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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】コンベヤ間の乗り継ぎ機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20220630BHJP
   B65G 47/57 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B65G47/52 Z
B65G47/57 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017094685
(22)【出願日】2017-05-11
(65)【公開番号】P2018188291
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】土屋 正二
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-050605(JP,U)
【文献】実開昭60-183728(JP,U)
【文献】特開平08-143131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0037832(US,A1)
【文献】実開昭56-10419(JP,U)
【文献】特許第4786066(JP,B2)
【文献】特公平07-053523(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 47/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方向傾斜コンベヤから緩傾斜若しくは略水平コンベヤへの物品移送又は緩傾斜若しくは略水平コンベヤから上方向傾斜コンベヤへの物品移送における傾斜角度変化搬送部を有するコンベヤ間乗り継ぎ機構であって、
前記傾斜角度変化搬送部が、前記傾斜角度変化搬送部の搬送方向と直交する回転軸を持った複数のローラもしくは複数のホイール回転体を有して形成され、
前記傾斜角度変化搬送部の傾斜角度が、前記下方向傾斜コンベヤから前記緩傾斜若しくは略水平コンベヤの方向へと又は前記緩傾斜若しくは略水平コンベヤから前記上方向傾斜コンベヤへと順次変化し、
前記傾斜角度変化搬送部を形成する前記複数のローラ同士もしくは前記複数のホイール回転体同士が前記傾斜角度変化搬送部の搬送方向に対して前記ホイール回転体に係るホイールの半径に近似する間隔をもって配列されていることにより前記下方向傾斜コンベヤから前記緩傾斜若しくは略水平コンベヤの方向へと又は前記緩傾斜若しくは略水平コンベヤから前記上方向傾斜コンベヤへと搬送される物品が前記複数のホイール回転体同士の間に突っ込むことなく搬送されることを特徴とするコンベヤ間乗り継ぎ機構。
【請求項2】
前記傾斜角度変化搬送部が、搬送面の搬送物進行方向の断面が略円弧状である略円弧状搬送路であることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ間乗り継ぎ装機構。
【請求項3】
前記傾斜角度変化搬送部が、湾曲型グラビティフィーダであることに特徴を有する請求項1または2に記載のコンベヤ間乗り継ぎ機構。
【請求項4】
前記傾斜角度変化搬送部が、ホイールタイプの湾曲型グラビティフィーダであり、
前記傾斜角度変化搬送部は上面視において、前記複数のホイール回転体のうち互いに隣接するホイール回転体同士が千鳥配置されている
ことに特徴を有する請求項3に記載のコンベヤ間乗り継ぎ機構。
【請求項5】
前記傾斜角度変化搬送部が、前記下方向傾斜コンベヤから前記緩傾斜若しくは略水平コンベヤ又は、前記緩傾斜コンベヤ若しくは略水平コンベヤから前記上方向傾斜コンベヤを含めた連続一体型コンベヤであることに特徴を有する請求項1~のいずれか1項に記載のコンベヤ間乗り継ぎ機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品または物品を収容したケースを、斜行して下方へと搬送する傾斜コンベヤから傾斜の緩やかなコンベヤ(水平コンベヤを含む)へのコンベヤ間の乗り継ぎ装置及び傾斜の緩やかなコンベヤから斜行して上方へと搬送する傾斜コンベヤへのコンベヤ間の乗り継ぎ装置に関し、特に、搬送物に衝撃を与えずに、滑らかに搬送でき、かつ、簡便な構造のコンベヤ間の乗り継ぎ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流の業界においては、物品や物品を収容したケース(以下、搬送物と言う)を、高所から、斜行して下方へ向かう傾斜コンベヤで搬送し、その終端において水平あるいはより緩い傾斜のコンベヤに移載することが広く行われている。また上記の逆である傾斜の緩やかなコンベヤ(水平コンベヤを含む。以下同じ。)で搬送し、その終端において斜行して上方へと登り搬送する傾斜コンベヤに移載することも広く行われている。本発明は、斜行して下方へと搬送する傾斜コンベヤから傾斜の緩やかなコンベヤへのコンベヤ間又はその逆の乗り継ぎ移載する搬送システムにおいて、傾斜角度の大きく変化する屈曲角部での搬送の際、搬送物を転倒させたり搬送物同士が衝突したりすることなく安全で円滑に且つ高速で搬送するための技術的思想に関するものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、傾斜コンベヤから搬送される被搬送物を、水平状コンベヤへ移載する際の技術思想が開示されている。この技術的思想は傾斜角を有する二つのコンベヤ間に水平ベルトコンベヤを設置することにより搬送物の角度衝撃を緩和するものである。しかし、ベルトコンベヤでは高速で搬送される搬送物に与えるブレーク力が大きく逆に搬送物の転倒を招く。またベルトコンベヤでは搬送物の先端下部コーナー部が衝突するため搬送物の破損を来す欠点がある。
