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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】衝撃押出し加工法、工具および製品
(51)【国際特許分類】
   B21C 23/18 20060101AFI20220630BHJP
   B65D 1/16 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
B21C23/18
B65D1/16
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017535809
(86)(22)【出願日】2015-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 CA2015051378
(87)【国際公開番号】W WO2016106454
(87)【国際公開日】2016-07-07
【審査請求日】2018-11-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】62/097,821
(32)【優先日】2014-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516286143
【氏名又は名称】モンテベロ テクノロジー サービシズ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】517229741
【氏名又は名称】1949467 オンタリオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ピロン ベッティー ジーン
(72)【発明者】
【氏名】スタソポウロス ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギエフ ゲオルギ
(72)【発明者】
【氏名】ピロン ベンジャミン ジョセフ
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】河端 賢
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6945085(US,B1)
【文献】特公昭35-1368(JP,B1)
【文献】国際公開第2009/019841(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009008137(DE,A1)
【文献】特開2005-9673(JP,A)
【文献】特開昭59-66917(JP,A)
【文献】特公昭62-55937(JP,B2)
【文献】欧州特許出願公開第0852973(EP,A1)
【文献】英国特許出願公告第803015(GB,A)
【文献】独国特許出願公開第1452509(DE,A1)
【文献】米国特許第3738528(US,A)
【文献】米国特許第5542277(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/00-35/06
B21J 1/00-13/14
B21J 17/00-19/04
B21K 1/00-31/00
B22D 27/00-27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形金属容器のための容器プレフォームであって、該成形容器は、閉じた容器底、該容器を支えるための縁、および容器側壁を有し、
該プレフォームが、
閉止端;および
該閉止端から延び、かつ該プレフォームの縦軸を画定する管状壁
を含み、
該閉止端が、一定の底壁厚さを有する平坦な容器底形成部分を含み、かつ該管状壁が、移行壁から該縦軸の方向に延びる、一定の側壁厚さを有する衝撃押出し内部しごき加工された容器側壁形成部分を含み、
該プレフォームが、該容器底形成部分と該容器側壁形成部分との中間の縁形成部分をさらに含み、
該縁形成部分が、該容器底形成部分に隣接し、該容器底形成部分から該縦軸の方向に延びる移行壁を含み、該移行壁は、該側壁厚さよりも厚く、かつ、底壁厚さに等しい、または底壁厚さよりも薄い移行壁厚さを有し、
該プレフォームは、単一の金属小塊、ビレット、またはプレート材料片から衝撃押出し加工されており、
該プレフォームは、流体加圧成形工程において拡張可能である、
容器プレフォーム。
【請求項2】
移行壁厚さが底壁厚さよりも薄い、請求項1に記載のプレフォーム。
【請求項3】
移行壁厚さが底壁厚さに等しい、請求項1に記載のプレフォーム。
【請求項4】
移行壁厚さが周方向に一定である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレフォーム。
【請求項5】
移行壁厚さが周方向に変化する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレフォーム。
【請求項6】
移行壁が、互いに異なる移行壁厚さを有する第一および第二の周方向領域を交互に含む、請求項5に記載のプレフォーム。
【請求項7】
第二の領域が、剛性増大のための凸形および/または凹形の変形を含む、請求項6に記載のプレフォーム。
【請求項8】
凸形の変形がリブの形態であり、かつ凹形の変形が溝の形態である、請求項7に記載のプレフォーム。
【請求項9】
移行壁が、プレフォームの半径方向および/または縦軸方向に一定の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレフォーム。
【請求項10】
移行壁が、プレフォームの半径方向および/または縦軸方向に異なる厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレフォーム。
【請求項11】
管状壁が、縦軸からの間隔を有し、かつ移行壁が、該縦軸からの間隔の5%~80%に等しい縦軸方向における幅を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレフォーム。
【請求項12】
縦軸方向における幅が、縦軸からの間隔の30%~53%である、請求項11に記載のプレフォーム。
【請求項13】
縦軸方向における幅が、縦軸からの間隔の36%~47%である、請求項12に記載のプレフォーム。
【請求項14】
縦軸からの間隔が18mmであり、かつ縦軸方向における幅が、縦軸からの間隔の36%である、請求項13に記載のプレフォーム。
【請求項15】
縦軸からの間隔が19mmであり、かつ縦軸方向における幅が、縦軸からの間隔の47%である、請求項13に記載のプレフォーム。
【請求項16】
移行壁厚さが側壁厚さの2倍である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレフォーム。
【請求項17】
前記単一の金属小塊、ビレット、またはプレート材料片の金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、請求項1~16のいずれか一項に記載のプレフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本出願は、2014年12月30日に出願された米国特許仮出願第62/097,821号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、金属加工の分野に関し、より具体的には、冷間成形金属製品ならびにそのような金属製品を衝撃押出し加工によって成形する方法および工具に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
成形金属容器は、シート材料を完成品形状へと絞り加工および成形することにより、シート材料から製造することができる。拡張成形金属容器は通常、加圧された流体によって管状プレフォームを成形することによって製造される。プレフォームは、シート材料の絞り加工または金属小塊もしくはビレットの衝撃押出し加工によって製造することができる。シート材料または小塊がプレフォームへと成形または押出し加工されたのち、そのプレフォームが拡張容器へと成形または拡張される。
【0004】
衝撃押出し加工とは、金属ブランクに対し、その金属が実際に流動する塑性状態へと転移されるような力で衝撃を加える加工である。衝撃押出し加工は、中空のコアおよび相対的に薄い壁厚さを有する金属製品に使用されるタイプの特殊冷間成形である。衝撃押出し工程は、金属ブランクを、機械または水圧プレス上に位置するダイの中に配置することから始まる。プレスの力によってダイの中に打ち込まれるパンチが、金属ブランクをダイ形状へと、およびパンチの周囲へと、前方(ダイの中)、後方(パンチの周囲)または両方向に流れ込ませる(押し出す)。後方への押出しにおいて、小塊の金属は小塊から後方に流れて、開口端および閉止端を有する薄肉管の側壁を形成する。側壁を形成したのち、小塊の残りが管の閉止端を形成し、開口端を通してパンチが取り出される。衝撃押出し加工された管は、パッケージング用途、筆記用具のためのハウジングなどに使用することができる。近年、そのような容器は、拡張成形容器のためのプレフォームとしても使用されている。
【0005】
米国特許第2904173号(特許文献1)は、金属ビレットの衝撃押出し加工のためのプランジャおよびダイを開示している。
【0006】
米国特許第3,263,468号(特許文献2)は、ビレットから管を押出し加工するための方法および装置であって、得られる管が、それが押し出されるところのマンドレルの直径よりも大きい内径を有し、相対的に均一な厚さの管状壁を有する方法および装置を開示している。金属の流れは、それが外方に、マンドレルから離れてダイ面に当たる方向に(流れる)押し出されるように制御される。それにより、マンドレルの直径よりも大きい内径を有する管が成形される。押出し加工された管の内径がマンドレルの内径よりも大きいという事実のおかげで、マンドレルへの管の結着はなく、したがって、管をより迅速かつ簡単に取り出すことができる。
【0007】
