(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】車両用レバースイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
H01H25/04 N
(21)【出願番号】P 2018246012
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡谷 正志
(72)【発明者】
【氏名】高山 史典
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-054332(JP,A)
【文献】特開2002-352671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコラム部に取り付けられたケース部材と、
該ケース部材に所定の回動方向に回動可能に軸支されたレバー部材と、
前記レバー部材の前記回動方向に沿って高さが異なる複数のクリック山を有し、前記ケース部材に着脱可能であるクリック山部材と、
前記レバー部材の先端部に設けられてなるクリックピン部材と、
を備え、
前記クリックピン部材が隣接する前記クリック山間のクリック溝に当接する車両用レバースイッチ装置であって、
共通の前記クリック山部材をその厚さ方向の表裏を反転させて右ハンドル用ケース部材と左ハンドル用ケース部材の何れにも組み付け可能としたことを特徴とする車両用レバースイッチ装置。
【請求項2】
前記クリック山部材は、前記クリック山部材の前記右ハンドル用ケース部材又は前記左ハンドル用ケース部材への表裏2方向の取り付けに対応する複数の係合部を有し、
前記右ハンドル用ケース部材及び前記左ハンドル用ケース部材は、前記複数の係合部の何れかと係合する被係合部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用レバースイッチ装置。
【請求項3】
前記レバー部材は、その先端部に複数の前記クリックピン部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用レバースイッチ装置。
【請求項4】
前記右ハンドル用ケース部材及び前記左ハンドル用ケース部材は、前記クリック山部材の組み付け方向を1方向に規制する規制部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用レバースイッチ装置。
【請求項5】
前記クリック山部材とは別体に、前記回動方向と異なる第2の回動方向に対応する第2のクリック溝を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用レバースイッチ装置。
【請求項6】
前記クリック山部材は、前記回動方向と異なる第2の回動方向に対応する第2のクリック溝を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用レバースイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー部材の回動操作にクリック感を付与するようにした車両用レバースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングコラムには、各種のレバースイッチ装置が取り付けられている。このレバースイッチ装置には、例えば、ターンシグナルランプ(フラッシャランプ)を点滅させたり、ヘッドランプの光をハイビーム又はロービームに切り替えたり、ワイパーの動作速度を変更したり、ウォッシャを作動させたり、排気ブレーキの調整をしたりするものがある。例えば、特許文献1,2には、ターンシグナルスイッチ装置のキャンセル機構に関する提案がなされている。
【0003】
斯かるレバースイッチ装置は、ステアリングコラム部に取り付けられたケース部材と、該ケース部材に回動可能に軸支されたレバー部材と、ケース部材に組み付けられたクリック山部材と、レバー部材の先端部に設けられたクリックピン部材とを含んで構成されている。このクリックピン部材がクリック山部材の複数のクリック溝に当接することによって、レバー部材の回動にクリック感(節度感)が付与される。
【0004】
このようなレバースイッチ装置には、レバー部材の回動操作方向に沿って操作荷重が次第に大きくなるようにしたものがある。このようなレバースイッチ装置においては、クリック山部材に形成された複数のクリック山の高さがレバー部材の回動方向に次第に高くなっており、レバー部材の回動操作に伴ってクリックピン部材が乗り越えるクリック山の高さが次第に高くなるため、レバー部材の操作荷重が回動方向に沿って次第に大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-236225号公報
