(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】回転する磁石を用いた磁気粒子イメージング
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0515 20210101AFI20220630BHJP
【FI】
A61B5/0515
(21)【出願番号】P 2019522618
(86)(22)【出願日】2017-07-12
(86)【国際出願番号】 US2017041792
(87)【国際公開番号】W WO2018013738
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-07-13
(32)【優先日】2016-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519012253
【氏名又は名称】パトリック・ダブリュー・グッドウィル
【氏名又は名称原語表記】Patrick W.GOODWILL
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ダブリュー・グッドウィル
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0221438(US,A1)
【文献】特開平01-209706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0265050(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0058441(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02223719(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159712(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0320132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己シールド型磁気粒子イメージング(MPI)システムであって、
フィールドフリー線を含む磁場を生成する機械的に回転可能な磁石と、
励起源と、
RFディテクタと、
前記自己シールド型MPIシステムの
撮像される物体を受けることが可能な穴の一部またはすべてを取り囲むRFシールドと、
複数の角度における複数の投影を取得するように構成されたコントロールシステムと、
少なくとも前記複数の投影に基づいて画像を生成するように構成された画像再構成システムと、を備え、
前記複数の投影を取得するステップは、
前記フィールドフリー線を前記複数の角度に向けるべく、前記機械的に回転可能な磁石を回転させるステップと、
前記フィールドフリー線を前記複数の角度における複数の位置に位置決めするステップと、
前記励起源と前記RFディテクタを制御して、前記複数の位置の前記フィールドフリー線内のサンプル中の磁気粒子からの信号を取得するステップとを含み、
前記RFシールドは前記機械的に回転可能な磁石の回転の間動かないように構成される、
自己シールド型磁気粒子イメージング(MPI)システム。
【請求項2】
前記フィールドフリー線を複数の位置に位置決めするステップは、前記機械的に回転可能な磁石をある角度に固定した状態で起こる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記画像再構成システムは、ある固定の角度から取得された複数の投影から前記画像を作成するようにさらに構成される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記フィールドフリー線を複数の位置に位置決めするステップは、前記機械的に回転可能な磁石が回転している間に起こる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記機械的に回転可能な磁石を回転させるステップは、前記複数の投影を取得している間に、回転方向を逆転させるステップを含む、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントロールシステムは、前記取得するステップの間に、前記機械的に回転可能な磁石の穴を通じてサンプルを移動させるようにさらに構成された、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像再構成システムは、3次元画像を生成するように構成された、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントロールシステムは、前記機械的に回転可能な磁石の穴を通じてサンプルを移動させ、別の複数の角度における追加の複数の投影を取得するようにさらに構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記画像再構成システムは、3次元画像を生成するように構成された、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントロールシステムは、前記フィールドフリー線を、前記機械的に回転可能な磁石の回転軸に沿って電気的に移動させ、別の複数の角度における追加の複数の投影を取得するようにさらに構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記画像再構成システムは、3次元画像を生成するように構成された、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記フィールドフリー線を複数の位置に位置づけするステップは、少なくとも変更された磁場を生成する前記機械的に回転可能な磁石により達成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記フィールドフリー線を複数の位置に位置決めするステップは、前記フィールドフリー線の位置を、シフティング磁石及び励起磁石によりX軸方向にのみ変化させるステップを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記フィールドフリー線を複数の位置に位置づけするステップは、前記フィールドフリー線の位置を、少なくとも1つの磁石及び少なくとも1つの励起磁石により、X軸方向及びZ軸方向の両方に変化させるステップを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
磁場を変化させるように構成された少なくとも1つのシム磁石をさらに備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁場を変化させるステップは、前記フィールドフリー線の幅を広くさせる、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータに所定の動作を実行させるためのプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記所定の動作は、
自己シールド型磁気粒子イメージング(MPI)システムであって、
機械的に回転可能な磁石と、
励起源と、
RFディテクタと、
前記自己シールド型MPIシステムの
撮像される物体を受けることが可能な穴の一部またはすべてを取り囲むRFシールドと、
コントロールシステムと、
画像再構成システムと、を備える自己シールド型MPIシステムに、
フィールドフリー線を含む磁場を生成する、前記機械的に回転可能な磁石による、ステップと、
複数の角度から複数の投影を取得する、コントロールシステムによる、ステップであって、前記取得するステップは、
前記フィールドフリー線を前記複数の角度に向けるべく、前記機械的に回転可能な磁石を回転させることと、
前記フィールドフリー線を、前記複数の角度の複数の位置に位置決めすることと、
前記複数の角度の前記フィールドフリー線内におけるサンプル中の磁気粒子からの信号を取得するように、前記励起源及び前記RFディテクタを制御することとを含む、
取得するステップと、
前記画像再構成システムによって、前記複数の投影の少なくとも1つに基づいて画像を生成するステップと、を含む動作を実行させることを含み、
前記RFシールドは前記機械的に回転可能な磁石の回転の間動かないように構成される、
コンピュータ
読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
前記コントロールシステムは、前記励起源によって生成された磁場の強度および方向を特定する励起磁場ベクトルを設定するようにさらに構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記機械的に回転可能な磁石は、1つ以上のスリップリングに結合されることで前記機械的に回転可能な磁石の連続的な回転を可能にする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上のスリップリングは、容量性スリップリング、誘導性スリップリング、光学的スリップリング、またはデジタルスリップリングのうちの1つ以上を含む、
請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記励起源は送信コイルを含み、当該送信コイルは前記機械的に回転可能な磁石とともに回転しない、
請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記RFディテクタは受信コイルを含み、当該受信コイルは前記機械的に回転可能な磁石とともに回転しない、
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照.
