(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】細胞培養に基づく生物製剤の生産を調節するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20220630BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20220630BHJP
G01N 30/60 20060101ALI20220630BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
G01N27/04 Z
G01N30/02 Z
G01N30/60 Z
C12M1/00 C
(21)【出願番号】P 2018539235
(86)(22)【出願日】2016-10-14
(86)【国際出願番号】 US2016057128
(87)【国際公開番号】W WO2017066630
(87)【国際公開日】2017-04-20
【審査請求日】2019-09-12
(32)【優先日】2015-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポリー、レックス
(72)【発明者】
【氏名】サーコプスキー、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ホートン、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エリス、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ピーズ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】チェーピン、ジョン
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-518314(JP,A)
【文献】特表2012-500390(JP,A)
【文献】特開昭57-086046(JP,A)
【文献】特表2015-507191(JP,A)
【文献】特開平05-005730(JP,A)
【文献】米国特許第8410928(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/24
G01N 30/00-30/96
C12M 1/00-1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィカラムと、
導電率計と、
少なくとも1つのプロセッサであって、
前記導電率計を使用して前記クロマトグラフィカラムの複数の導電率値を測定し、
第1のカラム体積から第2のカラム体積までの所定数の導電率値を記録し、前記所定数の導電率値の平均値を計算することによって、前記計算された平均値であるベースライン導電率値を決定し、
(1)前記複数の導電率値の第2の測定された導電率値が最大導電率値未満であり、50%ピーク立ち下がり値より大きいことを判定し、前記判定に基づいて、前記第2の測定された導電率値に対応する時間およびカラム体積を記録し、
当該判定に基づいて、前記第2の測定された導電率値が前記最大導電率値未満であり前記50%ピーク立ち下がり値より大きいが50%立ち下がりに達したことを検出すると、
当該検出に基づき、前記ベースライン導電率値、前記第2の測定された導電率値に対応する前記記録された前記時間および前記カラム体積、ならびに前記最大導電率値に基づいて、(i)時間に基づく理論段相当高さ(HETP)値および(ii)体積に基づくHETP値を計算し、
(2)前記複数の導電率値の第1の測定された導電率値が前記最大導電率値未満であり、10%ピーク立ち下がり値より大きいことを判定し、前記判定に基づいて、前記第1の測定された導電率値に対応する時間およびカラム体積を記録し、
当該判定に基づいて、前記第1の測定された導電率値が前記最大導電率値未満であり前記10%ピーク立ち下がり値より大きいが10%立ち下がりに達したことを検出すると、
当該検出に基づき、前記ベースライン導電率値、前記第1の測定された導電率値に対応する前記記録された前記時間および前記カラム体積、ならびに前記最大導電率値に基づいて、(i)時間に基づく非対称因子および(ii)体積に基づく非対称因子を計算する、
プログラム命令を実行するための前記少なくとも1つのプロセッサと
を含む、クロマトグラフィカラムに対するリアルタイム分析を行うためのシステム。
【請求項2】
前記10%ピーク立ち下がり値は、
((前記最大導電率値-前記ベースライン導電率値)*0.1)+前記ベースライン導電率
値
に等しく、
前記50%ピーク立ち下がり値は、
((前記最大導電率値-前記ベースライン導電率値)*0.5)+前記ベースライン導電率
値
に等しい、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記最大導電率値が前に記録された最大値より大きいかどうか判定し、
前記判定に基づいて、前記最大導電率値に対応する時間およびカラム体積を記録する
格納されたプログラム命令をさらに実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記クロマトグラフィカラムの前記測定された1つまたは複数の導電率値の各々の時間およびカラム体積を記録する格納されたプログラム命令をさらに実行し、各時間は固定サイズの時間配列に記録され、各カラム体積は固定サイズの体積配列に記録される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記測定された1つまたは複数の導電率値は、時間または体積に対してプロットされると、導電率ピークをグラフ表現し、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記測定された1つまたは複数の導電率値の各々に対応する複数の時間およびカラム体積を前記導電率ピークの立ち上がり側に記録する格納されたプログラム命令をさらに実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
導電率の前記10%立ち下がりの前記検出は、前記導電率ピークの立ち下がり側で行われる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのプロセッサが、導電率計を使用してクロマトグラフィカラムの複数の導電率値を測定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサが、第1のカラム体積から第2のカラム体積までの所定数の導電率値を記録し、前記所定数の導電率値の平均値を計算することによって、前記計算された平均値であるベースライン導電率値を決定するステップと、
(1)前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記複数の導電率値の第2の測定された導電率値
が最大導電率値未満であり、50%ピーク立ち下がり値より大きいことを判定し、前記判定に基づいて、前記第2の測定された導電率値に対応する時間およびカラム体積を記録し、
当該判定に基づいて、前記第2の測定された導電率値が前記最大導電率値未満であり前記50%ピーク立ち下がり値より大きいが50%立ち下がりに達したことを検出すると、
当該検出に基づき、前記ベースライン導電率値、前記第2の測定された導電率値に対応する前記記録された前記時間および前記カラム体積、ならびに前記最大導電率値に基づいて、(i)時間に基づく理論段相当高さ(HETP)値および(ii)体積に基づくHETP値を計算するステップと、
(2)前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記複数の導電率値の第1の測定された導電率値が最大導電率値未満であり、10%ピーク立ち下がり値より大きいことを判定し、前記判定に基づいて、前記第1の測定された導電率値に対応する時間およびカラム体積を記録し、
当該判定に基づいて、前記第1の測定された導電率値が前記最大導電率値未満であり前記10%ピーク立ち下がり値より大きいが10%立ち下がりに達したことを検出すると、
当該検出に基づき、前記ベースライン導電率値、前記第1の測定された導電率値に対応する前記記録された前記時間および前記カラム体積、ならびに前記最大導電率値に基づいて、(i)時間に基づく非対称因子および(ii)体積に基づく非対称因子を計算するステップと、
