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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】温度センサおよび調理機器
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/143 20210101AFI20220630BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20220630BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20220630BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20220630BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20220630BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G01K1/143
G01K1/14 L
G01K7/22 Q
G01K7/22 C
H01H36/00 302Z
H05B6/12 315
F24C3/12 X
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020180399
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071435
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000145242
【氏名又は名称】株式会社芝浦電子
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】榎本 雅一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔平
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-060415(JP,U)
【文献】実開平07-042488(JP,U)
【文献】特開平10-179379(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121392(WO,A1)
【文献】実開昭59-134029(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104296187(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
A47J 27/00-27/13
27/20-29/06
33/00-36/42
F24C 3/00- 3/14
H05B 6/12
H01H 36/00-36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の有無および温度を検出するための温度センサであって、
前記測定対象の温度を検出する感熱体と、前記感熱体と電気的に繋がる一対の電線と、
を備える感熱部と、
前記感熱部の移動に応じて前記測定対象の有無を検出する検出部と、を有し、
前記検出部は、
周囲に対して磁界を発生させる磁界発生体と、
前記磁界発生体からの前記磁界の及ぶ領域と前記磁界の及ばない領域との間を移動する
磁界検出素子と、を備え、
前記磁界検出素子は、
一対の前記電線と電気的に接続するための一対のリード線を備えるとともに、一対の前
記リード線と一対の前記電線とのそれぞれの接続部が、一対の前記電線が延びる方向の異
なる位置に設けられている、
ことを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
前記磁界検出素子は、
前記感熱部の一対の前記電線に跨って電気的に接続され、かつ、一対の前記電線に挟み
込まれている、
請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記磁界検出素子が前記磁界の及ぶ領域にあれば、
前記磁界検出素子が電気的に通じることで、前記磁界検出素子が一対の前記電線を短絡
させ、
前記磁界検出素子が前記磁界の及ばない領域にあれば、
前記磁界検出素子が電気的に通じないことで、一対の前記電線が前記感熱体を介した電
気的な導通状態をなす、
請求項1または請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
対象機器に位置が固定され、一対の前記電線を内部に収容する、非磁性体からなる保護
管と、前記感熱体を支持するとともに前記保護管に対して前記保護管の軸線方向に移動可
能に設けられる可動体と、を有する保持部を備え、
一対の前記電線と前記磁界検出素子は、
前記保護管の内部に収容される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記保護管の内側に、前記保護管に摺動するように設けられ、
一対の前記電線と前記磁界検出素子を内部に収容する素子収容体を備える、
請求項4に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記磁界発生体は、
前記保護管の所定位置に固定され、
前記磁界検出素子は、
