(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付ける方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/06 20060101AFI20220630BHJP
B60C 5/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B29D30/06
B60C5/00 F
(21)【出願番号】P 2019532050
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2017058218
(87)【国際公開番号】W WO2018116209
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】102016000130514
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ボスカイーノ,イバン ギルド
(72)【発明者】
【氏名】マンチーニ,ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】プッピ,クリスティアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァニッリャ,エリカ
【審査官】橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0225417(US,A1)
【文献】国際公開第2016/088014(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/06
30/00
B60C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音低減要素(100)を車両ホイール用のタイヤ(500)に貼り付けるための方法であって、前記タイヤ(500)は、少なくとも1つのサービス領域(250)を含む、所定の円周長さを有する半径方向内側面(501)を有し、前記方法は、
-前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の前記少なくとも1つのサービス領域(250)の周方向の位置を求めることと、
-前記少なくとも1つのサービス領域(250)の前記周方向の位置に基づいて、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の少なくとも1つのターゲット領域(150)の周方向の位置を求めることと、
-少なくとも1つの騒音低減要素(100)を前記少なくとも1つのターゲット領域(150)に貼り付けることと、
を含み、
前記少なくとも1つのサービス領域(250)の前記周方向の位置を求めることは、
-所定の基準位置から始めて、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)を周方向に検査することと、
-前記基準位置に対する前記少なくとも1つのサービス領域(250)の角度位置を検出することと、
-前記角度位置と、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の前記円周長さとに基づいて、前記少なくとも1つのサービス領域(250)の前記周方向の位置を求めることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)を検査することは、
-センサを用いて、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の少なくとも1つの円周部分を解析することと、
-前記基準位置から始めて、前記タイヤ(500)の回転軸に平行な、又は合致する基準軸(X)のまわりに前記センサを移動させることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのサービス領域(250)の前記角度位置を検出することは、
-前記センサが、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)上で、前記少なくとも1つのサービス領域(250)に設けられたコントラスト要素(210)を検出したときに、前記少なくとも1つのサービス領域(250)の第1の画像を取得することと、
-前記第1の画像が取得されたときに、前記センサが前記基準位置に対して移動した周方向距離を求めることと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのサービス領域(250)の前記周方向の位置は、前記周方向距離に基づいて求められる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コントラスト要素(210)は、前記少なくとも1つのサービス領域(250)で前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)に取り除き可能に付着したフィルム(200)上に画定される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルム(200)は、主要部分(200a)と、前記主要部分(200a)に隣接し、周方向の第1の長さ及び軸方向の第2の長さを有する検出部分(200b)とを含み、前記コントラスト要素(210)は、前記検出部分(200b)上に画定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのサービス領域(250)の前記周方向の位置を求める前に、前記タイヤ(500)は、送り方向(A)に沿って移動し、前記フィルム(200)は、前記検出部分(200b)が、前記送り方向(A)に関して前記主要部分(200a)の上流に、又は前記送り方向(A)に関して前記主要部分(200a)の下流に、又は前記送り方向(A)に関して前記主要部分(200a)に平行に配置されるように、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)に付着する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の画像を取得した後に前記センサによって取得した第2の画像と前記第1の画像とを比較することで、前記送り方向(A)に関して、前記主要部分(200a)に対する前記検出部分(200b)の位置を求めることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのターゲット領域(150)の前記周方向の位置を求めることは、前記周方向距離に応じた第1の線形長さを計算することを含む、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の線形長さを計算することは、前記周方向距離に第2の線形長さを加算すること、又は前記周方向距離から第2の線形長さを減ずることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記センサは第1のカメラ(10)である、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)は、少なくとも2つのサービス領域(250)を含み、前記方法は、
-前記少なくとも2つのサービス領域(250)の前記周方向の位置を求めることと、
-前記少なくとも2つのサービス領域(250)の間の周方向距離を計算することと、
-前記少なくとも2つのサービス領域(250)の前記周方向の位置と、前記少なくとも2つのサービス領域(250)の間の前記周方向距離とに基づいて、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の前記少なくとも1つのターゲット領域(150)の前記周方向の位置を求めることと、
-少なくとも1つの騒音低減要素(100)を前記少なくとも1つのターゲット領域(150)に貼り付けることと、
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記騒音低減要素(100)は、周方向の所定の長さを有し、前記方法は、前記周方向の所定の長さに応じて前記少なくとも2つのサービス領域(250)の間に貼り付けることができる騒音低減要素(100)の数量を求めることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
騒音低減要素(100)を車両ホイール用のタイヤ(500)に貼り付けるための装置(1)であって、前記タイヤ(500)は、少なくとも1つのサービス領域(250)を含む、所定の円周長さを有する半径方向内側面(501)を有し、前記装置(1)は、
-前記タイヤ(500)を支持するように構成された支持装置(700)と、
-前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の少なくとも1つのサービス領域(250)を検出するように構成された検出装置(5)と、
-少なくとも1つの騒音低減要素(100)を取り上げ、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)に画定された少なくとも1つのターゲット領域(150)に前記少なくとも1つの騒音低減要素(100)を配置するように構成された把持部材(30)と、
-前記検出装置(5)に動作可能に接続され、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の前記少なくとも1つのサービス領域(250)の周方向の位置を求め、前記少なくとも1つのサービス領域(250)の前記周方向の位置と、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の前記所定の円周長さとに基づいて、前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の前記少なくとも1つのターゲット領域(150)の周方向の位置を求めるように構成された制御ユニット(50)と、
を含む、装置(1)。
【請求項15】
