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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】表示画面の取り付け具の改良
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220630BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G09F9/00 351
H04N5/64 581E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018007706
(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公開番号】P2018116278
(43)【公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】1701047.1
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518023061
【氏名又は名称】エス・ビー・エフ・アイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ・キャサリン・ペッツ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・グレン・シモンズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ティモシー・エドワーズ
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-040792(JP,A)
【文献】特開2005-073058(JP,A)
【文献】登録実用新案第3095740(JP,U)
【文献】特開2008-032796(JP,A)
【文献】特開平08-295185(JP,A)
【文献】特開2001-311498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0309219(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0040084(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0164541(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103062580(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M1/00-13/08
G09F9/00
H04N5/64-5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面および支持体のいずれか一方に取り付ける雄部と、表示画面および支持体の他方に取り付ける雌部とを備え、前記雄部と雌部が互いに係合されることにより表示画面が支持体上に取り付けられる、表示画面を支持部に取り付ける取り付けヘッドであって、
前記雄部は、前記雌部に設けられた溝内に位置する突起を備え、前記溝は開口端と閉鎖端とを有し、前記突起は、係合位置をとるため、前記雌部に対し、前記開口端から前記閉鎖端まで前記溝に沿って係合方向に移動可能であり、
前記取り付けヘッドは、前記雄部及び雌部を前記係合位置でロックするためのラッチ機構を含み、
前記ラッチ機構は、前記突起が溝の閉鎖端まで係合方向に移動するときに、自動的に雄部と雌部とを互いにロックするロック位置となり、
前記雄部と前記雌部とが前記係合位置に係止されたとき、前記ラッチ機構は付勢力によって解除位置に移動可能であり、前記突起は前記雌部に対して前記溝に沿った係合解除方向に閉鎖端から開放端に向かって移動して、雄部と雌部とが互いに離脱することができるようにされ、
前記ラッチ機構は、付勢力が除去された後であって、突起と雌部との係合解除方向の相対的な移動の前に解除位置に留まることができるようにされている、取り付けヘッド。
【請求項2】
前記ラッチ機構が前記雌部に取り付けられている、請求項1記載の取り付けヘッド。
【請求項3】
前記ラッチ機構が、前記ロック位置に向かって付勢されたレバーを備える、請求項1または2記載の取り付けヘッド。
【請求項4】
前記レバーは、前記ロック位置において前記突起のノッチに係合し、前記係合解除方向への前記突起の移動を防止するラッチを含む、請求項3記載の取り付けヘッド。
【請求項5】
前記ラッチは、ヒールを形成する外端部において幅が広くなっている、請求項4記載の取り付けヘッド。
