(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】自動車運行管理システム及び自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20220630BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20220630BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q10/02
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2018201595
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡村 雅
(72)【発明者】
【氏名】岡田 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】西村 一眞
(72)【発明者】
【氏名】丸子 敬生
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-175025(JP,A)
【文献】特開2010-237891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの運行便の運行依頼を受けて、管理者が、その運行便について、担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行う自動車運行管理システムにおいて、
前記運行便の運行管理を行う運行管理装置と、該運行管理装置との間で通信可能とされ前記管理者が操作を行う管理用端末と、が備えられ、
前記管理用端末には、前記運行便の未確定運行情報に関し、前記管理者の操作に基づき限られたユーザに対する公開だけを指示する限定公開指示情報を前記運行管理装置に送信する限定公開決定部が備えられ、
前記運行管理装置には、
前記運行便の運行依頼情報を受けたとき、その情報を管理情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶する前記運行依頼情報に基づき、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断する採算性判断部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たすと判断したとき、該運行便の運行が確定したことと、乗車枠内での乗車予約を受け付けることとを公開し、該運行便の運行が採算性を満たさないと判断したときには、該運行便の運行情報を未公開として未確定とする公開調整部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たさないと判断したとき、前記運行依頼情報から関連する関連ユーザを検出する関連ユーザ検出部と、
前記関連ユーザ検出部が前記関連ユーザを検出したときであって、前記限定公開決定部から限定公開指示情報を受け取ったとき、前記公開調整部が前記運行便の運行情報を未公開とすることを制限して、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定運行情報を前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーに提供する未確定情報提供部と、
が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記運行管理装置には、前記関連ユーザ検出部が前記関連ユーザを検出したとき、該関連ユーザに対して前記運行便の未確定情報を公開するか否かを問合わせる問合わせ情報を作成して、該問合わせ情報を前記管理用端末に配信する問合わせ情報作成配信部が設けられ、
前記問合わせ情報作成配信部が配信した前記問合わせ情報が、前記管理用端末において、前記限定公開決定部として、前記運行便の未確定情報を選択的に公開させる限定公開選択表示を表示するように調整されている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記関連ユーザ検出部は、前記運行便の乗車予約情報に基づき運行ルートを作成する運行ルート作成部と、該運行ルート作成部が作成した運行ルートの周辺に居住するユーザを、前記運行便の運行依頼情報に関連するユーザとして、前記記憶部が記憶するユーザ情報から抽出するユーザ抽出部と、を備えている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項4】
ユーザからの運行便の運行依頼を受けて、管理者が、その運行便について、担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行う自動車運行管理システムにおいて、
前記運行便の運行管理を行う運行管理装置と、該運行管理装置との間で通信可能とされ前記管理者が操作を行う管理用端末と、が備えられ、
前記運行管理装置には、
前記運行便の運行依頼情報を受けたとき、その情報を管理情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶する前記運行依頼情報に基づき、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断する採算性判断部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たすと判断したとき、該運行便の運行が確定したことと、乗車枠内での乗車予約を受け付けることとを公開し、該運行便の運行が採算性を満たさないと判断したときには、該運行便の運行情報を未公開として未確定とする公開調整部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たさないと判断したとき、前記運行依頼情報に関連する関連ユーザを選択するための関連ユーザ選択対象情報と、前記管理用端末において、該関連ユーザ選択対象情報から関連ユーザ情報を選択して該関連ユーザ情報を前記運行管理装置に送信する関連ユーザ送信表示を表示させる関連ユーザ送信表示情報と、を配信する関連ユーザ抽出情報配信部と、
前記関連ユーザ抽出情報配信部が配信した関連ユーザ選択対象情報から前記管理者が前記関連ユーザ送信表示により選択した関連ユーザ情報を受け取ったとき、前記公開調整部が前記運行便の運行情報を未公開とすることを制限して、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定運行情報を前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーに提供する未確定情報提供部と、
が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記未確定情報提供部は、前記運行便の未確定情報の提供に際し、前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーが、前記運行管理装置へアクセスすることを条件に該運行便の未確定運行情報を閲覧すること、該関連ユーザ、該運行便の運行依頼ユーザ及び該担当ドライバーに積極的に該運行便の未確定運行情報を配信することの少なくとも一つの態様が用いられるように調整されている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記未確定情報提供部が提供した運行便の未確定運行情報が、乗車予約申請フォームに関連付けられており、
前記記憶部が、前記乗車予約申請フォームを通じて追加される乗車予約情報を、前記運行依頼情報の追加情報として、順次、記憶更新するように設定され、
前記採算性判断部が、前記記憶部の記憶更新に伴い、該記憶部が記憶する運行依頼情報に基づいて、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断するように設定されている、
ことを特徴とする自動車運行管理システム。
【請求項7】
ユーザからの運行便の運行依頼を受けて、管理者が、その運行便について、担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行う自動車運行管理システム用運行管理装置において、
