(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】対象特有の菌血症転記を予測するための教師付き学習を使用するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20220630BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20220630BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220630BHJP
G16H 50/80 20180101ALI20220630BHJP
G06N 7/00 20060101ALI20220630BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220630BHJP
【FI】
G01N33/48 Z
G01N33/49 A
G01N33/68
G16H50/80
G06N7/00 150
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2019536843
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(86)【国際出願番号】 US2018012708
(87)【国際公開番号】W WO2018129413
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-25
(32)【優先日】2017-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510244570
【氏名又は名称】ザ ヘンリー エム.ジャクソン ファンデーション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディシン,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ショーベル, セス エー.
(72)【発明者】
【氏名】エルスター, エリック エー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシェ, ビバリー ジェイ.
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0024969(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0005189(US,A1)
【文献】特表2013-501215(JP,A)
【文献】特開2014-130629(JP,A)
【文献】特表2016-530529(JP,A)
【文献】特表2012-501181(JP,A)
【文献】国際公開第2015/073665(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0332430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/53,33/68,
G16H 50/20,50/80
G06N 7/00,20/20,
G06K 9/62,
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における菌血症転帰を予測するためのモデルを生成する方法であって、
複数の臨床パラメータの
複数の値の第1の
組と、複数の第1の対象と関連付けられた菌血症転帰とを記憶する訓練データベースを生成することと、
複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することと、
モデルパラメータの複数のサブセットの
各々に対して複数の分類アルゴリズムの各々を実行し、菌血症転帰の予測を生成することと、
前記菌血症転帰の予測に従って、前記複数の分類アルゴリズムの各々と関連付けられた性能メトリックを計算することと、
前記性能メトリックに従って、
前記複数の分類アルゴリズムから候補分類アルゴリズムを選択することと、
菌血症転帰を予測するためのモデルを出力することであって、前記モデルは、モデルパラメータの関連付けられたサブセットを伴う前記候補分類アルゴリズムを備える、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記訓練データベース内に記憶されているデータを前処理することをさらに含み、
前記前処理することは、
前記複数の臨床パラメータの
うちの少なくとも1つの
臨床パラメータの第1の値が欠落していることを判定することと、
欠落している前記複数の臨床パラメータの
うちの前記少なくとも1つの
臨床パラメータのための参照値を推定することと、
前記複数の臨床パラメータの
うちの前記少なくとも1つの
臨床パラメータの前記第1の値として前記参照値を前記訓練データベース内に記憶することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の変数選択アルゴリズムは、機械学習アルゴリズム、教師付き機械学習アルゴリズム、Grow-Shrinkアルゴリズム、Incremental Association Markov Blanketアルゴリズム、またはSemi-Interleaved Hiton-PCアルゴリズムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記分類アルゴリズムは、線形判別分析、分類および回帰ツリー、決定ツリー学習、ランダムフォレストモデル、最近傍、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、一般化線形モデル、ベイジアンモデル、またはニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記性能メトリックに従って
前記複数の分類アルゴリズムから候補分類アルゴリズムを選択することは、
各分類アルゴリズムを用いて決定曲線分析(DCA)を実行することであって、前記DCAは、前記分類アルゴリズムによって生成される菌血症転帰に基づいて処置を提供する
ことの純便益
に対して、対象が前記処置を選ぶ閾値確率の関数をプロットする、ことと、
前記処置を提供する
ことの最大純便益を有する前記分類アルゴリズムを前記候補分類アルゴリズムとして選択することと
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の分類アルゴリズムの性能を相互検証することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の分類アルゴリズムの各々と関連付けられる前記性能メトリックは、全アウトオブバッグ(OOB)誤差推定値、陽性分類OOB誤差推定値、陰性分類OOB誤差推定値、正確度スコア、またはカッパスコアのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の臨床パラメータは、1つまたは複数のバイオマーカ臨床パラメータ、1つまたは複数の血液製剤の投与臨床パラメータ、1つまたは複数の外傷重症度スコア臨床パラメータ、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記バイオマーカ臨床パラメータは、前記対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、前記対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、前記対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、前記対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、前記対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、前記対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-1β)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、前記対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、前記対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、前記対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、前記対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1ベータ(MIP-1β)のレベル、前記対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、前記対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、または、前記対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベルのうちの1つまたは複数を含み、
前記血液製剤の投与臨床パラメータは、前記対象に投与される全血球の量、前記対象に投与される赤血球(RBC)の量、前記対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、前記対象に投与される血小板の量、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、または、全濃厚RBCのレベルのうちの1つまたは複数を含み、
前記外傷重症度スコア臨床パラメータは、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、または皮膚のAISのうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対象の菌血症転帰を予測するための方法であって、
第2の対象
に関して、複数の臨床パラメータの
うちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信することと、
前記少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、前記第2の対象の菌血症転帰を予測するために前訓練されたモデルを実行することであって、前記モデルは、
前記複数の臨床パラメータの
複数の値の第1の
組と、複数の第1の対象と関連付けられた菌血症転帰とを記憶する訓練データベースを生成することと、
複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することと、
モデルパラメータの複数のサブセットの
各々に対して複数の分類アルゴリズムの各々を実行し、菌血症転帰の予測を生成することと、
前記菌血症転帰の予測に従って、前記複数の分類アルゴリズムの各々と関連付けられた性能メトリックを計算することと、
前記性能メトリックに従って、
前記複数の分類アルゴリズムから候補分類アルゴリズムを選択することと、
前記菌血症転帰を予測するためのモデルを出力することであって、前記モデルは、モデルパラメータの関連付けられたサブセットを伴う前記候補分類アルゴリズムを備える、ことと
を含む動作を実施することによって、前訓練されている、ことと、
前記第2の対象の前記予測された菌血症転帰を出力することと
を含む、方法。
【請求項11】
前記モデルを前訓練するための動作は、前記訓練データベース内に記憶されているデータを前処理することをさらに含み、
前記前処理することは、
前記複数の臨床パラメータの
うちの少なくとも1つの
臨床パラメータの第1の値が欠落していることを判定することと、
欠落している前記複数の臨床パラメータの
うちの前記少なくとも1つの
臨床パラメータのための参照値を推定することと、
前記複数の臨床パラメータの
うちの前記少なくとも1つの
臨床パラメータの前記第1の値として前記参照値を前記訓練データベース内に記憶することと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の変数選択アルゴリズムは、機械学習アルゴリズム、教師付き機械学習アルゴリズム、Grow-Shrinkアルゴリズム、Incremental Association Markov Blanketアルゴリズム、またはSemi-Interleaved Hiton-PCアルゴリズム、あるいは後退限のうちの少なくとも1つを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記分類アルゴリズムは、線形判別分析、分類および回帰ツリー、決定ツリー学習、ランダムフォレストモデル、最近傍、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、一般化線形モデル、ベイジアンモデル、またはニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記性能メトリックに従って
前記複数の分類アルゴリズムから候補分類アルゴリズムを選択することは、
各分類アルゴリズムを用いて決定曲線分析(DCA)を実行することであって、前記DCAは、前記分類アルゴリズムによって生成される菌血症転帰に基づいて処置を提供する
ことの純便益
に対して、対象が前記処置を選ぶ閾値確率の関数をプロットする、ことと、
前記処置を提供する
ことの最大純便益を有する前記分類アルゴリズムを前記候補分類アルゴリズムとして選択することと
をさらに含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の分類アルゴリズムの性能を相互検証することをさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の分類アルゴリズムの各々と関連付けられる前記性能メトリックは、全アウトオブバッグ(OOB)誤差推定値、陽性分類OOB誤差推定値、陰性分類OOB誤差推定値、正確度スコア、またはカッパスコアのうちの少なくとも1つを含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の臨床パラメータは、1つまたは複数のバイオマーカ臨床パラメータ、1つまたは複数の血液製剤の投与臨床パラメータ、1つまたは複数の外傷重症度スコア臨床パラメータ、またはこれらの組み合わせを含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記バイオマーカ臨床パラメータは、前記対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、前記対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、前記対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、前記対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、前記対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、前記対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-1β)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、前記対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、前記対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、前記対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、前記対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1ベータ(MIP-1β)のレベル、前記対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、前記対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、または、前記対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベルのうちの1つまたは複数を含み、
前記血液製剤の投与臨床パラメータは、前記対象に投与される全血球の量、前記対象に投与される赤血球(RBC)の量、前記対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、前記対象に投与される血小板の量、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、または、全濃厚RBCのレベルのうちの1つまたは複数を含み、
前記外傷重症度スコア臨床パラメータは、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、または皮膚のAISのうちの1つまたは複数を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象における菌血症転帰を予測するためのモデルを生成するためのシステムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
メモリと、
通信プラットフォームと、
複数の臨床パラメータの
複数の値の第1の
組と、複数の第1の対象と関連付けられた菌血症転帰とを記憶するように構成される訓練データベースと、
機械学習エンジンと
を備え、
前記機械学習エンジンは、
複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することと、
モデルパラメータの複数のサブセットの
各々に対して複数の分類アルゴリズムの各々を実行し、菌血症転帰の予測を生成することと、
前記菌血症転帰の予測に従って、前記複数の分類アルゴリズムの各々と関連付けられた性能メトリックを計算することと、
前記性能メトリックに従って、
前記複数の分類アルゴリズムから候補分類アルゴリズムを選択することと、
菌血症転帰を予測するためのモデルを出力することであって、前記モデルは、モデルパラメータの関連付けられたサブセットを伴う前記候補分類アルゴリズムを備える、ことと
を行うように構成される、システム。
【請求項20】
対象における菌血症転帰を予測するためのシステムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
メモリと、
通信プラットフォームと、
複数の臨床パラメータの
複数の値の第1の
組と、複数の第1の対象と関連付けられた菌血症転帰とを記憶するように構成される訓練データベースと、
対象の菌血症転帰のためのモデルを前訓練するように構成される機械学習エンジンであって、前記モデルは、
前記複数の臨床パラメータの
前記複数の値の第1の
組と、複数の第1の対象と関連付けられた菌血症転帰とを記憶する
前記訓練データベースを生成することと、
複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することと、
モデルパラメータの複数のサブセットの
各々に対して複数の分類アルゴリズムの各々を実行し、菌血症転帰の予測を生成することと、
前記菌血症転帰の予測に従って、前記複数の分類アルゴリズムの各々と関連付けられた性能メトリックを計算することと、
前記性能メトリックに従って、
前記複数の分類アルゴリズムから候補分類アルゴリズムを選択することと、
菌血症転帰を予測するためのモデルを出力することであって、前記モデルは、モデルパラメータの関連付けられたサブセットを伴う前記候補分類アルゴリズムを備える、ことと
を含む動作を実施することによって、前訓練されている、機械学習エンジンと、
予測エンジンであって、前記予測エンジンは、
第2の対象
に関して、複数の臨床パラメータの
うちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信することと、
前記少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、前記第2の対象の菌血症転帰を予測するために前記前訓練されたモデルを実行することと
を行うように構成される、予測エンジンと、
前記第2の対象の前記予測された菌血症転帰を出力するように構成されるディスプレイデバイスと
を備える、システム。
【請求項21】
対象における菌血症転帰を予測するためのモデルを生成するための非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読媒体は、その上に記憶された情報を有し、前記情報は、コンピュータによって読み取られると、
複数の臨床パラメータの
複数の値の第1の
組と、複数の第1の対象と関連付けられた菌血症転帰とを記憶する訓練データベースを生成する動作と、
複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択する動作と、
モデルパラメータの複数のサブセットの
各々に対して複数の分類アルゴリズムの各々を実行し、菌血症転帰の予測を生成する動作と、
前記菌血症転帰の予測に従って、前記複数の分類アルゴリズムの各々と関連付けられた性能メトリックを計算する動作と、
前記性能メトリックに従って、
前記複数の分類アルゴリズムから候補分類アルゴリズムを選択する動作と、
菌血症転帰を予測するためのモデルを出力する動作であって、前記モデルは、モデルパラメータの関連付けられたサブセットを伴う前記候補分類アルゴリズムを備える、動作と
を前記コンピュータに実施させる、非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年1月8日に出願された“PREDICTIVE BIOMARKERS FOR BACTEREMIA AND/OR PNEUMONIA”と題する米国仮出願番号第62/443,780号、および2017年1月12日に出願された”PREDICTIVE BIOMARKERS FOR BACTEREMIA AND/OR PNEUMONIAと題する米国仮出願番号第62/445,690号に基づく利益および優先権を主張しており、これら出願の全体の開示は、任意およびすべての目的のためにそれらの全体が本明細書中に援用される。
【0002】
連邦政府によって支援された研究または開発に関する陳述
本発明は、Uniformed Services Universityによって授与されたHT9404-13-1-0032および HU0001-15-2-0001の下、政府支援でなされた。政府は本発明において特定の権利を有する。
【0003】
分野
本明細書では、対象が、菌血症または菌血症と関連付けられる症状を有する、もしくは発症する危険性の増加を有するかどうかを判定するためのシステムおよび方法が、説明される。また、対象の菌血症転帰を予測するためのシステムおよび方法、対象における菌血症転帰を予測するためのモデルを生成するためのシステムおよび方法、菌血症に関して対象の危険プロファイルを判定するためのシステムおよび方法、対象が菌血症を発症するリスクの増加を有することを判定する方法、および菌血症を発症する危険性の上昇を有することが判定される対象を処置する方法、対象におけるバイオマーカのパネルを検出する方法、および損傷を有する対象において危険因子を査定する方法、ならびに関連デバイスおよびキットも説明される。
【背景技術】
【0004】
背景
院内感染症は、重病患者によく発生することである。実際、集中治療室(ICU)レベルの処置を要求する患者は、これらの病的合併症の3~5倍の増加を有する。これらの感染症は、外傷性損傷後の後期死亡の主な原因のままである。重病および重体患者に負担をかける最も一般的な合併症のうちの1つは、菌血症である。ICU患者の最大10%は、そのうちの多くが留置カテーテルに関連する、血流感染症を被る。
【0005】
ICU患者の後期処置への焦点の多くは、感染症の診断および管理を伴うが、予測および危険階層化について、あまり研究が行われていない。予防方略およびガイドラインが、現在、幅広く公開されているが、院内感染症を発症する患者の処置の多くは、後手の対応のままである。病室臨床医が、種々の感染合併症の危険性が最も高い患者を予測または識別することを可能にするであろうツールを有することは、より積極的な直接的予防法略を可能にし得る。実際、精密医療の最近の重視および現在の診断誤差率についての最近のInstitute of Medicineレポートは、ICU患者において予測および診断方法の時系列および正確度を改良する必要性が高いことを示唆している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本明細書では、その症状の検出に先立って、および/またはその任意の検出可能な症状の発症に先立って、菌血症転帰を予測するための方法と、関連処置方法とを含む、対象が、菌血症または菌血症と関連付けられる症状を有する、もしくは発症する危険性の増加を有するかどうかを判定するためのシステムおよび方法が、説明される。そのような早期検出および/または処置の利点は、敗血症の回避、膿胸の回避、換気支援の必要性の回避、入院もしくは集中治療室の滞在期間の短縮、および/または医療費の削減を含み得る。
【0007】
本開示はまた、随意に、個体における菌血症の知覚可能、顕著、または測定可能な兆候が存在する前等のその検出可能な症状の発症の前に、菌血症を発症する危険性の増加を有することが判定される個体を処置する方法も提供する。処置の実施例は、抗生物質療法の開始または拡大を含み得る。そのような早期処置の利益は、敗血症、膿胸、換気支援の必要性の回避、入院もしくは集中治療室の滞在期間の短縮、および/または医療費の削減を含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態によると、対象の菌血症転帰を予測するための方法が提供される。本方法は、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を受信するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の臨床パラメータの第1の値を複数の第1の対象の対応する菌血症転帰に関連付ける訓練データベースを生成するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択するステップであって、モデルパラメータの各サブセットの数は、複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表す、ステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、少なくとも1つの第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータの対応するサブセットおよび少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、選択された候補分類アルゴリズムを実行し、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を計算するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を出力するステップとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態によると、対象における菌血症転帰を予測するためのモデルを生成するための方法が提供される。本方法は、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を受信するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の臨床パラメータの第1の値を複数の第1の対象の対応する菌血症転帰に関連付ける訓練データベースを生成するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択するステップであって、モデルパラメータの各サブセットの数は、複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表す、ステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択するステップと、1つまたはそれを上回るプロセッサによって、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを出力するステップとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態によると、対象の菌血症転帰を予測するための方法が提供される。本方法は、第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信するステップと、第1の対象の少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、分類アルゴリズムを実行し、第1の対象に特有の菌血症転帰を予測するステップであって、分類アルゴリズムは、複数の変数選択アルゴリズムを使用し、複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することによって選択され、モデルパラメータのサブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、変数選択アルゴリズムは、複数の第1の対象の複数の臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を使用して実行され、分類アルゴリズムは、菌血症転帰を予測する分類アルゴリズムの能力を示す性能メトリックにさらに基づいて選択される、ステップと、第2の対象に特有の予測菌血症転帰を出力するステップとを含む。
【0011】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、対象は、爆風損傷、圧挫損傷、銃創、または四肢創傷等の菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する。
【0012】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、モデルパラメータの対応するサブセットを使用して、候補分類アルゴリズムによって生成される予測菌血症転帰は、(i)第2の対象が菌血症を有するという指標または(ii)第2の対象が菌血症を発症する危険性があるという指標のうちの少なくとも1つを含み、第1の対象毎に受信される菌血症転帰は、少なくとも1つの定量化された血液培養からの病原体の単離を通して診断される血液中の細菌の確認された存在に基づく。