を含む、クロマトグラフィカラムに対するリアルタイム分析を行うための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/242758号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、少なくとも1つのバイオリアクタ、他の細胞培養関連装置、およびそれらの任意の組合せを含むシステムの制御のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養プロセスは、哺乳動物細胞などの様々な種類の細胞を培養するのに使用される。例えば、細胞培養プロセスは、バイオリアクタを介して実施されうる。細胞培養プロセスにおいては、最大限の細胞培養(ヒト細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウス骨髄腫(NS0)、ハイブリドーマなど)を得るため、および/またはその品質仕様を満たす所望の生産物(組換えタンパク質、モノクローナル抗体、抗体融合タンパク質、および他の関連した生産物種など)を生産するための適切な物理化学的環境を維持することが重要である。例えば、溶存酸素レベル、培養pH、温度、せん断感受性などの要因が、細胞培養プロセスにおいて重要な役割を果たす。さらに、栄養環境の維持も重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの複数の異なる細胞を大工業的規模で生産または培養するという状況においては、物理化学的環境および/または栄養環境の適切なレベルを維持することは、特に、大規模培養システムが、複数のバイオリアクタを必要としうるのみならず、細胞培養に関与する様々な作業を行う他の種類の装置、例えば、調製装置、供給装置、精製装置なども必要とすることになる場合には、困難となりうる。この点に関して、大規模なバイオリアクタの実施態様において細胞培養のための適切な環境を維持し、オペレータ/ユーザがその実施態様とやり取りすることを可能にするシステムおよび/または方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つまたは複数の態様によれば、本発明は、プラントにおいて少なくとも1つのバイオリアクタ、他の細胞培養関連装置、およびプこれらの任意の組合せを含むシステムを制御するためのシステムおよび方法を対象とする。例えば、プラントワイド制御システム(PWCS(Plant‐Wide Control System))またはプロセス制御システム(PCS(Process Control System))は、以下の3つの主要な構成要素に分けることができる:(1)ハードウェア(オペレーティングシステムを含む、PWCSと関連付けられたネットワークの1つまたは複数のサーバと通信するコントローラなど、(2)制御を行うためのソフトウェア(制御モジュールなど)、および(3)ソフトウェアによってあるプロセス値を維持するのに使用されうる1つまたは複数の計器制御ループ。さらに、理論段相当高さ(HETP(Height Equivalent of a Theoretical Plate))値および非対称因子を、PWCS構成要素を使用して、クロマトグラフィカラム上のリアルタイム分析に基づいて決定することができる。したがって、HETP値、ピーク非対称性値およびピーク効率性値は、専用の特殊なハードウェアもソフトウェアも必要とせずに、例えば、クロマトグラフィシステムを制御するためにすでに存在するハードウェア/ソフトウェアを使用してリアルタイムで計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の1つまたは複数の態様による例示的なシステムを示す図である。
【
図2】本発明の1つまたは複数の態様による例示的なシステムを示す図である。
【
図3】本発明の1つまたは複数の態様によるシステム構成要素を示す図である。
【
図4】本発明の1つまたは複数の態様によるシステム構成要素を示す図である。
【
図5】本発明の1つまたは複数の態様による制御ループを示す図である。
【
図6】本発明の1つまたは複数の態様による手動モードで動作する制御ループを示す図である。
【
図7】本発明の1つまたは複数の態様による自動モードで動作する制御ループを示す図である。
【
図8】本発明の1つまたは複数の態様によるカスケードモードで動作する制御ループを示す図である。
【
図9】本発明の1つまたは複数の態様によるバイオリアクタ温度制御のためのカスケードループを示す図である。
【
図10】本発明の1つまたは複数の態様による制御モジュールの入力・出力構成を示す図である。
【
図11A】本発明の1つまたは複数の態様による例示的なオペレータインターフェースを示す図である。
【
図11B】本発明の1つまたは複数の態様によるオペレータインターフェースと関連付けられた例示的なフェースプレートを示す図である。
【
図12A】本発明の1つまたは複数の態様によるクロマトグラフィスキッド計算を処理するための1つまたは複数の制御モジュールを示す図である。
【
図12B】本発明の1つまたは複数の態様によるクロマトグラフィスキッド計算を処理するための1つまたは複数の制御モジュールを示す図である。
【
図13】本発明の1つまたは複数の態様による例示的なクロマトグラフィ・カラム・システムの例を示す図である。
【
図14】本発明の1つまたは複数の態様によるクロマトグラフィ・カラム・パックのリアルタイム分析のためのHETP制御モジュールの適用を示す図である。
【
図15】本発明の1つまたは複数の態様によるクロマトグラフィ・カラム・パックのリアルタイム分析のためのHETP制御モジュールの適用を示す図である。
【
図16】本発明の1つまたは複数の態様によるクロマトグラフィ・カラム・パックのリアルタイム分析のためのHETP制御モジュールの適用を示す図である。
【
図17】本発明の1つまたは複数の態様による相論理と、装置モジュールと、制御モジュールとの間の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、少なくとも1つのバイオリアクタ、他の細胞培養関連装置、およびそれらの任意の組合せを含むシステムの制御のためのシステムおよび方法に関する。例えば、バイオリアクタ制御のためのシステムおよび方法は、複数のバイオリアクタおよび他の種類の培養関連装置、例えば、発酵、収穫のための装置、精密濾過および精製のための装置(例えば、液体クロマトグラフィ・スキッド・システム)、緩衝液調製、培地調製などを制御することを含みうる。複数のバイオリアクタおよび他の種類の培養関連装置は、プラント内に配置されていてよく、そのような装置の制御は、プラントワイド制御システム(PWCS)と呼ばれている。
【0008】
一例として、PWCSは、自動バッチ処理のための制御システム(例えば、1つまたは複数の装置を使用して、有限な期間にわたって、多量の投入材料に順序付けした一連の処理作業を施すことによって多量の材料、例えば細胞を生産するプロセス)とすることができる。PWCSは、以下の3つの主要な構成要素に分けることができる:(1)ハードウェア(オペレーティングシステムを含む、PWCSと関連付けられたネットワークの1つまたは複数のサーバと通信するコントローラなど)、(2)制御を行うためのソフトウェア(制御モジュールなど)、および(3)ソフトウェアによってあるプロセス値を維持するのに使用されうる1つまたは複数の計器制御ループ。
【0009】
本発明の一態様では、1つまたは複数の制御モジュールを使用して、読取り値入力などの制御を行い、様々な現場機器(例えば、送信機付きセンサ、スケール、スイッチ、ポンプ、制御弁、弁、可変周波数ドライブ付きポンプ、可変周波数ドライブ付き撹拌器、リミットスイッチ付き弁)の警報または警報機能、または細胞培養に関連した任意の種類の装置を管理することができる。一例として、制御モジュールは、様々なアルゴリズムを連結し、PWCSと関連付けられたいくつかの条件、警報表示、および他の特性を処理しうるソフトウェアとすることができる。さらに、制御モジュールは、ユーザまたはオペレータがモジュールパラメータを操作するためのインターフェース機能を可能にすることもできる。例えば、オペレータインターフェース(OI)などのグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)は、オペレータのためのあるデータおよび処理ユニットを表示することができる。オペレータは、中央、複数または遠隔の操作位置からモジュールパラメータを操作および調整することができる。
【0010】
制御モジュールは、1つまたは複数の制御ループを介して制御を行うことができる。例えば、制御ループは、アクチュエータ、センサ送信機、およびループコントローラの少なくとも3つの構成要素を含むことができる。いくつかの例では、制御モジュールは制御ループに含まれうる。制御ループに関連した応用には、バイオリアクタの温度制御、クロマトグラフィスキッド内の圧力制御、ダイアフィルトレーション処理のレベル制御、溶存酸素濃度の管理、その他のガス濃度、インペラ速度の制御、臨界ガスの気泡サイズの制御などが含まれうる。
【0011】
よって、本開示に記載するシステムおよび/または方法は、上記の各細胞および生産物種に最適な環境を維持することができる。例えば、最適なpHは、(特定の細胞および生産物種の組合せに応じて)、例えば6.00から8.00まで変化しうる設定値で制御することができ、所望のpH設定値の0.10以内、または任意の他の適切な範囲内で制御することができる。同様に、温度設定値は、例えば、10.0℃~130.0℃の間で変化させ、設定値の0.2℃以内で制御することができ、溶存酸素設定値は、例えば、8.0%~80.0%の間で変化させ、設定値の5%以内、または任意の他の適切な範囲内で制御することができる。バイオリアクタに関連した別の例では、クロマトグラフィスキッドなどの精製装置は、様々な種類のクロマトグラフィ樹脂(例えば、アフィニティ、イオン交換、疎水性、ハイドロキシアパタイト)を含有する(直径が、例えば、45cmから2000cmまで変化し、ベッドの高さが15cm~30cm)の様々なカラムサイズの組合せを操作できる必要があり、その場合、カラムと樹脂の組合せごとに、本発明に記載するシステムおよび方法によって制御される必要がある固有の流速と圧力の組合せが必要とされ、通常、流速は、例えば、50L/時~1000L/時で変化しうる設定値と、例えば、4バールの高圧限界未満、または任意の他の適切な範囲に維持される必要がある圧力とで制御される必要がある。