本出願は、「磁気粒子イメージング」と題され、2016年7月12日に出願された米国仮特許出願第62/361,475号及び、「磁気粒子イメージング」と題され2016年7月12日に出願された米国仮特許出願第62/361,463号に基づく優先権を主張し、それぞれの内容は全体を通して参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
磁気粒子イメージング(MPI)は、特定のナノ粒子の検出を可能にする技術であって、例えば診断向けイメージングの応用に用いられ得る。イメージングはフィールドフリー領域を生成するよう設計された磁石を通じて容易にされる。フィールドフリー領域の例は、フィールドフリー点(FFP)及びフィールドフリー線(FFL)を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁気粒子イメージング(MPI)システムが開示される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施例は、フィールドフリー線を含む磁場を生成するように構成された機械的に回転可能な磁石を含み得る。他の実施例は、励起源及びRFディテクタを含み得る。MPIシステムの実施例は、複数の角度からの投影を取得するように構成されたコントロールシステムを含み得る。投影を取得するステップは、機械的に回転可能な磁石を、当該角度のフィールドフリー線に向けるように回転させるステップを含み得る。フィールドフリー線は、複数の位置及び角度に位置し得る。励起源及びRFディテクタは、当該位置のフィールドフリー線内のサンプル中の磁気粒子からの信号を取得するように制御されてよい。画像再構成システムは、少なくとも投影に基づいて画像を生成するように構成されてよい。
【0005】
他の変形例では、フィールドフリー線を当該位置に位置決めするステップは、機械的に回転可能な磁石が回転している間に起こり得る。機械的に回転可能な磁石は、投影の取得の間に回転方向を逆転させるステップを含み得る。
【0006】
いくつかの変形例では、コントロールシステムは、取得するステップの間に機械的に回転可能な磁石の穴を通じてサンプルを移動させるか、又は、機械的に回転可能な磁石の穴を通じてサンプルを動かして他の角度の追加の投影を取得するようにさらに構成され、画像再構成システムは、3次元画像を取得するようにさらに構成され得る。
【0007】
他の変形例では、コントロールシステムは、フィールドフリー線を機械的に回転可能な磁石の回転軸に沿って電気的に移動させるようにさらに構成されるか、別の複数の角度の追加の投影を取得するか、又は3次元画像を生成するようにさらに構成され得る。フィールドフリー線を上記の位置に位置決めするステップは少なくとも、変更された磁場を生成する機械的に回転する磁石により達成され得る。
【0008】
さらに他の実施例では、フィールドフリー線を上記の位置に位置決めするステップは、フィールドフリー線の位置を、少なくともシフティング磁石及び励起磁石により、X軸方向にのみ変化させるステップを含み得る。
【0009】
いくつかの変形例では、フィールドフリー線を上記の位置に位置決めするステップは、フィールドフリー線の位置を、少なくとも1つの磁石及び少なくとも1つの励起磁石により、X方向及びZ方向の両方に変化させるステップを含み得る。
【0010】
他の変形例では、MPIシステムは磁場を反転させるシム磁石を含み得る。磁場の反転は、フィールドフリー線の幅を広くさせ得る。
【0011】
現在の要旨の実施例は、実行されて、1つ以上のマシン(たとえばコンピュータ)に説明された特徴の1つ以上を実現する動作を引き起こすことが可能な、明白に実施されたマシン可読媒体を備える物品に加え、本明細書に提供される説明と一致する方法を含み得るが、それらに限定されない。同様に、1つ以上のプロセッサと当該プロセッサに結合された1つ以上のメモリを含み得るコンピュータシステムも想定されている。コンピュータ可読記憶媒体を含み得るメモリは、1つ以上のプロセッサに本明細書に説明される動作の1つ以上を実行させる1つ以上のプログラムを、含むか、エンコードするか、又は格納する等してよい。現在の要旨の1つ以上の実施例に係るコンピュータ実装の方法は、単一の計算システム内、又は複数の計算システムにわたって存在する1つ以上のデータプロセッサにより実装され得る。そういった複数の計算システムは接続されてよく、1つ以上の接続を通じてデータ及び/又はコマンド若しくは他の命令等を交換可能であり、当該接続はネットワーク経由の接続(例えばインターネット、無線広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、有線ネットワーク等)、当該複数の計算システムのうち1つ以上の間の直接接続を通じた接続などを含み得るが、これらに限定されない。
【0012】
本明細書で説明される要旨の1つ以上の変形の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本明細書で説明される要旨の他の特徴及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかとなる。例示を目的として、現在開示される要旨の特定の特徴は特定の実施例に触れながら説明されているが、そういった特徴が限定を意図するものではないことは即座に理解されるべきである。本開示に続く特許請求の範囲は、保護される要旨の保護範囲を定めることを意図するものである。
【0013】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本明細書に開示される要旨の特定の態様を示し、明細書とともに、開示された実施形態に関係づけられた原理のうちのいくつかを説明するのを助ける。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の特定の態様に係る四極磁場、FFP、及びFFLを示す図
【
図2】本開示の特定の態様に係るFFLを移動するためのパルスシーケンスの例を示す図
【
図3】本開示の特定の態様に係る、イメージングにおいて軌道に沿うFFLの移動を示す図
【
図4】本開示の特定の態様に係る、画像を生成するための2次元的FFL移動を伴うスキャンを示す図
【
図5】本開示の特定の態様に係る模式的なMPIシステムを示す図
【
図6】本開示の特定の態様に係るMPIシステムの例を示す図
【
図7】本開示の特定の態様に係るMPIシステムの直接駆動のためのピニオン及びギアを示す図
【
図8】本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための末端軸受支持の例を示す図
【
図9】本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための中央軸受支持の例を示す図
【
図10】本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための3つの軸受支持の例を示す側面図
【
図11】本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための3つの軸受支持の例を示す正面図
【
図12】本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための2つのオープン穴ベアリング部品の例を示す図
【
図13】本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための複数の小ベアリング部品の例を示す図
【
図14】本開示の特定の態様に係る垂直穴MPIシステムのための単一のベアリング部品の例を示す図
【
図15】本開示の特定の態様に係るメカニカルストップの例を示す図
【
図16】本開示の特定の態様に係るMPIシステム中の制限された回転のケーブルトラックの例を示す図
【
図17】本開示の特定の態様に係るラジオ周波数(RF)シールドの例を示す図
【
