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特許7097295真空ポンプ用のフィルタエレメントおよび付随する装着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】真空ポンプ用のフィルタエレメントおよび付随する装着装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 25/02 20060101AFI20220630BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20220630BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20220630BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
F04C25/02 F
F04B39/16 D
B01D46/24 A
B01D46/24 B
B01D46/42 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018527929
(86)(22)【出願日】2016-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2016079509
(87)【国際公開番号】W WO2017093441
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-10-02
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2015/078226
(32)【優先日】2015-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500119813
【氏名又は名称】アテリエ ビスク ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Atelier Busch SA
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075144
【弁理士】
【氏名又は名称】井ノ口 壽
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェシン,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】リッペルト,エリック
(72)【発明者】
【氏名】アイビッシュ,ジャン
【審査官】大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-023214(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02255933(FR,A1)
【文献】特公昭50-029162(JP,B1)
【文献】特開2000-153119(JP,A)
【文献】特開2013-094691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0193929(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 25/00、39/00-39/16
F04C 23/00-29/12
F04D 1/00-13/16、17/00-19/02
F04D 21/00-25/16、29/00-35/00
B01D 46/00-46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流(F)の流れを可能にする第1の入口オリフィス(21)および第2の出口オリフィス(22)が配置され、内部にフィルタエレメント(3)が取り外し可能に装着された、ケーシング(2)を備えた真空ポンプ(1)であって、前記フィルタエレメント(3)は閉鎖ノズル(32)を備え、
前記第1の入口オリフィス(21)および前記第2の出口オリフィス(22)から選択される前記ケーシング(2)の少なくとも1個のオリフィスが、排出蓋(4)の上に配置され、前記排出蓋(4)は、前記ケーシング(2)から取り外し可能であるが、前記閉鎖ノズル(32)とともに単一の部品として実現されるか、または、前記フィルタエレメント(3)の前記閉鎖ノズル(32)に接続部品によって接続されて、前記排出蓋(4)が前記フィルタエレメント(3)に一体化されることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項2】
請求項1記載の真空ポンプ(1)において、
前記フィルタエレメント(3)が、更に入口ノズル(31)を備え、前記入口ノズル(31)および前記閉鎖ノズル(32)は、中間フィルタ部(33)の両側に配置され、
前記排出蓋(4)が、前記閉鎖ノズル(32)にコネクタ(5)によって固定されることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項3】
