(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】自動車運行管理システム及びその自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20220630BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20220630BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20220630BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/30
G06Q10/02
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2018201594
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡村 雅
(72)【発明者】
【氏名】岡田 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】西村 一眞
(72)【発明者】
【氏名】丸子 敬生
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298453(JP,A)
【文献】特開2013-218376(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0032503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理者が、運行便について、複数のドライバーの中から担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行い、ユーザがその運行便に対して乗車予約した上で乗車する自動車運行管理システムにおいて、
前記運行便の運行管理を行う運行管理装置が備えられ、
前記運行管理装置には、
前記運行便に関連する情報が入力されたとき、該運行便に関連する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から、前記運行便に関連する情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した情報から用語を抽出する用語抽出部と、
前記用語抽出部が抽出した用語から用語を選択し、該選択した用語を決定用語とする用語決定部と、
前記用語決定部が決定した
決定用語を、前記運行便の運行便名として、該運行便名に含めた状態で設定する便名設定部と、
が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記用語決定部が、前記用語抽出部が抽出した用語を、出発地に属する区分、目的地に属する区分、目的に属する区分、運行ルート上のランドマークに属する区分、出発時刻に属する区分を少なくとも含む区分に分類する用語分類部と、該用語分類部が分類した区分に対して優先順位を予め設定する優先順位設定部と、該優先順位設定部が設定する優先順位に従って、用語の存在が検出される区分のうち、優先順位が低いものよりも高いものに含まれる用語ほど決定用語として決定する決定用語判断部と、を備えている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記記憶部が、前記運行便に関連する情報の一つとして、前記運行便に対する二人以上の乗車予約ユーザに関連する情報を記憶したことを条件に、前記用語分類部が乗車予約ユーザの共通属性に属する区分を加えるように設定されている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記記憶部が、前記運行便に関連する情報の一つとして、前記運行便に対する二人以上の乗車予約ユーザに関連する情報を記憶したことを条件に、前記用語決定部が、共通用語のうち、その共通用語を構成する用語の数が多いものを少ないものよりも前記決定用語として決定するように設定されている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記運行管理装置に対して通信可能とされ
管理者により操作される管理用端末が備えられ、
前記運行管理装置に、前記運行便に関連する情報として、乗車予約に関連する情報が入力されたとき、前記用語抽出部が抽出した用語情報と、前記管理用端末において、該用語情報から用語を選択して該用語を前記運行管理装置に送信する用語送信表示を表示させる用語送信表示情報と、を配信する用語決定関連情報配信部が、備えられ、
前記用語決定部が、前記管理者が前記用語送信表示を用いて送信した用語を、前記決定用語と決定するように設定されている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記記憶部が、愛称、普通名称、擬音語、擬態語を記憶するように設定され、
前記運行管理装置に、前記記憶部から、愛称、普通名称、擬音語、擬態語のいずれかの語を引き出して、該語を付加語として、前記用語決定部が決定した
決定用語に付加する付加語付加部が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記記憶部に、ドライバー情報として、それぞれ異なる愛称又は普通名称(一般名称、略称、俗称)が複数の各ドライバーに関連付けた状態で記憶され、
前記運行管理装置には、前記管理者によって前記運行便に対するドライバーの指定情報が入力された後に、該ドライバーに対応する愛称又は普通名称を、前記用語決定部が決定した
決定用語に付加する付加語付加部が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項において、
前記運行管理装置には、運行便の運行便名の最後に、車両に用いられる接尾辞を付加する接尾辞付加部が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項において、
前記運行便に、前記運行管理装置に対して通信可能とされる車載端末が備えられ、
前記運行管理装置には、前記便名設定部が設定した運行便名を前記車載端末に配信する運行便名配信部が備えられ、
前記車載端末は、前記運行便の運行時に、前記運行便名配信部が配信した運行便名を表示するように設定されている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項10】
管理者が、運行便について、複数のドライバーの中から担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行い、ユーザがその運行便に対して乗車予約した上で乗車する自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置おいて、
前記運行便に関連する情報が入力されたとき、該運行便に関連する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から、前記運行便に関連する情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した情報から用語を抽出する用語抽出部と、
前記用語抽出部が抽出した用語から用語を選択し、該選択した用語を決定用語とする用語決定部と、
前記用語決定部が決定した
決定用語を、前記運行便の運行便名として、該運行便名に含めた状態で設定する便名設定部と、