図18】本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおけるステップスキャンイメージングの例を示す図
【
図19】本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおけるステップスキャンイメージングのためのパルスシーケンスの例を示す図
【
図20】本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおける連続的回転の例を示す図
【
図21】本開示の特定の態様に係る連続的回転イメージングのためのパルスシーケンスの例を示す図
【
図22】本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおける往復イメージングの例を示す図
【
図23】本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおけるスパイラルイメージングの例を示す図
【
図24】本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおけるFFLを動かすことによるスパイラルイメージングの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
MPIシステムは、例えばヒト又は動物の分析において、物体中に存在し得るトレーサ粒子をイメージングするために用いられ得る。MPIシステムは、局所的に変化する磁場に応答して電磁放射を放出させることにより、トレーサ粒子をイメージングすることができる。磁場の変化は、外部から加えられる磁場の変化、トレーサ粒子の移動、又はこれら2つの組み合わせにより生じる。
【0016】
多数の実施例において、MPIシステムは、フィールドフリー領域または磁気ナルを含む磁場を発生する。物体中に存在するトレーサ粒子は、そのような領域を通過する際に、磁気モーメントの方向を変化させ、磁場はある方向に向けられた状態から、別の方向に向けられた状態に変化する。代替的に、トレーサ粒子はフィールドフリー領域にある間、個別の電磁パルスによってその軌跡を変化させられてもよい。
【0017】
MPIシステムは典型的には、トレーサ粒子からの電磁放射を検出するように、又は磁場の変化に応答するか若しくは磁場を通って移動するトレーサ粒子による磁束の変化を検出するように構成されたディテクタを含む。この電磁信号は、イメージング容積内に位置するトレーサ粒子の画像を生成するために用いられ得る。
【0018】
磁気粒子イメージングのいくつかの実施例は、撮影される物体を移動させることか、フィールドフリー領域の位置を移動させることか、又はそれら2つの組み合わせを含み得る。
【0019】
被写体中の撮影されるトレーサ粒子の分布は、物体(例えば空洞又は血管中に蓄積された粒子)の特定の分析的特徴若しくは物理的構造、又はトレーサ粒子が付着された物体(例えば、トレーサ粒子か又はトレーサ粒子が付着若しくは内包された分子と結合しやすい性質を持つ種類の特定の分子、細胞又は組織)中の要素の分布と関連づけられ得る。この法補では、トレーサ粒子の決定された位置は、物体内の特徴を画像かするために用いられ得る。
【0020】
図1は、本開示の特定の態様に係る四極磁場、FFP130、及びFFL140を示す図である。MPIシステムは、磁気ナル、零点又はフィールドフリー領域120を内包する四極磁場(
図1上部)を発生することができる。
図1の単純化された例では、電流が逆方向に流れる2つのコイルが四極磁場を生成している。四極磁場の4つの「極」110は、短い矢印で示される。極110は、
図1に示す向かい合う2つのコイルと等価な磁石の構成の例として提供される。2つのコイルを流れる電流が等しい大きさで逆方向の場合、極110は2つのコイルの間に位置する。
【0021】
いくつかの実施例では、フィールドフリー領域120は、FFP130(
図1の左下部の模式図により示される)であり得る。他の実施例では、フィールドフリー領域は、フィールドフリー線140(
図1の右下部の模式図により示される)であり得る。
図1のプロットのY軸は、後の図と一致するように「垂直」とラベル付けされ、これはフィールドフリー線140の典型的には垂直な方向を示す。MPIシステムがフィールドフリー線140を生成するとき、MPI信号は点からのかわりに線から受信される。FFLの構成は従って、投影ベースのイメージング及び再構成の技術を利用し得る。
【0022】
フィールドフリー線140は、長さ及び厚さを持つ概ね楕円形の領域であり、MPIシステムにより生成された磁場中の他の位置よりも磁場がきわめて弱い。本明細書において用いられる際、「フィールドフリー線」は、線が完全な直線であり得ず、かつ完全に0の磁場でもあり得ないという事実から構成されるが、一般にそれがFFLのゴールであることは理解される。
【0023】
フィールドフリー線140は、いくつかの実施例では、MPIシステムのイメージング容積内でのみ、概ね楕円形又は「線形」である。FFLにとってイメージング容積の外で線形性を保つことはさほど重要ではなく、従ってフィールドフリー線140はその中心、即ちイメージング空間の概ね中心、から離れた場所では異なる形に乖離していてもよい。同様に、本明細書で用いられるに際し、「フィールドフリー点」は低磁場の概球形領域を指す。
【0024】
図2は、本開示の特定の態様に係る、FFL140を移動させるためのパルスシーケンスの例を示す。ある画像を生成するために、FFL140は移動されて、イメージング容積(例えばサンプル周辺)中の異なる位置をスキャンすることができる。FFL140を動かすために、MPIシステムはパルスシーケンスを実装できる。パルスシーケンスは、MPIスキャンハードウェアにより実行される動作の集合である。パルスシーケンスは、例えばFFL140の移動、サンプル410の移動、MPIシステムの移動又はこれらの任意の組み合わせを通じて所望の視野(FOV)を撮像するために設計され得る。
【0025】
図2に示すパルスシーケンスの例は、磁場勾配(
図2の一番上のパネルに示す)と、視野をカバーするためのFFL140の電気的移動(
図2の中央の2つのパネルに示す)と、及び、サンプルからの信号を誘発する励起磁石又はコイルによるFFL140の速い電気的移動(
図2の一番下のパネルに示す)を指定することを含む。
【0026】
他の実施例では、パルスシーケンスは、サンプルの機械的移動、MPIシステムの移動又は回転を制御すること、励起磁場ベクトル(励起磁石又はコイルにより生成される磁場の強さ及び方向)を設定すること、角度の数及び値を指定すること、又はこれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。
【0027】
これらの動作は、MPIマグネット中の電流のコンピュータ制御された変化、駆動フィールド磁石中の変化する電流、並びにモータを用いたMPIシステムの機械的移動を通じて実装され得る。パルスシーケンスの間、データ取得はドライブ磁場の適用中に起こり得る。画像の再構成は、パルスシーケンスの特性(即ち、加えられた電流及び機械的位置)と画像を発生するために受信した信号に基づき得る。
【0028】
図3は、本開示の特定の態様に係る、イメージング中において軌道320に沿ったFFL140の移動を示す図である。FFL140の位置310は、
図1に示す四極磁場と比較して変更された磁場を生成することで、MPIシステム中の磁石の組み合わせにより変化させることができる。これらの磁石は例えば、FFL140を生成してFFL140のX位置310を制御するように構成されたメイン磁石又は「Xマグネット」を含むことができ、FFL140の周囲の勾配を変更又は制御するように構成されたシフティング磁石又は「Z磁石」は、FFL140のZ座標もシフトさせる。FFL140の位置310の遅い変化の例は、
図3の鋸歯型の経路により示される。ここでFFL140は、概してZ軸方向に移動しながら、X軸方向に往復移動している。
【0029】
また、MPIシステムは、FFL140の例えばX座標及びZ座標の高速な変化生成し、信号を生成するための粒子トレーサを励起するように構成された励起磁石を含み得る。