【0012】
図1に、本発明の1つまたは複数の態様による例示的なシステムを示す。システムは、ネットワーク190に接続された、例えば、コンピュータ100、サーバコンピュータ130、モバイルコンピュータ140、スマートフォン機器150、タブレットコンピュータ160、および記憶装置170のうちの1つまたは複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。例えば、コンピュータ100は、1人または複数のユーザが使用するためのデスクトップコンピュータであってもよい。コンピュータ100は、デスクトップコンピュータと関連付けられた様々な構成要素、例えば、1つまたは複数のプロセッサ102、(命令105およびデータ106を含む)永続的メモリやフラッシュメモリなどのメモリ104、1つまたは複数のインターフェース108、およびディスプレイ110を含む。別の例では、コンピュータ100と同様に、サーバコンピュータ130も、少なくとも1つのプロセッサ、やはり命令およびデータを含むメモリ、1つまたは複数のインターフェース、および/またはディスプレイ(図示せず)を含むことができる。さらに、モバイル・コンピューティング・デバイス140は、ラップトップ(または、Ultrabookなどの携帯型もしくは移動型の任意の種類のコンピュータ)であってもよく、やはり、コンピュータ100および/またはサーバコンピュータ130と同様の構成要素を含むことができる。コンピュータ100は、ネットワーク190を介して、サーバコンピュータ130、モバイルコンピュータ140、スマートフォン機器150、タブレットコンピュータ160および/または記憶装置170と通信するように構成されうる。
図1に示すように、特定の構成要素と関連付けられたカスケード表示ブロックは、複数のそれらの構成要素が存在しうることを示しており、これは一例にすぎず、異なる構成要素をカスケードすることもでき、その多くのバリエーションがありうることが理解されよう。
【0013】
コンピュータ100は、プロセッサ102(例えば、以下でさらに論じるコントローラ)を含むことができ、プロセッサ102は、コンピュータ100の様々な構成要素に、メモリ104に格納された命令105および/またはデータ106など、ある情報の処理に基づくタスクを行うよう命令する。例えば、プロセッサ102は、1つまたは複数の動作、例えば、加算、減算、乗算、比較、あるプログラムから別のプログラムへのジャンプ、入力および出力の操作などを行うように構成することができるハードウェアであってもよく、中央処理装置(CPU)などの任意の標準的なプロセッサであってもよく、特定用途向け集積回路(ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)や工業用プロセスコントローラなどの専用プロセッサであってもよい。さらに、プロセッサ102は、任意の適切な構成、および/または情報を処理し、かつ/またはコンピュータ100の構成要素に命令するコンテンツの構成を有していてよい。
図1には1つのプロセッサブロックが示されているが、コンピュータ100は、上述したように、タスクを個別に、または集合的に行う複数のプロセッサを含むこともできることが理解されよう。1つまたは複数の実施形態では、コンピュータ100は工業用コントローラであってもよい。
【0014】
メモリ104は、永続的であれフラッシュであれ、プロセッサ102が実行し、取得し、操作し、かつ/または格納できる命令105およびデータ106などの、プロセッサ102がアクセス可能な情報を格納するように構成された任意の種類のハードウェアとすることができる。メモリ104は、コンピュータ100に物理的に含まれていてもよく、コンピュータ100に結合されていてもよい。例えば、メモリ104は、ROM、RAM、CD‐ROM、ハードドライブ、書込み可能、読取り専用などであってもよい。さらに、メモリ104に格納された命令105は、プロセッサ102が直接的または間接的に実行できる任意の命令セットを含むことができる。例えば、命令105は、プロセッサ102が実行できるソフトウェアと関連付けられた1つまたは複数の「ステップ」であってもよい。また命令105は、ネットワーク190を介して、例えば、サーバコンピュータ130および/または記憶装置170から様々な方法でメモリ104に転送されてもよい。加えて、メモリ104に格納されたデータ106を、例えば、命令105に従って、プロセッサ102が取得し、格納し、または変更することもできる。一態様では、データ106は、データコレクションとして格納されうる。例えば、本発明はどんな特定のデータ構造によっても限定されないが、データ106は、レジスタに、XMLなどの複数のフィールドおよびレコードを有するテーブルとしてデータベースに格納されていてもよい。データ106は、それだけに限らないが、ASCII、拡張二進化十進コード(EBCDIC)、二進、Objectivity、SQLまたは他の適切なデータベースフォーマットなどの任意のコンピュータ可読フォーマットでフォーマットされてもよい。またデータ106は、テキスト、コード、ポインタ、データを計算するために1つまたは複数の関数によって使用される情報など、関連データを識別するのに十分な任意の情報であってもよい。命令105と同様に、データ106は、ネットワーク190を介して様々な構成要素からメモリ104に転送されてもよい。
【0015】
本発明の一態様によれば、命令105は、バイオリアクタ、関連装置、および現場機器からの様々な入力値を読み取り、制御を行い、警報、記録、報告、通信および警報機能を管理する少なくとも1つの実行可能命令セットを含むことができる。命令105は、現場機器および関連装置を制御するための様々な制御モジュールと関連付けることができる。命令105は、データを処理するための実行可能コードまたは1つもしくは複数のアルゴリズムであってもよい。その点に関して、また以下の例においてさらに論じるように、実行可能命令セットは、1つまたは複数のバイオリアクタおよび関連する細胞培養関連装置の制御を行うための制御モジュールの「バックボーン」とみなすことができ、アルゴリズム、処理条件、警報、表示、および他の特性を連結するように構成することができる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、データ106は、センサ読取り値、センサによって収集されたデータ、所定のパラメータ、弁、ポンプ、撹拌器、スケールおよびスイッチと関連付けられた読取り値、プロセス値がPWCSによって維持されるべきユーザ定義の目標値(「設定値」)、温度測定値、圧力測定値、レベル測定値、溶存酸素測定値などの、制御モジュールによって使用されうるデータを含むことができる。
【0017】
インターフェース108は、特定の機器(例えば、現場取付計器、プロセッサ間通信、キーボード、マウス、タッチ・センシティブ・スクリーン、カメラ、マイクロフォンなど)、ユーザからのインタラクションやネットワーク190を介した様々な構成要素からの情報/データなどの情報およびデータの受信を可能にする接続またはポートとすることができる。例えば、インターフェース122は、1つまたは複数の入力/出力ポートを含んでいてよい。入力/出力ポートは、デジタル制御バス(Foundation(商標)、ProfitbusDP(商標)、DeviceNet(商標)、Modbus IEEE RS‐485、Modbus/IP、シリアルIEEE RS‐232、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)・ドライブ、zipドライブ、カードリーダ、CDドライブ、DVDドライブなどの任意の適切な種類のデータポートを含んでいてよい。
【0018】
ディスプレイ110は、ユーザにデータを伝えることができる任意の適切な種類の機器とすることができる。例えば、ディスプレイ110は、液晶ディスプレイ(LCD)画面、発光ダイオード(LED)画面、プラズマ画面などであってもよい。ディスプレイ110はユーザに、コンピュータ100が実行することのできるソフトウェアの視覚表現およびそれと関連付けられた様々なデータなど、様々な種類の情報を提供することができる。
【0019】
一態様によれば、ユーザは、インターフェース108を使用して情報および/またはデータを入力することができる。インターフェース108は、ディスプレイ110上でユーザ/オペレータに表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)とすることができる。一例にすぎないが、GUIは、処理ユニットおよびデータをユーザ/オペレータに表示するオペレータインターフェース(OI)であってもよい。例えば、
図11Aおよび
