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特許7097111情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20220630BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A61B10/00 U
A61B5/00 102C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021090711
(22)【出願日】2021-05-29
(65)【公開番号】P2022008126
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2021-05-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2020095781
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021079236
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516377348
【氏名又は名称】株式会社Arblet
(72)【発明者】
【氏名】清水 滉允
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】樋口 宗彦
【審判官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2007ー14570(JP,A)
【文献】特開2009-66269(JP,A)
【文献】特開2019-109685(JP,A)
【文献】特開2009-273716(JP,A)
【文献】特開2019-152624(JP,A)
【文献】特開2013-84164(JP,A)
【文献】特表2009-512483(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/083779(JP,A1)
【文献】国際公開第2018/008666(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/179696(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0317778(US,A1)
【文献】特開2018-79220(JP,A)
【文献】特開2011-206585(JP,A)
【文献】特開2007-14570(JP,A)
【文献】IIMURO,Satoshi, et al.,Hyperbaric area index calculated from ABPM elucidates the condition of CKD patients: the CKD-JAC stu,Clinical and experimental nephrology,2015年02月,Vol.19, No.1,pp.114-124,<DOI: 10. 1007/s10157-014-0965-2>
【文献】IDA,Tomoharu, et al.,Ambulatory blood pressure monitoring-based an alysis of long-term outcomes for kidney disease progres,Scientific Repo rts,2019年12月17日,Vol.9, No.1,19296,<DOI: 10.1038/s41598-019-55732- 4.>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/03
A61B5/20
A61B10/00
G16H10/00-80/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行う情報処理システムであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部と、を備え、
前記血圧情報は、拍動毎の最大血圧と最小血圧であって、
前記生体データ生成部は、前記運動情報と基準運動情報を比較した結果に応じて、前記前記拍動毎の最大血圧と最小血圧に対して間引き補正を実行し、所定時間内における間引き補正後の前記拍動毎の最大血圧と最小血圧の近似曲線を血圧推移情報として生成し、当該血圧推移情報において基準血圧情報を超えた値と時間の積分値を求めることにより血圧負荷情報を算出し、当該血圧負荷情報から前記腎機能情報を生成し、
前記運動情報と前記基準運動情報を比較した結果に応じて、過度な運動をしている旨の通知を含む通知データを生成するユーザ支援データ生成部をさらに備えている、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記生体データ生成部は、前記積分値と腎機能の状態との対応関係情報を記憶することで、当該対応関係情報を参照して前記積分値に対応する腎機能情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行うサーバであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部と、を備え、
前記血圧情報は、拍動毎の最大血圧と最小血圧であって、
前記生体データ生成部は、前記運動情報と基準運動情報を比較した結果に応じて、前記前記拍動毎の最大血圧と最小血圧に対して間引き補正を実行し、所定時間内における間引き補正後の前記拍動毎の最大血圧と最小血圧の近似曲線を血圧推移情報として生成し、当該血圧推移情報において基準血圧情報を超えた値と時間の積分値を求めることにより血圧負荷情報を算出し、当該血圧負荷情報から前記腎機能情報を生成し、
