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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】通信許容相手登録方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220630BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
B65G1/00 543
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018154493
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020031298
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】中城 那津子
【審査官】小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/181734(WO,A1)
【文献】特開2006-261807(JP,A)
【文献】特開2018-039625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0085557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0134884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが操作する操作側通信機と、産業用機械に接続される機械側通信機と、の間で通信を許容する相手として相互に登録するための通信許容相手登録方法であって、
前記機械側通信機を識別するための機械側通信機識別情報を前記操作側通信機に入力する機械側通信機識別情報入力ステップと、
前記操作側通信機が、入力された前記機械側通信機識別情報を含む第1テスト信号を前記機械側通信機に無線送信する第1テスト信号送信ステップと、
前記機械側通信機が、受信した前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が当該機械側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定する第1識別情報照合ステップと、
前記第1識別情報照合ステップで、前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致すると当該機械側通信機が判定した場合に、前記操作側通信機が、入力された前記機械側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する機械側通信機識別情報登録ステップと、
前記操作側通信機を識別するための操作側通信機識別情報を前記機械側通信機に入力する操作側通信機識別情報入力ステップと、
前記機械側通信機が、入力された前記操作側通信機識別情報を含む第2テスト信号を前記操作側通信機に無線送信する第2テスト信号送信ステップと、
前記操作側通信機が、受信した前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が当該操作側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定する第2識別情報照合ステップと、
前記第2識別情報照合ステップで、前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致すると当該操作側通信機が判定した場合に、前記機械側通信機が、入力された前記操作側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する操作側通信機識別情報登録ステップと、
前記第1識別情報照合ステップにおいて、受信した前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致すると当該機械側通信機が判定した場合、当該機械側通信機自身に注目させるための第1告知情報が出力される第1告知情報出力ステップと、
前記機械側通信機が、前記第1告知情報に対応する第1操作がされた場合、前記第1操作が完了したことを示す第1操作完了信号を前記操作側通信機に無線送信する第1操作完了信号送信ステップと、
前記第2識別情報照合ステップにおいて、受信した前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致すると当該操作側通信機が判定した場合、当該操作側通信機自身に注目させるための第2告知情報が出力される第2告知情報出力ステップと、
前記操作側通信機が、前記第2告知情報に対応する第2操作がされた場合、前記第2操作が完了したことを示す第2操作完了信号を前記機械側通信機に無線送信する第2操作完了信号送信ステップと、
を含み、
前記機械側通信機識別情報登録ステップは、前記操作側通信機が前記第1操作完了信号を受信した後に実行され、
前記操作側通信機識別情報登録ステップは、前記機械側通信機が前記第2操作完了信号を受信した後に実行されることを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項2】
請求項に記載の通信許容相手登録方法であって、
前記第1告知情報の出力は、前記機械側通信機が備えるランプの点灯であり、
前記第2告知情報の出力は、前記操作側通信機が備えるランプの点灯であることを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の通信許容相手登録方法であって、
前記機械側通信機が、前記第1識別情報照合ステップの判定結果である第1判定結果を前記操作側通信機に送信する第1判定結果送信ステップと、
前記操作側通信機が受信した前記第1判定結果が、前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致することを示していた場合に、前記第1告知情報を出力させる第1告知情報出力指示を前記機械側通信機に送信する第1告知情報出力指示送信ステップと、
前記操作側通信機が、前記第2識別情報照合ステップの判定結果である第2判定結果を前記機械側通信機に送信する第2判定結果送信ステップと、
前記機械側通信機が受信した前記第2判定結果が、前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致することを示していた場合に、前記第2告知情報を出力させる第2告知情報出力指示を前記操作側通信機に送信する第2告知情報出力指示送信ステップと、
を含むことを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項4】
請求項1からまでの何れか一項に記載の通信許容相手登録方法であって、
複数の前記操作側通信機と、複数の前記産業用機械と、前記産業用機械と1対1で接続される複数の前記機械側通信機と、を備えるシステムに用いられることを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項5】
請求項1からまでの何れか一項に記載の通信許容相手登録方法であって、
前記機械側通信機識別情報入力ステップでは、前記機械側通信機識別情報が、有線ケーブルを介して前記操作側通信機に入力され、
前記操作側通信機識別情報入力ステップでは、前記操作側通信機識別情報が、有線ケーブルを介して前記機械側通信機に入力されることを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項6】
請求項1からまでの何れか一項に記載の通信許容相手登録方法であって、
前記操作側通信機は、無線通信可能な携帯端末と有線ケーブルを介して接続可能なリモートコントローラであり、
前記携帯端末は、前記産業用機械の動作を制御する指示を無線送信することを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項7】
請求項に記載の通信許容相手登録方法であって、
前記携帯端末は、前記機械側通信機の前記機械側通信機識別情報を当該機械側通信機から有線ケーブルを介して取得し、取得した前記機械側通信機識別情報を、有線ケーブルを介して前記操作側通信機に出力し、
前記携帯端末は、前記操作側通信機の前記操作側通信機識別情報を当該操作側通信機から有線ケーブルを介して取得し、取得した前記操作側通信機識別情報を、有線ケーブルを介して前記機械側通信機に出力することを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載の通信許容相手登録方法であって、
前記機械側通信機識別情報登録ステップは、前記産業用機械を動作させる前記操作側通信機の通常モードとは異なる保守モードで実行され、
前記操作側通信機識別情報登録ステップは、前記産業用機械を動作させる前記機械側通信機の通常モードとは異なる保守モードで実行されることを特徴とする通信許容相手登録方法。
【請求項9】
オペレータが操作する操作側通信機と、産業用機械に接続される機械側通信機と、を備える無線通信システムであって、
前記操作側通信機と前記機械側通信機との間で通信を許容する相手として相互に登録する場合、
