(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20220630BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20220630BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20220630BHJP
H01M 10/0583 20100101ALN20220630BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20220630BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20220630BHJP
H01M 4/13 20100101ALN20220630BHJP
H01M 6/10 20060101ALN20220630BHJP
H01M 6/12 20060101ALN20220630BHJP
H01G 11/00 20130101ALN20220630BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/02 Z
H01M50/534
H01M10/0583
H01M10/0585
H01M10/052
H01M4/13
H01M6/10 Z
H01M6/12 Z
H01G11/00
(21)【出願番号】P 2018017138
(22)【出願日】2018-02-02
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】森 澄男
(72)【発明者】
【氏名】増田 真規
(72)【発明者】
【氏名】尾木 謙太
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-068278(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141279(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/031642(WO,A1)
【文献】特開2013-161631(JP,A)
【文献】特開2016-167416(JP,A)
【文献】特開2009-140775(JP,A)
【文献】特開2017-098137(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第2016-0001048(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/058-10/0585
H01M 4/02-4/04
H01M 4/13-4/62
H01M 6/10-6/16
H01G 9/048
H01G 11/00-11/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電極、及び、該第一の電極の両側に積層されると共に該第一の電極と極性の異なる第二の電極、を有する電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容するケースと、を備え、
前記第二の電極の積層方向
であるX軸方向と直交する
Y軸方向における幅は、前記第一の電極の前記
Y軸方向における幅よりも広く、
前記ケースは、前記X軸方向及び前記Y軸方向のそれぞれと直交する方向であるZ軸方向における一方側に閉塞部が位置するとともに、前記Z軸方向における他方側に開口が位置するケース本体を備え、
前記
Z軸方向における前記第二の電極の一方の端部である第一端部と、前記第一の電極において前記第一端部と重なる第一部位と、の前記
Y軸方向における一方側の端縁間の距離である第一距離は、前記
Z軸方向における前記第二の電極の他方の端部である第二端部と、前記第一の電極において前記第二端部と重なる第二部位と、の前記
Y軸方向における一方側の端縁間の距離である第二距離よりも大き
く、
前記第一の電極の前記Z軸方向における一方側の端縁は、前記Y軸方向において延びる直線状であり、前記第一の電極の前記Z軸方向における少なくとも一方側の端部において、前記Y軸方向における一方側の端縁は、前記Z軸方向における一方側で、前記Z軸方向における他方側よりも、前記Y軸方向において内側に位置するように、前記Z軸方向における一方側の端縁と交差して延びる直線状である、蓄電素子。
【請求項2】
第一の電極、及び、該第一の電極の両側に積層されると共に該第一の電極と極性の異なる第二の電極、を有する電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容するケースと、を備え、
前記第二の電極の積層方向であるX軸方向と直交するY軸方向における幅は、前記第一の電極の前記Y軸方向における幅よりも広く、
前記第一の電極は、前記X軸方向及び前記Y軸方向のそれぞれと直交する方向であるZ軸方向における一方側に位置し且つ金属箔及び該金属箔の両面を覆う活物質層で構成された第一本体と、該第一本体の前記Z軸方向における他方側の端縁から前記Z軸方向における他方側に延び且つ金属箔で構成された第一タブと、を有し、
前記第二の電極は、前記Z軸方向における一方側に位置し且つ金属箔及び該金属箔の両面を覆う活物質層で構成された第二本体と、該第二本体の前記Z軸方向における他方側の端縁から前記Z軸方向における他方側に延び且つ金属箔で構成された第二タブと、を有し、
前記Z軸方向における前記第二本体の一方の端部である第一端部と、前記第一本体において前記第一端部と重なる第一部位と、の前記Y軸方向における一方側の端縁間の距離である第一距離は、前記Z軸方向における前記第二本体の他方の端部である第二端部と、前記第一本体において前記第二端部と重なる第二部位と、の前記Y軸方向における一方側の端縁間の距離である第二距離よりも大きく、