前記運動情報と前記基準運動情報を比較した結果に応じて、過度な運動をしている旨の通知を含む通知データを生成するユーザ支援データ生成部をさらに備えている、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項4】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行う情報処理方法であって、
生体データ生成部により、前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成するステップを含み、
前記血圧情報は、拍動毎の最大血圧と最小血圧であって、
前記ユーザの腎機能情報を生成するステップは、前記生体データ生成部により、前記運動情報と基準運動情報を比較した結果に応じて、前記前記拍動毎の最大血圧と最小血圧に対して間引き補正を実行し、所定時間内における間引き補正後の前記拍動毎の最大血圧と最小血圧の近似曲線を血圧推移情報として生成し、当該血圧推移情報において基準血圧情報を超えた値と時間の積分値を求めることにより血圧負荷情報を算出し、当該血圧負荷情報から前記腎機能情報を生成し、
ユーザ支援データ生成部により、前記運動情報と前記基準運動情報を比較した結果に応じて、過度な運動をしている旨の通知を含む通知データを生成するステップをさらに含んでいる、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行うコンピュータ用のプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータにおいて、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部を含む機能部を実現し、
前記血圧情報は、拍動毎の最大血圧と最小血圧であって、
前記生体データ生成部は、前記運動情報と基準運動情報を比較した結果に応じて、前記前記拍動毎の最大血圧と最小血圧に対して間引き補正を実行し、所定時間内における間引き補正後の前記拍動毎の最大血圧と最小血圧の近似曲線を血圧推移情報として生成し、当該血圧推移情報において基準血圧情報を超えた値と時間の積分値を求めることにより血圧負荷情報を算出し、当該血圧負荷情報から前記腎機能情報を生成し、
前記機能部は、前記運動情報と前記基準運動情報を比較した結果に応じて、過度な運動をしている旨の通知を含む通知データを生成するユーザ支援データ生成部をさらに含む、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置から取得した測定データに基づきユーザ支援データを生成する情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
測定装置を利用してユーザの生体データを連続的に取得し、その変化から病気の早期発見や病状変化の検出を行うことは、健康管理を行う上で有効である。そのためには、取得した複数の生体データから様々な健康状態を把握する必要がある。
【0003】
例えば、ユーザの心電波形のデータと脈波形のデータとを測定装置から取得し、血圧情報を生成する血圧情報測定システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、例えば、ユーザの測定データから生体情報データへ演算を行うための因果関係である数理モデルを生成し、数理モデルを利用可能に提供する開発支援サーバも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6202510号公報
【文献】特許第6257015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、腎臓の機能と高血圧症には深い関係性があり、高血圧症であると慢性腎臓病になりやすいといわれている。そして、慢性腎臓病罹患者は、心血管疾患にもなりやすいともいわれている。
【0006】
しかしながら、慢性腎臓病は、初期症状がほとんどなく発見しづらいものであり、自覚症状が出始めるまで放置しておくと、結果として透析などが必要なほどまで悪化してしまうため、客観的な指標での発見が求められている。
【0007】
そこで、本開示では、測定装置から取得した測定データに基づきユーザ支援データを生成する情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラムについて説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様における情報処理システムは、ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行う情報処理システムであって、前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様におけるサーバは、ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行うサーバであって、前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部と、を備える。
【0010】
また、本開示の一態様における情報処理方法は、ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行う情報処理方法であって、生体データ生成部により、前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成するステップを含む。