前記操作側通信機は、前記機械側通信機を識別するための機械側通信機識別情報が入力された後、入力された前記機械側通信機識別情報を含む第1テスト信号を前記機械側通信機に無線送信し、
前記機械側通信機は、受信した前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が当該機械側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定し、
前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致すると前記機械側通信機が判定した場合に、前記操作側通信機は、入力された前記機械側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録し、
前記機械側通信機は、前記操作側通信機を識別するための操作側通信機識別情報が入力された後、入力された前記操作側通信機識別情報を含む第2テスト信号を前記操作側通信機に無線送信し、
前記操作側通信機は、受信した前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が当該操作側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定し、
前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致すると前記操作側通信機が判定した場合に、前記機械側通信機は、入力された前記操作側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録し、
前記機械側通信機は、受信した前記機械側通信機識別情報が当該機械側通信機自身の識別情報と一致すると判定した場合、当該機械側通信機自身に注目させるための第1告知情報を出力し、
前記機械側通信機は、前記第1告知情報に対応する第1操作がされた場合、前記第1操作が完了したことを示す第1操作完了信号を前記操作側通信機に無線送信し、
前記操作側通信機は、受信した前記操作側通信機識別情報が当該操作側通信機自身の識別情報と一致すると判定した場合、当該操作側通信機自身に注目させるための第2告知情報を出力し、
前記操作側通信機は、前記第2告知情報に対応する第2操作がされた場合、前記第2操作が完了したことを示す第2操作完了信号を前記機械側通信機に無線送信し、
前記操作側通信機は、前記第1操作完了信号を受信した後に、入力された前記機械側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録し、
前記機械側通信機は、前記第2操作完了信号を受信した後に、入力された前記操作側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録することを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における通信許容相手登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線通信を行う機器において、機器間で事前に互いに認証し、通信を許容する相手として登録する作業を行う構成が提案されている。事前に登録した相手以外と通信しないように各機器を構成することで、予期しない動作を防止することができる。特許文献1は、無線機器ペアリング方法を開示する。
【0003】
特許文献1の無線機器ペアリング方法において、ペアリングモードに移行した照明装置は、複数色を用いる点灯規則と機器識別子とを含む認証データを生成し、無線送信するとともに、点灯規則に従って外部から視認可能なように複数色の点灯を行う。ペアリング対象の端末は、受信した複数の認証データを表示し、操作者(オペレータ)が照明装置の点灯を確認して選択した認証データに含まれる無線通信用アドレスを記憶し、記憶した無線通信用アドレス及び自己の無線通信用アドレスを示す信号を送信する。照明装置は、受信した信号に含まれる無線通信用アドレスが自己の無線通信用アドレスである場合、このアドレスとともに送られてきた端末の無線通信用アドレスを自己のペアリング対象のアドレスとして記憶する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-229362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仮に、オペレータの見間違いによって、意図する照明装置Aとは異なる照明装置Bの認証データを選択した場合、上記特許文献1の方法において、端末は照明装置Bの無線通信用アドレスを記憶するとともに、当該アドレス及び自己の無線通信用アドレスを送信する。照明装置Bは、自己の無線通信用アドレスを送信してきた端末の無線通信用アドレスを記憶する。この結果、オペレータが予期せぬ機器の間でペアリングが行われてしまう。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、意図しない通信機同士が通信許容相手として誤って登録されるのを回避できる通信許容相手登録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下のような通信許容相手登録方法が提供される。即ち、この通信許容相手登録方法は、オペレータが操作する操作側通信機と、産業用機械に接続される機械側通信機と、の間で通信を許容する相手として相互に登録するために用いられる。この通信許容相手登録方法は、機械側通信機識別情報入力ステップと、第1テスト信号送信ステップと、第1識別情報照合ステップと、機械側通信機識別情報登録ステップと、操作側通信機識別情報入力ステップと、第2テスト信号送信ステップと、第2識別情報照合ステップと、操作側通信機識別情報登録ステップと、第1告知情報出力ステップと、第1操作完了信号送信ステップと、第2告知情報出力ステップと、第2操作完了信号送信ステップと、を含む。前記機械側通信機識別情報入力ステップでは、前記機械側通信機を識別するための機械側通信機識別情報を前記操作側通信機に入力する。前記第1テスト信号送信ステップでは、前記操作側通信機が、入力された前記機械側通信機識別情報を含む第1テスト信号を前記機械側通信機に無線送信する。前記第1識別情報照合ステップでは、前記機械側通信機が、受信した前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が当該機械側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定する。前記機械側通信機識別情報登録ステップでは、前記第1識別情報照合ステップで、前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致すると当該機械側通信機が判定した場合に、前記操作側通信機が、入力された前記機械側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する。前記操作側通信機識別情報入力ステップでは、前記操作側通信機を識別するための操作側通信機識別情報を前記機械側通信機に入力する。前記第2テスト信号送信ステップでは、前記機械側通信機が、入力された前記操作側通信機識別情報を含む第2テスト信号を前記操作側通信機に無線送信する。前記第2識別情報照合ステップでは、前記操作側通信機が、受信した前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が当該操作側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定する。前記操作側通信機識別情報登録ステップでは、前記第2識別情報照合ステップで、前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致すると当該操作側通信機が判定した場合に、前記機械側通信機が、入力された前記操作側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する。前記第1告知情報出力ステップでは、前記第1識別情報照合ステップにおいて、受信した前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致すると当該機械側通信機が判定した場合、当該機械側通信機自身に注目させるための第1告知情報が出力される。前記第1操作完了信号送信ステップでは、前記機械側通信機が、前記第1告知情報に対応する第1操作がされた場合、前記第1操作が完了したことを示す第1操作完了信号を前記操作側通信機に無線送信する。前記第2告知情報出力ステップでは、前記第2識別情報照合ステップにおいて、受信した前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致すると当該操作側通信機が判定した場合、当該操作側通信機自身に注目させるための第2告知情報が出力される。前記第2操作完了信号送信ステップでは、前記操作側通信機が、前記第2告知情報に対応する第2操作がされた場合、前記第2操作が完了したことを示す第2操作完了信号を前記機械側通信機に無線送信する。前記機械側通信機識別情報登録ステップは、前記操作側通信機が前記第1操作完了信号を受信した後に実行される。前記操作側通信機識別情報登録ステップは、前記機械側通信機が前記第2操作完了信号を受信した後に実行される。