請求項2記載の真空ポンプ(1)において、
バッフル(6)が、前記コネクタ(5)または前記排出蓋(4)に配置されることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項4】
請求項3記載の真空ポンプ(1)において、
消音装置(7)が、前記閉鎖ノズル(32)と前記ケーシング(2)のオリフィスとの間に配置されることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項5】
請求項3または4記載の真空ポンプ(1)において、
前記排出蓋(4)が、前記バッフル(6)を正確に整列させるためにアラインメントシステムを備えることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項6】
請求項5記載の真空ポンプ(1)において、
前記排出蓋(4)が、前記排出蓋(4)の第1のねじ穴(41)および第2のねじ穴(42)にそれぞれ挿入された2対のねじを利用して前記ケーシング(2)にねじ留めされ、前記第1の穴(41)と第2の穴(42)がそれぞれ異なる間隔を有することを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか記載の真空ポンプ(1)において、
前記排出蓋(4)および前記コネクタ(5)が、前記フィルタエレメント(3)の閉鎖ノズル(32)と一体的に、すなわち単一部品として設計されることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか記載の真空ポンプ(1)において、
ハンドル(8)が、前記排出蓋(4)の背面に一体化されることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項9】
請求項8記載の真空ポンプ(1)において、
前記ハンドル(8)が、前記第1の入口オリフィス(21)および前記排出蓋(4)の第2の出口オリフィス(22)と干渉しない「U」形状を有することを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項10】
請求項2~7のいずれか記載の真空ポンプ(1)において、
組み立てフィルタエレメント(3)-コネクタ(5)-排出蓋(4)が対称軸(A-A)を有するカートリッジ(30)を形成し、前記入口ノズル(31)が前記第1の入口オリフィス(21)に固定され、前記対称軸(A-A)が前記第1の入口オリフィス(21)の第1の中心(210)と前記第2の出口オリフィス(22)の第2の中心(220)を連結するセグメントと一致することを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項11】
請求項10記載の真空ポンプ(1)において、
前記ケーシング(2)内への前記カートリッジ(30)の挿入及び取り出しの操作を容易にするためのガイド面(50)が、前記対称軸(A-A)の方向に沿って、前記カートリッジ(30)のフィルタエレメント(3)の幾何学的形態の延長部分に設けられることを特徴とする真空ポンプ(1)。
【請求項12】
内側にフィルタエレメント(3)が請求項1~11のいずれかに従って取り外し可能に装着され得るケーシング(2)を備えた真空ポンプ(1)用カートリッジ(30)であって、
前記カートリッジ(30)が、閉鎖ノズル(32)を備えた前記フィルタエレメント(3)を備え、
前記カートリッジ(30)が、前記閉鎖ノズル(32)とともに単一の部品として実現されるか、または、前記フィルタエレメント(3)の前記閉鎖ノズル(32)に接続部品によって接続される排出蓋(4)を備えることを特徴とするカートリッジ(30)
【請求項13】
請求項12記載のカートリッジ(30)において、
前記カートリッジ(30)が、入口ノズル(31)を備え、前記入口ノズル(31)及び前記閉鎖ノズル(32)が、中間フィルタ部(33)の片側に各々配置されることを特徴とするカートリッジ(30)。
【請求項14】
請求項12または13記載のカートリッジ(30)において、
前記排出蓋(4)が、一体型ハンドル(8)をさらに備えることを特徴とするカートリッジ(30)。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか記載のカートリッジ(30)において、
前記閉鎖ノズル(32)を前記排出蓋(4)に連結するコネクタ(5)とさらにバッフル(6)とを備えることを特徴とするカートリッジ(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空ポンプの分野に関する。より詳細には、本発明は、こうしたポンプのケーシング中のフィルタエレメント用の特別な装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ、特にオイルの濾過が合体の原理に基づく潤滑翼形回転真空ポンプが既に知られている。オイルを含む空気流は、フィルタエレメントが装着されたケーシングの入口から出口に向かって循環し、出口からオイルミストを含まずに出てくる。フィルタエレメントは、一般にケーシング入口の入口ノズルと水密内底部とを備えた円筒形カートリッジの形状を一般に有し、空気流は、原則的には円筒の軸に関して入口ノズルの反対側に位置する排出蓋に向かう前に円筒壁を横切る。カートリッジは、弾性エレメントを利用してケーシング内の所定の位置に維持することができるか、あるいはチャンバの入口壁に入口ノズルによって固定することができる。