【0013】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、各第1の対象は、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有し、値が第1の対象毎に受信される、臨床パラメータは、性別、年齢、損傷の日付、損傷の場所、腹部損傷の存在、損傷の機構、創傷深度、創傷表面積、創傷清拭の回数、関連付けられる損傷、創傷閉鎖のタイプ、創傷閉鎖の成功、輸血の要件、輸血される血液製剤の総数、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、頭部の簡易式外傷指数(AIS)、腹部のAIS、胸部(胸郭)のAIS、急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコア、対象からのサンプル中の臨界定着(CC)の存在、外傷性脳損傷の存在、外傷性脳損傷の重症度、入院期間、集中治療室(ICU)の滞在期間、人工呼吸器の装着日数、病院からの退院、院内感染症の発症、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、および対象からのサンプル中のエオタキシンのレベルから選択される少なくとも1つを含む。
【0014】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、値が第1の対象毎に受信される、臨床パラメータは、バイオマーカ臨床パラメータ、血液製剤の投与臨床パラメータ、または外傷重症度スコア臨床パラメータから選択される少なくとも1つを含む。
【0015】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、臨床パラメータは、対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-1β)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベル、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、対象に投与される全ての血液製剤の総和、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、または皮膚のAISのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、値が第1の対象毎に受信される、臨床パラメータは、Luminexプロテオームデータ、RNAseq、トランスクリプトームデータ、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)データ、および定量的細菌学データから選択される少なくとも1つを含む。
【0017】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、値が第2の対象毎に受信される、臨床パラメータは、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される少なくとも1つを含む。
【0018】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、候補分類アルゴリズムに対応するモデルパラメータのサブセットは、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される少なくとも2つを含む。
【0019】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、少なくとも1つの性能メトリックは、全アウトオブバッグ(OOB)誤差推定値、陽性分類OOB誤差推定値、陰性分類OOB誤差推定値、正確度スコア、またはカッパスコアのうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択するステップは、各分類アルゴリズムを用いて決定曲線分析(DCA)を実行することを含み、DCAは、分類アルゴリズムによって生成される菌血症転帰に基づいて処置を提供するという純便益を示し、処置を提供するという最大純便益を有する、分類アルゴリズムを選択する。
【0021】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、本方法は、DCAを使用し、少なくとも1つの第2の対象の予測菌血症転帰を規定危険閾値と比較して、処置の純便益を判定するステップを含むことができる。
【0022】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、候補分類アルゴリズムは、単純ベイズモデルである。
【0023】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、第1の対象毎に、第1の値が、少なくとも2つの臨床パラメータに関して受信され、第1の値は、単一の時点に対応する。
【0024】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、本方法は、値が受信される臨床パラメータの数が、訓練パラメータの数未満である、少なくとも1つの第1の対象を識別するステップと、インピュテーションアルゴリズムを実行し、値が受信されない少なくとも1つの第1の対象と関連付けられる臨床パラメータに対応する、訓練パラメータのうちの少なくとも1つの帰属値を生成するステップとを含むことができる。
【0025】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、複数の変数選択アルゴリズムは、inter.iambアルゴリズム、fast.iambアルゴリズム、iambアルゴリズム、gsアルゴリズム、mmpcアルゴリズム、またはsi.hiton.pcアルゴリズムのうちの少なくとも2つを含む。
【0026】
いくつかの実施形態によると、対象において菌血症転帰を予測するためのシステムが提供される。本システムは、1つまたはそれを上回るプロセッサと、メモリとを含む、処理回路と、ディスプレイデバイスとを含む。メモリは、訓練データベースと、機械学習エンジンと、予測エンジンとを含む。訓練データベースは、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を記憶するように構成される。機械学習エンジンは、複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択するように構成され、モデルパラメータの各サブセットの数は、複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表す。機械学習エンジンは、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成するように構成される。機械学習エンジンは、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択するように構成される。予測エンジンは、少なくとも1つの第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信するように構成される。機械学習は、モデルパラメータの対応するサブセットおよび少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、選択された候補分類アルゴリズムを実行し、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を計算する。ディスプレイデバイスは、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を表示する。
【0027】
いくつかの実施形態によると、対象において菌血症転帰を予測するためのモデルを生成するためのシステムが提供される。本システムは、1つまたはそれを上回るプロセッサと、メモリとを含む、処理回路を含む。メモリは、訓練データベースと、機械学習エンジンとを含む。訓練データベースは、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を記憶するように構成される。機械学習エンジンは、複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択し、モデルパラメータの各サブセットの数は、複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成し、モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算し、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択し、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを出力するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態によると、対象において菌血症転帰を予測するためのシステムが提供される。本システムは、1つまたはそれを上回るプロセッサと、メモリとを含む、処理回路と、ディスプレイデバイスとを含む。メモリは、第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信し、第2の対象の少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、分類アルゴリズムを実行し、第2の対象に特有の菌血症転帰を予測するように構成され、分類アルゴリズムは、複数の変数選択アルゴリズムを使用し、複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することによって選択され、モデルパラメータのサブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、変数選択アルゴリズムは、複数の第1の対象の複数の臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を使用して、実行され、分類アルゴリズムは、菌血症転帰を予測する分類アルゴリズムの能力を示す性能メトリックにさらに基づいて選択される、予測エンジンを含む。ディスプレイデバイスは、第2の対象に特有の予測菌血症転帰を出力するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態によると、1つまたはそれを上回るプロセッサによって実行されると、1つまたはそれを上回るプロセッサに、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を受信させ、複数の臨床パラメータの第1の値を複数の第1の対象の対応する菌血症転帰に関連付ける訓練データベースを生成させ、複数の変数選択アルゴリズムを実行させ、変数選択アルゴリズム毎に複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択させ、モデルパラメータの各サブセットの数は、複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行させ、モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成させ、モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算させ、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択させ、少なくとも1つの第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信させ、モデルパラメータの対応するサブセットおよび少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、選択された候補分類アルゴリズムを実行させ、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を計算させ、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を出力させる、その上に記憶されたコンピュータ実行可能命令を含む、非一過性のコンピュータ可読媒体が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態によると、1つまたはそれを上回るプロセッサによって実行されると、1つまたはそれを上回るプロセッサに、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を記憶させ、複数の変数選択アルゴリズムを実行させ、変数選択アルゴリズム毎に複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択させ、モデルパラメータの各サブセットの数は、複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行させ、モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成させ、モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算させ、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択させ、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを出力させる、その上に記憶されたコンピュータ実行可能命令を含む、非一過性のコンピュータ可読媒体が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態によると、1つまたはそれを上回るプロセッサによって実行されると、1つまたはそれを上回るプロセッサに、第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信させ、第2の対象の少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、分類アルゴリズムを実行させ、第2の対象に特有の菌血症転帰を予測させ、分類アルゴリズムは、複数の変数選択アルゴリズムを使用し、複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することによって選択され、モデルパラメータのサブセットは、モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、変数選択アルゴリズムは、複数の第1の対象の複数の臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を使用して実行され、分類アルゴリズムは、菌血症転帰を予測する分類アルゴリズムの能力を示す性能メトリックにさらに基づいて選択され、ディスプレイデバイスに、第2の対象に特有の予測菌血症転帰を出力させる、その上に記憶されたコンピュータ実行可能命令を含む、非一過性のコンピュータ可読媒体が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態によると、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において、随意に、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症の危険プロファイルを判定する方法が提供され、危険プロファイルは、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される1つまたはそれを上回る臨床パラメータに基づく、1つまたはそれを上回る成分を備える。本方法は、対象に関する1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、検出された臨床パラメータから対象の危険プロファイルの値を計算するステップとを含む。
【0033】
いくつかの実施形態によると、随意に、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象が、菌血症を発症する危険性の増加を有することを判定する方法が提供される。本方法は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、対象に関する1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、検出された臨床パラメータから対象の危険プロファイルの値を計算するステップと、対象の危険プロファイルの値を参照危険プロファイル値と比較するステップであって、参照危険プロファイル値と比較した対象の危険プロファイルの値の増加は、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す、ステップとを含む。
【0034】
いくつかの実施形態によると、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象を、菌血症に関して処置する方法が提供される。本方法は、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症に対する処置を対象に投与するステップを含み、対象は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータから計算される危険プロファイル値によって判定されるような菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている。
【0035】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照危険プロファイル値と比較した対象の危険プロファイル値の増加は、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す。
【0036】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照危険プロファイル値は、対象に関して前もって検出された臨床パラメータから計算される。
【0037】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照危険プロファイル値は、対象が損傷を有するときに対象に関して前もって検出された臨床パラメータから計算される。
【0038】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照危険プロファイル値は、参照対象が菌血症の検出可能な症状を有していなかったときに損傷を有する参照対象の集団に関して検出される臨床パラメータから計算される。
【0039】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、本方法は、対象における菌血症の検出可能な症状の発症に先立って行われる。
【0040】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、1つまたはそれを上回る臨床パラメータは、血清サンプルおよび創傷流出物から選択される対象からのサンプル中で検出される。
【0041】
いくつかの実施形態によると、損傷を有する対象においてバイオマーカのレベルを検出する方法が提供される。本方法は、対象からの1つまたはそれを上回るサンプル中で、IL-2RおよびMIGから選択される1つまたはそれを上回るバイオマーカのレベルを測定するステップを含む。本方法は、IL-2RおよびMIGのレベルを測定するステップを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態によると、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において危険因子を査定する方法が提供される。本方法は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る危険因子を査定するステップを含む。
【0043】
いくつかの実施形態によると、これらの方法のうちのいずれかを実施するためのキットが提供される。
【0044】
いくつかの実施形態によると、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において菌血症を処置するための抗生物質が提供され、対象は、これらの方法のうちのいずれかに従って判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている。
【0045】
いくつかの実施形態によると、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において菌血症を処置するための薬剤の調製における抗生物質の使用が提供され、対象は、これらの方法のうちのいずれかによって判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
対象の菌血症転帰を予測するための方法であって、
1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を受信するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、前記複数の臨床パラメータの第1の値を前記複数の第1の対象の対応する菌血症転帰に関連付ける訓練データベースを生成するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択するステップであって、モデルパラメータの各サブセットの数は、前記複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、前記モデルパラメータのサブセットと前記対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表す、ステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、前記モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける前記分類アルゴリズムおよび前記モデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、前記候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、少なくとも1つの第2の対象に関して、前記複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、前記モデルパラメータの対応するサブセットおよび前記少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、前記選択された候補分類アルゴリズムを実行し、前記少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を計算するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、前記少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を出力するステップと
を含む、方法。
(項目2)
対象における菌血症転帰を予測するためのモデルを生成するための方法であって、
1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を受信するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、前記複数の臨床パラメータの第1の値を前記複数の第1の対象の対応する菌血症転帰に関連付ける訓練データベースを生成するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択するステップであって、モデルパラメータの各サブセットの数は、前記複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、前記モデルパラメータのサブセットと前記対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表す、ステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、前記モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける前記分類アルゴリズムおよび前記モデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、前記候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択するステップと、
前記1つまたはそれを上回るプロセッサによって、前記候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを出力するステップと
を含む、方法。
(項目3)
対象の菌血症転帰を予測するための方法であって、
第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信するステップと、
前記第1の対象の少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、分類アルゴリズムを実行し、前記第1の対象に特有の菌血症転帰を予測するステップであって、前記分類アルゴリズムは、複数の変数選択アルゴリズムを使用し、前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することによって選択され、前記モデルパラメータのサブセットは、前記モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、前記変数選択アルゴリズムは、複数の第1の対象の複数の臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を使用して実行され、前記分類アルゴリズムは、菌血症転帰を予測する前記分類アルゴリズムの能力を示す性能メトリックにさらに基づいて選択される、ステップと、
前記第2の対象に特有の予測菌血症転帰を出力するステップと
を含む、方法。
(項目4)
前記対象は、爆風損傷、圧挫損傷、銃創、または四肢創傷等の菌血症を発症する危険に前記対象をさらす損傷を有する、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記モデルパラメータの対応するサブセットを使用して、前記候補分類アルゴリズムによって生成される前記予測菌血症転帰は、(i)前記第2の対象が菌血症を有するという指標または(ii)前記第2の対象が菌血症を発症する危険性があるという指標のうちの少なくとも1つを含み、
第1の対象毎に受信される前記菌血症転帰は、少なくとも1つの定量化された血液培養からの病原体の単離を通して診断される血液中の細菌の確認された存在に基づく、項目1または3のいずれかに記載の方法。
(項目6)
各第1の対象は、菌血症を発症する危険に前記対象をさらす損傷を有し、値が第1の対象毎に受信される、前記臨床パラメータは、性別、年齢、損傷の日付、損傷の場所、腹部損傷の存在、損傷の機構、創傷深度、創傷表面積、創傷清拭の回数、関連付けられる損傷、創傷閉鎖のタイプ、創傷閉鎖の成功、輸血の要件、輸血される血液製剤の総数、前記対象に投与される全血球の量、前記対象に投与される赤血球(RBC)の量、前記対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、前記対象に投与される血小板の量、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、頭部の簡易式外傷指数(AIS)、腹部のAIS、胸部(胸郭)のAIS、急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコア、前記対象からのサンプル中の臨界定着(CC)の存在、外傷性脳損傷の存在、外傷性脳損傷の重症度、入院期間、集中治療室(ICU)の滞在期間、人工呼吸器の装着日数、病院からの退院、院内感染症の発症、前記対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン-10(IL-10)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン-3(IL-3)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン-6(IL-6)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン-7(IL-7)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン-8(IL-8)のレベル、前記対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、前記対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、および前記対象からのサンプル中のエオタキシンのレベルから選択される少なくとも1つを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
各第1の対象は、菌血症を発症する危険に前記対象をさらす損傷を有し、値が第1の対象毎に受信される、前記臨床パラメータは、バイオマーカ臨床パラメータ、血液製剤の投与臨床パラメータ、または外傷重症度スコア臨床パラメータから選択される少なくとも1つを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記臨床パラメータは、前記対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、前記対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、前記対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、前記対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、前記対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、前記対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-1β)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、前記対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、前記対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、前記対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、前記対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、前記対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、前記対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、前記対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、または前記対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベル、前記対象に投与される全血球の量、前記対象に投与される赤血球(RBC)の量、前記対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、前記対象に投与される血小板の量、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、または全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、または皮膚のAISのうちの少なくとも1つを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