前記支持装置(700)は、所定の送り方向(A)に沿って移動可能である、請求項14に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの騒音低減要素(100)を送るように構成された送り装置(650)を含み、前記送り装置(650)は、前記所定の送り方向(A)に平行な方向(A’)に沿って移動可能である、請求項15に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記検出装置(5)は、前記支持装置(700)より上に配置される、請求項14~16のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項18】
前記検出装置(5)は、前記タイヤ(500)の回転軸に平行な、又は合致する方向(x)に沿って移動可能で、且つ前記タイヤ(500)の前記回転軸に平行な、又は合致する基準軸(X)のまわりに回転可能な第1のカメラ(10)を含み、前記第1のカメラ(10)は、前記少なくとも1つのサービス領域(250)をフレームに捉えた場合に、前記少なくとも1つのサービス領域(250)の第1の画像を取得するように構成される、請求項14~17のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項19】
前記第1のカメラ(10)に動作可能に連結されたエンコーダ(11)を含む、請求項18に記載の装置(1)。
【請求項20】
前記制御ユニット(50)は、前記第1のカメラ(10)が前記第1の画像を取得したときに、前記第1のカメラ(10)が基準位置に対して移動した周方向距離を求めるように構成される、請求項18又は19に記載の装置(1)。
【請求項21】
前記制御ユニット(50)は、前記周方向距離と前記タイヤ(500)の前記半径方向内側面(501)の前記円周長さとに基づいて、第1の線形長さを計算するように構成される、請求項20に記載の装置(1)。
【請求項22】
前記制御ユニット(50)は、前記第1の画像を取得した後に前記第1のカメラによって取得した第2の画像と前記第1の画像とを比較するように構成される、請求項18~21のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項23】
前記支持装置(700)上の前記タイヤ(500)を前記第1のカメラ(10)の位置に止めるように構成された止め部材(720)を含む、請求項18~22のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項24】
前記第1のカメラ(10)と一体で回転する第2のカメラ(20)を含む、請求項18~23いずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項25】
前記第2のカメラ(20)は、前記第1のカメラ(10)に対して180°をなす向きに向けられる、請求項24に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付ける方法及び装置に関する。
【0002】
好ましくは、本発明の方法及び装置は、上記の騒音低減要素をタイヤに自動で又は実質的に自動で貼り付けることを可能にする。
【背景技術】
【0003】
「自動の」という用語は、オペレータの手作業による介在を必要とすることなく、機械装置によって実施される作業を示すために使用される。
【0004】
「機械装置」という用語は、完全な機械式、電気機械式、油圧式、又は空気式であり、場合によっては、制御ユニットにより、適切なソフトウェアを通じて制御される装置を示すために使用される。
【0005】
「実質的に自動の」という表現は、大部分の作業が上記の機械装置によって実施され、オペレータの手作業による介在は、わずかな特定の作業に限定されることを示すために使用される。本発明の特定の事例では、オペレータの手作業による介在は、たかだか、騒音低減要素の初期準備、例えば、騒音低減要素を、例えば、コンベアベルト、ローラコンベアなどの支持装置に配置することなどに限定される。
【0006】
「騒音低減要素」という表現は、車両ホイール用のタイヤに取り付けた場合に、使用中にタイヤによって生じる騒音を低減する能力を有する要素を示すために使用される。そのような能力は、上記の要素が作製される種類の材料によって上記の要素に付与されるのが好ましい。この用途に適した材料には、例として、例えば、発泡ポリマー材料などの吸音多孔質材料、例えば、連続気泡発泡ポリウレタンがある。
【0007】
「エラストマー材料」という表現は、少なくとも1つのエラストマー性ポリマーと、少なくとも1つの補強フィラとを含む組成物を指すために使用される。好ましくは、そのような組成物は、例えば、架橋剤及び/又は可塑剤などの添加剤をさらに含む。架橋剤が存在することで、そのような材料は、加熱により、最終工業製品を形成するように架橋することができる。
【0008】
「半径方向の」及び「軸方向の」という用語と、「半径方向内側の/外側の」及び「軸方向内側の/外側の」という表現とは、タイヤの半径方向(すなわち、タイヤの回転軸に垂直な方向)と、タイヤの軸方向(すなわち、タイヤの回転軸に平行な方向)とに関して使用される。それに対して、「周方向の」及び「周方向に」という用語は、タイヤの環状伸長部に関して使用される。
【0009】
「送り方向」という表現は、例えば、コンベアベルト、ローラコンベアなどの支持装置の長手方向に平行な移動方向を示すために使用される。したがって、送り方向は、支持装置上に配置された物品の進行方向に一致する。
【0010】
「底部」、「~の下」、「下側の」、又は「~より下」、及び「上部」、「~より上」、「上側の」、又は「~の上」という表現は、上記の支持装置に対する相対位置を示すために使用される。
【0011】
「下流」又は「先頭」、及び「上流」又は「末尾」という表現は、上記の送り方向に関して使用される。したがって、例えば、送り方向が左から右と仮定すると、任意の基準要素に対する「下流」又は「先頭」位置とは、前記基準要素の右の位置を示し、「上流」又は「末尾」位置とは、前記基準要素の左の位置を示す。
【0012】
「ターゲット領域」という表現は、騒音低減要素が付着しなければならないタイヤの半径方向内側面の領域を示すために使用される。
【0013】
「サービス領域」という表現は、例えば、そのようなサービス領域において、タイヤが、例えば、圧力、加速度、温度などのタイヤの動作パラメータを検出するように構成された電子素子を装備すると想定されるために、騒音低減要素が付着していない、タイヤの半径方向内側面の領域を示すために使用される。
【0014】
「画像」という用語は、通常、コンピュータファイルに含まれるデータセットを一般的に示すために使用され、データセットでは、空間座標のnタプル(各nタプルは「ピクセル」に対応する)の有限セット(通常は2次元であり、マトリクスタイプ、すなわち、N行×M列である)の座標の各nタプル(通常は各座標対)は、(様々なタイプの大きさを表すことができる)対応する数値セットに対応付けられる。例えば、(グレースケールの画像などの)単色画像では、そのような値セットは、有限スケール(通常は256段階又は階調)の単一値からなり、そのような値は、例えば、視覚化された場合の空間座標のそれぞれのnタプルの明度(又は強度)のレベルを表す。さらなる例は、カラー画像によって代表され、カラー画像では、値セットは、複数の色又はチャネル、通常は原色(例えば、RGBコーディングではレッド、グリーン、及びブルー、それに対して、CMYKコーディングではシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック)の明度レベルを表す。「画像」という用語は、必ずしも画像の実際の視覚化を意味しない。
【0015】
特定の「画像」のように参照した場合、より一般的に、前記特定の画像の1つ又は複数のデジタル処理作業(例えば、フィルタリング、イコライゼーション、「スムージング」、2値化、閾値処理、モルフォロジー変換(「オープニング」など)、微分又は積分計算など)を通じて取得可能な任意の画像が含まれる。
【0016】
車両ホイール用のタイヤは、通常、強化コードがエラストマー材料からなる母材に組み込まれた形で形成された少なくとも1つのカーカスプライを含むカーカス構造体を含む。カーカスプライは、それぞれ環状固定構造体と係合する終端部を有する。環状固定構造体は、通常「ビード部」という名称で特定されるタイヤの領域に配置され、各環状固定構造体は通常、少なくとも1つの充填材挿入物が半径方向外側位置に付加された実質的に周縁の環状挿入体から形成される。そのような環状挿入体は、通常「ビードコア」として特定され、タイヤを、特に、ホイールのリムに設けられた固定座に確実に固定された状態に保ち、ひいては、使用時に、タイヤの半径方向内側終端部がそのような座から外れるのを防止する役目をこなす。
【0017】
タイヤへのトルク伝達を改善する機能を有する特定の強化構造体をビード部に設けることができる。
【0018】
クラウン構造体は、カーカス構造体に対して半径方向外側位置に取り付けられる。
【0019】
クラウン構造体は、ベルト構造体と、ベルト構造体に対して半径方向外側位置にある、エラストマー材料でできたトレッドバンドとを含む。
【0020】
ベルト構造体は、半径方向に順に重ねて配置され、交差した配向の、及び/又はタイヤの円周伸長方向に実質的に平行な配向の線維又は金属強化コードを有する1つ又は複数のベルト層を含む。
【0021】
「アンダーベルト」と呼ばれるエラストマー材料の層は、カーカス構造体とベルト構造体との間に設けることができ、前記層は、その後のベルト構造体の貼付けのために、カーカス構造体の半径方向外側面を可能な限り均一にする機能を有する。
【0022】
いわゆる「下層」は、トレッドバンドとベルト構造体との間に配置することができ、下層は、トレッドバンドのベルト構造体への安定した結合を保証するのに適した特性を有するエラストマー材料で作製される。
【0023】
エラストマー材料からなるそれぞれのサイドウオールは、それぞれがトレッドバンドの横縁部の1つから、ビード部のそれぞれの環状固定構造体まで延びるカーカス構造体の側面に付加される。
【0024】
欧州特許第1 659 004号は、半径方向内側面に騒音低減要素を含むタイヤの例を記載している。
【0025】
国際公開第99/41093号は、タイヤの性能を観測することを意図された電子素子をタイヤの半径方向内側面に含むタイヤを開示している。
【0026】
