IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エイティー今藤の特許一覧

特許7097131羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法
<>
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図1
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図2
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図3
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図4
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図5
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図6
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図7
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図8
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図9
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図10
  • 特許-羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】羽毛の再生及び充填を連続して行う再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法
(51)【国際特許分類】
   B68G 3/10 20060101AFI20220630BHJP
   D06M 19/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B68G3/10
D06M19/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022010107
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2022-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505125727
【氏名又は名称】株式会社エイティー今藤
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】今藤 尚一
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-120992(JP,U)
【文献】特開昭57-185884(JP,A)
【文献】特開昭62-027982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B68G 3/00-12
D06M 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生対象の羽毛を貯留する貯留部と、
前記羽毛の再生処理を行う再生処理手段、及び前記再生処理を行うための再生処理空間を備えた再生部と、
前記再生処理が行われた前記羽毛を側生地の内部に充填する充填ノズルと、
前記貯留部に貯留された前記羽毛を前記再生処理空間に搬送するための第1搬送路を形成する中空の第1搬送路形成部材と、
前記再生処理が行われた前記羽毛を前記再生処理空間から前記充填ノズルに搬送するための第2搬送路を形成する中空の第2搬送路形成部材と、
前記第2搬送路形成部材に設けられた搬送ポンプと、
を備え、
前記第1搬送路、前記再生処理空間、及び前記第2搬送路は、前記搬送ポンプの作動によって前記貯留部から前記充填ノズルに向けて前記羽毛を搬送する一連の羽毛搬送路を構成し、
前記羽毛搬送路、及び前記充填ノズルは、前記貯留部に貯留された前記羽毛の前記再生処理空間への搬送、前記再生処理空間における前記羽毛の前記再生処理、及び前記再生処理が行われた前記羽毛の前記側生地の内部への充填が、前記搬送ポンプの作動によって連続して行われる構成を有し、
前記再生処理空間の横断面積は、前記第1搬送路、及び前記第2搬送路の横断面積よりも大きことを特徴とする羽毛の再生充填システム。
【請求項2】
前記再生部には、開口面積が前記第1搬送路の横断面積以下に定められ、且つ前記再生処理空間と外部空間との間を連通する空気流入孔を設け、
前記空気流入孔は、前記搬送ポンプの作動によって前記再生処理空間内の空気を旋回させる方向に、前記外部空間の空気を前記再生処理空間に流入させる構成を有することを特徴とする請求項1に記載の羽毛の再生充填システム。
【請求項3】
前記再生処理は、前記羽毛を加熱する処理を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の羽毛の再生充填システム。
【請求項4】
前記再生処理空間は、高さ方向に沿って延びており、
前記再生処理空間における前記第2搬送路の上流端の連通位置は、前記第1搬送路の下流端の連通位置よりも高いことを特徴とする請求項3に記載の羽毛の再生充填システム。
【請求項5】
再生対象の羽毛を貯留する貯留部と、
前記羽毛の再生処理を行う再生処理手段、及び前記再生処理を行うための再生処理空間を備えた再生部と、
前記再生処理が行われた前記羽毛を側生地の内部に充填する充填ノズルと、
前記貯留部に貯留された前記羽毛を前記再生処理空間に搬送するための第1搬送路を形成する中空の第1搬送路形成部材と、
前記再生処理が行われた前記羽毛を前記再生処理空間から前記充填ノズルに搬送するための第2搬送路を形成する中空の第2搬送路形成部材と、
前記第2搬送路形成部材に設けられた搬送ポンプと、
を備えた羽毛の再生充填システムによる羽毛の再生充填方法であって、
前記第1搬送路、前記再生処理空間、及び前記第2搬送路は、前記搬送ポンプの作動によって前記貯留部から前記充填ノズルに向けて前記羽毛を搬送する一連の羽毛搬送路を構成し、
前記再生処理空間の横断面積は、前記第1搬送路、及び前記第2搬送路の横断面積よりも大きく、
前記搬送ポンプの作動により、前記貯留部に貯留された前記羽毛の前記再生処理空間への搬送、前記再生処理空間における前記羽毛の前記再生処理、及び前記再生処理が行われた前記羽毛の前記側生地の内部への充填を連続して行わせ、
前記再生処理空間における前記羽毛の搬送速度を、前記第1搬送路、及び前記第2搬送路における前記羽毛の搬送速度よりも低くしたことを特徴とする羽毛の再生充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽毛の再生、及び再生後の羽毛の側生地への充填を連続して行う羽毛の再生充填システム、及び羽毛の再生充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
羽毛は吸湿性や保温性等に優れ、また軽量であるため、布団、枕、クッション等、各種の製品に使用されている。羽毛を中材として使用した羽毛製品は、長年に亘って使用されることで、羽毛を収容した側生地とその内部に充填された羽毛が汚れて痛み、本来の性能を発揮できない状態になることがある。そこで、汚れて痛んだ羽毛を羽毛製品から取り出して再生処理が行われる。そして、再生処理後の羽毛を新たな側生地に充填することによって羽毛製品を再生産することが知られている。
【0003】
特許文献1には、羽毛製品から取り出した羽毛を再生処理して新たな側生地に充填する羽毛処理装置が記載されている。この羽毛処理装置は、羽毛布団を解体する解体室と、解体室で羽毛布団から取り出した羽毛を再生処理する加工装置と、加工装置で再生処理した羽毛を羽毛回収袋に回収する回収装置と、羽毛回収袋に回収した羽毛を新たな側生地に充填する充填装置と、を備えている。
この羽毛処理装置では、加工装置で再生処理された羽毛を回収装置に取り付けた羽毛回収袋に回収し、羽毛回収袋内の羽毛を充填装置が備える収容部に移し替えて側生地に充填している。また、この羽毛処理装置は、蒸気、オゾン、及び熱風が供給され、且つ羽毛を撹拌する撹拌室を備えている。羽毛は、撹拌室内で撹拌されている間に再生(除菌、消臭殺菌、及び乾燥)される。
