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特許7097340リソース管理装置、リソース管理システム、リソース管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】リソース管理装置、リソース管理システム、リソース管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/5019 20220101AFI20220630BHJP
   H04L 41/0823 20220101ALI20220630BHJP
【FI】
H04L41/5019
H04L41/0823
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019175955
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021052365
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100208605
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 龍一
(72)【発明者】
【氏名】黒木 圭介
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0173803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理装置であって、
目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をするネットワーク構築部と、
前記ネットワーク構築指示に基づいて、前記通信機器に対応する仮想通信機器の機能、前記機能が使用するハードウェアリソース、および性能値を確認し、前記仮想通信機器の構成を決定する通信機器構成部と、
前記決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる機能構築部と、
前記ハードウェアリソースの使用状況を監視するリソース監視部と、を備え、
前記通信機器構成部は、前記ネットワーク構築指示に含まれるネットワークの優先度に基づいて、既に構築された1以上のネットワークを削除すると共に優先度の高いネットワークの仮想通信機器の構成を決定し、
前記通信機器構成部は、既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成するときに、前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成した後のリソースの使用状況に基づいて、前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できるか判断し、
前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できる場合、前記削除されるネットワークの仮想通信機器の新たな構成を決定し、
前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できない場合、その情報をユーザに通知することを特徴とするリソース管理装置。
【請求項2】
前記通信機器構成部は、前記仮想通信機器に複数の構成がある場合、前記複数の構成毎の性能値の1以上の値に基づいて前記仮想通信機器の構成を決定することを特徴とする請求項1記載のリソース管理装置。
【請求項3】
前記通信機器構成部は、前記リソース監視部の監視するリソースの使用状況に基づいて、現状のリソースまたは既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで前記仮想通信機器を構成できるがその構成の性能値では構築するネットワークのSLAを満たさない場合、その情報をユーザに通知し、ユーザの指示に従い前記仮想通信機器の構成を決定することを特徴とする請求項1または請求項記載のリソース管理装置。
【請求項4】
仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理システムであって、
請求項1から請求項のいずれかに記載のリソース管理装置と、
前記リソース管理装置と通信を行い、複数種類のハードウェアリソースを備えるハードウェアリソースプールを有する1以上のサーバと、
前記リソース管理装置に管理される、ネットワーク毎に必要な通信機器の種類およびそのSLAを保持するネットワーク構成DB、前記通信機器の種類毎に対応する1以上の仮想通信機器の情報を保持する通信機器種別DB、前記仮想通信機器の機能構成、使用するハードウェアリソース、および性能値を保持する機能紐づけDB、および、前記ハードウェアリソースプールのハードウェアリソースの使用状況を保持するリソースDBと、を備え、
前記サーバは、前記リソース管理装置の制御に従い、前記ハードウェアリソースプールのハードウェアリソースによって1以上の仮想通信機器を構成することでネットワークを構築することを特徴とするリソース管理システム。
【請求項5】
仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理方法であって、
目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をするネットワーク構築ステップと、
前記ネットワーク構築指示に基づいて、前記通信機器に対応する仮想通信機器の機能、前記機能が使用するハードウェアリソース、および性能値を確認し、前記仮想通信機器の構成を決定する通信機器構成ステップと、
前記決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる機能構築ステップと、
前記ハードウェアリソースの使用状況を監視するリソース監視ステップと、を含み、
前記通信機器構成ステップは、前記ネットワーク構築指示に含まれるネットワークの優先度に基づいて、既に構築された1以上のネットワークを削除すると共に優先度の高いネットワークの仮想通信機器の構成を決定し、
前記通信機器構成ステップは、既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成するときに、前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成した後のリソースの使用状況に基づいて、前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できるか判断し、
前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できる場合、前記削除されるネットワークの仮想通信機器の新たな構成を決定し、
