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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】引込み可能な流動体塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B43K 24/08 20060101AFI20220630BHJP
   B43K 5/18 20060101ALI20220630BHJP
   B43K 5/17 20060101ALI20220630BHJP
   B43K 8/04 20060101ALI20220630BHJP
   B05C 17/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B43K24/08 150
B43K24/08 100
B43K5/18 140
B43K5/17
B43K8/04 100
B05C17/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019510427
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017048246
(87)【国際公開番号】W WO2018039369
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】62/378,459
(32)【優先日】2016-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519053555
【氏名又は名称】フロコン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088029
【弁理士】
【氏名又は名称】保科 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】バロット,ステファン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】フォーシェラー,ロバート,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】エクストロム,フレッド,エム.
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/063775(WO,A1)
【文献】特表2010-516500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251484(US,A1)
【文献】特開2008-188781(JP,A)
【文献】特開2015-083388(JP,A)
【文献】特開2011-206926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 7/00 - 21/00
B43K 1/00 - 1/12
5/00 - 8/24
21/00 - 21/26
24/00 - 24/18
27/00 - 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構成および条件を備えることを特徴とする、改良された、引込み可能な流動体塗布装置。
・第1と第2の端部の間を連絡する内部流路をもつ外部ボディ。
・その外部ボディの内周に位置する内部ボディ。
・供給タンクと、排出タンクと、それらのタンクの間に配置した供給弁とをもち、前記内部ボディに支持されている塗布手段。
・前記外部ボディの内部に、前記塗布手段をスライド可能に支持する引込み機構であり、その引込み力を与える引込みばねを前記外部ボディの内周と前記内部ボディの外周との間に配置する引込み機構。
・前記外部ボディの端部に近接したところに位置する、引込み弁。
・引込みアクチュエータの第1の押下げにより、前記引込み弁を開いて前記塗布手段を伸ばした状態に動かし、塗布具の先端部を塗布すべき表面に押し下げることにより、前記塗布具の基部端部の側の前記供給弁を開き、塗布液を前記供給タンクから前記排出タンクに流して、前記塗布具の先端部から塗布液を供給すること。
・引込みアクチュエータの第2の押下げにより、前記塗布手段を引込み状態に動かし、しかも、前記引込み弁を閉じて前記外部ボディの内部に前記塗布具の先端部を囲い込むこと。
【請求項2】
前記供給弁を閉じ状態にする力を与える供給弁ばねと、前記塗布手段を引込み状態にする力を与える引込みばねとを備える、請求項1の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項3】
前記引込みアクチュエータは、前記外部ボディの前記第1の端部の近くに配置されている、請求項1の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項4】
前記引込み弁は、前記外部ボディの前記第2の端部の近くに配置されている、請求項1の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項5】
前記引込み弁は、前記塗布手段を通して前記引込みアクチュエータと協力し合う、請求項1の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項6】
次の構成および条件を備えることを特徴とする、改良された、引込み可能な流動体塗布装置。
・第1と第2の端部の間を連絡する内部流路をもつ外部ボディ。
・その外部ボディの内周に位置する内部ボディ。
・塗布手段であって、供給タンクおよび排出タンクと、それらのタンクの間に配置した供給弁と、基部端部および先端部をもち、前記塗布手段の内部にスライド可能に配置された塗布具とを含み、さらに、前記塗布具の基部端部が前記供給弁にかみ合い、しかも、前記塗布具の先端部は前記塗布手段から伸びており、その塗布手段は、前記内部ボディに支持されている、塗布手段。
・前記外部ボディの内部に、前記塗布手段をスライド可能に支持する支持部材、および、前記塗布手段を、その塗布手段が前記外部ボディの内部に位置する引込み状態と、前記塗布具の先端部が前記外部ボディの前記第2の端部から伸びる状態とに動かす引込みアクチュエータを含み、その引込みアクチュエータに引込み力を与える引込みばねを前記外部ボディの内周と前記内部ボディの外周との間に配置する、引込み機構。
・前記外部ボディの端部に近接したところに位置し、前記引込みアクチュエータと協力し合う、引込み弁であって、次のAおよびBを充足する引込み弁。
A 前記引込みアクチュエータの第1の押下げにより、前記引込み弁を開いて前記塗布手段を伸ばした状態に動かし、前記塗布具の先端部を塗布すべき表面に押し下げることにより、前記塗布具の基部端部の側の前記供給弁を開き、塗布液を前記供給タンクから前記排出タンクに流して、前記塗布具の先端部から塗布液を供給すること。