同じ出願人による国際公開第2016/067192号は、騒音低減要素を車両ホイール用のタイヤに貼り付ける方法及び装置を開示している。騒音低減要素は、送り方向に沿って移動する、接着材料の層を支持する連続フィルムを上側面に有する第1のコンベアベルトに配置される。次に、騒音低減要素を接着材料層の一部分に確実に接着するように、騒音低減要素が連続フィルムに押し付けられる。第1のコンベアベルトの送り方向に沿った移動の結果として、次に、騒音低減要素は、上記の送り方向に沿って第1のコンベアベルトの下流に配置された第2のコンベアベルトに送られる。そのような送り時に、連続フィルムは第1のコンベアベルトに保持され、騒音低減要素が第1のコンベアベルトを去るとすぐに、騒音低減要素に付着した接着剤層の一部分が、第1のコンベアベルト上の接着剤層から剥がされる。騒音低減要素は、最終的に第2のコンベアベルトから取り上げられ、隣接するコンベアベルトに配置されたタイヤの半径方向内側面の所定の位置に配置される。
【0027】
本出願人は、国際公開第2016/067192号に記載されているものが、騒音低減要素を設けられるタイヤの製造専用ラインの生産性を高めるような方法で、騒音低減要素のタイヤへの接着方法の高度な自動化を達成するのを可能にすると気付いた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本出願人は、例えば、国際公開第99/41093号に記載された特定のタイプのタイヤの1つ又は複数のサービス領域、例えば、電子素子が貼り付けられると想定される領域をそれぞれの半径方向内側面に有するタイヤに対して、例えば、国際公開第2016/067192号に記載された方法によって騒音低減要素を自動接着する上での問題について検討した。
【0029】
本出願人は、この場合に、騒音低減要素の自動接着プロセス中に、騒音低減要素がサービス領域に偶発的に付着するリスクを回避する必要があると気付いた。この場合に、次に見込まれる、そのようなサービス領域への電子素子の貼付けを行うことは実際上不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本出願人は、タイヤの半径方向内側面上の、騒音低減要素が付着しなければならない領域(ターゲット領域)の周方向位置をサービス領域の周方向の位置に基づいて求めることで、そのようなリスクを回避できると考えた。
【0031】
本出願人は、基準位置に対するサービス領域の角度位置を特定し、その角度位置に基づいて、及びタイヤの半径方向内側面の円周長さに関して、そのような基準位置からの当該サービス領域の周方向距離を求めることを目的としたタイヤの半径方向内側面の検査を実施することで、タイヤの半径方向内側面で、サービス領域とは異なる1つ又は複数の領域を求めることが可能であり、この求めた領域に騒音低減要素を付着させることが可能であると分かった。
【0032】
したがって、本発明は、第1の態様において、車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付ける方法に関する。
【0033】
好ましくは、前記タイヤは、少なくとも1つのサービス領域を含む半径方向内側面を有する。
【0034】
好ましくは、前記半径方向内側面は、所定の円周長さを有する。
【0035】
好ましくは、タイヤの前記半径方向内側面の前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置が求められる。
【0036】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置に基づいて、タイヤの前記半径方向内側面の少なくとも1つのターゲット領域の周方向の位置が求められる。
【0037】
好ましくは、少なくとも1つの騒音低減要素が、前記少なくとも1つのターゲット領域に貼り付けられる。
【0038】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置は、タイヤの前記半径方向内側面を検査することで求められる。
【0039】
好ましくは、タイヤの前記半径方向内側面は、所定の基準位置から始めて周方向に検査される。
【0040】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置は、前記基準位置に対する前記少なくとも1つのサービス領域の角度位置を検出することで求められる。
【0041】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置は、前記角度位置とタイヤの前記半径方向内側面の円周長さとに基づいて求められる。
【0042】
本出願人は、騒音低減要素が接着されなければならない領域(ターゲット領域)の位置が、サービス領域の位置に基づいて求められることで、上記の方法は、サービス領域とは異なる、サービス領域に重ならない領域に騒音低減要素を接着することを可能にすると考える。
【0043】
第2の態様において、本発明は、車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付ける装置に関する。
【0044】
好ましくは、前記タイヤは、少なくとも1つのサービス領域を含む半径方向内側面を有する。
【0045】
好ましくは、前記半径方向内側面は、所定の円周長さを有する。
【0046】
好ましくは、前記タイヤの支持装置が設けられる。
【0047】
好ましくは、検出装置が設けられる。
【0048】
好ましくは、前記検出装置は、タイヤの前記半径方向内側面の少なくとも1つのサービス領域を検出するように構成される。
【0049】
好ましくは、少なくとも1つの騒音低減要素を取り上げ、その騒音低減要素をタイヤ上に画定された少なくとも1つのターゲット領域に配置するように構成された把持部材が設けられる。
【0050】
好ましくは、前記少なくとも1つのターゲット領域は、タイヤの前記半径方向内側面に画定される。
【0051】
好ましくは、前記検出装置に動作可能に接続された制御ユニットが設けられる。
【0052】
好ましくは、前記制御ユニットは、タイヤの前記半径方向内側面の前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置を求めるように構成される。
【0053】
好ましくは、前記制御ユニットは、前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置に基づいて、及びタイヤの前記半径方向内側面の前記所定の円周長さに関して、タイヤの前記半径方向内側面の前記少なくとも1つのターゲット領域の周方向の位置を求めるように構成される。
【0054】
上記の装置は、上記の方法の実施を可能にする。
【0055】
本発明は、上記の態様の少なくとも1つにおいて、下記に説明する好ましい特徴の少なくとも1つを有することができる。
【0056】
好ましくは、タイヤの前記半径方向内側面を検査することは、センサを用いて、タイヤの前記半径方向内側面の少なくとも1つの円周部分を解析することを含む。
【0057】
好ましくは、タイヤの前記半径方向内側面を検査することは、前記基準位置から始めて、タイヤの回転軸に平行な、又は合致する基準軸のまわりに前記センサを移動させることを含む。
【0058】
好ましくは、前記センサは、前記基準位置から前記基準軸のまわりに少なくとも360°に等しい角度を担う。この方法では、タイヤの半径方向内側面の、存在する可能性のある多数のサービス領域を特定することが可能である。
【0059】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の角度位置を検出することは、前記センサが、前記少なくとも1つのサービス領域の位置で、タイヤの前記半径方向内側面に設けられたコントラスト要素を検出したときに、前記少なくとも1つのサービス領域の第1の画像を取得することを含む。
【0060】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の角度位置を検出することは、前記第1の画像が取得されたときに、前記センサが移動した、前記基準位置に対する周方向距離を求めることを含む。
【0061】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置は、前記周方向距離に基づいて求められる。
【0062】
好ましくは、前記コントラスト要素は、前記少なくとも1つのサービス領域でタイヤの前記半径方向内側面に取り除き可能に付着したフィルム上に画定される。この方法では、例えば、次に見込まれる、そのようなサービス領域への電子素子の貼付けを可能にするようにサービス領域が特定されると、フィルムを取り除くことが可能である。フィルムはまた、タイヤの半径方向内側面のうちの上記の電子素子が貼り付けられる部分を清浄に保つことを可能にする。
【0063】
好ましくは、前記コントラスト要素は、略三角形又は矢印形状である。
【0064】
好ましくは、三角形又は矢印の頂点は、前記フィルムの取り除き方向に沿った向きに向けられる。
【0065】
好ましくは、前記フィルムは、主要部分と、前記主要部分に隣接し、周方向の第1の長さと軸方向の第2の長さとを有する検出部分とを含む。
【0066】
好ましくは、前記コントラスト要素は、前記検出部分上で画定される。
【0067】
好ましくは、前記少なくとも1つのサービス領域の周方向の位置求める前に、前記タイヤは、送り方向に沿って移動する。
【0068】
第1の実施形態では、前記フィルムは、前記検出部分が、前記送り方向に関して前記主要部分の上流に配置されるように、タイヤの前記半径方向内側面に付着する。
【0069】
この場合に、好ましくは、前記コントラスト要素は、前記検出部分上で軸方向中心位置に配置される。
【0070】
第2の実施形態では、前記フィルムは、前記検出部分が、前記送り方向に関して前記主要部分の下流に配置されるように、タイヤの前記半径方向内側面に付着する。
【0071】
また、この場合に、好ましくは、前記コントラスト要素は、前記検出部分上で軸方向中心位置に配置される。
【0072】
さらなる実施形態では、前記フィルムは、前記検出部分が、前記送り方向に関して前記主要部分に平行であるように、タイヤの前記半径方向内側面に付着する。
【0073】
この場合に、好ましくは、前記コントラスト要素は、前記検出部分上で周方向中心位置に配置される。
【0074】