値が第1の対象毎に受信される、前記臨床パラメータは、Luminexプロテオームデータ、RNAseq、トランスクリプトームデータ、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)データ、および定量的細菌学データから選択される少なくとも1つを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
値が第2の対象毎に受信される、前記臨床パラメータは、前記対象からのサンプル中のCCの存在、前記対象に投与される全RBCのレベル、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、前記対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および前記対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される少なくとも1つを含む、項目1または3~9のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記候補分類アルゴリズムに対応する前記モデルパラメータのサブセットは、前記対象からのサンプル中のCCの存在、前記対象に投与される全RBCのレベル、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、前記対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および前記対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される少なくとも2つを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記モデル性能スコアは、全アウトオブバッグ(OOB)誤差推定値、陽性分類OOB誤差推定値、陰性分類OOB誤差推定値、正確度スコア、またはカッパスコアのうちの少なくとも1つに基づく、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを選択するステップは、各分類アルゴリズムを用いて決定曲線分析(DCA)を実行することを含み、前記DCAは、前記分類アルゴリズムによって生成される菌血症転帰に基づいて処置を提供するという純便益を示し、前記処置を提供するという最大純便益を有する、前記分類アルゴリズムを選択する、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記DCAを使用し、前記少なくとも1つの第2の対象の予測菌血症転帰を規定危険閾値と比較して、前記処置の純便益を判定するステップをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記候補分類アルゴリズムは、単純ベイズモデルである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
第1の対象毎に、第1の値が、少なくとも2つの臨床パラメータに関して受信され、前記第1の値は、単一の時点に対応する、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
値が受信される臨床パラメータの数が、前記訓練パラメータの数未満である、少なくとも1つの第1の対象を識別するステップと、
インピュテーションアルゴリズムを実行し、値が受信されない前記少なくとも1つの第1の対象と関連付けられる臨床パラメータに対応する、前記訓練パラメータのうちの少なくとも1つの帰属値を生成するステップと
をさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記複数の変数選択アルゴリズムは、inter.iambアルゴリズム、fast.iambアルゴリズム、iambアルゴリズム、gsアルゴリズム、mmpcアルゴリズム、またはsi.hiton.pcアルゴリズムのうちの少なくとも2つを含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
対象において菌血症転帰を予測するためのシステムであって、
1つまたはそれを上回るプロセッサと、メモリとを備える、処理回路であって、前記メモリは、
複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を記憶する訓練データベースと、
機械学習エンジンであって、
複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択し、モデルパラメータの各サブセットの数は、前記複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、前記モデルパラメータのサブセットと前記対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、
モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、前記モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成し、
モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける前記分類アルゴリズムおよび前記モデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算し、
候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、前記候補分類アルゴリズムおよび前記モデルパラメータの対応するサブセットを選択する、
ように構成される、機械学習エンジンと、
予測エンジンであって、
少なくとも1つの第2の対象に関して、前記複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信し、
前記モデルパラメータの対応するサブセットおよび前記少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、前記選択された候補分類アルゴリズムを実行し、前記少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を計算する、
ように構成される、予測エンジンと
を備える、処理回路と、
前記少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症の予測転帰を表示するように構成される、ディスプレイデバイスと
を備える、システム。
(項目20)
対象において菌血症転帰を予測するためのモデルを生成するためのシステムであって、
1つまたはそれを上回るプロセッサと、メモリとを備える、処理回路であって、前記メモリは、
複数の第1の対象毎に、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を記憶する、訓練データベースと、
機械学習エンジンであって、
複数の変数選択アルゴリズムを実行し、変数選択アルゴリズム毎に前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択し、モデルパラメータの各サブセットの数は、前記複数の臨床パラメータの数未満であり、モデルパラメータの各サブセットは、前記モデルパラメータのサブセットと前記対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、
モデルパラメータのサブセット毎に、分類アルゴリズムを実行し、前記モデルパラメータのサブセットに基づいて、菌血症転帰の予測を生成し、
モデルパラメータの各対応するサブセットに基づいて実行される分類アルゴリズム毎に、菌血症転帰を予測することにおける前記分類アルゴリズムおよび前記モデルパラメータの対応するサブセットの性能のレベルを示す、少なくとも1つの性能メトリックを計算し、
候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットの少なくとも1つの性能メトリックに基づいて、前記候補分類アルゴリズムおよび前記モデルパラメータの対応するサブセットを選択し、
前記候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットを出力する、
ように構成される、機械学習エンジンと
を備える、処理回路を備える、システム。
(項目21)
対象において菌血症転帰を予測するためのシステムであって、
1つまたはそれを上回るプロセッサと、メモリとを備える、処理回路であって、前記メモリは、
予測エンジンであって、
第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信し、
前記第2の対象の少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、分類アルゴリズムを実行し、前記第2の対象に特有の菌血症転帰を予測し、前記分類アルゴリズムは、複数の変数選択アルゴリズムを使用し、前記複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することによって選択され、前記モデルパラメータのサブセットは、前記モデルパラメータのサブセットと対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を示す、ベイジアンネットワークのノードを表し、前記変数選択アルゴリズムは、複数の第1の対象の複数の臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を使用して実行され、前記分類アルゴリズムは、菌血症転帰を予測する前記分類アルゴリズムの能力を示す性能メトリックにさらに基づいて選択される、
ように構成される、予測エンジンを備える、処理回路と、
前記第2の対象に特有の予測菌血症転帰を出力するように構成される、ディスプレイデバイスと
を備える、システム。
(項目22)
菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において、随意に、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症の危険プロファイルを判定する方法であって、前記危険プロファイルは、前記対象からのサンプル中のCCの存在、前記対象に投与される全RBCのレベル、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、前記対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および前記対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される1つまたはそれを上回る臨床パラメータに基づく、1つまたはそれを上回る成分を備え、
前記対象に関する前記1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、
前記検出された臨床パラメータから前記対象の危険プロファイルの値を計算するステップと
を含む、方法。
(項目23)
随意に、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象が、菌血症を発症する危険性の増加を有することを判定する方法であって、
前記対象からのサンプル中のCCの存在、前記対象に投与される全RBCのレベル、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、前記対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および前記対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、前記対象に関する1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、
前記検出された臨床パラメータから前記対象の危険プロファイルの値を計算するステップと、
前記対象の危険プロファイルの値を参照危険プロファイル値と比較するステップであって、前記参照危険プロファイル値と比較した前記対象の危険プロファイルの値の増加は、前記対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す、ステップと
を含む、方法。
(項目24)
その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症に対する処置を前記対象に投与するステップを含む、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象を、菌血症に関して処置する方法であって、前記対象は、前記対象からのサンプル中のCCの存在、前記対象に投与される全RBCのレベル、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、前記対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および前記対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータから計算される危険プロファイル値によって判定されるような菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている、方法。
(項目25)
前記参照危険プロファイル値と比較した前記対象の危険プロファイル値の増加は、前記対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す、項目22~24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記参照危険プロファイル値は、前記対象に関して前もって検出された臨床パラメータから計算される、項目22~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記参照危険プロファイル値は、前記対象が前記損傷を有するときに前記対象に関して前もって検出された臨床パラメータから計算される、項目22~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記参照危険プロファイル値は、損傷を有する参照対象の集団に関して検出される臨床パラメータから計算される、項目22~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記参照危険プロファイル値は、前記参照対象が菌血症の検出可能な症状を有していなかったときに損傷を有する参照対象の集団に関して検出される臨床パラメータから計算される、項目22~25または28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記方法は、前記対象における菌血症の検出可能な症状の発症に先立って行われる、項目22~29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
1つまたはそれを上回る臨床パラメータは、血清サンプルおよび創傷流出物から選択される前記対象からのサンプル中で検出される、項目22~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
対象からの1つまたはそれを上回るサンプル中で、IL-2RおよびMIGから選択される1つまたはそれを上回るバイオマーカのレベルを測定するステップを含む、損傷を有する前記対象においてバイオマーカのレベルを検出する方法。
(項目33)
前記方法は、IL-2RおよびMIGのレベルを測定するステップを含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において危険因子を査定する方法であって、前記対象からのサンプル中のCCの存在、前記対象に投与される全RBCのレベル、前記対象に投与される全ての血液製剤の総和、前記対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および前記対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る危険因子を査定するステップを含む、方法。
(項目35)
項目22~34のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキット。
(項目36)
その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において菌血症を処置するための抗生物質であって、前記対象は、項目24に記載の方法によって判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている、抗生物質。
(項目37)
その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において菌血症を処置するための薬剤の調製における抗生物質の使用であって、前記対象は、項目24に記載の方法によって判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている、抗生物質の使用。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、本明細書に説明されるような対象特有の菌血症転帰を予測するための臨床転帰予測システム(「COPS」)の実施形態のブロック図を図示する。
【0047】
【
図2】
図2は、本明細書に説明されるようなベイジアンネットワークの実施形態、およびモデルパラメータと菌血症転帰との間の条件付き従属的関係を示すためのベイジアンネットワークのノードを表すモデルパラメータであって、
図1のCOPSを使用して選択されるモデルパラメータを図示する。
【0048】
【
図3】
図3は、
図1のCOPSを使用して選択されるモデルパラメータを使用して生成される、ランダムフォレストモデルからの決定ツリーの実施形態を図示する。
【0049】
【
図4】
図4は、候補分類アルゴリズムおよび
図1のCOPSによって選択されるようなベイジアンネットワークの対応するモデルパラメータの性能メトリックのチャートの実施形態を図示する。
【0050】
【
図5】
図5は、候補分類アルゴリズムおよび
図1のCOPSによって選択されるようなベイジアンネットワークの対応するモデルパラメータの決定曲線分析の実施形態を図示する。
【0051】
【
図6】
図6は、本明細書に説明されるような対象特有の菌血症転帰を予測するための方法の実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
定義
本明細書で使用される技術および科学用語は、別様に定義されない限り、本開示が関連する当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0053】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、単数形のみを指定するように明示的に記述されない限り、単数および複数の両方を指定する。
【0054】
本明細書で使用されるような用語「投与する(administer)」、「投与(administration)」、および「投与すること(administering)」は、(1)医療専門家またはその委任代理人のいずれかによって、もしくはその指導の下で等、提供する、与える、投薬する、および/または処方すること、ならびに(2)医療専門家または対象によって等、入れる、服用する、または消費することを指し、別様に記述されない限り、いかなる具体的投薬形態または投与経路にも限定されない。
【0055】
本明細書で使用されるような用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、または「処置(treatment)」は、菌血症が「治癒した」(curedまたはhealed)と見なされるかどうか、および全ての症状が消散されているかどうかにかかわらず、菌血症もしくはその1つまたはそれを上回る症状を軽減する、寛解する、または改善することを含む。本用語はまた、菌血症もしくはその1つまたはそれを上回る症状の進行を低減または予防すること、菌血症もしくはその1つまたはそれを上回る症状の基礎的機構を妨害または予防すること、ならびに任意の処置および/または予防利益を達成することも含む。
【0056】
本明細書で使用されるように、「対象」、「患者」、または「検査対象」は、哺乳類、特に、ヒトまたはヒト以外の霊長類を示す。検査対象は、菌血症に対する素因の査定を必要とする場合とそうではない場合がある。いくつかの実施形態では、検査対象は、白血球(WBC)数、絶対好中球数(ANC)、絶対帯域数(ABC)、赤血球沈降速度(ESR)、C-反応性タンパク質(CRP)レベル、プロカルシトニンレベル、検尿および尿培養、下痢がある小児の便検査、血漿クリアランス率、腰椎穿刺および脳脊髄液(CSF)分析、ならびに血液培養のうちの1つまたはそれを上回るものによって等、対象の血液系中の細菌の存在の検出に先立って等、菌血症の症状の検出に先立って査定される。いくつかの実施形態では、検査対象は、白血球(WBC)数、絶対好中球数(ANC)、絶対帯域数(ABC)、赤血球沈降速度(ESR)、C-反応性タンパク質(CRP)レベル、プロカルシトニンレベル、検尿および尿培養、下痢がある小児の便検査、血漿クリアランス率、腰椎穿刺および脳脊髄液(CSF)分析、ならびに血液培養のうちの1つまたはそれを上回るものによって検出可能であり得るもの等の対象の血液系中の対象検出可能なレベルの細菌に先立って等、菌血症の任意の検出可能な症状の発症に先立って査定される。いくつかの実施形態では、検査対象は、任意のタイプの病気または症状の検出可能な症状を有していない。いくつかの実施形態では、検査対象は、限定されないが、尿路感染症、髄膜炎、心膜炎、心内膜炎、骨髄炎、および感染性関節炎等のウイルスまたは細菌感染症を有すること、気管支炎を有するまたは発症すること、内科外科または歯科手技を受けること、限定されないが、戦闘中に受けた創傷、爆風損傷、圧挫損傷、銃創、四肢創傷等の開放創または外傷を有すること、院内感染症に罹患すること、中心ライン留置または挿管等の医療介入を受けていること、糖尿病を有すること、HIVを有すること、血液透析を受けること、臓器移植手技を受けること(ドナーまたはレシピエント)、限定されないが、カルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤、IMDH阻害剤、および生物製剤またはモノクローナル抗体等のグルココルチコイドまたは任意の他の免疫抑制処置を受容すること等の菌血症を発症する危険に対象をさらす、損傷、状態、または創傷を有する。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に説明される方法の適用に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす状態を有していない。他の実施形態では、対象は、菌血症を発症する危険に対象をさらす状態を有する。
【0057】
用語「菌血症」は、当技術分野内であるように本明細書で使用され、対象の血液系中の細菌の存在を意味する。菌血症は、その診断の成功に先立って、任意の識別できる症状を有する場合とそうではない場合がある。菌血症の症状は、熱、速い心拍数、悪寒戦慄、低血圧、限定されないが、腹痛、吐き気、嘔吐、ならびに下痢等の胃腸の症状、速い呼吸、および/または混乱状態を含むが、それらに限定されない。十分に重症である場合、菌血症は、敗血症、重度の敗血症、および可能性として考えられる敗血症性ショックにつながり得る。故に、本明細書で使用されるような用語「菌血症」は、血液の非敗血症性細菌感染症ならびに敗血症性細菌血液感染症を含む。いくつかの実施形態では、処置または検査される菌血症は、敗血症、重度の敗血症、または敗血症性ショックではない。他の実施形態では、処置または検査される菌血症は、敗血症、重度の敗血症、または敗血症性ショックである。
【0058】
菌血症は、本開示の方法の適用中の任意の時点で診断され得るが、その必要はない。一実施形態では、菌血症診断検査は、本開示の方法の適用後に対象に実施される。菌血症を診断するが、その発症を予測しない、現在の方法は、限定されないが、白血球(WBC)数、絶対好中球数(ANC)、絶対帯域数(ABC)、赤血球沈降速度(ESR)、C-反応性タンパク質(CRP)レベル、プロカルシトニンレベル、検尿および尿培養、下痢がある小児の便検査、血漿クリアランス率、腰椎穿刺および脳脊髄液(CSF)分析、ならびに血液培養を含む。これらの診断手技のうちのいずれか1つは、対象が菌血症を現在有していないことを確認するように、本開示の方法を対象に適用することに先立って実施されることができる。加えて、または代替として、そのような菌血症診断手技は、本開示の方法を対象に適用した後に実施されてもよい。そのような「事後方法」菌血症診断手技は、任意の識別できる症状の発現の前に、菌血症の早期発症を監視することに有用であり得る。
【0059】
本明細書で使用されるように、用語「危険性の増加」または「危険性の上昇」は、検査対象が、正常または参照個体もしくは個体の集団と比較して菌血症を発症もしくは獲得する可能性の増加を有することを意味するために、使用される。いくつかの実施形態では、参照個体は、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷、状態、もしくは創傷を有することに先立つ、またはそのような損傷、状態、もしくは創傷を有した後のより早い時点を含む、より早い時点における検査対象である。危険性の増加は、相対的または絶対的であり得、定性的または定量的に表され得る。例えば、危険性の増加は、単純に、対象の危険プロファイルを判定し、以前の研究に基づいて、「危険性の増加」カテゴリに対象を入れるものとして表され得る。代替として、対象の危険性の増加の数値的表現は、危険プロファイルに基づいて判定され得る。本明細書で使用されるように、危険性の増加の表現の実施例は、限定されないが、可能性、確率、オッズ比、p値、寄与危険度、バイオマーカ指数スコア、相対頻度、正の予測値、負の予測値、および相対危険度を含む。危険性は、対象の菌血症転帰を予測することに基づいて判定され得る。例えば、予測菌血症転帰は、対象が菌血症を有するか、または菌血症を有していないかどうかという指標、対象が菌血症を有する、または菌血症を有していない可能性の指標、もしくは対象が菌血症に罹患するであろう可能性の指標を含み得る。
【0060】
例えば、対象の危険プロファイルと菌血症に罹患する可能性との間の相関は、オッズ比(OR)によって、かつ相対危険度(RR)によって測定され得る。P(R+)が、危険プロファイル(R)を伴う個体に関する菌血症を発症する確率であり、P(R-)が、危険プロファイルを伴わない個体に関する菌血症を発症する確率である場合には、相対危険度は、2つの可能性の比、すなわち、RR=P(R+)/P(R-)である。
【0061】
症例対照研究では、相対危険度の直接測定値は、多くの場合、サンプリング設計により、取得されることができない。オッズ比は、低発生率疾患の相対危険度の概算を可能にし、OR=(F+/(1-F+))/(F-/(1-F-))と計算されることができ、式中、F+は、症例対照研究における危険プロファイルの頻度であり、F-は、対照における危険プロファイルの頻度である。F+およびF-は、研究の危険プロファイル頻度を使用して計算されることができる。
【0062】
寄与危険度(AR)はまた、危険性の増加を表すために使用されることもできる。ARは、危険プロファイルの具体的要素に対する、菌血症を呈する集団内の個体の割合を説明する。ARはまた、個々の危険因子の公衆衛生影響の観点から、症状の病因における個々の構成要素(具体的要素)の役割を定量化することにおいて重要であり得る。AR測定の公衆衛生関連性は、プロファイルまたは個々の因子が存在しない場合に予防され得る、集団内の菌血症の症例の割合を推定することにある。ARは、以下のように判定され得、すなわち、AR=PE(RR-1)/(PE(RR-1)+1)であり、式中、ARは、プロファイルまたはプロファイルの個々の因子に起因する危険度であり、PEは、プロファイルまたは全体として集団内のプロファイルの個々の成分への暴露の頻度である。RRは、研究中のプロファイルまたはプロファイルの個々の因子が一般集団内で比較的低い発生率を有するときに、オッズ比を用いて概算され得る、相対危険度である。
【0063】
具体的プロファイルとの関連付けは、診断された菌血症の存在または不在とともに危険プロファイルを回帰させることによって、回帰分析を使用して実施されることができる。回帰は、1つまたはそれを上回る因子に関して補正または調節される場合とそうではない場合がある。分析が調節され得る因子は、限定されないが、年齢、性別、体重、民族、存在する場合は損傷のタイプ、地理的場所、絶食状態、妊娠または妊娠後の状態、月経周期、対象の一般健康、アルコールまたは薬物消費、カフェインまたはニコチン摂取、および概日リズムを含む。
【0064】
A. 因子、バイオマーカ、臨床パラメータ、および成分
用語「因子」、「危険因子」、および/または「成分」は、本明細書に説明される方法のうちのいずれかの実施に先立って、またはその間に、査定、検出、測定、受信、ならびに/もしく判定される、個々の構成要素を指すために使用される。便宜上、それらは、本明細書では臨床パラメータと称される。対象の臨床パラメータの実施例は、限定されないが、性別、年齢、損傷の日付、損傷の場所、腹部損傷の存在、損傷の機構、創傷深度、創傷表面積、創傷清拭の回数、関連付けられる損傷、創傷閉鎖のタイプ、創傷閉鎖の成功、輸血の要件、輸血される血液製剤の総数、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、頭部の簡易式外傷指数(AIS)、腹部のAIS、胸部(胸郭)のAIS、急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコア、対象からのサンプル中の臨界定着(CC)の存在、外傷性脳損傷の存在、外傷性脳損傷の重症度、入院期間、集中治療室(ICU)の滞在期間、人工呼吸器の装着日数、病院からの退院、院内感染症の発症、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、および対象からのサンプル中のエオタキシンのレベルのうちのいずれか1つまたはそれを上回るものを含む。