B 前記引込みアクチュエータの第2の押下げにより、前記塗布手段を引込み状態に動かし、しかも、前記引込み弁を閉じて前記外部ボディの内部に前記塗布具の先端部を囲い込むこと。
【請求項7】
前記供給弁を閉じ状態にする力を与える供給弁ばねを備える、請求項6の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項8】
前記引込み機構は、前記塗布手段を引込み状態にする力を与える引込みばねを備える、請求項6の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項9】
前記引込みアクチュエータは、前記外部ボディの前記第1の端部の近くに配置されている、請求項6の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項10】
前記引込み弁は、前記外部ボディの前記第2の端部の近くに配置されている、請求項6の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項11】
前記引込み弁は、前記塗布具の前記先端部を前記外部ボディの内部に囲い込み、前記塗布具の前記先端部から塗布液の蒸発を禁止する、請求項6の引込み可能な流動体塗布装置。
【請求項12】
次の構成および条件を備えることを特徴とする、改良された、引込み可能な流動体塗布装置。
・第1と第2の開いた端部の間を連絡する内部流路をもつ外部ボディ。
・その外部ボディの内周に位置する内部ボディ。
・塗布手段であって、供給タンクおよび排出タンクと、それらのタンクの間に配置した供給弁と、前記供給弁を閉じ状態にする力を与える供給弁ばねと、基部端部および先端部をもち、前記塗布手段の内部にスライド可能に配置された塗布具とを含み、さらに、前記塗布具の基部端部が前記供給弁にかみ合い、しかも、前記塗布具の先端部は前記塗布手段から伸びており、その塗布手段は、前記内部ボディに支持されている、塗布手段。
・前記外部ボディの内部に、前記塗布手段をスライド可能に支持する支持部材、ならびに、前記外部ボディの前記第1の開いた端部の近くに位置し、前記塗布手段を、その塗布手段が前記外部ボディの内部に位置する引込み状態と、前記塗布具の先端部が前記外部ボディの前記第2の開いた端部から伸びる状態とに動かす引込みアクチュエータ、および、前記塗布手段を引込み状態にする引込み力を与える引込みばねを含み、その引込みばねを前記外部ボディの内周と前記内部ボディの外周との間に配置する、引込み機構。
・前記外部ボディの内部の前記第2の開いた端部に近接したところに位置し、前記塗布手段を通して前記引込みアクチュエータと協力し合う、引込み弁であって、次のAおよびBを充足する引込み弁。
A 前記引込みアクチュエータの第1の押下げにより、前記引込み弁を開いて前記塗布手段を伸ばした状態に動かし、前記塗布具の先端部を塗布すべき表面に押し下げることにより、前記塗布具の基部端部の側の前記供給弁を開き、塗布液を前記供給タンクから前記排出タンクに流して、前記塗布具の先端部から塗布液を供給すること。
B 引込みアクチュエータの第2の押下げにより、前記塗布手段を引込み状態に動かし、しかも、前記引込み弁を閉じて前記外部ボディの内部の前記塗布具の先端部を囲い込み、前記塗布具の前記先端部から塗布液の蒸発を禁止すること。
【請求項13】
前記塗布手段は、第1および第2の端部をもつ内部ボディを備え、その内部ボディの前記第端部は前記塗布具を支え、前記内部ボディの前記第1の端部に前記引込みアクチュエータが固定される、請求項12の引込み可能な流動体塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動体の供給技術に関し、より詳しくは、表面にマークを付け、書き、あるいは流動体を供給するための引込み可能な流動体塗布装置の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
流動体を塗布あるいは供給するために、いろいろなタイプの流動体塗布装置が考え出されている。それらの流動体塗布装置のいくつかは、塗布すべき流動体を供給し、インク、染料あるいは塗料で書くために利用される。そのような装置として、万年筆、ボールペン、フェルトペン、その他の同様なものがある。
【0003】
今までのこのような流動体塗布装置は、それが大変便利であることから、広く受け入れられていた。そして、今までの流動体塗布装置は、多くの流動体を保持することができ、しかも、使用者の意思によって、流動体容器から装置へと塗布すべき流動体を補充することができる。さらにまた、流動体塗布装置は、塗料、染料その他の同種の書くための流動体だけでなく、化学薬品、香水、潤滑剤などを含むいろいろな流動体を供給あるいは分与することができる。
【0004】
今までは、流動体塗布装置のデザインを改良することに努力が図られている。流動体塗布装置の改良デザインは、流動体供給機構に集中しており、表面に塗布すべき流動体を供給するため、流動体容器あるいはコンテナから塗布装置の先までの液の連絡について改良を図るものであった。流動体塗布装置の一例においては、流動体塗布装置を逆さにし、装置先端の繊維を塗布すべき表面に押し付けたときにだけ、流動体が装置先端の繊維に流れ込む。
【0005】
マーシュの米国特許1,857,467号は、メインタンクを含む万年筆タイプのマーカーを示し、そのメインタンクには、開口部をもつ端部壁があり、流動体を入れられるようになっている。補助タンクは、開口部を通して流動体を受け入れるようになっており、開口部には、排出口を開閉するバルブがある。バルブに連結したステムが、開口部を通り抜けるように伸びている。バルブが閉じているとき、流動体はメインタンクから補助タンクへと入る。そして、バルが開状態のとき、メインタンクから補助タンクへの流動体の流れは妨げられる。ばねによって、バルブは、バルブに付属した装置先端と一緒に閉じるように保持される。
【0006】
ウイットの米国特許2,024,413号は、細長い中空のハンドルを含む万年筆タイプのブラシを示し、ハンドルが流動体タンクを作っている。細長い円錐台形状のバルブシートがある、ハンドルの先端にはキャップがかぶさり、ハンドルの反対の端部にはふたキャップがある。バルブシートの中には、細長い円錐形のバルブが入り込んでいる。バルブの後部には、内部に突出したステムが作られている。バルブの先端には、外側に出っ張ったシャンクがある。ステムの端のクロスヘッドは、中空のハンドルの内側面にスライド可能にはまっている。ステムの周りには、収縮性のコイルばねがあり、そのばねの一方の端部はステムに固定され、他方の端部は先端のキャップとハンドルとの間の所定位置に固定されている。シャンク上のブラシヘッド、およびブラシヘッド上に形作った円錐形のデフレクターは、バルブに向かい合うように配置され、流動体を受け入れるようになっている。
【0007】