【0004】
特許文献2には、羽毛製品の再生システムが記載されている。この再生システムは、羽毛布団に充填されていた羽毛を取り出して処理袋に収容する解体部と、処理袋に収容された羽毛を洗浄して脱水する洗濯機と、処理袋に収容された羽毛を温風によって乾燥させる乾燥部と、乾燥後の羽毛を新たな羽毛布団用の側生地に充填する充填部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-17754公報
【文献】特許第6671666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した各特許文献では、羽毛の再生処理と羽毛の充填処理とを別工程に分けて行っていた。例えば、特許文献1の羽毛処理装置では、加工装置で再生した羽毛を羽毛回収袋に回収し、羽毛回収袋に収納された状態で充填装置に移送して側生地への充填を行っていた。同様に、特許文献2の再生システムでも、解体部で取り出した羽毛を処理袋に回収し、処理袋に入れた状態の羽毛を洗濯機で洗濯し、乾燥機で乾燥させていた。その後、充填部において、乾燥後の羽毛を処理袋から移し替えて側生地に充填していた。
【0007】
従来技術において、羽毛の再生処理と羽毛の充填処理とを別工程にしていた理由の一つは、大量の羽毛を扱うことが前提になっていたからである。すなわち、大量の羽毛を再生するための設備は大がかりであるため、再生処理は専用の工場で行うことが望ましい。この場合、工場で再生された羽毛は梱包状態で布団の製造工場に運搬され、製造工場において側生地に充填される。
羽毛の再生処理と羽毛の充填処理とを別工程にしていた別の理由は、羽毛の再生に必要な処理時間を確保するためである。羽毛の再生処理は、例えばオゾンによる殺菌や温風による加熱によって行われるが、羽毛の再生を確実に行うためには十分な処理時間が必要である。一方、羽毛を側生地の内部に充填する際には、羽毛を空気と共にノズルから勢いよく吐出させる必要がある。羽毛を勢いよく吐出させるためには空気の流速を高める必要があることから、従来技術によって羽毛の再生処理と羽毛の充填処理とを連続的に行ってしまうと、羽毛の再生に必要な処理時間の確保が困難になってしまう。
【0008】
また、店舗等においては、使用済みの羽毛製品(例えば羽毛布団)から羽毛を取り出し、取り出した羽毛を再生し、再生した羽毛を新たな側生地に充填することにより、羽毛製品を再生産する需要がある。
羽毛製品の再生産では、使用済みの羽毛製品を取り扱っているため、一回の再生産で取り扱う羽毛製品は少量(例えば1枚の羽毛布団)である。少量の羽毛製品を取り扱うことから、羽毛の再生処理と充填処理とを連続して行うことができれば、処理の効率化が図れる。しかしながら、従来技術では、このような羽毛製品の再生産の需要に応えることは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、店舗等において、羽毛の再生処理と充填処理とを連続して行えるようにし、羽毛の再生及び充填の処理効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る羽毛の再生充填システムは、再生対象の羽毛を貯留する貯留部と、前記羽毛の再生処理を行う再生処理手段、及び前記再生処理を行うための再生処理空間を備えた再生部と、前記再生処理が行われた前記羽毛を側生地の内部に充填する充填ノズルと、前記貯留部に貯留された前記羽毛を前記再生処理空間に搬送するための第1搬送路を形成する中空の第1搬送路形成部材と、前記再生処理が行われた前記羽毛を前記再生処理空間から前記充填ノズルに搬送するための第2搬送路を形成する中空の第2搬送路形成部材と、前記第2搬送路形成部材に設けられた搬送ポンプと、を備え、前記第1搬送路、前記再生処理空間、及び前記第2搬送路は、前記搬送ポンプの作動によって前記貯留部から前記充填ノズルに向けて前記羽毛を搬送する一連の羽毛搬送路を構成し、前記羽毛搬送路、及び前記充填ノズルは、前記貯留部に貯留された前記羽毛の前記再生処理空間への搬送、前記再生処理空間における前記羽毛の前記再生処理、及び前記再生処理が行われた前記羽毛の前記側生地の内部への充填が、前記搬送ポンプの作動によって連続して行われる構成を有し、前記再生処理空間の横断面積は、前記第1搬送路、及び前記第2搬送路の横断面積よりも大きことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る羽毛の再生充填システムによれば、羽毛の再生及び充填の処理効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る羽毛の再生充填システムを示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る羽毛の再生充填システムの概略構成を説明する図である。
図3】(a)は再生部の斜視図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(b)のB-B断面図である。
図4】再生処理空間における羽毛の移動を説明する部分拡大図である。
図5】再生処理空間における羽毛の移動を説明する断面図である。
図6】本発明の第2実施形態の説明図であり、(a)は再生部の斜視図、(b)は(a)のC-C断面図、(c)は(b)のD-D断面図である。
図7】再生処理空間における羽毛の移動を説明する部分拡大図である。
図8】再生処理空間における羽毛の移動を説明する断面図である。
図9】充填再生システムの第1変形例の説明図であり、(a)は再生部の縦断面図、(b)は(a)のE-E断面図、(c)は(b)のF-F矢視図である。
図10】充填再生システムの第2変形例の要部を説明する斜視図である。
図11】(a)は再生部の縦断面図、(b)は電磁バルブを全開にした状態の説明図、(c)は電磁バルブを全閉にした状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<再生充填システム1の特徴について>
最初に羽毛の再生充填システム1の特徴について説明する。なお、再生充填システム1の詳細については後で詳しく説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る羽毛の再生充填システム1を示す斜視図、図2は、本発明の第1実施形態に係る羽毛の再生充填システム1の概略構成を説明する図である。
図1及び図2に例示した再生充填システム1は、例えば寝具類の販売店舗や羽毛製品の製造工場に設置される。この再生充填システム1は、再生対象の羽毛DWを貯留する貯留部10と、羽毛DWの再生処理(未使用の羽毛DWや使用済み羽毛DWに対して不用物の除去、洗浄、殺菌、乾燥、及び芳香付与等を行うことにより、製品に使用可能な状態にする精毛処理、及び使用済み羽毛DWを製品出荷時の状態に近づける回復処理を含む。以下同様)を行う再生部(処理部)20と、再生処理が行われた羽毛DWを側生地FBの内部に充填する充填ノズル30と、貯留部10に貯留された羽毛DWを再生部20に搬送するための上流側搬送管40、及び接続用配管72の組(第1搬送路形成部材)と、再生処理が行われた羽毛DWを再生部20から充填ノズル30に搬送するための下流側搬送管50(第2搬送路形成部材)と、下流側搬送管50に設けられた搬送ポンプ60と、を備えている。
【0013】
貯留部10は、再生前の羽毛DWを貯留する貯留容器11を含む。
再生部20は、羽毛DWの再生処理を行うための再生処理手段(例えば、ドライヤー22、オゾン発生器23、加湿器24等)と、再生処理を行うための再生処理空間70と、上流側搬送管40の上流側部分(第1の上流側搬送管41)と下流側部分(第2の上流側搬送管42)とが接続される接続用配管72と、を備えている。
上流側搬送管40は、可撓性を有する蛇腹ホースや可撓性を有さない樹脂製丸管等の中空部材によって作製されており、内部空間が羽毛DWの搬送路(第1搬送路)である。上流側搬送管40の上流側端部は貯留容器11の内部空間(羽毛DWの貯留空間)に配置されており、上流側搬送管40の下流端は再生部20の再生処理空間70に連通されている。接続用配管72は、上流側搬送管40と共に羽毛DWの搬送路(第1搬送路)を構成する。
【0014】
下流側搬送管50は、上流側搬送管40と同様に、蛇腹ホースや樹脂製丸管等の中空部材によって作製されており、内部空間が羽毛DWの搬送路(第2搬送路)である。下流側搬送管50の上流端は再生部20の再生処理空間70に連通されており、下流側搬送管50の下流端は充填ノズル30に接続されている。