【0003】
フィルタ能力を高め、同時にフィルタエレメントの寿命を延ばすために、複数のカートリッジがケーシング内に並列に装着された解決策、例えば、後者がケーシングの内壁に並んで装着された欧州特許第1034830号(特許文献1)に開示されたものなどが存在する。カートリッジのノズルがもはやケーシングの入口に直接接続されないこの特別な配置は、外部からカートリッジの円筒壁の内部への空気流の反転を意味する。ただし、流れは常に円筒の軸に沿って生じ、カートリッジの交換に比較的時間がかかる。
その結果、これらの公知の制限のない解決策が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第1034830号
【発明の概要】
【0005】
本発明の一目的は、特に、ポンプのケーシングにおけるフィルタエレメントのより容易でより実用的な組み立ておよび分解を可能にすることである。
本発明によれば、これらの目的は、空気流の流れを可能にする第1の入口オリフィスおよび第2の出口オリフィスが配置され、内部にフィルタエレメントが取り外し可能に装着されたケーシングを備えた真空ポンプによって達成される。組み立ては、第1の入口オリフィスおよび第2の出口オリフィスから選択されるケーシングの少なくとも1個のオリフィスが、ケーシングから同時に取り外し可能であるがフィルタエレメントと一体になった排出蓋の上に配置され、ケーシングと排出蓋の接続が密でないことを特徴とする。
【0006】
これらの目的は、モジュラエレメントとして単独で採用される、こうした真空ポンプに適合されたフィルタエレメントを備えたカートリッジによって同様に達成される。実際、フィルタエレメントは、ポンプの耐用期間にしばしば交換される可能性がある。こうした改良カートリッジは、中間フィルタ部の片側に各々配置された入口ノズルおよび閉鎖ノズルを備えたフィルタエレメントを備え、排出蓋がフィルタエレメントの閉鎖ノズルに一体化されることを特徴とする。
【0007】
提案された解決策の1つの利点は、フィルタエレメントとポンプの排出蓋を同時に装着できることであり、それによって、労力を節約できるだけでなく、コストおよび効率も同様に節約できる。というのは、特にポンプ内部でフィルタエレメントの閉鎖ノズルおよびその軸支持体の基本的な固定のために特別な配置がもはや必要ないからである。特別な有利な一実施形態によれば、排出蓋および閉鎖ノズルは、機械加工を容易にするために単一部品として実現される。
【0008】
好ましい実施形態によれば、排出蓋は、接続部品として働くコネクタを利用して閉鎖ノズルに接続される。一方ではこのコネクタが、他方では排出蓋および閉鎖ノズルが、単一部品として設計されたか否かにかかわらず、それによって、好ましくは、ポンプに起因する騒音をより効果的に抑えるための騒音防止フィルタ、さらにはバッフルの作用によって大きな液滴が排出口に到達するのを防止するオイルフィルタなどの他の機能を組み込むことができる。好ましい一変形形態によれば、バッフルの形状および閉鎖ノズルと排出蓋との間のその配置によって、これら2個のエレメント、すなわちオイルフィルタと騒音防止フィルタを組み合わせて単一の同じ部品にすることができ、さらなる操作上の改善が可能になる。さらに、バッフルを正しい方向に向くように装着するアラインメント手段も好ましくは提供することができる。
【0009】
別の好ましい実施形態によれば、組み立ておよび分解の操作をさらに容易にするために、ハンドルを蓋と一体化することができる。さらに、排出蓋と固定ノズルの接続部品は、同様に、フィルタエレメントをポンプに挿入するのを容易にするために、また、フィルタエレメントをポンプから取り出すのを容易にするために、ガイド面を有することができる。
【0010】
好ましい実施形態から得られる有利な特徴を単独でまたは組み合わせて取得できることを以下の詳細な説明から理解できるはずである。
非限定的な実施例によって記述され、添付の図面によって示される、本発明の特別な実施形態の以下の記述から、他の有利な特徴がより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】先行技術に係るフィルタカートリッジを備えた真空ポンプの模式図である。
図2】本発明に係る新しいフィルタエレメントを備えた真空ポンプの模式図である。
図3】本発明の第1の好ましい実施形態に係るフィルタエレメントとして使用されるカートリッジの3次元図である。
図4A図3に示したカートリッジの図、すなわち上面図である。
図4B図3に示したカートリッジの図、すなわち排出蓋の後ろから見た図である。
図4C図3に示したカートリッジの図、すなわち図4BのB-B線に沿った断面図である。