前記磁界発生体からの磁界の及ぶ領域と、前記磁界発生体からの磁界の及ばない領域と、の間を移動する、
請求項に記載の温度センサ。
【請求項7】
測定対象の有無および温度を検出するための温度センサであって、
前記測定対象の温度を検出する感熱体と、前記感熱体と電気的に繋がる一対の電線と、
を備える感熱部と、
前記感熱部の移動に応じて前記測定対象の有無を検出する検出部と、を有し、
前記検出部は、
周囲に対して磁界を発生させる磁界発生体と、
前記磁界発生体からの前記磁界の及ぶ領域と前記磁界の及ばない領域との間を移動する
磁界検出素子と、
対象機器に位置が固定され、一対の前記電線を内部に収容する、非磁性体からなる保護
管と、前記感熱体を支持するとともに前記保護管に対して前記保護管の軸線方向に移動可
能に設けられる可動体と、を有する保持部と、
前記保護管の内側に、前記保護管に摺動するように設けられ、一対の前記電線と前記磁
界検出素子を内部に収容する素子収容体と、を備え、
前記磁界検出素子は、前記感熱部の一対の前記電線に電気的に接続される、
ことを特徴とする温度センサ。
【請求項8】
一対の前記電線および前記磁界検出素子は、前記素子収容体の内部に支持されており、
前記素子収容体と一対の前記電線および前記磁界検出素子とは同期して昇降する、
請求項7に記載の温度センサ。
【請求項9】
測定対象の有無および温度を検出するための温度センサを備える調理機器であって、
前記温度センサは、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の温度センサである、
ことを特徴とする調理機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定対象との接触状態を維持するための可動体を有する温度センサに関し、一例として、加熱される調理器の底面に接触して調理器の温度を測定する温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスコンロ、電気炊飯器などの調理機器には、温度センサが設けられている。この温度センサは、例えば鍋、フライパンなどの調理器の底面に接触して、これらの調理器の温度を測定するためのもので、調理器の底面に接する集熱体が上下方向に往復移動ができるように設けられる。この集熱体にはコイルばねにより弾性力が上方に向けて加えられている。この集熱体には感熱素子として例えばサーミスタ素子が接触または近接して設けられており、この集熱体から伝達される熱をサーミスタ素子が受けることにより調理器の温度を測定する。なお、ここでいうサーミスタ素子とは、感熱体としてのサーミスタとサーミスタに電気的に接続されるリード線とを含むものとする。
【0003】
この温度センサは、例えばガスコンロの場合には五徳の中央領域に設けられ、この五徳に調理器が載せられると調理器が集熱体に接触して集熱体を押し下げる。集熱体には、上方に向けて弾性力が加えられているので、調理の最中は弾性力により調理器と集熱体の接触状態が維持される。調理が終了して調理器が五徳から持ち上げられると、集熱体は当初の位置まで弾性力により押し上げられる。このように、この種の温度センサは往復移動する可動体としての集熱体を有している。
【0004】
これらの温度センサは、例えば特許文献1に開示されるように、鍋、釜などの調理器の底面に接触しているか否かを検出する測定対象の検出機能を備えている。この温度測定対象である調理器の検出は、永久磁石から生じる磁界を検出することで行われる。一例として、特許文献1は永久磁石(硬質磁性体)とリードスイッチとの間を往復移動する軟質磁性体を設ける。軟質磁性体が永久磁石とリードスイッチの間に置かれていると、永久磁石からの磁界が軟質磁性体の内部を通過することで、リードスイッチが磁界を受けないので、測定対象である調理器が存在しないものと判断できる。一方、軟質磁性体が永久磁石とリードスイッチの間から抜け出ると、リードスイッチが磁界を受けることで、調理器の存在を検出できる。この軟質磁性体は、可動体である前述した集熱体が往復移動するのに連動して往復移動するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2020/121392号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上説明した物体検出機能付きの温度センサは、長期にわたって測定対象の検出機能を担保する必要がある。そこで、本発明は長期にわたって測定対象検出機能を担保できる温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明に係る測定対象の有無および温度を検出するための温度センサは、記測定対象の温度を検出する感熱体と、感熱体と電気的に繋がる一対の電線と、を備える感熱部と、感熱部の移動に応じて測定対象の有無を検出する検出部と、を有する。
本発明における検出部は、周囲に対して磁界を発生させる磁界発生体と、磁界発生体からの磁界の及ぶ領域と磁界の及ばない領域との間を移動する磁界検出素子と、を備える。
磁界検出素子は、感熱部の一対の電線に電気的に接続される。
【0008】
本発明における磁界検出素子は、好ましくは、一対の電線に跨って接続される。
この温度センサは、磁界検出素子が磁界の及ぶ領域にあれば、磁界検出素子が電気的に通じることで、磁界検出素子が一対の電線を短絡させる。
