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特許7097376複数の周波数で発生器と負荷との間のインピーダンス整合をとるための回路、そのような回路を含むアセンブリ、および関連する使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】複数の周波数で発生器と負荷との間のインピーダンス整合をとるための回路、そのような回路を含むアセンブリ、および関連する使用
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220630BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220630BHJP
   H03H 7/38 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 M
H01L21/302 101B
H03H7/38 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019546074
(86)(22)【出願日】2017-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2017078673
(87)【国際公開番号】W WO2018087189
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】1660791
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】513262665
【氏名又は名称】エコール ポリテクニック
【氏名又は名称原語表記】ECOLE POLYTECHNIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、エリク
(72)【発明者】
【氏名】ブース、ジャン - ポール
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-171225(JP,A)
【文献】特開2002-118428(JP,A)
【文献】特開2004-242269(JP,A)
【文献】特表2007-515761(JP,A)
【文献】特開2010-200310(JP,A)
【文献】特表2013-545400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0021088(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0194487(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0306367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
H03H 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる少なくとも1つの第1の周波数と1つの第2の周波数とを含む電源信号に対して発生器(G)と負荷(CH)との間で同時にインピーダンス整合を達成することができるインピーダンス整合のための回路(100,100’)において、前記回路(100,100’)は、前記第1の周波数について前記発生器と前記負荷との間でインピーダンス整合を達成することができるインピーダンス整合ステージ(S1)を含み、このインピーダンス整合ステージ(S1)は、前記発生器(G)と前記負荷(CH)との間に直列に配置されるように意図された少なくとも1つの同調インピーダンス(ZTUNE)と、前記発生器(G)とアースとの間に配置されるように意図された負荷インピーダンス(ZLOAD)とを備えた回路(C1)を含み、
インピーダンス整合のための前記回路(100,100’)は、前記第2の周波数について前記発生器と前記負荷との間で同時にインピーダンス整合を達成することができる少なくとも1対の追加ステージ(S2,S’2)をさらに含み、前記1対の追加ステージ(S2,S’2)は、
前記インピーダンス整合ステージ(S1)の前記負荷インピーダンス(ZLOAD)に関して並列に配置された負荷回路(C2)を含む第1の追加ステージ(S2)であって、前記負荷回路(C2)は少なくとも直列に配置されたインダクタンス(L LOAD2 )およびコンデンサ(C LOAD2 )を備える、第1の追加ステージ(S2)と、
前記インピーダンス整合ステージ(S1)の前記同調インピーダンス(ZTUNE)に関して直列に配置された同調回路(C’2)を含む第2の追加ステージ(S’2)であって、前記負荷回路(C2)は少なくとも並列に配置されたインダクタンス(L’ TUNE2 )およびコンデンサ(C’ TUNE2 )を備える、第2の追加ステージ(S’2)と、
を含み、
前記インピーダンス整合ステージ(S1)はさらに、前記第1の追加ステージ(S2)と前記第2の追加ステージ(S’2)との間に配置されており、
インピーダンス整合のための前記回路(100,100’)が、前記第1および第2の周波数とは異なる第3の周波数について、前記発生器と前記負荷との間で同時にインピーダンス整合を達成することができる少なくとも1対の補助の追加ステージ(S3,S’3)を含み、前記少なくとも1対の補助の追加ステージ(S3,S’3)は、
前記インピーダンス整合ステージ(S1)の前記負荷インピーダンス(ZLOAD)に関して並列に配置された第2の負荷回路(C3)を備える第1の補助の追加ステージ(S3)であって、前記第2の負荷回路(C3)は、少なくとも直列に配置されたインダクタンス(L LOAD3 )およびコンデンサ(C LOAD3 )を備える、第1の補助の追加ステージ(S3)と、