好ましくは、前記送り方向における、前記主要部分に対する前記検出部分の位置は、前記第1の画像を取得した後にセンサで取得した第2の画像と前記第1の画像とを比較することで求められる。この方法では、検出部分が、前記送り方向に関して主要部分の上流か、下流か、又は主要部部分に平行かのいずれに配置されているかが求められる。
【0075】
好ましくは、前記少なくとも1つのターゲット領域の周方向の位置を求めることは、前記周方向距離に応じた第1の線形長さ(linear dimension)を計算することを含む。
【0076】
好ましくは、前記第1の線形長さを計算することは、前記周方向距離に第2の線形長さを加算すること、又は前記周方向距離から第2の線形長さを減ずることを含む。この方法では、ターゲット領域の周方向位置が、サービス領域の周方向位置に隣接し、サービス領域の周方向位置に重ならないことが保証される。
【0077】
好ましくは、タイヤの半径方向内側面は、少なくとも2つのサービス領域を含む。
【0078】
好ましくは、前記少なくとも2つのサービス領域の周方向の位置が求められる。
【0079】
好ましくは、前記少なくとも2つのサービス領域の間の周方向距離が計算される。
【0080】
好ましくは、タイヤの前記半径方向内側面の前記少なくとも1つのターゲット領域の周方向の位置は、前記少なくとも2つのサービス領域の周方向の位置に基づいて、及び前記少なくとも2つのサービス領域の間の周方向距離に関して求められる。
【0081】
好ましくは、少なくとも1つの騒音低減要素は、前記少なくとも1つのターゲット領域に貼り付けられる。
【0082】
好ましくは、前記騒音低減要素は、周方向の所定の長さを有する。
【0083】
好ましくは、前記少なくとも2つのサービス領域の間に貼り付けることができる騒音低減要素の数量は、前記周方向の所定の長さに応じて求められる。
【0084】
好ましくは、前記センサは第1のカメラである。
【0085】
好ましくは、前記支持装置は、所定の送り方向に沿って移動可能である。
【0086】
好ましくは、前記少なくとも1つの騒音低減要素を送るように構成された送り装置が設けられる。
【0087】
好ましくは、前記送り装置は、前記所定の送り方向に平行な方向に沿って移動可能である。
【0088】
好ましくは、前記検出装置は、前記支持装置より上に配置される。
【0089】
好ましくは、前記検出装置は、タイヤの回転軸に平行な、又は合致する方向に沿って移動可能な第1のカメラを含む。
【0090】
好ましくは、前記第1のカメラは、タイヤの前記回転軸に平行な、又は合致する基準軸のまわりに回転可能である。
【0091】
好ましくは、前記第1のカメラは、前記少なくとも1つのサービス領域をフレームに捉えた場合に、前記少なくとも1つのサービス領域の第1の画像を取得するように構成される。
【0092】
好ましくは、エンコーダが、前記第1のカメラに動作可能に連結される。そのようなエンコーダは、上記の基準軸のまわりを移動中に前記第1のカメラが移動した周方向距離に関する数値情報を取得することを可能にする。
【0093】
好ましくは、前記制御ユニットは、前記第1のカメラが前記第1の画像を取得したときに、基準位置に対して前記第1のカメラが移動した周方向距離を求めるように構成される。
【0094】
好ましくは、前記制御ユニットは、前記周方向距離とタイヤの前記半径方向内側面の円周長さとに基づいて、第1の線形長さを計算するように構成される。
【0095】
好ましくは、前記制御ユニットは、前記第1の画像を取得した後に前記第1のカメラで取得した第2の画像と前記第1の画像とを比較するように構成される。
【0096】
好ましくは、前記支持装置上の前記タイヤを止めるように構成された止め部材が前記第1のカメラの位置に設けられる。
【0097】
好ましくは、前記第1のカメラと一体的に回転する第2のカメラが設けられる。そのような第2のカメラは、例えば、様々な目的でタイヤの半径方向内側面に前もって付着させた物質の想定されるスポットを特定するために使用することができる。この場合に、第1及び第2のカメラは、有利にも、それらの移動に必要な電子及び機械部品を共有することができ、結果的に、機能及び構造面で利益が得られる。さらに有利にも、第1のカメラのサイクルタイムは、第2のカメラのサイクルタイムに重なることができ、逆も同様であり、結果的に、プロセス面で利益が得られる(総サイクルタイムの増加がゼロである)。
【0098】
好ましくは、前記第2のカメラは、前記第1のカメラに対して180°をなす向きに向けられる。そのようにすることで、一方のカメラの観測視野と他方のカメラの観測視野との間の起こり得る重なりを回避することが可能になる。
【0099】
添付図面を参照した、本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明から、本発明のさらなる特徴及び利点がさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図1】本発明による、騒音低減要素を車両ホイール用のタイヤに自動で貼り付ける装置の例示的実施形態の上から見た概略図であり、そのような装置が、第1の作業配置で示されている。
【
図2】上記の第1の作業配置の
図1の装置の一部分の概略側面図である。
【
図3】
図1及び
図2の作業配置とは異なる作業配置の
図1の装置の一部分の概略側面図である。
【
図4】さらなる作業配置の
図1の装置の一部分の上から見た概略図である。
【
図5】内側面に複数の騒音低減要素が
図1の装置によって貼り付けられた車両ホイール用のタイヤの断面の概略斜視図である。
【
図6】内側面に複数の騒音低減要素が
図1の装置によって貼り付けられた車両ホイール用のタイヤの断面の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1~4において、参照数字1は、本発明による、複数の騒音低減要素100を車両ホイール用のタイヤ500の半径方向内側面501に順次自動で貼り付ける装置の例示的な実施形態を全体として示している。
【0102】
そのようなタイヤ500の例が
図5及び
図6に示されている。好ましくは、そのようなタイヤ500は、4輪車両で、より好ましくは高性能自動車で使用することを意図されている。
【0103】
騒音低減要素100は、直方体形状であるのが好ましい。より好ましくは、騒音低減要素100は、約100mm~約250mmの幅(そのような幅は、
図5及び
図6において軸方向に測定される)と、約100mm~約300mmの長さ(そのような長さは、
図5及び
図6において周方向に測定される)と、約15mm~約50mmの厚さとを有する。しかし、上記に示したものとは異なる形状及び大きさを有する騒音低減要素100も同様に使用することができる。
【0104】
騒音低減要素100は、その面に、騒音低減要素100がタイヤ500の半径方向内側面501に接着されるのを可能にする接着剤を有する。
【0105】
図5及び
図6に示すように、騒音低減要素100は、騒音低減要素100の長い方の辺をタイヤの周方向に実質的に平行に配置して、上記周方向に沿ってタイヤ500の半径方向内側面501に接着される。
【0106】
騒音低減要素100は、例えば、発泡ポリマー材料などの吸音多孔質材料、好ましくは連続気泡発泡ポリウレタンで作製されるのが好ましい。しかし、同様の騒音低減能力を有する異なる材料を使用することもできる。
【0107】
騒音低減要素100の密度は、約20Kg/m3~約200Kg/m3であるのが好ましい。特定の例示的な実施形態では、そのような密度は、約40Kg/m3である。
【0108】
図1及び
図3を参照すると、装置1は、騒音低減要素100を送るように構成された送り装置650を含む。ここに図示した特定の例では、送り装置650はコンベアベルトである。
【0109】
図1~4を参照すると、装置1は、騒音低減要素100が接着されなければならない1つ又は複数のタイヤ500を支持するように構成された支持装置700をさらに含む。
【0110】
支持装置700は、送り装置650に隣接し、好ましくは送り装置650に平行に延びる。
【0111】
図1~4は、送り方向Aに沿って支持装置700に連続して配置された3つのタイヤ500を示している。ここに図示した特定の例では、移送装置700はローラコンベアベルトである。
【0112】
特に、
図1、3、4を参照すると、装置1は、最終的に騒音低減要素100を第1のタイヤ(
図1~4では、支持装置700上で左に配置されたタイヤ)の半径方向内側面501に接着するために、騒音低減要素100を送り装置650から順に取り上げ、その騒音低減要素100を支持装置700に向かって移送するように構成された把持部材30をさらに含む。
【0113】
把持部材30は、好ましくは少なくとも6軸を有する擬人化タイプのロボットアーム31を含むのが好ましい。ロボットアーム31は、地上空間を占有しないように、高架タイプであるのが好ましい(すなわち、ロボットアームは、天井又は空中梁に連結することを意図されている)。しかし、代替案として、地面に拘束されたロボットアームを使用することも可能である。
【0114】
好ましくは、騒音低減要素100を送り装置650から取り上げ、その騒音低減要素100を上記の第1のタイヤの半径方向内側面501に接着することは、国際公開第2016/067192号に記載されているのと同様に行われる。
【0115】
上記の第1のタイヤへの全ての騒音低減要素100の接着作業が完了すると、かかる第1のタイヤは取り上げられ、その場所は第2のタイヤ(
図1~4において、支持装置700上で、送り方向Aに関して上記の第1のタイヤのすぐ上流に配置されたタイヤ)によって占められ、この後者のタイヤ500への複数の騒音低減要素100の接着を進めることができるようになる。第1のタイヤによって占有された位置への上記第2のタイヤの移動は、送り方向Aに沿った支持装置700の移動により行われる。そのような移動により、第3のタイヤ(
図1~4において、支持装置700上で右に配置された、すなわち、送り方向Aに関して上記の第2のタイヤのすぐ上流に配置されたタイヤ)は、
図1~4において、上記の第2のタイヤによって占有された位置に運ばれる。
【0116】
接着作業時に、騒音低減要素100が接着されるタイヤ500(
