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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】2つの座席ユニット間の通路の閉鎖装置
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20220630BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20220630BHJP
   B60N 3/00 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
B64D11/06
E05D15/06
B60N3/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019554540
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2018055333
(87)【国際公開番号】W WO2018184778
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】62/481,224
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513096624
【氏名又は名称】サフラン シーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】ボヌフォア, バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エロー, パトリック
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07117559(US,B1)
【文献】特表2015-511557(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02894285(EP,A1)
【文献】特開2009-203608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
E05D 15/06
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機キャビン内に形成される、通路の閉鎖装置であって、
スライド方向に沿ったスライドレールに沿ってスライドすることができる支持手段と
前記通路を塞ぐことができる閉鎖壁と
ロック装置であって、該ロック装置が前記閉鎖壁と前記支持手段との間の機械的接続を確保するロック状態になることが可能であり、これにより、前記閉鎖壁が前記スライド方向に沿って前記支持手段と共に可動である前記ロック装置とを備え、
前記閉鎖装置の故障の場合、前記ロック装置は前記閉鎖壁に前記スライド方向の推進力を加えることにより、前記閉鎖壁が前記支持手段から接続解除されるロック解除状態に移行することができ、これにより、前記閉鎖壁は前記スライド方向に沿って単独で可動であることを特徴とする閉鎖装置。
【請求項2】
前記ロック装置は、頭部を備える、少なくとも1つのパッドを含み、
前記パッドの頭部は、
前記ロック装置が前記ロック状態にある時、少なくとも1つの保持区域と協働することができ、
前記ロック装置が前記ロック解除状態にある時、少なくとも1つのクリアランス区域と協働することができることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖装置。
【請求項3】
前記保持区域及び/または前記クリアランス区域は、少なくとも1つのレール内に形成されることを特徴とする請求項2に記載の閉鎖装置。
【請求項4】
前記レールは前記閉鎖壁に配置され、前記パッドは前記支持手段に配置されるか、または、その逆であることを特徴とする請求項3に記載の閉鎖装置。
【請求項5】
前記ロック装置は、前記保持区域と前記クリアランス区域との間に配置された少なくとも1つの保持手段を含むことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の閉鎖装置。
【請求項6】
前記保持手段は、前記ロック装置が前記ロック状態にあるとき、前記スライドレールに沿って前記閉鎖壁及び/または前記支持手段を移動させるために必要な応力を上回る保持応力閾値を有することを特徴とする請求項5に記載の閉鎖装置。
【請求項7】
前記保持手段は、ばねに取り付けられたボールによって構成されることを特徴とする請求項5または6に記載の閉鎖装置。
【請求項8】
停止ストッパが前記閉鎖壁内に備えられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の閉鎖装置。
