(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】運搬具
(51)【国際特許分類】
B65G 7/12 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
B65G7/12 C
(21)【出願番号】P 2021168568
(22)【出願日】2021-10-14
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-03-23
【審査請求日】2022-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521045678
【氏名又は名称】株式会社ホリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 宏道
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-141220(JP,U)
【文献】米国特許第04264081(US,A)
【文献】米国特許第05280933(US,A)
【文献】実公昭50-014817(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 7/12
B65D 6/00-13/02
B65D 21/00-21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薪用の運搬具であって、
左右方向に延びる前後一対の左右フレームを有し、前記薪が載置される載置フレームと、
前記載置フレームに連結され、上下方向に延びる前後一対の支柱本体をそれぞれ有する左右一対の支柱と、
前記前後一対の支柱本体の上端から上端にそれぞれ架け渡された左右一対の把持フレームと、
前記左右一対の支柱にそれぞれ固定され、別の前記運搬具の前記把持フレームを下方から差し込まれることにより、前記運搬具同士を上下に連結させる左右一対の差込部と、
前記前後一対の支柱本体と前記把持フレームとによって規定された開口部と、を備え
、
前記支柱本体は、前後方向内側に向かって傾斜しており、
前記左右一対の差込部は、左右方向に間隔をおいて配置された左右一対の平板部材をそれぞれ有し、
前記別の運搬具の前記把持フレームが前記左右一対の平板部材の間に差し込まれたとき、前記別の運搬具の前記前後一対の支柱本体の上部は、前記左右一対の平板部材の間に差し込まれ前記運搬具の前記前後一対の支柱本体の内側に隣接して配置されるよう構成されている
ことを特徴とする運搬具。
【請求項2】
前記左右一対の支柱は、前記載置フレームに倒立可能にそれぞれ連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の運搬具。
【請求項3】
薪用の運搬具であって、
左右方向に延びる前後一対の左右フレームを有し、前記薪が載置される載置フレームと、
前記載置フレームに連結され、上下方向に延びる前後一対の支柱本体をそれぞれ有する左右一対の支柱と、
前記前後一対の支柱本体の上端から上端にそれぞれ架け渡された左右一対の把持フレームと、
前記載置フレームまたは前記左右一対の支柱にそれぞれ固定され、別の前記運搬具の前記把持フレームを下方から差し込まれることにより、前記運搬具同士を上下に連結させる左右一対の差込部と、を備え、
前記載置フレームは、
前記左右フレームの端部から上方に延びる4つの上下フレームと、
前後の前記上下フレームの上端から上端にそれぞれ架け渡された左右一対の前後フレームと、をさらに有し、
前記左右一対の支柱は、前記前後一対の支柱本体の下端から前記載置フレームの左右方向中央に向かって延びる前後一対の底部フレームをそれぞれさらに有するとともに、前記前後一対の底部フレームを介して、軸部材によって前記左右フレームに倒立自在にそれぞれ連結されており、
前記前後一対の支柱本体は、前記前後フレームの左右方向内側にそれぞれ配置されており、前記前後フレームによって左右方向の揺動をそれぞれ規制されている
ことを特徴とす
る運搬具。
【請求項4】
前記前後一対の支柱本体にそれぞれ設けられ、前記前後一対の支柱本体が直立したとき、前記前後フレームにそれぞれ係止される左右一対の係止部をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の運搬具。
【請求項5】
前記左右一対の差込部は、前記前後一対の支柱本体が直立したとき、前記前後フレームに係止される係止部をそれぞれ有する
ことを特徴とする請求項3に記載の運搬具。
【請求項6】
前記左右一対の差込部は、さらに、前後に分離して構成されており、前記前後一対の支柱本体の下部にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の運搬具。
