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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ミキサー
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/695 20190101AFI20220630BHJP
   B29B 7/14 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B29C48/695
B29B7/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019149445
(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公開番号】P2020029096
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2018153488
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392027623
【氏名又は名称】有限会社石塚機械設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092130
【弁理士】
【氏名又は名称】若原 誠一
(72)【発明者】
【氏名】石塚 欽三
(72)【発明者】
【氏名】石塚 雅俊
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-150075(JP,U)
【文献】特開2004-148172(JP,A)
【文献】特開昭50-455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
B29C 31/00-31/10
B29C 37/00-37/04
B29C 71/00-71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒の中に支持され、直線状かつ長尺状でほぼ円柱状の棒状部と、
この棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を右螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と右螺旋羽部上面との間にほぼ隙間がない複数の右螺旋羽部、 及び、 上記棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を左螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と左螺旋羽部上面との間にほぼ隙間がない複数の左螺旋羽部と、
上記棒状部の周回に対する右螺旋羽部及び左螺旋羽部の占有角度は、90度乃至360度であり、当該右螺旋羽部及び左螺旋羽部の上記棒状部表面から上記筒内面までの高さは上記筒の内半径全体の40%乃至95%であり、
上記複数の右螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている右螺旋羽部エリア、及び、上記複数の左螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている左螺旋羽部エリアであって、これら右螺旋羽部エリア左螺旋部エリアとの間には、上記棒状部の周回にわたって形成された、何も突設されていない空隙エリアと、を備え、
上記1つの右螺旋羽部エリアにおける右螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の右螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられ、
上記1つの左螺旋羽部エリアにおける左螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の左螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられ、
すべての上記右螺旋羽部の端部表面から上記棒状部表面を経て他のすべての上記右螺旋羽部の端部表面にかけて段差及び角が無く滑らかであり、
すべての上記左螺旋羽部の端部表面から上記棒状部表面を経て他のすべての上記左螺旋羽部の端部表面にかけて段差及び角が無く滑らかであり、
上記筒の中に送り込まれてきた複数種類の粘性を帯びた材料を混合することを特徴とするミキサー。
【請求項2】
筒の中に支持され、直線状かつ長尺状でほぼ円柱状の棒状部と、
この棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を右螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と右螺旋羽部上面との間にほぼ隙間がない複数の右螺旋羽部と、
上記棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を左螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と左螺旋羽部上面との間にほぼ隙間がない複数の左螺旋羽部と、
上記右螺旋羽部及び左螺旋羽部は、ほぼ同形同大で互いにほぼ対称な形であり、上記棒状部の周回に対する右螺旋羽部及び左螺旋羽部の占有角度は、90度乃至360度であり、当該右螺旋羽部及び左螺旋羽部の上記棒状部表面から上記筒内面までの高さは上記筒の内半径全体の40%乃至95%であり、
上記複数の右螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている右螺旋羽部エリアと、上記複数の左螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている左螺旋羽部エリアとであって、これら右螺旋羽部エリア左螺旋部エリアとの間には、上記棒状部の周回にわたって形成された、何も突設されていない空隙エリアと、を備え、
上記1つの右螺旋羽部エリアにおける右螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の右螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられ、
上記1つの左螺旋羽部エリアにおける左螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の左螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられ、
すべての上記右螺旋羽部の端部表面から上記棒状部表面を経て他のすべての上記右螺旋羽部の端部表面にかけて段差及び角が無く滑らかであり、
すべての上記左螺旋羽部の端部表面から上記棒状部表面を経て他のすべての上記左螺旋羽部の端部表面にかけて段差及び角が無く滑らかであり、
上記筒の中に送り込まれてきた複数種類の粘性を帯びた材料を混合することを特徴とするミキサー。
【請求項3】
上記空隙エリアを挟んで隣り合う、上記右螺旋羽部エリアの右螺旋羽部の各端部と、左螺旋羽部エリアの左螺旋羽部の各端部とは、上記棒状部に対して、互いに異なる角度の位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のミキサー。
【請求項4】
