(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ペプチド、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物及び肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物
(51)【国際特許分類】
C07K 5/083 20060101AFI20220630BHJP
C07K 5/078 20060101ALI20220630BHJP
C07K 5/103 20060101ALI20220630BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20220630BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220630BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220630BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20220630BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20220630BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
C07K5/083 ZNA
C07K5/078
C07K5/103
A23L33/18
A61P1/02
A61P11/00
A61K38/05
A61K38/06
A61K38/07
(21)【出願番号】P 2018205705
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 康子
(72)【発明者】
【氏名】野中 裕司
(72)【発明者】
【氏名】瀬田 玄通
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 由美
【審査官】玉井 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-172722(JP,A)
【文献】国際公開第2015/092763(WO,A1)
【文献】Nucleic Acids, Research, 1989, Vol.17, pp.6739
【文献】PNAS, 1990, Vol.87, pp.5178-5182
【文献】“平成24 年度戦略的基盤技術高度化支援事業 「発酵乳製品副産物ホエーの機能成分を活用した高齢者用人工唾液の開発」 研究開発成果等報告書”, 2013.3., retrieved on 2019.11.19., retrieved from the Internet, URL:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/ seika/2011/23173619014.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 5/00-5/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Leu-His-Lys若しくはLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
【請求項2】
請求項1に記載のペプチド又はその塩を含有する組成物。
【請求項3】
His-Lys
、Leu-His-Lys若しくはLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列
からなるペプチド又はその塩を有効成分として含有する、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物。
【請求項4】
口腔乾燥症又は誤嚥性肺炎の予防又は改善のために使用される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
His-Lys
、Leu-His-Lys若しくはLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列
からなるペプチド又はその塩を有効成分として含有する、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物。
【請求項6】
肺活量の低下、肺気腫又は閉塞性肺疾患の予防又は改善のために使用される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
経口用組成物である請求項2~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用等を有するペプチド又はその塩に関する。また、本発明は、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物及び肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢(高齢化、老化)に伴って、実質細胞の個々の容積が縮小又は実質細胞の数が減少し、組織及び臓器(器官)が徐々に萎縮することが知られている。これを生理的萎縮(physiological atrophy)又は老人性萎縮(senile atrophy)という。かかる組織の生理的萎縮により組織の機能も低下し、これにより身体に様々な症状や病態が生じる。
【0003】
例えば、肺が萎縮すると、血液への酸素取り込み能が低下し、息切れ、低酸素血症、呼吸不全等の障害が生じる。また、外分泌に関わる唾液腺、涙腺などの腺細胞が萎縮すると、これらの細胞から構成される臓器の機能が低下し、「ドライマウス」(口腔乾燥症)、「ドライアイ」(眼乾燥症)、「ドライノーズ」(鼻乾燥症)、「ドライスキン」(皮膚乾燥症)及び「ドライバジャイナ」(膣乾燥症)などの乾燥症状が生じる。また、外分泌の低下による慢性膵炎、慢性胃炎及び慢性気管支炎などの障害が生じる。加齢に限らず、疾患が原因で唾液腺、肺等の臓器の萎縮や機能低下が生じる場合もある。
【0004】
特に、唾液腺の萎縮によって生じる唾液分泌障害は、上記の「ドライマウス」(口腔乾燥症)の原因となる。ドライマウスは、唾液の分泌が減少することにより、直接的には唇や口腔内が乾燥し、口渇感、口腔粘膜乾燥又は口腔灼熱感などの障害を引き起こすが、その他、味覚障害、歯周病、う蝕、咀嚼障害、嚥下障害、誤嚥性肺炎、消化管粘膜の萎縮、逆流性食道炎などの原因ともなる。また、唾液の不足により、成人病(動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞、糖尿病)の罹患率が増加するという指摘もある。従って、唾液分泌障害は、嚥下障害から誤嚥性肺炎を起こしやすい高齢者のみならず、中高年の健康維持にも深く関係する病態である。唾液分泌障害、特にドライマウスの治療方法としては、重症患者に対しては医薬品が処方されるが、症状が比較的軽い者に対しては、市販のマウスウオッシュや人工唾液を用いる方法、チューインガムを噛む方法、一日中液体を少しずつ飲む方法などの対症療法がなされているにすぎず(非特許文献1)、抜本的な改善方法が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Lancet 366, 321-331, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1には、唾液腺等の臓器の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させる作用を有するペプチドは記載されていない。
【0007】
