(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ブリバラセタム中間体、その製造方法及びブリバラセタムの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/27 20060101AFI20220630BHJP
C07C 237/04 20060101ALI20220630BHJP
C07C 231/12 20060101ALI20220630BHJP
A61P 25/08 20060101ALN20220630BHJP
A61K 31/4015 20060101ALN20220630BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
C07D207/27 Z
C07C237/04 Z
C07C231/12
A61P25/08
A61K31/4015
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020571459
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2018112662
(87)【国際公開番号】W WO2019242192
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】201810634229.9
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513164886
【氏名又は名称】上海朴▲イ▼化学科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ハンロン
(72)【発明者】
【氏名】チー ヤンタオ
(72)【発明者】
【氏名】リー タオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ボウ
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106279074(CN,A)
【文献】国際公開第2008/132139(WO,A2)
【文献】特開昭60-208957(JP,A)
【文献】国際公開第2016/191435(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0120080(US,A1)
【文献】特表2007-515387(JP,A)
【文献】JEONG, Y et al.,Synthesis of Enantiomerically Pure N-Substituted 4-Hydroxypyrrolidin-2-one Derivatives,Bulletin of the Korean Chemical Society,Vol. 26, No. 5,2005年,p.826-828
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒において、式(II)-R-X又は(II)-Rで表される化合物
に、以下のような環形成反応を行わせるステップを含み、ここで、Xは有機酸であり、前記溶媒は水、アルコール系溶媒及び塩化チオニル
からなる群から選ばれる一つ又は複数である;ことを特徴とする、式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【化1】
【請求項2】
前記溶媒は、C
1-4
のアルコールである、請求項1に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項3】
前記溶媒は、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる一つ又は複数である、請求項2に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項4】
Xはシュウ酸又はマレイン酸であり;
及び/又は、前記式(II)-R-X又は(II)-Rで表される化合物
の前記溶媒におけるモル濃度
は、0.4~0.8mol/Lであり;
及び/又は、前記環形成反応の温度
は65~80℃であり;
及び/又は、前記環形成反応の時間は4~10hであることを特徴とする、請求項1
~3のいずれか1項に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項5】
更に、アルカリの作用下で、式(II)-R-Xで表される化合物を遊離させ、式(II)-Rで表される化合物を得るステップを含むことを特徴とする、請求項1
~4のいずれか1項に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【化2】
【請求項6】
更に、溶媒において、式(II)で表される化合物とXとを塩形成させ、結晶化させ、式(II)-R-Xで表される化合物を得るステップを含み;ここで、Xは有機酸であ
って、
【化3】
前記式(II)で表される化合物は、(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Rと称する。)、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Sと称する。)、又は任意の比率のこれらの混合物である、請求項1に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【化4】
【請求項7】
前記Xはシュウ酸又はマレイン酸であり;
及び/又は、前記塩形成のステップの溶媒はC
1-4のアルコール及び/又は水であり;
及び/又は、前記塩形成のステップの溶媒と式(II)で表される化合物の質量比は
4:1であり;
及び/又は、前記式(II)で表される化合物と前記Xのモル比
は(1~1.3):1であり;
及び/又は、前記結晶化ステップの溶媒はC
1-4のアルコール、水及びエーテル系溶媒の混合溶媒、又はC
1-4のアルコール、水及びアルカン系溶媒の混合溶媒であり;
及び/又は、前記結晶化ステップの溶媒と前記式(II)で表される化合物の質量比
は(7~11):1であり;
及び/又は、前記結晶化ステップの温度
は25~30℃であり;
及び/又は、前記結晶化ステップの結晶化時間
は1~2hであることを特徴とする、請求項
6に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項8】
前記C