また、磁界検出素子が磁界の及ばない領域にあれば、磁界検出素子が電気的に通じないことで、一対の電線が感熱体を介した電気的な導通状態をなす。
【0009】
本発明における磁界検出素子は、好ましくは、一対の電線の一方に直列に接続される。
この温度センサは、磁界検出素子が磁界の及ばない領域にあれば、一方の電線は導通状態が解かれる。
また、磁界検出素子が磁界の及ぶ領域にあれば、磁界検出素子が電気的に通じることで、一方の電線は磁界検出素子を介して電気的な導通状態をなす。
【0010】
本発明における温度センサは、好ましくは、対象機器に位置が固定され、一対の電線を内部に収容する、非磁性体からなる保護管と、感熱体を支持するとともに保護管に対して保護管の軸線方行に移動可能に設けられる可動体と、を有する保持部を備える。一対の電線と磁界検出素子は、保護管の内部に収容される。
【0011】
本発明における温度センサは、好ましくは、保護管の内側に、保護管に摺動するように設けられ、一対の電線と磁界検出素子を内部に収容する素子収容体を備える。
【0012】
本発明における温度センサは、好ましくは、磁界発生体は、保護管の所定位置に固定され、磁界検出素子は、磁界発生体からの磁界の及ぶ領域と、磁界発生体からの磁界の及ばない領域と、の間を移動する。
【0013】
本発明は、測定対象の有無および温度を検出するための温度センサを備える調理機器は、以上のいずれかの温度センサを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の温度センサは、永久磁石からの磁界がリードスイッチに到達するのを遮る軟質磁性体を用いることなく、検出部が構成される。したがって、本発明によれば、軟質磁性体の磁気特性の劣化による測定対象検出機能の逸失がないので、軟質磁性体を用いる温度センサに比べて、長期にわたり測定対象検出機能を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る温度センサを示し、(a)は側面図、(b)縦断面図である。
図2】本実施形態に係る温度センサの感熱素子を示す図である。
図3】本実施形態に係る温度センサの検出部を示す縦断面図である。
図4】本実施形態に係る温度センサの可動体の動作を示し、(a)は調理器が載っていない無負荷のときの位置(非搭載位置)を示し、(b)は調理器が載っているために可動体が移動したときの位置(搭載位置)を示している。
図5】本実施形態の検出部を示し、(a)は調理器が載っておらず、永久磁石に対向する位置にリードスイッチがある磁気検出位置を示し、(b)は調理器が載せられており、永久磁石からリードスイッチが離れた磁界非検出位置を示している。
図6】本実施形態の磁界検出器における検査電流の流れを網掛けで示す図であり、(a)は磁界照射位置に対応する図、(b)は磁界非照射位置に対応する図である。
図7】本実施形態の変形例に係る温度センサの検出部を示す縦断面図である。
図8】変形例の検出部を示し、(a)は調理器が載っておらず、永久磁石からリードスイッチが離れた磁界非検出位置を示し、(b)は調理器が載せられており、永久磁石に対向する位置にリードスイッチがある磁気検出位置を示している。
図9】本実施形態による温度センサを備えるガスコンロの要部を示す図である。
図10】本実施形態による温度センサを備える炊飯器の要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る温度センサ1は、永久磁石からの磁界を検出する磁界検出器が、磁界を受ける位置(磁界照射位置)と、磁界を受けない位置(磁界非照射位置)と、往復移動する。温度センサ1は、磁界非照射位置において永久磁石からの磁界を遮る軟質磁性体を用いていない。
【0017】
[温度センサ1の全体構成:図1図3図9
温度センサ1は、一例として、図9に示すように、調理機器としてのガスコンロ100において、鍋などの調理器107の底面108に接触してその温度を検出する。温度センサ1は、調理器107が載せられる五徳106,106の間の中央またはその近傍する位置に設けられる。
温度センサ1は、図1および図3に示すように、温度検出の主たる要素である感熱素子10と、感熱素子10のリード線13と電気的に接続される継線30と、感熱素子10を保持するセンサ保持体40と、を備えている。そして、図9に示すように、温度センサ1は、後述する集熱体42の接触面42Aが五徳106,106の上方(U)の端部よりも上方(U)の側へ突出するように、保護管51を介してガスコンロ100に取り付けられている。
以下、温度センサ1の各構成要素を順に説明し、その後に温度センサ1の動作を説明する。
【0018】
[感熱素子10:図2
感熱素子10は、図2に示すように、感熱体11と、感熱体11の対向する二面(図中の左右)のそれぞれに形成される電極12,12と、電極12,12を介して感熱体11に電気的に接続される一対のリード線13,13と、感熱体11を封止する保護層16とを備えている。
【0019】
感熱体11は、温度変化によって電気抵抗値が変化する特性を有する金属酸化物または金属が用いられる。感熱体11に一対のリード線13,13を介して一定の電流を流し、測定器で感熱体11の電極12,12の間の電圧を測定し、オームの法則(E=IR)から抵抗値を求め、温度を検出する。
