(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】小物入れ
(51)【国際特許分類】
A45C 1/08 20060101AFI20220630BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A45C1/08
A45C11/00 X
(21)【出願番号】P 2018064333
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518099376
【氏名又は名称】牛尾 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100158540
【氏名又は名称】小川 博生
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100187768
【氏名又は名称】藤中 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 龍
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3148536(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0294237(US,A1)
【文献】実開昭47-001517(JP,U)
【文献】特開2001-104035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/08
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の側壁を有し、その側縁同士が繋がれた筒状のケーシングと、
上記ケーシングの一方の端部開口側の内周面の全周に亘ってリング状に接続され、上記ケーシング内に配設される有底筒状の袋体と、
上記一方の端部開口を開閉する第1ファスナーと、
上記ケーシングの他方の端部開口を開閉する第2ファスナーと
を備え、
上記一方の端部開口を入出口として上記袋体の内部に画定される第1物品収容部と、
上記他方の端部開口を入出口として上記ケーシング及び袋
体によって画定される第2物品収容部と
を有
し、
上記袋体が、上記一対の側壁の内側に重ねられる一対の側膜を有しており、
上記第2物品収容部が、上記側膜と上記ケーシングとの間にそれぞれ物品収容空間を有している小物入れ。
【請求項2】
上記袋体が上記リング状に接続される部分以外で上記ケーシングに接続されていない請求項1に記載の小物入れ。
【請求項3】
上記一対の側壁が上記一方の端部開口側から他方の端部開口側に徐々に拡幅している請求項1又は請求項2に記載の小物入れ。
【請求項4】
上記一対の側壁が略台形状である請求項3に記載の小物入れ。
【請求項5】
上記側壁の厚さ方向視において上記第1ファスナーがコ字状に設けられ、上記第2ファスナーが直線状に設けられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の小物入れ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物入れに関する。
【背景技術】
【0002】
金銭や各種カード等の物品を収容するための小物入れが広く用いられている。この小物入れとしては、物品の種類に応じた複数の物品収容部を有するものが存在している。複数の物品収容部を有する小物入れとしては、例えば各種物品と1対1で対応する内部空間を有する複数の袋体(風呂敷状に物品を被覆するものや、ポケット状のもの等を含む)を有するものが公知である。また、複数の物品収容部を有する小物入れとしては、ケーシングの一方側にのみ物品入出用の開口を有するものの他、ケーシングの両側に物品入出口用の開口を有するものも発案されている(実用新案登録第3211288号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載の財布は、長方形状のシート体を長手方向の中央で折り返し、この折返状態で重なり合う端縁同士をファスナーで開閉自在に接続した本体と、折返状態における本体の外面を開閉自在に被覆し、本体との間の内部空間に札を収容可能な被覆シートとを備える。また、この財布は、本体の内面側に小銭、各種カード、名刺等を収容可能な物品収容部を有する。この財布は、上記本体の内面側及び外面側にそれぞれ物品を出し入れ可能に構成されている。つまり、上記公報に記載の財布は、本体の内面側及び外面側にそれぞれ物品を収容するための袋体が形成されており、これらの袋体の開口が本体の異なる側に配設されている。