【0011】
また、本開示の一態様におけるプログラムは、ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行うコンピュータ用のプログラムであって、前記プログラムは、前記コンピュータにおいて、前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部を含む機能部を実現する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、本実施形態に係る情報処理システムは、生体データ生成部やユーザ支援データ生成部を介して、測定データに基づき、特に腎機能に関する腎機能情報やユーザの腎機能が低下していることをアラートするためのユーザ支援データを生成する。これにより、例えばユーザの腎機能に関する情報や腎機能が低下していることのアラートを自覚症状がない段階でユーザが簡単に取得することが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システムを示すブロック構成図である。
図2図1の管理サーバ100のハードウェア構成を示す図である。
図3図2の記憶部120および制御部130の機能を例示したブロック図である。
図4図3の測定データに関連付けされるタグ情報の例を示す模式図である。
図5図1の測定装置300で測定される心電波形及び脈波形の例について説明するための図である。
図6図1の情報処理システム1の処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態によるシステムは、以下のような構成を備える。
【0015】
[項目1]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行う情報処理システムであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
さらに、前記運動情報と基準運動情報を比較した結果に応じて、運動に関するユーザ支援データを生成するユーザ支援データ生成部を備える、
ことを特徴とする項目1に記載の情報処理システム。
[項目3]
前記生体データ生成部は、前記血圧情報から所定時間分の血圧推移情報を生成し、基準血圧情報を超えた値と時間の積分値を求めることにより血圧負荷情報を算出し、当該血圧負荷情報から前記腎機能情報を生成するものであって、
前記血圧情報は、前記運動情報と基準運動情報を比較した結果に応じて、前記血圧情報に対して間引き補正を実行した結果の血圧情報である、
ことを特徴とする項目1または項目2のいずれかに記載の情報処理システム。
[項目4]
前記生体データ生成部は、前記積分値と腎機能の状態との対応関係情報を記憶することで、当該対応関係情報を参照して前記積分値に対応する腎機能情報を生成する、
ことを特徴とする項目3に記載の情報処理システム。
[項目5]
前記所定の周期は、前記血圧推移情報を生成するための前記所定時間と同一または略同一であり、
前記生体データ生成部は、前記所定時間内の血圧情報の最大値、若しくは、血圧推移情報の変化の最大値を取得し、基準値またはユーザの過去の平均値と比較して所定値以上の差が表れている異常値情報を判定する、
ことを特徴とする項目3または項目4のいずれかに記載の情報処理システム。
[項目6]
さらに、前記腎機能情報に基づくアドバイスまたはアラートの少なくともいずれかを含むユーザ支援データを生成するユーザ支援データ生成部を備える、
ことを特徴とする項目1ないし項目5に記載の情報処理システム。
[項目7]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行うサーバであって、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部と、を備える、
ことを特徴とするサーバ。
[項目8]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行う情報処理方法であって、
生体データ生成部により、前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成するステップを含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目9]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから腎機能情報の生成を行うコンピュータ用のプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータにおいて、
前記測定データに対して所定の演算を実行し、血圧情報及び運動情報を生成し、当該血圧情報及び運動情報に基づき、前記ユーザの腎機能情報を生成する生体データ生成部を含む機能部を実現する、
ことを特徴とするプログラム。
【0016】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0017】
(実施形態1)
<構成>
図1は、本開示の実施形態1に係る情報処理システム1を示すブロック構成図である。この情報処理システム1は、例えば、ネットワークNWを介して測定装置300からユーザの測定データを管理サーバ100にて受信し、当該測定データに対して所定の演算を行うことで生体データを生成し、当該生体データに基づきユーザ支援データを生成するシステムである。
【0018】