前記運行便の運行依頼情報を受けたとき、その情報を管理情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶する前記運行依頼情報に基づき、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断する採算性判断部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たすと判断したとき、該運行便の運行が確定したことと、乗車枠内での乗車予約を受け付けることとを公開し、該運行便の運行が採算性を満たさないと判断したときには、該運行便の運行情報を未公開として未確定とする公開調整部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たさないと判断したとき、前記運行依頼情報から関連する関連ユーザを検出する関連ユーザ検出部と、
前記関連ユーザ検出部が前記関連ユーザを検出したときであって、
前記管理者の管理用端末から限定公開指示情報を受け取ったとき、前記公開調整部が前記運行便の運行情報を未公開とすることを制限して、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定情報を前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーに提供する未確定情報提供部と、が備えられている、
ことを特徴とする自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車運行管理システム及びその自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車運行管理システムには、特許文献1、特許文献2に示すようなものが提案されている。具体的には、特許文献1には、同一の車両によって複数種類の乗車形態での乗車便が提供される輸送サービスに関して、実現可能な乗車便群の部分集合のうち、所定条件を満たす部分集合ごとに、当該部分集合を構成する乗車便の選択確率が算出され、その算出された選択確率に基づいて、乗車便の組み合わせが選択され、選択された組み合わせが利用者に提示されるものが示されている。このものによれば、単に、乗車要求を満たすことが可能な乗車便を列挙する場合に比べて、経済的効果の向上を期待できる選択肢を利用者に提示することができる。特許文献2には、利用者に提示される乗車便の組み合わせの選択に際し、選択確率および将来に受信する乗車要求数の期待値に基づいて、利益の期待値又は効用の期待値が最大化される組み合わせが選択されるものが示されている。これよれば、輸送サービスの提供者の利益、又は利用者の効用の観点において望ましい乗車便の組み合わせを利用者に提示することができる。
【0003】
ところで、地方では、高齢化、人口減少等、多くの問題を抱えており、交通空白地域においては、交通弱者は、通院や買い物等になくてはならない移動が奪われている。このため、交通空白地域の人々に必要不可欠な交通手段として、自家用自動車による有償運送が着目されている。この自家用自動車による有償運送は、交通空白地域に、単に、必要不可欠な交通手段を提供するだけでなく、豊かな地域の維持、創造を通じて地域の活性化を図る可能性を秘めており、その有効な活用が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-238831号公報
【文献】特開2016-085734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような自家用自動車による有償運送を交通空白地域で運用した場合、現実の問題として、臨時運行便(例えばイベント便、デマンド便)の運行依頼を受けたとき、少ない乗客の下で運行しなければならなかったり、ユーザの要請通りにデマンド運行しなければならないことが想定され、そのような場合、乗車料金との関係或いは乗車料金次第で採算性を満たさないおそれがある。このため、運行管理者としては、所定の乗車料金体系の下で、採算性を満たすユーザ数が確保できた段階で運行便の運行を確定し、採算性を満たすだけのユーザ数が確保できない場合には、運行を中止させたい。
【0006】
しかし、仮にそのようにした場合には、乗車予約ユーザでもある運行便の依頼者や担当ドライバーは、運行便の運行の実施か中止かが確定するまで、不安定な時間を過ごすことになり、さらには、仮に運行を中止することが頻繁に行われる状況になった場合には、制度として、自家用自動車による有償運送を設ける存在意義自体が問われることになる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、運行便の運行依頼ユーザや担当ドライバーが、運行便の運行の実施か中止かが確定するまで、不安定な時間を過ごすことを抑えることができると共に、運行便の運行実施の可能性を高めることができる自動車運行管理システムを提供することにある。第2の目的は、その自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記第1の目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)~(6)とした構成とされている。
【0009】
(1)ユーザからの運行便の運行依頼を受けて、管理者が、その運行便について、担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行う自動車運行管理システムにおいて、
前記運行便の運行管理を行う運行管理装置と、該運行管理装置との間で通信可能とされ前記管理者が操作を行う管理用端末と、が備えられ、
前記管理用端末には、前記運行便の未確定運行情報に関し、前記管理者の操作に基づき限られたユーザに対する公開だけを指示する限定公開指示情報を前記運行管理装置に送信する限定公開決定部が備えられ、
前記運行管理装置には、
前記運行便の運行依頼情報を受けたとき、その情報を管理情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶する前記運行依頼情報に基づき、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断する採算性判断部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たすと判断したとき、該運行便の運行が確定したことと、乗車枠内での乗車予約を受け付けることとを公開し、該運行便の運行が採算性を満たさないと判断したときには、該運行便の運行情報を未公開として未確定とする公開調整部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たさないと判断したとき、前記運行依頼情報から、関連する関連ユーザを検出する関連ユーザ検出部と、
前記関連ユーザ検出部が前記関連ユーザを検出したときであって、前記限定公開決定部から限定公開指示情報を受け取ったとき、前記公開調整部が前記運行便の運行情報を未公開とすることを制限して、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定運行情報を前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーに提供する未確定情報提供部と、
が備えられている構成とされている。
【0010】
この構成によれば、依頼を受けた運行便の運行について採算性が認められるときには、運行便の運行が確定したことと、乗車枠内での乗車予約を受け付けることとが公開されることになり、運営が活発に行われていることを広報しつつ、さらに乗車予約を募って採算性を高めることができる。他方、依頼を受けた運行便の運行について採算性が認められないときには、運行便の運行情報を原則として未公開とする一方、その未公開状態であっても、関連ユーザ検出部が運行便の運行依頼情報から関連ユーザを検出したときには、管理者の操作に基づき管理用端末から限定公開指示情報を得ることを条件として、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定情報を関連ユーザに提供することから、関連ユーザは、乗車予約ユーザ数不足が運行未確定原因であることを知らされることになり、当該運行便が関連ユーザにとって乗車可能性が高いものであることと、地域住民として当該運営をできるだけ支えたい気持ちとが動機付けとなり、当該運行便に対する関連ユーザによる乗車予約が促される。また、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定情報が運行便の運行依頼者(乗車予約ユーザ)及び担当ドライバーにも提供され、それらの者にも、乗車予約ユーザ数不足が運行未確定原因であることが知らされることから、その運行便の運行依頼ユーザや担当ドライバーは、状況が全くわからない不安定な状態で過ごすことがなくなるだけでなく、現在の状況を把握し、運行便の運行実施の可能性を高めるため、未だ乗車予約していない他のユーザに対して乗車予約を行うことを働きかけることにもなる。これにより、運行便の運行依頼ユーザ(乗車予約ユーザ)や担当ドライバーが、運行便の運行の実施か中止かが確定するまで、不安定な時間を過ごすことを抑えつつ、運行便の運行実施の可能性を高めることができる。しかも、仮に、最終的に、乗車予約ユーザが集まらず、運行便の運行の採算性が認められなかったとしても、運行便の運行が原則として公開されていないことから、当初の乗車予約ユーザや担当ドライバーを除き、運行便が運行中止されたことを連絡する必要がないばかりか、運営の活動にネガティブな印象をユーザに与えることを抑制できる。