【0005】
上記公報に記載されている従来の小物入れは、各種物品に対応する袋体を有しており、収容可能な物品の種類に併せて袋体の数も多くなる。そのため、この従来の小物入れは、収容可能な物品の種類の増加に伴って必要な部材が多くなり、小物入れ全体の重さが大きくなると共に、小物入れ自体の占有スペースが大きくなり、取扱性が低下する。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、複数種の物品を分離して収容可能であると共に、部材点数を抑え、取扱性を高めることができる小物入れの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る小物入れは、対向する一対の側壁を有し、その側縁同士が繋がれた筒状のケーシングと、上記ケーシングの一方の端部開口側の内周面の全周に亘ってリング状に接続され、上記ケーシング内に配設される有底筒状の袋体と、上記一方の端部開口を開閉する第1ファスナーと、上記ケーシングの他方の端部開口を開閉する第2ファスナーとを備え、上記一方の端部開口を入出口として上記袋体の内部に画定される第1物品収容部と、上記他方の端部開口を入出口として上記ケーシング及び袋体の間の空間によって画定される第2物品収容部とを有する。
【0008】
当該小物入れは、筒状のケーシングと、このケーシングの一方の端部開口側の内周面の全周に亘ってリング状に接続される袋体とを備える。当該小物入れは、上記袋体の内部に第1物品収容部が画定され、かつ上記袋体とケーシングとの間の空間に第2物品収容部が画定されており、上記ケーシングの一方の端部開口が上記第1物品収容部の物品入出口を形成し、上記ケーシングの他方の端部開口が上記第2物品収容部の物品入出口を形成している。当該小物入れは、上記第1物品収容部及び第2物品収容部の物品入出口がケーシングの両側に対向配置されているので、上記第1物品収容部及び第2物品収容部に異なる種類の物品を容易かつ確実に分離収容することができる。また、当該小物入れは、上記ケーシング及び袋体によって第1物品収容部及び第2物品収容部を画定するので、部材点数を抑えることができ、取扱性に優れる。
【0009】
上記袋体が上記リング状に接続される部分以外で上記ケーシングに接続されていないとよい。このように、上記袋体が上記リング状に接続される部分以外で上記ケーシングに接続されていないことによって、上記第2物品収容部の空間容積を大きくすることができると共に、上記第2物品収容部に収容される物品の形状に合わせて上記袋体が変形しやすくなり、収容可能な物品の種類を増やし、汎用性を高めることできる。
【0010】
上記一対の側壁が上記一方の端部開口側から他方の端部開口側に徐々に拡幅しているとよい。このように、上記一対の側壁が上記一方の端部開口側から他方の端部開口側に徐々に拡幅していることによって、上記第2物品収容部の空間容積を大きくすると共に、上記第2物品収容部への物品の入出作業性を高めることができる。
【0011】
上記一対の側壁が略台形状であるとよい。このように、上記一対の側壁が略台形状であることによって、上記第2物品収容部の使用性をより高めることができる。
【0012】
上記側壁の厚さ方向視において上記第1ファスナーがコ字状に設けられ、上記第2ファスナーが直線状に設けられているとよい。このように、上記側壁の厚さ方向視において上記第1ファスナーがコ字状に設けられ、上記第2ファスナーが直線状に設けられていることによって、上記第1物品収容部及び第2物品収容部からの物品の意図しない脱落を防止しつつ、上記第1物品収容部及び第2物品収容部への物品の入出作業性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の小物入れは、複数種の物品を分離して収容可能であると共に、部材点数を抑え、取扱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る小物入れを示す模式的側面図である。
【
図3】
図1の小物入れのケーシングの一方の端部開口を開いた状態を示す模式図である。
【
図4】
図1の小物入れのケーシングの他方の端部開口を開いた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0016】
[小物入れ]
