(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】仮設水栓及びその水道仮設工法
(51)【国際特許分類】
E03B 9/02 20060101AFI20220630BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20220630BHJP
G01F 15/18 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E03B9/02 Z
E04G23/08 Z
G01F15/18
(21)【出願番号】P 2020196957
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】320008708
【氏名又は名称】有限会社樋口水道
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】樋口 貴幸
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-228299(JP,A)
【文献】特開2008-069599(JP,A)
【文献】特開2007-162256(JP,A)
【文献】特開平08-326331(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102995661(CN,A)
【文献】特開2019-065694(JP,A)
【文献】特開2018-204277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 9/02
E04G 23/08
G01F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋解体工事等に伴う水道仮設工事に用いられ、
地面に埋設されたメーターボックス内の水道メータの二次側に連結されるエルボ管、
該メーターボックス内の該エルボ管に設けられた止水栓、及び、
該メーターボックス内の該エルボ管に連結されたホース継手からな
り、上記エルボ管は水平管部及び立上管部からなり、上記止水栓はエルボ管の立上管部に設けられ、上記水道メータの二次側に形成された雄ネジ部に螺合連結される雌ネジ部を有するナットが該エルボ管の水平管部の端部に設けられ、該水道メータの二次側に連結されるエルボ管の立上管部の端部のナットはユニオンナットであり、上記ホース継手は相互に着脱自在な雌接続部及び雄接続部からなり、上記エルボ管の立上管部に該ホース継手の雄接続部が設けられ、該雄接続部に着脱自在な該雌接続部に上記家屋解体工事等の散水作業等に用いられる散水ホースが接続されていることを特徴とする仮設水栓。
【請求項2】
上記止水栓はニードル弁であることを特徴とする請求項
1項記載の仮設水栓。
【請求項3】
上記請求項
1又は2記載の仮設水栓を用いて水道仮設工事を施工することを特徴とする水道仮設工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、家屋解体工事等に伴う水道仮設工事に用いられる仮設水栓及びその水道仮設工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、家屋解体工事等において、解体家屋に対する散水作業等のため水道仮設工事が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5843278号
【文献】実開昭58-65530号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の水道仮設工事の場合、例えば、水道メータの二次側の配管を切断し、配管の切断部分にネジ切り加工を行い、配管の切断部分に散水用のホース継手を接続する等の仮設配管を行う必要があり、水道メータは地面に埋設された狭小なメーターボックス内に設置されているため、水道仮設工事が厄介なこともあり、さらには、コンクリートの取り壊しや土掘り等も必要となり、これら家屋解体工事の準備作業や段取作業により作業性が低下すると共に解体作業者に労苦を強いることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、家屋解体工事等に伴う水道仮設工事に用いられ、地面に埋設されたメーターボックス内の水道メータの二次側に連結されるエルボ管、該メーターボックス内の該エルボ管に設けられた止水栓、及び、該メーターボックス内の該エルボ管に連結されたホース継手からなり、上記エルボ管は水平管部及び立上管部からなり、上記止水栓はエルボ管の立上管部に設けられ、上記水道メータの二次側に形成された雄ネジ部に螺合連結される雌ネジ部を有するナットが該エルボ管の水平管部の端部に設けられ、該水道メータの二次側に連結されるエルボ管の立上管部の端部のナットはユニオンナットであり、上記ホース継手は相互に着脱自在な雌接続部及び雄接続部からなり、上記エルボ管の立上管部に該ホース継手の雄接続部が設けられ、該雄接続部に着脱自在な該雌接続部に上記家屋解体工事等の散水作業等に用いられる散水ホースが接続されていることを特徴とする仮設水栓にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記止水栓はニードル弁であることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載の仮設水栓を用いて水道仮設工事を施工することを特徴とする水道仮設工法にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1及び請求項3記載の発明にあっては、家屋解体工事等に伴う水道仮設工事に用いられ、地面に埋設されたメーターボックス内の水道メータの二次側に連結されるエルボ管、メーターボックス内のエルボ管に設けられた止水栓、及び、メーターボックス内のエルボ管に連結されたホース継手からなり、上記エルボ管は水平管部及び立上管部からなり、上記止水栓はエルボ管の立上管部に設けられ、上記水道メータの二次側に形成された雄ネジ部に螺合連結される雌ネジ部を有するナットがエルボ管の水平管部の端部に設けられ、水道メータの二次側に連結されるエルボ管の立上管部の端部のナットはユニオンナットであり、上記ホース継手は相互に着脱自在な雌接続部及び雄接続部からなり、上記エルボ管の立上管部にホース継手の雄接続部が設けられ、雄接続部に着脱自在な雌接続部に上記家屋解体工事等の散水作業等に用いられる散水ホースが接続されることになるから、例えば、家屋解体工事等に伴う水道仮設工事にあっては、メーターボックス内の水道メータの二次側に仮設水栓のエルボ管を連結するだけで水道仮設工事を行うことができ、例えば、ホース継手に散水ホースを接続し、エルボ管に設けられた止水栓を開栓して解体家屋に散水作業等を行うことができ、解体家屋に対する散水により解体作業中に発生する粉塵の拡散等を防止することができ、このため、水道メータの二次側の配管を切断したり、配管の切断部分にネジ切り加工をしたり、配管の切断部分に散水用のホース継手を接続したり、コンクリートの取り壊し、土掘り等の準備作業や段取作業も必要がなくなり、水道仮設工事をきわめて容易に行うことができ、水道仮設工事の作業性を向上することができ、解体作業者に対する労苦を軽減することもでき、さらに、仮設水栓は、エルボ管、止水栓及びホース継手の三部材からなるので、きわめてコンパクトな構成となり、可搬性及び携帯性を向上することができ、さらに、上記エルボ管は水平管部及び立上管部からなり、上記止水栓はエルボ管の立上管部に設けられているから、メーターボックス内に内装配置された仮設水栓の止水栓の開栓又は閉栓の操作を地上から容易に行うことができ、水道仮設工事を容易に行うことができ、さらに、上記水道メータの二次側に連結されるエルボ管の端部にナットが設けられているから、水道メータの二次側とエルボ管との着脱を容易に行うことができ、さらに、上記水道メータの二次側に連結されるエルボ管の端部のナットはユニオンナットであるから、水道メータの二次側とエルボ管との着脱を一層容易に行うことができ、さらに、上記ホース継手は相互に着脱自在な雌接続部及び雄接続部からなり、上記エルボ管にホース継手の雄接続部が設けられ、雌接続部に散水ホースが接続されているから、ホース継手と散水ホースとの着脱を容易に行うことができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記止水栓はニードル弁であるから、止水栓の開栓又は閉栓の操作を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の実施の形態例の使用状態の正断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態例の使用状態の平断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態例の使用状態の側断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態例の使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図6は本発明の実施の形態例であって、家屋解体工事等に伴う水道仮設工事に用いられ、
図1、
図2の如く、地面Gに埋設されたメーターボックスB内の水道メータMの一次側M
1に図示省略の水道本管に至る宅地内への引込配管Pが接続され、引込配管Pに図示省略の元栓が設けられており、仮設水栓Sは、このメーターボックスB内の水道メータMの二次側M
2に連結されるエルボ管1、エルボ管1に設けられた止水栓2、及び、エルボ管1に連結されたホース継手3により構成され、すなわち、仮設水栓Sは、エルボ管1、止水栓2及びホース継手3の三部材から成り立っている。
【0012】
この場合、
図1、
図4、
図5の如く、上記エルボ管1は水平管部1a及び立上管部1bからなり、上記止水栓2はエルボ管1の立上管部1bに一体的に組み込んで設けられている。なお、エルボ管1として90度エルボを用いているが、45度エルボ、その他の屈曲角のエルボ管を適用することもできる。
【0013】
又、この場合、
図1、
図2の如く、上記水道メータMの二次側M
