(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】減衰部材
(51)【国際特許分類】
F16F 7/00 20060101AFI20220630BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20220630BHJP
F16F 1/36 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
F16F7/00 B
F16F15/02 K
F16F1/36 C
(21)【出願番号】P 2018142867
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000236609
【氏名又は名称】フドー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(72)【発明者】
【氏名】紙田 徹
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 章吾
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-273325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/00
F16F 15/02
F16F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチックを有する線状部材が二次元方向に沿って延在されて形成された複数のエレメントを備え、
前記複数のエレメントが積層されることによって構成され
、
少なくともいずれか一つの前記エレメントにおいて、前記線状部材が一本に連続して延在されていることを特徴とする減衰部材。
【請求項2】
請求項1に記載の減衰部材であって、
前記線状部材の配置パターンにより、前記減衰部材内部に、空隙分布や空隙率を適宜設定することで、減衰性能を得ることを特徴とする減衰部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の減衰部材であって、
1つの層を構成する前記エレメントが有する前記線状部材の配置パターンが、前記1つの層に積層される他の層を構成する前記エレメントが有する前記線状部材の配置パターンとは前記線状部材の延在する経路が異なる配置パターンとして構成されている減衰部材。
【請求項4】
請求項3に記載の減衰部材であって、
前記線状部材が周方向に延在する第1配置パターンに形成された第1エレメントと、
前記線状部材が前記第1配置パターンを構成する前記線状部材と交差する方向に延在する第2配置パターンに形成された第2エレメントと、
を備え、
前記第2エレメントは、
前記第1エレメントを挟んで積層されていることを特徴とする減衰部材。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の減衰部材であって、
全体積に対する空隙率が23%以上64%以下に設定されていることを特徴とする減衰部材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の減衰部材であって、
前記繊維強化プラスチックは、
炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする減衰部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軽量でかつ高い減衰性能を確保することが可能な減衰部材に関する。
【背景技術】
【0002】
アビオニクス機器等の対象物に付加される振動を減衰するために、例えば、対象物と取付部(ベース)の間に設置して、取付部からの振動、衝撃を減衰させる機能を有する減衰部材が広く用いられている。
【0003】
また、減衰部材には、粘弾性体の特性により振動エネルギーを熱エネルギーに変換することで減衰効果を生じさせるものとして、例えば、高分子材料によって形成された制振ゴム等が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、例えば、金属細線をメッシュ状に編み込んで金属細線同士の摩擦により振動エネルギーを熱エネルギーに変換するものとしてメッシュバネが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】URL:http://www.kuraka.co.jp/product/industrial/rubber/18/index.html
【文献】URL:http://www.nhkspg.co.jp/products/industry/design/earthquake_prf.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の制振ゴムは、高周波(例えば、数百~数千Hz)の振動を抑制するうえで有効であるが、適用可能な振動周波数に対する自由度は大きいとはいえない。さらに、制振ゴムの製造には、大掛かりな設備や金型が必要であり少量生産に適しておらず、使用状況に応じて振動周波数を調整することは困難である。また、防振ゴムの仕様(形状等)が一旦定まると設備や金型が定まることから適用可能な振動周波数を変更することは不可能である。
【0006】