ガーヴィーの米国特許2,210,662号は、筆記のための流動体用のタンクと、そのタンクから流動体を排出することを制御するため、異なる方向に傾くバルブとを備える、筆記用具を示す。傾むけることができるチップホルダーは一体に結合されており、内部ねじをもつチップホルダーを伴うバルブから伸びている。筆記用チップは、屈曲性で吸収性の材料から作られ、内部ねじにねじ結合し、チップホルダーの下部から突き出ている。その筆記用チップは、チップホルダーのチップの独立した回転に応じて、ねじに沿って縦に調節することができる。チップホルダーの回転および傾き度合いを制限する手段があり、一体となったバルブとチップホルダーと一緒に傾き、傾きに協同して固定される。
【0008】
ハーブの米国特許2,330,053号は、流動体を入れるタンク、筆記用ペン先、およびペン先に圧を加える手段を備える万年筆タイプの筆記具を示す。圧を加える手段は、筆記に必要な圧により、タンクからペン先に流動体を押し出すことができる。
【0009】
ウォードの米国特許3,484,611号は、側壁がフレキシブルな構造の管部材をもつ流動体塗布装置を示す。多孔性の塗布先端およびバルブ手段によって、管部材から塗布先端への流動体の流れを制御する。
【0010】
ミカレフの米国特許3,484,027号は、コンテナから流動体を供給するバルブクロ―ジュアを示す。そのコンテナは、コンテナの一端に付属するキャップ部材を備え、コンテナの中央位置には、コンテナの内部に向かって伸びるボス部材がある。ボス部材には開口があり、ボス部材から離れた位置にフランジ部材がある。フランジ部材は、コンテナの口の内部にはまり、密封するようになっている。バルブステムを含むバルブ部材がボス部材に回転可能に取り付けられている。バルブステムには、ボス部材の開口に連絡する半径方向および軸方向の開口がある。半径方向の開口によって、バルブクロ―ジュアを選択的に開いたり閉じたりすることができる。弾力性のある半径方向の延長部が、バルブステムの一端から伸びている。その延長部は、半径方向に圧縮可能な部分であり、それにより、バルブステム部材とボス部材とを組み付けることができる。半径方向に延長した部分は、ボス部材と協力し合って、バルブとボス部材との分解を防いでいる。そこで、弾力性のある延長部は、半円形である。
【0011】
クレマーほかの米国特許4,685,820号は、流動体あるいは流動性の個体などの塗布材料を表面に塗布するための、塗布装置の改良技術を示している。その装置には、材料コンテナ、および表面に塗布材料を塗布するための表面塗布手段がある。材料コンテナと表面塗布手段との間にバルブが配置され、バルブが開き状態のとき、表面塗布手段に対する塗布材料の流れを許し、バルブが閉じ状態のときには、その流れを禁止する。バルブには、内部空間をもつバルブクロ―ジュアがある。バルブクロ―ジュアの第1の端部は材料コンテナに連絡し、第2の端部はその中に表面塗布手段を定める。バルブエレメントは末端の部分をもつ。その末端の部分は、バルブエレメントが閉じ状態にあるとき、バルブクロ―ジュアの開口を通って伸びる。バルブエレメントの末端部分を表面に向かって押すとき、表面塗布手段の開口と相協力することにより、リング状の開口を作る。そのリング状の開口は、塗布材料を表面に分散し塗布するための流れ口である。クレマーほかの米国特許4,685,820号は、流動体塗布装置の技術に対し、意義のある一歩を進めた。
【0012】
クレマーほかの米国特許4,792,252号は、たとえば、塗料、香水、化学薬品、コーティング剤あるいは同様のものを表面に供給し、筆記、マーキング、あるいは塗装をするための、流動体塗布装置を示す。流動体塗布装置は、流動体用のコンテナ、および塗布供給機構を備える。塗布供給機構は、バルブを含む内部サブアセンブリと、表面塗布手段を含む外部サブアセンブリとを備える。バルブは、コンテナから表面塗布手段への流動体の流れを規制する。塗布装置のバルブは、表面塗布手段の押下げ、あるいはバルブアクチュエータの押下げに応じて開き、コンテナから表面塗布手段への流動体の流れを許す。流動体塗布装置には、改良された密封部材が加わっており、その密封部材によって、表面塗布手段の側面の密封をし、その側面部分に沿う流れを低減することができる。表面塗布手段は、繊維チップ、ブラシあるいはその他の同様な形態にすることができる。塗布供給機構については、コンテナに対して独立に構成することができる。バルブシールは、フレキシブルに支持された管状の延長部をもち、その延長部によって、表面塗布手段の内側端を保持し、表面塗布手段の外側端が横に動くことに対し、流動体を密封する。
【0013】
福岡ほかの米国特許4,976,564号は、流動体を塗布する用具を示し、その用具はコンテナを備えるが、コンテナの前端には開口、コンテナの前方端に取り付けた先筒がある。中空の収納部材には、内部にチャンバがあり、そのチャンバの前後に前連絡穴および後連絡穴がある。それらの前後の連絡穴により、チャンバをコンテナの内部および先筒の内部にそれぞれ連絡することができる。流動体供給部材が、チャンバ内にあり、その軸方向に動くことができる。先筒の内部には、ばね力を受けた端バルブがある。端バルブは、先筒の前方端の開口を閉じ、先筒の内部に流動体保持部分を与える。毛管作用のある塗布手段は、先筒の前方端の開口を貫通して、端バルブの前端に固定されている。
【0014】
太田の米国特許4,984,923号は、中央のシリンダーに挿入した作動部材を示し、その作動部材は軸心方向に前進および後退するように移動可能である。その中央のシリンダーの前部分に、バルブ機構があり、中央のシリンダーの後部分に貯えた塗布すべき流動体を定めた位置に供給する。バルブ機構は、弁孔をもつ弁座と、弁孔を開閉する弁エレメントを含む弁スピンドルと、弁スピンドルを前進および後退させる伸縮部材とを備える。伸縮部材は、彎曲部分の曲がりに応じて、それぞれ軸方向に長くなったり、短くなったりする。中央のシリンダー後端にある作動エレメントが、作動部材を前方に動かし、彎曲アームの彎曲部分を押すと、伸縮部材は長くなる。弁スピンドルが後方に動くとき、弁孔が開いて塗布すべき流動体を定めた位置に供給する。
【0015】
アサドほかの米国特許4,993,859号は、流動体コンテナのネックに挿入する弁体を含む流動体塗布装置を示し、その弁体の中に管を定めている。弁体には、弾力性のウェブが一体に形成され、弁体の管を横切るように伸びている。弁体の一方の端には弁座がある。弾力性のウェブに弁部材が固定され、弁体の端にある弁座に弁が着座するような力を与えている。コーティング部材は、弁体の反対の端に据えられている。弁部材の弁ステムは、コーティング部材を外部の表面に押し付けたとき、下に曲がるような近接した位置にある。それにより、弁を開いて管を通して流動体をコーティング部材上に流すことができる。
【0016】
