(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】溶媒も酸塩化物も使用せずにN-アシルアミノ酸を合成するための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 231/02 20060101AFI20220630BHJP
C07C 233/47 20060101ALI20220630BHJP
C07C 233/51 20060101ALI20220630BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20220630BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220630BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220630BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220630BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
C07C231/02
C07C233/47
C07C233/51
A61K8/44
A61Q19/00
A61Q5/02
A61Q19/10
A61K8/64
(21)【出願番号】P 2019562003
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 FR2018051074
(87)【国際公開番号】W WO2018206879
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-01-15
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ・ダコスタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ギルボット
(72)【発明者】
【氏名】エリック・プジョル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニ・ポメリー
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・サウナル
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/033255(WO,A1)
【文献】RONDEL C,SYNTHESIS AND PROPERTIES OF LIPOAMINO ACID-FATTY ACID MIXTURES: INFLUENCE OF THE 以下備考,JOURNAL OF SURFACTANTS AND DETERGENTS,ドイツ,SPRINGER,2009年08月,VOL:12, NR:3,PAGE(S):269 - 275,http://dx.doi.org/10.1007/s11743-009-1121-y,AMPHIPHILIC STRUCTURE
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 231/
C07C 233/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又は式(I)の化合物の混合物:
【化1】
(式(I)中:
- pは、4以上22以下の整数を表し、
- Yは、式(IIa)の2価の基:
【化2】
(式(IIa)中、R
3は、水素原子又はメチル基を表し、mは、1以上4以下の整数を表し、R
2は、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基から選択される基を表す)又は式(IIb)の2価の基:
【化3】
(式(IIb)中、R
4は、水素原子又はヒドロキシル基を表し、nは、1以上4以下の整数を表す)のいずれかを表し、
- Xは、メチル基、又はメチレン基(CH
2=)、又は式(III)の1価の基:
【化4】
(式(III)中、Y’は、上に定義した式(IIa)の2価の基又は上に定義した式(IIb)の2価の基のいずれかを表す)のいずれかを表し、Xが式(III)の基を表す場合、Y及びY’は同一であることが理解される)を調製するための方法であって、
前記方法は:
- ステップa):式(V)の脂肪酸:
【化5】
(式中、X及びpは、式(I)と同義である)又は式(V)の脂肪酸の混合物の温度を少なくとも100℃にする、ステップと;
- ステップb):式(I)に対応する式(I’)の化合物(式中、Y基は、式(IIa)に対応する(II’a)基(式中、mは1である)又は式(IIb)に対応する(II’b)基(式中、nは1である)のいずれかを表す)を、ステップa)で得られた加熱された前記脂肪酸又は加熱された前記脂肪酸の混合物上に注ぐことにより、混合物(M
0)を得、これを少なくとも100℃の温度に維持する、ステップと;
- ステップc):式(IVa):
【化6】
又は式(IVb):
【化7】
(式(IVa)及び(IVb)中、R
2基、R
3基、及びR
4基は、それぞれ、式(IIa)及び(IIb)と同義である)のアミノ酸を、ステップb)の結果として得られた混合物(M
0)上に、式(I’)の化合物対式(IVa)の化合物又は式(IVb)の化合物のモル比が、0.2/1以上0.5/1以下となるような量で注ぐことにより、混合物(M
1)を得、これを少なくとも100℃の温度に維持する、ステップであって、混合物(M
1)は、その質量100%当たり:
- 式(I’)の化合物を5質量%~40質量%と、
- 混合物(M
2)を60質量%~95質量%と、
を含み、前記混合物(M
2)は、前記混合物(M
2)100mol%当たり:
- 式(IVa)又は式(IVb)のいずれかのアミノ酸を50mol%~75mol%と、
- 式(V)の酸を25mol%~50mol%と、
を含む、ステップと;
- ステップd):ステップc)の結果として得られた前記混合物(M
1)を、機械的攪拌下に少なくとも100℃の温度で少なくとも30分間維持することにより、式(I)の化合物又は式(I)の化合物の混合物を含む混合物
(M
3
)を得る、ステップと;
- ステップe):前記式(I)の化合物又は前記式(I)の化合物の混合物を前記混合物
(M
3
)から単離する、ステップと;
を含む、方法。
【請求項2】
式(I)及び式(V)中、Xはメチル基を表し、pは5以上20以下の整数を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)及び式(V)中、1価の基X-(CH
2)
p-C(=O)は、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ココイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、及びドコサノイル基から選択される基を表すことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(オリゴ)ペプチド又はタンパク質の部分若しくは完全加水分解物のN-アシル誘導体を調製するための方法であって、溶媒の使用も酸塩化物の使用も含まず、使用する出発物質を高い転化率で転化する、新規な方法に関する。本発明はまた、局所用(for topical use)の化粧用組成物若しくは医薬組成物又は工業用洗浄剤組成物を調製するための、得られたアシル化物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
リポアミノ酸(LAA)としても知られるアミノ酸のN-アシル誘導体は、少なくとも1種のアミノ酸の残基又は(オリゴ)ペプチドの残基又はタンパク質の部分若しくは完全加水分解物の残基に由来する極性を有するヘッド部と、酸塩化物又はメチルエステルに由来する親油性を有する炭化水素系鎖とから構成されるアニオン性界面活性剤であり、それ自体は油脂化学により得られる。
【0003】
このようなアミノ酸、(オリゴ)ペプチド、又はタンパク質部分若しくは完全加水分解物のN-アシル誘導体は広く使用されており、まず第1に、化粧用組成物、例えば、シャワージェルやシャンプーを調製するために起泡性及び洗浄性を付与する成分として、又は見た目を損なう皮膚作用を防止若しくは矯正することを目的とした化粧用組成物を調製するために生物学的性質を付与する成分として使用されている。前記生物学的性質は、例えば、抗老化性、痩身性、引き締め性、脱色素性、又は着色促進性である。
【0004】
この種のアミノ酸、(オリゴ)ペプチド、又はタンパク質部分若しくは完全加水分解物のN-アシル誘導体を調製するために一般に使用される調製方法はショッテン・バウマン(Schotten-Baumann)反応として当業者に知られている。
【0005】
この種の方法は、例えば、米国特許第2,463,779号明細書及び米国特許第6,703,517号明細書、刊行物J.Am.Oil Chem.Soc.-78(1956)172、並びに国際公開第92/21318号パンフレット及び国際公開第94/26694号パンフレットの番号で公開されている国際特許出願に開示されている。
【0006】
このアシル化方法は、アミノ酸を塩にする予備ステップと、それに続く、アミノ酸塩を酸塩化物によりアシル化するステップと、得られたN-アシル塩を酸性化するステップと、を含む。
【0007】
第1ステップ(スキーム1参照)は、予め水又は水及び有機共溶媒の混合物に溶解しておいたアミノ酸を、無機塩基(通常、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液)で中和することから構成される。そうするとカルボキシル基はイオン化形態となり、したがってアミノ酸の水中への溶解度が向上する。この水溶液のpHは9.0~12.0の間にあるため、アミノ酸のアミン官能基は確実にプロトン化されない。
