(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】殺菌済み充填製品を容器に充填するための装置
(51)【国際特許分類】
B67C 3/28 20060101AFI20220630BHJP
B65B 55/12 20060101ALI20220630BHJP
B67C 3/20 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B67C3/28
B65B55/12
B67C3/20 A
(21)【出願番号】P 2019547282
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2018055058
(87)【国際公開番号】W WO2018158373
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】102017104313.6
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ドブリンガー,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ゼルナー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】バウムガートナー,セバスチャン
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-310297(JP,A)
【文献】特開2013-091018(JP,A)
【文献】特開2000-327089(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0000492(US,A1)
【文献】特開2012-035862(JP,A)
【文献】特開2011-121622(JP,A)
【文献】特開2001-072190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/20
B65B 55/12
B67C 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌済み充填製品を容器(100)に充填するための、好ましくは飲料瓶詰め設備において殺菌済み飲料を飲料容器に充填するための装置(1)であって、
前記装置は、前記充填製品を殺菌するための殺菌装置(2)と、前記殺菌装置(2)で殺菌された前記充填製品を一時保存として収容するための殺菌タンク(22)と、充填対象の前記容器(100)の充填のための充填バルブを有する充填装置(3)とを包含し、
前記充填バルブが、充填対象の前記容器(100)への前記充填製品の充填製品流れを制御および/または調整するための比例バルブ(4)であり、前記比例バルブ(4)が一時保存不要方式で前記殺菌タンク(22)に接続され
、
前記殺菌タンク(22)が前記装置(1)の唯一の一時保存装置であることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記充填装置(3)の充填器カルーセル(30)へ前記殺菌済み充填製品を移送するための回転分配器(16)が、前記殺菌タンク(22)と前記比例バルブ(4)との間に設けられ、前記充填器カルーセルが前記比例バルブ(4)を支承することを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記回転分配器(16)と前記比例バルブ(4)との間に管路のみが設けられることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記充填製品を加熱するための熱交換器(20)を前記殺菌装置(2)が包含することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
充填対象の前記容器(100)を加圧ガスによって予備加圧するため前記殺菌タンク(22)から前記充填装置(3)へ加圧ガスが移送され、前記加圧ガスが好ましくは回転分配器(16)を介して前記充填装置(3)の充填器カルーセル(30)へ移送され、前記充填器カルーセルが前記比例バルブ(4)を支承することを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
洗浄媒体供給源(50)を備える洗浄装置が設けられ、前記洗浄装置によって前記殺菌タンク(22)と前記充填装置(39)の両方へ、好ましくは前記充填製品と接触している前記充填装置(3)の経路へ洗浄媒体が供給されることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