【請求項9】
前記停止ストッパは
前記停止ストッパが前記支持手段に対する固定部に当接し、前記支持手段に対する前記閉鎖壁の相対的な移動を防止するブロック位置、及び、
前記停止ストッパが前記支持手段に対する固定部から外れ、前記支持手段に対する前記閉鎖壁の相対的な移動を可能にするブロック解除位置を、
とることができる請求項8に記載の閉鎖装置。
【請求項10】
記閉鎖壁の一角に位置するハンドルは、前記停止ストッパの移動を制御することが可能であることを特徴とする請求項8または9に記載の閉鎖装置。
【請求項11】
少なくとも1つのハウジングを含み、請求項1~10のいずれか一項に記載の前記閉鎖装置を備える座席ユニットであって、収容位置にある前記閉鎖壁が前記ハウジングの内部に配置されることを特徴とする座席ユニット。
【請求項12】
前記ロック装置が前記ロック解除状態にある時、前記閉鎖壁は重力によって前記ハウジングの底部に当接することが可能であることを特徴とする請求項11に記載の座席ユニット。
【請求項13】
前記ハウジングの底部は、低い摩擦係数を有するコーティング層によって被覆されていることを特徴とする請求項12に記載の座席ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの座席ユニット間の通路の閉鎖装置に関する。本発明は、航空機の分野において、特に有利な用途が見られる。
【背景技術】
【0002】
「ビジネスクラス」タイプの座席は、「座る」姿勢から、乗客が横たわることができるほぼ水平なカウチ面を座席が画定する「横たわる」姿勢まで、様々な快適姿勢を乗客に提供する。
【0003】
座席の背もたれが大きく傾いている「リラックス」姿勢など、中間の快適姿勢も同様に提案されている。一般に、これらの中間姿勢は、座席の延長軸に水平及び垂直な軸を中心に回転する背もたれの傾斜によって得られる。乗客は、異なる姿勢間の移行中も座席にとどまることができる。
【0004】
座席は、一般に、特に背もたれ及び座面から構成され、レッグレスト及び/またはフットレストを含むことがあり、レッグレストとフットレストは固定するか、または座席の運動に関連させることができる。
【0005】
「ビジネスクラス」タイプの航空機キャビンの特定の座席配置では、航空機キャビンの長手軸線に沿って前後に設置された2つの座席間に配置された通路(出入口)(passage)が含まれ、該通路は全ての乗客が主通路(couloir de circulation)に直接アクセスすることを可能にする。したがって、特に座席が「横たわる姿勢」であるとき、乗客は容易に主通路にアクセスすることができる。
【0006】
そのため、乗客または乗務員が座席に対して側方に位置する主通路を、特に航空機キャビンの後方に向かって歩く時、座席に座っている乗客と直接アイコンタクトすることがあり得る。そのような状況は、乗客にプライバシーの無さを感じさせる意味において、不快な感情をもたらすことがあり得る。
【0007】
特許文献1には、航空機キャビンの長手軸線に沿って前後に配置された2つの座席間の通路の閉鎖装置が記載されており、該閉鎖装置は、収容位置と展開位置との間でスライド式に装着されたドアを含む。収容位置ではドアが通路を開放し、展開位置では通路を塞ぐ。そのような構成によって、座席の周囲に閉じた内部空間を画定し、乗客にプライバシーの感情を提供することが可能である。特に、従来技術によるそのような構成によって、座席に座っている乗客が主通路を歩いている他の乗客及び/または乗務員から直接見られることを避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第3225548号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の閉鎖装置の故障の場合、垂直方向のヒンジに沿ってドアを回転させて、座席間の空間を開放し、主通路にアクセスすることが可能である。しかしながら、そのような構成では、ドアがその通常の位置に対して回転する時、通行を妨げることがあり得る。さらに、特許文献1に記載の閉鎖装置は、ヒンジが収容ハウジングからはみ出るように十分に展開することを要求するが、閉鎖装置の重大な故障の場合、それは必ずしも可能ではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の閉鎖装置を提案することにより、これらの欠点を解消することを目的とする。特に航空機キャビン内に形成される通路の閉鎖装置であって、
スライド方向に沿ったスライドレールに沿ってスライドすることができる支持手段と、
前記通路を塞ぐことができる閉鎖壁と、