情報処理システム1は、管理サーバ100と、ユーザ端末装置200と、測定装置300と、ネットワークNWと、を有している。管理サーバ100と、ユーザ端末装置200とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、ブロックチェーンネットワーク、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0019】
管理サーバ100は、例えば、ネットワークを介して測定装置300からユーザの測定データを、ユーザ端末装置200を経由して受信して測定データから生体データへ演算を行う装置であり、例えば各種Webサービスを提供するサーバ装置により構成されている。
【0020】
ユーザ端末装置200は、ユーザが所持する、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン、スマートウォッチ、携帯電話、PHS、PDA等の情報処理装置であり、例えば、管理サーバ100で演算を行った生体データを波形グラフ等により表示させたり、生体データに基づき生成されたユーザ支援データ(詳細は後述)を表示させたりなどをするために利用される。ユーザ端末装置200には、予めユーザの識別番号、生年月日、性別、身長、体重、歩幅等のユーザ情報が登録されており、生年月日から算出した年齢等も含めたユーザ情報を測定データに関連付けてネットワークNWを介して管理サーバ100へ送信する。
【0021】
測定装置300は、ユーザの生体データを測定する装置であり、ユーザの手首や腕等の身体に装着して利用される、例えばウェアラブル装置である。この測定装置300は、例えばユーザの心電、脈波、温度(体温)、加速度、角速度のデータを所定の周期的なタイミングで測定するための複数種類の装置である。当該所定の周期は、予め設定されているものであってもよいし、ユーザが任意に設定可能であってもよい。より具体的には、例えば秒単位の時間的周期が設定されていてもよいし、周波数により同様に設定されていてもよい。
【0022】
測定装置300の具体的な構成の例としては、2つの電極を皮膚に接触させ、検出電位の差の時間変化より心電を心電波形のデータとして取得する装置で構成しても良く、心電波形は、ガルバニック皮膚反応により取得されたデータでも良い。また、緑、赤、赤外の発光を行うLEDから各光を皮膚に照射し、フォトダイオードで受光した光の強度の時間変化により、ユーザの心臓の心拍により生ずる血管の容積変化により脈波を脈波形のデータとして取得する装置で構成しても良く、この方式で検出を行うことができる脈波形は光電式容積脈波形である。また、ユーザの皮膚に接触させる温度センサによりユーザの皮膚温度をデータとして取得する装置で構成しても良い。また、直交するXYZ軸それぞれの変異状態を検出する3軸加速度センサにより構成しても良く、ユーザの動作を加速度データとして取得し、例えば測定装置300がユーザの手首や腕等に装着されている場合、測定装置300は、手首や腕等の振りと、全身の動きが合成された加速度として加速度データの取得をする。さらに、直行するXYZ軸それぞれにおける回転角速度を検出するジャイロセンサ(角速度センサ)により構成しても良く、ユーザの動作を角速度データとして取得し、例えば測定装置300がユーザの手首や腕等に装着されている場合、測定装置300は、手首や腕等の回転と、全身の動きが合成された角速度として角速度データの取得をする。
【0023】
ユーザ端末装置200と測定装置300との間は、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(Near Field radio Communication=NFC)、Afero(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Wave(登録商標)、又は無線LAN等を用いて接続されている。なお、このような無線接続の代わりに有線で接続を行っても良い。また、ユーザ端末装置200と測定装置300とは一体の機器であっても良く、例えば測定装置300にSIMを搭載するなどして通信機能を持たせて管理サーバ100と直接通信可能に構成しても良い。
【0024】
ユーザ端末装置200は、1または複数台あり、測定装置300を利用するユーザ数分ネットワークNWに接続されている。測定装置300は、1または複数台あり、1人のユーザが利用する台数分のユーザ端末装置200に接続されている。1人のユーザが複数の測定装置300を利用している場合は、1つのユーザ端末装置200に複数の測定装置300が接続されている。
【0025】
<管理サーバ100>
図2は、管理サーバ100のハードウェア構成を示す図である。図3は、記憶部120および制御部130の機能を例示したブロック図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0026】
管理サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、入出力部140とを備える。これらの機能部は、管理サーバ100用の所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0027】