1-4のアルコールは、イソプロパノール、n-ブタノール及びイソブタノール
からなる群から選ばれる1つ又は複数であり;
及び/又は、前記エーテル系溶媒は石油エーテル及び/又はイソプロピルエーテルであり;
及び/又は、前記アルカン系溶媒はn-ヘキサン及び/又はn-ヘプタンであり;
及び/又は、前記結晶化ステップにおいて、前記C
1-4のアルコール、水及び(エーテル系溶媒又はアルカン系溶媒)の質量比
は4:1:(4~6)であることを特徴とする、請求項
7に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項9】
前記結晶化ステップの溶媒
はイソブタノール、水及びイソプロピルエーテルの混合溶媒、又はイソプロパノール、水
及びイソプロピルエーテルの混合溶媒であることを特徴とする、請求項
6~
8のいずれか1項に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項10】
更に、式(II)で表される化合物をC
1-4のアルコール及び水の混合溶媒に添加し、次に順次に有機酸、エーテル系又はアルカン系溶媒を添加し、結晶化させるステップを含むことを特徴とする、請求項
6~
8のいずれか1項に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項11】
更に、式(II)で表される化合物をC
1-4のアルコール及び水の混合溶媒に添加し、次に順次に有機酸、エーテル系又はアルカン系溶媒を添加し、結晶化させるステップと;結晶化させて得られた生成物をC
1-4のアルコール及び水の混合溶媒に添加し、再びエーテル系又はアルカン系溶媒を添加し、結晶化させるステップと:を含むことを特徴とする、請求項
6~
8のいずれか1項に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項12】
更に、溶媒において、触媒の作用下で、式(III)で表される化合物と水素とに以下に示す水素化還元反応を行わせ、式(II)で表される化合物を得るステップを含
み、
【化5】
前記式(II)で表される化合物は、(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Rと称する。)、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Sと称する。)、又は任意の比率のこれらの混合物である、請求項
6に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【化6】
【請求項13】
前記水素化還元反応は有機酸の関与条件下で行われ;前記有機酸
はクエン酸であり;
及び/又は、前記有機酸と前記式(III)で表される化合物のモル比は(7~10):1であることを特徴とする、請求項
12に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【請求項14】
更に、溶媒において、式(IV)で表される化合物とL-アミノブタンアミド
とに以下に示す反応を行わせ
て、式(III)で表される化合物を得るステップを含むことを特徴とする、請求項
12又は
13に記載の式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法。
【化7】
【請求項15】
式(II)で表される化合物とXと
で塩形成させ、結晶化させ、式(II)-R-Xで表される化合物を得るステップを含み;ここで、Xは有機酸であ
り、
【化8】
前記式(II)で表される化合物は、(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Rと称する。)、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Sと称する。)、又は任意の比率のこれらの混合物である、式(II)-R-Xで表される化合物の製造方法。
【化9】
【請求項16】
(1)式(II)で表される化合物とXと
で塩形成させ、結晶化させ、式(II)-R-Xで表される化合物を得るステップ;
(2)ステップ(1)で結晶化させた後の母液にXと溶媒とを添加し、結晶形を析出させるステップ;
を含み、ここで、Xは有機酸であ
り、
【化10】
前記式(II)で表される化合物は、(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Rと称する。)、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Sと称する。)、又は任意の比率のこれらの混合物である、式(II)-S-Xで表される化合物の製造方法。
【化11】
【請求項17】
前記Xはシュウ酸又はマレイン酸であり;
及び/又は、ステップ(2)において、前記溶媒
は石油エーテル及び/又はイソプロピルエーテルであり;
及び/又は、ステップ(2)において、前記Xと前記式(II)で表される化合物のモル比は1:(1~4)であり;
及び/又は、ステップ(2)において、前記溶媒と前記式(II)で表される化合物の体積対質量比は(1~4)mL/gであり;
及び/又は、ステップ(2)において、前記結晶形の析出温度は-20~0℃であることを特徴とする、請求項
16に記載の式(II)-S-Xで表される化合物の製造方法。
【請求項18】
溶媒において、触媒の作用下で、式(III)で表される化合物と水素と
に以下に示す水素化還元反応を行わせ
て、式(II)で表される化合物を得るステップを含
み、
【化12】
前記式(II)で表される化合物は、(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Rと称する。)、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(以下、(II)-Sと称する。)、又は任意の比率のこれらの混合物である、式(II)で表される化合物の製造方法。
【化13】
【請求項19】
更に、溶媒において、式(IV)で表される化合物とL-アミノブタンアミド
とに以下に示す反応をさせ
て、式(III)で表される化合物を得るステップを含むことを特徴とする、請求項
18に記載の式(II)で表される化合物の製造方法。
【化14】
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【関連出願の相互参照】
【0002】
