(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】新規なAIMP1タンパク質の断片とこれを有効成分として含む皮膚保護用組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20220630BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20220630BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20220630BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20220630BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220630BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220630BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20220630BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K7/08
A23L33/18
A61K38/10
A61P17/00
A61K8/64
A61Q19/08
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019527104
(86)(22)【出願日】2017-07-27
(86)【国際出願番号】 KR2017008077
(87)【国際公開番号】W WO2018021838
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】10-2016-0096240
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520020199
【氏名又は名称】ネオミックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンフン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミン チョル
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/170929(WO,A2)
【文献】特表2008-528577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2又は配列番号3で表示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項2】
請求項1記載のポリペプチドをコード
し、配列番号7又は配列番号8で表示される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号2又は配列番号3で表示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを有効成分として含む、
コラーゲン合成誘導又は繊維芽細胞増殖誘導用化粧料組成物。
【請求項4】
配列番号2又は配列番号3で表示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを有効成分として含む、
コラーゲン合成誘導又は繊維芽細胞増殖誘導用食品用組成物。
【請求項5】
コラーゲン合成誘導又は繊維芽細胞増殖誘導用製剤を製造するための請求項1記載のポリペプチドの使用。
【請求項6】
請求項1記載のポリペプチドの有効量を、これを必要とする個体(ヒトを除く)に投与することを特徴とする
コラーゲン合成誘導又は繊維芽細胞増殖誘導のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年7月28日に出願された韓国特許出願第10-2016-0096240号に基づく優先権を主張し、前記明細書全体は参照により本出願に援用する。
【0002】
本発明は、新規なAIMP1タンパク質の断片及びこれを有効成分として含む皮膚の老化防止用、シワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用組成物に関するもので、より詳細には、配列番号1で示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸を含めて連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチド;前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;これらのポリペプチドを有効成分として含む皮膚の老化防止用、シワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
製薬産業は、過去の天然物医薬品や化学的合成医薬品から、タンパク質又はペプチド医薬品の開発に変わりつつある傾向にある。タンパク質は、生命体の機能及び構造において基本的な物質であり、人体を構成するタンパク質は、約100万種を超えるものと推定される。これは疾病とも直接関連性があり、治療剤の開発に重要な研究対象となっており、これらを利用したタンパク質又はペプチド医薬品は、合成医薬品に比べて副作用が少なく、薬効が速やかであり、医薬品の革新分野として評価されている。現在、主な製薬会社のパイプラインにおいて、バイオ医薬品の重要性がますます増加しているが、ペプチドのような特定バイオ医薬品が出市されるまでの主要な技術的問題が存在する。具体的には、運搬技術の向上、安定性及び半減期を増やしたペプチドの開発、長いペプチド合成などが商業化の妨げに作用している。ペプチドは、約50個以下のアミノ酸で構成されていることを意味し、ペプチド薬剤として成功するためには、短い配列でありながら活性を示すことを発掘することがカギであることが知られている。ペプチドの長さが長いと合成コストが多くかかり、製造が容易ではなく、人体への吸収上の問題があることが知られている。
【0004】
一方、ヒトの皮膚は表皮(epidermis)と真皮(dermis)の2層で構成されている。表皮(epidermis)とは、皮膚の最外側に位置した最も薄い層で、皮膚の保湿と保護を担う重要な機能を果たしている。より詳細には、表皮は、我々の体内にある物質が体外に抜け出ないように防いでくれて、外部から侵入する紫外線、ウイルス、細菌などの有害物質の侵入を防ぐ。また、表皮は、皮脂腺の油と汗腺の水分を自然的に乳化させ、弱酸性の皮脂膜を作り、有害物質の侵入から保護して細菌を殺菌する。
【0005】
皮膚において、真皮(dermis)は、表皮に栄養分を供給しながら表皮を支持して、外部の損傷から体を保護し、水分を貯蔵する能力と体温調節の機能を果たす。真皮は、繊維芽細胞(fibroblast)とその細胞外基質(extracellular matrix)で構成されており、その中に神経、血管、リンパ管、筋肉や皮脂腺、アポクリン、エリン腺などの皮膚付属器官を含んでいる。真皮の主要構成要素である繊維芽細胞は、コラーゲン、プロテオグリカン及び他の構造的糖タンパク質などの細胞外基質を合成する。その中でも、コラーゲン(collagen)は真皮の70%を占める繊維タンパク質として皮膚の機械的堅牢性(弾力性)、結合組織の抵抗力と組織の結合力、細胞接着の支え、細胞分割と分化誘導などの機能を果たす(非特許文献1~3)。
【0006】
ヒトの皮膚は、老化過程を通じて多様な物理的、化学的な変化が起こる。皮膚の老化は、原因によって大きく2つに区別されるが、皮膚の構造と生理的な機能が、年をとりながら、継続的な減退を引き起こす自然的な老化現象である内在的老化(Intrinsic aging)と、太陽光の紫外線、薬剤の副作用又は環境因子などのような外的要因に起因した外在的な老化(extrinsic aging)とに大きく区分される。ヒトの皮膚が老化過程を経ながら、皮膚細胞の代謝過程や紫外線により生成される活性酸素などにより細胞の構成成分が酸化され、それらの活性及び生合成が阻害される。したがって、皮膚の老化が進行するにつれて、皮膚は表皮の厚さが全体的に薄くなり、細胞や組織に脱水現象が起こり、乾燥して、小ジワが増え、徐々にシワが深くなる。また、真皮の大部分を占めるコラーゲンの量が減少して、コラーゲンを合成する繊維芽細胞の活性も減少して、新たなコラーゲンの合成も減少する。真皮内のコラーゲンの量が減少するにつれて真皮の厚さも減少して、結局は、皮膚にシワが生じ、柔軟性と弾力性が低下する。したがって、皮膚内の繊維芽細胞増殖及びコラーゲン合成促進によってコラーゲン代謝を活性化させることによって皮膚のシワの改善、柔軟性及び弾力増進、皮膚の老化防止効果が優れて、副作用が少なく、安全な製剤の需要は継続して増加し続けている状況である。