前記第一本体の前記Z軸方向における一方側の端縁は、前記Y軸方向において延びる直線状であり、前記第一本体の前記Z軸方向における少なくとも一方側の端部において、前記Y軸方向における一方側の端縁は、前記Z軸方向における一方側で、前記Z軸方向における他方側よりも、前記Y軸方向において内側に位置するように、前記Z軸方向における一方側の端縁と交差して延びる直線状である、蓄電素子。
【請求項3】
前記第二の電極は、前記
Y軸方向に延びる一対の延在部と、該一対の延在部の前記
Y軸方向における一方側の端縁同士を接続する接続部とを含む折り返し部を有し、
前記第一の電極は、前記折り返し部の内側に配置されている、請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記第二本体は、前記Y軸方向に延びる一対の延在部と、該一対の延在部の前記Y軸方向における一方側の端縁同士を接続する接続部とを含む折り返し部を有し、
前記第一本体は、前記折り返し部の内側に配置されている、請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項5】
第一の電極、及び、該第一の電極の両側に積層されると共に該第一の電極と極性の異なる第二の電極、を有する電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容するケースと、を備え、
前記第二の電極の積層方向であるX軸方向と直交するY軸方向における幅は、前記第一の電極の前記Y軸方向における幅よりも広く、
前記X軸方向及び前記Y軸方向のそれぞれと直交する方向であるZ軸方向における前記第二の電極の一方の端部である第一端部と、前記第一の電極において前記第一端部と重なる第一部位と、の前記Y軸方向における一方側の端縁間の距離である第一距離は、前記Z軸方向のそれぞれと直交する方向における前記第二の電極の他方の端部である第二端部と、前記第一の電極において前記第二端部と重なる第二部位と、の前記Y軸方向における一方側の端縁間の距離である第二距離よりも大きく、
前記第二の電極は、前記Y軸方向に延びる一対の延在部と、該一対の延在部の前記Y軸方向における一方側の端縁同士を接続する接続部とを含む折り返し部を有し、
前記第一の電極は、前記折り返し部の内側に配置されている、蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極を有する電極体を備えた蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、
図14に示すような、正極シート121と負極シート122とをセパレータ125を介して複数枚積層した電極組立体102を、電解液と共にケース103に収容した二次電池101が知られている(特許文献1参照)。二次電池101は、リチウムイオン二次電池である。
【0003】
この二次電池101では、正極シート121は、矩形状の正極金属箔と、正極金属箔の両面に設けられた正極活物質層とで構成されている。負極シート122は、矩形状の負極金属箔と、負極金属箔の両面に設けられた負極活物質層とで構成されている。セパレータ125は、正極シート121を収容している。また、セパレータ125は、電気伝導に係るイオン(リチウムイオン)が透過可能な多孔質膜で形成されている。ケース103は、四角箱状の容器と、容器の開口を塞ぐ蓋とで構成されている。
【0004】
ところで、前記二次電池101では、電極組立体102により多くの電解液を保持することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本実施形態は、第一の電極及び第二の電極を有する電極体を電解液と共にケースに収容した蓄電素子であって、第二の電極間により多くの電解液を保持できる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の蓄電素子は、
第一の電極、及び、該第一の電極の両側に積層されると共に該第一の電極と極性の異なる第二の電極、を有する電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容するケースと、を備え、
前記第二の電極の前記積層方向と直交する幅方向における幅は、前記第一の電極の前記幅方向における幅よりも広く、
前記積層方向及び前記幅方向のそれぞれと直交する方向における前記第二の電極の一方の端部である第一端部と、前記第一の電極において前記第一端部と重なる第一部位と、の前記幅方向における一方側の端縁間の距離である第一距離は、前記積層方向及び前記幅方向のそれぞれと直交する方向における前記第二の電極の他方の端部である第二端部と、前記第一の電極において前記第二端部と重なる第二部位と、の前記幅方向における一方側の端縁間の距離である第二距離よりも大きい。
【0008】
かかる構成によれば、第二の電極の第一端部の間において第一の電極が存在しない領域が、第二の電極の第二端部の間において第一の電極が存在しない領域よりも広いため、例えば、第一端部が第二端部よりも下方に位置するようにケース又は蓄電素子が配置されると、第二の電極の間において第一の電極が存在しない領域は下方(ケースの底部側)で広くなるため、第二の電極間により多くの電解液を保持できる。
【0009】
前記蓄電素子では、
前記第二の電極は、前記幅方向に延びる一対の延在部と、該一対の延在部の前記幅方向における一方側の端縁同士を接続する接続部とを含む折り返し部を有し、
前記第一の電極は、前記折り返し部の内側に配置されていてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、電解液が侵入しにくい接続部の内側における第一端部間で、第二の電極間において第一の電極が存在しない領域が広くなるため、接続部を含む折り返し部を有する蓄電素子であっても、折り返し部の内側(接続部の内側)における電解液の保持量を確保できる。
【発明の効果】
【0011】