前記インピーダンス整合ステージ(S1)の前記同調インピーダンス(ZTUNE)に関して直列に配置された第2の同調回路(C’3)を備える第2の補助の追加ステージ(S’3)であって、前記第2の同調回路(C’3)は、少なくとも並列に配置されたインダクタンス(L’ TUNE3 )およびコンデンサ(C’ TUNE3 )を備える、第2の補助の追加ステージ(S’3)と、
を含み、
前記インピーダンス整合ステージ(S1)および前記1対の追加ステージ(S2,S’2)によって形成されたアセンブリはさらに、前記第1の補助の追加ステージ(S3)と前記第2の補助の追加ステージ(S’3)との間に配置される
回路(100,100’)。
【請求項2】
前記追加ステージ(S2,S’2;S3,S’3)の少なくとも1つの前記インダクタンスまたは前記コンデンサの少なくともいずれかの値を調整することができることを特徴とする、請求項1に記載の回路(100,100’)。
【請求項3】
前記インピーダンス整合ステージ(S1)の前記回路(C1)が、前記発生器(G)と前記負荷(CH)との間に直列に配置されるように意図された同調インピーダンス(ZTUNE)と、前記発生器(G)と前記アースとの間に配置されるように意図された負荷インピーダンス(ZLOAD)とを含むことを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載の回路(100,100’)。
【請求項4】
前記同調インピーダンス(ZTUNE)が、コンデンサ(C TUNE )と直列に配置されたインダクタンス(L TUNE )を含み、前記負荷インピーダンス(Z LOAD )がコンデンサ(C LOAD )を含むことを特徴とする、請求項3に記載の回路(100,100’)。
【請求項5】
前記同調インピーダンス(ZTUNE)が、コンデンサ(C TUNE )と直列に配置されたインダクタ(L TUNE )からなり、前記負荷インピーダンス(Z LOAD )がコンデンサ(C LOAD )からなることを特徴とする、請求項4に記載の回路(100,100’)。
【請求項6】
前記回路(C1)が、前記負荷(CH)と前記アースとの間に配置されるように意図された別の負荷インピーダンス(Z’LOAD)をさらに含み、前記同調インピーダンス(ZTUNE)がその2つの負荷インピーダンス(ZLOAD,Z’LOAD)の間に配置されるようにすることを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載の回路(100,100’)。
【請求項7】
前記回路(C1)が、前記発生器(G)と前記負荷(CH)との間に直列に配置されるように意図された別の同調インピーダンス(Z’TUNE)をさらに含み、前記負荷インピーダンス(ZLOAD)がその2つの同調インピーダンス(ZTUNE,Z’TUNE)の間に配置されるようにすることを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載の回路(100,100’)。
【請求項8】
負荷(CH)と、
少なくとも互いに異なる第1の周波数および第2の周波数を含む電源信号を前記負荷に送信することができる発生器(G)と、
を備えた、アセンブリ(200,200’)において、
前記アセンブリ(200,200’)は、前記発生器(G)と前記負荷(CH)との間に配置された請求項1から7のいずれかによるインピーダンス整合のための回路(100,100’)をさらに備え、一方では、前記インピーダンス整合のための回路(100,100’)の最も外側の第2の負荷回路(C3)を含む第1の補助の追加ステージ(S3)が前記発生器(G)に接続され、他方では、前記インピーダンス整合のための回路(100,100’)の最も外側の第2の同調回路(C’3)を含む第2の補助の追加ステージ(S’3)が前記負荷(CH)に接続されている
ことを特徴とする、アセンブリ(200,200’)。
【請求項9】
前記第1の周波数が前記電源信号の基本周波数であり、前記第2の周波数、および必要に応じて任意の追加の周波数はその高調波のうちの1つであることを特徴とする、請求項8に記載のアセンブリ(200,200’)。
【請求項10】
前記発生器(G)と前記インピーダンス整合のための回路(100、100’)との間に配置された周波数センサ(CF)を含むことを特徴とする、請求項8または9に記載のアセンブリ(200,200’)。
【請求項11】
前記負荷(CH)が容量結合プラズマ反応器であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載のアセンブリ(200,200’)。
【請求項12】
前記発生器(G)が、単一周波数を含む電源信号を前記容量結合プラズマ反応器に向けて送信し、前記容量結合プラズマ反応器から戻ってきたときに前記周波数センサ(CF)からの周波数データが分析されて、前記プラズマ反応器内で進行中のエッチングプロセスが完了したかどうかが決定される、請求項10を引用する請求項11に記載のアセンブリ(200,200’)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の周波数で発生器と負荷との間のインピーダンス整合をとるための回路に関する。
【0002】
本発明はまた、発生器、負荷、および発生器と負荷との間に配置されたインピーダンス整合をとるための回路を含むアセンブリに関する。
【0003】
本発明はまた、そのようなアセンブリの使用にも関する。
【0004】
本発明は、様々な分野、より具体的には容量結合プラズマ反応器によって形成される負荷に適用することができる。
【0005】
この場合、通常、容量結合プラズマ反応器に正弦波信号(電圧)、典型的には無線周波数範囲(RF)、すなわち1MHz~900MHzの間で電力を供給する発生器が使用される。容量結合プラズマ反応器のインピーダンス特性は可変であり、一般に発生器のインピーダンス特性とは異なるので、(電気的)インピーダンス整合の目的のために発生器とプラズマ反応器との間に負荷および同調ステージが使用される。
【0006】