【文献】特開2009-205966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両には右ハンドル仕様のものと左ハンドル仕様のものがあり、右ハンドル仕様の車両と左ハンドル仕様の車両では、レバースイッチ装置のレバー部材の配置がハンドルに対して左右逆になるものがある。このため、レバー部材の回動方向に沿って山の高さが変化する複数のクリック山が形成されたクリック山部材を右ハンドル仕様の車両と左ハンドル仕様の車両のレバースイッチ装置に該クリック山部材を組み込むと、このクリック山部材のクリック山の高さの変化が左右で互いに逆になることがある。
【0007】
そのため、2種類のクリック山部材を用意する必要があり、その製造コストが高くなる他、左右別々に操作フィーリングの調整を行なう必要があるため、その作業に多くの時間と手間を要するという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、製造コストの低減と操作フィーリングの調整作業の簡略化を図ることができる車両用レバースイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、ステアリングコラム部に取り付けられたケース部材と、該ケース部材に所定の回動方向に回動可能に軸支されたレバー部材と、前記レバー部材の前記回動方向に沿って高さが異なる複数のクリック山を有し、前記ケース部材に着脱可能であるクリック山部材と、前記レバー部材の先端部に設けられてなるクリックピン部材と、を備え、前記クリックピン部材が隣接する前記クリック山間のクリック溝に当接する車両用レバースイッチ装置であって、共通の前記クリック山部材をその厚さ方向の表裏を反転させて右ハンドル用ケース部材と左ハンドル用ケース部材の何れにも組み付け可能としたことを第1の特徴とする。
【0010】
又、本発明は、第1の特徴に加えて、前記クリック山部材は、前記クリック山部材の前記右ハンドル用ケース部材又は前記左ハンドル用ケース部材への表裏2方向の取り付けに対応する複数の係合部を有し、前記右ハンドル用ケース部材及び前記左ハンドル用ケース部材は、前記複数の係合部の何れかと係合する被係合部を有することを第2の特徴とする。
【0011】
又、本発明は、第1及び第2の特徴に加えて、前記レバー部材は、その先端部に複数の前記クリックピン部材を有することを第3の特徴とする。
【0012】
又、本発明は、第1の特徴に加えて、前記右ハンドル用ケース部材及び前記左ハンドル用ケース部材は、前記クリック山部材の組み付け方向を1方向に規制する凸部を有することを第4の特徴とする。
【0013】
又、本発明は、第1の特徴に加えて、前記クリック山部材とは別体に、前記回動方向と異なる第2の回動方向に対応する第2のクリック溝を備えることを第5の特徴とする。
【0014】
又、本発明は、第1の特徴に加えて、前記クリック山部材は、前記回動方向と異なる第2の回動方向に対応する第2のクリック溝を有することを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、左ハンドル用ケース部材と右ハンドル用ケース部材にクリック山部材が厚さ方向の表裏を反転させてそれぞれ組み込まれるため、左ハンドル用レバースイッチ装置と右ハンドル用レバースイッチ装置に対してクリック山部材を共用することができ、該クリック山部材の製造コストを低く抑えることができる。又、クリック山部材をその表裏を反転させて左ハンドル用ケース部材と右ハンドル用ケース部材に組み付けても、該クリック山部材のクリック山の並びに変化がないため、レバー部材の操作フィーリングが左ハンドル用レバースイッチ装置と右ハンドル用レバースイッチ装置について同じとなり、操作フィーリングの個別の調整が不要となって調整が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る車両用レバースイッチ装置の側面図である。
【
図2】本発明に係る車両用レバースイッチ装置の平面図である。
【
図4】本発明に係る車両用レバースイッチ装置の分解斜視図である。
【
図5】本発明に係る車両用レバースイッチのクリック山部材の平面図である。
【
図6】本発明に係る左ハンドル用レバースイッチ装置のカバー部材を取り外して示す平面図である。
【
図7】本発明に係る右ハンドル用レバースイッチ装置のカバー部材を取り外して示す平面図である。
【
図8】(a)は左右のケース部材の平面図、(b)は表裏を反転させた状態のクリック山部材の平面図、(c)は左右のケース部材にクリック山部材を組み付けた状態を示す平面図である。
【
図9】本発明の変形例に係る車両用レバースイッチ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係る車両用レバースイッチ装置の側面図、
図2は同車両用レバースイッチ装置の平面図、
図3は
図2のX-X線断面図、
図4は同車両用レバースイッチ装置の分解斜視図、
図5はクリック山部材の平面図である。
【0019】
図示の車両用レバースイッチ装置(以下、単に「レバースイッチ装置」と称する)1は、車両の運転席前方の不図示のステアリングコラム部に
図3に示すベース部材2を介して取り付けられたケース部材10と、該ケース部材10に所定の回動方向(