【0004】
また傾斜コンベヤから移載されるコンベヤは、水平状のベルトコンベヤであり、この水平状コンベヤは間欠搬送が可能となっていて移載時の衝撃を緩和するとなっているが、間欠搬送するためには物品検出手段や制御部などの複雑な機構が必要であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-137591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記問題を解決するため、本発明は、傾斜コンベヤから水平コンベヤへの乗り継ぎ部分において、搬送物に衝撃を与えずに、滑らかに搬送でき、かつ、簡便な構造のコンベヤ間の乗り継ぎ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ機構は、下方向傾斜コンベヤから緩傾斜若しくは略水平コンベヤへの物品移送又は緩傾斜若しくは略水平コンベヤから上方向傾斜コンベヤへの物品移送におけるコンベヤ間乗り継ぎ機構であって、その傾斜角度が、上記下方向傾斜コンベヤから上記緩傾斜若しくは略水平コンベヤの方向へと又は上記緩傾斜若しくは略水平コンベヤから上記上方向傾斜コンベヤへと順次変化する傾斜角度変化搬送部を有することを特徴とする。
【0008】
また本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ機構は、上記傾斜角度変化搬送部が、搬送面の搬送物進行方向の断面が略円弧状である略円弧状搬送路であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ機構は、上記傾斜角度変化搬送部が、湾曲型グラビティフィーダであってもよい。
【0010】
また、その上記湾曲型グラビティフィーダは、ローラタイプの湾曲型グラビティフィーダであってもよい。
【0011】
同様に、その上記湾曲型グラビティフィーダは、ホイールタイプの湾曲型グラビティフィーダであってもよい。
【0012】
上記傾斜角度変化搬送部が、傾斜コンベヤ及び略水平コンベヤを含めた連続一体型コンベヤにすることもできることに特徴を有する。
【0013】
本発明に係る上記の湾曲型グラビティフィーダとは、例えばローラタイプの搬送コンベヤであって、そのローラ同士の間隔(ピッチ)を狭めて密接させ移載物品の底面とローラとの接触率を向上させたコンベヤ間乗り継ぎ装置であり、かつ、搬送面断面が、上方に向かって凹な略円弧状であり、両端は急傾斜コンベヤと緩傾斜コンベヤとに滑らかに接続することを特徴とするコンベヤ間乗り継ぎ装置である(図1参照)。
【0014】
湾曲型グラビティフィーダは、下方向傾斜コンベヤから緩傾斜若しくは略水平コンベヤへの物品移送におけるコンベヤ間乗り継ぎ機構であって、搬送物品の傾斜角度変化搬送部の移動を極めて滑らかにする。同様に、湾曲型グラビティフィーダは、緩傾斜若しくは略水平コンベヤから上方向傾斜コンベヤへの物品移送におけるコンベヤ間乗り継ぎ機構であって、搬送物品の傾斜角度変化搬送部の移動を極めて滑らかにする。
【0015】
また本発明に係るホイールタイプの湾曲型グラビティフィーダとは、ローラコンベヤのローラの幅を狭めた複数個のホイール(回転ホイール)に置換した構造を有する回転体を、ピッチを狭めて密接状態にしたコンベヤ乗り継ぎ装置である(図6参照)。ホイール回転体は、例えばコンベヤのセンタープレートを中心にホイール軸の左右を対称にして組み合わせることによって、ホイール回転体同士のコンベヤ流れ方向に対するピッチをより密接にすることができる。このホイール回転体の左右交互配列をいわゆる千鳥配置とするものである。
【0016】
このホイール回転体の千鳥配置によって、ホイール回転体同士のホイールがコンベヤ搬送の横方向に対して重畳した構造とすることが可能になり、結果として回転ホイールの軸間隔をホイール半径に近似するまで密接させることができる。
【0017】
よって、ホイールタイプの湾曲型グラビティフィーダ上を移載される搬送物品は、その底面を逐次いずれかのホイール外周面に接触することとなり、搬送物品の傾斜角度の変化搬送部の移動を極めて滑らかにすることができる。また、ホイールを千鳥に配置することにより搬送物品先端部がコンベヤ進行方向に対するホイール間に食い込む程度を極力少なくすることができる。
【0018】
そして急傾斜コンベヤから緩傾斜コンベヤに搬送物が乗り継ぎされる際に、搬送物の先端が、略円弧状の搬送路によって、徐々に傾斜角を増加させていくことができる。
【0019】
