IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブルーオプテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図1
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図2
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図3
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図4
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図5
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図6
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図7
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図8
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図9
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図10
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図11
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図12
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図13
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図14
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図15
  • 特許-光学装置、ウエアラブル画像表示装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】光学装置、ウエアラブル画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220630BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018181270
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020052235
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】517330597
【氏名又は名称】ブルーオプテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 麻言
(72)【発明者】
【氏名】白井 伸弘
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106104(JP,A)
【文献】特表2018-503121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0250430(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0246333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した映像光を伝搬し、人の目に虚像として入射させ、前記虚像を表示画像として表示させる光学装置であって
前記光学装置に入射した直後の前記映像光は、前記表示画像に対応する画角である映像光画角を有し
記映像光画角の中心線を通る中心映像光は、前記表示画像の中央に対応し
記映像光画角の一方の半直線を通る一方映像光は、前記表示画像の一方の端に対応し
記映像光画角の他方の半直線を通る他方映像光は、前記表示画像の他方の端に対応
主面を有する導光体と、
前記導光体中に配置された複数枚のハーフミラーと、
入射角調整部材と、
を備え、
前記導光体は、
入射された映像光を前記主面における導光作用により一方の部分から他方の部分に導く光学部材であり、
複数枚の前記ハーフミラーは、それぞれ、
前記導光体中を前記導光体の導光作用により進む前記映像光を外部に出射させて前記人の目に前記虚像として入射させ、前記虚像を前記表示画像として表示させ、
前記人の目に対して反対側の面である裏面において前記他方映像光側の前記映像光の一部が反射する反射特性を有する光学部材であり、
前記入射角調整部材は、
前記映像光を前記入射角調整部材中に入射させると共に、前記中心映像光を垂直に前記入射角調整部材中に入射させる入射面を有し、
前記ハーフミラーの反射特性に合わせて、
前記導光体の前記主面における前記映像光の入射角を調整して、
前記一方映像光側の前記映像光の一部に前記主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、
前記表示画像の左右の明るさのバランスを取る光学部材である、
ことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記入射角調整部材は、
前記ハーフミラーの反射特性に合わせて、
前記導光体の屈折率と前記導光体の前記主面における前記映像光の入射角を調整して、
前記映像光のうちの他の一部に前記主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、
前記表示画像の左右の明るさのバランスを取る光学部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
記ハーフミラーは、
前記ハーフミラーの前記裏面における前記映像光の入射角が前記他方映像光側になる程大きくなり、
前記映像光のうちの一部である前記他方映像光側の映像光の一部が前記裏面において反射して、
前記ハーフミラーを透過する前記他方映像光側の映像光の光量が低下する反射特性を有する光学部材であり、
前記入射角調整部材は、
前記ハーフミラーの反射特性により低下した前記他方映像光側の映像光の光量に合わせて、
前記導光体の前記主面における前記映像光の入射角を調整して、
前記映像光のうちの他の一部である前記一方映像光側の映像光の一部に前記主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、
全反射条件が満たされない前記一方映像光側の映像光の一部が前記主面から外部に透過して、
前記導光体中の前記主面において全反射する前記一方映像光側の映像光の光量を低下させて、
前記表示画像の左右の明るさのバランスを取る光学部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
前記入射角調整部材は、
前記ハーフミラーの反射特性により低下した前記他方映像光側の映像光の光量に合わせて、
前記導光体の屈折率と前記導光体の前記主面における前記映像光の入射角を調整して、
前記映像光のうちの他の一部である前記一方映像光側の映像光の一部に前記主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、
全反射条件が満たされない前記一方映像光側の映像光の一部が前記主面から外部に透過して、
前記導光体中の前記主面において全反射する前記一方映像光側の映像光の光量を低下させて、
前記表示画像の左右の明るさのバランスを取る光学部材である、
ことを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記入射角調整部材は、
前記他方映像光側の映像光の一部が前記裏面において反射する画角である他方映像光側画角の前記映像光画角に対する角度割合と、
前記一方映像光側の映像光の一部が前記主面において全反射しない画角である一方映像光側画角の前記映像光画角に対する角度割合と、
を合わせる光学部材である、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記入射角調整部材は、
前記表示画像の前記他方の端から前記他方映像光側の映像光の光量の低下により前記表示画像の明るさが減衰する開始位置までの間の減衰領域の割合と、
前記表示画像の前記一方の端から前記一方映像光側の映像光の光量の低下により前記表示画像の明るさが減衰する開始位置までの間の減衰領域の割合と、
を合わせる光学部材である、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の光学装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光学装置において、