【0011】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記運行管理装置には、前記関連ユーザ検出部が前記関連ユーザを検出したとき、該関連ユーザに対して前記運行便の未確定情報を公開するか否かを問合わせる問合わせ情報を作成して、該問合わせ情報を前記管理用端末に配信する問合わせ情報作成配信部が設けられ、
前記問合わせ情報作成配信部が配信した前記問合わせ情報が、前記管理用端末において、前記限定公開決定部として、前記運行便の未確定情報を選択的に公開させる限定公開選択表示を表示するように調整されている構成とされている。
【0012】
この構成によれば、乗車予約ユーザとなり得る可能性の高い関連ユーザの存在を運行管理装置が認めたときに初めて、管理用端末に問合わせ情報を配信することによって該管理用端末に限定公開選択表示(限定公開決定部)を表示させることから、管理者の特性(地域事情通であること)を、限定公開選択表示の限定公開選択操作を通じて運行便の運行可能性を高めることに利用できる。その一方で、特殊事情(例えば、他のユーザに知られない方がよい事情)等が存在する場合には、それを配慮して、限定公開選択表示を限定公開選択操作することなく未公開選択状態に維持することにより、運行便の運行の可能性を高めるよりも具体的事情を優先することができる。さらには、管理者に判断を求めるときだけ、管理用端末に限定公開選択表示が表示されることから、管理者が常に管理すべき対象を減らして、管理人の負担が増大することを極力、抑えることができる。
【0013】
(3)前記(1)又は(2)のいずれかの構成の下で、
前記関連ユーザ検出部は、前記運行便の乗車予約情報に基づき運行ルートを作成する運行ルート作成部と、該運行ルート作成部が作成した運行ルートの周辺に居住するユーザを、前記運行便の運行依頼情報に関連するユーザとして、前記記憶部が記憶するユーザ情報から抽出するユーザ抽出部と、を備えている構成とされている。
【0014】
この構成によれば、当該運行便の乗車予約を行う可能性の高い関連ユーザを具体的に見つけ出すことができ、その関連ユーザに対して運行便の未確定運行情報を提供することにより、その運行便の乗車予約ユーザ数を高めることができる。
【0015】
(4)ユーザからの運行便の運行依頼を受けて、管理者が、その運行便について、担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行う自動車運行管理システムにおいて、
前記運行便の運行管理を行う運行管理装置と、該運行管理装置との間で通信可能とされ前記管理者が操作を行う管理用端末と、が備えられ、
前記運行管理装置には、
前記運行便の運行依頼情報を受けたとき、その情報を管理情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶する前記運行依頼情報に基づき、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断する採算性判断部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たすと判断したとき、該運行便の運行が確定したことと、乗車枠内での乗車予約を受け付けることとを公開し、該運行便の運行が採算性を満たさないと判断したときには、該運行便の運行情報を未公開として未確定とする公開調整部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たさないと判断したとき、前記運行依頼情報に関連する関連ユーザを選択するための関連ユーザ選択対象情報と、前記管理用端末において、該関連ユーザ選択対象情報から関連ユーザ情報を選択して該関連ユーザ情報を前記運行管理装置に送信する関連ユーザ送信表示を表示させる関連ユーザ送信表示情報と、を配信する関連ユーザ抽出情報配信部と、
前記関連ユーザ抽出情報配信部が配信した関連ユーザ選択対象情報から前記管理者が前記関連ユーザ送信表示により選択した関連ユーザ情報を受け取ったとき、前記公開調整部が前記運行便の運行情報を未公開とすることを制限して、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定運行情報を前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーに提供する未確定情報提供部と、
が備えられている構成とされている。
【0016】
この構成によれば、臨時便の運行が採算性を満たさずその運行情報が未公開(未確定)とされたときに、運行便の運行に関連する関連ユーザを見出すために、運行管理装置が関連ユーザ選択対象情報を管理用端末に配信し、その関連ユーザ選択対象情報の中から管理者が関連ユーザを選択し、それを運行管理装置に送り返すことから、管理者の特性を利用して選び出された関連ユーザに対して限定公開が行われる。これにより、当該運行便に対する関連ユーザによる乗車予約が促されることになり、運行便の運行実施の可能性を高めることができる。また、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定情報が運行便の運行依頼ユーザ(乗車予約ユーザ)及び担当ドライバーにも提供され、それらの者にも、乗車予約ユーザ数不足が運行未確定原因であることが知らされることから、その運行便の運行依頼ユーザや担当ドライバーが、状況が全くわからない不安定な状態で過ごすことをなくすことができる。しかも、運行依頼ユーザや担当ドライバーは、限定公開により現在の状況を把握し、未だ乗車予約していない他のユーザに対して乗車予約を行うことを働きかけることにもなり、運行便の運行実施の可能性を高めることができる。
【0017】
(5)前記(1)~(4)いずれかの構成の下で、
前記未確定情報提供部は、前記運行便の未確定情報の提供に際し、前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーが、前記運行管理装置へアクセスすることを条件に該運行便の未確定運行情報を閲覧すること、該関連ユーザ、該運行便の運行依頼ユーザ及び該担当ドライバーに積極的に該運行便の未確定運行情報を配信することの少なくとも一つの態様が用いられるように調整されている構成とされている。
【0018】
この構成によれば、具体的提供方法を用いて、的確に、関連ユーザ、運行便の運行依頼者及び担当ドライバーに、運行便の未確定情報を知らせることができる。
【0019】
(6)前記(1)~(5)のいずれかの構成の下で、
前記未確定情報提供部が提供した運行便の未確定運行情報が、乗車予約申請フォームに関連付けられており、
前記記憶部が、前記乗車予約申請フォームを通じて追加される乗車予約情報を、前記運行依頼情報の追加情報として、順次、記憶更新するように設定され、
前記採算性判断部が、前記記憶部の記憶更新に伴い、該記憶部が記憶する運行依頼情報に基づいて、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断するように設定されている構成とされている。
【0020】
この構成によれば、常に乗車予約ユーザ数がチェックされ、乗車予約ユーザ数が採算性を満たす数に至ったときには、直ちに、運行便の運行情報が全てのユーザに公開されることになり、円滑に、通常の運行業務に移行させることができる。
【0021】
前記第2の目的を達成するために本発明にあっては、下記(7)とした構成とされている。
【0022】
(7)ユーザからの運行便の運行依頼を受けて、管理者が、その運行便について、担当ドライバーを割り当てると共にその後の運行管理を行う自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置において、