本実施形態の蓄電素子によれば、第一の電極及び第二の電極を有する電極体を電解液と共にケースに収容した蓄電素子であって、第二の電極間により多くの電解液を保持できる蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る蓄電素子の分解図である。
【
図4】
図4は、電極体の構成を説明するための断面模式図である。
【
図5】
図5は、電極体の構成を説明するための斜視図である。
【
図6】
図6は、負極の構成を説明するための図である。
【
図7】
図7は、つづら折り状態の第一部材の構成を説明するための斜視図である。
【
図8】
図8は、第一部材の折り返し部を説明するための斜視図である。
【
図9】
図9は、折り返し部を説明するための断面模式図である。
【
図10】
図10は、電極体を説明するための断面模式図である。
【
図12】
図12は、他実施形態に係る電極体を説明するための断面模式図である。
【
図13】
図13は、前記蓄電素子を備えた蓄電装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、
図1~
図11を参照しつつ説明する。蓄電素子には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0014】
本実施形態の蓄電素子は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子と組み合わされて蓄電装置に用いられる。前記蓄電装置では、該蓄電装置に用いられる蓄電素子が電気エネルギーを供給する。
【0015】
蓄電素子は、
図1~
図5に示すように、第一の電極21、及び、第一の電極21の両側に積層されると共に第一の電極21と極性が異なる第二の電極22を有する電極体2と、電解液と、電極体2及び電解液を収容するケース3とを備える。本実施形態の蓄電素子1は、少なくとも一部が外部に露出した状態でケース3に取り付けられる外部端子4と、電極体2と外部端子4とを接続する集電体5と、電極体2とケース3との間に配置される絶縁部材6等も備える。また、本実施形態の電極体2は、第一の電極21と第二の電極22との間に配置されるセパレータ25も有する。
【0016】
本実施形態の電極体2では、第一の電極21は正極であり、第二の電極22は負極である。また、本実施形態の電極体2では、正極21は枚葉状(短冊状)である。さらに、本実施形態の電極体2では、負極22及びセパレータ25は、それぞれ長尺状の部材であり、互いに重ねられた状態で折り返された折り返し部23を有する。以下、負極22とセパレータ25とをまとめて第一部材20と称する。尚、各図においては、構造を示すために、電極体2を構成する電極等の厚さを誇張して表す等、電極体2の構成を模式的に表している。
【0017】
本実施形態の第一部材20は、
図7及び
図8に示すように、一対の延在部233と、延在部233の延びる方向における一方側の端縁同士を接続する接続部234とを含む折り返し部23を有する。本実施形態の折り返し部23では、延在部233は略平坦な平坦部であり、接続部234は湾曲したターン部である。具体的に、第一部材20は、複数の折り返し部23を有するつづら折り状態(蛇腹状)に折り畳まれている。換言すると、第一部材20は、ターン部234を反対に向けた状態で隣り合う折り返し部23同士がその一部を共通させた状態で連続するつづら折り状態である。尚、折り返し部23の内側には、正極21が配置されている。これにより、負極22におけるX軸方向において隣り合う部位(負極22の延在部233を構成する部位)に正極21が挟まれる。
【0018】
本実施形態の第一部材20では、複数の折り返し部23が、一対の平坦部233の延びる方向を揃えた状態で、一対の平坦部233が並ぶ方向に並んで設けられる。具体的に、一対の平坦部233は、
図7に示すように、谷折り面231及び山折り面232(即ち、谷折り面231と反対側の面)をそれぞれ有し且つ谷折り面231同士を対向させている。また、一つの折り返し部(第一折り返し部)23Aに着目したときに、第一折り返し部23Aと、その隣(
図7における後ろ側)の折り返し部(第二折り返し部)23Bとでは、第一折り返し部23Aのターン部234Aと、第二折り返し部23Bのターン部234Bとの間の平坦部233A、233Bを共通させている。これにより、第一折り返し部23Aと第二折り返し部23Bとは、平坦部233が延びる方向における反対側に配置されている。
【0019】
以下では、延在部233が並ぶ方向(負極22と正極21とが積層される方向)を直交座標系におけるX軸方向(積層方向)とし、延在部233が延びる方向(
図7における左右方向)を直交座標系におけるY軸方向(幅方向)とし、ターン部234のターン軸Sの延びる方向(
図7における上下方向)を直交座標系のZ軸方向(積層方向及び幅方向のそれぞれと直交する方向)とする。
【0020】
本実施形態の第一部材20では、帯状の第一部材20が長尺方向において所定間隔で交互に折り返されることによって、平坦部233とターン部234とが交互に形成されている。具体的に、長尺な負極22及び長尺なセパレータ25が、互いに重ねられた状態で、山折りと谷折りとが交互に繰り返されることによって、つづら折り状態となる。これにより、第一部材20は、複数の平坦部233と複数のターン部234とを有し、複数の平坦部233のそれぞれは、平行若しくは略平行に並び、複数のターン部234のそれぞれは、隣り合う平坦部233の前記長尺方向の一端側の端部同士と他端側の端部同士とを交互に接続している。
【0021】
複数の平坦部233のそれぞれは、矩形状の平坦部本体2331と、平坦部本体2331の矩形状の輪郭を構成する一辺から突出する(本実施形態の例では、Z軸方向の端縁からZ軸方向に延びる)平坦部タブ2332と、を有する(
図7及び
図8参照)。
【0022】