【請求項6】
前記ラッチは、前記ロック位置に移動するとき、ばねの付勢力に抗して作用する請求項4または5記載の取り付けヘッド。
【請求項7】
前記ラッチは、ヒールを形成する外端部において幅が広くなっており、前記ばねは、前記ラッチのヒールを受けるために鋭角をなす平坦な片持ちばねである、請求項6記載の取り付けヘッド。
【請求項8】
前記レバーが前記ロック位置から前記解除位置に移動するとき、前記ラッチが前記ばねに押し付けられ、前記ばねの付勢力に抗して前記ばねを押し進め、ばねが静止位置に復帰し、ラッチに作用することによって、ラッチが解除位置に保持される、請求項6または7記載の取り付けヘッド。
【請求項9】
前記突起には、90度回転された2つの異なる位置で前記雌部と係合可能な2つのノッチが設けられている、請求項4から8のいずれかに記載の取り付けヘッド。
【請求項10】
表示画面を固定面に取り付けるための関節式支持アームであって、請求項1~9のいずれか1項に記載の取り付けヘッドを備えている関節式支持アーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来のコンピュータモニタ、フラットスクリーンディスプレイ、テレビスクリーン、タブレット、ラップトップ、タッチスクリーンなどを含む、表示画面(ディスプレイ・スクリーン)を取り付けるための装置に関する。特に、本発明は、表示画面を取り付けるための取り付けヘッド、2つの表示画面を取り付けるための装置、および表示画面を取り付けるための関節式支持アームに関する。本発明は、表示画面を取り付けるための現行の装置の問題を克服し、改良された技術的特徴を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0002】
第1の態様によれば、本発明は、表示画面および支持体のいずれか一方に取り付ける雄部と、表示画面および支持体の他方に取り付ける雌部とを備え、前記雄部と雌部が互いに係合されることにより、表示画面を支持体上に取り付ける、表示画面を支持部に取り付ける取り付けヘッドであって、前記雄部は、前記雌部に設けられた溝内に位置する突起を備え、前記溝は開口端と閉鎖端とを有し、前記突起は、係合位置をとるため、前記開口部から前記閉鎖端まで前記溝に沿った係合方向に前記雌部に対して移動可能である取り付けヘッドを提供する。
【0003】
前記取り付けヘッドは、前記雄部及び雌部を前記係合位置にロックするためのラッチ機構を含み、前記ラッチ機構は、突起が溝の閉鎖端まで係合方向に移動するときに自動的に、雄部と雌部とを互いにロックするロック状態となり、前記雄部と前記雌部とが係合位置に係止されたとき、前記ラッチ機構は(外部からの)付勢力によって解除位置に移動可能であり、前記突起は前記雌部材に対して前記溝に沿った係合解除方向に閉鎖端から開放端に向かって移動して、雄部と雌部とが互いに離脱することができるようにし、ラッチ機構は、付勢力が除去された後であって、突起と雌部との係合解除方向の相対的な移動の前に解除位置に留まることができるようにされている。
【0004】
好ましくは、ラッチ機構は、雌部に取り付けられている。さらに、ラッチ機構は、ロック位置に向かって付勢されたレバーを備えていてもよい。レバーは、ロック位置で突起のノッチに係合し、ロック解除方向への突起の移動を防止するラッチを含むことができる。好ましくは、ラッチは、ヒールを形成する外側端部において幅広である。
【0005】
好ましい構成では、ラッチはロック位置に動くとき、ばねに抗して作用する。ばねは、好ましくは、ラッチの踵部(ヒール)を受けるために鋭角をなす平坦な片持ちばねである。これらの実施形態のいずれかにおいて、レバーがロック位置から解除位置に動かされると、ラッチはばねに押し付けられて、前記ばねの付勢力に抗して前記ばねを押し進め、ばねが静止位置に復帰し、ラッチに作用することによって、ラッチが解除位置に保持される。
【0006】
好ましくは、突起に2つのノッチが設けられる。これにより、90度回転した2つの異なる位置で雌部との係合が可能になる。
【0007】
第2の態様によれば、本発明は、2つの表示画面を支持体に取り付ける装置であって、長さが可変の支持レールと、支持レールの実質的に中央で装置を支持体に取り付ける取り付けヘッドと、支持レールのそれぞれの端部で表示画面を装置に取り付ける取り付けヘッドとを備え、前記支持レールの長さは、前記支持レールの各辺を同時に伸長または短縮する単一の長さ調整制御部を有する調整機構によって制御され、前述の表示画面の取り付けヘッドを互いに近づけたり離したりするように移動させる、2つの表示画面を支持体に取り付ける装置が提供される。
【0008】