横須賀ほかの米国特許4,913,175号は、流動体塗布チップアセンブリを示し、そのチップアセンブリでは、流動体塗布部材を押すと、弁が開いて流動体を流動体塗布部材に流すようになっている。流動体塗布部材は、複数のリブを含むプラスチック部材であり、複数のリブは、軸方向のコアから半径方向および軸方向に伸びており、それにより、それらのリブ間に軸方向の流動体通路を作るようになっている。弁とチップアセンブリのシリンダーとの間に門がある。門には孔があり、その孔の径は流動体塗布部材の外径よりも少し大きくなっており、流動体の流れを制御することができる。
【0017】
グロスほかの米国特許6,513,681号は、スプレープラグとキャップを含み、それらが協同してスプレープラグ中の通路を閉じるスプレー供給クロ―ジュアを示す。スプレープラグには、製品を汲み出し管からスプレープラグを通して運ぶ、一組の内部通路と、エアを容器のヘッド空間から運ぶ、一組の外部通路がある。内部通路は内部の流れ空間に連絡し、外部通路は外部の流れ空間に連絡している。キャップは、スプレープラグと協同し、外部チャンバと内部チャンバとを定める。それらのチャンバは、キャップを閉じた状態において互いに隔離されており、それにより、エアと製品とが混じらない。キャップを開き状態に動かすと、キャップチャンバが互いに連絡し、容器を押しつぶすと、製品/エアの混合物がクロ―ジュア内に作られる。中央のスプレープラグポストの上部部分は、キャップが開いた状態のとき、キャップの内壁と一緒に少なくとも一つの絞り通路を作る。エア/製品の混合物がおり通路を通って流れるとき、スプレーミストとなって、供給通路から提供される。供給通路は、キャップに作られた少なくとも一つの供給オリフィスであり、そのオリフィスは絞り通路に連絡している。別の例では、スプレープラグにただ一組の内部通路があり、その内部通路が容器のヘッド空間に連絡している。汲み出し管の基部端から、一連の汲み出し管出口通路が伸びている。複数の汲み出し管の端は、スプレープラグから伸びるリブにはまっている。容器を押しつぶしキャップを開くと、製品は、汲み出し管から内部通路に運ばれ、ヘッド空間からのエアと混合される。
【0018】
ゲレットの米国特許6,634,821号は、たとえば化粧品のような製品を供給するための装置およびシステムを示している。装置には、製品を収容する第1の仕切り室と、その第1の仕切り室に対して、少なくとも一つの供給オリフィスを通して流れが連絡する第2の仕切り室とがある。第2の仕切り室は、開口をもち、その開口はクロ―ジュアエレメントによって着脱可能に閉じられる。第2の仕切り室は供給具用のハウジングであり、供給具は製品に対して不溶性である。供給具は、弾力的に圧縮可能な多孔性の部材に支えられている。その多孔性の部材は、供給オリフィスと流れを連絡する。
【0019】
デラゲの米国特許6,773,193号は、特には化粧品やケア製品などの物質を入れ、供給するための装置を示す。入れ物の最上部に供給具がある。その供給具は、供給する物質を浸透することができ、入れ物から得られる物質を与える内部面をもつ。供給具の下面近くには、中間のタンクを形作るエレメントがある。装置をヘッドアップ状態から上下にひっくり返し、続いてヘッドアップ状態に戻すとき、中間のタンクは、入れ物とずっと連絡しており、そのため、所定量の物質を保持することに適している。中間のタンクを形作るエレメントは、そのように保持した物質を、少なくとも装置の特定の使用状態において、供給具に与えることができるように配されている。
【0020】
コルバーンほかの米国特許6,817,801号は、自動車に見られるようないろいろな内部表面に処理液を塗布するための塗布装置を示す。その塗布装置は、下部散布プレートをもつハウジングを含む塗布ヘッドと、その塗布ヘッドに取り付けた塗布パッドとによって組み立てられている。そして、その塗布装置は、協同する処理液タンクを補充的に、かつ取外し可能に受け入れるような構成である。
【0021】
西谷ほかの米国特許6,817,802号は、ペン芯を軸方向に押すことに応じて、インク室のインクをペン芯に供給する筆記具を示す。筆記具は、インク室とペン芯との間に弁座がある。弁体は、閉じ状態と開き状態とに選択的に作動する。閉じ状態において、弁体は弁座に当たり、ペン芯をインク室から遮断し、また、開き状態において、弁体は弁座から離れ、ペン芯とインク室とを連絡する。押しばねは、弁体に対しペン軸の先端側に向かう力を与え、保持部材が弁体を保持する。そして、押しばねによって、弁体を軸方向に動かす。保持部材には、その内部空間をインク室に連絡する連絡通路がある。弁体は流路制御部分をもち、開き状態のときよりも閉じ状態のときに連絡通路を絞る。この筆記具によれば、弁体の周辺における顔料の堆積を低減し、弁体の作動不良を防ぐことができる。
【0022】
コルバーンほかの米国特許6,945,722号は、自動車のタイヤに処理液を塗布するためのタイヤ塗布装置を示す。その塗布装置は、下部散布プレートをもつハウジングを含む塗布ヘッドと、その塗布ヘッドに取り付けた塗布パッドとによって組み立てられている。そして、その塗布装置は、協同する処理液タンクを補充的に、かつ取外し可能に受け入れるような構成である。
【0023】
レジアニの米国特許7,101,105号は、化粧用および薬用の流動製品のためのコンテナ‐塗布装置を示す。塗布装置は、開口に近接するよう配置した海綿状マトリックス体を備える。開口は、コンテナ本体の外部から作動することができるバルブエレメントによって制御する。バルブエレメントは、キャップ体を備えるが、そのキャップ体を回転作動することにより、開口を閉じ状態から開き状態、またその逆に変える。
【0024】
シーバウトの米国特許7,114,871号は、製品、特には化粧用の製品のための容器および塗布装置を示す。塗布装置は、製品をきれいにするための入れ物を含み、その入れ物には、縦軸および通路がある。入れ物には、また、多孔性あるいは繊維状の塗布エレメントがあり、その塗布エレメントは入れ物の中の製品と通路を通して連絡することができる。塗布装置は、さらに、通路を開閉するための分与エレメントを含み、縦軸周りに回転する可動性の部分が、通路を閉じる第1の位置と、通路を開く第2の位置との間に動く。塗布装置には、さらに、分与エレメントをふさぐ閉じキャップがある。
【0025】
クレマーほかの米国特許4,685,820号および米国特許4,792,252号、ならびに米国特許6,641,320号は、流動体塗布装置から塗布チップが取れることを抑える、改良した流動体塗布装置を提供している。
【0026】
バロットの米国特許8,753,027号は、塗布液容器から塗布液を分与する、液塗布装置を示す。塗布液容器には、容器を密封するふたがある。ふたには密封面があり、ふたの内部にバルブが配置されている。ふたの内部には、ふたに設けた段差の間にばねがある。ばねは、ふたの密封面にバルブを当て、塗布液容器から塗布液が流れることを禁止している。ふたには通路があり、通路内には塗布チップがスライド可能にはまり込んでいる。塗布チップは、バルブに当たっており、その塗布チップを押し下げることにより、ふたの密封面からバルブを離し、塗布液を塗布液容器から塗布チップ側に流す。
