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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/16 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
B65D43/16 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021150609
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2021-12-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 孔太
(72)【発明者】
【氏名】杉本 誠二
(72)【発明者】
【氏名】尾木 隆晟
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-051182(JP,U)
【文献】特開2020-133408(JP,A)
【文献】特開2006-110243(JP,A)
【文献】特開平10-017003(JP,A)
【文献】実開平03-120468(JP,U)
【文献】実開昭60-052215(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに合わされて容器を構成する1対の容器構成体が、互いの合わせ面を同じ側に向けられてかつヒンジ部で連結された状態で樹脂にて一体に発泡成形されている容器であって、
前記ヒンジ部は、前記合わせ面から陥没しかつ前記1対の容器構成体が合わされるのに伴って互いに面当接する1対の内側面をV形に配置して備えるV溝を有して、前記V溝の底部に向かうに従って肉厚を徐々に薄くし、
前記ヒンジ部のうち少なくとも前記V溝の底部が、前記1対の容器構成体が合わされると引っ張られ、
前記V溝は、前記ヒンジ部に2つ設けられ、
それら2つのV溝の間の山部の頂上が前記合わせ面より低い位置に配置され、
前記2つのV溝の計4つの前記内側面のうち最も離れた2つの前記内側面の一部が互いに当接する容器。
【請求項2】
前記1対の容器構成体が合わされたときに、一部が互いに当接する前記2つの内側面の間で前記山部が圧縮変形する請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記ヒンジ部のうち前記2つのV溝を有する面とは反対側の外面全体が、円弧状の溝になっている請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
互いに合わされて容器を構成する1対の容器構成体が、互いの合わせ面を同じ側に向けられてかつヒンジ部で連結された状態で樹脂にて一体に発泡成形されている容器であって、
前記ヒンジ部は、前記合わせ面から陥没しかつ前記1対の容器構成体が合わされるのに伴って互いに面当接する1対の内側面をV形に配置して備えるV溝を有して、前記V溝の底部に向かうに従って肉厚を徐々に薄くし、
前記ヒンジ部のうち少なくとも前記V溝の底部が、前記1対の容器構成体が合わされると引っ張られ、
前記ヒンジ部に前記V溝を1つ有する容器。
【請求項5】
前記1対の容器構成体が合わされた状態で、前記V溝の1対の内側面と、前記1対の容器構成体同士の前記合わせ面とが、同一平面内に位置する請求項4に記載の容器。
【請求項6】
互いに合わされて容器を構成する1対の容器構成体が、互いの合わせ面を同じ側に向けられてかつヒンジ部で連結された状態で樹脂にて一体に発泡成形されている容器であって、
前記ヒンジ部には、前記1対の容器構成体の互いに対向する外面のうち前記合わせ面から離れた2位置間に差し渡された帯板部が含まれ、
前記1対の容器構成体が合わされると、前記帯板部の両端部が曲げ変形されかつ、前記ヒンジ部のうち少なくとも前記帯板部の両端部の間が引っ張られる容器。
【請求項7】