搬送ポンプ60は、下流側搬送管50の途中(第1の下流側搬送管51と第2の下流側搬送管52の間)に設けられており、下流側搬送管50の内部空間(第2搬送路)の圧力を変化させることにより、再生部20から充填ノズル30に向かう空気の流れを生じさせる。例えば、搬送ポンプ60は、第1の下流側搬送管51の内部空間(第2搬送路の上流側部分)の空気を吸い込み、第2の下流側搬送管52の内部空間(第2搬送路の下流側部分)に向けて排出する。搬送ポンプ60の出力は、例えばインバータ62によって調整可能である。
【0015】
上流側搬送管40の内部空間、接続用配管72の内部空間、再生処理空間70、及び下流側搬送管50の内部空間の組は、搬送ポンプ60の作動によって貯留部10から充填ノズル30に向けて羽毛DWを搬送する一連の羽毛搬送路を構成する。
図2に示すように、再生処理空間70の横断面積S70は、上流側搬送管40の内部空間の横断面積(第1搬送路の横断面積)S40、及び下流側搬送管50の内部空間の横断面積(第2搬送路の横断面積)S50よりも大きい。
【0016】
この再生充填システム1では、再生対象の羽毛DWを貯留部10に貯留した状態で搬送ポンプ60を作動させることにより、再生処理空間70を負圧にして再生対象の羽毛DWを貯留部10から再生処理空間70に流入させる。
再生処理空間70に流入した羽毛DWは下流側搬送管50の上流端に向かって移動し、再生処理空間70を移動している間に羽毛DWの再生処理(温風による加熱、オゾンによる殺菌、霧状の水による加湿等)が行われる。
再生された羽毛DWは、下流側搬送管50を通じて充填ノズル30に向かって搬送される。充填ノズル30に到達した羽毛DWは、充填ノズル30から吐出されて側生地FBに充填される。
【0017】
羽毛DWの側生地FBへの充填に掛かる時間を短縮するため、羽毛DWは、充填ノズル30から側生地FBに向けて高い速度で吐出される。これに伴い、下流側搬送管50の内部空間における羽毛DWの搬送速度V50も高くなる。
ここで、再生処理空間70の横断面積S70は下流側搬送管50の内部空間の横断面積S50よりも大きいため、再生処理空間70における羽毛DWの搬送速度V70は下流側搬送管50における搬送速度V50よりも低くなる。従って、この再生充填システム1では、充填ノズル30から羽毛DWを高い速度で吐出させても、再生処理空間70において羽毛DWの再生に必要な滞留時間を確保できる。
【0018】
また、上流側搬送管40の内部空間の横断面積S40は再生処理空間70の横断面積S70よりも小さいため、上流側搬送管40内の空気の流速(言い換えれば、上流側搬送管40の内部空間における羽毛DWの搬送速度V40)を、貯留部10に貯留された羽毛DWを再生処理空間70に搬送するために必要な速度以上にできる。従って、この再生充填システム1では、再生処理空間70において羽毛DWの再生に必要な滞留時間を確保しても、貯留部10に貯留した羽毛DWを再生処理空間70に対して効率よく搬送することができる。
その結果、この再生充填システム1を用いることにより、羽毛DWの再生処理と充填処理とを連続して行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0019】
<再生充填システム1の詳細について>
以下、再生充填システム1の実施形態について詳しく説明する。但し、各実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。また、一の実施形態に記載される構成要素は、適用に支障がない場合には他の実施形態への適用を妨げられない。
【0020】
<第1実施形態>
上述したように、図1及び図2に示す再生充填システム1は、貯留部10、再生部20、充填ノズル30、上流側搬送管40、下流側搬送管50、及び搬送ポンプ60を備えている。以下、各部について説明する。
【0021】
<貯留部10>
第1実施形態において貯留部10は、上面開口を備えた箱形状(直方体形状)の貯留容器11と、貯留容器11の底面に設けられた重量計測部12と、重量計測部12と電気的に接続された表示部13と、重量計測部12の底面側に設けられたキャスター14(車輪)と、を備えている。
【0022】
例示した貯留容器11は、例えば店舗に持ち込まれた羽毛製品(例えば使用済みの羽毛布団)から取り出された羽毛DWと補充用の羽毛DWとを貯留可能な大きさ、言い換えれば側生地FBに充填される量の羽毛DWを貯留可能な大きさであり、図1の例では一辺が90cm乃至100cm程度の箱形状である。
なお、貯留容器11は、側生地FBに充填される量の羽毛DWを内部空間に貯留できれば箱形状でなくてもよい。例えば、貯留容器11を袋形状にしてもよい。
【0023】
重量計測部12は、貯留容器11に貯留された羽毛DW(処理前羽毛DW)の重量を計測する。キャスター14は、貯留容器11、及び重量計測部12の移動を容易にする。
表示部13は、重量計測部12が計測した羽毛DWの重量を表示する。本実施形態において、表示部13は重量計測部12に対してケーブルを介して接続されており、且つキャスター15a付きのスタンド15に取り付けられている。
【0024】
<再生部20の概要>
第1実施形態において再生部20は、内部に再生処理空間70を備えたキャビネット21と、温風を排出するドライヤー22と、オゾンを発生するオゾン発生器23と、水を霧状にして放出する加湿器24と、ドライヤー22、オゾン発生器23、及び加湿器24とキャビネット21との間に設けられる配管群25と、を備えている。
図1に示すように、キャビネット21は複数横並びに設置されており、各キャビネット21の構造は同一である。このため、キャビネット21は、個別に羽毛DWの再生処理を行うことができる。例えば、キャビネット21毎に特定の種類の羽毛DWを再生することにより、異なる種類の羽毛DWが混ざり合ってしまう不都合を抑制できる。また、特定のキャビネット21を新品の羽毛製品の製造用に使用することもできる。
【0025】
キャビネット21は、例えば中空であって縦長の直方体形状を有している。キャビネット21の内部空間には夾雑物(羽軸を備え、且つ羽毛DWよりも重いフェザー等の不用物)を捕捉するための夾雑物捕捉部71が取り付けられている。再生処理空間70は、キャビネット21の内部空間における夾雑物捕捉部71よりも上側の部分である。
夾雑物捕捉部71よりも下方の位置には、接続用配管72がキャビネット21の前後方向を貫いた状態で取り付けられている。この接続用配管72は、上流側搬送管40の上流側部分(第1の上流側搬送管41)と下流側部分(第2の上流側搬送管42)と接続される部材であり、例えば樹脂製丸管や金属製丸管によって作製されている。なお、キャビネット21の正面下部と背面下部のそれぞれに上流側搬送管40用の挿通孔を設けて、上流側搬送管40を挿通させてもよい。このように構成することにより、接続用配管72を省略することができる。
キャビネット21の背面上部には、第1の搬送管接続部73が設けられている。第1の搬送管接続部73には、上流側搬送管40の下流端(第2の上流側搬送管42の下流端)が接続される。キャビネット21の正面中心部には、第2の搬送管接続部74が設けられている。第2の搬送管接続部74には、下流側搬送管50の上流端(第1の下流側搬送管51の上流端)が接続される。
【0026】
ドライヤー22は、羽毛DWを乾燥させるための温風を排出する装置である。例えば、ドライヤー22は、外部から取り込んだ空気をヒーターで加熱することにより温風を排出する。羽毛DWは、温風を吹き付けられることによって殺菌され、且つ毛が膨らんだ状態になる。オゾン発生器23は、羽毛DWを殺菌するためのオゾンを発生する装置である。例えば、オゾン発生器23は、誘電体に覆われた電極間に交流電圧を印加して無声放電を生じさせ、無声放電が生じている空間に空気を通すことによってオゾンを発生させる。羽毛DWは、オゾンが作用することによって殺菌され、且つ消臭される。加湿器24は、水を霧状にして放出する装置である。例えば、加湿器24は、超音波振動子によって水に振動を与えることによって水を霧状にする。羽毛DWは霧状の水を含むことにより、適度な含水量に調整され、且つ静電気が防止される。
なお、再生処理空間70に対して、温風、オゾン、及び霧状の水以外のものを供給してもよい。例えば、再生処理空間70に対して、羽毛DWの臭いを軽減するための消臭剤や羽毛DWに芳香を付与するための芳香剤を供給してもよい。