【0065】
臨床パラメータは、1つまたはそれを上回る生物学的エフェクタならびに/もしくは1つまたはそれを上回る非生物学的エフェクタを含み得る。本明細書で使用されるように、用語「生物学的エフェクタ」または「バイオマーカ」は、限定されないが、検定され得る、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂肪酸、核酸、糖タンパク質、プロテオグリカン等の分子を意味するために使用される。生物学的エフェクタの具体的実施例は、サイトカイン、成長因子、抗体、ホルモン、細胞表面受容体、細胞表面タンパク質、炭水化物等を含むことができる。生物学的エフェクタのより具体的な実施例は、IL-1α、IL-1β、IL-1受容体拮抗薬(IL-1RA)、IL-2、IL-2受容体(IL-2R)、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17等のインターロイキン(IL)、ならびに腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンアルファ(IFN-α)、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、上皮成長因子(EGF)、塩基性内皮成長因子(bEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、血管内皮成長因子(VEGF)等の成長因子、および単球走化性タンパク質-1(CCL2/MCP-1)、マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(CCL3/MIP-1α)、マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ(CCL4/MIP-1β)、CCL5/RANTES、CCL11/エオタキシン、ガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(CXCL9/MIG)ならびにインターフェロンガンマ誘導タンパク質-10(CXCL10/IP10)等のケモカインを含む。いくつかの実施形態では、生物学的エフェクタは、可溶性である。いくつかの実施形態では、生物学的エフェクタは、細胞表面受容体等の膜結合性である。いくつかの実施形態では、生物学的エフェクタは、血清、創傷流出物、および/または血漿等の対象の流体サンプル中で検出可能である。
【0066】
本明細書で使用されるように、用語「非生物学的エフェクタ」は、概して、具体的分子と見なされない、臨床パラメータである。具体的分子ではないが、非生物学的エフェクタは、それでもなお依然として、日常的測定を通して、または査定されているデータを階層化する測定を通してのいずれかで、定量化可能であり得る。例えば、赤血球、白血球、血小板の数または濃縮物、凝固時間、血液酸素含有量等は、危険プロファイルの非生物学的エフェクタ成分であろう。これらの成分の全ては、日常的方法および機器を使用して、測定可能または定量化可能である。他の非生物学的成分は、容易または日常的に定量化可能ではない場合がある、もしくは施術者の判断または意見を要求し得る、データを含む。例えば、創傷重症度は、危険プロファイルの成分であり得る。創傷重症度を分類することのガイダンスが公開され得るが、創傷重症度を階層化し、例えば、数値を重症度に割り当てることは、依然として、観察、およびある程度、判断または意見を伴う。ある事例では、非生物学的エフェクタに割り当てられる数量または測定は、2進数、例えば、不在である場合は「0」、または存在する場合は「1」であり得る。他の事例では、危険プロファイルの非生物学的エフェクタ側面は、定量化されることができない、またはされるべきではない、定性的成分を伴い得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、損傷の機構は、臨床パラメータである。本明細書で使用されるように、用語「損傷の機構」は、対象が損傷を受けた様式を意味し、3つのカテゴリのうちの1つ、すなわち、爆風損傷、圧挫損傷、銃創(GSW)のうちの1つに入り得る。爆風損傷は、爆発への直接または間接的暴露に起因する複雑なタイプの身体的外傷である。爆風損傷は、例えば、高次爆発物の爆発ならびに低次爆発物の爆燃とともに発生し得る。爆風損傷は、爆発が閉鎖空間内で起こるときに構成され得る。圧挫損傷は、身体の圧迫を引き起こす物体による損傷である。圧挫損傷は、自然災害後または意図的な攻撃からのある形態の外傷後に、よく見られる。GSWは、対象が銃器からの弾丸または他の種類の発射物によって撃たれたときに発生する損傷である。
【0068】
臨床パラメータのレベルは、対象から採取または単離されるサンプル中で検定、検出、測定、および/または判定されることができる。「サンプル」および「試験サンプル」は、本明細書では同義的に使用される。
【0069】
臨床パラメータの試験サンプルまたは源の実施例は、限定されないが、本明細書に説明される開示の方法によって検査され得る、対象または患者から単離される生物学的流体および/または組織を含み、限定されないが、全血、末梢血、血清、血漿、脳脊髄液、創傷流出物、尿、羊水、腹水、胸膜液、リンパ液、呼吸、腸、および尿生殖路の種々の外分泌物、涙、唾液、白血球、固形腫瘍、リンパ腫、白血病、骨髄腫、ならびにそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、サンプルは、血清サンプル、創傷流出物、または血漿サンプルである。
【0070】
いくつかの実施形態では、臨床パラメータは、バイオマーカ、血液製剤の投与、および外傷重症度スコアのうちの1つまたはそれを上回るものである。具体的実施形態では、対象の臨床パラメータは、表1で列挙される臨床パラメータのうちの1つまたはそれを上回るもの、2つまたはそれを上回るもの、3つまたはそれを上回るもの、4つまたはそれを上回るもの、5つまたはそれを上回るもの、6つまたはそれを上回るもの、7つまたはそれを上回るもの、8つまたはそれを上回るもの、9つまたはそれを上回るもの、10個またはそれを上回るもの、11個またはそれを上回るもの、12個またはそれを上回るもの、13個またはそれを上回るもの、14個またはそれを上回るもの、15個またはそれを上回るもの、16個またはそれを上回るもの、17個またはそれを上回るもの、18個またはそれを上回るもの、19個またはそれを上回るもの、20個またはそれを上回るもの、21個またはそれを上回るもの、22個またはそれを上回るもの、23個またはそれを上回るもの、24個またはそれを上回るもの、25個またはそれを上回るもの、26個またはそれを上回るもの、27個またはそれを上回るもの、28個またはそれを上回るもの、29個またはそれを上回るもの、30個またはそれを上回るもの、31個またはそれを上回るもの、32個またはそれを上回るもの、33個またはそれを上回るもの、34個またはそれを上回るもの、35個またはそれを上回るもの、36個またはそれを上回るもの、37個またはそれを上回るもの、38個またはそれを上回るもの、39個またはそれを上回るもの、40個またはそれを上回るもの、41個またはそれを上回るもの、42個またはそれを上回るもの、43個またはそれを上回るもの、44個またはそれを上回るもの、もしくは45個から選択される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0071】
本明細書に開示される方法の具体的実施形態では、臨床パラメータは、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのうちの1つまたはそれを上回るものから選択される。
【0072】
本明細書で使用されるように、用語「対象に投与される全ての血液製剤の総和」は、対象に投与される血液製剤の総量を反映する値を指す。血液製剤は、限定されないが、全血、血小板、赤血球、濃厚赤血球、および血清を含む。いくつかの実施形態では、本値は、出血後に対象を安定させるために必要とされる血液製剤の総量を反映する。安定化は、対象において達成される止血を指し、対象において出血または出血の完全な停止のいずれかの間の平衡状態を達成することとして定義される。
【0073】
インターロイキン-2受容体(IL-2R)は、IL-2を結合するヘテロ三量体タンパク質である。IL-2Rのアルファ鎖は、IL2RA遺伝子(Entrez遺伝子3559;UniProt:P01589)によってコード化される。IL-2Rのベータ鎖は、IL2RB遺伝子(Entrez遺伝子3560;UniProt:P14784)によってコード化される。IL-2Rのガンマ鎖は、IL2RG遺伝子によってコード化される(Entrez遺伝子3561;UniProt:P31785)。いくつかの実施形態では、IL-2Rは、可溶性IL-2Rである。いくつかの実施形態では、IL-2Rは、細胞膜結合性である。
【0074】
ガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)はまた、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド9(CXCL9)としても公知であり、T細胞を化学誘引するようにインターフェロンガンマによって誘導されるサイトカインである。MIGは、CXCL9遺伝子(Entrez遺伝子4283;RefSeqタンパク質:NP_002407)によってコード化される。
【0075】
本明細書で使用されるように、用語「臨界定着」(または「CC」)は、主治医によって最初に検査されたときに、対象が少なくとも1つの創傷に関して血清および/または組織中に有するCFUの測定値である。例えば、対象が1mlの血清あたり1×105のCFUを有する場合、または少なくとも1つの創傷が1mgの組織あたり1×105のCFUを有する場合、対象は、CCに関して「陽性」であると言われる。全血清CFUが、少なくとも1×105のCFUを有する、または1つの創傷もそれを有していない場合、対象は、CCに関して「陰性」であると言われる。
【0076】
菌血症の個々の臨床パラメータ(例えば、菌血症の危険プロファイルの成分)の実施例は、限定されないが、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、対象からの血清サンプル中のMIG、損傷の機構、対象からのサンプル中のIL-3のレベル、対象からのサンプル中のIL-8のレベル、および対象からのサンプル中のIL-6のレベルを含む。
【0077】
インターロイキン3(IL-3)は、IL3遺伝子(Entrez遺伝子3562;RefSeqタンパク質:NP_000579)によってコードされるサイトカインである。
【0078】
インターロイキン6(IL-6)は、IL6遺伝子(Entrez遺伝子3569;RefSeqタンパク質:NP_000591、NP_001305024)によってコードされる炎症性サイトカインおよび抗炎症性マイオカインである。
【0079】
インターロイキン8(IL-8)は、IL8遺伝子(Entrez遺伝子3576;RefSeqタンパク質:NP_000575、NP_001341769)によってコードされるケモカインである。
【0080】
本明細書で使用されるように、用語「AIS」は、創傷または損傷の重症度を査定するために外来診療所で日常的に使用される当技術分野内の周知のパラメータである、簡易式外傷指数を指す。いくつかの実施形態では、1のAISは、軽度の損傷であり、2のAISは、中程度の損傷であり、3のAISは、重篤な損傷であり、4のAISは、重度の損傷であり、5のAISは、致命的な損傷であり、6のAISは、生存不可能な損傷である。
【0081】
本明細書で使用されるように、用語「ISS」または「ISSスコア」は、創傷または損傷の重症度を査定するために外来診療所で日常的に使用される当技術分野内の周知のパラメータである、外傷重症度スコアを指す。ISSは、外傷患者における損傷の重症度を評価するためのメトリックである。これは、AISスコアが身体部位のいくつかのカテゴリ(例えば、頭部および頸部、腹部、皮膚、胸部、四肢、および顔面)毎に求められる、複合スコアである。3つの最も高い部位特有のAISスコアが、次いで、全体として患者または対象のISSを求めるように、2乗され、ともに加算される。ISSは、0~75に及ぶことができる。損傷が6のAIS(生存不可能な損傷)を割り当てられる場合、ISSスコアは、自動的に75に割り当てられる。
【0082】
本明細書で使用されるように、本明細書に説明されるシステムおよび方法でこれらの臨床パラメータを使用する目的のために、腹部損傷または頭部損傷等の損傷を査定することは、1-6のAISスコアで反映されるような損傷の程度または範囲を意味する。
【0083】
B. 予測診断モデル化のための機械学習システムおよび方法
種々の実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、機械学習アルゴリズムを実行し、臨床データに基づいて診断予測を可能にするため等に、データマイニング、パターン認識、知的予測、および他の人工知能プロシージャを実施することができる。機械学習アルゴリズムは、限定された確実性の条件で決定を誘導し得る知識構造を明らかにするするように、ますます実装されている。手動技法を使用すると、これは、多数のデータ点が関与するため、可能ではないであろう。しかしながら、機械学習アルゴリズムを効果的に使用するために、機械学習アルゴリズムによって実装されるモデルの比較が、既存のデータから最適な結果を取り出すために要求され得る。
【0084】
既存のこれらのアルゴリズムは、診断予測を実施するために使用されるモデルの正確度、選択性、および/または特異性を増加させることによって等、診断予測技術の実施を改良し、したがって、対象のための意思決定または対象への処置の送達を改良することができる。種々の機械学習アルゴリズムが、そのような目的のために使用されることができるが、所望の性能特性を伴う機械学習システムを生成することは、高度にドメイン特有であり、適切なアルゴリズム(またはそれらの組み合わせ)および機械学習システムを生成するようにアルゴリズムを用いてモデル化されるパラメータを選択するために、厳密なモデル化、試験、および妥当性確認を要求し得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、データ、通常、大量のデータを探査し、変数の間のパターンおよび/または系統的関係を抽出し、次いで、検出されたパターンを新しいデータのセットに適用することによって所見の正当性を立証するように、実行されることができる。機械学習アルゴリズムは、3つの段階、すなわち、(1)初期探査、(2)モデル構築または妥当性確認/検証によるパターン識別、および(3)予測を生成するためにモデルを新しいデータに適用することによる等の展開で実装されることができる。これらの段階に重複が存在し得、種々の段階の出力は、所望の診断予測システムをより効果的に生成するように、他の段階にフィードまたはフィードバックされ得ることを理解されたい。
【0086】
初期探査段階は、データ準備を含んでもよい。データ準備は、データを一掃すること、データを変換すること、記録のサブセットを選択すること、および多数の変数(「フィールドまたは次元」)を伴うデータセットの場合、変数選択動作(例えば、特徴選択、パラメータ選択)を実施し、(考慮されている統計的方法に応じて)変数の数を管理可能な範囲にすることを含んでもよい。データ準備が実施されるデータは、訓練データと称され得る。多くの教師付き学習問題では、変数選択は、一般化性能、実行時間要件および制約、ならびに問題自体によって課される解釈上の問題を含む、種々の理由により、重要であり得る。機械学習アルゴリズムの性能が、アルゴリズムを訓練するために使用される訓練データの質に強く依存し得ることを考慮すると、変数選択および他のデータ準備動作は、所望の性能を確実にするために高度に有意であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、データ準備は、データに前処理動作を実行することを含むことができる。例えば、インピュテーションアルゴリズムは、欠落したデータの値を生成するように実行されることができる。上方サンプリングおよび/または予測因子ランク変換が、データにおける分類不平衡および非正規性に適応するように(例えば、変数選択のために)実行されることができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、インピュテーションアルゴリズムを実行することは、欠落したデータを有する臨床パラメータに関して利用可能なデータの分布(例えば、ガウス分布)を生成し、分布に基づいて欠落したデータの値を補間することによって等、欠落したデータの値を補間または推定することを含む。例えば、ランダムフォレストRパッケージからのrfImputeが、欠落したデータを帰属させるために使用されることができる。
【0089】
分析問題の性質に応じて、本第1の段階は、回帰モデルのための簡潔な予測因子の単純な選定の間のいずれかの場所に活動を伴い、最も関連性のある変数を識別し、次の段階で考慮され得るモデルの複雑性および/または一般性質を判定するために、多種多様なグラフィカルおよび統計的方法を使用して、予備分析を精巧にし得る。
【0090】
変数選択は、制約ベースのアルゴリズム、制約ベースの構造学習アルゴリズム、および/または制約ベースのローカル発見学習アルゴリズム等の教師付き機械学習アルゴリズムを実行することを含むことができる。変数選択は、訓練データの中の残りの変数に対して所望の予測能力を有する、訓練データの中の変数のサブセットを識別し、選択された変数に基づいて生成されるモデルを使用して、より効率的で正確な予測を可能にするように、実行されることができる。いくつかの実施形態では、変数選択は、限定されないが、Grow-Shrink(「gs」)、Incremental Association Markov Blanket(「iamb」)、Fast Incremental Association(「fast.iamb」)、Max-Min Parents & Children(「mmpc」)、またはSemi-Interleaved Hiton-PC(「si.hiton.pc」)アルゴリズムを含む、「bnlearn」Rパッケージからの機械学習アルゴリズムを使用して実施される。Rは、統計的算出のためのプログラミンング言語およびソフトウェア環境である。(Rまたは他の環境内の)そのような機械学習アルゴリズムの種々の他の実装が、本明細書に説明される変数選択および他のプロセスを実施するために使用され得ることを理解されたい。変数選択は、同一の分布からの他のデータセットへの一般化可能性を増加させようと試行する、変数の完全なセットの基礎的分布を表そうとする変数のより小さい次元セットを検索することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、変数選択は、ベイジアンネットワークのノードとして使用される、変数のサブセットに関して訓練データを検索するように実施される。ベイジアンネットワーク(例えば、信念ネットワーク、ベイジアン信念ネットワーク)は、有向非巡回グラフを使用して、変数のセットおよびそれらの条件付き依存性を表す、確率モデルである。例えば、診断予測との関連で、変数選択は、ベイジアンネットワークのノードとして使用されるように、訓練データから変数を選択するために使用されることができる。具体的対象のためのノードの値を考慮すると、対象のための診断の予測が、次いで、生成されることができる。
【0092】
機械学習アルゴリズムは、とりわけ、クラスタ分析、線形および非線形の両方である回帰、分類、決定分析、および時系列分析を含むことができる。クラスタ化は、データ内の公知の構造を使用することなく、その要素が何らかの形で「類似」する、データ内のグループおよび構造を発見するタスクとして定義され得る。
【0093】
分類は、新しいデータに適用される公知の構造を一般化するタスクとして定義され得る。分類アルゴリズムは、とりわけ、線形判別分析、分類および回帰ツリー/決定ツリー学習/ランダムフォレストモデル化、最近傍、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、一般化線形モデル、単純ベイジアン分類、およびニューラルネットワークを含むことができる。いくつかの実施形態では、限定されないが、線形判別分析(lda)、分類および回帰ツリー(cart)、k-最近傍(knn)、サポートベクターマシン(svm)、ロジスティック回帰(glm)、ランダムフォレスト(rf)、一般化線形モデル(glmnet)、および/または単純ベイズ(nb)を含む、分類アルゴリズムが、Rキャレットパッケージの訓練機能から使用されることができる。
【0094】
ランダムフォレストモデルは、約102~105個の決定ツリー等の多数の決定ツリーの「フォレスト」を含むことができる。決定ツリーの数は、結果として生じるランダムフォレストモデルのアウトオブバッグ誤差(下記で議論されるように、それらの訓練データのランダムにサンプリングされたセットの中に各訓練サンプルを有していなかったツリーのみを使用する、各訓練サンプル上の平均予測誤差)を計算することによって、選択されてもよい。いくつかの実施形態では、使用される決定ツリーの数は、数百のツリーであってもよく、ランダムフォレストモデルを実行するために必要とされる計算の数を削減することによって、機械学習システムの算出性能を改良することができる。ランダムフォレストの2つの主要な魅力は、データに正規分布または変換のいずれかが行われるように要求せず、アルゴリズムが調整を殆ど要求しないことであり、これは、データセットを更新するときに有利であり、その数値プロセスは、相互検証を含み、モデル構築後相互検証の必要性を排除する。
【0095】
いくつかの実施形態では、各ランダムフォレスト決定ツリーは、ブートストラップ集約(「バギング」)によって生成され、決定ツリー毎に、訓練データは、訓練データのランダムにサンプリングされたセットを生成するように、代替物とランダムにサンプリングされ、次いで、決定ツリーは、訓練データのランダムにサンプリングされたセットで訓練される。変数選択がランダムフォレストモデルを生成することに先立って実施される、いくつかの実施形態では、訓練データは、(全ての変数に基づいてサンプリングすることとは対照的に)変数選択からの変数の低減セットに基づいてサンプリングされる。
【0096】
対象に関する変数の値を考慮して、予測を実施するために、各決定ツリーは、末端ノードによって従われる決定規則に到達するまで(例えば、対象における疾患の存在、または対象における疾患の非存在)、所与の値を使用してトラバースされる。末端ノードによって従われる決定規則からの結果は、次いで、決定ツリーに関する結果として使用される。ランダムフォレストモデルにおける全ての決定ツリーを横断する結果は、対象に関する予測を生成するように合計される。
【0097】
単純ベイジアンアルゴリズムは、ベイズの定理を適用し、変数選択を使用して識別される変数の値等の変数の値に基づいて結果を予測することができる。本モデルは、変数がそれぞれ、菌血症を有することと独立して関連付けられるという仮定に起因して、「単純」と呼ばれる。予測を実施するときに、変数の同時確率が存在することがより現実的であり得るが、単純アプローチは、生成されている診断予測システムのために望ましい性能特性を提供し得る。単純ベイズモデルは、各変数の値と訓練データにおいて表される対応する結果との間の関係を計算することによって、訓練されることができる。例えば、特定の疾患のための診断予測システムでは、各変数の値は、特定の疾患が存在するかどうかという結果と関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、関係は、正規分布が、(1)疾患が存在している、または(2)疾患が存在していない場合において、各変数が規定値を有し得る確率を判定するために使用され得るように、変数の値に関して正規分布を使用して計算されてもよい。次いで、訓練された単純ベイズを実行し、対象に関して特定の疾患の存在を予測するとき、各変数の値毎に、特定の疾患が対象に存在すると考慮して、変数がその値を有するであろう確率が、計算されることができる。同様に、各変数の値毎に、特定の疾患が対象に存在しないと考慮して、変数がその値を有するであろう確率が、計算されることができる。症例毎の確率は、組み合わせられ、次いで、特定の疾患が対象に存在するかどうかに関して予測を生成するように比較されることができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、第1の層(例えば、入力層)、第2の層(例えば、出力層)、および1つまたはそれを上回る隠れ層等の1つまたはそれを上回るノードをそれぞれ含む、複数の層を含む。ニューラルネットワークは、層のノードの間で実施され得る算出と関連付けられる加重およびバイアス等の特性を含むことができる。例えば、入力層のノードは、入力データを受信し、入力データに算出を実施し、算出の結果を隠れ層に出力することができる。隠れ層は、1つまたはそれを上回る入力層ノードから出力を受信し、受信された出力に算出を実施し、結果を別の隠れ層または出力層に出力してもよい。加重およびバイアスは、各ノードによって実施される算出に影響を及ぼすことができ、訓練データに合致するようにニューラルネットワークを訓練するために使用されている最適化アルゴリズム等のニューラルネットワークを実行するアルゴリズムによって、操作されることができる。
【0099】
回帰分析は、最小誤差を伴ってデータをモデル化する関数を見出そうと試行する。回帰分析は、独立変数の値を考慮して、関数が従属変数の値を予測するために使用され得るため、予測に使用されることができる。
【0100】
第2の段階、すなわち、モデル構築または妥当性確認/検証によるパターン識別は、種々のモデルを考慮し、予測性能に基づいて最良のものを選定することを含むことができる。予測性能は、問題になっている可変性を解説し、サンプルを横断して安定した結果を生じることに対応することができる。これは、単純な動作のように聞こえ得るが、実際、ある時は、非常に精巧なプロセスを伴う。その目標を達成するように開発された種々の技法が存在し、そのうちの多くは、いわゆる「モデルの競合評価」に基づき、すなわち、異なるモデルを同一のデータセットに適用し、次いで、それらの性能を比較し、最良のモデルを選定する。多くの場合、予測機械学習のコアと見なされる、これらの技法は、バギング(投票、平均化)、ブースティング、スタッキング(積層一般化)、およびメタ学習を含むことができる。妥当性確認は、選択されたモデルの出力を妥当性確認データと比較することを含むことができる。例えば、訓練データの一部は、モデルを訓練するために使用されるものとは別個に保持されることができ、次いで、訓練されたモデルの性能特性を確認するために使用されることができる。
【0101】
機械学習アルゴリズム(およびそれらの組み合わせ)の比較が有用であり得る、異なるシナリオが存在する。多くの適用シナリオは、単一モデルを有していないが、複数の関連モデルを有する。いくつかの典型的実施例は、異なる時点で、またはデータの異なるサブセット、例えば、異なる生産部位からの生産品質データの中で導出される、データに基づいて訓練される機械学習アルゴリズムである。別の一般的な場合は、データの異なる側面を捕捉するために、異なるタイプの機械学習アルゴリズム上で機械学習アルゴリズムを用いて同一のデータを表すことである。これら全ての場合において、個々のデータマイニングモデルだけではなく、それらの間の類似性および差異も着目される。そのような差異は、例えば、生産品質および依存性が経時的に発展する程度、異なるタイプの機械学習アルゴリズムが、同一の設備において生産される異なる製品を表すそれらの方法において異なる程度、または生産設備が相互に異なる程度を知らせ得る。
【0102】
機械学習アルゴリズム(およびそれらの組み合わせ)は、性能メトリックを使用して比較されることができる。性能メトリックは、機械学習アルゴリズム(および機械学習アルゴリズムを使用して作成される予測モデル)の意図された適用に基づいて、選択されてもよい。診断予測モデルに関して、性能メトリックは、カッパスコア、正確度スコア、感度、特異性、合計、陽性分類、および陰性分類アウトオブバッグ(OOB)誤差推定値、受信者動作特性曲線(ROC)、曲線下面積(AUC)、混同行列、ビッカースおよびエルキンス決定曲線分析(DCA)、または機械学習アルゴリズムの性能の他の測定値を含むことができる。
【0103】
カッパスコアは、予期される正確度への診断予測モデルの観察される正確度の比較を表す。例えば、カッパスコアは、予期される正確度によって測定されるようなランダム分類子の正確度を制御し、診断予測モデルが訓練データに密接に合致する程度(例えば、変数と訓練データにおいて公知である対応する結果との間の関係)を測定する。
【0104】
感度は、そのようなものとして正確に識別される予測からの陽性結果の割合を測定する。したがって、感度は、偽陰性の回避を定量化することができる。特異性は、そのようなものとして正確に識別される予測からの負の結果の割合を測定する。
【0105】
OOBは、サブサンプル訓練データへのブートストラッピングに依拠する、ランダムフォレストおよび他の機械学習技法における予想誤差を測定する。OOB誤差分析は、変数選択モデルが陽性分類に関してOOB誤差(予測性能)を改良し得る程度を示すために使用されることができる。
【0106】
ROC曲線は、偽陽性率(特異性)の関数としての真陽性率(感度)のプロットである。AUCは、ROC曲線の下の面積を表す。例えば、モデル性能は、受信者動作特性曲線(ROC)および曲線下面積(AUC)を算出するように、Rコマンドにおいてplot.rocを使用して、さらに査定されることができる。
【0107】
決定曲線分析(DCA)は、全ての患者が検査陽性であると仮定し、したがって、全員を処置すること、または全ての患者が検査陰性であると仮定し、したがって、処置を誰にも提供しないこと等の基準処置方法と比較して、診断予測モデルによって予測される診断に基づいて処置の純便益を計算するために使用されることができる。DCA曲線は、閾値確率の関数として診断予測モデルの純便益をプロットし、閾値確率は、偽陽性予測の相対的な害を考慮して、対象が処置を選ぶであろう値である。DCAは、患者への純便益の観点から、種々の予測および診断パラダイムを比較するために使用される。典型的DCA分析は、全員無処置ヌルモデルを、「全員処置」またはバイオマーカ予測因子上に構築されるモデルのガイダンスに従って処置すること等の種々の代替的モデルと比較するであろう。DCA分析は、特定のモデルの決定曲線がヌルモデル(x軸)の上方かつ「全員処置」モデルの右側にある場合に、患者への正の純便益を示すものとして解釈されることができる。純便益は、一連の予測閾値カットオフにわたるモデル性能(例えば、偽陽性または偽陰性を予測する傾向)およびこれらの閾値における個別の感度/特異性の総和として、数学的に定義される。閾値カットオフは、その閾値における予測の不正確性を考慮して処置することの相対的な害および利益を考慮して、処置する決定が行われるであろう点と見なされ得る。本分析は、予測モデルが患者にとって最も有用である、閾値カットオフを実証する。Memorial Sloan Kettering Cancer Centerのウェブサイト、www.mskcc.orgからのdca Rコマンドが、決定曲線分析(DCA)を算出するために使用されることができる。