図3に示す例は、励起磁石(FFL140をZ軸方向の短い距離を高速に移動させるように駆動される)が、X磁石及びZ磁石を通じて発生された遅い経路の周囲のスキャンされるイメージング領域のデンスサンプリングを引き起こすことを示す。
【0030】
FFL140の位置310を変化させるのに用いられる磁石の選択によっては、イメージング容積の「スライス」を得るか、又はイメージング容積の「平板」の画像を得ることができる。本明細書で用いられるに際し、一般に「スライス」は、「平板」よりもきわめて小さい厚さの2次元イメージング領域である。例えば、FFL140の位置決めは、1つのシフティング磁石及び1つの励起磁石により、FFL140の位置310を1方向(例えばX軸方向)にのみ変化させることを含み得る。この例では、直交する軸方向(例えばZ軸方向)には変化がなく、FFL140は薄いスライスを掃き出す。
【0031】
FFL140の位置決めがフィールドフリー線の座標を、FFL140の軸に直交する2つの方向に変化させる(例えば、X軸方向及びZ軸方向の両方を変化させる)ことを含むとき、平板が撮像される。
図4に示すように、FFL140の位置310は、例えばX磁石及びZ磁石を用いて、遅く変化され得る。加えて、励起磁石(FFLの位置310をX軸又はZ軸方向に高速に移動させる)は、FFL140により撮像される容積にわずかな厚みを加えることもできる。
【0032】
FFL140の軌道320の特性は、励起磁場ベクトルによって変化し得る。例えば、Z中の励起場は、X軸方向に高速にシフトされたとき、視野をカバーし得る。同様に、X軸方向の励起場は、Z軸方向に高速に移動された場合、視野全体をカバーし得る。いくつかの実施例では、励起場はX軸及びZ軸方向の両方で発生され得る。
【0033】
図4は、本開示の特定の態様に係る、画像420を生成するための、サンプル410の2次元的スキャンを示す図である。本明細書でFFL140中のトレーサ粒子により放出された電磁放射から検出された信号を指す「投影」は、サンプル410中のトレーサ粒子の分布の画像420を再構成するために用いられ得る。FFL140の各位置310において、FFL140中のトレーサ粒子の信号に基づいて投影が生成される。
【0034】
図4の一番上の部分に示すように、いくつかの実施例では、FFL140はサンプル410にわたって、ある軸(例えばX軸)方向に高速に、かつ第2軸(例えばZ軸)方向には遅く移動され得る。他の実施例では、スパイラル(例えばFFL140はX-Z平面状をらせん形のパターンで移動される)及びデカルト罫線(例えばFFL140はX軸方向にのみ移動され、その後Z軸に沿って短い距離を移動され、またX軸に沿って逆方向に移動され、というのを罫線様のパターンが形成されるまで繰り返す)のスキャン軌道があり得る。十分な数の投影により、(図に示すような2D、又は他の実施例では3Dの)画像420が、X空間再構成、トモグラフィ法などにより再構成され得る。
【0035】
投影の数は、所望のオーバーサンプリング又はアンダーサンプリングのレベル、磁場勾配の強度、及び用いられるトレーサ粒子に依存して、疎なデータセットに対する数個から、50個又は500個以上にまで及び得る。他の実施例では、投影はサンプル410の機械的な移動を用いても取得され得る。
【0036】
図5は、本開示の特定の態様に係る単寿雲霞されたMPIシステムを示す図である。
【0037】
図5に示す通り、MPIシステム500は、2つの磁石510,520を含み得る。例えば、磁石510,520が逆方向の電流を有する時、それらは
図1の例と同様のFFL140を含む四極磁場を生成し得る。FFL140は、FFL140の長さ方向に伸びてかつ、FFL140のFFL中心550を通過する、FFL軸540を有する。
図5に示す設計例では、磁石は第1磁石510及び第2磁石520を含む。しかしながら本開示は、必要な磁場及びフィールドフリー線は任意の数及び種類の磁石によって生成されたものであってよいことを想定する。例えば、磁石は複数の磁石(2個、3個、4個等)を組み込んでもよいし、それらの磁石は例えば永久磁石、電流を流すコイル又は電磁石、磁束帰還路を有する電磁石、又はそれらの磁石の任意の組み合わせであってよい。実は磁石は、フィールドフリー線を生成可能である限り、単一の(例えば、ハルバッハ円筒等の)磁石であってもよい。本明細書における2個のメイン磁石を含む磁石の設計例の議論は、限定を意図するものではない。
【0038】
MPIシステム500のいくつかの実施例は、2つ以上の高出力水冷電磁石と、2つのシム磁石(ただし2つより多い又は少ない数の磁石が用いられ得る)とを含み得る。シム磁石は、例えばFFL140の短縮のために、磁場を反転させることができる。
【0039】
他の実施例において、磁石510,520は楕円形であり得る。本明細書で用いられるに際し、「楕円形」の用語は、磁石がある方向において他方向よりも長い(即ち円形のコイルではない)という形状を指す。このような楕円形の構成の長さは、FFL140の長さの決定に部分的に寄与する。
【0040】
本明細書で説明されるMPIシステムは、励起源、RFディテクタ及び、本明細書で説明される任意の方法に係る投影を取得するように構成されたコントロールシステムを含み得る。励起源は、例えば1つ以上のコイル又は送信コイル、アンテナ、FFL140にRFを供給する導波管などの、任意の種類のRFジェネレータを含み得る。コントロールシステムは、磁石、機械的に回転可能な磁石610のための回転ドライバ、RFレシーバ又は受信コイルなどの動作を制御するように構成されたハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせを含み得る。コントロールシステムの要素のいずれも、本明細書に説明される方法、機械的動作及びソフトウェア動作を実現するために協働するように構成され得る。コントロールシステムは、本明細書で説明されるパルスシーケンスを実行することもできる。
【0041】
図5は、第1及び第2磁石510,520に組み込まれた磁束帰還路530も示す。本開示で用いられるに際し「磁束帰還路」は、磁束を形成する材料成分の任意の配置を指す。磁束帰還路530は、磁束を伝え、誘導し、形成し、又は集中させるために、例えば鉄(又は他の物質と比較して、又は空気と比較して低いリラクタンスを有する他の材料)等の強磁性の材料を含んでよい。磁束帰還路530は、例えば、2つの個別の半分又は、積み重ねが可能か、そうでなくても組み立てて磁束帰還路530を形成可能な複数の薄板の層で製造され得る。
【0042】
図5の模式図は、磁石を囲む磁束帰還路530における四角形の隙間も示す。この隙間は、磁束帰還路530を通ってフィールドフリー領域にアクセスするのを可能にするために、イメージング領域(又は穴)に位置合わせされ得る。
【0043】
図6は、本開示の特定の態様に係るMPIシステム600を示す図である。
【0044】
回転するMPIシステム600は、サンプル410を撮像するためのFFL140を含む磁場を生成することが可能な機械的に回転可能な磁石610を含む。しかしながら、機械的に回転可能な磁石610により、投影は、機械的回転を通して異なる角度から取得され得る。
【0045】
動かないMPIシステムと同様、画像再構成システムは、2次元画像又は3次元画像を生成するように構成され得る。画像再構築システムは、異なる角度から取得された投影に基づいて全3次元において解像された画像を生成し得る。しかしながら、機械的に回転可能な磁石610により、複数の角度から投影が取得されるため、動かないMPIシステムによるデータ取得及び再構成とは異なるデータ取得及び再構成の方法が用いられ得る。上述のMPI動作の多くは、機械的に回転可能な磁石610によっても実行可能である。例えば、少なくとも機械的に回転可能な磁石610(例えばZ磁石、X磁石、シム磁石又は励起磁石)によって、フィールドフリー線を位置決めすることができる。
【0046】