【0009】
これにより、操作側通信機及び機械側通信機のそれぞれにおける通信許容相手の識別情報の登録が個別に行われる。また、各通信機が通信許容相手を登録する過程で、登録する予定の通信許容相手の識別情報が、通信許容相手の通信機によって確認される。このように、それぞれの通信機を起点として、自機から相手の識別情報を相手に送信して相手側で照合させ、その照合結果を自機で確認する作業を行うことで、通信許容相手の登録の正確性を高めることができる。この結果、オペレータが意図しない通信機の間で通信が許容されるのを防止することができる。そして、通信許容相手として登録しようとしている通信機を確認するためにオペレータの操作が必要になるので、通信許容相手がオペレータの意図どおりであるか否かをチェックする機会を確保することができる。この結果、正確な登録を実現することができる。
【0012】
前記の通信許容相手登録方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記第1告知情報の出力は、前記機械側通信機が備えるランプの点灯である。前記第2告知情報の出力は、前記操作側通信機が備えるランプの点灯である。
【0013】
これにより、通信許容相手として登録しようとする通信機をオペレータが目視で確認可能な簡素な構成を実現することができる。
【0014】
前記の通信許容相手登録方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、通信許容相手登録方法は、第1判定結果送信ステップと、第1告知情報出力指示送信ステップと、第2判定結果送信ステップと、第2告知情報出力指示送信ステップと、を含む。前記第1判定結果送信ステップでは、前記機械側通信機が、前記第1識別情報照合ステップの判定結果である第1判定結果を前記操作側通信機に送信する。前記第1告知情報出力指示送信ステップでは、前記操作側通信機が受信した前記第1判定結果が、前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致することを示していた場合に、前記第1告知情報を出力させる第1告知情報出力指示を前記機械側通信機に送信する。前記第2判定結果送信ステップでは、前記操作側通信機が、前記第2識別情報照合ステップの判定結果である第2判定結果を前記機械側通信機に送信する。前記第2告知情報出力指示送信ステップでは、前記機械側通信機が受信した前記第2判定結果が、前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致することを示していた場合に、前記第2告知情報を出力させる第2告知情報出力指示を前記操作側通信機に送信する。
【0015】
これにより、オペレータは、告知情報を確認することで、識別情報の照合結果が正常であったか否かを知ることができる。
【0016】
前記の通信許容相手登録方法においては、複数の前記操作側通信機と、複数の前記産業用機械と、前記産業用機械と1対1で接続される複数の前記機械側通信機と、を備えるシステムに用いられることが好ましい。
【0017】
これにより、操作側通信機及び機械側通信機が何れも複数用いられる複雑なシステムにおいても、オペレータが意図する通信許容相手を正確に登録することができる。
【0018】
前記の通信許容相手登録方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記機械側通信機識別情報入力ステップでは、前記機械側通信機識別情報が、有線ケーブルを介して前記操作側通信機に入力される。前記操作側通信機識別情報入力ステップでは、前記操作側通信機識別情報が、有線ケーブルを介して前記機械側通信機に入力される。
【0019】
このように、有線ケーブルを介することにより、通信機が通信を許容しようとする相手の通信機をオペレータに現実感を伴って意識付けしながら、通信機同士で識別情報のやり取りを行うことができる。
【0020】
前記の通信許容相手登録方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記操作側通信機は、無線通信可能な携帯端末と有線ケーブルを介して接続可能なリモートコントローラである。前記携帯端末は、前記産業用機械の動作を制御する指示を無線送信する。
【0021】
これにより、携帯端末と操作側通信機とが連携して、産業用機械の動作を制御することができる。
【0022】
前記の通信許容相手登録方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記携帯端末は、前記機械側通信機の前記機械側通信機識別情報を当該機械側通信機から有線ケーブルを介して取得し、取得した前記機械側通信機識別情報を、有線ケーブルを介して前記操作側通信機に出力する。前記携帯端末は、前記操作側通信機の前記操作側通信機識別情報を当該操作側通信機から有線ケーブルを介して取得し、取得した前記操作側通信機識別情報を、有線ケーブルを介して前記機械側通信機に出力する。
【0023】
これにより、携帯端末を介して、操作側通信機と機械側通信機との識別情報の交換を正確かつ容易に行うことができる。また、有線ケーブルを用いることで、オペレータは、2つの通信機同士の関連をリアルに意識しながら通信許容相手を登録することができる。
【0024】
前記の通信許容相手登録方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記機械側通信機識別情報登録ステップは、前記産業用機械を動作させる前記操作側通信機の通常モードとは異なる保守モードで実行される。前記操作側通信機識別情報登録ステップは、前記産業用機械を動作させる前記機械側通信機の通常モードとは異なる保守モードで実行される。
【0025】
これにより、産業用機械が動作しない状態を確保しながら、通信許容相手を登録することができる。
【0026】
本発明の第2の観点によれば、以下のような無線通信システムが提供される。即ち、この無線通信システムは、オペレータが操作する操作側通信機と、産業用機械に接続される機械側通信機と、を備える。前記操作側通信機と前記機械側通信機との間で通信を許容する相手として相互に登録する場合、前記操作側通信機は、前記機械側通信機を識別するための機械側通信機識別情報が入力された後、入力された前記機械側通信機識別情報を含む第1テスト信号を前記機械側通信機に無線送信する。前記機械側通信機は、受信した前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が当該機械側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定する。前記第1テスト信号に含まれる前記機械側通信機識別情報が前記機械側通信機自身の識別情報と一致すると前記機械側通信機が判定した場合に、前記操作側通信機は、入力された前記機械側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する。前記機械側通信機は、前記操作側通信機を識別するための操作側通信機識別情報が入力された後、入力された前記操作側通信機識別情報を含む第2テスト信号を前記操作側通信機に無線送信する。前記操作側通信機は、受信した前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が当該操作側通信機自身の識別情報と一致するか否かを判定する。前記第2テスト信号に含まれる前記操作側通信機識別情報が前記操作側通信機自身の識別情報と一致すると前記操作側通信機が判定した場合に、前記機械側通信機は、入力された前記操作側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する。前記機械側通信機は、受信した前記機械側通信機識別情報が当該機械側通信機自身の識別情報と一致すると判定した場合、当該機械側通信機自身に注目させるための第1告知情報を出力する。前記機械側通信機は、前記第1告知情報に対応する第1操作がされた場合、前記第1操作が完了したことを示す第1操作完了信号を前記操作側通信機に無線送信する。前記操作側通信機は、受信した前記操作側通信機識別情報が当該操作側通信機自身の識別情報と一致すると判定した場合、当該操作側通信機自身に注目させるための第2告知情報を出力する。前記操作側通信機は、前記第2告知情報に対応する第2操作がされた場合、前記第2操作が完了したことを示す第2操作完了信号を前記機械側通信機に無線送信する。前記操作側通信機は、前記第1操作完了信号を受信した後に、入力された前記機械側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する。前記機械側通信機は、前記第2操作完了信号を受信した後に、入力された前記操作側通信機識別情報を通信許容相手の識別情報として登録する。
【0027】