中心映像光の前記主面における入射角をθ1、
前記ハーフミラーの反射特性境界角をθ2、
前記映像光画角の半角をθ3、
前記導光体の屈折率をN、
とすると、
下式(1)、(2)、(3)、(4)を満足する、
ことを特徴とする光学装置。
{(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2}÷(2×θ3) ……… (1)
[(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}]÷(2×θ3) ……… (2)
(1)=(2)、すなわち、
3/2θ1+θ3-θ2=-θ1+θ3+arcsin(1/N) ……… (3)
であって、
5/2×θ1-θ2-arcsin(1/N)=0 ……… (4)
である。
ただし、
前記中心映像光は、
前記映像光のうち前記映像光画角の中心線を通り、前記表示画像の中央に対応する前記映像光であり、
前記反射特性境界角θ2は、
前記映像光のうちの一部が前記ハーフミラーの前記裏面において反射する率が上昇する境界角であり、
上式(1)は、
前記他方映像光側の映像光の一部が前記裏面において反射する画角である他方映像光側画角{(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2}の前記映像光画角(2×θ3)に対する角度割合であり、
上式(2)は、
前記一方映像光側の映像光の一部が前記主面において全反射しない画角である一方映像光側画角[(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}]の前記映像光画角(2×θ3)に対する角度割合であり、
上式(3)は、上式(1)の角度割合と上式(2)の角度割合とをイコールで結んだ式であり、
上式(4)は、上式(3)を整理した式である。
【請求項8】
請求項7に記載の光学装置において、
下式(5)を満足する、
ことを特徴とする光学装置。
0.9≦(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≦1.1 ……… (5)
【請求項9】
前記請求項1~8のいずれか1項に記載の光学装置と、
前記光学装置に取り付けられていて、映像光を前記光学装置に出力する映像光出力部と、
前記光学装置および前記映像光出力部を使用者の顔面に装着する装着部と、
を備える、
ことを特徴とするウエアラブル画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導光体およびハーフミラーを備える光学装置に関するものである。また、この発明は、導光体およびハーフミラーを使用した光学装置を備えるウエアラブル画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学装置、ウエアラブル画像表示装置としては、例えば、特許文献1、特許文献2に示すものがある。特許文献1の光導体光学装置は、平面基板と、平面基板中に配置された複数枚の選択的反射面と、を備えるものである。特許文献1の光導体光学装置は、平面基板中に入射した光が、平面基板の面での数回の反射後、選択的反射面で平面基板から出射して、画像として表示される。
【0003】
特許文献2の頭部装着型ディスプレイは、導光板と、その導光板中に配置された複数枚の半透過鏡と、を備えるものである。特許文献2の頭部装着型ディスプレイは、導光板に入射された光が、導光板の内部を導光しながら伝播して、半透過鏡で導光板から出射して、画像として表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4508655号公報
【文献】特許第5678460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の光導体光学装置は、選択的反射面の反射特性(後述するハーフミラー3の反射特性を参照)により、表示画像の一方の部分の明るさに比較して表示画像の他方の明るさが減衰する傾向(すなわち、表示画像の他方が暗くなる傾向)にあるので、表示画像の明るさのバランスが取れていない。また、同様に、特許文献2の頭部装着型ディスプレイは、半透過鏡の反射特性(同じく、後述するハーフミラー3の反射特性を参照)により、表示画像の一方の部分の明るさに比較して表示画像の他方の明るさが減衰する傾向(すなわち、表示画像の他方が暗くなる傾向)にあるので、表示画像の明るさのバランスが取れていない。
【0006】
ここで、表示画像の明るさのバランスが取れていないと、使用者にとっては、表示画像を見て違和感がある。このため、光学装置、ウエアラブル画像表示装置においては、使用者にとって表示画像を見て違和感が無いように、表示画像の明るさのバランスを簡単に取ることが重要となる。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、表示画像の明るさのバランスを簡単に取ることができる光学装置、ウエアラブル画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の光学装置は、主面を有する導光体と、導光体中に配置された複数枚のハーフミラーと、入射角調整部材と、を備え、導光体が、入射された映像光を主面における導光作用により一方の部分から他方の部分に導く光学部材であり、複数枚のハーフミラーが、それぞれ、導光体中を導光体の導光作用により進む映像光を外部に出射させて人の目に虚像として入射させ、虚像を表示画像として表示させ、人の目に対して反対側の面である裏面において映像光のうちの一部が反射する反射特性を有する光学部材であり、入射角調整部材が、ハーフミラーの反射特性に合わせて、導光体の主面における映像光の入射角を調整して、映像光のうちの他の一部に主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、表示画像の明るさのバランスを取る光学部材である、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の光学装置は、入射角調整部材が、ハーフミラーの反射特性に合わせて、導光体の屈折率と導光体の主面における映像光の入射角を調整して、映像光のうちの他の一部に主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、表示画像の明るさのバランスを取る光学部材である、ことが好ましい。
【0010】
この発明の光学装置は、映像光が、表示画像に対応する画角である映像光画角を有し、映像光のうち映像光画角の中心線を通る中心映像光が、表示画像の中央に対応し、映像光のうち映像光画角の一方の半直線を通る一方映像光が、表示画像の一方の端に対応し、映像光のうち映像光画角の他方の半直線を通る他方映像光が、表示画像の他方の端に対応し、ハーフミラーが、ハーフミラーの裏面における映像光の入射角が他方映像光側になる程大きくなり、映像光のうちの一部である他方映像光側の映像光の一部が裏面において反射して、ハーフミラーを透過する他方映像光側の映像光の光量が低下する反射特性を有する光学部材であり、入射角調整部材が、ハーフミラーの反射特性により低下した他方映像光側の映像光の光量に合わせて、導光体の主面における映像光の入射角を調整して、映像光のうちの他の一部である一方映像光側の映像光の一部に主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、全反射条件が満たされない一方映像光側の映像光の一部が主面から外部に透過して、導光体中の主面において全反射する一方映像光側の映像光の光量を低下させて、表示画像の明るさのバランスを取る光学部材である、ことが好ましい。
【0011】
この発明の光学装置は、入射角調整部材が、ハーフミラーの反射特性により低下した他方映像光側の映像光の光量に合わせて、導光体の屈折率と導光体の主面における映像光の入射角を調整して、映像光のうちの他の一部である一方映像光側の映像光の一部に主面における全反射条件が満たされない映像光を形成して、全反射条件が満たされない一方映像光側の映像光の一部が主面から外部に透過して、導光体中の主面において全反射する一方映像光側の映像光の光量を低下させて、表示画像の明るさのバランスを取る光学部材である、ことが好ましい。
【0012】
この発明の光学装置は、入射角調整部材が、他方映像光側の映像光の一部が裏面において反射する画角である他方映像光側画角の映像光画角に対する角度割合と、一方映像光側の映像光の一部が主面において全反射しない画角である一方映像光側画角の映像光画角に対する角度割合と、を合わせる光学部材である、ことが好ましい。
【0013】