【0108】
第3の段階、すなわち、展開は、前の段階で最良として選択されるモデルを使用し、予期される結果の予測または推定値を生成するために、それを新しいデータに適用することを含むことができる。例えば、選択されたモデルは、特定の対象の予期される転帰を予測するために、特定の対象に特有の臨床データを使用して実行されることができる。いくつかの実施形態では、特定の対象の臨床データは、特に、疾患が特定の対象に存在するかどうかを確認した後に、モデルを更新するために使用されることができる。
【0109】
C. 菌血症転帰を予測するための対象特有の予測モデル化を使用するためのシステムおよび方法
いくつかの実施形態では、対象特有の菌血症転帰を予測するための予測モデルを生成するための本明細書に説明されるシステムおよび方法は、2つの主要なステップ、すなわち、変数選択および2項分類の実行を伴う。変数選択の利点は、変数選択が、同一の分布からの他のデータセットへの一般化可能性を増加させようと試行する、変数の完全なセットの基礎的分布を表そうとする変数のより小さい次元セットを検索し得ることである。データセットが比較的小さい場合等のいくつかの実施形態では、算出時間は、考慮事項ではない場合がある。変数選択が、理論上、全変数セットの基礎的分布のより良好な表現に基づくため、それらは、より一般化可能であり、過剰適合の影響を受けにくいはずである。
【0110】
臨床転帰を予測するための機械学習ソリューションを構築する際に、典型的には、予測されている臨床転帰に関連性があり得る、臨床パラメータの包括的リストを機械学習アルゴリズムに提供することは、実行不可能である。例えば、臨床パラメータの非常に大きいリストがあると、有意な雑音、高度に相関した変数、および所望の性能メトリックを満たす予想モデルを(変数選択および分類を実施することによって)生成する機械学習アルゴリズムの能力に悪影響を及ぼし得る誤差を導入するための他の機会が存在し得る。
【0111】
いくつかの状況では、臨床パラメータの数は、約5,000~50,000の変数であってもよく、そこから、機械学習ソリューションは、変数選択および他の動作を実施する必要があろう。そうすることは、容易に利用可能ではなく、そのようなプロセスを事実上不可能にする、非常に大きい計算リソースを要求するであろう。加えて、たとえそのようなリソースが利用可能であったとしても、結果として生じるソリューションに誤差を導入するための機会が、全ての変数を考慮することからの任意の付加利益に対抗するであろう。
【0112】
本ソリューションでは、7,000超の初期臨床および非臨床パラメータが、機械学習ソリューションを訓練するために潜在的に使用され得る対象に関して利用可能であった。これらの臨床パラメータは、人口統計学、創傷タイプ、創傷機構、創傷場所、破砕特性、血液製剤の投与、外傷重症度スコア、処置、タバコ使用量、活動レベル、手術歴、栄養、血清タンパク質発現、創傷流出物タンパク質発現、組織細菌学、mRNA発現、およびラマン分光法等の多種多様なカテゴリに分けられた。これらのカテゴリから、専門知識を使用して、以下、すなわち、血清タンパク質発現、血液製剤の投与、および外傷重症度スコアが、本明細書に開示される機械学習ソリューションとともに併用するために選択された。専門選択プロセスは、多くの可能性として考えられるパラメータを、最も強い予測力をもたらすであろう最小数に集約するために重要であった。本プロセスはまた、下記の節Dに説明される本ソリューションの方法を改良することもできる。
【0113】
いくつかの実施形態では、バイオマーカカテゴリ内に分けられる臨床パラメータは、とりわけ、対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-1β)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、または対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベルを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、血液製剤の投与カテゴリ内に分けられる臨床パラメータは、とりわけ、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、対象に投与される全ての血液製剤の総和、または全濃厚RBCのレベルを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、外傷重症度スコアカテゴリ内に分けられる臨床パラメータは、とりわけ、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、または皮膚のAISを含む。
【0116】
本明細書に説明される機械学習ソリューションは、識別されたカテゴリ内の臨床パラメータに変数選択を実行し、菌血症転帰を予測するための予測モデルを生成することができる。
【0117】
ここで
図1を参照すると、臨床転帰予測システム(COPS)100が、本開示のある実施形態によって示される。COPS100は、訓練データベース105と、機械学習エンジン110と、予測エンジン130とを含む。COPS100は、節Dにおいて下記に説明されるコンピューティング環境の特徴を使用して、実装されることができる。例えば、COPS100は、対象における菌血症の危険性の予測を表示するため等に、COPS100からの出力を表示するためのディスプレイデバイスを含む、またはそれに結合されることができる。
【0118】
COPS100は、限定されないが、第B節において上記に説明されるものを含む、種々の機械学習プロセスを実行することができる。COPS100は、プロセッサを含むコンピュータを使用して、実装されることができ、コンピュータは、菌血症転帰の1つまたはそれを上回る予測、危険プロファイルを含む、出力を生成するように、および/または統計的危険性を判定するように、構成もしくはプログラムされる。COPS100は、コンピュータに通信可能に結合される画面上に出力を表示することができる。いくつかの実施形態では、2つの異なるコンピュータ、すなわち、危険プロファイルを生成するように構成またはプログラムされる第1のコンピュータ、および統計的危険性を判定するように構成またはプログラムされる第2のコンピュータが、使用されることができる。これらの別個のコンピュータはそれぞれ、その独自のディスプレイまたは同一のディスプレイに通信可能にリンクされることができる。
【0119】
訓練データベース
訓練データベース105は、対象における菌血症転帰と関連付けられる臨床パラメータの値を記憶する。臨床パラメータの値は、複数の第1の対象毎に受信および記憶されることができる。第1の対象は、上記で議論されるように、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷、状態、もしくは創傷を有し得る。訓練データベース105は、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰を受信および記憶することができる。訓練データベース105は、複数の臨床パラメータの第1の値を、複数の第1の対象毎に対応する菌血症転帰に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、訓練データベース105は、対象毎に、単一の時点と関連付けられる、複数の臨床パラメータの第1の値を記憶する。
【0120】
臨床パラメータは、性別、年齢、損傷の日付、損傷の場所、腹部損傷の存在、損傷の機構、創傷深度、創傷表面積、創傷清拭の回数、関連付けられる損傷、創傷閉鎖のタイプ、創傷閉鎖の成功、輸血の要件、輸血される血液製剤の総数、対象に投与される全血球の量、対象に投与されるRBCの量、対象に投与されるpRBCの量、対象に投与される血小板の量、全pRBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、頭部のAIS、腹部のAIS、胸部(胸郭)のAIS、急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコア、対象からのサンプル中の臨界定着(CC)の存在、外傷性脳損傷の存在、外傷性脳損傷の重症度、入院期間、集中治療室(ICU)の滞在期間、人工呼吸器の装着日数、病院からの退院、院内感染症の発症、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン-8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、および対象からのサンプル中のエオタキシンのレベルを含むことができる。臨床パラメータは、Luminexプロテオームデータ、RNAseq、トランスクリプトームデータ、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)データ、および定量的細菌学データから選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0121】
菌血症転帰は、少なくとも1つの定量化された血液培養からの病原体の単離を通して診断され得るような血液中の細菌の確認された存在に基づくことができる。いくつかの実施形態では、病原体が、少なくとも2つの血液培養から単離される。菌血症転帰は、2値変数(例えば、菌血症が第1の対象に存在する、または菌血症が第1の対象に存在しない)であってもよい。
【0122】
COPS100は、訓練データベース105の中に記憶されたデータに前処理を実行することができる。前処理は、変数選択および/または分類がデータに実施される前に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、COPS100は、インピュテーションアルゴリズムを実行し、訓練データベース105内の欠落したデータの値を生成することができる。訓練データベース105は、非一貫性であり得る、異種ソースからの臨床パラメータの値を含んでもよい。例えば、訓練データベース105は、1つの対象に関してIL-3ではなくIL-10の値と、別の対象に関してIL-10ではなくIL-3の値とを含んでもよい。COPS100は、インピュテーションアルゴリズムを実行し、1つの対象に関してIL-3および別の対象に関してIL-10の値を帰属させ、欠落したデータの値を生成することができる。例えば、ランダムフォレストRパッケージからのrfImputeが、欠落したデータを帰属させるために使用されることができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、COPS100は、訓練データベース105のデータに上方サンプリングまたは予測因子ランク変換のうちの少なくとも1つを実行する。上方サンプリングおよび/または予測因子ランク変換は、データにおける分類不平衡および非正規性に適応するように、変数選択のみのために実行されることができる。
【0124】
機械学習エンジン
機械学習エンジン110は、変数として臨床パラメータの低減セットを使用する、菌血症転帰(およびその危険性)を予測するためのモデルを生成することができる。機械学習エンジン110は、変数選択(例えば、特徴選択、パラメータ選択)を実行し、複数の臨床パラメータからモデルパラメータのサブセットを選択することができる。変数選択は、訓練データベース105の中に記憶された危険プロファイル(例えば、菌血症転帰またはその関連付けられる危険性)に不可欠である、生物学的エフェクタおよび非生物学的エフェクタ成分を識別するために使用されることができる。機械学習エンジン110は、選択されたモデルパラメータに分類を実行し、菌血症転帰/危険予測を生成するための候補モデルを選択することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、機械学習エンジン110は、訓練データベース105を使用して複数の変数選択アルゴリズム115を実行し、変数選択アルゴリズム115毎にモデルパラメータのサブセットを選択する。モデルパラメータのサブセットは、モデルパラメータの各サブセットの数が臨床パラメータの数未満であるように、訓練データベース105の複数の臨床パラメータから選択される。
【0126】
いくつかの実施形態では、機械学習エンジン110によって実行される変数選択アルゴリズム115は、教師付き機械学習アルゴリズムを含む。機械学習アルゴリズムは、制約ベースのアルゴリズム、制約ベースの構造学習アルゴリズム、および/または制約ベースのローカル発見学習アルゴリズムであることができる。例えば、機械学習エンジン110は、限定されないが、Grow-Shrink(「gs」)、Incremental Association Markov Blanket(「iamb」)、Fast Incremental Association(「fast.iamb」)、Max-Min Parents & Children(「mmpc」)、またはSemi-Interleaved Hiton-PC(「si.hiton.pc」)アルゴリズムを含む、「bnlearn」Rパッケージからの機械学習アルゴリズムを実行することができる。
【0127】
例えば、機械学習エンジン110は、変数選択アルゴリズム115を実行し、「bnlearn」Rパッケージからの制約ベースのアルゴリズムおよび制約ベースのローカル発見学習アルゴリズムを使用して、血清Luminex変数ならびに利用可能な臨床変数のセット全体に変数選択を実施し、ベイジアンネットワークのノードに関して入力データベースを検索することができる。いくつかの実施形態では、訓練データベース105は、患者創傷負担を考慮するための創傷体積および創傷表面積の総和を含む。
【0128】
変数選択アルゴリズム115毎に、機械学習エンジン110は、ベイジアンネットワークのノードとして(複数の臨床パラメータから選択される)モデルパラメータの対応するサブセットを使用する。機械学習エンジン110は、各ベイジアンネットワークを生成し、モデルパラメータのサブセットと訓練データベース105の中に記憶された対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を表す。したがって、機械学習エンジン110は、各変数選択アルゴリズム115によって選択されるモデルパラメータのサブセットによって表される低減変数セットとして、ノードを選択することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、訓練データベース105の臨床パラメータに変数選択(および分類)を実施することに先立って、機械学習エンジン110は、複数の臨床パラメータをランダムに並べ換えることができる。
【0130】
機械学習エンジン110は、モデルパラメータのサブセット毎に分類アルゴリズム125(例えば、2項分類アルゴリズム)を実行し、モデルパラメータのサブセットに基づいて菌血症転帰の予測を生成することができる。いくつかの実施形態では、機械学習エンジン110は、限定されないが、線形判別分析(lda)、分類および回帰ツリー(cart)、k-最近傍(knn)、サポートベクターマシン(svm)、ロジスティック回帰(glm)、ランダムフォレスト(rf)、一般化線形モデル(glmnet)、および/または単純ベイズ(nb)を含む、分類アルゴリズム125を実行する。分類アルゴリズム125は、Rキャレットパッケージの訓練機能から読み出されてもよい。分類アルゴリズム125は、モデルパラメータの各サブセットに対応する訓練データベース105内の臨床パラメータの第1の値を識別し、識別された第1の値を使用して菌血症転帰の予測を生成することによって、実行されてもよい。
【0131】
ランダムフォレストモデル分類アルゴリズム125を実行することは、訓練データベース105を使用して、複数の決定ツリーを生成することを含むことができる。種々の実施形態では、決定ツリーの数は、1,000を上回り得る(例えば、10,001個の決定ツリー)。各決定ツリーは、訓練データベース105内の複数の臨床パラメータの第1の値の置換によるブートストラップ集約によって、生成されてもよい。決定ツリーは、モデルパラメータのサブセットを使用して決定を行うように生成されてもよい。
【0132】
菌血症転帰の予測を生成するために、機械学習エンジン110は、ランダムフォレストモデル分類アルゴリズム125において入力としてモデルパラメータの試験値を使用することができる。例えば、
図3を参照して、訓練データベース105を使用して機械学習エンジン100によって生成され得る、決定ツリー300の実施形態が、示される。決定ツリー300は、末端ノード310を含む、ノード305の階層的組織を含み、行われる決定に基づいて、決定ツリー300は、菌血症転帰の予測(例えば、対象が菌血症を有する、または対象が健康であるという指標)を出力することができる。決定は、対象に投与される血液の量、対象に投与されるRBCの量、IL2R、MIG、およびCCを含む、モデルパラメータのサブセットに基づいて、決定ツリー300によって行われる。例えば、モデルパラメータの以下の値、すなわち、対象に投与される血液の量=22、IL2R=55、対象に投与されるRBCの量=65、MIG=30、およびCC=「はい」を有する、対象を考慮すると、ランダムフォレストモデル分類アルゴリズム125は、以下のように決定ツリー300をトラバースすることができ、すなわち、第1のノードにおいて、対象に投与される血液の量(22)は、44.75未満であると判定され(「はい」出力をもたらす)、次に、IL2R(55)は、52未満ではないと判定され(「いいえ」出力をもたらす)、最終的に、末端ノード310において、IL2R(55)は、58.5未満であると判定され、「菌血症」出力をもたらす。ランダムフォレストモデル分類アルゴリズム125は、各決定ツリー300によって計算される菌血症転帰の数(例えば、菌血症対健康)を数え、数に基づいて予測菌血症転帰を出力することができる。例えば、ランダムフォレストモデル分類アルゴリズム125は、「菌血症」出力の数を「健康」出力の数と比較し、予測菌血症転帰を出力して、対象が健康出力の数を上回る菌血症出力の数に応答して菌血症を有することが予測される(または逆も同様である)ことを示すことができる。ランダムフォレスト分類アルゴリズム125はまた、菌血症転帰の数に基づく確率として、菌血症転帰の予測を出力することもできる。例えば、ランダムフォレストモデルが、10,000個の決定ツリーを含み、そのうちの5,000が菌血症転帰を示す場合、ランダムフォレストモデル分類アルゴリズム125は、50%の確率として菌血症転帰の予測を出力することができる。
【0133】
図1に戻って参照すると、機械学習エンジン110は、菌血症転帰の予測を使用し、性能メトリックを計算する。例えば、機械学習エンジン110は、(i)(各変数アルゴリズム115によって選択される)モデルパラメータのサブセットおよび(ii)菌血症転帰の予測を生成するために使用される分類アルゴリズム125の組み合わせ毎に、性能メトリックを計算することができる。性能メトリックは、菌血症転帰を予測する各組み合わせの能力を表すことができる。
【0134】
機械学習エンジン110は、カッパスコア、感度、または特異性のうちの少なくとも1つを含む、性能メトリックを計算することができる。カッパスコアは、予期される正確度へのモデルパラメータのサブセットおよび分類アルゴリズムの組み合わせの観察される正確度の比較を示す。いくつかの実施形態では、機械学習エンジン110は、感度および特異性に基づいて、ROC曲線を生成することができる。機械学習エンジン110はまた、ROC曲線に基づいてAUCを計算することもできる。いくつかの実施形態では、候補分類アルゴリズム125は、さらなる性能メトリックによって評価されることができる。例えば、候補分類アルゴリズム125は、正確度、情報なし率、正の予測値、および負の予測値に基づいて、評価されることができる。
【0135】
機械学習110は、性能メトリックに基づいて、種々のポリシ、発見的問題解決法、または他の規則を適用し、候補分類アルゴリズム125(および変数選択アルゴリズム115のうちの1つによって選択されるモデルパラメータの対応するサブセット)を選択することができる。例えば、性能メトリック毎の値は、個別の閾値と比較されることができ、分類アルゴリズム125は、閾値を超える性能メトリックの値に応答して候補分類アルゴリズム125(または潜在的候補)であると判定されることができる。機械学習エンジン110は、加重を各性能メトリックに割り当て、複合性能メトリックを計算することができる。機械学習エンジン110は、規定順序で性能メトリックを評価することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、機械学習エンジン110は、規則に基づいて候補分類アルゴリズム125およびモデルパラメータの対応するサブセットを選択し、(1)最高カッパスコア、続いて、(2)最高感度、(3)続いて、閾値特異性を上回る特異性を有する、組み合わせを識別する。
【0137】
機械学習エンジン110は、決定曲線分析(DCA)を実行し、候補分類アルゴリズム125の性能を評価することができる、および/または混同行列を用いる。DCAは、全員無処置パラダイムであるヌルモデル、または「全員処置」介入パラダイムと比較して、臨床設定で候補分類アルゴリズム125を使用することの純便益を査定するために使用されることができる。DCAは、候補分類アルゴリズム125の性能の正当性を立証するように、および/または他の性能メトリック下で類似性能を有するいくつかの分類アルゴリズム125の間から候補分類アルゴリズム125を選択するように、実行されることができる。
【0138】
機械学習エンジン110は、複数の反復で実行されることができる。例えば、訓練データベース105のデータは、1回を上回って、例えば、10、20、30、40、50回、またはさらなる回数で、変数選択および2項分類アルゴリズムにかけられることができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、機械学習エンジン110によって生成される候補モデル(モデルパラメータのサブセットおよび候補分類アルゴリズム125の組み合わせ)は、訓練データベース105の臨床パラメータの全セットを使用して生成されるモデルと性能を比較されることができる。例えば、機械学習エンジン110は、モデルパラメータのサブセットに基づいて分類アルゴリズム125を実行することに関して類似様式で、臨床パラメータの全セットを使用して分類アルゴリズム125を実行し、モデル性能の基準を表すことができる。候補モデルは、DCAを使用して、臨床パラメータの全セットを使用して生成されるモデルと比較されることができる。機械学習エンジン110は、インピュテーションアルゴリズムを実行し、欠落したデータを用いて臨床パラメータを処理することができる。
【0140】
ここで
図2-5を参照すると、選択されたモデルパラメータを使用して実行される候補分類アルゴリズムのモデルパラメータおよび性能メトリックが、図示される。簡潔には、
図2は、モデルパラメータのサブセットに基づくベイジアンネットワーク200を図示し、
図3は、上記で議論されるような決定ツリー300を図示し、
図4は、候補分類アルゴリズムの関連付けられるAUC、感度(真陽性率)、特異性(偽陽性率)とともに、ROC曲線を図示し、
図5は、候補分類アルゴリズムに実施されるDCAを図示する。
【0141】
さらに
図2を参照すると、図示される実施例では、機械学習エンジン110は、複数の変数選択アルゴリズム115を使用して変数選択を実施し、ベイジアンネットワーク200を生成することができる。機械学習エンジン110は、性能メトリックを計算し、菌血症転帰を予測するために使用されるべきであるモデルパラメータのサブセットを判定することができる。例えば、機械学習エンジン110は、ランダムフォレスト2項分類アルゴリズム125において起動される最大・最小親子(MMPC)アルゴリズムによって選択されるモデルパラメータのサブセットが、全ての他の2項分類アルゴリズム125を用いたモデルパラメータの全ての他のサブセットより優れていると判定することができる。図示される実施形態では、モデルパラメータのサブセットは、以下の臨床パラメータ、すなわち、対象に投与される血液、対象に投与されるRBC、CC、IL-2R、およびMIGを含む。
【0142】
さらに
図4を参照すると、候補分類アルゴリズム125の性能メトリックのチャート400が、図示される。チャート400に示されるように、機械学習エンジン110は、上記のモデルパラメータのサブセットを使用して、候補分類アルゴリズム125のための性能メトリックを計算し、0.89777のAUCを含むことができる。
【0143】
全変数モデルへの候補分類アルゴリズム125の比較は、候補分類アルゴリズム125においてより良好な性能を実証することができる。これは、過剰パラメータ化が頻繁にモデルの性能低下につながるため、本明細書に説明されるシステムおよび方法の長所である。図示される実施形態では、候補分類アルゴリズム125、ROC曲線、およびそれらの個別のAUCが、良好な予測能力を実証した。同様に、候補分類アルゴリズム125は、全変数モデルよりも高い正確度およびカッパ統計を有した。
【0144】
いくつかの実施形態では、COPS100は、臨床パラメータの全セットに対してモデルパラメータのサブセットを使用し、菌血症転帰の予測を生成することによって、コンピュータシステムの算出性能(例えば、処理速度、メモリ使用量)を増加させることができる。例えば、COPS100は、より少ない計算を実行し、各菌血症転帰予測を生成するが、モデルパラメータのサブセットを使用することによって過剰パラメータ化および他のモデル性能問題を回避することができる。
【0145】
さらに
図5を参照すると、DCA500が、候補分類アルゴリズム125に基づいて示される。候補分類アルゴリズム125は、DCAに基づいて優れた性能を実証することができ、処置の純便益の閾値確率の大部分に関して、候補分類アルゴリズム125は、全変数モデルよりも大きい純便益ならびに全員処置および全員無処置パラダイムを実証した。
【0146】
予測エンジン
図1に戻って、さらに
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、COPS100は、予測エンジン130を含む。予測エンジン130は、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症転帰を予測することができる。少なくとも1つの第2の対象は、損傷を有し得る。予測エンジン130は、少なくとも1つの第2の対象に関して、複数の臨床パラメータのうちの少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を受信することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、受信された第2の値のうちの少なくとも1つは、候補分類アルゴリズム125で使用されるモデルパラメータのサブセットのモデルパラメータに対応する。予測エンジン130が、臨床パラメータのいくつかの第2の値を受信し、そのうちの少なくとも1つが、モデルパラメータのサブセットのモデルパラメータに対応しない場合、予測エンジン130は、インピュテーションアルゴリズムを実行し、そのような欠落したパラメータの値を生成してもよい。
【0148】
予測エンジン130は、モデルパラメータの対応するサブセットおよび少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して、選択された候補分類アルゴリズム125を実行し、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症転帰を計算することができる。実施例では、選択された候補分類アルゴリズム125は、以下のモデルパラメータ、すなわち、対象に投与される血液の量=22、IL2R=55、対象に投与されるRBCの量=65、MIG=30、およびCC=「はい」に基づく、ランダムフォレストモデルを含んでもよい(および第2の対象の示された第2の値を受信した)。上記で説明されるように、選択された候補分類アルゴリズム125は、菌血症を有する(または参照危険性に対して菌血症の危険性がより高い、または菌血症を有する可能性が高い)第2の対象を示す予測を出力することができる。
【0149】
図1に示されるように、COPS100は、予測エンジン130を含む。いくつかの実施形態では、遠隔デバイス150は、加えて、または代替として、予測エンジン155を含んでもよい。予測エンジン155は、予測エンジン130の特徴を組み込むことができる。遠隔デバイス150は、携帯用電子デバイスとして実装されることによって等、下記の節Dで説明されるコンピューティング環境の特徴を組み込むことができる。遠隔デバイス150は、種々の有線または無線通信プロトコルのうちのいずれかを使用して、COPS100と通信することができる(インターネットプロトコルシステムまたは他の中間通信システムを介して通信することを含む)。例えば、遠隔デバイス150は、COPS100から予測エンジン130(またはモデルパラメータの対応するサブセットを伴う候補分類アルゴリズム125)を受信することができる。
【0150】
種々の実施形態では、COPS100および/または遠隔デバイス150は、ユーザインターフェースを通して複数の臨床パラメータの第2の値を受信することができ、第2の値を受信することに応答して菌血症転帰の予測を出力することができる。遠隔デバイス150は、第2の値を受信し、第2の値をCOPS100に伝送する、ローカルアプリケーションとして予測エンジン155を実行する、クライアントデバイスとして実装されることができ、COPS100は、第2の対象に特有の菌血症転帰の予測を計算し、計算された予測を予測エンジン155に伝送する、サーバデバイスとして実装されることができる。遠隔デバイス150は、次いで、COPS100から受信される、計算された予測を出力してもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、COPS100は、第2の対象に関して受信される第2の値ならびに予測菌血症転帰に基づいて、訓練データベース105を更新することができる。したがって、COPS105は、対象に関する新しいデータから継続的に学習することができる。COPS100は、訓練データベース105の中に、第2の対象に関して受信される第2の値に関連する予測菌血症転帰を記憶することができる。予測菌血症転帰は、(複数の第1の対象の公知の菌血症転帰と比較して)予測値であるという指標とともに記憶されてもよく、これは、機械学習エンジン110が、公知の転帰データと異なるように、訓練データベース105の中に記憶された予測転帰データを処理することを可能にすることができる。加えて、経時的に、それに基づいて予測転帰が生成された第2の対象はまた、(例えば、第2の対象が菌血症を有することを示す症状の発症に基づいて、または予測菌血症転帰の生成に続いて経過する十分な時間等の第2の対象が菌血症を有していないという指標に基づいて)公知の菌血症転帰を有し得ることを理解されたい。COPS100は、第2の対象に関して受信される第2の値に関連する公知の菌血症転帰を記憶することができる。COPS100はまた、予測菌血症転帰に対する更新の指標とともに公知の菌血症転帰を記憶することもでき、これは、機械学習エンジン110が更新から学習し、したがって、予測エンジン130によって使用するための候補分類アルゴリズム/モデルパラメータのサブセットを生成および選択するために使用される、変数選択および分類プロセスを改良することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、COPS100は、予測菌血症転帰と公知の菌血症転帰との間の差異を計算し、更新の指標として本差異を記憶する。