【0027】
バロットの米国特許8,979,411号は、液容器と、バルブエレメントをもつ液塗布機構とを備える液塗布装置を示す。液塗布機構は、塗布チップを軸方向に動かすことにより、バルブエレメントを開き状態にし、塗布チップによって表面に塗布液を与えることができる。改良により、ふたソケットをもつ塗布キャップを備える。ふたソケットによって、容器の周りの縁に塗布ふたを結合する。塗布ふたに対してシールドを取り付けるようにすれば、塗布チップと操作する者が握る液容器との間を保護することができる。
【0028】
バロットの米国特許9,211,756号は、容器内の液を表面に塗布するための液塗布装置を示す。孔を定めるふたが、容器に取り付けられている。ふたの支持部分に、密封部材がはまっている。密封部材は、筒状のスリーブであり、その内部に塗布具をスライド可能に配置している。塗布具には、中空の内部と、外側部分に定まる塗布チップとがある。バイアス部材が、ふたと塗布具との間に作用し、密封部材と塗布具とを密封する。塗布具の外側部分を表面に向けて降下させると、塗布具が密封部材から離れ、容器の液が塗布チップ側に流れることができる。
【0029】
バロットほかの米国特許公開2015/0251484-A1は、容器内の塗布液を供給するための液塗布装置を示す。液塗布装置は、内部通路をもつふたを備え、そのふたによって、容器を密封する。ふたの内部通路内に供給機構がある。通路に位置する塗布具はバルブエレメントに当たり、塗布具を押し下げることにより、バルブエレメントを密閉面から追い出し、液容器内の塗布液を塗布具の中に供給することができる。バルブエレメントから捕獲部材が塗布具をつかむように伸び、塗布具が通路から外れないようにしている。
【0030】
バロットほかの米国特許9,346,072号は、容器内の液を表面に塗布するための精密な液塗布装置を示す。精密な液塗布装置は、末端オリフィスおよび弁座を定めるふたを備える。弁には、末端オリフィスを通して伸びる精密な塗布チップがあり、そしてまた、弁座を密封するバルブシールがある。精密な塗布チップを表面に押し下げると、バルブシールが密封面から離れ、塗布チップと末端オリフィスとの間にリング状の通路を作り、それにより、塗布液を表面に流すことができる。バルブストップが止め壁と相協力して、弁の動きを制限する。その制限により、精密な塗布チップと末端オリフィスとの間の通路の断面積を制御し、精密な塗布チップをふたの第2端を越えて伸ばすことができる。この精密な液塗布装置は、すり傷のある表面に塗料を塗布することに好適であり、すり傷の外に余分な塗料を供給することなく、表面を塗布することができる。
【0031】
クレマーやバロットの発明は、いろいろな適用分野で商業的な成功をもたらしたが、それらのクレマーやバロットの発明では、液塗布装置から保護キャップを取り外すために二本の手が必要である。その後には、液塗布装置を片手で操作することができる。
【0032】
この発明の目的は、クレマーやバロットの発明を改良し、液塗布装置から保護キャップを取り外すのに両手を必要としない、引込み可能な流動体塗布装置を提供することにある。
【0033】
この発明の他の目的は、たとえば、潤滑剤、塗料、着色剤、はんだフラックスなどのいろいろな液の供給に適用することができる、流動体塗布装置を提供することにある。
【0034】
以上には、この発明に関連する目的のいくつかのあらましを述べた。それらの目的については、この発明に関連する特徴や応用を示す実例を通して理解することができる。この発明の考え方の範囲でこの発明を変形することにより、その他の多くの利点を得ることができる。したがって、この発明のさらなる目的については、以下に述べる発明の概要および好ましい実施例を含む詳しい説明を参照することにより、より深く理解することができるであろう。
【発明の概要】
【0035】
この発明は、付属の図面に示す具体的な実施例とともに、添付のクレームによって定まる。この発明のあらましを述べるとすれば、この発明は、改良された引込み可能な流動体塗布装置であり、第1と第2の端部の間を連絡する内部流路をもつ外部ボディを備える。塗布手段は、それらの間に配置した弁を伴う、供給タンクと排出タンクとを含む。引込み機構は、外部ボディ内部に塗布手段をスライド可能に支持している。
【0036】
引込み可能な弁は、外部ボディの端部に近接したところに位置する。引込み可能なアクチュエータの第1の押下げがあると、引込み可能な弁が開き、塗布手段を伸ばした状態に動かす。それにより、塗布具の先端を押し下げることができ、供給弁を開き、流動体を供給タンクから塗布タンクへと流すことができ、塗布液を塗布具の先端から分与する。引込み可能なアクチュエータの第2の押下げがあると、塗布手段が引込み状態へと動き、引込み可能な弁を閉じ、塗布具の先端を外部ボディの内部に囲い込む。
【0037】
この発明の一つの実施例では、供給弁のばねが供給弁を閉じ状態にする力を与え、引込みばねが塗布手段を引込み状態にする力を与える。好ましくは、引込み可能な弁を外部ボディの第2端部に近接したところに配置し、塗布手段を通して引込みアクチュエータと協力するようにするのが良い。引込み可能な弁は、塗布具の先端を外部ボディの内部に囲い込み、塗布具の先端から塗布液が蒸発しないようにする。引込み可能なアクチュエータは、外部ボディの第1端部に近接したところに位置する。
【0038】
この発明の他の実施例において、塗布手段は、第1端部と第2端部間に広がる内部ボディ備える。内部ボディの第1端部が、塗布具を支える。引込み可能なアクチュエータは、内部ボディの第1端部に固定される。供給弁サブアセンブリは、供給弁、供給弁ばね、排出タンク、および塗布具を備える。そのような供給弁サブアセンブリは、内部ボディの内部に固定されており、供給弁サブアセンブリと内部ボディの第2端部との間に供給タンクを定めている。
【0039】
以上では、この発明を広く概観した。この発明に関連する大切な特徴については、引き続く詳しい説明によって、より深く理解することができるであろう。それにより、この発明の技術分野への貢献を充分に評価することができるであろう。この発明の追加の特徴について、以下に述べるが、それらもこの発明のものである。また、いわゆる当業者であれば、この発明の考え方や具体的な実施例を変更することにより、この発明の同様な目的を達成することができることは自明である。そのような等価の構成は、この発明の考え方の範囲から外れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
この発明をより完全に理解するために、以下の説明および添付の図面を参照されたい。各図面の内容は、次のとおりである。なお、図中、同様な部分については、同様の符号を付けている。
図1】この発明の引込み可能な流動体塗布装置を上から見た図である。
図2】この発明の引込み可能な流動体塗布装置を側面から見た図である。
図3図2の3-3線に沿って見た図である。
図4図1の4-4線に沿う断面図である。