前記運行便の運行依頼情報を受けたとき、その情報を管理情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶する前記運行依頼情報に基づき、前記運行便の運行が採算性を満たすか否かを判断する採算性判断部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たすと判断したとき、該運行便の運行が確定したことと、乗車枠内での乗車予約を受け付けることとを公開し、該運行便の運行が採算性を満たさないと判断したときには、該運行便の運行情報を未公開として未確定とする公開調整部と、
前記採算性判断部が、前記運行便の運行が採算性を満たさないと判断したとき、前記運行依頼情報から関連する関連ユーザを検出する関連ユーザ検出部と、
前記関連ユーザ検出部が前記関連ユーザを検出したときであって、前記管理者の管理用端末から限定公開指示情報を受け取ったとき、前記公開調整部が前記運行便の運行情報を未公開とすることを制限して、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定情報を前記関連ユーザ、前記運行便の運行依頼ユーザ及び前記担当ドライバーに提供する未確定情報提供部と、が備えられている構成とされている。
【0023】
この構成によれば、前述の(1)において用いられる運行管理装置として好ましいものを提供できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、運行便の運行依頼ユーザや担当ドライバーが、運行便の運行の実施か中止かが確定するまで、不安定な時間を過ごすことを抑えることができると共に、運行便の運行実施の可能性を高めることができる自動車運行管理システム及びその自動車運行管理システムに用いられる運行管理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】定時定路運行が行われる路線例を説明する説明図。
【
図2】デマンド運行が行われる路線例を説明する説明図。
【
図3】実施形態に係る運行管理サービスサイトと関係者等との関係を示す概念図。
【
図4】管理者端末で表示される管理画面の一つを示す図。
【
図5】ユーザ端末に表示される乗車予約申請の内容の下で、乗車予約(送信)を行う状態を示す図。
【
図6】ユーザ端末に届く運行車両の到達時刻通知等を示す図。
【
図7】ドライバー端末に表示される8月における担当日確認表示を示す図。
【
図8】ドライバー端末に届く担当日前日通知を示す図。
【
図9】第1実施形態に係る自動車運行管理システムの機能構成の概略を示すブロック図。
【
図10】第1実施形態に係る管理サイトにおける演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図11】第1実施形態に係る管理用端末における演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図12】第1実施形態に係るユーザ端末における演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図13】第1実施形態に係るドライバー端末における演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図14】第1実施形態に係る自動車運行管理システムにおける処理工程を説明する説明図。
【
図15】第1実施形態に係る管理用端末に表示される運行便状況(リスト)画面の一例を示す図。
【
図16】第1実施形態に係る管理サイトにより提供される未確定運行画面の一例を示す図。
【
図17】第1実施形態に係る自動車運行管理システムにおいて行われる制御の一例を示すフローチャート。
【
図18】第2実施形態に係る管理サイトにおける演算制御部の機能構造を概念的に示す図。
【
図19】第2実施形態に係る自動車運行管理システムにおける処理工程を説明する説明図。
【
図20】第2実施形態において、関連ユーザ選択対象情報が管理用端末で関連ユーザ選択対象画面として表示されている状態の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施形態においては、交通空白地域での車両の運行に用いられる自動車運行管理システムを例にとって説明する。
【0028】
先ず、車両の運行が行われる地域内容、及びその地域で行われる車両運行の基本的内容について、説明する。
【0029】
図1は、車両運行の一態様である定時定路線運行が行われる路線例を示すものである。
図1中、D1は、片道1車線(往復で2車線)の道路である。この道路D1は、鉄道路線Rにおける所定の駅Raを通るもので、この地域ではメインの道路となっている。駅Raの周辺が、この地域で唯一の繁華街となっており、そこには、役場、学校等の公的施設の他、病院や歯医者等の医療施設、スーパマーケット、コンビニエンスストア、カラオケ店等々の商業施設や娯楽施設が存在している。
【0030】
道路D1に対しては、駅Raから離れた位置において、道路D2、D3が連なっている。道路D2、D3は、往復で1車線の対面通行用とされたローカルな道路となっている。この道路D2,D3沿いの地域は、山間部にあって、周囲の殆どが山や丘となる辺鄙な地域となっている。
【0031】
道路D2のうち、道路D1から遠く離れた位置において、複数の集落A1~A3が存在している。集落A1~A3は、駅Raから10km以上離れた離村となっている、道路D3は、行き止まりとなっていて、行き止まりの位置には、集落A1~A3の住民等が集うイベント会場(広場)A4が設けられている。
【0032】
集落A1~A3に居住する住民の総数は、数百名程度であるが、高齢者の割合が大きいものであり、自動車の運転をできない者も多数存在する状況となっている。そして、道路D2(つまり集落A1~A3の住民)においては、公営バスの運行はされていないものである。
【0033】
集落A1~A3の住民の交通の便を図るために、後述するように、定時定路線運行とデマンド運行とを行うこととなっている。定時定路線運行は、定時に決まった路線を走行するものである。定時定路線運行の停留所が、S1~S7として示される。停留所S1は、出発点となるもので、集落A1の住民用である。停留所S2は、集落A2の住民用である。停留所S3は、集落A3の住民用である。
【0034】
停留所S4は、道路D2がメインの道路D1と交差する位置に設定されている。停留所S5は、小学校や中学校のある位置付近に設定されている。停留所S6は、役場付近の位置に設定されている。停留所S7は、定時定路線運行の終点で、駅Ra付近に設定されている。このように、定時定路線運行の路線は、停留所S1から、S2、S3、S4、S5、S6を経て、終点のS7へ到達する経路とされる。帰りの便は、上記とは逆の経路をたどることになる。なお、定時定路線運行の運行便数は、例えば、往復共に、例えば朝2便、昼1便、夕方2便とされている。
【0035】
定時定路線運行の変形として、臨時運行(臨時便)が適宜行われる。この臨時運行は、イベント会場A4で催し物(例えば盆踊り、花火大会、芋煮会等)が開催されるときに行われる(イベント便)。この臨時運行の経路は、停留所S1から、S2,S3,S4を経て、停留所S8へ至る経路とされる(復路はこの逆)。臨時運行は、イベント開催日に、あらかじめ設定された定時に停留所S1を出発する便とされる。
【0036】
臨時運行を含む定時定路線運行およびデマンド運行は、住民同士の結束(協力)によって行われる。まず、運行を行う運行用車両は、集落A1~A3の住民が保有する自家用車を利用する他、自治体の補助や企業からの寄付等で管理を任された専用車両が用いられる。運行用車両の台数は、少なくとも2台以上とされ、好ましくは10台程度が用意される。
【0037】
運行用車両の運転を行うドライバーは、集落A1~A3の住民から選ばれた者とされる。ドライバ一として選択されるには、あらかじめ事前講習(例えば半日~1日程度の講習)を受けた者であることを条件とされる。すなわち、講習内容としては、例えば、安全運転に関する知識と実技の講習、乗客(特に高齢者や幼児)に対する運行用車両への乗り降りの補助の仕方に関する講習、ドライバーに要求される運行管理に関する知識ややり方等についての講習等がある。講習を修了したドライバーは、運行用車両の運転者として、登録(氏名、住所、年齢、性別、電話番号、運転する運行用車両の種別等の登録)される。
【0038】
図2は、デマンド運行(臨時運行)が行われた場合の一例を示すものである。
図2中P1は、デマンド運行を乗車予約した乗客であり、P2、P3は、この乗車予約されたデマンド運行(の運行用車両)に相乗りを希望した乗客である。デマンド運行は、乗客の希望に応じた出発地と目的地と経路とを自由に選択できる。
図2では、乗車予約した乗客P1の自宅(付近)を出発地として、乗客P2の自宅付近、乗客P3の自宅付近を経由して、停留所S4方向に向かう場合が示される。