【0152】
ここで
図5を参照すると、対象特有の菌血症転帰を予測するための方法500が、本開示のある実施形態によると、図示される。方法500は、COPS100および/または遠隔デバイス150を含む、本明細書に説明される種々のシステムによって実施されることができる。
【0153】
505では、対象に関して臨床パラメータの第1の値および対応する菌血症転帰が、受信される。第1の対象は、損傷を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の臨床パラメータの第1の値は、対象毎に単一の時点と関連付けられる。510では、第1の値を対応する菌血症転帰に関連付ける訓練データベースが、生成される。
【0154】
いくつかの実施形態では、前処理が、訓練データベースの中に記憶されたデータに実行される。前処理は、変数選択および/または分類がデータに実施される前に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、インピュテーションアルゴリズムが、訓練データベース105内の欠落したデータの値を生成するように実行されることができる。いくつかの実施形態では、上方サンプリングまたは予測因子ランク変換のうちの少なくとも1つが、訓練データベースのデータに実行される。上方サンプリングおよび/または予測因子ランク変換は、データにおける分類不平衡および非正規性に適応するように、変数選択のみのために実行されることができる。
【0155】
515では、複数の変数選択アルゴリズムが、変数選択アルゴリズム毎に選択する訓練データベースの中に記憶されたデータを使用して実行される。モデルパラメータのサブセットは、モデルパラメータの各サブセットの数が臨床パラメータの数未満であるように、訓練データベースの複数の臨床パラメータから選択される。制約ベースのアルゴリズム、制約ベースの構造学習アルゴリズム、および/または制約ベースのローカル発見学習アルゴリズム等の変数選択アルゴリズムが、モデルパラメータのサブセットを選択するために使用されることができる。モデルパラメータのサブセットは、モデルパラメータが複数のモデルパラメータと訓練データベースの中に記憶された対応する菌血症転帰との間の条件付き依存性を表すように、ベイジアンネットワークのノードとして使用されることができる。いくつかの実施形態では、臨床パラメータは、変数選択に先立ってランダムに並び換えられる。
【0156】
520では、少なくとも1つの分類アルゴリズムが、モデルパラメータのサブセットに基づいて菌血症転帰の予測を生成するように、モデルパラメータの各サブセットを使用して実行される。分類アルゴリズムは、モデルパラメータの各サブセットに対応する訓練データベース内の臨床パラメータの第1の値を識別し、識別された第1の値を使用して菌血症転帰の予測を生成することによって、実行されてもよい。いくつかの実施形態では、分類アルゴリズムは、複数の線形判別分析(lda)、分類および回帰ツリー(cart)、k-最近傍(knn)、サポートベクターマシン(svm)、ロジスティック回帰(glm)、ランダムフォレスト(rf)、一般化線形モデル(glmnet)、および/または単純ベイズ(nb)を含む。
【0157】
ランダムフォレストモデル分類アルゴリズムを実行することは、訓練データベースを使用して(例えば、ブートストラップ集約を使用して)複数の決定ツリーを生成し、各決定ツリーを実行し、予測菌血症転帰を計算するように組み合わせられ得る菌血症転帰を生成することを含む。
【0158】
525では、少なくとも1つの性能メトリックが、分類アルゴリズム毎(例えば、(i)変数選択アルゴリズムを使用して選択されるモデルパラメータのサブセットおよび(ii)菌血症転帰予測を生成するために使用される分類アルゴリズムの組み合わせ毎)に計算される。性能メトリックは、菌血症転帰を予測する各組み合わせの能力を表すことができる。
【0159】
性能メトリックは、カッパスコア、感度、または特異性のうちの少なくとも1つを含むことができる。カッパスコアは、予期される正確度へのモデルパラメータのサブセットおよび分類アルゴリズムの組み合わせの観察される正確度の比較を示す。いくつかの実施形態では、ROC曲線が、感度および特異性に基づいて生成されることができる。AUCが、ROC曲線に基づいて計算されることができる。いくつかの実施形態では、候補分類アルゴリズムは、さらなる性能メトリックによって評価されることができる。例えば、候補分類アルゴリズムは、正確度、情報なし率、正の予測値、および負の予測値に基づいて、評価されることができる。
【0160】
530では、候補分類アルゴリズムが、性能メトリックに基づいて選択される。種々のポリシ、発見的問題解決法、または他の規則が、候補分類アルゴリズム(および変数選択アルゴリズムのうちの1つによって選択されるモデルパラメータの対応するサブセット)を選択するように、性能メトリックに基づいて適用されることができる。例えば、性能メトリック毎の値が、個別の閾値と比較されることができ、分類アルゴリズムが、閾値を超える性能メトリックの値に応答して候補分類アルゴリズム(または潜在的候補)であると判定されることができる。いくつかの実施形態では、候補分類アルゴリズムおよびモデルパラメータの対応するサブセットが、規則に基づいて選択され、(1)最高カッパスコア、続いて、(2)最高感度、(3)続いて、閾値特異性を上回る特異性を有する、組み合わせを識別する。
【0161】
535では、臨床パラメータの第2の値が、受信される。第2の値は、損傷を有する少なくとも1つの第2の対象に関して受信されてもよい。いくつかの実施形態では、受信された第2の値のうちの少なくとも1つは、候補分類アルゴリズムで使用されるモデルパラメータのサブセットのモデルパラメータに対応する。臨床パラメータのいくつかの第2の値が受信され、そのうちの少なくとも1つがモデルパラメータのサブセットのモデルパラメータに対応しない場合、インピュテーションアルゴリズムが、そのような欠落したパラメータの値を生成するように実行されてもよい。
【0162】
540では、候補分類アルゴリズムが、少なくとも1つの第2の対象に特有の菌血症転帰の予測を計算するように、モデルパラメータの対応するサブセットおよび少なくとも1つの臨床パラメータの第2の値を使用して実行される。
【0163】
545では、少なくとも1つの第2の対象に特有の予測菌血症転帰が、出力される。例えば、予測菌血症転帰は、電子デバイス上でユーザに表示されてもよい、またはオーディオ出力として提供されてもよい。予測菌血症転帰は、別のデバイスに伝送されてもよい。予測菌血症転帰は、第2の対象が菌血症を有する、第2の対象が(例えば、信頼閾値に対して)菌血症を有する可能性が高い、または第2の対象が参照危険性レベルに対して菌血症の危険性の増加を有するというインジケーションのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、2つの主要なステップ、すなわち、変数低減および2項分類を伴う。血清および流出物変数のセット全体ならびに利用可能な臨床変数に変数選択を実施するために、「bnlearn」Rパッケージ(1)が、採用されることができる。変数選択は、高度に相関している変数を除去することによって実施されてもよい。いくつかのアルゴリズムが、ランク付けされた予測因子を伴う入力データセットを検索し、感染合併症転帰に関する全ての変数の基礎的分布を最良に表した低減変数セットを見出すために、使用されることができる。inter.iamb、fast.iamb、iamb、gs、mmpc、およびsi.hiton.pcアルゴリズムのうちの1つまたはそれを上回るもの等の特徴選択フィルタアルゴリズムが、低減変数セットを選定するために使用されることができる。全てのアルゴリズムが試験のために検査されることができるが、選択されたアルゴリズムは、低減変数セットとして対応するベイジアンネットワークのノードを選定するために使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、最大最小親子(mmpc)および/またはinter.iambアルゴリズムのうちの1つまたはそれを上回るものが、低減変数セットとして対応するベイジアンネットワークのノードを選定するために使用されることができる。いったん各アルゴリズムが包含のための変数を選択すると、ベイジアンネットワークが、構築されることができ、統計的モデルの品質が、ベイジアン情報基準(BIC)を使用して比較されることができる。最大BICを伴うモデルは、さらなるモデル化および分析のためにフラグを付けられることができる。
【0165】
次に、ランダムフォレストモデルが、基準として未加工データから引き出される変数の全セットを使用して構築されることができる。欠落したデータを伴うプロセスサンプルを取り扱うために、(例えば)RパッケージのrfImputeが、使用されることができる。モデルの合計陽性分類および陰性分類アウトオブバッグ(OOB)誤差推定値が、プロットされることができ、次いで、正確度およびカッパスコアが、「ランダムフォレスト」Rパッケージを使用することによって等、計算されることができる。(本変数の全セットは、変数が選択された同一の全セットであり得る。)次に、ランダムフォレストモデルが、ベイジアンネットワーク選択変数を用いて、または使用されるものと高度に相関している変数を除去することによって、構築されることができる。随意に、OOB誤差プロットを用いたランダムフォレスト性能、正確度およびカッパスコアが、査定されることができる。最小OOB誤差およびBICスコアを伴うモデル、ならびに最高正確度およびカッパスコアが、選定されることができる。両方のランダムフォレストモデルが、複数の分類および回帰ツリー、ならびに各分割時に候補としてランダムにサンプリングされるp変数の平方根を使用して、構築されることができ、pは、モデルの中の変数の数である。分類および回帰ツリーの数は、約102~105個のツリーであってもよいが、数百個のツリーの使用を超えると、(潜在的に算出要件が上回る)性能メトリックへの限界利益の減少が存在し得る。いったんこれら2つのモデルが生成されると、それらの受信者動作特性曲線(ROC)および個別の曲線下面積(AUC)の形状が、比較されることができる。随意に、ビッカースおよびエルキンス決定曲線分析(DCA)を使用するモデル性能ならびに混同行列が、査定されることができる。随意に、全変数ランダムフォレストモデルおよび低減変数ランダムフォレストモデルの決定曲線の両方が、プロットされることができる。DCAは、全員無処置ヌルモデル、または「全員処置」介入パラダイムと比較して、臨床設定でモデルを使用することの純便益を査定するために使用されることができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、血液Bethesda、RBC(赤血球)Bethesda(両方ともWRNMMCにおいて受容される血液製剤の体積の測定値)、臨界定着(1グラムの組織あたり、または1μlの創傷流出物あたりの106CFUを上回る存在)、血清IL2R、および血清MIGを含む、臨床パラメータは、変数の他のセットより優れている。例えば、いくつかの実施形態では、ランダムフォレストモデル化およびROC/AUC分析は、0.721またはそれを上回るAUCを伴う全変数モデルを示し、かつ0.834またはそれを上回るAUCを伴うMMPC選択変数モデルを示す。後者のモデルの感度が、0.500またはそれを上回り得る一方で、特異性は、0.912またはそれを上回り得る。いくつかの実施形態では、菌血症陽性症例の50%またはそれを上回るものは、本明細書に説明されるようなモデルを用いて予測されることができる。いくつかの実施形態では、DCA曲線は、本明細書に説明されるような全およびMMPC選択変数モデルの両方の測定可能な純便益を示す。
【0167】
D. 危険性を判定する、バイオマーカを検出する、および処置するための方法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、菌血症に関して対象の危険プロファイルを判定すること、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有するかどうかを判定すること、対象において危険因子を査定すること、バイオマーカのレベルを検出すること、および菌血症に関して対象を処置することに関する。本明細書に説明される方法の任意の実施形態によると、対象は、対象の血液系内の細菌の存在の検出に先立って等、菌血症の症状の検出に先立って査定されてもよい。本明細書に説明される方法の任意の実施形態によると、検査対象は、対象が上記に記載される1つまたはそれを上回る方法によって検出可能な対象の血液系内の検出可能なレベルの細菌を有することに先立って等、菌血症の任意の検出可能な症状の発症に先立って査定されてもよい。本明細書に説明される方法の任意の実施形態によると、検査対象は、爆風損傷、圧挫損傷、銃創、または四肢創傷等の菌血症を発症する危険に対象をさらす、損傷、状態、または創傷を有し得る。
【0168】
危険因子を検出する方法
いくつかの実施形態によると、対象において危険因子(例えば、臨床パラメータ)を査定する方法が提供され、本方法は、対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-β)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベル、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、対象に投与される全ての血液製剤の総和、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、および皮膚のAISから選択される1つまたはそれを上回るもの等の1つまたはそれを上回る臨床パラメータを測定、査定、検出、検定、および/または判定するステップを含む、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。
【0169】
具体的実施形態では、対象において危険因子(例えば、臨床パラメータ)を査定する方法が提供され、本方法は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される1つまたはそれを上回るもの等の1つまたはそれを上回る臨床パラメータを測定、査定、検出、検定、および/または判定するステップを含む、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。いくつかの実施形態では、IL-2Rは、可溶性IL-2Rである。
【0170】
いくつかの実施形態によると、バイオマーカのレベルを検出する方法が提供され、本方法は、対象からの1つまたはそれを上回るサンプル中で、対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-β)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、および対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベルから選択される、1つまたはそれを上回るバイオマーカのレベルを測定、検出、検定、または判定するステップを含む、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。
【0171】
具体的実施形態では、バイオマーカのレベルを検出する方法が提供され、本方法は、対象からの1つまたはそれを上回るサンプル中で、IL-2R、IL-3、IL-8、IL-6、およびMIGから選択される、1つまたはそれを上回るバイオマーカのレベルを測定、検出、検定、または判定するステップを含む、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。具体的実施形態では、1つまたはそれを上回るバイオマーカは、IL-2RおよびMIGのレベルを含む、それから成る、または本質的にそれから成る。
【0172】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、上記に記載されるものから選択されるもの等の1つまたはそれを上回る臨床パラメータ、2つまたはそれを上回る臨床パラメータ、3つまたはそれを上回る臨床パラメータ、4つまたはそれを上回る臨床パラメータ、5つまたはそれを上回る臨床パラメータ、6つまたはそれを上回る臨床パラメータ、7つまたはそれを上回る臨床パラメータ、8つまたはそれを上回る臨床パラメータ、9つまたはそれを上回る臨床パラメータ、10個またはそれを上回る臨床パラメータ、11個またはそれを上回る臨床パラメータ、12個またはそれを上回る臨床パラメータ、13個またはそれを上回る臨床パラメータ、14個またはそれを上回る臨床パラメータ、15個またはそれを上回る臨床パラメータ、16個またはそれを上回る臨床パラメータ、17個またはそれを上回る臨床パラメータ、18個またはそれを上回る臨床パラメータ、19個またはそれを上回る臨床パラメータ、20個またはそれを上回る臨床パラメータ、21個またはそれを上回る臨床パラメータ、22個またはそれを上回る臨床パラメータ、23個またはそれを上回る臨床パラメータ、24個またはそれを上回る臨床パラメータ、25個またはそれを上回る臨床パラメータ、26個またはそれを上回る臨床パラメータ、27個またはそれを上回る臨床パラメータ、28個またはそれを上回る臨床パラメータ、29個またはそれを上回る臨床パラメータ、30個またはそれを上回る臨床パラメータ、31個またはそれを上回る臨床パラメータ、32個またはそれを上回る臨床パラメータ、33個またはそれを上回る臨床パラメータ、34個またはそれを上回る臨床パラメータ、35個またはそれを上回る臨床パラメータ、36個またはそれを上回る臨床パラメータ、37個またはそれを上回る臨床パラメータ、38個またはそれを上回る臨床パラメータ、39個またはそれを上回る臨床パラメータ、40個またはそれを上回る臨床パラメータ、41個またはそれを上回る臨床パラメータ、42個またはそれを上回る臨床パラメータ、43個またはそれを上回る臨床パラメータ、44個またはそれを上回る臨床パラメータ、45個またはそれを上回る臨床パラメータが、測定、査定、検出、検定、および/または判定される。特定の実施形態では、2、3、4、または5つの臨床パラメータが、測定、査定、検出、検定、および/または判定される。
【0173】
個々の臨床パラメータのレベルを査定、検出、測定、および/または判定するために、1つまたはそれを上回るサンプルが、対象から採取または単離される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または少なくとも20個のサンプルが、対象から採取または単離される。1つまたはそれを上回るサンプルは、因子、危険因子、バイオマーカ、臨床パラメータ、および/または成分のレベルを査定することに先立って、処理される場合とそうではない場合がある。例えば、全血が、個体から採取されてもよく、血液サンプルが、血液から血漿または血清を単離するように、処理される、例えば、遠心分離されてもよい。1つまたはそれを上回るサンプルは、処理または分析に先立って、貯蔵される、例えば、凍結される場合とそうではない場合がある。いくつかの実施形態では、IL-2R、IL-3、IL-6、および/またはMIGから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータが、血漿サンプルまたは創傷流出物等の血清サンプルではない対象からのサンプル中で検出される。
【0174】
いくつかの実施形態では、対象から単離されるサンプル中の個々のバイオマーカのレベルが、超高性能液体クロマトグラフィ(UPLC)、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、ガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)、またはUPLCと併せて質量分析を使用して、査定、検出、測定、および/または判定される。バイオマーカを査定する他の方法は、限定されないが、ELISA検定、ウェスタンブロット、および多重免疫学的検定等の生物学的方法を含む。他の技法は、定量的アレイ、PCR、RNAシークエンシング、DNAシークエンシング、およびノーザンブロット分析を使用することを含んでもよい。他の技法は、Luminexプロテオームデータ、RNAseq、トランスクリプトームデータ、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)データ、および定量的細菌学データを含む。
【0175】
臨床パラメータ、特に、バイオマーカのレベルを判定するために、バイオマーカ分子全体、例えば、全長タンパク質またはRNA転写産物全体が、存在する、または完全に配列決定される必要はない。換言すると、例えば、分析されているタンパク質の断片のレベルを判定することが、分析されている危険プロファイルの個々の成分が増加または減少されていることを断定または査定するために十分であり得る。同様に、例えば、アレイまたはブロットが、バイオマーカレベルを判定するために使用される場合、検出可能な信号の存在、不在、および/または強度が、バイオマーカのレベルを査定するために十分であり得る。
【0176】
ELISA検定、ウェスタンブロット、免疫細胞化学、および免疫蛍光で使用するために好適なIL-2Ra抗体は、例えば、Biorbytから入手可能である(カタログ番号orb161444)。ELISA検定およびウェスタンブロットで使用するために好適なIL-2Rb抗体は、例えば、Biorbytから入手可能である(カタログ番号orb161445)。ELISA検定、免疫組織化学、および/またはウェスタンブロットで使用するために好適なMIG抗体は、例えば、Abcamから入手可能である(カタログ番号ab9720)。ELISA検定で使用するために好適なIL-3抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号AHC0939)。ウェスタンブロット、免疫蛍光、および免疫細胞化学で使用するために好適なIL-3抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号PA5-46918)。ELISA検定、免疫蛍光、免疫細胞化学、およびウェスタンブロットで使用するために好適なIL-8抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号M801)。ELISA検定、フローサイトメトリ、および/またはウェスタンブロットで使用するために好適なIL-6抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号701028)。いくつかの実施形態では、抗体は、検出可能な標識を備える。
【0177】
上記のように、バイオマーカは、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能なLuminexTM免疫検定プラットフォームを使用して、検出、検定、または測定されることができる。例えば、Immune Monitoring 65-PlexHumanProcartaPlexTMパネル(カタログ番号EPX650-10065-901)は、単一の血清または血漿サンプル中で、以下の標的、すなわち、APRIL、BAFF、BLC(CXCL13)、CD30、CD40L、ENA-78(CXCL5)、エオタキシン(CCL11)、エオタキシン-2(CCL24)、エオタキシン-3(CCL26)、FGF-2、フラクタルカイン(CX3CL1)、G-CSF(CSF-3)、GM-CSF、Gro a、HGF、IFNアルファ、IFNガンマ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17A(CTLA-8)、IL-18、IL-1a、IL-1b、IL-2、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-2R、IL-3、IL-31、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8(CXCL8)、IL-9、IP-10(CXCL10)、I-TAC(CXCL11)、LIF、MCP-1(CCL2)、MCP-2(CCL8)、MCP-3(CCL7)、M-CSF、MDC、MIF、MIG(CXCL9)、MIP-1アルファ(CCL3)、MIP-1ベータ(CCL4)、MIP-3アルファ(CCL20)、MMP-1、NGFベータ、SCF、SDF-1a、TNFベータ、TNFアルファ、TNF-R2、TRAIL、TSLP、TWEAK、およびVEGF-Aを検出する。
【0178】
いくつかの実施形態では、臨床パラメータは、対象が、爆風損傷、圧挫損傷、銃創、または四肢創傷等の菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷、状態、または創傷を受ける前、受けた後の第1の時点、および/または受けた後の後続の時点等の異なる時点で、対象から単離されるサンプル中で検出、測定、検定、査定、および/または判定される。例えば、本明細書に説明される方法のいくつかの実施形態は、1週間またはそれを上回る、2週間またはそれを上回る、3週間またはそれを上回る、4週間またはそれを上回る、1ヶ月またはそれを上回る、2ヶ月またはそれを上回る、3ヶ月またはそれを上回る、4ヶ月またはそれを上回る、5ヶ月またはそれを上回る、6ヶ月またはそれを上回る、7ヶ月またはそれを上回る、8ヶ月またはそれを上回る、9ヶ月またはそれを上回る、10ヶ月またはそれを上回る、11ヶ月またはそれを上回る、1年またはそれを上回る、もしくはさらに2年またはそれよりも長い等の時間にわたって、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはさらにそれを上回る時点で、バイオマーカを検出するステップを含んでもよい。本方法はまた、対象が菌血症の処置の前および/または間ならびに/もしくは後に査定される、実施形態を含む。具体的実施形態では、本方法は、菌血症の処置の有効性を監視するために有用であり、菌血症に対する処置を開始することに先立って、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、もしくはそれを上回る異なる時点で、対象から単離されるサンプル中のバイオマーカ等の臨床パラメータを検出し、続いて、菌血症に対する処置を開始した後の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、もしくはそれを上回る異なる時点等の臨床パラメータを検出するステップと、該当する場合、検出されるレベルの変化を判定するステップとを含む。処置は、菌血症の症状および/または原因を治癒、除去、または軽減するように設計される任意の処置であってもよい。
【0179】
いくつかの実施形態によると、対象において臨床パラメータを検出する方法が提供され、本方法は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、対象からの血清サンプル中のIL-3のレベル、対象からの血清サンプル中のIL-8のレベル、対象からの血清サンプル中のIL-6のレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータのレベルを測定するステップを含む、それから成る、または本質的にそれから成る。いくつかの実施形態では、本方法は、レベルまたは値の上昇もしくは低減を検出するステップを含む。本明細書で使用されるように、「上昇」は、参照レベルまたは値に対して増加されるレベルまたは値を指す。本明細書で使用されるように、「低減」は、参照値またはレベルに対して減少されるレベルを指す。具体的実施形態では、参照対象は、菌血症の危険に対象をさらす損傷を受けることに先立って、またはその直後、および参照対象が菌血症の検出可能な症状を有していなかったとき等の早期の時間における検査対象である。これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照レベルまたは値は、対象に関して前もって検出、測定、検定、査定、または判定された値である。他の実施形態では、参照レベルまたは値は、参照対象が菌血症の検出可能な症状を有していなかったときに、1つまたはそれを上回る参照対象の集団に関して検出、測定、検定、査定、または判定される。
【0180】
菌血症の危険性を判定または査定するための方法
いくつかの実施形態によると、菌血症の危険プロファイルを判定する方法が提供され、危険プロファイルは、対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-β)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベル、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、対象に投与される全ての血液製剤の総和、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、および皮膚のAISから選択される1つまたはそれを上回る臨床パラメータに基づく、1つまたはそれを上回る成分を備える、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。そのような方法は、対象に関して1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、検出された臨床パラメータから対象の危険プロファイル値を計算するステップとを含む、それから成る、または本質的にそれから成ってもよい。
【0181】
具体的実施形態では、菌血症の危険プロファイルを判定する方法が提供され、危険プロファイルは、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される1つまたはそれを上回る臨床パラメータに基づく、1つまたはそれを上回る成分を備える、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。そのような方法は、対象に関して1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、検出された臨床パラメータから対象の危険プロファイル値を計算するステップとを含む、それから成る、または本質的にそれから成ってもよい。いくつかの実施形態では、IL-2Rは、可溶性IL-2Rである。いくつかの実施形態では、IL-2R、IL-3、IL-6、および/またはMIGから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータが、創傷流出物等の血清サンプルではない対象からのサンプル中で検出される。
