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  • 特許-後部車窓位置移動表示板取付具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】後部車窓位置移動表示板取付具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20220630BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220630BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20220630BHJP
   B60R 11/02 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
G09F9/00 351
B60Q1/50 Z
B60R11/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018168231
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2020040467
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】山下 伊智朗
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-002373(JP,A)
【文献】実開昭51-045384(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0038422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
G09F 9/00
B60Q 1/50
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内の内側から後部窓に表示面を略平行に配置させて外部に表示を行わせるものであって、前記表示面を有する表示器を支持する支持板と、前記支持板を前記車内の天井に略平行に収納する収納部と、前記支持板を前記収納部から水平移動する水平移動手段と、
前記支持板が前記後部窓方向に前記水平移動する場合に、前記水平移動に伴って前記支持板が傾斜し、前記表示面を前記後部窓の略平行な配置を達成するための水平移動支持板回転手段と、を備え、前記水平移動支持板回転手段は、互いに回転結合部で連結した複数の前記支持板で構成され、前記水平移動により、前記支持板の一部が前記収納部が外れたことで、前記支持板が自重により傾斜することを特徴とする後部車窓位置移動表示板取付具。
【請求項2】
前記回転結合部を有する前記支持板間には、前記傾斜を決める回転ストッパを備えたことを特徴とする請求項1記載の後部車窓位置移動表示板取付具。
【請求項3】
前記支持板を載せる前記収納部の前記窓側端の先端は、前記支持板の移動と戻りを容易にする下にカーブした曲折部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の後部車窓位置移動表示板取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後部車窓位置に配置され、車窓の内部から外部に向かい表示する表示板を表示位置と収納位置で移動することが可能な取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の表示板の例を示す図である。特許文献1に示されているが、6-Aでは、車の屋根の上に配置されているものであるが、表示板が走行中の風圧を受けるため、走行の邪魔になったり、表示板が破損する恐れもあり、風圧を避けるため、風を逃がすため、複数の短冊状の表示板の間をあけてこの空間から風を通過させる提案もある。風圧に対応するためには頑丈に構成する必要もある。
特許文献2に示されているが、6-Bでは、窓ガラスに表示パネルを積層したものが示されている。
特許文献3に示されているが、6-Cでは、窓ではないが、車の荷室後面に電光標示板を取り付け、未使用時は標示面を遮蔽するものが示されている。
更に、6-Dに示すような、車窓の内面に適度の間隔で配置された複数の短冊状の発光手段による表示器を設置するものも見ることができる。6-Aでは、風を逃がすための構造であったが、6-Dでは、室内であり風の影響はないため、複数の短冊で構成する理由は、運転者が後部窓の後ろの状況を隙間越しに見えるようにするためである。6-Bや6-Cでは、後部を見るための配慮はなされていない。表示板は、破損防止の観点からは、窓の内側が良い、更に外側では、破損すると道路に散らばり危険性が増す。両方の観点でも窓の内側に表示部が有ることが好ましい。しかし、後部を見るためには、表示部は邪魔になる。特に、いつも表示しているわけではなく、ゆっくり走りながら表示している場合もあるが、多くは、路肩に停止して表示している場合が多い。使用しない場合は、後部窓を遮蔽しない位置に表示部を収納することが望ましい。収納する場合は、極力、車内にある荷物や人体に接触しないで移動されることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-47883
【文献】特表2004-529392