図2及び
図4の矢印a,b方向)に回動可能に軸支されたレバー部材20と、ケース部材10の内部に着脱可能に組み付けられたクリック山部材30(
図4参照)と、レバー部材20の先端部に設けられた2つのクリックピン部材40(
図4参照)を備えている。
【0020】
上記ケース部材10は、
図4に示すように、上面が開口した矩形ボックス状の部材であって、その底面上には円形リング状の嵌合溝11が形成されている。又、このケース部材10の相対向する縦壁内面の所定箇所には、被係合部を構成する係合突起12(
図4には一方のみ図示)が突設されている。尚、このケース部材10の上面開口部は、
図1~
図3に示すように、矩形プレート状のカバー部材13によって閉じられる。
【0021】
前記レバー部材20は、丸棒状の部材であって、
図4に示すように、その先端部には、平面視扇形を成す連結部材21が前記レバー部材20に一体に形成される軸22によって連結されている。そして、この連結部材21の中央には、中空の矩形ブロック23が一体に形成されており、この矩形ブロック23の両側には、レバー部材20とは反対方向に向かって開くように平面視で斜めに配置された矩形ボックス状のホルダ24がそれぞれ一体に形成されている。又、矩形ブロック23の上面には、
図3及び
図4に示すように、円柱状のボス23aが一体に立設されており、矩形ブロック23の下面には、
図3に示すように、円筒状の凸部23bが形成されている。そして、連結部材21の中空ブロックの円弧曲面状の外面の幅方向中央には、縦方向に長いリブ状のストッパ21aが一体に突設されている。
【0022】
そして、連結部材21は、
図3に示すように、矩形ブロック23の上面に立設されたボス23aをカバー部材13の内面に形成された円形の凹部13aに嵌め込み、下面に形成された円筒状の凸部23bをケース部材10の底面に立設された嵌合溝11に嵌め込むことによって、レバー部材20と共にケース部材10に所定の回動方向(
図4の矢印a,b方向)に回動可能に軸支されている。又、レバー部材20は、連結部材21とケース部材10に、
図4に示す軸22によって所定の回動方向と直交する第2の回動方向(
図1の矢印c,d方向)に回動可能に軸支されている。
【0023】
ここで、レバー部材20の先端部は、
図3に示すように、連結部材21の内部に挿入されており、その内部には第2のクリックピン部材25が摺動可能に嵌装されている。ここで、第2のクリックピン部材25は、スプリング26によって外方へと付勢されている。又、連結部材21の内壁面には、
図3に示すように、クリック山27が一体に形成されており、このクリック山27の両側にはクリック溝28がそれぞれ形成されている。そして、これらのクリック溝28には、レバー部材20の第2の回動方向(
図1の矢印c,d方向)への回動によって第2のクリックピン部材25が選択的に係合するため、該レバー部材20の第2の回動方向への回動にクリック感が付与される。
【0024】
前記クリック山部材30は、
図4及び
図5に示すように、平面視略コの字状のプレート部材であって、その円弧状の内周面の中央部には、略矩形に切り欠かれたストッパ溝30aが形成されている。尚、このストッパ溝30aには、連結部材21の外面に突設されたストッパ21aが臨んでおり、該ストッパ21aがストッパ溝30aの端面に当接することによって、レバー部材20の回動可能角度が規制される。
【0025】
又、クリック山部材30のストッパ溝30aを挟んでこれの両側(上下)には、複数のクリック山31,32がそれぞれ形成されている。ここで、
図5に示すように、一方(
図5の上側)に形成された複数のクリック山31の高さは、中心部から外方(
図5の上方)に向かうに従って高くなるように設定されており、これらのクリック山31の隣接するもの同士の間に形成されるクリック溝33の深さは、中心部から外方に向かうに従って次第に深くなっている。これに対して、他方(
図5の下側)に形成された複数のクリック山32の高さは、中心部から外方(
図5の下方)に向かうに従って低くなるように設定されており、これらのクリック山32の隣接するもの同士の間に形成されるクリック溝34の深さは、中心部から外方に向かうに従って次第に浅くなっている。
【0026】
そして、クリック山部材30の短辺側の外面(
図5の上下端面)には、撓曲可能な複数の係合片(
図5においては2種類の係合片35,36)がそれぞれ並設されている。これらの2種類の係合片35,36には、
図4に示すように、その上端と下端に係合部を構成する係合爪35a,36aがそれぞれ一体に形成されている。
【0027】
以上のように構成されたクリック山部材30は、
図4に示すように、ケース部材10の内部に
図4の上方から組み込まれ、2つの係合片35の上端にそれぞれ形成された係合爪35aがケース部材10の内壁に突設された2つの係合突起12(
図4には一方のみ図示)に係合することによって、該クリック山部材30がケース部材10の内部に着脱可能に組み付けられる。
【0028】
前記クリックピン部材40は、