前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できない場合、その情報をユーザに通知することを特徴とするリソース管理方法。
【請求項6】
仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理プログラムであって、
目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をする処理と、
前記ネットワーク構築指示に基づいて、前記通信機器に対応する仮想通信機器の機能、前記機能が使用するハードウェアリソース、および性能値を確認し、前記仮想通信機器の構成を決定する処理と、
前記決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる処理と、
前記ハードウェアリソースの使用状況を監視する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させ
前記通信機器の構成を決定する処理は、前記ネットワーク構築指示に含まれるネットワークの優先度に基づいて、既に構築された1以上のネットワークを削除すると共に優先度の高いネットワークの仮想通信機器の構成を決定し、
前記通信機器の構成を決定する処理は、既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成するときに、前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成した後のリソースの使用状況に基づいて、前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できるか判断し、
前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できる場合、前記削除されるネットワークの仮想通信機器の新たな構成を決定し、
前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できない場合、その情報をユーザに通知することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションのマイクロサービス化に対応できるリソース管理装置、リソース管理システム、リソース管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、NFV(Network Function Virtualization)に代表されるように、通信機器の仮想化が進み、汎用サーバ上で仮想通信機器が実現されるようになってきた。汎用サーバ上での仮想通信機器の実装は、一般的にはCPUで実行されるが、処理性能向上のために、GPUやFPGAなどのアクセラレータの利用もされる。
【0003】
特許文献1は、どのアプリケーションが、どのアクセラレータを利用するかに関して、アプリケーションとアクセラレータを紐付け、アプリケーションの実行時に利用したいアクセラレータを利用できるかを確認後、リソースとして割り当てるアクセラレータ管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-196206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロサービスアーキテクチャにおいては、アプリケーションは複数の小さな機能に分けられる。しかしながら、特許文献1記載の技術では、アプリケーション毎にアクセラレータを紐づけているため、アプリケーションの機能毎に使用するアクセラレータを管理することができない。また、ネットワークスライシングにおいて複数の仮想通信機器等のアプリケーションを含むサービスとアクセラレータが紐付けられる場合、有限のハードウェアリソースを効率よく使用するためには、複数のネットワークの優先順位などを考慮に入れた管理手法が必要となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できるリソース管理装置、リソース管理システム、リソース管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のリソース管理装置は、仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理装置であって、目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をするネットワーク構築部と、前記ネットワーク構築指示に基づいて、前記通信機器に対応する仮想通信機器の機能、前記機能が使用するハードウェアリソース、および性能値を確認し、前記仮想通信機器の構成を決定する通信機器構成部と、前記決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる機能構築部と、前記ハードウェアリソースの使用状況を監視するリソース監視部と、を備える。
【0008】
このように、仮想通信機器のリソース管理をネットワーク-通信機器-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造によって管理することで、構築するネットワークのSLA(Service Level Agreement)を満たしつつアクセラレータを含むハードウェアリソースを柔軟に利用でき、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できる。
【0009】
(2)また、本発明のリソース管理装置において、前記通信機器構成部は、前記ネットワーク構築指示に含まれるネットワークの優先度に基づいて、既に構築された1以上のネットワークを削除すると共に優先度の高いネットワークの仮想通信機器の構成を決定する。
【0010】
これにより、ネットワークの優先度に基づいて、優先度の高いネットワークの構築を優先できる。
【0011】
(3)また、本発明のリソース管理装置において、前記通信機器構成部は、前記仮想通信機器に複数の構成がある場合、前記複数の構成毎の性能値の1以上の値に基づいて前記仮想通信機器の構成を決定する。
【0012】
これにより、仮想通信機器に複数の構成がある場合、複数の構成毎の性能値に基づいて適切な仮想通信機器の構成をすることができる。
【0013】