この発明の光学装置は、入射角調整部材が、表示画像の他方の端から他方映像光側の映像光の光量の低下により表示画像の明るさが減衰する開始位置までの間の減衰領域の割合と、表示画像の一方の端から一方映像光側の映像光の光量の低下により表示画像の明るさが減衰する開始位置までの間の減衰領域の割合と、を合わせる光学部材である、ことが好ましい。
【0014】
この発明の光学装置は、中心映像光の主面における入射角をθ1、ハーフミラーの反射特性境界角をθ2、映像光画角の半角をθ3、記導光体の屈折率をN、とすると、下式(1)、(2)、(3)、(4)を満足する、ことが好ましい。
{(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2}÷(2×θ3) ……… (1)
[(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}]÷(2×θ3) ……… (2)
(1)=(2)、すなわち、
3/2θ1+θ3-θ2=-θ1+θ3+arcsin(1/N) ……… (3)
であって、
5/2×θ1-θ2-arcsin(1/N)=0 ……… (4)
ただし、中心映像光が、映像光のうち映像光画角の中心線を通り、表示画像の中央に対応する映像光であり、反射特性境界角θ2が、映像光のうちの一部がハーフミラーの裏面において反射する率が上昇する境界角であり、上式(1)が、他方映像光側の映像光の一部が裏面において反射する画角である他方映像光側画角{(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2}の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合であり、上式(2)が、一方映像光側の映像光の一部が主面において全反射しない画角である一方映像光側画角[(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}]の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合であり、上式(3)が、上式(1)の角度割合と上式(2)の角度割合とをイコールで結んだ式であり、上式(4)が、上式(3)を整理した式である。
【0015】
この発明の光学装置は、下式(5)を満足する、
0.9≦(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≦1.1 ……… (5)
ことが好ましい。
【0016】
この発明のウエアラブル画像表示装置は、この発明にかかる光学装置と、光学装置に取り付けられていて、映像光を光学装置に出力する映像光出力部と、光学装置および映像光出力部を使用者の顔面に装着する装着部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明の光学装置、ウエアラブル画像表示装置は、表示画像の明るさのバランスを簡単に取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、この発明にかかる光学装置の実施形態を示す概略平面説明図である。
図2図2は、映像光画角(表示画像に対応する画角)を有する映像光が導光板中を進む状態を示す説明図である。
図3図3は、映像光が開始点を基準として映像光画角に基づいて発散して進む状態を示す説明図である。
図4図4は、映像光が終了点を基準として映像光画角に基づいて収束して進む状態を示す説明図である。
図5図5は、ハーフミラーの反射特性を示す説明図(グラフ)である。
図6図6は、映像光がハーフミラーの表面に入射した状態を示す説明図であって、ハーフミラーの表面反射を示すための説明図である。
図7図7は、映像光がハーフミラーの裏面に入射した状態を示す説明図であって、ハーフミラーの裏面反射を示すための説明図である。
図8図8は、表示画像の明るさと表示画像の位置との相対関係を示す説明図(グラフ)であって、ハーフミラーの反射特性により表示画像の右端側の部分の明るさが減衰している状態を示す説明図である。
図9図9は、表示画像の明るさと表示画像の位置との相対関係を示す説明図(グラフ)であって、入射角調整部材の入射角の調整により表示画像の左端側の部分の明るさが減衰している状態を示す説明図である。
図10図10は、表示画像の明るさと表示画像の位置との相対関係を示す説明図(グラフ)であって、表示画像の右端側の部分の明るさと表示画像の左端側の部分の明るさとを合わせた状態を示す説明図である。
図11図11は、表示画像の明るさと表示画像の位置との相対関係を示す説明図(グラフ)であって、映像光の入射角により表示画像の明るさが減衰する開始位置においてばらつきがある状態を示す説明図である。
図12図12は、映像光の一部がハーフミラーの裏面において反射する画角である他方映像光側画角の映像光画角に対する角度割合を示す説明図である。
図13図13は、映像光の他の一部が導光板の主面において全反射しない画角である一方映像光側画角の映像光画角に対する角度割合を示す説明図である。
図14図14は、表示画像左側の減衰割合の、表示画像右側の減衰割合に対する許容範囲を示す説明図である。図14(1)は、表示画像の左側の減衰領域と表示画像の右側の減衰領域とが同等の場合を示す説明図である。図14(2)は、表示画像の左側の減衰領域が表示画像の右側の減衰領域に対して約0.9の場合を示す説明図である。図14(3)は、表示画像の左側の減衰領域が表示画像の右側の減衰領域に対して約1.1の場合を示す説明図である。図14(4)は、表示画像の左側の減衰領域が表示画像の右側の減衰領域に対して約0.8の場合を示す説明図である。図14(5)は、表示画像の左側の減衰領域が表示画像の右側の減衰領域に対して約1.2の場合を示す説明図である。
図15図15は、評価試験の実施の結果を示す説明図である。図15(A)は、2つの光学装置による10人の被試験者の評価および10人の被試験者の内訳(性別および年齢層)を示す説明図(図表)である。図15(B)は、評価の内容を表わした印を示す説明図(図表)である。
図16図16は、この発明にかかるウエアラブル画像表示装置の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明にかかる光学装置、ウエアラブル画像表示装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図において、導光体および入射角調節部材のハッチングを省略する。
【0020】
(光学装置1の構成の説明)
図1図13は、この発明にかかる光学装置の実施形態を示す。以下、この実施形態にかかる光学装置の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態にかかる光学装置である。この実施形態にかかる光学装置(モジュール)1は、横向きに配置した例を示す。
【0021】
(光学装置1の説明)
光学装置1は、図1に示すように、導光体としての導光板2と、複数枚この例では4枚のハーフミラー3と、入射角調整部材4と、を備える。光学装置1は、映像光(映像光線)Lを人の目E・Pに虚像として入射させ、その虚像を表示画像5として表示させるものである。
【0022】
(映像光Lと表示画像5との説明)
映像光Lは、図1図4図6図7図12図13に示すように、表示画像5に対応する画角(図12図13中の(2×θ3)を参照)である映像光画角を有する。すなわち、映像光Lは、図12図13に示すように、(2×θ3)の映像光画角を持っている。この例における映像光画角は、表示画像5の横(水平方向あるいは左右方向の幅)に対応する横画角(水平画角)である。
【0023】
映像光Lのうち映像光画角の一方の半直線を通る一方映像光(一方映像光線)LAは、表示画像5の一方の端この例では左端Aに対応する。また、映像光Lのうち映像光画角の中心線を通る中心映像光(中心映像光線)LBは、表示画像5の左右の中央B(一点鎖線を参照)に対応する。さらに、映像光Lのうち映像光画角の他方の半直線を通る他方映像光(他方映像光線)LCは、表示画像5の他方の端この例では右端Cに対応する。このようにして、映像光L(LA、LB、LC)は、図1に示すように、人の目E・Pに入射する虚像を表示画像5(5A、5B、5C)として表示させる。
【0024】
なお、図1図4図6図7図12図13において、一点鎖線矢印は、一方映像光LAを示し、実線矢印は、中心映像光LBを示し、破線矢印は、他方映像光LCを示す。また、図1において、拡大文字の「A」は、表示画像5の左端A側の部分において表示される左側の画像5Aを示し、拡大文字の「B」は、表示画像5の中央Bの部分において表示される中央の画像5Bを示し、拡大文字の「C」は、表示画像5の右端C側の部分において表示される右側の画像5Cを示す。
【0025】
(導光板2の説明)