図4D図3に示したカートリッジの図、すなわち図4CのC-C線に沿ったコネクタにおける断面図である。
図5】本発明の第2の好ましい実施形態に係るフィルタエレメントとして使用されるカートリッジの入口端部の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、先行技術における公知の一解決策に係る真空ポンプ1のケーシング2に装着されたカートリッジの形をとるフィルタエレメント3を示す。フィルタエレメント3は、ポンプのケーシング2の第1の入口オリフィス21に装着された入口ノズル31、および閉鎖ノズル32を備え、その間にフィルタ部33が装着され、それを通って矢印Fで示された空気流が誘導され、次いでケーシング2の出口オリフィス22に向かって誘導される。ケーシング2の出口オリフィス22は、ここでは、取外し可能な蓋の中央に配置され、蓋を開けることによって、真空ポンプ1のケーシング2内のフィルタエレメント3の挿入および取り出しが可能になる。第2のオリフィス22およびこの閉鎖蓋を横切る空気流Fのために、このエレメントは、一般に排出蓋(またはフランジ)4と呼ばれる。
【0013】
Oリング形シールおよびガイド面は、一般に、ケーシング2の入口オリフィス21、およびフィルタカートリッジの入口ノズル31に設けられて、この端部におけるそれらの装着を容易にし、真空ポンプ1の良好な機能を確保するために媒体の密閉性を確保する。
【0014】
フィルタカートリッジをケーシング2の適所に確実に維持するために、調節可能な弾性固定エレメント10がカートリッジの閉鎖ノズル32の後面に押し当てられ、ケーシング2の内面に配置された側面肩部11によってさらに軸方向に保持される。その結果、カートリッジの交換は、一方では、ケーシング2に対して排出蓋4を取り外す必要があり、次いでフィルタカートリッジを取り外すために、調節可能な弾性固定エレメント10を取り外す必要があり、時間がかかる。
【0015】
図2は、真空ポンプ1のケーシング2に装着された改良カートリッジ30の模式図である。この改良カートリッジ30は、以下、フィルタエレメント3だけでなく、これらの欠点を克服することができる一体化された排出蓋4も備える。
【0016】
カートリッジ30は、以下、フィルタエレメント3を包含し、その本体は、第1の入口オリフィス21および第2の出口オリフィス22の軸、すなわちそのそれぞれの中心(すなわち、第1の入口オリフィス21の第1の中心210、および第2の出口オリフィスの第2の中心220)上に対称軸A-Aを有する。フィルタエレメント3は、依然として、入口ノズル31、および空気流Fを中間フィルタ部33の側壁方向に誘導する密閉性の高い閉鎖ノズル32を備える。しかし、閉鎖ノズル32は、もはやケーシング2内部の所定の位置に専用の固定によって維持されず、ケーシング2上の排出蓋4の固定自体によって直接維持される。実際には、図2において確認できるように、ここでは「コネクタ」5と呼ぶ接続部品が、閉鎖ノズル32を排出蓋4に接続し、ケーシング2上の後者の固定によって、同時にフィルタエレメント3の位置を決定する。したがって、排出蓋4による間接的固定によって、ケーシング2においてカートリッジを所定の位置に置いて交換する間の1つの操作を省略することができる。
【0017】
図3に示した改良カートリッジ30の好ましい実施形態によれば、フィルタエレメント3の本体は、好ましくは、流体の等方性の流れを促進するために円筒形である。さらに、円筒の対称軸A-Aがケーシングの入口オリフィス21および出口オリフィス22のものと一直線上にあることによって、ケーシング2における改良カートリッジ30の挿入および取り出しの操作を容易にするために、ガイド面50を円筒の部分的延長部分においてコネクタ5に沿って配置することができる。したがって、こうしたガイド面50は、例えば射出または成形による、機械加工が容易であり、組み立ておよび分解の操作の単純化にさらに寄与する。軸A-Aに沿ったこうしたガイド面50では、しかしながら、例えば平行六面体タイプの、別の対称的幾何形状が、フィルタエレメント3の本体で同様に想定され、したがって、これらの幾何形状の部分的延長部分は、軸A-Aに沿って配向するビームや足部をその周辺でほとんど形成しない。
【0018】
なお、図2において、バッフル6が閉鎖ノズル32と排出蓋4との間の空間に配置されている。このバッフル6は、フィルタエレメント3の出口において大きい矢印で示された空気流の方向の合体によって形成され閉鎖ノズル32の後ろを通過する大きい油滴が排出蓋4に到達するのを防止する目的を有する。バッフル6は、ここでは、排出蓋4の内壁に接続されているが、コネクタ5自体に配置することもでき、基本的な考えは、そのための別の専用部品を必要とせずに補足機能を果たすようにこのバッフル6を改良カートリッジ30に組み込むことである。
【0019】
しかし、前述したカートリッジ30の構造のお陰で、ケーシング2と排出蓋4との接続が必ずしも密である必要がないことは極めて重要である。しかし、ケーシング2の密閉が、改良カートリッジ30の良好な機能に有害ではなく、ガスケットまたは類似の装置を同様に使用することができる。