【請求項7】
前記左右一対の差込部は、正面視フレア状にそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の運搬具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪を運搬する運搬具に関する。
【背景技術】
【0002】
薪は、薪ストーブやロケットストーブといった暖房装置でカーボンニュートラル燃料として利用される。この種の薪は、乾燥させるために風通しのよい場所で保管する必要がある。そのため、薪は、通常、薪小屋や、屋外に設けられた薪用の薪棚で保存される。この薪棚としては、例えば、特許文献1に開示の薪棚がある。
【0003】
薪は、薪屋で買うことができるが、薪屋は、薪を薪屋の倉庫内からトラックで運搬し、ユーザの住宅に到着すると、トラックからユーザの薪棚に運ぶ。このとき、薪は、薪運搬用のザルやかごなどで運搬される。ユーザは、薪をかごで運搬するときには、薪を薪棚から取り出して床に置いてあるかごに入れ、そのかごを持ち上げて、暖房装置に隣接された薪用のラックまで運搬する。そして、ユーザは、かごを床に降ろし、薪をかごから薪用のラックに移動する。ユーザは、暖房装置に薪をくべ、ラックの薪がなくなると、薪棚から薪をラックに補充する。
【0004】
ところで、薪を入れたかごを運搬することは重労働であるし、薪棚からかごに移動したり、かごから薪用のラックに移動することも重労働である。したがって、これら薪を運搬する工程を効率化することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、効率的に薪を運搬することができる薪用の運搬具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る薪用の運搬具は、
左右方向に延びる前後一対の左右フレームを有し、薪が載置される載置フレームと、
載置フレームに連結され、上下方向に延びる前後一対の支柱本体をそれぞれ有する左右一対の支柱と、
前後一対の支柱本体の上端から上端にそれぞれ架け渡された左右一対の把持フレームと、
載置フレームまたは左右一対の支柱にそれぞれ固定され、別の運搬具の把持フレームを下方から差し込まれることにより、運搬具同士を上下に連結させる左右一対の差込部と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
上記運搬具は、好ましくは、
左右一対の支柱が、載置フレームに倒立可能にそれぞれ連結されている。
【0009】
上記運搬具は、好ましくは、
載置フレームが、
左右フレームの端部から上方に延びる4つの上下フレームと、
前後の上下フレームの上端から上端にそれぞれ架け渡された左右一対の前後フレームと、をさらに有し、
左右一対の支柱が、前後一対の支柱本体の下端から載置フレームの左右方向中央に向かって延びる前後一対の底部フレームをそれぞれさらに有するとともに、前後一対の底部フレームを介して、軸部材によって左右フレームに倒立自在にそれぞれ連結されており、
前後一対の支柱本体が、前後フレームの左右方向内側にそれぞれ配置されており、前後フレームによって左右方向の揺動をそれぞれ規制されている。
【0010】
上記運搬具は、例えば、
前後一対の支柱本体にそれぞれ設けられ、前後一対の支柱本体が直立したとき、前後フレームにそれぞれ係止される左右一対の係止部をさらに備える。
【0011】
上記運搬具は、好ましくは、
左右一対の差込部が、前後一対の支柱本体が直立したとき、前後フレームに係止される係止部をそれぞれ有する。
【0012】
上記運搬具は、好ましくは、
左右一対の差込部が、さらに、前後に分離してそれぞれ構成されており、前後一対の支柱本体の下部にそれぞれ設けられている。
【0013】
上記運搬具は、好ましくは、
左右一対の差込部が、正面視フレア状にそれぞれ形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る薪用の運搬具は、別の運搬具とともに上下に連結して積み重ねることにより、薪用の多段のラック、薪棚を形成することができる。したがって、薪屋およびユーザは、薪が収納された運搬具を運搬し、そのまま運搬具を薪棚、薪用のラックにすることができるので、薪を運搬するたびに薪を運搬具から薪棚に移動したり、薪棚から運搬具に移動したり、運搬具から薪用のラックに移動したりする作業を省略することができる。そのため、本発明に係る運搬具は、効率的に薪を運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る運搬具を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示された運搬具が薪を載置されるとともに積み重ねられたところを示す図である。