ロック装置であって、該ロック装置が前記閉鎖壁と前記支持手段との間の接続を確保するロック状態になることが可能であり、これにより、前記閉鎖壁が前記スライド方向に沿って前記支持手段と共に可動である前記ロック装置とを備え、
特に故障の場合、前記ロック装置は、前記閉鎖壁が前記支持手段から接続解除されるロック解除状態に移行することができ、これにより、前記閉鎖壁は前記スライド方向に沿って単独で可動であることを特徴とする。
【0011】
したがって、本発明は、装置のロック解除の時、閉鎖壁のスライドを可能にして、脱出手順での乗客の経路を塞ぐことを回避することが可能である。さらに、本発明は、閉鎖壁の展開される長さに無関係に実行することが可能であり、それによって、避難状態でのその実行が容易になる。
【0012】
一実施形態によると、ロック装置は、特に頭部を備える、少なくとも1つのパッドを含み、
パッドの頭部は、
ロック装置がロック状態にある時、少なくとも1つの保持区域と協働することができ、
ロック装置がロック解除状態にある時、少なくとも1つのクリアランス区域と協働することができる。
【0013】
一実施形態によると、保持区域及び/またはクリアランス区域は、少なくとも1つのレール内に形成される。
【0014】
一実施形態によると、レールは閉鎖壁に配置され、パッドは支持手段に配置されるか、または、その逆である。
【0015】
一実施形態によると、ロック装置は、保持区域とクリアランス区域との間に配置された少なくとも1つの保持手段を含む。
【0016】
一実施形態によると、保持手段は、ロック装置がロック状態にあるとき、スライドレールに沿って閉鎖壁及び/または支持手段を移動させるために必要な応力を上回る保持応力閾値を示す。
【0017】
一実施形態によると、保持手段は、ばねに取り付けられたボールによって構成される。
【0018】
一実施形態によると、停止ストッパが閉鎖壁内に備えられている。
【0019】
一実施形態によると、停止ストッパは、
停止ストッパが支持手段に対する固定部に当接し、支持手段に対する閉鎖壁の相対的な移動を防止するブロック位置、及び、
停止ストッパが支持手段に対する固定部から外れ、支持手段に対する閉鎖壁の相対的な移動を可能にするブロック解除位置を、
とることができる。
【0020】
一実施形態によると、特に閉鎖壁の一角に位置する把持手段、特にハンドルは、停止ストッパの移動を制御することができる。
【0021】
本発明は、また、少なくとも1つのハウジングを含み、前記実施形態のいずれかに記載の閉鎖装置を備える座席ユニットであって、収容位置にある閉鎖壁がハウジングの内部に配置されることを特徴とする座席ユニットに関する。
【0022】
一実施形態によると、ロック装置がロック解除状態にある時、閉鎖壁は重力によってハウジングの底部に当接することが可能である。
【0023】
一実施形態によると、ハウジングの底部は、低い摩擦係数を有するコーティング層によって被覆されている。
【0024】
もちろん、本発明の様々な特徴、変形及び/または実施形態は、それらが互いに非互換または排他的でない限り、様々な組み合わせによって互いに関連付けられてもよい。
【0025】
本発明は、非限定的な例として提示される添付図面を参照して、例として示された実施形態を含む以下の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解され、他の特徴及び利点が明らかになるであろう。それらの図面は、本発明の理解及びその実現の提示を補足するのに役立ち、必要に応じて、その定義に寄与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は本発明による座席配置を搭載した航空機キャビンの上方からの概略図である。
図2図2は本発明による閉鎖装置を含む座席の前方からの斜視図である。
図3a-3b】図3a及び図3bはそれぞれ、閉鎖装置が展開位置及び収容位置にある、本発明による座席の主通路からの斜視図である。
図4a-4b】図4a及び図4bはそれぞれ、展開状態及び収容状態にある閉鎖装置を有する、本発明による座席が配置されている空間からの斜視図である。
図5図5は本発明による閉鎖装置の横断面図である。
図6図6は本発明による閉鎖装置の縦断面図である。
図7a-7b】図7a及び図7bは、それぞれ、ロック状態及びロック解除状態にある閉鎖装置のロック装置の斜視図である。
図7c図7cはロック装置がロック解除状態にある時のハウジング内部での閉鎖壁の位置決定を示している。
図8a-8b】図8a及び図8bはそれぞれ、ロック状態及びロック解除状態にある閉鎖装置のロック装置の詳細な斜視図である。
図9a-9b】図9a及び図9bはそれぞれ、ブロック位置及び閉鎖壁の移動を可能するにするブロック解除位置にある停止ストッパを示す閉鎖装置の縦断面図である。