米国特許第5,611,454号(特許文献3)、米国特許第5,377,518号(特許文献4)および米国特許第5,570,806号(特許文献5)は、閉止端上に平坦な閉じた端壁および一体に形成された管状突出部を有する押出し加工された円柱形の末端閉止金属管を成形するための装置を開示している。装置は、所望の管の末端部分に対応する形状の凹みを有するダイを含み、所望の突出部に対応するキャビティを含む。装置はさらに、ダイの中に受けられることができるパンチを含み、ダイの縦軸に対して垂直な平面に対して約10°の角度で斜め外方に延びる周方向部分を有する端壁を含む。装置は、ダイ中の凹みに押出し可能な金属ディスクを配置し、金属をディスクからキャビティの中へと前方に押し、また、パンチとダイとの間で後方に押すのに十分な力でパンチを凹みの中に進めることによって動かされて、所望の管を成形する。
【0008】
上記方法および装置はすべて、閉止端および一定の壁厚さの管状壁を有する中空管を製造する。そのような中空管は、拡張成形金属容器の製造のための流体加圧成形工程中にプレフォームとして使用することができる。しかし、管状壁の一定の厚さは、拡張成形中に、閉止端と側壁との接合部における方向および概して厚さの変化が生み出すようないくつかの難題を生み出す。
【0009】
拡張金属容器の成形は、一つまたは複数の成形工程、たとえば絞りまたは押出し加工、ネッキング、圧延、しごき加工、流体加圧成形、ねじ切りなどを含むことができる。
【0010】
一つのタイプの拡張成形が、米国特許第7,107,804号(特許文献6)に開示されている、圧力・ラム成形として知られる流体加圧成形法である。この方法においては、所定の形状および寸法の金属容器が、加えられる内部流体圧およびラムの平行移動の両方によって成形される。閉止端を有する中空の金属プレフォームを、拡張容器の形状および横方向寸法を画定するダイ壁によって囲まれたダイキャビティに入れる。ダイキャビティの一端に位置するラムがキャビティの中へと平行移動可能である。プレフォームは、閉止端がラムに対向する状態でダイの中に配置される。プレフォームは、はじめ、ダイ壁から内方に離間している。内部流体圧を加えられると、プレフォームは外方に拡張してダイ壁と実質的に完全に接触する。これが、ダイキャビティの所定の形状および横方向寸法をプレフォームに付与する。プレフォームが拡張し始めたのち、かつプレフォームの拡張が完了する前に、ラムがキャビティの中へと平行移動してプレフォームの閉止端と係合し、それを、内部流体圧によって加えられる力の方向とは反対の方向に移動させる。このラムの平行移動が、ラムをして、プレフォームの閉止端を内方へとドーム状にする。容器が成形される所定の形状は、ネック部分、ネック部分よりも横方向寸法が大きいボディ部分および内方にドーム状の凹形の底を含むボトル形であり得る。ラムによって形成される凹形の容器底がさらなる耐圧能力を容器に提供する。理由は、それが、特に下端の望まれない変形を起こすことなく、容器がより高い内圧に耐えることを可能にするからである。
【0011】
容器を拡張させたのち、開口端をテーパ状のネックへと成形し、容器上端に栓(たとえば、小出しまたはスプレー弁またはクロージャキャップ)を適用してもよい。
【0012】
流体加圧成形法によって作られる、成形された拡張金属容器は拡張性のプレフォームを必要とする。加圧成形法で使用するための従来の拡張性プレフォームは通常、閉止端および閉止端から延びる管状壁を含む。
【0013】
上述したように、従来の衝撃押出し加工プレフォームの管状壁は、閉止端から始まる略一定の厚さを有する。閉止端は通常、管状壁よりも厚い厚さを有し、材料厚さの違いのせいで、管状壁は概して、閉止端よりもずっと低い曲げ抵抗を有する。プレフォームの加圧拡張中、側壁は半径方向外方に拡張する。ラムを用いる底成形工程においては、プレフォーム閉止端は、軸方向上向きに変形されるが、半径方向外方には変形されず、直径減少を招く。したがって、圧力・ラム成形工程においてプレフォームの閉止端がラムによってドーム状にされるとき、側壁の下端は内方に丸められ、丸められた縁部分を形成し、この縁部分が、容器の、今やドーム状の(凹形の)下端と拡張された側壁との間を橋渡しする。周縁部分は側壁と合流し、容器を支えるための環状のベースを形成する。底部分に比べて薄い縁部分の壁厚さと、縁部分の曲げ応力の増大との組み合わせ効果が、縁部分に弱い環状領域を形成する。これが、容器が加圧されたとき、この領域における容器損壊を生じさせるおそれがある。特に、この方法ではエアゾール容器の製造は難題となり得る。理由は、炭酸飲料容器に比べ、エアゾール容器内の高い内圧が、縁部分における過度な応力、ひいては、丸められた縁から始まる容器損壊を生じさせ得るからである。
【0014】
内圧に耐える目的のための成形パッケージング容器は概して、相対的に厚い容器底または内方にドーム状にされた底またはその両方を必要とする。内方にドーム状にされた下端は、加圧される容器の場合にもっとも一般的に使用される形状である。理由は、フラットな底の容器に比べ、ドーム状部分により薄い材料の使用を可能にし、ドーム状の底を有する容器をより経済的にするからである。容器の成形中、拡張容器のドーム状の底および縁部分へと変形されるプレフォームの部分は曲げおよび/または拡張応力に付される。そのうえ、成形され、拡張された完成品容器において、縁部分は、容器の加圧時、さらなる曲げ応力に付される。それぞれの形状および加圧中それぞれに加わる力の方向により、ドーム状の底は、丸められた縁部分よりも高い曲げ抵抗を有する。容器の過度な加圧は、ドーム状部分に対して外向きの力を発生させ、ひとたび縁部分における容器の耐圧限界を超えたならば、縁部分の展開を生じさせる。
【0015】
炭酸飲料容器の耐圧試験中、容器の高さがモニタされる。耐圧試験に合格するためには、加圧下で容器の高さが増してはならない。容器底の形状のせいで、増大した圧力下での容器の変形は概して、圧力・ラム成形中に起こるものとは反対の順序で、縁部分の展開から始まる。まず、縁部分の内側半分、すなわち、ドーム状の底と縁のピークとの間に延びる半分が展開し、その後、概して縁部分またはその近くでドーム状の底の平坦化が起こる。この現象は、より厚い底の厚さおよび内方にドーム状の底の形状によって説明され得る。したがって、増大する内圧が容器壁の即座の損壊を招くわけではないとしても、容器底に加わる圧力が縁部分の展開を生じさせ、それが他方で容器の高さを増大させる。その結果、その状況では試験圧が容器の破断を生じさせないとしても、容器は、容器高さの増大のせいで、耐圧試験に不合格となる。
【0016】
より厚い側壁厚さを有するプレフォームを使用すれば容器の耐圧能力および形状安定性を増すことはできるが、そのようなより厚い側壁の有意に低い全体的変形性がプレフォームを流体加圧成形法における成形および拡張に不適当なものにするおそれがある。そのうえ、使用される材料の増加が容器を購入者にとって非経済的かつ許容不可能にするおそれもある。
【0017】
衝撃押出し加工によって作られるプレフォームにおいて、管状壁は、半径方向拡張中に起こるわずかな薄肉化を考慮しつつ、容器側壁の所望の最終厚さに近い厚さで押出し加工されうる。しかし、閉止端は概して側壁よりも厚い。これが、側壁拡張および閉止端変形中の管状壁と閉止端との接合部における応力点につながる。そのうえ、完成品成形容器のより大きな外径ならびにプレフォームの閉じた下端の有意に異なる厚さおよび対応するより高い曲げ抵抗のせいで、下端はプレフォームのドーム形成部分になり、管状壁の下端は内方に丸められて容器の縁部分を形成する。縁形成部分は、閉止されたドーム状の下端の半径方向外側の縁と、ドーム状の底の外縁よりも大きな直径を有する拡張された側壁との間の半径方向空間を橋渡しする。したがって、完成品拡張成形容器の縁部分は、はじめはプレフォームの管状壁の一体部分であった縁形成部分によって形成される。したがって、プレフォームの管状壁の縁形成部分から生まれる、拡張容器中のこの縁部分が一定の厚さを有しなければならないならば、管状壁全体が、拡張容器の縁部分を形成するのに十分な厚さを有しなければならないであろう。しかし、それは、拡張された成形容器の側壁が縁部分と同じ厚さになり、上述した、対応する成形の難題および経済的不都合をもたらすことを意味する。
【0018】
可変性の厚さの側壁を有するプレフォームは、衝撃押出し製品から生まれるとき、現在、衝撃押出し加工される側壁の厚さを選択区域で減らさなければならないならば、衝撃押出し工程とは別に、またそれに加えて、金属加工工程、たとえばしごき加工または圧延の使用を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】米国特許第2904173号
【文献】米国特許第3,263,468号
【文献】米国特許第5,611,454号
【文献】米国特許第5,377,518号
【文献】米国特許第5,570,806号
【文献】米国特許第7,107,804号
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、従来技術に見られる欠点の少なくとも一つを解決することである。特に、一つの目的は、可変性の厚さの側壁を有するプレフォームを提供することである。別の目的は、そのようなプレフォームの製造のための単一動作衝撃押出し加工法を提供することであり、さらなる目的は、方法を実行するための工具を提供することである。
【0021】
第一の局面において、本発明は、閉じた下端および管状壁を含み、管状壁が、異なる壁厚さの部分を有し、プレフォームの縦軸を画定する、中空のプレフォームを衝撃押出し加工する方法を提供する。方法は、金属ビレットに衝撃を加えて金属を可塑化し、可塑化された金属の向きを変えて、軸方向に前進する管状壁を移行壁厚さで形成する工程;および前進する壁の軸方向前方部分を、押出し点を過ぎるまで押し出すことによってしごき加工して、減少した側壁厚さの側壁部分を形成する工程を含む。しごき加工工程は、好ましくは、前方部分を押出し点を過ぎるまで押し出すことにより、前進する管状壁の半径方向内面をしごき加工して、移行壁厚さよりも薄い側壁厚さを有する側壁部分を形成する工程を含む。衝撃を加える工程は、ビレットのいくらかが残っている間に停止されて、閉じた下端および管状壁を形成する。前進する壁をしごき加工することにより、下端、減少した壁厚さの側壁部分および下端と側壁部分との間に延びる、移行壁厚さを有する移行壁部分を含むプレフォームが形成する。
【0022】