金属酸化物としてはサーミスタ(Thermistor:Thermally Sensitive Resistor)が好適に用いられ、典型的には負の温度係数を有するNTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)が用いられる。金属としては白金(例えば、Pt100;JIS-C1604)が好適に用いられる。
【0020】
電極12は、感熱体11とリード線13を電気的に接続するものであり、好ましくは金、白金などの貴金属で構成される。
リード線13は感熱体11に一定の電流を流す導線であり、芯線14と、芯線14を覆う絶縁被覆15と、からなる。芯線14には電気伝導度の高い金属材料、典型的には銅が用いられる。リード線13の芯線14は単線からなる。
【0021】
保護層16としてガラスが用いられる場合には、芯線14にはジュメット線(Dumet Wire)が好適に用いられる。ジュメット線とは、鉄-ニッケル合金からなる内層と銅からなる外層とをクラッドした複合線をいう。内層を構成する鉄-ニッケル合金の線膨張係数がガラスに近似する。したがって、保護層16がガラスからなる場合であっても、ジュメット線を用いることにより芯線14の熱膨張による保護層16の破損が防止される。
絶縁被覆15は、芯線14の外周面を覆う絶縁体である。
リード線13は感熱体11に一定の電流を流す電線である点で後述する継線30と同じ役割を有するが、感熱体11に直接的に接続される電線をリード線13と称し、リード線13を介して感熱体11に間接的に接続される電線を継線30と区別する。
【0022】
保護層16は、感熱体11を封止して気密状態に維持することによって、感熱体11に化学的な変化及び物理的な変化が生ずるのを避けるために設けられる。保護層16としてはガラスが用いられるのが好ましいが、温度センサ1を使用する環境によっては樹脂材料を用いることもできる。
【0023】
[継線30:図3
図3に示す継線30は、感熱素子10と図示しない後段の電気回路等とを電気的に接続するための電線で、芯線31と、芯線31を覆う絶縁被覆33と、を備えている。
芯線31は、複数、例えば7本、12本の導線を撚り合わせて作製された撚線である。撚線を構成するそれぞれの導線にはリード線13の芯線14よりも線径が小さい導線が用いられる。
継線30は、保護管51に挿通され、その一端がリード線13の端部と、例えば溶接により電気的に接続され、他端が図示しない後段の電気回路等に接続される。この継線30には、保護管51よりも十分細い線径を有し、かつ可動体41の接触面42Aを介して調理器107から押圧力が加わっても変形しない程度の強度を有する電線が用いられる。また、この継線30は、保護管51の内側に、可動体41が移動したときに、この移動に応じて保護管51の軸方向に移動可能に配置されている。
【0024】
[センサ保持体40:図1図9
センサ保持体40は、図1および図9に示すように、調理器107の底面108に当接すると下方Lへ移動可能に設けられた可動体41と、可動体41を支持する保護管51と、を備えている。
【0025】
[可動体41:図1図9
可動体41は、図1および図9に示すように、調理器107の底面108におもて面が当接される板状の集熱体42と、集熱体42のうら面側に設けられ、感熱体11を収容して保持する収容筒43と、集熱体42を上端部44Aで支持する筒状のホルダ44と、ホルダ44の上端部44Aから下端部44Bの付近までを同心状に覆う筒状の保護管45と、コイルばね46とを備えている。集熱体42、収容筒43、ホルダ44、保護管45およびコイルばね46は、耐熱性、耐酸化性を有する金属材料、例えばステンレス鋼により構成されることが好ましい。
【0026】
集熱体42は、調理器107の底面108に面接触するように、おもて面に平坦な接触面42Aを備えている。
収容筒43は、フランジ状に形成された上端部43Aを備える。この上端部43Aが集熱体42のうら面42Bに、例えば溶接により接合されることで、収容筒43は、上端部43Aの側が閉じられている。収容筒43の下端部43Bは開口している。収容筒43の内部には感熱素子10の感熱体11が収容される。感熱体11はその上端部が集熱体42のうら面42Bに接触するように収容筒43に収容される。収容筒43の内部には感熱体11との隙間を埋める充填材を充填することが好ましい。この充填材には、耐熱性の無機接着剤、特に金属酸化物フィラー、例えばAlフィラーを含むものを用いるのが好ましい。
【0027】
ホルダ44は、収容筒43よりも径の大きな筒状の部材であり、径の異なる上端部44Aと下端部44Bとから構成されている。上端部44Aの内部には、収容筒43、感熱素子10および絶縁チューブ47が収容される。
ホルダ44の上端部44Aはフランジ状に形成されており、集熱体42の周縁部がホルダ44の上端部44Aの全周縁に亘って折り込まれている。これにより、ホルダ44は、上端部44A側が集熱体42により密閉されるので、調理器から煮こぼれがあってもこぼれた汁が内部に浸入しないようになっている。
ホルダ44の上端部44Aの下方Lの側には、段差部44Cを介して上端部44Aよりも径の細い下端部44Bが形成される。下端部44Bの下方L側には開口部44Eが形成されており、この開口部44Eから保護管51がホルダ44の外部へ突出している。そして、段差部44Cが、保護管51の内側に形成された座金54に接触することで、可動体41の位置が規定される。このときの可動体41の位置は、保護管51に対して可動体41が最も上方U側へ移動した位置であり、集熱体42に荷重が加わらないとき、すなわち、調理器107が五徳106,106に載せられていないときは、可動体41はこの位置に留まる。以下、この集熱体42に荷重が加わっていないとき(無負荷)の集熱体42の位置を非搭載位置と称する。
