのが好ましく、結晶形の安定度と結晶形の赤外線吸収スペクトルと溶媒に対する原料の溶解速度とに基づいて設定するのがより好ましい。例えば、波長λ1[μm]を含む赤外線として波長λ1[μm]にピークを有する赤外線を用いてもよく、波長λ2[μm]を含む赤外線として波長λ2[μm]にピークを有する赤外線を用いてもよい。
【0014】
また、例えば、1つの結晶形cを持つ有機化合物Yを溶媒qに溶かした溶液から、溶媒qを蒸発させて結晶形cを析出させる場合について説明する。ここでは、予備実験において、有機化合物Yを溶媒qに溶かした溶液に、波長α[μm]を含む赤外線を照射させながら溶媒qを蒸発させたところ、結晶形cが析出したとする。また、有機化合物Yを溶媒qに溶かした溶液に、赤外線を照射することなく溶媒qを蒸発させたところ、結晶形cは析出せずアモルファスになったとする。そうした場合、結晶形cを析出させたければ、有機化合物Yを溶媒qに溶かした溶液に、波長α[μm]を含む赤外線を照射させながら溶媒qを蒸発させればよい。例えば、波長α[μm]を含む赤外線として波長α[μm]にピークを有する赤外線を用いてもよい。
【0015】
本実施形態の精製方法で精製可能な化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、フェブキソスタット、テルフェナジン、インドメタシン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、カフェイン、ジクロフェナク、カルバマゼピンなどが挙げられる。また、化合物の原料を溶解させる溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロパノール(IPA))、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロフォルムなどのハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;アルコール系溶媒と水との混合溶媒などが挙げられる。
【0016】
本実施形態の精製方法では、波長λ[μm]を含む赤外線を放出可能な赤外線放出装置であれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、赤外線放出装置としては、板状の放射体と、熱源としての面状ヒーターとを有するものを用いることができる。また、赤外線放出装置としては、波長λ[μm]にピークを有する赤外線、特に波長λ[μm]にピークを有する半値幅の狭い赤外線を放出可能な赤外線放出装置を用いることが好ましい。そのような赤外線放出装置としては、例えば、メタマテリアルエミッターやフィルタ付きの赤外線放出装置などが挙げられる。メタマテリアルエミッターとしては、MIM(Metal-Insulator-Metal)タイプ、マイクロキャビティタイプ、メタアトムタイプ、積層タイプなどが挙げられる。MIMタイプについては、例えば参考文献1(JSME TED Newsletter, No.74, pp.7-10, 2014)に記載されたものを用いることができる。このMIMタイプについては、後で詳述する。マイクロキャビティタイプやメタアトムタイプとしては、例えば参考文献2(JSME TED Newsletter, No.74, pp.2-6, 2014)に記載されたものを用いることができる。積層タイプとしては、例えば参考文献3(ACS Cent. Sci., Vol.5, pp319-326, 2019)に記載されたものを用いることができる。フィルタ付きの赤外線放出装置としては、例えば特許第6442355号公報に記載された赤外線ヒーターを用いることができる。
【0017】
図1は、精製装置1の斜視図であり、一部を断面で示した。図2は、赤外線ヒーター10の部分底面図である。なお、左右方向、前後方向及び上下方向は、図1に示した通りとする。
【0018】
精製装置1は、赤外線ヒーター10を用いてフラットシャーレ20内の溶液22から特定の結晶形を析出させる装置である。溶液22は、複数の結晶形を持つ化合物を溶媒に溶解させたものである。
【0019】
赤外線ヒーター10は、MIMタイプのメタマテリアルエミッターの一例であり、ヒーター本体11と、構造体30と、ケーシング70とを備えている。この赤外線ヒーター10は、下方に配置されたフラットシャーレ20内の溶液22に向けて赤外線を放射する。
【0020】