右螺旋羽部または左螺旋羽部の周回先端と上記筒内面とは所定の角度をなして接していて、この周回先端と上記内面となす部分には段差があることを特徴とする請求項記載のミキサー。
【請求項5】
上記右螺旋羽部または上記左螺旋羽部の各端部における段差は一方が鋭角で尖っており他方が鈍角で尖っていないことを特徴とする請求項記載のミキサー。
【請求項6】
上記複数の右螺旋羽部の間の凹溝または上記複数の左螺旋羽部の間の凹溝の底は、上記棒状部の表面に一致していることを特徴とする請求項記載のミキサー。
【請求項7】
上記右螺旋羽部の羽の根元から先端までの厚さ及び上記左螺旋羽部の根元から先端までの羽の厚さは、上記棒状部の太さよりやや細いことを特徴とする請求項6記載のミキサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサーに関し、特に複数種類の粘性材料を混合するミキサーに関し、例えば色の異なる樹脂材料、光透過性の異なる樹脂材料、化学組成の異なる樹脂材料などを混合するミキサー(スタティックミキサーを含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなミキサーとしては、筒内の棒の周面に沿って長い螺旋状の凸条を形成して、この螺旋状の凸条で筒内の材料を撹拌・混合するなどである。
【0003】
【文献】特許第6085398号公報
【文献】特開平8-206480号公報
【文献】特開平8-103643号公報
【文献】特開2005-238232号公報
【文献】特開2009-106817号公報
【文献】特開2010-247348号公報
【文献】特開2010-264348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような螺旋状の凸条は長いため、右螺旋または左螺旋のいずれかの一方向の撹拌しかできず、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成できなかった。また、右螺旋と左螺旋とが交互に存在するものもあるが、螺旋状の凸条が長く、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を右螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間に隙間がない複数の右螺旋羽部、 または、 上記棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を左螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間にほぼ隙間がない複数の左螺旋羽部と、 上記棒状部の周回に対する右螺旋羽部または左螺旋羽部の占有角度は、90度乃至360度であり、当該右螺旋羽部及び左螺旋羽部の上記棒状部表面から上記筒内面までの高さは上記筒の内半径全体の40%乃至95%であり、 上記複数の右螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている右螺旋羽部エリア、または、上記複数の左螺羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている左螺旋羽部エリアであって、これら右螺旋羽部エリアの間または左螺旋部エリアの間には、上記棒状部の周回にわたって形成された、何も突設されていない空隙エリアと、を備えた。
【0006】
また、棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を右螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間に隙間がない複数の右螺旋羽部と、 上記棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を左螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間にほぼ隙間がない複数の左螺旋羽部と、 上記右螺旋羽部または左螺旋羽部は、ほぼ同形同大で互いにほぼ対称な形であり、上記棒状部の周回に対する右螺旋羽部及び左螺旋羽部の占有角度は、90度乃至360度であり、当該右螺旋羽部及び左螺旋羽部の上記棒状部表面から上記筒内面までの高さは上記筒の内半径全体の40%乃至95%であり、 上記複数の右螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている右螺旋羽部エリアと、上記複数の左螺羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている左螺旋羽部エリアとであって、これら右螺旋羽部エリアの間または左螺旋部エリアの間には、上記棒状部の周回にわたって形成された、何も突設されていない空隙エリアと、を備えた。
【0007】
さらに、上記1つの右螺旋羽部エリアにおける右螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の右螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられ、 上記1つの左螺旋羽部エリアにおける左螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の左螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
これにより、右螺旋羽部及び左螺旋羽部の占有角度は45度乃至360度と短いため、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成できる。また、右螺旋羽部エリアと左螺旋羽部エリアとの間には空隙エリアがあるので、送り込まれてきた粘性材料が合流したり分流したりして、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成できる。
【0009】
また、右螺旋羽部の枚数は3枚であり、左螺旋羽部の枚数も3枚以上であれば、3種類以上の性質の異なる粘性材料が合流したり分流したりして、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成できる。
【0010】
この場合、混合する粘性材料は2種類でもよく、このとき3枚以上の右螺旋羽部または左螺旋羽部の間に投入される材料のうち2枚の右螺旋羽部または左螺旋羽部の間には同じ材料が投入される。またこの場合、右螺旋羽部または左螺旋羽部の枚数は4枚、6枚、8枚、…以上と、偶数としてもよい。この3種類以上の性質の異なる粘性材料は、色が異なるほか、粘性、流動性、粒子の大きさなどが異なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(1)ミキサー
図1はミキサーを示す。押し出し機(射出機)33からは、粘性材料例えば粒状または粉状の樹脂材料が溶融されて加圧して押し出され、混合筒1(筒)内に加圧されて送り込まれ、混合筒1内のヒーター(図示せず)によって溶融状態で保持・保熱され、棒状部2の右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…によって撹拌・混合され、金型32に送り込まれ、樹脂製品が成型・生産される。
【0012】