導光板2は、この例では、アクリル樹脂やPC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル樹脂)などの無色透明樹脂材、または、無色透明なガラスからなる。導光板2は、図1図4図6図7図12図13に示すように、この例では、板形状(平板形状、直方体形状)をなし、主要な2面(すなわち、人の目E・P側の面の表面20および人の目E・Pに対して反対側の面の裏面21)と、補助的な4面(すなわち、上面、下面、左端面22および右端面23)と、を有する。導光板2の屈折率は、Nである。
【0026】
導光板2は、入射角調整部材4を経て導光板2中に入射された映像光Lを、2つの主面20、21の導光作用により、一方の部分(この例では、右端面23側の部分)から他方の部分(この例では、左端面22側の部分)に導く光学部材である。
【0027】
映像光L(LA、LB、LC)は、前述したように、映像光画角を有する。この結果、映像光Lの一方映像光LA、中心映像光LB、他方映像光LCは、図2に示すように、相互にそれぞれ異なった角度で、導光板2の2つの主面20、21において全反射する。一方映像光LAの主面20、21における入射角および反射角は、中心映像光LBの主面20、21における入射角θ1(以下、単に「中心映像光LBの入射角」と称する。図13を参照)および反射角に比較して小さい。他方映像光LCの主面20、21における入射角および反射角は、中心映像光LBの入射角θ1および反射角に比較して大きい。
【0028】
また、映像光Lの一方映像光LA、中心映像光LB、他方映像光LCは、図3に示すように、開始点Sを基準とした場合には、映像光画角に基づいて発散する。一方、映像光Lの一方映像光LA、中心映像光LB、他方映像光LCは、図4に示すように、終了点Gを基準とした場合には、映像光画角に基づいて収束する。なお、この図3図4は、映像光L(LA、LB、LC)の光路(直進、反射および透過など)について記述する際に、説明し易いように、記述する基準を開始点S、終了点Gとした説明図である。
【0029】
(ハーフミラー3の説明)
複数枚(4枚)のハーフミラー3は、図1図5図7図12に示すように、それぞれ、導光板2中に相互に平行にかつ傾斜した状態で配置されている。ハーフミラー3の傾斜状態は、ハーフミラー3の一端(導光板2の表面20側の端)が導光板2の左端面22側に位置し、かつ、ハーフミラー3の他端(導光板2の裏面21側の端)が導光板2の右端面23側に位置する傾斜状態にある。また、ハーフミラー3の導光板2の主面20、21に対する傾斜角は、中心映像光LBの入射角θ1の2分の1である(図12を参照)。
【0030】
複数枚(4枚)のハーフミラー3は、それぞれ、導光板2中を導光板2の導光作用により進む(導かれる)映像光Lを導光板2の表面20から外部に出射させて人の目E・Pに虚像として入射させ、かつ、虚像を表示画像5として表示させる光学部材である。
【0031】
複数枚(4枚)のハーフミラー3は、それぞれ、誘電体層膜を積層してなる。ハーフミラー3の人の目E・P側の面を表面30とし、ハーフミラー3の人の目E・Pに対して反対側の面を裏面31とする。ハーフミラー3は、表面30および裏面31において、映像光Lを図5に示す反射特性で反射させる。
【0032】
(ハーフミラー3の反射特性の説明)
ハーフミラー3は、裏面31において映像光Lのうちの一部が反射する反射特性を有する光学部材である。映像光Lのうちの一部とは、図12に示すように、他方映像光LC側の映像光Lの一部(以下、単に「映像光Lの一部」と称する)LC-LDであって、他方映像光LCから映像光LDまでの間の映像光Lである。映像光LDは、図12に示すように、ハーフミラー3の裏面31における入射角が反射特性境界角(限界角)θ2である映像光Lである。
【0033】
以下、ハーフミラー3の反射特性について、図5図8図12を参照して説明する。図5において、縦軸は、映像光Lがハーフミラー3の表面30および裏面31において反射する率すなわち反射率を示し、その単位は、(%)である。横軸は、映像光Lがハーフミラー3の表面30および裏面31に入射する角度すなわち入射角を示し、その単位は、(°)である。図6は、映像光L(LA、LB、LC)がハーフミラー3の表面30に入射した状態を示す説明図であって、ハーフミラー3の表面反射を示すための説明図である。図7は、映像光L(LA、LB、LC)がハーフミラー3の裏面31に入射した状態を示す説明図であって、ハーフミラー3の裏面反射を示すための説明図である。図8は、表示画像5の明るさ(縦軸)と表示画像5の位置(横軸)との相対関係を示す説明図(グラフ)であって、ハーフミラー3の反射特性により表示画像5の右端C側の部分の明るさが減衰している状態を示す説明図である。図12は、映像光Lの一部LC-LDがハーフミラー3の裏面31において反射する画角である他方映像光側画角θ4の映像光画角に対する角度割合を示す説明図である。
【0034】
図5に示すように、映像光Lの入射角が0からハーフミラー3の反射特性境界角θ2までの範囲においては、映像光Lの反射率が狙い値Dで一定である。映像光Lの入射角が反射特性境界角θ2を超えて大きくなると、映像光Lの反射率が狙い値Dを超えて大きくなる。なお、反射特性境界角θ2は、この例では、約80°から約84°までの任意の角度である。狙い値Dは、この例では、約20%である。
【0035】
ここで、図6に示すように、導光板2の表面側の主面20で全反射した映像光L(LA、LB、LC)がハーフミラー3の表面30に入射した時、その入射角が反射特性境界角θ2(例えば、約80°)以下である。この結果、映像光L(LA、LB、LC)は、一律に狙い値D(約20%)の反射率で反射する。
【0036】
一方、図7に示すように、導光板2の裏面側の主面21で全反射した映像光L(LA、LB、LC)がハーフミラー3の裏面31に入射した時、その入射角が他方映像光LC側になる程大きくなる。他方映像光LC側の入射角が反射特性境界角θ2(例えば、約80°)を超えると、入射角が反射特性境界角θ2を超えた映像光Lの一部LC-LDは、ハーフミラー3の裏面31において狙い値D(約20%)の反射率よりも大きい反射率で反射する。
【0037】
この結果、ハーフミラー3の裏面31から表面30に透過する映像光Lのうち他方映像光LC側の映像光Lの光量が低下する。これにより、図8に示すように、他方映像光LC側の映像光Lが対応する表示画像5の右端C側の部分C-C1の明るさが減衰(低下)する。すなわち、表示画像5の右端C側の部分C-C1が暗くなる。これが、前述したハーフミラー3の反射特性である。なお、表示画像5の右端C側の部分C-C1の詳細については、後述する。
【0038】
(入射角調整部材4の説明)
入射角調整部材4は、図1図13に示すように、この例では、三角プリズムからなり、三角柱形状(三角板形状)をなす。入射角調整部材4は、入射面40と、接合面41と、側面42と、上下両端面と、を有する。入射角調整部材4の接合面41が、導光板2の主面21(裏面21)に接合されていて、入射角調整部材4と導光板2とは、一体構造をなす。入射角調整部材4の右角(入射面40と接合面41との間になす角)と導光板2の右端面23とは、一致し、また、図示されていないが、入射角調整部材4の上下両端面と導光板2の上面および下面とは、面一である。入射角調整部材4の屈折率は、導光板2の屈折率と同一のNである。
【0039】
映像光Lは、図1図13に示すように、入射角調整部材4の入射面40から入射角調整部材4中に入射し、入射角調整部材4の接合面41および導光板2の主面21(裏面21)を経て導光板2中に入射する。この時、映像光Lの中心映像光LBは、入射角調整部材4の入射面40に対して垂直に、入射角調整部材4中に入射する。
【0040】
入射角調整部材4は、ハーフミラー3の反射特性に合わせて、導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角(映像光Lの全反射条件)を調整して、映像光Lのうちの他の一部に主面20、21における全反射条件が満たされない映像光を形成して、表示画像5の明るさ(この例では、表示画像5の左右の明るさ)のバランスを取る光学部材である。ここで、映像光Lのうちの他の一部とは、図13に示すように、一方映像光LA側の映像光Lの一部(以下、単に「映像光の他の一部」と称する)LA-LEであって、一方映像光LAから映像光LEまでの間の映像光Lである。映像光LEは、図13に示すように、導光板2の主面20、21における入射角が臨界角θ5(arcsin(1/N))である映像光Lである。
【0041】
映像光Lは、前述したように、映像光画角を有する(図1図13を参照)。これにより、図1図4図13に示すように、映像光L(LA、LB、LC)が導光板2の主面20、21に入射する時の入射角は、一方映像光LA側の入射角が中心映像光LBの入射角θ1および他方映像光LC側の入射角よりも小さい。