(4)また、本発明のリソース管理装置において、前記通信機器構成部は、既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成するときに、前記優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成した後のリソースの使用状況に基づいて、前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できるか判断し、前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できる場合、前記削除されるネットワークの仮想通信機器の新たな構成を決定し、前記削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できない場合、その情報をユーザに通知する。
【0014】
これにより、ネットワークが削除されるときに、削除されるネットワークを残ったリソースで再構築できる場合に再構築し、再構築できない場合にユーザがそのことを知ったうえで、優先度の高いネットワークを構築するか、既に構築されたネットワークを維持するかを判断することができる。
【0015】
(5)また、本発明のリソース管理装置において、前記通信機器構成部は、前記リソース監視部の監視するリソースの使用状況に基づいて、現状のリソースまたは既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで前記仮想通信機器を構成できるがその構成の性能値では構築するネットワークのSLAを満たさない場合、その情報をユーザに通知し、ユーザの指示に従い前記仮想通信機器の構成を決定する。
【0016】
これにより、現状のリソースまたは既に構築された1以上のネットワークを解除した後のリソースで仮想通信機器を構成できるがその構成の性能値では構築するネットワークのSLAを満たさない場合に、ユーザがそのことを知ったうえで、SLAを満たさないネットワークの構築を指示することができ、ネットワークを柔軟に構築できる。
【0017】
(6)また、本発明のリソース管理システムは、仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理システムであって、上記(1)から(6)のいずれかに記載のリソース管理装置と、前記リソース管理装置と通信を行い、複数種類のハードウェアリソースを備えるハードウェアリソースプールを有する1以上のサーバと、前記リソース管理装置に管理される、ネットワーク毎に必要な通信機器の種類およびそのSLAを保持するネットワーク構成DB、前記通信機器の種類毎に対応する1以上の仮想通信機器の情報を保持する通信機器種別DB、前記仮想通信機器の機能構成、使用するハードウェアリソース、および性能値を保持する機能紐づけDB、および、前記ハードウェアリソースプールのハードウェアリソースの使用状況を保持するリソースDBと、を備え、前記サーバは、前記リソース管理装置の制御に従い、前記ハードウェアリソースプールのハードウェアリソースによって1以上の仮想通信機器を構成することでネットワークを構築する。
【0018】
このように、仮想通信機器のリソース管理をネットワーク-通信機器-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造によって管理することで、構築するネットワークのSLAを満たしつつアクセラレータを含むハードウェアリソースを柔軟に利用でき、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できる。
【0019】
(7)また、本発明のリソース管理方法は、仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理方法であって、目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な仮想通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をするネットワーク構築ステップと、前記ネットワーク構築指示に基づいて、前記仮想通信機器の機能および前記機能が使用するハードウェアリソースを確認し、前記仮想通信機器の構成を決定する通信機器構成ステップと、前記決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる機能構築ステップと、前記ハードウェアリソースの使用状況を監視するリソース監視ステップと、を含む。
【0020】
このように、仮想通信機器のリソース管理をネットワーク-通信機器-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造によって管理することで、ネットワークのSLAを満たしつつアクセラレータを含むハードウェアリソースを柔軟に利用でき、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できる。
【0021】
(8)また、本発明のプログラムは、仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理プログラムであって、目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な仮想通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をする処理と、前記ネットワーク構築指示に基づいて、前記仮想通信機器の機能および前記機能が使用するハードウェアリソースを確認し、前記仮想通信機器の構成を決定する処理と、前記決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる処理と、前記ハードウェアリソースの使用状況を監視する処理と、の一連の処理をコンピュータに実行させる。
【0022】
このように、仮想通信機器のリソース管理をネットワーク-通信機器-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造によって管理することで、ネットワークのSLAを満たしつつアクセラレータを含むハードウェアリソースを柔軟に利用でき、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ネットワーク上の仮想通信機器のリソース管理をネットワーク-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造によって管理することで、ネットワークのSLA を満たしつつアクセラレータを含むハードウェアリソースを柔軟に利用でき、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係るリソース管理システムの概念の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係るリソース管理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図3】ネットワーク名、ネットワーク構築に必要な通信機器、満たすべきSLA、および優先度の一例を示す表である。