本発明に係るホイールタイプの湾曲型グラビティフィーダは、ホイールの半径や幅サイズ及び数を限定するものではない。本発明に係るホイールタイプの湾曲型グラビティフィーダは、上記機能を有し、搬送面が凹状であるため、下方向傾斜コンベヤから緩傾斜若しくは略水平コンベヤへの物品移送又は緩傾斜若しくは略水平コンベヤから上方向傾斜コンベヤへの物品移送におけるコンベヤ間乗り継ぎである搬送物品の傾斜角度が変化する搬送部(以降「傾斜角度変化搬送部」と称する。)の移動を極めて滑らかにする。
【0020】
なお、湾曲型グラビティフィーダを構成するローラ及びホイールは、回転自由とするが、必要に応じて駆動力を供給されていてもよい。
【0021】
また、本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ機構は、上記傾斜角度変化搬送部が、上記下方向傾斜コンベヤから上記緩傾斜若しくは略水平コンベヤまで又は、上記緩傾斜コンベヤ若しくは略水平コンベヤから上記上方向傾斜コンベヤまでを含めた連続一体型コンベヤであってもよい。
【0022】
上記において搬送物品の上流側コンベヤと下流側コンベヤとの傾斜角度変化における乗り継ぎ搬送を前提に傾斜角度変化搬送部について記載したが、上流側コンベヤ及び下流側コンベヤそして傾斜角度変化搬送部は、それぞれ個別機械である必要はなく、むしろ連続した一体型コンベヤであってもよい。それにより搬送物品の角度変化部における搬送形態は、搬送物品に衝撃を与えることなく、より一層円滑かつスムースに搬送を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置では、略円弧状搬送路によって、急傾斜コンベヤから緩傾斜コンベヤへの間で、又は緩傾斜コンベヤから急傾斜コンベヤへの間で、傾斜角度を徐々に減少するようにしたことから、搬送物に与える衝撃を少なくすることができ、搬送物の損傷や転倒を防止することができ、滑らかな物品搬送ができるため、高品質の搬送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のローラ型グラビティフィーダの部分拡大図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のローラ型グラビティフィーダのローラ部分拡大図である。
図4】従来の下り傾斜型コンベヤの凹型谷折り部のプーリの位置を示す断面図である。
図5】従来の上り傾斜型コンベヤの凹型谷折り部のプーリの位置を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダを示す概要図である。
図7】本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダの断面図を示した概要図である。
図8】本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダの1本のホイール軸を示した概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態にかかるコンベヤ間乗り継ぎ装置について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0026】
図1は、本発明の本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のローラ型グラビティフィーダの概要を示す概略図である。同図に示すように、複数のローラ11がコンベヤの左右両端に接し、各々のローラは間隔を狭めて配列している。図1の右側のコンベヤは下方向搬送傾斜型コンベヤ13であり左側のコンベヤは略水平型コンベヤ14である。物品は傾斜型コンベヤ13の上方向から下り降りてローラ型グラビティフィーダ10を経由して略水平型コンベヤ14へと搬送される。(この場合を「下り傾斜搬送」と称する。またこのような角度変化コンベヤを「谷折り型傾斜」と称する。)ローラ11は回転することによって上部の物品をコンベヤ流れ方向に搬送する。
【0027】
同様に、図1のように谷折り型傾斜コンベヤを物品が左側の水平型コンベヤから搬送され、次いでローラ型グラビティフィーダに移載され、その後右側の傾斜型コンベヤ13に移載され、当該傾斜型コンベヤ13を昇って流れていく場合もある。(この場合を「上り傾斜搬送」と称する。)
【0028】
図2は、本発明の本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のローラ型グラビティフィーダ10の断面を示す概略図である。同図に示すように、各々のローラ11は間隔を狭めて配列している。図2に示すように左右のコンベヤに向かい凹状に円滑に湾曲している。急な角度変更を湾曲によって緩和する機能を有する。
【0029】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のローラ型グラビティフィーダの谷折り型傾斜コンベヤは、下り傾斜搬送の場合も上り傾斜搬送の場合も、傾斜から水平へ又は水平から傾斜へと角度変換する部分にローラ型グラビティフィーダを間に介在させ、このローラ型グラビティフィーダが谷折り形状凹形に円滑に湾曲していることにより、物品はコンベヤの谷折り部分を円滑かつスムースに搬送される。これは下り傾斜と上り傾斜の場合とまったく同じ原理となる。但し、ローラ型コンベヤの前後両端側の湾曲率を小さくしてもよい。これらの湾曲率は任意に設定できる。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る乗り継ぎ装置のローラ型グラビティフィーダのローラ部分拡大図である。同図はローラ11の一つを長手方向に示した図である。同図に示すように個々のローラ11は自由回転する。しかし本発明は、ローラ11を動力回転させることを除外するものではない。