【0020】
閉鎖ノズル32と排出蓋4との間の同じ空間に配置された消音装置7の存在も図2に認めることができる。消音装置7は、この好ましい実施形態によれば、破線の矢印を利用して示される。というのは、それは、好ましくは、バッフル6自体に形成されるからである。成形装置が許せば、消音装置7とバッフル6を単一部品として設計することができ、この場合、真空ポンプ1のケーシング2の出口における「消音器」の機能を同時に果たし、また、これには、例えば、以下記載の図4Cに見られる騒音防止弁9などの通常は入口に配置される騒音抑制装置が可能である。
【0021】
図3に、本発明の好ましい一実施形態に係る改良カートリッジ30を示す。それによれば、フィルタエレメント3の本体は円筒形であり、正方形の排出蓋4に接続され、その角の周辺には4個の穴が固定ねじの挿入のために設けられている。出口オリフィス22は、例えば出口管との接続を容易にするために、円形である。したがって、改良カートリッジ30は、入口ノズル31、閉鎖ノズル32および中間フィルタ部33で構成されるフィルタエレメント3の軸に関して対称のままである。排出蓋の正方形および寸法は、好ましくは、既存のフラスコの通常の形状に対応するように、したがって、組み立て時におけるポンプ1の接触面に対して平坦化を促進するように、また、その周辺のアラインメント装置の構成を容易にするように、選択される。しかし、外部に突出した舌の形の耳であって、同じ長さの円弧の周囲に、さらには別の適切な、好ましくは対称的な、幾何形状の周囲に規則的に配置される耳を装着することも同様に想定できることを理解すべきである。
【0022】
この好ましい実施形態によれば、排出蓋4と閉鎖ノズル32とは単一部品として設計され、コネクタ5はここでは1個の仮想固有部品のみを構成する。というのは、この中間接続部品が、閉鎖ノズル32の後のどこから始まり、蓋のどこで終わるかを決定することが不可能だからである。しかし、この中間空間において、円筒の延長部分におけるガイド面50を識別することができる。
【0023】
このカートリッジ30の目的を成形によって達成するのに使用される材料は、例えば、ポリアミドもしくはポリプロピレン、または約80℃で循環する空気流を支持することができる任意の適切な材料からなることができる。さらに、静電気レベルをできるだけ減らすために、例えば、ステンレス鋼繊維が挿入されたポリプロピレンなどの伝導性材料が好ましくは選択される。
【0024】
さらに図3で注目されるのは、閉鎖ノズル32と排出蓋4との間の利用可能な空間におけるバッフル6の上の格子の存在である。この格子は、前に図2で示した消音装置7を実現する有利な変形形態を構成する。実際、これは、一方では、排出流を誘導することができ、他方では、より小さい区域で、次いでより大きい区域で、空気流が連続して通過するお陰で、騒音レベルを低下させることができる。さらに、空気を大きな穴を通して静める代わりに、それが一定数の小さい穴または溝に分離されることによって、発生する騒音の周波数を高め、その範囲がより制限され、したがって騒音の減少が求められる同じ目的の達成に寄与する。最後に、この格子によって層流が生成し、噴出中に通常発生する乱流が除かれ、その結果、騒音レベルをさらに減少させることができる。
【0025】
図3に示された消音装置7のこの好ましい実施形態は、さらに2つの技術的利点を有する。第1の利点は、出口における騒音防止減衰の機能が、この効果のために特に設ける必要がある専用補助体積を必要とする部品なしに得られ、したがって嵩高性が減少することにあり、第2の利点は、格子がコネクタ5およびバッフル6に対してモジュール方式で設計される場合、その製造プロセスを単純化し、その交換を挿入される目的を有する部品の交換とは無関係にすることである。それでも、消音装置が他の部品および特にバッフル6に対してモジュラ様式で設計されたかどうかにかかわらず、図3に示された格子以外の形態を、本発明の範囲から逸脱することなく、騒音を抑制する目的で選択することができると理解すべきである。
【0026】
以下、図4A、4B、4Cおよび4Dは、同様に、前述した図3に3次元で示した改良カートリッジの詳細な説明を示す。しかし、理解しやすいように、消音格子7はもはや描かれていない。
【0027】
図4Aにおいて、消音装置7を除いて、図3の参照符号すべてが再見され、ガイド面50のみがコネクタ5の周辺に示されている。バッフル6は、その全体をこの図では見分けられないが、図4Bにおいて、排出蓋4をケーシング2にねじ留めするための別々の対の穴によって形成されたアラインメントシステム、すなわち、ここでは間隔が異なる2個の第1のねじ穴41と2個の第2のねじ穴42が設けられる。この場合、第1の対の第1のねじ穴41の間隔は、第2の対の第2のねじ穴42よりもわずかに小さい。こうしたアラインメントシステムによって、ケーシング2の内部でバッフル6を正確に整列させることが可能になり、ここでは図4Dにおいてよく見ることができる側方スポイラ61によって構成されてそこで一体部分を形成するルーフが正確に配向され、排出フィルタの出口において重力によって形成される油滴を保持することができる。例えば、差し込みピン装着を利用した、または異なる数のねじおよび排出蓋4の別の幾何形状の、別のアラインメントシステムも同様に考えられる。それでも、複数対の穴および離隔したねじを利用したこの提案した変形形態は、実施が特に簡単であるという利点を有する。