通信部110は、ユーザ端末装置200と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0028】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、図3に示されるように、記憶部120は、測定装置300による測定データをユーザ情報と関連付けて記憶する測定データDB121と、測定データから演算されて生成される生体データをユーザ情報と関連付けて記憶する生体データDB122と、生体データに基づき生成されたユーザ支援データをユーザ情報と関連付けて記憶するユーザ支援データDB123と、ユーザ識別番号を含むユーザ情報を記憶するユーザ情報DB124と、を記憶する。また、ユーザ情報は、データ管理部131により生成されたアカウント情報を含み、ユーザ情報DB124は、アカウント情報が他のユーザ情報と関連付けられて記憶するようにしてもよい。さらに、記憶部120は、ユーザ端末装置200と通信を行ったデータを一時的に記憶する。なお、DBのデータ構造は、これに限られるものではなく、上述のDBの一部をユーザ端末装置200または測定装置300に記憶するようにしてもよい。
【0029】
制御部130は、管理サーバ100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。また、図3に示されるように、制御部130は、データ管理部131、生体データ生成部132、ユーザ支援データ生成部133、データ出力部134といった機能部を含む。
【0030】
データ管理部131は、測定装置300を利用するユーザごとに、アカウント情報を生成する。このアカウント情報生成は、測定装置300を利用するユーザがユーザ端末装置200でアカウント情報を登録すると行われる。そのため、データ管理部131は、ユーザのユーザ端末装置200や他の端末装置に対してアカウントごとに記憶部120内の各種DBへのアクセスの可否の制御を行う。データ管理部131は、測定データや生体データ、ユーザ支援データ等の各種データを対応するDBにユーザ情報に関連付けて記憶する。また、このとき、データ管理部131は、測定データに所定のタグ情報の関連付けを行って記憶させることが可能である。
【0031】
図4は、図3の測定データに関連付けされるタグ情報の例を示す模式図である。図4に示すデータD1は、測定装置300の測定データである。タグT1は、データD1に関連付けされたタグ情報であり、例えば、測定装置300がデータD1を測定した時刻情報、またはデータD1が測定装置300からユーザ端末装置200へ送信された時刻情報が時系列データとして記憶される。もしくは、測定した時刻情報と送信された時刻情報との両方について関連付けを行っても良い。例えば、図4に示すタグT1の1行目では、「20180620120746144」が格納されているが、2018年06月20日12時07分46秒144ミリ秒を示している。このような時刻情報は通信ログより取得可能である。これにより、測定データがどの時間帯のものか把握することが可能である。
【0032】
なお、このようなタグ情報による測定データの関連付けは、時刻情報に限られず、ユーザの身体状態や活動状態を示す身体情報や活動情報を自由記載で記入させてタグ情報として記憶しても良く、所定の選択肢から選択させ(例えば、「現在の体調は如何ですか?」という質問に対して、「1:良い、2:普通、3:悪い」のいずれかを選択させる、等)、その選択した回答を記憶するようにしても良い。これにより、制御部150にて生体データを生成する際に、当該タグ情報と生体データとを対応付けすることで、より精度の高い生体データを生成可能となると共に、それに基づき生成されるユーザ支援データもよりパーソナライズされたデータとなり得る。
【0033】
また、例えばデータ管理部131は、図4に示すように、データD1をタグT1の時刻順に並べ替え(ソート)を行うことが可能である。このような構成にしたのは、測定データはユーザの生体データに基づいて時系列に取得したものであるから時系列に並んでいる方が処理しやすいからであるが、ユーザ端末装置200及び通信部110を経由して受信する際に通信状況の変化等により受信データの逆転(後で送信された送信データが先に送信された送信データより先に受信されること)等が起こる場合があり、そのときの測定データの不整合を防止するためである。これにより、測定データの不整合を防止することが可能である。
【0034】
生体データ生成部132は、測定データDB121に記憶された測定データに対して所定の演算を行い、生体データを生成する。この生体データは、測定データから算出可能なものであればどのような情報であってもよく、例えばユーザの血圧情報、心拍情報、血中酸素量情報、最大酸素摂取量情報、心電情報、呼吸数、体温情報、歩数情報、歩幅情報、重心の位置情報、姿勢情報、行動種別情報、ストレス情報、運動量情報、運動負荷情報、移動距離情報、移動速度情報、活動量情報、手または脚等の装着部位の動作情報などのデータであり、既知の手法により測定データから算出されるものである。演算により生成された生体データは、生体データDB122に記憶される。
【0035】
また、既知の学習器などにより、例えば測定データと、当該測定データに基づき生成された生体データ(例えば心拍情報や血圧情報など)と正の生体データ(例えば、既知の医療機器に基づく心拍情報や血圧情報など)との対応関係(例えば、誤差の程度や範囲を示す情報などが含まれていてもよい)により対応付けた教師データを基に機械学習モデルを予め作成し、生体データ生成部132は、当該機械学習モデルを用いた判定を上述の所定の演算(解析)として生体データを生成してもよい。
【0036】
ここで、測定データから生体データである最大血圧と最小血圧を算出する方法を例示する。図5は、図1の測定装置300で測定される心電波形及び脈波の例について説明するための図であり、測定装置300が測定し、記憶部120に記憶されたユーザの心電波形及び光電式容積脈波形と、アプリが光電式容積脈波形を時間で1階微分した速度脈波形及び、光電式容積脈波形を時間で2階微分した加速度脈波形を示している。図5は上から順に、心電波形、光電式容積脈波形、速度脈波形及び加速度脈波形となる。縦軸は、各波形の強度を示しており、心電波形及び光電式容積脈波形は電位を示すmVで表される。横軸は時間経過を示し、左から右へ時間経過を示している。