本発明は、唾液腺等の臓器の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用を有する新規なペプチドを提供することを目的とする。また、本発明は、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物及び肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究したところ、His-Lys(ヒスチジン-リジン)のアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩が、唾液腺及び肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させる作用を有することを見出した。His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドが、唾液腺等の臓器の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させる作用を有することは、これまで報告されていない。本発明者らは、かかる知見に基づいて、さらに研究を行って本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、以下のペプチド又はその塩、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物及び肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物等を提供する。
〔1〕Leu-His-Lys若しくはLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩。
〔2〕上記〔1〕に記載のペプチド又はその塩を含有する組成物。
〔3〕His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を有効成分として含有する、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物。
〔4〕口腔乾燥症又は誤嚥性肺炎の予防又は改善のために使用される、上記〔3〕に記載の組成物。
〔5〕His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を有効成分として含有する、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物。
〔6〕肺活量の低下、肺気腫又は閉塞性肺疾患の予防又は改善のために使用される、上記〔5〕に記載の組成物。
〔7〕上記His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドは、下記(a)~(c)のいずれかのペプチドである上記〔3〕~〔6〕のいずれかに記載の組成物。
(a)X1-His-Lys-Z1(X1は、存在しないか、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列のn1~58番目(n1は、1~58のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す。Z1は、存在しないか、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の61~m1番目(m1は、61~162のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す)で示されるアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、59~60番目以外の領域中に1~9個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
(c)上記(b)のペプチドの部分配列からなるペプチドであって、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド
〔8〕上記His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドは、C末端にHis-Lysのアミノ酸配列を含む上記〔3〕~〔7〕のいずれかに記載の組成物。
〔9〕上記His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドは、X1-His-Lys(X1は、存在しないか、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列のn1~58番目(n1は、1~58のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドである、上記〔3〕~〔8〕のいずれかに記載の組成物。
〔10〕上記His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドは、X2-His-Lys(X2は、存在しないか、又は、配列番号3に示されるアミノ酸配列のn2~18番目(n2は、1~18のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドである、上記〔3〕~〔9〕のいずれかに記載の組成物。
〔11〕上記His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドは、His-Lys、Leu-His-Lys又はLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列からなるペプチドである上記〔3〕~〔10〕のいずれかに記載の組成物。
〔12〕経口用組成物である上記〔2〕~〔11〕のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用を有する新規なペプチド又はその塩が提供される。本発明によれば、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用を有する新規なペプチド又はその塩が提供される。また、本発明によれば、ペプチド又はその塩を有効成分として含有する、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物、及び、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物が提供される。本発明において有効成分として使用されるペプチド又はその塩は、飲食品、医薬品等に適用可能な安全性が高いものである。従って本発明によれば、安全に、加齢等による唾液腺及び肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることが可能である。
【0011】
本発明により、唾液腺の萎縮を抑制又は回復させることによって、該萎縮に起因する唾液腺の機能低下を抑制又は回復させ、当該機能低下に起因する状態又は疾患、例えば口腔乾燥症(ドライマウス)等を予防又は改善することが可能となる。また、肺の萎縮を抑制又は回復させることによって、該萎縮に起因する肺の機能低下を抑制又は回復させ、例えば、肺気腫や閉塞性換気障害等の状態又は疾患を予防又は改善することが可能となる。従って本発明は、高齢者等の健康維持に資する新たな手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、ラットの舌下腺に含まれるアミラーゼ量をウエスタンブロッティング法で分析した結果を示す写真である。
【
図2】
図2は、ラットの舌下腺に含まれるプローリンリッチプロテイン量をウエスタンブロッティング法で分析した結果を示す写真である。
【
図3】
図3(a)~(e)は、ラットの舌下腺をHE染色した結果を示す顕微鏡写真である(スケールバー:50μm)。
【
図4】
図4(a)~(e)は、ラットの肺右中葉をHE染色した結果を示す顕微鏡写真である(スケールバー:50μm)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のペプチド又はその塩は、Leu-His-Lys若しくはLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩である。
ペプチドの塩としては、薬理学的に許容される塩であれば特に限定されず、酸性塩及び塩基性塩のいずれであってもよい。酸性塩として、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。塩基性塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0014】