図1,2の小物入れは、対向する一対の側壁1aを有し、その側縁1d同士が繋がれた筒状のケーシング1と、ケーシング1の一方の端部開口1b側の内周面の全周に亘ってリング状に接続され、ケーシング1内に配設される有底筒状の袋体2と、一方の端部開口1bを開閉する第1ファスナー3と、ケーシング1の他方の端部開口1cを開閉する第2ファスナー4とを備える。当該小物入れは、
図3,4に示すように、一方の端部開口1bを入出口として袋体2の内部に画定される第1物品収容部Pと、他方の端部開口1cを入出口としてケーシング1及び袋体2の間の空間によって画定される第2物品収容部Qとを有する。
【0017】
当該小物入れは、第1物品収容部P及び第2物品収容部Qに物品が収容されていない状態では、一対の側壁1の対向方向を厚さ方向とする板状である。当該小物入れは、例えば第1物品収容部Pに硬貨等を収容し、第2物品収容部Qに札や各種カード等を収容可能な財布として用いることができる。当該小物入れは、例えば衣類のポケットに入る程度の大きさに形成される。
【0018】
(ケーシング)
ケーシング1は、一対の側壁1aの対向状態で重なり合う側縁1d同士が直接的に又は他の連結用部材を介して間接的に繋がれることで筒状に形成されている。ケーシング1の軸方向の両側は開放されており、一対の端部開口1b,1cが形成されている。一対の側壁1aは、対向状態で重なり合う側縁1dの全領域が繋がれていてもよく、対向状態で重なり合う側縁1dが部分的に繋がれていてもよい。ケーシング1は、一対の側壁1aの対向方向長さが一対の側壁1aの幅方向(ケーシング1の軸方向及び一対の側壁1aの対向方向と垂直な方向)長さ及び高さ方向(ケーシング1の軸方向)長さに対して小さい扁平状である。
【0019】
一対の側壁1aは、対向状態で略同形状に形成されている。一対の側壁1aの材質としては、特に限定されるものではなく、皮革、布帛、合成樹脂等が挙げられる。中でも、一対の側壁1aの材質としては、適度な強度を有すると共に、意匠性、加工性等に優れる皮革が好ましい。
【0020】
一対の側壁1aは対向する一対の側縁1dを有する。一対の側壁1aの形状としては、対向状態で重なり合う側縁1d同士が繋がれることで筒状に形成可能である限り特に限定されるものではなく、例えば円形状、楕円形状、四角形状、すり鉢状等が挙げられる。
【0021】
一対の側壁1aは、一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅していることが好ましい。当該小物入れは、一対の側壁1aが一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅していることによって、第2物品収容部Qの空間容積を大きくすると共に、第2物品収容部Qへの物品の入出作業性を高めることができる。より詳しく説明すると、当該小物入れは、他方の端部開口1c側に袋体2の底部が位置しており、第2物品収容部Qに物品を収容する場合、通常、袋体2の底部とケーシング1との間から物品を入れる。この点において、一対の側壁1aが一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅していることによって、袋体2の底部とケーシング1との隙間を大きくしやすく、この隙間から第2物品収容部Qに物品を入れやすい。また、当該小物入れでは、第2物品収容部Qの底部は袋体2とケーシング1との接続部分(後述するリング状接続部2c)に形成される。当該小物入れは、一対の側壁1aが一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅していることによって、第2物品収容部Qの底部に収まった物品を他方の端部開口1c側に移動させやすく、この物品を他方の端部開口1cから取り出しやすい。
【0022】
一対の側壁1aが一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅している場合、一対の側壁1aの形状としては、略台形状が好ましく、略等角台形状がより好ましい。一対の側壁1aが略台形状であることで、袋体2とケーシング1との間の隙間を一方の端部開口1bから他方の端部開口1cに亘って略均一に拡幅することができる。これにより、第2物品収容部Qへの物品の入出作業性をより高めることができ、第2物品収容部Qの使用性を高めることができる。
【0023】