図10a-10b】図10a及び図10bは、停止ストッパの1つの位置からもう1つの位置への移動を制御することが可能な把持手段の詳細な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図において、様々な実施形態に共通の構造的及び/または機能的要素は同じ参照番号を有する場合があることに留意されたい。したがって、特に明記しない限り、そのような要素は同一の構造、寸法、材料特性を有する。
【0028】
図1は、座席配置11を含む長手軸線X1に沿って延在する航空機キャビン10を示す。本発明による座席配置11は、それぞれ個人座席13を含む、複数の座席ユニット12を備える。有利には、座席13は、特に航空機の停止、離陸及び着陸段階中に使用される姿勢に対応する「座る」姿勢と、座席13が乗客用に有利には、ほぼ水平なカウチ面を画定する「横たわる」姿勢との間で転換可能である。特に、「座る」姿勢及び「横たわる」姿勢は、2つの極端な姿勢にある座席13の配置を構成する。変形実施形態によると、座席13は、また、これらの2つの極端な姿勢の間で、中間姿勢、いわゆる「リラックス」姿勢をとることも可能である。
【0029】
複数の座席ユニット12は、好ましくは、航空機キャビン10の長手軸線X1に沿って延在する少なくとも1つの列15aに配置されている。図1に示した実施例では、複数の座席ユニット12は、4つの列15a、15b、15c及び15dに配置されている。
【0030】
様々な特定の実施形態によると、列15a、それぞれ、列15a、15b、15c及び15d内で、座席ユニット12は、座席13が航空機の前方に向かって、または、後方に向かって回転するように方向決定することが可能である。
【0031】
以下の説明では、「座席ユニット」という表現に関連して使用される「前」及び「後ろ」という用語は、列15a、それぞれ、列15a、15b、15c及び15d内の座席13の相対位置を局所的に定義することに留意されたく、航空機キャビン10内の座席13の向きに関するものではない。言い換えれば、「前の座席ユニット」という表現は座席ユニットが航空機キャビン10の長手軸線X1に沿った列の内部で他の座席ユニットの直接前に配置されていることを意味し、一方、「後ろの座席ユニット」という表現は座席ユニットが航空機キャビン10の長手軸線X1に沿った列の内部で他の座席ユニットの直接後ろに配置されていることを意味する。
【0032】
図示した実施例によると、座席配置11は、座席ユニット12を備える2つの側方グループ16a、16bを含む。2つの側方グループ16a、16bは、それぞれ、航空機キャビンの機体の側壁17に沿って配置された座席ユニット12の2つの列15a、15bによって構成されている。座席配置11は、また、中央グループ20を含む。中央グループ20は、好ましくは、座席ユニット12の2つの列15c、15dによって構成されている。そのような配置では、座席ユニット12の2つの列15c、15dは、有利には、側方で互いに接合されている。
【0033】
側方グループ16a、16bは、それぞれ、主通路(couloir de circulation)21によって中央グループ20から分離されている。したがって、図1に示した構成によると、2つの主通路21は、航空機キャビン10内で、特に各側方グループ16a、16bと中央グループ20との間に配置されている。あるいは、2つの側方グループ16a、16bは、それぞれ、座席ユニット12の複数の列から形成されることもあり得る。
【0034】
各座席13は、座席13の長手方向の延長方向にほぼ一致する延長軸線X2を有する。特に、延長軸線X2は、「横たわる」姿勢にある座席13の長手方向の延長方向に一致する。有利には、延長軸線X2は航空機キャビン10の長手軸線X1と零ではない角度を形成する。
【0035】
特定の配置によれば、各座席13は、列15a、それぞれ、列15a、15b、15c、及び15dに隣接する主通路21に向けて回転される。このような配置では、各乗客は座席13から主通路21に直接アクセスできる。主通路21への直接アクセスは、乗客の足が主通路21の側に位置するという事実によって容易になる。
【0036】
さらに、中央グループ20では、理想的には、2つの座席ユニット12が互いに対して横方向に隣接して配置される。有利には、2つの座席ユニット12は、2つの異なる方向に延在する座席13を有する。好ましくは、2つの座席ユニット12のそれぞれの延長軸線X2は、それらの間に鋭角を形成する。そのような構成は、2つの座席ユニット12が「V」字型を形成するようなものである。
特に、2つの座席ユニット12の「V」字形状の先端は、2つの座席ユニット12のそれぞれの背もたれ24の後ろに位置する。
【0037】