付加的に前記殺菌装置(2)の熱交換器(20)へ前記洗浄媒体を供給するように前記洗浄装置が設計されることを特徴とする、請求項
6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記充填装置(3)が隔離器(6)に収納され、付加的に前記隔離器(6)を洗浄するのに前記洗浄媒体を使用するように前記洗浄装置が設計されることを特徴とする、請求項
6または
7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記比例バルブ(4)が前記装置(1)で唯一の製品調整バルブであることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記比例バルブ(4)により形成される前記充填装置平面の上方に位置する平面に、前記殺菌タンク(22)が配設されることを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌済み充填製品を容器に充填するための、特に飲料瓶詰め設備において殺菌済み充填製品を飲料容器に充填するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料瓶詰め設備では、飲料の品質保持期間を向上させるため、または飲料が飲料容器に確実に封入されることをまずは可能にするため、それぞれの容器への実際の瓶詰めに先立って飲料を殺菌することが知られている。
【0003】
充填製品の殺菌は、殺菌後に充填製品で細菌の繁殖がもはや可能でないように充填製品が処理されることを意味するものとここでは理解されるべきである。特に、それぞれの充填製品に関して、製品を損なう細菌が存在しないかもはや繁殖しないことを意味するものと理解されるべきである。言い換えると、殺菌済み充填製品は、病原性または毒素産生性の微生物が確実に存在せず、通常の処理条件では不確定的に製品を劣化させうる別の微生物および酵素が存在しない充填製品を意味するものと理解されるべきである。
【0004】
一部において、“sterile”(殺菌)の語は食品産業におけるaseptic(無菌)と同義に使用されるが、しかしながら、純粋な定義においては、無菌は微生物および胞子が完全に存在しないことを指す。したがって本件において、“sterile”(殺菌)の語は、それぞれの充填製品の無菌表示を意味するものとも理解されるべきである。
【0005】
それぞれの充填製品を殺菌するという目的のため、例えば、瓶詰めに先立って物理的に、特に加熱により、または化学的に、充填製品を殺菌することが知られている。物理的殺菌の場合には、対応の熱処理を経て所望の生物学的安全性を充填製品で得るため、充填製品が例えば熱交換器の使用を通して加熱されてから規定の時間にわたって所定の目標温度に維持される加熱殺菌が知られている。充填製品の熱処理の他に、例えば、UV照射またはプラズマ処理により細菌を消滅させる物理的殺菌プロセスも知られている。
【0006】
化学的殺菌プロセスとして知られているのは、例えば、化学的殺菌手段による、例えば過酸化水素水、過酢酸、二酸化塩素、またはオゾンによる処理である。しかしながら、充填製品の風味特性を変えないように、化学的殺菌が設備構成要素または封入手段の処理のみに使用され、他方で充填製品そのものの殺菌には使用されない場合が通例である。
【0007】
熱処理の場合で知られているのは、特に短時間加熱(STH)であり、対応する微生物学的安全性を達成するように所定の時間にわたって製品関連の基準温度より上の温度で充填製品が処理される。例えばビールの瓶詰めのための醸造所では短時間加熱設備が生物学的安全段階として使用され、短期間加熱設備には一時保存タンクが隣接し、これは殺菌タンクとも称され、充填装置による吐出変化の場合に殺菌済み充填製品の中間的保管を可能にするように短時間加熱設備と実際の充填装置との間で充填製品が一時保存されることを可能にする。
【0008】
ノンアルコール清涼飲料またはフルーツジュースの瓶詰めについては、短期間加熱はそれぞれの充填製品に必要な生物学的品質保持期間の達成に役立つ。ここで、充填装置による吐出が変化する場合に殺菌済み充填製品の中間的保管を可能にするように、短期間加熱設備と充填装置との間に一時保存タンクが同様に設けられる。
【0009】
短期間加熱設備と実際の充填装置との間の一時保存タンクは、充填装置に故障が発生した場合にも短期間加熱設備の熱交換器における連続的な充填製品流れを確保するために必要である。さもなければ、短期間加熱設備の熱交換器内での充填製品の滞留時間は、下流に配設される充填装置による瞬間的吐出に依存する形で変化するだろう。これは、短時間加熱設備における充填製品の滞留時間が長くなりすぎる可能性があるという結果を生じ、充填製品の劣化、例えば風味の変化を招きうる。