本出願は出願日が2018年6月20日である中国特許出願CN201810634229.9の優先権を主張する。本出願は、前記中国特許出願の全文を引用する。
【技術分野】
【0003】
本出願はブリバラセタム中間体、その製造方法及びブリバラセタムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ブリバラセタム(Brivaracetam)はUCB社によって開発された新世代の抗てんかん薬であり、2016年2月、米国FDAによりブリバラセタムの上場が承認され、ブリバラセタムは、他の薬物の付加薬物として部分てんかんの治療に使用できる。
【0005】
ブリバラセタム(S)-2-((R)-2-オキソ-4-プロピルピロリン-1-イル)ブタンアミドの構造は以下に示す通りである。ブリバラセタム分子には4つの異なる異性体に対応する2つのキラル中心があり、これはブリバラセタムの合成に一定の困難をもたらしている。現在、ブリバラセタムを合成する方法は主に以下のような報道がある:
【0006】
【0007】
最初の方法は、UCBによって開発された方法であり、特許CN1208319C、CN182535Bに記載のように、n-バレルアルデヒドを原料として使用し、先ずはグリオキシル酸と環化反応させ、次にL-アミノブタンアミドと反応させ、得られた生成物を水素化して一対のジアステレオマーを形成し、その後、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して生成物であるブリバラセタムを得る方法である。当該の方法は工程は短いが、最後のステップはカラムクロマトグラフィーでしか分離できないため、コストが高く、大量生産にも適していないので、その使用は制限されている。
【0008】
【0009】
CN107663185Aは、(R)-4-プロピルジヒドロフラン-2(3H)-オンを中間体として、L-アミノブタンアミドと反応させてブリバラセタムを得る方法を報告した。しかし、キラル(R)-4-プロピルジヒドロフラン-2(3H)-オンの合成経路は非常に長く、金属試薬反応を伴い、且つ、それとL-アミノブタンアミドは多段階変換してから目的の生成物が得られる。これは、合成工程全体を長くさせ、操作を複雑化させる。
【0010】
【0011】
CN106748950Aは、エピマー混合酸を中間体として使用して、R-フェネチルアミンと塩を形成し、精製する方法によって単一の異性体酸を得、次にブリバラセタムに変換する方法を報道した。この方法は比較的簡潔であるが、実際の工程での実行は困難である。
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的問題は、ブリバラセタムの既存の製造方法におけるコストが高く、工程の時間が長く、操作が面倒で、及び工業生産に不適切な欠陥を克服し、ブリバラセタム中間体、その製造方法及びブリバラセタムの製造方法を提供することである。当該製造方法は、安価で入手し易いn-バレルアルデヒドを原材料とし、合成工程が短く、簡潔・効率的で、カラムクロマトグラフィーで異性体を分離又は非対称合成する必要なく、工業化された大規模生産に適している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下の技術的な解決手段により前記技術的問題を解決する。
【0015】
本発明は3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(II)又はその薬学的に許容される塩を提供し、その構造は以下の通りである:
【0016】
【0017】
前記式(II)で表される示化合物は、(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸((II)-Rと略称)、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸((II)-Sと略称)、又は以下の構造の任意の比率の混合物である。
【0018】
【0019】
前記(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸の塩は、当技術分野で常用の塩であり、好ましくはXと形成された塩であり、その構造は以下の通りであり;
【0020】
【0021】
ここで、前記Xは、当技術分野で常用の有機酸であり、好ましくはシュウ酸又はマレイン酸である。
【0022】
前記(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸、(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸の塩は、以下の任意の構造であってもよい。
【0023】
【0024】
本発明は、溶媒において、式(II)-R-X又は(II)-Rで表される化合物を、以下のような環形成反応を行わせるステップを含む、式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法を提供し;ここで、Xは有機酸である。
【0025】
【0026】
環形成反応において、前記Xは好ましくはシュウ酸又はマレイン酸である。
【0027】
環形成反応において、前記溶媒は、好ましくは、水、アルコール系溶媒及び塩化チオニルの中の一つ又は複数であり、より好ましくはC1-4のアルコールであり、更に好ましくはメタノール、エタノール及びイソプロパノールの中の一つ又は複数である。
【0028】
環形成反応において、前記式(II)-R-X又は(II)-Rで表される化合物が前記溶媒におけるモル濃度は当技術分野で前記環形成反応の通常のモル濃度であり、好ましくは、0.2~1.0mol/Lであり、より好ましくは、0.4~0.8mol/Lであり、例えば、0.48mol/L、0.72mol/Lである。
【0029】
環形成反応において、前記環形成反応の温度は、当技術分野で前記環形成反応の通常の温度であり、好ましくは、25~100℃であり、より好ましくは、25~80℃であり、更に好ましくは65~80℃である。
【0030】
環形成反応において、前記環形成反応の進捗は、当技術分野で前記環形成反応の通常の検出方法(例えば、HPLC、TLC等)で監視でき、一般的に、化合物(II)-R-X又は(II)-Rが消失した時を反応の終点とし、反応時間は、好ましくは、4~10hであり、例えば、6hである。
【0031】