前記1対の容器構成体が合わされると、前記帯板部が前記1対の容器構成体の外面に重ねられる請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記帯板部の両端部が、前記帯板部のうち両端部の間の部分よりも薄くなっている請求項6又は7に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の容器として、複数の容器構成体を合わせてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-076848(図1、段落[0014]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器構成体同士を合わせ易くする技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の容器は、互いに合わされて容器を構成する1対の容器構成体が、互いの合わせ面を同じ側に向けられてかつヒンジ部で連結された状態で樹脂にて一体に発泡成形されている容器であって、前記ヒンジ部は、前記合わせ面から陥没しかつ前記1対の容器構成体が合わされるのに伴って互いに面当接する1対の内側面をV形に配置して備えるV溝を有して、前記V溝の底部に向かうに従って肉厚を徐々に薄くし、前記ヒンジ部のうち少なくとも前記V溝の底部が、前記1対の容器構成体が合わされると引っ張られ、前記V溝は、前記ヒンジ部に2つ設けられ、それら2つのV溝の間の山部の頂上が前記合わせ面より低い位置に配置され、前記2つのV溝の計4つの前記内側面のうち最も離れた2つの前記内側面の一部が互いに当接する容器である。
【0010】
請求項の容器は、前記1対の容器構成体が合わされたときに、一部が互いに当接する前記2つの内側面の間で前記山部が圧縮変形する請求項に記載の容器である。
【0011】
請求項の容器は、前記ヒンジ部のうち前記2つのV溝を有する面とは反対側の外面全体が、円弧状の溝になっている請求項1又は2に記載の容器である。
【0012】
請求項の容器は、互いに合わされて容器を構成する1対の容器構成体が、互いの合わせ面を同じ側に向けられてかつヒンジ部で連結された状態で樹脂にて一体に発泡成形されている容器であって、前記ヒンジ部は、前記合わせ面から陥没しかつ前記1対の容器構成体が合わされるのに伴って互いに面当接する1対の内側面をV形に配置して備えるV溝を有して、前記V溝の底部に向かうに従って肉厚を徐々に薄くし、前記ヒンジ部のうち少なくとも前記V溝の底部が、前記1対の容器構成体が合わされると引っ張られ、前記ヒンジ部に前記V溝を1つ有する容器である。
【0013】
請求項の容器は、前記1対の容器構成体が合わされた状態で、前記V溝の1対の内側面と、前記1対の容器構成体同士の前記合わせ面とが、同一平面内に位置する請求項に記載の容器である。
【0014】
請求項の容器は、互いに合わされて容器を構成する1対の容器構成体が、互いの合わせ面を同じ側に向けられてかつヒンジ部で連結された状態で樹脂にて一体に発泡成形されている容器であって、前記ヒンジ部には、前記1対の容器構成体の互いに対向する外面のうち前記合わせ面から離れた2位置間に差し渡された帯板部が含まれ、前記1対の容器構成体が合わされると、前記帯板部の両端部が曲げ変形されかつ、前記ヒンジ部のうち少なくとも前記帯板部の両端部の間が引っ張られる容器である。
【0015】
請求項の容器は、前記1対の容器構成体が合わされると、前記帯板部前記1対の容器構成体の外面に重ねられる請求項に記載の容器である。
【0016】
請求項の容器は、前記帯板部の両端部が、前記帯板部のうち両端部の間の部分よりも薄くなっている請求項6又は7に記載の容器である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,4,6の容器では、容器構成体同士を連結するヒンジ部を有するので、互いに連結されていない容器構成体同士を合わせる場合に比べて、容器構成体同士を合わせ易くすることが可能となる。
【0018】
請求項1,4の容器では、ヒンジ部が、V溝を有し、そのV溝の底部に向かうに従って肉厚を徐々に薄くするので、 V溝が形成された部分でヒンジ部を折り曲げ易くすることが可能となる。
【0020】
請求項の容器では、隣合うV溝の間の山部の頂上が合わせ面よりも低い位置に配置されるので、合わせ面同士を合わせるときに山部が干渉することを抑制することが可能となる。また、請求項の容器では、2つのV溝の4つの内側面のうち最も離れた2つの内側面の一部が互いに当接するので、合わせ面同士を当接させ易くすることが可能となる。さらに、請求項の容器では、上記2つの内側面で山部が圧縮変形されるので、合わせ面同士をより容易に当接させることが可能となる。
【0021】