【0182】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、危険プロファイルは、上記に記載されるものから選択されるもの等の1つまたはそれを上回る臨床パラメータ、2つまたはそれを上回る臨床パラメータ、3つまたはそれを上回る臨床パラメータ、4つまたはそれを上回る臨床パラメータ、5つまたはそれを上回る臨床パラメータ、6つまたはそれを上回る臨床パラメータ、7つまたはそれを上回る臨床パラメータ、8つまたはそれを上回る臨床パラメータ、9つまたはそれを上回る臨床パラメータ、10個またはそれを上回る臨床パラメータ、11個またはそれを上回る臨床パラメータ、12個またはそれを上回る臨床パラメータ、13個またはそれを上回る臨床パラメータ、14個またはそれを上回る臨床パラメータ、15個またはそれを上回る臨床パラメータ、16個またはそれを上回る臨床パラメータ、17個またはそれを上回る臨床パラメータ、18個またはそれを上回る臨床パラメータ、19個またはそれを上回る臨床パラメータ、20個またはそれを上回る臨床パラメータ、21個またはそれを上回る臨床パラメータ、22個またはそれを上回る臨床パラメータ、23個またはそれを上回る臨床パラメータ、24個またはそれを上回る臨床パラメータ、25個またはそれを上回る臨床パラメータ、26個またはそれを上回る臨床パラメータ、27個またはそれを上回る臨床パラメータ、28個またはそれを上回る臨床パラメータ、29個またはそれを上回る臨床パラメータ、30個またはそれを上回る臨床パラメータ、31個またはそれを上回る臨床パラメータ、32個またはそれを上回る臨床パラメータ、33個またはそれを上回る臨床パラメータ、34個またはそれを上回る臨床パラメータ、35個またはそれを上回る臨床パラメータ、36個またはそれを上回る臨床パラメータ、37個またはそれを上回る臨床パラメータ、38個またはそれを上回る臨床パラメータ、39個またはそれを上回る臨床パラメータ、40個またはそれを上回る臨床パラメータ、41個またはそれを上回る臨床パラメータ、42個またはそれを上回る臨床パラメータ、43個またはそれを上回る臨床パラメータ、44個またはそれを上回る臨床パラメータ、45個またはそれを上回る臨床パラメータから計算される。特定の実施形態では、危険プロファイルは、上記に記載されるものから選択されるもの等の2つ、3つ、4つ、または5つの臨床パラメータから計算される。具体的実施形態では、対象は、対象の本明細書の成分または因子のうちの5つ、4つ、3つ、2つ、またはさらに1つが異常レベルにある場合に、菌血症に罹患する危険性の増加を有すると診断される。危険因子の個々のレベルは、危険プロファイル値が、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示すために、危険性の増加と相関する必要がないことを理解されたい。
【0183】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る臨床パラメータは、対象から単離される生物学的流体または組織である対象からのサンプル中で検出される。生物学的流体または組織は、限定されないが、全血、末梢血、血清、血漿、脳脊髄液、創傷流出物、尿、羊水、腹水、リンパ液、呼吸、腸、および尿生殖路の種々の外分泌物、涙、唾液、白血球、固形腫瘍、リンパ腫、白血病、ならびに骨髄腫を含む。これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、1つまたはそれを上回る臨床パラメータは、血清サンプルおよび創傷流出物から選択される対象からのサンプル中で検出される。これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、サンプルは、対象からの血漿サンプルである。
【0184】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、危険プロファイル値は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される1つまたはそれを上回るものを含む、臨床パラメータに基づく。
【0185】
いくつかの実施形態では、個々の成分自体の測定が、危険プロファイルで使用され、これらのレベルは、「2進」値、例えば、「上昇した」または「上昇していない」を各成分に提供するために使用されることができる。2進値はそれぞれ、数、例えば、「1」または「0」にそれぞれ変換されることができる。
【0186】
いくつかの実施形態では、「危険プロファイル値」は、プロファイルの個々の成分に全体的集合値として与えられる、単一の値、数、因子、またはスコアであることができる。例えば、各成分が上記等の値を割り当てられる場合、成分値は、単純に、各個々またはカテゴリの値の全体的スコアであってもよい。例えば、菌血症を予測するための危険プロファイルの4つの成分が使用され、これらの成分のうちの3つが「+2」の値を割り当てられ、1つが「+1」の値を割り当てられる場合、本実施例における危険プロファイルは、+7となり、正常値は、例えば「0」である。このようにして、危険プロファイル値は、有用な単一の数またはスコアであり得、その実際の値または規模は、菌血症を発症する実際の危険性の指標であり得、例えば、値が「より正である」ほど、菌血症を発症する危険性が大きくなる。
【0187】
いくつかの実施形態では、「危険プロファイル値」は、全体的プロファイルの個々の成分に与えられる、一連の値、数、因子、またはスコアであることができる。別の実施形態では、「危険プロファイル値」は、血漿マーカ部分等のプロファイルの個々の成分に与えられる値、数、因子、またはスコア、ならびに成分の群に集合的に与えられる値、数、因子、またはスコアの組み合わせであってもよい。別の実施例では、危険プロファイル値は、具体的成分の個々の値、数、またはスコア、ならびに成分の群の値、数、またはスコアを備える、もしくはそれから成ってもよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、危険プロファイルからの個々の値が、診断数値に丸められた個々の成分値からの加重スコアを利用し得る、「複合危険指数」等の単一のスコアを開発するために、使用されることができる。複合危険指数はまた、個々の成分値からの非加重スコアを使用して生成されてもよい。そのような実施形態では、「複合危険指数」が、1つまたはそれを上回る対照(正常)対象の集団から同様に開発される値の範囲によって判定され得るような具体的閾値レベルを超えるとき、個体は、菌血症を発症する高い危険性または正常よりも高い危険性を有すると見なされ得る一方で、「複合危険指数」の正常範囲値を維持することは、菌血症を発症する低いまたは最小限の危険性を示すであろう。これらの実施形態では、閾値は、1つまたはそれを上回る対照(正常)対象の集団からの複合危険指数によって設定されてもよい。
【0189】
いくつかの実施形態では、危険プロファイルの値は、個々の測定からのデータの集合であることができ、「危険プロファイル値」がプロファイルの個々の成分の個々の測定の集合であるように、スコアリングシステムに変換される必要はない。
【0190】
いくつかの実施形態では、検査対象の危険プロファイルは、参照危険プロファイルと比較される。これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照危険プロファイル値は、検査対象に関して前もって検出される臨床パラメータから計算される。したがって、本発明はまた、対象における菌血症の進行を監視する方法も含み、本方法は、1つを上回る時点で対象の危険プロファイルを判定するステップを含む。例えば、本発明の方法のいくつかの実施形態は、1週間またはそれを上回る、2週間またはそれを上回る、3週間またはそれを上回る、4週間またはそれを上回る、1ヶ月またはそれを上回る、2ヶ月またはそれを上回る、3ヶ月またはそれを上回る、4ヶ月またはそれを上回る、5ヶ月またはそれを上回る、6ヶ月またはそれを上回る、7ヶ月またはそれを上回る、8ヶ月またはそれを上回る、9ヶ月またはそれを上回る、10ヶ月またはそれを上回る、11ヶ月またはそれを上回る、1年またはそれを上回る、もしくはさらに2年またはそれよりも長い等の時間にわたって、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはさらにそれを上回る時点で、検査対象の危険プロファイルを判定するステップを含むであろう。本明細書に説明される方法はまた、対象の危険プロファイルが菌血症の処置の前および/または間ならびに/もしくは後に査定される、実施形態も含む。換言すると、本発明はまた、処置の経過にわたって、かつ処置後に、対象の危険プロファイルを査定することによって、菌血症の処置の有効性および/または菌血症処置への対象の応答を監視する方法も含む。具体的実施形態では、菌血症の処置の有効性を監視する方法は、菌血症の処置の受容に先立って、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、もしくはそれを上回る異なる時点で、対象の危険プロファイルを判定し、続いて、菌血症に対する処置を開始した後の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、もしくはそれを上回る異なる時点で、対象の危険プロファイルを判定するステップと、該当する場合、対象の危険プロファイルの変化を判定するステップとを含む。処置は、菌血症の症状および/または原因を治癒、除去、または軽減するように設計される任意の処置であってもよい。
【0191】
他の実施形態では、参照危険プロファイル値は、参照対象が菌血症の検出可能な症状を有していなかったときに、1つまたはそれを上回る参照対象の集団に関して検出される臨床パラメータから計算される。具体的実施形態では、参照危険プロファイル値は、爆風損傷、圧挫損傷、銃創、または四肢創傷等の菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷、状態、または創傷を有する参照対象の集団に関して検出される臨床パラメータから計算される。
【0192】
参照レベルと比較される臨床パラメータのレベルまたは値は、変動し得る。いくつかの実施形態では、因子、危険因子、バイオマーカ、臨床パラメータ、および/または成分のうちのいずれか1つまたはそれを上回るもののレベルまたは値は、参照レベルまたは値よりも少なくとも1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、1,000、または10,000倍高い。いくつかの実施形態では、因子、危険因子、バイオマーカ、臨床パラメータ、および/または成分のうちのいずれか1つまたはそれを上回るもののレベルまたは値は、参照レベルまたは値よりも少なくとも1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、1,000、または10,000倍低い。代替物では、因子または成分のレベルまたは値は、標準に正規化されてもよく、これらの正規化レベルまたは値は、次いで、因子または成分がより低い、より高い、またはほぼ同一であるかどうかを判定するように、相互と比較されることができる。
【0193】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照危険プロファイル値と比較した対象の危険プロファイル値の増加は、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す。
【0194】
他の実施形態では、対象の危険プロファイルは、「正常」危険プロファイルと見なされるプロファイルと比較される。「正常」危険プロファイルを確立するために、個体または個体の群が、最初に、菌血症を有し得るという兆候、症状、または診断インジケータを有していないことを確実にするように査定されてもよい。次いで、個体または個体の群の危険プロファイルは、次いで、「正常危険プロファイル」を確立するように判定されることができる。一実施形態では、正常危険プロファイルは、対象が、爆風損傷、圧挫損傷、銃創、または四肢創傷等の菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷、状態、または創傷を有していない、および/または菌血症の兆候、症状、もしくは診断インジケータを有していないとき等、対象が健康と見なされるときに、同一の対象から確認されることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、「正常対象」からの危険プロファイル、例えば、「正常危険プロファイル」は、胸部創傷を有するが、菌血症の兆候、症状、または診断インジケータを有していない、もしくは頭部創傷を有するが、菌血症の兆候、症状、または診断インジケータを有していない、もしくは四肢(腕、手、指、脚、足、足指)に少なくとも1つの創傷を有するが、菌血症の兆候、症状、または診断インジケータを有していない対象等の、損傷または創傷を有するが、菌血症を有し得るという兆候、症状、または診断インジケータを有していない対象に由来する。
【0195】
したがって、いくつかの実施形態では、「正常」危険プロファイルは、菌血症を有するという任意の兆候、症状、または診断インジケータの発症に先立って、サンプルが採取される同一の対象において査定される。例えば、正常危険プロファイルは、早期の時点で対象に関するデータに基づいて、縦断様式で査定されてもよく、経時的に危険プロファイル(およびその値)の間の比較を可能にする。
【0196】
別の実施形態では、正常危険プロファイルが、異なる対象または患者から(分析されている対象から)のサンプル中で査定され、本異なる対象は、菌血症を有していない、または有する疑いがない。なおも別の実施形態では、正常危険プロファイルは、健康な個体の集団内で査定され、その構成要素は、菌血症を有し得るという兆候、症状、または診断インジケータを表示しない。したがって、対象の危険プロファイルは、単一の正常サンプルから生成される正常危険プロファイルまたは1つを上回る正常サンプルから生成される危険プロファイルと比較されることができる。
【0197】
具体的実施形態では、対象は、対象の本明細書の成分または因子のうちの5つ、4つ、3つ、2つ、またはさらに1つが異常レベルにある場合に、菌血症に罹患する危険性の増加を有すると診断される。
【0198】
いくつかの実施形態によると、対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-β)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベル、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、対象に投与される全ての血液製剤の総和、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、および皮膚のAISから選択される、対象の1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、検出された臨床パラメータから対象の危険プロファイル値を計算するステップと、対象の危険プロファイル値を参照危険プロファイル値と比較するステップであって、参照危険プロファイル値と比較した対象の危険プロファイル値の増加は、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す、ステップとを含む、対象、随意に、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象が、随意に、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険性の増加を有するかどうかを判定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象は、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する。いくつかの実施形態では、菌血症を発症する危険性の増加は、その検出可能な症状の発症に先立って判定される。
【0199】
具体的実施形態では、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、対象の1つまたはそれを上回る臨床パラメータを検出するステップと、検出された臨床パラメータから対象の危険プロファイル値を計算するステップと、対象の危険プロファイル値を参照危険プロファイル値と比較するステップであって、参照危険プロファイル値と比較した対象の危険プロファイル値の増加は、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す、ステップとを含む、対象、随意に、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象が、随意に、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険性の増加を有するかどうかを判定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象は、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する。いくつかの実施形態では、菌血症を発症する危険性の増加は、その検出可能な症状の発症に先立って判定される。
【0200】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、本方法は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータ、2つまたはそれを上回る臨床パラメータ、3つまたはそれを上回る臨床パラメータ、4つまたはそれを上回る臨床パラメータ、もしくは5つの臨床パラメータを検出するステップを含む。
【0201】
本開示はまた、菌血症に対して、随意に、個体におけるの知覚可能、顕著、または測定可能な兆候が存在する前等のその検出可能な症状の発症の前に、菌血症を発症する危険性の増加を有することが判定される個体を処置する方法も提供する。処置の実施例は、抗生物質療法の開始または拡大を含み得る。そのような早期処置の利益は、敗血症の回避、膿胸の回避、換気支援の必要性の回避、入院もしくは集中治療室の滞在期間の短縮、および/または医療費の削減を含み得る。
【0202】
いくつかの実施形態によると、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る危険因子を査定するステップを含む、対象、随意に、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において、危険因子を査定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、危険因子は、菌血症危険因子であり、随意に、その検出可能な症状の発症の前に査定される。いくつかの実施形態では、対象は、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する。いくつかの実施形態では、菌血症を発症する危険性の増加は、その検出可能な症状の発症に先立って判定される。
【0203】
いくつかの実施形態によると、随意に、その検出可能な症状の発症に先立って、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有するかどうかを判定する方法が提供され、本方法は、(a)対象からの少なくとも1つのサンプルを分析し、対象の危険プロファイルの値を判定するステップであって、危険プロファイルは、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルを備える、ステップと、(b)対象の危険プロファイルの値を正常危険プロファイルと比較し、対象の危険プロファイルが正常危険プロファイルと比較して改変されているかどうかを判定するステップであって、対象の危険プロファイルの値の増加が、対象が、正常危険プロファイルを伴う個体と比較して、菌血症を発症する危険性の増加を有することを示す、ステップとを含む、それから成る、または本質的にそれから成る。これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、正常危険プロファイルは、現在または将来、菌血症の症状を示さない、健康な個体の集団から生成される危険プロファイルを備える。
【0204】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、危険プロファイルはさらに、損傷の機構、対象からの血清サンプル中のIL-3のレベル、対象からの血清サンプル中のIL-8のレベル、および対象からの血清サンプル中のIL-6のレベルを備える、またはそれから成る。
【0205】
単変量分析のため等のいくつかの実施形態では、ウィルコクソン順位和検定が、具体的指標と関連付けられる具体的患者群からのバイオマーカを識別するために、使用されることができる。危険プロファイルの個々の成分のレベルの査定は、絶対または相対値として表されることができ、別の成分、標準、内部標準、またはサンプル中にあることが公知である別の分子もしくは化合物に関連して、表される場合とそうではない場合がある。レベルが標準または内部標準に対して査定される場合、標準または内部標準は、サンプル処理に先立って、その間に、または後に、試験サンプルに追加されてもよい。
【0206】
菌血症を処置する方法
いくつかの実施形態によると、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症に対する処置を対象に投与するステップを含む、随意に、菌血症の危険に対象をさらす損傷を有する、対象を菌血症に関して処置する方法が提供され、対象は、対象からのサンプル中の上皮成長因子(EGF)のレベル、対象からのサンプル中のエオタキシン-1(CCL11)のレベル、対象からのサンプル中の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のレベル、対象からのサンプル中の肝細胞成長因子(HGF)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンアルファ(IFN-α)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン10(IL-10)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン12(IL-12)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン13(IL-13)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン15(IL-15)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン17(IL-17)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1アルファ(IL-1α)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1ベータ(IL-β)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2(IL-2)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン2受容体(IL-2R)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン3(IL-3)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン4(IL-4)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン5(IL-5)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン6(IL-6)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン7(IL-7)のレベル、対象からのサンプル中のインターロイキン8(IL-8)のレベル、対象からのサンプル中のインターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)のレベル、対象からのサンプル中の単球走化性タンパク質1(MCP-1)のレベル、対象からのサンプル中のガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン(MIG)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α)のレベル、対象からのサンプル中のマクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1β)のレベル、対象からのサンプル中のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)のレベル、対象からのサンプル中の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベル、対象からのサンプル中の血管内皮細胞成長因子(VEGF)のレベル、対象に投与される全血球の量、対象に投与される赤血球(RBC)の量、対象に投与される濃厚赤血球(pRBC)の量、対象に投与される血小板の量、対象に投与される全ての血液製剤の総和、全濃厚RBCのレベル、外傷重症度スコア(ISS)、腹部の簡易式外傷指数(AIS)、胸部(胸郭)のAIS、四肢のAIS、顔面のAIS、頭部のAIS、および皮膚のAISから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータから計算される危険プロファイル値によって判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている。いくつかの実施形態では、対象は、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する。いくつかの実施形態では、菌血症を発症する危険性の増加は、その検出可能な症状の発症に先立って判定される。
【0207】
いくつかの実施形態によると、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症に対する処置を対象に投与するステップを含む、随意に、菌血症の危険に対象をさらす損傷を有する、対象を菌血症に関して処置する方法が提供され、対象は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回る臨床パラメータから計算される危険プロファイル値によって判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている。いくつかの実施形態では、IL-2Rは、可溶性IL-2Rである。いくつかの実施形態では、対象は、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する。いくつかの実施形態では、菌血症を発症する危険性の増加は、その検出可能な症状の発症に先立って判定される。
【0208】
「危険性の上昇」は、(上記で説明されるような)参照危険プロファイル値を上回る検査対象の危険プロファイル値を指す。いくつかの実施形態では、危険性の上昇は、参照危険プロファイル値を少なくとも1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、1,000、または10,000倍上回る検査対象の危険プロファイル値である。
【0209】
いくつかの実施形態によると、菌血症に関して対象を処置する方法が提供され、本方法は、(a)対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベル、対象からの血清サンプル中のIL-3のレベル、対象からの血清サンプル中のIL-8のレベル、および対象からの血清サンプル中のIL-6のレベルから選択される、個々の危険因子を備える危険プロファイルを査定するステップと、(b)対象の危険プロファイルが正常対象の危険プロファイルを上回るときに、菌血症に対する処置を対象に投与するステップとを含む、それから成る、または本質的にそれから成る。いくつかの実施形態では、IL-2R、IL-3、IL-6、および/またはMIGから選択される、1つまたはそれを上回る危険因子のレベルは、血漿サンプルまたは創傷流出物等の血清サンプルではない対象からのサンプル中にある。
【0210】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、危険プロファイル値は、対象からのサンプル中のCCの存在、対象に投与される全RBCのレベル、対象に投与される全ての血液製剤の総和、対象からの血清サンプル中のIL-2Rのレベル、および対象からの血清サンプル中のMIGのレベルから選択される、1つまたはそれを上回るさらなる臨床パラメータを含む、臨床パラメータに基づく。
【0211】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、1つまたはそれを上回る臨床パラメータは、血清サンプルおよび創傷流出物から選択される対象からのサンプル中で検出される。これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、サンプルは、血漿サンプルである。
【0212】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、参照危険プロファイル値は、対象が損傷を有するときに対象に関して前もって検出される臨床パラメータから計算される。
【0213】
これらの方法のうちのいずれかの具体的実施形態では、処置は、菌血症を有する対象の任意の検出可能な症状の発症に先立って、対象に投与される。
【0214】
処置の方法はまた、菌血症に対する処置の有効性を監視する方法を含んでもよい。いったん処置計画が確立されると、菌血症の予測または菌血症を発症する危険性を予測することを支援するための本開示の方法の使用の有無にかかわらず、経時的に対象の危険プロファイルを監視する方法は、菌血症に対する処置の有効性を査定するために使用されることができる。例えば、対象の危険プロファイルは、菌血症に対する処置の前、間、および後を含む、経時的に査定されることができる。危険プロファイルは、監視されることができ、例えば、経時的なプロファイルの値の正規化または減少は、処置が処置の有効性を示し得ることを示す。
【0215】
対象が菌血症に罹患する危険性があるという指標に応答して開始され得る、菌血症に対する好適な処置は、限定されないが、対象への抗生物質の投与を含む。
【0216】