【
図5】
図1に示された運搬具が折りたたまれたところを示す正面図である。
【
図6】薪屋およびユーザによる運搬具の運用のサイクルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図を参照しながら、本発明に係る薪用の運搬具の一実施例について説明する。図中におけるX軸は左右方向を示し、Y軸は前後方向を示し、Z軸は上下方向を示している。また、各軸は、互いに直交している。
【0017】
図1および
図2に示すように、本実施例に係る運搬具Cは、載置フレーム1と、左右一対の支柱2と、左右一対の把持フレーム3と、左右一対の差込部4と、を備えている。
【0018】
載置フレーム1は、鉄棒、金属製のシャフト、パイプから構成されており、前後一対の左右フレーム10と、4つの上下フレーム11と、左右一対の前後フレーム12とを有する。左右フレーム10、上下フレーム11および前後フレーム12は、一体的に形成されているが単なる一例であって、別個独立に形成されるとともに互いに連結されていてもよい。
【0019】
前後一対の左右フレーム10は、間隔をおいて互いに平行に配置されており、左右方向にそれぞれ延びている。4つの上下フレーム11は、左右フレーム10の各端部から上方にそれぞれ延びている。左右一対の前後フレーム12は、前後の上下フレーム11の上端から上端にそれぞれ架け渡されている。左右フレーム10の上面に、薪が載置される。
【0020】
左右一対の支柱2は、金属製のパイプから構成されており、前後一対の底部フレーム20と、前後一対の支柱本体21と、補強フレーム22と、をそれぞれ有する。底部フレーム20、支柱本体21および補強フレーム22は、一体的に形成されているが単なる一例であって、別個独立に形成されるとともに互いに連結されていてもよい。
【0021】
前後一対の底部フレーム20は、左右フレーム10の内側に隣接し左右フレーム10に沿って左右方向にそれぞれ延びている。前後一対の底部フレーム20は、軸部材Bを介して倒立自在に左右フレーム10に連結されている。底部フレーム20の上面は、左右フレーム10の上面と同じ高さになるよう構成されている。
【0022】
前後一対の支柱本体21は、底部フレーム20と一体的に形成されており、前後フレーム12の内側に隣接し前後一対の底部フレーム20の外側端から上方にそれぞれ延びている。本実施例では、前後一対の支柱本体21は、前後方向内側に向かってそれぞれ傾斜しており、前後一対の支柱本体21全体で側面視ハの字状に形成されている。
【0023】
補強フレーム22は、底部フレーム20と一体的に形成されており、前後一対の底部フレーム20の内側端から内側端に延びている。
【0024】
左右一対の把持フレーム3は、金属製のパイプから構成されており、前後一対の支柱本体21と一体的にそれぞれ形成されている。把持フレーム3は、前後一対の支柱本体21の上端から上端に架け渡されている。把持フレーム3は、運搬具Cが運搬されるとき、ユーザによって把持される。把持フレーム3および支柱本体21は一体的に形成されているが単なる一例であって、別個独立に形成されるとともに互いに連結されていてもよい。
【0025】
図1および
図3に示すように、左右一対の差込部4は、前後に分離して、前後一対の支柱本体21の下部にそれぞれ溶接されている。差込部4は、左右方向内側に設けられた平板部材4aと、左右方向外側に設けられた平板部材4bとからそれぞれ構成されており、支柱本体21の下部にそれぞれ溶接されている。
図1~
図3に示すように、差込部4は、平板部材4a、4bによって正面視フレア状に形成されている。差込部4は、後で説明するように別の運搬具Cの把持フレーム3を差し込まれる。
【0026】
平板部材4aの上部4cは、正面視フック状に形成されており、支柱本体21が直立しているとき、前後フレーム12に係止され、支柱本体21の直立状態を安定させる。このフック状の部分4cが、本発明の「係止部」4cに相当する。
【0027】
ユーザは、左右フレーム10の上面に薪Wを載置するとともに把持フレーム3を把持して運搬具Cを持ち上げ、薪Wを運搬する。本実施例の運搬具Cでは、左右フレーム10が支柱本体21の左右方向の開きを規制し、かつ、係止部4cが支柱本体21の内側への揺動を規制しているので、支柱2の直立状態が安定している。しかも、底部フレーム20の上面は、左右フレーム10の上面と同じ高さになるよう構成されていることにより底部フレーム20にも薪Wが載置されるので、薪Wの重量によっても支柱2の揺動が規制される。これにより、ユーザは、適切に薪Wを運搬することができる。また、本実施例における運搬具Cは、女性でも持ち運べるよう小型に構成されているとともにパイプ状の素材によって軽量に構成されている。