【0007】
一方、AIMP1(ARS-interacting multi-functional protein 1)タンパク質は、312個のアミノ酸からなるタンパク質であって、多重-tRNA合成酵素複合体(multi-tRNA synthetase complex)に結合して多重-tRNA合成酵素の触媒的活性(catalytic activity)を増進させるタンパク質である。AIMP1タンパク質の活性と関連して、AIMP1タンパク質の6乃至46番のアミノ酸領域がコラーゲンの合成を促進する活性があることを、本発明者が究明している(特許文献1)。しかし、AIMP1タンパク質の6乃至46番のアミノ酸領域内で、実質的にコラーゲン合成及び繊維芽細胞増殖効果を示す活性部位はこれまでに解明されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Van der M. Rest et al.、Biometerials.、11:28-31、1990
【文献】Shimokomaki M. et al.、Ann.NY Acad.Sci.、580:1-7、1990
【文献】Van der Rest M. et al.、Biochimie.、72(6-7):473-484、1990
【発明の概要】
【0010】
[発明の詳細な説明]
[技術的課題]
そこで、本発明者らは、AIMP1タンパク質の6乃至46番のアミノ酸領域内で実質的に皮膚の老化防止、シワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進効果を示す活性部位を確認して、本発明を完成した。
【0011】
したがって、本発明の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、配列番号2又は配列番号3で表示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含む、シワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供することである。
【0015】
また、本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供することである。
【0016】
また、本発明のさらに他の目的は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列で9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含むシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供することである。
【0018】
また、本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供することである。
【0019】
また、本発明のさらに他の目的は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供することである。
【0020】
また、本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含む皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供することである。
【0021】
また、本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供することである。
【0022】
また、本発明のさらに他の目的は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含む皮膚の老化防止用食品用組成物を提供することである。
【0024】
また、本発明のさらに他の目的は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用食品用組成物を提供することである。
【0025】
また、本発明のさらに他の目的は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用食品用組成物を提供することである。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、シワの改善、皮膚の柔軟性増進及び弾力増進用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供することである。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、前記ポリペプチドの有効量を、これを必要とする個体に投与することを特徴とするシワの改善、皮膚の柔軟性増進及び弾力増進のための方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、皮膚の老化防止用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供することである。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、前記ポリペプチドの有効量を、これを必要とする個体に投与することを特徴とする、皮膚の老化防止方法を提供することである。
【0030】
[技術的解決方法]
したがって、本発明の目的を達成するために、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを提供する。
【0031】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は配列番号2又は配列番号3で表示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを提供する。
【0032】
本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0033】
本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含むシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。
【0034】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。
【0035】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。
【0036】
本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含むシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。
【0037】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮柔軟増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。
【0038】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。
【0039】
本発明のさらに他の目的を達成するために、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含むシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供する。