ヒーター本体11は、いわゆる面状ヒーターとして構成されており、線状の部材をジグザグに湾曲させた発熱体12と、発熱体12に接触して発熱体12の周囲を覆う絶縁体である保護部材13とを備えている。発熱体12の材質としては、例えばW,Mo,Ta,Fe-Cr-Al合金及びNi-Cr合金などが挙げられる。保護部材13の材質としては、例えばポリイミドなどの絶縁性の樹脂やセラミックス等が挙げられる。ヒーター本体11は、ケーシング70の内部に配置されている。発熱体12の両端は、ケーシング70に取り付けられた図示しない一対の入力端子にそれぞれ接続されている。この一対の入力端子を介して、発熱体12に外部から電力を供給可能である。なお、ヒーター本体11は、絶縁体にリボン状の発熱体を巻き付けた構成の面状ヒーターとしてもよい。
【0021】
構造体30は、発熱体12の下方に配設された板状の放射体である。構造体30は、赤外線ヒーター10の下方外側から内側に向かって、第1導体層31(金属パターン)と、誘電体層34と、第2導体層35(金属基板)と、支持基板37とがこの順に積層されている。構造体30は、ケーシング70の下方の開口を塞ぐように配置されている。
【0022】
第1導体層31は、図2に示すように、誘電体層34上に同じ形状で同じサイズの金属電極32が互いに等間隔に配設された周期構造をもつ金属パターンとして構成されている。具体的には、第1導体層31は、複数の四角形状の金属電極32が誘電体層34上で左右方向に間隔D1ずつ離れて互いに等間隔に配設されると共に前後方向に間隔D2ずつ離れて互いに等間隔に配設された金属パターンとして構成されている。金属電極32は、厚さ(上下高さ)が横幅W1(左右方向の幅)及び縦幅W2(前後方向の幅)よりも小さい形状をしている。金属パターンの横方向の周期はΛ1=D1+W1、縦方向の周期はΛ2=D2+W2である。ここではD1とD2とは等しく、W1とW2とは等しいとする。金属電極32の材料としては、例えば金、アルミニウム(Al)などが挙げられる。金属電極32は、図示しない接着層を介して誘電体層34に接合されている。接着層の材質としては、例えばクロム(Cr)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)などが挙げられる。
【0023】
誘電体層34は、上面が第2導体層35に接合された平板状の部材である。誘電体層34は、第1導体層31と第2導体層35との間に挟まれている。誘電体層34の下面のうち金属電極32が配設されていない部分は、対象物に赤外線を放射する放射面38となっている。誘電体層34の材質としては、例えばアルミナ(Al23),シリカ(SiO2)などが挙げられる。
【0024】
第2導体層35は、上面が支持基板37に図示しない接着層を介して接合された金属板である。第2導体層35の材質は、第1導体層31と同様の材質を用いることができる。接着層の材質としては、例えばクロム(Cr)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)などが挙げられる。
【0025】
支持基板37は、ケーシング70の内部に図示しない固定具などにより固定された平板状の部材であり、第1導体層31、誘電体層34及び第2導体層35を支持する。支持基板37の材質としては、例えばSiウェハ、ガラスなどのように、平滑面が維持しやすく、耐熱性が高く、熱反りが低い素材が挙げられる。支持基板37は、ヒーター本体11の下面に接触していてもよいし、接触せず空間を介して上下に離間して配設されていてもよい。支持基板37とヒーター本体11とが接触している場合には両者は接合されていてもよい。
【0026】
こうした構造体30は、特定の波長の赤外線を選択的に放射する特性を有するメタマテリアルエミッターとして機能する。この特性は、マグネティックポラリトン(Magneticpolariton)で説明される共鳴現象によるものと考えられている。なお、マグネティックポラリトンとは、上下2層の導体(第1導体層31及び第2導体層35)間の誘電体(誘電体層34)内において強い電磁場の閉じ込め効果が得られる共鳴現象のことである。これにより、構造体30では、誘電体層34のうち第2導体層35と金属電極32とによって挟まれる部分が赤外線の放射源となる。そして、その放射源から放たれる赤外線は金属電極32をまわり込んで、誘電体層34のうち金属電極32が配設されていない部分(すなわち放射面38)から周囲環境に放射される。また、この構造体30では、第1導体層31、誘電体層34及び第2導体層35の材質や、第1導体層31の形状及び周期構造を調整することで、共鳴波長を調整することができる。これにより、構造体30の放射面38から放射される赤外線は、特定の波長の赤外線の放射率が高くなる特性を示す。