図1~4において、支持装置700上で左に配置されたタイヤ)は、適切な保持部材710によって支持装置700上の所定の位置に保持される。ここに図示した特定の例では、そのような保持部材710は、タイヤ500を上記の保持部材710に対して中心に置くこともできるように、支持装置700に対して垂直方向に移動することができ、タイヤ500のまわりに均等に分布している。特に、ここに図示した特定の例では、角度的に互いから等間隔に60°だけ離れて配置された6つの保持部材710が設けられている。
【0117】
送り装置650は、騒音低減要素100が、把持部材30によって取り上げられる位置に運ばれるまで、好ましくはタイヤ500の送り方向Aに平行な方向A’に沿って騒音低減要素100を順次移動させる。
【0118】
方向A’に関して送り装置650の上流に、騒音低減要素100を送り装置650まで送るように対処する移送コンベア600が設けられている。
【0119】
したがって、送り装置650及び移送コンベア600は一列に整列し、方向A’に沿って連続して配置されている。
【0120】
移送コンベア600から送り装置650への騒音低減要素100の移動は、方向A’に沿った移送コンベア600と送り装置650との同期移動によって行われるのが好ましい。各騒音低減要素100が、送り装置650上に、好ましくは完全に配置されるとすぐに、送り装置650は、送り装置650に配置された騒音低減要素100を、そのすぐ次に続く、まだコンベアベルト600に配置されている騒音低減要素100から遠ざけるように、移送コンベア600を静止状態に保ったまま方向A’に沿って移動する。
【0121】
好ましくは、騒音低減要素100は、国際公開第2016/067192号に記載されている通りに、移送コンベア600に供給され、移送コンベア600から送り装置650に供給される。
【0122】
図5及び
図6に例示したタイヤ500は、その半径方向内側面501に、例として、例えば、圧力、加速度、温度などのタイヤ500の動作パラメータを検出するように構成された電子素子を受け入れることを意図されたサービス領域250を含む。
【0123】
図5及び
図6に示す特定の例では、接着フィルム200がそのようなサービス領域250に貼り付けられている。接着フィルム200は、見込まれる、上記の電子素子の貼付けの前に取り除くことができる。
【0124】
フィルム200の形状は、略四角形、好ましくは長方形又は正方形である。接着フィルム200は、主要部分200aと、主要部分200aに隣接し、コントラスト要素210を有する検出部分200bとを含む。
【0125】
好ましくは、フィルム200は、プラスチック材料で作製される。
【0126】
好ましくは、主要部分200aは透明であるか、又は不透明色、より好ましくは黒色を有する。
【0127】
好ましくは、検出部分200bは、明色、より好ましくは白色を有する。
【0128】
好ましくは、コントラスト要素210は、暗色、より好ましくは黒色を有する。
【0129】
好ましくは、コントラスト要素210は、三角形のように、又は
図5及び
図6に示すように、矢印のように成形され、より好ましくは、コントラスト要素210の頂点は、タイヤ500の半径方向内側面501からのフィルム200の取り除き方向を示すように向きを合わされる。
【0130】
検出部分200bは、周方向の第1の長さと、軸方向の第2の長さとを有する。
【0131】
図5は、タイヤ500の半径方向内側面501へのフィルム200の貼付けの第1の例を示している。この場合に、フィルム200は正方形形状であり、検出部分200bがタイヤ500の送り方向Aに関して主要部分200aの下流に配置されるように貼り付けられている。この場合に、検出部分200bの第1の長さは、フィルム200の総周方向長さよりも短くなっている。フィルム200は、フィルム200を周方向に引き剥がすことで取り除かれるのが好ましい。
【0132】
図6は、タイヤ500の半径方向内側面501へのフィルム200の貼付けの第2の例を示している。この場合に、フィルム200は、長方形形状であり、検出部分200bがタイヤ500の送り方向Aに関して主要部分200aに平行であるように貼り付けられている。この場合に、検出部分200bの第1の長さは、フィルム200の総周方向長さに等しくなっている。フィルム200は、フィルム200を軸方向に引き剥がすことで取り除かれるのが好ましい。
【0133】
好ましくは、コントラスト要素210は、例えば、
図5に示すように、検出部分200b上で軸方向中心位置に配置されるか、又は、例えば、
図6に示すように、周方向中心位置に配置される。
【0134】
各騒音低減要素100は、タイヤ500の半径方向内側面501上で、サービス領域250とは異なる、すなわち、サービス領域250に部分的にでさえ重ならないそれぞれのターゲット領域150に接着されている。
【0135】
特に、
図2及び
図3を参照すると、装置1は、タイヤ500の半径方向内側面501を検査するように構成された検出装置5を含む。
【0136】
そのような検査は、上記の半径方向内側面501のサービス領域250の周方向の位置を検出することを目的とする。この検出は、コントラスト要素210の周方向の位置の検出後に行われる。
【0137】
検出装置5は、支持装置700より上で、上記の第1のタイヤによって占有された位置に対して上流に配置されている。
図1~4に示す特定の例では、検出装置5は、上記の第2のタイヤの位置に配置されている。
【0138】
上記第2のタイヤの半径方向内側面501のサービス領域250の周方向の位置が検出されると、かかる第2のタイヤは、タイヤの半径方向内側面501への騒音低減要素100の接着に取りかかることができるように、
図1~4において、上記の第1のタイヤによって占められた位置に達するまで送り方向Aに沿って移動する。
【0139】
サービス領域250の周方向位置の検出時に、上記の第2のタイヤは、適切な止め部材720によって支持装置700上の所定の位置に保持される。ここに図示した特定の例では、そのような止め部材720は、タイヤ500を上記の止め部材720に対して中心に置くこともできるように、支持装置700に対して垂直方向に移動することができ、タイヤ500のまわりに均等に分布している。特に、ここに図示した特定の例では、角度的に互いから等間隔に60°だけ離れて配置された6つの止め部材720がある。
【0140】
図2及び
図3を参照すると、ここに示した実施形態では、検出装置5は、上記の第2のタイヤの回転軸に平行な(ここに図示した特定の例では、上記の第2のタイヤの回転軸に合致する)方向xに沿って移動可能なセンサ、より好ましくは第1のカメラ10を含む。第1のカメラ10はまた、上記の第2のタイヤの回転軸に平行な(ここに図示した特定の例では、上記の第2のタイヤの回転軸に合致する)基準軸Xのまわりに回転可能である。
【0141】
好ましくは、動作時に、第1のカメラ10は、基準軸Xのまわりに少なくとも完全に1回転する。
【0142】
エンコーダ11は、所定の基準位置に対する第1のカメラ10の角変位を測定するように、第1のカメラ10に動作可能に連結されている。
【0143】
第1のカメラ10は、基準軸Xのまわりの第1のカメラ10の移動時に、タイヤ500の半径方向内側面501の円周部分を連続してフレームに捉え、コントラスト要素210、したがって、サービス領域250がフレームに捉えられた場合に、かかる半径方向内側面501の第1の画像を取得するように構成されている。
【0144】
装置1はまた、検出装置5に動作可能に接続され、サービス領域250の周方向の位置を求めるように構成された制御ユニット50を含む。
【0145】
制御ユニット50はまた、サービス領域250の周方向の位置とタイヤ500の半径方向内側面501の円周長さとに基づいて、各ターゲット領域150の周方向の位置を求め、各騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501でそれぞれのターゲット領域150に接着されるように把持部材30を制御するように構成されている。
【0146】
制御ユニット50はまた、第1のカメラ10が上記の第1の画像を取得したときに、上記の基準位置に対して第1のカメラ10が移動した周方向距離を求めるように構成されている。
【0147】
制御ユニット50はまた、第1のカメラ10が移動した上記の周方向距離と、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さとに基づいて、第1の線形長さを計算するように構成されている。
【0148】
制御ユニット50はまた、上記の第1の画像を取得した後、第2の画像を取得し、取得した2つの画像の比較により、主要部分200aに対する検出部分200bの向きを求めるように構成されている。
【0149】
再度
図2及び
図3を参照すると、装置1はまた、第1のカメラ10と一体で回転し、好ましくは第1のカメラ10に対して180°をなす向きに向けられた第2のカメラ20を含む。
【0150】
第2のカメラ20は、別の目的でタイヤ500の半径方向内側面501を検査するために使用される。
【0151】
図2に示すように、好ましくは、光源21aの第1の対は、第2のカメラ20より上に配置され、光源21bの第2の対は、第2のカメラ20より下に配置される。
【0152】
好ましくは、光源21a、21bはUV線を放射し、第2のカメラ20と協働して、上記の別の目的で、タイヤ500の半径方向内側面501に特別に前もって付着させた物質の想定されるスポット、又は物質によって被覆された領域の、タイヤ500の半径方向内側面501での有無を検出する。
【0153】
カメラ10、20及び光源21a、21bは、方向xに沿って移動可能で基準軸Xのまわりに回転可能な単一の直立材25に取り付けられている。
【0154】
騒音低減要素100をタイヤ500に自動で貼り付ける方法の好ましい実施形態が以下に説明される。特に、この方法は、上記の装置1で実施できる方法である。
【0155】
そのような方法により、タイヤ500の半径方向内側面501上での1つ又は複数のサービス領域250の周方向位置に基づいて、ターゲット領域150とサービス領域250との間に全く重なりがないことを保証しながら、タイヤ500の半径方向内側面501上での、騒音低減要素100が自動で接着される複数のターゲット領域150の周方向位置を求めることが可能である。
【0156】
図1に示すように、騒音低減要素100は、移送コンベア600により、方向A’に沿って送り装置650に順次供給される。
【0157】