が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車運行管理システム及びその自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車運行管理システムには、特許文献1、特許文献2に示すようなものが提案されて
いる。具体的には、特許文献1には、同一の車両によって複数種類の乗車形態での乗車便が提供される輸送サービスに関して、実現可能な乗車便群の部分集合のうち、所定条件を満たす部分集合ごとに、当該部分集合を構成する乗車便の選択確率が算出され、その算出された選択確率に基づいて、乗車便の組み合わせが選択され、選択された組み合わせが利用者に提示されるものが示されている。このものによれば、単に、乗車要求を満たすことが可能な乗車便を列挙する場合に比べて、経済的効果の向上を期待できる選択肢を利用者に提示することができる。特許文献2には、利用者に提示される乗車便の組み合わせの選択に際し、選択確率および将来に受信する乗車要求数の期待値に基づいて、利益の期待値又は効用の期待値が最大化される組み合わせが選択されるものが示されている。これよれば、輸送サービスの提供者の利益、又は利用者の効用の観点において望ましい乗車便の組み合わせを利用者に提示することができる。
【0003】
ところで、地方では、高齢化、人口減少等、多くの問題を抱えており、交通空白地域においては、交通弱者は、通院や買い物等になくてはならない移動が奪われている。このため、交通空白地域の人々に必要不可欠な交通手段として、自家用自動車による有償運送が着目されている。この自家用自動車による有償運送は、交通空白地域に、単に、必要不可欠な交通手段を提供するだけでなく、豊かな地域の維持、創造を通じて地域の活性化を図る可能性を秘めており、その有効な活用が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-238831号公報
【文献】特開2016-085734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような自家用自動車による有償運送において用いられる車両は、自家用自動車であり、その車種はさまざまであるばかりか、その車両は、固有の名前を有するものでも、行先表示を備えるものでもない。このため、このような自家用自動車が運行便に用いられた場合、運行便について乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が、その各立場からその運行便を誤認してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、自家用自動車が運行便に用いられる場合であっても、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が、その各立場から運行便を誤認してしまうことを防止できる自動車運行管理システムを提供することにある。第2の目的は、その自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第1の目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)~(9)とした構成とされている。
【0008】
(1)管理者が、運行便について、複数のドライバーの中から担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行い、ユーザがその運行便に対して乗車予約した上で乗車する自動車運行管理システムにおいて、
前記運行便の運行管理を行う運行管理装置が備えられ、
前記運行管理装置には、
前記運行便に関連する情報が入力されたとき、該運行便に関連する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から、前記運行便に関連する情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した情報から用語を抽出する用語抽出部と、
前記用語抽出部が抽出した用語から用語を選択し、該選択した用語を決定用語とする用語決定部と、
前記用語決定部が決定した決定用語を、前記運行便の運行便名として、該運行便名に含めた状態で設定する便名設定部と、
が備えられている構成とされている。
【0009】
この構成によれば、情報収集部が、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者にとって共通の情報である運行便に関連する情報を記憶部から収集し、その情報から用語を抽出し、その用語のうちから選択されたものを決定用語として運行便名に組み込むことになり、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が関係する運行便に、それらの者の認知力を高める運行便名が付されることになる。このため、自家用自動車が運行便に用いられる場合であっても、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が、その各立場から運行便を誤認することを防止できる。
【0010】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記用語決定部が、前記用語抽出部が抽出した用語を、出発地に属する区分、目的地に属する区分、目的に属する区分、運行ルート上のランドマークに属する区分、出発時刻に属する区分を少なくとも含む区分に分類する用語分類部と、該用語分類部が分類した区分に対して優先順位を予め設定する優先順位設定部と、該優先順位設定部が設定する優先順位に従って、用語の存在が検出される区分のうち、優先順位が低いものよりも高いものに含まれる用語ほど決定用語として決定する決定用語判断部と、を備えている構成とされている。
【0011】
この構成によれば、運行便名を設定するに当たり、用語分類部が、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者にとって認知力が高い傾向にある区分を用いて、その各区分に、用語抽出部が抽出した用語を分け、優先順位設定部が、その各区分に対して過去の経験(値)を活かして優先順位を付けることができることになり、決定用語判断部は、その優先順位の高い区分に属する用語を決定用語として的確に決定することができる。このため、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が関係する運行便に、それらの者の認知力を的確に高めることができる運行便名を付すことができる。
【0012】
(3)前記(2)の構成の下で、
前記記憶部が、前記運行便に関連する情報の一つとして、前記運行便に対する二人以上の乗車予約ユーザに関連する情報を記憶したことを条件に、前記用語分類部が乗車予約ユーザの共通属性に属する区分を加えるように設定されている構成とされている。
【0013】
この構成によれば、情報収集部が、運行便に対する二人以上の乗車予約ユーザに関連する情報も記憶部から収集し、その情報から抽出された用語を、乗車予約ユーザの共通属性に属する区分に属させることができ、その用語が決定用語として決定されることを、優先順位設定部の優先順位の設定により反映させることができる。このため、当該運行便に、乗車予約ユーザの認知力を相対的に高めることを重視した運行便名を付けることができる。
【0014】
(4)前記(1)の構成の下で、