このミキサーは押出成型機または射出成型機等に用いられ、このミキサーの円筒状の混合筒1(筒)の中では送り込まれてきた粘性材料、例えば樹脂材料が撹拌・混合される。この混合筒1は金属製で、周囲にはヒーターは取り付けられ、混合筒1内の樹脂材料が溶融状態で保持・保熱される。
【0013】
この円筒状の混合筒1の中心軸に沿って混合筒1の中心を貫くように、混合筒1内に棒状部2が支持されている。この棒状部2は、直線状かつ長尺状でほぼ円柱状で、表面が円筒面に沿った平坦で凹凸の全くまたはあまりない穴の無い形状をしている。これにより、撹拌・混合する樹脂材料の滞留がなくなり、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0014】
この棒状部2及び上記混合筒1は、金属製、例えば、銅、鉄、アルミ、亜鉛、すず、クロムまたはこれらの合金などからなっており、場合によって表面にメッキ処理などがなされ、例えばPRE-harden(耐熱ダイス鋼、例:DH2F、SKD61相当)、時効硬化処理/可溶化処理素材(SUS630、RHe45)である。
【0015】
この図1では、棒状部2表面と上記混合筒1内面との間には隙間があり、後述する右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の上端面・外端面は混合筒1の内面にほぼ隙間無く当接している。そして、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…は、同形同大同高であり螺旋の方向のみ異なっている。
【0016】
したがって、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の間は、周回空隙エリア6「溝」を形成し、これらの溝は螺旋方向に沿って右螺旋・左螺旋しており、押し出されてくる樹脂材料が分流・合流されて、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0017】
上記右螺旋羽部5…が形成されている複数の右螺旋羽部エリア4…と、左螺旋羽部9…が形成されている複数の左螺旋羽部エリア8とのそれぞれの間には、この周回空隙エリア6…が形成されている。この周回空隙エリア6は、棒状部2の周回に沿って螺旋状ではなく直交する方向で周回しており、幅は一定である。
【0018】
これにより、押し出されてくる樹脂材料が円滑に分流・合流されて、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。各周回空隙エリア6には何も突設されず、表面は滑らかになっている。これにより、押し出されてくる樹脂材料が円滑に分流・合流されて、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0019】
この棒状部2の先端は、円錐状に尖って突出して突出部3が形成されており、この突出部3から、上記溶融前の溶融された粘性を帯びた樹脂材料が送り込まれてくる。この棒状部2は円筒状で、中心にヒーターが入っていてもよいし、何も入ってなくてもよい。このヒーターによる加温温度によって樹脂材料の粘性も変化する。
【0020】
この突出部3の隣の棒状部2は円柱状になっており、この突出部3の隣の棒状部2上には、周回空隙エリア6を挟んで、右螺旋羽部エリア4が形成されている。この右螺旋羽部エリア4には、棒状部2の周回に沿って右螺旋羽部5…が3枚、等間隔・当角度に突設されている。
【0021】
この右螺旋羽部5…は、板状・塀状であり、上記棒状部2に対して表面に直交するように突設され、かつ棒状部2の周囲を右螺旋方向に沿って延びている。この右螺旋羽部5…の下側には空洞はなく、撹拌・混合する樹脂材料の滞留がなくなり、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。なお、場合によって空洞があってもよい。
【0022】
この右螺旋羽部エリア4の隣には、上記周回空隙エリア6を挟んで、左螺旋羽部エリア8が形成されている。この左螺旋羽部エリア8には、棒状部2の周回に沿って左螺旋羽部9…が3枚等間隔・当角度に突設されている。
【0023】
この左螺旋羽部9…は、板状・塀状であり、上記棒状部2に対して表面に直交するように突設され、かつ棒状部2の周囲を左螺旋方向に沿って延びている。この左螺旋羽部9…の下側には空洞はなく、撹拌・混合する樹脂材料の滞留がなくなり、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。なお、場合によって空洞があってもよい。
【0024】
この左螺旋羽部エリア8の隣には、周回空隙エリア6を挟んで、右螺旋羽部エリア4が形成され、さらに周回空隙エリア6を挟んで、左螺旋羽部エリア8が形成され、またさらに周回空隙エリア6を挟んで、右螺旋羽部エリア4が形成されている。
【0025】
このような右螺旋羽部エリア4及び左螺旋羽部エリア8は、一段ずつ隣り合い、この一段ずつの右螺旋羽部エリア4及び左螺旋羽部エリア8が、交互に五列配列され、計一段×5の右螺旋羽部エリア4と一段×5列の左螺旋羽部エリア8が交互に配列されている。
【0026】
このように右螺旋羽部エリア4及び左螺旋羽部エリア8が、同じ数で、交互に配列されている。これにより、送り込まれてきた複数種類の樹脂材料が、加圧されて、混合筒1内を棒状部2に送り込まれ、この送り込み/移動に沿って、右旋回されたり、左旋回されたりして、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0027】
上記右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の上面・外面は、上記混合筒1の内面に接していて隙間がない。これにより、混合筒1と棒状部2との間には、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…が全くない空間が無くなり、送り込まれてきた樹脂材料が右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…に沿って完全に分流・合流され、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。なお、場合によって、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の外面・上面と混合筒1の内面との間に隙間があってもよい。
【0028】
上記周回空隙エリア6…は、上記棒状部2の周回に沿って/わたって形成され、何も突設されていない。このように右螺旋羽部エリア4及び左螺旋羽部エリア8が交互に配列され、それぞれの間には、このような周回空隙エリア6…が形成されているので、移動かつ送り込まれてきた樹脂材料が合流したり分流したりして、完全に均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0029】
上記棒状部2の上記突出部3と反対側の端は円板状に外方へ延出され送出し部26が形成されている。この円板状の送出し部26には、3の倍数、例えば24個の貫通穴27が、環状に等間隔に開けられている。この24個の貫通穴27からは、撹拌・混合された樹脂材料が押し出されてくる。この貫通穴27の数は、後述する右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の3枚より多くなっている。
【0030】