本実施形態では、構造体30が、波長0.9μm以上25μm以下(好ましくは2.5μm以上25μm以下(4000~400cm-1))の範囲内に半値幅が2.0μm以下(好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下)で放射率が0.7以上(好ましくは0.8以上)の最大ピークを有する赤外線を放射面38から放射する特性を有するように、上述した材質、形状及び周期構造などが調整される。すなわち、構造体30は、半値幅が比較的小さく放射率が比較的高い急峻な最大ピークを有する赤外線を放射する特性を有する。半値幅は、特に限定するものではないが、例えば2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.0μm以下が更に好ましい。
【0027】
ケーシング70は、内部に空間を有し且つ底面が開放された略直方体の形状をしている。このケーシング70内部の空間に、ヒーター本体11及び構造体30が配置されている。ケーシング70は、発熱体12から放出される赤外線を反射するように金属(例えばSUSやアルミニウム)で形成されている。
【0028】
こうした精製装置1の使用例を以下に説明する。既に述べたように、4つの結晶形a1,a2,b1,b2を持つ有機化合物Xを溶媒に溶かした溶液から特定の結晶形を析出させる場合のうち、結晶形a1を析出させる場合を例にとって説明する。
【0029】
まず、赤外線ヒーター10の第1導電層31の下方位置に溶液22の入ったフラットシャーレ20を配置する。溶液22は、有機化合物Xが溶媒p1に溶解したものである。次に、図示しない電源から入力端子を介して発熱体12の両端に電力を供給する。電力の供給は、発熱体12の温度が予め設定された温度(特に限定するものではないが、例えば数百℃)になるように行う。所定の温度に達した発熱体12からは、伝導・対流・放射の伝熱3形態のうち1以上の形態によって周囲にエネルギーが伝達され、構造体30が加熱される。その結果、構造体30は所定温度に上昇し、二次放射体となって、赤外線を放射するようになる。
【0030】
この場合、所定の波長λ1[μm]を目標波長に設定し、その波長λ1[μm]にピークを有する赤外線が構造体30から放射されるように設定する。具体的には、構造体30から放射される赤外線が所定の波長λ1[μm]にピークを有する赤外線となるように、構造体30の金属電極32の間隔D1,D2、金属電極32の幅W1,W2及び金属パターンの周期Λ1,Λ2を設定する。フラットシャーレ20内の溶液22に波長λ1[μm]にピークを有する赤外線を照射すると、時間の経過と共に溶液22の溶媒p1が蒸発し、最終的に結晶形a1の有機化合物Xの結晶が選択的に析出する。
【0031】
上述した赤外線ヒーター10は、目的波長の赤外線を主として放射するように設計されてはいるが、構造体30の赤外線放射において、目的波長以外の放射をすべて除外することは困難であり、また大気下では、ヒーター各部からの周囲への対流放熱も予測される。したがって、実際のプロセスを構成する場合、こうした付随の熱流動が起因となって原料等が過度に温度上昇しないよう、装置形状等に各種考慮がなされるべきである。
【0032】
以上詳述した本実施形態の精製方法によれば、化合物を溶解させる溶媒と溶液に照射する赤外線のピーク波長とを調整することにより、化合物を溶媒に溶解させた溶液から特定の結晶形を析出させることができる。また、MIMタイプの赤外線ヒーター10を用いるため、放射する赤外線のピーク波長を目的波長に精度よく合うように設計することができる。ここで、赤外線ヒーター10の第1導体層31は、同じ形状で同じサイズの金属電極32が互いに等間隔に配設された周期構造をもつ金属パターンとして構成されている。赤外線ヒーター10は、金属電極32の横幅W1及び縦幅W2に応じて放射する赤外線のピーク波長が変化する。金属電極32の横幅W1及び縦幅W2は、例えば周知の電子線描画装置による描画とリフトオフにより設計値通りに精度よく作ることができる。そのため、赤外線ヒーター10から放射される赤外線のピーク波長を目的波長に合わせる作業を、比較的簡単に且つ精度よく行うことができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
上述した実施形態では、金属電極32を四角形状としたが、円形状としてもよい。この場合、円形状の金属電極32の直径が横幅W1や縦幅W2に相当する。
【実施例
【0035】
[基本情報]
・溶解速度