本実施形態の平坦部233は、折り返し部23における正極21と接触している部位である。平坦部233の平坦部本体2331は、Y軸方向に長い矩形状である。また、平坦部本体2331は、負極22及びセパレータ25で構成される。尚、平坦部本体2331では、負極22は、セパレータ25よりもY-Z面(Y軸とZ軸とを含む平面)方向において小さい。平坦部タブ2332は、Z軸方向に長い矩形状である。また、平坦部タブ2332は、負極22のみで構成される。
【0023】
つづら折り状態の第一部材20において、各平坦部233の平坦部タブ2332は、X軸方向から見て重なっている。本実施形態の第一部材20では、各平坦部タブ2332は、平坦部本体2331のZ軸方向の他方(
図5における上側)の端縁におけるY軸方向の一方(
図5における右側)の端部からZ軸方向に延びている。この複数の平坦部本体2331のそれぞれから延びている平坦部タブ2332は、束ねられ、集電体5を介して外部端子4と接続されている(
図3参照)。本実施形態の平坦部タブ2332の束は、集電体5に溶接されている。
【0024】
複数のターン部234のそれぞれは、つづら折り状態の第一部材20において、Z軸方向に延びるターン軸S(
図8参照)周りで帯状の第一部材20が旋回(方向転換)している部位である。換言すると、複数のターン部234のそれぞれは、湾曲している部位である。本実施形態のターン部234は、第一部材20の湾曲の開始位置Bより外側の部位である(
図9参照)。尚、本実施形態の一対の平坦部233は、折り返し部23のうちターン部234を除く部位、換言すると、第一部材20の湾曲の開始位置Bより内側の部位である。本実施形態の第一部材20では、各ターン部234は、負極22及びセパレータ25で構成される。尚、各ターン部234においても、負極22は、セパレータ25よりもY-Z面(Y軸とZ軸とを含む平面)方向において小さい。
【0025】
負極22は、
図4及び
図6に示すように、金属箔221と、金属箔221の両面のそれぞれに重ねられる負極活物質層222と、を有する。即ち、負極22は、一つの金属箔221と一対の負極活物質層222とを有する。本実施形態の金属箔221は、例えば、銅箔である。
【0026】
負極活物質層222は、負極活物質と、バインダーと、を有する。
【0027】
負極活物質は、例えば、グラファイト、難黒鉛化炭素、及び易黒鉛化炭素などの炭素材、又は、ケイ素(Si)及び錫(Sn)などのリチウムイオンと合金化反応を生じる材料である。本実施形態の負極活物質は、グラファイトである。
【0028】
負極活物質層222に用いられるバインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダーは、ポリフッ化ビニリデンである。
【0029】
負極活物質層222は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の負極活物質層222は、導電助剤を有していない。
【0030】
本実施形態の負極22は、
図6に示す長手方向に所定間隔で交互に設定された山折り線22Aの位置と谷折り線22Bの位置とで山折りと谷折りとが交互に繰り返されることによって、つづら折り状態となる。また、本実施形態の負極22は、長尺状の負極本体223と、負極本体223の一方(
図6における上側)の端縁から延びる負極タブ224とを有する。負極本体223では、金属箔221の両面が負極活物質層222に覆われている。負極タブ224では、金属箔221が露出している。即ち、負極タブ224は、負極活物質層222を有していない。
【0031】
さらに、本実施形態のつづら折り状態の負極22では、負極本体223は、Y軸方向に長い矩形状をしている(
図8参照)。また、負極本体223のそれぞれから延びている負極タブ224のZ軸方向における他方側の部分が、上述した平坦部タブ2332である。具体的に、負極タブ224のうちセパレータ25が重ねられていない部分(セパレータ25から突出した部分)が、平坦部タブ2332である。
【0032】
本実施形態のセパレータ25は、負極22の一方の面に重ねられる長尺状の第一セパレータ25Aと、負極22の他方の面(一方の面と反対側の面)に重ねられる長尺状の第二セパレータ25Bとを有する(
図9参照)。本実施形態のセパレータ25では、第一セパレータ25A及び第二セパレータ25Bは、それぞれ、別体として形成されている。
【0033】
第一セパレータ25Aは、帯状であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリアミドなどの多孔質膜によって構成される。本実施形態の第一セパレータ25Aは、SiO2粒子、Al2O3粒子、ベーマイト(アルミナ水和物)等の無機粒子を含んだ無機層を、多孔質膜によって形成された基材の上に設けることで形成されている。本実施形態の第一セパレータ25Aの基材は、例えば、ポリエチレンによって形成される。尚、本実施形態のセパレータ25では、第一セパレータ25Aの構成(形状や材料等)と、第二セパレータ25Bの構成とは同じである。
【0034】
第一セパレータ25Aは、第一折り返し部23Aにおいて、負極22の外側を覆った状態で、折り返されている。また、第一セパレータ25Aは、第二折り返し部23Bにおいて、負極22の内側を覆った状態で、折り返されている。これにより、第一セパレータ25Aは、負極22に沿った状態で、つづら折り状態に折り畳まれている。
【0035】
第二セパレータ25Bは、第一折り返し部23Aにおいて、負極22の内側を覆った状態で、折り返されている。また、第二セパレータ25Bは、第二折り返し部23Bにおいて、負極22の外側を覆った状態で、折り返されている。これにより、第二セパレータ25Bは、第一セパレータ25Aと同様に、負極22に沿った状態で、つづら折り状態に折り畳まれている。
【0036】