請求項の容器では、ヒンジ部のうち2つのV溝を有する面とは反対側の外面全体が、円弧状の溝になっているので、1対の容器構成体の合わせ面同士が合わされるときに、折り曲げられたヒンジ部の出っ張りを抑制することが可能となる。これにより、1対の容器構成体が合わされたときの容器をコンパクトにすることが可能となると共に容器の見栄えを良くすることが可能となる。
【0022】
請求項の容器のように、ヒンジ部にV溝が1つだけあってもよい。この場合、1対の容器構成体が合わされた状態で、V溝の1対の内側面と、1対の容器構成体同士の合わせ面とが、同一平面内に位置するようにしてもよい(請求項の容器)。
【0023】
請求項の容器では、ヒンジ部に、1対の容器構成体の互いに対向する外面のうち、合わせ面から離れた2位置間に差し渡された帯板部が含まれる。そして、1対の容器構成体が合わされると、帯板部の両端部が曲げ変形されかつ、帯板部の両端部の間が引っ張られる。これにより、1対の容器構成体同士が合わされたときのヒンジ部の出っ張りを抑制可能となる。
【0024】
請求項の容器では、1対の容器構成体が合わされると、帯板部が1対の容器構成体の外面に重ねられるので、ヒンジ部の出っ張りをより抑制可能となる。
【0025】
請求項の容器では、帯板部の両端部が、帯板部のうち両端部の間の部分よりも薄くなっている。従って、帯板部の両端部を曲げやすくなり、1対の容器構成体が合わされたときに、帯板部、即ち、ヒンジ部の出っ張りをより抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の第1実施形態に係る容器の斜視図
図2】展開状態の容器の平面図
図3】展開状態の容器の図2におけるA-A断面図
図4】閉状態の容器の断面図
図5】第2実施形態に係る容器の斜視図
図6】第2実施形態に係る容器の展開状態のときの平面図
図7】第2実施形態に係る容器の図6におけるB-B断面図
図8】第2実施形態に係る容器の閉状態のときの断面図
図9】第3実施形態に係る容器の斜視図
図10】第3実施形態に係る容器の展開状態のときの平面図
図11】第3実施形態に係る容器の図10におけるC-C断面図
図12】第3実施形態に係る容器の閉状態のときの断面図
図13】第3実施形態に係る容器の成形型内で成形されたときの断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
図1には、本開示の第1実施形態に係る容器10が示されている。容器10は、1対の容器構成体20が、ヒンジ部30で連結されてなる。容器10は、1対の容器構成体20が合わせ面21Mで合わされると、内部に収容空間R(図4参照)が形成されるように構成されている。1対の容器構成体20は、合わせ面21M同士が同じ側を向いた展開状態(図3参照)と、ヒンジ部30が折れ曲がって上述のように合わせ面21M同士が合わされた閉状態(図4参照)と、に変化可能となっている。なお、本実施形態の例では、1対の容器構成体20は、展開状態になったときに、互いの合わせ面21Mが同じ方向を向き、同一平面内に位置するようになっている。
【0028】
本実施形態の例では、各容器構成体20には、閉状態のときに収容空間Rを形成する凹部22が設けられている。そして、凹部22の開口縁が、上述の合わせ面21Mになっている。なお、本実施形態の例では、各合わせ面21Mは、各凹部22の開口の周方向の全体に延びて環状になっている。また、図1及び2に示すように、本実施形態の例では、各凹部22の開口は、長方形状をなし、各合わせ面21Mは、略長方形の環状になっている。
【0029】
詳細には、例えば、各容器構成体20は、底部23の外縁部から包囲壁24が立設されてなる。そして、包囲壁24の内側に上述の凹部22が形成されると共に、包囲壁24の先端面が上述の合わせ面21Mになっている。例えば、底部23は、凹部22の開口の長手方向に長くなった平面視略長方形状をなし、包囲壁24は、凹部22の長手方向で互いに対向する1対の短辺側壁24Mと、凹部22の短手方向で互いに対向する1対の長辺側壁24Nと、を有している。
【0030】
ヒンジ部30は、1対の容器構成体20の一側面同士を連絡している。本実施形態の例では、各容器構成体20の一方の長辺側壁24Nの外面同士を連絡している。なお、例えば、ヒンジ部30は、上記一方の長辺側壁24N同士のうち、合わせ面21M側の端部(底部23から離れた側の端部)における上記長手方向の中央部を連絡している(図1図3参照)。
【0031】