【文献】実開平4-119730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、表示位置のほぼ窓面に沿った表示面位置から、天井面に沿った収納位置の間で移動され、その場合、車内にある荷物や人体に接触しない移動を可能とする後部車窓位置移動表示板取付具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、後部車窓位置移動表示板取付具であって、
車内の内側から後部窓に表示面を略平行に配置させて外部に表示を行わせるものであって、前記表示面を有する表示器を支持する支持板と、前記支持板を前記車内の天井に略平行に収納する収納部と、前記支持板を前記収納部から水平移動する水平移動手段と、
前記支持板が前記後部窓方向に前記水平移動する場合に、前記水平移動に伴って前記支持板が傾斜し、前記表示面を前記後部窓の略平行な配置を達成するための水平移動支持板回転手段と、を備え、前記水平移動支持板回転手段は、互いに回転結合部で連結した複数の前記支持板で構成され、前記水平移動により、前記支持板の一部が前記収納部が外れたことで、前記支持板が自重により傾斜することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の後部車窓位置移動表示板取付具において、
前記回転結合部を有する前記支持板間には、前記傾斜を決める回転ストッパを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の後部車窓位置移動表示板取付具において、前記支持板を載せる前記収納部の前記窓側端の先端は、前記支持板の移動と戻りを容易にする下にカーブした曲折部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の様に構成されているので、本発明による後部車窓位置移動表示板取付具により、車内にある荷物や人体に接触しない移動ができ、使用しない場合は、窓面をほぼ全面見える状態に出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の一実施態様を示す図である。
図2】本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の具体的実施態様を示す図である。
図3】本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の他の具体的実施態様を示す図である。
図4】本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の他の具体的実施態様を示す図である。
図5】本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の他の具体的実施態様を示す図である。
図6】車に取り付ける従来の表示板の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の一実施態様を示す図である。
1-Aでは、車の後部窓110の内側に表示器の表示面120をほぼ窓面に添わせて配置された状態と点線でしめされるように、表示器の表示面120を天井面に沿って収納された状態とを示している。この図で見るように、表示器を備えた軸130は、スライドレール140に沿って、左右に移動するが、左端では、表示面120を天井面に沿って収納された状態から、右端では、表示面120をほぼ窓面に添った状態に90°回転する。その間、スライドするにつれ、軸は回転している。このため、スライドしないで単に回転する場合に比べて、車内にある荷物や人体に接触しない移動を可能となる。後ろの車窓側から見た場合1-Bでは、収納された状態であり、1-Cでは、表示面120がほぼ窓面に添った状態である。以上のような移動を可能とする後部車窓位置移動表示板取付具の具体的構成を図2から図5に示す。
【0011】
図2は、本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の具体的実施態様を示す図である。
2-Aには、軸130の有するピニオン歯車131とスライドレール140の間が、ピニオンラックの関係にあり、平行移動すると、軸130が回転する構造になっている。2-Bには、この具体的構成の例を示す。モータ210の回転軸220に取りついた第一連結歯車230(半径s)とこれと連結して動き、軸130を回転する第二連結歯車240(半径t)がある。モータ210が回転すると、軸130も回転する。軸130には、ピニオン歯車131(半径u)があり、モータ210が設置された台座250に固定されたラック歯140にかみ合っているため、軸130が回転すると、台座250に対して軸130は水平移動する。軸130は、台座250に付いたスライド溝260に沿い移動する。同時にモータ210も移動する。台座250とモータ210が付いた据えつけ台270もスライドを助けるよう溝結合部280で噛みあっている。このようにモータ210の回転に応じて軸130が回転し、同時に軸が水平に移動する構成になっている。尚、モータ210は、反転が可能なステッピングモータが好ましい。
【0012】