また、非特許文献2に記載の金属細線をメッシュ状に形成して構成されたメッシュバネは、制振ゴムと同様に大掛かりな設備や金型が必要であり少量生産に適しておらず、しかも重量が大きくなるうえ、耐腐食性が劣るという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、軽量でかつ振動及び衝撃に対する高い減衰性能を備えた減衰部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、減衰部材であって、繊維強化プラスチックを有する線状部材が二次元方向に沿って延在されて形成された複数のエレメントを備え、前記複数のエレメントが積層されることによって構成され、少なくともいずれか一つの前記エレメントにおいて、前記線状部材が一本に連続して延在されていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る減衰部材によれば、繊維強化プラスチックを有する線状部材が二次元方向に沿って延在されて形成された複数のエレメントが積層されることによって構成されているので、例えば、この減衰部材に対して、複数のエレメントが積層する方向に対して交差する方向に振動が入力されたときに、各エレメントを構成する線状部材が、各エレメント内において線状部材間に形成される空隙を拡縮させるように変形することで、振動を減衰させることができる。
その結果、軽量でかつ振動及び衝撃に対する高い減衰性能を得ることができる。
【0010】
また、線状部材の延在する経路を調整することにより、それぞれのエレメントにおける配置パターンを調整して、減衰部材の減衰性能を適宜調整することができる。
また、FRP3次元プリンタ等を用いて線状部材を延在させてエレメントを形成することが可能であり、容易かつ効率的に製造することができる。また、金型等の要具を用いる必要がなく、減衰部材を少量生産する場合であっても、効率的かつ低コストに製造することができる。
また、FRP3次元プリンタ等を用いて線状部材を形成することにより、線状部材内における繊維の配向を局所的に調整して、線状部材の内部に局所的な剛性分布、空隙分布を設定することが可能であり、より軽量かつ減衰性能が高い減衰部材を製造することができる。
また、エレメントを繊維強化樹脂によって形成することにより、耐腐食性を向上することができる。
【0011】
ここで、減衰部材を構成する複数のエレメントは、例えば、減衰部材を構成するすべてのエレメントの配置パターンが同一である場合を含むことはいうまでもなく、一部のエレメントの配置パターンが他のエレメントの配置パターンと異なっている場合、すべてのエレメントの配置パターンが異なっていてもよい。
また、配置パターンは、複数の線状部材を有していてもよいし、連続する一本の線状部材であってもよい。また、線径や繊維の配向等が構成が異なる線状部材を有していてもよい。
【0012】
ここで、配置パターンとは、線状部材が延在する経路のほか、線径や繊維の配向等、エレメントを構成する線状部材の配置を特定する種々の特性により特定されるものとする。
【0014】
また、少なくともいずれか一つのエレメントにおいて、線状部材が一本に連続して延在されていて、例えば、三次元プリンタによって線状部材を形成する際に、線状部材を抽出するノズルを停止させることなく移動させ続けることができる。その結果、エレメントを効率的に形成することができる。
ここで、線状部材が一本に連続して延在されているとは、エレメント内における線状部材の一端(始点)から他端(終点)までの経路がいわゆる「一筆書き」によって形成されていることをいう。
また、積層される複数のエレメントは、一部のエレメント又はすべてのエレメントが積層方向に連続(エレメント間における一筆書き)に形成される線状部材を備える構成とされていてもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の減衰部材であって、前記線状部材の配置パターンにより、前記減衰部材内部に、空隙分布や空隙率を適宜設定することで、減衰性能を得ることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の減衰部材であって、1つの層を構成するエレメントが有する線状部材の配置パターンが、前記層に積層される他の層を構成するエレメントが有する線状部材の配置パターンとは前記線状部材の延在する経路が異なる配置パターンとして構成されていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る減衰部材によれば、エレメントとして、線状部材の延在する経路が異なる複数の配置パターンに形成されたエレメントを備えているので、それぞれのエレメントにおける線状部材の経路を適宜設定することにより、減衰部材のエレメントに沿った(二次元方向)及び軸線方向(二次元方向と直交する積層方向)における空隙を適宜設定することができる。