図3に示すように、本実施形態の例では、ヒンジ部30には、V溝31が形成されている。V溝31は、ヒンジ部30において展開状態で合わせ面21Mと同じ側を向く面(閉状態のときに内側を向く面)に形成されている。図1及び図2に示すように、V溝31は、ヒンジ部30において1対の容器構成体20同士の連結方向と直交する幅方向に延びていて、かつヒンジ部30の幅方向全体に延びている。図3に示すように、V溝31は、合わせ面21Mから陥没し、ヒンジ部30は、V溝31の底部に向かうに従って肉厚が徐々に薄くなるように形成されている。
【0032】
V溝31は、ヒンジ部30に複数設けられていてもよい。例えば、複数のV溝31は、その溝幅方向(ヒンジ部30の連結方向)に隣接していて、V溝31同士の間には、断面三角形状の山部32が形成されていてもよい。本実施形態の例では、V溝31は2つ設けられていると共にそれらの間に山部32が設けられていて、上記山部32の頂上が、合わせ面21Mよりも低い位置に(例えば僅かに低い位置に)配置されている(図3参照)。また、例えば、ヒンジ部30のうち2つのV溝31を有する面とは反対側の外面に(例えば、この外面全体に)、ヒンジ部30の幅方向に延びる円弧状の溝33が形成されていてもよい。なお、例えば、2つのV溝31が、ヒンジ部30の両端部(容器構成体20への付け根部)に形成されることで、ヒンジ部30のうちそれらV溝31の間の部分(例えばヒンジ部30における1対の容器構成体20の連結方向の中央部)よりもヒンジ部の付け根部分が薄肉になっていてもよい。
【0033】
本実施形態の容器10は、1対の容器構成体20とヒンジ部30が一体に成形されてなる。容器10は、例えば、樹脂の一体成形品であり、具体的には、例えば、弾性体で構成される。本実施形態の例では、容器10は、各容器構成体20とヒンジ部30が一体に発泡成形されている発泡成形品である。また、本実施形態では、容器10は、成形金型内において、1対の容器構成体20の合わせ面21M同士が同じ側を向く上述の展開状態で成形される。
【0034】
上述のように、ヒンジ部30を折り曲げて1対の容器構成体20の合わせ面21M同士を当接させると、図4に示される閉状態の容器10となる。本実施形態の例では、閉状態を維持するために1対の容器構成体20同士を固定する固定部材40が設けられる。例えば、固定部材40は、各容器構成体20のうち凹部22を挟んでヒンジ部30とは反対側に位置する部分同士を固定する。本実施形態の例では、各容器構成体20において、ヒンジ部30とは反対側の長辺側壁24Nから、重なり張出部25が外側に張り出していて、各容器構成体20の重なり張出部25同士が、閉状態で重ねられ、固定部材40により固定される。具体的には、例えば、各重なり張出部25には、重なり張出部25同士の重なり方向で互いにつながる貫通孔25Aが形成されていて、それら貫通孔25Aに固定部材40が挿通される。なお、例えば、各容器構成体20の重なり張出部25は、ヒンジ部30とは反対側の長辺側壁24Nのうち、合わせ面21M側の端部から張り出している。また、本実施形態の例では、各容器構成体20の重なり張出部25は、閉状態のときに互いに重ね合わされる面がそれぞれ合わせ面21Mと面一になった略板状をなしている。
【0035】
なお、例えば、各容器構成体20には、重なり張出部25が複数ずつ設けられていてもよく、本実施形態の例では、重なり張出部25は、長辺側壁24Nの長手方向の両端寄りの2箇所に設けられている。
【0036】
本実施形態の例では、固定部材40は、棒状部41と、棒状部41の両端部から外側に張り出した張出係止部42と、を有している。固定部材40は、上述のように、閉状態で重なり合った1対の重なり張出部25に挿通される。具体的には、棒状部41が、それら重なり合った1対の重なり張出部25の貫通孔25Aに挿通されると共に、張出係止部42が、それら貫通孔25Aの互いに反対側の開口縁に係止する。これにより、重なり合った1対の重なり張出部25同士が固定され、1対の容器構成体11同士が固定される。なお、張出係止部42は、貫通孔25Aの大きさよりも太くなっているが(例えば貫通孔25Aよりも大径になっているが)、圧入されることで、貫通孔25Aを通過可能になっている。
【0037】