【0028】
保護管45の上端部45Aは閉じられており、その内側が円筒状の空隙45Bをなしている。また、保護管45の下端部45Cは開放されている。
ホルダ44と集熱板42はかしめられているために、両者の間は液密状態とされる。また、ホルダ44と保護管45は、ホルダ44の段差部44Cにおいて圧入されているが、保護管45の上端部45Aにおいては微小な隙間が空けられている。
【0029】
コイルばね46は、保護管51に対して集熱体42、ホルダ44および保護管45を上方U側に向けて付勢するための弾性体である。コイルばね46は、ホルダ44の内部に収容され、その上端部46Aが集熱体42のうら面42B側で支持され、下端部46Bは保護管51の上端部に固定される座金54で支持される。
【0030】
図9に示すように、非搭載位置において、集熱体42の接触面42Aは、五徳106,106の上端から上方U側へ突出している。したがって、調理器107をガスコンロ100の五徳106,106に載せるときには、集熱体42の接触面42Aが調理器107の底面108と当接し、集熱体42は調理器107の自重により下方L側へ押し下げられる。そして、五徳106,106の上に調理器107が載ると、集熱体42の接触面42Aは、図9中の下方Lの実線で示す位置まで押し下げられる。したがって、コイルばね46には、この五徳106,106に調理器107が載せられたときに調理器107の底面108への集熱体42の接触を維持できる程度の弾性力を有しているものが用いられる。以下、この調理器107がガスコンロ100に載せられたあとの集熱体42の位置を搭載位置と称する。図9において、非搭載位置における集熱体42はその頂部だけが一点鎖線で示されており、搭載位置における集熱体42はその全体が実線で示されている。
絶縁チューブ47は、一対のリード線13,13を保護するための電気的な絶縁性のチューブである。絶縁チューブ47には、感熱体11の一対のリード線13,13が挿通され、これらの端部が後述する保護管51の内部で継線30に電気的に接続される。
【0031】
[保護管51]
保護管51は、図1に示すように、上方U側にフランジ状に突き出す上端部53Aが形成されており、この上端部53Aの下面には座金54が配置される。座金54は、保護管51の外周に嵌合される円筒状の部材である。座金54は、可動体41の上方U側へのホルダ44の移動量を規制する。ホルダ44の段差部44Cがこの座金54に突き当たることで、可動体41の上方U側への移動が規制される。
保護管51および座金54は、ホルダ44と同様の金属材料で構成されるのが好ましい。
【0032】
[検出部60]
保護管51の下端の側には、図3に示すように、検出部60が設けられている。検出部60は、調理機器に調理器が載せられていることを検出するために設けられている。検出部60は、この載せられていることの検出の裏腹として、調理機器に調理器が載せられていないことを検出できる。
検出部60は、磁界を生じさせる磁界発生器61と、磁界発生器61からの磁界を検出する磁界検出経路71と、を備えている。磁界発生器61は、保護管51に取り付けられ、保護管51に対して位置が固定される。磁界検出経路71は、調理器の有無に応じて、保護管51の内部を昇降する。昇降による磁界発生器61と磁界検出経路71との関係については後述する。
【0033】
[磁界発生器61]
磁界発生器61は、図3に示すように、保護管51の外周に固定されている。磁界発生器61からの磁界は、磁界検出経路71の位置に応じて、磁界検出経路71に作用する。
磁界発生器61は、磁界発生を担う永久磁石63と、永久磁石63を保護管51の所定位置に保持する磁石ホルダ65と、を備える。
【0034】
永久磁石63は、磁界検出経路71に磁界が達する磁力を有している限り、その材質は任意である。例えば、フェライト永久磁石の他に、Sm-Co系、Nd-Fe-B系などの希土類磁石を用いることができる。調理機器に用いられる磁界発生器61は150℃程度まで加熱されるので、キュリー点を考慮する必要がある。ただし、フェライト永久磁石(450℃)、Sm-Co系(750℃)、Nd-Fe-B系(850℃)などの希土類磁石のキュリー点は150℃を凌駕する。
また、磁界発生器61は焼結体からなる永久磁石に限らず、磁石粉を樹脂に分散させたボンド磁石を用いることもできる。さらに、磁界発生器61において、磁界の発生を担うことができれば、永久磁石に限らず、電磁石を用いることもできる。
【0035】
磁界発生器61は、例えば樹脂材料からなる磁石ホルダ65に収容された状態で、保護管51に固定される。前述したように、保護管51は非磁性体であるオーステナイト系のステンレス鋼(JIS SUS304)で構成されているので、磁界発生器61からの磁界は、磁石ホルダ65および保護管51を通過して磁界検出経路71の位置によって磁界検出経路71まで達する。
【0036】
[磁界検出経路71]
磁界検出経路71は、磁界発生器61からの磁界を受けることで電気回路のON/OFFの切り替えを行う。このON/OFFの切り替えによって、調理器の有無を検出することができる。