前記記憶部が、前記運行便に関連する情報の一つとして、前記運行便に対する二人以上の乗車予約ユーザに関連する情報を記憶したことを条件に、前記用語決定部が、共通用語のうち、その共通用語を構成する用語の数が多いものを少ないものよりも前記決定用語として決定するように設定されている構成とされている。
【0015】
この構成によれば、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者にとって、決定用語が、より認知力が高められる共通の用語に絞り込まれることになり、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が、運行便を誤認することを確実に防止できる。
【0016】
(5)前記(1)の構成の下で、
前記運行管理装置に対して通信可能とされ管理者により操作される管理用端末が備えられ、
前記運行管理装置に、前記運行便に関連する情報として、乗車予約に関連する情報が入力されたとき、前記用語抽出部が抽出した用語情報と、前記管理用端末において、該用語情報から用語を選択して該用語を前記運行管理装置に送信する用語送信表示を表示させる用語送信表示情報と、を配信する用語決定関連情報配信部が、備えられ、
前記用語決定部が、前記管理者が前記用語送信表示を用いて送信した用語を、前記決定用語と決定するように設定されている構成されている。
【0017】
この構成によれば、運行管理装置に乗車予約に関連する情報が入力されると、管理用端末において、用語抽出部が抽出した用語情報と、それから選択した用語を送信するための用語送信表示とが表示され、管理者が、用語送信表示を選択操作することによって、選択した用語を送信すれば、その用語が決定用語として決定されることになり、地域事情等をよく知っている管理者の特性を、決定用語の決定(運行便名の設定)に反映させることができる。
【0018】
(6)前記(1)~(5)のいずれかの構成の下で、
前記記憶部が、愛称、普通名称、擬音語、擬態語を記憶するように設定され、
前記運行管理装置に、前記記憶部から、愛称、普通名称、擬音語、擬態語のいずれかの語を引き出して、該語を付加語として、前記用語決定部が決定した決定用語に付加する付加語付加部が備えられている構成とされている。
【0019】
この構成によれば、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者にとって、認知力が高められるだけでなく、無機的でなく親しみのある運行便名とすることができ、運行便の誤認を確実に防止できると共に、当該運行サービスの印象を向上させることができる。
【0020】
(7)前記(1)~(5)のいずれかの構成の下で、
前記記憶部に、ドライバー情報として、それぞれ異なる愛称又は普通名称(一般名称、略称、俗称)が複数の各ドライバーに関連付けた状態で記憶され、
前記運行管理装置には、前記管理者によって前記運行便に対するドライバーの指定情報が入力された後に、該ドライバーに対応する愛称又は普通名称を、前記用語決定部が決定した決定用語に付加する付加語付加部が備えられている構成とされている。
【0021】
この構成によれば、高い認知力と親しみのある運行便名とするだけでなく、運行を重ねるうちに、用語決定部が決定した決定用語に付加される愛称又は普通名称をもって、乗車予約ユーザ及び管理者は、ドライバーに対する印象を高めることになり、そのドライバーに対する親近感を高めて、ドライバーを含めて地域の交流の活発化を図る上で好ましいものにできる。また、ドライバーにとっては、運行便の運行状況に触れるに際して、運行便名をもっても自己の担当を確認することができ、運行便の誤認防止を図る上において好ましいものとすることができる。
【0022】
(8)前記(1)~(7)のいずれかの構成の下で、
前記運行管理装置には、運行便の運行便名の最後に、車両に用いられる接尾辞を付加する接尾辞付加部が備えられている構成とされている。
【0023】
この構成によれば、高い認知力と親しみを持たせつつも、車両による運行便名として間違いのないものを付与できることになる。
【0024】
(9)前記(1)~(8)のいずれかの構成の下で、
前記運行便に、前記運行管理装置に対して通信可能とされる車載端末が備えられ、
前記運行管理装置には、前記便名設定部が設定した運行便名を前記車載端末に配信する運行便名配信部が備えられ、
前記車載端末は、前記運行便の運行時に、前記運行便名配信部が配信した運行便名を表示するように設定されている構成とされている。
【0025】
この構成によれば、車載端末を利用して、運行時に、当該運行便の運行便名を表示することができ、乗車予約ユーザにとっては、乗車時に、予約した運行便であることを確認でき、担当ドライバーにとっては、当該運行便を特定する表示道具を用意しなければならない手間を省くことができる。
【0026】
前記第2の目的を達成するために本発明にあっては、下記(10)とした構成とされている。
【0027】
(10)管理者が、運行便について、複数のドライバーの中から担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行い、ユーザがその運行便に対して乗車予約した上で乗車する自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置おいて、
前記運行便に関連する情報が入力されたとき、該運行便に関連する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から、前記運行便に関連する情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した情報から用語を抽出する用語抽出部と、
前記用語抽出部が抽出した用語から用語を選択し、該選択した用語を決定用語とする用語決定部と、
前記用語決定部が決定した決定用語を、前記運行便の運行便名として、該運行便名に含めた状態で設定する便名設定部と、
が備えられている構成とされている。
【0028】
この構成によれば、前述の(1)において用いられる運行管理装置として好ましいものを提供できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、自家用自動車が運行便に用いられる場合であっても、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が、その各立場から運行便を誤認してしまうことを防止できる自動車運行管理システム及びその自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】定時定路運行が行われる路線例を説明する説明図。
【
図2】デマンド運行が行われる路線例を説明する説明図。
【
図3】実施形態に係る運行管理サービスサイトと関係者等との関係を示す概念図。
【
図4】管理用端末で表示される管理画面の一つを示す図。
【
図5】ユーザ端末に表示される乗車予約申請の内容の下で、乗車予約(送信)を行う状態を示す図。
【
図6】ユーザ端末に届く運行車両の到達時刻通知等を示す図。
【
図7】ドライバー端末に表示される8月における担当日確認表示を示す図。
【
図8】ドライバー端末に届く担当日前日通知を示す図。
【
図9】第1実施形態に係る自動車運行管理システムの機能構成の概略を示すブロック図。
【
図10】第1実施形態に係る管理サイトにおける演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図11】第1実施形態に係る管理用端末における演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図12】第1実施形態に係るユーザ端末における演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図13】第1実施形態に係る車載端末における演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図14】管理サイトにおける第1実施形態に係る運行便名の設定処理を示すフローチャート。