2に連結されるエルボ管1の端部にナットN、この場合、ユニオンナットUNが設けられ、水道メータMの二次側M
2の雄ネジ部MOに、ナットNとしてのユニオンナットUNの雌ネジ部UMを螺合するように構成している。ここにユニオンナットUNとはナット部及び鍔部からなるユニオン継手のナット部をいい、仮設水栓Sを回さずにナット部の回動のみで水道メータMの二次側M
2の雄ネジ部MOとエルボ管1の端部との着脱が可能な構造のユニオン継手の構成部材の一つをいう。
【0014】
又、この場合、
図1、
図2の如く、上記ホース継手3は相互に着脱自在な雌接続部3a及び雄接続部3bからなり、上記エルボ管1にホース継手3の雄接続部3bが設けられ、雌接続部3aに散水ホースHが接続されている。なお、上記エルボ管1にホース継手3の雌接続部3aを設け、上記雄接続部3bに散水ホースHを接続する構成とすることもある。また、上記ホース継手3として散水ホースHを直接接続可能な構造のホース継手とすることもある。
【0015】
又、この場合、
図1、
図5の如く、上記止水栓2はニードル弁Vであり、エルボ管1に弁箱部V1を突出形成し、弁箱部V1に蓋体V2を螺着し、蓋体V2にスピンドルV3を進退移動自在に設け、スピンドルV3の外方端部にハンドルV4を取付け、スピンドルV3の内方端部を弁箱部V1の内周面に螺子構造V5により相互に螺着すると共に弁体V6を設け、エルボ管1の通水路1cに弁体V6に対向する弁座部V7及び弁穴V8を形成し、ハンドルV4の正逆回転操作によりスピンドルV3を進退動作させ、スピンドルV3の進退動作により弁体V6を弁座部V7と離間又は密着させ、仮設水栓Sの止水栓2の開栓又は閉栓の操作を行い、水道メータMからの水道水Wを通水又は止水するように構成している。なお、上記止水栓2はニードル弁に限らず、ボール弁、ゲート弁、その他の弁構造を採用することもある。
【0016】
この実施の形態例は上記構成であるから、
図1、
図2、
図3、
図6の如く、例えば、建設機械Qによる家屋解体工事等に伴う水道仮設工事にあっては、メーターボックスB内の水道メータMの二次側M
2に仮設水栓Sのエルボ管1を連結するだけで水道仮設工事を行うことができ、例えば、ホース継手3に散水ホースHを接続し、エルボ管1に設けられた止水栓2を開栓して解体家屋Dに散水作業等を行うことができ、解体家屋Dに対する散水により解体作業中に発生する粉塵の拡散等を防止することができ、このため、水道メータMの二次側M
2の配管を切断したり、配管の切断部分にネジ切り加工をしたり、配管の切断部分に散水用のホース継手を接続したり、コンクリートの取り壊し、土掘り等の準備作業や段取作業も必要がなくなり、水道仮設工事をきわめて容易に行うことができ、水道仮設工事の作業性を向上することができ、解体作業者に対する労苦を軽減することもでき、さらに、仮設水栓Sは、エルボ管1、止水栓2及びホース継手3の三部材からなるので、きわめてコンパクトな構成となり、可搬性及び携帯性を向上することができる。
【0017】
又、この場合、
図1、
図4、
図5の如く、上記エルボ管1は水平管部1a及び立上管部1bからなり、上記止水栓2はエルボ管1の立上管部1bに設けられているから、メーターボックスB内に内装配置された仮設水栓Sの止水栓2の開栓又は閉栓の操作を地上から容易に行うことができ、水道仮設工事を容易に行うことができ、又、この場合、
図1、
図2の如く、上記水道メータMの二次側M
2に連結されるエルボ管1の端部にナットNが設けられているから、水道メータMの二次側M
2とエルボ管1との着脱を容易に行うことができ、又、この場合、上記水道メータMの二次側M
2に連結されるエルボ管1の端部のナットNはユニオンナットUNであるから、水道メータMの雄ネジ部MOにユニオンナットUNの雌ネジ部UMを螺合するだけで水道メータMの二次側M
2とエルボ管1との着脱を一層容易に行うことができ、又、この場合、
図1、
図2の如く、上記ホース継手3は相互に着脱自在な雌接続部3a及び雄接続部3bからなり、上記エルボ管1にホース継手3の雄接続部3bが設けられ、雌接続部3aに散水ホースHが接続されているから、ホース継手3と散水ホースHとの着脱を容易に行うことができ、又、この場合、
図1、
図5の如く、上記止水栓2はニードル弁Vであるから、止水栓2の開栓又は閉栓の操作を容易かつ確実に行うことができる。
【0018】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、メーターボックスB、水道メータM、仮設水栓S、ナットN、ユニオンナットUN、散水ホースH、ニードル弁V、エルボ管1、水平管部1a、立上管部1b、止水栓2、ホース継手3、雌接続部3a、雄接続部3bの構造等は適宜変更して設計される。
【0019】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0020】
B メーターボックス
M 水道メータ
M2 二次側
MO 雄ネジ部
S 仮設水栓
N ナット
UN ユニオンナット
UM 雌ネジ部
H 散水ホース
V ニードル弁
1 エルボ管
1a 水平管部
1b 立上管部
2 止水栓
3 ホース継手
3a 雌接続部
3b 雄接続部