【0042】
このため、入射角調整部材4で導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角を調整することにより、映像光Lの他の一部LA-LEが主面20、21における全反射条件を満たさない映像光Lとして形成される。すなわち、映像光Lの他の一部LA-LEが主面20、21において全反射せずに主面20、21から外部に透過する。この結果、導光板2中の主面20、21において全反射する一方映像光LA側の映像光Lの光量が低下する。これにより、図9に示すように、一方映像光LA側の映像光Lが対応する表示画像5の左端A側の部分A-A1の明るさが減衰(低下)する。すなわち、表示画像5の左端A側の部分A-A1が暗くなる。なお、表示画像5の左端A側の部分A-A1の詳細については、前述した表示画像5の右端C側の部分C-C1の詳細と共に、後述する。
【0043】
このように、入射角調整部材4は、ハーフミラー3の反射特性に合わせて、映像光Lの入射角を調整して、映像光Lのうちの他の一部に主面20、21における全反射条件が満たされない映像光を形成して、表示画像5の明るさのバランスを取る。すなわち、入射角調整部材4は、ハーフミラー3の反射特性により低下した他方映像光LC側の映像光Lの光量に合わせて、映像光Lの入射角を調整して、一方映像光LA側の映像光Lの光量を低下させて、表示画像5の明るさのバランスを取る。この結果、図10に示すように、表示画像5の右端C側の部分C-C1の明るさと表示画像5の左端A側の部分A-A1の明るさとが合う。
【0044】
(表示画像5の左右の明るさのバランスの取り方の説明)
以下、表示画像5の左右の明るさのバランスの取り方ついて、図8図13を参照して、説明する。
【0045】
図8図11は、表示画像5の明るさと表示画像5の左右方向の位置との相対関係を示す説明図(グラフ)である。この図8図11において、縦軸は、表示画像5の明るさを示し、縦軸の上方向に行く程明るくなる。横軸は、表示画像5の左右方向の位置を示す。横軸において、Aは、表示画像5の左端を示し、A1、A2、A3は、一方映像光LA側の映像光Lの光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置を示し、Bは、表示画像5の中央を示し、Cは、表示画像5の右端を示し、C1は、他方映像光LC側の映像光Lの光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置を示す。A-Cは、表示画像5の幅を示す。
【0046】
図8は、ハーフミラー3の反射特性により表示画像5の右端C側の部分C-C1の明るさが減衰している状態を示す説明図である。図9は、入射角調整部材4がハーフミラー3の反射特性に合わせて導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角を調整することにより、表示画像5の左端A側の部分A-A1の明るさが減衰している状態を示す説明図である。図10は、表示画像5の右端C側の部分C-C1の明るさと表示画像5の左端A側の部分A-A1の明るさとを合わせた状態を示す説明図である。図11は、導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角により、表示画像5の明るさが減衰する開始位置すなわち減衰開始位置(A1、A2、A3)においてばらつきがある状態を示す説明図である。
【0047】
図12は、前述したように映像光Lの一部LC-LDがハーフミラー3の裏面31において反射する画角である他方映像光側画角θ4の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合を示す説明図である。図13は、映像光Lの他の一部LA-LEが導光板2の主面20において全反射しない画角である一方映像光側画角θ6の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合を示す説明図である。
【0048】
まずは、図8に示すように、表示画像5の右端C側の部分C-C1の明るさは、ハーフミラー3の反射特性により、減衰する。すなわち、表示画像5の右端C側の部分C-C1が暗くなる。
【0049】
そこで、図9に示すように、入射角調整部材4の映像光Lの入射角調整により、ハーフミラー3の反射特性に合わせて、表示画像5の左端A側の部分A-A1の明るさを減衰させる。すなわち、表示画像5の左端A側の部分A-A1を暗くする。
【0050】
この結果、図10に示すように、表示画像5の右端C側の部分C-C1の明るさと表示画像5の左端A側の部分A-A1の明るさとを合わせることができる。
【0051】
ここで、図11に示すように、入射角調整部材4の映像光Lの入射角調整においては、導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角のばらつきによって、表示画像5の明るさの減衰開始位置(A1、A2、A3)がばらつく。
【0052】
このため、入射角調整部材4は、
図8図10に示す表示画像5の右端Cから他方映像光LC側の映像光Lの光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置C1までの間である減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)と、
図9図10に示す表示画像5の左端Aから一方映像光LA側の映像光Lの光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置A1までの間である減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)と、
を合わせる。
これにより、下式(6)が成立する。
C-C1/A-C=A-A1/A-C ……… (6)
【0053】
ここで、図8図10に示す表示画像5の幅A-Cは、図12図13に示す映像光画角(2×θ3)に対応する。また、図8図10に示す減衰領域C-C1は、図12に示す他方映像光側画角θ4に対応する。さらに、図9図10に示す減衰領域A-A1は、図13に示す一方映像光側画角θ6に対応する。
【0054】
この結果、下式(7)に示すように、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)は、他方映像光側画角θ4の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ4÷(2×θ3)}に対応する。また、下式(8)に示すように、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)は、一方映像光側画角θ6の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ6÷(2×θ3)}に対応する。
(C-C1/A-C)=θ4÷(2×θ3) ……… (7)
(A-A1/A-C)=θ6÷(2×θ3) ……… (8)
【0055】
すなわち、入射角調整部材4は、
減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)と、
減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)と、
を合わせることが、
図12に示す他方映像光側画角θ4の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ4÷(2×θ3)}と、
図13に示す一方映像光側画角θ6の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ6÷(2×θ3)}と、
を合わせることと同等となる。
これにより、下式(9)が成立する。
θ4÷(2×θ3)=θ6÷(2×θ3) ……… (9)
【0056】
図12に示す他方映像光側画角θ4は、下式(10)に示すように、求められる。
θ4=(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2 ……… (10)
すなわち、他方映像光側画角θ4は、図12に示すように、中心映像光LBのハーフミラー3の裏面31における入射角(θ1+1/2θ1)に映像光画角の半角θ3を足し、そこから、映像光LDのハーフミラー3の裏面31における入射角すなわちハーフミラー3の反射特性境界角θ2を差し引いた角である。
【0057】