フェブキソスタット原料の各溶媒に対する溶解時間を以下のようにして調べた。溶媒として、エタノール、2-プロパノール、アセトニトリルを用いた。まず、実体顕微鏡(SZX16,オリンパス)に加熱ステージ(FP80HT,メトラー)を設置し、加熱ステージの表面温度を50±5℃に保持した。フェブキソスタット(製品コードF0847,東京化成工業)25mgをフラットシャーレ(φ32mm×16mm)に量り取り、溶媒を2mL秤量してシャーレに加え、直ちにガラス製の蓋を被せた。そのシャーレを加熱ステージに載置し、載置した時点から溶媒内にフェブキソスタットの溶け残りがないことを実体顕微鏡で確認した時点までの時間を溶解時間とした。その結果、溶解時間の短いものから順に並べると(換言すれば溶解速度の速いものから順に並べると)、エタノール、2-プロパノール、アセトニトリルとなった。その結果を表1に示す。
【0036】
ロキソプロフェン及びジクロフェナクの各原料についても、各溶媒に対する溶解時間をフェブキソスタットと同様にして調べた。それらの結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
・赤外線吸収スペクトル
フェブキソスタットは、複数の結晶形F1,F2,Q,H1を有することが知られている。各結晶形の赤外線吸収スペクトルのグラフを図3に示す。ロキソプロフェンは、結晶形F1,F2を有することが知られている。各結晶形の赤外線吸収スペクトルのグラフを図4に示す。ジクロフェナクは、結晶形F1,F2を有することが知られている。各結晶形の赤外線吸収スペクトルのグラフを図5に示す。フェブキソスタット、ロキソプロフェン及びジクロフェナクにつき、各結晶形の赤外線吸収スペクトルの波長3.7μm及び6.7μmにおける吸収率を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
[実施例1]
フェブキソスタット(製品コードF0847,東京化成工業)25mgをフラットシャーレ(φ32mm×16mm)に量り取り、エタノール(関東化学)1mLを加え、80℃に調温したホットプレート上で2分間加温し、軽く撹拌しながら溶解させることにより試験サンプルを作製した。試験サンプルに波長3.7μmを含む赤外線(ここでは波長3.7μmにピークを持つ赤外線)(放射源温度400℃)を30分間放射することで溶媒を蒸発させ結晶を析出させた。赤外線は、MIMタイプの赤外線ヒーター10を用いて放射した。Au製の第1導体層31(金属電極32)の高さhを100nm、Al23製の誘電体層34の厚みdを100nm、Au製の第2導体層35の高さfを200nm、金属電極32の横幅W1と縦幅W2を840nm、間隔D1,D2を1160nm、周期Λ1,Λ2を2000nmに設定し、波長3.7μmにピークを持つ赤外線(半値幅0.5μm)を放射させた。析出した結晶について、XRD分析によって結晶形を同定したところ、結晶形はF1であった。XRD分析は、X線回折装置(製品名UltimaIV,Rigaku)を用いて行った。
【0041】
[実施例2]
波長3.7μmを含む赤外線の代わりに波長6.7μmを含む赤外線(ここでは波長6.7μmにピークを持つ赤外線)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験サンプルを作製し、XRD分析によって結晶形を同定した。そうしたところ、結晶形はF2であった。実施例2では、赤外線ヒーター10の第1導体層31(ここでは円形の金属電極32を有する層)の高さhを50nm、誘電体層34の厚みdを190nm、第2導体層35の高さfを100nm、円形の金属電極32の直径(W1,W2に相当)を2.16μm、金属電極同士の間隔(D1、D2に相当)を1.84μm、周期(Λ1,Λ2に相当)を4.0μmに設定し、波長6.7μmにピークを持つ赤外線(半値幅0.5μm)を放射させた。
【0042】
[実施例3]
エタノール1mLの代わりに2-プロパノール(シグマアルドリッチ)1mLを用いた以外は、実施例1と同様にして試験サンプルを作製し、XRD分析によって結晶形を同定した。そうしたところ、結晶形はH1であった。
【0043】
[実施例4]
エタノール1mLの代わりにアセトニトリル(キシダ化学)2mLを用いたことと、波長3.7μmにピークを持つ赤外線の代わりに波長6.7μmにピークを持つ赤外線を用いた以外は、実施例1と同様にして試験サンプルを作製し、XRD分析によって結晶形を同定した。そうしたところ、結晶形はQであった。
【0044】
実施例1~4の結果を表3にまとめた。
【0045】
【表3】
【0046】