図4】通信機器の種類毎に対応する仮想通信機器の情報の一例を示す表である。
図5】仮想通信機器の機能構成パターン、使用するハードウェアリソース、および性能値の一例を示す表である。
図6】リソース管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図7】ネットワーク-通信機器-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造の一例を示す図である。
図8】ネットワーク構築の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】優先度を含む場合のネットワーク構築の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】優先度を含む場合のネットワーク構築の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】削除されるネットワークの再構築の動作の一例を示すフローチャートである。
【0025】
本発明者らは、仮想通信機器のリソース管理をネットワーク-通信機器-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造によって管理することで、構築するネットワークのSLAを満たしつつアクセラレータを含むハードウェアリソースを柔軟に利用でき、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できることを見出し、本発明をするに至った。
【0026】
すなわち、本発明のリソース管理装置は、仮想通信機器のリソースを管理するリソース管理装置であって、目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をするネットワーク構築部と、前記ネットワーク構築指示に基づいて、前記通信機器に対応する仮想通信機器の機能、前記機能が使用するハードウェアリソース、および性能値を確認し、前記仮想通信機器の構成を決定する通信機器構成部と、前記決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる機能構築部と、前記ハードウェアリソースの使用状況を監視するリソース監視部と、を備える。
【0027】
これにより、本発明者らは、ネットワークのSLAを満たしつつアクセラレータを含むハードウェアリソースを柔軟に利用でき、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応することを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
[実施形態]
(リソース管理システムの概念)
図1は、本実施形態に係るリソース管理システムの概念の一例を示す図である。ネットワークは論理的にサービス毎に分かれている。図1には車用ネットワーク、携帯電話用ネットワークが表示されている。それぞれのネットワークは1つ以上の仮想通信機器を構成することで実現され、更に仮想通信機器は1つ以上の機能で構成されて動作している。それぞれの機能はハードウェアリソースを消費することで実行されるが、機能毎に消費するリソースには違いがある。例えば、図1の機能BはハードウェアリソースプールのFPGA1とCPU1を利用して実行されることを表している。リソース管理装置は、このようなリソース管理システムを監視、制御している。リソース管理システムの構成の詳細は後述する。
【0029】
(リソース管理装置の構成)
図2は、本実施形態に係るリソース管理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。リソース管理装置100は、ネットワーク構築部110、通信機器構成部120、機能構築部130、およびリソース監視部140によって構成されている。
【0030】
ネットワーク構築部110は、ユーザからのネットワーク構築依頼を受け付ける。ネットワーク構築部110は、目的とするネットワーク毎にネットワーク構築に必要な通信機器およびそのSLAを管理し、ネットワーク構築指示をする。ネットワーク構築指示には、少なくともネットワーク名、必要な通信機器および満たすべきSLAが含まれる。ネットワーク構築指示には、ネットワークの優先度が含まれていてもよい。
【0031】
図3は、ネットワーク構築部110が管理する情報の一例を示す表である。図3に示されるように、ネットワーク構築部110は、例えば、ネットワーク名、ネットワーク構築に必要な通信機器、および満たすべきSLAを管理し、必要であれば優先度を管理する。
【0032】
必要な通信機器は、図3に示されるように、例えば、ルータ、ファイアウォール、基地局、モバイルコア等が考えられるが、これに限定されるわけではない。また、満たすべきSLAは、図3に示されるように、例えば、最低スループットや累積遅延等が考えられるが、これに限定されるわけではない。満たすべきSLAとして、他に消費電力等も考えられる。最低スループットは、必要な各通信機器に対応する各仮想通信機器の性能値のスループットのうち、最も大きい値である。また、累積遅延は、必要な各通信機器に対応する各仮想通信機器の性能値の処理遅延の合計値である。なお、仮想通信機器の性能値の詳細については後述する。
【0033】
通信機器構成部120は、ネットワーク構築指示に基づいて、通信機器に対応する仮想通信機器の機能、その機能が使用するハードウェアリソース、および性能値を確認し、仮想通信機器の構成を決定する。また、通信機器構成部120は、決定した仮想通信機器の構成情報を、機能構築部130に通知する。
【0034】
図4および図5は、通信機器構成部120が確認する、通信機器の種類毎に対応する仮想通信機器の情報の一例と、仮想通信機器の機能構成パターン、使用するハードウェアリソース、および性能値の一例を示す表である。図4および図5に示されるように、通信機器構成部120は、ネットワーク構築指示に含まれるネットワーク構築に必要な通信機器に基づいて、これに対応する仮想通信機器を確認する。また、通信機器構成部120は、仮想通信機器の機能構成パターン、および性能値を確認する。また、通信機器構成部120は、ネットワーク構築指示に含まれる満たすべきSLAに基づいて、確認した性能値でSLAが満たされるかどうかを判断し、満たされる場合は、その機能構成パターンによるハードウェアリソースの構成を決定する。
【0035】
性能値は、例えば、スループットや処理遅延が考えられる。これらの値に基づいて、ネットワークのSLAが満たされるかどうかが判断される。
【0036】