したがって、上記右螺旋羽部エリア4の一段あたりの右螺旋羽部5…の数、及び左螺旋羽部エリア8の一段あたりの左螺旋羽部9…の数は、上記樹脂材料の貫通穴27の数と同じまたは少ないことになる。なお、貫通穴27の数は、撹拌・混合される樹脂材料の種類数と同じでもよいし、多くてもよいし、少なくてもよい。
【0031】
これにより、貫通穴27の大きさを調整すれば、送出し部26の手前で樹脂材料の滞留がおき、樹脂材料がよく撹拌・混合される。なお、貫通穴27の数は、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の数と同じ3つでもよいし、3個、6個、9個、12個、…、24個、27個、30個、…、2個、1個、4個、5個、…、23個、25個、…など、いくつでもよい。
【0032】
上記混合筒1は本体とキャップとに分離され、それぞれが螺合結合される。この本体とキャップとの間には、上記棒状部2の上記送出し部26の周縁が挟まれて固定される。キャップの中央は小さい貫通穴が形成され、ここから混合された樹脂材料が金型32に押し出され/射出される。
【0033】
(2)右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…
図2図3及び図4は右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…などを示す。上記1つの右螺旋羽部エリア4には、同形同大の右螺旋羽部5…が、等間隔等角度で3体/3枚形成され、同じく1つの左螺旋羽部エリア8には、同形同大の左螺旋羽部9…が、等間隔等角度で3体/3枚形成されている。これら右螺旋羽部5…と左螺旋羽部9…のそれぞれの間には凹溝7…が形成される。
【0034】
3枚の右螺旋羽部5…それぞれと3枚左螺旋羽部9…それぞれとは、同形同大で等間隔等角度なので、移動かつ送り込まれてきた樹脂材料が合流したり分流したりして、完全に均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0035】
この等角度は、螺旋状の右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…のどの個所をとっても等角度に維持され右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の一端から他端まで等角度に維持される。これにより、樹脂材料は途中で滞留せず均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0036】
図4は棒状部2を横方向/軸方向から見た状態を示す。上記右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の1つが、棒状部2の周回360度に対する占有角度は90度乃至360度であり、135度乃至270度、例えば180度ほどとなっている。右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…は、同形同大で互いに対称な形であり、螺旋方向/旋回方向のみ異なっており、この螺旋方向/旋回方向は互いに逆向きで対称となっている。
【0037】
この角度は撹拌・混合・混練・練成される樹脂材料の粘度に応じて変えられる。粘度が高ければこの角度は大きくなって、撹拌・混合・混練・練成される距離が長くなって長く撹拌・混合・混練・練成される。粘度が低ければこの角度は小さくなって、撹拌・混合・混練・練成される距離が短くなって短く撹拌・混合・混練・練成される。
【0038】
これにより、移動かつ送り込まれてきた樹脂材料が合流したり分流したりして、完全に均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。また、樹脂材料は途中で滞留せず円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0039】
上記等間隔等角度及び同形同大で互いに対称によって、右螺旋方向でも、左螺旋方向でも、周回方向/螺旋方向に偏りが生じず、樹脂材料が均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。また、5つの右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…のそれぞれの占有角度が180度であるので、それぞれの右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の隙間の周回空隙エリア6の占有角度は実質的には無いことになる。
【0040】
上記周回空隙エリア6を挟んで隣り合う、上記右螺旋羽部エリア4の右螺旋羽部5…の各端部18…と、左螺旋羽部エリア8の左螺旋羽部9…の各端部19…とは、上記棒状部2に対して、互いに異なる角度の位置、例えば互いに中間となる角度の位置に設けられている。
【0041】
これにより、樹脂材料が左螺旋羽部エリア8から右螺旋羽部エリア4に移動するとき、または樹脂材料が右螺旋羽部エリア4から左螺旋羽部エリア8に移動するとき、均等に二つに分流されて分けられて、例えば二つに等分されて均一に分流されて、樹脂材料がより均一に撹拌・混合・混練・練成される。
【0042】
上記各端部18、19が、互いに中間となる角度の位置つまり互いに交互になる角度の位置に設けられていれば、樹脂材料がより均一に撹拌・混合・混練・練成される。粘性の異なる材料が混合されるときには、この中間以外の角度の位置に設けられてもよい。また、場合によって、上記各端部18、19が互いに同じ角度の位置に設けられてもよい。これにより、樹脂材料がより円滑に流れる。
【0043】
図4は左螺旋羽部エリア8または/及び右螺旋羽部エリア4の断面を示す。この断面は棒状部2に直角である。この図に示すように、3枚の左螺旋羽部9…または/及び右螺旋羽部5…は、120度ずつの等角度かつ等間隔である。これにより、樹脂材料は途中で滞留せず円滑かつ均一に撹拌・混合・混練・練成される。
【0044】
3枚の各左螺旋羽部9…または/及び3枚の各右螺旋羽部5…の間の3つの凹溝7…は滑らかに曲線状に湾曲しており、段差や凹凸がない。これにより、樹脂材料は途中で滞留せず円滑かつ均一に撹拌・混合・混練・練成される。
【0045】
また、3つの凹溝7…は、左螺旋羽部エリア8でも、右螺旋羽部エリア4でも、すべて同じ形で、同じ大きさ、同じ深さ、同じ幅である。3つの凹溝7…で、樹脂材料は同じように樹脂材料が合流したり分流したりして、完全に均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0046】
右螺旋羽部5…または/及び左螺旋羽部9…の螺旋の周回方向の側縁先端は、0.5ミリメートル乃至5ミリメートル、例えば厚さ1ミリメートル乃至2ミリメートルほどで板状に段差20となっている。そして、右螺旋羽部5…または/及び左螺旋羽部9…の周回先端と上記混合筒1内面とのなす部分は段差20があり、所定の角度をなして接している。
【0047】
これにより、混合された樹脂材料が、漏れなく右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…でこしとられて、漏れなく無駄なく撹拌・混合・混練・練成され、より完全かつ均一に撹拌・混合・混練・練成される。右螺旋羽部5…または/及び左螺旋羽部9…の螺旋の側縁先端の太さは、厚さ0.5ミリメートル乃至5ミリメートル、例えば1ミリメートル乃至2ミリメートルほどで板状に段差20となっているので、左螺旋羽部9…または/及び右螺旋羽部5…の先端の強度が向上する。