このように、当該無線通信システムにおいて、操作側通信機及び機械側通信機のそれぞれにおける通信許容相手の識別情報の登録が個別に行われる。また、各通信機が通信許容相手を登録する過程で、登録する予定の通信を許容する相手の識別情報が、通信許容相手の通信機によって確認される。このように、それぞれの通信機を起点として、自機から相手の識別情報を相手に送信して相手側で照合させ、その照合結果を自機で確認する作業を行うことで、通信許容相手の登録の正確性を高めることができる。この結果、オペレータが意図しない通信機の間で通信が許容されるのを防止することができる。そして、通信許容相手として登録しようとしている通信機を確認するためにオペレータの操作が必要になるので、通信許容相手がオペレータの意図どおりであるか否かをチェックする機会を確保することができる。この結果、正確な登録を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る通信許容相手登録方法が用いられて無線通信が行われる自動倉庫の構成を模式的に示す平面図。
図2】自動倉庫を構成する1つのスタッカクレーンの構成を説明する図。
図3】スタッカクレーンの制御システムの構成を示すブロック図。
図4】安全信号システムの構成を示すブロック図。
図5】第2受信部の構成を示す斜視図。
図6】固定型リモコンの構成を示す斜視図。
図7】タブレットが携帯型リモコンに取り付けられた状態を示す正面図。
図8】タブレットが携帯型リモコンに取り付けられた状態を示す側面図。
図9】携帯型リモコンを起点とする送信機側無線通信テストを示すフローチャート。
図10】第2受信部を起点とする受信機側無線通信テストを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る通信許容相手登録方法が用いられて無線通信が行われる自動倉庫1の構成を模式的に示す平面図である。図2は、自動倉庫1を構成する1つのスタッカクレーン12の構成を説明する図である。図3は、スタッカクレーン12の制御システム10の構成を示すブロック図である。図4は、安全信号システム20の構成を示すブロック図である。
【0030】
図1に示す自動倉庫1は、複数のスタッカラック11と、複数のスタッカクレーン(産業用機械)12と、を備える。スタッカラック11には、部品や材料等の荷物を収納可能な多数の収納空間が形成されている。スタッカクレーン12は、スタッカラック11の収納空間に荷物を自動で搬入/搬出する。自動倉庫1は、スタッカクレーン12を介して、荷物をスタッカラック11に自動的に格納したり、スタッカラック11に格納している荷物を自動的に搬出したりすることができる。
【0031】
図2に示すように、それぞれのスタッカクレーン12は、軌道に沿って走行する走行台車13と、上下に昇降可能な昇降台14と、走行台車13及び昇降台14の動作を制御するクレーンコントローラ(機械コントローラ)2と、を備える。
【0032】
スタッカクレーン12は、自動運転モードと、手動運転モードと、の中から運転モードを選択して動かすことができる。自動運転モードでは、スタッカクレーン12は、予めプログラムされた規則に従って自動的に動く。手動運転モードでは、スタッカクレーン12は、オペレータの動作指示に従って動く。
【0033】
図2及び図3に示すクレーンコントローラ2は、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力部等からなる公知の制御ユニットから構成される。ROMには、各種プログラムや自動運転に関するデータ(規則)等が記憶されている。CPUは、各種プログラム等をROMから読み出して実行することができる。
【0034】
スタッカクレーン12の運転モードとして自動運転モードが選択されている場合、クレーンコントローラ2は、記憶された自動運転に関するデータ等に基づいて、走行台車13及び昇降台14の動作を制御する。
【0035】
スタッカクレーン12の運転モードとして手動運転モードが選択されている場合、クレーンコントローラ2は、第1受信部21を介して受信したオペレータからの動作指示、及び第2受信部22を介して受信した各スイッチの状態信号に従って、走行台車13及び昇降台14の動作を制御する。
【0036】
荷物との接触等を防止するために、自動倉庫1においてスタッカクレーン12の動作エリアを含むエリアが図2に示すように柵9等で区画され、当該エリアが立入禁止エリアとして定められている。オペレータがメンテナンス等を行うために動作エリアに入るのを検知するために、例えば、柵9に設けられたドアにセンサが設けられる。ただし、図2においてドア及びセンサは省略されている。スタッカクレーン12が自動運転モードで動いているときに、ドアが開いたことをセンサが検知すると、スタッカクレーン12の運転は自動的に停止する。
【0037】
自動倉庫1は、第1受信部21と、第2受信部(機械側通信機)22と、を備える。第1受信部21及び第2受信部22は、それぞれ通信装置として構成され、スタッカクレーン12におけるクレーンコントローラ2の近傍に設置されている。第1受信部21及び第2受信部22は、クレーンコントローラ2に電気的に接続されている。第1受信部21と第2受信部22は、1つのスタッカクレーン12に対して1つずつ設けられている。
【0038】
第1受信部21は、無線LANを介して、後述のタブレット5と無線通信する。無線LANは複数の無線通信チャネルを有しており、電波や赤外線等を用いてデータを伝送する。本実施形態では、無線LANとしてWi-Fi(Wi-Fiは登録商標)が用いられている。この無線通信により、第1受信部21は、オペレータがタブレット5を操作することによって当該タブレット5に入力された動作指示を受信する。動作指示の例としては、走行台車13を走行させる指示、及び、昇降台14を昇降させる指示等を挙げることができる。第1受信部21は、これらの指示を示す信号を、スタッカクレーン12の動作を制御するための制御信号としてクレーンコントローラ2に出力する。
【0039】
第2受信部22は、無線LANを介して後述の固定型リモコン4及び携帯型リモコン6と無線通信する。本実施形態では、無線LANとしてWi-Fi(Wi-Fiは登録商標)が用いられている。この無線通信により、第2受信部22は、各種の状態信号を受信する。状態信号の例としては、非常停止スイッチの状態信号、及び、タブレット5からの動作指示を有効にするためのイネーブルスイッチの状態信号等を挙げることができる。第2受信部22は、受信した状態信号を、スタッカクレーン12の動作を制御するための制御信号としてクレーンコントローラ2に出力する。第1受信部21及び第2受信部22は、互いに異なる周波数帯域又は異なるチャンネルで通信するように設定されている。
【0040】
次に、第2受信部22について、図5を参照して詳細に説明する。図5は、第2受信部22の構成を示す斜視図である。
【0041】
第2受信部22は、図5に示すように、第2受信部状態表示部23と、第2受信部電源コネクタ24と、第2受信部USBコネクタ25と、第2受信部保守スイッチ26と、確認ボタン27と、を備える。
【0042】
第2受信部状態表示部23は、電源ランプ、ステータスランプ、WLANランプからなる3つのランプを備える。それぞれのランプはLEDとして構成されている。第2受信部状態表示部23は、それぞれのLEDの点灯色及び点灯状態(点灯/点滅)の組合せによって、第2受信部22の様々な動作状態を表す。
【0043】
第2受信部電源コネクタ24には、電源ケーブル91が接続されている。この電源ケーブル91を介して、第2受信部22の動作に必要な電力が供給される。電源ケーブル91には複数の電線が含まれており、電源ケーブル91は、電力供給だけでなく、信号の入出力のための信号ケーブルとしても機能する。本実施形態の第2受信部22においては電源スイッチが省略されており、電源ケーブル91の第2受信部電源コネクタ24への取付け/取外しにより第2受信部22の電源のON/OFFを行う。ただし、第2受信部22に電源スイッチを設けても良い。
【0044】
第2受信部22には、第2受信部電源コネクタ24のほかに、アンテナケーブル93を電気的に接続するための図略のコネクタが設けられている。このアンテナケーブル93には、電波の送受信を行うための図略の無線アンテナが接続される。
【0045】
第2受信部USBコネクタ25は、USBケーブル(有線ケーブル)8を接続するために用いられる。USBケーブル8を介して、第2受信部22は、後述のタブレット5に有線で接続することができる。USBケーブル8は、データ通信ケーブルとして機能する。オペレータは、第2受信部22に接続されたタブレット5を介して、当該第2受信部22の状態を確認することができる。また、オペレータは、タブレット5を操作することで、当該第2受信部22に各種の指示を行うことができる。
【0046】
第2受信部保守スイッチ26は、例えばスライドスイッチから構成される。この第2受信部保守スイッチ26をスライドさせることで、第2受信部22を2つの動作モード、即ち、通常モードと保守モードとの間で切り換えることができる。第2受信部22の通常モードとは、スタッカクレーン12を手動又は自動で動作させるための動作モードであり、保守モードとは、初期設定や各種設定を行うときの動作モードである。
【0047】
なお、第2受信部保守スイッチ26による動作モードの変更は、第2受信部22の電源をいったんOFFして再びONすることで有効になる。
【0048】