前記環形成反応が終了した後、好ましくは、後処理工程を更に含んでもよい。前記後処理の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは、濃縮、pHを8~9に調整、抽出、乾燥、濃縮して粗生成物を得るステップ、粗生成物を再結晶させるステップ、吸引濾過、洗浄、乾燥させるステップを含む。前記濃縮条件及び操作は、当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは減圧濃縮である。前記pHを調整する塩基は当技術分野で当該類反応の通常の塩基であり得、好ましくは炭酸ナトリウムであり、より好ましくは10%の炭酸ナトリウム水溶液である。前記抽出条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作である得る。前記抽出溶媒は当技術分野で当該類反応の通常の抽出溶媒であり得、好ましくはジクロロメタンである。前記乾燥の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作である得る。前記再結晶の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、前記再結晶の溶媒は当技術分野で当該類反応の通常の溶媒であってもよく、好ましくは、酢酸エチルとn-ヘプタン、又は酢酸エチルと石油エーテルであり、前記酢酸エチルと(n-ヘプタン又は石油エーテル)の体積比は、好ましくは1:5であり;前記再結晶の時間は当技術分野で当該類反応の通常の時間であり、例えば1hである。前記吸引濾過の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作である。前記洗浄の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、洗浄溶媒は、好ましくは、n-ヘプタン又は石油エーテルである。前記乾燥条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、例えば、ドライである。
【0032】
前記式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法は、塩基の作用下で、式(II)-R-Xで表される化合物を遊離させ、式(II)-Rで表される化合物を得るステップを更に含んでもよい。
【0033】
【0034】
前記遊離条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作と同じである。前記塩基は当技術分野で遊離で通常使用される塩基であり得、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニア水である。
【0035】
前記式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法は、式(II)で表される化合物をXと塩を形成し、結晶化させ、式(II)-R-Xで表される化合物を得るステップを更に含んでもよく;ここで、Xは有機酸である。
【0036】
【0037】
前記Xは、好ましくは、シュウ酸又はマレイン酸である。
【0038】
前記塩を形成するステップの溶媒は、好ましくは、C1-4のアルコール及び/又は水である。前記C1-4のアルコールは、好ましくは、イソプロパノール、n-ブタノール及びイソブタノールの中の1つ又は複数である。
【0039】
前記塩を形成するステップの溶媒がC1-4のアルコールと水である場合、前記C1-4アルコールと前記水の重量比は、塩形成を影響しなければ特に制限しない。
【0040】
前記塩を形成するステップの溶媒と式(II)で表される化合物の重量比は、好ましくは、(2~10):1であり、より好ましくは(3~5):1であり、更に好ましくは4:1である。
【0041】
前記式(II)で表される化合物と前記Xのモル比は、当技術分野で前記塩形成の通常のモル比であり、好ましくは(0.8~2):1であり、より好ましくは(1~1.5):1であり、更に好ましくは(1~1.3):1であり、例えば、1.1:1である。
【0042】
前記結晶化ステップの溶媒は、好ましくは、C1-4のアルコール、水及びエーテル系溶媒の混合溶媒、又はC1-4のアルコール、水及びアルカン系溶媒の混合溶媒である。前記C1-4のアルコールは、好ましくは、イソプロパノール、n-ブタノール及びイソブタノールの中の1つ又は複数である。前記エーテル系溶媒は、好ましくは石油エーテル及び/又はイソプロピルエーテルである。前記アルカン系溶媒は、好ましくは、n-ヘキサン及び/又はn-ヘプタンである。
【0043】
前記結晶化ステップの溶媒は、好ましくは、n-ブタノール、水及びイソプロピルエーテルの混合溶媒、イソブタノール、水及びイソプロピルエーテルの混合溶媒、イソブタノール、水及び石油エーテルの混合溶媒、n-ブタノール、水及びn-ヘプタンの混合溶媒、イソプロパノール、水及びイソプロピルエーテルの混合溶媒、又はイソプロパノール、水及びn-ヘキサンの混合溶媒であり、好ましくは、イソブタノール、水及びイソプロピルエーテルの混合溶媒、又はイソプロパノール、水及びイソプロピルエーテルの混合溶媒である。
【0044】
前記結晶化ステップにおいて、前記C1-4のアルコール、水及び(エーテル系溶媒又はアルカン系溶媒)の重量比は、好ましくは(2~10):1:(2~10)であり、より好ましくは(3~5):1:(4~6)であり、更に好ましくは4:1:(4~6)であり、例えば4:1:4、4:1:6である。
【0045】
前記結晶化ステップの溶媒と前記式(II)で表される化合物の質量比は、好ましくは(5~15):1であり、より好ましくは(7~11):1であり、例えば9:1、11:1である。
【0046】
前記結晶化ステップの温度は、好ましくは5~50℃であり、より好ましくは10~40℃であり、更に好ましく25~30℃である。
【0047】
前記結晶化ステップの結晶化時間は当技術分野の通常の結晶化に必要な時間を参照してもよく、好ましくは0.5~5hであり、より好ましくは1~2hである。
【0048】
結晶化ステップの回数にはSR:SS≧99.0:1.0が実現できれば特に制限しなく、例えば、2回、3回である。
【0049】
本発明の一つの好ましいの実施態様において、式(II)で表される化合物をC1-4のアルコールと水の混合溶媒に添加し、次に、順次に、有機酸、エーテル系又はアルカン系溶媒を添加し、結晶化させる。
【0050】