【0010】
それから、充填装置、例えば充填器カルーセルにおいて、充填製品は通常は無圧状態で作動する充填製品ボイラで再び中間的に一時保存されてから、各場合に充填される容器へ個々の充填バルブを介して送られる。ここでは、容積式充填システムの充填精度を保証するため充填器の充填製品ボイラが無圧状態で作動することを必要とする容積式充填システムが例えば使用される。したがって、短時間加熱設備の一時保存タンクで加圧状態にある充填製品が充填装置の充填製品ボイラへ無圧状態で移送されなければならない。結果的に、充填製品ボイラからの無圧瓶詰めが適宜可能となるためには、短時間加熱設備の一時保存タンクが充填製品ボイラから分離される必要がある。
【0011】
この、充填装置の充填製品ボイラからの短時間加熱設備の一時保存タンクの分離は、対応する媒体、例えば圧縮空気、窒素、CO2、蒸気、そして洗浄と消毒と殺菌のプロセスに必要な洗浄、消毒、殺菌媒体が2回供給されなければならないことにつながる。媒体は一方で、殺菌装置へ、したがって下流に配設される短時間加熱設備および一時保存タンクへ供給され、媒体は他方で、充填装置と充填製品ボイラへ供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
周知の先行技術を始点として、殺菌充填製品を容器に充填するための改良構造を有する装置を具体的に提示することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の特徴を有する殺菌充填製品を容器に充填するための装置により、この目的が達成される。有利な改良点は、独立請求項と本明細書と図から明白となる。
【0014】
したがって、殺菌済み充填製品を容器に充填するための、好ましくは飲料瓶詰め設備において殺菌済み飲料を飲料容器に充填するための装置であって、充填製品を殺菌するための殺菌装置と、殺菌装置で殺菌された充填製品を一時保存として収容するための殺菌タンクと、充填対象の容器の充填のための充填バルブを有する充填装置とを包含する装置が提案される。本発明によれば、充填バルブは、充填対象の容器への充填製品の充填製品流れを制御および/または調整するための比例バルブであり、比例バルブは一時保存不要方式で殺菌タンクに接続される。
【0015】
充填対象の容器への充填製品流れを制御および/または調整するため殺菌タンクから比例バルブへ一時保存不要方式で充填製品が移送されるという事実は、殺菌装置の殺菌タンクから瓶詰めされる容器へ一時保存不要方式で、特に殺菌装置に存在する圧力下でもシステムが連続的に作動することを意味する。それゆえ充填装置からの殺菌装置の分離はもはや必要なく、設備は全く単純でより小型の構造となりうる。
【0016】
同時に、所定量の殺菌済み充填製品の容器への確実な瓶詰めが可能である。これは、比例バルブによって、充填製品を用意する間に対応の圧力変化または圧力差が補正されるので可能であって、所望の充填製品品質、特に所望の充填製品容積、所望の充填製品重量、または容器内での所望の充填製品充填レベルでの容器への確実な充填が達成されることもやはり可能である。
【0017】
比例バルブは、それぞれ個々の容器への充填製品流れを制御および/または調整する充填バルブが、開閉切換位置ばかりでなくその間の少なくとも一つの別の切換位置でも作動して、全開切換位置と比較して減少した充填製品流れが達成されることを意味するものとここでは理解されるべきである。したがって、比例バルブを通過する充填製品流れは充填製品流の対応の制御および/または調整によって変化し、こうして、容器へ流入する充填製品流れの適合化が、比例バルブの上流に存在する圧力に依存するように達成されうる。
【0018】
好ましくは、比例バルブは二つ以上の中間位置を取り、特に好ましくは全開切換位置と全閉切換位置との間での充填製品流れの段階的または無段階の制御および/または調整を実施できる。
【0019】
ここで、比例バルブは例えば、バルブコーンが多段階または連続的にバルブシートから持ち上げられ、したがってバルブシートとバルブコーンとの間に形成される環状間隙の断面が変化し、この断面によって、比例バルブを流れる充填製品流れが変化するように設計されうる。
【0020】