【0027】
配管群25は、ドライヤー22が排出した温風を再生処理空間70に供給するための温風用配管25aと、オゾン発生器23が発生したオゾンを再生処理空間70に供給するためのオゾン用配管25bと、加湿器24が放出した霧状の水を再生処理空間70に供給するための加湿用配管25cと、を含む。
本実施形態において、温風用配管25a、及び加湿用配管25cには樹脂製丸管や金属製丸管が用いられている。また、オゾン用配管25bには耐オゾン性を有した素材の丸管が用いられている。耐オゾン性を有した素材としては、例えばフッ素樹脂やPFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)樹脂が挙げられる。
各配管25a乃至25cの途中には電磁バルブ(不図示)が設けてあり、ドライヤー22が排出した温風、オゾン発生器23が発生したオゾン、及び加湿器24が放出した霧状の水の供給対象となる再生処理空間70が選択される。なお、温風等の供給対象となる再生処理空間70が選択できれば、電磁バルブ以外の構成を採ってもよい。
各配管25a乃至25cの下流端はキャビネット21の天板に取り付けられている。搬送ポンプ60の作動によって再生処理空間70が負圧になると、各配管25a乃至25cから再生処理空間70に温風、オゾン、及び霧状の水が流入する。
なお、再生部20の詳細については後述する。
【0028】
<充填ノズル30>
充填ノズル30は、側生地FBの内部空間に挿入され、且つ先端開口31aから羽毛DWを吐出する吐出管31と、吐出管31の基端から連続して設けられ、吐出管31から離れるにつれて拡開するテーパー管部32と、略90度屈曲した屈曲管によって構成され、テーパー管部32の基端から連続して設けられたエルボー部33とを備えている。
充填ノズル30は、例えば側生地FBへの羽毛DWの充填作業を行うための作業台81に取り付けられている。本実施形態において充填ノズル30は、充填ノズル30のエルボー部33が作業台81の天板81aに取り付けられている。
【0029】
<上流側搬送管40>
図2に示すように、上流側搬送管40は、上流側端部が貯留容器11の内部空間に配置され、且つ下流端が接続用配管72の上流端に接続された第1の上流側搬送管41と、上流端が接続用配管72の下流端に接続され、且つ下流端が第1の搬送管接続部73に接続された第2の上流側搬送管42と、を備えている。
第1の上流側搬送管41、接続用配管72、及び第2の上流側搬送管42の組により、貯留容器11の内部空間と再生部20の再生処理空間70との間が連通される。言い換えれば、第1の上流側搬送管41、接続用配管72、及び第2の上流側搬送管42の組は、貯留部10と再生部20との間に設けられ、貯留部10に貯留された羽毛DWを再生処理空間70に搬送するための第1搬送路を形成する中空の第1搬送路形成部材に対応する。
なお、上述したように、キャビネット21の正面下部と背面下部のそれぞれに挿通孔(不図示)を設け、1本の上流側搬送管40をキャビネット21の前後方向に沿って挿通することにより、接続用配管72を省略してもよい。
【0030】
<下流側搬送管50、及び搬送ポンプ60>
下流側搬送管50は、上流端が第2の搬送管接続部74に接続され、且つ下流端が搬送ポンプ60に接続された第1の下流側搬送管51と、上流端が搬送ポンプ60に接続され、且つ下流端が充填ノズル30に接続された第2の下流側搬送管52と、を備えている。従って、搬送ポンプ60は、第1の下流側搬送管51と第2の下流側搬送管52との間に配置されている。
下流側搬送管50(第1の下流側搬送管51、第2の下流側搬送管52)により、再生部20の再生処理空間70と充填ノズル30の内部空間との間が連通される。言い換えれば、下流側搬送管50は、再生部20と充填ノズル30との間に設けられ、且つ再生処理が行われた羽毛DWを再生処理空間70から充填ノズル30に搬送するための第2搬送路を形成する中空の第2搬送路形成部材に対応する。
搬送ポンプ60は、第1の下流側搬送管51の内部空間(第2搬送路の上流側部分)の羽毛DWや空気を、第2の下流側搬送管52の内部空間(第2搬送路の下流側部分)に向けて排出する。搬送ポンプ60は、第1の下流側搬送管51の羽毛DWや空気を吸い込んで第2の下流側搬送管52に向けて排出可能なものが用いられる。例えば、搬送ポンプ60は、羽根車をモータで回転させる一般的な構成のものが使用できる。本実施形態では、交流電源61と搬送ポンプ60との間にインバータ62を介在させており、インバータ62によって搬送ポンプ60の出力(羽毛DWの搬送速度)が調整可能である。
【0031】
<羽毛DWの再生と充填>
以上の構成を備えた再生充填システム1では、例えば、使用済みの羽毛製品(例えば羽毛布団)から取り出した羽毛を再生し、再生後の羽毛を新たな側生地に充填する。なお、再生充填システム1を、未使用の羽毛DWの側生地FBへの充填に用いてもよい。
再生充填システム1によって羽毛DWの再生処理及び充填処理を行う場合には、最初に、再生対象の羽毛DW(処理前羽毛)を貯留部10の貯留容器11に貯留する。この場合、重量計測部12によって羽毛DWの重量を計測して規定重量の羽毛DWを貯留する。
なお、新たな側生地FBに対して、使用済みの羽毛製品から取り出された羽毛DWの量が不足している場合には、不足分の羽毛DWを補充する。すなわち、貯留容器11には、側生地FBに充填される量の羽毛DWを貯留する。
【0032】
羽毛DWを貯留したならば、搬送ポンプ60を作動させる。この再生充填システム1において、上流側搬送管40の内部空間(第1搬送路)、接続用配管72の内部空間(第1搬送路)、再生処理空間70、及び下流側搬送管50の内部空間(第2搬送路)は、搬送ポンプ60の作動によって貯留容器11から充填ノズル30に向けて羽毛DWを搬送する一連の羽毛搬送路を構成する。
搬送ポンプ60を作動させると、第1の上流側搬送管41の上流端から内部に空気が流入する。この状態で第1の上流側搬送管41の上流端を貯留容器11に貯留された羽毛DWの直上に位置付けると、上側の羽毛DWから順に第1の上流側搬送管41の内部へ吸い込まれる。第1の上流側搬送管41内に吸い込まれた羽毛DWは、接続用配管72の内部空間、及び第2の上流側搬送管42の内部空間を通じて再生処理空間70に流入する。
【0033】
再生処理空間70に流入した羽毛DWに対しては、再生処理空間70の移動中に亘って再生処理が行われる。例えば、羽毛DWは、ドライヤー22が排出した温風によって加熱され、且つオゾン発生器23が排出したオゾンによって殺菌される。また、羽毛DWには、必要に応じて、加湿器24が放出した霧状の水によって水分が与えられたり、図示しない芳香剤によって芳香が付与されたりする。
再生処理空間70にて再生処理が行われた羽毛DW(処理後羽毛)は、第1の下流側搬送管51の内部空間を通って搬送ポンプ60に吸い込まれた後、第2の下流側搬送管52の内部空間を通って充填ノズル30に圧送される。その後、羽毛DWは、充填ノズル30から吐出されて側生地FBに充填される。
【0034】
以上の再生充填システム1では、羽毛DWの再生処理と羽毛DWの側生地FBへの充填処理とが連続して行われる。この場合において、充填ノズル30から側生地FB内に排出される羽毛DWには十分な速度が必要であるのに対し、再生処理空間70を移動する羽毛DWには十分な処理時間が必要になる。
本実施形態の再生充填システム1では、このような事情に鑑み、再生処理空間70の横断面積S70を、上流側搬送管40の内部空間の横断面積(第1搬送路の横断面積)S40、及び下流側搬送管50の内部空間の横断面積(第2搬送路の横断面積)S50よりも大きくすることにより、再生処理空間70における羽毛DWの搬送速度V70(下向きの移動速度)を上流側搬送管40、及び下流側搬送管50の各内部空間における搬送速度V40、V50よりも低くしている。
この構成により、充填ノズル30から側生地FBに排出される羽毛DWや貯留部10から再生処理空間70に搬送される羽毛DWには十分な速度を与えることができ、且つ再生処理空間70において羽毛DWの再生に必要な処理時間を確保できる。その結果、羽毛DWの再生処理と側生地FBへの充填処理とを連続して行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0035】
<再生部20の詳細>