【0040】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供する。
【0041】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供する。
【0042】
本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含む皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供する。
【0043】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供する。
【0044】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供する。
【0045】
本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含む皮膚の老化防止用食品用組成物を提供する。
【0046】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用食品用組成物を提供する。
【0047】
また、本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用食品用組成物を提供する。
【0048】
本発明のさらに他の目的を達成するために、シワの改善、皮膚の柔軟性増進及び弾力増進用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供する。
【0049】
本発明のさらに他の目的を達成するために、前記ポリペプチドの有効量を、これを必要とする個体に投与することを特徴とするシワの改善、皮膚の柔軟性増進及び弾力増進のための方法を提供する。
【0050】
本発明のさらに他の目的を達成するために、皮膚の老化防止用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供する。
【0051】
本発明のさらに他の目的を達成するために、前記ポリペプチドの有効量を、これを必要とする個体に投与することを特徴とする皮膚の老化防止方法を提供する。
【0052】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0053】
本発明において、用語“KGAE残基”、“KGAE配列”又は、“KGAE領域”とは、相互互換的に使用することができ、配列番号5で表示されるAIMP1タンパク質全長アミノ酸配列(full length amino acid sequence of AIMP1 protein)から14乃至17番目のアミノ酸領域を意味するもので、前記領域は、本発明で提供される発毛促進活性断片の一例であるAIMP1由来の配列番号1のポリペプチド(又はNeo-Pepと称する)を基準にすると、9乃至12番目のアミノ酸領域に該当する。
【0054】
以下、本発明で提供されるポリペプチドは、AIMP1タンパク質由来の断片であって、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)領域を含めてシワの改善、皮膚の柔軟性増進、弾力増進及び皮膚の老化防止効果が著しく優れていることを特徴とする。AIMP1のKGAE領域がシワの改善、皮膚の柔軟増進、弾力増進及び皮膚の老化防止効果(用途)に核心的であるという事実は、本発明で最初に公開するものである。
【0055】
したがって、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、連続する10乃至15個のアミノ酸からなることを特徴とする。
【0056】
好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドでもある。
【0057】
本明細書において、用語“ポリペプチド(polypeptide)”、“ペプチド(peptide)”及び“タンパク質”とは、相互互換性を有して使用され、例えば、天然状態のタンパク質から一般的に発見されたようにアミノ酸残基のポリマーを意味する。
【0058】
本明細書で使用されるアミノ酸の1文字は、生化学の分野での標準略語規定に基づいて、次のアミノ酸を意味する:A(Ala):アラニン;C(Cys):システイン;D(Asp):アスパラギン酸;E(Glu):グルタミン酸;F(Phe):フェニルアラニン;G(Gly):グリシン;H(His):ヒスチジン;I(IIe):イソロイシン;K(Lys):リジン;L(Leu):ロイシン;M(Met):メチオニン;N(Asn):アスパラギン;O(Ply):ピロリシン;P(Pro):プロリン;Q(Gln):グルタミン;R(Arg):アルギニン;S(Ser):セリン;T(Thr):トレオニン;U(Sec):セレノシステイン;V(Val):バリン;W(Trp):トリプトファン;Y(Tyr):チロシン。
【0059】
本発明で“AIMP1(ARS-interacting multi-functional protein 1)タンパク質”とは、p43タンパク質という名称で知られ、後にAIMP1に再命名された(Kim S.H. et al.、Trends in Biochemical Sciences、30:569-574、2005)。AIMP1は、多重-tRNA合成酵素複合体(multi-tRNA synthetase complex)に結合して、多重-tRNA合成酵素の触媒活性を増進させる。
【0060】
本発明のAIMP1タンパク質は、当業界で知られているものであれば、その具体的な配列が、特に限定されず、好ましくはヒトのAIMP1でもある。前記AIMP1タンパク質の3つのSNPが知られている(NCBI SNP データベース参照):全長AIMP1のアミノ酸配列(参照:本願明細書の配列番号7)の中で79番目のアラニン(Ala)がプロリン(Pro)に置換(SNP Accession No. rs3133166、配列番号11);104番目のトレオニン(Thr)がアラニン(Ala)に置換(SNP Accession No. rs17036670、配列番号12);117番目のトレオニン(Thr)がアラニン(Ala)に置換(SNP Accession No. rs2230255、配列番号13)。
【0061】
本発明のポリペプチド、すなわち、配列番号1で示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチドは、その機能的同等物を含む。“機能的同等物”とは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%以上(70.0%乃至99.9%)、好ましくは80%以上(80.0%乃至99.9%)、より好ましくは90%以上(90.0%乃至99.9%)の配列相同性(又は、同一性)を有するポリペプチドを意味する。さらに好ましくは、前記機能的同等物は、KGAE領域(配列)が不変(constant)の状態で、前記本発明のポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の配列の相同性(又は、同一性)を有するポリペプチドでもある。例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の配列相同性を有するポリペプチドを含むもので、本発明のポリペプチドと実質的に同質の生理活性を示すポリペプチドを意味する。ここで、用語“実質的に”とは、特定性質の全体又は、ほぼ同じ程度の性質を示す状態を意味する。したがって、本願で“実質的に同質の生理活性"とは、コラーゲンの合成を促進及び/又は繊維芽細胞増殖誘導効果などを通じた皮膚の老化防止、シワの改善、皮膚の柔軟性増進及び弾力増進活性を意味する。
【0062】