MPIシステム600はMPIシステム500と類似し、しかしながらMPIシステム600は回転軸620について回転するように構成された(機械的に回転可能な磁石610といった)要素を含む。
図6に示す通り、MPIシステム600は、撮像される物体を受けることが可能な穴630も含む。FFL140は穴630(ここではZ軸に沿う)に垂直に(ここではY軸に沿って)のび、FFL140は追加の磁場の適用により任意の方向にシフト可能である。いくつかの実施例では、MPIシステム600は穴630の回転軸620について回転可能である。
【0047】
本開示は、MPIシステム600のいくつかのコンポーネントが、1つ以上の回転軸について回転可能であることを想定している。本開示が「MPIシステム600」を参照する場合、これは回転可能なMPIシステム600の、回転軸620について回転するように構築された任意の一部分を指し、開示される方法を実現するためにMPIシステム600の全てのコンポーネントが回転するように構成されている(又は回転せねばならない)ことを示唆するものではない。回転するように構成され得るMPIシステムのコンポーネントは、例えば、磁石(例えばメイン磁石、シフティング磁石、シム磁石、励起磁石)のいくつか又は全て、受動的シム、磁束帰還路、ディテクタ、シールドケーブル、ガントリー又はこれらのための他のサポートシステム、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0048】
本明細書で用いられるに際し、「回転軸620」は、MPIシステム600の任意の部分がその軸について回転するように構成された任意の軸を指す。例えば、
図3に示すように、第1磁石510及び第2磁石520、並びに磁束帰還路530は、回転軸620について回転可能であるとして示される。この場合回転軸620は、穴630の長さ方向の中心に沿って伸びるz軸である。他の実施例では、MPIシステム600は、他の軸についても回転可能である。軸は
図6に示す直交するX、Y又はZ軸であっても、そうでなくともよい。MPIシステム600が回転軸620(例えばZ軸)について回転するとき、座標系(実験室系ではなく、MPIシステム600の基準系と捉えるべき)が対応して回転する(例えば、X軸及びY軸はMPIシステム600とともに回転する)ことは理解される。
【0049】
ある実施例では、ガントリーは直接ドライブモータにより直接駆動され得る。このアプローチにより、磁石の位置310の正確な制御が可能となる。しかしながら、直接駆動モータの選択にはコストがかかり、かつ導管及び通導電体のためにガントリーに空いた大きなアクセスホールを必要とする時、特殊なモータの使用が求められ得る。
【0050】
図7は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムの直接駆動のためのピニオン及びギアを示す図である。
図7の上段は、磁石ベアリング部品のアタッチメントを示す。
図7の中段は、反動調整レバーアームに搭載されたピニオン、ギアボックス及びサーボモータを示す。
図7の下段は、フレームに搭載されたモータ及びピニオンの部品を示す。いくつかの実施例では、MPIシステム600を回転させるために、ギア歯を駆動するピニオンのアプローチが用いられ得る。ピニオンは直接駆動モータにより、又はモータに結合された高精度ギアボックスにより駆動され得る。ピニオンを用いるとき、ピニオンのメインギアへの反動が調整され得る。この調整は、レバーアームのひねり調整の使用を通じて実現される。
【0051】
MPIシステム600を連続に回転させるとき、磁石はベルトを用いても回転させることが可能である。
【0052】
磁石を回転させるための別のアプローチは、油圧ピストンを用いることである。油圧ピストンは、磁石を移動させるのに効率的だが、180度又は360度の回転を可能にするためには、複雑な接続を要求し得る。
【0053】
本開示は、MPIシステムの回転のために回転するガントリー部品を作るコンポーネントを含める又は除外するのに複数の方法を想定する。ガントリー部品を回転させる目的はFFL140の回転であるため、磁石は典型的にはガントリーに搭載され、ガントリーとともに回転する。いくつかの実施例では、RFシールドシステム及びRF受信サブシステムといった他のコンポーネントが回転するガントリーに付属し、他の設計ではRFシールド及びRF受信サブシステムは移動しないままである。
【0054】
図8は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための端点軸受支持を示す図である。水平な穴のMPIシステムを支持するためのひとつのアプローチは、単一の端点から磁石を支えるものである。
図8に示すように、MPIシステム600を支持ガントリー820に操作可能に結合する端点ベアリング部品810があり得る。この実施例では、穴630及び回転軸は、端点ベアリング部品810に対してそれらの中心に合わせられる。
【0055】
図9は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための中心軸受支持を示す図である。いくつかの実施例では、磁石は
図9に示す通り中心ベアリング部品910にも挿入されていてよい。中心ベアリング部品910はMPIシステム600の重心の近くにあってよい。
【0056】
図10は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための3点軸受け支持を示す側面図である。
図11は3点軸受け支持を示す正面図である。
【0057】
MPIシステム600は、第1ベアリング部品1010の第1端点で支えられ、MPIシステムの反対側の第2端点を支えるための2つの第2ベアリング部品1020により安定化され得る。ベアリングは、磁石の中心線が回転軸でもあることを補償するように位置合わせされたプレートに対して押しつけてよい。これは、磁石ガントリーを生産した後、ガントリーを回転させてプレートを磁石に取り付けることで実現され得る。好ましくは、プレートは、プレートの回転軸との位置合わせの精度を保証するために、個別に位置合わせ及び取り付けされることが可能である。代替的にプレートは、外径と大きいベアリングの回転軸とが同心であることを保証するために、回転するガントリーを生産した後に、所定の位置に機械作製され得る。磁石はきわめて重いため、ガントリー及び支持フレームが曲がり、2つの小さいベアリング部品が全回転を通じて円板と常に接触し続けることを保証し得る。
【0058】
磁石のフレームへの搭載に続いて、小さいベアリング部品は円板と接触するように調整され得る。ある設計の例では、自己位置合わせベアリングといった、角度ずれを許容するベアリングを用いて、接触部が線形となるようにしてもよい。ベアリングは荷重の大部分を支持するため、接触部が改善されることで、金属プレートの接触面が変形して歪むことを防ぐことができる。
【0059】
大きいベアリングは、装置の構成及び運送の間の安全性のため、磁石の全重量を支えるように設計されてよい。2つの小さいベアリングは、運送の間の振動及び衝撃により円板の縁に傷がつくのを防ぐため、運送の間は取り外されるよう設計されてもよい。十分な強度の傷は、磁石の高解像度の画像を生成する能力に悪影響を与え得る。磁石の安全性を保証するため、回転板及びガントリーの後部に輸送金具が追加されて、3つの装置の軸及び回転軸方向の動きを制限するようにしてもよい。
【0060】
回転する電磁石の設計の例は、
図12に示すように、両端をベアリング部品で支えられた磁石である。磁石の正面において、磁石及びRFシールドを含むガントリーは、円板と組み合わさった2つのさらに小さいベアリングにより支持される。磁石の背面において、ガントリーは単一の、中空の穴630を有する大きいベアリングにより支持される。ガントリーに搭載されたRFシールドボックスは、中空の穴630を通って伸びる。磁石の背面には、ケーブル管理部品がある。ベアリング部品は上下に調整できる。
【0061】
図12は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための2つの開穴630ベアリング部品を示す図である。この代替の実施例は、