一つの態様において、金属ビレットは、前方押出し点を過ぎるまで押し出されて、下端および移行壁部分を形成する。別の態様において、衝撃押出し加工は、ビレットが、移行壁厚さよりも厚い底壁厚さまで減少したとき停止されて、下端を形成する。さらなる態様において、衝撃押出し加工は、ビレットが、移行壁厚さに等しい、またはそれよりも薄い底壁厚さまで減少したとき停止されて、下端を形成する。
【0023】
なおさらなる態様において、第一の側壁部分のしごき加工は、前進する壁の、約5mm~約15mm、約6mm~約10mm、約7mm~約9mm、約9mmまたは約7mmの軸方向前進ののち、開始される。
【0024】
第二の局面において、本発明は、押出しダイの中へ挿入するための衝撃押出しパンチを提供する。パンチは、中心軸を有するボディと、軸方向前方の衝突端と、プレスへの取り付けのための、軸方向後方の被駆動端とを有する。衝突端は、押出し加工される金属ビレットに衝撃を加えるための衝突面と、衝突面によって押し退けられた材料の向きを変えるための、衝突端から後方の移行領域とを含む。パンチはさらに、移行領域を過ぎるまで押し出された材料をしごき加工するための、移行領域の後端に隣接する後方押出し点を含む。
【0025】
一つの態様において、衝撃押出しパンチはさらに、衝突面の周方向肩部によって形成される前方押出し点を含む。この態様において、移行領域は、周方向肩部から後方に延びるランド部分を形成する。
【0026】
さらなる態様において、ランド部分は、周方向肩部よりも後端で軸に近く配置されている。
【0027】
別の態様において、ランド部分は、軸からランド部分の間隔の約3%~約40%に等しい軸方向幅を有する。
【0028】
さらに別の態様において、後方押出し点は、移行領域を過ぎるまで押し出された材料をしごき加工するための押出し肩部を含み、押出し肩部は、移行領域よりも軸から遠く離間している。なおさらなる態様において、移行領域はパンチの中心軸に対して約10°~約40°の角度で延びる。
【0029】
第三の局面において、本発明は、底、縁、および側壁を有する拡張成形される容器のための衝撃押出し加工された中空のプレフォームを提供する。本発明のプレフォームは、閉止端と、プレフォームの縦軸を画定する管状壁とを有する。閉止端は、底壁厚さを有する底形成部分を有し、管状壁は、側壁厚さを有する側壁形成部分を有する。加えて、プレフォームは、底と側壁形成部分との中間に配置された縁形成部分を有する。縁形成部分は、底形成部分に隣接して位置する、移行壁厚さを有する移行壁を含む。移行壁厚さは側壁厚さよりも厚い。
【0030】
一つの態様において、移行壁厚さは底壁厚さよりも薄い。
【0031】
別の態様において、移行壁厚さは底壁厚さよりも厚い。
【0032】
代替態様において、移行壁厚さは底壁厚さにほぼ等しい。
【0033】
さらなる態様において、縁形成部分は、周方向に一定または可変性の厚さを有し、平均移行壁厚さは側壁形成部分の厚さよりも厚い。
【0034】
中空のプレフォームのなおさらなる態様において、底壁厚さは移行壁厚さよりも厚く、側壁厚さは移行壁厚さよりも薄い。移行壁厚さは側壁厚さの2倍までであり得る。縁形成部分の移行壁は、閉止端の一部、管状壁の一部、または閉止端と管状壁の両方の一部でありうる。さらに別の態様において、移行壁は管状壁の一部であり、中心軸から移行壁の間隔の約5%~約55%の幅まで閉止端から延びる。プレフォームのさらなる態様において、幅は約15%~約25%または約20%である。
[本発明1001]
閉じた底、縁、および側壁を有する拡張成形金属容器のための拡張性金属プレフォームであって、
該プレフォームが、
閉止端;および
該閉止端から延び、かつ該プレフォームの縦軸を画定する管状壁
を含み、
該閉止端が、底壁厚さを有する底形成部分を含み、かつ該管状壁が、側壁厚さを有する側壁形成部分を含み、
該プレフォームが、該底形成部分と該側壁形成部分との中間の縁形成部分をさらに含み、
該縁形成部分が、
該底形成部分に隣接した、該側壁厚さよりも厚い移行壁厚さを有する移行壁
を含む、
拡張性金属プレフォーム。
[本発明1002]
移行壁厚さが底壁厚さよりも薄い、本発明1001のプレフォーム。
[本発明1003]
移行壁厚さが底壁厚さにほぼ等しいか、またはそれよりも厚い、本発明1001のプレフォーム。
[本発明1004]
移行壁厚さが底壁厚さにほぼ等しい、本発明1001のプレフォーム。
[本発明1005]
縁形成部分が管状壁の一部である、本発明1001、1002、1003または1004のプレフォーム。
[本発明1006]
縁形成部分が閉止端の一部である、本発明1001、1002、1003または1004のプレフォーム。
[本発明1007]
縁形成部分が、管状壁と閉止端の両方の一部である、本発明1001、1002、1003または1004のプレフォーム。
[本発明1008]
移行壁厚さが周方向に一定である、本発明1001~1007のいずれかのプレフォーム。
[本発明1009]
移行壁厚さが周方向に変化する、本発明1001~1007のいずれかのプレフォーム。
[本発明1010]
移行壁が、移行壁厚さおよび減少した壁厚さをそれぞれ有する第一および第二の領域を周方向に交互に含む、本発明1009のプレフォーム。
[本発明1011]
第二の領域が、剛性増大のための凸形および/または凹形の変形を含む、本発明1010のプレフォーム。
[本発明1012]
凸形の変形がリブの形態であり、かつ凹形の変形が溝の形態である、本発明1011のプレフォーム。
[本発明1013]
移行壁が、プレフォームの半径方向および/または軸方向に一定の厚さを有する、本発明1001~1007のいずれかのプレフォーム。
[本発明1014]
移行壁が、プレフォームの半径方向および/または軸方向に可変性の厚さを有する、本発明1001~1007のいずれかのプレフォーム。
[本発明1015]
管状壁が、軸からの間隔を有し、縁形成部分が該管状壁の一部であり、かつ移行壁が、該軸からの間隔の約5%~約80%に等しい軸方向幅を有する、本発明1001~1004のいずれかのプレフォーム。
[本発明1016]
軸方向幅が、軸からの間隔の約30%~約53%である、本発明1015のプレフォーム。
[本発明1017]
軸方向幅が、軸からの間隔の約36%~約47%である、本発明1016のプレフォーム。
[本発明1018]
軸からの間隔が約18mmであり、かつ軸方向幅が、軸からの間隔の約36%である、本発明1017のプレフォーム。
[本発明1019]
軸からの間隔が約19mmであり、かつ軸方向幅が、軸からの間隔の約47%である、本発明1017のプレフォーム。
[本発明1020]
移行壁厚さが側壁厚さの約2倍である、本発明1001~1008のいずれかのプレフォーム。
[本発明1021]
縁形成部分が閉止端の一部であり、かつ移行壁が、中心軸から管状壁の間隔の約36%~約47%に等しい軸方向幅を有する、本発明1001~1004のいずれかのプレフォーム。
[本発明1022]
圧力・ラム成形のための拡張性金属プレフォームであって、
閉止端;
縦軸を画定する管状壁;および
該プレフォームの圧力・ラム成形中、該閉止端を該縦軸の中心に維持するための、該閉止端に組み込まれた中央センタリング構造
を含む、拡張性金属プレフォーム。
[本発明1023]
センタリング構造が閉止端の外面中の軸方向の凹みである、本発明1022のプレフォーム。
[本発明1024]
凹みがディンプルである、本発明1023のプレフォーム。
[本発明1025]
センタリング構造が閉止端の外面上の軸方向の突出部である、本発明1022のプレフォーム。
[本発明1026]
センタリング構造が円錐形の点である、本発明1025のプレフォーム。
[本発明1027]
衝撃押出しダイの中へ挿入するための衝撃押出しパンチであって、
中心軸を有するボディ;
軸方向前方の衝突端;
プレスへの取り付けのための、軸方向後方の被駆動端;
押出し加工される金属に衝撃を加えるための、該衝突端上の衝突面;
該衝突面によって押し退けられた材料を送るための、該衝突端の後方の移行領域;および
該移行領域を過ぎるまで送られた材料をしごき加工するための、該移行領域の後端に隣接する後方押出し点
を含む、衝撃押出しパンチ。
[本発明1028]
移行領域が、衝突面の周方向肩部および該周方向肩部から後方に延びるランド部分を含む、本発明1027の衝撃押出しパンチ。
[本発明1029]
ランド部分の後端が、周方向肩部における該ランド部分の前端とは軸からの間隔が異なって位置している、本発明1028の衝撃押出しパンチ。
[本発明1030]
後端が前端よりも軸から遠く配置されている、本発明1029の衝撃押出しパンチ。
[本発明1031]
後端が前端よりも軸に近く配置されている、本発明1029の衝撃押出しパンチ。
[本発明1032]
衝突面が略円形であり、かつランド部分が円錐台形である、本発明1029の衝撃押出しパンチ。
[本発明1033]
ランド部分が、中心軸からランド部分の間隔の約5%~約80%に等しい軸方向長さを有する、本発明1028~1032のいずれかの衝撃押出しパンチ。
[本発明1034]
ランド部分が、中心軸からランド部分の間隔の約30%~約53%に等しい軸方向長さを有する、本発明1028~1032のいずれかの衝撃押出しパンチ。
[本発明1035]
ランド部分が、中心軸からランド部分の間隔の約36%~約47%に等しい軸方向長さを有する、本発明1028~1032のいずれかの衝撃押出しパンチ。
[本発明1036]
後方押出し点を過ぎるまで押し出されたしごき加工された側壁材料をさらに薄肉化するための薄肉化押出し点をさらに含む、本発明1027の衝撃押出しパンチ。
[本発明1037]
後方押出し点が、移行部分を過ぎるまで送られた材料をしごき加工するための押出し肩部を含み、該押出し肩部が、中心軸から該移行部分の後端の間隔よりも大きな中心軸からの間隔まで、該後端から外方に延びる、本発明1027の衝撃押出しパンチ。
[本発明1038]
押出し肩部が中心軸に対して約10°~約40°の角度で延びる、本発明1037の衝撃押出しパンチ。
[本発明1039]
縦軸、閉じた下端、および軸方向に延びる管状壁を有する中空のプレフォームを衝撃押出し加工する方法であって、
金属ビレットに衝撃を加えて該ビレットの材料を可塑化し、可塑化された材料を押し退け、送って、軸方向に前進する管状の移行壁を移行壁厚さで形成する工程;