その結果、減衰部材の減衰性能を効率的に設定することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の減衰部材であって、前記線状部材が周方向に延在する第1配置パターンに形成された第1エレメントと、前記線状部材が前記第1配置パターンを構成する前記線状部材と交差する方向に延在する第2配置パターンに形成された第2エレメントと、を備え、前記第2エレメントは、前記第1エレメントを挟んで積層されていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る減衰部材によれば、線状部材が周方向に延在する第1配置パターンに形成された第1エレメントと、線状部材が第1配置パターンを構成する(周方向に延在する)線状部材と交差する方向に延在する第2配置パターンに形成された第2エレメントと、を備え、第2エレメントは、第1エレメントを挟んで積層されているので、減衰部材のエレメントに沿った(二次元方向)及び軸線方向(二次元方向と直交する積層方向)における空隙を効率的に設定することができる。
【0019】
ここで、第1配置パターンを構成する線状部材が周方向に延在するとは、例えば、円形又は円弧状の線状部材が軸線又は軸線以外を中心として同心状に延在する場合、円形又は円弧状の線状部材が異なる位置を中心として配置される場合、円形又は円弧状の線状部材が軸線以外で同心状に配置される場合線状部材が渦巻き状に配置される場合、線状部材が軸線又は軸線以外を中心とする渦巻き状に配置されている場合等、線状部材が周方向に延在する種々の場合でもいいものとする。なお、渦巻き状とは、旋回するにつれ中心から遠ざかる曲線をいう。
【0020】
また、第2配置パターンに係る周方向に延在する線状部材と交差する方向に延在するとは、第1配置パターンを構成する線状部材と直交する場合のほか90°以外の角度で交差してもよいものとする。また、第2エレメントを構成する線状部材の周方向位置、径方向位置等によって交差角が変位してもよいものとする。
【0021】
また、第2エレメントが第1エレメントを挟んで積層されているとは、第2エレメントと第2エレメントの間に、ひとつの第1エレメントが配置された構成、第2エレメントと第2エレメントの間に複数の第1エレメントが配置された構成の少なくともいずれかを備えているこというものとする。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の減衰部材であって、全体積に対する空隙率が23%以上64%以下に設定されていることを特徴とする。
【0023】
この発明に係る減衰部材によれば、全体積に対する空隙率が23%以上64%以下に設定されているので、振動及び衝撃に対する減衰性能を向上させることができる。
ここで、空隙率とは、部材質量と、空隙なし予想重量(複合材密度と部材体積(全体積)に基づく重量)に基づいて、以下の式で算出することが可能である。
空隙率=(1-(部材質量/(複合材密度×部材体積)))×100[%]・・・(1)
=(1-(部材質量/(空隙なし予想重量))×100[%] ・・・(2)
ここで、複合材密度とは減衰部材を構成する線状部材の平均密度であり、部材体積(全体積)は、減衰部材の表面を被覆した状態で液体に浸漬して測定した体積をいう。
なお、減衰部材の図面、線状部材の形態(例えば、三次元プリンタのノズル軌跡で定まる線状部材の長さ)及び線状部材の断面情報(例えば、外径)等の情報に基づいて算出してもよい。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の減衰部材であって、前記繊維強化プラスチックは、炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする。
【0025】
この発明に係る減衰部材によれば、繊維強化プラスチックが炭素繊維強化プラスチックであるので、軽量でかつ高強度な減衰部材を得ることができる。また、減衰部材の耐腐食性を向上することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明に係る減衰部材によれば、軽量でかつ振動及び衝撃に対する高い減衰性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係る減衰部材の概略構成の一例を説明する斜視図である。
【
図1B】第1実施形態に係る減衰部材の概略構成の一例を説明する側面から見た図である。
【
図2A】第1実施形態に係る減衰部材の製造方法の一例を説明する図であり、減衰部材の製造を開始する前の状態を示す概念図である。
【
図2B】第1実施形態に係る減衰部材の製造方法の一例を説明する図であり、第1層目のエレメントを形成する状態を示す概念図である。
【
図2C】第1実施形態に係る減衰部材の製造方法の一例を説明する図であり、第1層目のエレメントの形成が終了した状態を示す概念図である。
【
図2D】第1実施形態に係る減衰部材の製造方法の一例を説明する図であり、第2層目のエレメントを形成する状態を示す概念図である。
【
図3A】本発明の第2実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する斜視図である。
【
図3B】第2実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する図であり、第1エレメントの概略構成を示す斜視図である。
【
図3C】第2実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する図であり、第2エレメントの概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る減衰部材の減衰効果の確認方法の一例の概略を説明する概念図である。
【
図5】本発明に係る減衰部材のX軸方向における振動に対する減衰効果を説明する図である。