図12に示すように、水平な穴の磁石のための2つの大きいベアリング部品を含む。この設計は、1つの通常のベアリング(例えば4点接触のボールベアリング)と、自己位置合わせベアリングといった角度ずれを調整可能なベアリングとの使用を含む。
【0062】
図13は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムのための、複数の小さいベアリング部品を示す図である。さらに別の実施例では、磁石は3つ又は4つの小さいベアリング接触面により支持されてよい。この例は
図5に示される。磁石がベアリングから外れるのを防ぐため、任意の数(例えば3つ又は4つ)のV字溝ローラ及びマッチングプレートが磁石の上に用いられてよい。
【0063】
図14は、本開示の特定の態様に係る垂直穴630のMPIシステムのための単一ベアリングの部品を示す図である。
【0064】
いくつかの磁石設計において、磁石は垂直サンプル410の周囲を回転できることが望ましい。これは、ヒトの胸のスキャン(上からのアクセス)か、又はヒトの脳のスキャン(磁石の下からの、例えば座った位置310の患者)を含む、2つの特殊なスキャン概念のための場合であり得る。これらの場合では、磁石のかなりの重量が、ベアリング部品の上で支えられる。垂直穴磁石のための単一ベアリング部品1410の例が
図14に示される。
【0065】
磁石部品の回転位置の正確な制御を保証するために最善を尽くしても、ガントリーの位置の直接の計測結果及びフィードバックを提供するために、ガントリー自身に追加のエンコーダが追加されてよい。ガントリーの位置のためのエンコーダデバイスは、ガントリー自身の上に印刷されたエンコーダマーク、又は円板と組み合わされたロータリーエンコーダを用いたガントリーの位置のモニタリングを含む。
【0066】
図15は、本開示の特定の態様に係るメカニカルストップを示す図である。
【0067】
磁石は好ましくは、磁石がサポート装置(アンプ、水冷など)と有線接続を有するとき、安全のためメカニカルストップ1510を含む。ハードストップは磁石が360度回転可能なままであるように設計される。ハードストップは、ガントリーが360度を超えて回転した後に、ガントリー上のポストに当たる。従ってガントリーは360度の回転が可能である。ストップは、メカニカルストップを利用した速いストップの間、システムのエネルギーを安全に吸収する衝撃吸収剤を組み込んでいてもよい。
【0068】
図16は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおける制限された回転の配線を示す図である。ここでは、ケーブルスプールを用いて制限された回転角度を実現することが選択される。制限回転システムにおいて目指すのは、ワイヤ及びホースを折れ目又は結び目なく安全にかつ繰り返し巻き取れることである。これは、ケーブルキャリア(例えばIGUS社)にワイヤ及びホースを搭載し、スプール上に巻き付けることで行われ得る。設計例を
図16に示す。この設計例では、ケーブル及びホースは、高い柔軟性を評価されたものであり得る。
図16に示す設計例は、ケブラー(登録商標)コーティングを伴う波紋つきテフロン加工の、繰り返し曲げるのに適した水ホースを指定する。受信した信号を伝える低ノイズの電気ケーブルは、低摩擦電気ノイズの線を用いて構成されることの利益を受けてよい。ひとたび回転の端点に達すると、回転の方向は反転させることができる。
【0069】
制限範囲回転システム(例えば360度)のためのケーブル管理システムは、ケーブルが磁石及びガントリーシステムの他のコンポーネントと結合されたケーブルが、ベアリングの中心及び回転するMPIシステム600のある端点の外を通るルートを通るものであり得る。ケーブルはその後、回転するMPIシステム600が回転するのに従ってケーブルを巻き取るのに適応する程度の柔軟性を有する巻き取り可能トラックに沿って誘導される。その後ケーブルは、固定されたインターフェースパネルと結合される。
【0070】
ガントリーの連続的な回転と関連するサブシステムを実現するために、スリップリングが実装されてよい。しかしながら、スリップリングはMPIシステム600にノイズを誘発するため、SNRを妥協することには注意せねばならない。考慮される特定の設計の選択は、ブラシ付きのスリップリング、誘導性及び容量性のスリップリング、液体金属のスリップリング、光ファイバースリップリング、及び水スリップリングを含む。例えば、高出力低周波の磁石電流は、ブラシ付きスリップリングとよくマッチする。プリアンプの後の低出力信号は、コンソールに送信するのがより難しく、従って小さなノイズを加えながらも信号を戻すための選択肢が複数存在する。これらは、低ノイズの液体金属スリップリング(例えばMercotac社)、RFアップコンバート及び、容量性スリップリング又は誘導性スリップリングの使用、並びにガントリーにおけるデジタル化及び光又はデジタルスリップリングを通じたコンソールへの送信を含む。
【0071】
注意点は、冷却液(例えば水、フロリナート(登録商標)、ガルデン(登録商標)又は油)も、磁石及びRFサブシステムに供給されなければならないということである。十分な冷却液を供給することが可能な既製品のスリップリング(例えばDynamic Sealing Technologies社)は存在する。あるシステムの例では、典型的な回転速度は毎秒約0.5~1回転であり、これにより撮像部は、血液かん流を時間的に解像することができる。
【0072】
磁石が連続に回転又は大きな角度(例えば360度)で回転し得る実施形態では、システムを通るケーブル及びホースの配線は複雑になり得る。大きなベアリングシステムに対して、ホース及び電線は好ましくは、ベアリングの中心を通って配線される。この配線は、磁石が、磁石フレームと結びつけるワイヤなしに、360度回転可能であるか又は連続的に回転することが好ましい。ベアリング1010の中心を通ってケーブルを配線して実装され得る設計例は、
図10に示される。
【0073】
図17は、本開示の特定の態様に係るラジオ周波数(RF)シールド1710を示す図である。いくつかの実施例では、穴630は、1つ以上のRF送信コイル1720と、1つ以上のRF受信コイル1730とを含む。ラジオ周波数のRFシールド1710は、静電的に、かつ穴630を外部環境から磁気的に孤立させるように実装され得る。自己シールドのMPIシステムに対して、(例えば、大きいシールド室又はシールド障壁により囲まれていない)、RFシールド1710が組み込まれ得る。ある設計例では、RFシールド1710は、磁石の正面から背面まで貫通して伸びている。RFシールド1710の正面はRFレシーバを担持し、RFシールド1710の背面は、例えばハイパス、ローパス又は送信RFの帯域パスのフィルタを提供するRF送信フィルタを含む。
【0074】
いくつかの実施例では、RFシールド1710は、MPIシステムとともに回転するように搭載されていてよい。RFシールド1710の任意の部分がMPIシステムに搭載され得ることが想定される。例えば、RFシールド1710は、RFシールド1710(穴630の一部又は全部を囲う)、RF送信シールド1740(RF送信フィルタをシールドする)、又はRF受信シールド1750(RF受信フィルタ及びプリアンプをシールドする)を含み得る。上記のRFシールドの任意の組み合わせが実装され得る。同様に、上記のRFシールドの任意の組み合わせがMPIシステムとともに回転するように搭載され、かつRFシールドの他の部分は固定されたままで回転しなくてもよい。
【0075】
回転するMPIシステム600により、機械的に回転可能な磁石610を回転させている間、投影を取得できる。いくつかの実施例では、投影の取得は、例えば、機械的に回転可能な磁石610を様々な角度のフィールドフリー線に向けるように回転させることと、FFL140を複数の角度の複数の位置に位置決めすることと、励起源及びRFディテクタを、フィールドフリー線内のサンプル410中の磁気粒子からの信号を取得するよう制御することとを含む。