詳細には、本実施形態の例では、張出係止部42は、棒状部41から離れる側に先細りする形状(例えば、円錐形状、角錐形状、円錐台形状又は角錐台形状)を有している。このように、張出係止部42が、先細り形状を有していたり、重なり張出部25が発泡体等の弾性体で構成されていたりすることで、貫通孔25Aに対して張出係止部42を通過させ易くすることが可能となる。また、本実施形態の例では、張出係止部42のうち棒状部41側を向く面は、段差面42Mになっている。このように段差面42Mが形成されていることで、張出係止部42を、重なり張出部25の貫通孔25Aの開口縁に係止させ易くすることが可能となる。なお、本実施形態の例では、固定部材40は、棒状部41の軸方向で対称な形状になっている。従って、棒状部41の軸方向で固定部材40の向きを合わせる必要がなくなり、1対の容器構成体20同士の固定作業を容易にすることが可能となる。
【0038】
図4に示すように、1対の容器構成体20同士が合わされて閉状態になると、ヒンジ部30が折り曲げられる。このとき、本実施形態の例では、V溝31の内面を構成する1対の内側面31Mは、互いに面当接する。また、2つのV溝31のうち最も離れた2つの内側面31MAの一部が互いに当接する(図4における当接箇所T参照)。さらに、このとき、2つのV溝31の間の山部32が、これら内側面31MAの間で圧縮変形する。本実施形態の例では、このようにして、ヒンジ部30のうちV溝31が形成された内側面が、1対の容器構成体20の外面に隙間なく密着する。なお、本実施形態の例では、各V溝31における1対の内側面31M同士が、略直交している。
【0039】
ここで、1対の容器構成体20同士が合わされて閉状態になると、ヒンジ部30の少なくとも一部が、容器構成体20同士の重なり方向で引っ張られる。これにより、ヒンジ部30に、1対の容器構成体20の合わせ面21M同士を密着させるように復元力を生じさせることが可能となり、合わせ面21M同士の密着性を高めることが可能となる。詳細には、本実施形態の例では、閉状態において、容器構成体20同士の重なり方向で、ヒンジ部30のうちV溝31の底部が引っ張られる。なお、例えば、図3に示すように、展開状態で、ヒンジ部30の外側面(V溝31と反対側の面)と容器構成体20の外面との境界Pに対する合わせ面21Mの高さHが、ヒンジ部30の長さ(容器構成体20同士の連絡方向の長さで、境界P間の長さ)に対して略半分であることが好ましい。
【0040】
本実施形態の容器10では、容器構成体20同士を連結するヒンジ部30を有するので、互いに連結されていない容器構成体20同士を合わせる場合に比べて、容器構成体20同士を合わせ易くすることが可能となる。例えば、容器構成体の向きを合わせること等が容易になり、容器構成体20同士を合わせ易くすることが可能となる。また、1対の容器構成体20が発泡樹脂で成形されるので、1対の容器構成体20の互いの合わせ面21M同士を密着させ易くすることが可能となる。また、1対の容器構成体20が合わされると、ヒンジ部30の少なくとも一部が引っ張られるので、合わせ面21M同士(特にヒンジ部30周辺の部分)をより密着させ易くすることが可能となる。また、ヒンジ部30が引っ張られることで、ヒンジ部30が引っ張られずに弛んでいる場合に比べて、合わせ面21M同士がずれることを抑制可能となり、合わせ面21M同士をより合わせ易くすることが可能となる。また、ヒンジ部30が引っ張られることで、合わせ面21M同士の密着性を向上させることが可能となるので、固定部材40による固定箇所を少なくすることが可能となり、部品点数を減らすことが可能となる。
【0041】
なお、容器10の用途や、容器10の収容空間Rに収容される収容物は、特定のものに限定されるものではない。例えば、容器10は、乗り物(例えば自動車)内に設置され、コンプレッサ(例えばカーエアコンのコンプレッサ)を収容するものであってもよい。例えば、コンプレッサ等のように、容器10に、騒音源となるものを密閉したい場合等に、上述のように合わせ面21同士が密着し易くなることで、合わせ面21の隙間から外部へ騒音が漏れることを抑制可能となる。
【0042】
また、本実施形態の容器10では、閉状態のときに、ヒンジ部30が引っ張られることにより、ヒンジ部30の外側への出っ張りを抑制することが可能となる。なお、本実施形態の容器10は、合わせ面21M同士が同じ側を向くように連結されて成形されるものなので、1対の容器構成体20の合わせ面21M同士を合わせたときに、ヒンジ部30の少なくとも一部が引っ張られる構成を容易に実現することが可能となる。
【0043】