本発明のペプチド又はその塩の製造方法は特に限定されない。本発明のペプチドは、例えば、公知のペプチド合成方法によって製造することができる。化学合成によって本発明のペプチドを得る場合は、固相法又は液相法のいずれの方法でも合成することができる。合成によって得られたペプチドは、逆相高速液体クロマトグラフィー、イオン交換樹脂、ハイポーラスポリマー樹脂を用いたクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を用いた通常の精製方法で精製することができる。また、Leu-His-Lys及び配列番号1に示されるアミノ酸配列(Leu-Leu-His-Lys)は、ジャージー種の牛の乳に含まれるβ-ラクトグロブリンCに含まれる配列であり、β-ラクトグロブリンCを酵素等で分解することによって製造することもできる。ジャージー種の牛のβ-ラクトグロブリンCのアミノ酸配列を、配列番号2に示す。ペプチドの塩は、当該分野で公知の任意の方法により、当業者によって容易に調製され得る。後述する本発明のペプチド以外のHis-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩についても、公知のペプチド合成方法等によって製造することができる。
【0015】
本発明のペプチド又はその塩は、飲食品等にも適用可能な安全性が高いものである。本発明のペプチド又はその塩は、単独で、又は、該ペプチド又はその塩以外の成分を配合して組成物の形態で、例えば、飲食品、医薬品、飼料等として使用することができる。本発明のペプチド又はその塩以外の成分は、組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。例えば、後述する唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物に使用可能な成分を適宜配合することができる。本発明のペプチド又はその塩の組成物中の含有量は特に限定されず、例えば、0.001~99.9重量%とすることができる。本発明のペプチド又はその塩は、例えば、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復のため、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復のために使用され得る。
【0016】
唾液腺及び肺は、加齢に伴い徐々に萎縮することが知られている。また、唾液腺の萎縮は、唾液腺疾患等によっても生じる場合がある。肺の萎縮は、閉塞性肺疾患等の肺疾患においても生じ得る。加齢、疾患等の要因によりこれらの臓器が萎縮すると、その機能も低下する。本発明の一態様において、唾液腺の機能低下は、唾液腺の萎縮に起因する(萎縮に伴う)機能低下である。一態様において、肺の機能低下は、肺の萎縮に起因する機能低下である。
【0017】
後記の実施例に示されるように、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を摂取させたラットでは、コントロールのラットと比較して唾液腺の重量が重かった、そして、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を摂取させたラットでは、コントロールと比較して唾液量や唾液中のアミラーゼやシスタチンが多く、また、唾液腺の機能に重要な役割を果たすタンパク質(例えば、プローリンリッチプロテインやシスタチン)の発現量も多かった。His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を摂取させたラットでは、コントロールと比較して舌下腺の腺房細胞が大きかった。このことから、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩は、唾液腺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させた。また、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩をラットに摂取させると、肺の萎縮が抑制又は回復し、肺の機能低下が抑制又は回復した。従って、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩は、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制のため、唾液腺の萎縮又は機能低下の回復(萎縮した唾液腺の回復、低下した唾液腺の機能の回復)のため、肺の萎縮又は機能低下の抑制のため、又は、肺の萎縮又は機能低下の回復(萎縮した肺の回復、低下した肺の機能の回復)のために使用することができる。このようなペプチド又はその塩の使用は、治療的使用であってもよく、非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為、すなわち手術、治療又は診断を含まない概念である。
【0018】
本明細書中、唾液腺は、舌下腺、顎下腺、耳下腺及び小唾液腺を含む。唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復は、舌下腺、顎下腺、耳下腺及び小唾液腺の1以上の萎縮又は機能低下の抑制又は回復であればよく、好ましくは舌下腺、顎下腺及び耳下腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復である。
【0019】
本明細書中、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドを、HK含有ペプチドとも記載する。HK含有ペプチド又はその塩は、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復のための有効成分として使用され得る。また、HK含有ペプチド又はその塩は、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復のための有効成分として使用され得る。唾液腺の萎縮又は機能低下には、加齢による唾液腺の萎縮又は機能低下、疾患による唾液腺の萎縮又は機能低下が含まれる。肺の萎縮又は機能低下には、加齢による肺の萎縮又は機能低下、疾患による肺の萎縮又は機能低下が含まれる。加齢による唾液腺等の臓器の萎縮(加齢により生じる臓器の萎縮)は、老性萎縮ということもできる。本発明の一態様において、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩は、加齢による唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復、加齢による肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復のために好適に使用される。
【0020】
本発明の唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド(HK含有ペプチド)又はその塩を有効成分として含有する。本発明の肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド(HK含有ペプチド)又はその塩を有効成分として含有する。以下では、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物、及び、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を、まとめて萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物ともいう。HK含有ペプチド又はその塩は、1種使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。ペプチドの塩は、上述した塩と同じものが挙げられる。
【0021】