【
図6】本発明に係る減衰部材のX軸方向における衝撃に対する減衰効果を説明する図である。
【
図7A】本発明の第3実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する斜視図である。
【
図7B】第3実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する軸線方向に沿って見た概略構成図である。
【
図8A】第3実施形態に係る減衰部材の作用を説明する図であり、
図7Bに矢視VIIIA-VIIIAで示すX軸方向に沿った断面図である。
【
図8B】第3実施形態に係る減衰部材の作用を説明する図であり、
図7Bに矢視VIIIB-VIIIBで示すY軸方向に沿った断面図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する側面から見た図である。
【
図10】本発明の第5実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する側面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下、
図1A、
図1Bを参照して本発明の第1実施形態に係る減衰部材について説明する。
図1Aは、第1実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する斜視図であり、
図1Bは減衰部材を側面から見た図である。
図1A、
図1Bにおいて、符号10は減衰部材を、符号11はエレメントを、符号12は線状部材を示している。
【0029】
なお、この明細書において、符号X(軸)、符号Y(軸)は、エレメントを構成する二次元方向に延在し、互いに直交配置される軸方向を示している。また、符号Z(軸)は、X軸及びY軸と直交する軸線方向であり、エレメントの軸線方向(積層方向という場合がある)を示している。
【0030】
減衰部材10は、
図1Aに示すように、軸線O1方向に積層された複数のエレメント11を備え、外形が略円筒形状とされるとともに中央に軸線O1を中心とする円形の貫通穴10Hが形成されている。また、減衰部材10は、外形φ30mm、内径φ6mm、高さ20mmに設定した。
【0031】
エレメント11は、例えば、同一平面(二次元方向に沿って)に形成されるとともに、軸線O1を中心として同心状に配置された複数の線状部材12を備えている。
また、第1実施形態において、複数のエレメント11を構成する線状部材12の配置パターンは同一に形成されている。
ここで、同一の配置パターンに形成されているとは、エレメント11を構成する複数の線状部材12の径方向位置が同じ径方向位置であることをいう。
【0032】
線状部材12は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)によって形成されている。
また、線状部材12は、例えば、CFRP3Dプリンタ(FRP3次元プリンタ)を用いて予め設定された経路に延在することで配置パターンが形成されている。
また、隣接する線状部材12は、径方向および積層方向において、CFRP3Dプリンタによって線状部材12を形成する過程で互いに接続されている。
また、径方向において隣接する線状部材12の間隔は、減衰部材10の空隙率が23%となるように設定されている。
【0033】
次に、
図2A~
図2Dを参照して、減衰部材10の製造方法の一例について概略を説明する。
図2A~
図2Dは、第1実施形態に係る減衰部材10の製造方法の一例を説明する概念図である。
図2A~
図2Dにおいて、符号100はCFRP3Dプリンタ(FRP3次元プリンタ)を、符号Sはプラスチックコイルを示している。
【0034】
CFRP3Dプリンタ(FRP3次元プリンタ)100は、例えば、ノズル110と、プラットフォーム120と、材料供給部130と、制御部(不図示)とを備えている。
そして、CFRP3Dプリンタ(FRP3次元プリンタ)100は、制御部の指示に基づいて、材料供給部130からプラスチックコイルSを繰り出してノズル110に供給して、ノズル110内に設けられたフィラメントヒーター(不図示)によって加熱し、加熱したプラスチックコイルSをプラットフォーム120に向かって抽出して線状部材12を形成する。このとき、制御部は、エレメント11の配置パターンと対応させて二次元方向(XY方向)に沿って、ノズル110とプラットフォーム120とを相対移動するように構成されている。
【0035】
以下、減衰部材11を形成する際の具体的な手順について説明する。
(1)まず、制御部(不図示)は、
図2Aに示すように、ノズル110を、プラットフォーム120の二次元方向(XY方向)における所定位置(予め設定された位置)に位置させる。
(2)次に、制御部は、フィラメントヒーター110とプラットフォーム120とを、線状部材12の形成に適した相対的な高さ方向位置に位置させる。具体的には、プラットフォーム120を上下方向に移動して調整する。
そして、制御部は、材料供給部130からプラスチックコイルSを繰り出して、ノズル110に供給し、フィラメントヒーター(不図示)によって設定温度に加熱する。
また、制御部は、
図2Bに示すように、例えば、エレメント11の配置パターンと対応する経路に沿って、ノズル110をプラットフォーム120に対してXY方向に移動させるとともに、プラットフォーム120の表面に加熱されたプラスチックコイルSを抽出する。