本実施形態の容器10では、ヒンジ部30が、V溝31を有し、そのV溝31の底部に向かうに従って肉厚を徐々に薄くするので、 V溝31が形成された部分でヒンジ部30を折り曲げ易くすることが可能となる。また、1対の容器構成体が合わされると、ヒンジ部のうちV溝の底部が引っ張られるので、上述のように、合わせ面同士を密着させ易くすることが可能となると共に、1対の容器構成体20が合わされたときのヒンジ部の出っ張りを抑えることが可能となる。
【0044】
本実施形態の容器10では、V溝31がヒンジ部30に複数設けられているので、ヒンジ部30を折り曲げ易くすることが可能となる。また、隣合うV溝31の間の山部32の頂上が合わせ面21Mよりも低い位置に配置されるので、合わせ面21M同士を合わせるときに山部が干渉することを抑制することが可能となる。また、本実施形態の容器10では、2つのV溝31の間の4つの内側面31Mのうち最も離れた2つの内側面31MAの一部が互いに当接するので、それら2つの内側面31MAの間に山部32が格納され、山部32との干渉で合わせ面21M同士が当接し難くなることが抑制可能となる。さらに、本実施形態の容器10では、上記2つの内側面31MAにより山部32が圧縮変形するので、合わせ面21M同士をより容易に当接させることが可能となる。
【0045】
本実施形態の容器10では、ヒンジ部30のうち2つのV溝31を有する面とは反対側の外面全体が、円弧状の溝33になっているので、ヒンジ部30が折り曲げられて1対の容器構成体20の合わせ面21M同士が合わされるときに、ヒンジ部30が出っ張ることを抑制可能となる。これにより、1対の容器構成体20が合わされたときの容器10をコンパクトにすることが可能となると共に容器10の見栄えを良くすることが可能となる。
【0046】
[第2実施形態]
図5図8には、第2実施形態の容器10が示されている。本実施形態の容器10では、上記第1実施形態の容器10に対して、ヒンジ部30の構成が異なっていて、それ以外の構成については同様である。
【0047】
図5及び図7に示すように、本実施形態の例では、ヒンジ部30にV溝31が1つだけ形成されていて、例えば、V溝31は、ヒンジ部30のうち1対の容器構成体20の連結方向の中央部に設けられている。
【0048】
図8に示すように、1対の容器構成体20が合わせ面21Mで合わされて閉状態になると、ヒンジ部30が折り曲げられる。このとき、V溝31の1対の内側面31M同士が面当接する。なお、このとき、本実施形態の例では、これら面当接した内側面31Mと、1対の容器構成体20の合わせ面21Mとが、同一平面内に位置する。
【0049】
本実施形態においても、1対の容器構成体20が合わされて容器10が閉状態になると、ヒンジ部30の少なくとも一部(具体的には、ヒンジ部30のV溝31の底部)が、容器構成体20同士の重なり方向で引っ張られる。
【0050】
本実施形態の容器10によっても、上記第1実施形態の容器10と同様に、容器構成体20同士を合わせ易くすることが可能となる。
【0051】
[第3実施形態]
図9図13には、第3実施形態の容器10が示されている。本実施形態では、上記第1及び第2実施形態に対して、ヒンジ部30に関する構成が異なっていて、それ以外の構成については同様である。具体的には、本実施形態の例では、ヒンジ部30は、展開状態の1対の容器構成体20の互いに対向する外面(長辺側壁24の外面)に帯板部35が差し渡された構成となっている。帯板部35は、合わせ面21Mから離れた2位置間に差し渡されて、合わせ面21Mの延長面に対してずれた位置に配置されている。なお、例えば、帯板部35の両端部と、合わせ面21Mとのずれ量は、帯板部35の長さの略半分又は半分以上に(例えば半分より僅かに長く)なっている。
【0052】
また、図12及び図13に示すように、本実施形態の例では、ヒンジ部30(帯板部35)は、部品34の一部になっている。部品34は、1対の容器構成体20の連結方向を長手方向とした曲げ変形可能な扁平形状の部品であり、本実施形態の例では、1対の容器構成体20の発泡成形時にこれら容器構成体20と一体化されるインサート部品(例えば樹脂製のもの)になっている。部品34の長手方向の両端部は、1対の容器構成体20に埋設され、部品34のうち1対の容器構成体20の間に差し渡されて露出する部分が、上述の帯板部35を構成する。なお、部品34のうち容器構成体20に埋設される両端部には、部品34の厚み方向の両側に突出する突壁34Tが形成され、部品34の両端部が容器構成体20から抜け難くなっている。