【
図15】ユーザ端末において、当初の仮の運行便名が、運行便名の設定処理後には、変更になることを説明する説明図。
【
図16】第1実施形態に係る用語分類処理を示すフローチャート。
【
図17】第1実施形態に係る優先順位設定処理を示すフローチャート。
【
図19】第2実施形態に係る管理サイトにおける演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図20】第3実施形態に係る管理サイトにおける演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図21】第3実施形態として、管理用端末に、用語抽出部が抽出した用語と、用語送信表示とが表示される状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施形態においては、交通空白地域での車両の運行に用いられる自動車運行管理システムを例にとって説明する。
【0033】
先ず、車両の運行が行われる地域内容、及びその地域で行われる車両運行の基本的内容について、説明する。
【0034】
図1は、車両運行の一態様である定時定路線運行が行われる路線例を示すものである。
図1中、D1は、片道1車線(往復で2車線)の道路である。この道路D1は、鉄道路線Rにおける所定の駅Raを通るもので、この地域ではメインの道路となっている。駅Raの周辺が、この地域で唯一の繁華街となっており、そこには、役場、学校等の公的施設の他、病院や歯医者等の医療施設、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、カラオケ店等々の商業施設や娯楽施設が存在している。
【0035】
道路D1に対しては、駅Raから離れた位置において、道路D2、D3が連なっている。道路D2、D3は、往復で1車線の対面通行用とされたローカルな道路となっている。この道路D2,D3沿いの地域は、山間部にあって、周囲の殆どが山や丘となる辺鄙な地域となっている。
【0036】
道路D2のうち、道路D1から遠く離れた位置において、複数の集落A1~A3が存在している。集落A1~A3は、駅Raから10km以上離れた離村となっている、道路D3は、行き止まりとなっていて、行き止まりの位置には、集落A1~A3の住民等が集うイベント会場(広場)A4が設けられている。
【0037】
集落A1~A3に居住する住民の総数は、数百名程度であるが、高齢者の割合が大きいものであり、自動車の運転をできない者も多数存在する状況となっている。そして、道路D2(つまり集落A1~A3の住民)においては、公営バスの運行はされていないものである。
【0038】
集落A1~A3の住民の交通の便を図るために、後述するように、定時定路線運行とデマンド運行とを行うこととなっている。定時定路線運行は、定時に決まった路線を走行するものである。定時定路線運行の停留所が、S1~S7として示される。停留所S1は、出発点となるもので、集落A1の住民用である。停留所S2は、集落A2の住民用である。停留所S3は、集落A3の住民用である。
【0039】
停留所S4は、道路D2がメインの道路D1と交差する位置に設定されている。停留所S5は、小学校や中学校のある位置付近に設定されている。停留所S6は、役場付近の位置に設定されている。停留所S7は、定時定路線運行の終点で、駅Ra付近に設定されている。このように、定時定路線運行の路線は、停留所S1から、S2、S3、S4、S5、S6を経て、終点のS7へ到達する経路とされる。帰りの便は、上記とは逆の経路をたどることになる。なお、定時定路線運行の運行便数は、例えば、往復共に、例えば朝2便、昼1便、夕方2便とされている。
【0040】
定時定路線運行の変形として、臨時運行(臨時便)が適宜行われる。この臨時運行は、イベント会場A4で催し物(例えば盆踊り、花火大会、芋煮会等)が開催されるときにのみ行われる。この臨時運行の経路は、停留所S1から、S2,S3,S4を経て、停留所S8へ至る経路とされる(復路はこの逆)。臨時運行は、イベント開催日に、あらかじめ設定された定時に停留所S1を出発する便とされる。
【0041】
臨時運行を含む定時定路線運行およびデマンド運行は、住民同士の結束(協力)によって行われる。まず、運行を行う運行用車両は、集落A1~A3の住民が保有する自家用車を利用する他、自治体の補助や企業からの寄付等で管理を任された専用車両が用いられる。運行用車両の台数は、少なくとも2台以上とされ、好ましくは10台程度が用意される。
【0042】
運行用車両の運転を行うドライバーは、集落A1~A3の住民から選ばれた者とされる。ドライバ一として選択されるには、あらかじめ事前講習(例えば半日~1日程度の講習)を受けた者であることを条件とされる。すなわち、講習内容としては、例えば、安全運転に関する知識と実技の講習、乗客(特に高齢者や幼児)に対する運行用車両への乗り降りの補助の仕方に関する講習、ドライバーに要求される運行管理に関する知識ややり方等についての講習等がある。講習を修了したドライバーは、運行用車両の運転者として、登録(氏名、住所、年齢、性別、電話番号、運転する運行用車両の種別等の登録)される。
【0043】
図2は、デマンド運行が行われた場合の一例を示すものである。
図2中P1は、デマンド運行を乗車予約した乗客であり、P2、P3は、この乗車予約されたデマンド運行(の運行用車両)に相乗りを希望した乗客である。デマンド運行は、乗客の希望に応じた出発地と目的地と経路とを自由に選択できる。
図2では、乗車予約した乗客P1の自宅(付近)を出発地として、乗客P2の自宅付近、乗客P3の自宅付近を経由して、停留所S4方向に向かう場合が示される。
【0044】
乗客P1の最寄りの停留所はS2であり、乗客P1の自宅から停留所S2までの徒歩での移動経路α1が破線で示される。同様に、乗客P2の最寄りの停留所はS3であり、乗客P2の自宅から停留所S3までの徒歩での移動経路α2が破線で示される。乗客P3の最寄りの停留所もS3であり、乗客P3の自宅から停留所S3までの徒歩での移動経路α
3が破線で示される。
【0045】
乗客P1~P3にとって、最寄りの停留所までの移動時間あるいは移動距離が長い場合は、停留所までの歩行が大変となる。このため、停留所までの歩行を避けるために、デマンド運行を要求する可能性(必要性)が高いものとなる。デマンド運行を利用するときの料金は、定時定路線運行を利用するときの料金よりも割高となるが、停留所までの移動時間や移動距離を考慮して、定時定路線運行を利用するか、デマンド運行を利用するか判断されることになる。
【0046】
ここで、定時定路線運行あるいはデマンド運行を利用するときの料金体系の一例について説明する。まず、定時定路線運行を利用するときは、利用距離に応じた金額のみで、単位距離あたりの料金がE1(E1×利用距離)とされる。これに対して、デマンド運行を当初に乗車予約した乗客P1の利用料金は、利用距離に応じた金額が上記料金E1よりも若干割高な料金E2とされると共に、定額の基本料金EB2が別途徴収される(合計料金は、EB2+E2×利用距離)。さらに、デマンド運行に相乗りを希望した乗客P2,P3の 利用料金は、上記E2のみとされる(基本料金EB2が不要)。このように、定時定路線運行を利用する場合がもっとも安価であり、デマンド運行を当初に乗車予約した場合の料金 がもっとも高価であり、デマンド運行に相乗りする場合の料金が中間の料金となる。勿論、上記した料金は一例であって、適宜設定できるものである。