通信機器構成部120は、仮想通信機器に複数の構成がある場合、複数の構成毎の性能値の1以上の値に基づいて仮想通信機器の構成を決定することが好ましい。これにより、仮想通信機器に複数の構成がある場合、複数の構成毎の性能値に基づいて適切な仮想通信機器の構成をすることができる。なお、仮想通信機器に複数の構成がある場合とは、図4の表の基地局の欄のように、基地局に複数の仮想通信機器アおよびカが対応している場合、および、図5の表の仮想通信機器アの欄のように、仮想通信機器アに複数の機能構成パターンが対応している場合のいずれも含む。
【0037】
複数の構成から1つを決定する方法は様々考えられるが、例えば、複数の性能値について、それぞれがより性能値の高い構成を決定することができる。このように決定すると、ネットワークの使用者が快適にネットワークを使用できる。また、ネットワークの種類に応じて、重視する性能値を変更して、SLAを満たす構成の中で、重視する性能値が高い構成を決定することもできる。このとき、性能値に重みづけをして、性能値のスコアを算出して構成を決定してもよい。このように決定すると、ネットワークの種類毎に必要な性能値が高い構成が決定されるため、すべての性能値が高い構成でなくても、ネットワークの使用者が十分に快適にネットワークを使用できる。また、例えば、SLAを満たす構成の中で、できるだけ性能値が低い構成を決定することもできる。このように決定すると、性能値が高くなるハードウェアリソースを消費していないため、後述する優先度の高いネットワークがあとから構築される場合に、当該ネットワークの再構築が行われにくくなる。
【0038】
通信機器構成部120は、ネットワーク構築指示にネットワークの優先度が含まれる場合、ネットワークの優先度に基づいて、既に構築された1以上のネットワークを削除すると共に優先度の高いネットワークの仮想通信機器の構成を決定することが好ましい。
【0039】
これにより、ネットワークの優先度に基づいて、優先度の高いネットワークの構築を優先できるため、例えば、既に別のネットワークを構築したあとに、それよりも優先度の高いネットワークを構築する場合であっても、有限のハードウェアリソースを優先度の高いネットワークに割り当てることができる。
【0040】
削除するネットワークを決定する方法は様々考えられるが、例えば、単純に優先度の低い(優先度の数値が大きい)ネットワークを削除するネットワークとして決定してもよい。また、複数のネットワークを削除することも考えられるが、例えば、複数のネットワークの組み合わせのうち、他の組み合わせと比較して優先度の高い(優先度の数値が小さい)ネットワークが含まれる組み合わせは削除するネットワークとして選択しないようにしてもよい。また、例えば、後述するネットワークの再構築をする場合、ネットワークの再構築にかかる時間やユーザの指示回数などを再構築のコストとして数値化し、再構築のコストが低いネットワークの組み合わせを削除するネットワークの組み合わせとして選択してもよい。
【0041】
通信機器構成部120は、既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成するときに、優先度の高いネットワークの仮想通信機器を構成した後のリソースの使用状況に基づいて、削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できるか判断し、削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できる場合、削除されるネットワークの仮想通信機器の新たな構成を決定し、削除されるネットワークの仮想通信機器を構成できない場合、その情報をユーザに通知することが好ましい。
【0042】
これにより、ネットワークが削除されるときに、削除されるネットワークを残ったリソースで再構築できる場合に自動的に再構築し、再構築できない場合にユーザがそのことを知ったうえで、優先度の高いネットワークを構築し既に構成されたネットワークを削除するか、優先度の高いネットワークの構築を断念し既に構築されたネットワークを維持するかを判断することができる。
【0043】
通信機器構成部120は、リソース監視部140の監視するリソースの使用状況に基づいて、現状のリソースまたは既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで仮想通信機器を構成できるがその構成の性能値では構築するネットワークのSLAを満たさない場合、その情報をユーザに通知し、ユーザの指示に従い仮想通信機器の構成を決定することが好ましい。
【0044】
これにより、現状のリソースまたは既に構築された1以上のネットワークを削除した後のリソースで仮想通信機器を構成できるがその構成の性能値では構築するネットワークのSLAを満たさない場合に、ユーザがそのことを知ったうえで、SLAを満たさないネットワークの構築を指示することができ、ネットワークを柔軟に構築できる。このとき、ユーザがSLAを満たさないネットワークの構築を指示しない場合、リソース管理装置100は、当該ネットワークの構築をしないことが好ましい。このようにすることで、SLAを満たさないネットワークの構築が、ユーザの関知しないところで行われることを防ぐことができる。SLAを満たさないネットワークの構築は、通常のネットワークの構築、既に構築されたネットワークを削除して行う優先度の高いネットワークの構築、削除されるネットワークの再構築、のいずれの場合であっても行うことができる。
【0045】
機能構築部130は、決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースを割り当てる。割り当てるハードウェアリソースは、決定された仮想通信機器の構成に基づいてハードウェアリソースプールから選択する。ハードウェアリソースプールに使用可能な同一のハードウェアリソースが複数存在する場合、選択するハードウェアリソースは、順に選択するようにしてもよいし、ランダムに選択するようにしてもよい。ハードウェアリソースプールの詳細は後述する。
【0046】
機能構築部130は、ハードウェアリソースを割り当てる際に、仮想通信機器およびその機能を実現するソフトウェアを、割り当てたハードウェアリソースに読み込ませる。これらのソフトウェアは、ネットワーク構築部110が管理することが好ましい。
【0047】
リソース監視部140は、ハードウェアリソースの使用状況を監視する。リソース監視部140の監視は、所定の短いサイクルで繰り返し行う常時監視でもよいし、ネットワークの構築(再構築を含む)毎に行う監視でもよい。なお、ハードウェアリソースプールの構成が変更される場合は、必ず行うことが好ましい。
【0048】