図5図4の外部ボディを示す図である。
図6図5に示す引込み可能な流動体塗布装置の内部にスライド可能に取り付けた塗布手段の側面図である。
図7図6のものの側断面図である。
図8図7の一部を示す側断面図であり、塗布手段の内部ボディを示す。
図9図8の一部を示す側断面図であり、供給弁サブアセンブリを示す。
図10図8の一部を拡大して示す側断面図であり、閉じ状態の供給弁サブアセンブリを示す。
図11図10と同様な図であり、開き状態の供給弁サブアセンブリを示す。
図12図2の引込み可能な流動体塗布装置の側面図であり、引込み可能な弁は閉じ状態にある。
図13図12と同様の側面図であり、引込み可能な弁は開き状態にある。
図14図13と同様の側面図であり、引込み可能な弁は開き状態で、塗布手段は伸びた状態にある。
図15図14と同様の側面図であり、引込み可能な弁は開き状態で、塗布手段は伸びた状態で、塗布具が押下げ状態にあって、塗布具の先端から液を塗布することができる。
図16】引込み可能な流動体塗布装置の側断面図であり、引込み可能な弁は閉じ状態にあって、供給タンクから液の流れを禁止している。
図17図16と同様な側断面図であり、引込み可能な弁は開き状態にあって、供給タンクから排出タンクに液を流し、塗布具の先端から塗布液を分与することができる。
図18図5の引込み可能な流動体塗布装置の内部にあるスライド可能な塗布手段の第2の実施例を示す側面図である。
図19図18のものの側断面図である。
図20図19の一部を示す側断面図であり、塗布手段の内部ボディを示す。
図21図19の一部を拡大して示す側断面図であり、供給弁が閉じ状態にある。
図22図21と同様な図であり、供給弁が開き状態にある。
図23図5の引込み可能な流動体塗布装置の内部にあるスライド可能な塗布手段の第3の実施例を示す側面図である。
図24図23のものの側断面図である。
図25図24の一部を示す側断面図であり、塗布手段の内部ボディを示す。
図26図24の一部を拡大して示す側断面図であり、供給弁が閉じ状態にある。
図27図26と同様な図であり、供給弁が開き状態にある。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1図5は、この発明による引込み可能な流動体塗布装置5を示す。引込み可能な流動体塗布装置5は、塗布液6を表面に塗布することに適している。引込み可能な流動体塗布装置5は、外部ボディ10と、供給弁30を含む液塗布手段20と、引込み機構40と、引込み可能な弁アセンブリ50とを備える。
【0042】
この引込み可能な流動体塗布装置5が今までの引込み可能なペン、マーカーその他と異なることは、引込み可能な流動体塗布装置5からの塗布液の流れを制御する供給弁30を加えた点である。供給弁30によって、たとえば塗料、はんだフラックス、潤滑剤、および今までのペンやマーカーでは塗布することができない液など、幅広い塗布液を塗布し分与することができる。
【0043】
引込み可能な流動体塗布装置5は、第1および第2の開放した端部11,12を含む外部ボディ10を備える。内部通路13は、それらの端部11,12間を連絡する。中央開口16をもつリング状の止め壁14は、第1の端部11と第2の端部12との間にある。
【0044】
図6図11は、引込み可能な流動体塗布装置5がもつ液塗布手段20を示す。液塗布手段20は、第1端部61と第2端部62間に伸びる内部ボディ60を備える。側壁63によって、第1端部61と第2端部62間を連絡する内部通路64が定まる。内部ボディ60は、第1端部61および第2端部62に隣接する部分に、第1端部部分61Aおよび第2端部部分62Aを定める。それらの第1端部部分61Aと第2端部部分62Aとの間に、中間部分63Aが位置する。
【0045】
内部ボディ60の第1端部61に近いところに、側壁63の外側表面から広がるようにして、リング状の大きな外部突起65がある。側壁63の内側表面には、リング状の内部突起66が広がる。中間部分63Aの内側表面64には、肩68が作られている。その肩68の機能については、後で詳しく説明する。内部ボディ60の第2端部62に近いところに、側壁63の外側表面から広がるようにして、リング状の小さな外部突起69がある。
【0046】
内部ボディ60の第端部部分6Aは、液塗布具80をスライド可能に受け入れるようになっている。内部ボディ60の第端部部分6Aは、供給タンク70内に塗布液6を貯えるようになっている。内部ボディ60の中間部分63Aは、供給弁30を受け入れるようになっている。インターロック部材72が、供給弁30を内部ボディ60の内部に確保する。供給弁30は、排出タンク74を定める。
【0047】
図9が最もよく示すように、塗布具80は、基部側の端部81と先端側の端部82との間を伸びている。塗布具80は、一般的に円柱形状の部材であり、基部側の端部81と先端側の端部82との間に円柱径83を定める。塗布具80は、フェルト繊維、固形体あるいはブラシ構造で形作ることができる。
【0048】
この発明のこの実施例では、たとえばポリエステルや同様な材料であって、原形を保つことができる類似の特性をもつものによって、強く固めた形態で作る。その形態は、塗布液6で湿るが、毛管作用により塗布液6が基部側の端部81から先端側の端部82へと通過できるような形態である。それとは別に、塗布具80をその外側表面に沿って縦に伸びる複数の溝をもつ無孔性の材料で構成することもできる。
【0049】
図9図11は、引込み可能な流動体塗布装置5の液供給について示す。供給弁30は、弁体90と、弁エレメント100と、弁シール110と、ばね120と、管状シール130とを備える。弁体90、弁エレメント100、弁シール110、ばね120、および管状シール130が、サブアセンブリ140を形作る。
【0050】
弁体90は、円筒形の側壁93として、弁体の内側端部91と弁体の外側端部92との間に伸びる。弁体の内側端部91は、口をもつ面を形作り、それに対し、弁体の外側端部92は、開口を形作っている。弁体90の外側端部92上に、弁体の肩94が形作られている。弁体の肩94は、リング状の内部突起66にかかわり合うことによって、内部ボディ60に対し弁体90を添えている。
【0051】
弁体90の外側端部92には、内部ボディ凹み97がある。弁体90には、その弁体90の内側端部91の内部にホール99がある。そのホール99と、弁体90の内側端部91の口とによって、塗布液6が弁体90の中へと流れるのを助長する。
【0052】
弁エレメント100は、弁エレメント内側端部101と弁エレメント外側端部102との間に伸びる。弁エレメント100は、取囲み側壁103を定め、その側壁が朝顔形の肩部分108を支持している。朝顔形の肩部分108の外径は、弁体90の内径よりも小さい。それにより、弁エレメント100は、弁体90の内部を動くことができる。
【0053】