【0047】
上記車両の運行には、
図3に示すように、自動車運行管理システム1が用いられている。その自動車運行管理システム1においては、
図3で概念的に示すように、管理サイト(運行管理装置(具体的には情報処理装置としての管理サーバ))2を中心として、その管理サイト2に、管理者3、ユーザ(利用者)4、ドライバー5からなる各関係者、車両6が関わることになる。
【0048】
管理サイト2は、管理サーバとして、車両6の運行において中核をなすものである。この管理サイト2は、上記各関係者3~5からの端末を通じた要求に対して、それに応じたものを返答する。その返答において、車両6の運行ルートを演算することが関係者(管理者3)に要求された場合には、管理サイト2は、ルート演算サービスサイト7にその演算を依頼し、その結果を、要求した関係者3の端末に送ることになる。
【0049】
管理者3は、管理用端末8(パーソナルコンピュータ(PC))を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができる。管理者3は、その管理用端末8を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことにより、車両6の運行サービス全般の管理や、車両6運行中の状況情報の把握を司ることになっており、具体的には、管理用端末8を通じて、情報の管理(利用者(ユーザ)IDの登録、修正、取消、運行車両6の登録、修正、取消)、運行便の管理(運行便の作成、修正、取消、運行便の公開)、予約の管理(予約の受付、修正、取消)、運行の管理(運行状況の表示(進捗やトラブル)、運行履歴の表示、抽出)等が行われる。
図3には、管理用端末8と管理サイト2との間の代表的な情報のやり取りとして、管理用端末8から管理サイト2に対して各種登録情報が送られること、管理サイト2から管理用端末8に運行状況の確認情報が提供されることが示されている。また、
図4には、管理用端末8が管理サイト2から管理情報(運行管理情報、ドライバー管理情報、車両管理情報、ユーザ管理情報、運行状況情報)を受け取って、その閲覧に基づき管理できることが示されている。この管理者3は、例えば役場の職員や、集落A1~A3の住民の中から推薦等によって選ばれた者等、地域事情、地域の居住者状況等を通常の住人よりもよく知っている者が担当している。
【0050】
この場合、一般的にITリテラシーが低いユーザ(特に高齢者)4Sを考慮して、管理者3は、電話12、書面、直接的な口頭伝達等を通じて、そのようなユーザ4Sから利用
者登録、車両6の乗車予約等の依頼を受け付けた場合には、そのような依頼に基づき、管理者3は、その依頼に基づく手続きを管理用端末8を通じて管理サイト2に対して行う。
【0051】
ユーザ4は、ユーザ端末9(ユーザ用情報処理装置)を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができる。ユーザ4は、ユーザ端末9を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことにより、乗車予約の申請や確認、当日の車両6の運行状況の確認等を行うことができ、具体的には、ユーザ端末9を通じて、予約の申請(運行便の閲覧、乗車予約の申請、取消、予約完了通知の受領)、乗車予約の確認(乗車予約の閲覧、乗車前日の通知)、運行車両6の運行状況の把握(予約した運行便の運行状況の確認、到着予想時刻の表示、到着直前の通知)が行われる。
【0052】
図3には、ユーザ端末9と管理サイト2との間の代表的な情報のやり取りとして、ユーザ端末9から管理サイト2に対して乗車予約申請情報が送られること、管理サイト2からユーザ端末9に乗車予約確定通知、乗車前日通知の確認情報が提供されることが示されている。また、
図5には、ユーザ端末9を利用して、運行便の乗車予約を行う状態が示され、
図6には、乗車予約した車両6の到着予想時刻等が送られてきた状態を示している。
【0053】
尚、
図5中、符号9Daは、予約申請を行うための「予約申請表示(選択スイッチ)」であり、符号4aは、「予約申請表示」をタッチして選択する状態のユーザ4の手を示す。
【0054】
ドライバー5は、ドライバー端末10(ドライバー用情報処理装置)を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができる。ドライバー5は、ドライバー端末10を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことにより、運転担当に関する確認を行うことができ、具体的には、ドライバー端末10を通じて、運転担当日(シフト)の確認、運転前日の通知等が行われる(
図3参照)。その具体的表示例として、
図7には、ドライバー端末10において、運転担当日(シフト)の確認情報が表示された状態が示され(●は担当日を示す)、
図8には、ドライバー端末10に、担当運転日の前日通知が届いた状態が示されている。このドライバー5については、前述の登録内容(氏名、住所、年齢、性別、電話番号、運転する運行用車両の種別等)が管理サイト2に登録(記憶)される。
【0055】
車両6(運行車両6)には、車載端末(車両用情報処理装置、例えばタブレット端末)11が据え付けられている。この車両6を運転するドライバー5は、車載端末11を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができ、ドライバー5は、このドライバー端末10により、管理サイト2に対して運行状況の登録(出発登録、乗車完了登録、降車完了登録)、トラブル発生の登録、自車位置情報の送信、アプリケーション(アプリ(プログラム))の受信(後述)等を行うことができる(
図3参照)。
【0056】
上記管理サイト2、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11の各機能は、
図9に示すシステム構成図により実現される。
【0057】
管理サイト2には、コンピュータとしての機能を確保すべく、記憶部2Aと、演算制御部2Bと、通信部2Cとが備えられ、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11においても、同様に、それぞれ、記憶部8A,9A,10A,11Aと、演算制御部8B,9B,10B,11Bと、通信部8C,9C,10C,11Cとが備えられている。また、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11には、表示部8D,9D,10D,11Dが備えられており、そのうち、表示部9D,10D,11Dは、タッチパネル(タッチ式入力装置)とされている。管理用端末8については、パーソナルコンピュータが利用されていることから、キーボード、マウス等の入
力装置8Eが用いられている。
【0058】
より具体的には、上記管理サイト2、管理用端末8、ユーザ端末9、車載端末11及びドライバー端末10における各要素2A~2C、8A~8D、9A~9D、11A~11D、10A~10Dは、次のような構成とされている。
【0059】