リソース管理装置100は、上記機能とは別に、外部インターフェース部150を有する。外部インターフェース部150は、ネットワーク構築の制御および通信を行う。外部インターフェース部150は、ユーザの入力の受け付けやユーザへの通知の出力を行う機能を有していてもよいが、外部インターフェース部150とは別に入出力部を有していてもよい。また、入出力部は、リソース管理装置100とは別に存在していてもよい。
【0049】
(リソース管理システムの構成)
図6は、リソース管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。リソース管理システム10は、リソース管理装置100、DB(データベース)200、サーバ300、によって構成されている。リソース管理装置100は、上記で説明した機能を有する。DB(データベース)200は、リソース管理装置100に管理される。DB200は、以下のような複数のDBを含む。
【0050】
ネットワーク構成DB210は、図3の例に示されるような、ネットワーク毎に必要な通信機器の種類およびそのSLAを保持する。通信機器種別DB220は、図4の例に示されるような、通信機器の種類毎に対応する仮想通信機器の情報を保持する。機能紐づけDB230は、図5の例に示されるような、仮想通信機器の機能構成、使用するハードウェアリソース、および性能値を保持する。リソース管理DB240は、ハードウェアリソースプールのハードウェアリソースの使用状況を保持する。
【0051】
DB200は、リソース管理装置100に含まれていてもよいが、リソース管理装置100と通信可能であれば、どこにあってもよい。また、サーバ300に含まれていてもよい。なお、ネットワーク構成DB210、通信機器種別DB220、機能紐づけDB230、およびリソース管理DB240は、保持される情報の種類によって分けて説明をしたが、これらの情報は、1の装置に含まれていてもよいし、複数の装置に分散されていてもよい。
【0052】
サーバ300は、リソース管理装置100と通信を行い、複数種類のハードウェアリソースを備えるハードウェアリソースプールを有する。サーバ300は、リソース管理装置100の制御に従い、ハードウェアリソースプールのハードウェアリソースによって1以上の仮想通信機器を構成することでネットワークを構築する。サーバ300は、1のみであっても、2以上であってもよい。なお、サーバ300とリソース管理装置100が一体となっていてもよい。
【0053】
(ハードウェアリソースプールの構成)
ハードウェアリソースプールは、複数種類のハードウェアリソースを備える。ハードウェアリソースは、図1に示されるような、CPU(Central Processing Unit)に加え、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のアクセラレータを含むが、これらに限定されるわけではない。例えば、メモリ、ハードディスク等を含んでいてもよい。
【0054】
図1は、ハードウェアリソースプールが、地域(あ)と地域(い)に分散されて配置されていることを示している。この場合、サーバ300は、地域(あ)と地域(い)に配置されているため、複数配置されていることになる。このように、ハードウェアリソースプールは、地域ごとに分散されていても、どこか全国に1箇所に集中して配置されていても構わない。1箇所に複数のサーバ300が配置されていてもよい。なお、プール化の手法は問わない。
【0055】
仮想通信機器の機能が利用する個々のハードウェアリソースは、例えば、GPUを、GPU1、GPU2のように性能毎、若しくはメーカ毎に分けてプール化されていることが好ましい。図1は、GPUおよびFPGAについて、2つのカテゴリに分けてプール化している状況を示している。ハードウェアリソースを性能毎、若しくはメーカ毎に分けてプール化することで、ハードウェアリソースを細かく管理することができ、仮想通信機器の構成を多様に変化させることができる。例えば、このカテゴリを低機能と高機能に分けてプール化することにより、仮想通信機器の機能の実現に不必要な高度な機能を有するハードウェアリソースを無駄に消費する恐れが低減できる。
【0056】
本発明のリソース管理装置およびリソース管理システムによって、図7に示されるように、仮想通信機器のリソース管理をネットワーク-通信機器-仮想通信機器-機能-ハードウェアリソースという階層構造によって管理することができる。
【0057】
(ネットワーク構築の動作)
図8は、ネットワーク構築の動作の一例を示すフローチャートである。図8は、リソース管理装置を構成する各部およびユーザの指示および判断を含む。まず、ユーザがリソース管理装置にネットワーク構築を依頼する(ステップS1)。次に、ネットワーク構築部がネットワーク構成DBを参照し必要な通信機器およびそのSLAを確認し(ステップS2)、通信機器構成部に必要な通信機器およびそのSLAを通知しネットワーク構築を依頼する(ステップS3)。
【0058】
次に、通信機器構成部が通信機器種別DBから通信機器構成パターンを算出し(ステップS4)、算出した通信機器構成パターンおよび機能紐付けDBから機能構成パターンを算出する(ステップS5)。そして、リソース管理DBを参照し、構築できるかどうかを確認する(ステップS6)。構築できるリソースがある場合(ステップS7-YES)、SLAを満たすパターンがあるかどうか確認し、ある場合(ステップS9-YES)、機能構築部に機能構築とハードウェアリソース割り当てを依頼する(ステップS12)。
【0059】
その後、機能構築部は、機能構築とハードウェアリソース割り当てをし(ステップS13)、通信機器構成部に機能構築完了通知をする(ステップS14)。通信機器構成部は、ネットワーク構築部に通信機器構築完了通知をし(ステップS15)、ネットワーク構築部は、ユーザにネットワーク構築完了通知をして(ステップS16)、終了する。
【0060】
また、ステップS9でSLAを満たすパターンがあるかどうか確認し、ない場合(ステップS9-NO)、SLAを満たせないが構築するかどうかをユーザに確認する(ステップS10)。そして、ユーザによる構築指示がされた場合(ステップS11-YES)、機能構築部に機能構築とハードウェアリソース割り当てを依頼する(ステップS12)。その後は上記と同様に、機能構築部は、機能構築とハードウェアリソース割り当てをし(ステップS13)、通信機器構成部に機能構築完了通知をする(ステップS14)。通信機器構成部は、ネットワーク構築部に通信機器構築完了通知をし(ステップS15)、ネットワーク構築部は、ユーザにネットワーク構築完了通知をして(ステップS16)、終了する。
【0061】
また、SLAを満たせないが構築するかどうかをユーザに確認(ステップS10)した結果、ユーザによる構築指示がされない場合(ステップS11-NO)、終了する。
【0062】
一方、ステップS6でリソース管理DBを参照し、構築できるかどうかを確認した結果、構築できるリソースがない場合(ステップS7-NO)、ネットワーク構築部は、ユーザにリソースが足りないため構築できない旨の通知をして(ステップS8)、終了する。