このインピーダンス整合の目的は、発生器によって容量結合プラズマ反応器に伝達される電力を最大にすることである。
【0007】
図1は、図1(a)~図1(c)を含み、そのようなインピーダンス整合を(単一周波数で)達成するための3つの可能な構成を示している。
【0008】
図1(a)において、インピーダンス整合ステージは、発生器Gとプラズマ反応器CHとの間に直列に配置された同調インピーダンスZTUNEと、発生器Gとアース(三角形で表される)との間に配置された負荷インピーダンスZLOADとを備えるL字型回路を含む。
【0009】
図1(b)では、回路はπ型であり、図1(a)のL字型構成に対して、負荷CHとアース(三角形で表される)との間に並列に配置された別の負荷インピーダンスZ’LOADを追加することによって得られ、その結果、同調インピーダンスZTUNEは2つの負荷インピーダンスZLOADとZ’LOADとの間に配置される。
【0010】
図1(c)では、回路はT字型であり、図1(a)のL字型の構成に対して、図1(a)の発生器Gと回路との間に直列に配置された別の同調インピーダンスZ’TUNEを追加することによって得られる。換言すれば、回路は、したがって、発生器Gと負荷CHとの間に直列に配置された別の同調インピーダンスZ’TUNEを含み、その結果、負荷インピーダンスZLOADは、2つの同調インピーダンスZTUNEとZ’TUNEとの間に配置される。
【0011】
図1(a)~図1(c)は例として提供されており、他の構成も考えられる。
【0012】
考慮される構成にかかわらず、これらの異なる可能な構成間の共通点は、回路が少なくとも同調インピーダンスZTUNEおよび負荷インピーダンスZLOADを備えることである。これらのインピーダンスZTUNE,ZLOADは、発生器(正弦波信号)の動作周波数f(f=(2π)/ω)で、その目的のために使用されるコンデンサ(Z=1/(jωC))またはインダクタ(Z=jωL)のインピーダンスを表す。
【0013】
その結果として、そしてプラズマ反応器の電源信号は所与の周波数f(正弦波信号のもの)を特徴とするので、いかなる特定の問題にも遭遇することなくインピーダンス整合を達成することが可能である。
【0014】
多くの結合されたプラズマ反応器は、発生器と反応器との間のインピーダンス整合を達成するためにこの解決策を実施し続けている。
【0015】
しかしながら、そのようなプラズマ反応器が複数の周波数の電源信号で動作することができる解決策が求められてきた。
【背景技術】
【0016】
確かに、そのようなプラズマ反応器のために複数の周波数で電源信号を使用することは反応器の性能と制御を改善するのに役立つことが既に示されている。例えば、国際公開第2012/007483号パンフレットは、周期的な台形の電源信号(基本周波数とその高調波に分解することができる)を提供する発生器を備えた容量結合プラズマ反応器用の電源を開示している。したがって、電源信号の波形(台形波形および周期性)を制御することにより、イオン衝撃と注入電力とを独立して制御することができる。
【0017】
これは非常に興味深いことである。
【0018】
しかしながら、実用的な(工業的な)観点からは、発生器によって注入された電力はプラズマ反応器に効率的に伝達される必要がある。
【0019】
したがって、既知の解決策は、信号内で管理されるべき(複数の)周波数と同じ数の発生器ならびに図1に示されるものと同様の回路を含む負荷および同調ステージとのインピーダンス整合を達成することである。この場合、図1に示されるような回路に関連する各発生器は、所与の周波数で動作するアセンブリを形成し、それによって形成された異なるアセンブリは、並列に配置され、プラズマ反応器に接続される。したがって、プラズマ反応器を通る、および他のアセンブリから来る所与の周波数信号の戻りを防ぐために、上で定義したような各アセンブリにフィルタを設けることも必要である。したがって、N(N>1)の周波数を処理することを意図する場合、アセンブリごとにN-1個のフィルタ、すなわちN(N-1)個のフィルタを有する、上で定義されたようなN個のアセンブリが提供されなければならない。さらに、この解決策は各周波数に対して独立した発生器/増幅器を必要とする。
【0020】
この解決策はうまくいくかもしれないが、実装には煩雑でコストがかかり得る。
【0021】
したがって、複数の周波数でインピーダンス整合を達成することができるだけでなく、上述の解決策とは反対に、単一の発生器を実装し、発生器とプラズマ反応器との間のインピーダンス整合を達成するために構成要素の数を減らすこともできる他の解決策が現在求められている。
【0022】
この方向への第一段階は、国際公開第2013/186381号パンフレットに開示された発明により完成した。
【0023】
この文献では、開示された解決策は、単一の発生器とプラズマ反応器との間のインピーダンス整合のための回路を提供することからなり、その回路は少なくとも1つの構成要素(例えばコンデンサ)が調整可能な値を有する特定の設計である。この解決策で遭遇する困難は、インピーダンス整合が(この例によれば、コンデンサの容量値を設定することによって)行われるとき、所与の周波数(例えば、高調波)に対して、それが別の周波数(例えば、基本周波数)におけるインピーダンス変化を引き起こすことである。
【0024】
この解決策は、発生器とプラズマ反応器との間の許容可能な電力伝送を用いてインピーダンス整合を達成するが、制御することは依然として困難である。
【0025】
これは、容量結合プラズマ発生器を用いる用途、より一般的にはあらゆる負荷にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】国際公開第2012/007483号パンフレット
【文献】国際公開第2013/186381号パンフレット
【発明の概要】
【0027】
したがって、本発明の目的は、複数の周波数で発生器と負荷との間でインピーダンス整合をとるための、改善された性能を特徴とする回路を提供することである。