好ましい実施形態では、装置を支持体に取り付けるための取り付けヘッドは、レールを使用時に実質的に水平または実質的に垂直な構成で取り付けることができるように構成されている。これは、装置を支持体に取り付けるためにレールが取り付けヘッドに対して回転することを可能にすることによって達成され得る。装置を支持体に取り付けるために、レールを取り付けヘッドに対して定位置にロックするための手段が設けられてもよい。
【0009】
好ましくは、支持レールは伸縮自在であり、より好ましくは、支持レールは互いに重なり合って互いに対して移動する2つのビーム(梁)を含む。
【0010】
好ましい実施形態では、調節機構は、長さ調整制御部に接続された共通シャフト上の2つのピニオンギヤを備え、各ピニオンギヤとかみ合うラックが各ビームに設けられ、ギヤは長さ調整制御によって回転させられ、それらのビームを互いに相対的に移動させ、支持レールの各側面を長くまたは短くする。各ラックは、各ビームに設けられたスロットの1つの内縁に設けられてもよく、それらのラックは、長さ調整制御が回転されると、ビームが反対方向に同時に移動されるように、対向する内縁に設けられる。
【0011】
本発明のこの態様において、1つ以上の取り付けヘッドは、上記及び下記の第1の態様の取り付けヘッドであってもよい。
【0012】
第3の態様によれば、本発明は、表示画面を固定面に取り付けるための関節式支持アームであって、第1の態様の取り付けヘッドの雄部または雌部を含む関節式支持アームを提供する。第4の態様によれば、本発明は、表示画面を固定面に取り付けるための関節式支持アームであって、第1の態様の取り付けヘッドを含む関節式支持アームを提供する。
【0013】
第5の態様によれば、本発明は、表示画面を固定面に取り付けるための関節式支持アームであって、第2の態様による2つの表示画面を取り付けるための装置を含む関節式支持アームを提供する。
【0014】
第3、第4または第5の態様の関節式支持アームは、表示画面の端部で調整可能な支持力を提供するコイルばねと、前記支持力を調整するために前記コイルばねの張力または圧縮力を調整する調節機構とをさらに備え、前記調整機構は、コイルばねの軸線と同軸にされている関節式支持アームを提供する。調整機構は、回転可能なカラーを含むことができる。
【0015】
少なくとも好ましい実施形態では、本発明の第1の態様の取り付けヘッドは、自動的に行われる、セルフラッチ/ロック機能、及び手動ロック解除機能を提供し、雄部と雌部をロック解除/解放し、取り付けヘッドへの解放力の継続的な適用を要せずに分離される。したがって両手で支持体から表示画面を安全に取り外すことが可能であり、これはより大きな表示画面で特に有益である。
【0016】
少なくとも2つの表示画面を本発明の第2の態様の支持体に取り付けるための装置は、少なくとも好ましい実施形態では、2つの表示画面を単一の支持体に取り付ける便利な方法を提供する。表示画面間の間隔は、2つの表示画面の取り付けヘッドを同時に離す1つのコントロールで調整される。装置は、2つの画面を横に並べて、または縦に上下に重ねて取り付けるように構成することができる。
【0017】
第3、第4または第5の態様の関節式支持アームは、少なくとも好ましい実施形態では、操作するための工具を必要とせず、一般的に支持アームの軸の上に乗る構成要素と共に、支持アームの本体に一体化された調整機構を提供する。結果として得られる全体的なデザインは、あまり複雑ではなく、視覚的に魅力的で操作が簡単である。以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態を単なる例示として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの態様による関節式支持アームの側面図である。
図2図1の関節式支持アームの側断面図である。
図3図2の関節式支持アームの上腕の拡大断面側面図を示す。
図4】本発明の関節式支持アームの部分破断斜視図である。
図5】本発明の一態様による取り付けヘッドの雄部を示し、図5Aは雄部を斜視図で示し、図5Bは正面図を示し、図5Cは側面図を示す。
図6】本発明の一態様による取り付けヘッドの雄部を示し、図6Aは雄部を斜視図で示し、図6Bは正面図を示し、図6Cは側面図を示す。
図7A図7A図7Gは、本発明の一態様による取り付けヘッドの雄部及び雌部のラッチ及びラッチ解除を順番に示す図である。
図7B図7Aの次の状態を示す図である。
図7C図7Bの次の状態を示す図である。
図7D図7Cの次の状態を示す図である。
図7E図7Dの次の状態を示す図である。
図7F図7Eの次の状態を示す図である。
図7G図7Fの次の状態を示す図である。
図8】本発明の別の態様による伸縮レールの側面図を示す。