【0008】
【0009】
第2ステップ(スキーム2参照)が実際のアシル化ステップである。この段階においては、中和されたアミノ酸溶液に酸塩化物を室温でゆっくりと添加する。求核性を有するアミン基はカルボニル基の求電子性炭素を攻撃する。その結果として、2種の出発基質間にアミド結合が形成されると共に、塩酸も生成する。この酸は、無機塩基をゆっくりと添加することにより、その場で直接中和される(pHを約10.0に調整)。
【0010】
【0011】
この段階においては、酸塩化物が加水分解して石鹸となる副反応(スキーム3参照)も起こり得る。しかしこれは、アミノ酸をそのN-アシル誘導体へ十分な転化率で転化すると共に、それを効率的に単離するために、最小限に抑える必要がある。その理由は、石鹸含有量が過度に高くなると、反応媒体の相分離及び/又は臭気若しくは毒性の問題(例えば、C8及び11’鎖)が誘発される可能性があるためである。
【0012】
石鹸の生成を制御するための2つの主要な反応パラメータは:
i)反応段階の撹拌速度(これを最適化することにより、塩化物が媒体と接触する面積を改善することができる)、及び
ii)アミノ酸を溶解するステップの最中の、アシル化共溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、又はグリコールの任意的な添加、
である。
【0013】
こうして共溶媒を添加することにより、酸塩化物の反応媒体に対する親和性を高めることが可能になる。そのようにする場合、共溶媒と酸塩化物との反応に由来する新たな副反応物、例えば、副反応であるエステル化に由来する副生成物の生成を回避するか又は最小限に抑えるように、アシル化共溶媒をよく考えて選択しなければならない。
【0014】
【0015】
最終ステップは、生成したN-アシル誘導体を最終形態にする(place in form)仕上げステップから構成され、2種類の代替法が可能である。
i)第1の方法は、得られた反応媒体のpH値を約7に調整することから構成される。N-アシル誘導体は、追加の精製を行うことなくそのまま溶液として単離され、これは、アシル化物の塩、未反応のアミノ酸、及び任意の共溶媒を含む。したがってこれは、水溶液中で塩を形成した形態、より正確にはカルボン酸塩の形態にあり、純度は一般に50%未満である。
ii)第2の方法は、反応混合物を2付近のpH値に酸性化することによりN-アシル誘導体を析出させ、次いで数回の濾過及び洗浄操作を行うことから構成され、得られた媒体を最終乾燥させることにより完了する。したがってこの手順により、アシル化反応の最中に生成したあらゆる塩、任意のアシル化共溶媒、及びあらゆる未反応のアミノ酸を除去することが可能になる。この場合、N-アシル誘導体は、カルボン酸基を有する、塩を形成していない、固体形態、より具体的には微粉形態にあり、純度は80%を超える。
【0016】
前述のショッテン・バウマン法は、酸塩化物が求核性を有する化合物及び官能基(例えば、アミン官能基)に対する反応性が非常に高いことに起因する高い反応速度で、エネルギー、例えば熱エネルギーの供給を実質的に行わずに、主として水から構成される溶媒媒体中でN-アシル化反応を生じさせ、収率も高いという利点がある。
【0017】
それと引き替えに、この方法には、希釈された媒体中で反応が実施されるため生産性が低下すること;出発物質として使用される酸塩化物は、その有害性が知られている塩化チオニル又は三塩化リンが試薬として関与する反応により得られること;再利用が困難な有機共溶媒を使用すること;並びに多量の無機塩が生成し、したがって洗浄水の処理が必要となること;という欠点が含まれる。
【0018】
したがって、ショッテン・バウマン反応を利用する方法に替わる、アミノ酸のN-アシル誘導体を調製するためのより環境に優しい方法を探索することが当該技術分野において当面の技術的課題となっている。
【0019】
技術的解決策の中でも、アミノ酸を脂肪酸と反応させる直接アミド化反応を実施することから構成されるか、又はアミノ酸を脂肪酸エステル、例えば、メチルエステル又はエチルエステルと反応させることによるアミド交換反応を実施することから構成される、アミノ酸のN-アシル誘導体を調製するための方法が知られている。
【0020】
米国特許第3,836,551号明細書として公開されている米国特許には、カルボン酸基を有する化合物又はそのエステルと、少なくとも3個の炭素原子を有するアミノ酸とを、等モル量の塩基の存在下に、100℃~250℃の温度で反応させることによる、アミノ酸のN-アシル誘導体を調製するための方法が記載されている。
【0021】
刊行物“High temperature reactions of fats with amino acids”(J.Am.Oil Chem.Soc.,1975,52(5),pp.144-147)には、メチルエステル(例えば、ミリスチン酸メチル又はステアリン酸メチル)と様々なアミノ酸との反応を高温(150℃~200℃)下に実施することが記載されている。しかしながら、これらの反応には脱カルボキシル化反応及びそれに続くアミド化反応が伴い、それにより側鎖にアミノ酸を持つ脂肪酸アミドが形成され、したがって望ましくない構造になる。
【0022】
独国特許出願公開第4408957A1号明細書には、触媒、より具体的にはナトリウムメトキシドと、溶媒、より具体的にはメタノールとの混合物中に、サルコシンナトリウムを分散剤と一緒に懸濁させる中間ステップを導入することによる、メチルエステルからのN-アシルサルコシン塩の調製が記載されている。
【0023】
米国特許第5,710,295号明細書として公開されている米国特許には、カルボキシル基を有する脂肪酸とアミノ酸とを、100℃~200℃の温度で、水及び溶媒の混合物、より具体的には水及びイソプロパノールの混合物の存在下に反応させることによる、N-アシルアミノ酸を調製するための方法が記載されている。しかしながら、アルコール基を含む溶媒を使用すると、望ましくない副生成物としてエステルが生成する可能性が生じる。
【0024】
国際公開第2013/014238号パンフレット及び国際公開第2014/008103号パンフレットとして公開されている国際特許出願には、アミノ酸と、8~22個の炭素原子を有する脂肪酸のメチルエステル等のアルキルエステルとを、グリセロール又はプロピレングリコール等のポリオールの存在下に、特に、酸化カルシウム等の金属酸化物の存在下又はナトリウムメトキシドの存在下に反応させることによる、N-アシルアミノ酸を調製するための方法が開示されている。このような方法により、ほとんど着色していない反応生成物を得ることが可能になるが、この方法は、後段で除去しなければならない溶媒及び金属種の存在下に実施される。更に、溶媒媒体中にポリオールが存在すると、望ましくないエステルが形成される可能性がある。
【0025】
米国特許出願公開第2006/0239952号明細書として公開されている米国特許出願には、アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、又はトレオニンと、過剰量、特に1.5モル当量を超えるラウリン酸とを、アルカリ性物質の存在下に反応させ、多量の塩含有物質を生成することによる、ラウロイルアミノ酸等のN-アシルアミノ酸を調製するための方法が記載されている。この方法により、アミノ酸のN-アシル誘導体、特に、N-ラウロイルグルコン酸ナトリウム、N-ラウロイル(グリシルグリシン)ナトリウム、及びN-ラウロイル(グリシルグリシルグリシン)ナトリウム等のペプチド種の混合物を製造することができる。こうして生成した混合物は、ヒトの皮膚を清浄化するための組成物の調製に使用される。
【0026】
プロリンは、N-アシル誘導体の調製に非常によく使用されるアミノ酸である。その理由は、プロリンの前記N-アシル誘導体は、特に、化粧品、皮膚化粧品、及びヒト又は動物用医薬品産業において幾つかの可能な用途、例えば、精油等の疎水性分子を水に溶解させるための剤としての用途があることにある。
【0027】
こうした先行技術は、天然由来の脂肪酸又は脂肪酸エステルの使用を含むショッテン・バウマン反応を用いる方法に替わる、アミノ酸のN-アシル誘導体、特にプロリンのN-アシル誘導体を調製する方法を得るための代替的解決策が不十分であることを示している。その理由は、それらには必ず、触媒、特に、金属由来の触媒及び/若しくは有機溶媒が関与しており、その結果として、それらを除去及び/若しくは再利用するステップが伴うこと、並びに/又は後処理ステップが必要となるような量の塩化学種を生成するアルカリ性物質の使用が関与することにある。
【0028】
このような先行技術では、特に、天然の脂肪酸又は脂肪酸エステルを使用し、出発物質の高い転化率、特に、脂肪酸若しくは脂肪族エステル及び/又はプロリンの残留物含有量が低いことを特徴とする方法によりプロリンのN-アシル誘導体を得ることが可能にならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
したがって本発明者らは、既存の方法を、危険な有機溶媒を使用せず、皮膚を刺激する脂肪酸を高い転化率で転化させる、植物由来の出発物質を用いる方法に変えることを目的とする研究を背景として、本発明の主題である方法を発展させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0030】
第1の態様によれば、本発明は、式(I)の化合物又は式(I)の化合物の混合物:
【0031】
【0032】
(式(I)中:
- pは、4以上22以下の整数を表し、
- Yは、式(IIa)の2価の基:
【0033】
【0034】
(式(IIa)中、R3は、水素原子又はメチル基を表し、mは、1以上4以下の整数を表し、R2は、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基から選択される基を表す)又は式(IIb)の2価の基:
【0035】
【0036】
(式(IIb)中、R4は、水素原子又はヒドロキシル基を表し、nは、1以上4以下の整数を表す)のいずれかを表し、
- Xは、メチル基、又はメチレン基(CH2=)、又は式(III)の1価の基:
【0037】
【0038】
(式(III)中、Y’は、上に定義した式(IIa)の2価の基又は上に定義した式(IIb)の2価の基のいずれかを表す)のいずれかを表し、Xが式(III)の基を表す場合、Y及びY’は同一であることが理解される)を調製するための方法であって、
前記方法は:
- ステップa):式(V)の脂肪酸:
【0039】
【0040】
(式中、X及びpは、式(I)と同義である)又は式(V)の脂肪酸の混合物の温度を少なくとも100℃にする、ステップと;
- ステップb):式(I)に対応する式(I’)の化合物(式中、Y基は、式(IIa)に対応する(II’a)基(式中、mは1である)又は式(IIb)に対応する(II’b)基(式中、nは1である)のいずれかを表す)を、ステップa)で得られた加熱された脂肪酸又は加熱された脂肪酸の混合物上に注ぐことにより、混合物(M0)を得、これを少なくとも100℃の温度に維持する、ステップと;
【0041】
【0042】
又は式(IVb):
【0043】
【0044】
(式(IVa)及び(IVb)中、R2基、R3基、及びR4基は、それぞれ、式(IIa)及び(IIb)と同義である)のアミノ酸を、ステップb)の結果として得られた混合物(M0)上に、式(I’)の化合物対式(IVa)の化合物又は式(IVb)の化合物のモル比が、0.2/1以上0.5/1以下、より詳細には0.20/1~0.45/1の間、一層詳細には0.25/1~0.45/1の間となるような量で注ぐことにより;混合物(M1)を得、これを少なくとも100℃の温度に維持するステップであって
、混合物(M1)は、その質量100%当たり:
式(I’)の化合物を5質量%~40質量%と、
混合物(M2)を60質量%~95質量%と、
を含み、前記混合物(M2)は、前記混合物(M2)100mol%当たり:
-式(IVa)又は式(IVb)のいずれかのアミノ酸を50mol%~75mol%と、
-式(V)の酸を25mol%~50mol%と、
を含み;
式(I’)の化合物を5質量%~40質量%、より詳細には10質量%~40質量%、一層詳細には10質量%~30質量%と、
混合物(M2)を60質量%~95質量%、より詳細には60質量%~90質量%、一層詳細には70質量%~90質量%と、
を含み、(M2)は、前記混合物(M2)100mol%当たり:
- 式(IVa)又は式(IVb)のいずれかのアミノ酸を、50mol%~75mol%、より詳細には55mol%~75mol%、一層詳細には65mol%~75mol%と、
- 式(V)の酸を、25mol%~50mol%、より詳細には25mol%~45mol%、一層詳細には25mol%~35mol%と、を含む、ステップと;
- ステップd):ステップc)の結果として得られた前記混合物(M1)を機械的攪拌下に少なくとも100℃の温度で少なくとも30分間維持することにより;式(I)の化合物又は式(I)の化合物の混合物を含む混合物(M
3
)を得る、ステップと;
- ステップe):前記式(I)の化合物又は前記式(I)の化合物の混合物を前記混合物(M
3
)から単離する、ステップと;
を含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
上に定義した方法のステップa)~d)における「少なくとも100℃」という語は、温度が220℃に達し得ることを意味する。
【0046】
上に定義した方法の特定の実施形態による「少なくとも100℃」という語は、ステップa)~d)においては、130℃~220℃の間の温度、より詳細には140℃~200℃の間の温度、例えば140℃~180℃の間の温度を指す。
【0047】
上に定義した方法のステップd)における「少なくとも30分間」という語は、30時間までになり得る期間を指す。
【0048】
上に定義した方法のステップe)は、通常、分離目的の液体クロマトグラフィー、反復再結晶(successive recrystallization)、液固抽出、液液抽出、超臨界形態の抽出液を用いる抽出、又は超臨界状態の二酸化炭素を用いる抽出により実施される。
【0049】
特定の態様によれば、本発明の主題は、上に定義した方法であって、前記混合物(M0)中、式(II)の酸及び式(IVa)又は式(IVb)のアミノ酸のモル比は、0.3/1以上0.8/1以下、より詳細には、0.4/1以上0.8/1以下、一層詳細には、0.5/1以上0.8/1以下である。
【0050】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、Xがメチル基を表し、pが5以上20以下の整数を表すことを特徴とする、上に定義した方法である。
【0051】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)が、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ココイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、及びドコサノイル基から選択される基を表すことを特徴とする、上に定義した方法である。
【0052】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)が、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ココイル基、及びオクタデカノイル基から選択される基を表し、Yが、式(IIa)の2価の基(式中、R3は、水素原子又はメチル基、より詳細には水素原子を表し、mは、1以上4以下の整数を表し、R2は、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基、より詳細には水素原子を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0053】
この特定の態様によれば、反応温度は、好ましくは130℃~220℃の間にある。
【0054】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がオクタノイル基を表し、Yが、式(IIa)の2価の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上4以下の整数を表し、R2は水素原子を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0055】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がヘキサデカノイル基を表し、Yが、式(IIa)の2価の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上4以下の整数を表し、R2は水素原子を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0056】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がヘキサデカノイル基を表し、Yが、式(IIa)の2価の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上4以下の整数を表し、R2は1-メチルプロピル基を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0057】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がドデカノイル基を表し、Yが、式(IIa)の2価の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上4以下の整数を表し、R2はメチル基を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0058】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がココイル基を表し、Yが、式(IIa)の2価の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上4以下の整数を表し、R2はメチル基を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0059】
「ココイル基」という語は、100mol%当たり、オクタン酸を約11mol%、デカン酸を約9.5mol%、ラウリン酸を約51mol%、ミリスチン酸を約15.5mol%、パルミチン酸を約6.5mol%、ステアリング酸を約2mol%、オレイン酸を約3mol%、及びリノール酸を約1.5mol%含む、ヤシ核油(coconut kernel oil)の脂肪酸から誘導された基の混合物を指す。