HK含有ペプチドは、His-Lysのアミノ酸配列を含み、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用を発揮するものであればよい。経口摂取した場合に唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復効果、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復効果を得る観点から、HK含有ペプチドとして、下記(a)~(c)のペプチドが好ましい。
(a)X1-His-Lys-Z1(X1は、存在しないか、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列のn1~58番目(n1は、1~58のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す。Z1は、存在しないか、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の61~m1番目(m1は、61~162のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す)で示されるアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、59~60番目以外の領域中に1~9個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
(c)上記(b)のペプチドの部分配列からなるペプチドであって、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド
HK含有ペプチド又はその塩として、上記(a)のペプチド又はその塩がより好ましい。
【0022】
本明細書中、アミノ酸配列において、1~9個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたとは、同一配列中の任意かつ1~9のアミノ酸配列中の位置において、1~9個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加があることを意味し、欠失、置換及び付加のうち2以上が同時に生じていてもよい。
上記(b)のペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、59~60番目以外の領域中に好ましくは1~8個(より好ましくは1~7個、1~6個、1~5個又は1~4個、さらに好ましくは1~3個、1~2個又は1個)のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された配列からなる。
上記(c)のペプチドは、上記(b)の部分配列からなり、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0023】
唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用の観点から、HK含有ペプチドは、C末端にHis-Lysのアミノ酸配列を含むことが好ましい。例えば、(a)のペプチドの好ましい態様として、X1-His-Lys(X1は、存在しないか、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列のn1~58番目(n1は、1~58のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。n1は、好ましくは41~58のいずれかの整数を表す。一態様において、(a)のペプチドとして、X2-His-Lys(X2は、存在しないか、又は、配列番号3に示されるアミノ酸配列のn2~18番目(n2は、1~18のいずれかの整数を表す)のアミノ酸配列を表す)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドがより好ましい。配列番号3に示すアミノ酸配列は、配列番号2に示すアミノ酸配列の41~60番目のアミノ酸配列である。中でも、HK含有ペプチドとして、His-Lys、Leu-His-Lys又はLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列からなるペプチドがさらに好ましい。His-Lysのアミノ酸配列からなるジペプチド、Leu-His-Lysのアミノ酸配列からなるトリペプチド、Leu-Leu-His-Lysのアミノ酸配列からなるテトラペプチドは、HK含有ペプチドとして好ましい。つまり、HK含有ペプチド又はその塩として、His-Lys、Leu-His-Lys若しくはLeu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列からなるペプチド又はその塩が特に好ましい。
【0024】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、例えば、飲食品(飲食品組成物)、医薬品(医薬組成物)、飼料(飼料組成物)等の形態で提供することができるが、これらに限定されるものではない。本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、それ自体が飲食品、医薬品、飼料等であってもよく、これらに使用される添加剤等の製剤、素材であってもよい。一態様において、本発明の効果をより充分に発揮できる観点から、萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、経口用組成物であることが好ましく、飲食品又は経口用医薬品であることがより好ましく、飲食品であることがさらに好ましい。
【0025】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、有効成分として使用されるHK含有ペプチド又はその塩の他に、任意の添加剤、任意の成分を含有することができる。これらの添加剤及び成分としては、一般的に飲食品、医薬品、飼料等に使用可能なものが使用できる。
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、一例として、剤の形態で提供することができるが、本形態に限定されるものではない。当該剤をそのまま組成物として、又は、当該剤を含む組成物として提供することもできる。
【0026】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を飲食品とする場合、HK含有ペプチド又はその塩に、飲食品に使用可能な成分(例えば、飲食品素材、必要に応じて使用される食品添加物等)を配合して、種々の飲食品とすることができる。飲食品は特に限定されず、例えば、一般的な飲食品、健康食品、これらの原料等が挙げられる。飲食品の形態も特に限定されず、固形状、半流動状、流動状などを挙げることができる。飲食品は、錠剤、被覆錠剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、丸薬、カプセル剤、ドライシロップ剤、チュアブル剤等の経口用固形製剤;内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤の各種製剤形態とすることもできる。
【0027】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を医薬品とする場合、HK含有ペプチド又はその塩に、薬理学的に許容される賦形剤等を配合して、各種剤形の医薬品とすることができる。医薬品の投与形態は特に限定されず、経口投与でもよく、非経口投与でもよい。本発明の効果をより充分に得る観点から、医薬品の投与形態は、経口投与が好ましい。医薬品の剤形は、投与形態に適した剤形とすればよい。経口用医薬品の剤形として、例えば、錠剤、被覆錠剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、丸薬、カプセル剤、ドライシロップ剤、チュアブル剤等の経口用固形製剤;内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤が挙げられる。非経口投与用医薬の剤形として、注射剤、点滴剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)等が挙げられる。医薬品は、非ヒト動物用医薬であってもよい。