【0028】
この目的のために、本発明は、互いに異なる少なくとも第1の周波数と第2の周波数とを含む電源信号に対して発生器と負荷との間で同時にインピーダンス整合を実行することができるインピーダンス整合のための回路に関し、前記回路は、第1の周波数について発生器と負荷との間のインピーダンス整合を達成することができるインピーダンス整合ステージを含み、このステージは、発生器と負荷との間に直列に配置されるように意図された少なくとも1つの同調インピーダンスと、発生器とアースとの間に配置されるように意図された負荷インピーダンスとを備えた回路を含み、インピーダンス整合のための前記回路は、第2の周波数について発生器と負荷との間で同時にインピーダンス整合を達成することができる少なくとも1対の追加ステージをさらに含み、前記1対の追加ステージは:
インピーダンス整合ステージの負荷インピーダンスに関して並列に配置された負荷回路を含む第1の追加ステージであって、前記負荷回路は少なくとも直列に配置されたインダクタおよびコンデンサを備える、第1の追加ステージと、
インピーダンス整合ステージの同調インピーダンスに関して直列に配置された同調回路を備える第2の追加ステージであって、前記同調回路は少なくとも並列に配置されたインダクタおよびコンデンサを備える、第2の追加ステージと、
を含み、
インピーダンス整合ステージはさらに、第1の追加ステージと第2の追加ステージとの間に配置されていることを特徴としている。
【0029】
この回路は、以下の特性のうち少なくとも1つを有することができる:
前記第1および第2の周波数とは異なる第3の周波数について、発生器と負荷との間で同時にインピーダンス整合を達成することができる少なくとも1対の補助の追加ステージであって、前記少なくとも1対の補助の追加ステージは:
インピーダンス整合ステージの負荷インピーダンスに関して並列に配置された負荷回路を含む第1の補助の追加ステージであって、前記負荷回路は少なくとも1つの直列に配置されたインダクタおよびコンデンサを備える、第1の補助の追加ステージと、
インピーダンス整合ステージの同調インピーダンスに関して直列に配置された同調回路を含む第2の補助の追加ステージであって、前記同調回路は少なくとも並列に配置されたインダクタおよびコンデンサを備える、第2の補助の追加ステージと、
を含み、
インピーダンス整合ステージおよび1対の追加ステージによって形成されたアセンブリはさらに、第1の補助の追加ステージと第2の補助の追加ステージとの間に配置される;
少なくとも1つの追加ステージのインダクタまたはコンデンサの少なくともいずれかの値は調整可能である;
インピーダンス整合ステージの回路は、発生器と負荷との間に直列に配置されるように意図された同調インピーダンスと、発生器と前記アースとの間に配置されるように意図された負荷インピーダンスとを含む;
同調インピーダンスはコンデンサと直列に配置されたインダクタを含み、負荷インピーダンスはコンデンサを含む;
同調インピーダンスはコンデンサと直列に配置されたインダクタからなり、負荷インピーダンスはコンデンサからなる;
回路は、同調インピーダンスが2つの負荷インピーダンスの間に配置されるように、前記負荷と前記アースとの間に配置されるように意図された別の負荷インピーダンスをさらに含む;
回路は、負荷インピーダンスが2つの同調インピーダンスの間に配置されるように、発生器と負荷との間に直列に配置されるように意図された別の同調インピーダンスをさらに含む。
【0030】
本発明はまた、
負荷と、
少なくとも第1の周波数および第2の周波数を含む電源信号を負荷に送信することができる発生器であって、周波数は互いに異なる、発生器と、
を備えたアセンブリを提案し、
前記アセンブリは、発生器と負荷との間に配置された本発明によるインピーダンス整合のための回路をさらに備え、一方では、前記インピーダンス整合のための回路の最も外側の負荷回路を含む第1の追加ステージが発生器に接続され、他方では、前記インピーダンス整合のための回路の最も外側の同調回路を含む第2の追加ステージが負荷に接続されていることを特徴としている。
【0031】
アセンブリはまた、個別にまたは組み合わせて採用される、以下の特性のうちの少なくとも1つを特徴とし得る:
第1の周波数は前記電源信号の基本周波数であり、第2の周波数、必要に応じて任意の追加の周波数は、その高調波のうちの1つである;
周波数センサが、発生器と前記インピーダンス整合のための回路との間に配置される;
負荷は容量結合プラズマ発生器である。
【0032】
最後に、本発明は、前記周波数センサを備え、負荷が容量結合プラズマ発生器である、本発明によるアセンブリの使用を提案し、その使用において、発生器は単一周波数を含む電源信号を容量結合プラズマ発生器に向けて送信し、容量結合プラズマ反応器から戻ってきたときに、プラズマ反応器内で進行中のエッチングプロセスが完了したかどうかを判断するために、周波数センサからの周波数データが分析される。
【0033】
本発明の他の特徴、目的および利点は、例として提供される添付の図面を参照してなされる以下の説明を読むことによって明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図2】発生器、負荷、および発生器と負荷との間に配置されたインピーダンス整合のための回路を含む、本発明によるアセンブリの概略図である。
図3】インピーダンス整合のための回路の構成要素が称されている、本発明による図2に示された実施形態のより正確な図である。
図4(a)】本発明を実施しない実施形態の動作原理をスミスチャートで示す図である。
図4(b)】図3の実施形態の動作原理をスミスチャートで示す図である。
図5】本発明による別の実施形態を示す図である。
図6(a)】図5の実施形態の挙動の理論的シミュレーションの結果を示す図である。
図6(b)】図5の実施形態の挙動の理論的シミュレーションの結果を示す別の図である。