弁シール110は、弁シール内側端部111と弁シール外側端部112とを含む円筒形の側壁113を備える。その側壁113の端はシール面115である。弁シール110は、弁エレメント100およびばね120を伴う弁体90の中に、押し込まれてはまっている。弁体90の内部ボディ凹み97の中に、弁シール110のリング状の膨らみ116が入ることによって、弁シール110は弁体90の内部にはまり合う。
【0054】
弁エレメント100の朝顔形の肩部分108の外径は、弁体90の内径よりも小さい。それにより、弁エレメント100は、弁体90の中を動くことができる。弁エレメント100の朝顔形の肩部分108の外径は、弁シール110の内側端部111の内径よりも大きい。それにより、弁エレメント100は、シール面115と一緒になってシールを形作る。
【0055】
管状シール130は、弁シールから一体成形品として伸びる。管状シール130は、液塗布具80の円柱の径83をもつ滑りシールを与える。塗布具80の基部の端部81は、弁エレメント100の外側端部102に直接はまり合う。
【0056】
塗布具80の円柱の径83と管状シール130との間のスペースは、塗布液6を塗布具80の基部の端部81に供給するための排出タンク74を定める。
【0057】
図10は、供給ばね120によって閉じ状態の力を与えられた供給弁30を示す。供給弁30が閉じ状態にあるとき、弁エレメント100の朝顔形の肩部分108は、供給ばね120の力によって、弁シール110の内側端部111に着座している。朝顔形の肩部分108が弁シール110の内側端部111に着座することにより、塗布液6が供給タンク70から排出タンク74へと流れることがない。
【0058】
図11は、塗布具80の押下げに応じて開き状態にある供給弁30を示す。表面に対して塗布具80を押し下げると、供給ばね120が圧縮され、弁エレメント100の朝顔形の肩部分108が弁シールの内側端部111から動き、塗布液6が供給タンク70から排出タンク74へと流れる。塗布液6は、毛管作用により、基部の端部81から塗布具80の先端側の端部82へと移動する。塗布具80にある塗布液6は、マーク付け、塗りあるいはブラシの動きにより、表面に移る。
【0059】
図4に戻ると、リング状の止め壁14の中央開口16を含む引込み機構40は、外部ボディ10の内部に液塗布手段20をスライド可能に支持している。液塗布手段20は、外部ボディ10の第1端部を通して外部ボディ10の内部通路13内に導入される。
【0060】
引込み機構40は、二安定のカムシステム45を含み、塗布具を引込み状態か伸ばした状態のいずれかに保持することができる。二安定のカムシステムは、米国特許3,205,863号や米国特許3,819,282号が示すように、「クリックペン」としていろいろなものが知られている。
【0061】
引込みアクチュエータ150は、内部ボディ60の第1端部61に固定されている。引込みばね152は、リング状の止め壁14と大きな外部突起65との間に配置され、塗布手段20に力を加え、外部ボディ10の内部の引込み状態に位置させている。後でさらに詳しく述べるが、引込みアクチュエータ150は、塗布手段20を引込み状態と引伸ばし状態との間に動かす。
【0062】
引込み弁アセンブリ50は、外部ボディ10の第2端部12に固定した外部引込み弁ボディ160を含む。貫通した細孔161が、外部引込み弁ボディ160の内部にある。角張った切頭シリンダー162が、外部引込み弁ボディ160の内部にスライド可能に支持されている。角張った切頭シリンダー162は、フラップ弁として示す引込み弁164を旋回可能に支持している。引込み弁164は、その引込み弁164から張り出した張出し部166を含む。
【0063】
引込み弁アセンブリ50は、引込みアクチュエータ150と協力し合って、引込み弁164の開閉を行う。角張った切頭シリンダー162は、ソケット168を含み、そのソケット168により、内部ボディ60上の小さなリング状の外部突起69にはまり合う。
【0064】
図12図15は、引込み可能な流動体塗布装置5の互いに異なった作動状態を示す。今までの弁作動の液塗布装置で保護キャップを取り外すのに両手を必要としていたのに対し、改良された流動体塗布装置5においては、その必要性を除去する。
【0065】
図12は、閉じ状態にある引込み弁164を伴う、引込み可能な流動体塗布装置5の側面図である。二安定のカムシステム45が、塗布手段を外部ボディ10の内部に保っている。引込み弁164は、ソケット168によって閉じ状態を維持し、塗布液6が塗布具80の先端の端部82から蒸発しないようにしている。
【0066】
図13は、開き状態にある引込み弁164を伴う、図12と同様の側面図である。引込みアクチュエータ150を少し押下げると、引込みばね152の力に抗して塗布手段20を外部ボディ10の前の方に動かす。それに付随して、塗布手段20は、ソケット168を通して角張った切頭シリンダー162を前方にスライドすることによって、引込み弁164を開く。引込み弁164から張り出す張出し部166は、外部引込み弁ボディ160にある細孔161の中に入る。
【0067】
図14は、開き状態にある引込み弁164と、伸びた状態にある塗布手段20とを伴う、図13と同様の側面図である。引込みアクチュエータ150を引き続いて押下げると、引込みばね152の力に抗して塗布手段20を外部ボディ10の前の方に動かし、引込み機構40の二安定のカムシステム45が、伸びた状態にあるとき、塗布手段20をロックするに至る。塗布手段20は、今や、塗布液6を分与する位置にある。この点、図16および図17にさらに示している。
【0068】
図15は、開き状態にある引込み弁164と、伸びた状態にある塗布手段20とを伴う、図14と同様の側面図である。図15のものでは、塗布具80が押下げられた状態であり、塗布液6が塗布具80の先端の端部82から供給可能である。
【0069】
引込みアクチュエータ150の第2の押下げをすると、引込みばね152の力により、塗布手段20を引込み状態に動かす。塗布手段20の引込みがあると、角張った切頭シリンダー162を後方にスライドさせてソケット168によって引込み弁164を閉じる。引込み弁164から張り出した張出し部166は、外部引込み弁ボディ160にかみ合って、引込み弁164を閉じる。引込み弁164が閉じることにより、塗布液6が塗布具80の先端の端部82から蒸発しないことになる。
【0070】
図16は、図14の引込み可能な流動体塗布装置5が表面8の上方に位置する形態を示す側断面図であり、供給弁30は閉じた状態であり、供給タンク70から塗布液6が流れないようになった状態を示す。
【0071】
図17は、図16と同様の側断面図であるが、供給弁30は開いた状態であり、供給タンク70から排出タンク74へと塗布液6を流すことができる状態であり、塗布具80の先端の端部82から塗布液6を供給可能である。
【0072】