第2受信部22には、図4に示すように、第2受信部無線部28と、第2受信部安全部29と、が設けられている。この第2受信部無線部28と第2受信部安全部29は、例えばUARTで接続され、シリアル通信を行う。UARTは、Universal Asynchronous Receiver/Transmitterの略称である。
【0049】
第2受信部無線部28は、コンピュータ(具体的には、無線通信モジュール)として構成され、CPU、ROM、RAM等を備える。第2受信部無線部28は、固定型リモコン4及び携帯型リモコン6のそれぞれとの間で無線通信する。
【0050】
第2受信部安全部29は、コンピュータとして構成され、CPU、ROM、RAM等を備える。第2受信部安全部29は、機能安全部として用いられる。具体的には、第2受信部安全部29は、第2受信部無線部28が固定型リモコン4及び携帯型リモコン6と通信した結果に基づいて、スタッカクレーン12が動作しない安全状態とすべきか否かを判断し、必要に応じて安全状態要求信号をクレーンコントローラ2に出力する。
【0051】
本実施形態の自動倉庫1には、図3に示すように、オペレータがスタッカクレーン12に指示するための制御指示送信機3が設けられている。制御指示送信機3は、第1受信部21及び第2受信部22を経由して、例えば無線LANを介して、クレーンコントローラ2と無線通信することができる。制御指示送信機3をオペレータが操作すると、制御指示送信機3は、操作に応じた指示を、第1受信部21及び第2受信部22経由でクレーンコントローラ2に送信する。
【0052】
制御指示送信機3は、図6に示す固定型リモコン4と、図7及び図8に示すタブレット(携帯端末)5及び携帯型リモコン(操作側通信機)6と、を含む。リモコンとは、リモートコントローラの略である。
【0053】
固定型リモコン4について、図6を参照して詳細に説明する。図6は、固定型リモコン4の構成を示す斜視図である。
【0054】
固定型リモコン4は、オペレータが自動倉庫1の作業エリアの外部で操作できるように、例えば柵9の外部に固定される。固定型リモコン4は、非常時において、スタッカクレーン12の動作を即座に停止させたい場合に操作される。
【0055】
固定型リモコン4は、図6に示すように、固定型リモコン状態表示部40と、固定側非常停止スイッチ41と、固定型リモコン電源コネクタ42と、固定型リモコンUSBコネクタ43と、固定型リモコン保守スイッチ44と、無線アンテナ45と、を備える。
【0056】
固定型リモコン状態表示部40は、図6に示すように、電源ランプ及びステータスランプからなる2つのランプを備える。それぞれのランプはLEDとして構成されている。固定型リモコン状態表示部40は、それぞれのLEDの点灯色及び点灯状態(点灯/点滅)の組合せによって、固定型リモコン4の様々な動作状態を表す。
【0057】
固定側非常停止スイッチ41は、押しボタンスイッチから構成される。固定側非常停止スイッチ41は、固定型リモコン4の正面に設けられている。固定側非常停止スイッチ41は、スタッカクレーン12を非常停止させたいときに押される。固定側非常停止スイッチ41は、いったん押されると、操作力が解除されても、押された状態を保つ。当該固定側非常停止スイッチ41を右に回す又は引っ張ることによって、押された状態が解除される。
【0058】
当該固定側非常停止スイッチ41が押された状態では、固定型リモコン4は、非常停止スイッチONを示す状態信号である非常停止信号を第2受信部22に送信する。固定側非常停止スイッチ41が押されていない状態では、固定型リモコン4は、非常停止スイッチOFFを示す状態信号である非停止信号を第2受信部22に送信する。
【0059】
固定型リモコン電源コネクタ42には、電源ケーブル92が接続される。この固定型リモコン電源コネクタ42に接続された電源ケーブル92を介して、固定型リモコン4の動作に必要な電力が供給される。本実施形態の固定型リモコン4においては、電源ケーブル92と外部電源との接続、又は電源ケーブル92と固定型リモコン電源コネクタ42との接続を切断することにより、固定型リモコン4を電源OFFさせる。なお、これに限定されず、固定型リモコン4に電源スイッチを設けることによって電源のON/OFFを切換可能に構成しても良い。
【0060】
固定型リモコンUSBコネクタ43は、USBケーブル8を接続するために用いられる。USBケーブル8を介して、固定型リモコン4は、タブレット5に有線で接続することができる。オペレータは、固定型リモコン4に接続されたタブレット5を介して、当該固定型リモコン4の状態を確認することができる。また、オペレータは、タブレット5を操作することで、当該固定型リモコン4に各種の指示を行うことができる。
【0061】
固定型リモコン保守スイッチ44は、例えばスライドスイッチから構成される。この固定型リモコン保守スイッチ44をスライドさせることで、固定型リモコン4を通常モードと保守モードとの間で切り換えることができる。固定型リモコン4の通常モードとは、スタッカクレーン12を非常停止させることが可能な動作モードであり、保守モードとは、初期設定や各種設定を行うときの動作モードである。固定型リモコン保守スイッチ44による動作モードの変更は、固定型リモコン4の電源をいったんOFFして再びONすることで有効になる。
【0062】
無線アンテナ45は棒状のアンテナとして構成されており、電波の送受信を行うことができる。
【0063】
固定型リモコン4には、図4に示すように、固定型リモコン無線部46と、固定型リモコン安全部47と、が設けられている。この固定型リモコン無線部46と固定型リモコン安全部47は、例えばUARTで接続され、シリアル通信を行う。
【0064】
固定型リモコン無線部46は、コンピュータ(具体的には、無線通信モジュール)として構成され、CPU、ROM、RAM等を備える。固定型リモコン無線部46は、第2受信部22が備える第2受信部無線部28との間で無線通信する。
【0065】
固定型リモコン安全部47は、コンピュータとして構成され、CPU、ROM、RAM等を備える。固定型リモコン安全部47は、機能安全部として用いられる。固定型リモコン安全部47は、固定側非常停止スイッチ41と電気的に接続される。固定型リモコン安全部47は、固定側非常停止スイッチ41の状態信号を固定型リモコン無線部46に出力する。
【0066】
図7及び図8を参照して、タブレット5及び携帯型リモコン6について詳細に説明する。図7は、タブレット5が携帯型リモコン6に取り付けられた状態を示す正面図である。図8は、タブレット5が携帯型リモコン6に取り付けられた状態を示す側面図である。
【0067】
タブレット5は、CPU、ROM、RAM、入出力部等から構成される公知のタブレット型のコンピュータである。タブレット5には、オペレータが操作する操作部と、様々な情報を表示する表示部と、を一体化したタッチパネルディスプレイが設けられている。
【0068】
タブレット5には図略の無線アンテナが内蔵されており、図3に示すように、第1受信部21と無線通信することができる。タブレット5は、オペレータの操作に応じて、スタッカクレーン12の運転モードの切換指示や、スタッカクレーン12の手動運転モードにおいて当該スタッカクレーン12を動かすための動作指示等の様々な指示を第1受信部21に無線送信する。
【0069】
タブレット5は、USBケーブル(例えば、図5に示すUSBケーブル8)を介して、固定型リモコン4、携帯型リモコン6、及び第2受信部22のそれぞれに有線で接続することができる。タブレット5は、接続されたそれぞれの上記通信機の様々な情報を表示することができるとともに、上記通信機を動作させる制御指示を通信機に出力することができる。即ち、タブレット5は、それぞれの通信機に接続することで、当該通信機に関するマンマシンインタフェースとして機能する。
【0070】
携帯型リモコン6は、スタッカクレーン12の手動運転モードにおいてスタッカクレーン12の動作を制御するために、タブレット5と組み合わせて用いられる。携帯型リモコン6には図略の無線アンテナが内蔵されており、図3等に示すように、第2受信部22と無線通信することができる。
【0071】
携帯型リモコン6は、図7及び図8に示すように、携帯型リモコン状態表示部60と、電源ボタン61と、リモコン電源コネクタ62と、リモコン保守スイッチ63と、USBケーブル(有線ケーブル)64と、イネーブルスイッチ65と、携帯側非常停止スイッチ66と、を備える。
【0072】
携帯型リモコン状態表示部60は、図7に示すように、電源ランプ、充電ランプ及びステータスランプからなる3つのランプを備える。それぞれのランプはLEDとして構成されている。携帯型リモコン状態表示部60は、それぞれのLEDの点灯色及び点灯状態(点灯/点滅)の組合せによって、携帯型リモコン6の様々な動作状態を表す。
【0073】
電源ボタン61は押しボタンスイッチとして構成されている。電源ボタン61を押すことにより、携帯型リモコン6が備える図略の充電池からの電力供給の有無を切り換えることができる。これにより、携帯型リモコン6の電源のON/OFFが実現される。
【0074】
リモコン電源コネクタ62には、上述の充電池を充電するための図略のケーブルを接続することができる。
【0075】