【0031】
従来の傾斜型谷折り型コンベヤにおいては、傾斜型コンベヤ13と水平型コンベヤ14は、各々直接連結されていたため、凹谷折り部において物品への傾斜角度変更による衝撃があり、場合によっては搬送物品が倒れ破損を来すこともあった。これらの事故を防止し、傾斜コンベヤ13からの水平型コンベヤ14へのスムースな移載又は水平型コンベヤ14から傾斜型コンベヤ13への移載のために、物品の谷折り部の各コンベヤ端部のプーリ16に段差を設ける等の対応をしていた。
【0032】
図4は、従来の下り傾斜型コンベヤの凹型谷折り部のプーリの位置を示す断面図である。同図に示すように、凹型谷折り部にはベルトコンベヤ21を設置し、速度調整等を行うことが多い。この場合傾斜型コンベヤ13を下りおりてきた搬送物品12が谷折り部を通過して水平型コンベヤ14に移載される際、物品の先端下部がベルトコンベヤ21に突っ込むのを防止するため、傾斜型コンベヤの末端プーリの位置を上方に設定し(プーリ段差15)、水平型コンベヤ14へのスムースな移載を図っていた。
【0033】
図5は、従来の上り傾斜型コンベヤの凹谷折り部のプーリの位置を示す断面図である。同図に示すように、図4の下り傾斜コンベヤの場合と逆に、略水平型コンベヤ14から搬送された搬送物品12が谷折り部を通過して傾斜型コンベヤ13に移載されて昇る際、物品の先端下部が傾斜型コンベヤ13の先端ローラ下に突っ込むのを防止するため、傾斜型コンベヤ13の末端プーリ16の位置を下方に設定し(プーリ段差15)、傾斜型コンベヤへのスムースな移載を図っていた。
【0034】
上記と同様に、従来は凹谷折り部を物品が通過する際に、前後の物品同士が衝突することを防止するため、下り傾斜の場合は、下り傾斜型コンベヤのスピードに対して水平型コンベヤ14又はベルトコンベヤ21のスピードを速め、また上り傾斜の場合は、水平型コンベヤ14のスピードに対して上り傾斜型コンベヤ13のスピードを速めていた。
【0035】
また水平型コンベヤ14又は傾斜型コンベヤ13がローラコンベヤである場合は、凹部谷折り部に近接する部分のローラ間隔を狭めることにより、その上を搬送される物品の傾き傾斜を防止する対策を講じていた。この対策がない場合は、搬送物品が傾いたまま凹部谷折り部に侵入することになるため、凹部谷折り部での少しの衝撃に対しても転倒破損などを招く恐れがあることによる。
【0036】
また、従来は傾斜型コンベヤの凹谷折り部にギャッププレート(略平板、図においては省略する。)を介在させることによって、谷折り部の急激な角度変更によって搬送物品が転倒したり又は前後物品同士が接触したりすることを防止していた。ローラコンベヤの場合はギャップローラ(小型ローラ、図においては省略する。)を谷折り部に設けていた。これらのギャッププレート又はギャップローラは搬送物品の谷折れ部通過の際、角度変更の衝撃を和らげ、物品同士の接触を防止し移載をスムースにすることができる。
【0037】
上記のような従来の対応にはギャッププレート又はギャップローラの設置においては微妙な位置や大きさの設定が必要となり煩雑な作業であった。また同様に搬送コンベヤのスピード調整やプーリの設定も煩雑な作業であった。
【0038】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のローラ型グラビティフィーダは、上記のような煩雑な作業を回避し且つ、それ以上に物品の凹谷折り部の移載においてスムース且つ安全に対応するための技術思想である。
【0039】
図6は、本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダを示す概要図である。同図に示すように、ホイール型グラビティフィーダ17は、ホイール軸18と回転するホイール回転体19を複数のセンターバンド20と共にコンベヤの流れ方向に対して密に配列することによって構成されている。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダの断面を示した概要図である。図8は、本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダの1本のホイール回転体軸を示した概要図である。図6に示すようにホイール軸18には円形回転体であるホイール回転体19が複数設置されている。ホイール回転体19がホイール軸18に設置される位置は、例えば図8に示すように一定間隔を離して定位置に定数を設定することによって、2本のホイール回転体軸22の軸方向左右を逆に(千鳥に)並べることによって各ホイール回転体がコンベヤ横幅方向に対して一定位置を密にして配列させることができる。
【0041】
つまり図6においては、ホイール回転体軸22の一定位置に設置された6個のホイール回転体19がコンベヤ表面上を進行方向に向かって左右逆に交互に列構成される場合を示している。このように配列することによりホイール回転体同士をコンベヤ進行方向に対して密に併設し、且つコンベヤ表面上を一定間隔で構成することによって、搬送される物品がホイール間の谷間に突っ込むことなくスムースに搬送される構成となっている。