該前進する移行壁の軸方向前方部分を押出し点を過ぎるまで押しやることにより、該前進する移行壁の該前方部分の半径方向内面をしごき加工して、該移行壁厚さよりも薄い側壁厚さを有する側壁を形成する工程;および
該ビレットのいくらかが残っている間に衝撃を停止して、閉じた下端を形成する工程
を含む、方法。
[本発明1040]
ビレットが、移行壁厚さよりも厚い底壁厚さまで減少したとき、衝撃を停止する、本発明1039の方法。
[本発明1041]
ビレットが、移行壁厚さに等しい底壁厚さまで減少したとき、衝撃を停止する、本発明1039の方法。
[本発明1042]
ビレットが、移行壁厚さよりも薄い底壁厚さまで減少したとき、衝撃を停止する、本発明1039の方法。
[本発明1043]
前進する壁の、約5mm~約15mmの軸方向前進または該前進する壁の軸からの間隔の約5%~約80%の軸方向前進ののち、第一の側壁部分のしごき加工を開始する、本発明1039~1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
前進する壁の軸方向前進が約6mm~約10mmまたは軸からの間隔の約30%~約53%である、本発明1043の方法。
[本発明1045]
前進する壁の軸方向前進が約7mm~約9mmまたは軸からの間隔の約36%~約47%である、本発明1044の方法。
[本発明1046]
前進する壁の軸からの間隔が約18mmであり、かつ前進する壁の軸方向前進が約7mmまたは該軸からの間隔の約36%である、本発明1045の方法。
[本発明1047]
前進する壁の軸からの間隔が約19mmであり、かつ前進する壁の軸方向前進が約9mmまたは該軸からの間隔の約47%である、本発明1044の方法。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図面を参照しながら本発明の例示的態様をさらに詳細に説明する。
【0036】
図1図1A、1Bおよび1Cは、従来の衝撃押出し加工法における様々な工程の模式図である。
図2】従来の金属容器を示す。
図3A】本発明の例示的な拡張性プレフォームの軸方向断面を示す。
図3B図3Aの例示的な拡張性プレフォームの変形態様の軸方向断面を示す。
図4】本発明の別の例示的な拡張性プレフォームの軸方向断面を示す。
図5】本発明のさらなる例示的な拡張性プレフォームの軸方向断面を示す。
図6】本発明のさらに別の例示的な拡張性プレフォームの軸方向断面を示す。
図7A】圧力・ラム成形法を使用して図3のプレフォームから成形された容器の軸方向断面を概略的に示す。
図7B図7Aの容器の変形態様の断面を概略的に示す。
図8】圧力・ラム成形工程を使用して図4のプレフォームから成形された容器の軸方向断面を概略的に示す。
図9】圧力・ラム成形工程を使用して図5のプレフォームから成形された容器の軸方向断面を概略的に示す。
図10】圧力・ラム成形工程を使用して図6のプレフォームから成形された容器の軸方向断面を概略的に示す。
図11】閉止端の外面に組み込まれたセンタリング構造を有する拡張性プレフォームの軸方向断面図である。
図12】変形態様センタリング構造を有する図11の拡張性プレフォームの軸方向断面図である。
図13図3に示すようなプレフォームの衝撃押出し加工に有用な、本発明の衝撃押出しパンチの正面斜視図である。
図14図13の押出しパンチの側面図である。
図15図13の押出しパンチの正面図である。
図16図13の押出しパンチの軸方向断面を示す。
図17図16に示す押出しパンチの第一および後方の押出し点の詳細断面図である。
図18図4に示すようなプレフォームの衝撃押出し加工に有用な、図13の押出しパンチの第一の変形態様の側面図である。
図19図18に示す第一の変形態様押出しパンチの第一、第二および第三の押出し点の詳細断面図である。
図20図5に示すようなプレフォームの衝撃押出し加工に有用な第二の変形態様押出しパンチの側面図である。
図21】リブ付き縁形成部分を有するプレフォームから作られた拡張容器の耐圧性能と、リブ付き縁形成部分を有しないプレフォームから作られた拡張容器の耐圧性能とを比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
例示的態様の説明
本開示は、拡張成形金属容器の製造のための拡張性の中空金属プレフォームならびにプレフォームの製造のための方法および工具に関する。特に、本開示は、流体加圧成形工程、好ましくは圧力・ラム成形工程に使用するための衝撃押出し加工された金属プレフォームに関する。本開示はさらに、衝撃押出し加工されたプレフォームを製造するための衝撃押出し加工法およびそのような方法のための工具に関する。
【0038】
本明細書において、用語「衝撃押出し加工」とは、衝撃力を使用して金属を可塑化し、変形させる工程をいう。本明細書の中で使用される衝撃押出し加工は、金属が可塑状態に転移され(可塑化され)、衝撃力によって付勢されて衝撃位置から離れる方向に流れるような力で金属に衝撃を加えることを含む。
【0039】
本明細書の中で使用される用語「衝撃押出し加工」は、金属ブランクまたはビレットがダイの中で、パンチにより、金属を可塑化し、パンチとダイとの間で流動させるのに十分な力で衝撃を加えられる金属冷間成形工程をいう。パンチとダイとの間の金属の流動の制御は、パンチとダイとの間の空間の局所的狭窄部の使用を含み得る。例示的な狭窄部は押出し点または押出し肩部である。しかし、狭窄部の使用は、基本的な形態で、ブランクの金属を衝撃可塑化し、それを衝撃パンチの周囲で流動させたのち、本発明にしたがってしごき加工工程を実施することを含む本発明の基本的な衝撃押出し工程に不可欠ではない。
【0040】
本明細書の中で使用される用語「しごき加工」とは、衝撃押出し加工中、ダイとパンチとの間を進む金属層また壁を、狭窄部、たとえば押出し点または押出し肩部に通過させることにより、薄肉化する工程を定義する。
【0041】
本明細書の中で使用される用語「押出し点および押出し肩部」とは、パンチとダイ壁との間に狭窄部を形成するパンチ上の周方向突出部をいう。押出し点は、円形断面のパンチ中のリッジ、たとえば環状リッジの形態であり得る。
【0042】
シート金属のしごき加工は、深絞り工程に組み込まれることもできるし、または別個に実施されることもできる。深絞り中、パンチおよびダイがパーツを絞り部に押し通すと、その絞り部がワークピースの外壁または半径方向外側の壁に作用を加えて、壁厚さ全体を一定の値に減らす。本明細書の中で使用される用語「内部しごき加工」とは、公知の加工におけるような壁の外側のしごき加工ではなく、管状壁の半径方向内側の径を増すための、壁の半径方向内面のしごき加工を定義する。さらに、本発明の内部しごき加工は、深絞りにおけるような別個の製造工程ではなく、衝撃押出し処理中にその一部として実施される。
【0043】
図示される例示的なプレフォームは略円柱形および円形断面を有するが、本発明は、任意の他の所望の断面の管状プレフォームにも等しく適用される。規則的または不規則な断面、たとえば楕円形または多面形の断面が可能である。
【0044】
従来の衝撃押出し加工
図1A~1Cを参照して、従来の衝撃押出し加工の主要工程およびそのような工程の主要工具部品を説明する。図2を参照して、ドーム状の下端を有する標準的な飲料容器を説明する。図3~6を参照して、本発明の例示的なプレフォームを説明する。図11および12を参照して、圧力・ラム成形工程に使用するための、センタリング構造を加えられた例示的なプレフォームを説明する。可変性の管状壁厚さを有するプレフォームを製造する際に使用するための例示的な工具が図13~20に示されている。図3~6のプレフォームから作られた完成品拡張容器が図7~10に示されている。
【0045】
図1A~1Cに模式的に示すように、従来の衝撃押出しシステムの基本構成は、押出し加工される中空のプレフォームの外部の生成に必要な形状およびサイズの押出しキャビティ14を画定する内壁12を有する押出しダイ10と、押出しキャビティ14に挿入され、押出しキャビティ14に受けられる金属ビレット30と衝突するための押出しパンチ20と、押出し加工されたプレフォーム50を放出するためのイジェクタ40とを含む。押出しパンチ20は、軸23と、軸方向前方の衝突端21と、ラム(図示せず)への取り付けのための、軸方向後方の被駆動端25とを有する。図1Aに示すような第一の工程においては、パンチ20およびイジェクタ40がいずれもそれぞれの引き込み位置にあるとき、金属、好ましくはアルミ合金の小塊またはビレット30がダイキャビティ14の下面16に配置される。ビレット30は、たとえば、棒形材料をスライスにカットすることによって製造される小塊または圧延プレート材料を打ち抜く、または切り抜くことによって製造される小塊であり得る。図1Bに示すような押出し工程においては、パンチ20をビレット30に強く衝突させ、それにより、ビレット30の金属を可塑化させ、逆押出しによってパンチ20の壁の周囲に沿って上に流動させて、パンチ20の周囲のダイキャビティ14を満たさせ、その流動する材料を、図7に示すようなプレフォーム50へと成形する。次いで、下り行程が完了したのち、パンチ20を上に引き抜いてプレフォーム50の放出を可能にする。図1Cに示す放出工程中、押出し加工されたプレフォーム50はイジェクタ40の前進によってダイ10から放出される。そして、そのプレフォームを、たとえば米国特許第7,107,804号に開示されているような圧力・ラム成形工程でさらに変形させることができる。
【0046】
図2に示すように、特に炭酸化による加圧下の飲料のための従来の飲料容器500は、側壁510と、ドーム状の底520を有する下端513と、容器が上に支持される縁550とを含む。ドーム状の底520および縁550は、シート材料を深絞りすることによって形成することもできるし、またはたとえば国特許第7,107,804号の従来の圧力・ラム成形工程において円柱形プレフォームを加圧拡張させることによって形成することもできる。この従来の圧力・ラム成形工程において、ドーム状の底520および縁550はラム(図示せず)の前進中に成形される。ラムの前進が、プレフォームの閉じた下端の内方への変形(ドーム状化)および側壁510の下端の丸め込みを生じさせる。圧力・ラム成形工程は当業者に周知であり、本明細書の中でさらに詳細に説明する必要はない。
