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特許7097461シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品およびその製造方法
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  • 特許-シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品およびその製造方法 図1
  • 特許-シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品およびその製造方法 図2
  • 特許-シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品およびその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20220630BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C27/14 A
A47C27/14 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020557000
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2019051685
(87)【国際公開番号】W WO2019149602
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-08
(31)【優先権主張番号】102018201409.4
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベケット、ユルゲン
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202017005093(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
A47C 27/14
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品(14)であって、
前記発泡部品(14)は、ワイヤーフレーム(15)と、シート面(11)と、このシート面とは反対側にある下側(12)とを含み、
前記下側(12)は少なくとも1つの凹部(16)を備えて、前記ワイヤーフレーム(15)のU字形のワイヤセクション(17)が少なくとも1つの凹部(16)の縁に沿って配置され、
シートの使用を検出する多数のセンサ(2)が下側(12)の領域に配置されるとともに、これらのセンサ(2)は、座面に作用する重量を検出するために、発泡部品(14)における多数の保持プロファイル(20)を介して固定されており、かつセンサ(2)は保持プレート(18)を含むとともに、保持プロファイル(20)は保持プレート(18)を受けるための周辺のガイド(21)を含み、
前記少なくとも1つの凹部(16)のU字形のワイヤセクション(17)に前記センサ(2)が配置されていることを特徴とするシート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品。
【請求項2】
多数の保持プロファイル(20)が発泡部品(14)の内部に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品。
【請求項3】
シートの使用を検出する多数のセンサ(2)が、保持プレート(18)に固定されていることを特徴とする請求項1または2記載のシート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品。
【請求項4】
シートの使用を検出する多数のセンサ(2)が、ワイヤフレーム(15)のワイヤセクション(17)にクリップ留めされる保持プレート(18)を介して保持されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載のシート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の発泡部品(14)を製造するための方法であって、次のステップを有することを特徴とするシート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品の製造方法。
a.発泡部品(14)を製造するための発泡型と、前記発泡部品(14)を支持するために前記発泡型内に配置されるワイヤフレーム(15)とを用意するステップであって、前記発泡型は前記発泡部品(14)の下側に少なくとも1つの凹部(16)を形成し、かつ前記ワイヤフレーム(15)のU字形のワイヤセクション(17)を少なくとも1つの凹部(16)の縁に沿うように配置するステップ
b.シートの使用を検出するセンサ(2)のための保持プレート(18)を受け入れるための周辺ガイド(21)を備えた多数の保持プロファイル(20)を用意するステップ
c.前記発泡型における、シートの使用を検出する多数のセンサ(2)が配置されるべき位置の領域へ、多数の保持プロファイル(20)を挿入するステップであって、シートの使用を検出する多数のセンサ(2)の位置を前記少なくとも1つの凹部(16)内とするステップ
d.発泡型内で発泡部品(14)を発泡させて、前記ワイヤフレーム(15)を発泡材で覆うとともに、保持プロファイル(20)を発泡部品(14)内へ収めるステップ
e.発泡型から発泡部品(14)を取り出すステップ
【請求項6】
f.シートの使用を検出する多数のセンサ(2)を用意し、発泡型から取り出した発泡部品(14)に対して、前記センサ(2)を保持プロファイル(20)に固定するステップ
をさらに有することを特徴とする請求項5記載のシート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品の製造方法
【請求項7】
g.保持プロファイル(20)に固定されたセンサ(2)を、追加的にワイヤフレーム(15)に固定するステップ