【0063】
(優先度を含む場合のネットワーク構築の動作)
図9、10は、優先度を含む場合のネットワーク構築の動作の一例を示すフローチャートである。図9、10も図8と同様に、リソース管理装置を構成する各部およびユーザの指示および判断を含む。図9のステップT1からステップT6までは図8のステップS1からステップS6と同様の動作であるため説明を省略し、図10のAから説明する。
【0064】
ステップT6でリソース管理DBを参照し、構築できるかどうかを確認した結果、構築できるリソースがある場合(ステップT7-YES)、SLAを満たすパターンがあるかどうか確認し、ある場合(ステップT12-YES)、機能構築部に機能構築とハードウェアリソース割り当てを依頼する(ステップT17)。
【0065】
その後、機能構築部は、機能構築とハードウェアリソース割り当てをし(ステップT18)、通信機器構成部に機能構築完了通知をする(ステップT19)。通信機器構成部は、ネットワーク構築部に通信機器構築完了通知をし(ステップT20)、ネットワーク構築部は、ユーザにネットワーク構築完了通知をして(ステップT21)、終了する。
【0066】
また、ステップT12でSLAを満たすパターンがあるかどうか確認し、ない場合(ステップT12-NO)、構築しようとしているネットワークより優先度が低いネットワークがあるか確認する(ステップT13)。そのようなネットワークがある場合(ステップT13-YES)、リソース解除でSLAを満たす構築が可能かどうか確認する(ステップT14)。可能である場合(ステップT14-YES)、ネットワークを削除し、機能構築部に機能構築とハードウェアリソース割り当てを依頼する(ステップT17)。その後は上記と同様である。
【0067】
また、そのようなネットワークがない場合(ステップT13-NO)、および、リソース解除でSLAを満たす構築が可能でない場合(ステップT14-NO)、SLAを満たせないが構築するかどうかをユーザに確認する(ステップT15)。そして、ユーザによる構築指示がされた場合(ステップT16-YES)、機能構築部に機能構築とハードウェアリソース割り当てを依頼する(ステップT17)。その後は上記と同様である。
【0068】
また、ユーザによる構築指示がされない場合(ステップT16-NO)、ネットワーク構築をしないで、終了する。
【0069】
一方、ステップT6でリソース管理DBを参照し、構築できるかどうかを確認した結果、構築できるリソースがない場合(ステップT7-NO)、構築しようとしているネットワークより優先度が低いネットワークがあるか確認する(ステップT8)。そのようなネットワークがある場合(ステップT8-YES)、そのネットワークのリソースを解除することでネットワーク構築が可能かどうかを確認する(ステップT9)。可能である場合(ステップT9-YES)、さらにリソース解除でSLAを満たす構築が可能かどうか確認する(ステップT11)。可能である場合(ステップT11-YES)、ネットワークを削除し、機能構築部に機能構築とハードウェアリソース割り当てを依頼する(ステップT17)。その後は上記と同様である。
【0070】
また、ステップT11においてリソース解除でSLAを満たす構築が可能かどうか確認した結果、可能でない場合(ステップT11-NO)、SLAを満たせないが構築するかどうかをユーザに確認する(ステップT15)。その後は上記と同様である。
【0071】
さらに、ステップT8で構築しようとしているネットワークより優先度が低いネットワークがあるか確認した結果、そのようなネットワークがない場合(ステップT8-NO)、および、ステップT9でそのネットワークのリソースを解除することでネットワーク構築が可能かどうかを確認した結果、可能でない場合(ステップT9-NO)、ネットワーク構築部は、ユーザにリソースが足りないため構築できない旨の通知をして(ステップT10)、終了する。
【0072】
なお、上記のフローでは、優先度の低いネットワークを削除する場合に、ユーザのチェックを受けることなく自動的に削除していたが、ユーザがチェックするようにしてもよい。
【0073】
(削除されるネットワークの再構築の動作)
図11は、削除されるネットワークの再構築の動作の一例を示すフローチャートである。図11図8と同様に、リソース管理装置を構成する各部およびユーザの指示および判断を含む。図11は、優先度の低いネットワークが削除の候補になったところからスタートする。まず、通信機器構成部は、削除候補ネットワークがあるか判断し(ステップU1)、ある場合(ステップU1-YES)、削除候補ネットワークとリソースを解除する仮想通信機器を確認する(ステップU3)。
【0074】
次に、該当する仮想通信機器において、現状の構成とは異なるその他の機能構成パターン候補およびその他の仮想通信機器候補を確認する(ステップU4)。これらのパターンに対して、再構築できるリソースがあるかどうか確認し、ある場合(ステップU5-YES)、SLAを満たすパターンがあるかどうか確認する(ステップU11)。ある場合(ステップU11-YES)、機能構築部に機能再構築とハードウェアリソース再割り当てを依頼する(ステップU14)。
【0075】
その後、機能構築部は、機能再構築とハードウェアリソース再割り当てをし(ステップU15)、通信機器構成部に機能再構築完了通知をする(ステップU16)。通信機器構成部は、ネットワーク構築部に通信機器再構築完了通知をし(ステップU17)、ネットワーク構築部は、ユーザにネットワーク再構築完了通知をして(ステップU18)、終了する。
【0076】
また、ステップU11でSLAを満たすパターンがあるかどうか確認し、ない場合(ステップU11-NO)、SLAを満たせないが構築するかどうかをユーザに確認する(ステップU12)。そして、ユーザによる構築指示がされた場合(ステップU13-YES)、機能構築部に機能再構築とハードウェアリソース再割り当てを依頼する(ステップU14)。その後は上記と同様である。
【0077】
また、ステップU13でSLAを満たせないが構築するかどうかをユーザに確認した結果、ユーザによる構築指示がされない場合(ステップU13-NO)、終了する。
【0078】
また、ステップU5で再構築できるリソースがあるかどうか確認し、ない場合(ステップU5-NO)、ネットワーク構築部は、該当ネットワークを削除する必要がある旨をユーザに通知する(ステップU6)。そして、ユーザによる削除指示がされた場合(ステップU7-YES)、ネットワーク構築部は、該当ネットワークの削除依頼をして(ステップU9)、終了する。
【0079】