本発明の一つの好ましいの実施態様において、式(II)で表される化合物をC1-4のアルコールと水の混合溶媒に添加し、次に、順次に、有機酸、エーテル系又はアルカン系溶媒を添加し、結晶化させる。結晶化させて得られた生成物をC1-4のアルコールと水の混合溶媒に添加し、次に、有機酸、エーテル系又はアルカン系溶媒を添加し、結晶化させる。
【0051】
前記結晶化が終了した後、好ましくは、後処理工程を更に含んでもよい。前記後処理の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは、抽出、洗浄、乾燥させるステップを含んでもよい。前記抽出の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得る。前記洗浄の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、洗浄溶媒は、好ましくは、エーテル系溶媒及び/又はアルカン系溶媒であり、より好ましくはイソプロピルエーテル、石油エーテル、n-ヘキサン又はn-ヘプタンである。前記乾燥の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、前記乾燥温度は当技術分野で当該類反応の通常の温度であり得、例えば、65℃であり;前記乾燥時間は当技術分野で当該類反応の通常の時間であり得、例えば、12hである。
【0052】
前記式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法は、更に、溶媒において、触媒の作用下で、式(III)で表される化合物と水素ガスを以下に示すような水素化還元反応を行わせ、式(II)で表される化合物を得るステップを含んでもよい。
【0053】
【0054】
水素化還元反応において、前記溶媒は、好ましくは水及び/又はC1-4のアルコールである。前記C1-4のアルコールは、好ましくはエタノール、イソプロパノール、n-ブタノール及びイソブタノールの中の1つ又は複数である。
【0055】
水素化還元反応において、前記触媒は当技術分野で前記水素化還元反応の通常の触媒であり得、好ましくはPd/Cである。
【0056】
水素化還元反応において、前記水素ガスの圧力は、好ましくは1~30barであり、より好ましくは5~20barである。
【0057】
水素化還元反応において、前記触媒と前記式(III)で表される化合物の重量比は当技術分野で前記水素化還元反応の通常の質量比であり得、好ましくは0.05:1~0.15:1であり、より好ましくは0.1:1である。
【0058】
水素化還元反応において、前記式(III)で表される化合物の前記溶媒におけるモル濃度は当技術分野で前記水素化還元反応の通常のモル濃度であり得、好ましくは0.1~0.8mol/Lであり、より好ましくは0.3~0.5mol/Lであり、例えば0.44mol/Lである。
【0059】
水素化還元反応において、前記反応温度は当技術分野で前記水素化還元反応の通常の温度であり得、好ましくは10~50℃であり、より好ましくは20~30℃であり、例えば、25℃である。
【0060】
水素化還元反応において、前記反応の進捗は当技術分野で前記水素化還元反応の通常の検出方法(例えば、HPLC、TLC)で監視でき、一般的に、化合物IIIが消失した時を反応の終点とし、反応時間は、好ましくは、8~24hであり、より好ましくは16~20hであり、例えば、18hである。
【0061】
前記水素化還元反応は、有機酸が関与した条件下で行うことが好ましく、前記有機酸は好ましくは、クエン酸、シュウ酸及びマレイン酸の中の一つ又は複数であり、より好ましくはクエン酸である。前記有機酸と前記式(III)で表される化合物のモル比は、好ましくは(7~10):1であり、例えば8.4:1である。
【0062】
前記水素化還元反応が終了した後、好ましくは、後処理工程を更に含んでもよい。前記後処理の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは、濾過、濃縮するステップを含んでもよい。前記濾過の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得る。前記濃縮の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは、減圧濃縮である。
【0063】
前記式(I)で表されるブリバラセタムの製造方法は、更に、溶媒において、式(IV)で表される化合物とL-アミノブタンアミドを以下に示すような水素化還元反応を行わせ、式(III)で表される化合物を得るステップを含んでもよい。
【0064】
【0065】
前記溶媒は当技術分野の通常の溶媒であり得、好ましくはアルコール系溶媒であり;前記アルコール系溶媒は好ましくは、C1-4のアルコールであり、例えば、イソプロパノールである。
【0066】
前記L-アミノブタンアミドの前記溶媒における濃度は当技術分野の通常の濃度であり得、例えば、1~2mol/Lである。
【0067】
前記反応の温度は当技術分野の通常の温度であり得、例えば、30~40℃である。
【0068】
前記反応の進捗は当技術分野で前記水素化還元反応の通常の検出方法(例えば、HPLC、TLC)で監視でき、一般的に、化合物IVが消失した時を反応の終点とし、反応時間は、例えば、1~4hであり、又例えば、2~4hである。
【0069】
前記L-アミノブタンアミドは、好ましくは、L-アミノブタンアミド塩酸塩である。前記L-アミノブタンアミド塩酸塩は、アンモニアガスの条件下でL-アミノブタンアミドに遊離した後、次いで、式(IV)で表される化合物と反応させることが好ましい。前記反応時間は反応系のpH値で判断し、pHが9~10になるまで反応させることが好ましい。
【0070】
前記式(IV)で表される化合物を添加する方法は、反応に影響しなければ特に限定しなく、一回で添加しても、又はバッチで添加してもよい。
【0071】
前記反応が終了した後、好ましくは、後処理工程を更に含んでもよい。前記後処理の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは、濾過、冷却させて結晶形を析出させるステップ、濾過、洗浄するステップを含む。前記濾過の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは吸引濾過である。前記結晶形を析出させる条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、結晶形を析出させる温度は、好ましくは、0~5℃である。前記洗浄の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、前記洗浄溶媒は当技術分野で当該類反応の通常の洗浄溶媒であり得、好ましくは酢酸エチルである。