をさらに有することを特徴とする請求項6記載のシート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品の製造方法。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の、シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品(14)を備えた、自動車シートであって、前記自動車シートは後部座席であり、この自動車シートは自動車ボディに取り付けられた構造フレームも含み、発泡部品(14)はワイヤフレーム(15)を介して前記構造フレームに接続され、シートの使用を検出する多数のセンサ(2)が前記発泡部品(14)における下側(12)に配置されていることを特徴とするシートクッションを備えた自動車シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート使用の検出機能を備えた自動車シートの発泡部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員保護の過程で、現在、多数のセンサが自動車の内部に設置されている。1つの目標は、車両の乗員の負傷のリスクを最小限に抑えることである。シートの使用を検出する圧力センサなどのセンサは、助手席だけでなく、2列目以降のシートにも使用されており、その信号からシートの使用に関する推定を導き出すことができる。車両の搭乗者の体重によって加えられる圧力に応答して、感圧スイッチが作動する。シートの使用を検出するセンサが、シートベルトを締めていない人がシートに座っていることを知らせると、すぐに、警告が発せられる。ここでの重要な点は、シートの使用を検出するセンサがシート表面に対して正確に位置決めされて配置されているため、信号は所定の圧力が作用したときにしか発せられないことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、自動車シートにおける乗員の存在が確実に検出されるような方法でシートの使用状況を検出する機能を備えた、自動車シートの発泡部品を開発することである。
【0004】
本発明のさらなる態様においては、シートの使用を検出する機能を備えた自動車シートの発泡部品を安価かつ容易に製造する方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1で規定された特徴によって達成される。本発明の発泡部品によって、シートの使用を検出するセンサと発泡体表面との間の所定の距離が得られる。発泡体表面は、自動車シートの座面側である。発泡体表面の反対側は、以下において底部と呼ぶ。シートの使用を検出する多数のセンサが、底部の領域または発泡部品における対応凹部に配置される。
【0006】
シート使用の検出機能を備えた本発明による発泡部品の別の利点は、自動車シートを組み立てるときに構成部品の許容誤差が補償されることにある。自動車シートは、ワイヤフレームを備えた少なくとも1つの発泡部品と、ボディに取り付けられた構造フレームと、シートの使用を検出する多数のセンサ(以下、「センサ」と呼ぶ)とを備える。
【0007】
本発明による方法は、シートの使用を検出する機能を備えた自動車シートの発泡部品を、簡単な方法ステップによって製造できるようにすることを特徴とする。発泡部品を発泡させるときに、多数のセンサのための保持要素において発泡させることができる。あるいは、保持要素は、発泡部品に接着することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シートの使用を検出するセンサを備えた、透明なシートクッションの3次元立体図である。
図2】シートの使用を検出するセンサを備えたシートクッションの内側の詳細図である。
図3図2に示す部分を立体的に示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を、添付の図面を参照して、以下において例示的に説明する。
【0010】
基本的に、自動車シートは、この自動車シートを保持して車体側に固定するための構造フレームと、構造フレームを覆う発泡部品すなわち発泡クッションと、発泡部品を覆うカバー部材とを、構成要素として含む。シートの使用を検出する機能を備えた自動車用シートの場合に、センサはシートの数に応じて下側の領域にも位置される。すなわち、自動車シートにおけるシート面とは反対側に配置される。
【0011】
図1は、3つの座席(シート)1a、1b、1cと、座席に割り当てられたセンサ2とを備えた、車両後部座席における透明なシートクッション1の3次元立体図を示す。シートクッション1は、シート11と、シート11の反対側の下側12とを有する。シートクッション1は、通常、ワイヤフレーム15を備えるとともに被覆材料で覆われた発泡部品14すなわち発泡クッション14を含む。発泡部品14は、好ましくはポリウレタンまたは別の可撓性発泡体にて構成されており、ワイヤフレーム15と一体的に成形されることができるか、そうでなければワイヤフレーム15に取り付けることができる。自動車ボディに固定された構造フレームへの接続は、図示されていないが、ワイヤフレーム15を介して行われる。ワイヤフレーム15も完全には描かれていないが、センサ2の領域でのみ横方向の部材として描かれている。自動車シートの構造または自動車の第2列用のシート配置は既知であり、より詳細には説明しない。
【0012】
一実施形態において、図2および図3は、発泡部品14の下側12の凹部16の領域でのセンサ2の配置および固定の状況を示す。ワイヤフレーム15のワイヤセクション17は、凹部16の縁側のU字形湾曲部分として存在することが分かる。ここで、ワイヤセクション17は、2つの側方セクション17aと、側方セクションどうしを接続する接続セクション17bとを備える。
【0013】
図から分かるように、センサは保持プロファイル20を介して保持される。保持プロファイルは、凹部16の両側で発泡部品中に形成され、本質的にシート表面に平行に延びる。保持プロファイル20は、好ましくはプラスチック材料で作られる。センサは、好ましくは、保持プレート18を含み、保持プレート18に固定され、ワイヤセクション17間の凹部に受け入れられる。保持プロファイル20は縁に溝を有し、保持プレート18は、ガイド21を介してこの縁に挿入することができる。もちろん、保持プロファイル20と保持プレート18との間の他の接続構造を提供することもできる。
【0014】
センサ2はまた、保持プレート18を介してワイヤセクション17に固定される。好ましくはその箇所で側方セクション17aおよび接続セクション17bにクリップ留めされる。圧力スイッチを備えた圧力センサが、センサとして用いられる。
図示されていない発泡部品14の実施形態では、センサは、発泡された保持プロファイル20を介してのみにより固定された状態で保持される。
図1
図2
図3