図11Bは、OIおよび関連付けられる機能の例であり、これについては、本発明の制御モジュール機能の考察に関連して以下でさらに説明する。
【0020】
サーバコンピュータ130は、ネットワーク装置ラックにラックマウントし、かつ/またはデータセンタに配置することができる。いくつかの例では、ネットワーク190を介して、サーバコンピュータ130は、コンピュータ100、モバイルコンピュータ140、スマートフォン機器150、タブレットコンピュータ160、および/または記憶装置170上で実行されるプログラムと関連付けられた様々な要求に応えることができる。別の例では、サーバコンピュータ130は、(ユーザにとっては「不可視」でありうる)バックエンドシステムをサポートする複数のサーバコンピュータの一部であってもよい。
【0021】
モバイルコンピュータ140、スマートフォン機器150、およびタブレットコンピュータ160などの移動型または携帯型のコンピューティングデバイスは、コンピュータ100および/またはサーバコンピュータ130と同様の構成要素および機能、例えば、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、入力/出力機能、ディスプレイなどを含み、共通のシン・クライアント・プロトコルおよびリモート・デスクトップ・プロトコルによって、コンピュータ100上に存在するディスプレイ110およびインターフェース108にアクセスすることができる。
【0022】
例えば、モバイルコンピュータ140は、計算能力とネットワークへの接続性を備えた移動型または携帯型の任意の種類の機器とすることができる。例えば、モバイルコンピュータ140は、ラップトップ、Ultrabook、スマートフォン、PDA、タブレットコンピュータ、ウェアラブル・コンピューティング・デバイスなどであってもよい。モバイルコンピュータ140はまた、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、ユーザインターフェース、有線または無線のネットワーク接続ハードウェア、およびモバイル・コンピューティング・デバイスと関連付けられた他の種類の構成要素も有していてよい。よって、モバイルコンピュータ140は、有線または無線接続を介してネットワーク190に接続し、サーバコンピュータ130、記憶装置170などといった、ネットワーク190に接続された他の構成要素と通信することができる。
【0023】
スマートフォン機器150は、計算能力およびネットワーク接続性を備えた移動型セルラ電話とすることができる。例えば、スマートフォン150は、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、QWERTYキーパッド、カメラ、画像センサ、全地球測位システム(GPS)、加速器、温度センサなどの1つまたは複数のユーザインターフェースを含んでいてよい。スマートフォン機器150は、コンピュータ100およびサーバコンピュータ130と同様に、コンピュータ命令、アプリケーション、プログラム、ならびに任意の命令セットおよびデータトを実行するように構成されていてよい。さらに、タブレットコンピュータ160も、(コンピュータ命令および/またはアプリケーションを実行するように構成された)1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、1つまたは複数のインターフェース、タッチスクリーンディスプレイ、センサ、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、(有線または無線接続を介して、ネットワーク190などのネットワークに接続するように構成された)ネットワーク接続ハードウェアを含むことができる。
【0024】
記憶装置170は、大量のデータを格納するように構成することができ、ネットワーク190の他の構成要素によって要求またはアクセスされたときにそのようなデータを転送するように構成することもできる。例えば、記憶装置170は、ROM、RAM、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、リムーバブルドライブ、ネットワーク記憶、仮想メモリ、マルチレベルキャッシュ、レジスタ、CD、DVDなどの記憶構成要素の集合体であってもよい。加えて、記憶装置170は、コンピュータ100および/またはサーバコンピュータ130など、ネットワーク190の他の構成要素がネットワーク190に接続された他の構成要素にアクセスし、データを提供できるように構成することもできる。
【0025】
一実施形態では、記憶装置170は、センサ読取り値、センサによって収集されたデータ、所定のパラメータ(例えば、コントローラがダウンロードし、他の外部システムおよび/もしくはユーザが参照することができる)、弁、ポンプ、撹拌器、スケールおよびスイッチの読取り値、プロセス値がPWCSによって維持されるべきユーザ定義の目標値、すなわち設定値、温度測定値、圧力測定値、レベル測定値、溶存酸素測定値などといった、制御モジュールによって使用されうるデータなどのデータ106と関連付けられた上述のデータを格納することができる。別の例では、記憶装置170を更新して新しいデータを追加することができる。オペレータが、例えば、警報機能の新しい所定の値を定義する場合には、古い所定の値を更新して新しい所定の値を反映させることができる。
【0026】
ネットワーク190は、ネットワークの1つまたは複数の構成要素間でのデータ、命令などの送信を円滑化するように構成された、有線または無線の任意の適切な種類のネットワークとすることができる。例えば、ネットワーク190は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)(例えば、イーサネット(登録商標)や他のIEEE802.03 LAN技術)、Wi‐Fi(例えば、IEEE802.11規格)、広域ネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、グローバル・エリア・ネットワーク(GAN)、またはそれらの任意の組合せであってよい。この点に関して、コンピュータ100、サーバコンピュータ130、モバイルコンピュータ140、スマートフォン機器150、および/またはタブレットコンピュータ160は、ネットワーク190を介して互いに接続し、通信することができる。
【0027】
コンピュータ100は上述の例ではデスクトップコンピュータでありうるが、コンピュータ100はデスクトップコンピュータに限定されず、
図1に示すコンピュータのいずれも、データおよび/または命令を処理し、データを送信および/または受信することができる任意の機器とすることができる。さらに、当業者であれば理解されるように、それらの構成要素は実際には、同じ物理的なハウジング内に格納される場合も、格納されない場合もある、複数のプロセッサ、メモリ、命令、データまたはディスプレイを含んでいてよい。例えば、命令105およびデータ106の一部または全部が、リムーバブルメディアに格納されていてもよく、プロセッサ102から物理的には離れているが、依然としてアクセスできる場所に格納されていてもよい。また、
図1の様々な構成要素はネットワーク190に接続されているが、構成要素は、任意の適切な組合せで相互に接続されていてもよいことが理解されよう。
【0028】
図2に、本発明の態様による別の例示的なシステムを示す。この例では、システムはPWCSを表し、
図1に示す様々な構成要素は、発酵および/または収穫のための装置202、精密濾過および精製のための装置204(例えば、クロマトグラフィスキッド)、定置洗浄(CIP(Clean In Place)システムや定置システム(SIP(System In Place))システムなどの、培地調製のための装置206、緩衝液調製のための装置208、および様々な現場機器(例えば、送信機付きセンサ、スケール、スイッチ、ポンプ、制御弁、ディスクリートバルブ、固定速度スタータまたは可変周波数ドライブ付きポンプ、可変周波数ドライブ付き撹拌器、リミットスイッチ付きディスクリートバルブ)などの、バイオリアクタおよび関連装置の制御を円滑化するように構成することができる。
図1のコンピュータ100などの1台または複数のコンピュータがシステム全体に分散されていてよく、各コンピュータは、図示のシステムのある制御および/または部分に専用であってよい。同様に、
図1のサーバコンピュータ130などのサーバコンピュータも、物理的または仮想的であり、システム全体に分散されており、データおよび命令の通信を円滑化するようにシステムのある部分に専用であってよい。
【0029】
図3に、例えば、本発明の態様による
図2に示すシステムの図を示す。