【0037】
心電波形は、人の心臓の拍動を引き起こす電気的信号の周期的変化を示す波形である。心電波形は、その形状の変曲点にそれぞれP波,Q波,R波,S波,T波の名称が割り当てられ、心拍の1サイクルを示している。P波は心房収縮を表し、Q波R波S波は心室収縮の状態を表し、T波は心室拡張の開始を表す。
【0038】
光電式容積脈波形は、人の心臓の拍動に伴う末梢血管系内の血圧・体積の変化を示す波形である。光電式容積脈波形は、その形状の変曲点にそれぞれA波、P波、V波、D波の名称が割り当てられ、心拍の1サイクルを示している。A波を動脈脈波が生じた時点の基準点として、P波が左心室駆出によって生じるPercussion波(衝撃波)、V波が大動脈弁の閉鎖時に生じるValley波(重複隆起による波)、D波が反射振動波であるDicrotic波(重複波)を示している。
【0039】
速度脈波形は、光電式容積脈波形を時間で1階微分をしたものである。加速度脈波形は、速度脈波形を時間で1階微分したもの、すなわち光電式容積脈波形を2階微分したものである。加速度脈波形は、図5で示すように、その波形の各ピークにa波(収縮初期陽性波)、b波(収縮初期陰性波)、c波(収縮中期再上昇波)、d波(収縮後期再下降波)、e波(拡張初期陽性波)、f波(拡張初期陰性波)の名称が割り当てられている。
【0040】
b波の強度とa波の強度の比、及びf波の強度とe波の強度の比はそれぞれ血管の伸縮性すなわち弾性を示すパラメータである。主な血管の成分は、血管内皮(Endothelium)、弾性線維(Elastin)、タンパク質(Collagen)、平滑筋(Smooth Muscle)である。これらの成分は、それぞれ異なった性質があり、最大血圧、最小血圧時の血管の弾性はそれぞれCollagen、Elastinが強い影響力を担っている。そのため、血圧値によって異なる弾性をb波の強度とa波の強度の比である(b/a),f波の強度とe波の強度の比である(f/e)のパラメータで示すことができ、年齢・性別・環境変数の影響によってもこれらの値は変動する。そのため、(b/a),(f/e)の値は、加速度脈波形の特性情報として算出することができる。
【0041】
図5で示すように、R波の生じた時間TrとP波の生じた時間Tpの差分の時間が心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSとなる。T波の生じた時間TtとD波の生じた時間Tdの差分の時間が心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAとなる。すなわち、心電波形のR波の時間Tr及びT波の時間Ttと、光電式容積脈波形のT波の時間TpとD波の時間Tdから、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAを算出することができる。
【0042】
また、脈波伝播速度と動脈壁の縦弾性係数との関係が所定の式で示される相関関係にあることが知られており、縦弾性係数と血圧値との関係も所定の式で示される相関関係にあることが知られている。そのため、最大血圧を心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSの所定の式で求めることが可能であり、最小血圧を心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの所定の式で求めることが可能である。これにより、最大血圧と最小血圧を算出することが可能である。
【0043】
また、測定データから生体データである歩行速度情報を算出する方法を例示する。例えばユーザが手首に装着している測定装置300により測定される加速度データの波形データから既知の算出方法等を単体で用いる、または、組み合わせて用いる(例えば平均化したり、重みづけしたりなど)ことにより歩行速度情報を得ることができ、例えば加速度データを所定時間ごとに積分することで歩行速度情報が算出される。これに加えて、ユーザ端末装置200または測定装置300にGPS機能を備え、GPSによる位置情報及び当該位置情報に関連する時間情報から算出される歩行速度情報を参照して、より正確な歩行速度情報を得るようにしてもよい。しかしながら、特に屋内や地下である場合や移動距離が比較的短い場合(例えば、数メートル以内など)にはGPS精度が一般的に低下するため、例えばユーザがユーザ端末装置200を操作してGPSによる情報を組み合わせて用いるか(または、加速度センサによる算出に代えて用いるか)どうかを選択可能にしてもよいし、ユーザ端末装置200においてGPSの受信感度情報や、GPSや加速度センサにより算出された距離情報などに基づいて、当該GPSによる情報を用いるかを選択するようにしてもよい。
【0044】
また、測定データから生体データである歩幅情報を算出する方法を例示する。例えばユーザが手首に装着している測定装置300により測定される加速度データの波形データから既知の算出方法等を単体で用いる、または、組み合わせて用いる(例えば平均化したり、重みづけしたりなど)ことにより歩幅情報を得ることができ、例えば、歩く時には振り子のように手を振るため、上述の加速度センサの情報(例えば、進行方向の加速度成分が一番小さいタイミングまたは逆方向に切り替わるタイミングや、進行方向に対して垂直な方向の加速度成分が一番小さいタイミングまたは上下が切り替わるタイミングなど)を基に1歩の間隔(すなわちピッチ情報)が判別できるため、さらに時間情報を用いれば歩幅情報を得ることができる。他には、例えば、地面を蹴り出した際には、蹴り出た方向の加速度成分が合成されるので、当該方向の加速度成分の発生タイミングで1歩の間隔を判別することでも可能である。