このようにして、プラットフォーム120の表面に第1層目のエレメント11を形成する。
(3)制御部は、
図2Cに示すように、第1層目のエレメント11を構成する配置パターンの線状部材12を形成し終ったら、ノズル110とプラットフォーム120の相対的な高さ方向位置を第2層目のエレメント11に対応させて相対移動させる。この実施形態では、例えば、プラットフォーム120を矢印T1方向に下降させる。
(4)次に、制御部は、(2)の場合と同様に、材料供給部130からプラスチックコイルSを繰り出して、ノズル110に供給し、フィラメントヒーター(不図示)によって設定温度に加熱するとともに、
図2Dに示すように、2層目のエレメント11の配置パターンと対応する経路に沿って、ノズル110をプラットフォーム120に対してXY方向に移動ながら、1層目のエレメント11の表面に加熱されたプラスチックコイルSを抽出する。このようにして、第1層目のエレメント11の表面に第2層目のエレメント11を形成する。
(5)その後、プラットフォーム120の反対側に位置される上端面のエレメント11が形成されるまで(3)、(4)の動作を繰り返す。
【0036】
第1実施形態に係る減衰部材10によれば、エレメント11を形成する線状部材12の配置パターンを調整することにより軽量かつ振動に関して高い減衰性能を確保することができる。
【0037】
また、減衰部材10によれば、CFRP3Dプリンタ(FRP3次元プリンタ)等を用いて線状部材を延在させてエレメントを形成するので、容易かつ効率的に製造することができる。
また、金型等の要具を用いる必要がなく、減衰部材10を少量生産する場合であっても、効率的かつ低コストに製造することができる。
【0038】
また、減衰部材10によれば、例えば、線状部材12の延在する経路を調整することにより、それぞれのエレメント11における配置パターンを調整して、減衰部材の減衰性能を適宜調整することができる。
【0039】
また、エレメントを繊維強化樹脂によって形成することにより、耐腐食性を向上することができる。
この発明に係る減衰部材によれば、空隙率が23%に設定されているので、振動及び衝撃に対する減衰性能を向上させることができる。
【0040】
また、減衰部材10によれば、繊維強化プラスチックが炭素繊維強化プラスチック(CFRP)であるので、軽量でかつ高強度な減衰部材を得ることができる。また、減衰部材10の耐腐食性を向上することができる。
【0041】
また、減衰部材10によれば、CFRP3Dプリンタ(FRP3次元プリンタ)等を用いて線状部材を形成するので、例えば、線状部材12内における炭素繊維の配向を局所的に調整することができる。
その結果、線状部材12の内部に局所的な剛性分布、空隙分布を設定することが可能である。
【0042】
<第2実施形態>
次に、
図3A~
図3Cを参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図3Aは、第2実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する斜視図である。また、
図3Bは減衰部材の第1エレメントを、
図3Cは第2エレメントの概略構成を示す斜視図である。
図3A~
図3Cにおいて、符号20は減衰部材を、符号21は第1エレメントを、符号22は第2エレメントを、符号11は第3エレメント(エレメント)を示している。
【0043】
減衰部材20は、
図3Aに示すように、例えば、複数の第1エレメント21と、複数の第2エレメント22と、二つの第3エレメント(エレメント)11とを備えている。
また、減衰部材20は、外形が略円筒形状とされるとともに中央に軸線O2を中心とする円形の貫通穴20Hが形成されている。
また、第3エレメント11は、減衰部材20の軸線O2方向における両端面に配置されている。
また、減衰部材10は、外形φ30mm、内径φ6mm、高さ20mm、空隙率が64%となるように設定されている。
【0044】
また、例えば、二つの第3エレメント11の軸線O2方向における内側には、第1エレメント21が配置され、この第1エレメント21の内側に第2エレメント22と第1エレメント21が交互に積層された構成とされている。
なお、第3エレメント11は、第1実施形態に係るエレメント11と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0045】
第1エレメント21は、
図3Bに示すように、例えば、二次元方向(XY方向)に配置された複数の線状部材21Aを備えている。
具体的には、第1エレメント21は、軸線O2に沿って見たときに、外形が円形とされ、複数の線状部材21Aが軸線O2を中心として同心状に周方向に形成された第1配置パターンとされている。
【0046】
また、隣接する線状部材21A同士は、例えば、径方向に線状部材21Aの線径と同程度の間隔をあけて配置されている。
また、第1エレメント21は、中央に軸線O2を中心とする円形の貫通孔20Hが形成されている。
【0047】
第2エレメント22は、
図3Cに示すように、例えば、例えば、二次元方向(XY方向)に配置された複数の線状部材22Aを備えている。