【0060】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がドデカノイル基を表し、Yが、式(IIb)の2価の基(式中、R4は水素原子を表し、nは1以上4以下の整数を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0061】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がココイル基を表し、Yが、式(IIb)の2価の基(式中、R4は水素原子を表し、nは1以上4以下の整数を表す)を表す、上に定義した方法である。
【0062】
他の特定の態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基Xがメチレン基(CH2=)を表し、pが6以上の整数を表す、上に定義した方法である。
【0063】
他のより具体的な態様によれば、本発明の主題は、式(I)及び(V)において、1価の基Xがメチレン基(CH2=)を表し、pが9であり、Yが、式(IIa)の2価の基(式中、R3は水素原子を表し、R2はベンジル基を表す)を表す、上に定義した方法である。本発明の主題はまた、その質量100%当たり:
a)少なくとも1種の式(V)の化合物を5質量%~60質量%と:
b)少なくとも1種の式(I)の化合物を10質量%~94.9質量%と:
c)式(VIa)の化合物:
【0064】
【0065】
(式(VIa)中、R3は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基から選択される基を表し、sは、0以上3以下の整数を表す)又は式(VIb)の化合物:
【0066】
【0067】
(式(VIb)中、R4は、水素原子又はヒドロキシル基を表し、tは、0以上3以下の整数を表す)のいずれかの少なくとも1種を0.1質量%~30質量%と:
を含む組成物(C1)にもある。
【0068】
局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)は、その質量100%当たり:
- 請求項4に記載の組成物(C1)を0.1質量%~40質量%と、
- 化粧的に許容される媒体を60質量%~99.9質量%と、
を含む。
【0069】
より具体的な態様によれば、本発明の主題は:
- 式(I)及び(V)中、Xがメチル基を表し、pが6であり;
- 式(I)中、Yが式(IIa)の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上3以下の整数であり、R2は水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基である)を表し;
- 式(VIa)中、R’3が水素原子であり、sが0以上2以下の整数を表し、R’2が、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基であるか;或いは
- 式(I)及び(V)中、Xがメチル基を表し、pが10であり;
- 式(I)中、Yが式(IIa)の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上3以下の整数であり、R2は水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基である)を表し;
- 式(VIa)中、R’3が水素原子であり、sが0以上2以下の整数を表し、R’2が、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基であるか;或いは
- 式(I)及び(V)中、Xがメチル基を表し、pが14であり;
- 式(I)中、Yが式(IIa)の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上3以下の整数であり、R2は、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1 -メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基である)を表し;
- 式(VIa)中、R’3が水素原子であり、sが0以上2以下の整数を表し、R’2が、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基であるか;或いは
- 式(I)及び(V)中、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がココイル基を表し、
- 式(I)中、Yが式(IIa)の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上3以下の整数であり、R2は、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基である)を表し;
- 式(VIa)中、R’3が水素原子であり、sが0以上2以下の整数を表し、R’2が、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基であるか;或いは
- 式(I)及び(V)中、1価の基X-(CH2)p-C(=O)がココイル基を表し、
- 式(I)中、Yが式(IIa)の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上3以下の整数であり、R2は、水素原子又はメチル、イソプロピル、イソブチル、1-メチルプロピル、ベンジル、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基である)を表し;
- 式(VIa)中、R’3が水素原子であり、sが0以上2以下の整数を表し、R’2が、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基であるか;或いは
- 式(I)及び(V)中、Xがメチレン基(CH2=)を表し、pが9であり;
- 式(I)中、Yが式(IIa)の基(式中、R3は水素原子を表し、mは1以上3以下の整数であり、R2は、水素原子又はメチル、イソプロピル、イソブチル、1-メチルプロピル、ベンジル、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基である)を表し;
- 式(VIa)中、R’3が水素原子であり、sが0以上2以下の整数を表し、R’2が、水素原子又はメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、ベンジル基、及び3-アミノプロピル基からなる群から選択される基であるか;或いは
- 式(I)及び(V)中、Xがメチレン基(CH2=)を表し、pが9であり;
- 式(I)中、Yが式(IIb)の基(式中、R4は水素原子であり、nは1以上3以下の整数である)を表し;
- 式(VIb)中、R’4が水素原子であり、tが0以上2以下の整数を表す;
上に定義した組成物(C1)である。
【0070】
組成物(C1)を調製するための方法は、必要に応じて、又は所望により、中和、濾過、及び脱色操作によって完了することができる。
【0071】
本発明の主題はまた、その質量の100%当たり:
- 請求項9に記載の組成物(C1)を0.1質量%~40質量%と、
- 化粧的に許容される媒体を60質量%~99.9質量%と、
を含む、局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)にもある。
【0072】
上に定義した局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)の定義において用いられる「局所用」という語は、前記組成物が、直接適用される(化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、若しくは医薬組成物の場合)か、又は、間接的に適用される(例えば、布帛製若しくは紙製ワイプシート形態の身体を清潔にするための用品又は皮膚若しくは粘膜に接触させることを意図した衛生用品の場合)かに関わらず、皮膚、毛髪、頭皮、又は粘膜に適用することにより使用されることを意味する。
【0073】
局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)の定義に用いられる「化粧的に許容される」という語は、欧州経済共同体理事会指令(Council of the European Economic Community Directive)76/768/EEC(1976年7月27日付)(指令93/35/EEC(1993年6月14日付)により改正)に準拠し、人体の様々な部位(表皮、体毛及び頭髪系、爪、唇、並びに生殖器)又は歯及び口腔粘膜に対し、清浄化、芳香付け、外観の修正、及び/若しくは体臭の修正を行うか、並びに/又はこれらを保護するか、若しくはこれらを良好な状態に保つことを専らの又は主な目的として、これらと接触させることが意図されている任意の物質又は調製物を意味する。本発明の主題であるこれらの組成物の化粧的に許容される媒体は、従来、水、1種若しくは複数種の化粧的に許容される有機溶媒、又は水及び1種若しくは複数種の有機溶媒の混合物を含むことができる。化粧的に許容される溶媒は、より詳細には、多価アルコール、例えば、グリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、又は水溶性アルコールから選択することができる。