【0047】
拡張性プレフォーム
図3~5に示すように、本明細書の例示的なプレフォーム100は、閉じた底、縁、および側壁を有する拡張成形金属容器の製造に使用するためのものである。プレフォームは、管状壁110、縦軸123および閉止端120を含む。管状壁110は、完成品拡張容器の側壁を形成する側壁形成部分111を含む。閉止端120は、完成品拡張容器の底を形成する底形成部分121を含む。プレフォーム100はさらに、プレフォームから作られた拡張容器の圧力・ラム成形中に丸められて(図7A~10を参照)容器の縁を形成する、縁形成部分131を含む。縁形成部分131は、図3Aに示すように縁形成部分131全体に延びてもよいし、または図3Bに示すように縁形成部分131の大部分だけに延びてもよい移行壁130を含み、そのうちの後者の場合、縁形成部分131は、底形成部分121に隣接する移行壁130と、管状壁110の下端113とを含む(図3Bを参照)。底形成部分121は底壁厚さ122を有し、側壁形成部分111は側壁厚さ112を有し、移行壁130は移行壁厚さ132を有する。図3Aの例示的態様において、側壁厚さ122は移行壁厚さ132よりも薄く、移行壁厚さ132は底壁厚さ122よりも薄い。図示される例示的態様において、移行壁130は管状壁110の一部であり、プレフォームの閉止端120に直に隣接している。移行壁130は、図7Aを参照しながら以下さらに詳細に説明するように、拡張容器180中に全丸められた縁150を形成するために設けられている。
【0048】
図3Aのプレフォームを用いて、プレフォームの閉止端120を圧力・ラム成形工程中に変形させて容器180のドーム状下端184を成形すると、図7Aに示すような、側壁182の下端113に増大した壁厚さを有する拡張容器180を達成することができる。上述したように、管状壁110の下端113の縁形成部分131の移行壁130は、圧力・ラム成形工程中、下端120がラムによって凸形から凹形に変形されるとき、内方に丸められて拡張容器180中に曲線状の縁150を形成する(図7A)。
【0049】
管状壁110の残り部分よりも厚い壁厚さを有する移行壁130を形成することにより、丸められた縁150は、一定の側壁厚さの管状壁を有するプレフォームから作られた容器に比べ、強化される。プレフォーム100の環状部分の形状の移行壁130を設けることにより、側壁182の下端113に、凹形の下端184に隣接する厚肉化された丸められた縁部分150を含む、圧力・ラム成形され、拡張成形された拡張容器180をプレフォーム100から製造することができる。
【0050】
これは二つの利点を提供する。第一に、厚肉化された丸められた縁は、圧力・ラム成形工程中に加えられる曲げ応力に確実に耐えるのに十分なほど強化され、それにより、容器の充填および加圧中に、丸められた縁における容器損壊の危険を有意に減らす。第二に、厚肉化された丸められた縁部分は、加えられた壁厚さのおかげで、容器180の充填および加圧中に縁150の展開を防ぐのに十分な剛性を有する。これは、炭酸飲料のための容器の使用だけでなく、エアゾール充填のための容器の使用も可能にするため、有意な利点である。
【0051】
移行壁130は、図3Aのプレフォーム100では、図7Aに示すような拡張容器に完全な丸められた縁150を形成するために、縁形成部分131全体に延びるように設けられる。または、移行壁130は、図3Bに示すように、丸められた縁150の大部分、この態様においては、図7Bに示すような拡張容器180中の丸められた縁150の少なくとも内側部分151を形成するように、縁形成部分131の大部分だけに延びる。
【0052】
本明細書の移行壁130を有する例示的な拡張性プレフォームの試験中、本発明者らは、図7Aに示すものとは反対に、完成品拡張容器180の縁150全体を形成するのに十分な軸方向幅の移行壁130をプレフォーム100中に作る必要はないことを見いだした。試験中、本発明者らは、完成品拡張容器をその耐圧限界を超えて加圧すると、ドーム状の下端184が外方に押されるが、はじめにドーム状端部の変形が起こるわけではないことを見いだした。代わりに、変形は、縁150、特に、ドーム状下端184と縁の最下点との間に延びる縁の内側半分151で始まる。本発明者らは、驚くことに、移行壁が縁形成部分131の小さな部分にしか延びないとしても、移行壁が底形成部分121から延びる限り、完成品拡張容器の耐圧性が改善することを見いだした。理由は、そのような移行壁が縁の内側半分の強化につながるからである。本発明者らはさらに、驚くことに、移行壁130が縁形成部分131の全体未満にしか延びないプレフォームを用いたとしても、移行壁130が完成品拡張容器の縁150の少なくともその内側半分151に延びるのに十分な軸方向幅をプレフォーム中に有する限り、有意に増大した耐圧性を有する完成品拡張容器を達成することができること、および縁の残り部分にも延びるように移行壁の幅を広げることが、縁の内側半分に延びる移行壁によってはじめに達成される耐圧性よりもずっと低い耐圧性を生じさせることを見いだした。したがって、成形容器180中の縁150は、プレフォーム100中の縁形成部分131から生まれるため、図3Bに示すような、移行壁130が底形成部分121から縁の少なくとも半分、好ましくは縁形成部分131の大部分に延びるプレフォームを用いて有意に増大した耐圧性を有する成形容器を達成することができる。そして、そのようなプレフォームは、図7Bに示すような、縁150が下端184から少なくとも縁150のピークを過ぎる(縁の大部分にかけて)移行壁厚さ132を有する拡張容器180につながる。これは、丸められた縁150が、縁150の内側半分151全体(縁の展開中、はじめに変形する縁の部分である)に及ぶ移行壁厚さ132を有することを意味する。
【0053】
様々なサイズの加圧拡張容器の製造のために様々なサイズのプレフォームを使用することができる。ここでいう用語「サイズ」は、円形の断面を有するプレフォームの直径および非円形の断面を有するプレフォームの幅の両方を包含する。しかし、使用される材料の拡張限界のせいで、一定のサイズのプレフォームをすべての所望のサイズの拡張容器の製造に使用することはできない。したがって、使用される出発プレフォームと完成品拡張容器との間のサイズの相対差は、縁の内側半分の形成に有用な移行壁幅の範囲と同様、相対的に小さい。
【0054】
円形断面および直径38mmの例示的なプレフォームにおいて、移行壁130は、閉止端120から約1mm~約15mmの軸方向幅まで延びる。これは、プレフォームの軸123から移行壁130までの間隔の約5%~約80%に等しい。移行壁の幅が約6mm~約10mm(軸からの間隔の約30%~約53%)である図3Bに示すような例示的な38mmプレフォーム100から作られた、圧力・ラム成形された拡張容器の場合、好都合な耐圧性が認められた。縁形成部分131の少なくとも大部分に延びる、特に約7mm~約9mmの幅(軸からの間隔の約36%~約47%)に延びる移行壁130を有するプレフォームから作られた容器の場合、最良の耐圧性が認められた。移行壁130の軸方向幅が少なくとも約7mm(軸からの間隔の約36%)である場合、直径36mmの例示的なプレフォームを使用して、許容可能な耐圧性を有する直径46mmの拡張容器が達成された。移行壁130の軸方向幅が少なくとも約9mm(軸からの間隔の約47%)である場合、直径38mmの例示的なプレフォームを使用して、許容可能な耐圧性を有する直径48mmの拡張容器が達成された。容易に明らかであるように、より大きな直径のプレフォームを使用すると、それぞれのプレフォーム中の移行壁の軸方向幅がプレフォームの軸から移行壁の間隔の約5%~約80%、好都合には約30%~約53%または約36%~約47%である限り、たとえば53mmまたは59mmまたはより大きい直径の容器を作ることができる。
【0055】
金属ビレットは、衝撃によって可塑化することができる、拡張性容器に適した任意の金属で形成されうる。金属は、実質的に純粋なアルミニウムおよびアルミニウム合金、たとえば1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000または8000シリーズ、たとえば1000シリーズまたは3000シリーズ合金、たとえば1070、1050、1100および3207合金を含むアルミニウムで作られ得る。
【0056】
圧力・ラム成形中の優れた結果のために、移行壁厚さ132は好ましくは底壁厚さ122にほぼ等しい。
【0057】
縁形成部分131は、周方向に一定の厚さを有することもできるし、または周方向に変化する厚さを有してもよい。変化する厚さは、厚めおよび薄めのパネル(図示せず)もしくはリブ(図示せず)を縁形成部分に設けることによって達成することができる。そのような周方向に変化する厚さは、使用される材料の量の削減を可能にしながらも、ブロー成形および圧力・ラム成形のためのさらなる強度をプレフォームに提供し、周方向に均一な厚さの縁形成部分を有するプレフォームから作られた拡張容器に匹敵しうる耐圧性を完成品容器に与える、完成品拡張容器中の縁を提供する。
【0058】
図3A~6に示す例示的なプレフォームは略円柱形であるが、本発明はまた、多葉形の断面もしくは規則的または不規則な幾何学形状、たとえば楕円形、三角形、長方形、五角形、六角形、七角形または八角形の断面を有する管状のプレフォームも含む。非円柱形の断面のプレフォームの達成は、使用される押出しダイおよび押出しパンチの形状およびサイズによってのみ制限される。しかし、当業者によって理解されるように、上記に開示された例示的なプレフォームに含まれる側壁の特徴は、衝撃押出し加工によって作ることができる任意の幾何学形状の管状プレフォームに容易に含まれうる。
【0059】