一時保存不要はここでは、例えば製造の中断または充填装置の故障の際に充填製品の一時保存としての収容を可能にする一時保存装置が設けられないことを意味するものと理解されるべきである。しかしながら、特に、充填製品が流れて、その断面全体にわたって、または断面の少なく一部にわたって充填製品が充填されるように設けられた管路を意味するものとして一時保存装置が理解されるべきではない。また、それぞれの充填バルブに充填製品を提供する充填器カルーセルのリングラインは、ここで理解されているところの一時保存装置に相当しない。むしろ一時保存装置は、具体的にそのようなものとして設けられて対応する一時保存容積を提供する一時保存リザーバを意味するものと理解されるべきである。したがって、一時保存装置は、製造の中断または設備故障の際に蓄積して直接的には充填装置により収容されない相当な量の付加的な充填製品を収容できる。
【0021】
好適な実施形態において、比例バルブは流量計を包含するか流量計に直接結合されるので、比例バルブを通過する充填製品体積流量の調整は、比例バルブそのものの調整電子機器によって直接的に調整されうる。ゆえに、比例バルブの上流に存在する充填製品の圧力とは無関係に、対応する体積流量スペックまたは所定の体積流量プロフィールによって、充填器カルーセルにある充填対象のそれぞれの容器への充填を達成することが単純な方法で可能である。
【0022】
さらに、殺菌タンクから比例バルブへ充填製品の一時保存不要の移送を行う装置についての上述の実施形態は、充填装置そのものにおける充填製品ボイラの省略を可能にする。したがって、ここでは充填製品ボイラを不要にすることが可能である。ゆえに、一方では投資費用が削減され、また他方では充填器カルーセルの質量の軽減のため、移動される質量が小さくなることにより駆動エネルギーと、充填器カルーセルでの充填製品ボイラの重複洗浄による洗浄費用がここでは不要になるので、運転費用が削減されうる。
【0023】
さらに、存在しない充填製品ボイラでの充填レベルは設定または調整される必要がもはやないので、充填製品ボイラを充填するための調整バルブを充填器カルーセルに設ける必要がない。むしろ、比例バルブによって、殺菌タンク内の異なる充填レベルまたは圧力への対応が可能であるので、充填製品が充填される容器の確実な充填が可能になる。
【0024】
比例バルブは特に、充填装置そのものでの異なる収容容積のために上昇する殺菌タンク内の充填高さの変化に対応することが可能である。異なる充填高さは比例バルブの上流に異なる圧力を発生させ、これは充填バルブの環状間隙の一定断面については異なる充填製品流れを生じる。比例バルブによって、所望の充填製品流れまたは体積流量が達成または維持されるように、断面が適宜調節されうる。
【0025】
例えば殺菌タンクによって、製品故障の発生時に、充填製品に対する所定時間の熱作用を維持するのと同時に充填器カルーセルの収容変化に対応するかこれを一時保存することが可能であるように、殺菌装置、結果的に短時間加熱設備が連続的に作動する場合には、特に有利である。
【0026】
殺菌タンクと比例バルブとの間に設けられるのは、好ましくは、充填装置の充填器カルーセルへ殺菌済み充填製品を移送するための回転分配器であり、充填器カルーセルは比例バルブを支承する。その際には、回転分配器と比例バルブとの間に管路のみが設けられる場合が特に好ましい。
【0027】
こうして、特に単純な構造の充填器カルーセルが達成され、充填器ボイラが省略される。ゆえに充填器カルーセルの質量が比較的低く抑えられて装置が全体としてより小型の設計になることが可能である。
【0028】
特に好適な構成において、充填製品瓶詰め設備の殺菌タンクは充填器カルーセルの上方に定置方法で配置されるので、殺菌装置は、殺菌済み充填製品を充填器カルーセルの上方の殺菌タンクへ導入できる。そして充填製品は回転分配器を介して殺菌タンクから充填器カルーセルへ直接流入する。ゆえに、ライン経路の長さが短縮されることが可能であり、その結果、製品と接触して洗浄、消毒、および/または殺菌される装置の表面の減少のため、投資費用のさらなる削減と運転費用のさらなる削減とが得られる。
【0029】
使用されるライン経路の長さの短縮が可能であることで、殺菌装置、特に短時間加熱手段に使用される媒体供給源、例えば窒素、CO2、圧縮空気、蒸気、および洗浄または殺菌媒体が充填装置と特に充填器カルーセルで同じように使用されることがさらに可能である。こうして、それぞれの媒体についての先行技術から周知である重複設備が削減されるか、重複設備が完全に省略される。
【0030】
媒体の共通使用が可能であることは、殺菌装置および充填装置で同じ圧力条件が存在するが比例バルブの使用により確実な充填結果がそれでも達成されるという事実からも生じる。
【0031】
さらに、殺菌タンクおよび/または殺菌装置は、充填システム全体の洗浄および/または消毒および/または殺菌プロセスに含まれ、そしてここでは時間効率が良く資源を保存できる洗浄、消毒、殺菌の実行が可能であり、対応する洗浄および/または消毒および/または殺菌媒体が装置全体に使用されうる。
【0032】