【0053】
図12に示すように、本実施形態の例では、1対の容器構成体20が合わせ面21Mで合わされて閉状態になると、ヒンジ部30が曲げられる。このとき、ヒンジ部30(帯板部35)の両端部が曲げ変形され、帯板部35の両端部の間が、1対の容器構成体20の重なり方向で引っ張られる。また、このとき、帯板部35が、1対の容器構成体20の外面に重ねられて当接する。
【0054】
図11に示すように、本実施形態の例では、帯板部35の両端部(即ち、帯板部35のうち1対の容器構成体20へつながる付け根部)が、帯板部35のうち両端部の間の部分よりも薄くなっている。具体的には、本実施形態の例では、帯板部35は、部品34の長手方向における帯板部35の中央部に向かうに従って厚みが厚くなる形状になっている。詳細には、本実施形態の例では、帯板部35の幅方向から見た形状は、扁平な二等辺三角形状になっていて、帯板部35のうち閉状態で1対の容器構成体20とは反対側を向く面(図12で右側を向く面)は平坦になっている。そして、帯板部35のうち閉状態で1対の容器構成体20と対向する面(図12で左側を向く面)が、中央部に向かうにつれて突出量を大きくしていて、この面に、扁平な二等辺三角形状の断面を有する三角突部35Tが形成されている。なお、例えば、図9に示すように、帯板部35(例えば帯板部35の中央部)に、貫通孔が形成されていてもよい。
【0055】
各容器構成体20のうちヒンジ部30によって連結される長辺側壁24のうち、閉状態でヒンジ部30(帯板部35)と重なる部分には、帯板部35の三角突部35Tを受容する受容凹部29が形成されている。受容凹部29は、ヒンジ部30によって連結される長辺側壁24Nにおいて、ヒンジ部30との連絡部分から合わせ面21Mに向かって徐々に深さを増すように形成されている。
【0056】
本実施形態の容器10によっても、上記第1実施形態の容器10と同様に、容器構成体20同士を合わせ易くすることが可能となる。本実施形態の容器10では、ヒンジ部30に、1対の容器構成体20の互いに対向する外面のうち、合わせ面21Mから離れた2位置間に差し渡された帯板部35が含まれる。そして、1対の容器構成体20が合わされると、帯板部35の両端部が曲げ変形されかつ、帯板部35の両端部の間が引っ張られる。これにより、1対の容器構成体20同士が合わされたときのヒンジ部30の出っ張りを抑制可能となる。
【0057】
ここで、帯板部35を有するヒンジ部30の代わりに、 図12において二点鎖線で示す帯板部35Zを有するヒンジ部のように、容器構成体20へつながる付け根部が合わせ面21Mの近傍に位置するヒンジ部が設けられる場合、閉状態で曲げられた帯板部35Zが弛んで外側に出っ張り易くなる。これに対して、帯板部35Zを短くしようとすると、容器10を展開状態で一体成形するための成形金型70(図13参照)において、1対の容器構成体20の対向面を成形する成形突部75を細くする必要がある。このため、成形突部75の強度が低くなり、成形金型70が破損し易くなるという虞がある。
【0058】
これに対して、本実施形態の容器10では、ヒンジ部30(帯板部35)が、合わせ面21Mから離れた位置間に差し渡されているので、ヒンジ部30を短くし過ぎなくても、閉状態においてヒンジ部30を弛み難くすることが可能となる。また、これにより、容器10を成形する成形金型70の成形突部75を太くすることが可能となり、成形金型70が破損し易くなることを抑制可能となる。
【0059】
また、ヒンジ部30(帯板部35)の両端部が曲げ変形されることで、ヒンジ部30が折り曲げられたときのヒンジ部30の出っ張りを抑制可能となる。しかも、帯板部35の両端部が、帯板部35の両端部の間の部分よりも薄くなっているので、帯板部35の両端部でヒンジ部を曲げやすくなり、1対の容器構成体が合わせられたときに、ヒンジ部の出っ張りをより抑制可能となる。
【0060】
また、本実施形態では、1対の容器構成体20が合わせられると、帯板部35が1対の容器構成体20の外面に重ねられるので、ヒンジ部30の出っ張りをより抑制可能となる。さらに、各容器構成体20に受容凹部29が設けられることで、閉状態のときに、ヒンジ部30の三角突部35Tを受容凹部29に格納することができ、ヒンジ部30の出っ張りを一層抑制することが可能となる。