具体的には、軸線O2に沿って見たときに、軸線O2を中心として放射状に配置された複数の線状部材22Aを備えている。そして、線状部材22Aは貫通孔20Hの内周円から第1エレメント21は外形円まで延在して形成されている。
【0048】
具体的には、第2エレメント22は、軸線O2に沿って見たときに、外形が第1エレメント21と対応する円形の中に配置され、中心には軸線O2を中心とする貫通孔20Hと対応する空間が形成されている。
また、第2エレメント22は、軸線O2に沿って見たときに、12本の線状部材22Aが軸線O2を中心として30°間隔で放射状に配置されている。
また、第2エレメント22は、線状部材22Aが線状部材21Aと直交して形成された第2配置パターンとされている。
【0049】
また、第2実施形態では、線状部材21A、線状部材22Aは、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)によって形成されている。
また、それぞれCFRP3Dプリンタを用いて予め設定された第1配置パターン、第2配置パターンに形成されている。
また、積層方向において隣接する線状部材21Aと線状部材22Aとは互いに接続されている。
【0050】
第2実施形態に係る減衰部材20によれば、第1配置パターンに形成された第1エレメント21と、第2配置パターンに形成された第2エレメント22と、を備え、第2エレメント22は第1エレメント21を挟んで積層されているので、減衰部材20のエレメントに沿った(二次元方向)及び軸線方向(二次元方向と直交する積層方向)における空隙を効率的に設定することができる。
【0051】
また、第2実施形態に係る減衰部材20によれば、配置パターンが異なる第1エレメント21、第2エレメント22を備えているので、第1エレメント21、第2エレメント22の線状部材21A、22Aの経路を適宜設定することにより、第1エレメント21、第2エレメント22による空隙を適宜設定することができる。
その結果、減衰部材20の減衰性能を効率的に設定することができる。
【0052】
次に、
図4~
図6を参照して、本発明に係る減衰部材の効果について説明する。
図4は、第1実施形態、第2実施形態に係る減衰部材の減衰効果の確認方法の一例の概略を説明する概念図である。また、
図5は、減衰部材のX軸方向における振動に対する減衰効果を、
図6は衝撃に対するX軸方向における衝撃に対する減衰効果を説明する図である。なお、
図5、
図6において、実線は減衰部材10を配置した場合、破線は減衰部材20を配置した場合、二点鎖線は減衰部材を配置していない場合の周波数伝達関数を示している。
【0053】
減衰部材の減衰効果の確認は、
図4に示すように、脚部の上側と下側に減衰部材10(または20)を配置したブラケット202をボルト203によってベースプレート201に固定し、ブラケット202の先端部にダミーマス204を接続した装置により測定した。なお、上記減衰部材10(20)を上下2つずつ配置した1つのブラケット202を1組のブラケット群として、ダミーマス204を4組のブラケット群によって支持した。また、ダミーマス204の重量は10kgとした。
そして、ベースプレート201、ダミーマス204に配置した加速度センサ(不図示)によって、ブラケット202の脚部を構成するプレートの上側、下側に減衰部材10、20を配置する場合、減衰部材を配置しない場合に、X軸方向に加振力F
X、Z軸方向に加振力F
Zを付加して振動させて、振動数を変えながらそれぞれの加速度を測定した。なお、測定に際しては、振動試験ハンドブック(JAXA)(以下のURL参照)を参考にして実施した。
URL:http://sma.jaxa.jp/TechDoc/Docs/JAXA-JERG-2-130-HB003A.pdf
【0054】
そして、測定結果を、下記の数式(3)、(4)によって振動・衝撃に対する減衰性能評価の指標となる周波数伝達関数およびSRS比を算出した。
〔振動に対する減衰性能評価〕
周波数伝達関数=(ダミーマスの加速度/ベースプレートの加速度)
・・・(3)
〔衝撃に対する減衰性能評価〕
SRS比=(ダミーマスのSRS/ベースプレートのSRS)
・・・(4)
ここで、SRSは、衝撃応答スペクトラム(Shock Response Spectrum)の略であり、衝撃応答の大きさを示す指標である。
【0055】
<X軸方向における振動に対する減衰性能>
以下、
図5を参照して、X軸方向における振動に対する減衰性能を説明する。
減衰部材10は、
図5に示すように、約500Hz以上の振動数範囲で、減衰部材を配置していない場合に比較して振動が大きく減少している。
同様に、減衰部材20は、
図5に示すように、約500Hz以上の振動数範囲で、減衰部材を配置していない場合に比較して振動が大きく減少している。
また、
図5に示すように、減衰部材を配置していない場合は、振動数約250Hz、600Hz、1050Hzで複次に大きく共振していたが、減衰部材10では約200Hz、減衰部材20では約150Hzで共振しているものの、それより大きな振動数では、共振のピークが大幅に減衰されている。
以上のことから、減衰部材10、20は、X軸方向における振動に関して、実用レベルで重要な振動数200Hz以上の範囲で減衰性能が大きいことを確認することができた。
【0056】
また、Z軸方向における振動に対する減衰性能は、X軸方法ほど顕著ではないが、減衰部材10、減衰部材20を配置することにより、減衰部材を配置していない場合に比較して、ピークが低下することが確認できた。