【0074】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)は、エアゾール器具に加圧された形態で包装することも、又は「ポンプ式ボトル」型の器具、穴の空いた隔壁(perforated wall)、例えば、格子(grille)を備えた器具、若しくは球状塗布体を備えた器具(「ロールオン」として知られる)に包装することもできる。ボトルに包装する場合、上に定義した本発明による組成物(C)は、機械的加圧装置又は噴射ガスを使用する器具により微細小滴形態で適用することができる。噴射剤の中でも、本発明による組成物(C)と組み合わせることができるものは、ヒドロフルオロ化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジフルオロエタン、イソブタン、ブタン、及びプロパンである。
【0075】
上に定義した局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)はまた、局所用製剤、特に、化粧用、皮膚化粧用、医薬、又は皮膚用医薬製剤の分野に慣用されている賦形剤及び/又は有効成分も含むことができる。
【0076】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)はまた、上に定義したように、起泡性及び/又は洗浄性界面活性剤、増粘性及び/又はゲル化性界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、皮膜形成化合物、溶媒及び共溶媒、ヒドロトロープ剤、可塑剤、不透明化剤、真珠光沢剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、酸化防止剤、香料、精油、防腐剤、コンディショニング剤、防臭剤、体毛及び皮膚を脱色することを意図とした脱色剤、皮膚又は毛髪に治療及び/又は保護作用をもたらすことを意図した活性剤、サンスクリーン剤、無機フィラー又は顔料、視覚効果を付与するか又は活性剤をカプセル化することを意図した粒子、角質除去粒子、質感付与剤(texture agent)、蛍光増白剤、並びに昆虫忌避剤から選択される1種又は複数種の補助化合物も含むことができる。
【0077】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性酸化防止剤の中でも、アスコルビン酸、グルタチオン、酒石酸、シュウ酸、及びグルタミン酸二酢酸四ナトリウムが挙げられる。
【0078】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性金属イオン封鎖剤の中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)塩、例えば、EDTAのナトリウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)塩、例えば、DTPAのナトリウム塩、及びアセチルグルタミン酸(一連のDissolvine製品)である。
【0079】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性色素の中でも、カラメル、Yellow 5、Acid Blue 9/Blue 1、Green 5、Green 3/ファストグリーンFCF 3、Orange 4、Red 4/Food Red 1、Yellow 6、Acid Red 33/Food Red 12、Red 40、コチニールカーマイン(CI 15850、CI 75470)、Ext.Violet 2、Red 6-7、フェロシアン化鉄、ウルトラマリン、Acid Yellow 3/Yellow 10、Acid Blue 3、Yellow 10が挙げられる。
【0080】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性褪色防止剤の中でも、クエン酸トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、及びベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾールが挙げられる。
【0081】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性界面活性剤の例として、この事業分野に慣用されている、局所用として許容される、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性の起泡性及び/又は洗浄性界面活性剤を挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる起泡性及び/又は洗浄性アニオン性界面活性剤の中でも、アルキルエーテル硫酸エステルの、アルキル硫酸エステルの、アルキルアミドエーテル硫酸エステルの、アルキルアリールポリエーテル硫酸エステルの、モノグリセリド硫酸エステルの、α-オレフィンスルホン酸の、パラフィンスルホン酸の、アルキルリン酸エステルの、アルキルエーテルリン酸エステルの、アルキルスルホン酸の、アルキルアミドスルホン酸の、アルキルアリールスルホン酸の、アルキルカルボン酸の、アルキルスルホコハク酸の、アルキルエーテルスルホコハク酸の、アルキルアミドスルホコハク酸の、アルキルスルホ酢酸の、アルキルサルコシンの、アシルイセチオン酸の、N-アシルタウリンの、アシル乳酸の、N-アシルアミノ酸誘導体の、N-アシルペプチド誘導体の、N-アシルタンパク質誘導体の、又は脂肪酸の、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩を挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性両性界面活性剤の中でも、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、アンホポリ酢酸塩(amphopolyacetate)、及びアンホプロピオン酸塩を挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性カチオン性界面活性剤の中でも、特に、第4級アンモニウム誘導体を挙げることができる。
【0082】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性非イオン性界面活性剤の中でも、より具体的には、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族基を含み、8~12個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド;ヒマシ油誘導体、ポリソルベート、ヤシ核油脂肪酸アミド、及びN-アルキルアミンを挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する質感付与剤の例として、N-アシルアミノ酸誘導体、例えば、Aminohope(登録商標)LLの名称で販売されているラウロイルリシン、Dryflo(登録商標)の名称で販売されているオクテニルコハク酸デンプン塩、Montanov(登録商標)14の名称で販売されているミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、絹雲母、雲母、及びパーライトを挙げることができる。
【0083】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する有効成分の例として、次に示すものが挙げられる:
- ビタミン類及びその誘導体、例えば、レチノール(ビタミンA)及びそのエステル(例えば、パルミチン酸レチニル)、アスコルビン酸(ビタミンC)の塩形態及びそのエステル、アスコルビン酸の糖誘導体(例えば、アスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えば、酢酸トコフェリル)、ビタミンB3又はB10(ナイアシンアミド及びその誘導体);皮膚の明色化又は脱色素作用を有する化合物、例えば、Sepiwhite(登録商標)MSH、アルブチン、麹酸、ヒドロキノン、Vegewhite(登録商標)、Gatuline(登録商標)、Synerlight(登録商標)、Biowhite(登録商標)、Phytolight(登録商標)、Dermalight(登録商標)、Clariskin(登録商標)、Melaslow(登録商標)、Dermawhite(登録商標)、Ethioline、Melarest(登録商標)、Gigawhite(登録商標)、Albatine(登録商標)、及びLumiskin(登録商標);
- 鎮静作用を有する化合物、例えば、Sepicalm(登録商標)S、アラントイン、及びビサボロール;
- 抗炎症剤;
- 保湿作用を有する化合物、例えば、ジグリセロール、トリグリセロール、尿素、ヒドロキシ尿素、グリセリルグルコシド、ジグリセリルグルコシド、ポリグリセリルグルコシド、エリスリルグルコシド(erythrityl glucoside)、ソルビチルグルコシド、キシリチルグルコシド、Aquaxyl(登録商標)のブランド名で販売されているキシリチルグルコシドを含む組成物、アンヒドロキシリトール、及びキシリトール;
- 痩身及び脂肪分解作用を有する化合物、例えば、カフェイン又はその誘導体、Adiposlim(登録商標)、及びAdipoless(登録商標);
- タンニン、ポリフェノール、及び/又はイソフラボンに富む植物抽出物、例えば、ブドウエキス、マツエキス、ワインエキス、オリーブ果実エキス;大豆種子エキス、例えば、Raffermine(登録商標);コムギ種子エキス、例えば、Tensine(登録商標)又はGliadine(登録商標);テルペンに富む植物抽出物;淡水又は海水藻類エキス;一般的な海洋抽出物(marine extracts in general)、例えば、サンゴ;
- 抗菌作用又は浄化作用を有する化合物、例えば、Lipacide(登録商標)C8G、Lipacide(登録商標)UG、Sepicontrol(登録商標)A5;Octopirox(登録商標)、又はSensiva(登録商標)SC50;