好ましくは、殺菌装置は充填製品を加熱するための熱交換器を包含し、特に好ましくは短時間加熱装置として設計される。
【0033】
上述した加熱殺菌装置の代わりに、例えばUV照射またはプラズマ処理によって、例えば他の何らかの物理的殺菌プロセスを実行するための他の何らかの殺菌装置を用意することも可能である。
【0034】
好ましくは、殺菌タンクが装置の唯一の一時保存装置である。ゆえに、単一の一時保存装置を介して、殺菌される充填製品の異なる供給量と、充填装置の異なる吐出量とに対応することが可能であり、小型の設備構造を介して、その時に殺菌済みの充填製品が充填される容器の、確実な充填が達成されうる。
【0035】
炭酸入り殺菌済み充填製品が充填される容器の充填を達成するため、充填対象の容器を加圧ガスによって予備加圧するように好ましくは殺菌タンクから充填装置へ加圧ガスが移送され、加圧ガスは好ましくは回転分配器を介して充填装置の充填器カルーセルへ移送され、この充填器カルーセルは比例バルブを支承する。
【0036】
殺菌装置と充填装置の両方における加圧ガスまたは対応の媒体の共通使用を達成することが結果的に可能である。
【0037】
好ましくは、洗浄媒体供給源を備える洗浄装置が設けられ、この洗浄装置によって、殺菌タンクと、充填装置、好ましくは製品と接触する充填装置の経路の両方へ洗浄媒体が供給される。こうして、洗浄媒体と特に消毒媒体および/または殺菌媒体の共通使用によって、製造作業用の装置の準備を目的として装置の洗浄および/または消毒および/または殺菌が達成されることが可能である。
【0038】
洗浄装置は特に好ましくは、殺菌装置の熱交換器に付加的に洗浄媒体を供給するように設計される。ゆえに、さらに高い程度での洗浄媒体の効率的な使用が可能となる。
【0039】
有利な改良において、充填装置は隔離器に収納され、付加的に隔離器も洗浄するのに洗浄媒体を使用するように洗浄装置が設計される。
【0040】
装置の洗浄および/または消毒および/または殺菌プロセスの間に、好ましくは充填器カルーセルの上方に配設される殺菌タンクからの充填ラインおよび充填バルブの洗浄が、充填ラインおよび充填バルブの洗浄と同時に実現される。洗浄媒体は、CIP回収手段、例えば充填器カルーセルが配設される隔離器からのCIP回収手段を介して殺菌タンクにまた戻るが、洗浄媒体準備手段が好ましくは介在配置方法で配設される。したがって、洗浄、消毒、殺菌媒体の円形通路を達成することが可能であり、こうして密閉された洗浄、消毒、または殺菌回路が設けられ、この回路では充填装置および殺菌装置と殺菌タンクの両方が効率的な方法で洗浄、消毒、および殺菌される。
【0041】
炭酸入り充填製品の瓶詰めの場合には特に、殺菌タンクへと、回転分配器を介して充填器カルーセルへの両方に共通の媒体供給が行われることがさらに可能であり、したがって、それぞれの媒体と特に加圧ガスは一度のみ、しかし先行技術から周知のように、それぞれの場合に殺菌装置と充填装置について別々に提供される必要がある。したがって、予備加圧された容器を適宜充填することが可能であるように、充填製品中のCO2の放出を防止するため殺菌装置および殺菌タンクに存在する圧力は、充填対象のそれぞれの容器を予備加圧するのにも使用され、そのため、それぞれの容器での充填製品の発泡傾向が抑えられた効率的な瓶詰めがこうして可能になる。
【0042】
好ましくは、予備加圧されてから殺菌され炭酸ガスが加えられた充填製品が充填される容器の周囲圧力までの減圧も同様に回転分配器を介して行われるので、加圧ガス、特にCO2の充填装置からの目標通りの吐出が達成されうる。
【0043】
比例バルブの使用についてのさらに有利な作用は、したがって高い圧力下でも瓶詰めが可能であって比例バルブの上流に存在する充填製品が高い圧力下でも存在することである。したがって、充填製品が高い圧力下の比例バルブへも圧入されることと、こうして、増加した体積流量とゆえに充填対象の容器への充填製品の急速な充填とが達成されることが可能である。結果的に、同一の設置寸法について、例えば充填器直径に関しては処理量の増加が達成され、所定の処理量については設備全体がより小型の設計となりうる。
【0044】
構成要素の除去、例えば充填器の回転部品の上の充填製品ボイラの除去と、これに対応する追加媒体供給源の省略とは、設備全体の故障安全性レベルのさらなる上昇を可能にする。殺菌タンクまたはその充填高さの制御、あるいは殺菌装置の制御はさらに、充填製品瓶詰め設備、特に充填器により実施され、そしてこの時点で、以前は別々であった二つの設備部品の間の連携が不要になり、こうしてより効率的な設備構造が実現されうる。
【0045】