リモコン保守スイッチ63は、例えばスライドスイッチから構成される。このリモコン保守スイッチ63をスライドさせることで、携帯型リモコン6を2つの動作モード、即ち、通常モードと保守モードとの間で切り換えることができる。携帯型リモコン6の通常モードとは、スタッカクレーン12が手動運転モードとなっているときに当該スタッカクレーン12を動作させるための動作モードである。保守モードとは、初期設定や各種設定を行うときの動作モードである。リモコン保守スイッチ63による動作モードの変更は、携帯型リモコン6の電源をいったんOFFして再びONすることで有効になる。
【0076】
USBケーブル64は、携帯型リモコン6のハウジングから引き出されている。USBケーブル64はデータ通信ケーブルとして構成されており、タブレット5に接続することができる。
【0077】
イネーブルスイッチ65は、例えば押しボタンスイッチから構成される。イネーブルスイッチ65は、オペレータが片手で携帯型リモコン6を掴みながら押すことができるように、携帯型リモコン6の側面に設けられている。イネーブルスイッチ65は、スタッカクレーン12が手動運転モードとなっているときに、スタッカクレーン12の動作を許可していることを示すために、ある程度の操作力で押される。イネーブルスイッチ65は、いったん押された後でも、操作力が解除されれば、押された状態から元に戻る。従って、オペレータに転倒等の不慮の状況が生じた場合に、スタッカクレーン12の動作を直ちに不許可とすることができる。
【0078】
このイネーブルスイッチ65が押されている状態では、携帯型リモコン6は、イネーブルスイッチONを示す状態信号であるイネーブル信号を第2受信部22に送信する。イネーブルスイッチ65が押されていない状態では、携帯型リモコン6は、イネーブルスイッチOFFを示す状態信号であるディセーブル信号を第2受信部22に送信する。
【0079】
本実施形態において、イネーブルスイッチ65は3位置型のスイッチとして構成されている。オペレータがイネーブルスイッチ65を強い力で押し込んだ場合は、イネーブルスイッチ65を押していない場合と同様に、携帯型リモコン6はディセーブル信号を第2受信部22に送信するように構成されている。これにより、非常時においてオペレータがイネーブルスイッチ65から指を離さず、逆に反射的に強く押してしまった場合でも、スタッカクレーン12の動作を適切に停止することができる。
【0080】
携帯側非常停止スイッチ66は、例えば押しボタンスイッチとして構成されている。携帯側非常停止スイッチ66は、携帯型リモコン6の正面に設けられている。携帯側非常停止スイッチ66は、スタッカクレーン12の手動運転モードにおいて、当該スタッカクレーン12を非常停止させたいときに押される。携帯側非常停止スイッチ66は、いったん押されると、操作力が解除されても、押された状態を保つ。当該携帯側非常停止スイッチ66を右に回す又は引っ張ることによって、押された状態が解除される。
【0081】
当該携帯側非常停止スイッチ66が押された状態では、携帯型リモコン6は、非常停止スイッチONを示す状態信号である非常停止信号を第2受信部22に送信する。携帯側非常停止スイッチ66が押されていない状態では、携帯型リモコン6は、非常停止スイッチOFFを示す状態信号である非停止信号を第2受信部22に送信する。
【0082】
携帯型リモコン6には、図4に示すように、携帯型リモコン無線部67と、携帯型リモコン安全部68と、が設けられている。携帯型リモコン無線部67と携帯型リモコン安全部68は、例えばUARTで接続され、シリアル通信を行う。
【0083】
携帯型リモコン無線部67は、コンピュータ(具体的には、無線通信モジュール)として構成され、CPU、ROM、RAM等を備える。携帯型リモコン無線部67は、第2受信部22が備える第2受信部無線部28との間で無線通信する。
【0084】
携帯型リモコン安全部68は、コンピュータとして構成され、CPU、ROM、RAM等を備える。携帯型リモコン安全部68は、機能安全部として用いられる。携帯型リモコン安全部68は、イネーブルスイッチ65及び携帯側非常停止スイッチ66と電気的に接続される。携帯型リモコン安全部68は、イネーブルスイッチ65及び携帯側非常停止スイッチ66の状態信号を携帯型リモコン無線部67に出力する。
【0085】
上記のように、本実施形態の自動倉庫1は、スタッカクレーン12を動作させる動作指示の送受信システム(第1受信部21及びタブレット5)とは別途に、スタッカクレーン12への動作指示を有効にするイネーブル信号、及び非常時における非常停止信号を送受信する安全信号システム(無線通信システム)20を備える。この安全信号システム20は、図4に示すように、第2受信部22と、固定型リモコン4と、携帯型リモコン6と、から構成される。
【0086】
この安全信号システム20により、非常停止信号等を第2受信部22に遅延なく送信することができ、非常時において、スタッカクレーン12の動作を即座に停止させることができる。
【0087】
本実施形態では、安全信号システム20が無線通信により構築されている。従って、信号ケーブルが機械に引っ掛かったりすることがなくなり、取回しに優れている。また、信号ケーブルの分だけ携帯型リモコン6等を軽くすることができ、オペレータの負担を軽減できる。
【0088】
ただし、信号ケーブルで通信機同士を物理的に繋ぐ必要がなく、接続相手を簡単に切換可能な無線通信の特性上、ある通信機に対してどの通信機が通信しているか否かをオペレータが直感的に理解することは困難である。
【0089】
次に、上記の安全信号システム20の運用を開始する前に必要となる通信許容相手の登録作業について詳細に説明する。以下では携帯型リモコン6を例として登録作業を説明しているが、固定型リモコン4に関する登録作業についても実質的に同様である。
【0090】
通信許容相手の登録とは、固定型リモコン4、携帯型リモコン6及び第2受信部22において、自機との通信を許容できる相手の識別情報を、オペレータが確認できる状況で事前に登録することである。相手の識別情報を互いに登録することで、2つの通信機の間で、安全信号システム20を運用するための無線通信を行うことができるようになる。
【0091】
識別情報の形式は携帯型リモコン6及び第2受信部22を一意に識別できる限り任意であるが、本実施形態では、MACアドレスを適宜加工した情報が識別情報として用いられている。以下では、この識別情報をIDと呼ぶことがある。携帯型リモコン6のIDは、操作側通信機識別情報であるということができ、第2受信部22のIDは、機械側通信機識別情報であるということができる。
【0092】
詳細は後述するが、本実施形態では、携帯型リモコン6における第2受信部22のIDの登録作業と、第2受信部22における携帯型リモコン6のIDの登録作業と、を意図的に分離して、携帯型リモコン6及び第2受信部22のそれぞれにおいて個別に行っている。このように、通信を許容する相手の登録を一方通行的に双方から行うことで、確認の機会を多く確保することができる。この結果、オペレータが予期せぬ通信機を通信許容相手として登録してしまうことを確実に回避することができる。
【0093】
先に、携帯型リモコン6Aに、第2受信部22AのIDを通信相手候補として登録する作業を説明する。携帯型リモコン6A及び第2受信部22Aは、複数の携帯型リモコン6及び第2受信部22の中から、互いに通信をさせる相手としてオペレータにより一意に選択されたものである。
【0094】
オペレータは、タブレット5を起動して、登録作業のプログラムを実行する。このプログラムはウィザード形式で各種設定を行うことが可能なアプリケーションであり、タブレット5に予めインストールされている。
【0095】
プログラムがタブレット5に表示させる案内に従って、オペレータは、図5に示すように、USBケーブル8を介して、タブレット5と第2受信部22Aとを接続する。その後、オペレータは、タブレット5と有線で接続された状態の第2受信部22Aを保守モードで起動する。
【0096】
タブレット5側のプログラムは、第2受信部22Aの起動、及び、当該第2受信部22Aとタブレット5との接続を確認できるまで待機する。その後、タブレット5側のプログラムは、各種の操作ができる状態になる。その後、オペレータはタブレット5を操作して、第2受信部22AのIDをタブレット5に出力させる。このときの出力は、USBケーブル8を用いたデータ通信により行われる。タブレット5は、入力されたIDを記憶する。
【0097】
タブレット5が第2受信部22AのIDを取得した後、オペレータは、プログラムがタブレット5に表示させる案内に従って、第2受信部22Aとタブレット5とを接続しているUSBケーブル8を取り外す。その後、オペレータは、携帯型リモコン6Aが備えるUSBケーブル64を図7に示すようにタブレット5に接続し、携帯型リモコン6Aを保守モードで起動する。
【0098】
タブレット5側のプログラムは、携帯型リモコン6Aの起動、及び、当該携帯型リモコン6Aとタブレット5との接続を確認できるまで待機する。その後、タブレット5側のプログラムは、各種の操作ができる状態になる。オペレータはタブレット5を適宜操作して、タブレット5に記憶された第2受信部22AのIDを携帯型リモコン6Aに入力する(機械側通信機識別情報入力ステップ)。このときの入力は、USBケーブル64を用いたデータ通信により行われる。
【0099】