図4に示すような第一の変形態様プレフォーム101において、管状壁110は複数の段を有する。第一の態様プレフォーム101は、側壁形成部分111、閉止端120および縁形成部分131を含む。縁形成部分131は、閉止端120に直に隣接する移行壁130および移行壁130と側壁形成部分111との間に位置する厚肉化側壁部分140を含む。閉止端120は底壁厚さ122を有し、移行壁130は移行壁厚さ132を有し、厚肉化側壁部分140は増大した側壁厚さ142を有する。側壁形成部分111は、移行壁厚さ132よりも薄く、増大した側壁厚さ142よりも薄い側壁厚さ112を有する。図示される態様において、移行壁130および厚肉化側壁部分140は、管状壁110全体の環状部分の形状にある。移行壁130は、拡張容器の成形のための圧力・ラム成形工程中にプレフォーム101の閉止端120が変形するとき、丸められた縁150の少なくとも内側半分151を形成するために設けられ、厚肉化側壁部分140が縁150の残り部分を形成する(図8)。または、厚肉化側壁部分140は拡張容器180の側壁182の中に延びてもよい(図示せず)。
【0060】
圧力・ラム成形工程中に第一の変形態様プレフォーム101の閉止端120がドーム状にされ、縁形成部分131が内方に丸められると、拡張容器180中に発生する、曲線状の縁150が形成する(図8)。移行壁130は、第一の変形態様プレフォーム101中、拡張容器の丸められた縁150の内側半分を形成するために設けられている。側壁110の残り部分よりも厚い壁厚さを有する移行壁130を形成することにより、丸められた縁150は、一定の側壁厚さを有するプレフォームから作られた容器に比べて強化される。厚肉化側壁部分140を第一の変形態様プレフォーム101中に設けることにより、凹形の下端184に隣接し、移行壁130から生まれる丸められた縁部分150の厚肉化された内側半分151と、厚肉化側壁部分140から生まれ、内側半分151と側壁182の残り部分との間に位置する縁150の厚肉化された外側半分152とを含む、圧力・ラム成形された容器を第一の変形態様プレフォーム101から製造することができる。これはいくつかの利点を提供する。第一に、厚肉化された丸められた縁150は、圧力・ラム成形工程中に加えられる曲げ応力に確実に耐えるのに十分なほど強化され、それにより、容器の充填および加圧中に、丸められた縁における容器損壊の危険を有意に減らす。第二に、丸められた縁150の厚肉化された内側半分151は、加えられた壁厚さのおかげで、容器の充填および加圧時に縁の展開を防ぐのに十分な剛性を有して、容器を、炭酸飲料のためだけでなく、エアゾール充填のためにも使用することを可能にする。第三に、厚肉化された外側半分152は、縁150および側壁182のゆるやかな段階的薄肉化を可能にし、それにより、たとえばブロー成形によるプレフォームの拡張変形中、縁形成部分131と側壁形成部分111との間の移行部における破裂率を下げる。第四に、環状移行壁130および厚肉化側壁部分140によって達成される完成品拡張容器180の側壁182のゆるやかな段階的薄肉化は、ブロー成形工程中、第一の変形態様プレフォーム101のより制御された拡張成形を提供する。理由は、側壁厚さのゆるやかな段階的変化が、加圧拡張中に閉止端120上でより集中的な変形をもたらすからである。第五に、閉止端120からの側壁110のゆるやかな薄肉化におけるゆるやかな段階的減少は、第一の変形態様プレフォーム101から成形された拡張容器180の圧力保持能力を高める。移行壁130および厚肉化側壁部分140の第一および第二の環状部分を含む第一の変形態様プレフォーム101の部分は、ブロー成形による拡張中、傘のように開き、それにより、閉止端120をプレフォームの主軸に対して略垂直に維持する。
【0061】
厚肉化側壁形成部分140は、移行壁130から約1mm~約5mmの軸方向幅(プレフォーム直径の約3%~約15%)まで延び得る。
【0062】
この例示的な第一の変形態様プレフォーム101から作られた圧力・ラム成形容器を試験したとき、特に、プレフォーム直径が36~38mmであり、移行壁130の軸方向幅が約6mm~約10mmであり、かつ厚肉化側壁形成部分140の軸方向幅が約2mm~約4mm(約6%~約12%)であったとき、好都合な耐圧性が認められた。約9mmの軸方向幅を有する移行壁および約3mm(約9%)の軸方向幅を有する厚肉化側壁形成部分140を有する38mmのプレフォームから作られた容器の場合に最良の耐圧性が認められた。耐圧性は、移行壁厚さ132によってもっとも効果的に制御される。移行壁厚さ132が底壁厚さ122に等しいプレフォームの場合に完成品拡張容器における改善された耐圧性が達成された。
【0063】
そのうえ、圧力・ラム成形中の良好な結果のために、増大した側壁厚さ142は好ましくは側壁厚さ112の2倍である。製造されるプレフォームの厚さをゆるやかに段階的に変化させる、またはプレフォームの主軸に沿って側壁厚さを増減させるのいずれかのために(いずれも、アグレッシブな形状変化を有する成形品のブロー成形には好都合であり得る)、さらなる環状部分が側壁110に加えられてもよい(図示せず)。各環状部分は、周方向に変化する厚さを有して、厚めおよび薄めのパネル(図示せず)またはリブ(図示せず)のいずれかを環状部分、すなわち底形成部分121および縁形成部分131に提供し得、それが、ブロー成形および圧力・ラム成形のための追加的強度ならびに充填される容器製品における追加的耐圧性を可能にする。以下の表1は、リブを有する縁形成部分を有するプレフォームから成形された完成品成形容器の、リブを有しないプレフォームから製造された容器に比べて増大した耐圧性を示す。表1の圧力試験データは図21のグラフにまとめられている。明らかであるように、縁形成部分および/または底形成部分にリブを設けることが、より高い耐座屈圧能力、ひいてはより高い耐圧能力を得られる拡張容器に提供する。表1中、用語「ディンプル」とは、図11を参照しながら以下さらに説明するような中心の凹みをいい、用語「弁」とは、図16に関して以下に説明する軸タペット弁をいう。
【0064】
【表1】
【0065】
図5に示すような第二の変形態様プレフォーム102において、底形成部分121および移行壁130はいずれも閉止端120の一部であり、側壁形成部分111は環状壁110の全長に延びている。閉止端120は底壁厚さ122を有し、移行壁130は移行壁厚さ132を有し、側壁形成部分111は側壁厚さ112を有する。側壁形成部分111は、移行壁厚さ132よりも薄い側壁厚さ112を有する。図示される態様において、移行壁130は、底形成部分121を包囲する環状部分の形状にある。移行壁130は、圧力・ラム成形工程中にプレフォームの閉止端120が変形するとき、拡張容器180(図9)中の側壁部分182の下端183に増大した厚さの丸められた縁150を形成するために設けられている。
【0066】
圧力・ラム成形工程中に閉止端120がドーム状になり、縁形成部分131が内方に丸められると、曲線状の縁150が拡張容器180(図9)中に形成し、その縁が容器を直立状態に支える。移行壁130は、第二の変形態様プレフォーム102中、拡張容器中に丸められた縁150を形成するために設けられている。側壁形成部分111よりも厚い壁厚さを有する移行壁130を提供することにより、丸められた縁150は、一定の壁厚さのプレフォームから作られた容器に比べて強化される。図5の態様では、底形成部分121および移行壁130は略同じ厚さである。しかし、移行壁130は、中心軸に対して斜めに向けられて、プレフォームの閉止端に略円錐台形を与えている。当然、移行壁が、ドーム状端部のもっとも幅広部分に位置する環状部分であり、底形成部分がドーム状端部の残り部分によって提供される、均一に凸形にドーム状の閉止端(図示せず)を使用することもできる。円錐台形の閉止端およびドーム状の閉止端の両変形態様において、移行壁130は、中心軸に対して斜めに向けられて、プレフォームの圧力・ラム成形中、側壁形成部分111の下端113が丸められるのではなく、移行壁130が丸められることを保証する。底形成部分121および移行壁130のこの配置により、第二の変形態様プレフォーム102から、凹形の下端184と側壁182の下端183との中間に丸められた厚肉化縁部分150を含む圧力・ラム成形容器を製造することができる。したがって、図3および4に比べて有意に異なる図5のプレフォームの形状および割り当てにもかかわらず、図7A、7Bおよび8に関連して上述したものと非常に類似した構造を有し、同じ利点を提供する完成品拡張成形容器が製造される。
【0067】
図6に示すような第三の変形態様プレフォーム103において、底形成部分121および移行壁130はいずれも閉止端120の一部であるが、閉止端は円錐形でもドーム状でもない。図5の第二の態様におけるように、側壁形成部分111は環状壁110の全長に延びている。閉止端120は底壁厚さ122を有し、縁形成部分131は、移行壁厚さ132を有する移行壁130を含み、側壁形成部分111は側壁厚さ112を有する。側壁形成部分111は、移行壁厚さ132よりも薄い側壁厚さ112を有する。図示される態様において、移行壁130は、底形成部分121を包囲するうねった環状部分の形状にある。移行壁130は、圧力・ラム成形工程中にプレフォームの閉止端120が変形するとき、拡張容器180(図10)中の側壁部分182の下端183に増大した厚さの丸められた縁150を形成するために設けられている。移行壁130は、底壁厚さ122よりも厚く、側壁厚さ112よりも厚い移行壁厚さ132を有する。
【0068】
圧力・ラム成形工程中に第三の変形態様プレフォーム103の閉止端120が内方にドーム状になり、縁形成部分131が内方に丸められると、曲線状の縁150が拡張容器180(図10)中に形成し、その縁が容器を直立状態に支える。移行壁130を有する縁形成部分131は、プレフォーム100中、拡張容器中に丸められた縁150を形成するために設けられている。側壁形成部分111よりも厚い壁厚さを有する移行壁130を提供することにより、丸められた縁150は、一定の壁厚さのプレフォームから作られた容器に比べて強化される。第三の変形態様プレフォーム103の移行壁130は、環状の移行壁130の拡張を許し、プレフォームの圧力・ラム成形中、側壁形成部分111の下端113が丸められるのではなく、移行壁130が丸められることを保証するために、うねっている。底形成部分121および移行壁130のこの配置により、第三の変形態様プレフォーム103から、凹形の下端184と側壁182の下端183との中間に丸められた厚肉化縁部分150を含む圧力・ラム成形容器を製造することができる。したがって、図3~5のプレフォームに比べて有意に異なる図6の第三の変形態様プレフォーム103の形状および割り当てにもかかわらず、図7A~9の容器に関連して上述したものと非常に類似した構造を有し、同じ主要な利点の少なくともいくつかを提供する完成品拡張成形容器180が製造される(図10)。