図3に示すように、プロフェッショナル・プラス・ワークステーション(PRO(Professional Plus Workstation))302は、PWCSのための中央データベースとすることができ、バッチエグゼクティブ(EXEC(Batch Executive))304は、例えば、処方情報を格納し、バッチ処理を制御することができ、バッチヒストリアン(BHIST(Batch Historian))306は、PWCSからのバッチ関連データを記録、格納し、連続ヒストリアン(PI‐PHIST(Continuous Historian))308は、PWCSからの連続プラントデータを記録、格納し、各端末サーバ(TS(Terminal Server))310、312、および314は、デスクトップコンピュータやタブレットコンピュータなどのシンクライアント端末のリモート・アクセス・セッションのためのヒストグラムとすることができ、各コントローラ316、318、および320は、処理装置および機能を制御するのに使用されるアルゴリズムおよび/または実行可能命令セットを実行し、動作させることができるPWCS機器である。
図3の図示の構成要素のいずれも、コンピュータ100、サーバコンピュータ130、モバイルコンピュータ140、スマートフォン機器150、タブレットコンピュータ160、および/または記憶装置170のうちの1つまたは複数とすることができる(またはそれらに対応しうる)。
【0030】
コントローラ316、318、および320は、実施ハードウェアとすることができ、ソフトウェアとすることができる1つまたは複数の制御モジュールを実行して、制御モジュールを介して
図3に示す様々な現場機器を制御する1つまたは複数の制御ループを制御する。制御モジュールは、制御ループの一部であってもよく、または本開示の態様による制御ループの外部にあってもよい。これは、
図4の例の図で示されている。
図4には、3つの異なる制御モジュール402、404、および406と関連付けられたコントローラ、例えばコントローラ316が示されており、各制御モジュールはそれぞれの制御ループと関連付けられている。例えば、制御モジュール402は制御ループ412と関連付けられており、制御モジュール404は制御ループ414と関連付けられており、制御モジュール406は制御ループ416と関連付けられている。例えば、コントローラ316上で実行されるアルゴリズムは、制御ループ、バッチ制御および連続制御機能で使用されてもよい。また制御モジュール402、404、406は、値をオープンにする、圧力トランスミッタから読み取るなど、特定の制御ループと関連付けられていない個々の要素を駆動するように構成することもできる。さらに、コントローラ416は、
図1および
図3に示すように、処理データを1つまたは複数のシステムサーバに通信することができる。またコントローラ316、318、320および他のコントローラは、例えば、バイオリアクタ制御のために、特定のプラント全体に物理的に分散されていてもよい。
【0031】
次に、上述し、
図1に示したシステムおよびその動作以外の様々な動作について以下で説明する。以下の動作は、特定の順序または正確な順序で行われる必要はない。むしろ、様々なステップは任意の適切な順序で、異なる組合せで、または同時に行われてもよく、1つまたは複数のステップが追加または省略されてもよい。「処方」構成は、例えば、同じハードウェア/ソフトウェア/構成を使用して固有の生産物を生産するように必要な、順次の統合を定義し、制御ループ設定値を制御するパラメータを含むことができ、関連制御ループがどのようにして、いつ適用されるかを決定する。制御ループおよび対応する制御モジュールの様々な例および態様については、以下でさらに詳細に説明する。
【0032】
図5に、アクチュエータ502、センサ送信機504、およびループコントローラ506の少なくとも3つの構成要素を有する本開示の態様による制御ループ500を示す。制御ループは、多くの可能な構成と、同じ論理を用いてそれぞれのエンドユーザのニーズに従って様々なエンドユーザのために複数の生産を実行する順次相論理を備えた多くの他の構成とを有しうる。いくつかの例では、
図5に示すように、ループコントローラ506は、
図4に示す制御モジュール402、404、および406などの1つまたは複数の制御モジュール(以下でさらに説明する)によって実施されて、ループを制御することができる。
【0033】
アクチュエータ502は、例えば、プロセス値(例えば、現場機器から読み取られ、かつ/または処理される値)を調節するように、ループコントローラによって操作され、かつ/または制御される物理機器であってもよい。アクチュエータのいくつかの例には、制御弁、ポンプ、撹拌器などが含まれる。センサ送信機504は、ある値を読み取り、かつ/または処理し、入力をループコントローラに送信するように構成された物理機器とすることができる。プロセス値のいくつかの例には、温度、圧力、pH、流量、溶存酸素、導電率、レベルなどが含まれうる。さらに、ループコントローラ506は、上述したように、制御ループの「頭脳」とすることができる。ループコントローラ506は、プログラムされたアルゴリズムおよび/または実行可能命令セットに従い、それらに基づいて制御ループを調整することができる1つまたは複数のソフトウェア制御モジュールとすることができる。場合によっては、上述したように、ハードウェアコントローラは、複数の制御モジュールアルゴリズムおよびある特定の制御ループと関連付けられた構成を含んでいてもよい。
【0034】
図5に示す制御ループ500は、手動、自動、カスケード(監視)およびカスケード(スレーブ)などの異なる動作モードで実施することができ、その各々について以下で説明する。
図6~
図8に、異なる動作モードを示す。
【0035】
手動モードで動作する制御ループ
【0036】
図6に、本発明の1つまたは複数の態様による手動モード600で動作する制御ループ500を示す。例えば、ユーザまたはオペレータは、オペレータインターフェース(OI)602などの制御論理によって許可されている場合、制御ループ500の出力を操作することができる。
図6において、OI602は「フェースプレート」604である。この例では、OI602の「フェースプレート」604上のスライドバー606は、数値入力によって「100.0」に調整される。出力608は、ループコントローラ506(例えば、制御モジュール)に送信され、次いで固定出力610がアクチュエータ502に送信される。アクチュエータ502は100%の固定出力を行い、これがセンサ送信機504によって読み取られ、次いで、制御モジュール(例えば、第2の制御モジュール)を経由して、プロセス値(例えば、センサによって読み取られた値)は、ループコントローラ506に送り返され、フェースプレート上でユーザ/オペレータに表示される。
【0037】
自動モードで動作する制御ループ
【0038】
図7に、本発明の1つまたは複数の態様による自動モード700で動作する制御ループ500を示す。例えば、ユーザまたはオペレータは、制御ループのフェースプレート704を使用して設定値702を登録または入力することができ、そこからループは自動的または動的にそのユーザ入力設定値まで制御する。上述したように、設定値702は、プロセス値がPWCSによって維持されるべき目標値であってよい。ここで、設定値702が入力され、ループコントローラ506(例えば、制御モジュール)に供給され、ループコントローラからの可変出力がアクチュエータ502に送信される。次いで、アクチュエータ502は可変測位を行い、センサ送信機504は関連付けられが値を読み取り、次いで読取り値は、プロセス値を生成する制御モジュール(例えば第2の制御モジュール)に送信され、次いでプロセス値はループコントローラ506に送り返される。一例では、読取りプロセス値が設定値(例えば、目標値)と等価であり、または一致するかどうかが判定される。プロセス値と設定値が一致しない場合には、制御ループ500は、プロセス値がそのユーザ入力設定値と一致するまで、自動的または動的に調整することができる。プロセス値出力は、フェースプレート704上でユーザ/オペレータに表示することができる。
【0039】
カスケードモードで動作する制御ループ
【0040】
図8に、本発明の1つまたは複数の態様によるカスケードモードで動作する制御ループ800を示す。例えば、監視「マスタ」ループ802およびセカンダリ「スレーブ」ループ804などの、2つ以上のループがカスケード接続されてよい。この例では、監視ループ802は、フェースプレート806および807などのPWCS制御論理から入力設定値を受け取り、その入力設定値まで制御し、セカンダリループ804は、マスタ/監視ループ802からの出力に基づいて機能する。図示のように、2つのループコントローラ808および810は、2つの関連付けられた制御モジュール812および814と共に使用される。アクチュエータおよび右端のループコントローラを含むより小さい最も外側のループは、セカンダリループまたはスレーブループ804であり、両方のループコントローラ808および810を含むより大きな全体ループは、監視またはマスタループ802である。
【0041】
上述の態様のいくつかの例では、「重要な」処理が複数のセンサを必要とする場合があり、センサのうちのいくつかは冗長とすることができる。例えば、冗長なセンサは、バイオリアクタにおける培養増殖のために必要でありうる。別の例では、pH、温度、および溶存酸素などのあるプロセス値を監視するのに2つのセンサが使用されうる。
【0042】