管理サイト2においては、通信部2Cが、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11の各通信部8C,9C,10C,11Cとの間でそれぞれ通信可能となっており、管理サイト2は、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11との間で情報のやり取りを行うことができることになっている。記憶部2Aは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成され、その記憶部2Aには、必要な情報として、運行管理情報、ドライバー情報、ユーザ管理情報(乗車予約に関するものを含む)等の管理情報、愛称、普通名称、擬音語、擬態語の付加語情報、車両に用いられる接尾辞情報等が格納されている。
【0060】
必要な各種プログラムとしては、運行便に関連する情報(運行管理情報、ドライバー情報、ユーザ管理情報(乗車予約に関するものを含む))等を収集するもの、その収集した情報から用語を抽出するもの、その抽出した用語から用語を選択してその選択した用語を決定用語とするもの(具体的には、抽出した用語を、出発地に属する区分、目的地に属する区分、目的に属する区分、運行ルート上のランドマークに属する区分、出発時刻に属する区分、乗車予約ユーザの共通属性に属する区分を少なくとも含む区分に分類するもの、その区分に対して優先的に選択される優先順位を予め設定するもの、その優先順位に従って、用語の存在が検出される区分のうち、優先順位が低いものよりも高いものに含まれる用語ほど決定用語として決定するもの)、その決定用語を運行便の運行便名として、その運行便名に含めた状態で設定するもの、愛称、普通名称、擬音語、擬態語のいずれかの付加語を、決定用語に付加するもの、運行便名の最後に、車両に用いられる接尾辞を付加するもの、運行便名を前記車載端末に配信するもの、乗車予約を受付けるもの等が記憶部2Aに格納されている。
【0061】
演算制御部2Bは、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されており、演算制御部2Bは、記憶部2Aから読み出されたプログラムに基づき、
図10に示すように、情報収集部2Ba、用語抽出部2Bb、用語決定部2Bc(具体的には、用語分類部2Bca、優先順位設定部2Bcb、決定用語判断部2Bcc)、付加語付加部2Bd、接尾辞付加部2Be、運行便名配信部2Bf、乗車予約受付け部2Bg等として機能する。
【0062】
管理用端末8においては、記憶部8Aには、必要なプログラム(アプリケーション(アプリ)、ソフトウェア)として、管理情報等の閲覧請求、閲覧表示に関するもの等が格納されている。演算制御部8Bは、演算制御部2Bと同様、CPU(Central Processing Unit)をもって構成され、その演算制御部8Bは、
図11に示すように、記憶部8Aから読み出されたプログラムの下で、閲覧請求部8Ba、閲覧表示部8Bb等として機能する。
【0063】
ユーザ端末9においては、記憶部9Aには、必要なプログラム(アプリケーション、ソフトウェア)として、管理サイト2からの配信情報を閲覧表示させるもの、運行便の乗車予約申請を行うもの等が格納されている。演算制御部9Bは、演算制御部2B同様、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されており、演算制御部9Bは、記憶部9Aから読み出されたプログラムの下で、管理サイト2に対して、閲覧表示部9Ba、乗車予約申請部9Bb等として機能する。
【0064】
車載端末11においては、記憶部11Aには、必要なプログラム(アプリケーション、ソフトウェア)として、管理サイト2からの配信情報を閲覧表示するもの等、管理サイト
2との間で情報のやり取りを簡単に導くためのものが格納されており、演算制御部11Bは、演算制御部2B同様、CPU(Central Processing Unit)とした構成の下で、
図13に示すように、記憶部9Aから読み出されたプログラムの下で、閲覧表示部11Baとして機能する。ドライバー端末10についても、記憶部10A、演算制御部10Bに関し、基本的に、上記車載端末11と同様の構成とされている。
【0065】
このような自動車運行管理システム1においては、次のような管理制御が行われる。
図14に示すフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。尚、
図14中、符号Eはステップを示す。
【0066】
(1)この自動車運行管理システム1においては、基本的に、自家用自動車が運行便に用いられることに伴い、運行便が様々な車両となると共に担当ドライバーも異なることになることに鑑み、乗車予約したユーザ4、担当ドライバー5、さらには、管理者3が、その各立場から運行便を誤認してしまうことを防止しようとしている。このため、管理サイト2は、運行便に対して、乗車予約したユーザ4、担当ドライバー5及び管理者3が認知力を高める運行便名を自動的に付与する。
【0067】
(2)この自動車運行管理システム1においては、管理者3が行う運行便の企画情報、運行便のドライバー5の指定情報、その運行便に対する乗車予約ユーザに関連する情報等の運行便に関する情報が、運行便名の自動付与に利用される。これら情報は、運行便を通じて、乗車予約したユーザ4、担当ドライバー5及び管理者3に関わるからである。これら情報は、運行管理のために、運行便毎に管理サイト2の記憶部2Aに記憶されることになっており、管理者3が行う運行便の企画情報、運行便のドライバーの指定情報については、それらが作成され又は整ったときに記憶部2Aに記憶され、乗車予約ユーザに関連する情報については、ユーザ4がユーザ端末9の乗車予約申請部9Bbを通じて管理サイト2の乗車受付け部2Bhに乗車予約を行ったときに記憶部2Aに記憶される。管理者3が行う運行便の企画情報には、企画目的(定時定路線運行、イベント運行、デマンド運行)、運行日、出発地、目的地、出発時刻、到着時刻、仮の運行便名、運行ルート(経路上の停車場所、ランドマーク等)等が含まれ、その運行便のドライバー5の指定情報には、ドライバー名、運行車両6等が含まれる。乗車予約ユーザに関連する情報には、利用目的、ユーザ名(所属グループがある場合には、グループ名等も含む)、年齢(年齢層)、性別、住所(住所地区)、目的地、乗車場所、降車場所等が含まれている。通常は、管理者3が行う運行便の企画情報、運行便のドライバー5の指定情報、その運行便に対して乗車予約を行った乗車予約ユーザに関連する情報の順に、その各情報が記憶部2Aに記憶され、運行便の企画情報、運行便のドライバー5の指定情報は、例えば
図15の左側図に示すように、ユーザ端末9において、予約状況画面9Daとして公開され(
図15は最初のアクセス画面であり、詳細内容は下位ページで公開)、ユーザ4は、その内容を見て、乗車予約を行うことになる。
【0068】
(3)この自動車運行管理システム1においては、運行便名の自動付与に当たって、
図14、
図10に示すように、E2において、管理サイト2の情報収集部2Baが、当該運行便の運行に関連する情報を収集する(情報収集処理)。運行便名の付与に必要な情報を、必要なタイミングをとらえて集めるためである。本実施形態においては、ユーザ4が当該運行便について乗車予約を行い、その乗車予約情報が記憶部2Aに記憶された時点を捉えて、その運行便に関連する情報を集めることになる(
図14中、E1参照)。乗車予約ユーザ4に関連する情報についても運行便名の設定に反映させるためである。
【0069】
(4)この自動車運行管理システム1においては、E2の情報収集処理後、
図14、
図10に示すように、E3において、管理サイト2の用語抽出部2Bbが、情報収集部2Baが収集した情報から用語を抽出する(用語抽出処理)。運行便名の対象となる用語を、収