図3に示すように、磁界検出経路71は、検出素子73と、検出素子73に電気的に接続される一対のリード線75A,75Bと、検出素子73およびリード線75A,75Bを内部に収容する素子収容管77と、を備えている。これらの要素を備える磁界検出経路71は、前述した保護管51の内部に収容される。
【0037】
検出素子73として、好適な一例として、リードスイッチが適用される。リードスイッチは、一対の強磁性体リードが所定の接点間隔を持って、ガラス管の中に封入されている。一対の強磁性体リードは、検出素子73の径方向に磁界発生器61からの磁界を受けると磁化され、それぞれの自由端が互いに接触することで、磁気的な回路が閉ざされる(ON)。また、磁界を消去すればそれぞれのリードの弾性により、接触が解かれることで、磁気的な回路は開かれる(OFF)。
検出素子73は、継線30A,30Bの間に挟み込まれており、継線30A,30Bにより水平方向Hに支持されている。
ここでは、磁界検出経路71としてリードスイッチを例に説明したが、磁界発生器61からの磁界を検出できるものであれば、本実施形態に適用できる。例えば、ホール素子、磁気抵抗効果素子などがこれに該当する。
【0038】
リード線75A,75Bは、それぞれの一端が検出素子73の一対の強磁性体リードと電気的に接続され、それぞれの他端が継線30A,30Bと電気的に接続される。したがって、継線30Aと継線30Bの間に、リード線75A、検出素子73およびリード線75Bを備える電気的な経路が跨って構成される。この構成によれば、検出素子73は感熱体11と電気的に並列に接続される。この磁界検出に関わる電気的経路(以下、磁界検出経路)において、継線30A、感熱素子10および継線30Bからなる温度検出に関わる電気的経路(以下、温度検出経路)を電気的に繋ぐ。
【0039】
継線30A,30Bは、感熱体11における電気抵抗値を検出するための、図示が省略される検出器と感熱体11とを電気的に接続するための線路である。本実施形態においては、この検出器が検出素子73によるON/OFFの動作により調理器107が五徳106上に載せられているか否かを検出できる。すなわち、この検出器は、検出素子73が開かれ非導通(OFF)であるときには五徳106に調理器107が載せられており、検出素子73が閉じられ導通(ON)しているときには五徳106上に調理器107が載せられていないことを検出できる。調理器107の検出有無の具体的な手法は後述される。
【0040】
次に、素子収容管77は、検出素子73およびリード線75A,75Bを内部に収容した状態で、保護管51の内部を昇降する。この素子収容管77の昇降は、本実施形態においては、調理器107が五徳106から除かれるときと調理器107が五徳106に載せられるときに生ずる。
【0041】
素子収容管77は、保護管51の内部であってかつ鉛直方向Vの所定領域において、保護管51に摺動可能に保持されている。素子収容管77は、検出素子73およびリード線75A,75Bを収容したままで、この摺動を伴う昇降運動を行う。
素子収容管77の内部において、継線30Aと継線30Bは、検出素子73を挟持するだけの間隔を隔てて配置される。継線30Aとリード線75Aは鉛直方向Vの上方において接続端子79Aで接続され、継線30Bとリード線75Bは鉛直方向Vの下方において接続端子79Bで接続される。それぞれの接続端子79A,79Bは、対応する素子収容管77の内壁面に押し付けられている。また、図3の図面上では現わされていないが、検出素子73を挟む継線30A,30Bも、対応する素子収容管77の内壁面に押し付けられることもある。このように、継線30A,30B、検出素子73、リード線75A,75Bは、素子収容管77の内部に支持されており、素子収容管77とその収容物である検出素子73などとは、同期して昇降する。
【0042】
[温度センサ1の動作]
以上の構成を備える温度センサ1の動作、作用について図4図5および図9を参照して説明する。
この温度センサ1が取り付けられたガスコンロ100の五徳106上に調理器107が載せられていないときは、可動体41は、図9の一点鎖線で示す非搭載位置に位置する。
図4(a),(b)および図9に示すように、ガスコンロ100の五徳106の上に調理器107が載せられると、調理器107の底面に集熱体42が当接し、可動体41が下方Lへ移動する。このとき、図4(b)に示すように、ホルダ44および保護管45も集熱体42とともにコイルばね46の弾性力に抗して移動する。そして、可動体41にはコイルばね46からの弾性力が上方U方向に加わっているので、五徳106上に調理器107が載ると、接触面42Aが調理器107に当接した状態を維持しつつ、図9中の実線で示す搭載位置で停止する。調理の終了に伴って調理器107が五徳106から取り除かれると、集熱体42、ホルダ44および保護管45は、コイルばね46の弾性力により上方Uへ移動する。集熱体42などは、図4(a)に示すように、ホルダ44の段差部44Cが座金54に接する非搭載位置で止まる。このように、温度センサ1においては、感熱体11を保持する可動体41が、非搭載位置と搭載位置との間で往復移動する。
【0043】
可動体41の移動は継線30の移動を伴うので、継線30に固定された磁界検出経路71もまた可動体41の移動に伴って移動する。
【0044】