【0048】
上記各端部18、19は厚さがあり、右螺旋羽部5…、左螺旋羽部9…は螺旋状で、棒状部2の長手方向に対して斜めに傾いているので、この各端部18、19における段差20、20は一方が鋭角で尖っており他方が鈍角で尖っておらず、これら両段差20、20は上記混合筒1内面に接している。これにより、尖っている方の段差20で樹脂材料を円滑に無駄なく分流でき、尖っていない方の段差20が樹脂材料の流れに無駄なく支障とならない。
【0049】
右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の螺旋の側縁先端の太さは、混合筒1の内半径全体、つまり棒状部2の中心から右螺旋羽部5…または/及び左螺旋羽部9…の先端までの長さ、すなわち10ミリメートル乃至100ミリメートルの、1%乃至25%、例えば5%乃至15%となっている。
【0050】
右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の高さは、つまり右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の上記棒状部2の表面から上記混合筒1内面までの高さは、上記混合筒1の内半径全体、つまり棒状部2の中心から右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の先端までの長さの20%乃至100%、または40%乃至95%、若しくは60%乃至90%、例えば70%~80%ほどである。
【0051】
これにより、凹溝7…の容積も大きくなり、樹脂材料がよく撹拌・混合・混練・練成される。したがって、棒状部2を省略して、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の高さを上記100%に近づけて、樹脂材料を撹拌・混合・混練・練成する空間の容積を大きくすることが望ましい。
【0052】
しかし、ミキサー自体の強度が低下するので、撹拌・混合・混練・練成する材料の粘性(温度)にもよるが、ある程度の太さの棒状部2はあったほうがよい。棒状部2がないと、右螺旋羽部エリア4と左螺旋羽部エリア8とを直接取り付けることになる。
【0053】
凹溝7…の底は、棒状部2の表面に一致している。しかし、棒状部2の表面より高くてもよいし、低くてもよい。上記複数の右螺旋羽部エリア4と複数の左螺旋羽部エリア8との各間には、上述のように周回空隙エリア6が設けられ、この周回空隙エリア6は棒状部2の周回に沿って何も突設されていない。
【0054】
これにより、右螺旋羽部エリア4と左螺旋羽部エリア8とで螺旋方向が切り替わり、樹脂材料の流れる方向が切り替わるとき、何もない周回空隙エリア6で徐々に螺旋方向が切り替わり、急激に螺旋方向が切り替わらず、周回方向/螺旋方向が円滑に切り替わり、樹脂材料が均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0055】
右螺旋羽部エリア4…と左螺旋羽部エリア8…との間の周回空隙エリア6…に面する右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の各端部18、19の面は、棒状部2の周回方向に沿ってそろっている。したがって、右螺旋羽部5…の両端の端部18は尖っており、左螺旋羽部9…の両端の端部19も尖っている。
【0056】
これにより、螺旋の方向が切り換わる周回空隙エリア6では、右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…の尖った先端に当たる樹脂材料は、移動かつ送り込まれてきた樹脂材料が図3に示すように合流したり分流したりして、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0057】
上記周回空隙エリア6…の両側の右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の各端部18、19に凹凸がなく、周回空隙エリア6…は周回方向に沿って凹凸が無く・少なく、そろっている。これにより、周回空隙エリア6…内の樹脂材料が棒状部2の周回方向に移動・流れ易くなり、左右の螺旋方向の切り換えが円滑になり、樹脂材料が均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0058】
上記右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の螺旋の傾斜角度、つまり傾斜方向、言い換えると螺旋方向の上記棒状部2の長手方向に対する傾斜角は、80度乃至30度、例えば70度乃至50度である。これは、言い換えると上記螺旋方向の上記棒状部2の周回方向に対する傾斜角は、10度乃至60度、例えば20度乃至40度である。
【0059】
これにより、棒状部2の長手方向に沿った、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の長さと、上記棒状部2の周回方向に沿った、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の幅とはほぼ同じとなるか、または上記幅が上記長さより長くなる。むろん、上記幅が上記長さより短くてもほぼ同じでもよい。
【0060】
この右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の傾斜が、棒状部2の周回方向に近づくと、樹脂材料の撹拌・混合・混練・練成がより進められる。この右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の傾斜が、棒状部2の長手方向に近づくと、撹拌・混合・混練・練成する樹脂材料の送出しが速くなる。上記60度乃至45度であれば、前者となる。
【0061】
このようなミキサーを生産/製造するには、金属の丸棒を用意し、この丸棒の半径は上記混合筒1の内半径全体にほぼ等しく、このような丸棒を切削加工して、凹溝7…、右螺旋羽部5…左螺旋羽部9…、周回空隙エリア6…を加工して、左螺旋羽部エリア8…及び右螺旋羽部エリア4…を制作していくことになる。
【0062】
(3)樹脂材料(粘性材料)
本発明のミキサーは、樹脂成型品の生産装置/設備などの中に組み込まれ、押し出し機または射出機などのスクリューの混練機能を補完し、ミキシング機能を高める目的で使用される。樹脂成型品は小型・軽量であるが、中型・中重量、大型・重量でもよい。
【0063】
また、本ミキサーで撹拌・混合される樹脂材料は、色の異なる材料でもよく、混合した色の樹脂材料がつくられる。上記ミキサーには、押し出し機、射出機のほか、スタチックミキサー・静止型ミキサーなど何でも良いし、上記棒状部2はミキシングノズル、インジェクションノズルでもよい。
【0064】
撹拌・混合される樹脂材料には、プラスチック材のほか、着色剤、添加剤などがあり、樹脂製品に色を付けるための顔料であるマスターバッジ、カラーマスターバッジ、UVカット材、帯電防止材、石粉、溶加材、溶化材、相溶加材、相溶化材などがあり、これらが撹拌・混合される。樹脂材料・マスターバッジはペレット形態であるが、粉状でもよく、粒の形状は円柱状、角柱状、球状、楕円球状、立法体状、直方体状、多面体状などでもよく、ほぼ同大またはほぼ同重量であるが、大きさが異なるものまたは重量が異なるものが混在してもよい。
【0065】