【0072】
本発明は、式(II)で表される化合物とXとを塩形成させ、結晶化させるステップを含む、式(II)-R-Xで表される化合物の製造方法を提供し;前記Xは有機酸である。
【0073】
【0074】
前記塩形成、結晶化条件及び操作は前記当該類反応の条件及び操作と同じである。
【0075】
本発明は式(II)-S-Xで表される化合物の製造方法を提供し、その方法は以下のステップを含む。
【0076】
(1)式(II)で表される化合物とXとを塩形成させ、結晶化させ、得式(II)-R-Xで表される化合物を得;
(2)ステップ(1)における結晶化した後の母液にXと溶媒を添加し、結晶形を析出させ;
【0077】
【0078】
ここで、前記Xは有機酸であり、好ましくはシュウ酸又はマレイン酸である。
【0079】
ステップ(1)において、前記塩形成、結晶化条件及び操作は前記当該類反応の条件及び操作と同じである。
【0080】
ステップ(2)において、前記溶媒は、好ましくはエーテル系溶媒であり、より好ましくは石油エーテル及び/又はイソプロピルエーテルである。
【0081】
ステップ(2)において、前記Xと前記式(II)で表される化合物のモル比は、好ましくは1:(1~4)であり、例えば、1:2である。
【0082】
ステップ(2)において、前記溶媒と前記式(II)で表される化合物の体積対質量比は、好ましくは(1~4)mL/gであり、例えば、2mL/gである。
【0083】
ステップ(2)において、前記結晶形の析出温度は、好ましくは-20~0℃であり、例えば、-10℃である。
【0084】
ステップ(2)において、前記結晶形の析出ステップの結晶形の析出時間は当技術分野で結晶形の析出ための通常の必要の時間を参照することができ、例えば、0.5~5hであり、又例えば、2~4hである。
【0085】
ステップ(2)が終了した後、好ましくは、後処理工程を更に含んでもよい。前記後処理の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは、濾過、洗浄、乾燥させるステップを含む。前記濾過の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、好ましくは吸引濾過である。前記洗浄の条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、前記洗浄の溶媒は、好ましくはエーテル系溶媒であり、例えば、石油エーテル及び/又はイソプロピルエーテルである。前記乾燥条件及び操作は当技術分野で当該類反応の通常の条件及び操作であり得、前記乾燥温度は当技術分野の通常の温度であり得、例えば、50℃であり、前記乾燥時間は当技術分野の通常の時間であり得、例えば、12hである。
【0086】
本発明は、更に、溶媒において、触媒の作用下で、式(III)で表される化合物と水素ガスを以下に示す水素化還元反応を行わせ、式(II)で表される化合物を得るステップを含む、式(II)で表される化合物の製造方法を提供する。
【0087】
【0088】
前記水素化還元反応の条件及び操作はいずれも前記水素化還元反応の条件及び操作と同じである。
【0089】
前記式(II)で表される化合物の製造方法は、溶媒において、式(IV)で表される化合物とL-アミノブタンアミドを以下に示す反応を行わせ、式(III)で表される化合物を得るステップを含んでもよい。
【0090】
【0091】
前記反応の条件及び操作はいずれも前記当該反応の条件及び操作と同じである。
【0092】
温度が特に強調されない限り、それは通常に室温で反応が行われることを意味し、本発明における室温は、20~30℃である。
【0093】
当技術分野の常識に違反しないことに基づいて、前記好ましい条件は任意に組み合わせて、本発明の好ましい実施例を得ることができる。
【0094】
特に説明しない限り、本発明で使用される試薬及び原材料は市販で入手できる。
【0095】
本発明の積極的な進歩は:
本発明はn-バレルアルデヒド及びグリオキシル酸を原材料とし、安価で入手が容易であり、且つ、得られた生成物をカラムクロマトグラフィーで分離する必要がなく、同時に反応過程で金属試薬を必要としない。本発明で提供されるブリバラセタムの合成経路は、ステップが短く、原材料が安く、簡潔・効率的であり、カラムクロマトグラフィーで異性体を分離又は非対称合成する必要がなく、製造コストを低減させ、工業化された大規模生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本発明をより詳細に説明するために、以下、実施例に結合してより詳しく説明する。以下の実施例は本発明をの説明のみに使用し、本発明を制限するものではないことを理解されたい。以下の実施例に記載されている異性体比率は、いずれもHPLCで測定される。
【0097】
実施例1:5-ヒドロキシ-4-プロピルフラン-2(5H)-オン(IV)の製造
【0098】
【0099】
n-ヘプタン125mLとモルフォリン30mLを三口フラスコに添加し、常温下で10分間攪拌して均一に混合させ、4℃以下に冷却させ、50%のアルデヒド酸水溶液25.0gを滴下した。滴下完了後25~30℃に昇温させ、2時間攪拌反応させ、次に40℃以下でゆっくりとn-バレルアルデヒド30.5gを添加し、続いて18時間攪拌反応させた。反応完了後、20℃に冷却させ、ゆっくりと濃塩酸21.3gを滴下して攪拌した。
【0100】
室温に冷却させ、放置してn-ヘプタン相を除去した。水相に酢酸エチル100mLを添加し、ゆっくりと炭酸ナトリウム固体を添加してpH=4に調整し、有機相を分離して取り、次に酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引濾過し、減圧濃縮して褐色の油状物である5-ヒドロキシ-4-プロピルフラン-2(5H)-オン(IV)43.9gを得、収率は91.5%であった。1HNMR(400MHz、Chloroform-d)δ0.93~1.00(t、3H)、1.56~1.67(q、2H)、2.31~2.43(q、2H)、5.81(s、1H)、6.02(s、1H).MS(ESI)m/z=143(M+H)+。
【0101】
実施例2:(2S)-2-(2-ヒドロキシ-5-オキソ-3-プロピル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ブタンアミド(III)の製造