【0076】
磁石が向けられ得る角度は、MPIシステム600が回転可能な任意の数及び値であってよい。いくつかの実施例では、例えば、多数の角度を利用することが望まれるか又は必要である場合に、角度は、MPIシステム600の回転の360度スパンに広がる例えば50個、100個、200個又は500個の角度を含み得る。角度の数及び値は、例えば、予め決められているか(例えばコンピュータデータファイルに保存されている)、ユーザインターフェースでユーザにより選択されるか、特定の解像度の特定の画像を取得するために望まれる角度の集合を提供するためにコントロールシステムにより計算される等してよい。サンプル410をイメージングするためのアプローチに依存して、イメージングは異なるスキャン又は回転モードで実行され得る。サンプル410の範囲を提供するいくつかのスキャンモードの例が、以下で説明される。
【0077】
図18は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおけるステップスキャンイメージングの例を示す模式図である。ステップスキャンのアプローチは、機械的に回転可能な磁石610をある角度に固定し、その後FFLを複数の異なる位置に位置づけて、MPIシステムを回転させることで複数の角度の投影を取得する。このプロセスはその後、磁石を別の角度に回転させ、同様に投影を取得して、と繰り返される。
【0078】
図19は本開示の特定の態様に係るMPIシステム600におけるステップスキャンイメージングに対するパルスシーケンスの例を示す図である。パルスシーケンスは、
図2に示すうものと類似だが、一番下のプロットは、時間によるMPIシステム600の角度の推移を示す。図示の通り、MPIシステムは第1角度にあり、投影が取得され、その後追加の投影が取得される次の角度へとMPIシステムが回転される間、イメージングは中断または一時停止する。
【0079】
FFL140の位置の例は、
図19の右側に示される。上述の通り、システムの例のX-Z平面は、機械的に回転可能な磁石610により、Z軸のまわりを回転する。その結果、FFL140の位置は固定の場合に対して示されるものと類似となる。しかしながら、各角度における投影の取得は、ある画像再構成システムが投影に基づいて、3次元画像を含む画像を生成するのに利用可能なデータを生成することができる。
【0080】
いくつかの実施例では、画像再構成システムは、固定の角度から取得された複数の投影画像から投影画像を作成するように構成されていてもよい。
【0081】
図20は、本開示の特定の態様に係る連続な回転を利用するMPIシステムの例を示す模式図である。
図20に示すように、いくつかの実施例では、FFL140を異なる位置に位置づけすることは、機械的に回転可能な磁石610が回転している間に起こり得る。
【0082】
連続回転の実施例は、まだMPIシステムが回転して投影を取得している間の、例えば加速又は減速など、回転速度の変化を含み得る。
【0083】
図21は、本開示の特定の態様に係る連続回転イメージングに対するパルスシーケンスを示す図である。このパルスシーケンスは
図19に示すパルスシーケンスと類似だが、角度がある値から次の値へと段階的に変化するかわりに、角度が連続的に変化している。
【0084】
図21の右側のプロットは、FFLの座標がX方向にシフトされ、角度が連続的に回転されるに際しての、FFLのあるシーケンスの表現(例えば、X-Y平面における線のように単純化される)を示す。線のシリーズは、左から右の反転点2120まで掃いたFFL(実線2110で示す)と、右から左へと掃いたFFL(点線2130で示す)を表す。左から右へのスウィープだけを考慮すると、実線2110は、垂直(例えばY軸に沿う)から、反転点2120において垂直から約10度の角度まで、徐々に回転していることがわかる。ここで、FFL140はMPIシステム600の回転により回転している。反転点2120では、スキャンの方向が変わり、FFL140は右から左へとスキャンされる。しかしながら、FFL140の回転はFFL140の角度の変更を続け、右から左へのスキャンの終端では、FFL140は垂直から約20度の角度となっている。再び、FFl140の各位置及び角度において、投影が取得されて画像の再構成に用いられ得る。結果として、これはスライスといった2次元画像の再構成のための投影の取得を可能にする。FFL140の位置又は形が回転軸620方向にいくらか伸びているとき、3次元画像(例えば平板)も生成され得る。
【0085】
MPIシステムが連続回転のために構成されていない間の連続イメージングの実施形態のために、本開示は、イメージングは磁石の回転が複数の投影の取得の間に回転方向を反転させることを含むときに実行され得るということを想定する。
図22は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおける往復イメージングの例を示す模式図である。先の実施例のように、磁石が回転している間に、フィールドフリー線は異なる複数の角度に動かされ、これらの位置を通って移動する。ある点において、磁石の回転が反転し得る。反転は、約360度の回転の後に起こってよい。
【0086】
図23は、本開示の特定の態様に係るMPIシステムにおけるイメージングを示す模式図である。ある実施例では、スパイラルイメージングは先述の、投影の取得の間の磁石の回転を、コントロールシステムが、磁石の回転の間、磁石の穴を通ってサンプルが動くようにさらに構成されることと組み合わせる。既に議論の通り、投影が取得されてフルセットが取得された後で、コントロールシステムは穴の軸に沿ってサンプルを動かし、投影の取得を繰り返すことができることも想定されている。ここで説明されるデータ取得方法のいずれによっても、画像再構成システムは3次元又は容積画像を生成するように構成されてよい。
【0087】
図24の模式図に示す別の実施例では、前に説明された投影取得中の磁石の回転は、穴の軸に沿ったFFLの変換(システムの一部の物理的な移動ではなく、磁石自身により影響されたもの)を可能にするコントロールシステムの構成と組み合わせられ得る。このFFLの変換は、磁石の回転の間、又は(ステップ式では)回転のフルデータセットが取得された後に実行され得る。このような実施例で取得されたデータは、画像再構成システムにより、3次元又は容積画像を作成するために利用され得る。
【0088】
薄いスライス視野にわたっての繰り返しの高速イメージングを可能にする実施形態の例では、磁石は投影が取得されている間に回転され、フィールドフリー線の位置は1方向にのみ変化する。例えば、FFL位置はX軸方向にのみ変化してよく、励起源はFFLをX軸方向にのみ励起又は移動させられる。このデータ取得の方法は、高速灌流又は、対象の薄いスライスの関数型MPIイメージングのために特に有用であり得る。
【0089】
別の実施例では、磁石は投影が取得されている間に回転され、フィールドフリー線の位置は2つの方向に変化する。例えば、FFL位置はX軸とZ軸の両方に変化し得るし、励起源はFFLをX軸とY軸の両方の方向に励起又は移動させ得る。
【0090】
ある代替の実施形態において、メイン磁石の周囲の通常の磁束分布に逆作用し、すなわちFFLを異なる形、例えばフィールドフリー点の近傍、若しくは楕円形のフィールドフリー領域などの異なる形に再形成するために、シム磁石が用いられ得る。磁石が回転している間の投影の取得のための(たとえば楕円球などの)異なる形のFFLの利用は、有益な平板タイプのイメージングを可能にする。
【0091】
本明細書で開示されるに際し、本明細書で説明された方法及びシステムは、多数の種類の2次元又は3次元イメージングを実施するために組み合わせられ得ることが想定されている。本明細書に示される単純化された例は、開示される特徴の任意の組み合わせの限定又は排除を意図するものではない。
【0092】