このような着色樹脂製品の色は、単一色のほか、木目模様、大理石模様のように、複数色からなる模様もある。このような模様は、混合する各カラーマスターバッジ・樹脂材料の融点/溶融温度が異なっている。
【0066】
この樹脂材料・マスターバッジ一粒の重さは、0.001g乃至1g、0.005g乃至0.5g、0.01g乃至0.1gほどであるが、これ以外の重い重量でもよい。送り出し量/送り出しスピードは、1粒/10分乃至100粒/分、1粒/2分乃至50粒/分、1粒乃至25粒/分、2粒乃至10粒/分、2.5粒乃至7.5粒/分である。
【0067】
樹脂材料・マスターバッジは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネード、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニール、アクリル樹脂、ペット樹脂などの高分子樹脂・硬質樹脂・軟質樹脂でも熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂でもよいし、合成樹脂のほか天然樹脂でもよいし、これらを撹拌・混合するもの、これらの混合物を撹拌・混合するものでもよい。
【0068】
(4)他の実施の形態
本発明は、上記実施例に限定されず、種々変更可能である。例えば、右螺旋羽部5…または/及び左螺旋羽部9…の枚数は3枚ずつ以外に、1枚ずつ、2枚ずつ、4枚ずつ、5枚ずつ、…でもよい。この場合、各右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…は、同形同大で120度ずつ、90度ずつ、72度ずつ、51.42度ずつ、60度ずつ、45度ずつ、…、180度ずつ、360度ずつ、…の等角度かつ等間隔であるが、不等角度または不等間隔であってもよい。
【0069】
このような変更及び次述以降の変更は、右螺旋羽部5…と左螺旋羽部9のうち一方だけで変更されてもよく、右螺旋羽部5…と左螺旋羽部9とは対称でなくともよいし、同形同大でなくともよいし、螺旋の傾斜角度は任意であり、どのような傾斜角度でもよく、右螺旋羽部5…と左螺旋羽部9とでこの螺旋の傾斜角度は異なっていてもよいし同じでもよい。
【0070】
右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の枚数が増えると、混合できる材料の種類が増える。しかし、凹溝7…の空間量が減って、混合できる材料の量が減る。これを防ぐには、3種類の材料をミキサーで混合した材料を、さらにミキサーに通して別の2種類の材料を混合すればよい。このような多段の混合は、2段、3段、4段…とさらに増えていってもよい。
【0071】
それぞれの右螺旋羽部5…または/及び左螺旋羽部9…並びに凹溝7…は、形、大きさが異なったり、それぞれの角度が等角度、等間隔でなく、不均等角度、不均等間隔でもよく、それぞれが異なったりしていてもよいし、凹凸があってもよく、右螺旋羽部5…と左螺旋羽部9とで、対称ではなく、それぞれが非対称で異なったりしていてもよい。各周回空隙エリア6の幅、深さ、傾斜角度は、同一ではなく、それぞれが異なったりしていてもよい。
【0072】
上記粘性材料としては、上述の粒状の固形の樹脂材料であって加熱によって徐々に溶融する樹脂材料のほか、薬品、薬剤、食品、調味料、食材、印刷インキ、印刷材料、添加剤、着色剤、充填剤、発泡剤、ゲル状、ゾル状の材料でもよい。棒状部2は二軸式の二体並んだものでもよいし、一軸式の一体単独でもよいし、多軸式の三体以上並んだものでもよい。
【0073】
棒状部2の表面は凹凸がないが、凹凸があってもよいし、穴があってもよいし、網状でもよい。混合筒1及び棒状部2は円柱状または円筒状であるが、断面が楕円状、六角形、八角形、十角形等の多角形でもよい。棒状部2は円柱状であるが、両端で太さが異なっていて、若干テーパー状になっていてもよい。
【0074】
右螺旋羽部エリア4及び左螺旋羽部エリア8は一段ずつ交互に形成されていたが、二段ずつ、三段ずつ、四段ずつ、五段ずつ、…、左右同じ段数または異なる段数で配列されてもよい。右螺旋羽部エリア4及び左螺旋羽部エリア8は一段ずつ五列配列されていたが、一列、二列、三列、四列、六列、…、左右同じ列数または異なる列数で配列されてもよい。
【0075】
右螺旋羽部エリア4の数と左螺旋羽部エリア8の数は異なっていてもよいし、ミキサーに右螺旋羽部エリア4だけ設けられてもよいし、左螺旋羽部エリア8だけ設けられてもよい。このように、左右で対称ではなく、非対称で、偏りがあっても、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0076】
上記右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の断面形状はほぼ板状であったが、長方形状、台形状、三角形状、半円形、半楕円形、平行四辺形、半菱形、半多角形、半星形、半曲線形状、L字形、H字形、I字形、U字形、T字形、C字形、O字形、N字形、M字形、X字形、J字形、Y字形、E字形、F字形、S字形、V字形、角張った形状、角張った段差のある形状、丸みを帯びた段差のある形状、丸みを帯びた凹凸のある形状などでもよい。
【0077】
左螺旋羽部9…または左螺旋羽部9…の厚みはもっと太くて、右螺旋羽部5…どうしの間・どうしの隙間・溝の幅、左螺旋羽部9…どうしの間・どうしの隙間・溝の幅より太くでもよい。右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…の上面・外面は、円筒面に沿っていたが、混合筒1の内面に対して凹凸があってもよいし、混合筒1の内面も円筒面意匠沿っていたが凹凸があってもよい。
【0078】
上記右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の1つが、棒状部2の周回360度に対する占有角度は180度以外に、45度、60度、75度、80度、90度、135度、270度、360度、…などでもよい。右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の周回あたりの枚数は、3枚以外に、2枚、4枚、5枚、6枚、7枚、8枚、…などでもよい。右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…は、同形同大でなくてもよいし、互いに対称な形でなくてもよい。
【0079】
隣り合う同じ右螺旋羽部エリア4及び右螺旋羽部エリア4の右螺旋羽部5…は、同一の螺旋の線上にほぼ沿っていてもよいし、同一の螺旋の線上にほぼ沿っていなくてもよい。これにより、粘性材料の異なる分流・合流を実現できて、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0080】
右螺旋羽部5…の螺旋に沿った延長方向は、隣の左螺旋羽部エリア8の左螺旋羽部9…の先端に当たらなくてもよい。また、左螺旋羽部9…の螺旋に沿った延長方向は、隣の右螺旋羽部エリア4の右螺旋羽部5…の先端に当たらなくてもよい。これにより、流れて送り込まれてきた樹脂材料が異なる状態で分流しやすくなり、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。
【0081】