図3は、本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の他の具体的実施態様を示す図である。図2と比べると、モータ部が移動しないでよいので構成が簡単でよい。3-Aにおいて、モータ210は、回転するとワイヤ310を引く。ワイヤ310は、左端で軸130に結合されている。同時に、ワイヤ310は右端において滑車により方向を変え、軸130の反対側でも結合している。従って、モータ210が回転と反回転を行うと、軸130は右または左に移動する。軸に付いているピニオン歯車320は、ラック歯330と結合しているので、軸130の平行移動につれて回転する。従って、軸130についた表示板の表示面も角度を変えることになる。3-Bには、その構成を横から見た場合の図である。ここでは、モータ210とワイヤ310は示されていない。ワイヤ結合部340が軸130に付いている。ワイヤ結合部340は、軸130との間は、回転結合をしている。ワイヤ310の引く方向は常に同じ方向(この図では水平方向)であるが、軸130は回転するためである。モータ210の回転により、ワイヤ結合部340を介してワイヤ310が引かれ、平行移動し、同時に台座250についたラック330とピニオン歯車320の結合により、軸130は、平行移動とともに回転する。
【0013】
図4は、本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の他の具体的実施態様を示す図である。この図では、モータ210の回転により、ワイヤ310が引かれ、第三連結歯車410(半径w)が回転し、これと同軸になった第四連結歯車420(半径r)が回転し、これに噛みあう第五連結歯車430(半径R)が回転することで軸130が回転する。ワイヤ310がL移動する場合の各歯車の半径の関係は、図のようになり、
R=2rL/πw の関係がある。

図4のものだけでなく、図2図3に示すものは、移動距離と各歯車、又はラック歯の間には、類似の考えが成立する。尚、図4図2との違いは、図2は歯車結合のみだったが、図4は、ワイヤ結合になっているだけであり、図2での回転を水平移動に変えるピニオンラック等の手段は記述を省略してある。
【0014】
図5は、本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具の他の具体的実施態様を示す図である。
図2から図4は、表示面の傾斜を水平移動と関連づけた歯車の回転により決定した。
図5では、傾斜を板面の自重による回転を使う。場合によっては、更に、回転を制限して規定する回転ストッパを使用する。回転は、表示板とこれを支持する複数の支持板が複数の回転結合を介して接続し、スライドレールを移動して、各支持板がレールの先端からでてその束縛がなくなったところで自重により下がるように回転する。回転部には、回転角を規定する回転ストッパがあると好都合である。
図5で詳細に記述する。
5-Aにおいて、この例では3枚の支持板510(A、B、C)が、回転結合部520を介して接続している。1)では、一番左側(収納位置)にあり、全ての回転結合部520がレール530上にあるので、回転はしていない。2)では、モータ210が回転して、支持板510が右に移動し、支持板510のCのみが、レール530が外れるため、自重により回転傾斜してくる。3)では、モータ210が更に回転して、支持板510が更に右に移動し、支持板510のBも、レール530が外れるため、自重により回転傾斜し、Cでは、図示しない車窓の窓面に略平行に配置され、表示に供される。当然のことながら、Cに表示板の表示面がある。
5-Cには、回転結合部520周辺を拡大して示す。各支持板510の間は、回転結合部520で結合されるのは当然として、各支持板510には、回転角度を所望の値に決める回転ストッパ540があると好都合である。この例では、各支持板510上に互いに干渉して動きを止める突起が付いている。
5-Bには、5-Aのものを斜視図で示す。1)の状態に対応した図となっている。
5-Aと同じ番号を付けてあるので重複した説明は省く。モータ210の回転により動くワイヤ310は、先端に近い位置で歯車や滑車等の向き反転手段550で反転し、再びモータ210についた歯車へ戻っている。ワイヤ310の途中で、いずれかの支持板510(この例ではA)に結びついている。そのため、モータ210の回転により支持板510は左右のいずれかの動きをする。尚、この図では、レール530の上に固定して、支持板510がガイドされるガイドレール530Aも描いてある。尚、レール530の窓側端の先端は、支持板の移動と戻りを容易にするように下にカーブした曲折部を有すると好都合である。
【0015】
尚、以上の記述で歯車の代わりにプーリーを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上のように本発明にかかる後部車窓位置移動表示板取付具は、車の天井に沿った収納位置から後部窓面方向へ移動すると、移動に伴って表示板を取り付けた支持板が回転し、窓面の略平行に配置され、移動に伴う空間が小さいため、車内の荷物や人に当たる恐れが小さく、又収納も可能なので、産業上利用して極めて好都合である。
【0017】
110 後部窓
120 表示面
130 軸
131、320 ピニオン歯車
140 スライドレール
210 モータ
220 回転軸
230 第一連結歯車
240 第二連結歯車
250 台座
260 スライド溝
270 据えつけ台
280 溝結合部
310 ワイヤ
330 ラック歯
340 ワイヤ結合部
410 第三連結歯車
420 第四連結歯車
430 第五連結歯車
510 支持板
520 回転結合部
530 レール
530A ガイドレール
540 回転ストッパ
550 向き反転手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6