【0039】
乗客P1の最寄りの停留所はS2であり、乗客P1の自宅から停留所S2までの徒歩での移動経路α1が破線で示される。同様に、乗客P2の最寄りの停留所はS3であり、乗客P2の自宅から停留所S3までの徒歩での移動経路α2が破線で示される。乗客P3の最寄りの停留所もS3であり、乗客P3の自宅から停留所S3までの徒歩での移動経路α3が破線で示される。
【0040】
乗客P1~P3にとって、最寄りの停留所までの移動時間あるいは移動距離が長い場合は、停留所までの歩行が大変となる。このため、停留所までの歩行を避けるために、デマンド運行を要求する可能性(必要性)が高いものとなる。デマンド運行を利用するときの料金は、定時定路線運行を利用するときの料金よりも割高となるが、停留所までの移動時間や移動距離を考慮して、定時定路線運行を利用するか、デマンド運行を利用するか判断されることになる。
【0041】
ここで、定時定路線運行あるいはデマンド運行を利用するときの料金体系の一例について説明する。まず、定時定路線運行を利用するときは、利用距離に応じた金額のみで、単位距離あたりの料金がE1(E1×利用距離)とされる。これに対して、デマンド運行を当初に乗車予約した乗客P1の利用料金は、利用距離に応じた金額が上記料金E1よりも若干割高な料金E2とされると共に、定額の基本料金EB2が別途徴収される(合計料金は、EB2+E2×利用距離)。さらに、デマンド運行に相乗りを希望した乗客P2,P3の 利用料金は、上記E2のみとされる(基本料金EB2が不要)。このように、定時定路線運行を利用する場合がもっとも安価であり、デマンド運行を当初に乗車予約した場合の料金 がもっとも高価であり、デマンド運行に相乗りする場合の料金が中間の料金となる。勿論、上記した料金は一例であって、適宜設定できるものである。
【0042】
上記車両の運行には、
図3に示すように、自動車運行管理システム1が用いられている。その自動車運行管理システム1においては、
図3で概念的に示すように、管理サイト(運行管理装置(具体的には情報処理装置としての管理サーバ))2を中心として、その管理サイト2に、管理者3、ユーザ(利用者)4、ドライバー5からなる各関係者、車両6が関わることになる。
【0043】
管理サイト2は、管理サーバとして、車両6の運行において中核をなすものである。この管理サイト2は、上記各関係者3~5からの端末を通じた要求に対して、それに応じたものを返答する。その返答において、車両6の運行ルートを演算することが関係者(管理者3)に要求された場合、又は管理サイト2自体が車両6の運行ルートを必要とする場合には、管理サイト2は、ルート演算サービスサイト7に運行ルートの演算を依頼し、管理サイト2は、その演算結果を利用して運行ルートを作成し、その運行ルートを、記憶すると共に要求した関係者3の端末に送り、又は記憶することになる。
【0044】
管理者3は、管理用端末8(パーソナルコンピュータ(PC))を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができる。管理者3は、その管理用端末8を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことにより、車両6の運行サービス全般の管理や、車両6運行中の状況情報の把握を司ることになっており、具体的には、管理用端末8を通じて、情報の管理(利用者(ユーザ)IDの登録、修正、取消、運行車両6の登録、修正、取消)、運行便の管理(運行便の作成、修正、取消、運行便の公開)、予約の管理(予約の受付、修正、取消)、運行の管理(運行状況の表示(進捗やトラブル)、運行履歴の表示、抽出)等が行われる。
図3には、管理用端末8と管理サイト2との間の代表的な情報のやり取りとして、管理用端末8から管理サイト2に対して各種登録情報が送られること、管理サイト2から管理用端末8に運行状況の確認情報が提供されることが示されている。また、
図4には、管理用端末8が管理サイト2から管理情報(運行管理情報、ドライバー管理情報、車両管理情報、ユーザ管理情報、運行状況情報)を受け取って、その閲覧に基づき管理できることが示されている。この管理者3は、例えば役場の職員や、集落A1~A3の住民の中から推薦等によって選ばれた者等、地域事情、地域の居住者状況等を通常の住人よりもよく知っている者が担当している。
【0045】
この場合、一般的にITリテラシーが低いユーザ(特に高齢者)4Sを考慮して、管理者3は、電話12、書面、直接的な口頭伝達等を通じて、そのようなユーザ4Sから利用者登録、車両6の乗車予約等の依頼を受け付けた場合には、そのような依頼に基づき、管理者3は、その依頼に基づく手続きを管理用端末8を通じて管理サイト2に対して行う。
【0046】
ユーザ4は、ユーザ端末9(ユーザ用情報処理装置)を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができる。ユーザ4は、ユーザ端末9を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことにより、乗車予約の申請や確認、当日の車両6の運行状況の確認等を行うことができ、具体的には、ユーザ端末9を通じて、予約の申請(運行便の閲覧、乗車予約の申請、取消、予約完了通知の受領)、乗車予約の確認(乗車予約の閲覧、乗車前日の通知)、運行車両6の運行状況の把握(予約した運行便の運行状況の確認、到着予想時刻の表示、到着直前の通知)が行われる。
【0047】
図3には、ユーザ端末9と管理サイト2との間の代表的な情報のやり取りとして、ユーザ端末9から管理サイト2に対して乗車予約申請情報が送られること、管理サイト2からユーザ端末9に乗車予約確定通知、乗車前日通知の確認情報が提供されることが示されている。また、
図5には、ユーザ端末9を利用して、運行便の乗車予約を行う状態が示され、
図6には、乗車予約した車両6の到着予想時刻等が送られてきた状態を示している。
【0048】
尚、
図5中、符号9Daは、予約申請を行うための「予約申請表示(選択スイッチ)」であり、符号4aは、「予約申請表示」をタッチして選択する状態のユーザ4の手を示す。
【0049】
ドライバー5は、ドライバー端末10(ドライバー用情報処理装置)を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができる。ドライバー5は、ドライバー端末10を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことにより、運転担当に関する確認を行うことができ、具体的には、ドライバー端末10を通じて、運転担当日(シフト)の確認、運転前日の通知等が行われる(
図3参照)。その具体的表示例として、
図7には、ドライバー端末10において、運転担当日(シフト)の確認情報が表示された状態が示され(●は担当日を示す)、
図8には、ドライバー端末10に、担当運転日の前日通知が届いた状態が示されている。このドライバー5については、前述の登録内容(氏名、住所、年齢、性別、電話番号、運転する運行用車両の種別等)が管理サイト2に登録(記憶)される。
【0050】
車両6(運行車両6)には、車載端末(車両用情報処理装置、例えばタブレット端末)11が据え付けられている。この車両6を運転するドライバー5は、車載端末11を介して管理サイト2との間で情報のやり取りを行うことができ、ドライバー5は、このドライバー端末10により、管理サイト2に対して運行状況の登録(出発登録、乗車完了登録、降車完了登録)、トラブル発生の登録、自車位置情報の送信、アプリケーション(アプリ(プログラム))の受信(後述)等を行うことができる(
図3参照)。
【0051】
上記管理サイト2、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11の各機能は、
図9に示すシステム構成図により実現される。
【0052】
管理サイト2には、コンピュータとしての機能を確保すべく、記憶部2Aと、演算制御部2Bと、通信部2Cとが備えられ、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11においても、同様に、それぞれ、記憶部8A,9A,10A,11Aと、演算制御部8B,9B,10B,11Bと、通信部8C,9C,10C,11Cとが備えられている。また、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11には、表示部8D,9D,10D,11Dが備えられており、そのうち、表示部9D,10D,11Dは、タッチパネル(タッチ式入力装置)とされている。管理用端末8については、パーソナルコンピュータが利用されていることから、キーボード、マウス等の入力装置8Eが用いられている。