本明細書で“相同性(homology)又は同一性(identity)”とは、、ポリペプチド分子のような重合体分子間の全体的な関連性(relatedness)を意味する。例えば、2つのポリペプチド配列間の相同性/同一性の計算は、最適な比較のために、2つの配列をアラインメントして行うことができる。好ましくは、比較目的のためにアラインメントされた配列の長さは、基準配列(reference sequence)の長さの少なくとも30%以上、少なくとも40%以上、少なくとも50%以上、少なくとも60%以上、少なくとも70%以上、少なくとも80%以上、少なくとも90%以上、又は実質的に100%でもある。以後、対応するアミノ酸部位のアミノ酸を相互に比較する。第1配列の部位に位置するアミノ酸が、第2の配列の対応する部位のアミノ酸と同じ場合、2つの配列は、当該部位では同一性を有するものである。2つの配列の同一性(%)は、2つの配列間の最適なアラインメント(optional alignment)のために導入を必要とするギャップ(gap)の数と長さを考慮した、2つの配列から共通するアミノ酸を有する部位の数の関数である。2つの配列間の比較及び同一性(%)の決定は、数学的なアルゴリズムを通じて行うことができる。例えば、ClustalW(Thompsonら、1994)を使用して、次のパラメータを使用して、配列同一性の数値を測定することができる:ペア配列パラメータ方法:正確性(accurate)、マトリックス:PAM、ギャップ開放ペナルティ(Gap open penalty):10.00、ギャップ延長ペナルティ(Gap extension penalty):0.10、多重配列パラメータ-マトリックス:PAM、ギャップ開放ペナルティ(Gap open penalty):10.00、delay同一性(%):30、エンドギャップペナルティ付与(penalize end gaps):on、ギャップ分離距離(Gap separation distance):0、ネガティブマトリックス:no、ギャップ延長ペナルティ:0.20、残基特定ギャップ延長ペナルティ(residue-specific gap penalties):on、親水性残基:GPSNDQEKR、特定残基での配列同一性は単純に誘導体化された同一な残基を含む。
【0063】
本明細書において、用語“実質的に”とは、特定性質の全体又は、ほぼ同じ程度の性質を示す状態を意味する。本明細書において、用語“実質的に同一な”とは、アミノ酸又は核酸配列間の比較に関連して使用されている。本願発明が属する技術分野で通常の知識を有する者には、対応する部位に同じ残基を有する場合に、2つの配列は“実質的に同一な”ものと理解されるであろう。当業界でよく知られている通り、アミノ酸又は核酸配列は、多様な種類のアルゴリズムを使用して比較することができるが、例えば核酸配列比較のためにはBLASTNを、アミノ酸配列の比較のためにはBLASTP、ギャップ(gapped)BLAST、PSI-BLASTのようなコンピュータプログラムを使用することができる。前記のコンピュータプログラムの例は、下記の文献に記載されている:Altschulら、Basic local alignment search tool、J. Mol.Biol.、215(3):403-410、1990; Altschulら、Methods in Enzymology、Altschul et al.、Nucleic Acids Res.25:3389-3402、1997;Baxevanisら、Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins、Wiley、1998;及び、Misenerら、(eds.)、Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology、Vol.132)、Humana Press、1999.同じ配列を検索することに加えて、前記のコンピュータプログラムでは、通常的に配列同一性の程度(degree of identify)を提供される。2つの配列において、一定長さの残基にかけて対応する部位の残基(residue)のうち少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも91%以上、少なくとも92%以上、少なくとも93%以上、少なくとも94%以上、少なくとも95%以上、少なくとも96%以上、少なくとも97%以上、少なくとも98%以上、少なくとも99%以上が同一な場合に、“実質的に同一な”配列であると見なされる。好ましくは、前記の“一定長さの残基”は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300又はそれ以上の残基でもある。
【0064】
本明細書で前記用語“対応する”とは、所定のポリペプチドのアミノ酸残基の位置(position)/正体(identity)の決定に通常使用される。通常の技術者であれば、ポリペプチド内の残基は、基準ペプチド(reference-related polypeptide)に基づいた基準番号付けシステム(canonical numbering system)を使用して、通常指定される。したがって、例えば第190番目の位置の残基に“対応する”アミノ酸は、特定のアミノ酸鎖から必ずしも第190番目の位置にある必要はなく、通常の技術者であれば、“対応する”アミノ酸を確認する方法について容易に理解することができる。
【0065】
前記“機能的同等物”とは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のうち一部が付加、置換又は欠失した結果として生成されたものでもある。前記アミノ酸の置換は、好ましくは保存的置換である。天然に存在するアミノ酸の保存的置換の例は、下記の通りである:脂肪族アミノ酸(Gly、Ala、Pro)、疎水性アミノ酸(Ile、Leu、Val)、芳香族アミノ酸(Phe、Tyr、Trp)、酸性アミノ酸(Asp、Glu)、塩基性アミノ酸(His、Lys、Arg、Gln、Asn)、及び硫黄含有アミノ酸(Cys、Met)。また、前記機能的同等物は、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列からアミノ酸の一部が欠失された変形体も含まれる。前記アミノ酸の欠失又は置換は、好ましくは、本発明のポリペプチドの生理活性に直接的に関連していない領域に位置している。本発明で生理活性に直接的に関連した領域はKGAE領域であり、前記欠失又は置換は、前記の領域以外の部分に位置するものでもある。また、アミノ酸の欠失は、好ましくは本発明のポリペプチドの生理活性に直接関与していない部分に位置する。従って、前記本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の両末端又は配列内にいくつかのアミノ酸が付加された変形体も含まれる。また、本発明の機能同等物の範囲には、本発明によるタンパク質の基本骨格及びこの生理活性を維持しながら、タンパク質の一部の化学構造が変形されたタンパク質又はポリペプチド誘導体も含まれる。例えば、本発明のタンパク質の安定性、貯蔵性、揮発性又は溶解度等を変更させるための構造変更がこれに含まれる。
【0066】
本明細書で配列相同性及び同一性は、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列と候補配列を整列してギャップ(gap)を導入した後、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に対する候補配列のアミノ酸残基の百分率として定義される。必要な場合は、最大の百分率配列同一性を収得するために、配列同一性の部分として保存的置換は考慮しない。また、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のN-末端、C-末端又は内部伸長、欠損又は挿入は、配列同一性又は相同性に影響を与える配列として解釈されない。また、前記配列同一性は、二つのタンパク質又はポリペプチドのアミノ酸配列の類似した部分を比較するために使用される一般的な標準的方法によって決定することができる。BLAST又はこのようなコンピュータプログラムは、2つのタンパク質又はポリペプチドを、それぞれのアミノ酸が最適にマッチングされるように整列する(一つ又は二つの配列の全長の配列について、又は一つ又は二つの配列の予測された部分によって)。前記プログラムは、デフォルトオープニングペナルティ(default opening penalty)及びデフォルトギャップペナルティ(default gap penalty)を提供し、コンピュータプログラムと共に連携して使用することができるPAM250(標準スコープリングマトリックス;Dayhoff et al.、in Atlas of Protein Sequence and Structure、vol 5、supp 3、1978)のようなスコープリングマトリックスを提供する。たとえば、百分率同一性は下記の通り計算することができる。一致する配列(identical matches)後、対応するスパン(matched span)内のより長い配列の長さと二つの配列を整列するために、より長い配列内に導入されたギャップ(gaps)の数の合計で割る。