以上の構成により、第一セパレータ25Aや第二セパレータ25Bは、正極21と負極22との間に配置される。これにより、電極体2において、正極21と負極22とが互いに絶縁される。尚、第一セパレータ25A及び第二セパレータ25Bは、いずれも、各折り返し部23に連続して配置されている。
【0037】
また、第一セパレータ25A及び第二セパレータ25Bは、いずれも、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、第一セパレータ25Aや第二セパレータ25Bを挟んで対向する正極21と負極22との間を、リチウムイオンが移動可能となる。
【0038】
正極21は、
図4に示すように、金属箔211と、金属箔211の両面のそれぞれに重ねられる正極活物質層212と、を有する。即ち、正極21は、一つの金属箔211と一対の正極活物質層212とを有する。本実施形態の金属箔211は、例えば、アルミニウム箔である。この正極21は、つづら折り状態の第一部材20において、X軸方向に隣り合う平坦部233間のそれぞれに配置されている。このため、本実施形態の電極体2は、複数の正極21を有している。
【0039】
正極活物質層212は、正極活物質と、バインダーと、を有する。
【0040】
本実施形態の正極活物質は、例えば、リチウム金属酸化物である。具体的に、正極活物質は、例えば、LiaMebOc(Meは、1又は2以上の遷移金属を表す)によって表される複合酸化物(LiaCoyO2、LiaNixO2、LiaMnzO4、LiaNixCoyMnzO2等)、LiaMeb(XOc)d(Meは、1又は2以上の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)によって表されるポリアニオン化合物(LiaFebPO4、LiaMnbPO4、LiaMnbSiO4、LiaCobPO4F等)である。本実施形態の正極活物質は、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2である。
【0041】
正極活物質層212に用いられるバインダーは、負極活物質層222に用いられたバインダーと同様のものである。本実施形態のバインダーは、ポリフッ化ビニリデンである。
【0042】
正極活物質層212は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の正極活物質層212は、導電助剤としてアセチレンブラックを有する。
【0043】
具体的に、複数の正極21のそれぞれは、
図11に示すように、矩形状からZ軸方向における一方側に位置する二つの隅部を切り取った形状(六角形状)の正極本体213と、正極本体213の六角形状の輪郭を構成する一辺から突出する(本実施形態の例では、Z軸方向の他方側の端縁からZ軸方向に延びる)正極タブ214と、を有する。本実施形態の正極本体213では、金属箔211の両面が正極活物質層212に覆われている。尚、正極タブ214では、金属箔211が露出している。即ち、正極タブ214は、正極活物質層212を有しない。また、正極21のZ軸方向の一方側における端縁21Aは、例えば、Y軸方向に延びる直線状である。
【0044】
正極本体213における正極活物質層212は、X軸方向に対向する(詳しくは、セパレータ25を介して対向する)負極本体223の平坦部233を構成する部位の負極活物質層222よりY-Z面方向において小さい。即ち、正極本体213の正極活物質層212は、全域において負極本体223の平坦部233を構成する部位の負極活物質層222と対向し、負極本体223の平坦部233を構成する部位の負極活物質層222は、周縁部を除いた領域において正極本体213の正極活物質層212と対向する。
【0045】
電極体2において、各正極21の正極タブ214は、X軸方向から見て重なっている。本実施形態の正極21では、各正極タブ214は、正極本体213のZ軸方向の一方(
図5における上側)の端縁におけるY軸方向の一方(平坦部本体2331に対する平坦部タブ2332の位置とは反対側:
図5における左側)の端部からZ軸方向に延びている。この複数の正極本体213のそれぞれから延びている正極タブ214は、束ねられ、集電体5を介して外部端子4と接続されている。本実施形態の正極タブ214の束は、平坦部タブ2332の束(負極タブ224の束)と同様に、集電体5に溶接されている(
図3参照)。
【0046】
正極21のY軸方向における幅W2(正極21のY軸方向における幅のうち最大の幅W2)は、
図10に示すように、負極22のY軸方向における幅W1よりも狭い。換言すると、負極22のY軸方向における幅W1は、正極21のY軸方向における幅W2よりも広い。
【0047】
負極22のY軸方向における幅W1は、例えば、負極22の平坦部233を構成する部位のY軸方向における一方側(
図10における右側)の端縁225と負極22の平坦部233を構成する部位のY軸方向における他方側(
図10における左側)の端縁226との距離である。尚、負極22のY軸方向における幅W1は、Z軸方向におけるいずれの位置においても一定である。
【0048】
正極21のY軸方向における幅W2は、例えば、正極21のY軸方向における一方側の端縁215と、正極21のY軸方向における他方側の端縁216との距離である。また、正極21のY軸方向における幅は、Z軸方向における位置により異なる。正極21のY軸方向における一方側の端縁215は、例えば、Z軸方向における一方側(ケース3における閉塞部311側(
図2にも示す):
図10における下側)で、Z軸方向における他方側よりも、Y軸方向において内側に位置している。本実施形態の電極体2では、正極21のY軸方向における他方側の端縁216も、Z軸方向における他方側よりも、Z軸方向における一方側で内側に位置している。
【0049】