実施例1,2から、同じ溶媒を用いても、ピーク波長の異なる赤外線を用いると、析出するフェブキソスタットの結晶形が変わることがわかった。また、実施例1,3や実施例2,4から、同じピーク波長の赤外線を用いても、溶媒が異なると、析出するフェブキソスタットの結晶形が変わることがわかった。
【0047】
以上の実施例から、4つの結晶形F1,F2,H1,Qのどの結晶形を析出させたいかによって、溶媒と赤外線のピーク波長との組合せを決定すればよいことがわかる。具体的には、結晶形F1のフェブキソスタットを析出させたい場合には、実施例1のように、溶媒としてエタノールを用い、ピーク波長が3.7μmの赤外線を照射すればよい。結晶形F2のフェブキソスタットを析出させたい場合には、実施例2のように、溶媒としてエタノールを用い、ピーク波長が6.7μmの赤外線を照射すればよい。結晶形H1のフェブキソスタットを析出させたい場合には、実施例3のように、溶媒として2-プロパノールを用い、ピーク波長が3.7μmの赤外線を照射すればよい。結晶形Qのフェブキソスタットを析出させたい場合には、実施例4のように、溶媒としてアセトニトリルを用い、ピーク波長が6.7μmの赤外線を照射すればよい。
【0048】
フェブキソスタットの結晶形の安定度は、安定な順にF1,F2,Q,H1である。フェブキソスタットのF1は最も安定度が大きい結晶形、すなわち最安定形と考えられる。一般的に、最安定形は他の結晶形に比較して溶媒に溶解しにくい。したがって、溶解速度が速い溶媒を用いた場合には、基本的には最安定形が析出する。つまり、最安定形を析出させる場合には、溶解速度が速い溶媒を用いるのが好ましい。なお、他の結晶形は、最安定形よりも溶けやすいため、溶解速度の速い溶媒を用いた場合、最安定形よりも析出しにくい傾向がある。最安定形を析出させる場合、波長に関しては、最安定形が吸収しにくい波長を選択する。最安定形のF1の吸収スペクトルは他の結晶形に比べて図3に示すように全波長にわたって吸収率が高いが、その中で比較的吸収しにくい波長である3.7μmを選択する。3.7μmの波長は、F2も吸収するため、F2の発生をある程度阻害すると考えられる。以上のことから、フェブキソスタットの最安定形のF1を選択的に析出させる場合、溶媒としては溶解速度が速いエタノールを選択し、波長としては比較的吸収しにくい3.7μmを選択する。
【0049】
フェブキソスタットのH1は最も安定度が小さい結晶形、すなわち準安定形と考えられる。一般的に、準安定形は他の結晶形に比較して溶媒に溶解しやすい。したがって、準安定形は、溶解速度が遅い溶媒を用いて過飽和度を高めないと、他の結晶形と比べて析出しにくい。つまり、準安定形を析出させる場合には、溶解速度が遅い溶媒を用いるのが好ましい。準安定形を析出させる場合、波長に関しては、準安定形が吸収しにくく他の結晶形が吸収しやすい波長を選択する。こうすれば、他の結晶形は熱振動が活発になり結晶核が生成されにくくなるため析出しにくい。図3に示す各結晶形の吸収スペクトルからわかるように、波長3.7μmの赤外線は、準安定形のH1は吸収しにくく他の結晶形は吸収しやすい。以上のことから、フェブキソスタットの準安定形のH1を選択的に析出させる場合、溶媒としては溶解速度が遅い2-プロパノールを選択し、波長としては他の結晶形よりも吸収しにくい波長3.7μmを選択する。
【0050】
フェブキソスタットのF2,Qの安定度は準安定形のH1と最安定形のF1との中間に位置する。そのため、溶解速度や赤外線の波長は、H1とF1の中間の性質のものを選択するのが好ましい。
【0051】
[実施例5]
ロキソプロフェン(製品コードL0244,東京化成工業)25mgをフラットシャーレ(φ32mm×16mm)に量り取り、2-プロパノール1mLを加え、80℃に調温したホットプレート上で1分間加温し、軽く撹拌しながら溶解させることにより試験サンプルを作製した。その試験サンプルに波長6.7μmを含む赤外線(ここでは波長6.7μmにピークを持つ赤外線)を放射することで溶媒を蒸発させ結晶を析出させた。析出した結晶について、XRD分析によって結晶形を同定したところ、結晶形はF1であった。
【0052】
[実施例6]
溶媒として2-プロパノールの代わりにエタノールを使用し、波長6.7μmを含む赤外線の代わりに波長3.7μmを含む赤外線(ここでは波長3.7にピークを持つ赤外線)を用いた以外は、実施例5と同様にして結晶を析出させた。析出した結晶について、XRD分析によって結晶形を同定したところ、結晶形はF2であった。
【0053】
実施例5,6の結果を表4にまとめた。
【0054】
【表4】
【0055】