再生処理空間70における羽毛DWの滞留時間を確保するため、再生部20は再生処理空間70内の空気を旋回させる構成を備えている。
以下、再生部20について詳細に説明する。図3(a)は再生部20の斜視図、図3(b)は図3(a)のA-A断面図、図3(c)は図3(b)のB-B断面図、図4は再生処理空間70における羽毛DWの移動を説明する部分拡大図、図5は再生処理空間70における羽毛DWの移動を説明する断面図である。
【0036】
図3(a)乃至(c)に示すように、再生部20が備えるキャビネット21は、例えば幅が45cm、奥行きが60cm、高さが200cmの縦長直方体形状をしており、厚さが1cmの木製の板材によって作製されている。キャビネット21の内部であって高さ方向の中間よりも下側の位置には、再生処理空間70から落下してきた夾雑物を捕捉するための夾雑物捕捉部71が取り付けられている。再生処理空間70はキャビネット21の内部であって夾雑物捕捉部71よりも上側の部分であり、再生処理空間70にて羽毛DWの再生が行われる。
再生処理空間70は高さ方向に沿って延びており、その横断面積S70は2494cmである。図2に示す再生処理空間70の横断面積S70は、上流側搬送管40の横断面積S40、及び下流側搬送管50の横断面積S50よりも大きい。本実施形態において、上流側搬送管40、及び下流側搬送管50は、内径が12cmの蛇腹管を使用しており、その横断面積S40、S50は113cmである。このような蛇腹管は、建物のダクト等に広く用いられている。
【0037】
キャビネット21の正面に配置された前面板21aは、縦長長方形状の板材によって作製されており、上側半部には窓板21cを装着するための開口部21bが形成されている。窓板21cは例えば透明なガラス板や合成樹脂板によって作製されており、窓板21cを通じて再生処理空間70が外部から視認可能に構成されている。
前面板21aにおける高さ方向の中間位置であって正面から見て左側部には、前面板21aを貫通して設けられ、再生処理空間70と外部空間との間を連通する空気流入孔21dが設けられている。空気流入孔21dは、羽毛DWの再生時において、再生処理空間70内の空気を旋回させるために設けられている。すなわち、羽毛DWの再生時には、再生処理空間70内が負圧になるため、空気(外気)EAが空気流入孔21dを通じて再生処理空間70内に流入する(図4を参照)。再生処理空間70内の空気は、空気流入孔21dを通じて流入した空気EAによって流れ方向が定められ、再生処理空間70内を旋回する。
本実施形態において、空気流入孔21dは、例えば内径が5mmの円形状の開口であるが、開口面積が上流側搬送管40の内部空間の横断面積以下の開口であればよい。空気流入孔21dの開口形状も円形に限られない。例えば、空気流入孔21dをスリット状の開口にしてもよい。
【0038】
キャビネット21の正面側中心部には、第1の下流側搬送管51の上流端が接続される第2の搬送管接続部74が取り付けられている。
第2の搬送管接続部74には、例えば第1の下流側搬送管51と同じ内径とされた金属製の短尺丸管が使用される。本実施形態の第2の搬送管接続部74は、内径が12cm、長さが10cmのステンレス鋼製の丸管が使用されている。
なお、第2の搬送管接続部74は、第1の下流側搬送管51の上流端が接続できれば他の構成を採ってもよい。例えば、樹脂製の短尺丸管を使用してもよいし、樹脂製の継手を使用してもよい。
【0039】
キャビネット21の正面右下の隅角部には、キャビネット21を前後方向に貫通する接続用配管72が取り付けられている。接続用配管72の前端には第1の上流側搬送管41の下流端が接続され、接続用配管72の前端には第2の上流側搬送管42の上流端が接続される。
本実施形態において接続用配管72には、上流側搬送管40、及び下流側搬送管50と同じ内径とされた樹脂製の短尺丸管が使用されている。具体的には、接続用配管72には、内径が12cm、長さが70cmの樹脂製丸管(例えば、塩化ビニル樹脂製やポリプロピレン樹脂製の丸管)が使用されており、キャビネット21の前面、及び背面の夫々から5cm程度外方へ突出した状態で取り付けられている。
なお、接続用配管72は、上流側搬送管40が接続できれば他の構成を採ってもよい。例えば、金属製の丸管を使用してもよいし、両端に樹脂製の継手を取り付けた蛇腹管を使用してもよい。
【0040】
キャビネット21の背面板21eの右上隅角部には、第2の上流側搬送管42の下流端が接続される第1の搬送管接続部73が取り付けられている。第1の搬送管接続部73には、例えば第2の上流側搬送管42と同じ内径とされた金属製の短尺丸管が使用される。本実施形態の第1の搬送管接続部73は、内径が12cm、長さが10cmのステンレス鋼製の丸管が使用されている。
なお、第1の搬送管接続部73は、第2の上流側搬送管42の下流端が接続できれば他の構成を採ってもよい。例えば、樹脂製の短尺丸管を使用してもよいし、樹脂製の継手を使用してもよい。
【0041】
背面板21eの高さ方向の中間位置であって正面から見て左側部には、背面板21eを貫通して設けられ、再生処理空間70と外部空間との間を連通する空気流入孔21fが設けられている。空気流入孔21fは、空気流入孔21dと同様に、羽毛DWの再生時において、再生処理空間70内の空気を旋回させるために設けられている。
空気流入孔21fの開口面積は、空気流入孔21dと同様に上流側搬送管40の内部空間の横断面積以下に定められている。空気流入孔21fは、例えば内径が5mmの円形状の開口であるが、開口面積が上流側搬送管40の内部空間の横断面積以下であればよい。空気流入孔21fの開口形状も円形に限られない。例えば、空気流入孔21fをスリット状の開口にしてもよい。
【0042】
図3(b)、(c)に示すように、夾雑物捕捉部71は、キャビネット21内における第2の搬送管接続部74よりも下方に設けられている。
夾雑物捕捉部71は、キャビネット21内の前後左右の各内壁面から中心部に向かって下り傾斜したスロープ面を形成するスロープ部71aと、スロープ部71aの下端に設けられ、スロープ面に沿って滑り落ちてきた夾雑物が集積される集積部71bと、を備えている。
本実施形態の集積部71bは、上面が開放された箱状体によって作製されているが、夾雑物を集積できれば他の構成を採ってもよい。例えば、集積部71bを、スロープ部71aの下端部分に対して着脱自在に取り付けられる袋体によって構成してもよい。
【0043】
背面板21eには、2つの開閉扉75、76が、上下方向に沿って並んだ状態で設けられている。
上側に設けられた上側開閉扉75は再生処理空間70に対応して設けられており、例えば再生処理空間70側から羽毛DWの詰まり等を除去する際に開放される。
下側に設けられた下側開閉扉76は夾雑物捕捉部71に対応して設けられており、例えば夾雑物捕捉部71に捕捉された夾雑物を取り出す際に開放される。
【0044】
<再生処理空間70における羽毛DWの再生>
次に、再生処理空間70における羽毛DWの再生について説明する。
図2に示すように、羽毛DWを再生する場合には、最初に、貯留容器11の内部に羽毛DWを貯留し、且つ第1の上流側搬送管41の上流側端部を貯留容器11の内部に配置する。
この状態で搬送ポンプ60を作動させると、第1の下流側搬送管51の内部空間の空気が搬送ポンプ60に吸い出されて再生処理空間70が負圧になる。再生処理空間70が負圧になると上流側搬送管40の内部空間、及び接続用配管72の内部空間が負圧になり、上流側搬送管40、及び接続用配管72を通じて空気が再生処理空間70に流入する。すなわち、上流側搬送管40内の空気が貯留容器11から再生処理空間70に向かって流れる。
貯留容器11に貯留された羽毛DWは、第1の上流側搬送管41の上流端から空気とともに吸い込まれ、上流側搬送管40、及び接続用配管72の内部空間を移動して再生処理空間70に放出される。
【0045】
図4に示すように、再生処理空間70が負圧になると、空気流入孔21d、21fを通じてキャビネット21の外部から空気EAが再生処理空間70に流入する。
そして、第2の上流側搬送管42の下流端が背面板21eの右上隅角部の第1の搬送管接続部73に取り付けられており、空気流入孔21dが前面板21aの中間高さの左側部に設けられ、且つ空気流入孔21fが背面板21eの中間高さの右側部に設けられていることから、図4中に矢印で記載したように、再生処理空間70において空気は、上方から見て時計回りに旋回する。