【0028】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を飼料とする場合、HK含有ペプチド又はその塩に、飼料に使用可能な成分を配合して飼料とすることができる。飼料としては、例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ、ヒツジ、ウマ等に用いる家畜用飼料;ウサギ、モルモット、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料;イヌ、ネコ、小鳥等に用いるペットフードなどが挙げられる。
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を、飲食品、医薬品、飼料等とする場合、その製造方法は特に限定されない。例えば、有効成分として使用されるHK含有ペプチド又はその塩を用いて、一般的な方法により製造することができる。
【0029】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物中のHK含有ペプチド又はその塩の含有量は特に限定されず、その形態等に応じて適宜設定することができる。例えば、萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を飲食品、医薬品、飼料等とする場合、いずれの形態の場合でも、HK含有ペプチド又はその塩の総含有量(HK含有ペプチド及びその塩の合計含有量)が、例えば、組成物中に0.001重量%以上であってよく、0.01重量%以上が好ましく、また、90重量%以下であってよく、80重量%以下が好ましい。一態様において、HK含有ペプチド又はその塩の総含有量は、萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物中に、例えば、0.001~90重量%であってよく、好ましくは0.01~80重量%とすることができる。
【0030】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、その形態に応じた適当な方法で投与又は摂取することができ、好ましくは経口で投与又は摂取される。
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物の摂取量(投与量ということもできる)は特に限定されず、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復効果、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復効果が得られるような量(有効量)であればよく、投与形態、投与方法等に応じて適宜設定すればよい。一態様において、ヒト(成人)を対象に経口で投与する又は摂取させる場合、HK含有ペプチド又はその塩の摂取量は、HK含有ペプチドに換算して、例えば、1日あたり0.1mg~2.5gが好ましく、2.5mg~250mgがより好ましい。上記量を、例えば1日1回で又は複数回(例えば、2~3回)に分けて経口投与又は摂取させることが好ましい。HK含有ペプチド又はその塩の摂取量が上記範囲となるように、本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を対象に摂取させる又は投与することが好ましい。
【0031】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、継続して摂取(投与)されるものであることが好ましい。HK含有ペプチド又はその塩は、継続的に摂取されることによって、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復効果、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復効果が高まる。本発明の一実施態様において、萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、2週間以上継続して摂取されることが好ましく、4週間以上継続して摂取されることがより好ましい。
【0032】
HK含有ペプチド又はその塩を、投与又は摂取することにより、唾液腺の萎縮を抑制又は回復させることが可能である。これにより、萎縮に起因する唾液腺の機能低下を抑制又は回復させることが可能であり、ひいては、当該機能低下に起因する状態又は疾患を予防又は改善することが可能となる。唾液腺の機能低下として、唾液分泌障害、唾液腺の刺激応答の低下等が挙げられる。唾液腺の機能低下に起因する状態又は疾患としては、例えば口腔乾燥症(ドライマウス)等の乾燥症状、歯周病、う蝕、誤嚥、誤嚥性肺炎等が挙げられる。一態様において、本発明の唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、唾液腺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることにより、口腔乾燥症又は誤嚥性肺炎を予防又は改善するために好適に使用される。本発明の唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、上記のような唾液腺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることがその予防又は改善に有効である状態又は疾患の予防又は改善のために好適に使用される。予防は、発症の防止、遅延、発症率の低下を包含する。改善は、症状の軽快、症状の進行抑制、症状の治癒を包含する。
【0033】
また、HK含有ペプチド又はその塩を、投与又は摂取することにより、肺の萎縮を抑制又は回復させることが可能である。これにより、萎縮に起因する肺の機能低下を抑制又は回復させることが可能であり、ひいては、当該機能低下に起因する状態又は疾患を予防又は改善することが可能となる。肺の機能低下としては、肺の血液への酸素取り込みの能の低下等が挙げられる。本発明の肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることがその予防又は改善に有効である状態又は疾患を予防又は改善するために好適に使用される。このような状態又は疾患として、例えば閉塞性肺疾患、肺活量の低下、肺気腫、肺の機能低下によって血液への酸素の取り込み能が低下することによる、息切れ、低酸素血症、呼吸不全等が挙げられる。一態様において、本発明の肺の萎縮抑制又は回復用組成物は、肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることにより、肺活量の低下、肺気腫又は閉塞性肺疾患を予防又は改善するために好適に使用される。
【0034】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を投与又は摂取させる対象(以下、単に投与対象ともいう)は、ヒト又はヒト以外の動物が好ましく、哺乳動物(ヒト又は非ヒト哺乳動物)がより好ましく、ヒトがさらに好ましい。非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、マウス、サル等が挙げられる。また、萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物の投与対象は、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復を必要又は希望する対象、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復を必要又は希望する対象が好ましい。唾液腺及び肺は加齢により萎縮することから、本発明における好ましい投与対象の一例として、加齢による唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復を必要又は希望する対象、加齢による肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復を必要又は希望する対象が挙げられる。一態様において、投与対象として、高齢者が好ましい。上記HK含有ペプチド又はその塩は、加齢による唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復、加齢による肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復に有効である。本発明の一態様において、投与対象として、加齢による唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復を、必要又は希望する高齢者;加齢による口腔乾燥症の予防又は改善を、必要又は希望する高齢者;加齢による肺の萎縮又は機能低下の抑制を、必要又は希望する高齢者;人工唾液の使用を必要又は希望する高齢者等が好ましい。