集した情報から引き出すためである。この場合、情報収集部2Baが収集する情報(入力情報)の多くが用語であり、その中には、同義語、類義語が存在することも考慮して、それらが抽出されたときには、それらは、予め設定された代表的用語として個々に抽出される(同義語、類義語検索処理を利用)。尚、本実施形態においては、同一語については、個々の用語として抽出される。
【0070】
(5)この自動車運行管理システム1においては、E3の用語抽出処理後、管理サイト2の用語決定部2Bcが、用語抽出部2Bbが抽出した用語から用語を選択し、その選択した用語を決定用語とする(用語決定処理)。乗車予約したユーザ4、担当ドライバー5及び管理者3が認知力を高めるものとして適切な用語を、運行便名に組み込むためである。本実施形態においては、この用語決定処理は、
図14、
図10に示すように、E4の用語分類部2Bcaによる用語分類処理、E5の優先順位設定部2Bcbによる優先順位設定処理、及びE6の決定用語判断部2Bccによる決定用語判断処理により行われる。
【0071】
上記用語分類部2Bcaは、複数の区分を有しており、その各区分に、用語抽出部2Bbが抽出した用語を分類する処理を行う。その区分としては、本実施形態においては、少なくとも、出発地に属する区分、目的地に属する区分、目的に属する区分、運行ルート上のランドマークに属する区分、出発時刻に属する区分が備えられている。各区分においては、判断基準対象が予め設定されており、例えば、出発地に属する区分の判断基準対象としては、地区名、地名である「上地区」、「作木」等のようなものを設定することができ、目的地に属する区分の判断基準対象としては、地区名、地名、施設名等である「下地区」、「川の駅」、「作木診療所」等のようなものを設定することができる。目的に属する区分の判断基準対象としては、イベント名である「下地区ビール祭り」、「常清祭」、「下地区花火大会」等のようなものを設定することができ、運行ルート上のランドマークに属する区分の判断基準対象としては、施設名である「△△スーパーマーケット」、「○○渓谷」等のようなものを設定することができる。また、出発時刻に属する区分の判断基準対象としては、時刻である「午前10時」、「午後4時30分」等のようなものを設定することができる。その上で、用語分類処理は、用語抽出部2Bbが抽出した各用語が、各区分の判断対象に該当するか否かを判別することにより、その各区分に属するか否かを判別することになっており、用語抽出部2Bbが抽出した各用語は、
図16に示すように、各区分に属する区分に属するか否かを判別する判別ステップF1(1)、F1(2)・・F1(n)を経て、いずれかの区分に属するものとして選定処理される(F2(1)、F2(2)・・F2(n)参照)。この各区分における選定処理において、複数の同一用語が属すると判断されたときには、その一つの用語が属すると扱われる。F2(n+1)は、用語がいずれの区分にも属さないと選定処理された場合の処理ステップを示す。勿論この場合、各区分において読み込まれている判断基準対象は、運行便に応じたものが用意され、その運行便に応じたものが用語分類処理の際に用いられる。例えば、運行便が同じ運行ルートで運行される場合でも、往復便の往便と復便とでは、目的地と出発地とが逆転することから、目的地に属する区分で用いられる判断基準対象と出発地に属する区分で用いられる判断基準対象とには、それに応じたものが準備されている。また、出発地と目的地とが同じ運行便であっても、運行ルートが異なる場合を考慮し、運行ルート上のランドマークに属する区分等において用いられる判断基準対象は、その運行ルートに応じたものが準備されている。
【0072】
またこの場合、当該運行便に二人目のユーザ4がユーザ端末9の乗車予約申請部9Bb(
図12参照)を利用して乗車予約申請を行った時点を捉えて、前記情報収集部2Baが記憶部2Aから情報を収集するように設定することもでき、その場合には、用語分類部2Bcaは、上述の区分の他に、乗車予約ユーザの共通属性に属する区分を加えることになる。そのときには、その乗車予約ユーザの共通属性に属する区分は、判断基準対象として、例えば、同じ所属グループ、同じ年齢層等である「作木おやじの会」、「70代」等の
ようなものを設定して、用語抽出部により抽出された用語として、その判断基準対象と同じものが複数存在するか否かを判断し、判断基準対象と同じものが複数存在する場合に、その区分に属するものとすることができる。
【0073】
優先順位設定部2Bcbは、前述の用語分類部が分類した区分に対して優先的に選択される優先順位を設定する処理を行う。本実施形態においては、優先順位設定部2Bcbは、運行便の種類(定期定路線便、イベント便、デマンド便)に応じて、各区分の優先順位を予め設定しており、運行便の種類について情報を得ることにより、優先順位設定部2Bcbは、自動的に各区分の優先順位を決定する。具体的には、
図17に示すように、運行便が定時定路線便か否かを判別し(G(ステップを示す)1)、G1がYESのときには、定時定路線便に応じた優先順位を設定し(G2)、G1がNOのときには、運行便がイベント便か否かを判別する(G3)。そのG3がYESのときには、イベント便に応じた優先順位を設定し(G4)、G3がNOのときには、デマンド便に応じた優先順位を設定する(G5)。
【0074】
決定用語判断部2Bccは、優先順位設定部2Bcbが設定する優先順位に従って、用語の存在を検出する区分のうち、優先順位が低いものよりも高いものに含まれる用語ほど決定用語として決定する。具体的には、決定用語を1つの用語とする場合には、用語の存在を検出する区分のうち、最も優先順位が高い区分に属する用語が決定用語として決定され、2つの用語を連続的に結合させたものを決定用語にする場合には、用語の存在を検出する区分のうち、最も優先順位が高い区分、その次に高い区分の用語が選び出されて、その結合したものが決定用語とされる。また、各区分は、基本的に用語が一つだけ存在するように設定されるが、一つの区分に複数の用語が存在することを考慮する場合(各区分において、判断基準対象を複数設定する場合)には、その複数の用語を連続的に結合させて決定用語としてもよいし、そのうちの一つを任意の方法により選ぶようにしてもよい。
【0075】
(6)この自動車運行管理システム1においては、E6の決定用語判断処理後、E7において、付加語付加部2Bdが、
図14、
図10に示すように、用語決定部2Bcが決定した決定用語に付加語を付加する処理を行う(付加語付加処理)。付加語は、「ミケ」「タマ」等の愛称、「うさぎ」「かめ」「つる」等の普通名称(略称、俗称を含む)、「にこにこ」「わくわく」等の擬音語、擬態語からなり、それらは、予め管理サイト2の記憶部2Aに記憶されている。付加語付加部2Bdは、このような付加語のいずれか一つを記憶部2Aから引き出して、それを、前記用語決定部2Bcが決定した決定用語に付加する。この付加語の付加により、決定用語を無機的でなく親しみのあるものにすることができる。この場合、付加語のいずれか一つを記憶部2Aから引き出す方法には、任意の方法を設定することができる。
【0076】
(7)この自動車運行管理システム1においては、E7の付加語付加処理後、E8において、接尾辞付加部2Beが、
図14、