一対の側壁1aが一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅している場合、一対の側壁1aの幅方向を基準とする側縁1dの平均傾斜角度αの下限としては、80°が好ましく、85°がより好ましい。一方、上記平均傾斜角度αの上限としては、90°未満であればよく、89°が好ましい。上記平均傾斜角度αが上記下限に満たないと、第1物品収容部Pへの物品の入出作業性が低下するおそれがあると共に、当該小物入れの持ち運び性が不十分となるおそれがある。逆に、上記平均傾斜角度αが上記上限を超えると、第2物品収容部Qの空間容積を十分に大きくすることができないおそれや、第2物品収容部Qへの物品の入出作業性を十分に高めることができないおそれがある。なお、「一対の側壁の幅方向を基準とする側縁の平均傾斜角度」とは、一対の側壁の幅方向に対する一対の側壁の側縁の両端を結ぶ仮想直線の傾斜角度をいう。
【0024】
一対の側壁1aのサイズは、用途に応じて適宜設定可能であるが、一対の側壁1aの平均幅としては、例えば5cm以上15cm以下程度とすることができる。また、一対の側壁1aの平均高さとしては、例えば5cm以上10cm以下とすることができる。
【0025】
(袋体)
袋体2は、第1物品収容部P及び第2物品収容部Qに物品が収容されていない状態でケーシング1の一対の側壁1aの内側に重ねられる一対の側膜2aを有する。袋体2は、一対の側膜2aの側縁同士及び底縁同士が繋がれた有底筒状である。袋体2は、開口2b側の周縁部がケーシング1の一方の端部開口1b側の内周面の全面に亘ってリング状に接続されている。袋体2は、一対の側膜2aの底縁がケーシング1の他方の端部開口1c側に位置している。当該小物入れは、一対の側膜2aの底縁がケーシング1の他方の開口1c側に位置していることで、一対の側膜2aを挟んでケーシング1内に形成される第2物品収容部Qの2つの空間それぞれに物品を収容しやすく、3種以上の物品を容易に分離して収容することができる。一対の側膜2aの底縁がケーシング1の他方の開口1c側に位置する場合、上記底縁と他方の開口1cとの間隔の上限としては、例えば2cmが好ましく、1cmがより好ましい。また、上記底縁と他方の開口1cとの間隔の下限としては、物品の入出作業性を高める観点から、例えば0.5cmとすることができる。
【0026】
袋体2の材質としては、特に限定されないが、例えば皮革、布帛、合成樹脂等が挙げられる。中でも、袋体2の材質としては皮革が好ましい。袋体2が皮革製であることによって、この袋体2は適度な柔軟性を有し、第2物品収容部Qに物品を収容した際に、この物品の形状に合わせて袋体2が適度に変形する。これにより、第2物品収容部Qに収容可能な物品の種類を増やすことができる。また、袋体2が皮革製であることで、この袋体2は、第2物品収容部Qに収容される物品の種類によっては物品収容スペースを区画する仕切りとして機能する。そのため、一対の側膜2aを挟んでケーシング1内に形成される第2物品収容部Qの2つの空間それぞれに物品を収容させやすい。
【0027】
一対の側膜2aの形状としては、対向状態で重なり合う側縁同士及び底縁同士が繋がれることで有底筒状に形成可能である限り特に限定されるものではなく、例えば円形状、楕円形状、四角形状、すり鉢状等が挙げられる。中でも、一対の側膜2aの形状としては、矩形状、又は開口2b側から底縁側に徐々に縮幅する形状であることが好ましい。一対の側膜2aが矩形状、又は開口2b側から底縁側に徐々に縮幅する形状であることによって、上述のように一対の側壁1aを一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅する形状とした場合に、袋体2とケーシング1との隙間を大きくしやすい。
【0028】
袋体2は、リング状に接続される部分(リング状接続部2c)以外の部分でケーシング1に接続されていないことが好ましい。当該小物入れは、袋体2がリング状接続部2c以外でケーシング1に接続されていないことによって、第2物品収容部Qの空間容積を大きくすることができると共に、第2物品収容部Qに収容される物品の形状に合わせて袋体2が変形しやすくなり、収容可能な物品の種類を増やし、汎用性を高めることできる。
【0029】
(ファスナー)