以上により、正極21の正極本体213は、矩形状からZ軸方向における一方側に位置する二つの隅部を切り取った形状(六角形状)をしている。正極21のY軸方向における一方側の端縁215は、Z軸方向における他端側から途中の位置までZ軸方向に沿って延びると共に、Z軸方向におけるこの途中の位置から一端側でターン部234から離れるようにZ軸方向に対して傾斜している。また、正極21のY軸方向における他方側の端縁216は、Z軸方向における他端側から途中の位置までZ軸方向に沿って延びると共に、Z軸方向におけるこの途中の位置から一端側でターン部234に近づくようにZ軸方向に対して傾斜している。
【0050】
負極22のZ軸方向における一方側に位置する第一端部220Aと、正極21において第一端部220Aと重なる第一部位210Aと、のY軸方向における一方側の端縁225A及び端縁215A間の第一距離L1は、負極22のZ軸方向における他方側に位置する第二端部220Bと、正極21において第二端部220Bと重なる第二部位210Bと、のY軸方向における一方側の端縁225B及び端縁215B間の第二距離L2よりも大きい。換言すると、負極22の第一端部220AのY軸方向における一方側の端縁225Aと、正極21の第一端部220Aと重なる第一部位210AのY軸方向における一方側の端縁215Aとの第一距離L1は、負極22の第二端部220BのY軸方向における一方側の端縁225Bと、正極21の第二端部220Bと重なる第二部位210BのY軸方向における一方側の端縁215Bとの第二距離L2よりも大きい。
【0051】
また、本実施形態の電極体2では、負極22のある部位と、正極21においてこの部位と重なる部位と、のY軸方向における一方側の端縁215及び225の間の距離は、負極22の第一端部220Aを除く領域では一定であり、負極22の第一端部220AではZ軸方向の一方側ほど広がっている。さらに、正極21における負極22の第一端部220Aと重なる第一部位210Aにおいて、Y軸方向における一方側の端縁215が、Z軸方向の一方側に位置するほど、Y軸方向における内側に連続的に後退している。
【0052】
尚、第一部位210AのY軸方向における一方側の端縁215Aは、例えば、正極21のY軸方向における一方側の端縁215における第一部位210Aに対応する部分のうちY軸方向において最も内側に位置する部位である。第二部位210BのY軸方向における一方側の端縁215Bは、例えば、正極21のY軸方向における一方側の端縁215における第二部位210Bに対応する部分のうちY軸方向において最も外側に位置する部位である。
【0053】
本実施形態の電極体2では、負極22の第一端部220AのY軸方向における他方側の端縁226Aと、正極21の第一部位210AのY軸方向における他方側の端縁216Aとの距離L3は、負極22の第二端部220BのY軸方向における他方側の端縁226Bと、正極21の第二部位210BのY軸方向における他方側の端縁216Bとの距離L4よりも大きい。具体的に、負極22のある部位と、正極21において負極22のこの部位と重なる部位と、のY軸方向における他方側の端縁216及び226の距離は、負極22の第一端部220Aを除く領域では一定であり、負極22の第一端部220Aを除く領域ではZ軸方向の一方側ほど狭くなっている。
【0054】
図1~
図3に戻り、ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。このケース3では、ケース本体31と蓋板32とによって内部空間が画定される。ケース3は、この内部空間に、電極体2と共に電解液を収容する。このため、ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。本実施形態のケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。
【0055】
ケース本体31は、板状の閉塞部311と、閉塞部311の周縁に接続される筒状の胴部(周壁)312と、を備える。
【0056】
閉塞部311は、ケース本体31が開口を上に向けた姿勢で配置されたときにケース本体31の下端(底)に位置する(即ち、前記開口が上を向いたときのケース本体31の底壁部となる)部位である。本実施形態の閉塞部311は、矩形状である。
【0057】
胴部312は、角筒形状、より詳しくは、偏平な角筒形状を有する。胴部312は、閉塞部311の周縁における長辺から延びる一対の長壁部313と、閉塞部311の周縁における短辺から延びる一対の短壁部314とを有する。短壁部314が一対の長壁部313の対応(詳しくは、X軸方向に対向)する端部同士をそれぞれ接続することによって、角筒状の胴部312が形成される。
【0058】
以上のように、ケース本体31は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。このケース本体31には、負極22の各平坦部233が長壁部313と平行(略平行)となる(即ち、各ターン部234が短壁部314と対向する)ように、電極体2が収容される(
図2参照)。
【0059】
蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ部材である。この蓋板32の輪郭形状は、ケース本体31の開口周縁部310(
図2参照)に対応した形状である。即ち、蓋板32は、X軸方向に長い矩形状の板材である。
【0060】
外部端子4は、他の蓄電素子の外部端子又は外部機器等と電気的に接続される部位である。このため、外部端子4は、導電性を有する部材によって形成される。また、外部端子4は、溶接性の高い金属材料によって形成される。例えば、正極の外部端子4は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成され、負極の外部端子4は、銅又は銅合金等の銅系金属材料によって形成される。本実施形態の外部端子4は、少なくとも一部がケース3の外部に露出した状態で蓋板32に取り付けられる。
【0061】