図9図8のレールを他側から見た斜視図である。
図10】調整ノブとギヤボックスの前面カバーを取り外した状態の同じ図を示す。
図11図8のレールの側面図を示す。
図12図11のA-A線及びB-B線の断面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施形態による表示画面(図示せず)用の関節式支持アーム100の側面図を示す。支持アーム100は、下部アーム110及び上部アーム130を備える。下部アーム110及び上部アーム130は、後述する1つまたは複数の関節接合部によって互いに動くことができる。上部アーム130は、下部アーム110に対して水平面及び垂直面内で回転することができる。
【0020】
下部アーム110は、任意の適切な取り付け手段によって、机、床または壁などの支持面に固定される。図1は、机またはテーブルに取り付けるためのC形クランプ120を示している。本発明の支持アームと共に、本出願人の市販の「Monobeam」クランプ並びに従来の卓上グロメット及びスルーポストを含む、他の取り付け又はクランプの設計を使用することができる。主な要件は、下部アーム110の端部がその上に位置し、その周りで回転できる垂直のスピゴット126(図2)を提供することである。グラブねじ127(図2)などの止め具を使用して、下部アーム110の取り付け部に対する回転範囲を制限することができる。
【0021】
図1に示すC型クランプ120は、L型ブラケット121と、下部プレート122と、ねじクランプアセンブリ123とを含む。下部プレート122には、L型ブラケット121の蟻溝125内を摺動する蟻ほぞ124が設けられている。L型ブラケットの天板126aからの距離が異なる2つ以上の蟻溝125を設けることにより、ねじクランプアッセンブリ123を締め付ける前に、顎の大きさを粗く調整することができる。
【0022】
この特徴により、例えば、机が壁の近くにあり、容易に外に出すことができない場合など、クランプを支持面の周りに配置するための限られたクリアランスがある場合に使用される。そのクランプでは、L型ブラケット121を上方から下降させて、下部プレート122を適切な蟻溝125内に下方から挿入し、ねじクランプアッセンブリ123を支持面の下側に締め付けた状態で、C型クランプが支持面の周りで効果的に組み立てられる。典型的には、わずか約10mmの表面と壁との間隔があればよい。C型クランプを組み立てるための工具は必要ない。
【0023】
図2は、図1の関節式支持アーム100の断面側面図を示している。この図では、表示画面用のケーブルをきれいにかつ安全に収納するための表示画面用のケーブル管理機能を見ることができ、それによれば、支持アームが汚れず、乱雑にならない。下部アーム110は、ケーブルを保持するための中央コア111を有し、ケーブルは、2つのタブ112を越えてケーブルを定位置に保持する上面に押しつけられる。上部アーム130には、2つの回転可能なTクリップ131が設けられており、ケーブルがそれらのTクリップ131によってアームの下側に格納されるようにしている。
【0024】
図3は、上部アーム130及び関節式支持アーム100の関節ジョイントの拡大断面側面図を示す。上部アーム130は、中央支持セクション132と、下部及び上部延長セクション133、134とから構成される。下部延長セクション133は、水平面内において下部アーム110に対して上部アーム130を回転させる実質的に垂直な回転軸を有するスピゴット・ソケット・ジョイント(spigot-and-socket joint)135を介して下部アーム110に接続されている。下部延長セクション133は、垂直平面内で下部アーム110に対して上部アーム130を回転させる実質的に水平な回転軸を有するピボット136によって上部アーム130の中央支持セクション132に対して回転することができる。上部延長セクション134は、ピボット137によって上部アームの中央支持セクション132に対して回転することができる。
【0025】
2つの延長セクション133、134は、中央支持セクション132を介して接続されることに加えて、中央支持セクション132が移動されている間に2つの延長セクション133、134を互いに同じ垂直方向に保つ連結機構によっても接続される。これは、例えば、表示画面の高さを変更するためにアームを動かすとき、表示画面を垂直に対して同じ角度に維持することができる。リンク機構は、リンク138、コネクタ139、リンク連結ロッド140及びリンク141を含む。
【0026】