【0057】
<X軸方向における衝撃に対する減衰性能>
以下、
図6を参照して、X軸方向における衝撃に対する減衰性能を説明する。
減衰部材10は、
図6に示すように、すべての振動数範囲において、減衰部材を配置していない場合に比較して衝撃が大きく減少している。
また、減衰部材20は、振動数200Hzまでは、減衰部材を配置していない場合に比較して衝撃は減衰していないが、実用レベルで重要な振動数200Hz以上の範囲で衝撃が大きく減少している。
また、減衰部材10と、減衰部材20を比較すると、減衰部材10のほうが衝撃の減衰性能が優位であることが確認できた。
【0058】
また、Z軸方向における衝撃に対する減衰性能は、減衰部材10を配置した場合、約600Hz以上の振動数において、減衰部材を配置していない場合に比較して大幅に減衰することが確認できた。
また、減衰部材20を配置した場合、約500Hz以上の振動数において、減衰部材を配置していない場合に比較して大幅に減衰することが確認できた。
【0059】
<第3実施形態>
次に、
図7A~
図8Bを参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図7Aは、第3実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する斜視図であり、
図7Bは軸線方向に沿って見た概略構成図である。
図7A、
図7Bにおいて、符号30は減衰部材を、符号31はエレメントを、符号32は線状部材を示している。
【0060】
減衰部材30は、例えば、
図7Aに示すように、複数のエレメント31を備えている。また、減衰部材30は、複数のエレメント31が軸線O3方向に積層されて構成されている。
【0061】
エレメント31は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を有する線状部材が、二次元方向に延在することにより形成されている。また、エレメント31は、軸線O3に沿って見たときに、外形が円形とされ、中央に軸線O3を中心とする貫通孔30Hが形成されている。
また、エレメント31は、
図4A、
図4Bに示すように、線状部材32が一定方向(X軸方向)に沿って配向されている。
【0062】
具体的には、エレメント31を構成する線状部材32の配置パターンは、例えば、エレメント31を構成する外形円のY軸方向における第1端部(一端部)を始点として、X軸方向の延在と、外形円の円周上又は貫通孔30Hの内周円における折り返しと、X軸方向における折り返し前とは反対向きの延在とを、Y軸方向における第1端部と反対側の第2端部(終点、他端部)まで繰り返すことによって構成されている。
また、それぞれのエレメント31は、線状部材32の配向方向(X軸方向)を揃えて積層されている。
【0063】
次に、
図8A、
図8Bを参照して、第3実施形態に係る減衰部材の作用について説明する。
図8Aは、第3実施形態に係る減衰部材の作用を説明する
図7Bにおいて矢視VIIIA-VIIIAで示すX軸方向に断面図であり、
図8Bは矢視VIIIB-VIIIBで示すY軸方向の沿った断面図である。図において、符号△XはX軸方向における変位量を、符号△YはY軸方向における変位量を示している。
【0064】
減衰部材30は、
図7Bに示すX軸方向に沿ったせん断力を加えると、最上面のエレメント31と底面のエレメント31の間に
図8Aに示すようなX軸方向に沿った変位△Xが生じる。
また、減衰部材30は、
図7Bに示すY軸方向に沿ったせん断力を加えると、最上面のエレメント31と底面のエレメント31の間には、
図8Bに示すようなY軸方向の変位△Yが生じる。
【0065】
このとき、線状部材32が配向されたX軸方向では、積層されたエレメント31を構成する線状部材32同士が配向方向に沿って長い距離でしっかりと接続されている。一方、Y軸方向では、積層されたエレメント31を構成する線状部材32同士が線径の短い距離でしか接続されておらず、Y軸方向では変位する自由度が大きい。したがって、X軸方向における変位量△X<Y軸方向における変位量△Yとなる。
【0066】
その結果、減衰部材30のように、二次元方向において一定方向に線状部材32を配向させることにより、振動及び衝撃に対するX軸方向、Y軸方向の変位量を調整鶴ことができ減衰性能に方向性を付与することができる。
【0067】
<第4実施形態>
次に、
図9を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図9は、本発明の第4実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する側面から見た図である。
図9において、符号40は減衰部材を、符号41はエレメントを示している。
【0068】
減衰部材40は、例えば、複数のエレメント41を備えている。また、減衰部材40は、複数のエレメント41が軸線O4方向に積層されて構成されている。
エレメント41は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を有する線状部材が、二次元方向に延在することにより形成されている。また、エレメント41は、軸線O4に沿って見たときに、外形が円形とされ、中央に軸線O4を中心とする貫通孔40Hが形成されている。
また、減衰部材40は、