航空機キャビン10の幅に対するその密度の最適化は、航空機キャビン10の長手軸線X1に対する座席13の延長軸線X2の角度を修正することによって可能である。
【0038】
様々な実施形態によると、座席13の延長軸線X2は、航空機キャビン10の長手軸線X1に対してほぼ同じ角度を形成することができる。さらに、中央グループ20の隣接する2つの座席13の延長軸線X2は、航空機キャビン10の長手軸線X1とほぼ同一点で交差することができる。あるいは、2つの側方で隣接する座席13は、長手軸線X1に沿って,互いに対してずらされており、その結果、2つの側方で隣接する座席13の延長軸線X2は、異なる点で長手軸線X1と交差する。
【0039】
図示した実施例では、座席13は、航空機キャビン10の前方に向かって、すなわち、航空機のコックピットを含む区域の方向へ向けられている。別の実施形態によると、座席13は、航空機キャビン10の後方に向かって、すなわち、航空機のコックピットを含む区域と反対の方向へ向けられている。
【0040】
図2に特に示されるように、各座席ユニット12は座席13を含む。有利な実施形態によると、座席13は、特に傾斜が調整可能な背もたれ24及び、特に潜在的に傾斜が調整可能な座面25を備える。さらに、座席13は、特に傾斜が調整可能なレッグレスト26を備えていてもよい。さらに、座席ユニット12はフットレストを含んでもよい。別の実施形態によると、フットレストは、特に乗客の足を収容するためのハウジングに配置された、固定されたクッションで構成されていてもよい。あるいは、フットレストは、レッグレスト26の端部に位置する要素で構成されてもよい。
【0041】
座席ユニット12はまた、特に固定された棚板及び/またはランチトレイの収納として機能することが可能なサイドキャビネット32を含むことがあり得る。
【0042】
座席ユニット12はまた、仕切りを提供することができる固定シェル33を含むことがあり得る。したがって、そのような固定シェル33によって、各乗客のプライバシーを保証することが可能である。有利には、そのようなプライバシーの保証機能を満たすために、固定シェル33は、座席13の背もたれ24の周りに延在して、それによって、全体的または部分的に閉じた内部空間を形成し、その内部に座席13が配置される。
【0043】
さらに、座席ユニット12はアームレスト34を備えることがあり得る。アームレスト34は格納式であることができ、したがって、そのアームレスト34は乗客の身体の一部、特に乗客の腕を支えることができる「上昇」位置と、特に座席13が「座る」姿勢及び/または「横たわる」姿勢にある時アームレスト34が座席13の座面25と同じ高さに配置されることが可能な「収容」位置との間で可動である。したがって、乗客は、例えば、その身体の一部、特に脚を「収容」位置にあるアームレスト34上に載せて、快適姿勢を利用することができる。
【0044】
その上、座席ユニット12は、場合によっては固定クッション(図示せず)を含んでもよい。特に、固定クッションによって、カウチ面の最大化が可能である。そのため、座席13が「横たわる」姿勢にある時、座席13の延長部、特に横方向の延長部に配置されることが有利である。
【0045】
特に図1に見られるように、通路(出入口)(passage)37、特に横方向の通路37は、列15a、それぞれ列15a、15b、15c及び15dの連続する2つの座席ユニット12の間に、すなわち、「前」の座席ユニット12と「後ろ」の座席ユニット12との間に形成される。より具体的には、図示した実施形態によると、通路37は「後ろ」の座席ユニット12と「前」の座席ユニット12との間に延在する。
【0046】
通路37は、特に座席13が「横たわる」姿勢にあるときに、座席13の乗客が主通路21の方へ通行可能であるように配置されている。
【0047】
本発明によると、閉鎖装置40は通路37の閉鎖を確保することができる。したがって、そのような閉鎖装置40によって、特に座席ユニット12の固定シェル33と協働して、座席13の周りに閉じた空間を画定することができる。
【0048】
特に図3aおよび図4aに示すように、閉鎖装置40が展開される時、列15a、それぞれ、列15a、15b、15c、15dの2つの連続する座席ユニット12を分離する通路37が閉鎖装置40によって閉鎖される。閉鎖装置40は、スライド方向D、有利には直線のスライド方向Dに沿って移動することが可能である。
【0049】
その結果、座席13に座っている乗客は、座席13の周りに延在する固定シェル33と協働することができる閉鎖装置40によって主通路21を歩いている乗客及び/または乗務員から分離される。したがって、乗客は、このようにして形成された閉鎖空間によって画定されたプライバシー区域に座っている。
【0050】