以上の実施例5,6から、ロキソプロフェンの2つの結晶形F1,F2のどちらの結晶形を析出させたいかによって、溶媒と赤外線のピーク波長との組合せを決定すればよいことがわかる。具体的には、結晶形F1のロキソプロフェンを析出させたい場合には、溶媒として2-プロパノールを用い、ピーク波長が6.7μmの赤外線を照射すればよい。結晶形F2のロキソプロフェンを析出させたい場合には、溶媒としてエタノールを用い、ピーク波長が3.7μmの赤外線を照射すればよい。
【0056】
ロキソプロフェンの結晶形の安定度は、安定な順にF2,F1であり、F2が最安定形、F1が準安定形と考えられる。最安定形を析出させる場合には、溶解速度が速い溶媒を用いるのが好ましく、波長に関しては最安定形が吸収しにくい波長を選択するのが好ましい。以上のことから、ロキソプロフェンの最安定形のF2を選択的に析出させる場合、溶媒としては溶解速度が速いエタノールを選択し、波長としては比較的吸収しにくい3.7μmを選択する。準安定形を析出させる場合には、溶解速度が遅い溶媒を用いるのが好ましく、波長に関しては、準安定形が吸収しにくく他の結晶形が吸収しやすい波長を選択するのが好ましい。以上のことから、ロキソプロフェンの準安定形のF1を選択的に析出させる場合、溶媒としては溶解速度が遅い2-プロパノールを選択し、波長としては他の結晶形よりも吸収しにくい波長6.7μmを選択する。
【0057】
[実施例7]
ジクロフェナク(製品コードD3748,東京化成工業)25mgをフラットシャーレ(φ32mm×16mm)に量り取り、混合溶媒(エタノール:2-プロパノール(IPA)=50:50(体積比))1mLを加え、80℃に調温したホットプレート上で1分間加温し、軽く撹拌しながら溶解させることにより試験サンプルを作製した。その試験サンプルに波長6.7μmを含む赤外線(ここでは波長6.7μmにピークを持つ赤外線)を放射することで溶媒を蒸発させ結晶を析出させた。析出した結晶について、XRD分析によって結晶形を同定したところ、結晶形はF1であった。
【0058】
[実施例8]
溶媒として混合溶媒の代わりにエタノールを使用し、波長6.7μmを含む赤外線の代わりに波長3.7μmを含む赤外線(ここでは波長3.7にピークを持つ赤外線)を用いた以外は、実施例7と同様にして結晶を析出させた。析出した結晶について、XRD分析によって結晶形を同定したところ、結晶形はF2であった。
【0059】
実施例7,8の結果を表5にまとめた。
【0060】
【表5】
【0061】
以上の実施例7,8から、ジクロフェナクの2つの結晶形F1,F2のどちらの結晶形を析出させたいかによって、溶媒と赤外線のピーク波長との組合せを決定すればよいことがわかる。具体的には、結晶形F1のジクロフェナクを析出させたい場合には、溶媒としてエタノール:IPA=50:50(体積比)を用い、ピーク波長が6.7μmの赤外線を照射すればよい。結晶形F2のジクロフェナクを析出させたい場合には、溶媒としてエタノールを用い、ピーク波長が3.7μmの赤外線を照射すればよい。
【0062】
ジクロフェナクの結晶形の安定度は、安定な順にF2,F1であり、F2が最安定形、F1が準安定形と考えられる。最安定形を析出させる場合には、溶解速度が速い溶媒を用いるのが好ましく、波長に関しては最安定形が吸収しにくい波長を選択するのが好ましい。以上のことから、ジクロフェナクの最安定形のF2を選択的に析出させる場合、溶媒としては溶解速度が速いエタノールを選択し、波長としては比較的吸収しにくい3.7μmを選択する。準安定形を析出させる場合には、溶解速度が遅い溶媒を用いるのが好ましく、波長に関しては、準安定形が吸収しにくく他の結晶形が吸収しやすい波長を選択するのが好ましい。以上のことから、ジクロフェナクの準安定形のF1を選択的に析出させる場合、溶媒としては溶解速度が遅いエタノール:IPA=50:50(体積比)を選択し、波長としては他の結晶形よりも吸収しにくい波長6.7μmを選択する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば複数の結晶形を有する化合物の特定の結晶形を選択的に得るのに利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 精製装置、10 赤外線ヒーター、11 ヒーター本体、12 発熱体、13 保護部材、20 フラットシャーレ、22 溶液、30 構造体、31 第1導体層、32 金属電極、34 誘電体層、35 第2導体層、37 支持基板、38 放射面、70 ケーシング、W1 横幅、W2 縦幅、D1,D2 間隔。
図1
図2
図3
図4
図5