【0045】
また、測定データから生体データである活動量情報を算出する方法を例示すると、例えば日常的に装着している測定装置300により測定される加速度データを周波数解析し、例えば周波数の高低が活動頻度の高低に対応付けられ、所定頻度以上の活動が1日の何割を占めているか、などの所定条件により算出することで活動量情報を得ることができる。
【0046】
さらに、測定データから生体データである運動量情報を算出する方法を例示すると、例えば日常的に装着している測定装置300により測定される加速度データから既知の算出方法等により歩行を含む運動をしている際の加速度データを特定できるので、例えば周波数解析などを用いて所定の条件により算出することで運動量情報を得ることができる。また、角速度情報やタグ情報などの付加情報をさらに用いると、より正確な運動量情報を得ることが可能である。
【0047】
さらに、測定データから生体データである運動負荷量情報を算出する方法を例示すると、例えば日常的に装着している測定装置300により測定される加速度データから導出した上記活動量情報や上記運動量情報に対して、例えば運動負荷と共に大きくなる心拍情報により重みづけをすることで運動負荷量情報を得ることができる。また、例えば加速度データのベクトル情報を加味すれば、歩行環境(坂や階段など)や姿勢(立位、座位など)などの状態情報も特定できるので、当該状態情報をさらに用いてもよい。また、角速度情報やタグ情報などの付加情報をさらに用いると、より正確な運動負荷量情報を得ることが可能である。
【0048】
また、上述のGPSや加速度センサにより算出された距離情報や上述の歩幅情報及び歩数情報(例えば、加速度センサからの情報に基づき、既知の方法で取得可能)などに基づき算出される運動量情報や運動強度情報、運動負荷情報も生体データとして算出されてもよい。
【0049】
また、測定データから生体データである腎機能情報(例えば、腎機能の悪化度合いなど)を算出する方法を例示すると、例えば上述の血圧情報から所定時間分(好ましくは24時間分)の血圧推移情報を生成し、例えば130mmHgや140mmHgなどの医師や外部機関により設定された正常血圧上限値である基準血圧情報を超えた値と時間の積分値を求めることなどにより、正常血圧上限値である基準血圧情報を「どれくらい超過」し「どれくらいの時間分で超過が発生しているか」を算出する、いわゆるHyperbaric Indexを用いてもよい。そうして、1日の血圧負荷情報が算出され、当該血圧負荷情報から腎臓に対してどれだけの負荷がかかっているのかを推定し、その相対的な分量に対して腎機能の悪化度合いに関する腎機能情報を得ることができる。より具体的には、例えば、上前記積分値と腎機能の状態との対応関係情報を記憶することで、当該対応関係情報を参照して前記積分値に対応する腎機能情報を判定する(例えば積分値が大きいほど、腎機能の悪化度合いが高いといえる)。腎機能の悪化度合いは、任意のパラメータにより表現されていてよく、所定の数値であってもよいし、所定範囲の積分値ごとに規定されたランク(例えばAからFなど)であってもよい。通常Hyperbaric Indexを算出するためにカフ式の血圧計を用いてABPM法により実施されるが、カフ式の血圧計により24時間測定をするのは圧迫式ということもあり実態的には日常的な測定が難しいが、上述の血圧情報取得方法を有する計測装置(例えばウェアラブル計測装置)により、非圧迫で24時間測定が可能である。そして、拍動毎血圧を利用できることによる微細なHyperbaric Index値の変化が測定可能である。
【0050】
ここで、上述のとおり、例えばHyperbaric Indexを用いる場合、従来のABPM法による計測のように検査期間を設けてカフ式(すなわち圧迫式)を用いる場合と比較して、本情報処理システムの計測装置(特に非圧迫式)を用いることにより、ユーザが検査を意識せずに日常的な生活を通して計測が可能となるが、一方でユーザには検査時と同様に安静状態を維持するように生活してもらう必要が生じる。そこで、例えば、ユーザ端末装置200や計測装置300を操作することで検査モードを開始した場合において、運動量情報や運動強度情報などの運動情報と基準運動情報を比較し、基準運動情報を超える過度な運動を判定した場合に、ユーザ支援データ生成部133からユーザ端末装置200や計測装置300に運動に関するユーザ支援データ(過度な運動をしている旨の通知や検査基準を満たしていない旨のアラート通知などの通知データ)を生成するようにしてもよい。
【0051】
また、上記に代えて、または、併せて、過度な運動を判定した場合に、その時間に計測された血圧情報を削除または検査との紐づけを行わないなどして間引き補正を行うようにしてもよい。そして、任意の所定時間内における間引き補正後の血圧情報から時間推移の近似曲線を算出し、当該近似曲線のうち基準血圧情報を超えた部分に対する積分値を算出することで、補正された血圧負荷情報(例えば1日分)を生成するようにしてもよい。必要であれば、上記近似曲線をグラフにより示してもよく、間引き補正前後の血圧推移情報を比較可能に、両グラフを生成するようにしてもよい。これにより、ユーザはさらに検査を意識せずに日常的な生活が可能となる。なお、検査モードは明示的なモードに限らず、システム上で任意の所定のタイミングにおいて非明示的に実行されてもよい。