本明細書に説明された要旨の1つ以上の態様又は特徴は、デジタル電子回路、組み込み回路、空間的に設計された特定用途向け組み込み回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/又はそれらの組み合わせにより実現され得る。これらの様々な態様又は特徴は、データ及び命令を受信しデータ及び命令を送信するためのストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス及び少なくとも1つの出力デバイスと接続された少なくとも1つの、空間的又は汎用の、プログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム状で実行可能又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムによる実装を含み得る。プログラマブルシステム又は計算システムは、クライアント及びサーバを含み得る。クライアント及びサーバは一般に互いから遠隔であり、典型的には遠隔通信ネットワークを通じて相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれの対応するコンピュータ上で実行されたコンピュータプログラム及び互いに対するクライアント-サーバ関係を有することにより発生する。
【0093】
これらのコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント又はコードとも呼ばれ、プログラマブルプロセッサに対するマシン命令を含み、高レベル手続型言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語及び/又はアセンブリ/マシン言語により実装され得る。本明細書で用いるに際し、「マシン可読媒体」(又は「コンピュータ可読媒体」)の用語は、例えば磁気ディスク、光ディスク得、メモリ及びプログラマブル論理デバイス(PLD)等の、マシン命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するのに用いられるコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイスを指し、マシン可読信号としてマシン命令を受信するマシン可読媒体を含む。「マシン可読信号」(又は「コンピュータ可読信号」)の用語は、プログラマブルプロセッサにマシン命令及び/又はデータを提供するのに用いられる任意の信号を指す。マシン可読媒体は、例えば非一時的ソリッドステートメモリ又は磁気ハードドライブ若しくは等価な任意の記憶媒体がそうであるように、そのようなマシン命令を非一時的に格納することができる。マシン可読媒体は代替又は追加で、例えばプロセッサキャッシュ又は1つ以上の物理プロセッサコアと関係づけられた他のランダムアクセスメモリがそうであるように、一時的なやり方でそういったマシン命令を格納することができる。
【0094】
ユーザとのインタラクションを提供するために、本明細書に説明される要旨の1つ以上の態様又は特徴は、例えばカソードレイチューブ(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)モニタ等の、情報をユーザに表示するための表示デバイスと、ユーザがコンピュータに入力を提供するための、キーボードと、例えばマウス又はトラックボール等といったポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実装され得る。ユーザとのインタラクションを提供するために、他の種類のデバイスも用いられ得る。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば視覚フィードバックといった感覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックの任意の形であってよい;ユーザからの入力は、音、声、又は接触の入力を含む任意の形で受信されてよいが、これらに限定されない。他の可能な入力デバイスは、タッチスクリーン、又は、シングルポイント又はマルチポイントの抵抗式又は静電容量式トラックパッドといった他の接触感知デバイス、音声認識ハードウェア及びソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、デジタルイメージキャプチャデバイス、及び関係づけられた翻訳ソフトウェアなどを含むが、これらに限定されない。
【0095】
上記の説明及び特許請求の範囲において、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」に類する表現は、要素又は特徴の接続的なリストにより追随されて現れ得る。「及び/又は」の用語も、2つ以上の要素又は特徴のリストにおいても現れ得る。これらの表現は、前後の文脈で暗に又は明に言及されているのでない限り、記載された要素又は特徴のいずれかを個別に意味するか、又は、列挙された要素又は特徴のいずれか1つを、他の列挙された要素又は特徴のいずれか1つと組み合わせたものを意味することを意図するものである。例えば、「A及びBの少なくとも1つ」、「A及びBのうち1つ以上」及び「A及び/又はB」の表現はいずれも、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味する。同様の解釈は、3つ以上のものを含むリストにおいても同様に意図されている。例えば、「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうち1つ以上」及び「A、B及び/又はC」の表現はいずれも、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、並びに、A~Cのすべて」を意味することが意図されている。上述及び特許請求の範囲における「~に基づいて」の表現は、「少なくとも部分的に~に基づいて」を意味し、列挙されていない特徴又は要素も許容するものである。
【0096】
本明細書で説明された要旨は、所望される配置によってシステム、装置、方法、コンピュータプログラム及び/又は物品の上で実施され得る。添付の図面で示され、及び/又は本明細書で説明された方法又はロジックフローは、所望の結果を達成するために、必ずしも示された順序、又は手続順序を必要としない。先述の説明で記載された実施例は、本明細書で説明された要旨と一致する全ての実施例を表現するものではなく、それらは説明された要旨に関連する態様と一致するいくつかの例に過ぎない。いくつかの変形は上記で詳細に説明されたが、他の変更又は追加も可能である。特に、本明細書に記載されたものに加え、さらなる特徴及び/又は変形が提供され得る。上述された実施例は、開示された要素の様々な組み合わせ及び部分的組み合わせ、及び/又は上で示された、いくつかのさらなる特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせが対象となり得る。さらに、上で説明された利点は、発行されるいかなる特許請求の範囲の応用をも、いずれか又は全ての利点を達成するプロセス又は構造に限定することを意図しない。
【0097】
加えて、節の見出しは、本開示から発行し得るいかなる特許請求の範囲に定められる単一又は複数の発明をも、限定又は特徴付け得ない。特に、かつ例として、見出しが「技術分野」を参照しても、そういった特許請求の範囲は、いわゆる技術分野を説明するために本見出しの元で選択された言語により限定されるべきではない。さらに、「技術的背景」における技術の説明は、当該技術が本開示のいずれかの単一又は複数の発明に対する先行技術であることの自認として構成されるものではない。「発明の概要」も、主張する特許請求の範囲に記載された単一又は複数の発明の特徴として認識されるものではない。さらに、本開示への一般の参照又は単数形の「発明」という語の使用は、下で記載される特許請求の範囲におけるいかなる限定をも示唆するものではない。複数の発明が、本開示により主張される複数の特許請求の範囲の限定により記載され得る。またそれに応じて、そういった複数の特許請求の範囲が、それにより保護される単一若しくは複数の発明及びそれらの均等を定める。