【0067】
本発明のポリペプチドは、遺伝工学的方法により作製することができる。まず、通常の方法によって、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を作製する。ポリヌクレオチド配列は、例えば、ヒトのAIMP1遺伝子をコードするポリヌクレオチドを鋳型として、適切なプライマーを用いてPCR増幅することにより、作製することができる。他の方法で当業界に公知された標準的な方法により、例えば、自動DNA合成器(Biosearch又はApplied Biosystems社で販売)を使用してDNA塩基配列を合成することもできる。作製されたポリヌクレオチド配列は、このポリヌクレオチドと作動可能に連結されて(operatively linked)、そのポリヌクレオチドの塩基配列の発現を調節する一つ又はそれ以上の発現調節配列(expression control sequence)(例:プロモーター、エンハンサーなど)を含むベクターに挿入させ、そこから形成された組換え発現ベクターで宿主細胞を形質転換させる。生成された形質転換体を前記DNA配列が発現するようにするために適切な培地及び条件下で培養して、培養物から前記DNA配列によってコードされた実質的に純粋なタンパク質を回収する。前記回収は、当業界に公知(例えば、クロマトグラフィー)された方法を利用して行うことができる。
【0068】
前記の“実質的に純粋なポリペプチド又はタンパク質”とは、本発明に係るタンパク質宿主細胞から由来した如何なる他のタンパク質も実質的に含まないことを意味する。本発明のタンパク質の合成のための遺伝工学的な方法は、下記の文献を参考にすることができる:Maniatis et al.、Molecular Cloning;A laboratory Manual、Cold Spring Harbor laboratory、1982;Sambrook et al.、supra;Gene Expression Technology、Method in Enzymology、Genetics and Molecular Biology、Method in Enzymology、Guthrie&Fink、Academic Press、San Diego、Calif、1991;及びHitzeman et al.、J. Biol. Chem.、255:12073-12080、1990。
【0069】
また、本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の技術で化学的に合成することができる(Creighton、Proteins: Structures and Molecular Principles、W.H. Freeman and Co.、NY (1983))。すなわち、本発明のポリペプチドは、通常の段階的な液体又は固相合成、断片縮合、F-MOC又はT-BOC化学法を利用して製造することができる(Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins、Williams et al.、Eds.、CRC Press、Boca Raton Florida、(1997); A Practical Approach、Atherton & Sheppard、Eds.、IRL Press、Oxford、England、(1989))。望ましい製造方法は、固相合成方法(solid phase synthesis)を利用することである。本発明のポリペプチドは、保護されたアミノ酸間の縮合反応(condensation reaction)により、通常の固相法で、究明されたアミノ酸配列に基づいてC-末端から順次的に進行しながら合成することができる。縮合反応後、保護基及びC-末端アミノ酸が連結された担体を酸分解(acid decomposition)又はアミノリシス(aminolysis)のような公知の方法により除去することができる。前記にて述べたペプチド合成法は、関連書籍に詳細に記述されている(Gross and Meienhofer's、The Peptides、vol 2.、Academic Press、1980)。
【0070】
遺伝工学的方法により製造されたタンパク質又は化学的に合成されたタンパク質は、例えば抽出法、再結晶法、多様なクロマトグラフィー(ゲルろ過法、イオン交換、沈殿、吸着、逆相)、電気泳動、逆流分配法など当業界に公知された方法で分離及び精製することができる。
【0071】
また、本発明は、本発明のポリペプチド、すなわち、配列番号1で示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチドをコード(coding)するポリヌクレオチドを提供する。前記ポリヌクレオチドは、前述した本発明のポリペプチドをコードするものであれば、その塩基の構成が特に制限されない。好ましくは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号7(配列番号2のS1200ポリペプチドをコード)又は配列番号8(配列番号3のS1300ポリペプチドをコード)で表示される塩基配列からなることを特徴とするポリヌクレオチドでもある。
【0072】
本明細書で“ポリヌクレオチド”、“核酸”とは、単一鎖又は二重鎖の形態でなされたデオキシリボヌクレオチド(DNA)又はリボヌクレオチド(RNA)を意味する。他の制限がない限り、自然的に生成されるヌクレオチドと類似した方法で核酸に混成化される自然的なヌクレオチドの公知のアナログも含まれる。
【0073】
コラーゲン(collagen)は、真皮の繊維芽細胞(fibroblast)から生産され、真皮の70%を占める繊維状タンパク質として、皮膚の柔軟性と弾力を担う。したがって、コラーゲンの合成が減少すると、皮膚が老化して、皮膚の弾力性と柔軟性が急激に減少して、結果として皮膚が垂れたりシワが生じたりする。逆に皮膚内のコラーゲン合成促進によりコラーゲン代謝が活発になれば、真皮基質の成分が増加して、シワの改善、弾力増進、皮膚の引き締まりなどの効果が現れる。
【0074】
下記の実施例及び図面を使用して確認することができるように、本発明のAIMP1タンパク質のポリペプチド断片は、コラーゲンの合成及び繊維芽細胞の増殖を促進させる活性を有する(参照:実施例1及び2、
図1~
図2)。従って、本発明に係るAIMP1ポリペプチド断片は、コラーゲンの合成及び/又は繊維芽細胞の増殖を促進することによって、皮膚の老化防止、シワの改善、皮膚の柔軟増進及び弾力増進の用途に使用することができる。
【0075】
本明細書で“皮膚の老化”とは、皮膚の構造と生理的な機能が、年をとるに従い、継続的な減退を引き起こす自然的な老化現象である内在的老化と、太陽光の紫外線、薬剤の副作用、ストレス、環境因子、傷などのような多様な種類の外的要素に起因した外在的老化の全てを含む広範囲な意味を有する。したがって、本明細書で“皮膚の老化防止”とは、内在的老化及び外在的老化を含む多様な原因による皮膚の老化状態の抑制、低下、防止、改善、又は予防を含む幅広い意味を有する。
【0076】
本発明のAIMP1タンパク質のポリペプチド断片は、前記記載された用途のための薬学的、皮膚学的、化粧料組成物の有効成分として使用することができる。
【0077】
前記組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤型でも製造することができる。好ましくは、皮膚塗布用剤形で製造することができる。例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどで製造することができ、これに制限されるものではない。より好ましくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー又はパウダーの形態で製造することができる。