【0102】
【0103】
アミノブタンアミド塩酸塩96.2gを1000mlのイソプロパノールに混合・溶解させ、反応系のpH値が9~10になり、且つ、pH値が変化しなくなるまでアンモニアガスを通過させ、遊離させた。濾過して塩を除去し、濾液を500mLに濃縮して後で使用するために用意した。
【0104】
5-ヒドロキシ-4-プロピルフラン-2(5H)-オン(IV)98.4gをバッチで500mLの前記アミノブタンアミド溶液に添加し、温度を30~40℃に控え、2時間以上反応させた。反応完了後、濾過して塩を除去し、濾液を0~5℃までゆっくりと冷却させて結晶形を析出させ、吸引濾過し、少量の酢酸エチルですすぎ、白色固体(2S)-2-(2-ヒドロキシ-5-オキソ-3-プロピル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ブタンアミド(III)139.2gを得、収率は88.8%であった。1HNMR(500MHz、Chloroform-d)δ6.45(s、1H)、5.89(s、1H)、5.85(s、1H)、5.57(s、1H)、3.42(s、1H)、2.39(s、3H)、1.82(dq、J=14.4、7.4、6.9Hz、1H)、1.74(dt、J=14.2、7.2Hz、1H)、1.67(dd、J=14.6、7.2Hz、2H)、1.02(dt、J=11.3、7.4Hz、6H).MS(ESI)m/z=227(M+H)+。
【0105】
実施例3:3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(II)の製造
【0106】
【0107】
(2S)-2-(2-ヒドロキシ-5-オキソ-3-プロピル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ブタンアミド(III)15.0gを150mlの水に添加し、次に1.5gのクエン酸と5%のPd/C1.5gを添加し、均一に攪拌し、窒素ガスで置換した。水素を20バールまで通過させ、常温で一晩攪拌反応させた。反応終了後、濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液を50℃以下の温度でスピン乾燥させ、淡黄色の油状物である3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(II)16.3gを得、収率は93.7%であった。1HNMR(400MHz、DMSO-d6)δ7.34(s、1H)、7.01(s、1H)、2.96~2.79(m、1H)、2.56(dd、J=11.6、4.9Hz、1H)、2.40(d、J=4.8Hz、1H)、2.29(ddt、J=28.6、20.1、10.3Hz、1H)、2.13(ddd、J=21.1、11.9、5.2Hz、1H)、1.93~1.74(m、1H)、1.49(tt、J=13.6、6.5Hz、2H)、1.41~1.07(m、4H)、0.82(dt、J=29.2、6.6Hz、6H).MS(ESI)m/z=231(M+H)+。
【0108】
前記還元反応操作を繰り返し、異なる溶媒、有機酸、水素ガスの圧力を使用し、常温(25℃)で18時間反応させた後、分離して収率を計算し、実験結果は表1に示す通りであった:
【0109】
【0110】
実施例4:(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸シュウ酸塩(II)-R-1の製造
【0111】
【0112】
3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(II)100gを400gのイソブタノールと100gの水を含む混合溶媒に溶解させ、次に、35.2gのシュウ酸を添加して塩を形成させ、435gのイソプロピルエーテルを滴下し、25~30℃で1~2時間撹拌して結晶化させ、吸引濾過し、固体をイソプロピルエーテルで洗浄し、65℃で12時間乾燥させ、100gの白色固体を得、異性体比率はSR:SS=80:20であった。
【0113】
100gの前記白色固体を4倍重量のイソブタノールと1倍重量の水に溶解させ、4倍重量のイソプロピルエーテルを滴下して結晶化させ、このステップを2回繰り返し、28.5gの白色固体である(R)-3-(((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸シュウ酸塩(II)-R-1を得、異性体比率はSR:SS=99.8:0.2であった。収率は20.5%であった。1HNMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.05(s、1H)、7.65(s、1H)、3.63(t、J=6.3Hz、1H)、2.85(t、J=9.6Hz、1H)、2.78~2.61(m、1H)、2.43(dd、J=16.5、5.8Hz、1H)、2.25(dd、J=16.5、6.6Hz、1H)、2.10(s、1H)、1.78(ddt、J=30.3、15.3、7.9Hz、2H)、1.57~1.11(m、4H)、0.87(dd、J=13.7、7.1Hz、6H).MS(ESI)m/z=231(M+H)+。
【0114】
前記操作を繰り返し、異なる溶媒系を使用して結晶化させ(3回結晶化させる)、実験結果は表2に示す通りであった:
【0115】
【0116】
実施例5:ブリバラセタム(I)の製造
【0117】
【0118】
異性体比率がSR:SS=99.8:0.2である9.3gの(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸シュウ酸塩(II)-R-1を60mLのイソプロパノールに溶解させ、還流温度まで加熱して6時間反応させた後冷却させ、減圧濃縮し;得られた濃縮溶液を10%の炭酸ナトリウム水溶液で反応系のpHを8~9に調整し、次にジクロロメタンで抽出し、乾燥させ、濃縮して、6.1gの粗生成物を得た。
【0119】