【0053】
より具体的には、上記管理サイト2、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11における各要素2A~2C、8A~8D、9A~9D、10A~10D、11A~11Dは、次のような構成とされている。
【0054】
管理サイト2においては、通信部2Cが、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11の各通信部8C,9C,10C,11Cとの間でそれぞれ通信可能となっており、管理サイト2は、管理用端末8、ユーザ端末9、ドライバー端末10及び車載端末11との間で情報のやり取りを行うことができることになっている。記憶部2Aは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成され、その記憶部2Aには、必要な情報として、会員登録者であるユーザの会員情報、運行管理情報(臨時便(イベント便、デマンド便)の運行依頼(乗車予約依頼も含む)、その後の管理情報等)、ドライバー情報、ユーザ管理情報(各運行便に対する乗車予約情報等を含む)等の管理情報が格納されている。
【0055】
必要な各種プログラムとしては、イベント便、デマンド便等の臨時便の運行依頼(乗車予約も含む)を受け付けるもの、各運行便の乗車予約を受け付けるもの、各運行便の運行についての採算性を判断するもの、臨時便の運行についての公開、未公開を調整するもの、臨時便の依頼情報(乗車予約情報を含む)及びその後の追加乗車予約情報に基づき関連する関連ユーザを検出するもの、臨時便の未確定運行情報を所定の条件の下で限られたユーザに提供するもの等が記憶部2Aに格納されている。特に、関連ユーザを検出するプログラムとしては、本実施形態においては、ルート演算サービスサイト7と協働して乗車予約情報に基づき運行ルートを作成するものと、その運行ルートの周辺に居住するユーザをユーザの会員情報から抽出するものとが用いられ、これに伴い、抽出された関連ユーザに対して当該臨時便の未確定情報を公開するか否かを管理者3に問合わせるため、管理用端末8において、公開選択表示(公開決定部)42(
図15参照)を表示させるための問合せ情報を作成、配信するものが備えられている。
【0056】
演算制御部2Bは、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されており、演算制御部2Bは、記憶部2Aから読み出されたプログラムに基づき、
図10に示すように、採算性判断部2Bj、公開調整部2Bk、関連ユーザ検出部2Bl(運行ルート作成部2Bla、ユーザ抽出部2Blb)、問合わせ情報作成配信部2Bm、未確定情報提供部2Bn、運行依頼受付け部2Bo、乗車予約部2Bp等として機能する。
【0057】
管理用端末8においては、記憶部8Aには、必要なプログラム(アプリケーション(アプリ)、ソフトウェア)として、管理サイト2における記憶部2Aが記憶する管理情報について閲覧請求するもの、その管理情報及び前記問合せ情報作成配信部2Bmから配信された問合せ情報等を管理用端末8において閲覧表示させるもの等が格納されている。本実施形態においては、問合せ情報が管理用端末8において閲覧表示されると、公開選択表示42が表示されることになり(公開決定部を構成)、その公開選択表示42を管理者3が選択操作することにより、運行便の未確定情報を、公開とするか、未公開とするかを選択することができることになる。演算制御部8Bは、演算制御部2Bと同様、CPU(Central Processing Unit)をもって構成され、その演算制御部8Bは、
図11に示すように、記憶部8Aから読み出されたプログラムの下で、閲覧請求部8Ba、閲覧表示部8Bb等として機能する。
【0058】
ユーザ端末9においては、記憶部9Aには、必要なプログラム(アプリケーション、ソフトウェア)として、管理サイト2からの配信情報を閲覧表示させるもの、運行便の乗車予約申請を行うもの、管理サイト2にアクセスして、臨時便であるイベント便、デマンド便の運行を依頼するもの(その運行便の乗車予約を含む)が格納されている。演算制御部9Bは、演算制御部2B同様、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されており、演算制御部9Bは、記憶部9Aから読み出されたプログラムの下で、管理サイト2に対して、閲覧表示部9Ba、乗車予約申請部9Bb、臨時便運行依頼部9Bc等として機能する。
【0059】
ドライバー端末10においては、記憶部10Aには、必要なプログラム(アプリケーション、ソフトウェア)として、管理サイト2からの配信情報を閲覧表示するもの等、管理サイト2との間で情報のやり取りを簡単に導くためのものが格納されており、演算制御部10Bは、演算制御部2B同様、CPU(Central Processing Unit)の構成の下で、
図13に示すように、ユーザ端末9同様、記憶部9Aから読み出されたプログラムの下で、閲覧表示部10Baとして機能する。車載端末11についても、記憶部11A、演算制御部11Bに関し、基本的に、上記ドライバー端末10と同様の構成とされている。
【0060】
このような自動車運行管理システム1においては、次のような管理制御が行われる。
図14に示す処理工程説明図を用いて具体的に説明する。
【0061】
(1)自動車運行管理システム1においては、ユーザ4は、ユーザ端末9を利用して管理サイト2に対してイベント便、デマンド便等の臨時便について運行依頼を行うことができる。この運行依頼は、管理サイト2の運行依頼受付け部2Boが受付けることになり、運行依頼受付け部2Boは、運行依頼情報として、依頼ユーザ(名)、出発地、目的地、その依頼者の乗車予約等を記憶部2Aに記憶する。
【0062】
(2)自動車運行管理システム1においては、管理サイト2は、その採算性判断部2Bjにおいて、依頼に係る臨時便の運行について、基準となるべき採算性(採算条件)を満たすか否かを判断する。採算性を満たさない臨時便の運行を行ったのでは、運営の継続性を担保できないからである。この場合、採算性を満たすか否かは、基本的には、臨時便の走行距離、予約ユーザ数、運賃、運営費用等を用いて利益をあげられるか否かをもって判断されることになるが、その判断に当たっては、地域支援、補助金の存在、割増運賃等、他の視点、要素を加味して、基準となるべき採算性を任意に決めることができる。
【0063】
(3)自動車運行管理システム1においては、管理サイト2は、臨時便の運行について、採算性判断部2Bjが採算性を満たすと判断するときには(複数のユーザ4が依頼と同時に乗車予約する場合等)、依頼に係る臨時便の運行実施を決定し、公開調整部2Bkによりその運行実施を含む運行情報を公開する。採算性を満たす運行便の確実な運行を公開することにより、乗車予約ユーザの乗車を確定すると共に、新たなユーザ4の乗車予約を促して採算性を高め、さらには、相乗りを促進することによって地域の活性化を図るためである。
【0064】
(4)自動車運行管理システム1においては、管理サイト2は、臨時便の運行について、採算性判断部2Bjが採算性を満たさないと判断したときには、公開調整部2Bkにより、原則として、その運行情報を未公開とし、ユーザ4が、管理サイト2にアクセスしても、その運行情報を閲覧できないようにする。仮に、この後、運行中止を決定したとしても、公開していたものを運行中止する場合とは異なり、運行中止の訂正内容を公開、通知等を行わなくてもよくし、さらには、そのような運行中止の訂正内容の公開、通知等を行わなくてもよくすることにより、その運行中止によって運営活動に対するネガティブな印象をユーザ4に与えることにならないようにするためである。
【0065】
(5)自動車運行管理システム1においては、管理サイト2は、臨時便の運行について、採算性判断部2Bjが採算性を満たさないと判断したときには、関連ユーザ検出部2Blが運行依頼情報に基づいて関連する関連ユーザ(見込みユーザ)を検出する。当該運行便に相乗り可能なユーザを探し出して、乗車予約につなげ、採算性を満たすようにするためである。このため、具体的には、ルート演算サービスサイト7と協働して働く運行ルート作成部2Blaにより運行依頼情報に基づき運行ルートを作成し、ユーザ抽出部2Blbによりその求めた運行ルートの周辺に居住するユーザ4をユーザ4の会員情報から抽出する。
【0066】