【0028】
図4に示すように、左右一対の支柱2は、軸部材Bを支点に揺動することにより、内側に折りたたむことができる。本実施例では、支柱2は、前後一対の支柱本体21が側面視ハの字状に構成されているので、一方の支柱本体21の上部を、他方の支柱本体21の下部の内側に収納することができる。これにより、運搬具Cは、使用されないときには、コンパクトに収納することができる。
【0029】
図5に示すように、複数の運搬具Cは、下側の運搬具Cの把持フレーム3を、上側の運搬具Cの差込部4に差し込むことにより、積み重ねることができる。したがって、運搬具Cは、薪Wを運搬する運搬具Cであるとともに、薪Wを収納する薪棚および薪W用のラックとして機能することができる。
【0030】
これにより、
図6に示すように、薪屋Sは、本実施例に係る運搬具Cに薪Wを収納するとともに、当該薪Wを収納された複数の運搬具Cをトラックに積み込んで薪屋の倉庫からユーザUの住宅まで運搬することができる。そして、薪屋Sは、トラックから薪Wが収納された運搬具CをユーザUの家庭の所定の場所まで運んで、薪棚Tを形成することができる。これにより、薪屋Sは、トラックで運んできた薪Wをかごに載せる作業を省くことができる。しかも、薪屋Sは、薪WをかごからユーザUの薪棚Tへ載せ替える作業も省くことができる。
【0031】
ユーザUは、
図6に示すように、薪Wを暖房装置D近くまで運搬するときには、薪Wが収納された運搬具Cを持ち上げて暖房装置D近くまで運搬する。これにより、ユーザUは、薪Wを薪棚Tからかごに載せる作業を省くことができる。しかも、ユーザUは、薪Wをかごから薪用のラックRに載せ替える作業も省くことができる。さらには、薪Wが空になった運搬具Cは、支柱2を折りたたまれることにより、コンパクトに収納することができる。また、運搬具Cのさらなる効果として、運搬具Cは、薪Wを運搬する運搬具C、薪棚T、薪用のラックRを兼ねているので、それぞれ別個に購入する必要がなく、コスト的にも貢献しうる。その上、本実施例の運搬具Cによれば、薪Wが収納された運搬具Cの位置の変更を容易に行うことができるので、新しい薪Wが収納された運搬具Cを下にして古い薪Wが収納された運搬具Cを上にするなどの薪Wの整理も容易に行うことができる。さらに、運搬具Cによれば、ユーザが薪屋Sとの契約により空になった運搬具Cを薪屋Sに渡し、次の薪W購入時に薪Wが収納された状態で運搬具Cを返却してもらうといった一貫したサイクルを可能にする。薪屋Sにとっても得意先(ユーザU)をつなぎとめるメリットがある。
【0032】
以上、本発明の運搬具の一実施例について説明してきたが、本発明における運搬具は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、本発明の運搬具は、以下の変形例によって実施されてもよい。
【0033】
・運搬具Cの素材は、鉄、ステンレス、アルミ、ジュラルミン等の金属に限定されない。例えば、運搬具Cは、炭素ファイバー、木製でもよい。また、運搬具Cの各フレームの断面形状は、円形に限定されない。例えば、運搬具Cの各フレームの断面形状は、非円形でもよい。
【0034】
・係止部4cは、差込部4と別個独立して支柱本体21に設けられていてもよい。
【0035】
・補強フレーム22は、必須の構成ではない。例えば、補強フレーム22の代わりに左右フレーム10に係止される係止部が下部フレームに設けられていてもよい。
【0036】
・左右一対の差込部4は、例えば、前後に分離せずに前後の差込部4がそれぞれ一体的に形成され、前後方向に延びていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
C 運搬具
W 薪
B 軸部材
S 薪屋
T 薪棚
R 薪用のラック
U ユーザ
D 暖房装置
1 載置フレーム
10 左右フレーム
11 上下フレーム
12 前後フレーム
2 支柱
20 底部フレーム
21 支柱本体
22 補強フレーム
3 把持フレーム
4 差込部
4a、4b 平板部材
4c 係止部
【要約】
【課題】効率的に薪を運搬することができる薪用の運搬具を提供する。
【解決手段】運搬具Cは、載置フレーム1と、左右一対の支柱2と、左右一対の把持フレーム3と、差込部4と、を備える。載置フレーム1は、左右方向に延びるとともに薪が載置される前後一対の左右フレーム10を有する。左右一対の支柱2は、載置フレーム1に連結され上下方向に延びる前後一対の支柱本体21をそれぞれ有する。左右一対の把持フレーム3は、前後一対の支柱本体21の上端から上端にそれぞれ架け渡されている。差込部4は、支柱2に固定されており、別の運搬具Cの把持フレーム3を下方から差し込まれることにより、運搬具C同士を上下に連結させる。
【選択図】
図1