空気の旋回に伴い、再生処理空間70に流入した羽毛DWも上方から見て時計回りに旋回する。従って、図5中に矢印で記載したように、羽毛DWは再生処理空間70を旋回しながら降下する。
【0046】
本実施形態では、2つの空気流入孔21d、21fが前面板21aの中間高さ、言い換えれば再生処理空間70の下端高さに設けられているため、羽毛DWが再生処理空間70の下端隅角部(前面左下隅角部、前面右下隅角部、背面左下隅角部、背面右下隅角部)に位置しても、各空気流入孔21d、21fから流入した外気によって移動し、空気と共に旋回する。このため、羽毛DWが再生処理空間70の下端隅角部に溜まってしまう不都合を抑制できる。
【0047】
羽毛DWは、再生処理空間70を降下している最中に再生される。具体的には、再生処理空間70において羽毛DWに対し、温風の吹き付けと、オゾンによる殺菌とが行われる。また、必要に応じて、再生処理空間70に霧状の水が放出され、羽毛DWの水分量が高められたり、芳香が付与されたりする。
なお、羽毛DWよりも重い夾雑物Xは、再生処理空間70に流入した後に落下して夾雑物捕捉部71に捕捉される。
【0048】
図1図2に示すように、再生処理が行われた羽毛DWは、下流側搬送管50から充填ノズル30に流入し、充填ノズル30から側生地FB内に充填される。ここで、羽毛DWを側生地FB内の隅々までに効率よく充填するために、羽毛DWは充填ノズル30から側生地FB内に対して充填に適した速度で吐出される。
なお、羽毛DWの吐出速度は、インバータ62による搬送ポンプ60の出力を変更することによって調整できる。
【0049】
この再生充填システム1では、羽毛DWを充填ノズル30から充填に適した速度で吐出させるため、下流側搬送管50における羽毛DWの搬送速度も高くなる。
ここで、図2に示すように、この再生充填システム1では、再生処理空間70の横断面積S70が下流側搬送管50の内部空間の横断面積S50よりも大きいため、再生処理空間70における羽毛DWの搬送速度V70(具体的には、再生処理空間70における下方向への移動速度)を低く抑えることができる。さらに、図5に示すように、再生処理空間70において羽毛DWを旋回させているので、限られた高さの再生処理空間70であっても羽毛DWの再生に必要な滞留時間を確保できる。
従って、この再生充填システム1では、羽毛DWを充填ノズル30から充填に適した速度で吐出させても、再生処理空間70において羽毛DWの再生処理に必要な滞留時間を確保できる。
【0050】
また、図2に示すように、この再生充填システム1では、上流側搬送管40の内部空間の横断面積S40が再生処理空間70の横断面積S70よりも小さいため、上流側搬送管40における空気の流速(羽毛DWの搬送速度V40)を再生処理空間70における羽毛DWの搬送速度V70よりも高くすることができる。
従って、この再生充填システム1では、再生処理空間70において羽毛DWの再生処理に必要な滞留時間を確保しても、貯留部10に貯留した羽毛DWを再生処理空間70に効率よく搬送することができる。
その結果、この再生充填システム1では、羽毛DWの再生処理と側生地FBへの充填処理とを連続して行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、この再生充填システム1において、再生処理空間70は高さ方向に沿って延びており、再生処理空間70における下流側搬送管50の連通位置(具体的には、第1の下流側搬送管51の上流端が接続される第2の搬送管接続部74の取り付け位置)は、上流側搬送管40の連通位置(具体的には、第2の上流側搬送管42の下流端が接続される第1の搬送管接続部73の取り付け位置)よりも下側であるため、羽毛DWは再生処理空間70を下方へ移動しながら再生される。
このように、羽毛DWが再生処理空間70を下方へ移動しながら再生されるため、再生部20が備えるキャビネット21の前後方向の寸法や左右方向の寸法を必要最小限に抑えることができ、複数のキャビネット21を横並びに設置しても設置に必要な床面積が過度に広くなる不都合が抑制される。
【0052】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の再生充填システム100について説明する。図6(a)は再生部120の斜視図、図6(b)は図6(a)のC-C断面図、図6(c)は図6(b)のD-D断面図、図7は再生処理空間170における羽毛DWの移動を説明する部分拡大図、図8は再生処理空間170における羽毛DWの移動を説明する断面図である。
第2実施形態の再生充填システム100において、第1実施形態の再生充填システム1との違いは再生部120にある。そこで、主として再生部120について説明をし、他の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
図6(a)乃至(c)に例示した再生部120は、内部に再生処理空間170を備えたキャビネット121を備えている。キャビネット121の各部寸法は第1実施形態のキャビネット21と同じである。このため、再生処理空間170の横断面積は、上流側搬送管40の内部空間の横断面積、及び下流側搬送管50の内部空間の横断面積よりも大きい。
キャビネット121の内部には、第1実施形態の夾雑物捕捉部71と同様に夾雑物捕捉部171が取り付けられており、キャビネット121の内部空間における夾雑物捕捉部171よりも上側の部分が再生処理空間170である。
【0054】
再生処理空間170の下端部には、温風を上方に向けて排出可能な温風排出管125aを取り付けている。キャビネット121の外部にはドライヤー122が設置されており、ドライヤー122が生成した温風が温風供給ホース125bを通じて温風排出管125aに供給されている。
再生処理空間170を区画するキャビネット121の内壁面(例えば背面側の内壁面)には2つの棚126(126a、126b)が設けられており、一方の棚126aにはオゾン発生器123が載置され、他方の棚126bには加湿器124が載置されている。
オゾン発生器123はオゾンを再生処理空間170に放出し、加湿器124は霧状の水分を再生処理空間170に放出する。
【0055】
キャビネット121の正面右下の隅角部には、第1実施形態の接続用配管72と同様に、キャビネット121を前後方向に貫通する接続用配管172が取り付けられている。接続用配管72の前端には第1の上流側搬送管41の下流端が接続され、接続用配管72の前端には第2の上流側搬送管42の上流端が接続される。
キャビネット121の背面板121eにおける高さ方向の中間であって右側部には、第2の上流側搬送管42の下流端が接続される第1の搬送管接続部173が取り付けられている。また、背面板121eにおける右上隅角部には空気流入孔121fが設けられている。第2実施形態の空気流入孔121fは、第1実施形態の空気流入孔21fと同様に、直径5mmの円形開口によって設けられているが、当該大きさ、及び当該形状に限定されない。さらに、背面板121eには、第1実施形態と同様に、2つの開閉扉175、176が、上下方向に沿って並んだ状態で設けられている。
キャビネット121の前面板121aにおける上端部であって左右中央には、第1の下流側搬送管51の上流端が接続される第2の搬送管接続部174が取り付けられている。
キャビネット121の前面板121aにおける左上隅角部には、空気流入孔121dが設けられている。第2実施形態の空気流入孔121dは、第1実施形態の空気流入孔21dと同様に、直径5mmの円形開口によって設けられているが、当該大きさ、及び当該形状に限定されない。
なお、各空気流入孔121d、121fに関し、第1実施形態の空気流入孔21d、21fと同様に再生処理空間70の下端高さに設けてもよい。このように構成することにより、羽毛DWが再生処理空間70の下端隅角部に溜まってしまう不都合を抑制できる。
【0056】
<再生処理空間170における羽毛DWの再生処理>
次に、再生処理空間170における羽毛DWの再生処理について説明する。
第2実施形態の再生充填システム100において羽毛DWを再生する場合には、第1実施形態の再生充填システム1と同様に、最初に、貯留容器11の内部に羽毛DWを貯留し、且つ第1の上流側搬送管41の上流側端部を貯留容器11の内部に配置する(図2を参照)。
この状態で搬送ポンプ60を作動させると、再生処理空間170が負圧になり、第1の搬送管接続部173(上流側搬送管40)を通じて羽毛DWが再生処理空間170に流入し、且つ空気流入孔121d、及び空気流入孔121fを通じて空気EAが再生処理空間170に流入する。