図6(c)】図5の実施形態の挙動の理論的シミュレーションの結果を示すさらに別の図である。
図7図5の実施形態を用いて行われた実験的試験の結果を示す図である。
図8図5の実施形態を用いて行われた別の実験的試験の結果を示す図である。
図9】周波数センサが発生器の出力に設けられている場合の図2の再現図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の一実施形態を図2および図3に示す。
【0036】
これらの図は、発生器G、負荷CH、および発生器Gと負荷CHとの間に配置されたインピーダンス整合のための回路100を含むアセンブリ200を示している。
【0037】
インピーダンス整合のための回路100は、少なくとも互いに異なる第1の周波数および第2の周波数を含む電源信号について、発生器Gと負荷CHとの間で同時にインピーダンス整合を達成することができる。
【0038】
このインピーダンス整合のための回路100は、第1の周波数について発生器と負荷との間のインピーダンス整合を達成することができるインピーダンス整合ステージS1を備える。
【0039】
このステージS1は、図1(a)に示すものと同様の回路C1を含む。ここで、例として、同調インピーダンスZTUNEは、直列のインダクタンスLtuneとコンデンサCtuneとの関連付けに対応し、さらに、負荷インピーダンスZLOADは、負荷コンデンサCloadに対応する。
【0040】
インピーダンス整合のためのこの回路100は、第2の周波数について発生器と負荷との間で同時にインピーダンス整合を達成することができる少なくとも1対の追加ステージS2,S’2をさらに含む。
【0041】
より具体的には、一対の追加ステージS2,S’2は:
インピーダンス整合ステージS1の負荷インピーダンスZLOADに関して並列に配置された負荷回路C2(例えば、コンデンサCload)を備える第1の追加ステージS2であって、前記負荷回路C2は、少なくとも直列に配置されたインダクタLload2およびコンデンサCload2を備える、第1の追加ステージS2と、
インピーダンス整合ステージS1の負荷インピーダンスZTUNEに関して直列に配置された同調回路C’2(例えば、コンデンサCtuneと直列のインダクタLtune)を備える第2の追加ステージS’2であって、前記負荷同調C’2は、少なくとも並列に配置されたインダクタL’tune2およびコンデンサC’tune2を備える、第2の追加ステージS’2と、
を含み、
負荷および同調ステージS1はさらに、第1の追加ステージS2と第2の追加ステージS’2との間に配置されている。
【0042】
実際には、次のステップは、各回路C1,C2,C’2で使用するコンデンサとインピーダンスの値を選択することである。これは特に負荷CHの性質および特性に依存する。
【0043】
図4(a)および図4(b)を含む図4は、インピーダンス整合がどのように機能するかを説明するスミスチャートを特徴とする。
【0044】
より具体的には、図4(a)は、本発明を実施していないスミスチャートである。この理由のために、整合は図3のS1タイプの単一ステージで達成され、したがって、発生器Gおよび負荷CHに直接接続された図1(a)で定義された枠組みに含まれる。
【0045】
そして、図4(b)は、例えば図3に従って本発明を実施するスミスチャートである。
【0046】
スミスチャート(アバカス)は、インピーダンス(Z)またはアドミタンス(Y=1/Z)の実数部および虚数部の値を示す。この表現は、インピーダンス整合に関する問題で主に使用される。実際、この表現は複素領域、より具体的には複素反射係数の平面(2D)で行われ、それらを区別するためにしばしばインピーダンス、アドミタンス、またはその両方を用いて正規化される。
【0047】
ここで検討しているアプリケーションでは、50オーム(最も一般的に使用されている)の値で、正規化インピーダンスを考慮に入れることができる。これは、図4(a)および4(b)において、図の中央の小さな円に対応する。
【0048】
図4(a)において、第1の周波数(基本)について、ステージS1の効果が注目される。例えば、インピーダンスについて、開始点は「周波数fでの初期インピーダンス」であり(ステージS1の前、したがって発生器の出力の位置)、矢印は従うべき方向を示す。これはあらゆる意味で従来型である。同様に図4(b)において、「周波数2fでの初期インピーダンス」(ステージS1の前、したがって発生器の出力の位置)の点から開始して矢印に従って、周波数2f(第1の高調波)で発生するすべてのものに注目する。
【0049】
インピーダンス整合は、周波数2fに対して低品質である。
【0050】
図4(b)では、第1の周波数(基本)について、ステージS1(インピーダンスまたはアドミタンス)のみの効果、すなわちステージS2およびS’2を除いたものに注目する。例えば、インピーダンスについては、開始点は「周波数fにおける初期インピーダンス」であり、矢印は従うべき方向を示している。これは、図4(a)のこれらの条件下で起こることと同じである。同様に図4(b)において、次に、1つの従来のステージS1のみで、すなわちステージS2およびS’2なしで(図2および図3)、周波数2f(第1の高調波)で発生するすべてのものに注目する。例えば、インピーダンスについては、開始点は「周波数2fにおける初期インピーダンス」であり、矢印は従うべき方向を示している。この挙動は、図4(a)で前述した挙動と似ている。
【0051】
そのため、周波数2f(図4(b)の一番上の小さい円)のインピーダンス整合は低品質である。
【0052】
図4(b)が図4(a)と著しく異なるのはここからである。
【0053】
実際、同じ図4(b)において、本発明によって提案されるように、周波数2fに対するステージS2およびS’2の実施の技術的効果が注目される。
【0054】