本開示はまた、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において菌血症を処置するための抗生物質も提供し、対象は、本明細書に説明される方法のうちのいずれか1つによって判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている。
【0217】
本開示はまた、その検出可能な症状の発症に先立って、菌血症を発症する危険に対象をさらす損傷を有する対象において菌血症を処置するための薬剤の調製で使用するための抗生物質も提供し、対象は、本明細書に説明される方法のうちのいずれか1つによって判定されるように、菌血症を発症する危険性の上昇を有することが前もって判定されている。
【0218】
抗生物質または抗ウイルス剤の選択肢は、通常、対象の病気の重症度、宿主因子(例えば、併存疾患、年齢)、および推定原因物質(例えば、細菌の種)に基づく。抗生物質の非限定的実施例は、アモキシシリン(Amoxil、Biomox、Trimox)、アンピシリン(Marcillin、Omnipen、Polycillin、Principen、Totacillin)、セフトリアキソン(Rocephin)、セフォタキシム(Claforan)、ゲンタマイシン(Garamycin、I-Gent、Jenamicin)、バンコマイシン(Vancocin、Vancoled、Lyphocin)、ナフシリン(Unipen、Nafcil、Nallpen)、メロペネム(Merrem)、イミペネムおよびシラスタチン(Primaxin)、セフェピム(Maxipime)、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0219】
処置方法のいくつかの実施形態では、抗生物質の有効量が、対象に投与される。「有効量」は、菌血症の少なくとも1つまたはそれを上回る症状を軽減すること等の有益または所望の結果を生じるために十分な量である。本明細書で使用されるような有効量はまた、菌血症の発症を遅延させる、菌血症の症状の経過を改変する、または菌血症の症状を逆転するために十分な量も含むであろう。本定義と一致して、本明細書で使用されるように、用語「治療的有効量」は、体外、試験管内、または生体内で細菌成長を阻害するために十分な量である。したがって、「有効量」は、患者によって変動し得る。しかしながら、任意の所与の症例に関して、適切な「有効量」は、日常的方法のみを使用して、当業者によって判定されることができる。有効量は、1つまたはそれを上回る投与、適用、もしくは投与量で、投与されることができる。
【0220】
処置計画の成功は、以下の方法のうちの少なくとも1つ、すなわち、対象における菌血症の1つまたはそれを上回る症状の改善を検出するステップ、処置後に対象が菌血症の症状を発症していないことを判定するステップ、対象の危険因子プロファイルの1つまたはそれを上回る成分のレベルもしくは値の低減を検出するステップ、および対象の危険因子プロファイルの値の低減を検出するステップによって、判定または査定されることができる。いくつかの実施形態では、処置計画の成功は、対象の危険因子プロファイルの(もしくは対象の危険因子プロファイルの1つまたはそれを上回る成分の)レベルまたは値の増加を検出すること、および/または参照危険因子プロファイル(もしくは参照危険因子プロファイルの1つまたはそれを上回る対応する成分)に対する対象の危険因子プロファイルの値の増加を検出することによって、判定または査定されることができる。菌血症の症状は、熱、速い心拍数、悪寒戦慄、低血圧、限定されないが、腹痛、吐き気、嘔吐、ならびに下痢等の胃腸の症状、速い呼吸、および/または混乱状態を含むが、それらに限定されない。十分に重症である場合、菌血症は、敗血症、重度の敗血症、および可能性として考えられる敗血症性ショックにつながり得る。いくつかの実施形態では、菌血症の処置の成功は、対象に診断検査を実施することによって、判定されることができる。菌血症に関する診断検査は、限定されないが、白血球(WBC)数、絶対好中球数(ANC)、絶対帯域数(ABC)、赤血球沈降速度(ESR)、C-反応性タンパク質(CRP)レベル、プロカルシトニンレベル、検尿および尿培養、下痢がある小児の便検査、血漿クリアランス率、腰椎穿刺および脳脊髄液(CSF)分析、ならびに血液培養を含む。
【0221】
キット
いくつかの実施形態によると、本明細書に説明される方法のうちのいずれかを実施するためのキットが提供される。したがって、本発明は、上記で説明されるように、菌血症の危険プロファイルを判定するため、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有するかどうかを判定するため、対象において危険因子を査定するため、対象が菌血症を発症する危険性の増加を有するかどうかを判定するため、対象においてバイオマーカのレベルを検出するため、対象においてバイオマーカのレベルの上昇を検出するため、および菌血症に関して対象を処置するためのキットを提供する。
【0222】
いくつかの実施形態では、キットは、バイオマーカに特異的に結合する固体基質上に固定化される抗体の1つまたはそれを上回るセット等の1つまたはそれを上回るバイオマーカを検出するための1つまたはそれを上回る試薬を備える、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。具体的実施形態では、キットは、固体基質上に固定化される抗体の少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つのセットを備え、各セットは、本明細書で議論されるバイオマーカ(例えば、IL-2R、MIG)を検出するために有用である。
【0223】
具体的実施形態では、基質上に固定化される抗体は、標識される場合とそうではない場合がある。例えば、抗体は、標識される、例えば、具体的タンパク質の結合が標識を変位させ得、サンプル中のマーカの存在が信号の不在によってマークされるような様式で、標識タンパク質に結合されてもよい。加えて、基質上に固定化される抗体は、表面上に直接または間接的に固定化されてもよい。抗体を含むタンパク質を固定化するための方法が、当技術分野内で周知であり、そのような方法は、具体的因子を対象とする抗体が、次いで、特異的に結合され得る、基質の表面上に、標的タンパク質、例えば、IL-2R、または別の抗体を固定化するために使用されてもよい。このようにして、具体的バイオマーカを対象とする抗体は、本発明の目的のために、基質の表面上に固定化される。
【0224】
ELISA検定、ウェスタンブロット、免疫細胞化学、および免疫蛍光で使用するために好適なIL-2Ra抗体は、例えば、Biorbytから入手可能である(カタログ番号orb161444)。ELISA検定およびウェスタンブロットで使用するために好適なIL-2Rb抗体は、例えば、Biorbytから入手可能である(カタログ番号orb161445)。ELISA検定、免疫組織化学、および/またはウェスタンブロットで使用するために好適なMIG抗体は、例えば、Abcamから入手可能である(カタログ番号ab9720)。ELISA検定で使用するために好適なIL-3抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号AHC0939)。ウェスタンブロット、免疫蛍光、および免疫細胞化学で使用するために好適なIL-3抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号PA5-46918)。ELISA検定、免疫蛍光、免疫細胞化学、およびウェスタンブロットで使用するために好適なIL-8抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号M801)。ELISA検定、フローサイトメトリ、および/またはウェスタンブロットで使用するために好適なIL-6抗体は、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能である(カタログ番号701028)。いくつかの実施形態では、抗体は、検出可能な標識を備える。
【0225】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、対象からサンプルを収集するためのコンテナと、1つまたはそれを上回る試薬、例えば、IL-2RまたはMIGを検出するために有用な1つまたはそれを上回る抗体、および/または較正曲線を調製するための精製標的バイオマーカとを備える、それから成る、もしくは本質的にそれから成る。
【0226】
いくつかの実施形態では、キットはさらに、標識の存在(または不在)を検出するために使用される、洗浄緩衝財、標識試薬、および試薬等の付加的試薬を備える。
【0227】
いくつかの実施形態では、キットはさらに、使用説明書を備える。
【0228】
E. コンピューティング環境
当業者によって理解されるであろうように、本開示の側面は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化されてもよい。故に、本開示の側面は、完全にハードウェア実施形態、完全にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、または概して、本明細書では「回路」、「エンジン」、「モジュール」、もしくは「システム」と称され得る、ソフトウェアおよびハードウェア側面を備える実施形態の形態をとってもよい。さらに、本開示の側面は、その上に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する、1つまたはそれを上回るコンピュータ可読媒体で具現化されるコンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。本開示の側面は、1つまたはそれを上回るアナログおよび/またはデジタル電気もしくは電子コンポーネントを使用して、実装されてもよく、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理、および/またはコンピュータプログラム製品の命令を実行することによって等、本明細書に説明される種々の入出力、制御、分析、および他の機能を実施するように構成される他のアナログならびに/もしくはデジタル回路要素を含んでもよい。
【0229】
1つまたはそれを上回るコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが、利用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定されないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、もしくはデバイス、または前述の任意の好適な組み合わせであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な実施例(非包括的リスト)は、以下、すなわち、1つまたはそれを上回るワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせを含むであろう。本書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、もしくはそれに関連して使用するためのプログラムを含有する、または記憶し得る、任意の有形媒体であってもよい。
【0230】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンド内に、または搬送波の一部として、その中に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを伴う伝搬データ信号を含んでもよい。そのような伝搬信号は、限定されないが、電磁、光学、またはそれらの任意の好適な組み合わせを含む、種々の形態のうちのいずれかをとってもよい。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、もしくはそれに関連して使用するためのプログラムを通信、伝搬、または輸送し得る、任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0231】
コンピュータ可読媒体上で具現化されるプログラムコードは、限定されないが、無線、有線、ファイバケーブル、RF等、または前述の任意の好適な組み合わせを含む、任意の適切な媒体を使用して、伝送されてもよい。本開示の側面のための動作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++、または同等物等のオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または類似プログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたはそれを上回るプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上および部分的に遠隔コンピュータ上で、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で、実行されてもよい。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む、任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてもよい、または接続は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを通して)外部コンピュータに行われてもよい。
【0232】
本開示の側面は、限定されないが、SASおよびRパッケージを含む、種々のソフトウェア環境を使用して、実装されてもよい。SAS(「統計分析ソフトウェア」)は、Jim GoodnightおよびN. C.State Universityの同僚によって作成された汎用パッケージ(StataおよびSPSSに類似する)である。すぐに使えるプロシージャは、限定されないが、分散の分析、回帰、カテゴリデータ分析、多変量分析、生存率分析、精神測定分析、クラスタ分析、およびノンパラメトリック分析を含む、広範囲の統計分析を取り扱う。Rパッケージは、種々のUNIX(登録商標)プラットフォームに準拠し、その上で起動する、無料汎用パッケージである。
【0233】
本開示の側面は、本開示の実施形態による、方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、下記に説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図の中のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装され得ることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックの中で規定される機能/作用を実装するための手段を作成するように、マシンを生成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。
【0234】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体の中に記憶された命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックの中で規定される機能/作用を実装する命令を含む、製造品を生成するように、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスに特定の様式で機能するように指図し得る、コンピュータ可読媒体の中に記憶されてもよい。コンピュータプログラム命令はまた、一連の動作ステップを、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実施させ、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックの中で規定される機能/作用を実装するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを生成するように、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイス上にロードされてもよい。
【0235】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本開示の種々の実施形態による、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能性として考えられる実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を図示する。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の中の各ブロックは、規定論理機能を実装するための1つまたはそれを上回る実行可能命令を備える、コードのモジュール、セグメント、または部分を表してもよい。また、いくつかの代替的実装では、ブロックの中に記述される機能は、図中に記述される順序外で起こり得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよい、またはブロックは、ある時は、関与する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図の中のブロックの組み合わせは、規定機能もしくは作用、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実施する、専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得ることも留意されたい。
【0236】
いくつかの実施形態では、COPS100および/または遠隔デバイス150等の本明細書に説明されるシステムは、通信電子機器を含む。通信電子機器は、別の電子デバイス、クラウドサーバ、またはインターネットリソース等の遠隔ソースから電子信号を伝送および受信するように構成されることができる。通信電子機器120は、任意の数または組み合わせの通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA、TDNM、WCDMA(登録商標)、OFDM、GPRS、EV-DO、WiFi、WiMAX、S02.xx、UWB、LTE、衛星等)を使用して、通信するように構成されることができる。通信電子機器はまた、USBポート、シリアルポート、IEEE 1394ポート、光学ポート、パラレルポート、および/または任意の他の好適な有線通信ポート等の有線通信特徴を含んでもよい。
【0237】
いくつかの実施形態では、COPS100および/または遠隔デバイス150等の本明細書に説明されるシステムは、ディスプレイデバイスおよびユーザ入力デバイスを含む、ユーザインターフェースデバイスを含む。ディスプレイデバイスは、画像データを受信し、画像データを表示するように構成される、種々のディスプレイデバイス(例えば、CRT、LCD、LED、OLED)のうちのいずれかを含んでもよい。例えば、画像データは、菌血症転帰の予測を表示するために使用されることができる。ユーザ入力デバイスは、キー、ボタン、スライダ、ノブ、タッチパッド(例えば、抵抗もしくは容量タッチパッド)、またはマイクロホン等の種々のユーザインターフェース要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースデバイスは、ユーザインターフェースデバイスが、タッチ入力としてユーザ入力を受信し、タッチ入力の場所、強度、持続時間、または他のパラメータを検出することに基づいて、ユーザ入力によって示されるコマンドを判定し得るように、タッチスクリーンディスプレイデバイスおよびユーザ入力デバイスを含む。
【0238】
種々の例示的実施形態に示されるようなシステムおよび方法の構造および配列は、例証的にすぎない。いくつかの実施形態のみが、本開示で詳細に説明されているが、多くの修正が可能である(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、および割合、パラメータの値等の変形例)。例えば、要素の位置は、逆転または別様に変動されてもよく、離散要素または位置の性質または数は、改変または変動されてもよい。故に、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。任意のプロセスまたは方法ステップの順序または順番は、代替実施形態によると、変動または再配列決定されてもよい。他の代用、修正、変更、および省略が、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件、および配列に行われてもよい。
【0239】
図は、方法ステップの具体的順序を示すが、ステップの順序は、描写されるものと異なり得る。また、2つまたはそれを上回るステップは、同時に、または部分的に同時に実施されてもよい。そのような変形例は、選定されるソフトウェアおよびハードウェアシステムならびに設計者の選択肢に依存するであろう。全てのそのような変形例は、本開示の範囲内である。同様に、ソフトウェア実装は、種々の接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、および決定ステップを遂行するように、規則ベースの論理および他の論理を用いた標準プログラミング技法を用いて、遂行され得る。
【実施例】
【0240】
(実施例1)
本実施例は、損傷がある73人の患者が登録された、観察研究を説明する。患者は、登録に続いて3回の操作の中央値が要求された。菌血症の発生率は、患者コホート内で22%であった。患者は、登録に続いて3回の操作の中央値を要求した。データセットは、116の創傷と、399のデータ収集時点とを含む。全てのモデル化結果が、5日の中央値の第1の利用可能な時間データ点を使用して生成された。モデルはまた、患者あたりの全身および臨床マーカを使用して生成された。
【0241】
Walter Reed National Military Medical Center(WRNMMC)において複雑な創傷を手当てされた患者が、本観察研究において先を見越してデータを収集された。本研究は、主要施設における施設内倫理委員会によって承認された。組織、血清、および創傷流出物サンプルが、創傷閉鎖まで同意時から全ての関連操作介入時に収集された。全ての創傷は、陰圧包帯を用いて管理され、創傷動態の分子査定を可能にした。時点のそれぞれにおいて、臨床およびバイオマーカデータの両方を含む臨床パラメータが、収集された。臨床パラメータデータは、性別、年齢、損傷の日付、場所、および機構、輸血の要件および血液製剤の総数、外傷重症度スコア(ISS)ならびに急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコア、創傷表面積および深度、関連付けられる損傷、創傷閉鎖のタイプおよび成功、グラスゴーコーマスケール(GCS)スコア、外傷性脳損傷の存在および重症度、集中治療室および病院の滞在期間、人工呼吸器日数、創傷清拭の回数、院内感染症の発症、ならびに病院からの退院を含んだ。
【0242】
バイオマーカデータの収集は、Luminexプロテオーム、定量的PCR(QPCR)トランスクリプトーム、および定量的細菌学データを含んだ。本データは、QPCRおよびLuminexに関して血清および創傷流出物サンプルの両方について収集された一方で、定量的細菌学査定が、創傷組織および流出物サンプルに行われた。患者コホート内の菌血症の発症の可能な限り早期の診断および危険予測に関して、最大限の予測および臨床値を抽出するために、データセットのサブセットが、第1の利用可能な時点のみを用いて作成された。
【0243】
血液収集ならびに血清および創傷炎症バイオマーカ分析の技法は、他の場所で公開されている。Stojadinovic A., et al., J. Multidiscip Healthc. 3:125-35 (2010)(参照することによって組み込まれる)を参照されたい。手短には、血液が収集され、遠心分離機を使用して即時に分画され、血漿上清が、液体窒素中で高速冷凍され、-70℃で貯蔵された。血清が、次いで、LUMINEX(登録商標) 100 IS xMAPビーズアレイプラットフォーム上のBEADLYTE(登録商標) Human 22-Plexマルチサイトカイン検出システム(Millipore Corp)を使用して分析された。22個のサイトカインが、製造業者の指示書に従ってpg/mL単位で定量化された。陰圧コンテナからの流出物が、同様に取り扱われた。
【0244】
本具体的研究では、菌血症は、抗生物質で処置された研究期間中の任意の時点における血液中の細菌の存在として定義された。臨床エンドポイントが、登録された患者のチャートレビューを通して判定された。
【0245】
血清および流出物変数のセット全体ならびに利用可能な臨床変数について変数選択を実施するために、「bnlearn」Rパッケージ(1)が採用された。いくつかのアルゴリズムが、ランク付けされた予測因子を伴う入力データセットを検索し、感染合併症転帰に関する全ての変数の基礎となる分布を最良に表した低減変数セットを見出すために、使用された。特徴選択フィルタアルゴリズムが、低減変数セットを見出すために使用された。これらのアルゴリズムは、inter.iamb、fast.iamb、iamb、gs、mmpc、およびsi.hiton.pcアルゴリズムを含んだ。全てのアルゴリズムが試験のために検査されることができるが、最大最小親子(mmpc)またはinter.iambアルゴリズムが、低減変数セットとして対応するベイジアンネットワークのノードを選定するために使用された。いったん各アルゴリズムが包含のための変数を選択すると、ベイジアンネットワークが、構築され、統計的モデルの品質が、ベイジアン情報基準(BIC)を使用して比較された。最大BICを伴うモデルは、さらなるモデル化および分析のためにフラグを付けられた。
【0246】
次に、ランダムフォレストモデルが、ベースラインとして未加工データから引き出された変数の全セットを使用して構築された。欠落したデータを伴うプロセスサンプルを取り扱うために、RパッケージのrfImputeが、使用された。モデルの合計陽性分類および陰性分類アウトオブバッグ(OOB)誤差推定値が、プロットされ、次いで、正確度およびカッパスコアが、計算された。「ランダムフォレスト」Rパッケージが、これらの計算に使用された。本変数の全セットは、変数が選択された同一の全セットであった。次に、ランダムフォレストモデルが、未加工データから引き出されたベイジアンネットワーク選択変数を用いて構築された。加えて、OOB誤差プロットを用いたランダムフォレスト性能、正確度およびカッパスコアが、査定された。最小OOB誤差およびBICスコアを伴うモデル、ならびに最高正確度およびカッパスコアが、選定された。両方のランダムフォレストモデルが、10,001の分類および回帰ツリー、ならびに各分割時に候補としてランダムにサンプリングされたp変数の平方根を使用して、構築され、pは、モデル内の変数の数である。いったんこれら2つのモデルが生成されると、それらの受信者動作特性曲線(ROC)および個別の曲線下面積(AUC)の形状が、比較された。ビッカースおよびエルキンス決定曲線分析(DCA)を使用するモデル性能ならびに混同行列もまた、査定された。全変数ランダムフォレストモデルおよび低減変数ランダムフォレストモデルの決定曲線の両方もまた、プロットされた。DCAが、全員無処置ヌルモデル、または「全員処置」介入パラダイムと比較して、臨床設定でモデルを使用することの純便益を査定するために使用された。
【0247】
結果
上記の最良の性質を伴うベイジアンネットワークは、mmpc選択変数セットであった。本モデルは、以下の変数、すなわち、血液Bethesda、RBC(赤血球)Bethesda(両方ともWRNMMCにおいて受容される血液製剤の体積の測定値)、臨界定着(1グラムの組織あたり、または1μlの創傷流出物あたりの106CFUを上回る存在)、血清IL2R、および血清MIGを含んだ。ランダムフォレストモデル化およびROC/AUC分析の結果は、0.721のAUCを伴う全変数モデルを示し、かつ0.834のAUCを伴うmmpc選択変数モデルを示す。後者のモデルの感度が、0.500であった一方で、特異性は、0.912であった。これは、菌血症陽性症例の50%が本モデルを用いて予測されたことを実証する。DCA曲線はまた、全およびmmpc選択変数モデルの両方の測定可能な純便益も示す。
【0248】
(実施例2)
ランダムフォレストが菌血症ステータスの予測を行うために使用される、プロセスが、
図3を参照して図示される。
図3は、ランダムフォレストの単一の要素を描写し、これは、ランダムフォレストが、臨床パラメータ、すなわち、Blood_Bethesda、RBC_Bethesda、Ser2x_IL2R、Ser2x_MIG、およびCCを使用して、菌血症の状態の予測を行うために使用される、プロセスを図示する、決定ツリーまたはCART(分類および回帰ツリー)である。CARTおよびランダムフォレストが構築される方法についての詳細に関しては、「Classification and Regression Trees」 (Breiman et al., 1984)および「Random Forests」 (Breiman, 2001)を参照されたい。オリジナル患者データセットは、訓練および試験観察に分割され、訓練観察は、ランダムフォレストを構築するために使用される。
【0249】
試験観察は、転帰予測(菌血症の存在/不在)を行うために使用される。単一のツリーを伴う予測プロセスを例証するために、以下の臨床パラメータ値、すなわち、22のBlood_Bethesda、55のSer2x_IL2R、65のRBC_Bethesda、30のSer2x_MIG、および「はい」のCCを伴う仮定患者Xから開始する。
図3に示される決定ツリーでは、第1の分割点は、規則「Blood_Bethesda<44.75であるか?」から成る。患者Xに関して、次の決定が決定規則「Ser2x_IL2R<52であるか?」に遭遇するように、回答は、「はい」である。本プロセスは、患者Xが2つの末端ノード「菌血症」および「健康」によって従われる決定規則に到達するまで継続する。末端ノードへの転帰の割当は、そのノードに入る訓練観察の多数決によって判定される。末端ノードが菌血症を伴うより多くの訓練対象を含有する場合には、そのノードに入る検査対象は、菌血症を有すると予測されるであろう。
【0250】
予測が、ランダムフォレスト内の全てのツリーを横断して組み合わされ、菌血症を有する確率が、判定される。例えば、ランダムフォレスト内に10,000のツリーがあり、5,000のツリーが菌血症を予測する場合には、菌血症を有する割り当てられた確率は、0.5である。
* * * * *
【0251】
本明細書で記述される全ての特許および出版物は、本開示が関連する当業者のレベルを示す。本明細書で引用される全ての特許および出版物は、各個々の出版物が、その全体として参照することによって組み込まれたように具体的かつ個別に示された場合と同一の程度に、参照することによって組み込まれる。
【0252】
(参照することによって組み込まれる参考文献のリスト)
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