好ましくは、充填バルブとして設計される比例バルブは、装置で唯一の製品調整バルブである。殺菌タンクと充填バルブとの間のそれぞれの区分について、結果的に、製品の流れが調整されるための単一のバルブ、すなわち比例バルブのみが設けられる。結果的に、第一には互いに隣接して配設される調整バルブの間の相互作用を考慮する必要がないので、製品の流れの明瞭かつ単純な調整が達成されうる。第二に、装置は全体としてより少ない構成要素の、より単純な設計となり、これは、費用および洗浄能力に有利な作用を与える。
【0046】
好ましくは、比例バルブにより形成される充填器平面より上方に位置する平面に、殺菌タンクが配設される。結果的に、第一に比較的短い充填製品ラインの経路が達成され、その結果、投資費用と洗浄費用とが削減されうる。第二に、したがって殺菌タンクより下方に位置する比例バルブを介して殺菌タンクからの流出が可能であるという点で、殺菌タンクの残量が確実に空にされる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明のさらなる好適な実施形態が、以下の図の説明に基づいてより詳しく記される。
【
図1】無炭酸充填製品の瓶詰めのための提案装置の概略図を示す。
【
図2】炭酸入り充填製品の瓶詰めのための提案装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
好適な例示的実施形態が図に基づいて以下に説明される。ここで、同一の要素、類似の要素、または同一動作の要素は様々な図で同じ参照符号により表され、重複を回避するため、これらの要素の反復的な説明は一部省略される。
【0049】
図1は、概略的に図示された容器100に殺菌済み充填製品を充填するための装置1を概略的に示す。装置1は、殺菌装置2と充填装置3とを包含する。殺菌装置2は、充填製品供給ライン110を介して供給される充填製品が所定の殺菌温度まで加熱されることで殺菌される熱交換器20を有する。
【0050】
殺菌装置2の熱交換器20での処理の後に、殺菌済み充填製品は殺菌製品供給ライン10を介してトランスファーバルブ120へ給送され、トランスファーバルブ120から殺菌タンク22へ移送される。
【0051】
したがって、充填製品供給ライン110を介して供給される充填製品流れ(フロー)は、殺菌装置2の熱交換器20で加熱殺菌され、殺菌製品供給ライン10およびトランスファーバルブ120を介して充填製品流れが供給される時に殺菌タンク22で一時保存されうる。したがって殺菌タンク22によって、殺菌製品供給ライン10での充填製品の供給量の変化と充填装置3による殺菌充填製品の吐出の変化とを補正することが可能である。
【0052】
ここでは熱交換器20で示されている加熱殺菌装置の代わりに、例えばUV照射またはプラズマ処理によって例えば他の幾つかの物理的殺菌プロセスを実行するための、他の幾つかの殺菌装置を設けることも可能である。
【0053】
そして殺菌充填製品が充填製品ライン14を介して殺菌タンク22から充填装置3へ供給される。充填装置3は、回転軸線Rを中心に回転可能である充填器カルーセル30を包含する。静止充填製品ライン14から回転充填器カルーセル30への殺菌充填製品の移送は、それ自体は周知の方法で静止部品から回転部品へ充填製品を送る回転分配器16を介して行われる。
【0054】
充填装置3の充填器カルーセル30には、複数の充填バルブがその周囲に設けられ、充填バルブの各々は、回転分配器16を介して供給される充填製品流れからそれぞれの充填バルブに割り当てられる充填対象のそれぞれの容器100へ、充填製品流れを導入する。充填バルブの各々は比例バルブ4として設計され、その結果、充填対象の容器100へ流入する充填製品流れが制御および/または調整されうる。
【0055】
したがって比例バルブ4は容器100へ流入する充填製品流れが開状態と閉状態との間で切り換わることばかりではなく、さらなる充填製品流れが比例バルブによっても設定可能であることを可能にする。特にゼロと全開充填バルブ4に対応する全流量との間において、好ましくは実質的に無段階方式で、または少なくとも複数の段階で、充填製品流れの流量が変化することが可能である
【0056】
好ましくは、比例バルブ4は、例えばバルブシートとバルブコーンとの間の環状間隙の変化ばかりでなく体積流量センサを通したバルブ位置変化の可能性を包含し、その結果、所望の体積流量が設定されてから比例バルブ4の作動電子機器によって調整方法で自動的に調節されるように、比例バルブ4の単純な作動が実現されうる。
【0057】
したがって、
図1から分かるように、それぞれの充填レベルまたは殺菌タンク22の充填状態と無関係に、あるいは殺菌タンク22から回転分配器16へ充填製品を誘導する充填製品ライン14に存在する圧力と無関係に、充填対象の容器100の充填が可能である。したがって、比例バルブ4によって、充填製品ライン14に存在する圧力が補正されることと、殺菌充填製品の容器100での所望の充填量が達成されることとが可能である。