周回空隙エリア6において、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の端部18、19に凹凸があり、周回空隙エリア6は周回方向に沿って凹凸が多く、そろっていなくてもよい。右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の端部18…、19…は尖っていなくて丸みを帯びて滑らかでもよい。周回空隙エリア6は省略され、右螺旋羽部5…及び左螺旋羽部9…の端部18…、端部19…は、互いに接近して、これら周回空隙エリア6は無くてもよい。
【0082】
周回空隙エリア6の長手方向または周回方向は、上記棒状部2の周回方向または長手方向にずれていてもよく、一致していてもよいし、ずれは、18度、36度、54度、…など、何度でもよい。上記棒状部2は、混合筒1内を、右回転または左回転、若しくは右回転と左回転が交互に切り換えられてもよい。これでも、複数種類の樹脂材料が分流・合流されて、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。ここで、この混合筒1の上にはホッパーが設けられ、このホッパーから樹脂材料が混合筒1内に供給されてもよい。
【0083】
右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9の端部18…または端部19…外面と、混合筒1内面とは隙間が無いが、端部18…または端部19…の一部または全部に隙間があってもよい。この場合でも、複数種類の樹脂材料の分流・合流、均一かつ円滑な撹拌・混合・混練・練成が可能である。
【0084】
右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…は同形同大同数であったが、一部または全部のそれぞれが異なる形状、大きさ、長さ、厚さ、高さ、太さ、傾斜、カーブ、数、配置であってもよいし、右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9の表面には凹凸があってもよい。
【0085】
右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…の外先端は段差20が2つ設けられているが、3つ以上設けられてもよいし、合体して1つになって山状に尖っていてもよい。周回空隙エリア6は省略されて、右螺旋羽部エリア4…と左螺旋羽部エリア8…との間に隙間なく形成されてもよい。
【0086】
段差20は省略され、混合筒1内面から円滑にカーブして右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…に到達してもよい。一対の段差20、20の一方が鋭角で尖っており他方が鈍角で尖っていなかったが、両方とも同じ角度でもよく、両方とも90度でもよく、両方とも鋭角でもよく、両方とも鈍角でもよい。
【0087】
混合筒1の側面には穴、スリットがあいていてもよい。右螺旋羽部エリア4…及び左螺旋羽部エリア8…のうち、一方だけが省略され、右螺旋羽部エリア4…だけ、左螺旋羽部エリア8…だけが設けられてもよい。
【0088】
右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…の羽の厚さは、5ミリメートル以上でもよいし、0.5ミリメートル以下でもよい。棒状部2の中心から右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…の先端までの長さの、1%以下でもよいし、25%以上でもよい。
【0089】
上記ミキサー、混合筒1、棒状部2、突出部3、右螺旋羽部エリア4…、右螺旋羽部5…、周回空隙エリア6、凹溝7…、左螺旋羽部エリア8…、左螺旋羽部9…、端部18…、端部19…、段差20、送出し部26、貫通穴27、金型32、押し出し機33は、1つ、一層、一体、単数、単層でも複数、複数層でも3つ以上、三層以上でもよいし、単数でも複数でも3つ以上でもよいし、これらそれぞれの構成、動作、作用、工程または機能の一部または全体は省略されてもよいし、分割分離されてその数が増えても減ってもよいし、その形状は任意に変更可能であり、均等の他の物に置き換えられてもよいし、これらの2つまたは3つ以上が合体または一体化されて兼用されてもよいし、向きは図示のもののほか、90度、0度乃至180度、上下、左右、前後、表裏、手前、奥に傾斜/向きを変えて/反転されて使用されてもよく、それぞれの寸法の相対的大小は切り換えられてもよいし同じでもよく、一部または全部省略されてもよいし、形状は平坦、カーブしていてもよいし、凹凸があってもよいし、方形、長方形、正方形、三角形、円板、楕円板、多角形板、台形板、半楕円形、平行四辺形、菱形、多角形、三角形、台形、環形、半環形、星形、扇形、曲線形状、十字形、L字形、H字形、I字形、U字形、T字形、C字形、O字形、N字形、M字形、X字形、J字形、Y字形、E字形、F字形、S字形、V字形、曲面、角張った形状、直方体状、多面体状、円柱、楕円柱、角柱、半円柱、半楕円柱、半角柱、円錐台、角錐台、球、卵形、半球、半卵形、多面体、ひょうたん形、鋸歯状、その他の立体形状、これらの組み合わせ立体形状でもよく、角張った段差のある形状、丸みを帯びた段差のある形状、丸みを帯びた凹凸のある形状、これらの組み合わせ形状、段差状、網状、枠状、シート状、メッシュ状、ブラインド状、スリット状、多数の穴があいたもの、これらの中央等に穴があいたもの、これらの組み合わせ複合形などでもよいし、一部または全部省略されてもよいし、材質は金属製、木製、竹製、樹脂製、金属製、ガラス製、綿製、布製、糸製、繊維製、ゴム製、紙製、セラミック製、カーボン製、これらの合成物製/混合物製/多層積層物製でもよいし、透明でも、半透明でもよいし、それぞれの間の固定は溶接、ボルト及びナット、ねじ、面ファスナー、接着剤、接着テープ、フック及びホック、磁石などなんでもよい。
【0090】
(5)他の発明の効果
[1]筒の中に支持され、直線状かつ長尺状でほぼ円柱状の棒状部と、 この棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を右螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間に隙間がない複数の右螺旋羽部、 または、 上記棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を左螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間にほぼ隙間がない複数の左螺旋羽部と、 上記棒状部の周回に対する右螺旋羽部または左螺旋羽部の占有角度は、90度乃至360度であり、当該右螺旋羽部及び左螺旋羽部の上記棒状部表面から上記筒内面までの高さは上記筒の内半径全体の40%乃至95%であり、 上記複数の右螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている右螺旋羽部エリア、または、上記複数の左螺羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている左螺旋羽部エリアであって、これら右螺旋羽部エリアの間または左螺旋部エリアの間には、上記棒状部の周回にわたって形成された、何も突設されていない空隙エリアと、を備え、 上記筒の中に送り込まれてきた複数種類の粘性材料が混合されることを特徴とするミキサー。
【0091】