【0078】
また、本発明に係る組成物は、メソセラピー(mesotherapy)のための注射用剤形で製造することができる。前記注射用剤形は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当業界に公知された技術に基づいて製造することができる。例えば、本発明のポリペプチドを生理食塩水又は緩衝液に溶解させて注射用に剤形化することができる。
【0079】
また、本発明の組成物は、経口投与用剤形にも製造することができる。経口投与用の場合には、本発明に係るポリペプチドは、賦形剤と混合されて、摂取型製剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリクシール、サスペンション、シロップ及びウエハーなどの形態で剤形化することができる。これらの剤形は、有効成分に加えて、希釈剤(例:ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/又はグリシン)と潤滑剤(例:シリカ、タルク、ステアリン酸及びそのマグネシウム又はカルシウム塩及び/又はポリエチレングリコール)を含むことができる。前記錠剤は、マグネシウムアルミニウムシリケート、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び/又はポリビニルピロリジンのような結合剤を含むことができ、場合によっては澱粉、寒天、アルギン酸又はそのナトリウム塩のような崩壊剤、吸着剤、着色剤、香味剤及び/又は甘味料をさらに含むことができる。前記製剤は、通常的な混合、顆粒化又はコーティング方法によって製造することができる。
【0080】
本発明では、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含むシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0081】
また、本発明では、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0082】
また、本発明では、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用化粧料組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0083】
また、本発明では、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含む皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0084】
また、本発明では、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0085】
また、本発明では、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用化粧料組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは配列番号2又は配列番号3でもある。
【0086】
また、本発明の組成物は、本発明の効果をより一層強化させるために、コラーゲンの合成促進、繊維芽細胞増殖促進、皮膚の老化抑制/改善、皮膚保湿、皮膚の弾力/柔軟性増進、シワの改善、皮膚の機能強化などの効果を有する公知の物質をさらに含むことができる。前記物質としては、これらに制限はされないが、レチノイン酸(retinoic acid)、TGF(trans-forming growth factor)、ベツリン酸(betulinic acid)、桂皮酸(cinnamic acid)、ヒイドロスチルベン(hydrostilbene)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、赤ブドウ抽出粉末などを使用することができる。その他の皮膚へのタンパク質の吸収を促進する物質、防腐剤、水和剤、油化促進剤、緩衝剤などその他の薬学的、皮膚学的及び/又は化粧品学的に許容可能な媒質又は基材をさらに含むことができる。
【0087】
本発明の化粧料組成物に含まれる本発明のポリペプチドの含量は、化粧料組成物の総重量に対して、0.0001乃至50重量%、好ましくは0.01乃至10重量%の範囲で含有することができる。
【0088】
また、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含むシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0089】
また、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0090】
また、本発明は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなるシワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用食品用組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0091】
また、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドを有効成分として含む、皮膚の老化防止用食品用組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0092】
また、本発明は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用食品用組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0093】
また、本発明は、本質的に、配列番号1で表示されるアミノ酸配列で9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する4乃至17個のアミノ酸からなることを特徴とするポリペプチド、又は前記ポリペプチドと配列相同性70%以上を有するアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチドからなる皮膚の老化防止用食品用組成物を提供する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3でもある。
【0094】
本発明に係る食品用組成物は、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)及び食品添加物(food additives)などのすべての形態を含む。前記の類型は、当業界に公知された通常の方法によって多様な形態で製造することができる。
【0095】
例えば、健康食品としては、本発明の食品用組成物自体をお茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用するようにしたり、顆粒化、カプセル化及び粉末化したりして摂取することができる。また、本発明の食品用組成物は、発毛促進又は脱毛の予防や改善の効果があると知られている公知の物質又は活性成分と共に混合して、組成物の形態で製造することができる。
【0096】
また、機能性食品としては、飲料(アルコール性飲料を含む)、果物及びその加工食品(例:果物缶詰、瓶詰、ジャム、マーマレード等)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソーセージ、コンビーフ等)、パン類及び麺類(例:うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、マカロニ等)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズ等)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:味噌、醤油、ソース等)等に本発明の食品用組成物を添加して製造することができる。