騒音低減要素100を送り装置650に供給する前に、又は供給すると同時に、騒音低減要素100が接着されなければならないタイヤ500は、支持装置700に配置され、タイヤ500の回転軸が基準軸Xと実質的に一列に整列した状態で、直立材25の下に配置されるまで送り方向Aに沿って移動する。そのような位置は、第2のタイヤとしてすでに示したタイヤ500によって占められる位置に一致する。
【0158】
この位置に到達すると、タイヤ500を支持装置700上の所定の位置に保持するために、止め部材720が作動する(
図2)。
【0159】
その後、直立材25は、カメラ10、20がタイヤ500の半径方向内側面501によって画定された空洞内に配置されるまで、方向xに沿って下方に移動する(
図3)。
【0160】
方向xに沿った直立材25の移動の前又は後に、第1のカメラ10は、上記の基準位置まで運ばれる。
【0161】
好ましくは、そのような基準位置とは、第1のカメラ10が、送り方向Aに平行に、且つ第1のカメラ10の視界が上記の送り方向Aに関して下流に向けられた形で配置される位置である。
【0162】
その後、直立材25が上記の基準軸Xのまわりに回転して、カメラ10、20によるタイヤ500の半径方向内側面501の検査が始まる。
【0163】
第1のカメラ10がコントラスト要素210をフレームに捉えると、第1のカメラ10は、タイヤ500の半径方向内側面501のフレームに捉えた部分の第1の画像を取得する。
【0164】
そのような第1の画像を取得すると同時に、エンコーダ11は、上記の基準位置に対するコントラスト要素210の角度位置を出力として供給する。
【0165】
基準軸Xのまわりの回転を続けながら、第1画像を第1のカメラ10が取得した直後に第2の画像を取得する。
【0166】
その後、直立材25は、カメラ10、20がタイヤ500の半径方向内側面501によって画定された空洞の外に配置されるまで、方向xに沿って上方に移動する。
【0167】
次に、タイヤ500は、騒音低減要素100の接着が行われる位置に達するまで方向Aに沿って移動する。そのような位置は、第1のタイヤとしてすでに示したタイヤ500によって占められる位置に一致する。
【0168】
その一方で、上記の角度位置と、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さとが分かっている制御ユニット50は、前記第1の画像が取得されたときに、第1のカメラ10が前記基準位置に対して移動した周方向距離を計算し、前記周方向距離に基づいて、上記の基準位置に対するコントラスト要素210の周方向の位置を特定する第1の線形長さが計算される。
【0169】
制御ユニット50はまた、取得した2つの画像を比較し、タイヤ500の半径方向内側面501上のフィルム200の向きを特定する。特に、制御ユニット50は、フィルム200がタイヤ500の半径方向内側面501に付着して、検出部分200bが、送り方向Aに関して主要部分200aの上流に配置されているか、下流に配置されているか、又は主要部分200aに平行に配置されているかを特定する。
【0170】
いくつかの特定の例に関連して以下に説明するように、フィルム200の向きと、基準軸Xのまわりの第1のカメラ10の回転方向とに応じて、制御ユニット50は、上記の第1の線形長さに/から、第2の線形長さを加算する/減ずる。
【0171】
上記の第2の線形長さは、フィルム200の縁部の1つからコントラスト要素210を周方向に隔てる距離と、前記縁部からの所定の間隔値との和として計算される。この方法では、第1のターゲット領域が、周方向に沿ってサービス領域250に全く重ならないことを保証することが可能である。その結果、制御ユニット50は、把持部材30が第1の騒音低減要素を前記第1のターゲット領域に配置するように把持部材30を制御する。
【0172】
好ましくは、第1のカメラ10が、反時計方向に基準軸Xのまわりを回転する場合に、制御ユニット50は、前記第2の線形長さを上記第1の線形長さに加算する。他方で、第1のカメラ10が、時計方向に基準軸Xのまわりを回転する場合に、制御ユニット50は、前記第2の線形長さを上記第1の線形長さから減ずる。
【0173】
好ましくは、第1の騒音低減要素は、フィルム200のすぐ下流に接着される。
【0174】
次に続く騒音低減要素100は、直前に接着された騒音低減要素100から所定の距離離れて、タイヤ500の半径方向内側面501に一つずつ連続して接着される。そのような距離は、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さと、全ての騒音低減要素100の周方向の長さの和との間の差に応じて計算されるのが好ましい。
【0175】
好ましくは、反時計方向の回転であることを考慮すると、最後の騒音低減要素100は、フィルム200の上流に接着される。
【0176】
タイヤ500の半径方向内側面501に2つ以上のサービス領域250がある場合に、制御ユニット50は、以下の処理動作、すなわち、
-2つのサービス領域250の周方向の位置か、又は3つ以上のサービス領域250が設けられた場合に、2つの周方向に連続するサービス領域250の周方向の位置を求める処理動作と、
-前記少なくとも2つのサービス領域250の間の周方向距離を計算する処理動作と、
-前記2つのサービス領域250の間に貼り付けることができる騒音低減要素100の数量を求め、前記2つのサービス領域250の周方向の位置に基づいて、前記2つのサービス領域250の間の周方向距離を求め、騒音低減要素100の周方向の長さを求め、タイヤ500の半径方向内側面501のそれぞれのターゲット領域の周方向の位置を求める処理動作と、
を実施する。
【実施例】
【0177】
実施例1
図5は、タイヤ500の半径方向内側面501に接着されたフィルム200を示しており、検出部分200bが送り方向Aに沿って主要部分200aに対して下流に配置されている。
【0178】
第1の騒音低減要素は、反時計方向の回転であることを考慮すると、フィルム200のすぐ下流に、したがって、
図5を見るとフィルム200の左に貼り付けられなければならない。
【0179】
フィルム200は、90mmの周方向長さと、90mmの軸方向長さとを有する。
【0180】
コントラスト要素210は、フィルム200の周方向に最も近い縁部(
図5の左縁部)から5mm離れ、フィルム200の周方向に最も遠い縁部(
図5の右縁部)から85mm離れている。
【0181】
周方向におけるフィルム200の縁部からの上記所定の間隔値は5mmである。
【0182】
したがって、上記の第2の線形長さは10mmである。そのような値は、5mm(フィルム200の左縁部からのコントラスト要素210の距離)と5mm(フィルム200の左縁部からの所定の間隔値)との和として得られる。
【0183】
タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さは2010mmである。
【0184】
第1のカメラ10は、反時計方向の回転であることを考慮すると、基準位置から185°の位置でコントラスト要素210を検出する。
【0185】
フィルム200の周方向の長さ(90mm)と、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さ(2010)とは分かっているので、制御ユニット50は、コントラスト要素210が検出されたときに第1のカメラ10が移動した周方向距離を以下の式:2010×185\360=1032.9mmにより計算する。そのような値は上記の第1の線形長さに相当する。
【0186】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、フィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から1032.9+10=1042.9mm(上記の第1の線形長さと上記の第2の線形長さとの和)だけ隔てられたターゲット領域150に第1の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御する。
【0187】
制御ユニット50はまた、以下の処理及び以下の計算を実施することで、各さらなる騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501上で、それぞれ1つずつそれぞれのターゲット領域150に接着されなければならない、基準位置に対する周方向距離を計算する。
【0188】
タイヤ500の半径方向内側面501のうちのさらなる騒音低減要素100が接着されるべき部分の周方向の長さは、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さと、サービス領域250の周方向の長さ、周方向におけるフィルム200の縁部からの所定の間隔値、及び第1の騒音低減要素の周方向の長さの和との差として得られる。したがって、計算は、2010-(90+5+220)=1695mmとなる。
【0189】
タイヤ500の半径方向内側面501の上記の部分に接着される騒音低減要素100の数量は、タイヤの500の半径方向内側面501のうちのさらなる騒音低減要素100が接着されるべき部分の周方向の長さを各騒音低減要素100の周方向の長さで除することで得られる。したがって、計算は、1695/220=7.7となる。
【0190】
値7.7の整数分は7である。したがって、7つのさらなる騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501の上記の部分に接着される。
【0191】
タイヤ500の半径方向内側面501のうちの7つの騒音低減要素100が接着されるべき部分で、騒音低減要素100を有さない部分の総計長さは、タイヤ500の半径方向内側面501のうちの7つの騒音低減要素100が接着されるべき部分の周方向の長さと、接着される7つの騒音低減要素100の周方向の長さとの間の減算によって得られる。したがって、計算は1695-(220×7)=155mmとなる。
【0192】
サービス領域250と第1の騒音低減要素との間の周方向距離、及び第1の騒音低減要素と、接着される第2の騒音低減要素との間の周方向距離は、タイヤ500の半径方向内側面501のうちの上記7つの騒音低減要素100が接着されるべき部分で、騒音低減要素100を有さない部分の総計長さを、タイヤ500の半径方向内側面501の上記の部分に存在する空き領域数で除算することで得られる。したがって、計算は、155/7=22.1mmとなる。