図4に示すように2つ設けられており、これらは連結部材21に形成されたホルダ24の開口部から該ホルダ24内に組み込まれて保持される。これらのクリックピン部材40は、不図示のスプリングによって付勢されてクリック山部材30のクリック溝33,34にそれぞれ押圧された状態で当接している。
【0029】
次に、以上のように構成されたレバースイッチ装置1の作用について説明する。
【0030】
例えば、レバー部材20が非操作状態にあるときには、該レバー部材20の先端に設けられたクリックピン部材40がクリック山部材30のクリック溝33,34の最も深さの浅い箇所に当接している。この状態から運転者がレバー部材20を
図2の矢印b方向に回動させると、クリックピン部材40がクリック山部材30の次のクリック溝33,34に順次当接してレバー部材20の回動にクリック感が付与されるが、クリック山31,32の高さがレバー部材20の回動方向に沿って次第に高くなるため、クリックピン部材40は、次第に高くなるクリック山31,32を乗り越える必要がある。このため、レバー部材20の操作荷重が操作方向(
図4の矢印b方向)に沿って次第に大きくなる。
【0031】
逆に、レバー部材20を
図4の矢印a方向へと戻す場合には、クリック山部材30のクリック山31,32の高さは、その操作方向に沿って次第に低くなるため、該レバー部材20の操作荷重が操作方向に沿って次第に小さくなる。
【0032】
又、レバー部材20を
図3に示す第2の回動方向(
図1のc、d方向)に回動操作する場合には、前述のように該レバー部材20の回動にクリック感が付与される。
【0033】
ところで、車両には右ハンドル仕様のものと左ハンドル仕様のものがあり、右ハンドル仕様の車両と左ハンドル仕様の車両では、レバースイッチ装置1のレバー部材20の配置がハンドルに対して左右逆になるものがある。ここで、左ハンドル仕様の車両と右ハンドル仕様の車両にそれぞれ設けられるレバースイッチ装置1L,1Rの構成と、これらのレバースイッチ装置1L,1Rにおけるクリック山部材30の組付要領を
図6~
図8に基づいて以下に説明する。尚、本実施の形態においては、レバースイッチ装置1Lに対応するケース部材を左ハンドル用ケース部材10L、レバースイッチ1Rに対応するケース部材を右ハンドル用ケース部材10Rと称する。
【0034】
図6は左側レバースイッチ装置のカバー部材を取り外して示す平面図、
図7は右側レバースイッチ装置のカバー部材を取り外して示す平面図、
図8(a)は左右のケース部材の平面図、
図8(b)は表裏を反転させた状態のクリック山部材の平面図、
図8(c)は左右のケース部材にクリック山部材を組み付けた状態を示す平面図である。尚、平面視において左側レバースイッチ装置1Lに組み付けられた状態のクリック山部材30の厚さ方向の表面をA面と称し、裏面をB面と称する。
【0035】
車両のハンドルの左側に配置される左側レバースイッチ装置1Lにおいては、
図6に示すように、左ハンドル用ケース部材10Lにクリック山部材30がA面を上にして組み込まれる。右側レバースイッチ装置1Rにおいては、
図7に示すように、クリック山部材30が厚さ方向の表裏を反転させて、つまり、クリック山部材30が
図6に示すA面とは反対側のB面を上にして右ハンドル用ケース部材10Rに組み込まれる。このことを
図8に基づいて更に詳細に説明する。
【0036】
即ち、本実施の形態においては、
図8(a)に示すように、左ハンドル用ケース部材10Lと右ハンドル用ケース部材10Rが用意される。ここで、左ハンドル用ケース部材10Lの相対向する縦壁内面の白抜き矢印で示す図示位置(内側)には、左側係合突起12Lがそれぞれ突設されており、右ハンドル用ケース部材10Rの相対向する縦壁内面の白抜き矢印で示す図示位置(外側)には、右側係合突起12Rがそれぞれ突設されている。
【0037】
そして、左ハンドル用ケース部材10Lには、
図8(b),(c)に示すように、クリック山部材30がA面を上にして組み込まれる。このとき、左ハンドル用ケース部材10Lに突設された一対の左側係合突起12Lには、クリック山部材30の内側の係合片36の上端に形成された係合爪36aが係合するため、該クリック山部材30が左ハンドル用ケース部材10Lに確実に固定される。尚、左ハンドル用ケース部材10Lにおいて、係合爪35aに対応する位置には、係合爪35aに係合可能な部材は設けられていない。
【0038】
又、右ハンドル用ケース部材10Rには、
図8(b),(c)に示すように、クリック山部材30がその厚さ方向の表裏が逆転され、A面とは反対側のB面(A面の裏面)を上にして組み込まれる。このとき、右ハンドル用ケース部材10Rに突設された一対の右側係合突起12Rには、クリック山部材30の外側の係合片35の上端に形成された係合爪35aが係合するため、該クリック山部材30が右ハンドル用ケース部材10Rに確実に固定される。尚、右ハンドル用ケース部材10Rにおいて、係合爪36aに対応する位置には、係合爪36aに係合可能な部材は設けられていない。
【0039】
尚、