図10に示すように、決定用語に付加語を付加したものに、さらに接尾辞を付加する処理を行う(接尾辞付加処理)。接尾辞は、「号」「便」等の車両に用いられるものからなり、それらは、予め管理サイト2の記憶部2Aに記憶されている。接尾辞付加部2Beは、このような接尾辞のいずれか一つを記憶部2Aから引き出して、それを、決定用語に付加語を付加したものにさらに付加する。この接尾辞の付加により、高い認知力と親しみを持たせつつも、車両による運行便名として間違いのないものを設定できることになる。この場合、接尾辞のいずれか一つを記憶部2Aから引き出す方法には、任意の方法を設定することができる。
【0077】
(8)この自動車運行管理システム1においては、E8の接尾辞付加処理後、E9において、便名設定部2Bfが、
図14、
図10に示すように、E8の処理を経た用語を、運行便の運行便名として設定する(便名設定処理)。これにより、管理サイト2内では、各情報
において、当該運行便の運行便名に関するものは書き換えられることになり、以後、その書き換えられた運行便名(乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者の認知力等を高める運行便名)が用いられる。例えば、ユーザ4がユーザ端末9を用いて乗車予約を行おうとした場合には、
図15の右側図に示すように、これまでの運行便の運行便名は、異なったものとして表示される。本実施形態においては、便名設定部2BfがE8の処理を経た用語を運行便の運行便名として設定しているが、付加語付加処理(E7)、接尾辞付加処理(E8)を行わずに、E6の決定用語判断処理を経た用語を運行便名として設定してもよい。
【0078】
(9)この自動車運行管理システム1においては、E9の便名設定処理後において、運行便名配信部2Bgが、
図14、
図10に示すように、便名設定部2Bfが設定した運行便名を車載端末11に配信するように設定されている(運行便名配信処理)。車載端末11を利用して、運行時に、当該運行便の運行便名を表示することにより、乗車予約ユーザ4にとっては、乗車時に、予約した運行便であることを確認できるようにし、担当ドライバー5にとっては、当該運行便を特定する表示道具を準備する手間を省くことができるようにするためである。このため、車載端末11は、
図18に示すように、その表示部11Dが、車室内側にも、フロントウインドウガラス側にも向けられるように正反転可能に運行便に据え付けられ、その表示部11Dには、運行便の運行時に、管理サイト2の運行便名配信部2Bgが配信した運行便名表示50が大きく表示されるように設定されている。勿論、通常の運行業務においては、表示部11Dを室内側に向けた状態にしつつ、表示部11Dの画面をドライバー支援画面に切り換えることになる。
【0079】
図19は第2実施形態、
図20、
図21は第3実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図19に示す第2実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示すものである。第2実施形態においては、運行便に対して二人以上のユーザ4が乗車予約を行った場合、用語抽出部2Bbにより共通用語(複数の同一の用語)が抽出される可能性が高くなることから、それに着目し、その共通用語を構成する用語の数が最も多いものを決定用語として決定すること示している。例えば、二人以上の乗車予約ユーザの下では、目的地、属性等の点で、共通用語が出現する可能性があり、この点に鑑み、用語決定部2Bcは、共通用語のうち、その構成用語の数(同一の用語の数)が最も多いものを決定用語として決定するように設定されている。
【0081】
図20、
図21に示す第3実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。第3実施形態は、用語決定部2Bcが、管理者3の判断を利用して決定用語を決定する内容を示している。第3実施形態においては、管理サイト2に対してユーザ4により乗車予約がなされると、管理サイト2における用語決定関連情報配信部2Bi(
図20参照)は、用語抽出部2Bbが抽出した用語情報と、管理用端末8において、用語送信表示57を表示する用語送信表示情報とを配信する。管理用端末8では、用語決定依頼画面55が表示されることになり、その用語決定依頼画面55において、上記用語情報に基づく各用語56、用語送信表示57を構成する「選択」表示58及び「送信」表示59が表示される。「選択」表示58は、各用語55の右隣にそれぞれ配置されて、その用語55を選択するか否かを決定するものであり、
図21において、一例として、「選択」を破線で囲まれたものを、選択されていない状態のものとして示し、「選択」を実線で囲まれたものを、選択された状態のものとして示している。「送信」表示59は、「選択」表示58によって選択された用語を管理サイト2(用語決定部2Bc)に送信するものであり、その「送信」表示59は、「選択」表示58と明確に区別できるようにすべく、用語決定依頼画面55の下部側に表示される。これにより、管理者3は、「選択」表示53と「送信」表示54とを利用して、管理者3の判断により選んだ用語を管理サイト2に送信することになり、管理サイ
ト2は、その用語を受信することになる。この結果、用語決定部2Bcは、その受信した用語を決定用語として決定することになり、決定用語の決定(運行便名の設定)に際して、地域事情等をよく知っている管理者3の特性を反映させることができることになる。
【0082】
第4実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第4実施形態においては、記憶部2Aに、ドライバー情報として、それぞれ異なる愛称又は普通名称が複数の各ドライバー5に関連付けた状態で記憶されており、管理者3によって運行便に対するドライバー5の指定情報が入力された後に、付加語付加部2Bdが、そのドライバー5に対応する愛称又は普通名称を、用語決定部2Bcが決定した決定用語に付加することになる。これにより、高い認知力と親しみのある運行便名とするだけでなく、運行を重ねるうちに、用語決定部2Bcが決定した決定用語に付加される愛称又は普通名称をもって、乗車予約ユーザ4及び管理者3は、ドライバー5に対する印象を高めることになり、そのドライバー5に対する親近感を高めて、ドライバーを含めて地域の交流の活発化を図る上で、好ましいものとなる。また、ドライバー5にとっては、運行便の運行状況に触れるに際して、運行便名をもっても自己の担当を確認することができ、運行便の誤認防止を図る上において好ましいものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、自家用自動車が運行便に用いられる場合であっても、乗車予約したユーザ、担当ドライバー及び管理者が、その各立場から運行便を誤認してしまうことを防止するために利用できる。
【符号の説明】
【0084】
1自動車運行管理システム
2管理サイト(運行管理装置)
2A管理サイトの記憶部
2B管理サイトの演算制御部
2Ba情報収集部(管理サイトの演算制御部)
2Bb用語抽出部(管理サイトの演算制御部)
2Bc用語決定部(管理サイトの演算制御部)
2Bca用語分類部(用語決定部)
2Bcb優先順位設定部(用語決定部)
2Bcc決定用語判断部(用語決定部)
2Bd付加語付加部(管理サイトの演算制御部)
2Be接尾辞付加部(管理サイトの演算制御部)
2Bf便名設定部(管理サイトの演算制御部)
2Bg運行便名配信部(管理サイトの演算制御部)
2Bi用語決定関連情報配信部(管理サイトの演算制御部)
3管理者
4ユーザ
5ドライバー
6運行車両(運行便)
8管理用端末
8B管理用端末の演算制御部
11車載端末
56用語抽出部が抽出した用語
57用語送信表示
58「選択」表示(用語送信表示)
59「送信」表示(用語送信表示)