- 賦活性又は刺激性を有する化合物、例えば、Physiogenyl(登録商標)、パンテノール、及びその誘導体、例えば、Sepicap(登録商標)MP;
- 老化防止剤、例えば、Sepilift(登録商標)DPHP、Lipacide(登録商標)PVB、Sepivinol(登録商標)、Sepivital(登録商標)、Manoliva(登録商標)、Phyto-Age(登録商標)、Timecode(登録商標)、又はSurvicode(登録商標);
- 光老化防止剤;
- 細胞外基質成分の合成を促す活性剤、例えばコラーゲン、エラスチン、及びグリコサミノグリカン;
- 化学的細胞間コミュニケーション(chemical cellular communication)に有利に作用する活性剤、例えば、サイトカイン、又は物理的細胞間コミュニケーション(physical cellular communication)に有利に作用する活性剤、例えば、インテグリン;
- 皮膚に「熱」感を生じさせる活性剤、例えば、皮膚毛細管循環賦活剤(例えば、ニコチン酸誘導体)又は皮膚に「爽快」感を生じさせる生成物(例えば、メントール及びその誘導体);
- 皮膚の毛細管の循環を促す賦活剤、例えば、静脈圧亢進剤(venotonic agent);排出促進剤(draining active agent);うっ血除去剤、例えば、イチョウ、セイヨウキヅタ、セイヨウトチノキ、タケ、ナギイカダ属植物(ruscus)、ナギイカダ、ツボクサ、ヒバマタ属植物(fucus)、ローズマリー、又はヤナギの抽出物;
- 皮膚引き締め剤(skin-tautening agent)として作用する活性剤、例えば、植物タンパク質加水分解物、海産物の加水分解物、例えば、コンブ属植物抽出物の加水分解物、魚類の軟骨の加水分解物、海洋性エラスチン(marine elastin)、SEPPIC社からSesaflash(登録商標)のブランド名で販売されている製品、及び液体コラーゲン;
- 皮膚タンニング剤又は褐色化剤、例えば、ジヒドロキシアセトン、イサチン、アロキサン、又はニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、又はエリトルロース。
【0084】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する防臭剤の例として、アルカリ金属ケイ酸塩、亜鉛塩、例えば、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛、又は乳酸亜鉛;第4級アンモニウム塩、例えば、セチルトリメチルアンモニウム塩又はセチルピリジニウム塩;グリセロール誘導体、例えば、カプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、及びカプリン酸ポリグリセリル;1,2-デカンジオール、1,3-プロパンジオール;サリチル酸;炭酸水素ナトリウム;シクロデキストリン;金属ゼオライト;Triclosan(登録商標);水素化ホウ素アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウムナトリウム、アルミニウムクロロハイドレートとグリコールとの錯体、例えば、アルミニウムクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムセスキクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体、又はアルミニウムセスキクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体を挙げることができる。
【0085】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する増粘剤又はゲル化剤の例として、高分子電解質型の直鎖又は分岐又は架橋ポリマー、例えば、一部又は全部が塩形態にあるアクリル酸ホモポリマー、一部又は全部が塩形態にあるメタクリル酸ホモポリマー、一部又は全部が塩形態にある2-メチル-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、アクリル酸とAMPSとのコポリマー、アクリルアミドとAMPSとのコポリマー、ビニルピロリドンとAMPSとのコポリマー、AMPSとアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、AMPSとメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、AMPSとヒドロキシエチルアクリルアミドとのコポリマー、AMPSとN,N-ジメチルアクリルアミドとのコポリマー、AMPSとトリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドメタン(THAM)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とヒドロキシエチルアクリルアミドとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とTHAMとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とN,N-ジメチルアクリルアミドとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとTHAMとのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとN,Nジメチルアクリルアミドとのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとアクリルアミドのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸アルキルとのコポリマー、4~30個の炭素原子、より詳細には10~30個の炭素原子を含む炭素鎖、AMPSとアクリル酸アルキルとのコポリマー、4~30個の炭素原子、より詳細には10~30個の炭素原子を含む炭素鎖、遊離の、一部が塩形態の、又は全部が塩形態の強酸基を有する少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の中性モノマーと、少なくとも1種の式(VIII)のモノマー:
CH2=C(R’3)-C(=O)-[CH2-CH2-O]n-R’4(VIII)
(式中、R’3は、水素原子又はメチル基を表し、R’4は、8~30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル基を表し、nは、1以上50以下の数を表す)との直鎖、分岐、又は架橋ターポリマーを挙げることができる。
【0086】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる高分子電解質型の直鎖又は分岐又は架橋ポリマーは、溶液、水性懸濁液、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、粉末の形態で存在することができ、例えば、Simulgel(登録商標)EG、Simulgel(登録商標)EPG、Sepigel(登録商標)305、Simulgel(登録商標)600、Simulgel(登録商標)NS、Simulgel(登録商標)INS 100、Simulgel(登録商標)FL、Simulgel(登録商標)A、Simulgel(登録商標)SMS 88、Sepinov(登録商標)EMT 10、Sepiplus(登録商標)400、Sepiplus(登録商標)265、Sepiplus(登録商標)S、Sepimax(登録商標)Zen、Aristoflex(登録商標)AVC、Aristoflex(登録商標)AVS、Novemer(登録商標)EC-1、Novemer(登録商標)EC 2、Aristoflex(登録商標)HMB、Cosmedia(登録商標)SP、Flocare(登録商標)ET 25、Flocare(登録商標)ET 75、Flocare(登録商標)ET 26、Flocare(登録商標)ET 30、Flocare(登録商標)ET 58、Flocare(登録商標)PSD 30、Viscolam(登録商標)AT 64、及びViscolam(登録商標)AT 100の名称で販売されている製品;糖類のみから構成される多糖類、例えば、グルカン又はグルコースホモポリマー、グルコマンノグルカン(glucomannoglucan)、キシログルカン、D-マンノース主鎖上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)が0~1の間、より詳細には1~0.25の間にあるガラクトマンナン、例えば、カシアガム(DS=1/5)由来、ローカストビーンガム(DS=1/4)由来、タラガム(DS=1/3)由来、グアーガム(DS=1/2)由来、又はフェヌグリークガム(DS=1)由来のガラクトマンナン;糖誘導体から構成される多糖、例えば、硫酸化ガラクタン、より具体的には、カラギーナン及び寒天、ウロナン(uronan)、より具体的には、アルギン、アルギン酸塩、及びペクチン、単糖及びウロン酸のヘテロポリマー、より具体的には、キサンタンガム、ゲランガム、アラビアゴムの滲出液、カラヤゴムの滲出液、グルコサミノグリカン;セルロース、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ケイ酸塩、デンプン、親水性デンプン誘導体、ポリウレタンが挙げられる。