【0058】
充填製品ライン14の短い長さと殺菌タンク22からの確実な流出とを達成するため、殺菌タンク22は好ましくは、比例バルブ4により形成される充填器平面より上方に位置する。結果的に、殺菌タンク22から充填製品ライン14への流出も、比例バルブ4により形成される充填器平面の上方で行われる。ここで、殺菌タンク22は、特に好ましくは充填器カルーセル30より上方のプラットフォームに配設される。
【0059】
装置1の洗浄プロセスのために設けられるのは、充填装置3の充填器カルーセル30が少なくとも配設される隔離器6の洗浄、消毒、または殺菌にも役立つ洗浄媒体供給源5を包含する洗浄装置である。この目的のため、隔離器6の上または隔離器6の中にはスプレーノズル52が設けられ、このスプレーノズルによって、洗浄、消毒、または殺菌媒体が、隔離器6の処理対象表面に塗着される。
【0060】
洗浄媒体供給源5を介して供給される洗浄および/または消毒および/または殺菌媒体はさらに、殺菌タンク洗浄ノズル54を介して殺菌タンク22の洗浄に使用されうる。そしてそれぞれの洗浄、消毒、および/または殺菌媒体は、その後で充填バルブ、特に比例バルブ4で好ましくは隔離器6へ流出するように、充填製品ライン14と回転分配器16とを介して殺菌タンク22から充填器カルーセル30へ送られうる。したがって、製品と接触している領域、特に殺菌タンク22と充填製品ライン14と回転分配器16、充填製品および充填バルブ4と接触している充填器3の領域の洗浄と消毒と殺菌とが、単一の洗浄媒体供給源5によって達成されることが可能である。
【0061】
洗浄装置が特にCIP(定置洗浄)手段の形で設けられることが可能であり、その場合には、装置1のすべての構成要素が洗浄、消毒、または殺菌の間に動作準備状態で設置されており、洗浄、消毒、または殺菌のために装置1が分解される必要はない。洗浄、消毒、および/または殺菌媒体はこの場合、上述した形で供給され、それからCIP回収手段と媒体準備手段とを介して洗浄媒体供給源5へ再び供給されうる。
【0062】
洗浄媒体供給ライン56を介して殺菌装置2の熱交換器20を洗浄することもさらに可能であり、そしてここでも、洗浄、消毒、および/または殺菌媒体が製品と接触している領域を流れる。
【0063】
洗浄、消毒、および/または殺菌媒体が洗浄媒体供給源5から殺菌装置2まで洗浄媒体供給ライン56を介して提供される図の実施形態の代替例として、洗浄、消毒、および/または殺菌媒体は、図示されていない方法で、充填製品供給ライン110を介して殺菌装置2に提供され、洗浄媒体供給ライン56を介して洗浄媒体供給源5へ給送されうる。こうして、洗浄、消毒、および/または殺菌媒体が例えば、上流に配設された製品準備設備をすでに洗浄していてもよい。また、洗浄媒体供給源5への独立した媒体供給を不要にすることが可能である。
【0064】
熱交換器20からの殺菌製品供給ライン10と殺菌タンク22との分離は、トランスファーバルブ120で実現されうる。したがって、殺菌装置2、特に熱交換器20がすでに洗浄されていることが可能であり、洗浄、消毒、および/または殺菌媒体はそれから殺菌製品回収ライン12を介して回収され、一方で、殺菌タンク22で一時保存された殺菌充填製品の比例バルブ4を介した瓶詰めも同時に実行される。殺菌製品供給ライン10と殺菌タンク22との間の殺菌分離は、蒸気供給源8と蒸気バリアライン80とを介して必要な蒸気を確保する蒸気バリヤにより、トランスファーバルブ120で保証される。ゆえに殺菌タンク22からの充填プロセスと殺菌装置2の洗浄とが、時間的に互いに分離されることが可能である。
【0065】
蒸気供給源8を介して提供される蒸気は、例えば、殺菌される設備構成要素への殺菌蒸気ライン82による供給を通した殺菌を目的として、残りの設備構成要素に蒸気を送るのにも使用されうる。
【0066】
例えば比例バルブ4の交換を必要とする充填装置3の故障の際に、殺菌タンク22にまだ存在している殺菌充填製品を処分する必要を無くすため、殺菌タンク22が充填装置3から分離されるためのシャットオフバルブ140が充填製品ライン14に設けられる。
【0067】
図1に示されている装置1は静止充填製品、すなわち炭酸ガスが含まれていない製品を特に瓶詰めするのに役立つ。ここで、充填対象の容器100の予備加圧は必要ではなく、殺菌タンク22と充填製品ライン14の両方で、回転分配器と、比例バルブ4の上流に位置する充填製品供給源の領域では、どのような圧力が存在するかは重要ではない。特に、殺菌装置2では最小圧力が維持される必要はなく、この最小圧力は、CO