【0057】
第1の搬送管接続部173が背面板121eにおける右部の高さ方向の中間に取り付けられており、空気流入孔121dが前面板121aにおける左上隅角部に設けられており、空気流入孔121fが背面板121eにおける右上隅角部に設けられていることから、再生処理空間170において空気は、上方から見て時計回りに旋回する。空気の旋回に伴い、再生処理空間170に流入した羽毛DWも上方から見て時計回りに旋回する。
さらに、図8に示すように、再生処理空間170における下流側搬送管50の連通位置(具体的には、第1の下流側搬送管51の上流端が接続される第2の搬送管接続部174の取り付け位置)は、上流側搬送管40の連通位置(具体的には、第2の上流側搬送管42の下流端が接続される第1の搬送管接続部173の取り付け位置)よりも上側であるため、羽毛DWは再生処理空間170を旋回しながら上昇する。
【0058】
再生処理空間170を上昇している最中に、羽毛DWに対する再生処理(羽毛DWに対する温風の吹き付け、オゾンによる殺菌)が行われる。また、必要に応じて、再生処理空間170に霧状の水が排出され、羽毛DWの水分量が高められる。
そして、第1の下流側搬送管51の上流端の高さ位置まで上昇した羽毛DWが充填ノズル30に向けて搬送される。言い換えれば、再生処理空間170では、再生処理によって十分に軽くなった羽毛DWが選別される。
第2実施形態の再生充填システム100でも、再生処理空間170の横断面積が下流側搬送管50の内部空間の横断面積よりも大きいため、再生処理空間170における羽毛DWの移動速度V170(具体的には、再生処理空間170における上方向への移動速度、図6(c)参照)を低く抑えることができる。
従って、第2実施形態の再生充填システム100でも、再生処理空間170において羽毛DWの再生処理に必要な滞留時間を確保できる。
なお、羽毛DWよりも重い夾雑物Xは、再生処理空間170に流入した後に落下して夾雑物捕捉部171に捕捉される。ここで、第2実施形態の再生充填システム100では、再生処理空間170において羽毛DWを上昇させる構成であるため、羽毛DWと夾雑物Xとを確実に分離することができる。
【0059】
<第1変形例>
前述した各実施形態の再生充填システム1、100において、キャビネット21、121は中空であって縦長の直方体形状を有している。このため、再生処理空間70、170における前後左右の各隅角部には、空気の旋回流による影響を受け難い淀みが生じ得る。羽毛DWが淀みに入り込んでしまうと、羽毛DWの再生処理空間70、170からの取り出しが困難になる場合がある。
図9(a)乃至(c)は第1実施形態の第1変形例の再生充填システム1’の説明図であり、再生部20’の内部構成を説明する図である。第1変形例の再生充填システム1’において、第1実施形態の再生充填システム1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
再生部20’は、内部空間に旋回流の淀みに対応した構成を備えている。具体的には、再生処理空間70における前後左右の各隅角部に、各隅角部を覆う縦長長方形状の整流板77を取り付けている。整流板77を取り付けたことにより、羽毛DWが淀みに留まり難くなり、羽毛DWが再生処理空間70に留まる不都合を抑制できる。
【0060】
また、第1変形例の再生部20’では、キャビネット21の左側面の奥側上部に配管群25(温風用配管25a、オゾン用配管25b、加湿用配管25c)の下流端を接続しており、且つ空気流入孔21d、21fを省略している。
この再生部20’では、再生処理空間70が負圧になると配管群25の下流端から空気が流入し、再生処理空間70の空気を旋回させる。このため、再生部20’によれば、構成の簡素化が図れる。
【0061】
<第2変形例>
前述した各実施形態の再生充填システム1、100において、各キャビネット21、21’の中から何れのキャビネット21、21’を使用するかの選択は、上流側搬送管40、及び下流側搬送管50を装着する接続部73、74、173、174を選択することによって行っていた。しかしながら、使用するキャビネット21、21’の選択はこの方法に限定されない。
以下、使用するキャビネット21の選択方法に特徴を有する第2変形例について説明する。図10は、第2変形例の充填再生システム1”の要部を説明する斜視図、図11(a)は再生部20”の縦断面図、(b)は電磁弁78Uを全開にした状態の説明図、(c)は電磁弁78Uを全閉にした状態の説明図である。
【0062】
図10に示すように、再生部20”は、第2の搬送管接続部74に上側電磁弁78Uを設け、接続用配管72に下側電磁弁78Dを設け、且つコントローラ(不図示)によってこれらの電磁弁78U、78Dを制御する。
第1の上流側搬送管41”の下流端は枝分かれしており、各キャビネット21の接続用配管72に接続されている。同様に、第1の下流側搬送管51”の上流端も枝分かれしており、各キャビネット21の第2の搬送管接続部74に接続されている。
【0063】
上側電磁弁78Uは第2の搬送管接続部74の流路を開閉し、下側電磁弁78Dは接続用配管72の流路を開閉する。本実施形態において、これらの電磁弁78U、78Dは同じ構成であるため、上側電磁弁78Uについて説明し、下側電磁弁78Dについては説明を省略する。
上側電磁弁78Uは、電動タイプのバタフライバルブであり、例えば、第2の搬送管接続部74の内部空間に回動可能な状態で設置されたディスク78aと、ディスク78aに固定された円柱状部材によって作製され、端部が第2の搬送管接続部74の外部に突出されたステム78bと、第2の搬送管接続部74の外部においてステム78cの端部に固定されたモータ78cと、を備えている。
【0064】
図11(a)に示す上側電磁弁78Uの全開状態では、ディスク78aが第2の搬送管接続部74の軸線に沿って平行に位置付けられており、第2の搬送管接続部74の内部空間において空気や羽毛DWが最も効率よく流通する。
図11(b)に示す上側電磁弁78Uの全閉状態では、ディスク78aが第2の搬送管接続部74の軸線と直交する向きに位置付けられており、第2の搬送管接続部74の内部空間において空気や羽毛DWの流通が遮断される。
【0065】
従って、コントローラは、羽毛DWの再生処理を行う再生部20”が備える各電磁弁78U、78Dを全開に制御し、他の各電磁弁78U、78Dを全閉に制御する。その結果、各キャビネット21の中から選ばれた任意のキャビネット21によって羽毛DWの再生処理が行える。
【0066】
<その他の変形例について>
第1実施形態の再生充填システム1では、第1の上流側搬送管41の下流端を接続用配管72の上流端に接続し、第1の下流側搬送管51の上流端を第2の搬送管接続部74に接続していたが、この構成に限定されない。例えば、第1の上流側搬送管41の下流端を第2の搬送管接続部74に接続し、第1の下流側搬送管51の上流端を接続用配管72の上流端に接続してもよい。
このように構成すると、第2の搬送管接続部74から再生処理空間70の下端部に流入した羽毛DWは、再生処理空間70の中を旋回しながら上昇し、第1の搬送管接続部73から第2の上流側搬送管42、及び接続用配管72を通じて第1の下流側搬送管51に流入する。従って、第2実施形態の再生充填システム100と同様に、再生処理によって十分に軽くなった羽毛DWを選別することができる。
なお、第1の上流側搬送管41の下流端を第2の搬送管接続部74に接続し、第1の下流側搬送管51の上流端を接続用配管72の上流端に接続する構成において、配管群25(温風用配管25a、オゾン用配管25b、加湿用配管25c)の下流端は、再生処理空間70の下端部に連通させることが望ましい。その理由は、再生処理空間70において、羽毛DWに対して温風、オゾン、霧状の水を十分に接触させるためである。
【0067】
前述の各実施形態及び各変形例における再生部20、20’、20”、120のキャビネット21、121は、中空の縦長直方体形状をしていたが、この構成に限定されない。例えば、キャビネット21、121を円筒形状に作製してもよい。
前述の各実施形態及び各変形例において、空気流入孔21d、21f、121d、121fの個数及び位置は、再生処理空間70、170の空気を旋回させることができれば、前述の例に限定されない。