粗生成物を6.0mLの酢酸エチルに溶解させ、30mLのn-ヘプタンを滴下し、室温で1時間撹拌して結晶化させ、吸引濾過し、n-ヘプタンで洗浄し、乾燥させてブリバラセタム(I)5.5gを得、異性体比はSR:SS=99.8:0.2であり、収率は89.3%であった。1HNMR(400MHz、CDCl3)δ6.53(s、1H)、5.89(s、1H)、4.43(dd、J=9.0、6.8Hz、1H)、3.44(dd、J=9.8、7.9Hz、1H)、3.01(dd、J=9.8、7.1Hz、1H)、2.52(dd、J=16.7、8.6Hz、1H)、2.35~2.18(m、1H)、2.04(dd、J=16.7、8.1Hz、1H)、1.87(dd、J=14.2、7.1Hz、1H)、1.74~1.47(m、1H)、1.43~1.33(m、2H)、1.27(ddd、J=11.4、8.2、5.8Hz、2H)、0.85(dd、J=13.6、7.3Hz、6H).MS(ESI)m/z=213(M+H)+。
【0120】
前記操作を繰り返し、異なる閉環条件を採用し、実験結果は表3に示す通りであった:
【0121】
【0122】
実施例6:(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸マレイン酸塩(II)-R-2の製造
【0123】
【0124】
3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(II)100gを400gのn-ブタノールと100gの水を含む混合溶媒に溶解させ、次に、45.4gのマレイン酸を添加して塩を形成させ、290gのイソプロピルエーテルを滴下し、25~30℃で1~2時間攪拌して結晶化させ、吸引濾過し、固体をイソプロピルエーテルで洗浄し、65℃で12時間乾燥させ、88gの白色固体を得、異性体比率はSR:SS=76:24であった。
【0125】
前記88gの白色固体を4倍重量のn-ブタノールと1倍重量の水に溶解させ、4倍重量のイソプロピルエーテルを滴下して結晶化させ、2回繰り返し、21.8gの白色固体である(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸マレイン酸塩(II)-R-2を得、異性体比率はSR:SS=99.6:0.4であった。収率は14.5%であった。1HNMR(400MHz、DMSO-d6)δ7.98(s、1H)、7.73(s、1H)、6.04(s、2H)、3.83~3.58(m、1H)、3.02~2.66(m、2H)、2.27(dd、J=16.6、6.5Hz、1H)、2.11(s、1H)、1.80(ddt、J=29.9、15.0、7.5Hz、2H)、1.32(d、J=42.8Hz、4H)、0.90(dd、J=17.2、8.5Hz、6H).MS(ESI)m/z=231(M+H)+。
【0126】
前記操作を繰り返し、異なる溶媒系を使用して結晶化させ(3回結晶化させる)、実験結果は表4に示す通りであった:
【0127】
【0128】
実施例7:ブリバラセタム(I)の製造
【0129】
【0130】
10.0gの異性体比率がSR:SS=99.7:0.3である(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸マレイン酸塩(II)-R-2を60mLのエタノールに溶解させ、還流温度まで加熱して6時間反応させた後冷却し、減圧濃縮し;濃縮溶液を10%の炭酸ナトリウム水溶液でpHを8~9に調整し、次にジクロロメタンで抽出し、抽出液を乾燥させ、濃縮し、5.5gの粗生成物を得た。
【0131】
粗生成物を6.0mLの酢酸エチルに溶解させ、30mLの石油エーテルを滴下し、室温で1時間撹拌して結晶化させ、吸引濾過し、石油エーテルで洗浄し、乾燥させ、ブリバラセタム(I)5.0gを得、異性体比率はSR:SS=99.7:0.3であり、収率は81.6%であった。構造の同定データは、実施例5を参照されたい。
【0132】
実施例8:(S)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸マレイン酸塩(II)-S-2の製造
【0133】
【0134】
実施例6の分離して得られた母液を反応フラスコに添加し、25.3gのマレイン酸を添加し、200mLのイソプロピルエーテルを滴下し、撹拌下で-10℃に冷却させ、3時間結晶形を析出させ、低温で吸引濾過し、イソプロピルエーテルで洗浄し、50℃で12時間乾燥させ、16.2gの白色固体である(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸マレイン酸塩(II)-S-2を得、異性体比率はSR:SS=3.1:96.9であり、収率は22%であった。1HNMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.00(s、1H)、7.74(s、1H)、6.06(s、2H)、3.71~3.62(m、2H)、2.89(dd、J=12.3、4.9Hz、1H)、2.75(dd、J=12.0、7.9Hz、1H)、2.49~2.39(m、1H)、2.37~2.18(m、1H)、2.11(s、1H)、1.83(dd、J=12.4、7.1Hz、2H)、1.27(s、4H)、0.97~0.66(m、6H)。
【0135】
実施例9:ブリバラセタム(I)の製造
【0136】
【0137】
実施例4で得られた(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸シュウ酸塩(II)-R-1を水に溶解させ、水素化ナトリウムでpH=10に調整し、次にジクロロメタンで抽出し、乾燥させ、濃縮して(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)-アミノ)メチル)ヘキサン酸(II)-Rを得ることができる。
【0138】
5.0gの異性体比率がSR:SS=99.8:0.2である(R)-3-((((S)-1-アミノ-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)メチル)ヘキサン酸(II)-Rを30mLのイソプロパノールに溶解させ、還流温度まで加熱して4時間反応させ、減圧濃縮し;得られた粗生成物を5.0mLの酢酸エチルに溶解させ、25mLのn-ヘプタンを滴下し、室温で1時間撹拌して結晶化させ、吸引濾過し、n-ヘプタンで洗浄し、乾燥させてブリバラセタム(I)4.3gを得、異性体比率はSR:SS=99.8:0.2であり、収率は93.2%であった。構造の同定データは、実施例5を参照されたい。
【0139】
以上で、本発明の具体的な実施形態を説明したが、当技術分野の業者は、これらは単なる例であり、本発明の原理及び本質から逸脱しない前提下で、これらの実施形態に様々な変更又は修正を加えることができることを理解すべきである。従って、本発明の保護範囲は、添付の請求の範囲によって限定される。