【0069】
図3~6において、移行壁130を含む縁形成部分131は管状壁110または閉止端120のいずれかの一部として示されているが、移行壁厚さが側壁厚さよりも常に厚い限り、移行壁130を含む縁形成部分131は管状壁110と閉止端120の両方の一部であることもできる(図示せず)。
【0070】
別の局面において、本発明は、基本プレフォーム100の閉止端120が、プレフォームのセンタリングに使用されるセンタリング構造、たとえばディンプル119を含むことを提供する。特にプレフォームのブロー成形中、側壁形成部分111の変形が始まるとき、プレフォーム厚さの半径方向および軸方向へのわずかな変化のせいで、中心を外した不均一なプレフォームの拡張が起こる可能性がある。したがって、得られる拡張成形された容器は非対称になり、下端120および縁150は中心軸から偏るであろう。非常に多くの場合、そのような得られる容器は、縁150の上に支えられたとき、完全に垂直には立たない。これは、有意な製造上の難題であり、加圧拡張およびラム前進工程中にプレフォームの閉止端120が中心に保持されないならば、高い廃棄率につながる可能性がある。これは、図11および12に示すような本発明のプレフォームにおいて、プレフォームが成形されるところの圧力・ラム成形装置のラム上の中心に位置する相補的構造と係合するためのセンタリング構造119、119aによって達成される。センタリング構造は、任意の所望の形状を有することができ、閉止端120中に凹んだものであることもできるし、または閉止端120から突出するものであることもできる。図11に示すような一つの態様において、センタリング構造はディンプル119であり、図12に示すような別の態様において、センタリング構造は円錐形の点119aである。
【0071】
図3Aおよび3Bに示すような段付きの側壁110を有するプレフォーム100を達成するために、本出願にしたがって、好ましくは、押出し加工される金属に衝撃を加えるための衝突面を有する押出しパンチ;衝突面によって押し退けられた材料を送るための、衝突面から後方の移行領域;および移行領域を過ぎるまで送られた材料をしごき加工して、減少した壁厚さの側壁形成部分を製造するための後方押出し点を含む、例示的な衝撃押出し工具セットアップが使用される。
【0072】
第一の変形態様プレフォーム101において、側壁は複数の段を有し(図4を参照)、それらの段は、本発明の基本押出しパンチの移行領域および後方押出し点ならびにプレフォーム側壁中に一つまたは複数の段を形成するための一つまたは複数のさらなる押出し点を含む、変形態様衝撃押出しパンチによって製造される。
【0073】
衝撃押出し工具
次に、図13~20を参照して、本出願の衝撃押出しパンチ200の例示的態様をさらに詳細に説明する。押出しパンチ200は、中心軸223を有するボディ210と、軸方向前方の衝突端221と、衝撃押出しプレス(図示せず)の駆動ピストンまたは連接棒(図示せず)への取り付けのための、軸方向後方の被駆動端225とを含む。衝突端221は、押出し加工される金属小塊30(図1A~1Cを参照)に衝撃を加えるための衝突面224を含む。ボディ210はさらに、移行領域230および移行領域230から軸方向後方の後方押出し点260を含む。図示される例示的態様において、移行領域230は、衝突面224の丸められた周方向肩部232および周方向肩部232の前端235から後方に後端236まで延びるランド部分234によって形成されている。後方突出点260は、移行領域230によって向きを変えられた材料のしごき加工のために設けられている。後方突出点260はランド部分234の後端236に隣接している。パンチ200の移行領域230は、パンチ200と衝突したとき伝えられるエネルギーによって可塑化された金属小塊またはビレット30(図1A~1Cを参照)の材料の向きを変えるために設けられている。可塑化エネルギーはパンチ200の衝突面224によって伝えられる。衝突面224によって加えられた衝撃エネルギーは材料を可塑化し、小塊の材料を流動させる。衝突面224は、可塑化された材料を概して半径方向外側に押し退け、一方で、パンチの移行領域230が、流動する材料の方向を後方に変える。ランド部分234は、後端236よりも前端235で中心軸223から遠く配置されてもよい。ボディ210は、円形、多葉形または多角形の断面を有し得る。ボディ210が円形断面を有するとき、ランド部分234は、軸方向後方へと直径が小さくなる円錐台形を有し得る。
【0074】
ランド部分234は、好ましくは、軸方向に約1mm~約15mmの幅を有する。概して、ランド部分234の軸方向幅は、前端221における軸223からランド部分234の空間の約5%~約80%である。この軸方向幅は、製造されるプレフォーム100(図7を参照)の移行壁部分130の軸方向幅にしたがって選択される。したがって、ランド部分234は、好ましくは、約6mm~約10mmの幅(軸からの間隔の30%~約53%)、特に約7mm~約9mmの幅(軸からの間隔の約36%~約47%)を有する。36mmプレフォームのためのパンチにおいては、ランド部分234の幅は少なくとも約7mm(軸からの間隔の約36%)であり得、一方で、38mmプレフォームのためのパンチにおいては、ランド部分234の幅は少なくとも約9mm(軸からの間隔の約47%)であり得る。
【0075】
図17にさらに詳細に示すように、後方押出し点260は、移行面または前方押出し点を過ぎるまで押し出された初期側壁の材料を外方に押し出すことによって移行領域を過ぎるまで押し退けられた材料をしごき加工するための軸方向前方の押出し肩部262を含む。押出し肩部262の後に、第二のランド部分264およびプレフォームからのパンチの取り出しを容易にするための絞り部266が続く。好都合な結果のために、押出し肩部は、好ましくは、中心軸223に対して鈍角、好ましくは約10°~約40°の角度で向けられ、それは、押出し肩部を軸までずっと延ばしたならば軸223との角度が約10°~約40°になることを意味する。
【0076】
次に図16を参照すると、本明細書の基本押出しパンチ200はさらに、プレフォームからのパンチの取り出しを容易にするための中央ボア229および軸タペット弁240を含み得る。押出し段階の最後で、パンチ200の前進動が完了したとき、パンチ200とのプレフォームの底120との間に空気が入ることを許すことにより、パンチの引き込み(図1Cを参照)によるプレフォームからのパンチの取り出しが容易になる。これは、慣性および衝突面224とプレフォーム100の底120との間に発生する真空の両方のせいで押出し中は衝突圧によって閉じた状態に保持され、パンチ動が反転したとき自動的に開くタペット弁240によって達成される。タペット弁240は、軸部241、パンチ200中の相補的な前方弁座246の中に封止的に着座可能な前方の円錐端242および弁240の前進動を制限するための後方の円錐端244を含む。軸部241の長さは、タペット弁240が、前方の円錐端242が前方の弁座246の中に押し込まれる封止位置と、前端242が前方の弁座246から解放され、後方の円錐端244が中央ボア229の停止肩部248に当接するガス抜き位置との間で自由に動くことを許すように選択されている。パンチ200中には軸方向に向けられたガス抜きチャネル227が設けられ、このチャネルは、前方の弁座246に通じ、前方の弁座を中央ボア229と接続する。タペット弁240の封止位置においては、前方円錐端242がガス抜きチャネル227を封止するが、ガス抜き位置においては、空気が、後方の円錐端244を過ぎ、ガス抜きチャネル227を通って前方の円錐端242を過ぎるまで流れることを許されて、パンチ200が引き込まれたとき衝突面224とプレフォームの底120との間の真空の発生を防ぐ。
【0077】
パンチ200は、下端272および側壁274を有するダイ270とともに使用され得る。下端272は、好ましくは、上記のようなプレフォームのブロー成形中、プレフォームを型中で軸方向に整合した状態に維持する際に使用するためのセンタリングディンプル119(図11を参照)を、製造されるプレフォーム100の下端120に形成するための突出点271を含む。または、ダイ270は、プレフォーム100の下端120にセンタリング点119a(図12を参照)を形成するための凹み273(図示せず)を下端272に含んでもよい。
【0078】
図13~17の例示的な衝撃押出しパンチの変形態様、すなわち第一の変形態様パンチ302が図18の詳細図に示されている。変形態様押出しパンチ302は、中心軸323を有するボディ310と、軸方向前方の衝突端321と、プレス(図示せず)の駆動ピストンまたは連接棒への取り付けのための、軸方向後方の被駆動端325とを含む。衝突端321は、押出し加工される金属小塊30(図1A~1Cを参照)に衝撃を加えるための衝突面324を含む。ボディ310はさらに、移行領域330、移行領域330から軸方向後方の後方押出し点360および後方押出し点360から軸方向後方の薄肉化押出し点380を含む。移行領域330は、衝突面324の丸められた周方向肩部332および周方向肩部332の前端335から後方に後端336まで延びるランド部分334によって形成されている。後方押出し点360は、移行領域330によって向きを変えられた材料のしごき加工のために設けられている。後方突出点360はランド部分334の後端336に隣接している。ランド部分334は、後端336よりも前端335で中心軸323から遠く配置されている。ボディ310は、円形、多葉形または多角形の断面を有し得る。ボディ310が円形断面を有するとき、ランド部分334は、軸方向後方へと直径が小さくなる円錐台形を有し得る。変形態様パンチ302のランド部分334の軸方向幅は、パンチ200のランド部分234に使用されるものと同じ基準に沿って選択され得る。図19にさらに詳細に示すように、後方押出し点360は、前方押出し点を過ぎるまで押し出された初期側壁の材料を外方に押し出すことによって初期側壁の材料をしごき加工するための軸方向前方の押出し肩部362を含む。押出し肩部362の後に、第二のランド部分364およびプレフォームからのパンチの取り出しを容易にするための絞り部366が続く。好都合な結果のために、押出し肩部362は、中心軸323に対して鈍角、好ましくは約10°~約40°の角度で向けられ得る。図18および19の変形態様パンチ302に追加されている薄肉化押出し点380は、後方押出し点360によってしごき加工される側壁の材料厚さを減らすための軸方向前方の押出し肩部382を含む。薄肉化押出し点380は、後方押出し点を過ぎるまで押し出されたしごき加工された側壁の材料を外方に押し出す。薄肉化押出し肩部382の後に、第二のランド部分384およびプレフォームからのパンチの取り出しを容易にするための絞り部386が続く。好都合な結果のために、薄肉化押出し肩部382は、中心軸323に対して鈍角、好ましくは約10°~約40°の角度で向けられ得、一方で、絞り部386は、中心軸323に対して約1°~約3°の角度で向けられる。薄肉化押出し点380の使用は、製造されるプレフォームの側壁のよりゆるやかな段階的薄肉化を可能にし、それにより、たとえばブロー成形によるプレフォームの変形中の破裂率を下げる。