このように、第2受信部22AのIDを、タブレット5を媒介させて、携帯型リモコン6Aに入力することができる。この過程でUSBケーブル8,64を物理的に接続する作業をオペレータに行わせることで、相互に通信を許容させたい通信機同士の対応に関するリアルな意識付けを行うことができる。この結果、意図しない第2受信部22(言い換えれば、他のスタッカクレーン12に設けられた第2受信部22)のIDを携帯型リモコン6Aに誤って入力したり、第2受信部22AのIDを意図しない携帯型リモコン6に誤って入力したりするのを回避することができる。
【0100】
第2受信部22AのIDを携帯型リモコン6Aに入力した後、タブレット5側のプログラムは、携帯型リモコン6Aを起点とする送信機側無線通信テストを行う。以下、図9を参照して、送信機側無線通信テストを説明する。
【0101】
最初に、オペレータがタブレット5を操作して、送信機側無線通信テストの開始を指示する(ステップS101)。この操作は、例えば、タブレット5に表示された接続テスト等のアイコンをオペレータがタップすることにより実現される。タブレット5は、オペレータの操作に応じて、接続テスト開始指示を携帯型リモコン6Aに出力する(ステップS102)。この指示の出力は、USBケーブル64を通じて行われる。
【0102】
携帯型リモコン6Aは、タブレット5から入力された無線通信テスト開始指示に従って、先ほど入力された第2受信部22AのID(以下、照合テストIDと呼ぶことがある。)、及び携帯型リモコン6A自身のIDを含むテストフレーム(第1テスト信号)を第2受信部22Aに無線送信する(ステップS103)。このステップS103は、第1テスト信号送信ステップに相当する。
【0103】
第2受信部22Aは、テストフレームを携帯型リモコン6Aから受信すると、当該テストフレームに含まれる照合テストIDと、第2受信部22A自身のIDと、を照合して、両者が一致するか否かを判定する(ステップS104、第1識別情報照合ステップ)。第2受信部22Aは、上記の判定結果である照合結果(第1判定結果)、及び、第2受信部22A自身のIDを含む信号を、テストフレームヘの返答として携帯型リモコン6Aに無線送信する(ステップS105)。このステップS105は、第1判定結果送信ステップに相当する。
【0104】
携帯型リモコン6Aは、第2受信部22Aから受信した信号に含まれる照合結果が、照合テストIDと第2受信部22AのIDが一致することを示していたか否かを判定する(ステップS106)。
【0105】
ステップS106において、受信した照合結果が両IDの一致を示していない場合、携帯型リモコン6Aはテストが失敗したことを示す情報をタブレット5に出力する。タブレット5は、これに応じて、テストが失敗した旨を表示する(ステップS107)。
【0106】
ステップS106において、受信した照合結果が両IDの一致を示している場合、携帯型リモコン6Aは、第2受信部22Aのステータスランプを例えば赤く点灯させる指示である第1告知情報出力指示を第2受信部22Aに無線送信する(ステップS108)。このステップS108は、第1告知情報出力指示送信ステップに相当する。
【0107】
第2受信部22Aは、携帯型リモコン6Aから受信した第1告知情報出力指示に従って、第2受信部状態表示部23のステータスランプを赤く点灯させる(ステップS109)。このステップS109は、第1告知情報出力ステップに相当する。
【0108】
自動倉庫1が第2受信部22を複数備えていても、ステータスランプが赤く点灯するのは、オペレータが携帯型リモコン6Aの通信相手として意図している第2受信部22Aだけである。従って、オペレータは、ステータスランプを見ることで、当該第2受信部22Aを通信許容相手として明確に認識することができる。
【0109】
携帯型リモコン6Aは、ステップS106において受信した照合結果が両IDの一致を示していたことをタブレット5に出力する。これに応じて、タブレット5は、テストが成功したことを表示するとともに(ステップS110)、オペレータの所定の操作(第1操作)を要求する第1操作指示を表示する(ステップS111)。なお、当該第1操作指示の表示は、例えば「通信相手として登録したい第2受信部22Aのステータスランプが赤く点灯していることを確認し、確認ボタン27を押してください」というメッセージとすることが考えられる。従って、この場合の第1操作とは、確認ボタン27を押すことである。
【0110】
オペレータは、タブレット5で表示されたメッセージに従って、第2受信部22Aの確認ボタン27を押す(ステップS112)。これにより、第2受信部22Aは、確認ボタン27の操作が完了したことを示す第1操作完了信号を携帯型リモコン6Aに無線送信する(ステップS113)。このステップS113は、第1操作完了信号送信ステップに相当する。その後、第2受信部22Aは、第2受信部状態表示部23のステータスランプを消灯させる(ステップS114)。
【0111】
携帯型リモコン6Aは、第2受信部22Aから第1操作完了信号を受信すると、上記のように行った送信機側通信テストが成功したと判定し、入力された第2受信部22AのIDを、接続を許容する相手として仮登録する(ステップS115、機械側通信機識別情報登録ステップ)。その後、処理が終了する(ステップS116)。なお、ステップS115ではIDは仮登録状態であり、その後、図10のステップS219においてIDの登録が確定する。
【0112】
このように、本実施形態では、通信許容相手の登録にあたって、以下の(1)~(3)のプロセスに従って接続テストが行われる。(1)送信機である携帯型リモコン6Aは、通信相手の候補として登録する予定のIDを、受信機である第2受信部22Aに送信する。(2)第2受信部22Aは、受信したIDが第2受信部22A自身のIDと一致するか否かを確認し、その結果を携帯型リモコン6Aに送信する。(3)携帯型リモコン6Aは、第2受信部22Aから受信した結果を確認する。これにより、予期せぬ第2受信部22のIDを誤って登録することを確実に回避することができる。
【0113】
また、上記の接続テストに付随して、通信許容相手として登録する予定の通信機のランプを点灯させたり、オペレータが当該通信機を物理的に操作することを要求したりすることで、登録する予定の第2受信部22Aがオペレータの意図どおりであるか否かをオペレータ自身が確認する機会を確保している。従って、通信許容相手の誤登録を一層確実に回避することができる。
【0114】
次に、受信機である第2受信部22Aに、オペレータが意図する携帯型リモコン6AのIDを通信許容相手として登録する作業を説明する。オペレータは、基本的には、携帯型リモコン6Aと第2受信部22Aとを入れ替えて、上記と類似した作業を再度行うことになる。
【0115】
具体的に説明する。プログラムがタブレット5に表示させる案内に従って、オペレータは、図7に示すように携帯型リモコン6AのUSBケーブル64をタブレット5に接続し、携帯型リモコン6Aを保守モードで起動する。その後、オペレータはタブレット5を適宜操作して、携帯型リモコン6AのIDをタブレット5に出力させる。このときの出力は、USBケーブル64を用いたデータ通信により行われる。タブレット5は、入力されたIDを記憶する。
【0116】
タブレット5が携帯型リモコン6AのIDを取得した後、オペレータは、プログラムがタブレット5に表示させる案内に従って、USBケーブル64を取り外す。その後、オペレータは、図5に示すようにUSBケーブル8を用いてタブレット5と第2受信部22Aとを接続し、第2受信部22Aを保守モードで起動する。
【0117】
その後、オペレータはタブレット5を適宜操作して、タブレット5に記憶された携帯型リモコン6AのIDを第2受信部22Aに入力する(操作側通信機識別情報入力ステップ)。このときの入力は、USBケーブル8を用いたデータ通信により行われる。
【0118】
このように、携帯型リモコン6AのIDを、タブレット5を媒介させて、第2受信部22Aに入力することができる。この過程でUSBケーブル64,8を物理的に接続する作業をオペレータに行わせることで、通信を許容し合う関係のリアルな意識付けを行うことができる。この結果、通信許容相手の誤登録を回避することができる。
【0119】
携帯型リモコン6AのIDを第2受信部22Aに入力した後、タブレット5側のプログラムは、第2受信部22Aを起点とする受信機側無線通信テストを行う。以下、図10を参照して、受信機側無線通信テストを説明する。
【0120】
最初に、オペレータがタブレット5を操作して、受信機側無線通信テストの開始を指示する(ステップS201)。この操作は、例えば、タブレット5に表示された接続テスト等のアイコンをオペレータがタップすることにより実現される。タブレット5は、オペレータの操作に応じて、接続テスト開始指示を第2受信部22Aに出力する(ステップS202)。この指示の出力は、USBケーブル8を通じて行われる。
【0121】
第2受信部22Aは、タブレット5から入力された無線通信テスト開始指示に従って、先ほど入力された携帯型リモコン6AのID(以下、照合テストIDということがある。)、及び第2受信部22A自身のIDを含むテストフレーム(第2テスト信号)を携帯型リモコン6Aに無線送信する(ステップS203)。このステップS203は、第2テスト信号送信ステップに相当する。