【0087】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に存在することができる油の例として、鉱油(例えば、パラフィン油、流動ワセリン、イソパラフィン、又は流動パラフィン);動物性油(例えば、スクワレン又はスクワラン);植物性油(例えば、植物性スクワラン、アーモンド油、ヤシ核油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、菜種油、落花生油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、月見草油、キビ油、オオムギ油、ライムギ油、紅花油、ククイ油、トケイソウ油、ヘーゼルナッツ油、パーム油、シア脂、杏仁油、コリアンダー種子油、ブナの実油、テリハボク油(beauty-leaf oil)、シシンブリウム油(sisymbrium oil)、アボカド油、トウキンセンカ花油、花由来又は可食部由来の油、植物油のエトキシル化物);合成油、例えば、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸ドデシル、ラウリン酸ヘキシル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ラノリン脂肪酸由来エステル(例えば、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソセチル)、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド(例えば、トリヘプタン酸グリセリル)、安息香酸アルキル)、硬化油、ポリ(α-オレフィン)、ポリオレフィン(例えば、ポリ(イソブタン))、合成イソアルカン(例えば、イソヘキサドデカン、イソドデカン)、過フッ素化油;シリコーン油(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミン変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコール及び脂肪酸で変性されたシリコーン、ポリエーテル基変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素基変性シリコーン、環状シリコーン、並びにアルキル基変性シリコーン)を挙げることができる。本特許出願における「油」という語は、水に不溶であり、25℃の温度で液体の外観を呈する化合物及び/又は化合物の混合物を意味する。
【0088】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に存在することができるロウの例としては、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オウリキュリー(ouricury)ロウ、木ロウ、コルク繊維ロウ(cork fiber wax)、サトウキビロウ、パラフィンロウ、リグナイトワックス、マイクロクリスタリンワックス、羊毛ロウ;オゾケライト;ポリエチレンワックス;シリコーンワックス;植物性ロウ;室温で固体の脂肪族アルコール及び脂肪酸;室温で固体のグリセリドを挙げることができる。本特許出願における「ロウ/ワックス」という語は、45℃以上の温度で固体の外観を呈する水に不溶な化合物及び/又は化合物の混合物を意味する。
【0089】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる乳化性非イオン性界面活性剤の例として、ソルビトールの脂肪酸エステル(例えば、Montane(登録商標)40、Montane(登録商標)60、Montane(登録商標)70、Montane(登録商標)80、及びMontane(登録商標)85の名称で販売されている製品);ステアリン酸グリセリルと5mol~150molのエチレンオキシドでエトキシル化されたステアリン酸とを含む組成物(例えば、Simulsol(登録商標) 165の名称で販売されている、135molのエチレンオキシドでエトキシルル化されたステアリン酸及びステアリン酸グリセリルを含む組成物);マンニタンエステル、エトキシル化マンニタンエステル;ショ糖エステル;メチルグルコースエステル;14~36個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族基を有するアルキルポリグリコシド(例えば、テトラデシルポリグルコシド、ヘキサデシルポリグルコシド、オクタデシルポリグルコシド、ヘキサデシルポリキシロシド、オクタデシルポリキシロシド、エイコシルポリグルコシド、ドデコシルポリグルコシド、(2-オクチルドデシル)ポリキシロシド、(12-ヒドロキシステアリル)ポリグルコシド);14~36個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族アルコール及び上述のアルキルポリグリコシドの組成物(例えば、Montanov(登録商標)68、Montanov(登録商標)14、Montanov(登録商標)82、Montanov(登録商標)202、Montanov(登録商標)S、Montanov(登録商標)WO18、Montanov(登録商標)L、Fluidanov(登録商標)20X、及びEasynov(登録商標)のブランド名で販売されている組成物)を挙げることができる。
【0090】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に存在することができる、日光の紫外線から保護するための剤としては、顔料、有機サンスクリーン剤、及び無機サンスクリーン剤が挙げられる。
【0091】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に存在することができる、日光の紫外線から保護するための剤として使用される顔料としては、例えば、二酸化チタン、褐色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、若しくは赤色酸化鉄、又は白色若しくは有色のチタン雲母等の真珠光沢顔料が挙げられる。
【0092】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に存在することができる、日光の紫外線から保護するための有機サンスクリーン剤として、例えば:
- 安息香酸誘導体の群、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、特に、PABAのモノグリセリルエステル、N,N-プロポキシPABAのエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAのエチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのエチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのメチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのブチルエステル;
- アントラニル酸誘導体の群、例えば、N-アセチルアントラニル酸ホモメンチル;
- サリチル酸誘導体の群、例えば、サリチル酸アミル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p-イソプロパノールフェニル(p-isopropanolphenyl salicylate);
- ケイヒ酸誘導体の群、例えば、ケイヒ酸エチルヘキシル、4-イソプロピルケイヒ酸エチル、2,5-ジイソプロピルケイヒ酸メチル、p-メトキシケイヒ酸プロピル、p-メトキシケイヒ酸イソプロピル、p-メトキシケイヒ酸イソアミル、p-メトキシケイヒ酸オクチル(p-メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル)、p-メトキシケイヒ酸2-エトキシエチル、p-メトキシケイヒ酸シクロヘキシル、α-シアノ-β-フェニルケイヒ酸エチル、α-シアノ-β-フェニルケイヒ酸2-エチルヘキシル、ジ(パラ-メトキシケイヒ酸)モノ(2-エチルヘキサノイル)グリセリル;
- ベンゾフェノン誘導体の群、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニルベンゾフェノン-2-カルボン酸塩、2-ヒドロキシ 4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-(ベンジリデン)-d,l-カンファー、カンファーメト硫酸ベンザルコニウム;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル;
- スルホン酸誘導体の群、例えば、2-フェニルベンズイミダゾール-5スルホン酸及びその塩;トリアジン誘導体の群、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルオキシヒドロキシフェニル-4-メトキシフェニルトリアジン、安息香酸2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、4,4-((6-(((1,1-ジメチルエチル)アミノ)カルボニル)フェニル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイルジイミノ)ビス(2-エチルヘキシル)エステル、2-フェニル-5-メチルベンゾオキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール);ジベンザジン(dibenzazine);ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4”-t-ブチルベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン;2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル;アクリル酸ジフェニル誘導体の群、例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノアート、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノアート;