【0097】
本発明のポリペプチドの食品用組成物の好ましい含有量としては、これに限定はされないが、好ましくは、最終的に製造された食品中0.01乃至50重量%である。本発明の食品用組成物を食品添加物の形態で使用するには粉末又は濃縮液形態で製造して使用することができる。
【0098】
本発明は、シワの改善、皮膚の柔軟性増進及び弾力増進用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供する。
【0099】
本発明は、前記ポリペプチドの有効量を、これを必要とする個体に投与することを特徴とするシワの改善、皮膚の柔軟性増進及び弾力増進のための方法を提供する。
【0100】
本発明は、皮膚の老化防止用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供する。
【0101】
本発明は、前記ポリペプチドの有効量を、これを必要とする個体に投与することを特徴とする皮膚の老化防止方法を提供する。
【0102】
本発明の前記“有効量”とは、個体に投与したとき、シワ、皮膚柔軟、弾力又は皮膚の老化の改善、治療、予防、検出又は診断の効果を示す量を意味し、前記“個体”とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物でもあって、動物から由来した細胞、組織、器官等でもある。前記個体は前記の効果が必要な患者(patient)でもある。
【0103】
本発明の前記“治療”とは、シワ、皮膚柔軟、弾力又は皮膚の老化又はこれと関連した疾患の症状を改善させることを包括的に指称し、これはこのような疾患を治癒したり、実質的に予防するか、又は状態を改善させることを含むことができ、シワ、皮膚の柔軟、弾力又は皮膚の老化又はこれと関連した疾患から始まった一つの症状又は殆どの症状を緩和させたり、癒したり予防することを含むが、これに制限されるものではない。
【0104】
本発明の用語“~を含む(comprising)”とは“含有する”又は“特徴とする”と同じく使用され、組成物又は方法において、記載されていない追加的な成分、要素又は方法の段階などを排除しない。用語“~からなる(consisting of)”とは別に記載されていない追加的な要素、段階又は成分などを除外することを意味する。用語“本質的に~からなる(essentially consisting of)”とは、組成物又は方法の範囲において、記載された成分の要素又は段階と共にその基本的な特性に実質的に影響を及ぼさない成分要素又は段階を含むことを意味する。
【0105】
[有利な効果]
したがって、本発明は、新規なAIMP1タンパク質の断片と、これを有効成分として含む皮膚の老化防止、シワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用組成物を提供する。本発明に係る新規なポリペプチド及びこれを有効成分として含む組成物は、皮膚の老化防止、シワの改善、皮膚の柔軟性増進又は弾力増進用途に有用に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1】
図1は、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1、10μM)及びそのペプチド断片(配列番号2~4、10μM)のコラーゲン合成誘導の有無を確認したProcollagen Type I ELISA Assay結果のグラフである。[対照群(Con):20% Glycerol/PBS(10μg/ml);Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)、S1200(配列番号2)、S1300(配列番号3)、S1400(配列番号4)]
【
図2】
図2は、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1、10μM)及びそのペプチド断片(配列番号2~4、10μM)のヒトの繊維芽細胞の増殖誘導の有無を確認した細胞増殖アッセイ(Cell Counting Kit-8 Assay)結果のグラフである。[対照群(Con):20% Glycerol/PBS(10μg/ml);Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)、S1200(配列番号2)、S1300(配列番号3)、S1400(配列番号4)]
【
図3】
図3は、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1、10μM)及びそのペプチド断片(配列番号2~4、10μM)の正常的な表皮細胞(vero)での細胞毒性の有無を確認した細胞毒性アッセイ(Cell Counting Kit-8 Assay)結果のグラフである。[対照群(Control):20% Glycerol/PBS(10μg/ml);Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)、S1200(配列番号2)、S1300(配列番号3)、S1400(配列番号4);Doxo(ドキソルビシン、10μg/ml)]
【
図4】
図4は、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1、10μM)及びそのペプチド断片(配列番号2~4、10μM)のRew-264.7細胞でのTNF-α分泌量を確認したTNF-α ELISAアッセイ結果のグラフである。[対照群(Control):20% Glycerol/PBS(10μg/ml);Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)、S1200(配列番号2)、S1300(配列番号3)、S1400(配列番号4);LPS(lipopolysaccharide、10ng/ml)]
【発明を実施するための形態】
【0107】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0108】
但し、下記の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
【0109】
[実験方法]
コラーゲンELISAアッセイ
ヒトの包皮繊維芽細胞C12300(foreskin fibroblast;1.5x104 cells/well;Promocell)を24 ウェルプレートにおいて10%血清含有DMEM培地で12時間培養した後、再び無血清培地で約3時間培養した。そして、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1、GL biochem合成)及びその断片(配列番号2~4、GL biochem合成)をそれぞれ10μMずつ前記DMEM培地に添加した後、12時間培養した。
【0110】
その後、前記の培地を回収して、1000gで10分間遠心分離した後、Procollagen Type I ELISAキット(Takara、日本)を利用して製造業者の説明に基づいて分泌されたコラーゲンを検出した。
【0111】
細胞増殖及び細胞毒性アッセイ(Cell Counting Kit-8 アッセイ)
繊維芽細胞の増殖及び細胞毒性の有無を確認するために、Dojindo Molecular Technologies(日本)のCCK-8アッセイ(Cell Counting Kit-8 assay)を、製造業者の説明に基づいて行った。
【0112】
まず、ヒトの包皮繊維芽細胞C12300(foreskin fibroblast;3000 cells/well;Promocell)及び正常上皮細胞(vero;3000 cells/well)を96ウェルプレートにおいて10%血清含有DMEM培地で12時間それぞれ培養した後、再び無血清培地で約3時間培養した。そして、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)及びその断片(配列番号2~4)をそれぞれ10μMずつ前記DMEM培地に添加した後、24時間の間培養した。
【0113】