【0122】
携帯型リモコン6Aは、テストフレームを第2受信部22Aから受信すると、当該テストフレームに含まれる照合テストIDと、携帯型リモコン6A自身のIDと、を照合して、両者が一致するか否かを判定する(ステップS204、第2識別情報照合ステップ)。携帯型リモコン6Aは、上記の判定結果である照合結果(第2判定結果)、及び、携帯型リモコン6A自身のIDを含む信号を、テストフレームへの返答として第2受信部22Aに無線送信する(ステップS205)。このステップS205は、第2判定結果送信ステップに相当する。
【0123】
第2受信部22Aは、携帯型リモコン6Aから受信した信号に含まれる照合結果が、照合テストIDと携帯型リモコン6AのIDが一致することを示していたか否かを判定する(ステップS206)。
【0124】
ステップS206において、受信した照合結果が両IDの一致を示していない場合、第2受信部22Aはテストが失敗したことを示す情報をタブレット5に出力する。タブレット5は、これに応じて、テストが失敗した旨を表示する(ステップS207)。
【0125】
ステップS206において、受信した照合結果が両IDの一致を示している場合、第2受信部22Aは、携帯型リモコン6Aのステータスランプを例えば赤く点灯させる指示である第2告知情報出力指示を携帯型リモコン6Aに無線送信する(ステップS208)。このステップS208は、第2告知情報出力指示送信ステップに相当する。
【0126】
携帯型リモコン6Aは、第2受信部22Aから受信した第2告知情報出力指示に従って、携帯型リモコン状態表示部60のステータスランプを赤く点灯させる(ステップS209)。このステップS209は、第2告知情報出力ステップに相当する。
【0127】
自動倉庫1が携帯型リモコン6を複数備えていても、ステータスランプが赤く点灯するのは、オペレータが第2受信部22Aの通信相手として意図している携帯型リモコン6Aだけである。従って、オペレータは、ステータスランプを見ることで、当該携帯型リモコン6Aを通信許容相手として明確に認識することができる。
【0128】
第2受信部22Aは、ステップS206において受信した照合結果が両IDの一致を示していたことをタブレット5に出力する。これに応じて、タブレット5は、テストが成功したことを表示するとともに(ステップS210)、オペレータの所定の操作(第2操作)を要求する第2操作指示を表示する(ステップS211)。なお、当該第2操作指示の表示は、例えば「通信相手として登録したい携帯型リモコン6Aのステータスランプが赤く点灯していることを確認し、携帯側非常停止スイッチ66を押してください」というメッセージとすることが考えられる。従って、この場合の第2操作とは、携帯側非常停止スイッチ66を押すことである。
【0129】
オペレータは、タブレット5で表示されたメッセージに従って、携帯型リモコン6Aの携帯側非常停止スイッチ66を押す(ステップS212)。これにより、携帯型リモコン6Aは、携帯側非常停止スイッチ66の操作が完了したことを示す第2操作完了信号を第2受信部22Aに無線送信する(ステップS213)。このステップS213は、第2操作完了信号送信ステップに相当する。その後、携帯型リモコン6Aは、携帯型リモコン状態表示部60のステータスランプを消灯させる(ステップS214)。
【0130】
第2受信部22Aは、携帯型リモコン6Aから第2操作完了信号を受信すると、上記のように行った受信機側通信テストが成功したと判定し、入力された携帯型リモコン6AのIDを通信許容相手として仮登録する(ステップS215、操作側通信機識別情報登録ステップ)。その後、第2受信部22Aは、一連の無線テスト通信が終了したことを示す終了通知を携帯型リモコン6Aに送信した後(ステップS216)、ステップS215で仮登録したIDの登録を確定し(ステップS217)、処理を終了する(ステップS218)。携帯型リモコン6Aは、ステップS216の終了通知を第2受信部22Aから受信すると、ステップS115で仮登録したIDの登録を確定する(ステップS219)。
【0131】
このように、本実施形態では、携帯型リモコン6A及び第2受信部22Aにおいて通信を許容する相手のIDを登録する作業を、1回の無線通信テストに纏めない。即ち、携帯型リモコン6Aと第2受信部22Aとのそれぞれにおいて、無線通信テストを個別に行わせながら、通信許容相手のIDを登録する。これにより、オペレータによる確認の機会が実質的に2方向で確保されるので、通信許容相手の登録の正確性を高めることができる。従って、オペレータが意図しない通信機の間で通信することを確実に回避できる。
【0132】
本実施形態において、携帯型リモコン6には、1つにつき複数の第2受信部22を、通信許容相手として登録することができる。この場合、オペレータは、1つの携帯型リモコン6を操作して、通信相手の第2受信部22を切り換えながら指示することができる。従って、携帯型リモコン6の汎用性を高めることができる。
【0133】
具体的に説明すると、オペレータは、図7のように携帯型リモコン6に装着された状態のタブレット5を操作して、携帯型リモコン6に関して予め登録された通信許容相手の中から、1つの第2受信部22を接続相手として選ぶ。これにより、携帯型リモコン6の接続相手となる第2受信部22(ひいては、操作対象となるスタッカクレーン12のクレーンコントローラ2)が確定する。1台の携帯型リモコン6の接続相手が1台の第2受信部22に確定した状態を、1対1のペアを形成した状態であると捉えて、ペアリング状態と呼ぶことができる。従って、前述の通信許容相手は、ペアリング状態となる相手の候補(ペアリング候補)ということもできる。
【0134】
第2受信部22には、1つにつき複数の携帯型リモコン6又は固定型リモコン4を、通信許容相手として登録することができる。従って、オペレータは、第2受信部22と通信している携帯型リモコン6又は固定型リモコン4の何れかを操作することで、対応するスタッカクレーン12を停止させる等の指示を行うことができる。
【0135】
固定型リモコン4には、1つにつき1つだけの第2受信部22を、通信許容相手として登録することができる。固定型リモコン4は携帯型リモコン6と違って固定的に設置されることを考慮して、固定型リモコン4に関してはペアリング相手の第2受信部22を変更できないようにすることで、シンプルな操作を実現することができる。
【0136】
携帯型リモコン6又は第2受信部22に通信許容相手を複数登録するには、相手の通信機を変えながら、上述の登録作業を反復すれば良い。
【0137】
このように、通信を許容する通信機同士において相手のIDを確認することができるとともに、無線通信のテストも行うことで、無線通信を何れも確立できる状態を準備することができる。
【0138】
上記のように、携帯型リモコン6(固定型リモコン4)と第2受信部22との間で無線通信を許容する相手として相互に登録した後、携帯型リモコン6(固定型リモコン4)及び第2受信部22のそれぞれを通常モードに切り換えて、携帯型リモコン6(固定型リモコン4)と第2受信部22との間でペアリングを行い、無線通信を開始させる。
【0139】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0140】
図9及び図10に示す接続テストの前に、携帯型リモコン6と第2受信部22とを、タブレット5を媒介させずにケーブルを介して直接接続し、それぞれのIDを交換するように構成することもできる。この場合、ケーブルを繋ぎ直す作業を簡素化できる。
【0141】
1台の携帯型リモコン6につき、イネーブルスイッチ65を複数(例えば2つ)設けても良い。
【0142】
通信許容相手の登録作業は、携帯型リモコン6Aと第2受信部22Aのうちどちらが先に行われても良い。
【0143】
第1告知情報及び第2告知情報の出力は、ランプを赤でなく他の色で点灯させたり、点灯の代わりに点滅させたりすることで実現しても良い。また、第1告知情報及び第2告知情報の出力は、ランプの代わりに、ディスプレイに出力したり、スピーカーに出力したりすることで実現することもできる。ディスプレイに表示する場合、第2受信部22及び携帯型リモコン6(固定型リモコン4)のそれぞれにディスプレイを備えても良いし、外部のディスプレイと接続しても良い。
【0144】
USBケーブル64,8に代えて、他の規格の有線ケーブルによってIDの入出力等のデータ通信を実現することもできる。
【0145】
接続を許容する相手のIDは、相手の通信機からUSBケーブル64,8を介してタブレット5に入力することに代えて、例えばオペレータがIDをタブレット5に直接入力するように構成することもできる。
【0146】
安全信号システム20は、スタッカクレーン12以外の産業用機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0147】
4 固定型リモコン(操作側通信機)
5 タブレット(携帯端末)
6,6A 携帯型リモコン(操作側通信機)
8 USBケーブル(有線ケーブル)
12 スタッカクレーン(産業用機械)
22,22A 第2受信部(機械側通信機)
64 USBケーブル(有線ケーブル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10