図5(a)は、可動体41が非搭載位置に留まっているときの、磁界検出経路71の位置を示している。このとき、磁界検出経路71の検出素子73は、磁界発生器61の永久磁石63と対峙しており、永久磁石63からの磁界の中に位置している。以下、このときの磁界検出経路71の位置を磁界照射位置と称す。
磁界検出経路71が磁界照射位置にあるとき、検出素子73は永久磁石63からの磁界を受けることで、磁気的な回路が閉じている(ON)。このとき、継線30A、感熱素子10および継線30Bで構成される温度検出経路に加えて、継線30Aと継線30Bとは、リード線75A、検出素子73およびリード線75B、つまり磁界検出経路71からなる磁界検出回路により電気的に繋がる。
【0045】
図5(b)は、可動体41が搭載位置に留まっているときの、磁界検出経路71の位置を示している。このときの磁界検出経路71の位置を磁界非照射位置と称す。
このとき、磁界検出経路71の検出素子73は磁界発生器61から鉛直方向Vに離れた位置に移動しており、検出素子73は磁界発生器61から生じる磁界の範囲の外側に位置するので、検出素子73は磁気的な回路が開いている(OFF)。したがって、継線30Aと継線30Bは、磁界検出経路71による電気的な繋がりは解かれる。
【0046】
継線30Aと継線30Bとの磁界検出経路71による電気的な繋がりの有無による、調理器107が載せられているか否かの検出は以下のように行われる。
図6(a)に示すように、磁界検出経路71が磁界照射位置にあるときには、継線30Aと継線30Bとは磁界検出経路71により電気的に繋がる。図示を省略する検出器から継線30Aに検査電流を供給し、継線30Bから感熱素子10を経た検査電流を検出器で受けるものとする。ところが、継線30Aと継線30Bとが磁界検出経路71により電気的に繋がっているために、継線30Aと継線30Bとの間に短絡が生じる。したがって、検出器は感熱素子10を経た検査電流を受けることができない。これにより、検出器は、可動体41が非搭載位置に留まっている、つまり調理器107が載せられていないことを検出できる。
一方、図6(b)に示すように、磁界検出経路71が磁界非照射位置にあるときには、検出素子73が開いている(OFF)ので、継線30Aに供給された検査電流は、感熱素子10を経た検査電流を継線30Bから検出器で受ける。これにより、検出器は、調理器107の温度に加えて調理器107が載せられていることを検出できる。
【0047】
[温度センサ1の作用・効果]
次に、本実施形態に係る温度センサ1の作用・効果について述べる。
[磁界検出の担保]
温度センサ1は、磁界非照射位置において、検出素子73が永久磁石63からの磁界が及ばない領域に離れることによって、永久磁石63からの磁界を受けない構成を採用する。つまり、温度センサ1によれば、永久磁石63からの磁界を避けるために軟質磁性体を用いる場合に生じうる軟質磁性体の特性の劣化の影響を受けない。これにより、温度センサ1によれば、調理器107の有無に関する検出を長期間によって担保できる。
【0048】
[構成要素の削減]
温度センサ1は、永久磁石63からの磁界の影響を避けるために用いられてきた軟質磁性体を使用しないので、磁界検出器としての構成要素を減らすことができる。これにより、温度センサ1のコストを低減できる。
特に、温度センサ1は、継線30Aと継線30Bに跨って磁界検出経路71を設けることにより、温度検出経路に繋がる検出器で検査電流を受けることで、調理器107の有無の検出と感熱素子10による温度検出を両立できる。
【0049】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりできる。
【0050】
[リード線75A,75Bの接続形態の変更]
以上で説明した磁界検出経路71は、リード線75Aと継線30Aを接続し、リード線75Bと継線30Aを接続したが、本発明はこれに限らず、図7に示すように、リード線75A,75Bの双方を一方の継線30Aに直列接続することができる。これは、リード線75A、検出素子73およびリード線75Bが継線30Aの途中に介在することを意味し、継線30Bには磁界検出経路71が関与しない。また、この構成によれば、検出素子73と感熱体11は電気的に直列に接続される。
【0051】
図7に示す変形例に係る磁界検出経路171の動作を、図8を参照して説明する。
変形例においては、図8(a)に示すように、調理器107が載せられていない状態において、検出素子73が磁界発生器61の永久磁石63から鉛直方向Vに離れており、検出素子73は永久磁石63からの磁界の及ばない領域に位置する。つまり、変形例においては、調理器107が載せられていない状態において、検出素子73が磁界非照射位置に置かれる。
次に、変形例においては、図8(b)に示すように、調理器107が載せられている状態において、検出素子73が磁界発生器61の永久磁石63からの磁界の及ぶ領域に位置する。つまり、変形例においては、調理器107が載せられている状態において、検出素子73が磁界照射位置に置かれる。
【0052】
以上のように、変形例は、調理器107が載せられているか否かと検出素子73が磁界を受けるか否かの対応関係が、先に説明した実施形態と逆の関係にある。この変形例は、調理器107が載せられていなければ(図8(a))、検出素子73が開いている(OFF)ので、継線30Aと継線30Bとの間に短絡が生じ、調理器107の不存在を検出できる。また、この変形例は、調理器107が載せられていれば(図8(b))、検出素子73が閉じている(ON)ので、継線30A、感熱素子10および継線30Bを介して検出器が検査電流を受ける。これにより、温度検出に加えて調理器107の存在を検出できる。