絶縁部材6は、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。具体的に、絶縁部材6は、所定の形状に裁断された絶縁性を有するシート状の部材を折り曲げることによって蓋板32側が開口した袋状に形成されている(
図2参照)。本実施形態の絶縁部材6は、ケース本体31に沿った形の袋状である。この袋状の絶縁部材6には、折り返し部23の延在部233及び正極21が絶縁部材6における長壁部313と対応する部位(X軸方向に対向する壁状の部位)と略平行となり、各ターン部234が絶縁部材6における短壁部314と対応する部位(Y軸方向に対向する壁状の部位)と対向するように、電極体2が収容される。
【0062】
以上の蓄電素子1によれば、負極22の第一端部220Aの間(X軸方向に隣り合う負極22の第一端部220Aの間)において正極21が存在しない領域が、負極22の第二端部220Bの間(X軸方向に隣り合う負極22の第二端部220Bの間)において正極21が存在しない領域よりも広い。従って、例えば、第一端部220Aが第二端部220Bよりも下側に位置するようにケース3又は蓄電素子1を配置すると、ケース3の閉塞部311側で負極22の間において正極21が存在しない領域が広くなるため、負極22間により多くの電解液を保持できる。
【0063】
また、この構成では、第一距離L1を、負極22のZ軸方向における一方側(閉塞部311側)に位置する第一端部220Aと、正極21の第一端部220Aと重なる第一部位210Aと、のY軸方向における一方側の端縁225A及び端縁215A間の距離とし、第二距離L2を、負極22のZ軸方向における他方側(閉塞部311と反対側)に位置する第二端部220Bと、正極21の第二端部220Bと重なる第二部位210Bと、のY軸方向における一方側の端縁225B及び端縁215B間の距離としたときに、第一距離L1が第二距離L2と同じである場合と比べて、負極22の間に正極21が存在しない領域のY軸方向における幅、即ち、電解液の吸い上げ路のY軸方向における幅が、閉塞部311側で広いため、電解液の吸い上げ性を向上できる。
【0064】
また、本実施形態の蓄電素子1では、折り返し部23の内側(ターン部234の内側)であり且つZ軸方向における一方側で、負極22の間において正極21が存在しない領域が広いため、ここでの電解液の保持量を確保できる。より詳細に説明すると、折り返し部23を有する蓄電素子1では、ターン部234の内側の領域が、負極22のターン部234を構成する部位と正極21のY軸方向における一方側の端部(端縁215を含む端部)とにより囲まれている。そのため、この領域に対して電解液が侵入しにくく、この領域において電解液の保持量を確保しにくかった。
【0065】
これに対して、本実施形態の蓄電素子1では、正極21が折り返し部23の内側に配置され、Y軸方向の一方側(ターン部234側)において、負極22の第一端部220Aの間において正極21が存在しない領域が広い。換言すると、電解液が侵入しにくいターン部234の内側であり且つZ軸方向における一方側で、負極22の第一端部220A間において正極21が存在しない領域が広い。そのため、ターン部234を含む折り返し部23を有する蓄電素子1であっても、折り返し部23の内側(ターン部234の内側)における電解液の保持量を確保できる。
【0066】
また、正極21における負極22の第一端部220Aと重なる第一部位210Aにおいて、Y軸方向における一方側の端縁215が、Z軸方向の一方側に位置するほど、Y軸方向における内側に連続的に後退しているため、第一部位210AのY軸方向における一方側の端縁215の一部がY軸方向の外側に突出している構成と比べて、X軸方向において隣り合う負極22の間を電解液がZ軸方向に移動する際に、電解液の移動(電解液の吸い上げ)が妨げられにくい。そのため、この構成では、ケース3の閉塞部311から電解液を吸い上げやすい。換言すると、この構成では、正極21の第一部位210AのY軸方向における一方側の端縁215の一部がY軸方向の外側に突出している構成と比べて、電解液の吸い上げ路の幅(電解液の吸い上げ路のY軸方向における幅)の広さを確保できるため、ケース3の閉塞部311から電解液を吸い上げやすい。
【0067】
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0068】
上記実施形態の電極体2では、正極21の正極本体213は六角形状であり、負極本体223(負極22の平坦部233を構成する部位)は矩形状であったが、正極21や負極22の形状はこれに限定されない。例えば、正極21の正極本体213は、
図12に示すように、Z軸方向の一方側(閉塞部311側)に位置する部位ほど、Y軸方向における一方側の端縁215が、Y軸方向において内側に位置するような台形状であってもよい。尚、正極21では、Z軸方向の一方側に位置する部位ほど、Y軸方向における他方側の端縁216が、Y軸方向において内側に位置してもよい。
【0069】
また、この構成では、正極21のY軸方向における一方側の端縁215のY軸方向の位置は、連続的にY軸方向における内側に後退している。具体的に、負極22のY軸方向における一方側の端縁225とこれに重なる正極21のY軸方向における一方側の端縁215との距離は、Z軸方向における一方側ほど連続的に小さくなっている。
【0070】
尚、上記実施形態の電極体2では、正極21のY軸方向における一方側の端縁215も、Z軸方向における一方側に位置する部位ほど、Y軸方向において内側に位置すると共に、正極21のY軸方向における他方側の端縁216も、Z軸方向における一方側に位置する部位ほど、Y軸方向において内側に位置していたが、少なくとも、正極21のY軸方向における一方側の端縁215が、Z軸方向における一方側に位置する部位ほど、Y軸方向において内側に位置していればよい。
【0071】
このような構成においても、例えば、第一端部220Aが第二端部220Bよりも下側に位置するようにケース3又は蓄電素子1を配置すると、ケース3の閉塞部311側で負極22の間において正極21が存在しない領域が広くなるため、負極22の間により多くの電解液を保持できる。