(6)自動車運行管理システム1においては、管理サイト2は、相乗り可能な関連ユーザ(見込みユーザ)の存在が認められると判断したときには、最終的に、管理者3の判断に当該運行便の未確定運行情報を限定公開するか否かを委ねる。当該運行便の未確定運行情報を関連ユーザに限定公開することにより乗車予約ユーザ数を増やして採算性を満たす必要がある一方で、臨時便を利用するユーザ4には、採算性よりも特殊事情を優先することが必要である場合があり、また、採算性については割増料金により解消できる場合があるからである。このため、管理サイト2は、当該運行便の未確定運行情報を上記関連ユーザ(見込みユーザ)に限定公開するか否かについて問合わせるため、問合せ情報を管理者3の管理用端末8に配信する。この問合せ情報は、
図15に示すように、管理用端末8において、運行便のリスト表示一覧40が表示されたときに、そのうちの該当運行便表示41において、限定公開選択表示(公開決定部)42として表示される。この限定公開選択表示42は、上記未確定運行情報を、前記関連ユーザ、臨時便運行依頼者及び担当ドライバーに対して公開するか、未公開の状態に維持するかを管理者3に選択させるものであり、管理者3が限定公開選択表示を操作しないときには(表示直後)、未確定運行情報の未公開状態が維持され、限定公開選択表示42を選択した状態で
図15中、右方向にスライドさせる操作をしたときには、限定公開指示情報が管理サイト2に送信され、未確定運行情報が関連ユーザ、臨時便運行依頼者及び担当ドライバーに対して公開状態となる。
【0067】
(7)自動車運行管理システム1においては、管理者3は、運行依頼ユーザに特殊事情があるときを除き、基本的に、管理用端末8において、限定公開選択表示42を選択した状態で
図15中、右方向にスライドさせることにより限定公開の指示情報を管理サイト2に送信する。管理サイト2が、関連ユーザ、臨時便運行依頼者及び担当ドライバーに対して未確定運行情報を限定公開(後述の未確定情報提供部2Bnによる未確定情報の提供)するようにするためである。
【0068】
(8)自動車運行管理システム1においては、管理者3は、運行依頼ユーザに特殊事情があると判断したときには、管理用端末8に表示される限定公開選択表示42に対して選択操作を行わず、未公開状態を維持する。病気治療等、他人に知られたくない場合や、割増料金により採算性の問題が解消するような場合を考慮したためである。
【0069】
(9)上記(7)(8)の内容について具体例をもって説明する。前述したように、
図15は、管理用端末8に表示される運行便のリスト表示一覧40であり、その運行便のリスト表示一覧40において、運行便表示41a,41bがイベント便を示し、運行便表示41cがデマンド便を示している。また、運行便のリスト表示一覧40には、各限定公開選択表示42の左隣において、人の体形に似せた簡略図形43をもって乗車枠が示されており、そのうち、斜線が付されたものが乗車予約されたものであり、斜線が付されていないものが未だ乗車予約されていないものである。運行便表示41aにおいては、管理者3による限定公開選択表示42の選択操作基づく未確定運行情報の限定公開を経て、乗車予約ユーザ数が採算性を満たす2人になったため、限定公開選択表示42の表示が通常の公開に移行した状態を示している。運行便表示41bにおいては、乗車予約ユーザ数が採算性を満たさない1人であるため、管理者3により限定公開選択表示42の選択操作が行われて、未確定運行情報が限定公開されている状態を示している。運行便表示41cにおいては、管理者3がデマンド便の依頼ユーザに特殊事情があることを考慮して、管理者3が限定公開選択表示42に対して選択操作しないことにより未確定運行情報を未公開としていることを示している。
【0070】
また、管理用端末8に表示される運行便のリスト表示一覧40には、定時定路線運行便表示41d、41eも表示される。この定時定路線運行便表示については、運行が採算性を満たすか否かを自動的に判断して、採算性を満たさない場合には、運行実施が未確定を意味する未公開状態を示し(この場合、ユーザ4は仮予約可能)、採算性を満たす場合には、運行実施が確定したことを意味する公開状態(公開中)を示すことになる。そして、その実際の運行に移った場合には、定時定路線運行便表示41eに示すように、「運行中」表示が示され、運行が終了すると、定時定路線運行便表示41dに示すように、「終了」表示が表示される。
【0071】
(10)自動車運行管理システム1においては、管理サイト2の未確定情報提供部2Bnは、限定公開指示情報を受け取ったときには、公開調整部2Bkが臨時便の未確定運行情報を未公開とすることを制限して、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定運行情報を関連ユーザ(見込みユーザ)、臨時便の運行依頼者及び担当ドライバーに提供する。関連ユーザに対しては乗車予約を促し、臨時便運行依頼ユーザ及び担当ドライバーに対しては、当該臨時便の現状が全く分からない不安定な状態になることをなくすと共に、現状把握に基づいて乗車予約していない他のユーザに対して乗車予約の働きかけを行うようにすることを促すためである。この場合、乗車予約を促す提案情報を含む運行便の未確定運行情報は、関連ユーザ4及び運行依頼ユーザのユーザ端末9、ドライバー端末10において、例えば
図16に示すように、未確定運行画面44として表示され、その未確定運行画面44には、運行便の運行予定内容(運行日時、目的地等)表示45、乗車予約状況表示46、乗車予約を促す提案表示47として、運行未確定原因を示す記載等が示され、さらには、この未確定運行画面44を見た関連ユーザ4の便宜を考慮して、乗車予約画面(乗車予約申請フォーム)に移行するための「乗車予約へ」選択表示(選択スイッチ)48が表示されている。またこの場合、未確定運行情報の「提供」として、関連ユーザ、臨時便の運行依頼ユーザ及び担当ドライバーが管理サイト2にアクセスして未確定運行情報を閲覧する態様、管理サイト2が、関連ユーザ、臨時便運行依頼者及び担当ドライバーに未確定運行情報を積極的に配信する態様(メール配信を含む)の少なくとも一方を取り得ることになる。
【0072】
この結果、乗車予約ユーザ数が採算性を満たすことになった場合には、運行実施決定が行われ、通常業務通り、運行実施を含む運行情報が公開される。他方、乗車予約ユーザ数が採算性を満たすに至らなかった場合には、運行中止が決定され、担当ドライバーについては、担当の任が解かれ、乗車予約ユーザ4には、運行中止の連絡が行われる(
図14中、破線矢印の流れ参照)。
【0073】
上記自動車運行管理システム1制御の概要を、管理サイト2を中心として、
図17に示すフローチャートに基づいて具体的に説明する。
図17中、Qはステップを示す。
【0074】
イベント便、デマンド便等の臨時便について、ユーザ4から運行依頼があると、管理サイト2は、その依頼に係る運行便についての運行依頼情報を記憶部2Aに記憶する(Q1,Q2)。この運行依頼ユーザ4の運行依頼情報には、乗車予約情報も含まれ、その乗車予約情報には、現在の乗車予約ユーザ数、乗車予約ユーザの住所、乗車場所、降車場所等が含まれる。Q2において、管理サイト2が臨時便の運行依頼情報を記憶部2Aに記憶すると、Q3において、管理サイト2は、その臨時便についての乗車予約情報を抽出して、その臨時便を運行するに当たって、採算性(採算条件)があるか否かを判別する。この採算性を満たすか否かは、基本的には、運行便の走行距離、乗車予約ユーザ数、運賃、運営費用等を用いて判断されることになるが、その判断に当たっては、地域支援等の視点が加味されてもよい。
【0075】
Q3の判別がYESのときは、運行依頼ユーザが複数人からなるような場合であり、そのときには、Q4において、その臨時便の運行実施を含む運行情報の公開が決定され、その運行情報は公開される。これにより、その臨時便の運行実施が確定し、乗車予約ユーザ4は、その臨時便に乗車することが確定し、担当ドライバーは、その臨時便を運転することが確定する。また、運行情報の公開により、未乗車予約ユーザの新たな乗車予約を乗車枠内で促すことができ、当該臨時便の乗車予約を新たに行った場合には、採算性が高まることになる。
【0076】
Q3の判別がNOのときには、Q5において、その臨時便の運行実施を含む運行情報について、基本的に、未公開にすることを決定する。これにより、この臨時便の運行情報が未公開の未確定情報となり、ユーザ4は、その未確定運行情報を見ることができない。
【0077】
上記のように運行情報について未公開が決定されると、Q6において、管理サイト2は、関連ユーザ4を検出する一環として、ルート演算サービスサイト7と協働して運行ルートを作成する。この運行ルートの作成に当たっては、管理サイト2は、臨時便の運行依頼情報(乗車場所、降車場所(目的地)等)をルート演算サービスサイト7に提供する。