前述の各実施形態及び各変形例において、再生処理空間70、170は上下方向に沿って延びていたが、この構成に限定されない。例えば、再生処理空間70、170は水平方向に沿って延びていてもよいし、高低差を付けた斜め方向に沿って延びていてもよい。
前述の各実施形態及び各変形例では空気流入孔21d、121dを有していたが、空気流入孔21d、121を省略してもよい。
前述の各実施形態及び各変形例では夾雑物捕捉部71、171を設けていたが、夾雑物捕捉部71、171を省略してもよい。
前述の各実施形態及び各変形例において、再生充填システム1、1’、1”、100は、寝具類の販売店舗に設置されていたが、設置場所は寝具類の販売店舗に限られない。
【0068】
[本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ]
<第1の実施態様>
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100は、再生対象の羽毛DWを貯留容器11に貯留する貯留部10と、羽毛DWの再生処理を行う再生処理手段(ドライヤー122、オゾン発生器123、加湿器124)、及び再生処理を行うための再生処理空間70、170を備えた再生部20、120と、再生処理が行われた羽毛DWを側生地FBの内部に充填する充填ノズル30と、貯留容器11に貯留された羽毛DWを再生処理空間70に搬送するための第1搬送路を形成する中空の第1搬送路形成部材(第1の上流側搬送管41、接続用配管72、172、及び第2の上流側搬送管42の組)と、再生処理が行われた羽毛DWを再生処理空間70、170から充填ノズル30に搬送するための第2搬送路を形成する中空の第2搬送路形成部材(下流側搬送管50)と、第2搬送路形成部材に設けられた搬送ポンプ60と、を備えている。
そして、第1搬送路(上流側搬送管40、及び接続用配管72、172の内部空間)、再生処理空間70、及び第2搬送路(下流側搬送管50の内部空間)は、搬送ポンプ60の作動によって貯留部10(貯留容器11)から充填ノズル30に向けて羽毛DWを搬送する一連の羽毛搬送路を構成し、再生処理空間70の横断面積S70は、第1搬送路、及び第2搬送路の横断面積S40、S50よりも大きく、再生処理空間70における羽毛DWの搬送速度V70、V170は、第1搬送路、及び第2搬送路における羽毛DWの搬送速度V40、V50よりも低いことを特徴とする。
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100によれば、羽毛DWの再生処理と羽毛DWの側生地FBへの充填処理とを連続で行っても、充填ノズル30から側生地FBの内部に排出される羽毛DWには十分な速度を与えることができ、且つ再生処理空間70、170を移動する羽毛DWには十分な処理時間を与えることができる。その結果、羽毛DWの再生と充填処理の効率を向上させることができる。
【0069】
<第2の実施態様>
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100において、再生部20、120には、開口面積が第1搬送路の横断面積以下に定められ、且つ再生処理空間70、170と外部空間との間を連通する空気流入孔21dを設け、搬送ポンプ60の作動によって第1搬送路と空気流入孔21dの夫々から再生処理空間70、170へ空気を流入させることにより、再生処理空間70、170内の空気を旋回させている。
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100によれば、再生処理空間70、170において羽毛DWを旋回させているので、羽毛DWの再生に必要な滞留時間の確保が容易になる。
【0070】
<第3の実施態様>
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100において、再生処理空間70、170は、高さ方向に沿って延びており、再生処理空間70、170における第2搬送路の上流端の連通位置(第2の搬送管接続部74、174の取り付け位置)は、第1搬送路の下流端の連通位置(第1の搬送管接続部73、173の取り付け位置)とは高さが異なっており、再生処理空間70、170において、羽毛DWは高さ方向に沿って移動することを特徴としている。
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100によれば、再生処理空間70、170において羽毛DWが高さ方向に沿って移動するため、再生部20、120(キャビネット21、121)の前後方向の寸法、及び左右方向の寸法を必要最小限に抑えることができる。
【0071】
<第4の実施態様>
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム100において、再生処理空間170における第2搬送路の上流端の連通位置(第2の搬送管接続部174の取り付け位置)は、第1搬送路の下流端の連通位置(第1の搬送管接続部173の取り付け位置)よりも高いことを特徴としている。
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム100によれば、再生処理空間170における第2搬送路の上流端の連通位置が第1搬送路の下流端の連通位置よりも高いため、再生処理によって十分に軽くなった羽毛DWを選別することができる。
【0072】
<第5の実施態様>
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100において、再生処理空間70、170よりも下方には、前記第2搬送路に流入せずに落下した夾雑物Xを捕捉する夾雑物捕捉部71、171を設けたことを特徴としている。
本態様に係る羽毛DWの再生充填システム1、1’、1”、100によれば、再生処理空間70、170から落下した夾雑物Xを夾雑物捕捉部71、171によって効率よく捕捉できる。
【符号の説明】
【0073】
1,1’,1”,100…再生充填システム,10…貯留部,11…貯留容器,12…重量計測部,13…表示部,14…キャスター,15…スタンド,15a…スタンドのキャスター,20,20’,20”,120…再生部,21,121…キャビネット,21a,21f…前面板,21b…開口部,21c…窓板,21d,121d…空気流入孔,21e,21e…背面板,21f,121f…空気流入孔,22,122…ドライヤー,23,123…オゾン発生器,24,124…加湿器,25…配管群,25a…温風用配管,25b…オゾン用配管,25c…加湿用配管,125a…温風排出管,125b…温風供給ホース,126(126a,126b)…棚,30…充填ノズル,31…吐出管,31a…吐出管の先端開口,32…テーパー管部,33…エルボー部,40…上流側搬送管,S40…上流側搬送管の内部空間の横断面積,41…第1の上流側搬送管,42…第2の上流側搬送管,50…下流側搬送管,S50…下流側搬送管の内部空間の横断面積,51…第1の下流側搬送管,52…第2の下流側搬送管,60…搬送ポンプ,61…交流電源,62…インバータ,70,170…再生処理空間,S70…再生処理空間の横断面積,71,171…夾雑物捕捉部,71a…スロープ部,71b…集積部,72,172…接続用配管,73,173…第1の搬送管接続部,74,174…第2の搬送管接続部,75…上側開閉扉,76…下側開閉扉,77…整流板,78U,78D…電磁弁,81…作業台,81a…作業台の天板,DW…羽毛,FB…側生地,X…夾雑物
【要約】
【課題】羽毛の再生及び充填の処理効率を向上させる。
【解決手段】再生充填システム1は、羽毛DWの再生処理空間70を備えた再生部20と、羽毛DWを再生処理空間70に搬送するための第1搬送路を形成する上流側搬送管40等と、羽毛DWを再生処理空間70から充填ノズル30に搬送するための第2搬送路を形成する下流側搬送管50と、下流側搬送管50に設けられた搬送ポンプ60と、を備える。第1搬送路、再生処理空間70、及び第2搬送路は、搬送ポンプ60の作動によって貯留部から充填ノズルに向けて羽毛を搬送する一連の羽毛搬送路を構成する。再生処理空間70の横断面積S70は、第1搬送路、及び第2搬送路の横断面積S40、S50よりも大きく、再生処理空間70における羽毛の搬送速度V70は、第1搬送路、及び第2搬送路における羽毛DWの搬送速度V40、V50よりも低い。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11