【0042】
また図7に示す本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダは、コンベヤ進行方向に対して略凹型円弧状に湾曲している。前述の図2におけるローラ型グラビティフィーダ10と同様にホイール型グラビティフィーダ17も凹型湾曲を有することにより、傾斜型コンベヤ13と水平型コンベヤ14との間に介在して構成される。つまり谷折り形状凹形に近似して円滑に湾曲して構成される。これによって、物品はコンベヤの谷折り部分を円滑かつスムースに搬送される。これは下り傾斜搬送の場合も上り傾斜搬送の場合もまったく同じ原理となる。
【0043】
以上のように本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置のホイール型グラビティフィーダは、搬送物品の先端底部がホイール型グラビティフィーダの先端部又はホイール回転体間の隙間に突っ込むことなく搬送されるため、物品の破損・転倒等を防止し円滑な搬送に大きく寄与する。
【0044】
図6及び図7に示すように、センターバンド20は、ホイール型グラビティフィーダ17の幅方向に対して一定間隔を空けてコンベヤ流れ方向に向かって設けられた平板状のプレート板である。センターバンド20の高さはホイール回転体の上面に対して若干下位置に設定することによって、上部を搬送される物品の底面を一定高さに保つことを補助する。搬送物品が進行方向間のホイール回転体間隙に突っ込むことを防止する。センターバンド20は、グラビティフィーダが凹状円弧状に湾曲している場合もそれと同様に追随して湾曲されているため、物品の底面部を一定高さに支えてスムースに運ぶ機能を有する。
【0045】
上記までの個別説明を経た上で、図1は、本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置の全体概要を示す概要図である。同図に示すように、傾斜型コンベヤと水平型コンベヤがローラ型グラビティフィーダ又はホイール型グラビティフィーダを中間に介してコンベヤ全体として一体構成を成している場合も本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置の一実施形態の一つである。この形態も、下り傾斜コンベヤ型であっても上り傾斜型コンベヤであっても同様の構成となる。
【0046】
図1に示すように本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置は、傾斜型コンベヤの傾斜角度によって水平コンベヤと連結部において凹部谷折り角が異なることとなる。しかしこの凹谷折り部には、本発明に係るグラビティフィーダが凹谷型湾曲形状をもって連結され、その湾曲仰角は、傾斜型コンベヤと水平型コンベヤの接触角を最も緩やかに円滑に円弧状に連結させる形状をもって対応される。
【0047】
よって、本発明の一実施形態に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置は、下り傾斜コンベヤ又は上り傾斜コンベヤと水平型コンベヤの連結を最もスムースにする搬送物品への優しいコンベヤ搬送を実現することができる。
【0048】
本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。これらはすべて、本技術思想の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上述したように、本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置によれば、凹部谷折り型搬送路である急傾斜コンベヤから緩傾斜コンベヤへの間、又は緩傾斜コンベヤから急傾斜コンベヤへの間で、谷折り角度を徐々に減少するように緩和できることから、搬送物に与える衝撃を少なくすることができ、搬送物の損傷や転倒を防止することができ、高速であっても滑らかな物品搬送ができるため、高品質の搬送システムを実現することができる。
【0050】
よって、物品搬送作業効率の向上及び搬送スピードの向上が図られる上に、物品の品質保持、作業の安全性をも確保できるため、経済効率も格段に向上させることが可能な物流物品搬送が実現される。
【0051】
さらに、本発明に係るコンベヤ間乗り継ぎ装置は、物流集配拠点での物品搬送に限定されることなく、あらゆる物品の搬送に利用及び適用が可能である。よって、本願は、物流業に限らず、製造業を含めた各種産業に対しても大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0052】
10 ローラ型グラビティフィーダ
11 ローラ
12 物品(商品)
13 傾斜型コンベヤ
14 略水平型コンベヤ
15 プーリ段差
16 プーリ
17 ホイール型グラビティフィーダ
18 ホイール軸
19 ホイール回転体
20 センターバンド
21 ベルトコンベヤ
22 1本のホイール回転体軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8