当該小物入れは、第1ファスナー3がケーシング1の一方の端部開口1bを開閉し、第2ファスナー4がケーシング1の他方の端部開口1cを開閉するよう設けられている。具体的には、当該小物入れは、一対の側壁1aの一対の側縁1d同士の連接部分の一方側の端縁を始点及び終点として一方の端部開口1bを開閉可能に設けられる第1ファスナー3と、一対の側壁1aの一対の側縁1d同士の連接部分の他方側の端縁を始点及び終点として他方の端部開口1cを開閉可能に設けられる第2ファスナー4とを有する。第1ファスナー3及び第2ファスナー4は、ケーシング1の軸方向に対向して設けられている。第1ファスナー3及び第2ファスナー4は、第1物品収容部P及び第2物品収容部Qと1対1で対応して設けられている。当該小物入れは、第1ファスナー3の開閉のみによって第1物品収容部Pに物品を入出可能に構成されており、また同時に第2ファスナー4の開閉のみによって第2物品収容部Qに物品を入出可能に構成されている。第1ファスナー3及び第2ファスナー4の種類としては、面ファスナー、線ファスナー等が挙げられ、線ファスナーが好ましい。
【0030】
側壁1aの厚さ方向視において第1ファスナー3はコ字状に設けられ、第2ファスナー4は直線状に設けられることが好ましい。当該小物入れは、第1ファスナー3がコ字状に設けられ、第2ファスナー4が直線状に設けられることによって、第1物品収容部P及び第2物品収容部Qからの物品の意図しない脱落を防止しつつ、第1物品収容部P及び第2物品収容部Qへの物品の入出作業性を高めることができる。より詳しく説明すると、当該小物入れは、第1物品収容部Pに収容された物品は袋体2内で比較的安定的に保持されやすく、第1ファスナー3をコ字状に設け、かつ第1ファスナー3を全開した場合でも、物品が意図せず脱落するおそれが低い。また、当該小物入れは、上述のように一対の側壁1aが一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅する形状とされる場合、一方の端部開口1bからの物品の入出作業性が低下する場合が考えられる。しかしながら、第1ファスナー3がコ字状であることで、一対の側壁1aの側縁1d側の一部を用いて物品の入出作業を行うことができ、第1物品収容部Pへの物品の入出作業性を高めることができる。一方、当該小物入れは、ケーシング1の他方の端部開口1c側に袋体2の底部が位置するため、第2物品収容部Qに収容された物品は他方の端部開口1c側で保持される場合がある。しかしながら、この場合でも、第2ファスナー4が直接状であることによって、他方の端部開口1cを上側に向けた状態で物品の高さ位置よりも第2ファスナー4の高さ位置を上方に保つことができ、第2物品収容部Qから物品が意図せず脱落するおそれを抑制できる。また、当該小物入れは、第2ファスナー4が直線状である場合でも、例えば一対の側壁1aを一方の端部開口1b側から他方の端部開口1c側に徐々に拡幅する形状とすることで、他方の端部開口1cから物品の入出作業を容易に行うことができる。
【0031】
<利点>
当該小物入れは、袋体2の内部に第1物品収容部Pが画定され、かつ袋体2とケーシング1との間の空間に第2物品収容部Qが画定されており、ケーシング1の一方の端部開口1bが第1物品収容部Pの物品入出口を形成し、ケーシング1の他方の端部開口1cが第2物品収容部Qの物品入出口を形成している。当該小物入れは、第1物品収容部P及び第2物品収容部Qの物品入出口がケーシング1の両側に対向配置されているので、第1物品収容部P及び第2物品収容部Qに異なる種類の物品を容易かつ確実に分離して収容可能である。また、当該小物入れは、ケーシング1及び袋体2によって第1物品収容部P及び第2物品収容部Qを画定するので、部材点数を抑えることができ、取扱性に優れる。
【0032】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0033】
上記実施形態では、側壁の厚さ方向視において第1ファスナーがコ字状に設けられ、第2ファスナーが直線状に設けられる構成について説明したが、上記第1ファスナー及び第2ファスナーの形状は上記実施形態に記載の形状に限定されるものではない。当該小物入れは、例えば上記第1ファスナー及び第2ファスナーがいずれも直線状に設けられてもよく、上記第1ファスナー及び第2ファスナーがいずれもコ字状に設けられてもよい。また、上記第1ファスナー及び第2ファスナーの具体的形状は一対の側壁の形状に合わせて適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明の小物入れは、複数種の物品を分離して収容可能であると共に、部材点数を抑え、取扱性を高めることができるので、硬貨、札、各種カード等を収容するための財布として適している。
【符号の説明】
【0035】
1 ケーシング
1a 側壁
1b,1c 端部開口
1d 側縁
2 袋体
2a 側膜
2b 開口
2c リング状接続部
3 第1ファスナー
4 第2ファスナー
P 第1物品収容部
Q 第2物品収容部