【0061】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、各容器構成体20に、凹部22が形成されていたが、一方の容器構成体20にのみ凹部22が形成され、他方の容器構成体20が例えば板状の蓋体であってもよい。容器10の形状は、第1~第3実施形態(図1図5図9等)に示される形状に限定されるものではない。
【0062】
(2)容器構成体20は、例えば、エラストマで構成されてもよく、発泡体で構成されてもよいし、ゴムで構成されてもよい。また、ヒンジ部30は、例えば、エラストマで構成されてもよく、発泡体で構成されてもよいし、ゴムで構成されてもよい。容器10は、例えば、容器構成体20とヒンジ部30とが、同じ材料で一体成形されているものであってもよいし、容器構成体20とヒンジ部30とが異なる材料で構成されてヒンジ部30がインサートされたインサート成形品であってもよい。なお、1対の容器構成体20を互いに異なる材料で構成してもよい。
【0063】
(3)上記第1実施形態において、ヒンジ部30のうちV溝31とは反対側の面が、円弧溝の溝33を有さずに、平坦面であってもよいし、円弧状の溝33を有する代わりに、円弧状に膨出する部分を有していてもよい。
【0064】
(4)ヒンジ部30に複数のV溝31が設けられる場合、隣合うV溝31同士の間隔が、上記第1実施形態よりも離れていて、それらV溝31同士の間に、断面台形状の台形部が形成されていてもよい。また、ヒンジ部30に3つ以上のV溝31が設けられる場合に、ヒンジ部30を、隣合うV溝31同士の間に、山部32と上記台形部の少なくとも一方が形成される構成としてもよい。
【0065】
(5)上記第1実施形態又は第2実施形態において、閉状態のときに、V溝31の1対の内側面31M同士が面当接せずに、これら1対の内側面31Mの間に隙間が形成されてもよい。また、上記第1実施形態又は第2実施形態において、ヒンジ部30のV溝31を有する面と、容器構成体20との間に、隙間が形成されていてもよい。また、上記第1実施形態において、閉状態のときに、2つのV溝31のうち最も離れた2つの内側面31MA同士が当接しなくてもよい。また、閉状態のときに、2つのV溝31の間の山部32が、内側面31MAの間で圧縮変形しなくてもよい。
【0066】
(6)上記第1実施形態において、山部32の頂上を、合わせ面21Mの延長面上に配置してもよいし、合わせ面21Mの延長面よりも高く(図3における上側に)してもよい。
【0067】
(7)上記第2実施形態において、容器10が閉状態になったときに、V溝31の互いに面当接した1対の内側面31Mと、1対の容器構成体20の合わせ面21Mとが、同一平面内に位置しない構成としてもよい。また、上記第2実施形態において、容器10が閉状態になったときに、V溝31の1対の内側面31Mが面当接しない構成であってもよく、これら1対の内側面31M同士の間に隙間が形成されてもよい。
【0068】
(8)上記第3実施形態において、容器10が閉状態になったときに、ヒンジ部30が容器構成体20の外面に当接しなくてもよい。
【0069】
(9)上記第3実施形態において、帯板部35の厚みが一定であってもよい。
【0070】
(10)上記実施形態の容器10において、ヒンジ部30が複数設けられていてもよい。
【0071】
(11)上記実施形態において、容器10が閉状態になったときに、ヒンジ部30が引っ張られない構成とすることもできる。例えば、この構成で、ヒンジ部30を、V溝が1つ又は2つ又は3つ以上形成され、ヒンジ部30の底部に向かうに従って肉厚が徐々に薄くなるように形成してもよい。
【0072】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0073】
10 容器
20 容器構成体
21M 合わせ面
30 ヒンジ部
31 V溝
31M 内側面
32 山部
33 溝
35 帯板部
【要約】
【課題】容器を構成する容器構成体同士を合わせ易くする技術の開発が求められている。
【解決手段】容器10は、互いに合わされて容器になる1対の容器構成体20が、互いの合わせ面21Mを同じ側に向けられてかつヒンジ部30で連結された状態で樹脂にて一体に発泡成形されている容器であって、1対の容器構成体20が合わされるとヒンジ部30の少なくとも一部が引っ張られる容器である。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13