【0052】
ユーザ支援データ生成部133は、上述の腎機能情報(例えば、腎機能の悪化度合い)に基づくアドバイスやアラートなどを含むユーザ支援データを生成する。基準血圧情報は、予め生体データDB122に記憶させてもよく、測定開始までに記憶されていればよい。また、ユーザ支援データは、特に腎機能の悪化度合いが良くないと判定される場合には、慢性腎臓病の危険性があるとしてアラート通知を含んだり、アドバイス通知(例えば、生活習慣を変えることや通院を促すといったアドバイス通知など)を含んだりするものであり、ユーザ情報に関連付けられてユーザ支援データDB123に記憶される。さらに、ユーザ支援データのアドバイス通知やアラート通知などの内容情報は、腎機能の悪化度合いの程度に基づいて複数種類が用意されていてよく、例えば上述のランクごとに内容が異なるように設定されていてもよい。
【0053】
ユーザ支援データ生成部133は、例えば、常時装着している測定装置300による測定データから所定の周期(例えば、上述の所定時間より短い周期)で生成された血圧情報に基づき、ユーザの血圧推移データを生成する。そして、例えば、血圧の急上昇や急降下等の異常値をモニタリングし、当該異常値が発生した場合にはアラート通知を含むユーザ支援データを生成する。ユーザ支援データ生成部133は、ユーザ支援データとして、当該アラートに併せて、異常値前後の血圧推移データも生成してもよい。さらに、当該異常を検出した際には、制御部130により管理サーバ100から直接的に、または、ユーザ端末装置200若しくは測定装置300を介して間接的に、医療機関または近親者などユーザ情報に紐づけられた連絡先へ異常を示す通知(例えば、PCまたはスマートフォンなどのデバイスに記憶された所定のアプリケーションを介した通知や、メールアドレスを利用した通知など)を発信するように制御してもよい。これにより、血圧異常を早期に発見することが可能となり、特に急な発症によりユーザが連絡不能な状況であったとしても自動的に血圧異常を他者に通知が可能となる。なお、上述の所定の周期の時間を腎機能情報取得のための所定時間と同一または略同一に設定してもよく、腎機能の悪化度合いを推定するタイミングにおいて、所定時間内の血圧値や血圧推移波形の傾きの最大値(血圧推移の変化の最大値)も取得し、基準値やユーザの過去の平均値と比較して、所定値以上の差が表れている異常情報(例えば、異常と判定された血圧値及び発生時間)を付随的に判定するようにしてもよい。
【0054】
データ出力部134は、生体データやユーザ支援データをユーザ端末装置200へ出力する。ユーザ端末装置200においては、出力データを例えば専用のアプリケーションを介して画面に表示するなどしてユーザが容易に確認可能としても良い。
【0055】
入出力部140は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0056】
<処理の流れ>
図6を参照しながら、情報処理システム1が実行するデータ支援方法の処理の流れについて説明する。図6は、図1の情報処理システム1の処理の例を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS101の処理として、データ管理部131では、測定装置300を利用するユーザごとにアカウント情報が生成され、ユーザ端末装置200等から所定のユーザ情報を取得する。登録されたユーザ情報は、データ管理部131により、ユーザ情報DB124に記憶される。ステップS101の処理は、ユーザが測定装置300を利用するための前処理として行われてもよいし、ユーザが測定装置300を初めて利用する際に行われてもよい。
【0058】
ステップS102の処理として、ユーザが測定装置300を利用すると、測定データが測定装置300からユーザ端末装置200を介して管理サーバ100へ所定の周期ごとに送信され、通信部110を介して受信される。データ管理部131により、記憶部120の測定データDB121内においてユーザ情報に関連付けられて測定データが記憶される。
【0059】
ステップS103の処理として、生体データ生成部132により測定データが読み取られ、所定の演算等により生体データの生成が行われる。生成された生体データは、データ管理部131により、生体データDB122に記憶される。
【0060】
ステップS104の処理として、ユーザ支援データ生成部133により生体データが読み取られ、所定の演算等によりユーザ支援データの生成が行われる。生成されたユーザ支援データは、データ管理部131により、ユーザ支援データDB123に記憶される。
【0061】
ステップS105の処理として、データ出力部134により生体データおよび/またはユーザ支援データが読み取られ、ユーザ端末装置200へ出力される。
【0062】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報処理システムは、ユーザ支援データ生成部133を介して、測定データに基づき、特にユーザの腎機能の状態を示すためのユーザ支援データを生成する。これにより、例えば初期症状がほとんどない慢性腎臓病を早期に発見するためのアラートをユーザが簡単に取得することが可能となり、慢性腎臓病のリスクを低減することができる。
【0063】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 情報処理システム
100 管理サーバ
200 ユーザ端末装置
300 測定装置
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6