図9に示すように、側面から見たときに、底面(一方の端面)から上面(他方の端面)に向かって縮径される円錐台とされている。
なお、エレメント41を構成する線状部材の配置パターンについては、任意に設定することが可能であり、例えば、第1~第3実施形態と同様に形成してもよい。
【0069】
<第5実施形態>
次に、
図10を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図10は、本発明の第5実施形態に係る減衰部材の概略構成を説明する側面から見た図である。
図10において、符号50は減衰部材を、符号51はエレメントを示している。
【0070】
減衰部材50は、10に示すように、例えば、複数のエレメント51を備えている。また、減衰部材50は、複数のエレメント51が軸線O5方向に積層されて構成されている。
エレメント51は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を有する線状部材が、二次元方向に延在することにより形成されている。また、エレメント51は、軸線O5に沿って見たときに、外形が円形とされ、中央に軸線O5を中心とする貫通孔50Hが形成されている。
また、減衰部材50は、
図10に示すように、側面から見たときに、軸線O5方向における中間位置が、底面(一方の端面)側及び上面(他方の端面)側よりも拡径された略たる形に構成されている。
なお、エレメント51を構成する線状部材の配置パターンについては、任意に設定することが可能であり、例えば、第1~第3実施形態と同様に形成してもよい。
【0071】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態においては、線状部材の配置パターンが、同心状の複数の円、放射状、一定方向に配向される場合について説明したが、線状部材の配置パターンは任意に設定することが可能であり、例えば、渦巻き状や、軸線に点対称な配置、貫通孔を構成する内周円の接線方向に延在するように形成してもよい。
また、減衰部材の外形、高さ、内径、貫通孔を形成するかどうかは任意に設定することができる。
【0073】
上記実施形態においては、エレメントを構成する線状部材が各エレメントごとに形成されている場合について説明したが、積層される複数のエレメントは、一部のエレメント又はすべてのエレメントが積層方向に連続(エレメント間における一筆書き)に形成されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、減衰部材を、積層方向(軸線)に沿って見たときに、外形が円形とされたエレメントを備える場合について説明したが、エレメントの外形については任意に設定することが可能であり、例えば、三角形、四角形、五角形以上の多角形(不等辺を含む)に設定してもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、減衰部材が、側面から見たときに、円筒形、円錐台、たる形に形成されている場合について説明したが、減衰部材を側面から見たときの形状については適宜設定することが可能であり、例えば、鼓形に形成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、線状部材が有する繊維強化プラスチックが炭素繊維強化プラスチック(CFRP)である場合について説明したが、減衰部材が有する繊維強化プラスチックを炭素繊維強化プラスチック以外の繊維強化プラスチック(例えば、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)をしてもよい。また、減衰部材又はエレメントが種類(繊維の種類、プラスチックの材質、繊維の含有率等)が異なる複数の繊維強化プラスチックを有する構成としてもよい。
また、線状部材が繊維強化プラスチック以外の材料(例えば、繊維単体やプラスチック単体等)を有する構成としてもよい。
【0077】
また、第2実施形態においては、第2エレメント22を構成する線状部材22Aが、第1エレメント21を構成する同心状の線状部材21Aと直交し、減衰部材20の径方向に放射状に形成される場合について説明したが、第1エレメント21を構成する線状部材21A、第2エレメント22を構成する線状部材22Aの配置については適宜設定することが可能である。例えば、第1エレメントを構成する線状部材が螺旋状に形成されていてもよいし、第2エレメントを構成する線状部材が第1エレメントを構成する線状部材と90°以外の交差角度で交差する構成としてもよい。
【0078】
また、第2実施形態においては、減衰部材20が、例えば、3種類のエレメント11、21、22を備えている場合について説明したが、減衰部材を2種類また4種類以上のエレメントにより構成されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態においては、減衰部材の空隙率が23%以上64%以下である場合について説明したが、空隙率について適宜設定することが可能である。例えば、空隙率を23%未満に設定し、又は空隙率を64%超に設定してもよい。
【符号の説明】
【0080】
O1、O2、O3、O4、O5 軸線
10、20、30、40、50 減衰部材
11、31、41、51 エレメント、第3エレメント(エレメント)
12、21A、22A、32 線状部材
21 第1エレメント
22 第2エレメント