[2]筒の中に支持され、直線状かつ長尺状でほぼ円柱状の棒状部と、 この棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を右螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間に隙間がない複数の右螺旋羽部と、 上記棒状部の周面に突設され、当該棒状部の長手方向に対して螺旋状に伸びて、同棒状部の周面を左螺旋方向に沿っており、上記筒の内面と上面との間にほぼ隙間がない複数の左螺旋羽部と、 上記右螺旋羽部または左螺旋羽部は、ほぼ同形同大で互いにほぼ対称な形であり、上記棒状部の周回に対する右螺旋羽部及び左螺旋羽部の占有角度は、90度乃至360度であり、当該右螺旋羽部及び左螺旋羽部の上記棒状部表面から上記筒内面までの高さは上記筒の内半径全体の40%乃至95%であり、 上記複数の右螺旋羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている右螺旋羽部エリアと、上記複数の左螺羽部のみが、上記棒状部の周回に沿って突設されている左螺旋羽部エリアとであって、これら右螺旋羽部エリアの間または左螺旋部エリアの間には、上記棒状部の周回にわたって形成された、何も突設されていない空隙エリアと、を備え、 上記筒の中に送り込まれてきた複数種類の粘性材料が混合されることを特徴とするミキサー。
【0092】
[3]上記1つの右螺旋羽部エリアにおける右螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の右螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられ、 上記1つの左螺旋羽部エリアにおける左螺旋羽部の枚数は3枚以上であり、この3枚以上の左螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられていることを特徴とする請求項2記載のミキサー。 これにより、3種類以上の材料を同時に撹拌・混合・混練・練成できる。
【0093】
[4]上記空隙エリアを挟んで隣り合う、上記右螺旋羽部エリアの右螺旋羽部の各端部と、左螺旋羽部エリアの左螺旋羽部の各端部とは、上記棒状部に対して、互いに異なる角度の位置に設けられていることを特徴とする請求項3記載のミキサー。 これにより、材料がよく撹拌・混合・混練・練成される。
【0094】
[5]上記1つの右螺旋羽部エリアにおける右螺旋羽部の枚数は3枚であり、この3枚の右螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられ、 上記1つの左螺旋羽部エリアにおける左螺旋羽部の枚数は3枚であり、この3枚の左螺旋羽部は、同形及び同大で、互いに等角度で上記棒状部に設けられていることを特徴とする請求項4記載のミキサー。 これにより、3種類の材料を同時に撹拌・混合・混練・練成できる。
【0095】
[6]上記空隙エリアを挟んで隣り合う、上記右螺旋羽部エリアの右螺旋羽部の各端部と、左螺旋羽部エリアの左螺旋羽部の各端部とは、上記棒状部に対して、互いに中間となる角度の位置に設けられていることを特徴とする請求項5記載のミキサー。 これにより、材料がより均等にまたは均一に撹拌・混合・混練・練成される。
【0096】
[7]右螺旋羽部または左螺旋羽部の周回先端と上記筒内面とは所定の角度をなして接していて、この周回先端と上記内面となす部分には段差があることを特徴とする請求項6記載のミキサー。 これにより、混合された樹脂材料が、漏れなく無駄なく右螺旋羽部または左螺旋羽部でこしとられて、漏れなく無駄なく撹拌・混合・混練・練成され、より完全かつ均一に撹拌・混合・混練・練成される。
【0097】
[8]上記右螺旋羽部または上記左螺旋羽部の各端部における段差は一方が鋭角で尖っており他方が鈍角で尖っておらず、これら両段差は上記筒内面に接していることを特徴とする請求項7記載のミキサー。 これにより、尖っている方で樹脂材料を円滑に無駄なく分流でき、尖っていない方が樹脂材料の流れに無駄なく支障とならない。
【0098】
[9]右螺旋羽部または左螺旋羽部の螺旋の傾斜角度は、上記棒状部の長手方向に対して80度乃至30度であることを特徴とする請求項8記載のミキサー。 右螺旋羽部及び左螺旋羽部の傾斜が、棒状部の長手方向に近づくと、撹拌・混合する樹脂材料の送出しが速くなり、右螺旋羽部及び左螺旋羽部の傾斜が、棒状部の周回方向に近づくと、樹脂材料の撹拌・混合がより進められるが、上記によって、粘性材料の送出しと、粘性材料の撹拌・混合とのバランスをとることができる。
【0099】
[10]右螺旋羽部または左螺旋羽部の羽の厚さは、0.5乃至5ミリメートルであり、 棒状部の中心から右螺旋羽部または左螺旋羽部の先端までの長さの、1%乃至25%であることを特徴とする請求項9記載のミキサー。 これにより、材質にもよるが右螺旋羽部または左螺旋羽部の強度が向上する。
【0100】
[11]上記複数の右螺旋羽部の間の凹溝または上記複数の左螺旋羽部の間の凹溝の底は、上記棒状部の表面に一致していることを特徴とする請求項10記載のミキサー。 これにより、材料がより円滑に撹拌・混合・混練・練成される。上記凹溝の底が上記棒状部の表面より高ければ、ミキサーの強度は上がるが、混合できる材料の量は減り、上記凹溝の底が上記棒状部の表面より低ければ、ミキサーの強度は下がるが、混合できる材料の量は増える。上記凹溝の底が上記棒状部の表面に一致していれば、両者のバランスを取った混合ができる。
【0101】
[12]上記右螺旋羽部エリアの数と左螺旋羽部エリアの数は同じであることを特徴とする請求項11記載のミキサー。 これにより左右にバランスの取れた螺旋状の撹拌・混合・混練・練成ができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
複数種類の粘性材料を均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成する。粘性材料を右螺旋・左螺旋の羽部5、凹溝7に沿って分流・合流して均一に混合・練成する。棒状部2表面の右螺旋羽部エリア4には3枚の右螺旋羽部5…が突設され、螺旋の逆向きの左螺旋羽部エリア8には3枚の左螺旋羽部9…が突設され、これら右螺旋羽部エリア4と左螺旋羽部エリア8とが交互に5つずつ棒状部2の長手方向に沿って形成される。
【0103】
これにより、押し出されてきた粘性材料が右旋回及び左旋回で分流・合流されて、均一かつ円滑に撹拌・混合・混練・練成される。右螺旋羽部エリア4と左螺旋羽部エリア8との間には、何も形成されていない周回空隙エリア6が形成され、移動かつ送り込まれてきた粘性材料が円滑に合流したり分流したりして、より確実かつ均一に撹拌・混合・混練・練成される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】ミキサーを示す。
図2】棒状部2、右螺旋羽部エリア4…、左螺旋羽部エリア8…及び周回空隙エリア6…全体を示す。
図3】右螺旋羽部5…、左螺旋羽部9…及び周回空隙エリア6…などを示す。
図4】右螺旋羽部5…または左螺旋羽部9…の断面を示す。
【符号の説明】
【0105】
1…混合筒 2…棒状部
4…右螺旋羽部エリア 5…右螺旋羽部
6…周回空隙エリア(右螺旋羽部エリア4と左螺旋羽部エリア8との間)
7…凹溝 8…左螺旋羽部エリア 9…左螺旋羽部
18…端部(右螺旋羽部5…)
19…端部(左螺旋羽部9…)
20…段差 26…送出し部(供給路)
27…貫通穴(供給路) 32…金型
33…押し出し機
図1
図2
図3
図4