【0035】
本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物には、包装、容器又は説明書に用途、有効成分の種類、上述した効果、使用方法(例えば、摂取方法、投与方法)等の1又は2以上を表示してもよい。本発明の唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物には、唾液腺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させる作用、又は、この作用に基づく作用を有する旨の表示が付されていてもよい。このような表示として、例えば、口腔乾燥症(ドライマウス)の予防又は改善作用等の作用を有する旨や、該作用を得るために使用される旨の表示が付されていてもよい。また、本発明の肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物には、肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させる作用、又は、この作用に基づく作用を有する旨の表示が付されていてもよい。このような表示として、例えば、肺気腫、閉塞性肺疾患の予防又は改善等の作用を有する旨や、該作用を得るために使用される旨の表示が付されていてもよい。
【0036】
一態様において、本発明の唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物には、「ドライマウスの予防又は改善」、「唾液量を増やす」、「唾液の量を適切にする」等の表示が付されていてもよい。本発明の肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物には、「肺活量を増やす」、「息苦しさを感じる方に」、「肺の機能が気になる方に」等の表示が付されていてもよい。本発明の一実施態様において、本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物は、上記の機能の表示が付された飲食品であることが好ましい。また上記表示は、上記の機能を得るために用いる旨の表示であってもよい。
【0037】
本発明は、以下の方法も包含する。
His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド(HK含有ペプチド)又はその塩を、対象に投与することを含む、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復方法。His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を対象に投与することを含む、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復方法。His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を、対象に投与することを含む、口腔乾燥症又は誤嚥性肺炎の予防又は改善方法。His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩を、対象に投与することを含む、肺活量の低下、肺気腫又は閉塞性肺疾患の予防又は改善方法。
HK含有ペプチド又はその塩、投与対象、投与方法、投与量及びそれらの好ましい態様等は、上述した萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物におけるものと同じである。HK含有ペプチド又はその塩の投与量は、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用、又は、肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復作用が得られる量、すなわち有効量であればよく、特に限定されない。例えば上述した摂取量を投与することが好ましい。HK含有ペプチド又はその塩は、そのまま投与してもよいし、HK含有ペプチド又はその塩を含有する組成物として投与してもよい。例えば、上述した本発明の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を投与することができる。本発明によれば、安全に、唾液腺又は肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることができ、該萎縮に起因する唾液腺又は肺の機能低下を抑制又は回復させることができる。また、唾液腺又は肺の機能低下を抑制又は回復させることにより、当該機能低下に起因する状態又は疾患を予防又は改善することが可能となる。上記方法は、治療的な方法であってもよく、非治療的な方法であってもよい。一態様において、唾液腺の萎縮又は機能低下は、加齢による唾液腺の萎縮又は機能低下であってよい。肺の萎縮又は機能低下は、加齢による肺の萎縮又は機能低下であってよい。加齢等による唾液腺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることにより、口腔乾燥症、誤嚥性肺炎等の状態又は疾患の予防又は改善が可能となる。加齢等による肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させることにより、肺活量の低下、肺気腫、閉塞性肺疾患等の状態又は疾患の予防又は改善が可能となる。
【0038】
本発明は、以下の使用も包含する。
唾液腺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させるための、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド(HK含有ペプチド)又はその塩の使用。肺の萎縮又は機能低下を抑制又は回復させるための、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド(HK含有ペプチド)又はその塩の使用。口腔乾燥症又は誤嚥性肺炎の予防又は改善のための、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩の使用。肺活量の低下、肺気腫又は閉塞性肺疾患の予防又は改善のための、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩の使用。
上記の使用は、ヒト又は非ヒト動物における使用である。使用は、治療的使用であってもよく、非治療的使用であってもよい。HK含有ペプチド又はその塩、対象、投与方法、投与量及びそれらの好ましい態様等は、上述した萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物におけるものと同じである。本発明はさらに、唾液腺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を製造するための、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩の使用;肺の萎縮又は機能低下の抑制又は回復用組成物を製造するための、His-Lysのアミノ酸配列を含むペプチド又はその塩の使用も包含する。萎縮又は機能低下抑制又は回復用組成物及びその好ましい態様等は、上記と同じである。
【実施例】
【0039】
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
動物実験は、動物愛護管理法他関連法令を遵守し、社内及び学内動物実験委員会の審査を経て機関の長が承認した計画に基づき実施した。