- ポリシロキサンの群、例えば、ベンジリデンシロキサンマロネート(benzylidene siloxane malonate);
が挙げられる。
【0093】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に存在することができる、日光の紫外線から保護するための剤として使用される無機サンスクリーン剤は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、黄色、赤色、又は黒色酸化鉄、及び酸化クロムである。無機スクリーン剤は、微粉化されていてもいなくてもよく、表面処理されていてもいなくてもよく、任意選択で水中又は油中予備分散液の形態で存在してもよい。
【0094】
以下に示す実施例は本発明を説明するものであって、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0095】
実施例1:本発明組成物(C1A)の調製
オクタン酸87.4g(即ち、0.8モル当量)を、冷却液を含むジャケットと、インペラー型又はアンカー型の撹拌棒を備えた機械的攪拌機構と、排水機構とを備えた反応器に導入する。温度を120℃にし、オクタン酸を均質化するために5分間の攪拌を開始する。次いでLipacide(登録商標)C8Gのブランド名で販売されているオクタノイルグリシン64.1g(即ち、0.42モル当量)を混合物に加え、120℃の温度で20分間均質化する。次いでグリシン56.4g(即ち、1モル当量)を加え、この混合物を400mbarの部分真空中155℃の温度で4時間30分維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、排出し、次いで得られた組成物(C1A)を分析により特性評価する。
【0096】
実施例2:本発明組成物(C1B)の調製
前記オクタン酸0.8モル当量に替えてオクタン酸を0.5モル当量とし、オクタノイルグリシン0.42モル当量に替えて同化合物を0.31モル当量として、実施例1に記載した方法の手順を実施することにより組成物(C1B)を得、分析によりその特性も決定する。
【0097】
比較例1:比較組成物(C’1)の調製
Lipacide(登録商標)C8Gのブランド名で販売されているオクタノイルグリシンを使用もせず関与もさせないことを除いて、実施例1に記載した方法を実施する。反応は認められず、媒体は固化する。こうして得られた組成物(C’1)はオクタン酸及びグリシンの混合物から構成される。
【0098】
実施例3:本発明組成物(C1C)の調製
オクタン酸0.8モル当量に替えて11-ウンデセン酸を0.7モル当量とし、グリシンのモル当量に替えてフェニルアラニンを1モル当量とし、オクタノイルグリシン0.42モル当量に替えてSepiwhite(登録商標)MSHのブランド名で販売されているウンデシレノイルフェニルアラニンを0.36モル当量とし、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0099】
次いでこの混合物を400~250mbarの部分真空中155℃の温度で17時間30分維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、排出し、次いで得られた組成物(C1C)を分析により特性評価する。
【0100】
実施例4:本発明組成物(C1D)の調製
11-ウンデセン酸0.7モル当量に替えて前記11-ウンデセン酸を0.5モル当量とし、ウンデシレノイルフェニルアラニン0.36モル当量に替えて同酸を0.33モル当量として実施例3に記載した方法の手順を実施し、反応混合物を220ミリバールの部分真空中155℃の温度で14時間維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、排出し、次いで得られた組成物(C1D)を分析により特性評価する。
【0101】
比較例2:比較組成物(C’2)の調製
Sepiwhite(登録商標)MSHのブランド名で販売されているウンデシレノイルフェニルアラニンを使用もせず関与もさせないことを除いて、実施例3に記載する方法の手順を実施する。反応は認められず、媒体は固化する。したがって比較組成物(C’2)は、ウンデセン酸及びフェニルアラニンの混合物から構成される。
【0102】
実施例5:本発明組成物(C1E)の調製
オクタン酸0.8モル当量に替えてパルミチン酸を0.6モル当量とし、グリシンのモル当量に替えてイソロイシンを1モル当量とし、オクタノイルグリシン0.42モル当量に替えてVoluform(登録商標)のブランド名で販売されているパルミトイルイソロイシンを0.33モル当量(即ち、40.5gの量)として、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0103】
次いでこの混合物を、400mbarの部分真空中155℃の温度で12時間30分維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、排出し、次いで得られた組成物(C1E)を分析により特性評価する。
【0104】
実施例6:本発明組成物(C1F)の調製
オクタン酸0.8モル当量に替えてヤシ核油脂肪酸を0.6モル当量とし、グリシンのモル当量に替えてプロリンを1モル当量とし、オクタノイルグリシン0.42モル当量に替えてSepiclear(登録商標)のブランド名で販売されているココイルプロリンを0.34モル当量として、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0105】
次いでこの混合物を、350mbarの部分真空中155℃の温度で12時間維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、排出し、次いで得られた組成物(C1F)を分析により特性評価する。
【0106】
実施例7:本発明組成物(C1G)の調製
オクタン酸0.8モル当量に替えてヤシ核油脂肪酸を0.4モル当量とし、グリシンのモル当量に替えてアラニンを1モル当量とし、オクタノイルグリシン0.42モル当量に替えてブランド名Survicode(登録商標)で販売されているココイルアラニンを0.26モル当量として、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0107】
次いでこの混合物を、660mbarの部分真空中155℃の温度で14時間維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、排出し、次いで得られた組成物(C1G)を分析により特性評価する。
【0108】
組成物(C1A)、(C1B)、(C1C)、(C1D)、(C1E)、(C1F)、及び(C1G)の分析による特性評価
本発明による方法を実施することにより得られた組成物(C1A)、(C1B)、(C1C)、(C1D)、(C1E)、(C1F)、及び(C1G)を、外観の目視評価、酸価の測定、及び脂肪酸(上に定義した式(V)の化合物)、残留アミノ酸(上に定義した式(VIa)の化合物(式中、sは0)又は上に定義した式(VIb)の化合物(式中、tは0))、ジアミノ酸(上に定義した式(VIa)の化合物(式中、sは1)又は上に定義した式(VIb)の化合物(式中、tは1))、及びトリアミノ酸(上に定義した式(VIa)の化合物(式中、sは2)又は上に定義した式(VIb)の化合物(式中、tは2))、N-アシル誘導体(上に定義した式(I)の化合物(式(IIa)中、Xはメチル基又はメチレン基を表し、mは1であるか、又は式(IIb)中、nmは1である))、N-アシルジペプチド誘導体(上に定義した式(I)の化合物(式(IIa)中、Xはメチル基又はメチレン基を表し、mは2であるか、又は式(IIb)中、nmは2である))、N-アシルトリペプチド誘導体(上に定義した式(I)の化合物(式(IIa)中、Xはメチル基又はメチレン基を表し、mは3であるか、又は式(IIb)中、nmは3である))の質量による含有量を測定することにより特性評価を行う。これらの構成成分を、注入機構、データ取得システムを備えた水素炎イオン化検出器、及びCP Simdist Ultimetalカラム(100%メチルシロキサン 10m×内径0.53mm、膜厚0.53μm)を取り付けたクロマトグラフにて、キャリアガスとしてヘリウムを使用し、ガスクロマトグラフィーを行うことにより確認する。
【0109】
得られた結果を次の表にまとめる。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
本発明による方法を実施することにより得られた組成物(C1A)、(C1B)、(C1C)、(C1D)、(C1E)、(C1F)、及び(CY1G)を分析により特性評価したところ、各組成物について式(I)の化合物の質量による含有量が増加しており、一方、先行技術による方法、即ち初期量の式(I)の化合物を使用しない方法では、アミノ酸をN-アシル化反応させることができない。