動作点(アドミタンス、インピーダンス)は、この周波数2fに対して、ステージS1によって管理される周波数fのそれにもたらされる。したがって、周波数2fでのインピーダンス整合は、非常に高品質であり、単一周波数の場合(従来の構成)で達成されるのと同様の品質でさえある。
【0055】
最後に、この図4(b)において、周波数2fに対して達成されたインピーダンス整合は、周波数fにおけるインピーダンス整合に影響を及ぼさないことに留意されたい。これら2つの周波数でのインピーダンス整合の管理には独立性がある。この独立性は必ずしも絶対的なものではないが、ステージS2およびS’2における回路の周波数応答(品質係数「Q」)の正確さによって決定され得る。
【0056】
2つの異なる周波数を管理するように適合された図2および図3で提案された設計を、N(N>2)個の異なる周波数に一般化することができる。
【0057】
図5は、2つの第1の周波数とは異なる、第3の周波数(N=3の場合)を管理する方法を実際に示す別の実施形態を示している。
【0058】
この他の実施形態は、図3の実施形態に基づいており、2つの第1の周波数とは異なる、第3の周波数を処理するための構成要素をどこでどのように追加するかを示している。
【0059】
したがって、上述のインピーダンス整合のための回路100の構成要素に加えて、この場合に提供されるインピーダンス整合のための回路100’は、前記第1および第2の周波数とは異なる第3の周波数について、発生器Gと負荷CHとの間で同時にインピーダンス整合を達成することができる少なくとも1対の補助の追加ステージS3,S’3を備える。
【0060】
より具体的には、前記少なくとも1対の補助の追加ステージS3,S’3が:
インピーダンス整合ステージS1の負荷インピーダンスZLOADに関して並列に配置された負荷回路C3(例えば、コンデンサCload)を備える第1の補助の追加ステージS3であって、前記負荷回路C3は、少なくとも直列に配置されたインダクタLload3およびコンデンサCload3を備える、第1の補助の追加ステージS3と、
インピーダンス整合ステージS1の負荷インピーダンスZTUNEに関して直列に配置された同調回路C’3(例えば、コンデンサCtuneと直列のインダクタLtune)を備える第2の補助の追加ステージS’3であって、前記負荷同調C’3は、少なくとも並列に配置されたインダクタL’tune3およびコンデンサC’tune3を備える、第2の補助の追加ステージS’3と、
を含み、
インピーダンス整合ステージS1および対になった補助の追加ステージS2,S’2によって形成されたアセンブリはさらに、第1の補助の追加ステージS3と第2の補助の追加ステージS’3との間に配置される。
【0061】
実際には、回路C3とC’3のインダクタとコンデンサの値は、第3の周波数(例えば、3f)に対して高品質のインピーダンス整合を保証するように選択される。
【0062】
前述のように、これを他の周波数に一般化することができる(N>3)。
【0063】
その都度、その設計上、ステージS2に類似したステージを発生器Gの出力に追加しなければならず、また、その設計上、ステージS’2に類似したステージを負荷CHの入力の前に追加しなければならない。
【0064】
上述のインピーダンス整合のための回路100,100’を用いて、アセンブリ200,200’を構成することができ、前記アセンブリは:
負荷CHと、
少なくとも第1の周波数および第2の周波数を含む電源信号を負荷に送信することができる発生器Gであって、周波数は互いに異なる、発生器Gと、
を備え、
前記アセンブリ200,200’は、発生器Gと負荷CHとの間に配置された前述の請求項のいずれかによるインピーダンス整合のための回路100,100’をさらに備え、一方では、前記インピーダンス整合のための回路100,100’の最も外側の負荷回路C2,C3を含む第1の追加ステージS2,S3が発生器Gに接続され、他方では、前記インピーダンス整合のための回路100,100’の最も外側の同調回路C’2,C’3を含む第2の追加ステージS’2,S’3が負荷CHに接続されている。
【0065】
このアセンブリ200,200’では、第1の周波数を前記電源信号の基本周波数とすることができ、第2の周波数、および/または必要に応じて任意の追加の周波数はその高調波のうちの1つである。
【0066】
負荷CHは、容量結合プラズマ発生器でもあってもよい。あるいは、負荷CHは、発生器Gのものとは異なる特性インピーダンス値を有する別の電気負荷、例えばアンテナ、ケーブル、および増幅器または絶縁回路、トランスデューサ、コイル、または誘導結合プラズマ反応器でもあってもよい。
【0067】
図6は、図5に示されるインピーダンス整合のための回路100’を用いて行われたデジタルシミュレーションの結果を示している。
【0068】
図6は、図6(a)、図6(b)、および図6(c)からなり、図6(b)および図6(c)はそれぞれ周波数2fおよび3fに着目した図である。
【0069】
このシミュレーションでは、以下の条件が考慮された。
【0070】
図5の実施形態が基礎として使用される。
【0071】
発生器Gは、50オームの特性インピーダンスを有するようにモデル化されている。
【0072】
負荷CHに関する限り、それは容量結合プラズマ反応器の形態であり得る。そのため、周波数に応じてインピーダンスが可変になると考えられる。負荷CHは、次の値でモデル化されている:
負荷の容量CCH=700.10-12(ファラド);
負荷の抵抗RCH=5(オーム);
負荷のインダクタンスLCH=14.10-9(ヘンリー)。
【0073】
電力の最適な伝送を可能にするために、5オームの負荷抵抗が提供されることに留意されたい。
【0074】
回路C1(”matchbox”)に関する限り、次の値でモデル化されている:
容量Cload=7.10-10(ファラド);
容量Ctune=3.3.10-9(ファラド);
インダクタンスLtune=4.10-7(ヘンリー)。
【0075】