【0078】
Q6において、運行ルートを得ると、Q7において、管理サイト2は、その運行ルートの周辺に居住する対象ユーザ4を抽出する。当該臨時便に相乗りする可能性が比較的高いユーザ4を選び出すためである。この対象ユーザ4を抽出するに当たっては、会員登録情報(住所等)が利用される。
【0079】
次のQ8においては、対象ユーザが存在するか否かが判別され、そのQ8がYESのときには、Q9において、前回処理されたQ7の対象ユーザについての情報に関して変化があるか否かが判別される。新たに追加された対象ユーザ4の下で次のQ10の処理を行いたいからである。
【0080】
Q10においては、当該臨時便の運行情報に関して、前述の限られた対象ユーザ(Q7~Q9参照)を対象として、限定公開を行うか否かの問合せ情報を管理者3の管理用端末8に配信する。この限定公開を行うか否かの問合せ情報の配信は、
図15に示すように、管理用端末8において、運行便のリスト表示一覧40を表示したときに、限定公開選択表示(選択スイッチ)42が表示されることとして反映され、管理者3の選択操作により、限定公開指示情報又は未公開指示情報が管理サイト2に送信されることになる。
【0081】
上記Q10の問合せ情報の配信を行うと、Q11においては、管理サイト2は、管理者3の意思表示として限定公開指示情報を受信したか否かを判別する。限定公開を行うか否かに関して、管理者3がよく知っている地域事情等を反映或いは利用したいからである。このため、このQ11がYESのときには、Q12におおいて、未確定情報提供部2Bnは、未確定運行情報を前述の限られたユーザ(関連ユーザ、運行依頼ユーザ)及び担当ドライバーに提供する(限定公開)。これにより、限られたユーザ(関連ユーザ、運行依頼ユーザ)及び担当ドライバーは、当該臨時便の未確定運行情報の限定公開(未確定情報提供部2Bnによる未確定運行情報の提供)を受けて、それを閲覧することができる。この結果、Q7の対象ユーザ4は、自宅近辺を運行便が通ることを知り、それが、当該運行システムを互いに支える意識と相まって、その臨時便に乗車するインセンティブとして働くことになり、当該臨時便に対する乗車予約が促される。このとき、限定公開を行うに際して、当該臨時便の未確定運行情報として、現在の乗車予約ユーザ(乗車予約ユーザ数)の表示、現在の予約ユーザ数では、運行実施が未確定の状況(採算性を満たさない状況)にある表示、乗車予約を促す表示47(
図15参照)等は、上記インセンティブを高めると考えられる。
【0082】
また、限られたユーザのうち、運行依頼ユーザや担当ドライバーは、限定公開情報によって、運行実施の公開が、予約申請ユーザ数の不足が原因である状況を知ることになり、そのことは、状況が全くわからない状態での不安定感をなくすことができる一方で、臨時便の運行実施のために、未だ予約申請していない他のユーザに対して予約申請を行うことを働きかけるきっかけともなる。
【0083】
次のQ13においては、関連ユーザから乗車予約があったか否かが判別され、Q13がYESのときには、Q2に戻されて、新たな追加乗車予約情報を加えた状況の下で、Q2~Q13の処理が繰り返される。このQ13NOのときには、Q14に進み、そこで、当該運行便についての乗車予約終了時期に達した否かが判別され、このQ14がNOのときも、Q2に戻されて、予約終了時期に達するまでQ2~Q14の処理が繰り返される。
【0084】
Q14がYESのときには、管理サイト2は、臨時便の運行情報を公開することなく、当該運行便の運行中止を決定し、乗車予約ユーザ及び担当ドライバーに運行中止連絡を行う(Q15,Q16)。この場合、この臨時便の未確定運行情報の公開を行っていないことから、運行中止の公開を行う必要がなく、また、運行中止を行っても、当該運行システムの活動評価に対するネガティブな影響をユーザ4に与えることを少なくすることができる。
【0085】
前記11がNOのときには、未確定運行情報を未公開にすることが維持されることになる。この管理者の選択により、特殊事情(公開しない方がよい事情の存在、割増料金が支払われて採算性が満たされるとき等)を、限定公開を行わないことに反映させることができる。
【0086】
前記Q8,Q9がNOのときには、Q13に直接、進むことになる。
【0087】
図18~
図20は、第2実施形態を示す。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
この第2実施形態は、
図19に示すように、臨時便の運行が採算性を満たさずその運行情報が未公開(未確定)とされたときに、臨時便の運行に関連する関連ユーザを見出すために、管理サイト2が関連ユーザ選択対象情報(会員情報(ユーザ情報))を管理用端末8に配信し、その関連ユーザ選択対象情報の中から、管理者3が、その特性を利用して、関連ユーザを選択し、それを管理サイト2に送り返すものを示している。
【0089】
このため、管理サイト2における演算制御部2Bは、
図18に示すように、前記第1実施形態における関連ユーザ検出部2Bl、問合せ情報作成配信部2Bmに代えて、関連ユーザ抽出情報配信部2Bqとして機能することになっており、この関連ユーザ抽出情報配信部2Bqは、採算性判断部2Bjが、臨時便の運行が採算性を満たさないと判断したとき、関連ユーザ選択対象情報と、関連ユーザ送信表示情報と、を配信する。関連ユーザ選択対象情報としては、会員登録情報として記録されているユーザ情報(氏名、住所等)が利用され、それは、管理用端末8に配信されて、その管理用端末8において、
図20に示すように、ユーザ情報(氏名、住所)表示51の一覧を含む関連ユーザ選択対象画面50として表示される。関連ユーザ送信表示情報は、管理用端末8において、関連ユーザ送信表示54として表示されるものであり、その関連ユーザ送信表示54は、「選択」表示52と「送信」表示53とからなる。「選択」表示52は、関連ユーザ選択対象画面50における各ユーザ情報表示51の右隣にそれぞれ配置されて、そのユーザ情報表示51を選択するか(関連ユーザとして選ぶか)否かを選択するものであり、
図20では、一例として、「選択」を実線をもって囲まれているものを選択された状態にあるものとして示し、「選択」を破線をもって囲まれているものを選択されていない状態にあるものとして示している。「送信」表示53は、その選択操作により、「選択」表示52により選択されたユーザ情報を関連ユーザ情報として管理サイト2に送り返す(送信する)ものであり、その「送信」表示53は、「選択」表示52と明確に区別できるようにすべく、関連ユーザ選択対象画面50の下部に大きな面積をもって表示されている。
【0090】
このような構成により、臨時便の運行が採算性を満たさずその運行情報が未公開(未確定)とされたときには、
図19に示すように、関連ユーザ選択対象情報と関連ユーザ送信表示情報とが管理サイト2から管理用端末8に配信されることになり、その配信を受けて、管理者3が関連ユーザ送信表示54(「選択」表示52と「送信」表示53)を利用して関連ユーザ情報を送信してきたときには、管理サイト2における未確定情報提供部2Bnは、
図16に示すように、乗車予約を促す提案情報47を含む運行便の未確定運行画面(
図16参照)を上記関連ユーザ等に提供する(未確定運行情報の限定公開)。このため、この場合においても、臨時便の運行依頼ユーザ(乗車予約ユーザ)や担当ドライバーが、運行便の運行の実施か中止かが確定するまで不安定な時間を過ごすことを抑えつつ、その臨時便の運行実施の可能性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、運行便の依頼者や担当ドライバーが、運行便の運行の実施か中止かが確定するまで不安定な時間を過ごすことを抑え、運行便の運行実施の可能性を高める。
【符号の説明】
【0092】
1 自動車運行管理システム
2 管理サイト(運行管理装置)
2A 管理サイトの記憶部
2B 管理サイトの演算制御部
2Bj 採算性判断部(演算制御部)
2Bk 公開調整部(演算制御部)
2Bl 関連ユーザ検出部(演算制御部)
2Bla 運行ルート作成部(演算制御部)
2Blb ユーザ抽出部(演算制御部)
2Bm 問合せ情報作成配信部(演算制御部)
2Bq 関連ユーザ抽出情報配信部(演算制御部)
3 管理者
4 ユーザ
5 ドライバー
6 運行車両(運行便)
8 管理用端末
42 限定公開選択表示(限定公開決定部)
44 未確定運行画面(未確定運行情報)
47 未確定運行画面中の乗車予約を促す提案情報
51 ユーザ情報表示(関連ユーザ選択対象)
52 「選択」表示(関連ユーザ送信表示)
53 「送信」表示(関連ユーザ送信表示)
54 関連ユーザ送信表示