【0041】
<実施例1>
(1)被験試料の調製
被験試料として、以下のジペプチド、トリペプチド及びテトラペプチドの酢酸塩を合成した。
His-Lysのアミノ酸配列からなるジペプチドの酢酸塩(以下、HKという)
Leu-His-Lysのアミノ酸配列からなるトリペプチドの酢酸塩(以下、LHKという)
Leu-Leu-His-Lys(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドの酢酸塩(以下、LLHKという)
【0042】
(2)実験方法
上記で調製したLLHKは30mg/30mL、LHKは23mg/30mL、HKは16mg/30mLとなるように水道水に溶解させてLLHK水溶液、LHK水溶液、HK水溶液の各被験試料水溶液を調製した。17ケ月齢のウイスター系雄ラット(老齢ラット)に、LLHK水溶液(LLHK飲用群)、LHK水溶液(LHK飲用群)、HK水溶液(HK飲用群)又は水道水(水飲用群:コントロール(老齢コントロール))を自由に飲用させて、1ケ月間飼育した(各群n=2)。なおこの期間中、被験試料(LLHK、LHK又はHK)飲用群及び水飲用群には、いずれも同じ固形飼料(商品名MF、オリエンタル酵母(株)製)を自由に摂取させた。
【0043】
(2-1)体重測定
被験試料飲用前(実験開始前)と、1ケ月間被験試料飲用後のラットの体重を測定した。水飲用群についても、実験開始前と終了後に体重を測定した。
【0044】
(2-2)唾液の量と質の評価
(2-2-1)唾液量の測定
1ケ月被験試料又は水を飲用させたラットに、セビメリン(第一三共(株)製)を10mg/kg腹腔内投与し、投与後5分~15分間の唾液を腔内からスポイトで採取し、その総量を測定した。
【0045】
(2-2-2)唾液中のアミラーゼ活性及びシスタチン量の測定
唾液中のアミラーゼ活性及びシスタチン量を下記(a)~(b)の方法に従って測定した。
唾液中のシスタチン(cistatin)は、システインプロテアーゼを阻害して、抗ウイルス作用や抗菌作用を発揮し、歯周病菌の増殖を抑制することが知られている。また唾液中のアミラーゼは、口腔内での消化作用と食渣中の成分を分解する自浄作用を担っている。通常、唾液に含まれるこれらの成分等が相俟って、口腔本来の食物摂取機能(消化機能、味覚)と口腔内環境の維持(自浄作用、抗菌作用、抗炎症作用、再石灰化作用、免疫作用等)がバランスよく行われている。従って唾液中のアミラーゼの活性が高く、シスタチン量が多いことは、唾液腺の唾液の機能性が高いことを意味する。
(a)アミラーゼ活性の測定
上記で採取した唾液を試料として、唾液中のアミラーゼ量をBernfeldの方法(Methods Enzymol, 1, 149-154, 1955)に従って測定した。
(b)シスタチン量の測定
上記で採取した唾液を試料として、唾液中のシスタチン量をAbrahamsonの方法(Methods Enzymol, 244, 685-700, 1994)に従って測定した。
【0046】
(2-3)臓器の重量と質の評価
(2-3-1)臓器の重量の測定
被験試料又は水を1ケ月飲用させた後、各群のラットから各種臓器を摘出し、重量を測定した(各群n=4、ただし舌下腺と肺はn=2)。
【0047】
(2-3-2)耳下腺のアミラーゼ活性の測定
上記で摘出した耳下腺ホモジネート中のアミラーゼ活性を、Bernfeldの方法(Methods Enzymol, 1, 149-154, 1955)に従って測定し、アミラーゼ活性とした。
【0048】
(2-3-3)耳下腺のシスタチン量の測定
摘出した耳下腺ホモジネート中のシスタチン量をAbrahamsonの方法(Methods Enzymol, 244, 685-700, 1994)に従って測定した。
【0049】
(2-3-4)唾液腺のプローリンリッチプロテイン量、アミラーゼ量の測定
上記で摘出した舌下腺のホモジネートに、5%濃度となるようにSDSを添加し、ポリアクリルアミドゲルに載せ、SDS-PAGEに供した。このポリアクリルアミドゲルで分けられたタンパク質をニトロセルロース膜に転写し、ニトロセルロース膜を抗プローリンリッチプロテイン抗体及び抗アミラーゼ抗体と反応させ、ウエスタンブロッティング法にて、それぞれのタンパク質をバンドとして検出した。
【0050】
(2-4)遺伝子発現の測定
上記で摘出した舌下腺又は肺を、直ちにRNA later(Ambion, Austin, TX, USA)に入れ、total RNA精製は、RNeasy Mini Kit(Qiagen GmbH, Hilden, Germany)とQIAcube(Qiagen GmbH)を用いて行った。RNAの純度をNanoDrop ND-1000 spectro(ABPbeta)photometer(NanoDrop Technologies, Inc., Wilmington, DE, USA)とAgilent2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies, Santa Clara, CA, USA)を用いて確かめた後、cDNAを、Whole Transcript(WT)Expression Kit(Ambion)(Thermo Fisher Scientific社)を用いて合成した。cDNAをGeneChip(登録商標)WT Terminal Labeling Kit(Affymetrix, Santa Clara, CA, USA)を用いて、フラグメント化し、ラベルした。Affymetrix GeneChip(登録商標)Rat Gene 2.0 ST Array(Affymetrix)とGeneChip(登録商標)Hybridization Oven 640(Affymetrix)を用いて、ラベル化したcDNAフラグメントを45℃で17時間ハイブリダイズした。本Arrayは、約27,000個の遺伝子が解析できる。解析には、GeneSpring GX version 12(Agilent, Santa Clara, CA, USA)を用いた。
【0051】
(2-5)臓器のヘマトキシリン、エオジン(HE)染色
(2-5-1)唾液腺のHE染色
上記で摘出した舌下腺をホルマリンで固定後、パラフィン包埋切片を作製し、HE染色し、生物顕微鏡(オリンパス株式会社製、BX53)で10×20倍の拡大率にて観察した。
【0052】
(2-5-2)肺のHE染色
上記で摘出した肺の右中葉をホルマリンで固定後、パラフィン包埋切片を作製し、HE染色し、生物顕微鏡(オリンパス株式会社製、BX53)で10×4倍の拡大率にて観察した。
対比のため、20週齢のウイスター系雄ラット(若齢コントロール)から舌下腺及び肺を摘出し、上記と同様の方法でHE染色し、観察を行った。なお、16週齢のウイスター系雄ラットに水道水及び固形飼料(商品名MF、オリエンタル酵母(株)製)を自由に摂取させて、1カ月間飼育し、上記若齢コントロール(20週齢)とした。
【0053】
(3)実験結果
以下に実験結果を示す。得られた値は、平均値±標準誤差で示した。有意差検定は、Excelの分析ツールを用いて、t検定(等分散を仮定した2標本による検定、p値、片側検定)により行った、水飲用群(コントロール)に対する検定結果である(*:p<0.05、**:p<0.01)。
【0054】
(3-1)体重(LLHK、LHK及びHKが体重に及ぼす効果)
実験開始前、及び、被験試料(LLHK、LHK又はHK)又は水を1ケ月飲用後(実験終了後)のラットの体重を表1に示す。被験試料飲用群と水飲用群との間で、体重への影響には有意差がなかった。
【0055】
【0056】
(3-2)唾液の量と質
(3-2-1)唾液量
被験試料又は水飲用1ケ月後のラットの唾液量を、上記の方法で測定した結果を表2に示す。被験試料飲用群では、唾液量が有意に多かった。このことは、LLHK、LHK及びHKが唾液腺の機能低下を抑制又は回復させたことを示す。
【0057】
【0058】
(3-2-2)唾液中のアミラーゼ活性
被験試料又は水飲用1ケ月後の、ラットの唾液に含まれるアミラーゼの活性を、表3に示した。被験試料飲用群で、水飲用群に比し、アミラーゼ活性の有意な上昇が認められた。例えばLLHK飲用群では、水飲用群に比し、約1.8倍のアミラーゼ活性の上昇が認められた。このことから、LLHK、LHK及びHKが、唾液の質を向上させる作用を有することが分かる。