図8(c)に示すように、左ハンドル用ケース部材10Lと右ハンドル用ケース部材10Rに、これへの組み付け方向が不適合なクリック山部材30の組み付けを阻止するリブ状の凸部50(規制部)をそれぞれ設けている。また、クリック山部材30は、組み付け方向が不適合な場合は該凸部50とクリック山部材30が干渉することで組み付けが出来ない形状とすれば、クリック山部材30の誤組を防ぐことができる。なお、規制部の形状はこの形態に限定されず、クリック山部材30に凸部を設けると共に、ケース部材10に凹部(規制部)を設けてもよい。
【0040】
以上のように、本実施の形態においては、左ハンドル用ケース部材10Lと右ハンドル用ケース部材10Rにクリック山部材30が厚さ方向の表裏を反転させてそれぞれ組み込まれるため、
図6に示す左側レバースイッチ装置1Lと
図7に示す右側レバースイッチ装置1Rに対してクリック山部材30を共用することができる。このため、クリック山部材30を左側レバースイッチ装置1Lと右側レバースイッチ装置1Rのそれぞれに対して別々に用意する必要がなく、該クリック山部材30の製造コストを低く抑えることができる。
【0041】
又、
図8(c)に示すように、クリック山部材30の表裏を反転させて左ハンドル用ケース部材10Lと右ハンドル用ケース部材10Rに組み付けても、該クリック山部材30のクリック山31,32の並びに変化がないため、レバー部材20の操作フィーリングが左側レバースイッチ装置1Lと右側レバースイッチ装置1Rについて同じとなり、操作フィーリングの個別の調整が不要となって調整が簡略化される。
【0042】
又、本実施の形態では、クリック山部材30は、クリック山部材30の右ハンドル用ケース部材10R又は左ハンドル用ケース部材10Lへの表裏2方向の取り付けに対応する2つの係合爪35a,36aを有し、右ハンドル用ケース部材10R及び左ハンドル用ケース部材10Lは、2つの係合爪35a,36aの何れかと係合する係合突起12を有するので、クリック山部材の厚さ方向の表裏を反転させて左ハンドル用ケース部材と右ハンドル用ケース部材に組み付けても、該クリック山部材を左ハンドル用ケース部材と右ハンドル用ケース部材の何れに対しても確実に固定することができる。
【0043】
又、本実施の形態では、レバー部材20の先端部に2つのクリックピン部材40を設けたため、クリック山部材30とクリックピン部材40の損耗を軽減して当該車両用レバースイッチ装置1の耐久性の向上を図ることができる。
【0044】
又、本実施の形態では、左ハンドル用ケース部材10L及び右ハンドル用ケース部材10Rに、クリック山部材の組み付け方向を1方向に規制する凸部50を設けたので、クリック山部材30の誤組を確実に防ぐことができる。
【0045】
更に、本実施の形態では、クリック山部材30とは別体に第2の回動方向に対応する第2のクリック溝28を備えるので、レバー部材20の第2の回動方向への回動に対してもクリック感を付与することができる。
【0046】
【0047】
図9は本発明の変形例に係る車両用レバースイッチ装置の平面図、
図10は
図9のY-Y線断面図であり、これらの図においては、
図2及び
図3に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0048】
本変形例に係る車両用レバースイッチ装置100においては、
図10に示すように、クリック山部材300に、レバー部材20の所定の回動方向にクリック感を付与するクリック溝(
図5に示すクリック山30における33、34に相当)と、レバー部材20の第2の回動方向にクリック感を付与する第2のクリック溝280とを形成したことを特徴としている。尚、第2のクリック溝280にはクリックピン部材400が当接しており、このクリックピン部材400が第2のクリック溝280に選択的に当接することによって、レバー部材20の第2の回動方向に所要のクリック感が付与される。
【0049】
尚、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。例えば、実施の形態では、クリックピン部材40がレバー部材20の先端部に2つ設けられ、それらに対応するクリック山部材30のクリック山列31,32が2組設けられているが、これらのクリックピン部材40及びクリック山列31,32の数はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1,100 車両用レバースイッチ装置
1L 左ハンドル用レバースイッチ装置
1R 右ハンドル用レバースイッチ装置
10 ケース部材
10L 左ハンドル用ケース部材
10R 右ハンドル用ケース部材
12 係合突起(被係合部)
12L 左側係合突起
12R 右側係合突起
20 レバー部材
21 連結部材
25 第2のクリックピン部材
28,280 第2のクリック溝
30,300 クリック山部材
31,32 クリック山
33,34 クリック溝
35,36 係合片
35a,36a 係合爪(係合部)
40,400 クリックピン部材
50 凸部