また、ステップU7でユーザによる削除指示がされない場合(ステップU7-NO)、新規ネットワーク構築をキャンセルするかどうか確認する(ステップU8)。そして、ユーザによるキャンセル指示がされた場合(ステップU8-YES)、ネットワーク構築部は、新規ネットワークの構築をキャンセルして(ステップU10)、終了する。
【0080】
また、ステップU8でユーザによるキャンセル指示がされない場合(ステップU8-NO)、ステップU1に戻り、通信機器構成部は、別の削除候補ネットワークがあるか判断し、ある場合(ステップU1-YES)、再度上記と同様の動作により、ネットワークの再構築を行う。
【0081】
一方、ステップU1に戻り、通信機器構成部が別の削除候補ネットワークがあるか判断し、ない場合(ステップU1-NO)、ネットワーク構築部は、新規ネットワーク構築キャンセルをユーザに通知し(ステップU2)、終了する。
【0082】
[実施例]
図3から図5の数値を用いて、実施例を説明する。本実施例のハードウェアリソースプールには、FPGA1とFPGA2はそれぞれ1つずつあり、CPU1、GPU1、GPU2は十分な数あるとした。
【0083】
(実施例1)
他のネットワークがない状態で、携帯電話用ネットワークを構築した。ユーザがリソース管理システムの外部インターフェースを経由してネットワーク構成DBに作りたいネットワークを事前に入力した。その後、ネットワーク構築部に携帯電話用ネットワーク構築を依頼した。ネットワーク構築部は通信機器構成部に必要な通信機器と満たすべきSLA情報を渡した。
【0084】
通信機器構成部は通信機器種別DBから携帯電話用ネットワークを構成する通信機器パターンが2種類(ア‐ウ、カ‐ウ)あることを算出した。次に機能紐付けDBを参照し、機能構成パターンが4種類(ア1‐ウ1、ア2‐ウ1、ア3‐ウ1、カ1‐ウ1)あることを算出した。次にリソース管理DBを参照し、それぞれのパターンにおいて、構築できるかどうかを確認した。次に、通信機器構成部は機能紐付けDBを参照し、構築できるものの内、SLAを満たす組合せがあるかどうかを確認した。本実施例の場合、すべての機能構成パターンが構築可能であった。
【0085】
また、本実施例の場合、ア1‐ウ1の最低スループットは仮想通信機器アの10であり、累積遅延は5+5で10である。同様に、ア2‐ウ1の最低スループットは5であり、累積遅延は25である。ア3‐ウ1の最低スループットは7であり、累積遅延は13である。カ1‐ウ1の最低スループットは3であり、累積遅延は35である。携帯電話用ネットワークの満たすべきSLAは、最低スループットが7以上、累積遅延が10以下であるため、ア1‐ウ1の構成は、SLAを満たすことが確認された。
【0086】
このように、構築可能でSLAを満たす組み合わせがあったので、通信機器構成部は機能構築部に、ア1‐ウ1の構成で、機能構築とリソース割当を依頼した。構築完了後ネットワーク構築部はユーザに構築完了を通知し、携帯電話用ネットワークを構築した。
【0087】
(実施例2)
次に、上記携帯電話用ネットワークが構築されている状態で、携帯電話用ネットワークよりも、優先度の高い車用ネットワークを構築した。基本的には上記と同様に構築を行っていくが、リソースDBを参照し、構築できるかどうかを確認した時に、優先度が高いにも関わらず構築できない場合がありえる。本実施例では、上記の構成で携帯電話用ネットワークが構築されている状態では、残りのリソースで車用ネットワークを構築できない。
【0088】
通信機器構成部は、自分より優先度が低いネットワークがあるかどうかを確認し、優先度が低いネットワークが存在し、且つそのネットワークを構成する仮想通信機器のリソースを解除することで、優先度の高いネットワークの構築が可能かどうか確認した。既に構築されている携帯電話用ネットワークは、車用ネットワークよりも優先度が低いため、携帯電話用ネットワークを削除候補としてもよいことが確認された。
【0089】
次に、車用ネットワークの構成パターンを確認すると、機能構成パターンが2種類(イ1‐エ1、イ2‐エ1)あることが算出された。これらのSLAを確認すると、イ1‐エ1の最低スループットは10であり、累積遅延は10であり、イ2‐エ1の最低スループットは8であり、累積遅延は15である。車用ネットワークの満たすべきSLAは、最低スループットは10以上であり、累積遅延は10以下であるため、イ1‐エ1の構成は、SLAを満たすことが確認された。
【0090】
現状の携帯電話用ネットワークの構成は、ア1‐ウ1であるため、これを削除すると、CPU1が2つ、GPU1が2つ、GPU2、FPGA1が使用可能となる。一方、車用ネットワークのイ1‐エ1の構成は、FPGA1を使用しているため、携帯電話用ネットワークを削除することで、車用ネットワークを構成できることが確認された。したがって、ネットワーク構築部は携帯電話用ネットワークを削除し、通信機器構成部は機能構築部に、イ1‐エ1の構成で機能構築とリソース割り当てを依頼した。構築完了後ネットワーク構築部はユーザに構築完了を通知し、車用ネットワークを構築した。
【0091】
(実施例3)
次に、携帯電話用ネットワークの再構築を行った。携帯電話用ネットワークの機能構成パターンは4種類(ア1‐ウ1、ア2‐ウ1、ア3‐ウ1、カ1‐ウ1)あったが、ア1‐ウ1の構成は、車用ネットワークが構築されているため構築できないことが確認された。よって、通信機器構成部は、残りの3種類の中から、構築可能な構成を確認した。
【0092】
残りの3種類は、FPGA1も2も使用していないため、いずれも構築可能であることが確認された。しかし、実施例1で算出したように、残りの3種類は、いずれも携帯電話用ネットワークの満たすべきSLAを満足しない。したがって、通信機器構成部は、これらの中から最も満たすべきSLAに近い機能構成パターンとして、ア3‐ウ1を選択し、ユーザにSLAを満たせないが構築するかどうかを確認した。
【0093】
ユーザの構築指示があったため、通信機器構成部は機能構築部に、ア3‐ウ1の構成で、機能再構築とリソース再割り当てを依頼した。再構築完了後ネットワーク構築部はユーザに再構築完了を通知し、携帯電話用ネットワークを再構築した。
【0094】
このように、本発明のリソース管理装置、リソース管理システム、リソース管理方法、およびプログラムは、アプリケーションのマイクロサービス化およびネットワークスライシングに対応できる。
【符号の説明】
【0095】
10 リソース管理システム
100 リソース管理装置
110 ネットワーク構築部
120 通信機器構成部
130 機能構築部
140 リソース監視部
150 外部インターフェース部
200 データベース
210 ネットワーク構成DB
220 通信機器種別DB
230 機能紐付けDB
240 リソース管理DB
300 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11