2の放出または解放を防止または軽減するため炭酸入り充填製品の瓶詰めの場合に必要であろう。
【0068】
異なる充填レベルが殺菌タンク22で達成される場合にも殺菌タンク22の上部空間に一定の大気圧を実質的に提供するため、殺菌タンク22はブリーザバルブ220を介して隔離器6へ「ガス抜き」できる。
【0069】
そして
図2は、炭酸入り殺菌充填製品の瓶詰めにも使用されうる装置1の変形を示す。ここで、充填製品供給ライン110を介して供給されるとともに殺菌装置2の熱交換器20へ供給される充填製品が常に、炭酸入り充填製品からのCO
2の解放または放出をほぼ防止する圧力下にあることが重要である。具体的に記すと、殺菌装置2の熱交換器20において、この放出は熱交換器20内での発泡につながり、その結果、充填製品の確実な加熱と、ゆえに微生物学的安全性の達成とを保証することが可能ではないだろう。したがって、熱交換器20と下流に位置する殺菌タンク22の両方において、充填製品中のCO
2の飽和圧力を上回るレベルに圧力を調整することが必要である。
【0070】
充填プロセス中のCO2の過度の放出を回避するように予備加圧された容器100へ充填製品が導入されるために、充填対象の容器が加圧ガスによって予備加圧されることをここで可能にするには、例えば殺菌タンク22の上部空間から加圧ガスが給送されうる加圧ガスライン70が、殺菌タンク22からの充填製品ライン14に加えて設けられる。対応する予備加圧を行うため、殺菌タンク22の上部空間には、加圧ガス供給源7を介して例えば圧縮空気、窒素、および/またはCO2が送られる。
【0071】
代替的に、充填対象の容器100を予備加圧するための加圧ガスは加圧ガス供給源7から直接提供されてもよい。好ましくは、この加圧ガス供給源7は、殺菌タンク22に供給を行う加圧ガス供給源7でもある。こうして、追加バルブと類似のフィッティングとが不要となり、設置構造が単純化されることが可能である。
【0072】
比例バルブ4による殺菌充填製品の瓶詰めと、加圧ガスライン70を介して供給される加圧ガスによって充填器3の回転部品での対応の加圧ガスバルブ72を介して容器100について前もって実行される予備加圧の両方が実行されるように、充填製品ライン14と加圧ガスライン70の両方が回転分配器16を介して充填器3の回転部品に通じている。
【0073】
充填プロセスが実行された後で、この時に充填されている容器100の上部空間に存在する圧力が、被制御状態で大気圧まで減圧されなければならない。この目的のため設けられるのは別の回転分配器18であり、これを介して充填済み容器100の減圧がそれぞれの場合に一つの対応のリリーフバルブ74を介して達成され、そしてガス混合物が回転分配器18を介して移送され、おそらくは発泡の形で充填製品残留物が制御下の処分のため送られる。好ましくは、回転分配器18に続く減圧ライン(不図示)は殺菌領域、特に好ましくは殺菌隔離器6に開口する。こうして、汚染物または細菌がこのライン経路を通って逆向きに充填バルブへ導入されることは可能でなく、微生物学的安全性が高められる。
【0074】
洗浄プロセス中に、洗浄媒体が、対応の洗浄、消毒、および殺菌媒体とともに、洗浄媒体供給源50を介して隔離器ノズル72へ、そして殺菌タンクノズル54を介して殺菌タンク22へ、そしてまた洗浄媒体供給ライン56を介して熱交換器20へ供給されることがやはり可能である。
【0075】
さらに、隔離器内部6と、充填製品と接触しているすべての経路および加圧ガス経路の両方の完全な洗浄、消毒、および/または殺菌をこうして達成するため、充填製品ライン14ばかりでなく、加圧ガスライン70と、加圧ガスバルブ72と、回転分配器18が含まれるリリーフバルブ74とを処理することが可能である。
【0076】
該当する場合には、例示的実施形態で提示されている個々の特徴すべてが、発明の範囲を逸脱することなく、互いに組み合わされうる、および/または、交換されうる。
【符号の説明】
【0077】
1 充填製品を容器に充填するための装置
10 殺菌製品供給ライン
12 殺菌製品回収ライン
14 充填製品ライン
16 回転分配器
18 回転分配器
110 充填製品供給ライン
120 トランスファーバルブ
140 シャットオフバルブ
2 殺菌装置
20 熱交換器
22 殺菌タンク
220 殺菌タンクのブリーザバルブ
3 充填装置
30 充填器カルーセル
4 充填バルブ
5 洗浄媒体供給源
52 隔離器洗浄ノズル
54 殺菌タンク洗浄ノズル
56 熱交換器への洗浄媒体供給ライン
6 隔離器
7 加圧ガス供給源
70 加圧ガスライン
72 加圧ガスバルブ
74 リリーフバルブ
8 蒸気供給源
80 蒸気バリアライン
82 殺菌蒸気ライン
100 容器