その後、CCK-8溶液(Dojindo Molecular Technologies、日本)10μlを前記培地の各ウェルに添加した後、製造業者の説明に基づいて、マイクロプレートリーダー(microplate reader)を使用して450nmで吸光度を分析した。
【0114】
TNF-α ELISAアッセイ
Raw 264.7細胞(ATCC(商標) TIB-71;3000 cells/well)を96ウェルプレートにおいて10%血清含有DMEM培地で12時間、それぞれ培養した後、再び無血清培地で約3時間培養した。そして、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)及びその断片(配列番号2~4)を、それぞれ10μMずつ前記DMEM培地に添加した後、6時間培養した。
【0115】
その後、前記の培地を回収して、1000gで10分間遠心分離した後、TNF-α ELISAアッセイキット(BD Biosciences、米国)を利用して、製造業者の説明に基づいて、分泌されたTNF-αを検出した。
【0116】
実施例1:本発明のポリペプチドのコラーゲン合成誘導効果
本発明者は、コラーゲン合成誘導のの有無を通じて、本発明のポリペプチドの皮膚の老化防止、シワの改善、皮膚の柔軟性増進、弾力増進効果を確認するために、15個のアミノ酸からなるNeo-Pepポリペプチドの断片S1200(配列番号2)、S1300(配列番号3)及びS1400(配列番号4)を製造した。
【0117】
下記の表1において、本明細書に記載されているNeo-Pepポリペプチド(配列番号1)とそのペプチド断片S1200(配列番号2)、S1300(配列番号3)及びS1400(配列番号4)のアミノ酸配列、PI及びTm情報を示す。
【0118】
【0119】
参考に、ポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)は、AIMP1タンパク質(配列番号5)において6-46番目のアミノ酸残基に該当する。
MANNDAVLKRLEQKGAEADQIIEYLKQQVSLLKEKAILQATLREEKKLRV
ENAKLKKEIEELKQELIQAEIQNGVKQIPFPSGTPLHANSMVSENVIQST
AVTTVSSGTKEQIKGGTGDEKKAKEKIEKKGEKKEKKQQSIAGSADSKPI
DVSRLDLRIGCIITARKHPDADSLYVEEVDVGEIAPRTVVSGLVNHVPLE
QMQNRMVILLCNLKPAKMRGVLSQAMVMCASSPEKIEILAPPNGSVPGDR
ITFDAFPGEPDKELNPKKKIWEQIQPDLHTNDECVATYKGVPFEVKGKGV
CRAQTMSNSGIK
【0120】
図1で確認した通り、前記実験方法に記載されているProcollagen type I ELISA Assay方法を使用した結果、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)と、ポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)の9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する15個のアミノ酸からなる本発明のポリペプチド断片S1200(配列番号2)、及びS1300(配列番号3)のコラーゲン(collagen)合成誘導効果が対照群(Con)に比べて優れていた。
【0121】
さらに、ポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)の9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含まない連続する15個のアミノ酸からなるポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)の断片であるS1400(配列番号4)のコラーゲン合成誘導効果は対照群に比べて若干優れたが、下記
図2で確認した通り、繊維芽細胞(fibroblast)増殖誘導効果は対照群より低下した。
【0122】
実施例2:本発明のポリペプチドの繊維芽細胞(Fibroblast)の増殖誘導効果
図2で確認した通り、前記実験方法に記載されている細胞増殖アッセイ(CCK-8 Assay)の方法を使用した結果、ポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)と、ポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)の9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含めて、連続する15個のアミノ酸からなるポリペプチド断片S1200(配列番号2)及びS1300(配列番号3)の繊維芽細胞増殖誘導効果が対照群(Con)に比べて優れていた。
【0123】
これに対して、ポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)の9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含まない連続する15個のアミノ酸からなるポリペプチドNeo-Pep(配列番号1)の断片であるS1400(配列番号4)の繊維芽細胞増殖誘導効果は対照群より低下した。
【0124】
前記実施例1及び2の結果を通じて、従来の国内特許(特許登録番号第10-0903984号、登録日:2009年6月15日)を通じて、本発明者によってコラーゲンの合成効果が既に公知されていたAIMP1タンパク質の6乃至46番のアミノ酸領域に該当するNeo-Pepポリペプチド(配列番号1のポリペプチド)からS1200(配列番号2)及びS1300(配列番号3)のように、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)のアミノ酸配列から9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を活性アミノ酸残基に含めて連続するアミノ酸からなるポリペプチド断片が、コラーゲン合成誘導及び繊維芽細胞の増殖を誘導することにより、皮膚の老化防止、シワの改善、皮膚の柔軟性増進、弾力増進効果を有することを確認した。
【0125】
実施例3:本発明のポリペプチドの細胞毒性(Cytotoxicity)及び炎症誘発の有無
図3に示した通り、前記実験方法に記載されている細胞毒性アッセイ(CCK-8 Assay)方法を使用した結果、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)と、本発明のポリペプチドに属するS1200(配列番号2)及びS1300(配列番号3)を使用した場合、対照群と同様に上皮細胞の生存能がそのまま維持されて、安全性が大きかったが、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)の9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)を含まないS1400(配列番号4)は、上皮細胞の生存能が若干低下した。参考に、細胞毒性の程度を比較するために、強力な細胞毒性製剤であるドキソルビシン(Doxorubucin、10μg/ml)を使用した。
【0126】
また、
図4に示した通り、前記実験方法に記載されているTNF-α ELISAアッセイ方法を使用した結果、Neo-Pepポリペプチド(配列番号1)、本発明のポリペプチドに属するS1200(配列番号2)及びS1300(配列番号3)、及びNeo-Pepポリペプチド(配列番号1)の9乃至12番目のアミノ酸(KGAE)が含まれていないS1400(配列番号4)から分泌されたTNF-αの数値が、対照群(Con)と同様の水準に極めて微々たるものと観察され、炎症などの免疫反応を殆ど起こさず、体内使用時に安全であることを示唆した。参考に、炎症などの免疫反応誘発の程度を比較するために、強力なエンドトキシンとして免疫反応を引き起こすLPS(lipopolysaccharide、10ng/ml)を使用した。
【配列表】