【0193】
第2の騒音低減要素が、反時計方向の回転であることを考慮すると、第2のサービス領域の下流で接着されるべき、基準位置に対する周方向距離は、サービス領域250に配置されたフィルム200に存在するコントラスト要素210が検出されたときに、第1のカメラ10が移動した周方向距離と、上記のサービス領域250及び接着される上記の第1の騒音低減要素の間の周方向距離との和として得られる。したがって、計算は、1032.9+22.1=1055mmとなる。
【0194】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、フィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から1055mm離れたターゲット領域150に第2の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御する。
【0195】
他の6つの騒音低減要素100は、前の騒音低減要素の下流でそれぞれのターゲット領域150ごとに接着され、それぞれのターゲット領域150は、基準位置に対して、前の騒音低減要素100に対応するターゲット領域150の周方向距離と22.1mmとの和に等しい周方向距離に配置される。
【0196】
実施例2
実施例1に対する唯一の相違は、検出部分200bが、送り方向Aに沿って主要部分200aに対して上流に配置された(すなわち、
図5に示す位置に対して180°をなす向きに向けられた)状態で、フィルム200がタイヤ500の半径方向内側面501に接着されることである。
【0197】
この場合に、上記の第2の線形長さは90mmである。そのような値は、85mm(フィルム200の左縁部からのコントラスト要素210の距離)と5mm(フィルム200の左縁部からの所定の間隔値)との和として得られる。
【0198】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、フィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から1032.9+85+5=1122.9mm離れたターゲット領域150に第1の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御し、この1122.9mmは、上記の第1の線形長さと、フィルム200の左縁部からのコントラスト要素210の距離と、フィルム200の縁部からの上記所定の間隔値との和である。
【0199】
制御ユニット50はまた、実施例1で上記に説明したのと同じロジックに従って、各さらなる騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501上で、それぞれのターゲット領域150ごとに接着されるべき、基準位置に対する周方向距離を計算する。
【0200】
実施例3
図6は、タイヤ500の半径方向内側面501に接着されたフィルム200を示しており、検出部分200bが送り方向Aに沿って主要部分200aに平行に配置されている。
【0201】
第1の騒音低減要素は、反時計方向の回転であることを考慮すると、フィルム200のすぐ下流に、したがって、
図6を見るとフィルム200の左に貼り付けられなければならない。
【0202】
フィルム200は、120mmの周方向長さと、90mmの軸方向長さとを有する。
【0203】
コントラスト要素210は、フィルム200の両縁部から周方向に60mm離れている。
【0204】
周方向におけるフィルム200の縁部からの上記所定の間隔値は5mmである。
【0205】
したがって、上記の第2の線形長さは65mmである。そのような値は、60mm(フィルム200の左縁部からのコントラスト要素210の距離)と5mm(フィルム200の左縁部からの所定の間隔値)との和として得られる。
【0206】
タイヤの半径方向内側面501の円周長さは2060mmである。
【0207】
第1のカメラ10は、反時計方向の回転であることを考慮すると、基準位置から285°の位置でコントラスト要素210を検出する。
【0208】
フィルム200の周方向の長さ(120mm)と、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さ(2060)とは分かっているので、制御ユニット50は、コントラスト要素210が検出されたときに第1のカメラ10が移動した周方向距離を以下の式:2060×285\360=1630.8mmにより計算する。そのような値は上記の第1の線形長さに相当する。
【0209】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、フィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から1630.8+65=1695.8mm離れたターゲット領域150に第1の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御し、この1695.8mmは、上記の第1の線形長さと上記の第2の線形長さとの和である。
【0210】
制御ユニット50はまた、実施例1で上記に説明したのと同じロジックに従って、各さらなる騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501上で、それぞれのターゲット領域150ごとに接着されるべき、基準位置に対する周方向距離を計算する。
【0211】
実施例4
実施例3に対する唯一の相違は、検出部分200bが、送り方向Aに沿って主要部分200aに対して上流に配置された(すなわち、
図6に示す位置に対して時計方向に90°だけ回転した)状態で、フィルム200がタイヤ500の半径方向内側面501に接着されることである。
【0212】
コントラスト要素210は、フィルム200の右縁部から5mm離れ、フィルム200の左縁部から85mm離れている。
【0213】
この場合に、上記の第2の線形長さは90mmである。そのような値は、85mm(フィルム200の左縁部からのコントラスト要素210の距離)と5mm(フィルム200の左縁部からの所定の間隔値)との和として得られる。
【0214】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、フィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から1032.9+85+5=1122.9mmだけ離れたターゲット領域150に第1の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御し、この1122.9mmは、上記の第1の線形長さと、フィルム200の左縁部からのコントラスト要素210の距離と、フィルム200の縁部からの上記所定の間隔値との和である。
【0215】
制御ユニット50はまた、実施例1で上記に説明したのと同じロジックに従って、各さらなる騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501上で、それぞれのターゲット領域150ごとに接着されるべき、基準位置に対する周方向距離を計算する。
【0216】
実施例5
タイヤ500は、互いから周方向に離間した2つのサービス領域250を有し、各サービス領域250にはそれぞれフィルム200が配置される。
【0217】
各フィルム200は、検出部分200bが送り方向Aに沿って主要部分200aに対して平行になった状態で、すなわち、
図6のフィルム200と同様に配置される。
【0218】
第1の騒音低減要素は、反時計方向の回転であることを考慮すると、第1のサービス領域に配置されたフィルム200のすぐ下流に貼り付けられなければならない。
【0219】
各フィルム200は、120mmの周方向長さと、90mmの軸方向長さとを有する。
【0220】
コントラスト要素210は、それぞれのフィルム200の両縁部から周方向に60mm離れている。
【0221】
周方向における各フィルム200の縁部からの上記所定の間隔値は5mmである。
【0222】
したがって、上記の第2の線形長さは65mmである。そのような値は、60mm(それぞれのフィルム200の左縁部からのコントラスト要素210の距離)と5mm(それぞれのフィルム200の左縁部からの所定の間隔値)との和として得られる。
【0223】
タイヤの半径方向内側面501の円周長さは2060mmである。
【0224】
各騒音低減要素100は、220mmの周方向長さを有する。
【0225】
第1のカメラ10は、反時計方向の回転であることを考慮すると、基準位置から120°の位置にある第1のサービス領域に配置されたフィルム200上のコントラスト要素210を検出する。
【0226】
第1のカメラ10は、反時計方向の回転であることを考慮すると、基準位置から275°の位置にある第2のサービス領域に配置されたフィルム200上のコントラスト要素210を検出する。
【0227】
フィルム200の周方向の長さ(120mm)と、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さ(2060mm)とは分かっているので、制御ユニット50は、第1のサービス領域に配置されたフィルム200上にあるコントラスト要素210が検出されたときに、第1のカメラ10が移動した周方向距離を以下の式:2060×120\360=686.6mmにより計算する。そのような値は、第1のサービス領域に配置されたフィルム200に関する上記の第1の線形長さに相当する。
【0228】
制御ユニット50はまた、第2のサービス領域に配置されたフィルム200上にあるコントラスト要素210が検出されたときに、第1のカメラ10が移動した周方向距離を以下の式:2060×275\360=1573.6mmにより計算する。そのような値は、第2のサービス領域に配置されたフィルム200に関する上記の第1の線形長さに相当する。
【0229】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、理論上、第1のサービス領域に配置されたフィルム200のすぐ下流に第1の騒音低減要素を接着することができる、基準位置に対する距離を686.6mmと65mmとの和として計算し、この和は、第1のサービス領域に配置されたフィルム200に対応する上記第1の線形長さと上記第2の線形長さとの和である。そのような距離は、686.6+65=751.6mmである。