これにより、上式(7)の右辺のθ4に、上式(10)の右辺の(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2を代入すると、下式(1)が成立する。この下式(1)は、映像光Lの一部LC-LDがハーフミラー3の裏面31において反射する画角である他方映像光側画角{(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2}の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合である。
{(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2}÷(2×θ3) ……… (1)
【0058】
一方、図13に示す一方映像光側画角θ6は、下式(11)に示すように、求められる。
θ6=(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)} ……… (11)
すなわち、一方映像光側画角θ6は、図13に示すように、中心映像光LBの導光板2の主面20における入射角θ1に映像光画角の半角θ3を足したものから、映像光LEの導光板2の主面20における入射角すなわち映像光LEの導光板2の主面20における臨界角arcsin(1/N)を差し引き、さらに、この差し引いた角を映像光画角(2×θ3)から差し引いた角である。
【0059】
これにより、上式(8)の右辺のθ6に、上式(11)の右辺の(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}を代入すると、下式(2)が成立する。この下式(2)は、映像光Lの他の一部LA-LEが導光板2の主面20、21において全反射しない画角である一方映像光側画角[(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}]の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合である。
[(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}]÷(2×θ3) ……… (2)
【0060】
上式(9)から、上式(1)と上式(2)とは、下式(3)に示すように、イコールで結ばれ、さらに、下式(4)に示すように、整理される。すなわち、
(1)=(2)の
3/2θ1+θ3-θ2=-θ1+θ3+arcsin(1/N) ……… (3)
であって、
5/2×θ1-θ2-arcsin(1/N)=0 ……… (4)
【0061】
上式(4)において、中心映像光LBの導光板2の主面20、21における入射角θ1、ハーフミラー3の反射特性境界角θ2に、θ1=49.3、θ2=82の具体的な数値をそれぞれ代入する。すると、下式(12)となる。この下式(12)から導光板2および入射角調整部材4の屈折率Nを求めることができる。
5/2×49.3-82=41.25=arcsin(1/N) ……… (12)
【0062】
ここで、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)の、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対する許容範囲は、例えば、約20%以下、好ましくは、約10%以下である。すなわち、光学装置1は、下式(5)を満足することが好ましい。なお、下式(5)において、数値「0.9」、「1.1」は、後記の評価試験により得られた数値である。すなわち、この数値「0.9」、「1.1」は、光学装置1において、表示画像5を人の目E・Pで見た時に、表示画像5の左右の明るさのバランスが取れていて、使用者にとって表示画像5を見て違和感が無い数値である。
0.9≦(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≦1.1 ……… (5)
0.9≦(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≦1.1 ……… (5)
【0063】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる光学装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0064】
表示画像5に対応する画角を有する映像光Lは、図1図13に示すように、入射角調整部材4の入射面40から入射角調整部材4中に入射し、入射角調整部材4の接合面41および導光板2の主面21(裏面21)を経て導光板2中に入射する。この時、映像光Lの中心映像光LBは、入射角調整部材4の入射面40に対して垂直に、入射角調整部材4中に入射する。また、入射角調整部材4の屈折率Nと導光板2の屈折率Nとは、同一であるから、映像光Lは、入射角調整部材4の接合面41および導光板2の主面21(裏面21)において、屈折せずに直進する。
【0065】
導光板2中に入射した映像光Lは、導光板2の2つの主面20、21の導光作用により、導光板2の一方の部分である右端面23側の部分から他方の部分である左端面22側の部分に導かれる(進む)。この時、映像光Lは、導光板2中に配置された4枚のハーフミラー3の表面30および裏面31において反射もしくは透過して、導光板2の表面20から外部に出射する。この外部に出射した映像光Lが人の目E・Pに虚像として入射して、この虚像は、表示画像5として表示される。
【0066】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる光学装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0067】
この実施形態にかかる光学装置1は、ハーフミラー3の反射特性に合わせて、導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角を調整して、映像光の他の一部LA-LEに導光板2の主面20、21における全反射条件が満たされない映像光を形成する光学部材である入射角調整部材4を、備えるものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、入射角調整部材4により、表示画像5の明るさ(この例では、表示画像5の左右の明るさ)のバランスを簡単に取ることができる。しかも、この実施形態にかかる光学装置1は、表示画像5の明るさのバランスを取ることができるので、使用者にとって表示画像5を見て違和感が無い。
【0068】
この実施形態にかかる光学装置1は、入射角調整部材4により、導光板2の屈折率Nと導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角とを調整して、映像光の他の一部LA-LEに導光板2の主面20、21における全反射条件が満たされない映像光を形成するものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、入射角調整部材4により、表示画像5の左右の明るさのバランスを簡単に取ることができ、かつ、安価に提供することができる。
【0069】
この実施形態にかかる光学装置1は、表示画像5に対応する画角を有する映像光Lにおいて、入射角調整部材4により、ハーフミラー3の反射特性で低下した他方映像光LC側の映像光Lの光量に合わせて、導光板2の主面20、21における映像光の入射角を調整して、一方映像光LA側の映像光の光量を低下させるものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、表示画像5の左右の明るさのバランスを簡単に取ることができる。
【0070】
この実施形態にかかる光学装置1は、入射角調整部材4により、導光板2の屈折率Nと導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角とを調整して、他方映像光LC側の映像光Lの光量に合わせて、一方映像光LA側の映像光の光量を合わせるものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、入射角調整部材4により、表示画像5の左右の明るさのバランスを簡単に取ることができ、かつ、安価に提供することができる。
【0071】
この実施形態にかかる光学装置1は、他方映像光側画角θ4の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ4÷(2×θ3)}と、一方映像光側画角θ6の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ6÷(2×θ3)}と、を合わせるものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、入射角調整部材4の映像光Lの入射角調整において、導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角のばらつきによって、表示画像5の明るさの減衰開始位置(A1、A2、A3)にばらつきがあっても、表示画像5の左右の明るさのバランスを簡単に取ることができる。