なお、図7および図8の変形例において、仮に検出素子73が永久磁石63の上端の位置まで下降して移動すると、検出素子73が開いて(OFF)しまう。これでは調理器107の存在、不存在を検出できなくなる。したがって、検出素子73がそこまで下降しないように、可動体41が非搭載位置および搭載位置の間で往復移動するストローク(LS)とリード線75Bの長さ(LB)との関係を、以下のように調整することが好ましい。リード線75Aの長さLAは本実施形態においては、リード線75Bの長さLBと等しくしているが、リード線75Bのような制約はなく、任意である。
ストロークLS<リード線75Bの長さLB
【0053】
[保護管51、素子収容管77を構成する材料]
本実施形態に係る温度センサ1は、ステンレス鋼からなる保護管51および素子収容管77を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本実施形態において非磁性であることが前提である保護管51および素子収容管77は、樹脂、ゴムで構成することができる。
以上の実施形態においては素子収容管77を示したが、例えば熱収縮性の材料で素子収容管77に相当する部材を作製することができる。この場合、収縮後の当該部材は、素子収容管というよりは素子収容体と表現する方が適している。もっとも、素子収容管は本発明における素子収容体の一例である。
【0054】
[検出部60の構成]
本実施形態に係る温度センサ1は、磁界検出経路71の検出素子73としてリードスイッチを例示したが、本発明はこれに限定されず、コイル、ホール素子、磁気抵抗素子などの他の磁器検出手段を用いることができる。
コイルは、その中を通過する磁界が変化すると、電磁誘導による電圧が発生し、この電圧を検出することで磁気を検出する。
また、ホール素子は、半導体薄膜などに電流を流すと、ホール効果によって磁界密度や向きに応じた電圧が発生し、この電圧を検出することで磁気を検出する。
磁気抵抗素子は、磁界が印加されると電気抵抗が変化する材料から構成され、この電気抵抗の変動を検出することで磁界を検出する。
以上の他に、磁気インピーダンス素子、超伝導量子干渉素子などを用いることができる。また、磁気に限らず他の検出手法、例えば光を検出するなどの手法により、73を構成してもよい。
【0055】
本実施形態に係る温度センサ1は、検出素子73が磁界の及ぶ領域と磁界の及ばない領域との間を往復移動する例を示しているが、本発明はこれに限らない。例えば、一つの磁界の及ぶ領域と、一つの磁界の及ぶ領域の一方の側に設けられる磁界の及ばない領域Aと、一つの磁界の及ぶ領域の他方の側に設けられる磁界の及ばない領域Bと、を設ける。そして、検出素子73は、例えば、磁界の及ばない領域A→磁界の及ぶ領域→磁界の及ばない領域B→磁界の及ぶ領域→磁界の及ばない領域A→磁界の及ぶ領域→磁界の及ばない領域B…というようにして、磁界の及ぶ領域と磁界の及ばない領域との間を移動することもできる。
【0056】
[温度センサ1の用途]
さらに、温度センサ1の用途として示したガスコンロ100はあくまで本発明の一例にすぎず、加熱対象物と接触して温度を測定する機器に広く適用できる。例えば、電磁調理器、電気炊飯器、ポット、コーヒーメーカなどが掲げられる。
電気炊飯器200に適用される例を図10に示す。電気炊飯器200は、内部に炊飯用の飯器203を収納し得るように構成され且つ空間部204を有する二重構造の筐体201と、筐体201の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体202と、を備えている。
筐体201は、合成樹脂の一体成形品からなる外ケース205と、合成樹脂製の有底筒状の保護枠206と、底壁を構成する合成樹脂製の皿形状の底ケース207とによって構成されている。
保護枠206の底面中央部には、飯器温度を測定するための温度センサ1がセンサ保持孔208に保持されている。
【0057】
また、温度センサ1の構造もあくまで本発明の一例であり、固定体に対して往復移動する可動体を備える温度センサに広く適用される。固定体および可動体を構成する部材の材料も、実施形態に示した以外の材料を用いることもできる。例えば、金属材料を用いるとした部材について、測定温度が低ければ樹脂からなる成形品を用いることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 温度センサ
10 感熱素子(感熱部)
11 感熱体
30,30A,30B 継線
40 センサ保持体(保持部)
41 可動体
42 集熱体
45 保護管
60 検出部
61 磁界発生器
63 永久磁石
65 磁石ホルダ
71 磁界検出経路
73 検出素子
75A,75B リード線
77 素子収容管(素子収容体)
79A,79B 接続端子
100 ガスコンロ(調理機器,対象機器)
106 五徳
107 調理器(温度測定対象)
108 底面
200 電気炊飯器
201 筐体
202 蓋体
203 飯器
204 空間部
205 外ケース
206 保護枠
207 底ケース
208 センサ保持孔
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10