図18図22は、引込み可能な流動体塗布装置5の塗布手段220の第2の実施例を示す。塗布手段220は、第1端部261と第2端部262間に伸びる内部ボディ260を備える。側壁263によって、第1端部261と第2端部262間を連絡する内部通路264が定まる。内部ボディ260は、第1端部261および第2端部262に隣接する部分に、第1端部部分261Aおよび第2端部部分262Aを定める。それらの第1端部部分261Aと第2端部部分262Aとの間に、中間部分263Aが位置する。
【0073】
第2実施例の塗布手段220は、図6図11に示した塗布手段20と同一の外部表面をもつ。内部ボディ260の第1端部261に近いところに、側壁263の外側表面から広がるようにして、リング状の大きな外部突起265がある。内部ボディ260の第2端部262に近いところに、側壁263の外側表面から広がるようにして、リング状の小さな外部突起269がある。
【0074】
図21および図22が最もよく示すように、リング状の内部突起266が、側壁263の内側表面から張り出している。中間部分263Aの内側表面264には、肩268が形作られている。内部ボディ260の第1端部部分261Aの先端は、結合した塗布具280および供給弁230が、スライド可能にはまるようになっている。内部ボディ260の第2端部分262Aは、供給タンク270内の塗布液6を貯えるようになっている。インターロック272によって、塗布具280と供給弁230とが、内部ボディ260の第1端部部分261Aの先端の内部に納まっている。
【0075】
図21が最もよく示すように、塗布具280は、基部側の端部281と先端側の端部282との間に伸びている。塗布具280は、一般的に円柱形状の部材であり、基部側の端部281と先端側の端部282との間の円柱径283を定める。この実施例では、無孔性の材料で塗布具280を形作っている。
【0076】
図21および図22は、弁エレメント300、弁シール310、ばね320および管状シール330を含む供給弁230を示す。インターロック272がリング状の内部突起266と肩268にかみ合うことにより、塗布具280および供給弁230を内部ボディ260の内部に添えている。弁エレメント300の外径は弁シール310の内径よりも大きく、弁エレメント300がシールを形作るようになっている。
【0077】
管状シール330は、弁シール310から一体成形品として伸びる。管状シール330は、液塗布具280の円柱の径283をもつ滑りシールを与える。液塗布具280の円柱の径283と管状シール330との間のスペースによって、塗布具280に対して塗布液6を与えることができる。
【0078】
図21は、ばね320の力を受けることにより、閉じ状態になった供給弁330を示す。供給弁330が閉じ状態のとき、弁エレメント300は、ばね320によって弁シール310に着座している。
【0079】
図22は、塗布具280の押下げにより、開き状態にある供給弁230を示す。表面に対して塗布具280を押し下げると、供給ばね320が圧縮され、弁エレメント300が弁シール310から動き、塗布液6が供給タンク270から塗布具280の先端側の端部82へと移動する。塗布具280にある塗布液6は、マーク付け、塗りあるいはブラシの動きにより、表面に移る。
【0080】
図23図27は、引込み可能な流動体塗布装置5の塗布手段420の第3の実施例を示す。塗布手段420は、第1端部461と第2端部462間に伸びる内部ボディ460を備える。側壁463によって、第1端部461と第2端部462間を連絡する内部通路464が定まる。内部ボディ460は、第1端部461および第2端部462に隣接する部分に、第1端部部分461Aおよび第2端部部分462Aを定める。それらの第1端部部分461Aと第2端部部分462Aとの間に、中間部分463Aが位置する。
【0081】
第3実施例の塗布手段420は、図6図11に示した塗布手段20と同一の外部表面をもつ。内部ボディ460の第1端部461に近いところに、側壁463の外側表面から広がるようにして、リング状の大きな外部突起465がある。また、内部ボディ460の第2端部462に近いところに、側壁463の外側表面から広がるようにして、リング状の小さな外部突起469がある。
【0082】
図26および図27が最もよく示すように、リング状の内部突起466が、側壁463の内側表面から張り出している。中間部分463Aの内側表面464には、肩468が形作られている。内部ボディ460の第1端部部分461Aは、塗布具480がスライド可能にはまるようになっている。内部ボディ460の第2端部分462Aは、供給タンク470内の塗布液6を貯えるようになっている。内部ボディ460の中間部分463Aは、供給弁430を受け入れるようになっている。インターロック472によって、塗布具480と供給弁430とが、内部ボディ460の内部に納まっている。
【0083】
図21が最もよく示すように、塗布具480は、基部側の端部481と先端側の端部482との間を伸びている。塗布具480は、一般的に円柱形状の部材であり、基部側の端部481と先端側の端部482との間に円柱径483を定める。塗布具480については、たとえばポリエステルや他の同様な材料であって、原形を保つことができる類似の特性をもつものによって、強く固めた形態で作る。その形態は、塗布液6で湿るが、毛管作用により塗布液6が基部側の端部481から先端側の端部482へと通過できるような形態である。それとは別に、塗布具480をその外側表面に沿って縦に伸びる複数の溝をもつ無孔性の材料で構成することもできる。
【0084】
図2および図27は、弁エレメント500、弁シール510、およびばね520を含む供給弁430を示す。インターロック472がリング状の内部突起466と肩468にかみ合うことにより、弁体490を内部ボディ460に添えている。塗布具480の基部側の端部481は、弁エレメント500に直接かみ合っている。
【0085】
図26は、ばね520の力を受けることにより、閉じ状態になった供給弁30を示す。供給弁30が閉じ状態のとき、弁エレメント500は、ばね520によって弁シール510に着座している。弁シール510の着座により、塗布液6が供給タンク470から塗布具480へと流れることを防ぐ。
【0086】
図27は、塗布具480の押下げにより、開き状態にある供給弁430を示す。表面に対して塗布具480を押し下げると、供給ばね520が圧縮され、弁エレメント500が弁シール510から動き、塗布液6が供給タンク270から塗布具480へと移動する。塗布液6は、毛管作用により、基部側の端部481から塗布具480の先端側の端部482へと移動する。塗布具480にある塗布液6は、マーク付け、塗りあるいはブラシの動きにより、表面に移る。
【0087】
この発明の好ましい形態についてある程度詳しく説明したが、好ましい形態の説明は、あくまで例証である。具体的な構成、組合せおよび配置について、この発明の考え方および範囲から離れることなく、多くの変形をすることができる。
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