より正確には、図5及び図6に見られるように、閉鎖装置40は、支持手段41、特にスライド方向Dに沿ったスライドレール42に沿ってスライドすることができるキャリッジを備える。そのため、支持手段41は、例えば、スライドレール42と協働する車輪43を含むことが可能である。
【0051】
ロック装置45は、支持手段41と閉鎖壁46との間に取り付けられる。図5及び図6では、閉鎖壁46はハウジング47の内部に配置されて、図示されている。
【0052】
ロック装置45は、ロック装置45が閉鎖壁46と支持手段41との間の機械的接続を確保するロック状態になることができる。したがって、閉鎖壁46は、特に支持手段41と共に、スライド方向Dに沿って、収容位置と展開位置との間で可動である。
【0053】
収容位置では、閉鎖壁46は大部分がハウジング47の内部に位置する。そのような配置では、閉鎖壁46は、図3b及び図4bに示すように、通路37を少なくともその大部分に沿って、開放することが可能である。展開位置では、閉鎖壁46は大部分がハウジング47の外部に位置する。そのような配置では、閉鎖壁46は、図3a及び図4aに示すように、通路37を少なくともその大部分に沿って、塞ぐことが可能である。
【0054】
支持手段41の故障の場合、本発明は、ロック装置45がロック解除状態になり、閉鎖壁46が支持手段41から接続解除されることが可能であり、したがって、閉鎖壁46が単独で、展開位置と収容位置との間をスライド方向Dに沿って可動である。
【0055】
そのため、図6図8a及び図8bに見られるように、ロック装置45は、理想的にはそれぞれ突出した頭部を備えるパッド49を含む。パッド49は、例えば、ねじによって構成され得る。
【0056】
パッド49は、一方では、ロック装置45がロック状態にある時はレール52内に形成されている保持区域51と協働することができ、他方では、ロック装置45がロック解除状態にある時はレール52内に形成されているクリアランス区域53と協働することができる。
【0057】
図8bに見られるように、保持区域51では、レール52間のギャップLlはパッド49の頭部の最大直径より小さく、したがって、閉鎖壁46はパッド49によって保持されている。
【0058】
クリアランス区域53では、レール52間のギャップL2はパッド49の頭部の最大直径より大きく、その結果、パッド49の頭部が移動して、支持手段41に対して閉鎖壁46の接続を解除することを可能にする空間が形成される。
【0059】
図5に示したような、一実施形態によると、パッド49の頭部は、形状(ここでは、円錐台形)の相補性によって、レールの下に配置される受容空間と協働する。
【0060】
図示した例では、レール52は閉鎖壁46に配置され、パッド49は支持手段41に配置される。より正確には、レール52は、閉鎖壁46の上端部に配置される。
【0061】
もちろん、レール52を支持手段41に配置し、パッド49を閉鎖壁46に配置することができるという点で、本発明による構造を逆にすることが可能であろう。
【0062】
さらに、図8a及び図8bに見られるように、ロック装置45は、保持区域51とクリアランス区域53との間に配置された、少なくとも1つの保持手段56を含む。したがって、保持手段56によって、閉鎖壁46の支持手段41に対する不適切な移動を防止することが可能である。この場合、パッド49の頭部の受容空間に配置された複数の保持手段56を備えることが有利である。
【0063】
保持手段56は、有利には、ロック装置45がロック状態にある時、閉鎖壁46及び支持手段41をスライドレール42に沿って移動させるのに必要な応力より大きな保持応力閾値を有する。
【0064】
保持応力閾値は、例えば、15~60ニュートンの範囲にある。そのような応力閾値は、ユーザが閉鎖壁46に作用する場合に、ロック装置45のロック状態からロック解除状態への移行をそれほど困難なく確保することを可能にする。
【0065】
図示した特定の実施形態の例では、保持手段56は、ばねに取り付けられたボールによって構成される。保持応力閾値は、ばねの設定の調節によって適合され得る。あるいは、保持手段56は、ユーザが及ぼす応力の作用下の弱化タブのような、一定の応力下で弱化される機械的要素によって構成され得る。
【0066】
任意には、特に図6図9a及び図9bに示されているように、停止ストッパ59を閉鎖壁46内に備えることが可能である。停止ストッパ59は、下記のブロック位置及びブロック解除位置をとることが可能である。
-(特に図9aに見られるように)停止ストッパ59が支持手段41に対する固定部に当接し、支持手段41に対する閉鎖壁46の相対的な移動を防止するブロック位置、及び、
-(特に図9bに見られるように)停止ストッパ59が支持手段41に対する固定部から外れ、支持手段41に対する閉鎖壁46の相対的な移動を可能にするブロック解除位置。