図9は、センサ待機およびバイパス機能を有するバイオリアクタ温度制御のための例示的なカスケードループ900である。例えば、センサ(「プローブ1」902および「プローブ2」904)からの出力は、カスケード制御ループ、すなわち、監視ループおよびスレーブループの両方に影響を及ぼす。それらの出力は、ループコントローラ906に供給される。プローブと関連付けられた制御モジュール908および制御モジュール910のどちらか一方を「待機」モードとすることができ、「待機」モードは、制御モジュール908または910が、実際に制御中の制御モジュールの代わりに使用可能であることを表す。しかし、「バイパス」モードでは、センサの出力は制御ループに影響を及ぼすのに使用されない(例えば、この特定のセンサをユーザに対して使用すべきでないという指示)。これらのモードは、OIフェースプレート912およびOIフェースプレート914上でユーザ/オペレータに表示される。これらの異なる実行モードについては、制御モジュールの考察に関連して以下でさらに論じる。
【0043】
上述したように、
図4に示す制御モジュール402、制御モジュール404、制御モジュール406などの制御モジュールは、様々なアルゴリズム、処理条件、警報、ディスプレイ、およびの他の特性を連結することができるソフトウェア(例えば、実行可能命令セット)であってよい。この点に関して、制御モジュールを「制御エンティティ」という。制御モジュールは、例えば、入力を読み取り、制御を行い、現場機器と関連付けられた警報を管理する。一例では、制御モジュールは、基本制御などの制御を実行する装置の最低レベルのグループであるとみなされる。さらに、制御モジュールは、ユーザまたはオペレータがモジュールパラメータおよび他の種類のデータを操作(例えば、入力、変更、更新など)することを可能にする、OIや任意の種類のGUIなどのインターフェースを有していてよい。すべての自動化現場機器などの現場機器は、それらの現場機器が制御され、かつ/または関連付けられた(1つまたは複数の)制御モジュールがそれらの現場機器からデータを受信するように、特定の制御モジュールまたは制御モジュールセットと関連付けることができることが理解されよう。例えば、弁(自動および制御)、ポンプ、撹拌器、センサ送信機、スケール、スイッチなどの現場機器は、上述のように、1つまたは複数の制御モジュールと関連付けられていてよい。
【0044】
制御モジュールは、本発明の1つまたは複数の態様では、特定の現場機器のための異なる実行モードを有することができ、これは現場機器からのデータがどのように通信されるかに影響を及ぼしうる。一例では、冗長ペアのセンサの制御モジュールは、「制御」、「待機」、および「バイパス」の各動作モードを有する。制御動作モードでは、センサからの出力は、カスケード制御ループ、すなわち、カスケード内の監視ループとスレーブループの両方に影響を及ぼす。待機動作モードでは、(1つまたは複数の)センサと関連付けられた制御モジュールは、実際に制御中の制御モジュールの代わりに使用可能である。バイパス動作モードでは、(1つまたは複数の)センサからの出力が制御モジュールによって無視されうる。さらに、「シミュレート」モード(例えば、制御モジュール出力は更新しないが、機器のフィードバックは設定値に従う)、「インターロック」モード(例えば、PWCSが制御モジュールの状態を変更しないようにするために、機器がユーザ/オペレータによってロックアウトされる)、「バイパス」モード(例えば、制御モジュールはリミットスイッチなどの現場フィードバックを無視するが、引き続き装置を制御しうる)など、自動弁、ポンプおよび撹拌器のための他の種類の実行モードがあってもよい。制御ループで使用されるこれらの機器の制御モジュールも、自動動作モード、手動動作モード、カスケード(監視またはスレーブ)動作モードとすることができる。さらに、スイッチ、スケール、センサなどの機器では、制御モジュール入力がユーザ/オペレータによって設定されるシミュレートモードが存在していてもよく、それに対してPWCSは、入力があたかもそれぞれの現場計器からのものであるかのように応答する。これらの機器では、制御ループで使用される制御モジュールも、制御モード、待機モード、またはバイパスモードとすることができる。
【0045】
図10に、制御モジュールとそれぞれの現場機器との間のデータ通信を示し、制御モジュールの入力・出力構成をさらに示す。図示のように、センサ送信機1002、スケール1004、スイッチ1006などのいくつかの現場機器は、制御モジュール1008にデータ(例えば、「入力」信号)を送信する。言い換えると、この例では、制御モジュール1008は、これらの特定の現場機器を制御せず、むしろ、単にデータを受信するように構成されている。さらに、ポンプ1010、制御弁1012、弁1014などの他の現場機器は、スイッチを制限せずに、制御モジュール1016から「出力」信号を受け取ることができる。ここでは、例えば、制御モジュール1016がこれらの現場機器を制御することになる。さらに、
図10には、可変周波数ドライブ(VFD)付きポンプ1018やVFD付き撹拌器1020や、リミットスイッチ付き弁1022などのいくつかの他の現場機器も示されており、これらは、制御モジュール1024からの出力信号を受信し、データおよび/または入力信号を制御モジュール1024に送信することもできる。この例では、これらの現場機器は、制御モジュール1024によって制御されない場合もあるが、「現場フィードバック」を制御モジュール1024に送信することができる。
【0046】
リミットスイッチは、物体の有無を検出するセンサとすることができる。PWCSでは、これらのリミットスイッチを使用して弁の「閉」位置を確認することができる。いくつかの例では、リミットスイッチは、出力を受け取るだけの弁から制御モジュールに入力信号を送信し、よって制御モジュールに現場フィードバックを提供するように構成されている。
【0047】
上述のように、制御モジュールは、ユーザまたはオペレータがモジュールパラメータおよび他の種類のデータを操作(例えば、入力、変更、更新など)することを可能にする、OIや任意の種類のGUIなどのインターフェースを有していてよい。
図11Aおよび
図11Bに、本発明の態様による例示的なオペレータインターフェースおよび例のフェースプレートをそれぞれ示す。
【0048】
図11Aに、「17,000L培地調製タンク(17,000L MEDIA PREP TANK)」の視覚表現を表示するOIを示す。図示のように、培地調製タンクと関連付けられた構成要素および現場機器を表す様々な記号があり、それらのグラフィックスは、パラメータが変化するにつれてリアルタイムで変化しうる。アイコン1102は、「処方」、「状況」、「状況時間」、「pH」など、タンクと関連付けられた様々なデータを含む。さらに、データの閲覧および分析、印刷などの様々な機能と関連付けられた様々なアイコン1104が示されており、これらもまた選択可能である。他の例では、ユーザまたはオペレータは、「バッチ・オペレータ・インターフェース」または「BOI」(図示せず)にアクセスすることができ、そこでユーザまたはオペレータは処方を入力し、様々な種類のバッチ処理などの状況を追跡することができる。BOIのインターフェースは、
図11Aに示すOIと同様に構成されてもよく、あるいは、テキストがメイン・グラフィカル・インターフェース・ディスプレイ上に表示され、オペレータがボタンやアイコンを使用してバッチプロセスを、例えば、「追加」、「停止」、「継続」することができる、よりテキストベースのものであってもよい。
【0049】
図11Bに、OIと関連付けられうる例示的なフェースプレートを示す。例えば、フェースプレートは、制御モジュールフェースプレート1112、1114、1116、1118、および1120であってよく、モジュール詳細ディスプレイを開く詳細表示ボタン/アイコン、モジュールが位置するグラフィックを開くプライマリ制御ディスプレイボタン/アイコン、ユーザ/オペレータがモジュールに関連した履歴データを閲覧することを可能にするプロセッサ履歴ビューボタン/アイコン、モジュールを開く制御スタジオボタン/アイコン、およびモジュールに関連したアクティブな警報を確認する警報確認ボタン/アイコンが含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0050】
他の種類の制御モジュールフェースプレートは、制御ループを操作することができる。例えば、これらには、制御ループが動作しているモード(例えば、自動、手動、監視、スレーブ)を決定する制御ループ・モード・ボタン/アイコン、ユーザが自動モードで制御ループの設定値を調整することを可能にする設定値エントリフィールド/スライダ/アイコン、制御ループの入力機器からの値を工学単位で表示するプロセス値アイコン/ディスプレイ、および自動モードにある場合は出力機器に送られる値をパーセンテージで表示し、制御ループが手動モードにある場合は手動で調整することができる出力エントリフィールド/スライダ/アイコンが含まれるがこれら限定されるものではない。フェースプレートは、制御モジュールの現場機器が配置されているプラント領域を指定するなど、ある種類の情報を指定する異なる背景色を有していてよい。
【0051】
図11Aおよび
図11Bに示す例を含むOIの多くの適切な組合せおよび変形が存在し、実施されうることが、当業者には理解されよう。
【0052】