【0230】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、理論上、上記の第1の騒音低減要素の下流で、第2のサービス領域に配置されたフィルム200のすぐ上流にさらなる騒音低減要素100を接着することができる、基準位置に対する距離を1573.6mmと65mmとの差として計算し、この差は、第2のサービス領域に配置されたフィルム200に対応する上記第1の線形長さと上記第2の線形長さとの差である。そのような距離は1508.6mmである。
【0231】
制御ユニット50は、整数個の騒音低減要素100をそれぞれのターゲット領域150に接着するために、2つのサービス領域250の間で利用できる空き領域の長さを計算する。そのような長さは、1508.6mmと751.6mmとの差として計算され、757mmである。
【0232】
上記の空き領域に接着できる騒音低減要素100の個数(整数)は、下記のように計算される。
【0233】
騒音低減要素100を上記の空き領域に等間隔に配置したい場合に、上記の個数(整数)は、2つのサービス領域250の間で利用できる空き領域(757mm)を各騒音低減要素100の周方向の長さ(220mm)で除することで得られる。以下の式:757/220=3.4が該当する。騒音低減要素100の値3.4に対する整数分は3である。したがって、2つのサービス領域250間に3つの等間隔に離間した騒音低減要素100を接着することが可能である。
【0234】
制御ユニット50は、半径方向内側面501のうちの2つのサービス領域250の間に画定される、騒音低減要素100を有さない部分の総計長さを以下の式:757-(220×3)=97mm(3つの騒音低減要素100を接着するための、2つのサービス領域250の間で利用可能な空き領域と、上記の3つの騒音低減要素100の周方向長さの和との間の差)によって計算する。
【0235】
制御ユニット50は、半径方向内側面501のうちの2つのサービス領域250の間に画定される、騒音低減要素100を有さない部分の総計長さ(97mm)を、半径方向内側面501の上記の部分にある空き間隙の数量(2つの空き領域)で除して、2つの周方向に隣接する騒音低減要素100の間の周方向距離、及び各2つのサービス領域250と、周方向に隣接する騒音低減要素100との間の周方向距離を計算する。そのような周方向距離は97/2=48.5mmである。
【0236】
したがって、制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、第1の騒音低減要素が、第1のサービス領域に配置されたフィルム200の下流で実際に接着されるべき、基準位置に対する周方向距離を686.6mm(第1のサービス領域に配置されたフィルム200に対応する第1の線形長さ)と65mm(第2の線形長さ)との和として計算する。そのような距離は、868.6+65=751.6mmである。
【0237】
したがって、制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、第1のサービス領域に配置されたフィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から751.6mm離れたターゲット領域150に第1の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御する。
【0238】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、騒音低減要素100(第2の騒音低減要素として下記に示す)が、上記第1の騒音低減要素の下流で接着され得る、基準位置に対する周方向距離を、751.6mm(基準位置に対する第1の騒音低減要素の周方向距離)と220mm(第1の騒音低減要素の周方向の長さ)と48.5mm(接着される第1の騒音低減要素と、接着される第2の騒音低減要素との間の周方向距離)との和として計算する。そのような距離は、751.6+220+48.5=1020.1mmである。
【0239】
したがって、制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、第1のサービス領域に配置されたフィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から1020.1mm離れたターゲット領域150に第2の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御する。
【0240】
制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、騒音低減要素100(第3の騒音低減要素として下記に示す)が、上記第2の騒音低減要素の下流で接着され得る、基準位置に対する周方向距離を1020.1mm(基準位置に対する第2の騒音低減要素の周方向距離)と220mm(第2の騒音低減要素の周方向の長さ)と48.5mm(接着される第2の騒音低減要素と、接着される第3の騒音低減要素との間の周方向距離)との和として計算する。そのような距離は、1020.1+220+48.5=1288.6mmである。
【0241】
したがって、制御ユニット50は、反時計方向の回転であることを考慮すると、第1のサービス領域に配置されたフィルム200の下流のタイヤ500の半径方向内側面501上で、上記の基準位置から1288.6mm離れたターゲット領域150に第3の騒音低減要素が接着されるように把持部材30を制御する。
【0242】
制御ユニット50はまた、以下の処理及び以下の計算によって、各さらなる騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501上で、それぞれのターゲット領域150ごとに接着され得る、基準位置に対する周方向距離を計算する。
【0243】
タイヤ500の半径方向内側面501のうちのさらなる騒音低減要素100が接着されるべき部分の周方向の長さは、タイヤ500の半径方向内側面501の円周長さと、第1の2つのサービス領域250の間の周方向距離、各第1の2つのサービス領域250の周方向の長さ、及び周方向における各2つのフィルム200の縁部からの所定の間隔値の和との差として得られる。したがって、計算は、2060-(757+5+5+120+120)=1053mmとなる。
【0244】
タイヤ500の半径方向内側面501の上記の部分に接着される騒音低減要素100の数量は、タイヤの500の半径方向内側面501のうちのさらなる騒音低減要素100が接着されるべき部分の周方向の長さを、各騒音低減要素100の周方向の長さで除することで得られる。したがって、計算は、1053/220=4.7となる。
【0245】
値4.8に対する整数分は4である。したがって、4つのさらなる騒音低減要素100が、タイヤ500の半径方向内側面501の上記の部分に接着される。
【0246】
タイヤ500の半径方向内側面501のうちの4つの騒音低減要素100が接着されるべき部分で、騒音低減要素100を有さない部分の総計長さは、タイヤ500の半径方向内側面501のうちの4つの騒音低減要素100が接着されるべき部分の周方向の長さと、接着される4つの騒音低減要素100の周方向の長さとの間の減算として得られる。したがって、計算は、1053-(220×4)=173mmとなる。
【0247】
サービス領域250と、周方向に隣接する騒音低減要素100との間の周方向距離、及び騒音低減要素100と、別の周方向に隣接する騒音低減要素100との間の周方向距離は、タイヤ500の半径方向内側面501のうちの4つの騒音低減要素100が接着されるべき部分で、騒音低減要素100を有さない部分の総計長さを、タイヤ500の半径方向内側面501の上記の部分にある空き領域数で除算することで得られる。したがって、計算は、173/5=34.6mmとなる。
【0248】
さらなる4つの騒音低減要素100のうちの1番目のもの、すなわち、第1のサービス領域から4番目の騒音低減要素が、反時計方向の回転であることを考慮すると、第2のサービス領域の下流で接着されるべき、基準位置に対する周方向距離は、第2のサービス領域に配置されたフィルム200にあるコントラスト要素210が検出されたときに、第1のカメラ10が移動した周方向距離、及び第2のサービス領域と、接着される上記の4番目の騒音低減要素との間の周方向距離の和として得られる。したがって、計算は、1573.6+34.6=1608.2mmとなる。
【0249】
さらなる4つの騒音低減要素100のうちの2番目のもの、すなわち、第1のサービス領域から5番目の騒音低減要素が、反時計方向の回転であることを考慮すると、第2のサービス領域の下流で接着されるべき、基準位置に対する周方向距離は、上記4番目の騒音低減要素の基準位置に対する周方向距離、上記4番目の騒音低減要素の周方向の長さ、及び接着される4番目の騒音低減要素と、接着される上記5番目の騒音低減要素との間の周方向距離の和として得られる。したがって、計算は、1608.2+220+34.6=1862.8mmとなる。
【0250】
さらなる4つの騒音低減要素100のうちの3番目のもの、すなわち、第1のサービス領域から6番目の騒音低減要素が、反時計方向の回転であることを考慮すると、第2のサービス領域の下流で接着されるべき、基準位置に対する周方向距離は、上記5番目の騒音低減要素の基準位置に対する周方向距離、上記5番目の騒音低減要素の周方向の長さ、及び接着される5番目の騒音低減要素と、接着される上記6番目の騒音低減要素との間の周方向距離の和として得られる。したがって、計算は、1862.8+220+34.6=2117.4mmとなる。
【0251】
さらなる4つの騒音低減要素100のうちの4番目のもの、すなわち、第1のサービス領域から7番目の騒音低減要素が、反時計方向の回転であることを考慮すると、第2のサービス領域の下流で接着されるべき、基準位置に対する周方向距離は、上記6番目の騒音低減要素の基準位置に対する周方向距離、上記6番目の騒音低減要素の周方向の長さ、及び接着される6番目の騒音低減要素と、接着される上記7番目の騒音低減要素との間の周方向距離の和として得られる。したがって、計算は、2117.4+220+34.6=2372mmとなる。