重量調節機構は、コネクタ139とベアリング143との間に対向する力を提供する圧縮ばね142を含む。その力はベアリング143側の端部では、調節ナット144及び中央支持セクション132を介して下部延長セクション133に伝達される。圧縮ばね142の他方の端部はコネクタ139に作用する。リンクの作用線が下部延長セクション133のピボット136からオフセットされているため、リンクの力はトルクを生じさせ、中央支持セクション132を、そしてそれにより上部アーム130をピボット136回りに回転させようとするトルクをもたらす。重量調節機構が平衡状態にあるとき、このトルクは、アームの他端の負荷によって誘発されるピボット周りのトルクと平衡状態にある。
【0027】
圧縮ばね142によってもたらされるトルクは、中央支持セクション132上のねじに沿って上下に動く調節ナット144によって調整される。調節ナット144の外側にハンドグリップ(図4の符号146)が設けられており、そのハンドグリップはトップカバー145が持ち上げられたときに使用者に見える。ハンドグリップの回転は、ナット及びベアリング143に対し、中央支持部132のねじ部分に沿った位置の変化をもたらす。それにより、圧縮ばねが働くことができる空間の長さを変化させ、負荷のバランスをとる要求に応じて重量調節機構内でより大きいまたはより小さい力をもたらす。ベアリング143は、調節ナット(アジャスター)を回転させるとき、圧縮ばねの推力及びアームの荷重によって生じる摩擦を低減する。
【0028】
使用者は、アームを平衡状態に維持するのに十分な平衡力が提供されるまで調節ナットを調整する。バランスを取る力の範囲を与えるピボット136に組み込まれた摩擦は、使用者によるこの労力を軽減し、調整において正確である必要がなくなる。この好ましい実施形態の調節装置は、操作するための工具を必要とせず、支持アームの本体に便利に一体化される。正確な調整方向を見つけるのを助けるために矢印またはプラス/マイナス記号を付けることができ、また、緊張のレベルまたは程度を示すため、動きに刻み目(notched)を設けてもよい。
【0029】
図4は、調節用のハンドグリップ146を示すため、上部アーム130の一部を切り欠いた(トップカバー145が取り外された)関節式支持アーム100の斜視図を示している。
【0030】
図1~4を参照して、一般的に符号200で示される取り付けヘッドは、雄部210と雌部250を備えている。図3を参照すると、雄部210は、ピボット147及び148によって上部アーム130に対して回転することができ、それらは直交する2平面内の回転を許す。
【0031】
図5Aは雄部210を斜視図で示し、図5Bは正面図を示し、図5Cは側面図を示す。好ましい実施形態では、雄部210はアルミニウム鋳造物から作られる。それは円形の後部フランジ211を有し、この後部フランジの後部に上部アーム130に接続されるボス212が設けられており、このボス212は上で参照したピボット(ピボットジョイント)148の一部を形成している。突起213は、後部フランジ211の前面に設けられている。突起213は、図5Cに見られるように、後部フランジ211から前に向かって幅が広がり、後部フランジ211と突起213の間に三角溝またはチャンネル214が形成される。これは後述する雌部250に配置されて係合する部分である。
【0032】
図5Bを参照すると、突起213は、隣接する2つの辺のうち2つを切り欠いて形成したノッチ215及び216を有するほぼ四辺形の形状を有する。いずれかのノッチを6時の位置に置くと、突起の側面は12時の位置に向かう方向に収束していき、突起213は下部より上部が狭くなっていく。2つのノッチの存在及び突起213の形状は、雄部210が90度離れた2つの異なる向きで雌部250と係合することを可能にする。
【0033】
ねじ218によって保持される全体的にJ字形の板ばね217が各ノッチ215及び216の中央に配置されている。各図では、板ばね217は1つのみ示している。
【0034】
図6Aは、雌部250を分解斜視図で示し、図6Bは組み立てられた構成要素の正面図を示し、図6Cは側面図を示す。雌部250は、全体形状が短い円筒である本体251を備える。本体251はその前面252に溝(チャンネル)253を有し、その溝は、シリンダの一方の側では側面に円筒壁がないために開放端254とされ、他方の側では、他方の円筒壁によって閉じられた閉鎖端255とされている。溝253の幅は、閉鎖端255に向かって狭くなる。本体251の前面の後ろには、2つの構成要素が係合したときに、雄部210の突起213を収容する溝253が開いている。溝を形成する前面の2つの側縁256は、雄部の溝214内に位置する。
【0035】
本体251の後部には、表示画面の後部に取り付けられた取り付けプレート257が取り付けられている。好ましいタイプの取り付けプレートは、4つの外側取り付け穴が100mm離間し、4つの内側取り付け穴が75mm離間している「VESA」規格に適合する。