「理論段相当高さ」または「HETP」はクロマトグラフィカラムの理論段相当高さであり、分子を分解するための充填カラムの均一性の指標となる。HETP値が小さいほど、カラム充填がより効率的となりうる。非対称因子は、ピーク対称性を計算するのに使用される測定値であり、可能な限り対称でなければならない。
図12Aおよび
図12Bに、本発明の1つまたは複数の態様による新規かつ独自の方法でクロマトグラフィスキッドHETP計算を処理する例を示す。例示のように、計算は、あるアルゴリズムに従って1つまたは複数の関連付けられた制御ループを介して1つまたは複数の制御モジュール(集合的に、HETP制御モジュール)によって実行されうる。さらに、
図13は、例示的なクロマトグラフィ・カラム・システムの図であり、
図14~
図16には、クロマトグラフィ・カラム・パックのリアルタイム分析のためのHETP制御モジュールの適用を示す。
【0053】
図12Aにおいて、「ACT」とラベル付けされたブロックは各々、制御モジュールがクロマトグラフィスキッド計算を行うための実行可能命令セットを含む。例えば、ブロック「ACT1」では、導電率のMIN値とMAX値がリセットされ、計算された時間がリセットされ、タイマが有効になり、始動され、データ記録も有効になる。ブロック「ACT2」では、タイマが停止され、リセットされ、データ記録が無効になり、CALC‐10およびCALC‐50ブロックが有効になる。これらの2つのブロック、ACT1およびACT2と、関連付けられた動作とは、正方向エッジトリガ(「PDE1」ブロック)、出力Aおよび負方向エッジトリガ(「NDE1」ブロック)、出力B(
図12Bに示す出力Aと出力Bの両方)に基づくものであり、これらについては
図13~
図16に関連してさらに論じる。
図12Bに、「PDE1」ブロック出力Aおよび「NDE1」ブロック出力Bを取得するための例示的なアルゴリズムを示す。さらに、
図12Bには、カラム出力導電率に連結されたパラメータである導電率入力とすることができる、入力Cを取り込む「FLTR1」ブロックを示す。
【0054】
図12Aの「MIN‐AVG」ブロックでは、導電率値は、0.25秒から0.5秒まで0.01秒ごとなど、所定の時間間隔ごとに記録され、次いで25サンプルの平均値が取られ、内部パラメータとして記録される。「RECORD」ブロックでは、導電率値と時間/体積が記録される。「CALC‐10」ブロックでは、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジがMAXの10%を通過した時間/体積が計算される。さらに、「CALC‐50」ブロックでは、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジがMAXの50%を通過した時間/体積が計算される。「CALC‐DATA」ブロックでは、10%立ち上がりから最大値までの時間/体積および10%立ち下がりまでの時間/体積が計算される。
【0055】
図12Aおよび12Bの図に示すブロックによって行われる計算は、少なくとも様々な入力パラメータおよび/または記録された内部パラメータに依拠する。単なる例にすぎないが、入力パラメータには、カラム導電率に連結された「導電率」入力、「真」に設定された場合には、計算変数をリセットし、タイマを始動させ、データ記録を開始し、「偽」に設定された場合には、タイマをリセットし、データ記録を無効にする「RUN‐CALC」パラメータ、スキッドカラム体積に連結されている「COL‐VOL」パラメータ、積算スキッド流量計に連結されている「FIQ」パラメータ、カラムベッドの高さである「BED‐HEIGHT」パラメータ、底部カラム入口弁に連結された「COLUMN‐VLV」パラメータ、および計算種類(例えば、「偽」の設定は時間によるものになり、「真」の設定は体積によるものになる)を選択するのに使用される「CALC‐BY‐VOL」パラメータが含まれうる。記録される内部パラメータには、例えば、開始時の積算流量計の値を記録するのに使用される「FIQ‐START」パラメータ、導電率ベースラインの平均値である「MIN‐STEADY」パラメータ、ベースライン平均値計算のためのベースライン導電率値を記録するのに使用される「MIN‐AVG‐ARRAY」パラメータ、計算の持続期間の最大導電率を記録する「MAX」パラメータ、および計算の持続期間に最大導電率が発生した時刻を記録する「TIME‐MAX」パラメータが含まれうる。これらのパラメータについては、
図14~
図16に関連して以下でさらに説明する。
【0056】
図13に、本開示の1つまたは複数の態様による例示的なクロマトグラフィ・カラム・システム1300の図を示す。図示のように、例えば、システム1300は、クロマトグラフィカラム1302などの1つまたは複数のクロマトグラフィカラム、動作流速を維持することができるポンプ1306およびポンプ1304、導電率計1308、チャートレコーダ1310、導電率フローセル1312および/または1314、シリコーンチューブ、導電率試験片または同等のもの、ホースバーブおよびガスケット、塩化ナトリウム(NaCl)、ならびにフィルタを含む。クロマトグラフィ・カラム・システム1300で装置を調製した後、カラムパックのリアルタイム分析のためにHETP効率および非対称性を計算することができる。
【0057】
クロマトグラフィカラムのHETP値および非対称性値を計算する前に、カラムを特定の手順に従ってまず水平にし、必要に応じて、やはり手順に従って、ホースおよび種々雑多な弁識別子を記録することができる。次いで、カラムを指定のHETP緩衝溶液で平衡化し、少なくとも1カラム体積(CV)のHETP緩衝液を指定の流速で流す。ベースラインが達成されると、緩衝液流は停止されうる。次いで、HETP試験が動作流速で充填され、HETP緩衝液の流れが動作流速で再開される。導電率がベースラインに戻った後で(例えば、約1CV後)、導電率読取り値から、以下でさらに論じるように、HETP値および非対称性値が計算される。
【0058】
図14~
図16に、本開示の1つまたは複数の態様によるクロマトグラフィ・カラム・パックのリアルタイム分析のためのHETP制御モジュールの適用を示す。一例として、
図14には、x‐yプロット上のHETPおよび非対称性を計算するための式のグラフ1400が示されており、x軸は体積/時間をプロットしており、y軸は導電率をプロットしている。グラフ1400に示すように、「WH」は、ベースライン導電率を上回る最大導電率の50%におけるピークの幅を表し、「a」は、最大ピーク時間/体積から10%立ち上がり時の時間/体積を差し引いた時間/体積の差分であり、「b」は、10%立ち下がりから最大ピーク時間/体積を差し引いた時間/体積の差分である。この点に関して、HETPおよび非対称性を計算するには、ベースライン導電率、10%立ち上がり時間および50%立ち上がり時間、最大時間/体積、ならびに10%立ち下がり時間/体積および50%立ち下がり時間/体積の各値が必要である。HETP値および非対称性値の計算は、時間および/または体積に基づくものとすることができる。
【0059】
上述のように、内部パラメータ記録のために、以下の値がリアルタイムで記録される:導電率ベースライン平均値;最大導電率ならびに開始からの対応する時間および合計体積;ベースラインから最大導電率までの導電率の関数としての時間および合計体積;10%および50%の立ち下がり時間/体積。例えば、
図15および
図16に、グラフ1400上のこれらの値の相対位置を示す。
図15には、導電率ピークの立ち上がり側および立ち下がり側の10%および50%、ならびに最大導電率およびその対応する時間/体積値が示されている。
図16には、一部は、ピークの前縁が導電率t(C)およびV(C)の関数としての時間/体積として記録されること、および10%立ち下がりに達すると、HETPおよび非対称性が計算されることが示されている。
【0060】
図12AのHETP制御モジュールの例により、ベースライン導電率値(MIN‐STEADYパラメータ)を取得するために、MIN‐AVGブロックは、例えば、0.25CV~0.5CVのカラム体積(CV)の100分の1ごとに、
図12Bに示すFLTR1ブロックの出力から25の導電率値を記録する。計算された25の導電率値の平均値がMIN‐STEADYパラメータに記録され、その後MIN‐AVG計算が終了する。グラフ的には、
図15および
図16に示すように、このベースライン決定は、導電率ピークの立ち上がり側を記録する前に行われる。その後、
図12AのRECORDアクションブロックは、導電率が、例えば、0EUから999EUまで各工学単位(EU)を通過する時間および体積(例えば、0.01mS/cm)を取り込む。一例として、
図15に開示されているように、それらの値はTIMES‐XXおよびVOLUMES‐XXからの固定サイズの配列として記録される。どちらの配列も1000項目を有しうる。さらに、各値は、導電率値が記録された最大値よりも大きい場合にのみ配列に記録されうる。導電率が以前に記録された最大値より大きい場合、MAXパラメータは現在の導電率によって上書きされ、相対時間がTIME‐MAXパラメータに記録され、相対体積がVOLUME‐MAXパラメータに記録される。
【0061】