回路C2に関する限り、次の値でモデル化されている:
容量Cload2=5.3.10-12(ファラド);
インダクタンスLload2=6.7.10-6(ヘンリー)。
【0076】
回路C’2に関する限り、次の値が使用される:
容量C’load2=1.3.10-8(ファラド);
インダクタンスL’load2=2.7.10-9(ヘンリー)。
【0077】
回路C3に関する限り、以下の値でモデル化されている:
容量Cload3=1.9.10-12(ファラド);
インダクタンスLload3=7.9.10-6(ヘンリー)。
【0078】
回路C’3に関する限り、次の値が使用される:
容量C’load3=10-8(ファラド);
インダクタンスL’load3=1.5.10-9(ヘンリー)。
【0079】
これらの値を確立するために、このアプローチはまず周波数f(13.56MHz)でインピーダンス整合を達成することからなる。この目的のために、図5の回路C1(matchbox)のインダクタンスLtuneおよびコンデンサCload,Ctuneの値は、容易に達成可能なインダクタンス値を選択し、次いで各コンデンサの正確な容量値を計算することによって設定される。
【0080】
次に、続いて、図5のインピーダンス整合のための回路100’の回路C2,C’2,C3,C’3のコンデンサおよびインダクタの値は、周波数2f(27.12MHz)と3f(40.68MHz)で発生器Gのインピーダンス値は50オームであるように設定され、これは、周波数f(13.56MHz)のインピーダンス整合条件にほとんどまたはまったく影響を与えない。回路C2,C’2,C3,C’3を追加した後、回路C1に対して調整は行われない。
【0081】
図6は、信号の周波数(Hz)に基づいて発生器Gから見たインピーダンスの位相(PHA,度)および振幅(AMP,オーム)の変化を示している。周波数f(13.56MHz)、2fおよび3fにおいて、振幅AMPおよび位相PHAは、それぞれ50オームおよび0°(点線を参照)に近い値を特徴とし、これにより、完全またはほぼ完全なインピーダンス整合が得られることに留意されたい。これは、これら3つの周波数f、2f、および3fについて同様のインピーダンス整合が達成され、このインピーダンス整合が高品質であることを意味する。
【0082】
続いて、図5の実施形態を実施する実験設備を製造した。
【0083】
実験設備には、図5(実際)のものと同様のインピーダンス整合のための回路100’が設けられ、その負荷は、その抵抗、容量、およびインダクタンスを定義することによってモデル化された。次に、反射電力は、50オームの特性インピーダンスを有する発生器の存在を仮定して、実験設備の入力(発生器が接続されている図5のアセンブリ200’の入力)で測定された。
【0084】
シミュレーションの結果が、インピーダンス整合のために実際の回路100’の異なる回路C1,C2,C’2,C3,C’3の構成要素に対して使用可能な値を提供したことに留意されたい。
【0085】
さらに、図7は、(X軸上の)周波数の関数として(Y軸上に、注入電力の%で)この測定値を示している。
【0086】
この場合およびデジタルシミュレーションでは、3つの谷の存在は、15.2MHz、28.9MHz、および44.2MHzの周波数で注目されるべきであり、3つの周波数について同様の低い反射率値(約22%の反射率)を有する。これは、実験的に、複数の周波数でのインピーダンス整合について本発明によって与えられる可能性を裏付けるものである。
【0087】
これらの実験結果に関連して、周波数は正確には13.56MHz、27.12MHz、および40.68MHzではないが、それらはすべてより高い周波数に向かってわずかにオフセットされていることに留意されたい。これは、実装された実験設備内に寄生インダクタンスが存在するためである。これは、行われた実験的試験がデジタルシミュレーションの結果を確認するという事実に疑問を投げかけるものではない。
【0088】
最後に、別の実験設備が実装された。
【0089】
この他の実験設備は、今度は実際のプラズマ反応器を負荷として使用して、上記の実験設備を実装する。したがって、インピーダンス整合のための回路100’は、図5に示されるものであることを理解されたい。
【0090】
プラズマ反応器の特徴は以下の通りである。プラズマ反応器は、電極を備えた容量結合プラズマ(CCP)反応器である。各電極は直径10cmのシリンダの形態である。一方の電極はアースに接続され、円筒形アースシールドで囲まれている。2つの電極間の距離は3cmである。考えられる媒体はアルゴンで、圧力は200mTorrである。
【0091】
図8は周波数(X軸)の関数としてプラズマ反応器の入力における電圧波形のフーリエ変換(相対振幅dB、Y軸上)を示している。実験条件に適したセンサが利用できないため、反射電力は測定されなかった。
【0092】
したがって、図8において、CB3曲線は、3つの周波数1f、2fおよび3fについて高品質のインピーダンス整合が達成され得ることを示している。この図7はまた、インピーダンス整合が2つの周波数1fと2f(曲線CB1)または1fと3f(曲線CB2)に対してのみ達成され得ることを示している。
【0093】
しかしながら、図8では、周波数fが約10MHzであることに留意されたい。上記で説明したように、これは寄生インダクタンスの存在、および負荷として実際のプラズマ反応器を含むこの実験設備の実装のための不適切なケーブル接続に関する実際的な問題によるものである。
【0094】
それにもかかわらず、これらの追加の実験結果は、デジタルシミュレーションによって、そして負荷がモデル化された実験設備を用いて得られたものを確認する。
【0095】