【0072】
この実施形態にかかる光学装置1は、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)と、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)と、を合わせるものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、入射角調整部材4の映像光Lの入射角調整において、導光板2の主面20、21における映像光Lの入射角のばらつきによって、表示画像5の明るさの減衰開始位置(A1、A2、A3)にばらつきがあっても、表示画像5の左右の明るさのバランスを簡単に取ることができる。
【0073】
この実施形態にかかる光学装置1は、一方映像光側画角θ6の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ6÷(2×θ3)}の、他方映像光側画角θ4の映像光画角(2×θ3)に対する角度割合{θ4÷(2×θ3)}に対する許容範囲を、約20%以下、好ましくは、約10%以下とするものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、表示画像5を人の目E・Pで見た時に、表示画像5の左右の明るさのバランスが取れていて、使用者にとって表示画像5を見て違和感が無い。
【0074】
また、この実施形態にかかる光学装置1は、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)の、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対する許容範囲を、例えば、約20%以下、好ましくは、約10%以下とするものである。この結果、この実施形態にかかる光学装置1は、表示画像5を人の目E・Pで見た時に、表示画像5の左右の明るさのバランスが取れていて、使用者にとって表示画像5を見て違和感が無い。
【0075】
(許容範囲の説明)
ここで、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)と減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)とを、上式(4)、(6)に示すように、同等とすることが表示画像5の左右の明るさのバランスが最も取れていて最も好ましい。
【0076】
しかしながら、前記の通り、図11に示すように、表示画像5の左側Aの明るさの減衰開始位置(A1、A2、A3)においてばらつきがある。このために、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)と減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)とを、上式(4)、(6)に示すように、同等とすることが難しい。
【0077】
そこで、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)を、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、ある程度の許容範囲を持たせる。この許容範囲は、光学装置1において、表示画像5を人の目E・Pで見た時に、表示画像5の左右の明るさのバランスが取れていて、使用者にとって表示画像5を見て違和感が無い程度の許容範囲とする。この許容範囲は、約20%以下、好ましくは、約10%以下(上式(5)を参照)である。
【0078】
以下、前記の許容範囲について図14を参照して説明する。なお、図14において、符号A10、A11、A12、A13、A14は、表示画像5の左側Aの明るさの減衰開始位置である。また、図14中の横軸Xは、「図8」~「図11」に示す横軸と同様に、「表示画像5の位置」である。さらに、図14中の縦軸Yは、「図8」~「図11」に示す縦軸と同様に、「表示画像5の明るさ」である。さらにまた、図14(2)、(3)、(4)、(5)において、縦の一点鎖線は、図14(1)の表示画像5の左側Aの明るさの減衰開始位置A10に対応する基準線である。
【0079】
図14(1)は、表示画像5の左側の減衰領域A-A10と表示画像5の右側の減衰領域C-C1とが下式(13)に示すように、同等の場合を示す説明図である。この場合においては、減衰領域A-A10の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A10/A-C)と、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)とが、同等であるから、両者の間には差が無い。
A-A10=C-C1 ……… (13)
すなわち、(A-A10)÷(C-C1)=1である。これにより、上式(5)は、下式(14)となる。
(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)=1 ……… (14)
【0080】
図14(2)は、表示画像5の左側の減衰領域A-A11が表示画像5の右側の減衰領域C-C1に対して下式(15)に示すように、約0.9の場合を示す説明図である。この場合においては、減衰領域A-A11の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A11/A-C)が、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約0.9となるものであって、両者間の差が全くないように見える。
(A-A10)÷(C-C1)≒0.9 ……… (15)
これにより、上式(5)は、下式(16)となる。
(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≒0.9 ……… (16)
【0081】
図14(3)は、表示画像5の左側の減衰領域A-A12が表示画像5の右側の減衰領域C-C1に対して下式(17)に示すように、約1.1の場合を示す説明図である。この場合においては、減衰領域A-A12の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A12/A-C)が、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約1.1となるものであって、両者間の差が全くないように見える。
(A-A10)÷(C-C1)≒1.1 ……… (17)
これにより、上式(5)は、下式(18)となる。
(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≒1.1 ……… (18)
【0082】
図14(4)は、表示画像5の左側の減衰領域A-A13が表示画像5の右側の減衰領域C-C1に対して下式(19)に示すように、約0.8の場合を示す説明図である。この場合においては、減衰領域A-A13の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A13/A-C)が、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約0.8となるものであって、両者間の差がほとんどないように見える。
(A-A10)÷(C-C1)≒0.8 ……… (19)
これにより、上式(5)は、下式(20)となる。
(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≒0.8 ……… (20)
【0083】
図14(5)は、表示画像5の左側の減衰領域A-A14が表示画像5の右側の減衰領域C-C1に対して下式(21)に示すように、約1.2の場合を示す説明図である。この場合においては、減衰領域A-A14の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A14/A-C)が、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約1.2となるものであって、両者間の差がほとんどないように見える。
(A-A10)÷(C-C1)≒1.2 ……… (21)
これにより、上式(5)は、下式(22)となる。
(5/2×θ1-θ2)÷arcsin(1/N)≒1.2 ……… (22)
【0084】
(評価試験の説明)