ピーク立ち下がり時間および体積の10%に関して、導電率がMAXパラメータよりも小さいがMIN‐STEADYパラメータよりも大きく、その値が((MAX-MIN‐STEADY)*0.1+MIN‐STEADY)より大きい場合には、RECORDアクションブロックによって経過時間が「TIMES‐F[2]」に記録され、相対体積が「VOLUMES‐F[2]」に記録される。ピーク立ち下がり時間および体積の50%に関して、導電率がMAXパラメータよりも小さいがMIN‐STEADYパラメータよりも大きく、その値が((MAX-MIN‐STEADY)*0.5+MIN‐STEADY)より大きい場合には、RECORDアクションブロックによって経過時間が「TIMES‐F[1]」に記録され、相対体積が「VOLUMES‐F[1]」に記録される。
【0062】
10%立ち下がりに達すると、以下の計算が行われる。
図12AのCALC‐10アクションブロックは、ピークの10%、((MAX-MIN‐STEADY)*0.1+MIN‐STEADY)、立ち上がりおよび立ち下がりの時間および体積を取り込み、「TIME‐10‐FALL」(計算される内部パラメータ)はTIMES‐F[2]であり、「TIME‐10‐RISE」(計算される内部パラメータ)は、TIMES‐XXに記録された2つの隣接する導電率対相対時間値の間の時間を線形補間することによって決定され、「VOLUME‐10‐FALL」(計算される内部パラメータ)はVOLUMES‐F[2]であり、「VOLUME‐10‐RISE」(計算される内部パラメータ)は、VOLUMES‐XXに記録された2つの隣接する導電率対相対体積値の間の時間を線形補間することによって決定される。
【0063】
図12AのCALC‐50アクションブロックは、ピークの50%、((MAX-MIN‐STEADY)*0.5+MIN‐STEADY)、立ち上がりおよび立ち下がりの時間および体積を取り込み、「TIME‐50‐FALL」(計算される内部パラメータ)はTIMES‐F[1]であり、「TIME‐50‐RISE」(計算される内部パラメータ)は、TIMES‐XXに記録された2つの隣接する導電率対相対時間値の間の時間を線形補間することによって決定され、「VOLUME‐50‐FALL」(計算される内部パラメータ)はVOLUMES‐F[1]であり、「VOLUME‐50‐RISE」(計算される内部パラメータ)は、VOLUMES‐XXに記録された2つの隣接する導電率対相対体積値の間の時間を線形補間することによって決定される。
【0064】
次いで、
図12Aに示すCALC‐DATAアクションブロックは、時間および体積に基づく非対称性と時間および体積に基づくHETPの計算を行う。例えば、時間に基づく非対称性は以下のように計算される。
DELTA‐10‐RISE‐T=TIME‐MAX-TIME‐10‐RISE
DELTA‐10‐FALL‐T=TIME‐10‐FALL-TIME‐MAX
ASYMM‐TIME=DELTA‐10‐FALL‐T/DELTA‐10‐RISE‐T
【0065】
別の例では、体積に基づく非対称性は以下のように計算される。
DELTA‐10‐RISE‐V=VOLUME‐MAX-VOLUME‐10‐RISE
DELTA‐10‐FALL‐V=VOLUME‐10‐FALL-VOLUME‐MAX
ASYMM‐VOL=DELTA‐10‐FALL‐V/DELTA‐10‐RISE‐V
【0066】
別の例では、時間に基づくHETPは以下のように計算される。
WH‐TIME=TIME‐50‐FALL-TIME‐50‐RISE
EFF‐TIME=5.54*((TIME‐MAX/WH‐TIME)2)
HETP‐TIME=BED‐HEIGHT/EFF‐TIME、式中、BED‐HEIGHTは、関連する単位のベッドの高さである。
【0067】
さらに別の例では、体積に基づくHETPは以下のように計算される。
WH‐VOL=VOLUME‐50‐FALL-VOLUME‐50‐RISE
EFF‐VOL=5.54*((VOLUME‐MAX/WH‐VOL)2)
HETP‐VOL=BED‐HEIGHT/EFF‐VOL
【0068】
上記のパラメータ「DELTA‐10‐RISE‐T」、「DELTA‐10‐FALL‐T」、「ASYMM‐TIME」、「DELTA‐10‐RISE‐V」、「DELTA‐10‐FALL‐V」、「ASYMM‐VOL」、「WH‐TIME」、「EFF‐TIME」、「HETP‐TIME」、「WH‐VOL」、「EFF‐VOL」、「HETP‐VOL」は、
図12Bに示すように、すべて計算される内部パラメータである。
【0069】
少なくとも
図12A、
図12Bおよび
図13~
図16に開示する計算に基づいて、HETPのピークの幅の対称性(または非対称性)を、クロマトグラフィスキッド充填実行の質のクロマトグラフィスキッドHETP表現について計算することができる。その点に関して、
図12の例と関連付けられた制御モジュールを利用するオペレータまたはユーザは、クロマトグラフィスキッドに関連する関連ピークの対称性(または非対称性)を分析し、続いてその性能が最大化されているかそれとも十分に最大化されていないか判定することができる。さらに、HETP、ピーク非対称性およびピーク効率性を、専用の特殊なハードウェアもソフトウェアも必要とせずに、クロマトグラフィシステムを制御するためにすでに存在するハードウェア/ソフトウェアを使用してリアルタイムで計算することができる。
【0070】
図12A、
図12B、および
図13~
図16には、クロマトグラフィスキッドHETP計算およびクロマトグラフィ・カラム・パックのリアルタイム分析を処理するための例を示しているが、この概念は、バイオリアクタや、発酵、収穫のための装置や、精密濾過および精製のための装置(例えば、液体クロマトグラフィ・スキッド・システム)や、緩衝液調製、培地調製など、様々な種類の装置と関連付けられたデータを分析/計算/操作する実行可能命令セットおよび/または1つまたは複数のアルゴリズムを実施する1つまたは複数の制御モジュールに適用することもできることが理解されよう。
【0071】
図17は、本発明の態様による、相論理と、装置モジュールと、制御モジュールとの間の関係を示す図である。例えば、
図17は、バッチ制御モデルの状況であってもよい。図示のように、相論理、装置モジュール、ディスクリート制御モジュール、アナログ制御モジュール、高度制御モジュールなどを示す様々なブロックが存在する。同じ装置および設計を使用して異なる生産物を実施し、生産するための様々な組合せおよび設計が企図されうる。
【0072】
図17に示すように、装置モジュールは、バイオリアクタへの移送、通気制御など、特定の機能を果たすよう制御モジュールのグループを制御する論理であってよい。ユニットクラスは、例えばバイオリアクタなどの装置モジュールのグループとみなすことができる。相は、「外部移送を閉に」パラメータの設定や「通気制御」パラメータをVENTに設定するなど、装置モジュールの設定値を制御する順次論理とすることができる。例えば、外部移送装置を閉状態に設定して、タンクからの流出を制限することもでき、通気装置をVENT状態に設定して、タンクを排気することもできる。相は、どのようにしてバイオリアクタが、例えば、自動化方式で動作するかでありうる。動作は、特定の作業を達成する相の連続とすることができ、例えば、「Fill‐Grow‐Xfer動作」は、バイオリアクタを充填する「Fill」相を実行し、次いで、培養を支援する「増殖」相を実行し、培養を次のサイズのバイオリアクタまたは他の種類の収穫システムに移送する「Xfer」相を行う。さらに、ユニット手順および手順を使用して、操作セットおよびユニット手順セットをそれぞれ制御し、クロマトグラフィなどの処理ステップを達成することができる。
【0073】
別の例では、現場機器と制御モジュールとの間の命名プロトコルがあってもよい。一例にすぎないが、制御弁は、「LV‐383308」や「TCV‐383327」のように、「_V‐XXXXXX」や「_CV‐XXXXXX」という名前で認識されてもよい。さらに、制御モジュールは、このフォーマット「_IC‐XXXXXX」の同じ制御弁にLIC‐383308やTIC‐383327のように命名してもよい。
【0074】
本発明は、様々な点で有利である。例えば、環境汚染物質への物質暴露が制限される。別の例では、本発明は、連続したデータ収集と、システムパラメータの連続した監視および制御を可能にするために有利である。加えて、本発明は、細胞増殖および所望の生産物の生産を最大化するのに最適な環境を維持するために、収集されたデータに応答した細胞培養条件の自動調整を可能にする。さらに、本発明は、装置制御のための機器の瞬時応答および調整も可能にする。例えば、条件が許容範囲外であり、または処理中に安全でない状態が判定または認識された場合に、プロセスを「保留」にし、プロセスをプロセス仕様内に戻すなどである。
【0075】
以上の開示は、単に本発明を例示するためのものにすぎず、限定のためのものではない。当業者には本発明の趣旨および内容を組み込んだ開示の実施形態の改変形態が想起されうるため、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に含まれるあらゆるものを含むとみなすべきである。本開示では、一般にはあまりなじみのない用語および頭字語を使用しているが、当業者は、本明細書で使用している用語および頭字語に精通しているであろう。