【0072】
また、上記実施形態の蓄電素子1では、正極21のZ軸方向の一方側における端縁21Aが直線状であったが、正極21のZ軸方向の一方側における端縁が曲線状(例えば、円弧状)であってもよい。換言すると、正極21は、扇形状をしていてもよい。この場合、扇形状の正極21は、中心側を閉塞部311側に向けた状態で、ケース3内に配置されていればよい。
【0073】
上記実施形態の蓄電素子1では、負極22が矩形状であると共に、正極21の正極本体213が六角形状、台形状、扇形状であった。これにより、負極22のY軸方向における幅が、Z軸方向におけるいずれの位置においても一定であると共に、正極21のY軸方向における幅は、Z軸方向における位置により異なっていた。これに対して、例えば、負極22が台形であることにより、負極22のY軸方向における幅が、Z軸方向における位置により異なってもよい。
【0074】
例えば、負極22の形状は、負極22のY軸方向における幅が、Z軸方向における他方側(閉塞部311と反対側)に位置するほど小さくなるような台形状であってもよい。例えば、帯状の負極22をつづら折り状態に折り畳む際に、Z軸方向における一方側の部位を引っ張ることで、負極22の形状をこのような台形状としてもよい。この構成では、正極21が矩形状であることで、正極21のY軸方向における幅は、Z軸方向におけるいずれの位置においても一定であってもよい。また、正極21の正極本体213は、Z軸方向の一方側(閉塞部311側)に位置する部位ほど、Y軸方向における一方側の端縁215が、Y軸方向において内側に位置するような台形状であってもよい。
【0075】
このような場合においても、ケース3の閉塞部311側で負極22の間に正極21が存在しない領域が広くなるため、負極22間により多くの電解液を保持できる。
【0076】
上記実施形態の蓄電素子1では、正極21が枚葉状であり、負極22及びセパレータ25で構成される第一部材20がつづら折り状態であったが、正極21及びこの正極21を収容するセパレータ25(例えば、袋状のセパレータ)が枚葉状であり、負極22のみで構成される第一部材20がつづら折り状態であってもよい。また、正極21やセパレータ25を有する第一部材20がつづら折り状態で、負極22が枚葉状であってもよい。
【0077】
さらに、第一部材20は、つづら折り状態でなくてもよく、少なくとも一つの折り返し部23を有していればよい。尚、第一部材20は、例えば、互いに離間した複数の折り返し部23を有していてもよい。例えば、負極22及びセパレータ25で構成される第一部材20がこのような折り返し部23を有する場合、各折り返し部の内側に正極21が配置されていてもよい。
【0078】
尚、この構成では、セパレータ25は、各折り返し部23に連続して配置されていたが、間欠的に配置されていてもよい。また、セパレータ25は、負極22の両面のうち少なくとも一方に重ねられていればよい。さらに、第一セパレータ25A及び第二セパレータ25Bは、それぞれ、別体として形成されていたが、一体として形成されていてもよい。
【0079】
上記実施形態の蓄電素子1では、ターン部234がY軸方向における反対側に並ぶよう、折り返し部23が配置されているが、ターン部234がY軸方向における同じ側に並ぶよう、折り返し部23が配置されていてもよい。
【0080】
また、上記実施形態の蓄電素子1では、電極体2が折り返し部23を有していたが、電極体2が折り返し部23を有していなくてもよい。例えば、電極体2は、枚葉状の正極21と枚葉状の負極22とが積層されると共に、正極21と負極22との間にセパレータ25が配置される構成(いわゆるスタック型)でもよい。
【0081】
さらに、上記実施形態においては、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態において、蓄電素子の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
【0082】
蓄電素子(例えば電池)1は、
図13に示すような蓄電装置(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)11に用いられてもよい。蓄電装置11は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材12と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子1に適用されていればよい。
【符号の説明】
【0083】
1…蓄電素子、2…電極体、20…第一部材、21…正極(第一の電極)、210A…第一部位、210B…第二部位、211…金属箔、212…正極活物質層、213…正極本体、214…正極タブ、215、215A、215B、216、216A、216B…端縁、22…負極(第二の電極)、220A…第一端部、220B…第二端部、221…金属箔、222…負極活物質層、22A…山折り線、22B…谷折り線、223…負極本体、224…負極タブ、225、225A、225B、226、226A、226B…端縁、23…折り返し部、23A…第一折り返し部、23B…第二折り返し部、231…谷折り面、232…山折り面、233、233A、233B…平坦部、2331…平坦部本体、2332…平坦部タブ、234…ターン部、S…ターン軸、25…セパレータ、3…ケース、31…ケース本体、310…開口周縁部、311…閉塞部、312…胴部、313…長壁部、314…短壁部、32…蓋板、4…外部端子、5…集電体、絶縁部材、11…蓄電装置、12…バスバ部材、101…二次電池、102…電極組立体、103…ケース、121…正極シート、122…負極シート、125…セパレータ、W1、W2…幅、L1…第一距離、L2…第二距離、L3…第三距離、L4…第四距離、B…湾曲の開始位置