なお、この出願人は、評価試験を実施した。以下、実施した評価試験について図15を参照して説明する。図15(A)は、2つの光学装置A、Bによる10人の被試験者(出願人の関係者)の評価および10人の被試験者の内訳(性別および年齢層)を示す説明図(図表)である。図15(B)は、評価の内容を表わした印を示す説明図(図表)である。
【0085】
図15(A)において、光学装置Aは、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)を、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約10%以下とした光学装置である。また、図15(A)において、光学装置Bは、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)を、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約20%以下とした光学装置である。
【0086】
図15の評価試験の実施の結果に示すように、光学装置Aにおいては、被試験者全員が表示画像5の左右の明るさのバランスが取れていて、左右の明るさの差を認識しなかった。これは、前記の図14(2)、(3)に示すように、表示画像5の左右の明るさのバランスが十分に取れていて、左右の明るさの差が全くないように見えることによるものである。また、光学装置Bにおいては、20%の被試験者が表示画像5の左右の明るさのバランスが若干取れていて、左右の明るさの若干の差を認識したが、80%の被試験者が表示画像の左右の明るさのバランスが取れていて、左右の明るさの差を認識しなかった。これは、前記の図14(4)、(5)に示すように、表示画像5の左右の明るさのバランスが取れていて、左右の明るさの差がほとんどないように見えることによるものである。なお、光学装置A、Bにおいて、表示画像5の左右の明るさの差を認識した被試験者は、皆無(0%)であった。
【0087】
以上から、この実施形態にかかる光学装置1は、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)を、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約20%以下にすると、大部分の使用者(80%の使用者)にとって表示画像5を見て違和感が無い。しかも、この実施形態にかかる光学装置1は、減衰領域A-A1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(A-A1/A-C)を、減衰領域C-C1の表示画像5の幅A-Cに対する割合(C-C1/A-C)に対して、約10%以下にすると、全ての使用者(100%の使用者)にとって表示画像5を見て違和感が無い。
【0088】
(ウエアラブル画像表示装置100の説明)
図16は、この発明にかかるウエアラブル画像表示装置の実施形態を示す。以下、この実施形態にかかるウエアラブル画像表示装置ついて説明する。図中、符号100は、この実施形態にかかるウエアラブル画像表示装置である。
【0089】
ウエアラブル画像表示装置100は、図16に示すように、前記の光学装置1と、映像光出射部6と、装着部7と、を備える。光学装置1と映像光出射部6とは、それぞれ別個にユニット構造に分かれていて、相互に着脱可能に構成されている。なお、光学装置1と映像光出射部6とは、一体構造であっても良い。
【0090】
映像光出射部6は、映像光Lを、光学装置1側に出力して、入射角調整部材4を経て導光板2中に入射させるものである。映像光出射部6は、例えば、反射型のプロジェクタなどである。なお、映像光出射部6としては、反射型のプロジェクタ以外のものであっても良い。
【0091】
装着部7は、この例では、使用者の顔面に装着するメガネ型をなす。装着部7は、フロント部分70と、左右のテンプル部分71、71とからなる。左右のテンプル部分71、71は、フロント部分70の左右両端に、左右のヒンジ72、72を介して、折り畳み可能に取り付けられている。フロント部分70の中央の下部には、ノーズパッド73が設けられている。
【0092】
フロント部分70の左右両側には、光学装置1の導光板2がそれぞれ取り付けられている。すなわち、左右の光学装置1の導光板2は、フロント部分70の左右両側に取り付けられている。なお、導光板2を保護するために、導光板2の表面20側に透明板を固定しても良い。この場合において、透明板をフロント部分70に直接取り付けて、導光板2を透明板を介して間接的にフロント部分70に取り付けても良い。
【0093】
装着部7に取り付けられている光学装置1に映像光出射部6を、着脱可能に取り付けることにより、この実施形態にかかるウエアラブル画像表示装置100が構成される。
【0094】
この実施形態にかかるウエアラブル画像表示装置100は、この実施形態にかかる光学装置1を備えるので、この実施形態にかかる光学装置1と同様の作用効果を達成することができる。
【0095】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、使用者の顔面に着脱可能に装着するメガネ型の装着部7を使用する。しかしながら、この発明においては、装着部として、メガネ型以外の装着部であっても良い。例えば、使用者の両側の目に対応するのではなく片側の目に対応する装着部、また、ゴーグルのような装着部であっても良い。
【0096】
また、前記の実施形態においては、光学装置(モジュール)1を横向きに配置し、表示画像5の左右の明るさのバランスを取る例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、光学装置(モジュール)1を縦向きに配置し、表示画像の上下の明るさのバランスを取る場合にも適用することができる。
【0097】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0098】
1 光学装置
2 導光板(導光体)
20 主面(表面)
21 主面(裏面)
22 左端面
23 右端面
3 ハーフミラー
30 表面
31 裏面
4 入射角調整部材
40 入射面
41 接合面
42 側面
5 表示画像
5A 左側の画像
5B 中央の画像
5C 右側の画像
6 映像光出射部
7 装着部
70 フロント部分
71、71 テンプル部分
72、72 ヒンジ
73 ノーズパッド
100 ウエアラブル画像表示装置
A 表示画像5の左端
A1 一方映像光LA側の光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置
A2 一方映像光LA側の光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置
A3 一方映像光LA側の光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置
A10、A11、A12、A13、A14 表示画像5の左側Aの明るさの減衰開始位置
A-A1 表示画像5の左端A側の部分(減衰領域)
B 表示画像5の中央
C 表示画像5の右端
C1 他方映像光LC側の光量の低下により表示画像5の明るさが減衰する開始位置
C-C1 表示画像5の右端C側の部分(減衰領域)
D ハーフミラー3の反射率の狙い値
E・P 人の目
G 終了点
L 映像光
LA 一方映像光
LA-LE 映像光Lの他の一部(一方映像光LA側の映像光Lの一部。映像光Lのうちの他の一部)
LB 中心映像光
LC 他方映像光
LC-LD 映像光Lの一部(他方映像光LC側の映像光Lの一部。映像光Lのうちの一部)
LD ハーフミラー3の裏面31における入射角が反射特性境界角θ2である映像光
LE 導光板2の主面20、21における入射角が臨界角θ5(arcsin(1/N))である映像光
N 屈折率
S 開始点
θ1 中心映像光LBの入射角(中心映像光LBの主面20、21における入射角)
θ2 ハーフミラー3の反射特性境界角
θ3 映像光画角の半角(映像光Lの表示画像5に対応する画角の半角)
θ4 他方映像光側画角(映像光Lの一部LC-LDがハーフミラー3の裏面31において反射する画角。表示画像5の右端Cから減衰開始位置C1までの間の画角。{(θ1+1/2θ1)+θ3-θ2})
θ5 導光板2の主面20、21における臨界角(arcsin(1/N))
θ6 一方映像光側画角(映像光Lの他の一部LA-LEが導光板2の主面20において全反射しない画角。導光板2の主面20、21における全反射条件が満たされない映像光Lの他の一部LA-LEの画角。表示画像5の左端Aから減衰開始位置A1までの間の画角。[(2×θ3)-{(θ1+θ3)-arcsin(1/N)}])


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16