【0079】
本発明の押出しパンチの他の変形態様においては、後方および薄肉化押出し点360、380と同じ主要構造のさらなる押出し点(図示せず)を加えて、製造されるプレフォームの厚さを徐々に変化させ得、それは、アグレッシブな形状変化を有する成形品のブロー成形に好都合であり得る。本明細書のパンチに含まれる押出し点は、押出し点を過ぎるまで押し出された材料のしごき加工または薄肉化を生じさせ、それは、材料の内面またはプレフォームの内面における材料のしごき加工を意味する。
【0080】
図20に示すような第二の変形態様押出しパンチ400は、中心軸423を有するボディ410と、軸方向前方の衝突端421と、水圧または機械プレス(図示せず)の駆動ピストンまたは連接棒への取り付けのための、軸方向後方の被駆動端425とを含む。衝突端421は、押出し加工される金属小塊30(図1A~1Cを参照)に衝撃を加えるための衝突面424を含む。ボディ410は、移行領域430、移行領域430から軸方向後方の後方押出し点460および後方押出し点460から軸方向後方の薄肉化押出し点480を含む。移行領域430は、衝突面424の丸められた周方向肩部432および周方向肩部432の前端435から後方に後端436まで延びるランド部分434によって形成されている。後方押出し点460は、衝突面424との衝突によって可塑化され、移行領域430の肩部432およびランド部分434によって向きを変えられた材料のしごき加工のために設けられている。後方突出点460はランド部分434の後端436に隣接している。ランド部分434は、後端436よりも前端435で中心軸423に近く配置されている。ボディ410は、円形、多葉形または多角形の断面を有し得る。ボディ410が円形断面を有するとき、ランド部分434は、軸方向後方へと直径が増大する円錐台形を有する。ランド部分434は、パンチ200のランド部分234に使用されるものと同じ基準に沿って選択され得る軸方向の幅を有する。図示される変形態様における後方押出し点460および薄肉化押出し点480は、図18および19に示すものと構造が実質的に同一である。
【0081】
上記に開示された例示的な衝撃工具および押出しパンチは、円柱形プレフォームの製造のために円形の断面を有するが、本発明の押出しパンチはまた、円形以外の断面、たとえば多葉形を有することもできるし、あるいは多葉形プレフォームもしくは規則的または不規則な幾何学断面を有するプレフォームの形成のための規則的または不規則な幾何学断面形状を有することもできる。
【0082】
しごき衝撃押出し加工
縦軸、閉じた下端および軸方向に延びる変化する厚さの管状壁を有する中空のプレフォームの製造のための本出願の例示的な衝撃押出し法は以下の工程を含む。金属ビレットに衝撃を加えて金属を可塑化し;可塑化された金属の方向を軸方向に前進する管状壁の中へと変え;前方部分を押出し点を過ぎるまで押し出して減少した厚さを有する側壁部分を形成することによって前進する壁の軸方向前方部分をしごき加工し;ビレットのいくらかが非押出し状態で残っている間に衝撃を停止して、閉じた下端および管状壁(管状壁は側壁部分および移行壁部分を含み、移行壁部分は下端と側壁部分との間に延びる)を形成することにより、金属ビレットを衝撃押出し加工する。
【0083】
例示的な工程において、衝撃は、金属ビレットが所望の底壁厚さまで減らされ、前進する壁が移行壁厚さで向きを変えられ、側壁部分が移行壁厚さよりも薄い側壁厚さまでしごき加工されたとき、停止される。移行壁厚さは、底壁厚さよりも厚く、それに等しく、またはそれよりも薄くてよい。図3Aおよび3Bに示すプレフォームにおいて、移行壁厚さ132は、底壁厚さ122よりも薄く、側壁厚さ112よりも厚く、一方で、図5に示すプレフォームにおいて、移行壁厚さ132は底壁厚さ122にほぼ等しい。
【0084】
例示的な工程への代替として、衝撃は、金属ビレットが底壁厚さまで減らされ、前進する壁が、底壁厚さに等しい、またはそれよりも厚い側壁厚さで向きを変えられ、側壁部分が移行壁厚さよりも薄い側壁厚さまでしごき加工されたとき、停止される。
【0085】
好都合には、前進する壁のしごき加工は、前進する壁の、約5mm~約15mmの移行長さののち、開始される。好ましくは、移行長さは約6mm~約10mmである。直径38mmのプレフォームの場合、軸方向幅約7mm~約9mmの移行壁部分が好都合であることがわかり、これは、好ましくは、約7mm~約9mmの移行長さののち、前進する壁のしごき加工を開始することによって達成される。
【0086】
例示的な工程への別の代替として、衝撃は、金属ビレットが底壁厚さまで減らされ、前進する壁が、底壁厚さに等しい、またはそれよりも厚い移行壁厚さで向きを変えられ、側壁部分が、まず、移行壁厚さよりも薄い第一の側壁厚さまでしごき加工され、次いで、第一の側壁厚さよりも薄い第二の側壁厚さまでしごき加工されたとき停止されて、底壁、移行壁および段付きの側壁を有するプレフォームを形成する。
【0087】
衝撃は、金属ビレットが約0.009mm~約0.050mm、好ましくは約0.013mm~約0.015mmの底壁厚さまで減少したとき、停止され得る。
【0088】
金属ビレットの衝撃に使用される力は、ビレット中の金属の可塑化を確実に達成するのに十分に高い力である。適当な力範囲は当業者に明らかであろう。しかし、本出願の工程におけるような衝撃押出し工程全体の一部として側壁をしごき加工するとき、使用される衝撃力はまた、後方押出し点における確実なしごき加工を許すのに十分に高い力でなければならない。不十分な衝撃力は、不均一なしごき加工および製造されるプレフォームの薄肉化される側壁の不均一な厚さを招きかねず、プレフォームの成形中または成形容器へのプレフォームの拡張中、薄肉化される側壁中に亀裂が形成するおそがある。本発明者らは、75~450トンの衝撃力、特に約190トン~約210トンの衝撃力で、確実なしごき加工処理に十分な衝撃圧が生成されることを見いだした。直径38mmのプレフォームの製造においては約200トンの衝撃力で確実なしごき加工が達成された。より大径のプレフォームの場合、より大きな力が必要になる。
【実施例
【0089】
シリーズ1100または3000合金でできた直径38mm、厚さ12mmの市販のアルミニウム小塊を、従来の衝撃押出しプレス(Schuler Press)中、図20に示すような、一つの後方押出し点を有する本発明のパンチを使用して衝撃押出し加工した。使用した衝撃力は200tであった。得られた直径38mmの円柱形アルミニウムプレフォームは、厚さ約0.013mmの閉じた平坦な底、高さ約200mmおよび厚さ0.010mmの円柱形の側壁ならびに幅約7mmおよび厚さ約0.013mmの移行壁を有するものであった。プレフォームを従来のトリミング加工、洗浄およびブラッシング処理に付して、均一な上縁を生成し、押出し潤滑剤を除去し、均一な全体的外観を提供した。内容が全体として本明細書に組み入れられるWO2015/143540に開示されている主要な工程にしたがって、プレフォームをアニールし、予熱し、圧力・ラム拡張した。
【0090】
完全に拡張された直径48mmの容器を90psiまでの加圧に付した。ドーム状の底および縁を含む容器の下端の変形または座屈は認められず、また容器の伸びも検出されなかった。
【0091】
図13~17に示すようなパンチを使用して、直径36mmおよび移行壁幅7mmのプレフォームを用いて同じ例示的な押出し加工、成形および試験工程を実施した。ここでもまた、90psiまでの加圧で、変形、座屈または伸びは検出されなかった。36mmおよび移行壁幅5mmのプレフォームを使用した場合、90psiで完成品拡張容器の縁のわずかな展開が認められた。直径36mmおよび移行壁幅3mmのプレフォームを使用した場合、より高程度の縁の展開が認められた。
【0092】
移行壁を完全に省略した場合、最高度の展開が認められた。したがって、拡張性プレフォームへの移行壁の包含は、そのプレフォームから作られる拡張容器に改善された耐圧性を提供し、一方で、移行壁が縁形成部分の大部分に延びるとき、拡張容器中で内圧90psiまでの信頼しうる耐圧性が達成される。この理論によって拘束されることなく、本発明者らは、プレフォームの管状壁の下端における厚肉化された環状部分の提供が、側壁よりも厚い厚さを有し、かつ縁の内側半分を強化して縁展開の危険を減らす丸められた縁を圧力・ラム成形容器中に生じさせると考える。移行壁が縁形成部分の幅の大部分に延びるプレフォームを用いた場合、優れた結果が達成された。たとえば、直径約38mmのプレフォームにおいては、約7mmの移行壁幅が、このプレフォームから成形された約46mmの拡張容器における縁形成部分の幅の少なくとも半分を覆う。
【0093】
上記詳細な説明は、本発明者らによって現在考慮されている特定の好ましい態様に関するが、本発明は、その広い局面において、本明細書に記載される要素の機械的および機能的等価物を含むことが理解されよう。
図1
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図7B
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