【0036】
雄部210と雌部250とをロックするラッチ機構は、ノッチ215(または216)の上端219と雄部210の板ばね217と、雌部250の他の主要部分であるレバー(ロックレバー)258とから構成されている。レバー258は、クリップまたはクリップスプリングと呼ばれてもよい。レバー258は、好ましくは、必要な弾力性を提供するためにばね鋼から作られる。
【0037】
レバー258は、2つの側縁256によって規定されるように本体251内の溝253の輪郭内に嵌合するように成形された全体的に細長い構成要素である。レバー258の上端は本体251に取り付けられるが、その長手方向に沿う他の部分はどこも取り付けていない。レバー258の下端部には、タブ259が設けられている。レバーのほぼ中央にはラッチ突起260が設けられているが、これについては後に詳述する。
【0038】
外部から付勢力がない場合、レバー258は、本体251の後壁とほぼ平行に、その取付け点から概してまっすぐ下方に延びる傾向がある。しかし、その固有の弾性のために、外部からの付勢力がレバーを(例えば、タブ259またはラッチ突起260まで)押し込むと、レバー258を押し戻して、本体251の後壁に対して傾斜した位置を取ることができる。したがって、レバー258は、第1の休止位置(ほぼ垂直、付勢力なし)及び第2の後退位置(後壁に向けて傾斜し、付勢力が加えられる)を有する。
【0039】
図7を参照して、雄部210及び雌部250のラッチ工程及びアンラッチ工程を以下に説明する。図7A図7Eは、ラッチ工程を順に示し、図7Eに互いにロックされた状態を示す。図7F及び図7Gはアンラッチ工程を示す。
【0040】
重要な特徴の参照番号は図7Aに示されているが、明確にするために他の図からは省略されている。図7Aは、雄部210と雌部250の間の最初の係合を示す。雄部210の突起213は、雌部250が雄部210に対して矢印の方向に動くために、溝253に挿入される。クリップまたはレバー258は静止位置にあり、突起213はレバー258のラッチ突起260と最初の接触をしている。
【0041】
図7Bでは、突起213が溝253への水平挿入の限界に達しており、ラッチ突起260が最大限まで押し戻されて、レバー258が後退位置にあり、突起213がレバーの固有の弾性に抗する付勢力をもたらす。雄部210は、今や、矢印の方向に下方に移動する雌部250に対し、溝内で垂直に相対的に上方に移動する。
【0042】
また、図7C図7D及び図7Eは、ラッチ突起260、ノッチ215の上端219及びばね217の係合シーケンスを示す。図7Cでは、ラッチ突起260の下縁は、雌部250が下に移動するときに突起213の前面の角度によってノッチ215内にちょうど縁をつける。
【0043】
図7Dにおいて、ラッチ突起260の下縁は、板ばね217の端部を捕捉し、雌部250が下方に移動し続けると、板ばね217を下方に付勢する。レバー258の固有の弾性のために、ラッチ突起260の上端がノッチ215の上端219から離れてすぐに、ラッチ突起260は図7Eに示すようにノッチ内に嵌め込まれ、上縁219がラッチ突起260の上端部に隣接しているために部分(雄部と雌部)同士が互いにロックされる。板ばね217はまた、図示のようにラッチ突起260の下縁の周りに掛けられ、安全性を高める。
【0044】
この離脱過程を図7F及び図7Gに示す。レバー258のタブ259は手動で後方に押され、これによりラッチ突起260がノッチ215から外に出て、板ばね217の端部が下方に付勢(変形)される。ラッチ突起260の下縁が板ばね217の端部を通過すると、板ばね217は上方に移動することによってその静止位置に戻る。板ばね217はラッチ突起260に抗して作用し、その固有の付勢力に抗してこの解除位置に保持するので、手動の付勢力はもはや取り除くことができる(押し続ける必要がない)。その状態で図7Gに示すように、雌部250を矢印の方向に上方に移動させて、構成要素を完全に分離することができる。
【0045】
したがって、本発明の取り付けヘッドは、自動、セルフラッチ/ロック機能及びマニュアルロック解除機能を提供し、これにより、雄部及び雌部のロック解除/解放が可能であり、取り付けヘッドに解除操作の力を継続して加えることなく、取り付けヘッドを分離することができる。したがって、両手で支持体から表示画面(ディスプレイ)を安全に取り外すことが可能であり、これはより大きな表示画面で特に有益である。
【0046】