【0059】
【0060】
(3-2-3)唾液のシスタチン量
被験試料又は水飲用1ケ月後の、ラットの唾液に含まれるシスタチンの量を、表4に示した。被験試料群で、水飲用群に比し、3倍以上のシスタチン量の上昇が認められた。このことから、LLHK、LHK及びHKが、唾液の質を向上させる作用を有することが分かる。
【0061】
【0062】
(3-3)臓器の重量と質
(3-3-1)臓器重量(LLHK、LHK及びHKが臓器重量に及ぼす効果)
被験試料又は水飲用1ケ月後の、ラットの耳下腺、顎下腺、舌下腺、肺の左上葉及び右下葉の重量を、表5に示す。表5に示すように、耳下腺、顎下腺、舌下腺、肺左上葉及び右下葉の重量は、被験試料飲用群で、水飲用群に比し、有意に増加していた。
【0063】
【0064】
被験試料飲用群の方が水飲用群と比較して、表5に示す臓器の重量が重かった。実施例1で使用したウイスター系雄ラットについて、16週齢の若齢ラットでは、耳下腺の重量は196mg、舌下腺は48mgであることが報告されている(Journal of Functional Foods 21, 349-358, 2016のTable 1のWater群)。
実施例1では、水飲用群のラット(18月齢)では、耳下腺の重量は178±11mgであり、上記若齢ラットと比較して減少した。一方、例えばLLHK飲用群のラット(18月齢)では、耳下腺の重量は244±23mgであった。このことから、LLHK飲用は、加齢による耳下腺の萎縮を抑制又は回復させたといえる。また、実施例1では、水を飲用したラット(18月齢)では、舌下腺の重量は46mgであり、上記若齢ラットと比較して減少した。一方LLHK水溶液を飲用したラット(18月齢)では、舌下腺の重量が66mgであった。このことから、LLHK飲用は、加齢による舌下腺の萎縮を抑制又は回復させた。顎下腺及び肺(左上葉及び右下葉)についても、LLHK飲用は、加齢によるこれらの臓器の萎縮を抑制又は回復させた。LHK又はHKの飲用も、上記の臓器の萎縮を抑制又は回復させた。従って、LLHK、LHK及びHKが表5に示す臓器において加齢による萎縮を抑制又は回復させることが示された。
【0065】
(3-3-2)耳下腺のアミラーゼ活性
被験試料又は水飲用1ケ月後の、ラットの耳下腺に含まれるアミラーゼ量を、アミラーゼ活性として表6に示した。被験試料飲用群では、水飲用群と比較してアミラーゼ活性が高かった。例えばLLHK飲用群で、水飲用群に比し、約2倍のアミラーゼ活性の上昇が認められた。これらから、LLHK、LHK及びHKが、唾液腺の機能低下を抑制又は回復させる作用を有することが分かる。
【0066】
【0067】
(3-3-3)耳下腺のシスタチン量
被験試料又は水飲用1ケ月後の、ラットの耳下腺に含まれるシスタチン量を、表7に示した。被験試料飲用群では、水飲用群と比較してシスタチン量の上昇が認められた。例えばLLHK飲用群及びLHK飲用群では、水飲用群に比し、約2倍のシスタチン量の上昇が認められた。このことから、LLHK、LHK及びHKが、唾液腺の機能低下を抑制又は回復する作用を有することが分かる。
【0068】
【0069】
(3-3-4)唾液腺のアミラーゼ量及びプローリンリッチプロテイン量
LLHK又は水飲用1ケ月後の、舌下腺に含まれるアミラーゼ量とプローリンリッチプロテイン量をウエスタンブロッティング法で分析した結果を示す写真を
図1及び
図2に示す(
図1:アミラーゼ、
図2:プローリンリッチプロテイン)。
図1中の矢印は、アミラーゼのバンドを、
図2中の矢印は、プローリンリッチプロテインのバンドをそれぞれ指す。舌下腺に含まれるアミラーゼ及びプローリンリッチプロテインは、LLHK飲用によって、コントロール(水飲用)と比較して増加した。このことから、LLHKが、唾液腺の機能低下を抑制又は回復する作用を有することが分かる。
【0070】
(3-4)遺伝子発現量
LLHK又は水飲用1ケ月後のラットについて、舌下腺又は肺における遺伝子発現量を調べた結果を表8~9に示す。表8~9に示す発現量(相対値)は、コントロール(水飲用群)における各遺伝子の発現量(n=2の平均値)を1とした場合の、LLHK飲用群における各遺伝子の発現量(n=2の平均値)の相対値である。
唾液腺に特異的に発現する主たるタンパク質(唾液腺に特異的に発現し、唾液腺の機能に重要な役割を果たすタンパク質)の遺伝子として、salivary protein 1(Spt1)(NM_019171)、proline-rich protein涙腺型(Prol1)(NM_133513)、mucin-like1(Mucl1)(XM_006242469)、cystatinS(Cyss)(NM_198685)、lysozyme2(Lyz2)の遺伝子発現量を表8に示す。唾液腺に特異的に発現するマイナーなタンパク質(唾液腺に特異的に発現するが、唾液腺の機能にあまり役割のない重要でないタンパク質)の遺伝子として、secretoglobulin, family 1B(Scgb1b30)(NM_001100859)及びimmunoglobulin kappaconstant(Igkc)の遺伝子発現量を調べた結果を表8に示す。
【0071】
【0072】
舌下腺中のアンドロゲン関連遺伝子(ABP beta(LOC494538)(XM_002725567)、セリンエンドペプチダーゼ(Prostatic glandular kallikrein-6-like(LOC103690048)(XM_008759444)、kallikrein1-related peptidaseC10(Klk1c10)(NM_001135173))の遺伝子発現量を調べた結果を表9に示す。
肺中のセリンプロテアーゼ(granzymeC(Gzmc)(NM_134332))の遺伝子発現量を調べた結果を表9に示す。
【0073】
【0074】
表8に示す各遺伝子は、唾液腺に特異的で、その機能に関わる重要なタンパク質をコードする。例えば、salivary protein 1やproline-rich proteinは、粘膜や歯の保護作用を有する。mucin-like1は粘膜の保護作用や食塊の形成、潤滑作用を有する。lysozyme2は、口腔内の感染防御に寄与している。従ってこれらの遺伝子発現の上昇は、唾液腺の機能低下が抑制又は回復したことを示す。また、表9に示すアンドロゲン関連遺伝子、セリンエンドペプチダーゼ及びセリンプロテアーゼの遺伝子は、恒常性を保つための遺伝子である。LLHK摂取によって舌下腺や肺においてこれらの遺伝子発現量が増加したことは、LLHKが唾液腺の機能低下、肺の機能低下を抑制又は回復させたことを示す。
【0075】
(3-5)臓器のHE染色
(3-5-1)唾液腺のHE染色
図3(a)~(e)は、ラットの舌下腺をHE染色した結果を示す顕微鏡写真である(スケールバー:50μm)。
図3(a)~(e)は、(a)が若齢コントロール(20週齢のラット)、(b)が老齢コントロール(水飲用群のラット)、(c)がLLHK飲用群のラット、(d)がLHK飲用群のラット、(e)がHK飲用群のラットである。
LLHK、LHK、HK飲用群でコントロール群に比し、腺房細胞の大きさが大きくなり、結合組織が減少した。このことは、LLHK、LHK、HK飲用により、唾液腺の腺房細胞が消化酵素や抗菌物質を蓄え易くなることを意味している。
【0076】
(3-5-2)肺のヘマトキシリン、エオジン(HE)染色
図4(a)~(e)は、ラットの肺右中葉をHE染色した結果を示す顕微鏡写真である(スケールバー:50μm)。
図4(a)~(e)は、(a)が若齢コントロール(20週齢のラット)、(b)が老齢コントロール(水飲用群のラット)、(c)がLLHK飲用群のラット、(d)がLHK飲用群のラット、(e)がHK飲用群のラットである。
図4(a)~(e)の白く見える部分は、肺の気腔である。
老化すると、肺の気腔が拡大し、肺表面積が低下する。LLHK、LHK又はHK飲用群では、コントロール群(老齢コントロール)に比し、気腔の大きさが小さくなり、組織細胞や血管が増えていた。このことは、LLHK、LHK、HK飲用により、血中へ酸素を取り込み易くなることを意味している。
【配列表】