本発明の目的のために、そして図1(a)の状況においては、負荷インピーダンスZLOADおよび同調インピーダンスZTUNEをインピーダンス整合ステージS1のために提供することができ、これは、図3および図5でより具体的に提案されているものとは異なることにも留意されたい。例えば、Ctuneの後に、LtuneおよびCtuneと直列に補助インダクタンスを設けることができる(図3図5、または図9)。別の例によれば、Ltuneを除去してCtuneだけを残すことが可能である。この場合、複数の周波数での完全なインピーダンス整合を保証できないが、従来技術に関して複数の周波数での改善された同調は達成可能である。
【0096】
本発明の目的のために、インピーダンス整合ステージS1に対して、図1(b)または図1(c)のものと同様の構成を実施することができることにも留意されたい。これらの場合、複数の周波数での完全なインピーダンス整合を保証できないが、従来技術に関して複数の周波数での改善された同調もまた達成可能である。
【0097】
上記の説明は、周波数2f、3fおよびそれ以降を処理することを可能にする回路に実装されたインダクタまたはコンデンサ値が一定である回路に関する。
【0098】
しかしながら、回路C2,C’2,C3,C’3のうちの少なくとも1つに対して、これらの回路の、または調整可能な追加ステージS2,S’2;S3,S’3(違いはない)のうちの少なくとも1つのインダクタもしくはコンデンサのいずれかの値を実装することは特に興味深いことであり得る。これにより、回路100,100’は、特性インピーダンスが知られている(最も一般的な場合)かそうでないかを問わず、様々な種類の負荷CH(特に様々な種類のプラズマ反応器)に対してより用途が広くなる。
【0099】
実際には、そして概して言えば、発生器Gの特性インピーダンスは固定されている(設計により知られている)。したがって、本発明は、関連する特性インピーダンス値を有する所与の負荷CHについて、発生器Gのインピーダンスを考慮に入れた負荷CHのインピーダンス整合を達成することにある。このため、上記の例では、発生器Gは50オームのインピーダンス(最も一般的な場合)を有し、負荷は任意の値であり得るが、考慮される例では、その特性インピーダンスは容量CCH=700.10-12ファラドおよび抵抗RCH=5オームによってモデル化され得るようなものである。
【0100】
しかし、本発明は、負荷CHのインピーダンスが固定されている(設計によって知られている)場合にも適用され、負荷CHのインピーダンスを考慮に入れた発生器Gのインピーダンス整合が必要とされる。したがって、上記の例を使用すると、負荷は容量CCH=700.10-12ファラドおよび抵抗RCH=5オームに対応する特性インピーダンスによって定義され、発生器Gは50オームの抵抗でモデル化されることになる。これは、図1(a)、図1(b)および図1(c)のすべての図に当てはまる。この場合も、様々な容量およびインダクタンスに対して調整可能な値を有することの利点は、そのインピーダンスは知られている(最も一般的な場合、しかし決して珍しい場合ではなく、従来の場合は50オームである)か否かにかかわらず、既知の特性インピーダンスを有する負荷CHに対して発生器Gに適応することを可能にするので、明らかに実証されている。
【0101】
最後に、本発明はいくつかの利点を有する。
【0102】
本発明に従って提案された解決策は単一の発生器を実装し、効率的に動作するためには構成要素の数を少なくする必要がある。言い換えれば、N(N>1)個の複数の周波数に対して、N個の発生器と、同じ数のインピーダンス整合のための回路と、N(N-1)個のフィルタとを設けることからなる解決策に関して、構成要素の数は大幅に削減され、コストも削減される。
【0103】
さらに、本発明に従って提案された解決策は、インピーダンス整合のために既存の回路上に実装することができることに留意されたい。実際、例えば図3に示された基本設計を考慮すると、インピーダンス整合のための従来の回路(ステージS1のみ)に関して、その両側にステージS2およびステージS’2または他のステージを追加することが単に重要である。これは、国際公開第2013/186381号パンフレットに開示されている設計では考慮することができなかった。
【0104】
最後に、発生器と負荷との間のインピーダンス整合のための回路100,100’の設計は、所与の周波数(例えば、高調波)に対する同調が他の周波数(例えば基本周波数)に対する同調から独立していることを意味する。国際公開第2013/186381号パンフレットに開示されている解決策に関して、インピーダンス整合性能は改善されている。
【0105】
最後に、発生器Gとインピーダンス整合のための回路100,100’との間に、周波数センサCFを追加するように各アセンブリ200、200’を変更することができることを付け加えるべきである。アセンブリ200への適用の場合、これは図9に示されている。
【0106】
実際に、周波数センサを用いて、また容量結合プラズマ反応器を含む用途のために、前記アセンブリ200,200’を特定の方法で使用することができる。この実装形態では、単一周波数を含む電源信号が容量結合プラズマ発生器に向けて送信され、容量結合プラズマ反応器から戻ってきたときに周波数センサCFからの周波数データが分析されて、プラズマ反応器内で進行中のエッチングプロセスが完了したかどうかが決定される。
【0107】
プラズマ反応器内で進行中のエッチングプロセスが完了したかどうかを決定するために既に様々な技術がある。これらの技術のうちの1つは、プラズマ不安定性に関連する高調波を検出するために周波数センサに依存している。しかしながら、インピーダンス整合のための従来の回路は単一の周波数しか受け入れないので、センサはインピーダンス整合のための回路とプラズマ反応器との間に配置され、それは測定を非常に複雑にする。
【0108】
本発明によれば、周波数センサを発生器の出力に配置することができる。さらに、センサは基本モデルであり得る。
図1(a)】
図1(b)】
【図(1c)】
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図7
図8
図9