本発明のさらなる態様は、少なくとも2つの表示画面を支持体に取り付けるための装置に関する。図8は、このような装置の好ましい実施形態を伸縮自在レール300として示している。図8は、2つの表示画面400を後方から見た立面図である。伸縮自在レール300は、中央に位置する取り付けヘッド310を含み、その取り付けヘッドは装置を支持アームまたは壁のような支持体に固定する。適切な支持アームとして、上述した支持アーム100がある。取り付けヘッド自体は、上記のような取り付けヘッド200、より正確には、そのような取り付けヘッドの雄部210または雌部250であってもよい。図示の実施形態では、取り付けヘッド310は上述の雌部250である。
【0047】
2つの表示画面を搭載する取り付けヘッド320が、伸縮自在レール300の各端部に設けられる。これらの取り付けヘッドは、任意の適切な取り付けヘッドを使用することができるが、好ましい実施形態では、取り付けヘッドは、雄部210をレール300上に設け、「VESA型」の雌部250を表示画面に装着たものであり、上述した取り付けヘッドと同じである。わずかに異なるモニタサイズを可能にするために、レール位置の微調整(例えばプラスマイナス5度)のためのハンドル330が設けられている。
【0048】
図9は、図8の伸縮自在レール300を他の側から見た斜視図を示す。レール自体は、2つの細長いプレート、すなわちフロントプレート340及びリアプレート350を含む。1つの取り付けヘッド320がフロントプレート340に取り付けられ、他のものがリアプレート350に取り付けられる。各プレートは、それぞれのスロット341及び351を有し、互いに対して伸縮自在に摺動する。
【0049】
中央取り付けヘッド310に隣接する伸縮レール300の中央には、図示されているように取り付けヘッド310とは反対側のレールの外側に、調整ノブ361が外側に設けられたギアボックス360がある。調整ノブ361は、伸縮のレベルを、したがって取り付けヘッド320の間の間隔を設定するために使用される。
【0050】
図10図9と同じ図を示しているが、調整ノブ361とギヤボックス360のフロントカバーは取り外されている。図11は、レール300の側面図を示し、図12A図12Bは、図11のA-A線及びB-B線に沿った断面図を示す。これらの図をすべて参照すると、調節機構が理解できる。
【0051】
調整ノブ361は、シャフト362に接続され、シャフト362には、フロントギア363及びリアギア364が取り付けられている。フロントギア363は、フロントプレート340のスロット341の下部内縁に設けられた歯付きラック342と噛み合う。リアギア364は、リアプレート350のスロット351の上部内縁に設けられた歯付きラック352と噛み合う。したがって、シャフト362のいずれかの方向への回転は、プレート340、350を反対方向に同時に移動させ、プロセス中のレールの全長を短くするか、または長くする。
【0052】
伸縮レール300は、図示のように実質的に水平な構成で使用してもよいし、垂直構成で使用してもよい。ある構成から他の構成への回転を可能にするために、ロック可能なピボットが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100 関節式支持アーム
110 下部アーム
111 中央コア
112 タブ
120 C型クランプ
121 L型ブラケット
122 下部プレート
123 ねじクランプアッセンブリ
124 蟻ほぞ
125 蟻溝
126 スピゴット
126a 天板
127 グラブねじ
130 上部アーム
131 Tクリップ
132 中央支持セクション
133 下部延長セクション
134 上部延長セクション
135 スピゴット・ソケット・ジョイント
136、137 ピボット
138 リンク
139 コネクタ
140 リンク連結ロッド
141 リンク
142 圧縮ばね
143 ベアリング
144 調節ナット
145 トップカバー
146 ハンドグリップ
147、148 ピボット
200 取り付けヘッド
210 雄部
211 後部フランジ
212 ボス
213 突起
214 (雄部の)溝
215、216 ノッチ
217 板ばね
218 ねじ
219 ノッチの上端
250 雌部
251 本体
252 前面
253 溝
254 開放端
255 閉鎖端部
256 側縁部
257 取り付けプレート
258 レバー
259 タブ
260 ラッチ突起
300 伸縮自在レール
310、320 取り付けヘッド
330 ハンドル
340 フロントプレート
341 スロット
342 歯付きラック
350 リアプレート
351 スロット
352 歯付きラック
360 ギヤボックス
361 調整ノブ
362 シャフト
363 フロントギヤ
364 リヤギヤ
400 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10
図11
図12