【0067】
図10a及び図10bに示したように、把持手段60は停止ストッパ59のブロック位置からブロック解除位置への移行を制御することができる。把持手段60は、例えば、閉鎖壁46の一角に位置し、例えば、ハンドル、特に停止ストッパ59の作動軸61に接続された回転ハンドルによって構成され得る。
【0068】
図9aおよび図9bに見られるように、ばね62などの弾性手段は、ブロック位置で停止ストッパ59を付勢する。ハンドル60が作動すると、作動軸61は停止ストッパ59を押し、したがって、この停止ストッパ59がばね62を圧縮して、そのハウジング内に入り、ブロック解除位置に移行して、支持手段41に対する閉鎖壁46の移動を可能にする。
【0069】
ハンドル60の静止位置での保持は、図10bに示されているように、特にロック装置45で使用されるものに類似したロックボール56’によって実現することが可能である。
【0070】
本発明による閉鎖装置40の使用について以下に説明する。通常の操作では、ロック装置45はロック状態にあるため、図3a、図3b、図4a、図4bに示されるように、ユーザは、閉鎖壁46を、スライドレール42に沿ってスライドすることができる支持手段41による閉鎖壁46の案内により、閉鎖壁46の収容位置または展開位置に対応する一方の極限位置から他方へ簡単に移動させることができる。
【0071】
緊急事態により航空機からの避難を必要とする場合、及び/または支持手段41がもはや適切に機能しなくなった場合、ユーザは、把持手段60を操作して、図9a及び図9bに示すように、停止ストッパ59をブロック位置からブロック解除位置に移動させることができる。これにより、支持手段41に対する閉鎖壁46の相対的な移動を可能にすることができる。
【0072】
そのとき、ユーザである乗客は、ハウジング47の内部に向かって閉鎖壁46に推進力F1を加えることができる。推進力F1が保持手段56の応力を超えると、パッド49の頭部がばねを圧縮し、したがって、保持手段56がそれらのハウジング内に後退して、支持手段41に対する閉鎖壁46の移動を可能にする。次いで、図7a、図7b、図8a及び図8bに示されるように、クリアランス区域53がパッド頭部49の正面になるまで閉鎖壁46を移動させることができる。
【0073】
次に、図7cに示すように、閉鎖壁46は支持手段41から接続解除され、重力によってハウジング47の底部に当接する。したがって、ロック装置45はロック解除状態にある。
【0074】
次に、ユーザは、閉鎖壁46を単独でハウジング47の底部に対してスライド方向Dに沿ってスライドさせて、ハウジング47の内部の収容位置に移動させることができる。
【0075】
有利には、ハウジング47の底部は低い摩擦係数を有するコーティング層63によって被覆されている。このコーティングは、例えば、滑らかな表面状態のテフロン(登録商標)、熱可塑性プラスチック、またはアルミニウム/ステンレス鋼で構成することができる。
【0076】
本発明は可逆的であり、すなわち、逆の操作により、閉鎖壁46を支持手段41に再度取り付けることが可能であることに留意されたい。したがって、ロック装置45をロック位置に再移行するために、クリアランス区域53はパッド49に対向する。次に、上方への鉛直運動に続いて、例えばハウジング47の外側に向かう、ライド方向Dに沿った運動によって、パッド49は保持区域57と協働するようになる。さらに、保持応力よりも大きな応力を加えることにより、パッド49が保持手段56の上を通過し、したがって、閉鎖壁46が支持手段41に固定される。そのとき、停止ストッパ59はブロック位置に戻ることができる。
【0077】
さらに、停止ストッパ59及び保持手段56は、互いに無関係に、使用することができる。したがって、別の実施形態では、停止ストッパ59の存在を排除することが可能である。あるいは、また、保持手段56を備えずに、停止ストッパ59のみを使用することも可能である。
【0078】
もちろん、本発明は、上記に記載した、単に例として提供した実施形態に限定されるものではない。それは、本発明の文脈において当業者によって考慮され得る様々な修正、代替形態、及び他の変形及び、特に、別々に、または組み合わせて採用し得る上記の異なる動作形態の任意の組み合わせを抱合するものである。
【符号の説明】
【0079】
11 座席配置
12 座席ユニット
21 主通路
37 通路
40 閉鎖装置
41 支持手段
42 スライドレール
45 ロック装置
46 閉鎖壁
49 パッド
51 保持区域
53 クリアランス区域
56 保持手段
59 停止ストッパ
60 把持手段
D スライド方向
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b