【0028】
図4Cの矢状断面B-Bによって、フィルタエレメント3の入口ノズル31における騒音防止弁9を表示することが可能になり、それによって、出口における消音装置7(この図には示さず)と一緒に、外部に対してポンプの作動の防音性能を最大にすることができる。フィルタエレメント3の入口ノズル31における騒音抑制の別の可能性を図5に示す。本発明のこの実施形態において、図4Cに示した騒音制限弁9を、空気流の通過断面の減少で置き換えることができる。図5に見られるように、(矢印で示した)空気は、フィルタエレメント3の内部に円環37および一連の孔38を通って入り、円環37を通過する空気流は、拡大部39によって急速に広がる。この空気流は、次いで、図5に同様に示された錐面にそれを押しつけることによって、孔38を接線方向に通過する空気に再合流する。この配置によって、可動弁9を使用するのと同じ騒音抑制が可能になり、同時に単一の機械加工の容易な部品に組み立てることが可能になる。フィルタエレメント3にはもはや静的な部品がないので、信頼性も改善される。
【0029】
図4Cに示した実施形態に戻って、ガイド面50は、円筒の底部の延長部分、並びに図4Dに見られる、コネクタ5に一体化された、ハンドルプロファイル8を示すことができる固定ノズル32と排出蓋4との間の中間空間における垂直断面C-Cに依然として認めることができる。排出蓋4の背面にこうして一体化されたこのハンドル8は、その結果、外側からの図を示した図4Bが示すように、排出蓋4で隠され、したがって、美的秩序の利点を有し、嵩高性が減少し、したがってコンパクト性の点で有利である。こうした構成は、同様に、可能なコネクタによる出口における接続を容易にすることができる。
【0030】
一体型ハンドル8は、特別な形状、ここでは「U」の形であり、一方では、真空ポンプ1の通常操作モード中の流体の流れを乱さないように、オリフィス(すなわち、実施形態によれば、排出蓋4の第2の出口オリフィス22)の延長部分と干渉しない。こうした「U」形状によって、引く人のような使用者によって特に容易で直観的な握りを維持することができ、それは、人の指が出口オリフィス22に挿入され、次いで排出蓋4をその人の方に引くのに十分である。
【0031】
この記述した好ましい実施形態によれば、一体型ハンドル8も、一体的に、すなわち、閉鎖ノズル32および排出蓋4と一緒に1つの部品に設計される。したがって、それは、これら2個のエレメント間の仮想接続部品の一体部分を形成し、そういうものとして、好ましい方法において一体型ハンドル8とコネクタ5を単一部品として設計することを考えることができ、それによって、機械加工プロセスを単純化することができる。
【0032】
前述したように、示した好ましい実施形態は、本発明の範囲内で提案されるカートリッジ30のモノブロック形の(すなわち、単一部品として理解される)構造に言及したが、このカートリッジ30の様々な構成部品が果たす様々な技術的機能に関係する構成部品を発明の範囲から逸脱することなく組み立てる別の変形形態が可能であることが容易に理解されるはずである。カートリッジ30の部品すべてを独立に完成することが特に可能であり、それらの組み立てを可能にする取付けの適切な手段を提供することが特に可能である。こうした「分離した部品」で構成されるカートリッジ30、およびカートリッジ30のこれらの「分離した部品」も、モノブロック様式で完成されるカートリッジ30と同様に本発明の一部を形成する。さらに、別の幾何的な、好ましくは対称的な、形状も、排出蓋およびフィルタエレメントに対して同様に考えられる。さらに、ケーシングの入口および出口オリフィスの決定は、通常の空気流に対して慣習的になされたが、空気を外部からフィルタカートリッジの内側に向かって通過させる逆の空気流を含むポンプ輸送装置を想定することも同様に可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 真空ポンプ
2 ケーシング
21 入口オリフィス
210 入口オリフィスの中心
22 出口オリフィス
220 出口オリフィスの中心
3 フィルタエレメント
30 改良カートリッジ
31 入口ノズル
32 閉鎖ノズル
33 中間フィルタ部
37 円環
38 孔(単数または複数)
39 拡大部
4 排出蓋
41 第1のねじ穴
42 第2のねじ穴
5 コネクタ(接続部品)
50 ガイド面
6 バッフル
61 保持スポイラ
7 消音装置(後)
8 ハンドル
9 騒音防止弁(前)
10 弾性固定エレメント
11 保持タブ
A-A カートリッジの軸
B-B 第1の断面
C-C 第2の断面
F 空気流
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5